説明

飲料ディスペンサ

【課題】効率的に湯タンクの湯を昇温することができると共に、冷却水槽内を効率的に冷却して、省エネ、且つ、効率よくアイスコーヒーを製造することができる飲料ディスペンサを提供する。
【解決手段】本発明の飲料ディスペンサ1は、コーヒー原料からコーヒーを抽出するコーヒー抽出装置3と、ヒータ60を備えてコーヒー抽出装置3に供給する湯を生成する湯タンク22と、コーヒー抽出装置3にて抽出されたコーヒーを貯留するコーヒータンク4と、循環回路7に冷却水を循環させてコーヒータンク4を冷却することにより、コーヒーを冷却する冷却装置5とを備えたものであって、コーヒータンク4内のコーヒーと熱交換した後の水を湯タンク22に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒー挽き豆から成るコーヒー原料粉末からコーヒー液の抽出を行った後、所定の温度にまで冷却してアイスコーヒーとして提供することを可能とする飲料ディスペンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、レストラン等の飲食店においては、コーヒーがソフトドリンクの必須メニューとされており、通常、散湯式ドリップコーヒーが一般的に提供されている。このドリップコーヒーは、所定の粒度に粉砕されたコーヒーの挽き豆からなるコーヒー原料粉末を、所定のチャンバー内に収容し、これに上方の散水器から湯を散布してコーヒー液として抽出される(例えば特許文献1参照)。
【0003】
一方、アイスコーヒーを提供する場合には、冷水を間接的に循環させたコーヒータンクに上記装置によって抽出されたコーヒー液を貯留し、高温のドリップコーヒーを冷水によって、所定の冷却温度にまで冷却し、維持することによって、アイスコーヒーを提供していた。
【特許文献1】特許第3015249号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記装置を用いてアイスコーヒーを提供する際には、先ず、高温の湯によってドリップコーヒーを抽出する必要がある。従って、チャンバー内への湯の供給によって湯タンク内の湯量が減少すると、新たに給水が行われる。通常、湯タンクに供給される水は、水道水から直接引き込まれた水であることが多く、当該水温は比較的低い。そのため、コーヒー抽出に適した温度にまで沸き上げるためには、ある程度の時間とエネルギーが必要となり、抽出に要する時間や電力が多くなるという問題がある。
【0005】
そこで、湯タンクに設けられる加温ヒータの能力を上げることが考えられるが、コストの高騰は否めないという問題がある。
【0006】
他方、抽出された高温のコーヒー液は、コーヒータンクにおいて、循環回路を流れる冷却水と熱交換することで、所定の冷却温度にまで冷却される。ここで、循環回路には、氷が生成された冷却水槽が設けられており、当該循環回路には、冷却水槽にて冷却された低温の水が循環している。
【0007】
これにより、コーヒータンクにおける高温のコーヒー液との熱交換によって、コーヒータンク内のコーヒー液は所定の冷却温度に冷却され、他方、冷却水槽内の氷は融解する。しかし、連続してアイスコーヒーの製造が行われると、冷却水槽内の氷の生成量が不足し、全ての氷が融解してしまうと、アイスコーヒーを所定の冷却温度に冷却することができない状況が生じてしまう。
【0008】
そこで、本発明は従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、効率的に湯タンクの湯を昇温することができると共に、冷却水槽内を効率的に冷却して、省エネ、且つ、効率よくアイスコーヒーを製造することができる飲料ディスペンサを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の飲料ディスペンサは、コーヒー原料からコーヒーを抽出するコーヒー抽出装置と、ヒータを備えてコーヒー抽出装置に供給する湯を生成する湯タンクと、コーヒー抽出装置にて抽出されたコーヒーを貯留するコーヒータンクと、循環回路に冷却用の水を循環させてコーヒータンクを冷却することにより、コーヒーを冷却する冷却装置とを備えたものであって、コーヒータンク内のコーヒーと熱交換した後の水を湯タンクに供給することを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明の飲料ディスペンサは、コーヒー原料からコーヒーを抽出するコーヒー抽出装置と、ヒータを備えてコーヒー抽出装置に供給する湯を生成する湯タンクと、コーヒー抽出装置にて抽出されたコーヒーを貯留するコーヒータンクと、循環回路に冷却用の水を循環させてコーヒータンクを冷却することにより、コーヒーを冷却する冷却装置とを備えたものであって、湯タンク内の水をコーヒータンク内のコーヒーと熱交換させることを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明の飲料ディスペンサは、上記各発明において、循環回路の少なくとも一部を利用して、湯タンクに供給する水、又は、湯タンク内の水とコーヒータンク内のコーヒーとを熱交換させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、コーヒー原料からコーヒーを抽出するコーヒー抽出装置と、ヒータを備えてコーヒー抽出装置に供給する湯を生成する湯タンクと、コーヒー抽出装置にて抽出されたコーヒーを貯留するコーヒータンクと、循環回路に冷却用の水を循環させてコーヒータンクを冷却することにより、コーヒーを冷却する冷却装置とを備えた飲料ディスペンサにおいて、コーヒータンク内のコーヒーと熱交換した後の水を湯タンクに供給するので、湯タンクには、抽出後の高温のコーヒーとの熱交換によって昇温された水を供給できる。
【0013】
従って、湯タンクには、コーヒータンク内のコーヒーとの熱交換によって、ある程度の温度にまで昇温された水が供給されるため、従来の如き水を直接湯タンクに供給し、水の状態からヒータによってコーヒー抽出に適した温度にまで昇温させるのに比して、当該エネルギーを低減することができる。また、コーヒーとの熱交換によってある程度昇温された水をコーヒー抽出に適した温度にまで昇温させればよいことから、ヒータが同等の加熱能力であっても、短時間にて湯タンク内の湯を当該温度とすることが可能となる。
【0014】
一方、コーヒータンク内のコーヒーは、湯タンクに供給される前の水と熱交換することによって、あら熱を取ることができるため、循環回路を流れる冷却用の水によるコーヒーの冷却を効率的に行うことが可能となる。
【0015】
これにより、これから冷却される高温のコーヒーの持つ熱量を、これから湯タンクによって昇温される水に移行することで、熱の再利用を図ることができ、熱のロスを低減することが可能となる。そのため、装置全体としての熱効率の向上を図ることができ、省エネ化を実現することができる。また、効率的に湯タンクの湯を昇温できるため、効率的にアイスコーヒーを製造することが可能となる。
【0016】
請求項2の発明によれば、コーヒー原料からコーヒーを抽出するコーヒー抽出装置と、ヒータを備えてコーヒー抽出装置に供給する湯を生成する湯タンクと、コーヒー抽出装置にて抽出されたコーヒーを貯留するコーヒータンクと、循環回路に冷却用の水を循環させてコーヒータンクを冷却することにより、コーヒーを冷却する冷却装置とを備えた飲料ディスペンサにおいて、湯タンク内の水をコーヒータンク内のコーヒーと熱交換させるので、湯タンク内の水を抽出後の高温のコーヒーとの熱交換によって昇温することができる。
【0017】
従って、湯タンク内の水温は、コーヒータンク内のコーヒーとの熱交換によって、ある程度の温度にまで昇温されているため、従来の如き水を直接湯タンクに供給し、ヒータによってコーヒー抽出に適した温度にまで昇温させるのに比して、当該エネルギーを低減することができる。また、コーヒーとの熱交換によってある程度昇温された水をコーヒー抽出に適した温度にまで昇温させればよいことから、ヒータが同等の加熱能力であっても、短時間にて湯タンク内の湯を当該温度とすることが可能となる。
【0018】
一方、コーヒータンク内のコーヒーは、湯タンク内に供給された昇温前の水と熱交換することによって、あら熱を取ることができるため、循環回路を流れる冷却用の水によるコーヒーの冷却を効率的に行うことが可能となる。
【0019】
これにより、これから冷却される高温のコーヒーの持つ熱量を、これから湯タンクによって昇温される水に移行することで、熱の再利用を図ることができ、熱のロスを低減することが可能となる。そのため、装置全体としての熱効率の向上を図ることができ、省エネ化を実現することができる。また、効率的に湯タンクの湯を昇温できるため、効率的にアイスコーヒーを製造することが可能となる。
【0020】
請求項3の発明によれば、上記各発明において、循環回路の少なくとも一部を利用して、湯タンクに供給する水、又は、湯タンク内の水とコーヒータンク内のコーヒーとを熱交換させることにより、コーヒータンク内に格別に循環回路を設けることなく、冷却用の水を循環していた循環回路の一部を利用することで、湯タンクに供給する水、又は、湯タンク内の水と、コーヒータンク内のコーヒーとの熱交換を実現することができる。
【0021】
そのため、格別にコーヒータンク内に湯タンクに供給する水を流通させるための回路、又は、湯タンク内の水を循環させるための回路を設ける必要が無くなり、コーヒータンク自体の構成を簡素化することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、本発明の実施形態としての実施例1及び実施例2の飲料ディスペンサのそれぞれについて図面を参照しながら説明する。各実施例における飲料ディスペンサは、例えばファーストフード店などの厨房やカウンター、レストランなどの飲食店において顧客自らが飲料を取り出す、所謂、フリードリンクサービスに供される装置として設置されるものである。
【実施例1】
【0023】
まずはじめに、図1乃至図3を参照して実施例1としての飲料ディスペンサ1について詳述する。図1は本発明の実施形態に係る飲料ディスペンサ1の斜視図、図2は図1の飲料ディスペンサ1の正面図、図3は図1の飲料ディスペンサ1の正面から向かって右側の側面図をそれぞれ示している。
【0024】
この飲料ディスペンサ1は、内部にコーヒー原料からコーヒーを抽出するコーヒー抽出装置3と、当該抽出装置3にて抽出されたコーヒーを貯留するコーヒータンク4A、4Bと、当該コーヒータンク4A、4B内のコーヒーを冷却するための冷却装置5とが配設される本体2により構成される。
【0025】
本実施例におけるコーヒー抽出装置3は、コーヒー原料粉末に湯を散布することで抽出されたコーヒー液である散湯式コーヒー、即ち、ドリップコーヒーを製造するものである。
【0026】
本体2の前面上部には、このコーヒー抽出装置3を構成する散水器31が設けられており、この散水器31の下側には同じくコーヒー抽出装置3を構成する粉チャンバー6が着脱自在に取り付けられている。更に、この粉チャンバー6の下側には、タンク収容部9が構成されており、当該タンク収容部9の底面には、前後に摺動自在とされるタンク載置台9Aが設けられ、当該載置台9Aには、本体2の前面から納出自在にコーヒータンクが載置される。
【0027】
本実施例では、当該タンク載置部9に、2台のコーヒータンク4A、4Bを載置可能とされており、これらコーヒータンク4A、4Bは、前面に向かって右左に並置される。そして、このタンク収容部9の下方には、コーヒータンク4A、4Bのコーヒー取出ノズル23A、23Bの下方に位置してドリップトレイ24が設けられている。このドリップトレイ24は、内部にこぼれ落ちたコーヒー等の液体を外部に廃棄可能としている。
【0028】
そして、粉チャンバー6の上側に位置する本体2の前面上部には、前面パネル10が設けられており、この前面パネル10には、コーヒーの開始を指示する抽出ボタン11A、12Aと、これら抽出ボタンの操作に基づきコーヒーの抽出中であることを報知するための抽出ランプ11B、12B、が設けられている。
【0029】
これ以外にも、図4に示すように、当該抽出ボタン11A、12Aによる抽出条件の設定を行うキーボード13と、7セグメントLEDから成る表示部14と、販売可スイッチ15、排水スイッチ16、右タンク適温ランプ17、左タンク適温ランプ18、湯タンク適温ランプ19、電源ランプ20、点検ランプ21が設けられている。上記右タンク適温ランプ17は、右側に設置されたコーヒータンク4A(一方のコーヒータンク)内のコーヒーが適温であることを報知する報知手段であり、左タンク適温ランプ18は、左側に設置されたコーヒータンク4B(他方のコーヒータンク)内のコーヒーが適温であることを報知する報知手段である。湯タンク適温ランプ19は、後述する湯タンク22内の湯温が適温であることを報知する報知手段である。
【0030】
なお、前記粉チャンバー6は、底面の略中央に、コーヒー抽出孔6Aが形成されている。また、この粉チャンバー6は、図示しない取付部材によって、前面パネル10の下面に着脱自在、且つ、保持された状態にて水平方向、ここでは、左右方向に移動自在に取り付けられている。これによって、任意に粉チャンバー6を移動させることによって、当該コーヒー抽出装置3により抽出されるコーヒーをコーヒータンク4A又は4B上に移動可能とされる。
【0031】
一方、コーヒータンク4A、4Bは、例えばステンレス製の二重構造とされ、極めて高い保温性能を有する外タンク25と、当該外タンク25の内側に配置され、伝熱性の高い材料にて構成される図示しない内タンクとから構成される。この外タンク25と内タンクとの間は、同じく伝熱性の高い材料にて構成される複数の仕切壁によって水密的に区画されている。
【0032】
これにより、外タンク25と内タンクとの間には、タンク内循環回路30と、コーヒー通路33が交熱的に配設されている。更に、外部から供給された水道水を流通させる給水回路32が当該コーヒー通路33と交熱的に構成されている。また、これらタンク内循環回路30と、給水回路32は、それぞれ内タンクと交熱的に構成されている。
【0033】
タンク内循環回路30は、詳細は後述する冷却装置5によって所定の温度に冷却される冷却用の水(以下、冷却水と称す。)を循環する循環回路7の一部を構成するものである。そのため、タンク内循環回路30の一端には、冷却装置5によって冷却された後の冷却水をタンク内に供給する循環配管37が着脱自在に接続され、他端には、当該タンク内循環回路30を経た後の冷却水を冷却水槽70に返送するための循環配管43が接続されている。これにより、コーヒータンク4A又は4Bのタンク内循環回路30は、冷却装置5内の循環回路7と共に、環状の循環回路を構成する。
【0034】
なお、循環配管43の本体2側の端部には、コーヒータンク4側との接続を検出するためのタンク接続検出スイッチ44が設けられている。なお、コーヒータンク4Aに接続されるタンク接続検出スイッチを44Aとし、コーヒータンク4Bに接続されるタンク接続検出スイッチを44Bとする。
【0035】
給水回路32の一端には、外部から水道水(水道水に限られるものではなく、単に水であっても良い)を流入させる給水管42の一端が接続されていると共に、他端には、コーヒーと熱交換した後の水道水を湯タンク22に供給する給水管45が接続される。これにより、コーヒータンク4A又は4Bの給水回路32は、給水管42、45と、湯タンク22への一連の給水経路を構成する。
【0036】
一方、コーヒータンク4Aの上面には、当該コーヒータンク4Aの上方に配設される粉チャンバー6から抽出されたコーヒーを所定量保持し、抽出直後のコーヒーとその後に抽出されるコーヒーとを混合しつつ、円滑なコーヒータンクへの排出が可能とするトラップ装置50が設けられている。このトラップ装置50は、本実施例では、粉チャンバー6が向かって左側(一方の方向)に移動された抽出状態とされている場合において、当該粉チャンバー6のコーヒー抽出孔6Aの真下に対応する位置に設けられる。なお、粉チャンバー6が向かって右側(他方の方向)に移動された抽出状態とされている場合には、他方のコーヒータンク4Bの上面に設けられるトラップ装置50が当該粉チャンバー6のコーヒー抽出孔6Aの真下に対応することとなる。
【0037】
そして、このコーヒータンク4Aの前記内タンク底面には、外タンク25、各仕切壁及び内タンクを貫通して取出ノズル23A(コーヒータンク4Bは取出ノズル23B)が設けられる。この取出ノズル23Aには、取出コック23Cが設けられており、当該取出コック23Cを任意に操作することにより、コーヒータンク4A内に貯留されたコーヒーを外部に取り出すことが可能とされる。
【0038】
なお、この取出ノズル23Aには、コーヒータンク4Aの前面に位置して上下に延在する残量表示部52が接続されており、容易にコーヒータンク4A内のコーヒー貯留量を視認可能としている。
【0039】
次に、図5を参照して飲料ディスペンサ1の内部構成について説明する。本体2内に上述した如く収容されるコーヒー抽出装置3は、上記粉チャンバー6に加えて、湯タンク22と、湯タンク22に接続された給湯管56に介設された給湯用ポンプ(ギアポンプ)57等から構成される。湯タンク22は、二つの給水弁53、54が介設される給水管55を介して外部の水道に接続されており、これら給水弁53と54との間には、上述した如きコーヒータンク4A、4B内の給水回路32にそれぞれ接続される給水管42の一端が接続されている。当該給水管42には、コーヒータンク4A又は4B側へ給水を制御するための給水弁58(それぞれ58A、58B)が介設されている。そして、上述したようにコーヒータンク4A及び4Bの給水回路32に接続される給水管45の他端は、当該湯タンク22に接続されている。
【0040】
本実施例において湯タンク22は、少なくとも前記コーヒータンク4A又は4Bで一杯分のコーヒーを抽出するのに必要とされる量の湯を収容可能とする容量、例えば数リットルの飲料水を貯水可能なタンクである。内部には当該湯タンク22に貯留された水を例えば+93℃〜+95℃に加熱保温(+93℃以上で適温とされ、後述する制御装置Cは、前面パネル10に設けられた湯タンク適温ランプ19を点灯する。)する加熱用の電気ヒータ(ヒータ)60と水位スイッチ61が設けられる。また、湯タンク22の温度を検出するサーミスタ62及び空焚き防止用バイメタルサーモスタット63も取り付けられている。
【0041】
制御装置Cは、原則としてサーミスタ62の検出温度に基づき、湯タンク22内の温度が+93℃まで低下すると電気ヒータ60に通電し、+95℃まで上昇したら電気ヒータ60への通電を断つ通電制御を行う。水位スイッチ61は、満水位及び当該満水位から所定の水位だけ下がった位置に低水位が設けられており、制御装置Cは、原則として当該水位スイッチ61が低水位を検出した場合には、給水弁53、54を開放し、満水位を検出した場合に閉鎖する制御を行う。なお、コーヒー抽出動作に伴う湯タンク22への給水動作の詳細は後述する。
【0042】
また、図5において64は湯タンク22からの蒸気やオーバーフローした湯を前記ドリップトレイ24に排出するための蒸気管であり、この蒸気管64には沸騰防止用バイメタルサーモスタット65が取り付けられている。そして、万一制御に支障が生じて湯タンク22内の湯が沸騰してしまった場合には、この蒸気管64から出てくる蒸気や湯の温度でバイメタルサーモスタット65を切り、電気ヒータ60の通電を遮断する構成とされている。
【0043】
また、この湯タンク22の底面には、排水手動弁66が接続されている。そのため、湯タンク22のメンテナンス等を行う際には、排水手動弁66を開放することによって、湯タンク22内の湯をすべて排水することが可能となる。
【0044】
そして、この湯タンク22の上部には、ポンプ57が介設された給湯管56が接続されると共に、当該給湯管56の他端は、流量計67に接続されている。この流量計67には、抽出用電磁弁68が介設される抽出用供給管69が接続され、当該供給管69の他端は、粉チャンバー6の湯流入口に接続される。
【0045】
本実施例における流量計67は、内部に回転子を備え、流入する湯により当該回転子を回転させ、当該回転子の回転速度に応じた周波数パルスを検出することで、給湯量を検出するものである。なお、当該流量計67及び抽出用電磁弁68は制御装置Cに接続されており、流量計67の検出に基づき、ポンプ57及び抽出用電磁弁68の制御が行われる。
【0046】
次に、本体2内に設けられる冷却装置5について詳述する。この冷却装置5は、低温の水を貯留する冷却水槽70と、冷却水槽70内の水を冷却するための冷媒回路71と、冷却水槽70内の水を冷却水としてコーヒータンク4A、4Bを冷却する循環回路7と、当該循環回路7内の冷却水を循環させるための循環ポンプ73とを有する。
【0047】
冷媒回路71は、周知の冷凍サイクルを構成する冷媒回路であって、図示しない圧縮機と、凝縮器と、減圧手段と、冷却器72等を環状に接続された配管内に所定量の冷媒を封入することにより構成される。
【0048】
本実施例における冷却水槽70は、約12リットルの冷却水が貯留されており、上面に開口を有すると共に、内部には前記冷却器72が浸漬されている。そして、この冷却器72の内外には、冷却水槽70内の着氷の氷厚を検出する氷センサ74が配設されている。この氷センサ74は制御装置Cに接続され、当該氷センサ74の出力に基づき、冷却水槽70内の着氷が十分であると判断した場合には、冷媒回路71を構成する圧縮機の運転を停止する。そのため、冷却水槽70内の水は、常時0℃付近に冷却制御される。
【0049】
また、この冷却水槽70には、所定の満水位及び低水位を検出する水位スイッチ76が設けられ、上部には、オーバーフロー管77が設けられており、冷却水槽70内の水位が満水位を越える場合には、当該オーバーフロー管77を介して溢出された冷却水がドリップトレイ24に排出される構成とされている。
【0050】
そして、冷却水槽70の底面には、循環回路7を構成する循環配管78の一端が接続されており、当該循環配管78には、排水手動弁79を備えた排水管80が介設されている。そのため、冷却水槽70内のメンテナンス等を行う際には、循環ポンプ73を停止させて、排水手動弁79を開放することにより、冷却水槽70内の冷却水をすべて排水することが可能となる。他端には、循環ポンプ73及び循環電磁弁81が接続されている。なお、当該循環電磁弁81は、一方のコーヒータンク4Aへの流入を制御する循環電磁弁81Aと、他方のコーヒータンク4Bへの流入を制御する循環電磁弁81Bとから構成され、当該電磁弁81A、81Bを開閉制御することで、コーヒータンク4A又は4Bへの冷却水の循環を制御可能とする。
【0051】
各コーヒータンク4A、4Bのタンク内循環回路30には、それぞれ循環配管43の一端が接続されると共に、これらの他端は、冷却水槽70に接続される。ここで、冷却水槽70の蓋の下面には、内部にある程度の冷却水を貯留可能とする温度検出室83が形成されており、この温度検出室83内に温度センサ84が配設されている。当該温度センサ84の上方に上記各循環配管43の端部が接続されていると共に、温度検出室83の底面には、排水孔85が形成されている。
【0052】
係る構成により、温度センサ84は、冷却水槽70内に流入した直後の冷却水の温度を検出することとなり、冷却水の流入が停止されている状態では、内部の空気温度を検出することとなる。
【0053】
以上より、冷却水が循環される循環回路7は、上記配管接続によって、冷却水槽70と、循環ポンプ73と、各コーヒータンク4A、4B内の循環回路30とが環状に接続されて構成される。
【0054】
前記制御装置Cは、プログラムやデータを記憶するメモリ、クロック信号を生成するタイマ、前記クロック信号及び前記プログラムに基づいて動作するCPUを備えている。この制御装置Cは、図6の電気ブロック図に示すように、制御装置Cの入力側には、タンク接続検出スイッチ44A、44B、流量計67、サーミスタ(温度センサ)62、84、氷センサ74、水位スイッチ61、76、前面パネル10に設けられる各種ボタンやスイッチなどが接続される。また、制御装置Cの出力側には、コーヒー抽出装置3のポンプ57、電気ヒータ60、抽出用電磁弁68、給水弁53、54、58A、58B、87、冷却装置5の圧縮機等、循環ポンプ73、循環用電磁弁81A、81B等が接続され、当該制御装置Cの出力に基づき制御される。給水弁87は、直接給水管55から冷却水槽70へ給水を制御する弁装置である。
【0055】
以上の構成により、本実施例の飲料ディスペンサ1の動作について説明する。
【0056】
(1)給水
電源投入後、制御装置Cは給水弁53、54、87に通電して開放し、湯タンク22、冷却水槽70に給水を行う。なお、この状態で給水弁58(58A、58B)は閉じている。湯タンク22の水位スイッチ61が満水位を検出すると、制御装置Cは、給水弁54を閉じる。このとき、冷却水槽70内の水位スイッチ76が満水位を検出すると、制御装置Cは、給水弁87を閉じる。給水弁54、87及び58のすべてが閉じられる場合にのみ給水弁53を閉じる。その後、制御装置Cは、冷却装置5の圧縮機等の運転を開始し、冷却水槽70内の冷却を開始する。この冷却水槽70の冷却制御は、上述した如き氷センサ74により検出される着氷の氷厚が所定の厚さに達したか否かで行うものとする。従って、当該冷却制御によって、冷却水槽70内の冷却水は常に0℃付近に維持される。
【0057】
(2)湯の生成
制御装置Cは、湯タンク22内にて湯を生成する。制御装置Cは、電気ヒータ60へ通電を開始する。湯タンク22内の湯の温度が前述した+95℃まで上昇したら電気ヒータ60の通電を断つ。なお、サーミスタ62の検出に基づき湯タンク22内の湯の温度が+93℃に低下したら、再び、電気ヒータ60への通電を開始し、+95℃まで上昇した電気ヒータ60の通電を断つ温度制御を実行する。これにより、湯タンク22内には、コーヒー抽出に適した温度の湯が貯留される。なお、湯タンク22内の温度が適温とされた場合には、前面パネル10の湯タンク適温ランプ19を点灯する。
【0058】
(3)予冷
制御装置Cは、前記湯の生成と同時、若しくは、その前後において、循環回路7内の冷却水の冷却を行う。先ずはじめに、制御装置Cは、前記タンク接続検出スイッチ44A、44Bによりコーヒータンク4A、4Bが接続されているか否かを検出し、何れかのコーヒータンクが接続されている場合にのみ、循環ポンプ73を運転させ、対応する循環用電磁弁81A又は81Bを開放する。両タンク接続検出スイッチ44A、44Bにより接続が検出されている場合には、一方の循環用電磁弁、例えば81Aを開放する。
【0059】
これによって、冷却水槽70内にて冷却された冷却水は、一方のコーヒータンク4Aからタンク内循環回路30内に流入した後、本体2側の循環配管43に流入する。そして、循環配管43を経た冷却水は、冷却水槽70の温度センサ84に接触した後、冷却水槽70内に帰還する循環が行われる。
【0060】
なお、冷却水槽70には、予め約12リットル程度の冷却水が貯留されているが、コーヒータンク4Aに冷却水が循環水として供給されることで、冷却水槽70内は、当該循環回路に循環させる分、例えば約4リットルの冷却水が減少することとなる。そのため、制御装置Cは、水位スイッチ76の検出に基づき、給水弁87の開閉制御を行い、不足した分の冷却水を補うものとする。
【0061】
制御装置Cは、上記循環制御を温度センサ84の検出出力によって制御する。ここで、制御装置Cは、循環ポンプ73を運転してから所定時間経過後、例えばコーヒータンク内循環回路を経由した冷却水が冷却水槽70の温度センサ84に到達するのに十分な時間を経過した後から、温度センサ84による温度検出を実行し、当該温度が所定の冷却温度、本実施例では+8℃となった場合には、循環ポンプ73を停止し、対応する循環用電磁弁81Aを閉鎖する。これにより、当該コーヒータンク4Aは、+8℃に冷却されることとなる。なお、コーヒータンク4A内の温度が適温とされた場合には、前面パネル10の右タンク適温ランプ17を点灯する。
【0062】
その後、他方のコーヒータンク4Bの接続がタンク接続検出スイッチ44Bによって検出されている場合には、対応する他方の循環用電磁弁81Bを開放し、循環ポンプ73を運転する。これにより、上記と同様にコーヒータンク4B内に冷却水を循環させることにより、所定の温度(+8℃)に冷却する。なお、コーヒータンクBA内の温度が適温とされた場合には、前面パネル10の左タンク適温ランプ18を点灯する。
【0063】
(4)コーヒーの抽出
次に、コーヒーを抽出する場合には、先ず、粉チャンバー6内に図示しない紙フィルタを介してドリップ用の挽き豆(コーヒー原料粉末)を所定量投入して、前面パネル10下面に保持させる。その後、粉チャンバー6を抽出したコーヒーを受容させるコーヒータンクの上方に移動させ、抽出状態とする。
【0064】
そして、この抽出状態とされた後、前面パネル10に設けられた抽出ボタン11A又は12Aの何れかを操作する。なお、係る抽出ボタン11A及び12Aは、予めそれぞれコーヒー原料の蒸らし時間、蒸らし湯量、本抽出時間、本抽出湯量、本抽出回数、本抽出間の待機時間等についての抽出プログラムが設定されており、当該設定に基づき抽出が実行される。何れかの抽出ボタン11A又は12Aを操作すると、対応する抽出ランプ11B又は12Bが点灯され、抽出が開始される。
【0065】
先ず、制御装置Cは、流量計67の出力に基づきポンプ57を運転して湯タンク22から蒸らしに必要な湯量を粉チャンバー6に供給する。そして、所定の蒸らしに必要な湯量を供給した後は、先にポンプ57の停止出力に対し、ポンプ74を停止し、抽出用電磁弁68を閉鎖する。なお、本実施例では、当該蒸らしでは、湯量300ccの供給を行う。このとき、制御装置Cは、湯タンク適温ランプ19を消灯し、給水弁54、58の開放を禁止すると共に、電気ヒータ60への通電を禁止する。また、左右のタンク適温ランプ17、18は、消灯する。
【0066】
これにより、粉チャンバー6における抽出中は、湯タンク22への給水を禁止することにより、湯タンク22内の湯温が給水によって低下してしまい、コーヒー抽出に適さない温度となってしまう不都合を未然に回避することが可能となる。そのため、コーヒータンク4A等と略同一の容量程度の湯タンク22を用いても、湯タンク22内の湯温を低下させることなく、コーヒー抽出を実現することが可能となる。
【0067】
そして、上記抽出用電磁弁68を閉鎖してから所定の蒸らし時間経過した後、制御装置Cは、本抽出を開始する。本実施例では、本抽出は、70%のデューティーで500ccを3回に分けて行う。
【0068】
これらの蒸らし湯量や、蒸らし時間の設定、更には、本抽出の回数、本抽出間の待ち時間などは、上述したように顧客の要望に応じて前面パネル10のキーボード13を操作することにより、抽出ボタン11A、12Aのそれぞれに各条件をプログラムとして設定する可能とされている。
【0069】
(5)コーヒーの冷却
上述した如く湯タンク22から粉チャンバー6に湯が供給されることにより、抽出された高温のコーヒーは、コーヒー抽出孔6Aより下方に位置するコーヒータンク4A上のトラップ装置50に抽出される。
【0070】
トラップ装置50内に流入したコーヒーは、一旦トラップ装置50内に所定量となるまで保持される。所定の水位を越えたコーヒーは、連結配管を介してコーヒータンク4A壁面に構成されるコーヒー通路33内を流下する。
【0071】
一方、本抽出のための粉チャンバー6への湯の供給が終了した後、若しくは、当該終了から所定時間遅延させて、制御装置Cは、給水弁58Aを開放する。これにより、給水配管42を介して外部からの水道水がコーヒータンク4A内に形成される給水回路32内に流入する。ここで、当該給水回路32内を流通する水道水は、当該流通過程において、当該給水回路32と交熱的に設けられるコーヒー通路33更には、内タンク内の高温のコーヒーと熱交換する。
【0072】
通常、外部から直接供給される水道水の温度は、+10℃程度である(但し、環境により大きう左右されるが、少なくとも、コーヒータンク内に供給されるコーヒーの温度よりは低い)。他方、コーヒータンク4内に貯留されるコーヒーは、抽出時(+95℃)よりはある程度温度が低下し、例えば、+80℃程度である。従って、これらが流れる経路が交熱的に設けられることで、高温のコーヒーと、外部から供給される水道水とが熱交換し、水道水は、コーヒーにより昇温され、コーヒーはあら熱が取られる。
【0073】
そして、コーヒータンク内の給水回路32を経た水道水は、給水配管45を介して湯タンク22に貯留される。本実施例において制御装置Cは、水位スイッチ61の検出に基づき、湯タンク22内が所定の満水位に達したことを検出したら、前記給水弁58(ここでは、58A)を閉じる。その後、湯タンク22に設けられる電気ヒータ60を通電制御し、所定の温度にまで加熱保温する。
【0074】
これにより、湯タンク22に供給される水道水は、コーヒータンク内において高温のコーヒーと熱交換することで昇温されていることから、従来の如く直接水道水が湯タンク22に供給され、水の状態から電気ヒータ60によってコーヒー抽出に適した温度、本実施例では、+93℃〜+95℃にまで加熱させるのと比較して、当該電気ヒータ60に通電されるエネルギーを低減することが可能となる。
【0075】
また、コーヒーとの熱交換によってある程度昇温された水をコーヒー抽出に適した温度にまで昇温させればよいことから、電気ヒータ60が同等の加熱能力であっても、短時間にて湯タンク22内の湯を当該温度とすることが可能となる。
【0076】
そして、制御装置Cは、給水弁58を閉じて湯タンク22への給水を停止した後、当該コーヒータンク4Aに対応する循環電磁弁81Aを開放すると共に、循環ポンプ73を運転し、冷却水槽70内の冷却水によるコーヒータンクの冷却を開始する。
【0077】
これによって、冷却水槽70内の冷却水は、循環ポンプ73により、コーヒータンク4A内のタンク内循環回路30に循環される。従って、コーヒータンク4Aのコーヒー通路33及び内タンクは、冷却水が循環するタンク内循環回路30と交熱的に配設されているため、当該コーヒータンク4A内のコーヒーは、当該タンク内循環回路30を循環される冷却水と熱交換することで冷却される。他方、コーヒータンク4Aにおいて、コーヒーと熱交換することで冷熱が奪われた冷却水は、循環配管43を介して冷却水槽70に帰還する。
【0078】
制御装置Cは、冷却水槽70に設けられる温度センサ84の検出温度が所定の冷却温度、本実施例では+8℃に達したか否かを判断し、+8℃に達した時点で、冷却装置5を構成する循環ポンプ73を停止し、循環用電磁弁81Aを閉鎖して冷却運転を終了する。
【0079】
このとき、冷却水槽70内の冷却水と熱交換するコーヒータンク4A内のコーヒーは、上述したように、はじめに外部から湯タンク22内に供給するための水道水を熱交換したすることで、あら熱が取られている。そのため、従来の如く抽出直後の高温のコーヒーとはじめから0℃付近の冷却水と熱交換する場合と比して、循環回路7を流れる冷却水の温度上昇を抑制することができる。これにより、例えば、一回のコーヒー抽出動作が終了した時点で、冷却水槽70内に生成されているすべての氷が融解してしまい、以後、冷却水の温度が高くなってしまうことで、循環回路7を流れる冷却水によるコーヒーの冷却効率が低下してしまう不都合を未然に回避することが可能となる。従って、コーヒー抽出動作を連続して行う場合であっても、冷却水槽70内の氷がすべて融解し、二回目のコーヒー抽出後の冷却効率が格段に低下してしまう不都合を回避することが可能となり、連続したアイスコーヒーの製造が可能となる。
【0080】
このように、これから冷却される高温のコーヒーの持つ熱量を、これから湯タンク22によって昇温される水に移行することで、熱の再利用を図ることができ、熱のロスを低減することが可能となる。そのため、飲料ディスペンサ1全体としての熱効率の向上を図ることができ、省エネ化を実現することができる。また、効率的に湯タンク22の湯を昇温できるため、効率的にアイスコーヒーを製造することが可能となる。
【実施例2】
【0081】
次に、他の実施例としての飲料ディスペンサについて図7の本体の内部構成図を参照して説明する。図7において上記実施例において示した5図と同一の符号が付されているものは、略同一の構成及び効果を奏するものであり、説明を省略する。
【0082】
上記実施例では、湯タンク22に供給される水道水は、給水弁58が介設される給水管42をコーヒータンク4A、4Bのそれぞれに形成される給水回路32に接続し、当該給水回路32の流出側に接続される給水管45を介して湯タンク22に貯留されるものである。
【0083】
これに対し、係る実施例では、上記実施例における湯タンク22の上部には、ポンプ57が介設された給湯管56が接続されると共に、当該給湯管56の他端は、流量計67に接続されている。この流量計67には、抽出用電磁弁68が介設される抽出用供給管69が接続され、当該供給管69の他端は、粉チャンバー6の湯流入口に接続される。
【0084】
また、抽出用電磁弁68の上流側には、循環電磁弁47が介設された循環配管46が接続されている。当該循環配管46は、コーヒータンク4A、4Bのそれぞれに対し設けられており、コーヒータンク4A内に設けられる給水回路43の一端には、当該コーヒータンク4Aへの循環を制御する循環電磁弁47が設けられた循環配管46が接続され、コーヒータンク4B内に設けられる給水回路43の一端には、当該コーヒータンク4Bへの循環を制御する循環電磁弁47が設けられた循環配管46が接続されている。
【0085】
そして、それぞれのコーヒータンク4A、4Bの給水回路43の他端には、それぞれ一端が湯タンク22に接続された循環配管48が接続されている。これにより、湯タンク22、循環ポンプ57、流量計67、循環配管46、循環電磁弁47、コーヒータンク4A、4Bの給水回路32、循環配管48が順次接続されることで、環状の循環回路が構成される。
【0086】
係る構成により、当該実施例における飲料ディスペンサの動作について説明する。
【0087】
(1)給水
電源投入後、制御装置Cは給水弁53、54、87に通電して開放し、湯タンク22、冷却水槽70に給水を行う。湯タンク22の水位スイッチ61が満水位を検出すると、制御装置Cは、給水弁54を閉じる。このとき、冷却水槽70内の水位スイッチ76が満水位を検出すると、制御装置Cは、給水弁87を閉じる。その後、制御装置Cは、冷却装置5の圧縮機等の運転を開始し、上記実施例と同様に冷却水槽70内の冷却を開始する。その後、上記実施例と同様に湯の生成、コーヒータンクの予冷、コーヒーの抽出動作を行う。
【0088】
(2)コーヒーの冷却
上述した如く湯タンク22から粉チャンバー6に湯が供給されることにより、抽出された高温のコーヒーは、コーヒー抽出孔6Aより下方に位置するコーヒータンク4A上のトラップ装置50を介してコーヒータンク4A又は4Bに貯留される。
【0089】
一方、本抽出のための粉チャンバー6への湯の供給が終了した後、制御装置Cは、給水弁54を開放し、再び湯タンク22への給水を行う。湯タンク22の水位スイッチ61が満水位を検出すると、制御装置Cは、給水弁54、抽出用電磁弁84を閉じると共に、対応するコーヒータンク4A側に接続される循環電磁弁47を開放し、循環ポンプ57を運転する。
【0090】
これにより、湯タンク22に供給された未だ電気ヒータ60により加熱されていない水道水は、ポンプ57によって、散水器31ではなく、開放された循環電磁弁47が介設される循環配管46を介してコーヒータンク4Aの給水回路32に送られる。ここで、当該給水回路32内を流通する水道水は、当該流通過程において、当該給水回路32と交熱的に設けられるコーヒー通路33更には、内タンク内の高温のコーヒーと熱交換する。
【0091】
通常、外部から直接湯タンク22に供給されたばかりの水道水の温度は、+10℃程度である(但し、環境により大きう左右されるが、少なくとも、コーヒータンク内に供給されるコーヒーの温度よりは低い)。他方、コーヒータンク4内に貯留されるコーヒーは、抽出時(+95℃)よりはある程度温度が低下し、例えば、+80℃程度である。従って、これらが流れる経路が交熱的に設けられることで、高温のコーヒーと、外部から供給される水道水とが熱交換し、水道水は、コーヒーにより昇温され、コーヒーはあら熱が取られる。
【0092】
そして、コーヒータンク内の給水回路32を経た水道水は、循環配管48を介して湯タンク22に帰還し、再びポンプ57によって、当該循環を繰り返す。そして、制御装置Cは、湯タンク22内の温度を検出するサーミスタ62が所定の予熱終了温度、例えば、+30℃乃至+40℃であって、予め設定した温度に達したことを検出すると、湯タンクの予熱が終了したものと判断し、ポンプ57を停止して、循環電磁弁47を閉じる。その後、湯タンク22に設けられる電気ヒータ60を通電制御し、所定の温度にまで加熱保温する。
【0093】
これにより、湯タンク22内に貯留された水道水は、コーヒータンク内において高温のコーヒーと熱交換することで昇温されるため、従来の如く直接水道水が湯タンク22に供給され、水の状態から電気ヒータ60によってコーヒー抽出に適した温度、本実施例では、+93℃〜+95℃にまで加熱させるのと比較して、当該電気ヒータ60に通電されるエネルギーを低減することが可能となる。
【0094】
また、コーヒーとの熱交換によってある程度昇温された水をコーヒー抽出に適した温度にまで昇温させればよいことから、電気ヒータ60が同等の加熱能力であっても、短時間にて湯タンク22内の湯を当該温度とすることが可能となる。
【0095】
そして、制御装置Cは、循環電磁弁47を閉じて湯タンク22とコーヒータンク4Aの給水回路32の循環を停止した後、当該コーヒータンク4Aに対応する循環電磁弁81Aを開放すると共に、循環ポンプ73を運転し、上記実施例と同様に冷却水槽70内の冷却水によるコーヒータンクの冷却を開始する。
【0096】
これにより、コーヒータンク4A内のコーヒーは、湯タンク22内の昇温前の水と熱交換することによって、あら熱を取ることができるため、循環回路7を流れる冷却水によるコーヒーの冷却を効率的に行うことが可能となる。そのため、従来の如く抽出直後の高温のコーヒーとはじめから0℃付近の冷却水と熱交換する場合と比して、循環回路7を流れる冷却水の温度上昇を抑制することができる。これにより、例えば、一回のコーヒー抽出動作が終了した時点で、冷却水槽70内に生成されているすべての氷が融解してしまい、以後、冷却水の温度が高くなってしまうことで、循環回路7を流れる冷却水によるコーヒーの冷却効率が低下してしまう不都合を未然に回避することが可能となる。従って、コーヒー抽出動作を連続して行う場合であっても、冷却水槽70内の氷がすべて融解し、二回目のコーヒー抽出後の冷却効率が格段に低下してしまう不都合を回避することが可能となり、連続したアイスコーヒーの製造が可能となる。
【0097】
このように、これから冷却される高温のコーヒーの持つ熱量を、これから湯タンク22によって昇温される水に移行することで、熱の再利用を図ることができ、熱のロスを低減することが可能となる。そのため、飲料ディスペンサ全体としての熱効率の向上を図ることができ、省エネ化を実現することができる。また、効率的に湯タンク22の湯を昇温できるため、効率的にアイスコーヒーを製造することが可能となる。
【0098】
また、上記各実施例では、コーヒータンク4A又は4B内にコーヒー通路33や内タンクと交熱的に配設されるタンク内循環回路30及び給水回路32は、別途構成されていることから、タンク内循環回路30内を流れる冷却水と、給水回路32を流れ、且つ、以後コーヒーの抽出に用いられる湯タンク22内の水とが別回路を流れることとなり、衛生上好ましい。
【0099】
ただし、タンク内循環回路30を流れる冷却水を飲料用水として用いることができる管理を行うことができるものであれば、循環回路7の少なくとも一部であるコーヒータンク4A、4B内のタンク内循環回路30を利用して、上述したように湯タンク22に供給する水、又は、湯タンク22内の水とコーヒータンク4A、4B内のコーヒーとを熱交換させることにより、コーヒータンク4A、4B内に格別に給水回路(循環回路)32を設けることなく、冷却水を循環していた循環回路7の一部、即ち、タンク内循環回路30を利用することで、湯タンク22に供給する水、又は、湯タンク22内の水と、コーヒータンク内のコーヒーとの熱交換を実現することができる。
【0100】
そのため、格別にコーヒータンク内に湯タンク22に供給する水を流通させるための回路、又は、湯タンク内の水を循環させるための回路を設ける必要が無くなり、コーヒータンク自体の構成を簡素化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の実施形態に係る飲料ディスペンサの斜視図である。
【図2】図1の飲料ディスペンサの正面図である。
【図3】図1の飲料ディスペンサの正面から向かって右側の側面図である。
【図4】前面パネル及びコーヒー抽出装置の正面図である。
【図5】飲料ディスペンサの本体の内部構成図である。
【図6】制御装置の電気ブロック図である。
【図7】他の実施例としての飲料ディスペンサの本体の内部構成図である。
【符号の説明】
【0102】
C 制御装置
1 飲料ディスペンサ
2 本体
3 コーヒー抽出装置
4A、4B コーヒータンク
5 冷却装置
6 粉チャンバー
6A コーヒー抽出孔
7 循環回路
10 前面パネル
11A、12A 抽出ボタン
11B、12B 抽出ランプ
22 湯タンク
25 外タンク
30 タンク内循環回路
31 散水器
32 給水回路
33 コーヒー通路
37、43、46、48、78 循環配管
42、45、55 給水管
47、81 循環電磁弁
50 トラップ装置
53、54、58、87 給水弁
56 給湯管
57 給湯用ポンプ
60 電気ヒータ(ヒータ)
61 水位スイッチ
62 サーミスタ
67 流量計
68 抽出用電磁弁
69 抽出用供給管
70 冷却水槽
73 循環ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーヒー原料からコーヒーを抽出するコーヒー抽出装置と、ヒータを備えて前記コーヒー抽出装置に供給する湯を生成する湯タンクと、前記コーヒー抽出装置にて抽出されたコーヒーを貯留するコーヒータンクと、循環回路に冷却用の水を循環させて前記コーヒータンクを冷却することにより、前記コーヒーを冷却する冷却装置とを備えた飲料ディスペンサにおいて、
前記コーヒータンク内のコーヒーと熱交換した後の水を前記湯タンクに供給することを特徴とする飲料ディスペンサ。
【請求項2】
コーヒー原料からコーヒーを抽出するコーヒー抽出装置と、ヒータを備えて前記コーヒー抽出装置に供給する湯を生成する湯タンクと、前記コーヒー抽出装置にて抽出されたコーヒーを貯留するコーヒータンクと、循環回路に冷却用の水を循環させて前記コーヒータンクを冷却することにより、前記コーヒーを冷却する冷却装置とを備えた飲料ディスペンサにおいて、
前記湯タンク内の水を前記コーヒータンク内のコーヒーと熱交換させることを特徴とする飲料ディスペンサ。
【請求項3】
前記循環回路の少なくとも一部を利用して、前記湯タンクに供給する水、又は、前記湯タンク内の水と前記コーヒータンク内のコーヒーとを熱交換させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の飲料ディスペンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−72352(P2009−72352A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−243753(P2007−243753)
【出願日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】