説明

飲料供給機及び飲料供給機を用いて飲料を供給する方法

【課題】飲料の原料を希釈用の液体に十分に混合・溶解させた飲料の所望の温度での供給を可能にする飲料供給機及び飲料供給機を用いて飲料を供給する方法を提供することを課題とする。
【解決手段】飲料供給機101は、飲料を貯留するための飲料タンク6と、飲料タンク6内の飲料を冷却するための冷凍回路20の冷却パイプ21と、飲料タンク6内の飲料を加熱するためのヒータ装置30と、飲料タンク6内の飲料を攪拌する攪拌羽根11、主動磁気カップリング12及び電動モータ10とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は飲料供給機及び飲料供給機を用いて飲料を供給する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、飲料冷却機が記載されており、この飲料冷却機は、飲料を貯める冷却タンクの胴部外周に高熱伝導性材料からなる伝熱部材が巻き付けられ、さらに、伝熱部材の外周に蒸発管が巻き付けられている。蒸発管は、飲料冷却機が備える冷凍装置の一部の蒸発器として作用し、蒸発管内を流通する冷媒は、伝熱部材及び冷却タンクを介して冷却タンク内の飲料と熱交換を行って飲料から吸熱して気化し、これにより、飲料が冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−170868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の飲料冷却機は、冷却タンク内に貯められた飲料を冷却して所望の温度で供給することができるが、冷却機能しか有していないことから、濃縮液、粉末状又は固形の飲料の原料を水等の液体で希釈する飲料を使用する場合、飲料の原料を液体に十分に混合して溶解させることができないため、飲料を別個に生成した後に冷却タンクに貯める必要があり、その使用に手間を要するという問題がある。
【0005】
この発明はこのような問題点を解決するためになされたものであり、濃縮液、粉末状又は固形の飲料の原料を希釈用の液体に十分に混合・溶解させた飲料を所望の温度で供給することを可能にする飲料供給機及び飲料供給機を用いて飲料を供給する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、この発明に係る飲料供給機は、飲料を供給する飲料供給機において、飲料を貯留するための飲料タンクと、飲料タンク内の飲料を冷却するための冷却装置と、飲料タンク内の飲料を加熱するための加熱装置と、飲料タンク内の飲料を攪拌する攪拌装置とを備える。
【0007】
攪拌装置は、飲料タンクの内部に設けられ回転することにより飲料タンク内の飲料を攪拌する攪拌羽根と、飲料タンクの外部に設けられ攪拌羽根を回転駆動する駆動装置とを有し、駆動装置は、回転可能な駆動軸と、飲料タンクの壁に対向させて設けられ且つ駆動軸に連結された磁性体とを有し、攪拌羽根は、磁性を有し且つ飲料タンクの壁を挟んで磁性体と対向させて配置され、磁性体との間の磁力を介して駆動装置により回転されてもよい。
また、上記飲料供給機は、飲料タンク、冷却装置及び加熱装置を覆う筐体と、筐体の下部で筐体を支持するベース部とをさらに備え、飲料タンクは、ベース部によって支持されてもよい。
【0008】
また、この発明に係る飲料供給機を用いて飲料を供給する方法は、飲料の原料及び希釈用の液体を飲料タンクに供給するステップと、飲料タンク内の飲料の原料及び液体を、攪拌装置を用いて攪拌・混合しつつ加熱装置を用いて第一所定温度まで加熱するステップと、第一所定温度まで加熱した飲料の原料及び液体の混合物を、攪拌装置を用いて攪拌しつつ冷却装置を用いて第二所定温度まで冷却するステップとを含む。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係る飲料供給機及び飲料供給機を用いて飲料を供給する方法によれば、飲料の原料を希釈用の液体に十分に混合・溶解させた飲料を所望の温度で供給することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態に係る飲料供給機の斜視図である。
【図2】図1のx−x線及びy−y線を含む面をIIの方向より見た断面側面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿った断面図である。
【図4】図1の攪拌羽根の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
まず、この発明の実施の形態に係る飲料供給機101の構成を説明する。なお、飲料供給機101は、内部に飲料を貯留し、貯留した飲料を加熱及び冷却することができる構成を有している。
【0012】
図1を参照すると、水平面上に配置されている飲料供給機101は、内部に飲料タンク6(図2参照)、飲料を加熱するための電気式のヒータ装置30(図2参照)、及び飲料を冷却するための冷凍回路20(図2参照)をその内部に有する略直方体形状の筐体1を備えている。筐体1の上壁1aには、内部の飲料タンク6に連通する開口部1aaが形成されており、さらに、この開口部1aaを閉鎖するための蓋体2が設けられている。なお、飲料供給機101は、蓋体2及び上壁1aを上方として設置されて使用される。
【0013】
また、筐体1における利用者が飲料の提供を受ける側である前方側の前壁1bからは、飲料タンク6(図2参照)から延びる飲料供給管5(図2参照)を内部に含む円筒状をした注出部1bbが前壁1bと一体に突出している。さらに、注出部1bbの先端には、注出コック3が取り付けられており、注出コック3は、飲料を注出するための注出口部3aと、注出コック3内部の図示しない弁体を作動させるための操作レバー3bとを有している。操作レバー3bは、人の手等で押し下げることができ、押し下げている手を離すことで元の位置に戻る。そして、操作レバー3bが押し下げられることによって注出コック3内部の弁体が動作し、それにより注出口部3aの内部と飲料供給管5とが連通し、さらに、所定の時間経過後、弁体が元の位置に自動的に戻り注出口部3aの内部と飲料供給管5との連通を遮断する。つまり、注出コック3は、一回の操作で一定量の飲料を注出する定量注出コックである。
【0014】
また、筐体1の前壁1bでは、注出コック3からの飲料の提供時にコップ等を持った人の手が前壁1bにあたらないように、注出部1bbの下方に凹部1baが形成されている。
また、筐体1の前壁1bにおいて、注出部1bb及び凹部1baの側方には、飲料タンク6(図2参照)の内部の飲料の温度を設定するための操作盤4bと、飲料供給機101の電源をON又はOFFするための電源スイッチ4aとが設けられている。操作盤4b及び電源スイッチ4aは、筐体1内に設けられた飲料供給機101の制御装置50(図2参照)と電気的に接続されている。
【0015】
図2を参照すると、飲料供給機101の筐体1の内部の底部には、飲料供給機101の基礎としてのベース部を構成するベース板8が設けられている。そして、筐体1はベース板8によって下部が支持されている。
また、筐体1の内部には、上壁1aの開口部1aaに連通する開口部6aaで上方に開口する飲料タンク6が設けられている。飲料タンク6は、円筒状の側壁6aと円板状の底壁6bとによって構成されている。側壁6a及び底壁6bは、熱伝導性が高い金属材料から形成され、例えばアルミニウム合金又はステンレス合金から形成されている。そして、蓋体2によって、飲料タンク6の開口部6aa及び筐体1の開口部1aaが閉鎖される。
【0016】
さらに、図3に示すように飲料タンク6の側壁6aの両側には、ベース板8に連結された下部から上方に向かって延びる2つの柱状の支持部材7が連結されている。そして、飲料タンク6は、支持部材7を介してベース板8によって支持されている。
【0017】
図2に戻り、飲料タンク6の底壁6bからは飲料供給管5が延びており、飲料供給管5は、筐体1の注出部1bbの内側を通って注出コック3の注出口部3aと接続されている。
また、冷却パイプ21が、飲料タンク6の側壁6a及び支持部材7(図3参照)の外側から、側壁6aの周囲の全体にわたって螺旋状に巻き付けられている。さらに、冷却パイプ21は、筐体1の内部に設けられている冷凍回路20の一部を構成している。
ここで、冷凍回路20及びその冷却パイプ21は、冷却装置を構成している。
【0018】
冷凍回路20は、冷媒が流通するように構成されており、冷媒を圧縮する電動圧縮機22、内部を流通させる冷媒と電動ファン23aによって送られる外部空気とを熱交換させて冷媒を凝縮させるコンデンサ23、流通する冷媒を減圧し膨張させる膨張弁24、及び、内部を流通させる冷媒と外部とを熱交換させて冷媒を気化させる蒸発器として作用する冷却パイプ21によって構成されている。そして、電動圧縮機22、電動ファン23a及びコンデンサ23は、ベース板8の近傍でベース板8によって支持されている。
さらに、電動圧縮機22の吐出側、コンデンサ23及び膨張弁24は、順次管路を介して連通している。そして、膨張弁24が、冷却パイプ21の下方側の端部21aに管路を介して連通し、電動圧縮機22の吸入側が、冷却パイプ21の上方側の端部21bに管路を介して連通している。
【0019】
このため、冷媒は、電動圧縮機22で圧縮されて高温高圧の気体状態で吐出された後、コンデンサ23で外部空気に熱を放出して凝縮し、さらに、膨張弁24で減圧された後、冷却パイプ21で飲料タンク6つまり飲料タンク6内の飲料から熱を吸収して気化し、電動圧縮機22で再び圧縮される。よって、冷媒は、電動圧縮機22から、コンデンサ23、膨張弁24及び冷却パイプ21を流通して電動圧縮機22に戻る経路を循環する。
なお、電動圧縮機22及び膨張弁24は、制御装置50と電気的に接続され、制御装置50の制御に従って動作する。
【0020】
また、飲料タンク6の底壁6b外側には、円板状をした主動磁気カップリング12が、その円形をした平坦な上面12aを底壁6bに対面させるようにして、底壁6bの中心に設けられている。さらに、主動磁気カップリング12では、その上面12aに周方向に沿って複数の永久磁石12cが埋め込まれ、上面12aと対向する下面12bの中心には、筐体1内に設けられた電動モータ10から延びる駆動軸10aが連結されている。そして、電動モータ10は、制御装置50と電気的に接続され、制御装置50の制御に従って動作し、駆動軸10aを中心に主動磁気カップリング12を回転させる。
【0021】
また、飲料タンク6の内部では、底壁6b上に攪拌羽根11が載置されている。攪拌羽根11は、円板状をした従動磁気カップリング11aと、従動磁気カップリング11aの側方の円筒面から放射状に延びる攪拌翼部11bとを有している。さらに、従動磁気カップリング11aでは、底壁6b側の円形をした平坦な下面11a1に、周方向に沿って複数の永久磁石11cが埋め込まれている。そして、攪拌羽根11は、従動磁気カップリング11aが底壁6bの中心に位置するように配置され、このとき、従動磁気カップリング11aの永久磁石11cが、主動磁気カップリング12の永久磁石12cと対向するように構成されている。
【0022】
これにより、電動モータ10から回転駆動力が与えられると、主動磁気カップリング12は、駆動軸10aを中心に周方向に回転し、このとき、永久磁石11cと永久磁石12cとの間の互いに引き付け合う磁力によって、主動磁気カップリング12と共に攪拌羽根11の従動磁気カップリング11aが攪拌翼部11bと共に周方向に回転する。
ここで、電動モータ10は攪拌装置の駆動装置を構成し、主動磁気カップリング12は攪拌装置の磁性体を構成し、攪拌羽根11は、攪拌装置の攪拌羽根を構成している。
【0023】
また、飲料タンク6の底壁6b及び主動磁気カップリング12を下方外側から覆うようにして、ヒータ装置30が設けられている。ヒータ装置30は、底壁6bと接触して配置され、さらに、制御装置50と電気的に接続され、制御装置50の制御に従って動作する。
ここで、ヒータ装置30は、加熱装置を構成している。
さらに、飲料タンク6の側壁6aの底壁6b側には、飲料タンク6内の飲料の温度を測定するための温度センサ9が設けられている。温度センサ9は、制御装置50と電気的に接続され、制御装置50に温度情報を送信する。
また、筐体1の内部において、飲料タンク6、冷却パイプ21及びヒータ装置30を外側から覆うようにして、断熱材40が設けられている。
【0024】
次に、この発明の実施の形態に係る飲料供給機101の動作を説明する。
図1を参照すると、飲料供給機101の利用者は、上部の蓋体2を開け、飲料タンク6(図2参照)に飲料の原料となる濃縮液、粉末原料又は固形原料と希釈用の液体である水とを注ぎ込み、筐体1の前壁1bの電源スイッチ4aを押して電源をON状態とし飲料供給機101を作動させる。
さらに、利用者は、筐体1の前壁1bの操作盤4bのボタンを操作し、表示窓に表示される温度を所望の温度に合わせる。
【0025】
例えば粉ミルクのような飲料を作る場合、操作盤4bでは、40℃程度の温度に設定される。
このとき、図2を参照すると、操作盤4b(図1参照)で設定された温度情報は、筐体1の内部の制御装置50によって受信され、制御装置50は、飲料タンク6内の飲料の原料である濃縮液、粉末原料又は固形原料の水への溶解を促進させ且つ十分に行うために、ヒータ装置30を起動すると共に電動モータ10を起動する。
【0026】
起動したヒータ装置30は、飲料タンク6の底壁6bを加熱し、それによって、底壁6bを介して飲料タンク6内の水が加熱される。そして、制御装置50は、温度センサ9が検出する温度が第一所定温度である80℃になるまでヒータ装置30を稼動させて飲料タンク6内の水を昇温する。このため、飲料の原料の水への溶解が促進する。
【0027】
また、起動した電動モータ10は、駆動軸10aを介して主動磁気カップリング12を回転駆動し、それにより、主動磁気カップリング12の永久磁石12cと攪拌羽根11の永久磁石11cとの間の磁力の作用によって、主動磁気カップリング12と共に攪拌羽根11が、飲料タンク6の底壁6b上で回転し、飲料タンク6内の飲料の原料と水とを攪拌・混合する。これによって、飲料の原料の分布が均一になると共に、ヒータ装置30で昇温された高温の水が分散されて水の温度が均一になり、飲料タンク6内の水全体にわたって飲料の原料の水への溶解が促進され且つ均一になる。
そして、上述の加熱及び攪拌の2つの作用によって、飲料の原料が水へ迅速に且つ十分に溶解すると共に均一に溶解した混合物である飲料が生成される。
【0028】
さらに、温度センサ9が検出する飲料の温度が第一所定温度(この場合80℃)となると、制御装置50は、ヒータ装置30を停止して飲料の加熱を中止し、冷凍回路20の電動圧縮機22を起動すると共に、膨張弁24を動作させる。これによって、冷却パイプ21では、内部を流通する冷媒が飲料タンク6の側壁6aを介して飲料タンク6内の飲料と熱交換を行う。このとき、冷却パイプ21内を流通する冷媒は、飲料タンク6内の飲料から吸熱して気化し、それによって、飲料タンク6内の飲料が冷却される。さらに、飲料タンク6の側壁6a近傍の冷却された飲料が攪拌羽根11によって攪拌され、飲料全体の温度が均一化される。そして、温度センサ9が検出する飲料の温度が第二所定温度である設定温度(この場合40℃)となると、制御装置50は、電動圧縮機22及び電動モータ10を停止して冷却及び攪拌を中止する。これによって、設定温度での飲料が生成される。そして、制御装置50は、温度センサ9からの温度情報に基づき、ヒータ装置30及び電動モータ10、又は、電動圧縮機22及び電動モータ10を適宜稼動させ、飲料タンク6内の飲料を設定温度に維持する。
【0029】
また、利用者が飲料タンク6内の飲料の供給を受ける場合、注出コック3の操作レバー3bを押し下げると、飲料タンク6内の飲料が重力の作用によって飲料供給管5を通過して注出口部3aから注出され、さらに、操作レバー3bを1回押し下げる毎に所定量の飲料が注出される。このため、利用者は、計量器具を用いることなく所定量の飲料の供給を受ける。
【0030】
また、飲料の原料の濃縮液、粉末原料又は固形原料と水とから例えば5℃程度の冷飲料を生成する場合も、飲料供給機101では、飲料の原料及び水がヒータ装置30によって加熱された後、冷凍回路20によって所望の設定温度に冷却される。一方、例えば80℃程度の温飲料を生成する場合、飲料供給機101では、ヒータ装置30を使用した加熱によって飲料が生成される。
【0031】
上述で説明したように、この発明に係る飲料供給機101は、飲料を貯留するための飲料タンク6と、飲料タンク6内の飲料を冷却するための冷凍回路20の冷却パイプ21と、飲料タンク6内の飲料を加熱するためのヒータ装置30と、飲料タンク6内の飲料を攪拌する攪拌羽根11、主動磁気カップリング12及び電動モータ10とを備える。
【0032】
これによって、飲料供給機101において濃縮液、粉末状又は固形の飲料の原料と希釈用の水とを混合させる飲料を貯留する場合、飲料の原料と水とを混合して飲料を生成する際には、飲料の原料と水とを攪拌羽根11で攪拌・混合しつつヒータ装置30で加熱して高温にすることによって、飲料の原料を均一に且つ溶け残りがなく十分に水に溶解させることができる。さらに、飲料の原料が水に溶解して生成された飲料を冷凍回路20の冷却パイプ21で冷却しつつ攪拌羽根11で攪拌することによって、飲料全体を均一な所望の温度にすることができる。また、飲料供給機101では、飲料タンク6内に貯留中の飲料に対しても、ヒータ装置30による加熱、冷却パイプ21による冷却、及び攪拌羽根11による攪拌を併用して所望の温度に維持することができる。よって、飲料供給機101は、濃縮液、粉末状又は固形の飲料の原料を希釈用の水に十分に混合・溶解させた飲料を所望の温度で供給することを可能にする。
【0033】
また、飲料供給機101において、攪拌羽根11は、飲料タンク6の内部に設けられ回転することにより飲料タンク6内の飲料を攪拌し、電動モータ10は、飲料タンク6の外部に設けられ攪拌羽根11を回転駆動する。電動モータ10は、回転可能な駆動軸10aと、飲料タンク6の底壁6bに対向させて設けられ且つ駆動軸10aに連結された主動磁気カップリング12とを有し、攪拌羽根11は、磁性を有し且つ飲料タンク6の底壁6bを挟んで主動磁気カップリング12と対向させて配置され、主動磁気カップリング12との間の磁力を介して電動モータ10により回転される。
【0034】
これによって、飲料タンク6の底壁6bを貫通し攪拌羽根11に直接連結される駆動軸がなく、攪拌羽根11は、飲料タンク6の底壁6b上に載置するのみでよい。このため、濃縮液、粉末状又は固形の飲料の原料が溶解せずに駆動軸周りに溜まることを防ぎ、飲料の原料を水へ十分に溶解させることができる。また、電動モータ10の駆動軸10aと連結されていない攪拌羽根11は、その取り付け及び取り外しが容易となるため、清掃等のメンテナンス性が向上する。さらに、駆動軸10aが飲料タンク6の底壁6bを貫通する場合に必要な駆動軸10aと底壁6bとの間のシールが不要となり、コストを低減すると共に耐久性を向上させることができる。
【0035】
また、飲料供給機101が電動モータ10で回転駆動する攪拌羽根11を備えることによって、ヒータ装置30により高熱量で飲料の原料及び水を加熱する場合であっても、水が局所で沸騰することがないため、生成した飲料の風味が損なわれることが抑えられる。このため、飲料を劣化させることなく、飲料の原料及び水を急速に加熱することができる。さらに、飲料供給機101が電動モータ10で回転駆動する攪拌羽根11を備えることによって、飲料タンク6内を均一な温度で上昇させることができるため、例えば、日本酒のように高温にさらされるとアルコール分が飛び、風味が変わってしまう飲料の加熱も急速に行うことができる。よって、飲料を急速に加熱することができるため、飲料タンク6内の飲料のストック量を低減することができ、それにより、余剰な廃棄すべき飲料の量を低減することができる。
【0036】
また、容易に取り付け及び取り外しを行うことができる攪拌羽根11を、図4に示すような攪拌羽根211に交換することによって、飲料タンク6内を洗浄することができる。攪拌羽根211は、攪拌羽根11と同様の構成を有しており、従動磁気カップリング211aと、従動磁気カップリング211aから延出する攪拌翼部211bと、従動磁気カップリング211aに埋め込まれた永久磁石211cとを有している。さらに、攪拌羽根211は、従動磁気カップリング211aの下面211a1と攪拌翼部211bの底壁6b側とに、ブラシ状に植えられた多数の毛211dを有している。このため、攪拌羽根211を回転させると、ブラシ状の毛211dが底壁6bに対して周方向に移動しつつ擦りつけられ、底壁6bの付着物等が直接的に除去されて図示しない排出口から排出される。よって、飲料タンク6内を高い効果で洗浄することができると共に、飲料タンク6内の洗浄操作の負荷を攪拌羽根211への交換だけですむ軽減したものとすることができる。
【0037】
また、飲料供給機101は、飲料タンク6、冷凍回路20及びヒータ装置30を覆う筐体1と、筐体1の下部で筐体1を支持するベース板8とをさらに備え、飲料タンク6は、ベース板8によって支持されている。これによって、注出コック3、操作盤4b等が設けられて利用者が直接手を触れる筐体1は、高温の飲料を含む飲料タンク6と熱的に結合していないため高温にならず、飲料タンク6と熱的に結合しているが利用者が直接手を触れることがないベース板8が昇温するため、利用者の火傷を防ぐことができる。さらに、筐体1が高温にならないため、筐体1に、電源スイッチ4a、操作盤4b等の熱により機能が悪影響を受ける装置を配置することができる。また、ベース板8の近傍には、空気をコンデンサ23に送りそのまま筐体1の外部に排出させる電動ファン23aが設けられているため、電動ファン23aによってベース板8の熱が筐体1の外部に排出され、ベース板8の過度な昇温を抑えることができる。それによって、ベース板8を介して筐体1の温度が上昇するのを抑えることができる。
【0038】
また、実施の形態の飲料供給機101では、攪拌羽根11,211を、その従動磁気カップリング11a,211aと、飲料タンク6の底壁6bを挟んで配置された主動磁気カップリング12との間の磁力を利用して回転動作させていたが、これに限定されるものでない。電動モータ10からの駆動軸10aに底壁6bを貫通して延出させ、駆動軸10aと攪拌羽根11,211とを直接連結する構成であってもよく、又は、飲料タンク6内の底壁6bの表面に、駆動軸10aに連結された主動磁気カップリング12のような磁性体を臨ませ、攪拌羽根11,211を互いの間の磁力を利用して磁性体に直接取り付ける構成であってもよい。
また、実施の形態の飲料供給機101では、飲料の原料を希釈する液体として水を使用していたが、これに限定されるものでなく、酒類、乳製品、果汁飲料等の飲用可能な液体を使用してもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 筐体、3 注出コック、6 飲料タンク、6b 底壁(飲料タンクの壁)、8 ベース板(ベース部)、10 電動モータ(攪拌装置、駆動装置)、10a 駆動軸、11,211 攪拌羽根(攪拌装置、攪拌羽根)、12 主動磁気カップリング(攪拌装置、磁性体)、20 冷凍回路(冷却装置)、21 冷却パイプ(冷却装置)、30 ヒータ装置(加熱装置)、101 飲料供給機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料を供給する飲料供給機において、
飲料を貯留するための飲料タンクと、
前記飲料タンク内の飲料を冷却するための冷却装置と、
前記飲料タンク内の飲料を加熱するための加熱装置と、
前記飲料タンク内の飲料を攪拌する攪拌装置と
を備える飲料供給機。
【請求項2】
前記攪拌装置は、前記飲料タンクの内部に設けられ回転することにより前記飲料タンク内の飲料を攪拌する攪拌羽根と、前記飲料タンクの外部に設けられ前記攪拌羽根を回転駆動する駆動装置とを有し、
前記駆動装置は、回転可能な駆動軸と、前記飲料タンクの壁に対向させて設けられ且つ前記駆動軸に連結された磁性体とを有し、
前記攪拌羽根は、磁性を有し且つ前記飲料タンクの前記壁を挟んで前記磁性体と対向させて配置され、前記磁性体との間の磁力を介して前記駆動装置により回転される請求項1に記載の飲料供給機。
【請求項3】
前記飲料タンク、前記冷却装置及び前記加熱装置を覆う筐体と、前記筐体の下部で前記筐体を支持するベース部とをさらに備え、
前記飲料タンクは、前記ベース部によって支持される請求項1または2に記載の飲料供給機。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の飲料供給機を用いて飲料を供給する方法であって、
飲料の原料及び希釈用の液体を前記飲料タンクに供給するステップと、
前記飲料タンク内の前記飲料の原料及び前記液体を、前記攪拌装置を用いて攪拌・混合しつつ前記加熱装置を用いて第一所定温度まで加熱するステップと、
前記第一所定温度まで加熱した前記飲料の原料及び前記液体の混合物を、前記攪拌装置を用いて攪拌しつつ前記冷却装置を用いて第二所定温度まで冷却するステップと
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−224380(P2012−224380A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94930(P2011−94930)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(000194893)ホシザキ電機株式会社 (989)
【Fターム(参考)】