説明

食材収納材料用粒材および食材収納材料

【課題】軽量性、保温性、耐久性に優れ、汚れが付き難く、臭気が移り難い特性を有し、食材収納材料用として好適な粒材と、その粒材を含有した食材収納材料を提供する。
【解決手段】食材収納材料を形成する樹脂に分散させるシリカ質微粒子であり、粒子数で50%以上の粒子が内部空隙を有し、該内部空間に隔壁を有する中空微粒子であることを特徴とする食材収納材料用粒材であって、好ましくは、内部空間が隔壁によって区切られた複数の独立気泡によって形成されている粒材、および該粒材が混合分散された樹脂からなる食材収納材料、該材料によって形成された食材容器ないし食材梱包材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリカ質の中空微粒子であって、軽量性、保温性、耐久性に優れ、汚れが付き難く、臭気が移り難い特性を有し、食材収納材料用として好適な粒材と、その粒材を含有した食材収納材料に関する。
【背景技術】
【0002】
果物、野菜、魚等の食材を入れる容器や出荷搬送用の食材梱包材として、段ボール、発泡スチロールを始めとする保形性のある発泡樹脂製の容器や、変形追従性のある硬質樹脂などが用いられている。一般に食材容器は鮮度を保つために温度変化がないほうが好ましくは、保温性の高いものが求められる。また、食材梱包材は食材を運搬するうえで軽量であることが好ましい。さらに、食材容器および食材梱包材は何れも食材の安全性を保つために有害物質を出さないことが求められる。
【0003】
従来、成形品の軽量化を図り、耐熱性や耐摩擦性を高めるために、樹脂に無機中空微粒子を混合した樹脂組成物が知られている(特許文献1)。この樹脂組成物は電器材料や建築資材などの用途に用いることを意図しているが、食品用の材料として、ガラス繊維やガラス質中空微粒子を混合した樹脂からなる軽量トレイが知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−340782号公報
【特許文献2】特開平7−32392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に用られている段ボールは強度が弱いうえ、水に弱いため使用回数が限られ、しかも多くは使用後に廃棄されている。発泡スチロールは、軽量保温用として広く利用されているが、強度が弱いために使用回数が少なく、使用後は破棄されており、また表面に気泡の凹凸があるため汚れが落ち難く、臭いが付きやすいと云う欠点があり、さらに容器の十分な保温性と強度を保つためには壁の厚いものが必要であるため容器の外形が嵩むなどの問題がある。
【0006】
一方、非発泡性の樹脂を使用した容器は発泡スチロールよりも強度は大きいが、重くなり、しかも保温性が小さい。そこで、保温性および軽量性を高めるために、無機中空微粒子を樹脂に混合することが知られている(特許文献1、2等)。これらの中空微粒子としてガラスバルーンなどが用いられているが、従来の中空微粒子は内部空間に隔壁がないので強度が十分ではなく、樹脂に混練する際などに破壊されやすく、しかも破壊部分から樹脂が内部空間に流入して中空状態を失うことが多いので、十分な軽量性や保温性が得られない問題がある。
【0007】
本発明は、軽量化を図った従来の樹脂における上記問題を解消したものであり、軽量性、保温性、耐久性に優れ、臭気が移り難い特性を有し、食材収納材料用として好適なシリカ質の中空微粒子からなる粒材に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下の構成によって上記課題を解決した食材収納材料用の粒材とおよびその食材収納材料に関する。
〔1〕食材収納材料を形成する樹脂に分散させるシリカ質微粒子であり、粒子数で50%以上の粒子が内部空隙を有し、該内部空間に隔壁を有する中空微粒子であることを特徴とする食材収納材料用粒材。
〔2〕シリカ質中空微粒子の内部空間が隔壁によって区切られた複数の独立気泡によって形成されている上記[1]に記載する食材収納材料用粒材。
〔3〕シリカ質中空微粒子の容重が0.15〜0.35g/cm2である上記[1]または上記[2]に記載する食材収納材料用粒材。
〔4〕シリカ質中空微粒子の平均粒径が100μm以下である上記[1]〜上記[3]の何れかに記載する食材収納材料用粒材。
〔5〕上記[1]〜上記[4]の何れかに記載する食材収納材料用粒材が混合分散された樹脂からなる食材収納材料。
〔6〕食材収納材料用粒材の混合量が樹脂100質量部に対して5〜100質量部である上記[5]に記載する食材収納材料。
〔7〕上記[6]の食材収納材料によって形成された食材容器、または食材梱包材。
【発明の効果】
【0009】
本発明の粒材は、シリカ質の無機微粒子であるので耐熱性に優れており、かつ粒子数で50%以上の粒子が内部空隙を有する中空微粒子であるので、軽量であって断熱性に優れている。さらに、本発明の粒材は、内部空間に隔壁を有するので強度が大きく、樹脂に混合し分散する際にも破壊され難く中空状態を維持するので、本発明の粒材を配合した樹脂製の食材収納材料は断熱性や保温性に優れ、軽量かつ機械的強度が大きい。
【0010】
さらに、本発明の粒材を形成するシリカ質中空微粒子は、内部空間が隔壁によって区切られた複数の独立気泡によって形成されているので、局部的な亀裂や破損が生じても、残りの内部空間によって中空状態が維持されるので、耐久性が高く、使用回数が多くても断熱性や保温性に優れ、軽量かつ機械的強度の大きい食材収納材料を得ることができる。
【0011】
果物、野菜、魚等の食材を入れる容器や梱包材などは、食材の鮮度を確保するために、断熱性や保温性の高いことが求められる。また、その運搬や持ち運びには軽量であって強度の高いことが求められる。本発明の粒材を配合した樹脂製の食材収納材料は、強度が大きく、断熱性や保温性および軽量性に優れるので、運搬容器や保存容器などに用いると輸送効率が改善され、また持ち運びの労力を低減することができる。
【0012】
また、本発明のシリカ質中空微粒子からなる粒材は、酸やアルカリに強く、また表面が平滑であるので汚れや臭いが付着し難く、これを十分な量を樹脂に配合してなる食材収納材料は汚れや臭いが付き難いので、食材を入れる各種の容器や梱包材などに適する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明する。
本発明の粒材は、食材収納材料を形成する樹脂に分散させるシリカ質微粒子であり、粒子数で50%以上の粒子が内部空隙を有し、該内部空間に隔壁を有する中空微粒子であることを特徴とする食材収納材料用粒材である。
【0014】
食材収納材料を形成する樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、テフロン(登録商標)、ナイロン等が用いられる。また、上記樹脂は補強材としてガラス繊維などを配合したものでも良い。
【0015】
上記樹脂にシリカ質微粒子を混合する方法は、原料となる樹脂を加熱し、溶融した樹脂に熱安定剤、滑剤、着色剤の添加物と共に、シリカ質微粒子を添加すれば良い。具体的な混合方法としては、樹脂粉末や樹脂ペレットに、シリカ質微粒子をミキサで混合した後に過熱する方法、または加熱した樹脂にシリカ質微粒子を混合してミキサで混合する方法、予めシリカ質微粒子を成形体にした後に樹脂を含浸する方法などを広く適用することができる。
【0016】
本発明の粒材は、シリカ質の無機微粒子であるので、水中や大気雰囲気のほか、酸・アルカリの環境下で劣化し難く、また、紫外線や高温環境においても安定であり、耐久性に優れている。
【0017】
本発明の粒材を形成するシリカ質微粒子は、内部空隙を有し、該内部空間に隔壁を有する中空微粒子である。この中空微粒子は隔壁のない単一空間からなる中空粒子に比較して粒子の強度が大きい。単一空間からなる中空粒子はせん断や圧縮によって破壊され易いが、本発明の粒材を形成する中空微粒子は、内部に隔壁を有するので強度が大きく破壊され難いので、中空状態を安定に維持することができる。このような中空微粒子は光学顕微鏡によって内部空間や隔壁構造を確認することができる。
【0018】
内部空間に隔壁を有する中空微粒子は、容器を形成する樹脂に中空微粒子を混合するときに、実用的な生産規模で機械的に混合する場合でも、強度が大きいので壊れ難く、中空構造が維持される。強度が小さい粒材は樹脂に混合させる際に壊れやすく、中空構造を維持できないので、十分な軽量化を得るには粒材の使用量を多くしなければならず、経済性に劣り、樹脂の柔軟性を損なう。さらに、強度が小さい粒材は射出成型等の成型では大きな圧力がかかるため、強度が弱いと中空状態を維持できない。
【0019】
本発明の粒材を形成するシリカ質微粒子は、粒子数で50%以上の粒子が内部空隙を有し、該内部空間に隔壁を有する中空微粒子である。内部空間に隔壁を有する粒子数がこれより少ないと、粒子の強度が低くなり、樹脂中へ混合したときに破損する割合が多くなるので適当ではない。また、隔壁を有する粒子の割合は多いほど強度が高いので好ましく、具体的には、粒子数で70%以上の粒子が内部空間に隔壁を有するものが好ましい。
【0020】
また、本発明のシリカ質中空微粒子は、内部空間が隔壁によって区切られた独立気泡によって形成されているものが好ましい。このような中空微粒子は、微粒子に局部的な亀裂や破損が生じても、残りの内部空間によって中空状態を維持することができる。また、隔壁の数は1個よりも複数個あることが望ましい。複数の隔壁を有することによって、粒子の強度がさらに向上する。具体的には、例えば、圧縮強度15MPa以上の強度を有することができる。
【0021】
本発明の粒材を形成するシリカ質中空微粒子は、表面に開口が存在しないものが好ましい。中空微粒子でも、表面に気孔が開口しているものは、樹脂との混合時に内部に樹脂が浸入して容易に中空状態が損なわれる。また、表面の気孔口が閉じたものでも内部空間が連続気泡によって形成されているものは、表面に部分的に亀裂が生じると、粒子内部の空間全体に液体が浸透して充満し、中空状態を維持できなくなり、十分な軽量化が得られなくなる。一方、隔壁によって区切られた独立気泡からなる複数の内部空間を有する中空微粒子は局部的に亀裂が生じても残りの独立気泡の空間によって中空状態を保つことができる。
【0022】
本発明の粒材を形成するシリカ質中空微粒子は、シリカ(SiO2)を主成分とする無機系材料から製造することができる。具体的には、真珠岩、黒曜石、松脂岩などのシリカ含有量70〜90%の天然ガラス質岩石を平均粒径100μm以下の微粒子に粉砕し、該岩石微粒子を900℃〜1500℃に加熱して発泡させて中空微粒子にし、この中空微粒子から内部空間が隔壁によって区切られたものを選択することによって製造することができる。また、本発明の中空粒子は、上記天然ガラス質岩石に限らず、例えば、岩石粉末に発泡原料を混合して造粒し、加熱発泡させることによって製造することもできる。
【0023】
上記シリカ質中空微粒子は、シリカ含有量が70〜90%のものが好ましい。シリカ含有量が70%未満であると不純物が多くなり、製造時に均一な発泡ができなくなるため適当ではない。一方、シリカ含有量が90%を上回ると融点が上昇して発泡温度が高くなり、さらには高温でも発泡しなくなるため適当ではない。
【0024】
本発明の粒材は、シリカ質微粒子であって表面がガラス質であるため、滑らかであり、汚れや臭いを吸着し難い。よって食材用の容器などに利用したときに、汚れや臭いが付き難く、衛生的であると共に、再利用しても食材に汚れや臭いを移さず、食材の鮮度や品質を維持することができる。
【0025】
上記シリカ質中空微粒子は、平均粒径100μm以下が適当であり、平均粒径5〜100μmが好ましく、5〜20μmがより好ましい。粒径が100μmより大きい粒子は、樹脂に混合したときに樹脂表面に凹凸が露出しやすくなり、表面の平滑性が損なわれ易くなる。このため、汚れや臭いが付着し易く、また部分的な圧力が加わったときに破損し易いので好ましくない。一方、粒径が5μmより小さい粒子は、粒子どうしの凝集が起こりやすく、均一な分散ができないので適当ではない。
【0026】
上記シリカ質中空微粒子は、容重が0.15〜0.35g/cm3の範囲が好ましい。容重が0.35g/cm3を上回ると内部空間の割合が少なく、軽量化の効果が小さい。一方、容重が0.15g/cm3より小さいと、粒子の膜厚が薄いため、強度が低下し、樹脂との混合時に破損するものが多くなる問題が生じる。
【0027】
本発明の食材収納材料は、上記シリカ質中空微粒子からなる粒材を樹脂に配合してなる樹脂組成物である。上記粒材の混合量は、樹脂100質量部に対して5〜100質量部の範囲が好ましい。上記粒材の含有量が5質量部よりも少ないと、保温性、軽量化が不十分になる。また、上記粒材の含有量が100質量部を超えると、機械的強度が低下し、容器としての機能が損なわれ、また表面の平滑性が低下し、汚れや臭いが付着し易くなるので好ましくない。上記粒材を樹脂に混合する方法は限定されない。
【0028】
本発明の食材容器、食材梱包材は上記食材収納材料によって形成されたものである。食材容器は、輸送のために使われるほか、冷蔵・冷凍室・室温他の保存用、食材の箱型、樽型、コンテナー、引き出しのような内部に食材を収納できるものや、トレーのように食材を上部に載せるものなどがある。密閉しない容器のほか、密閉用の蓋つき容器などでもよい。食材容器、食材梱包材などの成型方法としては、圧縮成型、射出成型、ブロー成形、シート成形、チューブ成形などを広く利用することができる。
【0029】
上記食材容器、食材梱包材は、シリカ質中空微粒子からなる粒材を樹脂に配合した材料によって形成されているので、水中や大気雰囲気のほか、酸やアルカリなどの環境下で劣化し難く、耐久性に優れている。また、シリカ質の粒材を含有するので紫外線や高温環境に対する耐久性に優れている。
【実施例】
【0030】
以下、本発明を実施例によって具体的に示す。なお、粒子の平均粒径、容重、体積抵抗率、引張強さは以下の方法によって測定した。
【0031】
〔平均粒径〕レーザー回折粒度分布測定装置を用い、日機装社製測定器(マイクロトラック)によって測定した。
〔容重〕一定容積S(cm3)の容重枡に試料を充填し、開口からはみ出た部分をすり切り、全体の重量G1を測定し、これから容器の重量G2を差し引いて粉末重量G3(g)を求め、上記容積Sに対する粉末重量G3〔G3/S〕g/cm3を容重とした。
〔隔壁粒子の割合〕プレパラートにアルコールで分散させた試料を滴下し、均一にならして乾燥させる。これを透過型の顕微鏡で観察し、100個中の隔壁がある個数をカウントした。
〔引張強さ〕JIS K 7113に準じて測定した。
〔粒子内部の破損状況〕成形した樹脂をダイヤモンドカッターで切断し、切断面を光学顕微鏡で観察し、内部の中空粒子の状態を調べた。殻の部分が破損して樹脂が内部に侵入しているものを破損した粒子とし、表3のNo.1の粒子を100として相対比較した。
【0032】
〔中空微粒子の調製〕
真珠岩〔化学成分含有率(質量%)SiO2 74%、Al2O3 13%、Fe2O3 1%、CaO1%、ig.loss 2.2%〕を発泡させてシリカ質微粒子を製造し、容重0.13〜0.37g/cm3、平均粒径50〜131μmのものを選択した。これらの中空微粒子について、容重、平均粒径を表1に示した。
【0033】
比較試料として、従来の無機中空微粒子(B1)と有機樹脂系の中空微粒子(B2)を表1に示した。比較試料B1は鹿児島県産のシラスを粉砕して加熱発泡させて製造した無機中空微粒子であって、同程度の容重および平均粒径するものである(商品名:シラスバルーン)、比較試料B2は市販の有機樹脂系中空微粒子(商品名:マツモトマイクロスフェアー、松本油脂製薬社製)である。これらの比較試料(No.B1、B2)は何れも粒子の大半(概ね90%以上)又はほぼ全てが、内部空間が単一気泡によって形成されている。
【0034】
【表1】

【0035】
〔実施例1〕
表1の中空微粒子を粒材として用い、ポリプロピレン100質量部に対して中空微粒子30質量部を混合して、加熱温度200℃、0.5MPaで圧縮成型し、厚さ2mmの樹脂組成物(食材収納材料)を製造した。この材料について樹脂引張強さを測定し、中空微粒子の破損状況を調べた。この結果を表2に示した。
【0036】
表2に示すように、中空微粒子を含有しない比較試料(No.10)の単位重量は0.91g/cm3であるが、中空微粒子を含有した試料(No.1〜9)の単位重量は0.74〜0.87g/cm3であり軽量化される。一方、強度は、中空微粒子を混合したものは低下するものの、食材容器として十分な強度を有している。特に本発明の好ましい範囲の中空微粒子を含有する試料(No.1〜3)は、単位重量も十分小さく、また、十分な引張強さを有している。
【0037】
平均粒径の大きい中空微粒子(A4:131μm)を用いた試料(No.4)も十分な引張強さを有し、単位重量もNo.1と同程度であるが表面がやや粗い。また、容重が小さい中空微粒子A5を用いた試料(No.5)は粒子の破損がNo.1よりやや多く、容重が若干高くなる。容重が大きい中空微粒子A6を用いた試料(No.6)は隔壁粒子数の数がやや少ないので破損粒子がやや多くなり、単位重量がNo.1より大きく軽量化の程度が小さい。さらに、隔壁粒子数の割合が小さい微粒子A7を用いた試料(No.7)は、破損粒子が多くなり、単位重量が増すので軽量化の程度が小さい。
【0038】
一方、内部隔壁のない中空微粒子B1を用いた比較試料(No.8)は、壊れやすいため破損粒子数が多く、単位重量も高くなる。さらに、有機樹脂系の中空微粒子B2を用いた比較試料(No.9)は、内部隔壁がないので粒子の強度が小さく、破損粒子数が多いので、単位重量がNo.1より大きく軽量化の程度が小さい。また、加熱とともに発泡するため、表面に凹凸が生じる。
【0039】
【表2】

【0040】
〔実施例2〕
ポリエチレン樹脂100質量部に対してA3およびB1(シラスバルーン)を30質量部加熱混合し、射出成型して内容積約6.5L(300×240×90mm、厚さ約5mm)の容器および蓋を作成した。これに60℃の水を入れ、2時間後に水の温度を測定した。この結果を表3に示した。表3に示すように、中空微粒子を混合した容器は何も混合しない容器に比べて温度の低下が抑制されている。また、B1(シラスバルーン)を使用した容器ha
A1を使用した容器に比べて温度低下抑制効果が小さい。
【0041】
【表3】

【0042】
〔実施例3〕
実施例2と同様にして作成したプラスチック容器(A1およびB2を使用)に鮮魚(鯛)と氷を入れて密封し、山口から千葉までの陸送を行った。外気温18〜26℃で、輸送には所要時間23時間であったが、A1を使用した容器は陸送後も氷が全て融けることなく、魚の鮮度は保たれていた。また、陸送後の容器も破損等は見られず、洗浄後に汚れにおいの付着もなかった。一方、B2を使用した容器は若干汚れが付着し、魚のにおいが若干残っていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食材収納材料を形成する樹脂に分散させるシリカ質微粒子であり、粒子数で50%以上の粒子が内部空隙を有し、該内部空間に隔壁を有する中空微粒子であることを特徴とする食材収納材料用粒材。
【請求項2】
シリカ質中空微粒子の内部空間が隔壁によって区切られた複数の独立気泡によって形成されている請求項1に記載する食材収納材料用粒材。
【請求項3】
シリカ質中空微粒子の容重が0.15〜0.35g/cm2である請求項1または請求項2に記載する食材収納材料用粒材。
【請求項4】
シリカ質中空微粒子の平均粒径が100μm以下である請求項1〜請求項3の何れかに記載する食材収納材料用粒材。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れかに記載する食材収納材料用粒材が混合分散された樹脂からなる食材収納材料。
【請求項6】
食材収納材料用粒材の混合量が樹脂100質量部に対して5〜100質量部である請求項5に記載する食材収納材料。
【請求項7】
請求項6の食材収納材料によって形成された食材容器、または食材梱包材。

【公開番号】特開2010−195666(P2010−195666A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−46040(P2009−46040)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(501173461)太平洋マテリアル株式会社 (307)
【Fターム(参考)】