説明

飲料サーバ

【課題】球形状を維持しながらも持ち易くすること。保冷効果を向上すること。
【解決手段】上向きの口部15aを有する容器1と、容器の口部に被せる開閉可能な上蓋2と、容器の底部に一端部を接続する注出管5と、注出管の他端部に接続するコック6と、容器の底部を保持するスタンド4とを備える飲料サーバにおいて、容器が、内壁11と外壁12との間に中空部13を備える二重壁構造であり、外壁の水平方向の両側に起伏可能な取っ手を備え、取っ手を伏せた状態の場合には、外壁と上蓋2と取っ手とによって球形状が形成され、取っ手を起こした状態の場合には、外壁と上蓋2によって形成される球形状から取っ手が外側に突出し、上蓋2にスティック保持部25を備え、スティック保持部に蓄冷剤が封入された棒状の冷却スティックを容器の中に収容し得る飲料サーバ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビール等の飲料を収容しておき、必要に応じて注ぎ出すことのできる飲料サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の飲料サーバとして、テーブルに載置した状態で液体を注ぐことのできる縦長の大型のものがある。より具体的に言えば、テーブルに載置するベース上に栓体を介して縦長のパイプを起立し、パイプ内の液体を栓体に付いたコックから注ぐ飲料サーバがある(特許文献1、2、3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−314695号公報
【特許文献2】特開2000−272699号公報
【特許文献3】特開2007−197010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の飲料サーバは、縦長のパイプ形状であり、飲料を収容する容器の形状としては一般的である。そこで、本発明者は、強い印象を視覚に訴えることができるように、容器をボール形状とした飲料サーバの開発に着手した。
【0005】
通常、ボール形状は転がり易い形状なので、パイプ形状と比較すれば、持ち難い。しかも、飲料サーバという性質上、飲料を数kg収容するので、かなり重たくなる。従って、取っ手を付けることが望ましいが、かといって、容器と取っ手との関係を充分に考慮して設計しなければ、せっかくのボール形状が台無しになることもある。
【0006】
たとえば、図9に示すように、取っ手90とするために、指を入れる長孔91を球状の容器の側部に形成したり、図10に示すように、半円状の吊り手92を用い、球状の容器の横方向両側に吊り手の両端部を連結したりするようなものである。これらの場合、容器のボール形状に大きな孔があくことや、ボール形状の表面側に全く別の部材が付くことから、容器のボール形状が明らかに損なわれる。
【0007】
また、飲料サーバという性質上、保冷効果の向上、取り扱いの容易さが望まれる。
【0008】
本発明は上記実情を考慮して創作されたもので、その解決課題は少なくとも球形状をできるだけ維持しながらも持ち易くすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上向きの口部を有する容器と、容器の口部に被せる開閉可能な上蓋と、容器の底部に一端部を接続する注出管と、注出管の他端部に接続するコックと、容器の底部を保持するスタンドとを備える飲料サーバを前提とする。
【0010】
そして、請求項1の発明は、容器が、内壁と外壁との間に中空部を備える二重壁構造であり、外壁の水平方向の両側に起伏可能な取っ手を備え、取っ手を伏せた状態の場合には、外壁と上蓋と取っ手とによって球形状が形成され、取っ手を起こした状態の場合には、外壁と上蓋によって形成される球形状から取っ手が外側に突出し、上蓋にスティック保持部を備え、スティック保持部に蓄冷剤が封入された棒状の冷却スティックを容器の中に収容し得ることを特徴とする。
【0011】
上蓋は、一部品だけで構成されていても良いし、上蓋本体と上蓋キャップとの二部品で構成されていても良い。一部品で構成する場合、その内面側にスティック保持部を形成するものであっても良い。例えば、冷却スティックが上端部に鍔部を有する形状の場合、その鍔部のみをくわえる一対のL字状のレールを上蓋の内面に対して平行に形成するようなものである。さらに、二部品で構成されている場合であっても、上蓋本体の天板部に単なる抜穴をあけ、その抜穴をスティック保持部とするものであっても良い。また、冷却スティックを取り付け易く、しかも取り付け状態を安定させるには次のようにすることが望ましい。即ち、請求項2の発明のように、上蓋は、上蓋本体と、上蓋キャップとを備え、上蓋本体は、容器口部を覆う天板部から有底筒状のスティック保持部を垂下し、スティック保持部の上端部にスティック挿入口部を備え、上蓋キャップはスティック挿入口部を開閉するもので、上蓋本体と閉じた上蓋キャップとで球形状の上部を形成することである。冷却スティックの上端部に鍔部がある形状であれば、スティック挿入口部もそれに合わせて広口の形状であることが望ましい。
【0012】
液体を容器からコックに導く注出管は、その一端部を二重壁構造の容器よりも下方の位置に接続するものであっても良いが、この場合、注出管内に貯留されている液体は、二重壁構造の容器から完全に外に出ていることになるので、保冷効果が充分とはいい難い。従って、注出管の中の液体は、注出管の中に貯留されている時間が長いほど、ぬるくなる。このようなことをできるだけ避けるには、次のようにすることが望ましい。すなわち、請求項3の発明のように、容器外壁は、球の上部及び底部を切除した形状の球状部と、球状部の底側から下に突出する設置部とを備え、容器内壁の底部とコックとを接続する注出管が、設置部内の中空部を横方向に通過していることである。
【0013】
閉じた上蓋と容器との間には殆ど隙間がなくても良いが、球形状を維持しながらも上蓋を開け易くするには次のようにすることが望ましい。即ち、請求項4の発明のように、閉じた上蓋と容器との境目に、上蓋を開けるための治具又は指が挿入可能な空隙を設けてあることである。
【0014】
コックは、容器から大幅に離れていても良いが、製品が大型化し、見栄えも良くない。製品をコンパクトにしながらも見栄えを良くするには次のようにすることが望ましい。即ち、請求項5の発明のように、閉状態のコックの操作レバーは、指が挿入可能な程度、容器から離れる方向に傾斜していることである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明は、取っ手を伏せた場合には、容器外壁と上蓋と取っ手とによって球形状が形成されるので、球形状を維持しながらビール等の飲料を注ぐことができる。反対に外壁の水平方向の両側の取っ手を起こした場合には、外壁と上蓋によって形成される球形状から取っ手が外側両側に突出するので、持ち易くなる。その上、容器が内壁と外壁との間に中空部を備える二重壁構造であり、しかも、スティック保持部を上蓋に備えるので、容器の外側に対しては断熱しながらも、スティック保持部に保持された冷却スティックにより、容器の中から液体を冷却することができ、保冷効果も高い。
【0016】
請求項2の発明は、上蓋本体に対して上蓋キャップを開ければ、上蓋本体の天板部から垂下する有底筒状のスティック保持部に、冷却スティックを上方から挿入できるので、冷却スティックの出し入れ、ひいては取り扱いが容易になる。また、上蓋キャップを閉じれば、上蓋本体と上蓋キャップとで球形状の上部を形成するので、球形状も維持できる。
【0017】
請求項3の発明は、容器の外壁が球状部と、球状部の底側から下に突出する設置部を備え、容器内壁の底部とコックとを接続する注出管が、設置部内の中空部を横方向に通過しているので、注出管の中に貯留されている液体の保冷効果が高い。
【0018】
請求項4の発明は、閉じた上蓋と容器との境目に、上蓋を開けるための治具又は指が挿入可能な空隙を設けてあるので、上蓋を開けやすくなり、球形状を維持しながらも取り扱いが容易になる。
【0019】
請求項5の発明は、閉状態のコックの操作レバーを、指が挿入可能な程度、容器から離れる方向に傾斜しているので、コックが容器の近くにあることになり、全体としてコンパクトになり、見栄えも良くなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の飲料サーバを示す正面図である。
【図2】飲料サーバの要部縦断面図である。
【図3】取っ手と容器との関係を示す平面図である。
【図4】(イ)(ロ)(ハ)図は、容器の外体を示す底面図、A−A線断面図、取っ手の取付部分を断面にした正面図である。
【図5】(イ)(ロ)(ハ)(ニ)図は、取っ手を示す側面図、平面図、正面図、A−A線断面図である。
【図6】(イ)(ロ)(ハ)(ニ)図は、注出管のエルボを示す平面図、縦断面図、正面図、右側面図である。
【図7】(イ)(ロ)図は、スタンドの仮受台の底面図、A−A線断面図である。
【図8】飲料サーバの全体像を示す斜視図である。
【図9】容器の一部を取っ手とする飲料サーバを示す断面図である。
【図10】取っ手を吊り下げ式とする飲料サーバを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の飲料サーバは図1、図2、図8に示すように、容器1と、容器1に被さる上蓋2と、容器1の外側であって水平方向の両側に起伏可能に連結してある一対の取っ手3と、容器1を下から支えるスタンド4と、容器1から外部に液体を導く注出管5と、注出管5の開閉をするコック6とから構成される。取っ手3を伏せた状態の場合、容器1と上蓋2と取っ手3によって球形状の外観が形成され、取っ手3を起こしたの場合、容器1と上蓋2によって形成される球形状の外観から取っ手3が外側に突出し、これらいずれの場合も球形状の底部を下からスタンド4によって支えてある。以下、各構成要素について詳述する。
【0022】
容器1は、内壁11と外壁12との間に中空部13を備える二重壁構造である。
内壁11は、容器1の内形を形作ると共に液体を直に収容する器部分であり、その形状をより詳しく言えば、その上部が鉛直な筒状であり、その下部が尻すぼみのテーパ形状であり、その底部が平らになっている。
一方、外壁12は、容器1の外形を形作ると共に内壁11の上端に連続しつつ内壁11の外側を囲む部分であり、その形状をより詳しく言えば、球の上部と底部を切除した形状の球状部12aと、球状部12aの底側から下に突出するカップ状の設置部12bとを備える形状である。設置部12bは、平面視した場合に容器1の中央部に位置する。そして、設置部12bは、球状部12aから下に連続して突出する筒状部12cと、筒状部12cの下端開放口を塞ぐ着脱可能な裏蓋14とから構成してある。従って、容器1は、裏蓋14と、裏蓋14以外の部分、即ち裏蓋14を底部に着脱可能な容器本体15との二体から構成してある。
【0023】
裏蓋14は、合成樹脂製で、板状の裏蓋本体14aの外周部に沿って、連結片14bを上方に突出してある。連結片14bと筒状部12cの下部とをその全周に亘って凹凸によって嵌合する。図では、凸部と凹部の符号は省略するが、連結片14bの内周側に凸部を形成し、筒状部12cの外周側に凹部を形成してある。
【0024】
容器本体15は、合成樹脂製で、内壁11及び外壁12の上部を形作る内体16と、外壁12の下部を形作る外体17との二体を超音波溶着等して一体にしたものである。この溶着等による一体箇所は、球を上下に二等分する場合の二等分線の位置である。溶着等して一体にした箇所よりも下側であってその近傍において、図4に示すように、外体17(外壁12)には取っ手3を収容する収容凹部17aを、取っ手3の形状に合わせて内側に窪ませて設けてある。なお、取っ手3を伏せて収容凹部17aに収容した場合でも、収容凹部17aの下端部は外向きに開口しており、この開口部分が指先で取っ手3を操作する際の手がかりになる。収容凹部17aが外体17に設けてあることから、内体16の外壁12箇所に設けてある場合よりも安定感のある状態で取っ手3を掴むことができる。また、図2に示すように容器本体15は、その上端部が上向きに開口する口部15aとなる。この口部15aの内径は、球形状の直径よりも小さくなっている。つまり、口部15aの上端が、二等分線よりも上、より正確に言えば、球の直径Dの3/4よりも上側なので、液体を多量に収容できる。
【0025】
取っ手3は図3又は図5に示すように、支点となる水平な凸状の軸31と、軸31を収容する凹状の軸保持穴31aとの嵌め合わせによって、容器本体15に対して起伏可能にに連結されるものである。取っ手3は、球の外面の一部を形作る板状の取っ手本体32を備えている。取っ手本体32は、下辺が円弧状であって、その上辺がその中央部に溝状に窪む上向き溝部33を形成し、上向き溝部33の両側をそれぞれ腕部34とするものである。各腕部34の内面側には内側に延長する軸支持リブ35を設け、各軸支持リブ35には軸31を上向き溝部33内に向かって対称的に水平に突出してある。なお、取っ手本体32には、上向き溝部33の下側に沿って本体リブ36が内側に突出している。図4に示すように、一対の腕部34の間に挟まれる被挟持部17bが、容器本体15の外壁12には前述の収容凹部17aに隣接して外側に突出して形成されており、被挟持部17bの左右両側には、軸31が嵌る凹状の軸保持穴31aが形成されている。従って、取っ手3は、一対の軸31を中心にして起伏可能となる。そして、取っ手3を伏せた(閉じた)状態の場合、外壁12と上蓋2と取っ手3によって球形状(より詳しくは、底部を切除した球形状)の外観が形成され、取っ手3を起こした(開いた状態)の場合、外壁12と上蓋2によって形成される球形状の外観から取っ手3が略水平に外側に突出している。収容凹部17aと腕部34が干渉して、取っ手3が水平に保持される。なお、当然のことながら、取っ手3を起こした場合の球形状は収容凹部17aの分だけ窪んでいるので、取っ手3を伏せた場合の球形状よりも、表面が歪である。
【0026】
上蓋2は図2に示すように、容器本体15の口部15aに開閉可能、より詳しくは着脱可能に被せるもので、球形状の上部を形作る上蓋本体21と、上蓋本体21の頂部に開閉可能(着脱可能)に嵌め込む上蓋キャップ22とを備えている。
【0027】
上蓋本体21は、球形状の上部に相当する天板部23を備え、天板部23の外周縁部を容器1の口部15aに載る部分としてある。この天板部23の外周縁部と口部15aとの境目に治具又は指が挿入可能な空隙23aを所々に設けてある。図では、この空隙23aは、口部15aの外面を局部的に凹ませたもので、外側から治具などを挿入して、上蓋2を開ける際の手掛かりとしてある。また上蓋本体21は天板部23の外周縁部よりも内側から係合部24を垂下し、この係合部24を口部15aの内側(内壁11の上端部内側)に挿入するものとしてある。係合部24の外周全周に亘ってOリングを嵌合しておくことにより、係合部24と内壁11との間の密閉性を向上してある。
【0028】
上蓋本体21は、天板部23の中央部にスティック保持部25を備えている。スティック保持部25は、その内部に冷却スティック7の蓄冷剤9よりも凍結温度の高い冷媒液8を収容可能にすると共に、冷却スティック7を収容した場合には、収容前よりも冷媒液8の水位を上昇させて冷却スティック7の外周側を冷媒液8で囲むものである。
【0029】
また、スティック保持部25は、上方が開口している有底筒状の収容ケースであって、上端部が冷却スティック7を挿入するスティック挿入口部25aとなり、上端部より下側部分が冷却スティック7の胴部71を収容する胴部収容部25bとなる。その上、スティック保持部25は、冷却スティック7の形状に合わせ、スティック挿入口部25aを、胴部収容部25bよりも外側に突出する段付きの形状としてある。そして、全体として下方に向かうにつれて内径および外径が狭くなるテーパ形状としてあるので、スティック保持部25の内面を洗いやすい。
【0030】
スティック挿入口部25aは、その内側上部に上蓋キャップ22を、その内側下部に冷却スティック7の鍔部72をそれぞれ位置決めして収容する。
【0031】
胴部収容部25bは、冷却スティック7の胴部71の外周側を、筒状の冷媒液収容空間を介して取り囲むもので、冷却スティック7の鍔部72よりも小径に形成してある。胴部収容部25bは、中に入れる冷媒液8がオーバーフローするのを予防するために目印(図示せず)を刻設しておくことが望ましい。例えば、胴部収容部25bの内周面および外周面において、全深さの約1/3に目印を入れておく。胴部収容部25bは透明であるので、中に入る冷媒液8を外側から目視でき、冷媒液8の水位を目印にあわせ易い。
【0032】
上蓋キャップ22は、スティック挿入口部25aを塞ぐ隠蔽板26と、隠蔽板26の外周縁部よりも内側から垂下する位置決め板27と、隠蔽板26の上に突出する把持板28とから構成される。隠蔽板26は、外周部が球形状の頂部のような曲面で、その中央部が凹んでいる。また、位置決め板27は、円筒状であって、スティック挿入口部25aと冷却スティック7の鍔部72との間に嵌り込むことにより、スティック保持部25と冷却スティック7との間に筒状の冷媒液収容空間を形成する。把持板28は、上蓋キャップ22を使用する際に、指でつまむものであり、平面視すると、隠蔽板26の中央から外周の対向する箇所に一直線に延長する状態となっている。なお、把持板28の上端は、容器1と上蓋2等で形成される球形状に一致する高さまで突出しているが、それよりも低くても良い。
【0033】
冷媒液8は、凍結した蓄冷剤9の冷たさを緩和して容器1内の液体に伝えるもので、蓄冷剤9よりも凍結温度の高い液体、一例としては水が用いられる。
【0034】
冷却スティック7は、内部に蓄冷剤9が封入された棒状の胴部71と、胴部71の上端部からその全周に亘って外側に突出するリング状の鍔部72とを備えるものである。
【0035】
蓄冷剤9は半透明で、例えば塩分含有量が全体の重量比で15%程度の配合割合のものを用い、その塩分含有量により、−20℃〜−5℃の範囲で凍結又は解凍する性質を有するものを用いる。また、塩分となる材料として、塩化カリウムを用い、全体の重量比で10〜20%の配合割合とすることにより、ほぼ確実に蓄冷剤9全体が凍結するものと推測される。また、C.M.C(カルボキシメチルセルロース)は、白色〜類白色の粉末であり、その性状は温水だけでなく冷水にも溶解し、溶解時には増粘性を呈するものである。このC.M.Cを蓄冷剤9の成分として全体の重量比で1.0〜2.0%で配合することにより、蓄冷剤9が粘結性を呈する。
【0036】
スタンド4は図1、図2又は図7に示すように、テーブルの上に置く受台41と、受台41の上に載せる仮受台42とから構成してある。仮受台42は、受台41の上に抜き差し可能に嵌め込むと共に、容器1の設置部12bに着脱可能に嵌め込むものである。仮受台42は全体として筒状であって、その上部において設置部12bの筒状部12cを取り囲んで覆い、その高さ中間部において設置部12bを下から支えると共に、凹凸による嵌め合わせによって設置部12bに対して着脱可能に連結する。このため、仮受台42は、筒状の仮受台本体42aの上部を設置部12bの形状に合わせて下窄まりのテーパ形状にしてあり、その高さ中間部においては、その内周に沿って凸状の支持片42bを内向きに突出してある。一方、設置部12bの筒状部12cは、テーパ形状の大径部12dの下側に小径の小径部12eが段差状に設けてあり、大径部12dと小径部12eとの境界である段差部12fが支持片42bによって支えられている。また、小径部12eの上端には、支持片42bの先部(内周部)が嵌る凹状の係合溝(符号省略)を形成してある。このように嵌り合って仮受台42が容器1と一体化すると、仮受台42ごと容器1をテーブルに置いてもコック6の下端がテーブルに触れないので、受台41が見当たらない場合でも使用でき、取り扱いに優れている。
【0037】
受台41は、仮受台42の下部の内側に嵌り込むと共に、仮受台42の下端を支持するもので、中央部が凹んだ上板部41aと、上板部41aの外周から垂下する周板部41bとを備える。周板部41bは、上端部が下部に比べて段差状に小径となっており、この段差状の部分に仮受台42の下端を載せる。また、周板部41bの下部は末広がり状になっている。なお、周板部41bはコック6の真下付近を内側に窪ませると共に、コップ台を設けてある。
【0038】
注出管5は図2又は図6に示すように、内壁11の底部とコック6とを接続するもので、設置部12b内の中空部13を横方向に通過している。そして、注出管5は、縦管部51a及び横管部51bからなるL字状のエルボ51と、エルボ51とコック6を接続するジョイントユニット52とから構成される。エルボ51は、その一端部を、内壁11の底部の液排出口部11aに超音波溶着等して一体に接続してある。より詳しく言えば、内壁11の底部中央部には筒状の液排出口部11aを下向きに連続して垂下してあり、エルボ51の縦管部51aの上端部を液排出口部11aの外側を囲む形状とした上で、超音波溶着等して一体としてある。また、エルボ51は、その他端側の途中を設置部12bに着脱可能に嵌め込んである。より詳しく言えば、容器本体15の設置部12bにはその周方向の一部について内側に窪む窪み部12gを形成し、この窪み部12gに下端から逆U字状に切除した第1の管通し窓12hを形成し、エルボ51の横管部51bの途中にその外周に亘って環状の鍔部51cを、二枚間隔をあけて形成し、二枚の鍔部51cの間に形成される嵌合溝(符号省略)を第1の管通し窓12hの上部に嵌め込んである。また、一枚の鍔部51cについては第1の管通し窓12hの下部を塞ぐカバー片51dが連続して垂下しており、カバー片51dが容器1の外壁12の一部を構成している。
【0039】
ジョイントユニット52は図2に示すように、エルボ51の他端部とコック6の導入管62を連結するものである。図ではジョイントユニット52は、延長管53や、複数のナット54から構成されており、ナット54によるネジ作用や、そのネジ作用を利用しての締め付け作用によって、エルボ51の他端部とコック6の導入管62との間を連結してある。なお、注出管5を通すために仮受台42にはU字状に切除した第2の管通し窓42cを設けてある。
【0040】
コック6は図2に示すように、液体を通す縦筒状の通路を有するコック本体61と、コック本体61の高さ中間部の側面から突出する導入管62と、コック本体61の上部に支軸63で連結している操作レバー64とを備えている。操作レバー64は閉状態において、その下部(支軸63を備える部分)に対して上部を、容器1から離れる方向に傾斜してある。より詳しく言えば、容器1と離れながらもその接線方向に沿うように斜め上向きに傾斜しており、このときの容器1との間隔Gを指が挿入可能な程度としてある。また、このときコック本体61内の図示しないバルブが下降しており、通路が閉じている。そして、支軸63を支点にして操作レバー64をさらに手前側に引くと、コック本体61内のバルブが上昇して通路が開いて、コック本体61の下から液体を排出させる。
【0041】
上述した本発明は、遠くから見れば真の球形状がスタンド4の上に載っているように見えるので非常に見栄えが良い。また、球形状のすぐ真下から注出管5が横方向に突出する構造になっているので、球から液体が排出されているような感覚を醸し出している。球形状のすぐ真下とは、より詳しく言えば図1に示すように、注出管5の高さが、球の直径Dの下端よりも下側であって球の直径Dの1/4の高さ範囲内にあるような場合である。
【0042】
本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、容器1と上蓋2と取っ手3から形成される球形状の表面には図8では、サッカーボールの模様を付けてあるが、バレーボール、ハンドボール、バスケットボール、ドッヂボール、或いは地球儀、星座などの模様をつけても良い。このようにすれば、サッカーなどの話をする場に、この飲料サーバを置いておくと、場の雰囲気の盛り上げにも一役買うことがある。また、中空部13は、氷を入れて使用することもできるが、断熱空間として利用することが望ましい。このようにすると、容器1の表面が結露しない。さらに、上蓋2は、上蓋キャップ22のない構造であっても良い。この場合、上蓋本体21の内面側にスティック保持部25を形成する。なお、設置部12bは、必ずしも下窄まりのテーパ形状でなくても良い。また、上蓋2や上蓋キャップ22は図では容器1や上蓋本体21から取り外すことができるように、つまり着脱可能な構造となっているが、取っ手3のように凹凸によって嵌り合って軸支するような構造として簡単には取り外せないようにしても良い。
【符号の説明】
【0043】
1容器 2上蓋
3取っ手 4スタンド
5注出管 6コック
7冷却スティック 8冷媒液
9蓄冷剤
11内壁 11a液排出口部
12外壁 12a球状部
12b設置部 12c筒状部
12d大径部 12e小径部
12f段差部 12g窪み部
12h第1の管通し窓
13中空部 14裏蓋
14a裏蓋本体 14b連結片
15容器本体 15a口部
16内体 17外体
17a収容凹部 17b被挟持部
21上蓋本体 22上蓋キャップ
23天板部 23a空隙
24係合部 25スティック保持部
25aスティック挿入口部 25b胴部収容部
26隠蔽板 27位置決め板
28把持板
31軸 31a軸保持穴
32取っ手本体 33上向き溝部
34腕部 35軸支持リブ
36本体リブ
41受台 41a上板部
41b周板部
42仮受台
42a仮受台本体 42b支持片
42c第2の管通し窓
51エルボ 51a縦管部
51b横管部 51c鍔部
51dカバー片
52ジョイントユニット 53延長管
54ナット
61コック本体 62導入管
63支軸 64操作レバー
71胴部 72鍔部
90取っ手 91長孔
92吊り手

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上向きの口部(15a)を有する容器(1)と、容器(1)の口部(15a)に被せる開閉可能な上蓋(2)と、容器(1)の底部に一端部を接続する注出管(5)と、注出管(5)の他端部に接続するコック(6)と、容器(1)の底部を保持するスタンド(4)とを備える飲料サーバにおいて、
容器(1)が、内壁(11)と外壁(12)との間に中空部(13)を備える二重壁構造であり、
外壁(12)の水平方向の両側に起伏可能な取っ手(3)を備え、
取っ手(3)を伏せた状態の場合には、外壁(12)と上蓋(2)と取っ手(3)とによって球形状が形成され、取っ手(3)を起こした状態の場合には、外壁(12)と上蓋(2)によって形成される球形状から取っ手(3)が外側に突出し、
上蓋(2)にスティック保持部(25)を備え、スティック保持部(25)に蓄冷剤(9)が封入された棒状の冷却スティック(7)を容器(1)の中に収容し得ることを特徴とする飲料サーバ。
【請求項2】
上蓋(2)は、上蓋本体(21)と、上蓋キャップ(22)とを備え、
上蓋本体(21)は、容器口部(15a)を覆う天板部(23)から有底筒状のスティック保持部(25)を垂下し、スティック保持部(25)の上端部にスティック挿入口部(25a)を備え、
上蓋キャップ(22)はスティック挿入口部(25a)を開閉するもので、
上蓋本体(21)と閉じた上蓋キャップ(22)とで球形状の上部を形成することを特徴とする請求項1記載の飲料サーバ。
【請求項3】
容器外壁(12)は、球の上部及び底部を切除した形状の球状部(12a)と、球状部(12a)の底側から下に突出する設置部(12b)とを備え、容器内壁(11)の底部とコック(6)とを接続する注出管(5)が、設置部(12b)内の中空部(13)を横方向に通過していることを特徴とする請求項1又は2記載の飲料サーバ。
【請求項4】
閉じた上蓋(2)と容器(1)との境目に、上蓋(2)を開けるための治具又は指が挿入可能な空隙(23a)を設けてあることを特徴とする請求項1、2又は3記載の飲料サーバ。
【請求項5】
閉状態のコック(6)の操作レバー(64)は、指が挿入可能な程度、容器(1)から離れる方向に傾斜していることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の飲料サーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−20698(P2011−20698A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−165825(P2009−165825)
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【出願人】(591135875)
【Fターム(参考)】