説明

食物サプリメントに対する個体変動評価のモデルとしての全血におけるexvivo遺伝子発現

サプリメントのような食物成分の投与を個別に調整するための方法が開示される。当該方法において、哺乳類の全血は食物成分に曝露される。食物成分への曝露後に、そしていくつかの場合、曝露された血球のさらなる刺激後に、疾患状態と関連づけられるマーカーmRNAのレベルが白血球において測定される。曝露後のmRNAレベルを曝露されなかった血球で判明した値と比較することにより、哺乳類において存在する食物成分の作用が何かを確定し得る。多数の考え得る食物成分に対して哺乳類の血液をスクリーニングすることにより、疾患状態を治療するか又は予防するために特定の哺乳類に対して調整される最適な食物成分のセットを開発し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サプリメントのような食物成分の投与を調整するための方法に関する。当該方法において、哺乳類の全血は食物成分に曝露される。食物成分への曝露後に、そしていくつかの場合、曝露された血球のさらなる刺激後に、白血球において、疾患状態と関連づけられるマーカーmRNAのレベルが測定される。曝露後のmRNAレベルを曝露されなかった血球で見出された値と比較することにより、哺乳類における食物成分の効果が何かを判定し得る。多数の考え得る食物成分に対して哺乳類の血液をスクリーニングすることにより、疾患の治療又は予防のために特定の哺乳類に対して調整される最適な食物成分のセットを開発し得る。
【背景技術】
【0002】
ビタミン、ポリフェノール、ウコン等の食物成分(サプリメント)は、培養細胞及び動物における種々の生物学的活性を誘導することが知られており、そしてこれらの活性のいくつかはその後の臨床試験により確認されている。これらの生物学的活性のいくつかは、種々の疾患状態における患者の予後に効果があると予測される。例えば免疫系の構成成分の活性を増大した食物成分はいくつかの癌に対する効果を有することが予測され得るが、一方、或る種の免疫系構成成分の活性を低減した食物成分は自己免疫疾患の場合に効き目があると思われる。しかしながら、特定の個体のための食物成分の個別化された組合せを設計するために臨床試験結果を用いることは難しい。応答者及び非応答者はともに試験集団中に存在し、そして非応答者集団は応答者集団より実質的に多い場合には、二重盲検臨床試験は、効能を有することが予測され得る食物成分をもはや同定し得ない。さらに、遺伝子型又は1塩基多型分析は、標的遺伝子及びホットスポットが特性化された場合に、食物の最適化において有用であるに過ぎない。いわゆる調整された、個別化された又は個人化された薬剤又は栄養の価値は、科学業界及び一般大衆の両方の間で認識されている(Jain, KK, "Personalized medicine," Curr Opin Mol Ther 2002; 4: 548-58参照)。しかし、適用可能な技術は今のところ限られている。
【0003】
種々の報告はすでに、食物サプリメントの血中レベルを示している。既知の標準的な血中レベルにおける種々の食物サプリメントの既知の又は予測作用を、食事療法に関して考慮中の哺乳類の実際の個々の結果と比較することが望ましい。これは、哺乳類のための食物又は食物サプリメントセットを設計する目的で、全血が採取される哺乳類の白血球中の各サプリメントの効果を評価することを可能にするだろう。白血球中でのこれらの作用は、炎症、癌免疫、自己免疫疾患等に適用可能である。しかしながら、特にex vivo状況で、これを成し遂げるための有効な方法は今のところ存在しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、候補食物成分への哺乳類の全血の曝露後に、白血球で測定されるマーカーmRNAのレベルに基づいた、個々の哺乳類に対するサプリメントのような食物成分の調整方法を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施の形態では、癌又は自己免疫疾患に対する個々の哺乳類における食物成分の潜在的有効性の評価方法であって、哺乳類の全血を食物成分に曝露する工程、曝露後に、癌又は自己免疫疾患と関連するmRNAの量を測定する工程、及び測定結果に基づいて哺乳類における食物成分の潜在的有効性を同定する工程を含み、前記mRNAの量の変
化が食物成分の潜在的有効性と相関することを特徴とする方法が提供される。
【0006】
さらなる態様では、曝露されなかった全血中に存在するmRNAの量が測定され、該曝露されなかった全血中で測定されたmRNAの量を曝露された全血中で測定されたmRNAの量と比較することによりmRNAの量の変化が確定される。
【0007】
さらなる態様では、本方法は、曝露後、全血を刺激剤に曝露する工程、及び曝露されなかった全血から得られる測定結果を、食物成分及び刺激剤への曝露後に得られる測定結果と比較することを含む食物成分の潜在的有効性を評価する工程をさらに含む。
【0008】
さらなる態様では、刺激剤がフィトヘムアグルチニン、放射線及び熱凝集性IgGから成る群から選択される。
【0009】
さらなる態様では、mRNAの量が測定される前に曝露されなかった全血が対照媒体に曝露される。
【0010】
さらなる態様では、対照媒体がリン酸緩衝生理食塩水又はジメチルスルホキシドである。
【0011】
さらなる態様では、全血を曝露することがヘパリンの付加を含む。
【0012】
さらなる態様では、全血が5時間以下の間刺激される。
【0013】
さらなる態様では、全血が30分〜4時間刺激される。
【0014】
さらなる態様では、mRNAが、インターロイキン−2、インターロイキン−4、腫瘍壊死因子α、IgG Fc受容体、p21、Fasリガンド、腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー3及び腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー15をコードするmRNAから成る群から選択される。
【0015】
さらなる態様では、食物成分が、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、エピガロカテキン没食子酸塩、g−リノール酸、ゲニステイン、クルクミン、クエルセチン、熟成ニンニク、アガリクス、プロポリス、メシマコブ、ノニ抽出物、アルコキシグリセロール及びフコイダンから成る群から選択される。
【0016】
本発明のさらなる実施の形態は、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、エピガロカテキン没食子酸塩、g−リノール酸、ゲニステイン、クルクミン、クエルセチン、熟成ニンニク、アガリクス、プロポリス、メシマコブ、ノニ抽出物、アルコキシグリセロール及びフコイダンから成る群から選択される食物成分の哺乳類における潜在的抗癌有効性の測定方法であって、哺乳類の全血を食物成分に4時間以下の間曝露する工程、曝露された全血及び曝露されなかった全血の血球中のIgG Fc受容体をコードするmRNAの量を測定する工程、曝露された全血及び曝露されなかった全血の血球で得られる測定結果を比較する工程、及び比較結果に基づいて食物成分の潜在的抗癌有効性を同定する肯定を含み、mRNAの量の変化が食物成分の有効性と相関することを特徴とする方法を提供する。
【0017】
本発明のさらなる実施の形態は、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、エピガロカテキン没食子酸塩、g−リノール酸、ゲニステイン、クルクミン、クエルセチン、熟成ニンニク、アガリクス、プロポリス、メシマコブ、ノニ抽出物、アルコキシグリセロール及びフコイダンから成る群から選択される食物成分の哺乳類における潜在的抗癌
有効性の測定方法であって、哺乳類の全血を食物成分に4時間以下の間曝露する工程、哺乳類の曝露された全血及び曝露されなかった全血を放射線で刺激する工程、刺激後に、曝露された全血及び曝露されなかった全血の血球中のp21又はPUMA遺伝子産物をコードするmRNAの量を測定する工程、曝露された全血及び曝露されなかった全血の血球で得られる測定結果を比較する工程、及び比較結果に基づいて食物成分の潜在的抗癌有効性を同定する工程を含み、mRNAの量の変化が食物成分の有効性と相関することを特徴とする方法を提供する。
【0018】
本発明のさらなる実施の形態は、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、エピガロカテキン没食子酸塩、g−リノール酸、ゲニステイン、クルクミン、クエルセチン、熟成ニンニク、アガリクス、プロポリス、メシマコブ、ノニ抽出物、アルコキシグリセロール及びフコイダンから成る群から選択される食物成分の哺乳類における潜在的抗癌有効性又は潜在的抗自己免疫疾患有効性の測定方法であって、哺乳類の全血を食物成分に4時間以下の間曝露すること、哺乳類の曝露された全血及び曝露されなかった全血をフィトヘムアグルチニンで刺激すること、該刺激後に、曝露された全血及び曝露されなかった全血の血球中のインターロイキン−2、インターロイキン−4、腫瘍壊死因子α及びFasリガンドから成る群から選択されるタンパク質をコードするmRNAの量を測定すること、曝露された全血及び曝露されなかった全血の血球で得られる測定結果を比較すること、及び比較結果に基づいて食物成分の潜在的抗癌有効性又は潜在的抗自己免疫疾患有効性を同定することを含み、mRNAの量の変化が食物成分の有効性と相関することを特徴とする方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の実施形態では、食物サプリメントのような種々の食物成分に応答する個体変動が評価された。「食物成分」とは哺乳類の食物の一部を構成する任意の化合物又は物質を指し、一方、「食物サプリメント」は、哺乳類の食事を補足するために用いられる、ビタミン及び天然抽出物のような有用な食物成分を示す。ヘパリン化ヒト全血は各食物成分とともにex vivoでインキュベートされ、そして食物成分への曝露により誘導される遺伝子発現における変化は、食物サプリメントに曝露された白血球における、及びそのように曝露されない白血球における癌、自己免疫疾患等のような症状に関連した遺伝子の発現を定量することにより評価された。いくつかの場合、全血は、mRNAレベルを定量する前に、フィトヘムアグルチニン、放射線又は熱凝集性IgG(「HAG」)のような刺激剤により刺激された。さらに、いくつかの食物サプリメントに関しては、曝露されなかった全血中のmRNAレベルを定量する前に、血液は食物サプリメントが普通は溶解される媒体に曝露された。
【0020】
いくつかの食物成分は、遺伝子発現を増大するか又は阻害することが見出された。しかしながら実質的な個体間変動が同定され、この変動は統計学的に有意であった。所定の個体に関して、特定の食物成分への個体の全血の曝露により誘導されるmRNA変化は、mRNAが関連する症状の予防又は治療における食物成分の潜在的有効性と相関する。正及び負の相関の両方が考えられる。正の相関は食物成分が症状に対して有効であり得るということを示し、一方、負の相関は食物成分がその個体において有効でなく、用いられるべきでないということを示す。mRNAレベルの増大又は低減は、定量される症状の種類及び定量されるmRNAの種類に依存してによって、症状に対する食物成分の潜在的有効性を示し得る。インターロイキン−2(T細胞活性化に関するマーカー)のような免疫系の活性に関連したmRNAのレベルの増大は癌に対する潜在的有効性と正に相関し、一方、同一mRNAのレベルの低減は自己免疫疾患に対する有効性と正に相関し得る。多数の食物成分に対する個体の血液のスクリーニングから得られるデータは、癌のような、定量mRNAと関連する疾患を治療又は予防するために最適化される食物を設計するために用いられ得る。
【0021】
この方法は、自然の天然産物中に含有される普遍的な活性成分を発見するための産業分野において有用である。ヘルスケアの分野では、当該方法は、個人別の食事療法の設計において新しい可能性を開く。
【0022】
本発明の方法は、本発明の実施例においてより詳細に説明される、しかしながらこれらの実施例は本発明を限定するよう意図されるべきでない。
【実施例1】
【0023】
生理学的状態とできるだけ近い白血球機能を評価するために、本発明の方法の一実施形態は、特定の白血球集団を単離せずに、全血を用いる。抗凝固剤クエン酸塩デキストロース溶液及びエチレンジアミン四酢酸は多数の生物学的活性のための重要な構成成分であるカルシウムをキレート化するので(Eggesbo et al., "LPS induced release of IL-1 beta, IL-6, IL-8 and TNF-alpha in EDTA or heparin anticoagulated whole blood from persons with high or low levels of serum HDL," Cytokine 1996; 8: 152-60参照)、この実施形態における抗凝固剤としてヘパリンを用いた。mRNA転写はタンパク質合成とその後の生物学的活性の上流事象であるため、mRNAによりコードされるタンパク質に関連した生物学的活性の指標として、mRNAレベルが本発明の一実施形態で用いられる。本発明の一実施形態は、20〜40%という少ない遺伝子発現における変化の同定を可能にするmRNAの定量方法を用いる(Mitsuhashi M., "Absolute quantitation of mRNA in human blood leukocytes as a model for phenotypic gene expression-based diagnostics," Clin Chem, 2006参照)。
【0024】
この実施例では、インターロイキン−2(IL−2)、インターロイキン−4(IL−4)及び腫瘍壊死因子−α(TNF−a)のフィトヘムアグルチニン誘導性遺伝子発現を、以下のように定量した。50μLのヘパリン化全血を、種々の食物サプリメントとともに30分間の間インキュベートした。以下のサプリメントを用いた:ビタミンA、C及びD、エピガロカテキン没食子酸塩(緑茶由来)、ゲニステイン(大豆由来)並びにクルクミン(香辛料のウコンから)。ビタミンAは、免疫系を刺激することが既知である。ビタミンCは、T細胞の活性を増大することが示されている。ビタミンDは、或る種の癌に対して防御作用を有すると思われる。エピガロカテキン没食子酸塩は強力な抗酸化剤であり、癌細胞に見出される多薬剤耐性を低減し、そして選択的に腫瘍細胞におけるアポトーシスを誘導すると思われる。ゲニステインは、抗癌活性を有することがいくつかの研究で見出されている。考え得る作用メカニズムとしては、アポトーシスの上向き調節、血管新生の阻害、DNAトポイソメラーゼIIの阻害、及びタンパク質チロシンキナーゼの阻害が挙げられる。クルクミンは、腫瘍細胞において前アポトーシス作用を有し、そしてこのような細胞中でしばしば高度に過剰発現される転写因子NF−κBの活性を妨害する。
【0025】
食物サプリメントとのインキュベーション後、100μg/mLのフィトヘムアグルチニン(PHA)を付加し、インキュベーションを37℃でさらに2時間継続した。各食物サプリメントの濃度(表1、注参照)は、報告された血中レベルよりわずかに高かった。次にmRNAを精製し、cDNAを合成して、TaqManリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により、IL−2、IL−4及びTNF−αのレベルを定量した(Holland, et al., "Detection of specific polymerase chain reaction product by utilizing the 5' to 3' exonuclease activity of Thermus aquaticus DNA polymerase," Proc Natl Acad Sci USA 1991; 88: 7276-80参照)。
【0026】
食物成分に曝露された全血、並びに非曝露のままである全血から、mRNA及びcDNAを調製した。要するに、手製96ウエルフィルタープレートを収集プレート上に置き、そして150μlの5mM トリス、pH7.4を導入した。4℃で1分間、120×g
で遠心分離後、50μlの血液試料を各ウエルに適用し、直ちに4℃で2分間、120×gで遠心分離し、その後、300μlのPBSで1回、各ウエルを洗浄し、4℃で5分間、2000×gで遠心分離した。次に、例えば0.5%のN−ラウロイルサルコシン、4×SSC、10mMトリスHCl pH7.4、1mMのEDTA、0.1%のIGEPAL CA−630及び1.791 M グアニジンチオシアネートを含有し、1%の2−メルカプトエタノール(BioRad, Hercules, CA, USA)、0.5mg/mlのプロテイナーゼK(Pierce, Rockford, IL, USA)、0.1mg/mlのサケ精子DNA(5 Prime
Eppendorf/Brinkmann, Westbury, NY, USA)、0.1mg/mlの大腸菌tRNA(Sigma)、表2に示した特異的なリバースプライマーの各々10mMを含むカクテル、及び標準RNA34オリゴヌクレオチドを補ったストック溶解緩衝液60μlをフィルタープレートに導入し、その後、37℃で10分間インキュベートした。次にフィルタープレートをオリゴ(dT)固定化マイクロプレート(GenePlate, RNAture)上に載せ、4℃で5分間、2000×gで遠心分離した。4℃で一晩貯蔵後、マイクロプレートを100μlの単純溶解緩衝液で3回、その後、150μlの洗浄緩衝液(0.5MのNaCl、10mMのトリス、pH7.4、1mMのEDTA)で4℃で3回、洗浄した。1×RT−緩衝液、各々1.25mMの各dNTP、4単位のrRNasin及び80単位MMLV逆転写酵素(Promega)(プライマーなし)を含有する緩衝液30μlを添加し、37℃で2時間インキュベートすることにより、各ウェル中でcDNAを直接合成した。特異的プライマーにより開始されたcDNAは溶液中に存在し、そしてオリゴ(dT)により開始されたcDNAはマイクロプレート中に固定されたままであった。TaqMan PCRのために、結果的に生じた4μlのcDNA溶液を384ウエルPCRプレートに直接移して、これに、5μlのTaqMan汎用マスターミックス(ABI)及び1μlのオリゴヌクレオチドカクテル(各々15μMのフォワード及びリバースプライマー、及び3〜6μMのTaqManプローブ)を導入し、そしてPCRをPRISM 7900HT(ABI)中で、95℃で10分を1サイクル、その後、95℃で30秒、55℃で30秒及び60℃で1分を45サイクル実行した。SYBRグリーンPCRも用い得る。このために、cDNAを水中で3〜4倍に希釈し、4μlのcDNA溶液を384ウエルPCRプレートに直接移して、これに、5μlのマスターミックス(BioRad, Hercules, CA)及び1μlのオリゴヌクレオチドカクテル(各々15μMのフォワード及びリバースプライマー)を適用し、そしてPCRをPRISM 7900HT(ABI)中で、95℃で10分を1サイクル、その後、95℃で30秒及び60℃で1分を45サイクル実行した。各遺伝子を別個のウエル中で増幅した。分析用ソフトウエア(SDS, ABI)により、Ctを確定した。
【0027】
それぞれT細胞活性化、IgEカスケード(有力なアレルギー反応)の活性化及び細胞障害性のマーカーとして、IL−2、IL−4及びTNF−αを選択した。正確な統計学的分析(スチューデントt検定)のために、全血の三重アリコートを出発物質として用いた。データをサイクル閾値(Ct)として表わしたが、これは或る量のPCR産物を生成するために必要とされるPCRのサイクルであり(図1)、ΔCtは非刺激試料のCt値をPHA刺激試料の値から差し引いたものであり、そしてΔΔCtは非処理対照試料のΔCt値を食物サプリメント処理試料の値から差し引いたものである(表1)。Ctは対数スケールであるため、1ΔCt又はΔΔCtは二倍又は半分の量を意味し、そして負のΔCt値は発現の増大を意味する。
【0028】
図1は、全血中のPHA誘導性遺伝子発現を示す。50μLのヘパリン化全血を、種々の濃度(A)又は100μg/mL(B)のPHAとともに2時間(A)若しくは種々の長さの時間37℃でインキュベートし、次にIL−2(■)、IL−4(▲)及びTNFα(◆)のレベルを上記のように定量した。系中にスパイクされた標準人工RNA(RNA34)(○)も定量した。各データは、全血の三重アリコートからの平均Ct±標準偏差であった。
【0029】
図1に示すように、PHAは約10〜20μg/mLのEC50で、用量依存的にIL−2、IL−4及びTNF−α mRNA発現を誘導した(図1A)。mRNAの誘導は迅速で、そして約30〜60分後にプラトーに達した(図1B)。PHAそれ自体に及ぼす二次作用を回避するために、PHA用量及びインキュベーション期間を、最大レベル(100μg/mL及び120分)に固定した。表Iに示したように、食物サプリメントの作用は各mRNAに関して実質的個体変動を示した。100μg/mLのPHAでの遺伝子発現は過剰飽和されたため(図1A)、〜0.65ΔΔCT未満の変化は顕著で、統計学的有意を有した。興味深いことに、緑茶エピガロカテキン没食子酸塩(EGCG)は7つの個体すべてにおいてPHA誘導性IL−4発現を増強したが、しかしIL−2及びTNF−αに対するその作用は個体変動を示した(表1)。IL−2に関しては、7人のうち3例が減少を示し、1人が増大を示し、そして3人が変わらなかった(表I)。ウコン(Turmeric curcumin)(Cur.)は、2個体においてIL−2、IL−4及びTNF−α発現を有意に低減したが、しかし他の5人は変化を示さなかった(表I)。ビタミンA、C及びDはすべて、1〜3を除いて、IL−4発現を増強した(表I)。大豆ゲニステイン(表1中の標識「Gen」)は主に不活性であったが、しかし中には有意の応答を示す個体もあった(表I)。
【0030】
【表1】

【0031】
【表2】

【実施例2】
【0032】
本発明の方法のこの実施例では、一個体の白血球でCD32A mRNAの発現を評価した。このmRNAはIgG Fc受容体をコードし、そして抗体依存性細胞媒介性細胞傷害作用(ADCC)に関連する。CD32A mRNAレベルを増大する食物成分は、個体のADCC活性を引き上げ、したがって抗癌活性を直接提供すると予測される。或いはこのような食物成分は、循環白血球中のIgG Fc受容体mRNAレベルを同時に増大することにより、トラスツズマブ(ヘルセプチン)又はリツキシマブ(リツキサン)のような近年開発された高価なモノクローナル抗体ベースの治療の効果を増強し得る。CD32A mRNAレベルの測定に上記の方法を用いたが、但し、フィトヘムアグルチニンのような刺激剤は用いなかった。プライマー配列は、上記の表2に示されている。
【0033】
用いた食物サプリメントは:ビタミンA(「VA」;100nmol/L、最終濃度)、ビタミンC(「VC」、10mg/mL)、ビタミンD(「VD」、100nmol/L)、ビタミンE(「VE」;1 IU/mL)、エピガロカテキン没食子酸塩(緑茶から得られるカテキンポリフェノール)(「EGC」又は「カテキン」;10mmol/L)、γ−リノール酸(植物油中の多不飽和脂肪酸)(「rLA」;1mg/mL)、ゲニステイン(大豆)(「Gen」;2mmol/L)、クルクミン(「Cur」;香辛料ウコン)(200nmol/L)、クエルセチン(「Que」;植物色素フラボノイド)(100nmol/L)、熟成ニンニク(Kyolic(「Kyo」)、全長)、アガリクス(「
Aga」;Kyowa、全長)、プロポリス(「Pro」;1:10希釈)、メシマコブ(「Mesh」)、ノニ抽出物(「Noni」)及びサメ肝油(「Alk」;アルコキシグリセロール)(非同定用量)。これらの食物成分のすべてが、免疫系若しくは癌又は両方に及ぼす作用を報告した。上記の実施例1で考察した食物成分のほかに、ビタミンEは免疫食作用に及ぼす強力な作用を有することが既知であり、そして感染に対する感受性を低減するに際して、特にストレス下で、動物に対して有益であることが示されている。γリノール酸の欠如は、免疫系欠陥を生じる。それは免疫支持プロスタグランジンの産生における中間体である。クエルセチンは、ラットにおいてナチュラルキラー細胞活性を引き上げ、そして肥満細胞、好塩基球及び好中球の脱顆粒を阻止することが示されている。熟成ニンニク抽出物は、免疫系強化物質として数十年間用いられてきた。アガリクス茸、例えばアガリクス・ブラゼイ(Agaricus blazei)の抽出物は、抗腫瘍作用を有することが示されている。蜂の巣から得られる抗生物質であるプロポリスはコーヒー酸フェネチルエステルを含有し、これは、動物モデルにおいて癌形成を防止することが示されている。プロポリスは、アポトーシスのプロセスを増大することにより、癌細胞増殖を阻害する。メシマコブ(Phellinus linteus)は、抗腫瘍ベータ・グルカンを含有する重要な薬用茸である。その水性抽出物は、腫瘍の増殖を抑制することが示されている。ノニ抽出物は、ヤエヤマアオキ(Morinda citrifolia)の果実から得られ、そして肺腫瘍を有するマウスの生存持続期間を有意に延ばすことが示されているノニ−pptと呼ばれる多糖物質に富んだを含有する。サメ肝油中に見出されるもののようなアルコキシグリセロールは、抗癌治療及び免疫増強剤として用いられてきた。用いられ得るさらなる食物成分はフコイダンであり、これは海草から得られ、そして腫瘍細胞侵襲を阻害し、免疫系構成成分のレベルを引き上げることが示されている。この実施例では、リン酸緩衝生理食塩水を対照として用いた。
【0034】
インキュベーションは、37℃で3時間であった。次にCD32A mRNAを定量した。その結果を図2に示す。白丸は、p<0.05を示す。各記号は、50mLヘパリン化全血の三重アリコートからの平均±S.D.である。ゲニステインの血漿濃度は、1回の大豆ミール後8時間で4mmol/Lであることが報告されている。したがって全血中2mmol/Lゲニステインを用いた3時間インキュベーションは、合理的に達成可能である。
【0035】
この個体における結果は、食物成分ビタミンD&E、エピガロカテキン没食子酸塩、γリノール酸、ゲニステイン、プロポリス及びノニ抽出物が抗癌活性のために最適化された食物中でこの個体に用いるのに適している、ということを示す。
【実施例3】
【0036】
この実施例では、4個体のヘパリン化全血を、37℃で1〜2時間、種々の食物サプリメントとともにプレインキュベートし(実施例2の場合と同一血中濃度で)、次に1 Gy放射線で刺激した。次に血液を、37℃で2時間インキュベートした。次に実施例1に記載した方法を用いて、p21 mRNAのレベルを評価した。プライマー配列を表2に示す。DNA損害応答に及ぼす各食物成分の作用を示すアポトーシスマーカーとして、p21 mRNAを選択した。p21に代わるものとして、PUMA(アポトーシスのp53上向き調節化モジュレーター)mRNAを定量し得る。
【0037】
結果を図3に示す。この図において、白丸は放射線刺激を用いずに得られた値を示し、一方、黒丸は、放射線が用いられたことを示す。各記号は、50mLヘパリン化全血の三重アリコートからの平均±S.D.である。
【0038】
図3に示したように、食物成分に対する個体応答は、広範に変化した。このような結果は、腫瘍細胞におけるアポトーシスを促すことにより癌を治療するか又は防止するために
最適化される個々の食物を設計するために用いられ得る。
【実施例4】
【0039】
この実施例では、2個体のヘパリン化全血を、37℃で1〜2時間、種々の食物サプリメントとともにプレインキュベートし(実施例2の場合と同一血中濃度で)、次にフィトヘムアグルチニンで刺激した。次に血液を、37℃で2時間インキュベートした。次に実施例1に記載した方法を用いて、Fasリガンド(FasL)のレベルを評価した。プライマー配列を表2に示す。アポトーシスの促進に及ぼす各食物成分の作用を示すアポトーシスマーカーとして、FasリガンドmRNAを選択した。
【0040】
結果を図4に示す。この図において、中黒記号は対照値と有意に異ならない値を示し、斜線記号は、対照値を上回る有意の増大を表わす値を示し(p<0.05)、そして中白記号は、対照値と比較して有意の低減を表わす値を示す(p<0.05)。各記号は、50mLヘパリン化全血の三重アリコートからの平均±S.D.である。
【0041】
図4に示したように、食物成分に対する個体応答は、大幅に変化した。このような結果は、腫瘍細胞におけるアポトーシスを促すことにより癌を治療するか又は防止するために最適化される個々の食物を設計するために用いられ得る。
【実施例5】
【0042】
この実施例では、2例の個体のヘパリン化全血を、37℃で30分間、種々の食物サプリメントとともにプレインキュベートし(実施例2の場合と同一血中濃度で)、次に1.2μLの熱凝集性IgGで刺激した。63℃で15分間、PBS中で20mg/mLヒトIgG(Sigma, St. Louis)を加熱することにより、熱凝集性IgG(HAG)を調製した(Ostreiko et al., Immunol Lett. 15, 311 (1987)参照(この記載内容は参照により本明細書中で援用される))。次に血液を、37℃で2時間インキュベートした。次に、実施例1に記載した方法を用いて、TNFSF3及びTNFSF15 mRNAのレベルを評価したが、mRNAを定量するためにSYBRグリーンPCRは用いなかった。TNFSF3は、リンフォトキシン−アルファ(LTアルファ)、腫瘍壊死因子−ベータ(TNF−ベータ)及びリンフォトキシン−ベータ(LTベータ)としても既知である。分泌LTアルファは、可溶性ホモ三量体LTアルファ3として集合する。分泌LTアルファはまた、膜会合LTベータと複合体を形成して、2つの型のヘテロ三量体LTアルファ1/ベータ及びLTアルファ2/ベータ1を生じる。TNFSF3は活性化ナイーブCD4細胞、非分極IL−2分泌エフェクター及びTh1エフェクターにより発現され、そしてTNFSF3受容体はいくつかの腫瘍細胞により発現される。TNFSF15はTL1Aとしても既知であり、そしてTNFスーパーファミリーに属するII型膜貫通タンパク質である。TNFSF15は、内皮細胞中で主に発現され、その発現はTNF−α及びIL−1αにより誘導可能である。TNFSF15は、デス受容体3(DR3)(これは現在、TNF受容体スーパーファミリーメンバー25(TNFRSF25)と呼ばれる)と高親和性で結合する。細胞状況によって、TNFSF15によるDR3の結合は、2つのシグナル伝達経路(転写因子NF−kBの活性化又はカスパーゼ及びアポトーシスの活性化)のうちの一方を誘発し得る。
【0043】
プライマー配列を上記の表2に示す。これらのmRNAを、免疫系活性及びアポトーシス応答に及ぼす各食物成分の効果を示すアポトーシスマーカーとして選択した。
【0044】
結果を図5、図6及び図7に示す。図5において、白丸はPBS対照を用いて個体1から得られたTNFSF3値を示し、一方、黒丸は、HAG刺激を用いた場合の個体で得られたTNFSF3値を示す。さらに、灰色陰影丸は、HAGがクエルセチンに曝露された血液中のTNFSF3発現を誘導したことを示す。TNFSF3受容体はいくつかの癌細
胞で発現されるため、この遺伝子の発現の増大はこれらの細胞のアポトーシスを増大し、したがってクエルセチンは、この個体に関して抗癌特性を有する食物中に含入するのに良好な候補である。白及び黒三角は、個体2からの値と同じ値を示す。図5におけるY軸値は、サイクル閾値(Ct)を示す。各記号は、50mLヘパリン化全血の三重アリコートからの平均±S.D.である。図6及び図7は、2つの個体(図6)における、並びにビタミンAのみの投与による5つのさらなる個体(図7)におけるTNFSF15の定量の結果を示す。図6から分かるように、ビタミンAはTNFSF−15のベースライン発現を低減し、そして1例(個体1)におけるHAGに及ぼす作用を排除した。図7に示した追跡調査データでは、ビタミンAは、個体1における、そして全体的には7個体のうちの2個体(両方の図の個体1)において、HAG誘導性TNFSF15発現に及ぼす阻害作用を示した。これらの個体1のような個体では、ビタミンAは、免疫系が自己免疫疾患のように不適切に活性化される症状を治療するか又は防止するに際して有用であり得る。
【0045】
上記の実施例では、血中レベルが確定されている食物サプリメントを用いた。しかしながら当該方法の他の実施形態では、天然物質の種々の自然抽出物をスクリーニングして、活性成分を同定し得る。適切なmRNA標的を選択することにより、種々の機能が取り扱われ得る。特定の症状に関する食物成分の潜在的有効性を評価するために定量するための適切なmRNAの選択は、十分に当業者の能力内である。結果は、生理学的ex vivo遺伝子発現分析が個体における食物サプリメントの効能の同定のための適切な方法である、ということを実証している。高濃度の食物サプリメントにおける負の応答は、採血時点で検査される食物サプリメントによる、白血球機能の望ましい増大又は阻害が起こり得ないだろうことを示唆し得る。この研究は特定の食物サプリメントを用いたが、しかし当該方法は、他の食物成分、例えば特定の食物に同等に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】全血のフィトヘムアグルチニン刺激後の白血球中のIL−2、IL−4及びTNF−α mRNAのレベルの測定結果を示す図である。
【図2】種々の食物成分への全血の曝露後の白血球中のCD32A mRNAのレベルの測定結果を示す図である。
【図3】種々の食物成分への全血の曝露及び放射線刺激後の白血球中のp21 mRNAのレベルの測定結果を示す図である。
【図4】種々の食物成分への全血の曝露及びフィトヘムアグルチニン刺激後の白血球中のFasリガンドmRNAのレベルの測定結果を示す図である。
【図5】種々の食物成分への全血の曝露及び熱凝集性IgG刺激後の白血球中の腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー3のmRNAのレベルの測定結果を示す図である。
【図6】種々の食物成分への全血の曝露及び熱凝集性IgG刺激後の白血球中の腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー15のmRNAのレベルの測定結果を示す図である。
【図7】種々の食物成分への全血の曝露及び熱凝集性IgG刺激後の白血球中の腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー15のmRNAのレベルの測定結果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
癌又は自己免疫疾患に対する個々の哺乳類における食物成分の潜在的有効性の評価方法であって、
哺乳類の全血を食物成分に曝露する工程、
前記曝露後に、癌又は自己免疫疾患と関連するmRNAの量を測定する工程、及び
測定結果に基づいて哺乳類における前記食物成分の潜在的有効性を同定する工程
を含み、前記mRNAの量の変化が前記食物成分の潜在的有効性と相関することを特徴とする方法。
【請求項2】
曝露されなかった全血中に存在する前記mRNAの量が測定され、曝露されなかった全血中で測定された該mRNAの量を曝露された全血中で測定された前記mRNAの量と比較することにより前記mRNAの量の変化を確定する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記曝露後、前記全血を刺激剤に曝露する工程、及び
曝露されなかった全血から得られる測定結果を、前記食物成分及び前記刺激剤への曝露後に得られる測定結果と比較することを含む前記食物成分の潜在的有効性を評価する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記刺激剤がフィトヘムアグルチニン、放射線及び熱凝集性IgGから成る群から選択される、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記mRNAの量が測定される前に前記曝露されなかった全血が対照媒体に曝露される、請求項2記載の方法。
【請求項6】
前記対照媒体がリン酸緩衝生理食塩水又はジメチルスルホキシドである、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記全血を曝露することがヘパリンの付加を含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記全血が5時間以下の間刺激される、請求項3記載の方法。
【請求項9】
前記全血が30分〜4時間刺激される、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記mRNAが、インターロイキン−2、インターロイキン−4、腫瘍壊死因子α、IgG Fc受容体、p21、Fasリガンド、腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー3及び腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー15をコードするmRNAから成る群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記食物成分が、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、エピガロカテキン没食子酸塩、g−リノール酸、ゲニステイン、クルクミン、クエルセチン、熟成ニンニク、アガリクス、プロポリス、メシマコブ、ノニ抽出物、アルコキシグリセロール及びフコイダンから成る群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項12】
ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、エピガロカテキン没食子酸塩、g−リノール酸、ゲニステイン、クルクミン、クエルセチン、熟成ニンニク、アガリクス、プロポリス、メシマコブ、ノニ抽出物、アルコキシグリセロール及びフコイダンから成る群から選択される食物成分の哺乳類における潜在的抗癌有効性の測定方法であって、
哺乳類の全血を前記食物成分に4時間以下の間曝露する工程、
前記曝露された全血及び曝露されなかった全血の血球中のIgG Fc受容体をコー
ドするmRNAの量を測定する工程、
前記曝露された全血及び前記曝露されなかった全血の血球で得られる測定結果を比較する工程、及び
比較結果に基づいて前記食物成分の潜在的抗癌有効性を同定する工程
を含み、前記mRNAの量の変化が前記食物成分の有効性と相関することを特徴とする方法。
【請求項13】
ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、エピガロカテキン没食子酸塩、g−リノール酸、ゲニステイン、クルクミン、クエルセチン、熟成ニンニク、アガリクス、プロポリス、メシマコブ、ノニ抽出物、アルコキシグリセロール及びフコイダンから成る群から選択される食物成分の哺乳類における潜在的抗癌有効性の測定方法であって、
哺乳類の全血を前記食物成分に4時間以下の間曝露する工程、
哺乳類の前記曝露された全血及び前記曝露されなかった全血を放射線で刺激する工程、
前記刺激後に、前記曝露された全血及び曝露されなかった全血の血球中のp21又はPUMA遺伝子産物をコードするmRNAの量を測定する工程、
前記曝露された全血及び前記曝露されなかった全血の血球で得られる測定結果を比較する工程、及び
前記比較結果に基づいて前記食物成分の潜在的抗癌有効性を同定する工程
を含み、前記mRNAの量の変化が前記食物成分の有効性と相関することを特徴とする方法。
【請求項14】
ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、エピガロカテキン没食子酸塩、g−リノール酸、ゲニステイン、クルクミン、クエルセチン、熟成ニンニク、アガリクス、プロポリス、メシマコブ、ノニ抽出物、アルコキシグリセロール及びフコイダンから成る群から選択される食物成分の哺乳類における潜在的抗癌有効性又は潜在的抗自己免疫疾患有効性の測定方法であって、
哺乳類の全血を前記食物成分に4時間以下の間曝露する工程、
哺乳類の前記曝露された全血及び曝露されなかった全血をフィトヘムアグルチニンで刺激する工程、
前記刺激後に、前記曝露された全血及び前記曝露されなかった全血の血球中のインターロイキン−2、インターロイキン−4、腫瘍壊死因子α及びFasリガンドから成る群から選択されるタンパク質をコードするmRNAの量を測定する工程、
前記曝露された全血及び前記曝露されなかった全血の血球で得られる測定結果を比較する工程、及び
前記比較結果に基づいて前記食物成分の潜在的抗癌有効性又は潜在的抗自己免疫疾患有効性を同定する工程
を含み、前記mRNAの量の変化が前記食物成分の有効性と相関することを特徴とする方法。
【請求項15】
ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、エピガロカテキン没食子酸塩、g−リノール酸、ゲニステイン、クルクミン、クエルセチン、熟成ニンニク、アガリクス、プロポリス、メシマコブ、ノニ抽出物、アルコキシグリセロール及びフコイダンから成る群から選択される食物成分の哺乳類における潜在的抗癌有効性又は潜在的抗自己免疫疾患有効性の測定方法であって、
哺乳類の全血を食物成分に4時間以下の間曝露する工程、
哺乳類の前記曝露された全血及び曝露されなかった全血を熱凝集性IgGで刺激する工程、
前記刺激後に、前記曝露された全血及び前記曝露されなかった全血の血球中の腫瘍壊死因子スーパーファミリー3及び腫瘍壊死因子スーパーファミリー15から成る群から選
択される遺伝子産物をコードするmRNAの量を測定する工程、
前記曝露された全血及び前記曝露されなかった全血の血球で得られる測定結果を比較する工程、及び
前記比較結果に基づいて前記食物成分の潜在的抗癌有効性又は潜在的抗自己免疫疾患有効性を同定する工程
を含み、前記mRNAの量の変化が前記食物成分の有効性と相関することを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−538930(P2008−538930A)
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−509198(P2008−509198)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【国際出願番号】PCT/US2006/016376
【国際公開番号】WO2006/116721
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(500294958)ヒタチ ケミカル リサーチ センター インコーポレイテッド (27)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】