説明

飲料サーバ及び飲料サーバ洗浄方法

【課題】洗浄剤の配給状況の確認を容易に、安価に、そして正確に行えるようにした飲料サーバとその洗浄方法を提供する。
【解決手段】飲料を飲料注出部に送り込むために使用される少なくとも1本の管(4,5,11)と、前記少なくとも1本の管(4,5,11)を少なくとも部分的に洗浄するために洗浄剤を供給する洗浄剤供給手段(9,9a,9b,9c,22,23,24,25)と、前記洗浄剤の配給状況を検知する洗浄剤配給検知手段(A,A’,B)と、洗浄プロセスを管理する管理ユニットとを備えた飲料サーバ。前記洗浄剤配給検知手段(A,A’,B)がpH値測定手段(A,A’.B)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄プロセスを行うことができる飲料サーバ及びそのような飲料サーバのための洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料サーバに洗浄機構を組み込んだ装置やそのような装置のための洗浄方法はすでに知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1では、水性洗浄液を用いて洗浄プロセスを実施する装置を備えた飲料ディスペンサーが開示されている。洗浄を実施するため、洗浄水には洗浄剤が添加される。洗浄剤が適正に添加されたことを確認するために、測定装置が抽出器の下流に配置されている。この測定装置は洗浄液の導電率ないし電気抵抗を測定し、洗浄液に洗浄剤が適正に添加されたか否かを確認する。
【0003】
電導度測定は洗浄水溶液中に溶解している電離性物質の測定に依拠していることから、変化する水の硬度にその測定値が影響され、正確な洗浄剤の添加度を電導度測定から得ることは極めて困難である。それにもかかわらず、この測定に関する満足すべき結果を得るためには、特許文献に開示された飲料ディスペンサーでは、定期的に水の硬度に関する基準点を調整し、この調整後に、洗浄水溶液中の洗浄剤の存在を測定する必要ある。つまり、導電率測定のための基準点の継続的な監視が不可欠であり、それにより、この飲料ディスペンサーは高価格で保守コストがかさむだけでなく、故障を生じやすいものとなる。
さらに、電導度測定の精度が悪くなると、洗浄プロセスの完了後も、依然として飲料ディスペンサー内に洗浄水溶液の残りが残留してしまう可能性が生じる。それは、洗浄剤の有無の測定が十分正確に行われていないためである。これらの残留液は飲料の味と香りを大幅に損なうことになる。このような味ならびに香りの毀損がもはや感じられなくなるのは、一定回数の飲料注出が行われ、配管系が飲料自体によって十分に清掃された後である。
【0004】
【特許文献1】特開2004−91050号公報(段落番号0013−0016、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、上述した従来技術の短所を解消し、洗浄剤の配給状況の確認を容易に、安価に、そして正確に行えるようにした飲料サーバとその洗浄方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による上記課題を解決するための飲料サーバは、飲料を飲料注出部に送り込むために使用される少なくとも1本の管と、前記少なくとも1本の管を少なくとも部分的に洗浄するために洗浄剤を供給する洗浄剤供給手段と、前記洗浄剤の配給状況を検知する洗浄剤配給検知手段と、洗浄プロセスを管理する管理ユニットとを備え、前記洗浄剤配給検知手段がpH値測定手段を含むことを特徴とする。
また、本発明による上記課題を解決するための、洗浄プロセスのために供給される洗浄媒液の配給状況が確認されるように構成された飲料サーバのための飲料サーバ洗浄方法は、前記洗浄媒液の配給状況を確認するために前記洗浄媒液のpH値が測定されることを特徴とする。
【0007】
洗浄剤配給検知手段がpH値測定手段を含むことにより、洗浄媒液中の洗浄剤の存在をそのpH値測定結果に基づいて従来に較べ遥かに正確に確認することができるが、これはpH値が導電率の値ほど水の硬度に左右されて変動することがないためである。またpH値の測定の場合、電導度測定に際して必要とされるような、手間とコストを要する電極寸法設計計算は不要である。
【0008】
好適な実施形態の1つでは、洗浄剤供給手段は前記洗浄剤としての洗浄媒液(例えば、洗浄剤を基本成分として調整される洗浄媒液を調製するための混合タンクを含んでいる。これにより、本来の洗浄前にすでに洗浄媒液を適正に調製すること、例えば、特に適正な濃度で洗浄剤を洗浄媒液に溶解することが可能であるため、続いて、最適な配給された洗浄剤で洗浄を開始することができる。
【0009】
さらに、洗浄剤の前記洗浄剤配給検知手段は前記混合タンク内又はこの混合タンクの下流あるいはその両方に配置することができる。このような配置を採用すると、前記少なくとも1本の管に洗浄媒液を供給する前に、前記混合タンク内で洗浄剤を直接配給することが可能である。また、洗浄剤の前記洗浄剤配給検知手段の設置位置が前記混合タンクの下流とすることによって、前記少なくとも1本の管が洗浄媒液による完全な洗浄作用を受けたか否かを確認することが可能となる。
【0010】
前記混合タンクが好ましくは交換可能に設けられているならば、前記飲料サーバのユーザが前記混合タンクを装着することをトリガーとして前記洗浄プロセスを開始させることができる。別の方法として、ユーザが相応な形状の洗浄剤を予め前記混合タンクに投与することも可能であるため、前記混合タンクの装着後、必要に応じて洗浄媒液を適切に調製した後に、前記洗浄プロセスを即座に開始できる。これにより、飲料サーバの他の部分から飲料注出用の管に洗浄剤を供給するための付加的な配管を用意しておくことも不要となる。
【0011】
さらに、好適な実施形態の1つでは、前記洗浄プロセスを開始するための開始手段が備えられている。この開始手段には、たとえば、洗浄剤の添加の有無が予め確認されたか否かに応じ、前記洗浄プロセスの開始信号又は停止信号あるいはその両方の信号を出力する制御装置が含まれてもよい。これにより、洗浄剤なしで洗浄プロセスが実施されないようにすることが保証される。さらに、その場合、新たに洗浄剤の添加を促す表示機器が補助的に設けられてもよい。さらに、洗浄タンクの手動での装着又は自動的な装着によって前記洗浄プロセスを開始させるようにすることもできる。
【0012】
前記洗浄プロセスを開始するための開始手段が前記混合タンクの存在を検知するためのセンサを有することも好都合である。これにより、前記混合タンクが装着されたことを検知した前記センサからの出力信号に基づいて前記洗浄プロセスを開始することができる。こうして、前記洗浄プロセスは前記混合タンクが存在することより開始される。
【0013】
さらに、洗浄用の洗浄剤供給手段はポンプ又は方向切換弁あるいはその両方を含んでいると好都合である。これにより洗浄媒液を容易に供給できる。さらに、前記方向切換弁により前記少なくとも1本の管の他の領域にも洗浄媒液を送り込むことができ、あるいは前記方向切換弁を介して洗浄媒液を直接所望の管に送り込むことができる。
【0014】
好適な実施形態の1つにおいて、前記洗浄プロセスに用いられる洗浄剤はタブレット、粉末、液体のいずれかあるいはそれらの組み合わせの形で供給することが可能である。これによってユーザは最適な洗浄を実施するために適した洗浄剤を使用する多様な可能性が得られる。
【0015】
特に好ましいのは、洗浄媒液が洗浄剤の水溶液である。これにより、簡便かつ安価な形で洗浄媒液が洗浄ために配給することができる。
【0016】
特に、洗浄剤の配給状況を検知するための追加手段が、前記飲料注出部の注出口に配置されているとさらに好都合である。これにより、洗浄媒液による洗浄作用を受けるべき領域全体がすでに洗浄済みであるか否かの確認が可能になり、同様にこれにより、前記洗浄プロセスの間での又は最後でのあるいはその両方での洗浄媒液の濃度の確認も可能になる。
【0017】
ただし、その洗浄作用が行われた領域から洗浄媒液が完全に除去されるようにするため、前記少なくとも1本の管が洗い流し媒体(好ましくは液体)で洗い流し可能に構成すると好都合である。これにより、この飲料サーバによって注出される飲料の味及び香りの毀損は、全般的に、場合により前記少なくとも1本の管に残存している洗浄媒液を洗い流し媒体によって取り除かれることにより回避される。
【0018】
さらに、洗い流し媒体は水性液が、特に水であれば有利である。これにより、洗浄媒液が洗浄剤の水溶液からなっていれば、水性液の形の洗い流し媒体を用いて、洗浄媒液を残すことなくほぼ除去することが可能である。それは、洗浄剤が洗い流し媒体に溶解されるので、洗い流し媒体によって容易かつ速やかに除去されるからである。
【0019】
洗浄プロセスのために供給される洗浄媒液の配給状況が確認されるように構成された飲料サーバのための、本発明による飲料サーバ洗浄方法では、前記洗浄媒液の配給状況を確認するために前記洗浄媒液のpH値が測定されるが、pH値測定を用いることにより電導度測定の場合よりも遥かに正確に洗浄媒液中の洗浄剤の存在状況を確認できるので有利である。これはpH値が水の硬度に左右されて変動することが電導度に比較して遥かに僅少だからである。さらに、電導度測定の際に必要とされるような、手間とコストを要する電極寸法設計計算は不要である。
【0020】
さらに、本発明による方法において、洗浄媒液は混合タンク内で調製され、洗浄媒液の配給状況はこの混合タンク内又はこの混合タンクの下流であるいはその両方で少なくとも1回測定される。これにより、洗浄媒液による洗浄作用を受ける領域の最初ならびに下流において洗浄媒液の配給状況を監視することができ、効果的にかつ最適洗浄時間を実現することが可能になる。
【0021】
本発明の好適な実施形態の1つでは、前記洗浄プロセスの開始又は終了あるいはその両方は、自動的にまたは手動によって行われる。これにより、異常事態によってかなりの汚れが生じた場合、ユーザが自ら洗浄プロセスを開始できると共に、ユーザが不在でも定期的に、例えば夜間に自動的に洗浄プロセス又は個々の洗浄プロセスの一部あるいはその両方を実施することが可能であり、飲料サーバが再使用できるまでの待機時間が日常の使用中に生じないようにすることができる。
【0022】
この場合、洗浄プロセスが前記混合タンクの装着によって開始されるか、又は洗浄プロセスが混合タンクの取り外しによって終了されるか、あるいはその両方が行われるならば、特に好都合である。これにより、洗浄プロセスの開始や終了を容易に行うことができる。さらに、混合タンクの装着及び爾後の取外しにより、場合によっては混合タンク中になお残存している洗浄媒液も除去されることになる。
【0023】
本発明の好適な実施形態の1つとして、洗浄媒液による洗浄作用の前又は後にあるいはその両方において洗い流し媒体による前記管の洗い流し洗浄を行うように構成するならば、洗浄媒液を洗い流し媒体によって前記管から完全に除去できるので有利である。
【0024】
洗浄媒液中の洗浄剤の配給状況を連続的に監視できるようにするため、洗浄媒液による洗浄作用の前に又は間にあるいはその両方において洗浄剤の配給状況が測定されるとよい。
【0025】
なお、浄化されるべき領域から洗浄媒液が完全に除去されたことを検出するために、洗い流し媒体による洗い流しの間にもpH値が少なくとも1回測定されるようにすると好都合である。
【0026】
洗浄プロセスを終了するためには、一定のpH値が達成された後に手動により又は自動的にあるいはその両方により洗浄プロセスが停止できるように構成されると好都合である。これにより、前記洗浄プロセスができるだけ短時間で効果的に実施されることが保証され、飲料が再注出可能となるまでの待機時間は最小限度に抑えられる。
【0027】
本発明のその他の特徴及び利点は、洗浄プロセスを管理する管理ユニットを備えた飲料サーバとしてのコーヒーメーカを実施形態の1つとして図面を参照して行われる下記の説明から判明する通りである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図1から3に示された、本発明による飲料サーバの実施形態としてのコーヒーメーカにおいて、図中の右側には、破線で囲まれた、コーヒーメーカ本体1を示唆する大きな領域が表されており、このコーヒーメーカは右下側にコーヒー供給部3と熱湯供給部4とからなる抽出ユニット2を含んでいる。注湯されたコーヒーは抽出ユニット2からコーヒー管5によって注出口6に送られ、同所で注出口6の下方に置かれたコーヒーカップ7に注出される。
【0029】
このコーヒーメーカのもう一つの重要な構成要素は、保管タンク10に貯蔵されたミルクを、ミルク管11を経てポンプ12により、同じくコーヒーカップ7上方のコーヒーメーカ1の注出口6の領域に設けられたミルク混合チャンバ13に送出するミルク調整・送出装置である。ミルク管11は、図1に示した実施形態において、基本的に5つの区間つまり、ミルク保管タンク10と洗浄用の方向切換弁25との間に配置された区間11aと、方向切換弁25とポンプ12との間に配置された区間11a’と、ポンプ12と以下に詳細に説明する洗い流し管接続部14との間に配置された区間11bと、この洗い流し管接続部14と同じく以下に詳細に説明する冷却領域境界との間に配置された区間11cと、そしてさらにこの冷却領域境界とミルク混合チャンバ13との間に配置された区間11dとに区分される。
【0030】
洗い流し管接続部14はミルク管11を、冷水供給部16及び蒸気供給部17に接続された洗い流し管15と接続することから、冷水または蒸気を洗い流し媒体として使用できる。洗い流し管接続部14は複動逆止弁として形成されており、2個の球状弁体14a,14bと、接続されたミルク管11ないし洗い流し管15の流入口に向かって双方の弁体を圧接しているプレストレスばね14cとを含んでいる。ミルクポンプ12が作動すると、ミルク管11bを圧接密閉している弁体14aがばね力に抗して押し退けられて、ミルク管11c,11dへの流れが解除されるため、ミルクは区間11c,11dを経てミルク混合チャンバ13内に流入できる。
【0031】
同様に、冷水供給部16ないし蒸気供給部17は管区間16’を経て、逆止弁18が洗い流し管15への冷水ないし蒸気の通路を開放し、洗い流し媒体が洗い流し管15に流入し得るようにする。その後、洗い流し管15を圧接密閉している弁体14bがばね体14cのばね力に抗して内側に向かって押し退けられて、洗い流し媒体はミルク管11の区間11c,11dを経てミルク混合チャンバ13内に流入し、このチャンバならびにミルク管区間11c,11dを洗い流し洗浄できる。
【0032】
破線で示された左側の長方形19は冷却領域、特に、基本的にミルク保管タンク10、管区間11a,11a’,24、ポンプ12、方向切換弁25、洗い流し管接続部14と弁体14a,14b及びばね14c、ならびに混合タンク22とpH値センサA、そしてさらに管区間9c,23aの各要素を包囲収容して冷却する冷蔵庫を表している。ミルクはこれによって冷却領域で低温に保たれるため、乳酸ないしカゼインの発生が防止される。
【0033】
ミルク管11の非冷却部分領域112も効果的に洗浄するため、ミルク洗浄剤タンク9が設けられているが、このタンクは必ずしも冷却領域19内に配置されている必要はない。ミルク洗浄剤はポンプ9aにより管区間9bないし9cを経て混合タンク22に送出されるが、場合により、ミルク洗浄剤タンク9に代えてタブレットマガジン8を使用することも可能である。この場合、タブレットマガジンのタブレットは個別に混合タンク22に供給される。ミルク洗浄剤9ないしタブレットマガジン8のタブレットは一般にミルク洗浄剤を濃縮した形で含んでいることから、混合タンク22にはさらに冷水管23が接続されている。洗浄プロセスが開始されると、洗浄弁23’により冷水が、非冷却管区間23bと冷却管区間23aとを有する冷水管23を経て混合タンク22に供給されるため、混合タンク22内で洗浄媒液の調製を行うことができる。
【0034】
さらに空気供給部20が設けられている。空気供給部20は方向切換弁30を経て2つの管区間29,29aに空気を供給する。ここで、管区間29は管区間16’に合流している。逆止弁18は、このようにして洗い流し管15への、さらにその後に管区間11c,11dへの空気通路を開放する。
【0035】
他方、管区間29aは、ミルク混合チャンバ13内で、逆止弁18の下流に配置された管区間21に対し管区間11dが開口する上流側で開口している。管区間21の一端は逆止弁18に接続され、他端はミルク混合チャンバ13の領域で開口している。
【0036】
空気供給部20ないしそれに続く管区間29,29aはミルク混合チャンバ13ないし洗い流し管15、洗い流し管接続部14及びミルク管11の区間11c,11dの洗い流しに使用される。
【0037】
ミルク洗浄剤の正しい配給状況を確認するため、図1には、混合タンク22にpH値センサAが配置されている。このセンサは混合タンク22内で調製された洗浄媒液のpH値を測定し、必要に応じて、弁23’を介して冷水供給を制御しまたは送出ポンプ9aを介してミルク洗浄剤タンクからの洗浄剤供給を制御する制御ユニット(管理ユニット)100に直接または間接に信号を出力する。この場合、pH値センサAは洗浄剤の存在を確認し、ユーザまたは制御ユニット100に対し、冷水とミルク洗浄剤とが正しい比率で混合タンク22内に配量された場合に洗浄プロセスを進めるための信号、または、該プロセスを中止するために利用される信号を出力する。塩基性洗浄剤を使用する場合には、pH値が10以上、特に11以上で、酸性洗浄剤が使用される際には、pH値が4以下、特に3以下の場合に、それぞれ洗浄プロセスが実施されていることになる。
【0038】
洗浄プロセスが始まって、洗浄・ミルク供給切換領域111に配置された方向切換弁25が作動すると、ミルク保管タンク10と方向切換弁25との間に位置する管領域11aは遮断され、それに代わって管領域24が方向切換弁25と管領域11a’とを介してポンプ12に間接的に接続される。ポンプ12が同様にして作動すると、混合タンク22内の洗浄媒液が管区間24、方向切換弁25及び管区間11a’を経て吸引される。この場合にも、ポンプ12の作動時に密閉弁体14aがばね14cのばね力に抗して変位し、管区間11c,11dが開放されるため、洗浄媒液は管区間11c,11dを経てミルク混合チャンバ13内に流入できる。
【0039】
洗浄媒液が管区間全体に作用したか否かを確認するため、コーヒーメーカ1の注出口6にさらに別のpH値センサBが配置されてもよい。この場合、こうしてpH値センサA,Bの測定値を比較することができる。これらのpH値センサA,Bの測定値が同じ所定の範囲内にあれば、ほぼすべての汚れが洗浄媒液中に溶解して排出され得たと前提することができる。
【0040】
次いで洗浄媒液自体をそれが作用した管領域24,11a’,11b,11c,11d及びミルク混合チャンバ13から洗い流し、注出されるコーヒーに洗浄媒液による味及び香りの毀損が生じないようにするため、洗い流し洗浄プロセスが開始される。この場合、洗浄剤タンク9からポンプ9aを経てさら洗浄剤が混合タンク22に供給されることはなく、混合タンク22には冷水弁23’と冷水管23とを経てさらに冷水が供給される。この場合、混合タンク22に配置されたpH値センサAが7レベルのpH値を測定するまで、洗い流し媒体としての冷水が混合タンク22に供給されて、管領域24,11a’,11b,11c,11d,13が冷水で洗い流される。
【0041】
管領域24,11a’,11b,11c,11d及びミルク混合チャンバ13から洗浄媒液が完全に除去されて、残留液がないか否かを確認するため、再び、ミルク混合チャンバ13ないし注出口6に配置されたpH値センサBを利用できる。このセンサは少なくとも1回、洗浄媒液のpH値を測定する。次いで双方のpH値センサA,Bが7レベルのpH値を示せば、洗い流し洗浄プロセスは終了する。両方のpH値センサA,Bがレベル7のpH値を示すと、洗浄媒液と洗い流し媒体を流し込まれた領域から汚れだけではなく洗浄媒液も残り無く洗い流されたことになるので、洗い流し洗浄プロセスが終了し、同時に全体的な洗浄のプロセスが終了することになる。
【0042】
本発明の範囲内で、この種の洗浄をミルクの流路に限定せずに、コーヒーメーカ本体1内のコーヒー流路にも同様に適用することが可能である。
【0043】
その際の洗浄の基本的な経過はミルクの流路について上述した経過と同様である。この場合、コーヒーメーカ1のコーヒー流路には、液体状、固体状またはタブレット状でもよい洗浄剤が、たとえばタブレットマガジン3’から、コーヒー供給部3を経て、抽出ユニット2に供給される。続いて、熱湯が抽出弁4aにより熱湯供給部4を経て抽出ユニット2に導入されて、洗浄剤が調製される。続いて洗浄が開始され、その際、洗浄媒液の存在はさらに別のpH値センサA’を用いて洗浄媒液のpH値測定によって確認される。塩基性洗浄剤が使用される場合には、pH値が10以上、特に11以上から、酸性洗浄剤が使用される場合には、pH値が4以下、特に3以下から、それぞれ洗浄プロセスが実施されていることになる。
【0044】
ただし、洗浄媒液での測定による洗浄剤の存在に関して別のpH閾値を設定することも基本的に本発明の範囲に属する。pH値センサA’は、コーヒーメーカの通常の使用中つまり洗浄プロセスが実施されないときにそれがコーヒー又はあるいはその両方ミルクによって汚れないようにするため、抽出ユニット2の下流に配された前置弁5bを有する分岐管5aに配置することができる。この場合、弁5bは洗浄プロセスの間だけ開放される。上述した方法と同様に、コーヒー管5の出口にさらに別のpH値センサ(図示せず)が配置され、洗浄媒液がコーヒー管5に作用している間に少なくとも1回、pH値が測定されるようにすることも可能である。コーヒー管の出口に配置されたpH値センサで測定されたpH値がpH値センサA’によるpH値測定に比較してもはや変化しなければ、洗浄プロセスは打ち切られる。続いて、コーヒー管5、抽出ユニット2ならびに、場合により、分岐管5aは、pH値センサA’又はあるいはその両方、コーヒー管5の末端にこのセンサが配置されていれば、この第2のpH値センサが7レベルのpH値を示すまで、熱湯で洗浄される。その後、弁5bが閉じられて、洗浄及び洗浄プロセスは全体として終了する。
【0045】
図2には、コーヒーメーカ型飲料サーバのさらに別の実施形態が示されている。この場合、コーヒーメーカ本体1の領域は図1の対応領域と同じ構造を有している。冷却領域19の洗浄・ミルク供給切換領域111には、方向切換弁25に代わりに、差替え式の管11aないし24が配置されている。洗浄プロセスを準備するため、管11aはミルク貯蔵タンク10から切り離されて、符号24で表される管区間として混合タンク22に接続される。管24又は混合タンク22あるいはその両方に配置されたセンサまたはスイッチCは管24の存在を検知し、洗浄プロセスの開始信号の要因となる検知信号を出力する。この場合、洗浄プロセスの経過は図1に関連して説明した洗浄プロセスと基本的に同じである。しかし、洗浄プロセスの最後に、方向切換弁25による切換の代わりに、管24が切り離されて、管区間11aとして再びミルクタンク10と連結される点だけが相違している。これにより、ポンプ12は再び管区間11a,11a’を経てミルク貯蔵タンク10からミルクを吸引することができる。
【0046】
図3には、コーヒーメーカ型飲料サーバのさらに別な第3の実施形態が示されている。この場合、図1及び2に示した実施形態との相違点は、洗浄・ミルク供給切換領域111においてミルクタンク10が交換可能に配置されていることである。洗浄プロセスを開始するため、ミルク貯蔵タンク10は取り外されて、混合タンク22がそれに代えられる。その際、センサまたはスイッチCはミルク貯蔵タンク10の存在ないしミルク貯蔵タンクと混合タンク22との交換を検知する。混合タンク22が装着されると、洗浄プロセスが開始される。この場合、洗浄及びそれに続く洗い流しは図1において説明した洗浄プロセスないし洗い流し洗浄プロセスと同様にして行われる。pH値センサA又はあるいはその両方pH値センサBが約7のレベルのpH値を測定して、全体的な洗浄プロセスが終了すると、混合タンク22は切り離されて、ミルク貯蔵タンク10が再び装着される。この場合、その都度の切り離し及び装着はスイッチにより手動で行うかまたはセンサCによって自動的に行うことも可能である。
【0047】
さらに、それぞれのpH値センサA,A’,Bは、コーヒーメーカの通常の使用中にpH値センサA,A’,Bがミルク又はあるいはその両方コーヒーによって汚れないようにするため、前置弁26付き分岐管26aに配置することができる。この場合、分岐管26aは洗浄及び洗浄プロセスの間だけ開放される。
【0048】
洗浄のために混合タンク22ないし抽出ユニット2に洗浄剤を供給するさらに別の方法として、タブレット状の洗浄剤を供給するタブレットマガジン8,3’をすべての実施形態に配備可能である。
【0049】
本発明は、pH値測定を利用して、洗浄剤を洗浄媒液に正確に割り当て、この洗浄媒液による洗浄作用ならびに少なくとも1本の管における洗浄媒液の除去を速やか且つ正確に行なうことができるという利点を供する。
【0050】
尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】洗浄時に機能する方向切換弁を含むコーヒーメーカ型の本発明による飲料サーバを示す第1実施形態の模式構成図
【図2】洗浄時に機能する洗浄アダプタを含むコーヒーメーカ型の本発明による飲料サーバを示す第2実施形態の模式構成図
【図3】洗浄時に機能する洗浄タンクを含むコーヒーメーカ型の本発明による飲料サーバを示す第3実施形態の模式構成図
【符号の説明】
【0052】
4,5,11:管
9,9a,9b,9c,22,23,24,25:洗浄剤供給手段
A,A’,B:洗浄剤配給検知手段(pH値測定手段)
22:混合タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料を飲料注出部に送り込むために使用される少なくとも1本の管(4,5,11)と、前記少なくとも1本の管(4,5,11)を少なくとも部分的に洗浄するために洗浄剤を供給する洗浄剤供給手段(9,9a,9b,9c,22,23,24,25)と、前記洗浄剤の配給状況を検知する洗浄剤配給検知手段(A,A’,B)と、洗浄プロセスを管理する管理ユニットとを備え、
前記洗浄剤配給検知手段(A,A’,B)がpH値測定手段(A,A’.B)を含むことを特徴とする飲料サーバ。
【請求項2】
前記洗浄剤供給手段(9,9a,9b,9c,22,23,24,25)は前記洗浄剤としての洗浄媒液を調製するための混合タンク(22)を含むことを特徴とする請求項1記載の飲料サーバ。
【請求項3】
前記洗浄剤配給検知手段(A,A’,B)は前記混合タンク(22)内又は前記混合タンク(22)の下流あるいはその両方に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の飲料サーバ。
【請求項4】
前記混合タンク(22)は交換可能に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の飲料サーバ。
【請求項5】
前記洗浄プロセスを開始するための開始手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の飲料サーバ。
【請求項6】
前記洗浄プロセスを開始するための前記開始手段手段は前記混合タンクの存在を検知するためのセンサ(C)を有することを特徴とする請求項5に記載の飲料サーバ。
【請求項7】
前記洗浄剤供給手段(9,9a,9b,9c,22,23,24,25)はポンプ(9a)又は方向切換弁(25)あるいはその両方を含むことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の飲料サーバ。
【請求項8】
前記洗浄プロセスに用いられる洗浄剤はタブレットまたは粉末または液体の形で供給可能であることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の飲料サーバ。
【請求項9】
前記洗浄媒液は前記洗浄剤の水溶液からなることを特徴とする請求項2に記載の飲料サーバ。
【請求項10】
前記洗浄剤の配給状態を検知するための追加手段(B)が前記飲料注出部(13)の注出口に配置されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の飲料サーバ。
【請求項11】
前記混合タンク(22)は冷却領域(19)内に配置されていることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の飲料サーバ。
【請求項12】
前記少なくとも1本の管(4,5,11)は洗い流し媒体で洗い流し洗浄可能であることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の飲料サーバ。
【請求項13】
前記洗い流し媒体は水性液であることを特徴とする請求項12記載の飲料サーバ。
【請求項14】
洗浄プロセスのために供給される洗浄媒液の配給状況が確認されるように構成された飲料サーバのための飲料サーバ洗浄方法であって、
前記洗浄媒液の配給状況を確認するために前記洗浄媒液のpH値が測定されることを特徴とする飲料サーバ洗浄方法。
【請求項15】
前記洗浄媒液は混合タンク(22)内で調製され、前記洗浄媒液の配給状況は前記混合タンク(22)内又は前記混合タンクの下流であるいはその両方で少なくとも1回測定されることを特徴とする請求項14記載の飲料サーバ洗浄方法。
【請求項16】
前記洗浄プロセスの開始又は終了あるいはその両方が、自動的にまたは手動によって行われることを特徴とする請求項14又は15に記載の飲料サーバ洗浄方法。
【請求項17】
前記洗浄プロセスの開始は前記混合タンク(22)の装着によって行なわれ又は前記洗浄プロセスの終了は前記混合タンク(22)の取り外しによって行われるあるいはその両方が行われることを特徴とする請求項14から16のいずれか一項に記載の飲料サーバ洗浄方法。
【請求項18】
前記洗浄媒液による洗浄プロセスの前又は後あるいはその両方において、洗い流し媒体による洗い流しプロセスが行われることを特徴とする請求項14から17のいずれか一項に記載の飲料サーバ洗浄方法。
【請求項19】
前記洗浄媒液の配給状況は前記洗浄媒液による洗浄プロセスの前又はその間あるいはその両方で測定されることを特徴とする請求項14から18のいずれか一項に記載の飲料サーバ洗浄方法。
【請求項20】
前記洗浄媒液による洗浄プロセスの間に前記洗浄媒液の配給状況が少なくとも1回測定されることを特徴とする請求項18に記載の飲料サーバ洗浄方法。
【請求項21】
前記洗浄プロセスは一定のpH値が測定された後に手動により又は自動的に停止されることを特徴とする請求項14から20のいずれか一項に記載の飲料サーバ洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−94499(P2008−94499A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−264595(P2007−264595)
【出願日】平成19年10月10日(2007.10.10)
【出願人】(505047267)ニロ‐プラーン・アー・ゲー (11)
【氏名又は名称原語表記】NIRO‐PLAN AG
【住所又は居所原語表記】FRANKE−STRASSE 2, 4663 AARBURG, SWITZERLAND
【Fターム(参考)】