説明

食用のコートされたコア部の製造方法及び該方法により製造されたコア部

【課題】食用のコートされたコア部の製造方法及び該方法により製造されたコア部の提供
【解決手段】本発明は、ラクチトールを用いてコートされたコア部の製造のための方法に関する。本方法は、ラクチトールをラクチトール一水和物様形態に結晶化させることにより、噛むことの出来るコア部上の結晶ラクチトールの密な、連続した、安定な、及びパリッとした感触のコーティングを製造する。本発明はまた、チューイングガム、タブレット、キャンディー、アーモンド等を含む製品のような、本方法により得られたラクチトールコートされた製品にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラクチトールを用いてコートされたコア部の製造方法に関する。本発明はとりわけ、噛むことのできるコア部上の密な、連続した、安定な、及びバリッとした感触のある結晶ラクチトールのコーティングの製造に関する。本発明はまた、チューイングガム、タブレット、キャンディー、アーモンド等を含む、本方法により得られたラクチトールでコートされた製品にも関する。
【背景技術】
【0002】
ラクチトールは、ショ糖のすべての又は一部の代替品として使用され得る甘味料である。そのエネルギー含量は、ショ糖のそれのおよそ半分でしかなく、及びラクチトールは、血中ブトウ糖含量を上昇させない。さらにその上、ラクチトールは非う蝕性であり、及びそれ故歯にやさしい。結晶ラクチトールが、ダイエット製品、糖菓、パン製品、シリアル、デザート、ジャム、飲料、チョコレート、チューイングガム及びアイスクリーム中の甘味剤として使用されている。結晶ラクチトールはまた、医薬品及び機能食品の製造においても使用され得る。
【0003】
ラクチトール並外れて、複雑な結晶挙動を有することが十分に立証された。ラクチトールは、149ないし152℃の融点範囲を有する無水物(いわゆるB又はA2)形態で結晶化することが判っている(特許文献1)。ラクチトールが、およそ124℃にて溶融するもう1つの無水物形態(いわゆるA又はA1)を有することが更に報告されている(非特許文献1)。A1無水物形態は結晶ラクチトールを乾燥させることにより製造され、及びそれは安定であると考えられていない。ラクチトールはさらに、特許文献2に記載されるように94ないし100℃の範囲にて溶融する一水和物形態に結晶化し得る。“ラクチトール一水和物”と呼ばれるが、121ないし123℃の融点を有する生成物が、特許文献3において製造されているとして報告されている。しかしながら、121ないし123℃はラクチトル一水和物の融点ではなく、A1ラクチトール無水物の融点であることが示されている。同様の条件下、前記特許文献3は、82ないし85℃の融点を有する“ラクチトール二水和物”を製造している。他方、研究者達(非特許文献2)は、真正の二水和物が70ないし72℃の融点を有することを報告している。ラクチトール三水和物が、52ないし56℃の融点範囲を有するとして特許文献4に報告されている。
【0004】
特許文献5は、ラクチトールの水性溶液から種々のラクチトール結晶形態を選択的に結晶化するために使用され得る方法を記載している。前記特許文献5において記載されるように、ラクチトールはまた、沈澱して、結晶化条件に応じて結晶様のラクチトール−水構造の無作為な構造を含む固体塊になり得る。結晶様構造のそのような無作為の混合物は一般的に、固体の幾つかが時間と共に他の固体ラクチトール形態へと変化し易いために安定ではない。
パンニングは、材料、典型的に甘味料の硬質層を用いたコア部のコーティングのための方法である。コーティング又はパンニングの従来技術は、一般的に、例えば、非特許文献3中に記載されている。パンニングのために使用される最も一般的な材料はショ糖である。しかしながら、キシリトール及びソルビトールのようなポリオールがまた、Francis Devosの著書である非特許文献4中に記載されるようにショ糖とは異なった挙動を示すにもかかわらず、コーティング材として示唆されている。
多くの参照文献がまた、ラクチトールがパンニングのためショ糖の代わりに他のポリオールと同様に使用され得ると言及している。そのような参照文献は、Wrigley JRに譲渡され、またコーティング中にラクチトールを与えるために用いられ得る広い範囲の任意の条件を開示している多くの特許を含む。そのような特許は、特許文献6;特許文
献7;特許文献8;特許文献9;特許文献10;特許文献11;特許文献12等を含む。前記特許は、コーティングの真正の特性を開示していないだけでなく、与えられたコーティングのいずれの安定性データも有していない。ラクチトール結晶化挙動の複雑さを考慮すると、前記特許が、当業者が良質な安定性のラクチトールコーティングを確実に与えるために必要とされる具体的な条件を選択することを可能にするとは信じられない。
【0005】
プラック ビオヘム(Purac Biochem)社は、その上記特許文献3に従って製造された“ラクチトール一水和物”としてラクチトールを最初に商品化した。1990年代初めに、プラック ビオヘム社は、25℃におけるラクチトール溶液及び20ないし25℃における乾燥空気を用いた乾燥を用いた核の硬質パンニングにおけるラクチトールの使用を記載している、“LACTY HARD PANNING”(日付なし)と呼ばれる印刷物を出版した。コートされた核は、25℃未満の温度にて少なくとも12時間保管されるべきである。該出版物は、硬質パンニングにおけるコーティングとしてのラクチトールの商業的使用を導いておらず、及びその手順を繰り返すことの試みは低品質の不安定なコーティングを生じた。溶液の低温及び高濃度が、コア部上にラクチトールを二水和物様形態にて結晶化させる、ラクチトール二水和物核を溶液中に形成させると信じられる。
特許文献13は、コーティング手順のコーティングサイクル中でポリオールシロップ及びポリオール粉体を噴霧することによりより少ない段階にてポリオールコーティングを製造するための方法を開示している。ラクチトールがコーティングのために示唆されているが、ラクチトールの使用についての実施例はない。
特許文献14は、主としてラクチトールから成る硬質コートされた生成物を記載している。低吸湿性のコーティングは、45ないし85質量%のラクチトールシロップを60℃以下の温度にてコア部上に直接に適用することにより製造されると言われている。噴霧されたコア部は70℃以下の空気を用いて乾燥される。多くの試験が、二水和物様結晶化が好ましいと考えられた条件下に行われている。生成物の安定性は試験されていない。
【特許文献1】米国特許第5,494,525号明細書
【非特許文献1】K.Yajima,Chem.Pharm.Bull.45(10)1677−1682(1997)
【特許文献2】欧州特許第456636号明細書
【特許文献3】欧州特許第39981号明細書
【非特許文献2】J.Kivikoski他.,Carbohydrate Research,233(1992),53−59
【特許文献4】欧州特許第381483号明細書
【特許文献5】米国特許第6,402,227号
【非特許文献3】Manufacturing Confectioner,1995年2月,第51頁ないし第57頁中のRichard W.Hartel博士による文献“Crystallisation and drying during hard panning”
【非特許文献4】Manufacturing Confectioner,1980年11月、第26頁ないし第32頁、Coating with sorbitol.A Comparison of properties of sorbitol−mannitol,other polyols and sugars
【特許文献6】米国特許第5,376,389号明細書
【特許文献7】米国特許第5,665,406号明細書
【特許文献8】米国特許第5,952,019号明細書
【特許文献9】欧州特許第719092号明細書
【特許文献10】欧州特許第746208号明細書
【特許文献11】国際公開第95/07621号パンフレット
【特許文献12】国際公開第95/07622号パンフレット
【特許文献13】米国特許第5,571,547号明細書
【特許文献14】特開平4−281748号公報
【発明の開示】
【0006】
本方法は、円滑な、密な及び安定なラクチトールコーティングを再現可能に得るために、標準的な硬質パンニング手順に関する手順を制御することに基づいている。そのような標準的な手順は、コートされる〔噛むことのできる〕コア部をコーティング用パン又はドラムの導入する段階;パン又はドラム中のコア部を回転させる段階;コア部の回転ベッドに対して溶解されたラクチトールを含むシロップを噴霧する段階;コア部上の薄層としてラクチトールを結晶化させるために空気流を用いて噴霧されたコア部を乾燥する段階;及び所望の厚さのラクチトールコーティングがコア部上に得られるまで上記の回転させる段階、噴霧する段階及び乾燥する段階を繰り返す段階を含む。
上で言及したように、多くの異なった純粋なラクチトール結晶形態が存在し、及びラクチトールはまた、種々のラクチトール−水構造の無作為な混合物に沈澱し得る。硬質パンニングのために使用される他のポリオールのどれもそのような複雑な結晶化挙動を有していない。従来技術文献のいずれも、ラクチトール結晶の何れか一定の形態を与えるために採用されるいかなる具体的な手段も示唆していない。ラクチトール結晶化の複雑さは、ラクチトールがコーティング材として予期できないと考えられる理由、及びラクチトールがこれまでコーティング材として商業的に利用される段階に到達しない理由の1つと考えられている。
慣用のパンニング手順の間に形成し得る種々の固体形態のラクチトールは、異なった特性、異なった安定性及び異なった吸湿性を有する。良好なコーティングは、円滑で、密で、及び安定であるべきである。それは、パリッとした感触及びバリッとした感触を持続するために非常に低吸湿性であるべきであり、及びそれは保管の間に水分又は化合物の移行により劣化してはならない。
従来方法を試験する場合に製造されたラクチトールコーティングは一般的に低品質である。とりわけ保管における一定の粒状性に関する問題がある。コーティングは多孔質であり、及び結晶はコーティングの目的のためには大き過ぎる。ヒトの口は非常に感受性があり、及び結晶の寸法がおよそ20μm又はそれより大きい場合には個々の結晶を感じ得る。
コーティングの幾つかは、パンニングの直後には良好に見えたが、保管において劣化したために、いかなる初期のパリッとした感触も消失し、及びざらついたものとなった。このことは、甘味料がラクチトール以外であるコーティングにとってとりわけ真実である。時々、層は、保管の間に結晶の成長によりざらつくか又は砂のようになった。
結晶化が二水和物及び無水物ラクチトール形態よりもむしろラクチトール一水和物様結晶の形成に有利であるようにパンニングの条件が設定された場合に、コーティングは円滑で、密で、及び安定となることが今や見出された。ラクチトール一水和物様結晶は、それが最初にラクチトール一水和物様形態に結晶化された場合に、驚くべきことに安定となり、及び保管の間に劣化しない。非ラクチトール化合物のいかなる移行も、コア部上の保護層により防止されることもまた見出された。
【0007】
本発明は、参照によりここに組込まれた添付の請求項において定義されている。
本発明は、ラクチトールの硬質パンニングにおける改良に関し、ラクチトールは、ラクチトール一水和物様形態に結晶化され、並びに結晶ラクチトールの円滑な、密な、連続した及び安定なコーティングを与えるために、及び保管におけるコーティングの劣化を防止するために、前記一水和物様形態を保持される。
本発明はまた、本方法により得られた製品、すなわち、ラクチトールの硬質コーティングを用いてコートされたコア部にも関し、前記ラクチトールコーティングは、コーティングの安定性を与えるために、及び保管におけるコーティングの劣化を防止するために、コーティングプロセスの間にラクチトール一水和物様形態に結晶化された結晶ラクチトール
の円滑な、及び密な連続層から成っている。コア部は、チューイングガム、タブレット、キャンディー等のようなコア部であり得る。好ましいコア部はチューイングガム芯である。
【0008】
本発明は、以下に詳細に記載され、及び添付された図面により例示される:
図1ないし3は、ラクチトールコーティングのDSCダイアグラムを示す。
図4ないし6は、ラクチトールを用いてコートされた製品の100倍で撮影されたSEM写真を示す。及び
図7は、ラクチトールを用いてコートされた製品の1000倍で撮影されたSEM写真を示す。
【0009】
本明細書及び請求項において使用される用語“純粋なラクチトール一水和物”又は“真正のラクチトール一水和物”は、融点範囲94ないし100℃を有し、及び上述された特許文献2において定義されるとおりのセル単位定数(cell unit constants)を有するラクチトール一水和物を意味するものとする。それはおよそ5%の水を含み、及び10℃/分にて示差走査熱量測定(DSC)により測定されたおよそ100℃における単一の狭いピークを有する(H.Halttunen他,Thermochimica Acta,380(2001)55ないし65頁)。
本明細書及び請求項に単独で使用される場合の用語“ラクチトール一水和物”は、ラクチトール一水和物を含み、かつ上記の特許文献2の純粋なラクチトール一水和物の厳密な基準のすべてを満たすか否かに関らず、その表題の下で商業上提供される結晶ラクチトール化合物を表す。
本明細書及び請求項において使用される用語“ラクチトール一水和物様”形態又は結晶及び“一水和物様ラクチトール”は、幾つかの特性において純粋なラクチトール一水和物に類似するが、一般的に純粋なラクチトール一水和物ではない結晶化されたラクチトールを意味するものとする。用語ラクチトール一水和物に“類似する”とは、結晶塊が、構造が純粋なラクチトール一水和物の構造と同一ではないラクチトール、水及び他の成分の構造を含み得るとしても、これらの構造が、ラクチトールの他の既知の結晶形態のいずれに類似するよりもラクチトール一水和物に類似することを示す。一水和物様ラクチトールは特に、10℃/分において測定された、純粋なラクチトール一水和物と実質的に同様の位置(100℃付近)においてDSC図中の1つの有意なピークを有する点で、純粋なラクチトール一水和物に類似している。一水和物様ラクチトールは特に、二水和物を示す位置(75ないし85℃)において、DSC図におけるいずれのピークも欠いている。無水A1ラクチトールの存在を示すいずれのDSCピークも、一水和物を示す有意なピークと比較して小さくあるべきである。大部分の安定なコーティングは、A1無水物範囲において注目され得るピークを全く有しないことが判っている。このように、一水和物様ラクチトールは、ラクチトール二水和物及び/又は無水A1ラクチトールを、5質量%未満、好ましくは2質量%未満、最も好ましくは1質量%未満含む。
【0010】
DSCによるラクチトール結晶に対する測定は、測定がどのように行われたかにより、僅かに異なった結果を与え易いことに注意されるべきである。このように、ピークの正確な位置は、測定速度、温度範囲、試料の量、試料の前処理、カップ(開口又は密閉)等のような要因による。さらにその上、無水形態の量は、試料の乾燥に応じて、それ自体の測定の間に増加し得る。しかしながら、DSCは、いまだに、試料の特性の非常に良好な表示を与える。
一水和物様ラクチトールは、純粋なラクチトール一水和物の水分含量(5%)とは異なった水分含量を有し得る。一定量(例えば1ないし5%)の遊離水を含むのがポリオールコーティングの典型的な特性であり、及びこのことはまた、本一水和物様ラクチトールから成るコーティングに対しても真実である。5.5ないし8.5%の水分を有するコーティングは、本発明に従って製造された場合に、安定となることが判った。遊離水は、結晶
水としてラクチトール二水和物中に含まれる水分と混同されるべきではない。しかしながら、余分な水分の一部は、コーティングの部分として含まれる非晶質ラクチトール中に含まれ得る。
本発明の一水和物様ラクチトールは、純粋なラクチトール一水和物の乾燥挙動と類似した乾燥挙動を有する。言い換えると、それは、130℃にて数時間乾燥された場合に、その水分の実質的にすべてを遊離する。このことは、上記特許文献3において得られる、130℃にて3日間乾燥された場合でもその水分の僅か2%しか遊離しない“ラクチトール一水和物”結晶とは対照的である。
【0011】
一水和物様ラクチトールは、ソルビトール及びキシリトールのような他のポリオールを実質的に含まないべきである。このように、ラクチトール一水和物様コーティングは、そのような他のポリオールを1%未満、好ましくは0.5%未満及び最も好ましくは0.2%未満含むべきである。しかしながら、一水和物様ラクチトールコーティングは好ましくは、有意な一水和物ピークを与える構造を歪めるような方法において結晶構造を妨害しない限り、結晶化改変剤、強甘味料、顔料等のような他の成分を含む。一水和物様ラクチトールのエンタルピー(DSCにより測定される)は、層中に含まれる他の成分の量及び種類による。しかしながら、エンタルピーは一般的に、純粋なラクチトール一水和物のエンタルピーよりもずっと下である。
【0012】
本明細書及び請求項において使用される用語“円滑な”コーティングとは、コア部上に視覚的に均一のシートを形成し、及びザラザラ感又は粗さのない素晴らしい口当たりを有するラクチトールコーティングを表す。
本明細書及び請求項において使用される用語“密な”コーティングとは、非孔質であり、及び一緒に堅く付着した微小結晶の密な塊を形成するラクチトールコーティングを表す。結晶は、20μm未満及び好ましくは5μm未満の平均粒径を有する。
本明細書及び請求項において使用される用語“連続した”コーティングとは、パンニング手順において形成される結晶がとても堅く一緒に結合しているため、結晶が、100倍にて見た場合においてさえも結晶の塊よりもむしろ連続した相を形成しているように見えるところのラクチトールコーティングを表す。
本明細書及び請求項において使用される用語“安定な”コーティングとは、製品の通常の寿命の間、そのラクチトール一水和物様特性及びその外面の特性を保持するラクチトールコーティングを示す。
本明細書及び請求項において使用される用語“パリッ”とした及び“バリッ”としたコーティングとは、硬く、しかしそれでもコートされた製品が噛まれたときに破れたときにもろい口当たりを有するラクチトールコーティングを示す。
【0013】
本発明の1つの局面において、シロップ中のラクチトールは、結晶化改変剤を噴霧の前にシロップに与えることにより一水和物様形態に結晶化される。結晶化改変剤は、ラクチトールの結晶化を遅延させ、及びコア部上に均等に広がるようにさせ、及び下層に存在するラクチトール一水和物種結晶と接触するために添加される。結晶化が早過ぎる場合、ラクチトールは、不純な結晶構造、大きすぎる単一の結晶、層中に閉じ込められた液体等を生じ得る非制御の状態で結晶化され得る。結晶化改変剤はまた、コア部に対して溶液を広げるのを助けるフィルム形成特性をも有し得る。
結晶化改変剤は、一水和物様ラクチトールの構造を妨害するような方法で結晶の形成に干渉してはならない。好ましい結晶化改変剤は、アラビアガム、テアラ(thala)ガム及びゼラチンである。他の許容可能な改変剤は、グアーガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、ジェランガムのような他のガム類、並びにアルギン酸塩、カラギーナン、ペクチン又はセルロース(CMC、HPMC、HEC)等である。
結晶化改変剤は一般的に、シロップの質量に対して計算されたおよそ1ないし10%、好ましくは2ないし5%の量でシロップに添加される。ラクチトールの初期の層は、初期
の結晶化が正確であることを確認するために、及びコア部中の有害成分との相互作用を低減するために、およそ20%までのより高い改変剤含量を用いて製造され得る。シロップはまた、香料、顔料、特別な甘味料、活性成分等のような他の添加剤をも含み得る。添加剤は、結晶化プロセスに悪影響を与えないように選択されるべきである。良好な結果が、コーティング溶液中に顔料として二酸化チタンを、及び強甘味料としてアスパルテーム及びアセスルファムKを用いて得られる。
【0014】
本発明のもう1つの局面において、パンニングにおいて形成される一水和物様ラクチトールは、コーティングを劣化させる化合物のコア部からコーティングへの移行を防止することにより一水和物様形態に保持される。コア部が、糖又は他のポリオールのような、ラクチトール以外の他の甘味料を含む場合に、そのような化合物のコア部からコーティングへの移行によってコーティングが劣化することが判った。一水和物様ラクチトールは、安定であるために他の糖及びポリオールが本質的にないべきである。
移行の大部分は、パンニングそれ自体の間に生じるようである。そのような場合において、見かけは良好な品質のコーティングさえも、結晶構造において不純であり、及びコーティングは経時的に劣化するであろう。このことは、コア部がキシリトール又はソルビトールのようなもう1つのポリオールを含む場合に、とりわけそうであると判った。これらポリオールがラクチトールコーティングを劣化させるという事実は、従来技術において示唆された二重ポリオールコーティングが安定でありそうにないことを示している。
グリセリンのような、コア部の幾つかの成分は、初期のコーティングが適切な一水和物様形態に結晶化されるにもかかわらず、コア部から移行し得る。そのような化合物は、経時的にラクチトール一水和物様層を劣化させ得る。
ラクチトール一水和物様層を劣化から保護するために、そのような移行は、本発明に従い、ラクチトールコーティングに先立って保護層を用いてコア部を下塗することにより防止される。下塗は、コーティングシロップ中に適用された水分がコア部からのポリオール等を溶解することを防止するために、コア部上に水分バリアーを作るべきである。下塗は好ましくは、ラクチトールの噴霧を開始するに先立ってパン又はドラム中で行われる。
下塗のために好ましい保護化合物は、アラビアガム、ゼラチン及びセラックを含む。結晶化改変剤として上記示唆された化合物がまた、下塗のために使用され得る。付加的にカカオ脂のような脂肪が特定の用途において使用され得る。下塗材料の量は、使用される各々の材料により変化する。好ましい化合物である、アラビアガムが保護層として使用される場合、アラビアガム溶液の適する濃度は溶液の30ないし50質量%である。
【0015】
結晶化を制御するために、及び結晶構造がラクチトール一水和物様形態へと調節されることを確実とするために、下塗されたコア部は好ましくは、コア部上へ前記ラクチトールシロップを噴霧する前に、ラクチトール一水和物を含む粉体が散布される。粉体は好ましくは、純粋なラクチトール一水和物を粉砕することにより得られた種結晶から成る。下塗されたコア部はまた、保護コーティングが乾燥する前にかなり粘着性となる傾向にもあり、そこで粉体はまた、コア部が一緒に粘着することを防止するのを補助する。コーティングはその後、ラクチトールシロップがコア部に噴霧される前に乾燥される。コア部の粘着は、下塗が適用されない場合においてもまた生じ得、そこで噴霧されたコア部への散布が粘着を低減させるために行われ得る。散布材料は好ましくはラクチトール一水和物を含む。
チューイングガム芯のようなコア部の甘味料がラクチトール一水和物である場合、このラクチトール一水和物が本質的にガム芯中で損なわれずに残存し、及びそれがコア部に噴霧されたラクチトールの第一の層の結晶化のための鋳型として作用するため、コア部の下塗は必要ない。コア部中のラクチトール一水和物は好ましくは、結晶化を制御するために純粋なラクチトール一水和物を含む。
【0016】
ラクチトールシロップの温度は、溶液の高温が結晶化をラクチトール一水和物様形態へ
と導き、及び低温にて優先的に結晶化する二水和物から遠ざけるために、かなり高くあるべきである。ラクチトールが水性溶液から結晶化する場合、ラクチトール一水和物生成のための理想的な温度は、上述された特許文献5において開示されるとおりの53ないし69℃である。しかしながら、本結晶化は、パンニングプロセスにおいて水分のすべてが蒸発し、シロップ中に含まれるラクチトール及び他の成分のすべてが固体層を形成する点において、そのような結晶化とは異なっている。水性溶液中における結晶化においては、水分が残存し、及び純粋なラクチトール結晶が溶液から凝固する。パンニングプロセスにおいて、結晶化溶液を一定の結晶化条件の下に維持することはより困難である。それ故、種結晶の質及び各々の初期コーティング層の質がパンニングプロセスにおいて最も重要なものである。
ラクチトールシロップの温度は、ラクチトールを一水和物様形態に結晶化させるために、好ましくは50ないし70℃、より好ましくは53ないし65℃、最も好ましくは55ないし60℃に調節されるべきであることが判った。しかしながら、コートされるコア部を害しないように十分に低温に維持するよう注意されるべきである。初期の層は、コア部に均等にコートするのに丁度十分な溶液を用いて噴霧されるべきである。コーティングが堆積するにつれ、シロップの添加を僅かに増加させ得る。最終的な数回の噴霧添加は、円滑なコーティングを与えるために再度低減されるべきである。
各々の噴霧されたラクチトールシロップの層は、乾燥空気流を用いて乾燥される。乾燥空気の温度は、乾燥を促進するように、及びラクチトールを一水和物様形態に結晶化させるように選択されるべきである。あまりに高温が使用されると、蒸発があまりに早くなり、及びラクチトール−水構造の無作為な混合物への所望でない沈澱、又は不安定な無水A1形態への乾燥の危険性が増加する。乾燥空気の温度は、熱いラクチトールシロップを一水和物様形態に結晶化させるために、20ないし50℃、好ましくは25ないし40℃、最も好ましくはおよそ25℃に調節されるべきである。
結晶化が、該結晶化を一水和物形態へと導く固体層上で進行する場合、乾燥は相対湿度RH50%未満を有する空気を用いて乾燥することにより速度上昇され得る。幾つかの例においては、乾燥空気の相対湿度は更に低くてもよい。
【0017】
シロップ中のラクチトールの濃度もまた、結晶化プロセスにも影響する。ラクチトールシロップのラクチトール濃度が、良質のラクチトール一水和物様コーティングを与えるために、シロップの質量に基づき計算された、好ましくは、55ないし70%、好ましくは60ないし65%であるべきなのが判った。濃度は55%未満となるべきではない。
好ましい局面においては、本発明は、ラクチトール及び結晶化改変剤のシロップがコア部のベッドに対して断続的に噴霧され、及びコア部が空気流を用いて噴霧の間に乾燥されるところの、パン中での噛むことの出来るコア部の硬質パンニングのための方法に関する。パンニングプロセスは、ラクチトールがラクチトール一水和物様形態に結晶化されるように制御される。
好ましい方法は、以下の段階:
−甘味料としてラクチトール一水和物又はショ糖、キシリトール又はソルビトールのような別の甘味料のどちらかを含む噛むことの出来るコア部を与える段階;
−前記コア部をコーティング用パン又はドラムに導入し、及び前記パン又はドラム中で回転させる段階;
−前記甘味料がラクチトール一水和物でない場合、水性アラビアガムを用いて前記コア部を下塗し、及び純粋なラクチトール一水和物を粉砕することにより得られた粉体を、前記下塗されたコア部上に添加する段階;
−乾燥空気流を用いて前記下塗層を乾燥する段階;
−50ないし70℃の温度にて、溶解されたラクチトール及びアラビアガムを含むシロップをコア部の回転ベッドに対して噴霧する段階;
−前記コア部上のラクチトール一水和物様コーティングの薄層として前記ラクチトールを結晶化させるために、20ないし50℃の温度を有する乾燥空気流を用いて、前記噴霧さ
れたコア部を乾燥させる段階;及び
−所望の厚さの円滑な及び密な連続した、及び非劣化のラクチトール一水和物様コーティングが前記コア部上に得られるまで、上記の噴霧段階及び乾燥段階を繰り返す段階;
からなるものとして記載され得る。
パンニングされたコア部は、必要があれば、包装前にいすれかの慣用の方法において貯蔵タンク中で調合し、及び艶出しされ得る。
【0018】
以下の例は、本発明に従うコーティングを例示する。
【実施例】
【0019】
例1(従来技術)
甘味料としてラクチトールを含むチューイングガムコア部のバッチを、プラック ビオヘムによる“ラクティ(LACTY)(登録商標) Hard Panning”小冊子中に記載された手順に従って、実験室内でコートした。コア部を回転パン中に置き、及び40質量%のアラビアガム溶液をコア部上に噴霧した。粘着性を低減させるために、噴霧されたコア部に、ラクチトール一水和物結晶を粉砕することにより得られた粉体を散布した。コア部を、トレー中で室温にて一晩乾燥した。
乾燥された下塗されたコア部に、25℃の温度を有する60ないし62%ラクチトール溶液をパン中で噴霧した。コア部をその後、25℃の温度を有する空気を用いてパン中で乾燥した。噴霧と乾燥の順を、35%の質量増加が得られるまで繰り返した。コートされたコア部を、分析前に20℃にて12時間、乾燥空気中に保管した。
コーティングは最初に比較的円滑に見えたが、同条件に放置した場合、やがて劣化し、そして非常に不均一となった。使用された低温が、ラクチトールの少なくとも実質的な部分を二水和物様形態に結晶化させたようである。低温と結晶化制御の欠如の組合せが、急速な及び非制御な結晶形成を生じたようである。生じたコーティングは不均質であり、そして良質のコーティングにおいて見られるパリッとした感触を欠いていた。
本試験を、噴霧のために70%ラクチトールシロップを用いてスケールアップして繰り返した。しかしながら、コーティング仕上げは非常に不規則であり、及びコーティング手順が目標とする程には円滑ではなかった。製品はバリッとした感触に欠け、及び許容し得るコーティングを形成しなかった。
【0020】
例2ないし4(下塗なしのコーティング)
チューイングガムコア部の3つのバッチを、標準的なコーティング法に従いコートした。
溶液の質量%
粉砕したラクチトール 65.0
(ダニスコ スイートナーズ
(Danisco Sweetners))
水 30.35
アラビアガム(50%溶液) 4.0
二酸化チタン 0.5
アスパルテーム 0.1
アセスルファムK 0.05
を含む混合物を、成分を溶解するために加熱した。シロップを、回転パン中でコア部に噴霧するために60℃にて使用した。コア部1kgあたりコーティングシロップおよそ15ないし20mLを1度に適用し、そしてコア部に対して平坦に広げた。最初の数回の噴霧において、純粋なラクチトール一水和物を粉砕することにより得られた粉体を、コア部の粘着性を低減するために、噴霧されたコア部に対して散布した。コア部をその後、およそ25℃の温度及びおよそ50%の相対湿度を有する乾燥空気を用いて乾燥した。およそ50%の質量増加が得られるまで、噴霧する段階及び乾燥する段階を繰り返した。最後の数
回のシロップの適用におけるシロップの量を、より円滑なコーティングを与えるために僅かに低減した。
コア部は、以下の甘味料:
例2 キシリトール
例3 キシリトール:ラクチトール
例4 ラクチトール一水和物
を含んでいた。
分析のために、各々のバッチの10のペレットを鋭利なナイフを用いて削って、コーティングを剥離した。コーティングをHPLC及びDSCにより解析した。解析結果を表1に示す。パーセンテージは乾燥物ベース(DS)で計算した。コーティングの結晶形態を走査型電子顕微鏡(SEM)により解析した。

表1 解析結果

解析 例2 例3 例4
コア部
DSでのラクチトール% 0.96 25.64 46.03
DSでのキシリトール% 31.68 21.1 0.63
コーティング
DSでのラクチトール% 85.71 90.34 92.34
DSでのキシリトール% 7.13 4.75 0.17
DSC 図1 図2 図3
ピーク℃ 96.9 100.4 99.7
開始℃ 84.7 93.8 91.5
エンタルピー,J/g 75.4 83.8 85.7

解析結果は、例2及び3において、幾分かのキシリトールが芯からコーティングへと漏れ出したことを示している。例4のコーティングは、コーティング中に有意な量のキシリトールを有していない。すべての3つのコーティングは、最初は良好な仕上げ及び良好なバリッとした感触を有するように見えた。しかしながら、例2及び3のコーティングは経時的に劣化した。およそ1週間後、例2のコーティングは殆ど剥離した。それは粒状で、及び円滑ではなかった。例3のコーティングは例2のコーティングよりも僅かに改良されていたが、それもまたおよそ2週間で劣化した。
例4のコーティングは円滑且つ密であり続け、及び層は連続的で及びバリッとした感触があった。例4の製品は良質なラクチトールコーティングを有していた。このことは、キシリトールが明らかに例2及び3のコーティング中へと移行した一方で、コーティング中にキシリトール混入の無いことによるものと信じられる。
【0021】
図1は、例2のDSCダイアグラムを示す。ダイアグラムは、およそ45℃から始まる長いスロープを有するかなり広いピークを示している。コーティングの主要成分は一水和物形態にあるが、コーティング中に移行したキシリトールが結晶化を妨害し、そして結晶構造が安定ではないことが明白である。
図2は、例3のDSCダイアグラムを示す。ダイアグラムは狭いピークを示しているが、およそ60℃から始まる決定された“フット(foot)”は、ラクチトール二水和物の存在を示している。コーティングの主要な成分は一水和物様形態にあるが、コーティング中に移行したキシリトールは結晶化を妨害し、及び結晶構造が不安定である。ある非晶質材がSEM写真中に見られ得ることに注目されるべきである。非晶質材はDSCダイアグラムにおいて示されていない。
図3は、例4のDSCダイアグラムを示している。ダイアグラムは、狭いスロープを有する狭いピークを示している。コーティングの主要な成分は、一水和物様形態にあること
が明らかである。52.1℃において示されるピークは、シロップの他の成分の一つにより引き起こされ得る。
149ないし150℃において溶融する無水ラクチトールA2の痕跡が、すべての3つのDSCダイアグラム中に認められ得る。A1形態とは対照的にA2形態はかなり安定であり、少量の無水A2がコーティングを不安定としているようには見えない。
100倍における3つのコーティングのSEM写真を図4ないし6に示す。
図4は、例2に従う粉砕したチューイングガムコア部のコーティングの全体写真を示す。コーティング層は、構造中に空気孔を示している。より小さな結晶がコーティングとコア部の境界において見られる一方で、コーティング層は、コーティングの表面上に大きな結晶を含んでいる。
図5は、例3に従う粉砕したチューイングガムコア部のコーティングの全体写真を示している。コーティング層は、構造中に空気孔を示している。小さな結晶がコーティングとコア部の間の境界層において見られる一方で、コーティング層は、コーティングの表面上の非晶質構造のように見える。
図6は、例4に従う粉砕したチューイングガムコア部のコーティングの全体写真を示している。コーティング層は密な構造を示している。コーティング層は円滑であるように見える。結晶の粒径は小さく、及び層全体にわたり均一である。コーティングとコア部の間の境界層は、不規則な寸法及び形状の結晶を含んでいる。
【0022】
例5(下塗を有するコーティング)
例3の手順を、キシリトールにより甘味化したコア部を、コア部に対して50質量%水性溶液として噴霧したアラビアガムの保護層により下塗し、そしてその後純粋なラクチトール一水和物(ラクチトール モノハイドレート(Lactitol Monohydrate),ダニスコ スイートナーズ)を50μmの平均粒径まで粉砕することにより得られたラクチトール一水和物種を散布したことを除いて繰り返した。
下塗された及び散布されたコア部をパン中で乾燥し、そしてその後、例2ないし4において適用したと同様のシロップを用いてコートした。シロップの温度は60℃であった。
得られたコーティングは円滑で及びバリッとした感触があった。粉砕したペレットは、一緒に堅く付着した非常に小さな結晶を有する、連続した、及び密なコーティングを示していた。層は保管において安定であった。
【0023】
例6(ラクチトールコア部のコーティング)
顆粒化したラクチトール(フィンラックDCタブレッツ(Finlac DC tablets),ダニスコ スイートナーズ)を直接的に圧縮することにより製造したラクチトールタブレットのバッチを、65%ラクチトール一水和物及び2%アラビアガムを含むラクチトールシロップを用いてコートした。タブレットを例2ないし4に記載されたとおりにコートした。ラクチトールシロップの温度は60℃であった。乾燥空気温度は40℃であった。
コーティングは円滑で、バリッとした感触があり、及び密であった。コーティングは保管においてよく維持され、及びコーティングの劣化は観察されなかった。
1000倍におけるコーティング(図7)のSEM写真は、結晶が一般的に非常に小さく(10μm又はそれ以下)、及び層は非孔質であり、及び連続していることを示している。SEM写真はまた、タブレットコア部のより大きなラクチトール結晶をも示している。
【0024】
例7(DSCによる測定)
純粋なラクチトール一水和物(ダニスコ スイートナーズ)9.8g及びアラビアガム0.8gを計量し、合せ、混合し、及び乳鉢中で少し粉砕した。混合物の熱挙動を、示差走査熱量測定(DSC)を用いて解析した。
同一の試料9.4mgを、ピン付きの40マイクロリッターのアルミニウムるつぼ(M
E−27331)に入れた。るつぼの蓋はシールしなかった。参照として、蓋を有する清浄なるつぼを用いた。操作条件は、加熱速度10℃/分にて40℃から190℃までであった。開始は93.2℃であり、ピーク温度は103.6℃であり、及びピークエンタルピーは163J/gであった。使用したDSCはメトラー(Mettler)FP84熱段階鏡検セル付きのメトラー FP90セントラルプロセッサーであった。データをメトラー FP99システムソフトウェアを用いて計算した。
DSC操作の結果は、アラビアガムがラクチトール一水和物のピークの位置を相当に変えることはないことを示している。
【0025】
本発明は、特定の例により上に例示された。しかしながら、保管において安定である、円滑な、密な,及び連続したラクチトール一水和物様層を得るために、当業者が他の方法においてまた本発明の特徴を組合せ得ることは明らかである。このように、本発明により、当業者は、食用のコア部上の良質なコーティングとしてラクチトールを適用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、例2のコーティングのDSCダイアグラムを示す。
【図2】図2は、例3のコーティングのDSCダイアグラムを示す。
【図3】図3は、例2のコーティングのDSCダイアグラムを示す。
【図4】図4は、例2のコーティングの100倍で撮影されたSEM写真を示す。
【図5】図5は、例3のコーティングの100倍で撮影されたSEM写真を示す。
【図6】図6は、例4のコーティングの100倍で撮影されたSEM写真を示す。
【図7】図7は、ラクチトールを用いてコートされた製品の1000倍で撮影されたSEM写真を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コートされるコア部をコート用パン又はドラムに導入する段階;前記パン又はドラム中の前記コア部を回転させる段階;コア部の回転ベッドに対して、溶解したラクチトールを含むシロップを噴霧する段階;前記コア部上の薄層として前記ラクチトールを結晶化させるために、空気流を用いて前記噴霧されたコア部を乾燥させる段階;及び所望の厚さのラクチトールコーティングが得られるまで上記の回転段階、噴霧段階及び乾燥段階を繰り返す段階;から成る食用のコートされたコア部の製造方法であって、
前記ラクチトールをラクチトール一水和物様形態に結晶化させ、及び結晶ラクチトールの円滑な、密な、連続した、及び安定なコーティングを与えるために、及び保管における前記コーティングの劣化を防止するために、前記ラクチトールにその一水和物様形態を保持させることを特徴とする製造方法。
【請求項2】
前記ラクチトールを、前記一水和物様形態に結晶化させ、及び前記一水和物様形態を、噴霧されたコア部中にラクチトール一水和物を与えることにより保持させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コア部中の前記ラクチトール一水和物は、コア部材料それ自体中のラクチトール一水和物により与えられる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記コア部中の前記ラクチトール一水和物は、結晶化を制御するための純粋なラクチトール一水和物を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
噴霧の前に結晶化改変剤を前記ラクチトールシロップに与えることにより前記ラクチトールを一水和物様形態に結晶化させる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記結晶化改変剤は、アラビアガム、テアラ(thala)ガム及びゼラチンから選択される請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記結晶化改変剤は、前記シロップの質量に基づき計算された、およそ1ないし10%、好ましくは2ないし5%の量で添加される請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記コア部から前記コーティング中へのコーティングを劣化させる化合物の移行を防止するか又は有意に低減させることにより、前記一水和物様ラクチトールをその一水和物様形態に保持させる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記劣化させる化合物は、糖、ラクチトール以外のポリオール、他の甘味料、及び/又はグリセリンのようなコア部の他の移行成分から選択される請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記他のポリオールは、キシリトール及びソルビトールから選択され、及びコーティング中のキシリトール又はソルビトールの含量は、1%未満、好ましくは0.5%未満、最も好ましくは0.2%未満に維持される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記移行は、ラクチトールのコーティングに先立って、保護層を用いて前記コア部を下塗することにより防止されるか又は低減される、請求項8、9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記下塗は、アラビアガム、ゼラチン及びセラックから選択される化合物を用いて行われる請求項11に記載の方法。
【請求項13】
純粋なラクチトール一水和物を粉砕することにより得られた種結晶から成る粉体が、前記
下塗されたコア部に添加される、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記シロップの温度を50ないし70℃、好ましくは53ないし65℃、最も好ましくは55ないし60℃の間に調節することにより、前記ラクチトールを一水和物様形態に結晶化させる、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
乾燥空気の温度を20ないし50℃、好ましくは25ないし40℃に調節することにより、前記ラクチトールを一水和物様形態に結晶化させる、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
乾燥空気の相対湿度をRH50%未満まで調節することにより、前記ラクチトールを前記一水和物様形態に結晶化させる、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記ラクチトールシロップのラクチトール濃度は、前記シロップの質量に基づき計算された、55ないし70%、好ましくは60ないし65%である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記ラクチトールシロップは、香料、顔料、特別の甘味料、活性成分等から選択される他の添加剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記シロップは、二酸化チタン、アスパルテーム及びアセスルファムK又はそれらの混合物から選択される添加剤を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
a)ラクチトール以外の別の甘味料を含む食用のコア部を与える段階;
b)前記コア部をコーティング用パン又はドラムに導入する段階;
c)前記コア部を前記パン又はドラム中で回転させる段階;
d)水溶性アラビアガムを用いて前記コア部を下塗する段階;
e)純粋なラクチトール一水和物を粉砕することにより得られた粉体を、前記下塗されたコア部上に添加する段階;
f)乾燥空気流を用いて前記下塗層を乾燥する段階;
g)50ないし70℃の温度にて、溶解されたラクチトール及びアラビアガムを含むシロップをコア部の回転ベッドに対して噴霧する段階;
h)前記コア部上のラクチトール一水和物様コーティングの薄層として前記ラクチトールを結晶化させるために、20ないし50℃の温度を有する乾燥空気流を用いて、前記噴霧されたコア部を乾燥させる段階;及び
i)所望の厚さの、安定な及び非劣化の一水和物様ラクチトールの円滑な及び密な連続したコーティングが前記コア部上に得られるまで、上記g)段階ないしh)段階を繰り返す段階;
から成る請求項1に記載の方法。
【請求項21】
ラクチトールの硬質コーティングを用いてコートされた食用のコア部であって、前記ラクチトールコーティングは、コーティングの安定性を与えるために及び保管におけるコーティングの劣化を防止するために、コーティングプロセスの間にラクチトール一水和物様形態に結晶化された結晶ラクチトールの円滑な及び密な連続層を含むことを特徴とする、食用のコア部。
【請求項22】
前記ラクチトール一水和物様コーティングは、アラビアガム、テアラガム又はゼラチンを含む結晶化改変剤を含む、請求項21に記載の食用のコア部。
【請求項23】
前記コア部は、ラクチトール以外の甘味料を含み、及び前記コア部と前記ラクチトール一水和物様コーティング層との間に保護下塗を含む、請求項21に記載の食用のコア部。
【請求項24】
前記下塗は、アラビアガム、ゼラチン又はセラックの層を含む、請求項23に記載の食用のコア部。
【請求項25】
前記コーティングは、キシリトール又はソルビトールのような、ラクチトール以外のもう1種のポリオールを、1%未満、好ましくは0.5%未満、最も好ましくは0.1%未満含む、請求項20記載の食用のコア部。
【請求項26】
前記コア部は、チューイングガム、噛むことのできるタブレット、キャンディー、アーモンド等である、請求項21記載の食用のコア部。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−508658(P2006−508658A)
【公表日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−556377(P2004−556377)
【出願日】平成15年12月2日(2003.12.2)
【国際出願番号】PCT/FI2003/000918
【国際公開番号】WO2004/049817
【国際公開日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(505211640)
【Fターム(参考)】