飲料殺菌装置
飲料殺菌装置は、内部空間を画成すると共に第1端部と第2端部とを有するハウジングを備えている。電気的に絶縁された流体経路は、前記第1端部から前記第2端部まで前記内部空間を通って延びる管路を形成している。第1電極は、前記流体経路に近接して配置される第1部分と、該第1部分に対し実質的に垂直に伸長する第2部分とを有している。第1対電極は、前記第1電極と一緒になって第1キャパシタを形成し、また、第2電極は第3部分と第4部分とを有している。前記第3部分は前記流体経路に近接して配置される一方、前記第4部分は前記第3部分に対し実質的に垂直に伸長している。第2対電極は、前記第2電極と一緒になって第2キャパシタを形成している。前記第1対電極と前記第2対電極とは電気的接続によって短絡されており、導電装置は 前記第1電極と前記第2電極との間を電気的に接続している。第1トリガーポイントは前記第1部分から離れて前記第2部分に形成される一方、第2トリガーポイントは前記第1トリガーポイントに対向して前記第1対電極に形成されている。装置は、更に、前記一対のトリガーポイントを短絡させると共に、前記第1トリガーポイントから前記流体経路に沿って電場を伝播せしめる、電気駆動回路を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料を殺菌する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
どんな飲料でも細菌(バクテリア:bacteria)を含み得る。伝統的には、飲料を殺菌する処理(プロセス:process)の期間中、すなわち、実質的に微生物を除去し,殺し又は破壊する処理の期間中、飲料は、低温殺菌される、つまり、微生物、特にバクテリアであって、酵母(イースト:yeast),真菌(fungi),ウイルス(virus)及び/又はプリオン(prion)を排除しない微生物が、死滅する温度よりも高い温度に加熱される。
幾つかの或いは殆どの例では、この処理は呈味成分(taste component)を台無しにするかも知れない。従って、飲料を変造し,変質させ或いは実質的に何か変えることなく、飲料を殺菌するシステム及び方法を提供する要求がある。
【0003】
バクテリア等の微生物を殺す一つの方法は、電気的なポレーション(electro-poration)若しくは電気的な透過化(electro-permeabilisation)であり、これは、外部から電場をかけることにより、細胞膜の電気伝導性および電気透過性(electrical permeability)に顕著な上昇を引き起こすことによって達成される。このことは、細胞の死滅を伴うものではないが、分子生物学においても利用される。
細胞膜を横切って印加される電圧が絶縁耐力を越えると、気孔が形成される。加えられた電場の強度および/または電場に対する露出期間が適切に選ばれている場合には、電気的パルスによって形成された気孔は、短い期間の後に再び閉じ、その間に、特別な細胞の複合物(extra cellular compounds)が細胞内へ入る機会を有している。しかしながら、電場への活きた細胞の過度な露出は、細胞の自然死および/または壊死を生じさせ得る、つまり、飲料を殺菌する場合には望ましい細胞の死滅をもたらし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような原理に基づいて、飲料の殺菌を行うためのシステム及び方法を提供するものである。このシステム及び方法は、飲料を電場に曝すことを含んでいる。好ましくは、電場発生器と飲料との間に、何らの直接の接触を伴うことはない。
【0005】
一般に、飲料内の微生物もこの電場に曝される。バクテリアは、脂質二重層膜(lipid bilayer membrane)を有している。この脂質二重層膜とは、脂質分子、通常はリン脂質でなる、膜または膜の領域(ゾーン:zone)である。脂質は、極性頭部基と非極性の脂肪酸尾部(テール:tail)とを有しているので、両親媒性分子(amphiphilic molecules)である。二重層は、それらの炭化水素尾部面が互いにファン・デル・ワールス相互作用(Van der Waals interaction)によって一緒に保持された油性の中核部(oily core)を形成する一方、その帯電した(charged)頭部は膜の何れかの側の水溶液に面するように配置された、二つの脂質の層で構成されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、次のような構成を備えた飲料殺菌装置に関するものである。すなわち、
内部空間を画成すると共に、第1端部と第2端部とを有するハウジングと、
前記第1端部から前記第2端部まで前記内部空間を通って延びる管路を形成する、電気的に絶縁された流体経路と、
第1部分と第2部分とを有する第1導電性電極であって、前記第1部分は前記管路にて前記流体経路に近接して配置される一方、前記第2部分は前記第1部分に対し実質的に垂直に伸長する、第1導電性電極と、
前記第1導電性電極と一緒になって第1の特定の電気容量を有する第1キャパシタを形成する第1導電性対電極と、
第3部分と第4部分とを有する第2導電性電極であって、前記第3部分は前記管路にて前記流体経路に近接して配置される一方、前記第4部分は前記第3部分に対し実質的に垂直に、且つ、前記第1導電性電極の前記第2部分から離間して伸長する、第2導電性電極と、
前記第2導電性電極と一緒になって第2の特定の電気容量を有する第2キャパシタを形成する第2導電性対電極と、
前記第1導電性対電極と前記第2導電性対電極とは、電気的接続によって短絡されており、
前記第1導電性電極と前記第2導電性電極との間を電気的に接続する導電装置と、
一対のトリガーポイントであって、第1トリガーポイントは前記第1導電性電極の前記第1部分から離れて前記第2部分に形成される一方、第2トリガーポイントは前記第1トリガーポイントに対向して前記第1導電性対電極に形成されている、一対のトリガーポイントと、
前記一対のトリガーポイントを短絡させると共に、前記第1トリガーポイントから前記流体経路に沿って電場を伝播せしめる、電気駆動回路と、
を備える、飲料殺菌装置。
【0007】
本発明の第1の態様に係る装置は、飲料生産施設,飲料分配装置および飲料分配セットを含む、様々の環境で用いられることが企図されている。
【0008】
絶縁された飲料または流体経路を通って、電気信号または電場を伝播させ又は放射するために、電極が用いられる。前述のように、電場の存在がバクテリアの膜を開かせ、それにより、バクテリアを殺し又は破壊することが、企図されている。また、他のどこかで議論されることになるであろうが、電場は、静電場,可変電場,パルス電場,交番電場、或いはこれらのあらゆる組み合わせであってもよい。実際の電場強度は、実施および設定に依存して選定することができる。
【0009】
本発明の第1の態様に従った装置は、ハウジング内に電源を含むことができる。この代わりに、装置に電源が接続されるかもしれない。このことは、本発明の他の実施形態および他の態様にも適用される。ハウジングは、好ましくは、例えばPP,ABS等のプラスチックで製作される。
【0010】
或る実施形態では、第1キャパシタの電気容量と第2キャパシタの電気容量とが等しいかもしれない。或る例では、5pFの電気容量が可能である。5pFの電気容量と10kVの電圧とを備えた実施形態では、比較的少ない電力である略0.3mWs程度の電力が必要とされるだけである。
【0011】
本発明の第1の態様に従った装置では、前記ハウジングは、一側でヒンジ結合された2つの部品で構成され、前記流体経路は、前記2つの部品が組み合わされたときに当該流体経路が形成されるように、前記部品の各々の凹所によって形成され、前記凹所はチューブを受け合う構造を形成している。これは、第1の態様に従った装置が、飲料分配用のチューブ,配管もしくはガイドの周りに係留され得るようにすることを企図したものである。
【0012】
或る代替的な実施形態では、前記ハウジングは、第1チューブとの連通を確立する流体入口を構成する前記第1端部に第1コネクタを有し、また、前記ハウジングは、第2チューブとの連通を確立する流体出口を構成する前記第2端部に第2コネクタを有している。これは、装置が、2若しくはそれ以上のチューブ又は配管からなる飲料分配ラインに挿入され得るようにすることを企図したものである。このような実施形態では、飲料は、上述の分離したチューブ内ではなく、ハウジングの内部を通って流れることになる。
【0013】
本発明の第2の態様は、次のような構成を備えた飲料殺菌装置に関するものである。すなわち、
外表面と内部空間とを形成すると共に、第1端部と第2端部とを有するハウジングと、
前記表面によって管路形状を形成すると共にチューブを受け合うのに適合した、電気的に絶縁された流体経路であって、前記管路は前記チューブを受け合って固定する開口部分を有している、流体経路と、
第1部分と第2部分とを有する第1導電性電極であって、前記第1部分は前記管路にて前記流体経路に近接して配置される一方、前記第2部分は前記第1部分に対し実質的に垂直に伸長する、第1導電性電極と、
前記第1導電性電極と一緒になって第1の特定の電気容量を有する第1キャパシタを形成する第1導電性対電極と、
第3部分と第4部分とを有する第2導電性電極であって、前記第3部分は前記管路にて前記流体経路に近接して配置される一方、前記第4部分は前記第3部分に対し実質的に垂直に、且つ、前記第1導電性電極の前記第2部分から離間して伸長する、第2導電性電極と、
前記第2導電性電極と一緒になって第2の特定の電気容量を有する第2キャパシタを形成する第2導電性対電極と、
前記第1導電性対電極と前記第2導電性対電極とは、電気的接続によって短絡されており、
前記第1導電性電極と前記第2導電性電極との間を電気的に接続する定電流保持インダクタと、
一対のトリガーポイントであって、第1トリガーポイントは前記第1導電性電極の前記第1部分から離れて前記第2部分に形成される一方、第2トリガーポイントは前記第1トリガーポイントに対向して前記第1導電性対電極に形成されている、一対のトリガーポイントと、
前記一対のトリガーポイントを短絡させると共に、前記第1トリガーポイントから前記流体経路に沿って電場を伝播せしめる、電気駆動回路と、
を備える飲料殺菌装置。
【0014】
本発明の第2の態様に従った装置は、ハウジングの外側に形成された凹所または開口内の飲料を運ぶためのチューブ又は配管を受け合うのに適合している。凹所は、当該凹所内でチューブ又は配管を保持するための突出領域を含んでいるかもしれない。この代わりに或いはこれと組み合わせて、更に、例えばストラップやワイヤ等の保持手段が用いられてもよい。
【0015】
第2の態様に従った装置の電気的な構成要素は、本発明の第1の態様に従った装置に関連して説明したものと同様である。
【0016】
或る特定の実施形態では、トリガーポイント(trigger point)はブルームライン放電伝播ポイント(Blumlein discharge propagation point)を構成することができ、また、電気駆動回路は、ブルームライン伝播ポイントを短絡させるブルームライン短絡回路であってもよい。この代わりに、前記電気駆動回路は、スパーク間隙,スパークコイル,スパークプラグ,サイラトロン、或いはその他のあらゆる好適な電気的要素、又は上述の要素のあらゆる組み合わせ、によって構成されることができる。また、磁気パルス圧縮のための装置がシステム内に含まれていてもよい。かかる装置は、回路を駆動して磁場を発生させる直前に、パルス又は電流を発生させるのに用いられることができる。
【0017】
駆動回路は、
最終的には、飲料を通って移動し、前述のように、バクテリアのような微生物の膜と相互作用する電場または電波を起動するのに用いられる。
【0018】
或る有利な実施形態では、第1導電性対電極は第1導電性電極の第2部分に対向して配置され、該第1導電性電極の第2部分と前記第1導電性対電極との間に実質的に一定の間隔が保たれるように延びているかも知れない。これは、電極によって形成されるキャパシタが、何らの欠陥もなく、又は、望ましくないか若しくは制御されていない電場が発生させられることなく、正常に機能することを保証することを企図したものである。
同様に、第2導電性対電極は第2導電性電極の第2部分に対向して配置され、該第2導電性電極の第2部分と前記第2導電性対電極との間に実質的に一定の間隔が保たれるように延びていてもよい。
【0019】
別の有利な実施形態では、前記第1導電性対電極および前記第2導電性対電極は単極として形成されるかも知れない。このことは、構造の実施を簡素化することができる。
この代わりに、前記第1導電性対電極と前記第2導電性対電極とが別々の電極として形成され、これら第1導電性対電極と第2導電性対電極との間に直接の電気的接続が形成されていてもよい。これは、上述の単極の場合と同様の効果を達成することを企図したものである。
【0020】
或る特別な実施形態では、前記第1導電性電極の第1部分から離れた当該第1導電性電極の第2部分に、短絡ポイントが形成されているかも知れない。
【0021】
別の特定の実施形態では、前記第1導電性対電極は、前記第1導電性電極と電気的に接続された第1同軸ケーブルによって構成されているかも知れない。更に、前記第2導電性対電極が、前記第2導電性電極と電気的に接続された第2同軸ケーブルによって構成されていてもよい。また更に、第1及び第2導電性対電極が共に、同軸ケーブルによって構成されていてもよい。これは、キャパシタの代替的な実施形態をもたらすことを企図したものである。或る特別な実施形態では、前記第1同軸ケーブルのシールド部分は、前記第2同軸ケーブルのシールド部分と電気的に接続されているかもしれない。
【0022】
前述のように、流体つまり飲料がハウジングを通って流れることができる。このような場合において、流体経路が、ハウジング内のチューブ状の導管によって構成されていてもよい。導管は、飲料がハウジング内部に入らないことを保証することを企図したものである。導管の断面は、好ましくは、本発明に従った装置に接続されたチューブ又は配管の断面と同様の幾何学形状を有している。通常、この幾何学形状は実質的に円形である。
【0023】
前記導管は、有益に、ガラス,テフロン或いはその他の好適な材料で製作されることができる。この材料は、好ましくは、電気的に絶縁性で非導電性であるべきである。この代わりに、この材料が導電性であってもよい。
【0024】
前記ハウジングはプラスチック材料で製作されていてもよい。ハウジングに用いられる材料は、非導電性で、発生させられた電場に影響を及ぼすことはない。
【0025】
ハウジングによって内部空間が画成されることができ、前記ハウジングの前記内部空間内にガスが含まれ、前記流体経路を少なくとも部分的に取り囲んでいてもよい。この代わりに、内部空間が、排気され、つまり実質的にガス無し、であってもよい。
【0026】
前記ハウジング内にサイラトロン(thyratron)が配置され、前記第1導電性電極と電気的に接続されていてもよい。前記サイラトロンは、電場を起動するのに用いられることができる。このサイラトロンは、短絡ポイントに電気的に接続されていてもよい。
【0027】
前述のように、ハウジング内に電源が配置されていてもよい。更に、前記電源は、リチウムイオン電池のような電池であってもよい。あらゆる他の好適な電池タイプのものを用いることができる。
【0028】
前記第1キャパシタは、1から50pFのインターバル内で電気容量を有している。
また、前記定電流保持コンダクタはコイルであってもよい。このコイルは、略1pHから1mH程度のインダクタンスを有していてもよい。
【0029】
第1及び/又は第2の態様に従った飲料殺菌装置は、飲料分配装置内に含まれるか、又は、飲料分配ラインに接続もしくは飲料分配ラインに含まれていてもよい。これは、生ビール分配装置およびシステムも水分配装置も含んでいる。
【0030】
前述の導電性要素は、インダクタ,抵抗,キャパシタ、又はそれらのあらゆる組み合わせを含んでいるか、若しくは、これらによって構成されていてもよい。部品の選定は、所望の使用もしくは電力消費に依存するかも知れない。
【0031】
本発明の第3の態様は、電気的に絶縁された流体経路を通して行われる飲料を殺菌する方法に関するもので、この方法は、次のようなステップを備えている。すなわち、
以下を含む殺菌装置を設けるステップであり、
内部空間を画成すると共に、第1端部と第2端部とを有するハウジングと、
前記第1端部から前記第2端部まで前記内部空間を通って延びる管路によって形成された、電気的に絶縁された流体経路と、
第1部分と第2部分とを有する第1導電性電極であって、前記第1部分は前記管路にて前記流体経路に近接して配置される一方、前記第2部分は前記第1部分に対し実質的に垂直に伸長する、第1導電性電極と、
前記第1導電性電極と一緒になって第1の特定の電気容量を有する第1キャパシタを形成する第1導電性対電極と、
第3部分と第4部分とを有する第2導電性電極であって、前記第3部分は前記管路にて前記流体経路に近接して配置される一方、前記第4部分は前記第3部分に対し実質的に垂直に、且つ、前記第1導電性電極の前記第2部分から離間して伸長する、第2導電性電極と、
前記第2導電性電極と一緒になって第2の特定の電気容量を有する第2キャパシタを形成する第2導電性対電極と、
前記第1導電性対電極と前記第2導電性対電極とは、電気的接続によって短絡されており、
前記第1導電性電極と前記第2導電性電極との間を電気的に接続する導電装置と、
一対のトリガーポイントであって、第1トリガーポイントは前記第1導電性電極の前記第1部分から離れて前記第2部分に形成される一方、第2トリガーポイントは前記第1トリガーポイントに対向して前記第1導電性対電極に形成されている、一対のトリガーポイントと、
前記一対のトリガーポイントを短絡させると共に、前記第1トリガーポイントから前記流体経路に沿って電場を伝播せしめる、電気駆動回路と、
を含む、殺菌装置を設けるステップと、
前記電気的に絶縁された流体経路内に飲料を供給するステップと、
前記第1及び第2導電性電極を帯電させるステップと、
前記短絡ポイントを作動させて、前記電気的に絶縁された流体経路を通る電場を発生させるステップと、
前記帯電と短絡とを繰り返すステップと、
を備える方法。
【0032】
本発明の第4の態様は、電気的に絶縁された流体経路を通して行われる飲料を殺菌する方法に関するもので、この方法は、次のようなステップを備えている。すなわち、
以下を含む殺菌装置を設けるステップであり、
外表面と内部空間とを形成すると共に、第1端部と第2端部とを有するハウジングと、
前記表面によって管路形状を形成すると共にチューブを受け合うのに適合した、電気的に絶縁された流体経路であって、前記管路は前記チューブを受け合って固定する開口部分を有している、流体経路と、
第1部分と第2部分とを有する第1導電性電極であって、前記第1部分は前記管路にて前記流体経路に近接して配置される一方、前記第2部分は前記第1部分に対し実質的に垂直に伸長する、第1導電性電極と、
前記第1導電性電極と一緒になって第1の特定の電気容量を有する第1キャパシタを形成する第1導電性対電極と、
第3部分と第4部分とを有する第2導電性電極であって、前記第3部分は前記管路にて前記流体経路に近接して配置される一方、前記第4部分は前記第3部分に対し実質的に垂直に、且つ、前記第1導電性電極の前記第2部分から離間して伸長する、第2導電性電極と、
前記第2導電性電極と一緒になって第2の特定の電気容量を有する第2キャパシタを形成する第2導電性対電極と、
前記第1導電性対電極と前記第2導電性対電極とは、電気的接続によって短絡されており、
前記第1導電性電極と前記第2導電性電極との間を電気的に接続する定電流保持インダクタと、
一対のトリガーポイントであって、第1トリガーポイントは前記第1導電性電極の前記第1部分から離れて前記第2部分に形成される一方、第2トリガーポイントは前記第1トリガーポイントに対向して前記第1導電性対電極に形成されている、一対のトリガーポイントと、
前記一対のトリガーポイントを短絡させると共に、前記第1トリガーポイントから前記流体経路に沿って電場を伝播せしめる、電気駆動回路と、
を含む、殺菌装置を設けるステップと、
前記電気的に絶縁された流体経路内に飲料を供給するステップと、
前記第1及び第2導電性電極を帯電させるステップと、
前記短絡ポイントを作動させて、前記電気的に絶縁された流体経路を通る電場を発生させるステップと、
前記帯電と前記短絡とを繰り返すステップと、
を備える方法。
【0033】
前記第3及び/又は第4の態様は、本発明の前記第1及び/又は第2の態様に装置を用いて実行することができる。
【0034】
本発明の或る実施形態では、流量計が存在しているかも知れない。流量計は、例えば先に議論したチューブ又は配管などの流体案内路内を、流体が流れるときを検出するために用いられることを企図したものである。このことは、装置が、2つの異なる速度で殺菌を実行できるようにする。2つの異なる速度とは、一つは、流体が分配されるか、若しくは少なくともチューブ又は配管内を流れるときの早い速度であり、今一つは、流体がながれていないか、若しくは分配されていないときのより遅い速度である。
一つの例は生ビール分配装置であり、そこでは、ビール容器とビールラインつまりチューブ又は配管との間の結合部に、流量計が備えられている。例えば蛇口からビールが分配されるとき、流量計が流速の変化を検出し、殺菌装置を駆動するか、若しくは、少なくとも殺菌装置に、高い繰り返し速度で電場が加えられる異なるモードへの変更を生じせしめる。飲料が何ら分配されていないときには、殺菌装置は、より低い頻度で電場を発することになる。
【0035】
飲料分配用蛇口への飲料案内ラインに接続された1つ若しくはそれ以上の飲料貯留容器を備えた酒場セット(bar setting)では、本発明に従った殺菌装置を、1つ若しくはそれ以上の飲料容器が飲料案内チューブ又はラインに接続される箇所に、及び飲料分配用蛇口にもう一つ、取り付けることが有益である。
飲料容器が空になると、新しい満杯のものが、飲料分配ライン又はチューブに接続される。この結合が実行されるときに、システム内に汚染が導かれる可能性がある。また、分配用蛇口は、酒場の周囲環境に曝され、それにより、汚染物に曝されることになる。
従って、これらの箇所では、本発明に従った飲料殺菌装置を配置もしくは取り付けることが有益である。更に、流量計は時間と共に装置のエネルギ消費を低減させることを企図したものであるので、流量計の付加は有利さを増大させることを企図したものである。
【0036】
蛇口から何らの飲料も分配されていないときには、蛇口の先端部に少量の残留物が在るかも知れず、また、先端部は、終端が開口し、周囲環境に露出しているので、バクテリアや他の微生物が先端部に入り、それにより、飲料を汚染する危険性がある。従って、蛇口装置の先端部に飲料殺菌装置を配置または取り付けることは、有益であることが予期される。
これに加えて、飲料が分配されるときを検出する流量計も含まれるかも知れない。何らの飲料も分配されていないときには、先端部内に存在する如何なる微生物も、例えば先端部の開口から当該先端部の上流への方向に、比較的ゆっくりと移動するだけである。従って、飲料が分配されているときよりも単位時間当たりに少ない回数で、先端部内に存在する飲料の殺菌を実行すれば十分であるかも知れない。飲料が流れているか否かの検出も、蛇口のハンドル又は操作部分に関連付けられるかも知れない。
【0037】
前記帯電と前記短絡または駆動とは、第1の時間周期の間、0.01Hzから1kHzの周波数で繰り返されることができる。この代わりに、前記帯電と前記短絡または駆動とは、非周期的に繰り返されてもよい。前記帯電と前記短絡とは、第2の時間周期の間、非周期的に繰り返されてもよい。この第2の時間周期は10秒であってもよく、或いは、流量計または前述のような他の流量検出手段によって制御されてもよい。
【0038】
本発明の第3及び/又は第4の態様に従った方法においては、使用されるシステムは、前記第1及び/又は第2の態様に従ったシステム若しくは装置に係る特徴事項を含んでいてもよい。
【0039】
本発明の第5の態様は、以下の特徴を備えた飲料ガイド及び殺菌システムに関するものである。すなわち、
飲料を受け取ると共に、第1最大流速で前記飲料の層流を許容する第1断面形状を画成する飲料入口部であって、前記第1断面形状は第1断面積を画成すると共に、前記第1断面形状によって第1最大幅と第1最小幅とが規定され、該第1最小幅に対する第1最大幅の第1の比率は1から10の区間内にある、飲料入口部と、
第1端部と、これに対向する第2端部と、前記第1端部に形成され前記第1断面形状と同一の断面形状と、を有する第1遷移部と、
第2断面形状を有する飲料殺菌部であって、該飲料殺菌部は電場を発生させるために1組の電極を備え、前記電場は前記飲料殺菌部内の飲料を貫通する、飲料殺菌部分と、
前記第1遷移部は、前記第2端部に、前記第2断面形状と同一の断面形状を形成し、また、前記第1遷移部は、前記第1端部から前記第2端部に至る第1遷移部長さを形成しており、前記第1遷移部の断面は、前記飲料が当該第1遷移部を通過するときに飲料が層流状態で流れるように、前記第1断面形状から前記第2断面形状に至るまで前記第1遷移部長さに沿って変化し、前記第2断面形状は第2断面積を画成すると共に、前記第2断面形状によって第2最大幅と第2最小幅とが規定されており、該第2最小幅に対する第2最大幅の第2の比率は10から10000の区間内にあり、
前記飲料殺菌部は、当該飲料殺菌部の第2端部で、前記第1遷移部と連通している、
ことを特徴とするシステム。
【0040】
或る追加的な実施形態は、電極と、チューブ,配管またはパイプとを同軸の形態で有しているかも知れず、そこでは、電極は、チューブ,配管またはパイプの内方部分の内側か、若しくはチューブ,配管またはパイプの内壁に、配置されている。パイプ,チューブ又は配管の断面の形つまり幾何学形状は、好ましくは円形であるが、楕円形,四角形,多角形もしくはそれらの組み合わせであってもよい。
【0041】
電場は、飲料の流れの方向に対して垂直に、飲料の流れと平行に、或いは、飲料の流れに対して或る特定の角度をなして、伝播することができる。好ましくは、飲料の流れは、当該飲料が実質的に直線状に流れる部分を含み、電場の方向は、飲料の流れのこの部分に対して規定されるようにしてもよい。
【0042】
電極は、また、ブルームライン構造内に配置されてもよく、そこでは、電場は、飲料の流れ方向に沿って素早く伝播する。上述の電極形態についての注記は、本発明の全ての態様に当て嵌まるものである。
【0043】
第5の態様に従ったシステムは、飲料が層流または実質的に層流の状態で流れることが重要である飲料生産設備で用いられることを企図したものである。ビールを醸造するときが正しく当て嵌まるかも知れない。この場合、醸造されたビールが乱流で流れ、その結果、生産システム内に泡が形成されることが望ましくない。しかしながら、少量もしくは僅かな乱流であれば容認可能である。このことは、炭酸清涼飲料の生産についても同様である。
【0044】
飲料からガスが放出されることを防止するために層流が維持されるべきである。しかしながら、少量の非層流であれば容認可能である。遷移部は、急激な遷移がないように形成されるべきである。第1断面形状から第2断面形状への形状変化は滑らか(スムース:smooth)なものでなければならない。
【0045】
前記電極の組は、静電場,パルス電場,可変電場,交番電場、AC電場,DC電場,RF電場,HF電場,AC重畳を伴ったDC電場、或いはこれらのあらゆる組み合わせを発生させることができる。電場のタイプは、例えば、周囲環境,EMC要求あるいはコンプライアンス,飲料の早さつまり速度、及び電場に曝されるべき飲料のサイズ若しくは幅など、様々の考慮すべき事項に依存していてもよい。
【0046】
或る実施形態では、電場は50kVの高電圧を用いて発生させられるかも知れない。飲料殺菌部の最大幅は略1から5メートル程度であり、最小幅は略1から5ミリメートル程度であるかも知れない。流速は、通常、10m/秒よりも遅い。
【0047】
飲料がシステム内を流れ、電極は静止状態を保っているので、飲料と電極との間には、なお相対運動がある。
【0048】
或る実施形態では、前記飲料殺菌部は、前記第1遷移部および/または前記第2遷移部の部分によって形成されていてもよい。そのとき、電極は、一方または両方の遷移部の頂部に配置することができる。また、前記第1遷移部および前記第2遷移部は、一体的に形成されていてもよい。
【0049】
前記飲料殺菌部は、前記第1遷移部と前記第2遷移部とを相互に結合している別物の部分であってもよい。また、前記第1遷移部および前記第2遷移部は、前記飲料殺菌領域または飲料殺菌部と一体的に形成されていてもよい。
【0050】
特に、前記第1遷移部および/または前記第2遷移部は非導電性の材料で製作されることができる。これは、電場がシステム及び飲料を貫通できることを保証することを企図したものである。また、前記飲料殺菌部は非導電性の材料で製作されていてもよい。
【0051】
前記第1断面形状は、実質的に、円形,楕円形,全体的に丸い形状の多角形、或いはこれらのあらゆる組み合わせである、ことが有利である。前記第1断面形状は、例えば醸造所におけるような生産施設内のチューブ又はパイプの幾何学形状に対応している。
【0052】
前述のように、或る別の実施形態は、電極と、チューブ,配管またはパイプとを同軸の形態で有することができ、そこでは、電極は、チューブ,配管またはパイプの内方部分の内側か、若しくはチューブ,配管またはパイプの内壁に、配置されている。
【0053】
前記第2断面形状は、実質的に、長方形,四角形、或いは楕円形であってもよい。この第2断面形状は、電場の移動が最短距離となるように形成されるべきである。より大きな間隔は、より高い電圧、従ってより大きな電力消費を必要とし、また、他の機器等との干渉の問題も生じかねない。
【0054】
本発明の第5の態様に従ったシステムは、本発明の第1,第2,第3及び/又は第4の態様に関連して述べた特徴事項を含むことができる。
【0055】
本発明は、図面を参照しながら、より詳細に議論されよう。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】殺菌システムの第1実施形態の概略図である。
【図2a】キャパシタ・システムの概略図である。
【図2b】キャパシタ・システムの概略図である。
【図3】一体化された殺菌システムを備えたチューブの概略図である。
【図4】一体化された殺菌システムを備えたチューブの概略図である。
【図5】一体化された殺菌システムを備えたチューブの概略図である。
【図6】一体化された殺菌システムを備えたチューブの概略図である。
【図7】一体化された殺菌システムを備えたチューブの概略図である。
【図8】一体化された殺菌システムを備えたチューブの概略図である。
【図9a】容器内の飲料を殺菌するための殺菌デバイスを組み込んだ装置の概略図である。
【図9b】図9aの装置の拡大図である。
【図9c】容器を飲料で満たし、飲料が分配されるときに飲料を殺菌するための殺菌デバイスを組み込んだ、装置の概略図である。
【図9d】図9cの装置の拡大図である。
【図10】殺菌されている缶内の飲料概略図である。
【図11a】飲料を殺菌するための回路の概略図である。
【図11b】飲料を殺菌するための回路の概略図である。
【図12a】生産設備内における飲料殺菌用システムの概略図である。
【図12b】生産設備内における飲料殺菌用システムの概略図である。
【図13a】チューブ内を流れる飲料を殺菌するための装置の一実施形態の概略図である。
【図13b】チューブ内を流れる飲料を殺菌するための装置の一実施形態の概略図である。
【図14a】チューブ内を流れる飲料を殺菌するための装置の他の実施形態の概略図である。
【図14b】チューブ内を流れる飲料を殺菌するための装置の他の実施形態の概略図である。
【図15a】3つの飲料容器と飲料分配栓とを備えたシステムの概略図である。
【図15b】飲料分配栓の拡大図である。
【図15c】飲料容器用のコネクタの拡大図である。
【図16】生ビール分配システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
図1は、飲料を殺菌するためのシステム10の概略図である。現今の好ましい実施形態では、飲料はビールであるが、例えば、水,フルーツジュース,ソフトドリンク或いはワイン等の他の飲料でも、用いられることができる。
前記システム10は、アダプタ14及び16を有するハウジング12を備えている。前記アダプタは、例えば、醸造所における、或いは、例えば酒場(バー:bar)などに在る飲料分配機構における、飲料流体路に接続するためのものである。
【0058】
前記ハウジング12は、当該ハウジング12を貫通する流体経路を設けるために、アダプタ14及び16と流通する流体案内管(ガイドチューブ:guiding tube)18を含んでいる。
【0059】
図1に示された実施形態では、ハウジング12はガラス材料で造られている。チューブ18も、ガラスで造られ、また、ハウジング12と一体的に形成されることもできる。ハウジング12は、中空で、ハウジング12の内部に真空を形成するために真空引きされている。代替的な実施形態では、ハウジングは、気体(ガス:gas)、例えば不活性ガス若しくは金属蒸気で満たされるかもしれない。
【0060】
ハウジング12は、更に、2枚の金属製プレート20及び22を備えている。これら2枚のプレート20及び22は、流体ガイドチューブ18の長さに沿って配置されている。該チューブ18は実質的に真っ直ぐであるので、プレート20及び22はチューブ18と平行に配置されている。
【0061】
各々のプレート20及び22は、2つの部分24,26及び28,30をそれぞれ備えている。プレート20で説明すれば、2つの部分24及び26は、互いに実質的に垂直に配置されている。その構造は、他の図面を参照してより詳しく説明されよう。プレート20及び22は、電気的に伝導性のある金属材料で作られている。これらプレート20及び22は、蓄電器(キャパシタ:capacitor)システムの一部を形成している。
【0062】
システム10は、更に、2つの格子(グリッド:grid)32及び34を備えている。これらグリッドは、プレート20内で移動し、チューブ18を通ってプレート22へ移動する電磁波をスタートさせるのに用いられるサイラトロン(thyratron)の一部である。グリッド32及び34は、起動効果(trigger effect)を与えるものである。通常のグリッド電位は、陰極に関して負(ネガティブ:negative)であり、電子がプレートに流れることを妨げている。他の好適な点火装置(ignition device)が用いられてもよい。
また、磁気パルス圧縮用の装置がシステム内に含まれてもよい。これは、システムを短絡(ショート)させブルームライン(Blumlein)回路を稼働する前の最後の瞬間に、信号が発生されることができるようにするのに用いられる。
【0063】
サイラトロンは、高エネルギの電気的スイッチとして用いられる、気体(ガス)が充填されたタイプの管(チューブ:tube)である。殆どは三極管の設計のものであるが、過去には、三極管,四極管および五極管のサイラトロンの変形(バリエーション:variation)が製造されてきた。使用可能なガスには、水銀蒸気,キセノン(xenon),ネオン(neon)が含まれ、特に高電圧の用途もしくは非常に短い切替時間(switching time)を必要とする用途には、水素または重水素(デューテリウム:deuterium)が含まれる。
【0064】
電場が、前記部分24及び30に対して垂直な電場成分を有して、チューブ18を通じて形成されることが企図されている。従って、チューブ18内を移動する飲料は、電場の影響を受けることになる。
【0065】
グリッド32及び34は、制御可能な電源に結合されている。
【0066】
概して言えば、飲料内のバクテリアも電場の影響を受けることになる。バクテリアは、脂質二重層膜(lipid bilayer membrane)を有している。この脂質二重層膜とは、脂質分子、通常はリン脂質でなる、膜または膜の領域である。脂質は、極性頭部基と非極性の脂肪酸尾部とを有しているので、両親媒性分子である。二重層は、それらの炭化水素尾部面が互いにファン・デル・ワールス相互作用(Van der Waals interaction)によって一緒に保持された油性の中核部を形成する一方、その帯電した(charged)頭部は膜の何れかの側の水溶液に面するように配置された、二つの脂質の層で構成されている。
細胞の電気的なポレーション(electro-poration)若しくは電気的な透過化(electro-permeabilisation)は、外部から電場をかけることによって引き起こされる細胞膜の電気伝導性および電気透過性(electrical permeability)における顕著な上昇である。このことは、分子生物学においても利用される。細胞膜を横切って印可される電圧が絶縁耐力を越えると、気孔が形成される。加えられた電場の強度および/または電場に対する露出期間が適切に選ばれている場合には、電気的パルスによって形成された気孔は、短い期間の後に再び閉じ、その間に、特別な細胞の複合物(extra cellular compounds)が細胞内へ入る機会を有している。しかしながら、電場への活きた細胞の過度な露出は、細胞の自然死および/または壊死を生じさせ得る、つまり細胞の死滅をもたらし得る。
【0067】
前記膜は、それが裏返しにされるように変化する。電場がオン・オフされると、膜に脈動を生じさせ、結局は破壊される。
【0068】
電場は、例えば1000ヘルツ(Hz)の周波数でパルスを発し得る。膜は、損傷を受けることなく、約1マイクロ秒(μsec)−1ミリ秒(msec)で裏返ることができる。前記システム10は、更にワイヤ36を備えている。
【0069】
前記システム10は、例えばボイラー(boiler)の出口にある、或いは、飲料がボトル,缶または樽に充填される充填ステーション(station)の例えば直前にある、醸造システムの一部であってもよい。
【0070】
飲料ガイドチューブ18の幅は、1センチメートル(cm)の位数にあり、キャパシタは約105ボルト(V)まで充電され、その結果、電場は104V/mmの位数の電場強度を有している。
【0071】
図2aは、図1におけるシステム10のキャパシタ部分を具現化する一つの方法の概略図である。3枚の板(プレート:plate)38,40及び42が、キャパシタ状の構造を形成している。プレート42に対するプレート38及び40の間隔を維持するために、誘電性媒質44が用いられている。プレート38,40及び42は、電気伝導性のある材料で製作されている。
コイル46は、2枚のプレート38及び40間の接続を例示するもので、実質的に一定の電流を維持するためのものである。代替的な実施形態では、他の好適な電気的な部品が用いられるかもしれない。この構造は、プレート38の部分47とプレート40の部分48との間に電場が発生せしめられるために、繰り返して充電および放電される。
【0072】
前記部分47と部分48との間には、飲料導管またはチューブ50が位置している。この導管50は、好ましくはプラスチックやガラス等の非導電性材料で製作されている。飲料は、この導管50内を矢印52及び54の方向に流れる。
【0073】
システムを短絡(ショート)させて点(ポイント)60から電波を発生させるために、ワイヤ56及び58が用いられている。電波は前記部分47の方に向かって伝わる。
上述のように、導管50内の飲料は電場の影響を受け、この電場は、約1000Hzの周波数でパルスが発生される。このことは、バクテリアの有極性(polar)の二重膜に突然の裏返しを生じさせ、結局は膜を破壊し、それによりバクテリアを殺す。導管50の入口からその出口に達するまでの移動の間、バクテリアが適応できず、また、多くの周期を被るような高速で、電場が変化させられる。
【0074】
図2bは、図1におけるシステム10のキャパシタ部分を具現化する別の方法の概略図である。
【0075】
キャパシタ部分は、2枚の板(プレート)62及び64を備えている。各プレート62,64は、それぞれ第1部分66,68を備えると共に、それぞれ第1部分66,68にそれぞれ垂直に配置された第2部分70,72を備えている。飲料は、部分70及び72間に位置する溝部(チャンネル)73内を流れる。
【0076】
同軸ケーブル76からのポイント74から電場が発するので、プレート62の第1部分66は三角形状に形成されてもよく、このようにして、用いられる材料および空間(スペース)を低減している。
【0077】
2本の同軸ケーブル76及び80間には、電気的な接続78が確立されている。接続78は、同軸ケーブル76及び80のスクリーン(screen)間にあり、コア(core)部分ではない。
【0078】
図3から図8は、飲料ガイドチューブ又はパイプ内に一体化または包含された殺菌装置の概略構成図である。該殺菌装置は、電場を発生させるために、前記チューブ又はパイプ内に金属を用いている。
【0079】
図3は、パイプ又はチューブ164の断面を概略的に示している。チューブ164内には、包囲状の電極166が埋め込まれている。電源168からの電気的な接続が設けられている。スイッチ170は、チューブ164の内側の本体176上の2つの電極172及び174間での切替を許容する。このことは、矢印180で示された電場が、電極174と電極166との間に発生することができるようにする。
【0080】
図4は、図3に示されたパイプ164の同じ断面を概略的に示している。しかしながら、図4においては、矢印182で示されるように、電場は、電極172と電極166との間に発生させられる。
【0081】
本体176は、矢印178の方向における飲料の流れを引き起こす。図3において同様の要素を指称するものについては、符号は同一である。
【0082】
図5は、内部に埋め込まれた電極186を備えたパイプ184の断面を概略的に示している。本体188は、チューブ184内に配置されている。この本体188は、電極190を包含している。電場192は、電極186と電極190との間に発生させられる。矢印194は、飲料の流れを示している。
【0083】
図6は、本体198を備えたパイプ196の断面を概略的に示している。本体は、2つの電極200及び202を包含している。電力は、電力供給部204から供給される。電極内の電流は、飲料内に電場206を発生させる。
【0084】
図7は、パイプ内に2つの電極208及び210が埋め込まれたパイプ207の断面を概略的に示している。飲料は、パイプ206内で本体212の周りを流れる。電力は、電力供給部214から供給される。電場は、矢印215によって示されている。
【0085】
図8は、内部に埋め込まれた電極218を備えたパイプ216を概略的に示している。本体220は、パイプ216内に配置されている。2つの電極222及び224が、本体220内に埋め込まれている。これら2つの電極222及び224には、電力供給部226から電力が供給される。
【0086】
2つの電極が示されている上述の図面における実施形態では、2つの電極は、同時に、又は独立して、又は交番的に、又はそれらの組み合わせで、駆動される。
【0087】
図9aは、容器内の飲料を殺菌するための、特に、ガラス製容器、すなわちガラス製の瓶(ボトル:bottle)内の飲料を殺菌するための、システム106の概略図である。このシステム106は、2つの電場発生器108及び110を含んでいる。これら発生器は、1本のボトルを取り囲むことができるように、一方向において移動可能である。ボトルが電場発生器によって取り囲まれると、電場が作用し、その電場がボトルを貫通し、本明細書の何処か他の箇所に記載されているように、二重の脂質膜と相互に影響し合う。
【0088】
前記2つの電場発生器108及び110は、装置112及び114によって互いに相反して駆動される。また、これら2つの電場発生器108及び110は、容器、つまり図に示されているボトルの長手方向軸線と実質的に平行な方向において動作させられる。
【0089】
ボトルは、運搬システム(コンベヤシステム)116を介して、供給つまり輸送され、そして、殺菌後、ボトルは、更に第2のコンベヤシステム118によって輸送される。ボトルは、飲料で満たされキャップを装着した後、殺菌システムに供給される。代替的な実施形態では、キャップは後で適用される。ボトルは、更なる処理ステーション若しくは梱包ステーションへ輸送される。
【0090】
更なる代替的な実施形態では、システム106は、空のボトルを殺菌するのに用いることができる。
【0091】
図9bは、電場発生器108内に在るボトル120の概略的な切断(cut-through)図である。電場は波線122で表示されている。電場は、金属製のキャップによって何ら実質的な影響を受けることはない。
【0092】
図9cは、容器内の飲料を殺菌するための、特に、ガラス製容器、すなわちガラス製の瓶(ボトル)内の飲料を殺菌するための、システム228の概略図である。上述のシステム106と対比しての主要な相違点は、このシステム228は、飲料を、特定の容器内へ輸送されるときに殺菌することである。容器自体は洗浄され殺菌されているものと仮定されている。
【0093】
前記システム228は、複数の飲料分配用のロッド若しくはガイド230を備え、これらは、反時計回り方向に、つまり、コンベヤシステム234上の容器232と同じ方向に、回転させられている。容器、例えばガラス製ボトル、の各々は、符号236での入口部から反対側の出口部への移動中に、充填される。前記ロッド230は、容器の長手方向軸線と平行な方向において、つまり、上下方向に移動可能である。
【0094】
図9dは、ロッド230を介して充填されている容器の概略的な拡大図である。ロッド230の開口端部238には、2つの電極240及び242が配置されている。これら電極240及び242は、本発明に従った飲料殺菌装置の一部であり、本明細書の全体を通じて説明されている。
【0095】
より有利には、前記ロッド若しくはシステム238内に流量計が組み込まれることができ、その結果、電極240及び242は、飲料が容器内に充填されるときに電場を発生するだけである。その代わりに、飲料が何ら分配されていないときにも電場が発生させられ、飲料を容器内へ通過させる前にロッド230に汚染が無いことが保証される。
【0096】
図10は、容器124内の飲料を殺菌する代替的な方法の概略説明図である。一般に、容器は、金属製または導電性あるいは少なくとも部分的に導電性であっても良く、また、被覆(コーティング)を含んでいても良く、若しくは部分的に被覆されていても良い。更に、容器は、缶,樽または瓶であっても良い。
電極126が、飲料128内に降下させられている。電極126と缶124との間で、飲料128内に電場が発生させられる。缶124は、内壁にコーティングを備えており、その結果、電場が、電場の存在によって生じる電解プロセス、或いは壁部と飲料との間の他の何らかの形態の相互作用のために、飲料内で溶解する缶124の壁部の材料を何ら生じさせることはない。
【0097】
図11a及び図11bは、それぞれ、セットアップ及び回路の線図を概略的に示している。図11aは、両者間に飲料ガイド86が配置されている2枚の板材(プレート:plate)82及び84を示している。コイル88が前記2枚のプレート82及び84に接続されている。これら2枚のプレート82及び84は、前述のキャパシタ・システムを確立する共通プレート90を共有している。
【0098】
図11bは、共通電極96を有する2つのキャパシタ92及び94を含む回路を概略的に示している。符号100の所では0(ゼロ)V(ボルト)に保たれる一方、符号98の所ではUB0の電圧が印加される。コイル102は、2つのキャパシタ92及び94にわたって電圧が維持されることを確かなものとしている。回路は、更に、火花間隙(スパークギャップ:spark gap)104を備えている。
【0099】
図12a及び図12bは、生産施設内で飲料を殺菌するシステム146の概略説明図である。該システム146は、入口部148を介して飲料の流れ(フロー:flow)を受容する。この飲料は層流状態で流れる。前記入口部148は、円形断面の幾何学形状を有している。飲料は、矢印150で示される方向に移動する。
【0100】
飲料は、入口部148から第1遷移部分152に向かって流れる。この第1遷移部分152の入口部の幾何学形状は、前記入口部148の幾何学形状に対応している。第1遷移部分152は、そして、実質的に円形の断面からより矩形状の断面に、そして、より薄くより幅広に、形状が変化する。この断面形状の変化は、飲料の流れが層流に維持されるように、徐々に形成される。前述のように、僅かな非層流は許容され得る。
【0101】
第1遷移部分152は、実質的に矩形断面から実質的に円形断面へと反対の遷移をもたらす第2遷移部分154に結合されている。この第2遷移部分154は出口部162に接続されている。第1遷移部分152と第2遷移部分154との接合部分156には、電極158が配置されている。前記接合部分156の反対側には、第2の電極160が第1の電極158と平行に配置されている。これら2つの電極は、一緒になって、電場がシステム146内の飲料を介して伝えられることができるようにする。
【0102】
電極158と電極160とによって発生させられる電場は、静電場であるかも知れず、例えば1kHzなどの固定された周波数でもって、或いは、周波数帯域またはインターバル内で周期的なパルス電場であるかも知れない。
【0103】
好ましくは、前記システム146は、非電気伝導性の材料、好ましくは、ガラス又はテフロン(Teflon)で製作される。この代わりに、あらゆる好適な材料を用いることができる。
【0104】
図13a及び図13bは、飲料分配ライン132に取り付けられた殺菌装置130の概略説明図である。前記飲料分配ライン132は、酒場のセット(bar setting)等の一部であるかもしれない。また、前記殺菌装置130は、水の分配装置内に含まれるかもしれない。
殺菌装置130は、2つの半割体134及び136で構成され、各半割体には凹所が形成されており、これら2つの半割体を組み立てる際には、前記凹所によって形成された開口もしくは通路内に管(チューブ:tube)を受容することができる。
【0105】
チューブつまり分配ライン132は、ガラス又はテフロン或いは他のあらゆる好適な材料によって製作することができる。
【0106】
図13a及び図13bに示された実施形態は、破線で表示されているように、各半割体に電極138及び140を有している。代替的な実施形態では、一方の半割体のみに電極が配置されているかも知れない。これら半割体は必ずしも同一である必要はなく、例えば、或る実施形態では、一方の部品が他方よりも若干大きく、例えば、チューブ受容部分および対応する蓋(リッド:lid)或いは他のチューブ保持手段を具現化しているかもしれない。
【0107】
図14a及び図14bは、別の殺菌装置142の実施形態を概略的に示している。チューブ144は、装置142のハウジング内の通路を通っている。代替的な実施形態では、装置142は、取付手段または装置142をチューブに結合する結合具(カップリング:coupling)を含んでいるかも知れず、飲料は、図1に示された装置と同様の形態で、装置142内を流れる。
【0108】
図13a及び図13bに示された実施形態も図14a及び図14bに示された実施形態も、ハウジング内部に電源を含んでいるが、当該電源は図示されていない。電源は電池(バッテリ)である。装置によって消費される実効値は低いので、標準的な電池でも十分に長い寿命をもたらし得る。電源の状態を検査できるように、電池レベル指示器が含まれていてもよい。
【0109】
図15aは、3つの飲料貯留容器246,248及び250を備えたシステムの概略的な説明図である。容器246,248及び250は、パイプ252,254及び256を介して、蛇口部258に接続されている。圧力媒体容器260から容器246,248及び250へ、圧力媒体が供給される。この実施形態では、圧力媒体はCO2(二酸化炭素)である。
【0110】
容器246,248及び250の各々は、図15cに示されるような結合装置262を介して、パイプ252,254,256に結合されている。前記装置262は、飲料が各容器から出て行くことができる開状態と、飲料が各パイプ若しくはチューブへ入らない閉状態との間で、操作可能なハンドルを備えている。この閉状態では、例えば容器が空になったときなどに、容器を交換することも可能である。
【0111】
図15cに示されたチューブ266は、本発明の教示するところに従った飲料殺菌装置を備えている。この飲料殺菌装置は、バクテリアや微生物の形態における如何なる汚染物も、パイプ若しくはチューブ内へ入ることが許容されないことを保証するものである。容器を交換または変更するときには、汚染の危険が有るかも知れないことが予期される。このことは、結合装置262が、周囲環境に、従って、上述のようにバクテリアや微生物の汚染にも、曝されることになる。飲料容器とパイプ若しくはチューブシステムとの間の結合部に飲料殺菌装置が存在することは、かかる装置を有しないシステムと比較して、より清浄な飲料を提供することを予期させる。
【0112】
図15bの拡大された概略的な説明図に示されるように、蛇口装置258には、本発明の基本的な教示に従った、電極268及び270で表示される、飲料殺菌装置が在る。結合装置262の場合と同様に、蛇口装置258は周囲環境に曝されるが、飲料分配蛇口272は継続的に曝され、例えばバクテリアのような微生物が蛇口272内へ入ることを許容する可能性がある。
【0113】
飲料が分配されている状況と飲料が何ら分配されていない状況との間の識別をできるようにするために、蛇口部258内に、以前に議論した流量計が含まれていてもよい。この代わりに、センサがハンドル274の位置を検出してもよい。蛇口部258は、通常は、バー(bar)などに配置される。
【0114】
蛇口部258を介して何らの飲料も分配されていない状況では、飲料殺菌装置は、第1の速度(レート:rate)で、例えば1Hzの周波数で、微生物を殺すために、電場を伝播または発生させることができる。飲料が分配されているときには、飲料殺菌装置は、第2の速度(レート)で、例えば1000Hzの周波数で、微生物を殺すために、電場を伝播または発生させることができる。
【0115】
図16は、生ビールを分配するシステム276の概略的な説明図である。このシステムは、内部に飲料容器282が受容される圧力室(圧力チャンバ:pressure chamber)280を有するハウジング278を備えている。図示されたシステムは、気体(ガス)で圧縮されるフレキシブル(flexible)で折り畳み可能な飲料容器282を用いるもので、前記ガスには、好ましくはCO2(二酸化炭素)が用いられるが、他のガスも使用可能である。飲料容器282は、飲料チューブ284に連通している。このチューブ284は、更に蛇口部286に連通している。バルブ288は、選択的に飲料つまり生ビールを分配するハンドル290によって制御される。
【0116】
2個のブロック292及び294で図示される殺菌装置が、蛇口部の先端部296に装備されている。この先端部296には、飲料を分配するために、終端が開口した経路(チャンネル:channel)298が形成されている。このチャンネル298を通って飲料が分配された後には、チャンネル298の壁部に微小な液体膜が固まって形成され、また、内壁に液滴が形成される可能性もある。終端が開口したチャンネル298は周囲環境に曝されているので、例えば空気伝送の又は先端部の外表面上に存在する、例えばバクテリア等の微生物が、前記終端が開口したチャンネル298内に入ってくる危険性がある。
【0117】
分配された飲料が汚染されないことを確かなものとするために、殺菌装置292及び294は、飲料が分配されているときと、飲料が分配されていないときの両方について作動することができる。飲料が分配されているときには、飲料殺菌装置は例えば1000Hzの高周波で作動するかも知れず、このことは、電場が毎秒1000回発生することを意味している。
【0118】
飲料が分配されていないときには、周波数を低くすることができ、それにより、エネルギ消費を低減できる。
【0119】
前記チャンネル298の内側に水または飲料の膜が形成されており、且つ、飲料がチャンネルを通ってながれていない場合には、内部に存在するあらゆる微生物は、比較的ゆっくり移動または動作する。従って、チャンネルを清浄に維持すること、或いはチャンネル298内に少なくともバクテリアが存在しないように保つことを保証するために、殺菌装置を頻繁に使用する必要は必ずしもない。
【0120】
図16に示された実施形態では、要素(エレメント:element)292及び294は、先端部296に比べて相対的に小さいが、他の実施形態においては、これらの要素は、例えば終端開口からバルブ288までチャンネル298の全長に沿った、より大きな延長部分を有していてもよい。
【0121】
ハウジング278内では、チューブ284が飲料容器282に接続されるポイントに、要素298及び300で表示される第2の飲料殺菌装置が配置されている。この第2の殺菌装置は、チューブ284と飲料容器282との間の接続部分周りの領域から、チューブ284内へ微生物が入らないことを保証することを企図したものである。
【0122】
飲料容器282は交換可能であり、空の飲料容器を満杯のものと交換する際には、チューブ及び/又は接続部分が微生物に曝されるかも知れないという危険性がある。
【0123】
第2の飲料殺菌装置での領域は周囲に露出していないので、第2の飲料殺菌装置は、先端部にある第1の飲料殺菌装置と同じ周波数で作動させられる必要はない。第2の飲料殺菌装置は、また、例えば図15a,15b及び15cに示された実施形態に関連して説明されたように、例えばフローセンサ(flow sensor)又はハンドル290の状態など、飲料の流れの検出体によって結合つまり制御されることができる。
【0124】
チューブ284の各端部に1つずつ、2つの飲料殺菌装置が存在することは、バルブ288と飲料容器との間のチューブ284内に存在する飲料が汚染されることはなく、従って、飲料容器282内に存在する飲料を汚染することはないことを、確かなものとすることが企図されている。
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料を殺菌する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
どんな飲料でも細菌(バクテリア:bacteria)を含み得る。伝統的には、飲料を殺菌する処理(プロセス:process)の期間中、すなわち、実質的に微生物を除去し,殺し又は破壊する処理の期間中、飲料は、低温殺菌される、つまり、微生物、特にバクテリアであって、酵母(イースト:yeast),真菌(fungi),ウイルス(virus)及び/又はプリオン(prion)を排除しない微生物が、死滅する温度よりも高い温度に加熱される。
幾つかの或いは殆どの例では、この処理は呈味成分(taste component)を台無しにするかも知れない。従って、飲料を変造し,変質させ或いは実質的に何か変えることなく、飲料を殺菌するシステム及び方法を提供する要求がある。
【0003】
バクテリア等の微生物を殺す一つの方法は、電気的なポレーション(electro-poration)若しくは電気的な透過化(electro-permeabilisation)であり、これは、外部から電場をかけることにより、細胞膜の電気伝導性および電気透過性(electrical permeability)に顕著な上昇を引き起こすことによって達成される。このことは、細胞の死滅を伴うものではないが、分子生物学においても利用される。
細胞膜を横切って印加される電圧が絶縁耐力を越えると、気孔が形成される。加えられた電場の強度および/または電場に対する露出期間が適切に選ばれている場合には、電気的パルスによって形成された気孔は、短い期間の後に再び閉じ、その間に、特別な細胞の複合物(extra cellular compounds)が細胞内へ入る機会を有している。しかしながら、電場への活きた細胞の過度な露出は、細胞の自然死および/または壊死を生じさせ得る、つまり、飲料を殺菌する場合には望ましい細胞の死滅をもたらし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような原理に基づいて、飲料の殺菌を行うためのシステム及び方法を提供するものである。このシステム及び方法は、飲料を電場に曝すことを含んでいる。好ましくは、電場発生器と飲料との間に、何らの直接の接触を伴うことはない。
【0005】
一般に、飲料内の微生物もこの電場に曝される。バクテリアは、脂質二重層膜(lipid bilayer membrane)を有している。この脂質二重層膜とは、脂質分子、通常はリン脂質でなる、膜または膜の領域(ゾーン:zone)である。脂質は、極性頭部基と非極性の脂肪酸尾部(テール:tail)とを有しているので、両親媒性分子(amphiphilic molecules)である。二重層は、それらの炭化水素尾部面が互いにファン・デル・ワールス相互作用(Van der Waals interaction)によって一緒に保持された油性の中核部(oily core)を形成する一方、その帯電した(charged)頭部は膜の何れかの側の水溶液に面するように配置された、二つの脂質の層で構成されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、次のような構成を備えた飲料殺菌装置に関するものである。すなわち、
内部空間を画成すると共に、第1端部と第2端部とを有するハウジングと、
前記第1端部から前記第2端部まで前記内部空間を通って延びる管路を形成する、電気的に絶縁された流体経路と、
第1部分と第2部分とを有する第1導電性電極であって、前記第1部分は前記管路にて前記流体経路に近接して配置される一方、前記第2部分は前記第1部分に対し実質的に垂直に伸長する、第1導電性電極と、
前記第1導電性電極と一緒になって第1の特定の電気容量を有する第1キャパシタを形成する第1導電性対電極と、
第3部分と第4部分とを有する第2導電性電極であって、前記第3部分は前記管路にて前記流体経路に近接して配置される一方、前記第4部分は前記第3部分に対し実質的に垂直に、且つ、前記第1導電性電極の前記第2部分から離間して伸長する、第2導電性電極と、
前記第2導電性電極と一緒になって第2の特定の電気容量を有する第2キャパシタを形成する第2導電性対電極と、
前記第1導電性対電極と前記第2導電性対電極とは、電気的接続によって短絡されており、
前記第1導電性電極と前記第2導電性電極との間を電気的に接続する導電装置と、
一対のトリガーポイントであって、第1トリガーポイントは前記第1導電性電極の前記第1部分から離れて前記第2部分に形成される一方、第2トリガーポイントは前記第1トリガーポイントに対向して前記第1導電性対電極に形成されている、一対のトリガーポイントと、
前記一対のトリガーポイントを短絡させると共に、前記第1トリガーポイントから前記流体経路に沿って電場を伝播せしめる、電気駆動回路と、
を備える、飲料殺菌装置。
【0007】
本発明の第1の態様に係る装置は、飲料生産施設,飲料分配装置および飲料分配セットを含む、様々の環境で用いられることが企図されている。
【0008】
絶縁された飲料または流体経路を通って、電気信号または電場を伝播させ又は放射するために、電極が用いられる。前述のように、電場の存在がバクテリアの膜を開かせ、それにより、バクテリアを殺し又は破壊することが、企図されている。また、他のどこかで議論されることになるであろうが、電場は、静電場,可変電場,パルス電場,交番電場、或いはこれらのあらゆる組み合わせであってもよい。実際の電場強度は、実施および設定に依存して選定することができる。
【0009】
本発明の第1の態様に従った装置は、ハウジング内に電源を含むことができる。この代わりに、装置に電源が接続されるかもしれない。このことは、本発明の他の実施形態および他の態様にも適用される。ハウジングは、好ましくは、例えばPP,ABS等のプラスチックで製作される。
【0010】
或る実施形態では、第1キャパシタの電気容量と第2キャパシタの電気容量とが等しいかもしれない。或る例では、5pFの電気容量が可能である。5pFの電気容量と10kVの電圧とを備えた実施形態では、比較的少ない電力である略0.3mWs程度の電力が必要とされるだけである。
【0011】
本発明の第1の態様に従った装置では、前記ハウジングは、一側でヒンジ結合された2つの部品で構成され、前記流体経路は、前記2つの部品が組み合わされたときに当該流体経路が形成されるように、前記部品の各々の凹所によって形成され、前記凹所はチューブを受け合う構造を形成している。これは、第1の態様に従った装置が、飲料分配用のチューブ,配管もしくはガイドの周りに係留され得るようにすることを企図したものである。
【0012】
或る代替的な実施形態では、前記ハウジングは、第1チューブとの連通を確立する流体入口を構成する前記第1端部に第1コネクタを有し、また、前記ハウジングは、第2チューブとの連通を確立する流体出口を構成する前記第2端部に第2コネクタを有している。これは、装置が、2若しくはそれ以上のチューブ又は配管からなる飲料分配ラインに挿入され得るようにすることを企図したものである。このような実施形態では、飲料は、上述の分離したチューブ内ではなく、ハウジングの内部を通って流れることになる。
【0013】
本発明の第2の態様は、次のような構成を備えた飲料殺菌装置に関するものである。すなわち、
外表面と内部空間とを形成すると共に、第1端部と第2端部とを有するハウジングと、
前記表面によって管路形状を形成すると共にチューブを受け合うのに適合した、電気的に絶縁された流体経路であって、前記管路は前記チューブを受け合って固定する開口部分を有している、流体経路と、
第1部分と第2部分とを有する第1導電性電極であって、前記第1部分は前記管路にて前記流体経路に近接して配置される一方、前記第2部分は前記第1部分に対し実質的に垂直に伸長する、第1導電性電極と、
前記第1導電性電極と一緒になって第1の特定の電気容量を有する第1キャパシタを形成する第1導電性対電極と、
第3部分と第4部分とを有する第2導電性電極であって、前記第3部分は前記管路にて前記流体経路に近接して配置される一方、前記第4部分は前記第3部分に対し実質的に垂直に、且つ、前記第1導電性電極の前記第2部分から離間して伸長する、第2導電性電極と、
前記第2導電性電極と一緒になって第2の特定の電気容量を有する第2キャパシタを形成する第2導電性対電極と、
前記第1導電性対電極と前記第2導電性対電極とは、電気的接続によって短絡されており、
前記第1導電性電極と前記第2導電性電極との間を電気的に接続する定電流保持インダクタと、
一対のトリガーポイントであって、第1トリガーポイントは前記第1導電性電極の前記第1部分から離れて前記第2部分に形成される一方、第2トリガーポイントは前記第1トリガーポイントに対向して前記第1導電性対電極に形成されている、一対のトリガーポイントと、
前記一対のトリガーポイントを短絡させると共に、前記第1トリガーポイントから前記流体経路に沿って電場を伝播せしめる、電気駆動回路と、
を備える飲料殺菌装置。
【0014】
本発明の第2の態様に従った装置は、ハウジングの外側に形成された凹所または開口内の飲料を運ぶためのチューブ又は配管を受け合うのに適合している。凹所は、当該凹所内でチューブ又は配管を保持するための突出領域を含んでいるかもしれない。この代わりに或いはこれと組み合わせて、更に、例えばストラップやワイヤ等の保持手段が用いられてもよい。
【0015】
第2の態様に従った装置の電気的な構成要素は、本発明の第1の態様に従った装置に関連して説明したものと同様である。
【0016】
或る特定の実施形態では、トリガーポイント(trigger point)はブルームライン放電伝播ポイント(Blumlein discharge propagation point)を構成することができ、また、電気駆動回路は、ブルームライン伝播ポイントを短絡させるブルームライン短絡回路であってもよい。この代わりに、前記電気駆動回路は、スパーク間隙,スパークコイル,スパークプラグ,サイラトロン、或いはその他のあらゆる好適な電気的要素、又は上述の要素のあらゆる組み合わせ、によって構成されることができる。また、磁気パルス圧縮のための装置がシステム内に含まれていてもよい。かかる装置は、回路を駆動して磁場を発生させる直前に、パルス又は電流を発生させるのに用いられることができる。
【0017】
駆動回路は、
最終的には、飲料を通って移動し、前述のように、バクテリアのような微生物の膜と相互作用する電場または電波を起動するのに用いられる。
【0018】
或る有利な実施形態では、第1導電性対電極は第1導電性電極の第2部分に対向して配置され、該第1導電性電極の第2部分と前記第1導電性対電極との間に実質的に一定の間隔が保たれるように延びているかも知れない。これは、電極によって形成されるキャパシタが、何らの欠陥もなく、又は、望ましくないか若しくは制御されていない電場が発生させられることなく、正常に機能することを保証することを企図したものである。
同様に、第2導電性対電極は第2導電性電極の第2部分に対向して配置され、該第2導電性電極の第2部分と前記第2導電性対電極との間に実質的に一定の間隔が保たれるように延びていてもよい。
【0019】
別の有利な実施形態では、前記第1導電性対電極および前記第2導電性対電極は単極として形成されるかも知れない。このことは、構造の実施を簡素化することができる。
この代わりに、前記第1導電性対電極と前記第2導電性対電極とが別々の電極として形成され、これら第1導電性対電極と第2導電性対電極との間に直接の電気的接続が形成されていてもよい。これは、上述の単極の場合と同様の効果を達成することを企図したものである。
【0020】
或る特別な実施形態では、前記第1導電性電極の第1部分から離れた当該第1導電性電極の第2部分に、短絡ポイントが形成されているかも知れない。
【0021】
別の特定の実施形態では、前記第1導電性対電極は、前記第1導電性電極と電気的に接続された第1同軸ケーブルによって構成されているかも知れない。更に、前記第2導電性対電極が、前記第2導電性電極と電気的に接続された第2同軸ケーブルによって構成されていてもよい。また更に、第1及び第2導電性対電極が共に、同軸ケーブルによって構成されていてもよい。これは、キャパシタの代替的な実施形態をもたらすことを企図したものである。或る特別な実施形態では、前記第1同軸ケーブルのシールド部分は、前記第2同軸ケーブルのシールド部分と電気的に接続されているかもしれない。
【0022】
前述のように、流体つまり飲料がハウジングを通って流れることができる。このような場合において、流体経路が、ハウジング内のチューブ状の導管によって構成されていてもよい。導管は、飲料がハウジング内部に入らないことを保証することを企図したものである。導管の断面は、好ましくは、本発明に従った装置に接続されたチューブ又は配管の断面と同様の幾何学形状を有している。通常、この幾何学形状は実質的に円形である。
【0023】
前記導管は、有益に、ガラス,テフロン或いはその他の好適な材料で製作されることができる。この材料は、好ましくは、電気的に絶縁性で非導電性であるべきである。この代わりに、この材料が導電性であってもよい。
【0024】
前記ハウジングはプラスチック材料で製作されていてもよい。ハウジングに用いられる材料は、非導電性で、発生させられた電場に影響を及ぼすことはない。
【0025】
ハウジングによって内部空間が画成されることができ、前記ハウジングの前記内部空間内にガスが含まれ、前記流体経路を少なくとも部分的に取り囲んでいてもよい。この代わりに、内部空間が、排気され、つまり実質的にガス無し、であってもよい。
【0026】
前記ハウジング内にサイラトロン(thyratron)が配置され、前記第1導電性電極と電気的に接続されていてもよい。前記サイラトロンは、電場を起動するのに用いられることができる。このサイラトロンは、短絡ポイントに電気的に接続されていてもよい。
【0027】
前述のように、ハウジング内に電源が配置されていてもよい。更に、前記電源は、リチウムイオン電池のような電池であってもよい。あらゆる他の好適な電池タイプのものを用いることができる。
【0028】
前記第1キャパシタは、1から50pFのインターバル内で電気容量を有している。
また、前記定電流保持コンダクタはコイルであってもよい。このコイルは、略1pHから1mH程度のインダクタンスを有していてもよい。
【0029】
第1及び/又は第2の態様に従った飲料殺菌装置は、飲料分配装置内に含まれるか、又は、飲料分配ラインに接続もしくは飲料分配ラインに含まれていてもよい。これは、生ビール分配装置およびシステムも水分配装置も含んでいる。
【0030】
前述の導電性要素は、インダクタ,抵抗,キャパシタ、又はそれらのあらゆる組み合わせを含んでいるか、若しくは、これらによって構成されていてもよい。部品の選定は、所望の使用もしくは電力消費に依存するかも知れない。
【0031】
本発明の第3の態様は、電気的に絶縁された流体経路を通して行われる飲料を殺菌する方法に関するもので、この方法は、次のようなステップを備えている。すなわち、
以下を含む殺菌装置を設けるステップであり、
内部空間を画成すると共に、第1端部と第2端部とを有するハウジングと、
前記第1端部から前記第2端部まで前記内部空間を通って延びる管路によって形成された、電気的に絶縁された流体経路と、
第1部分と第2部分とを有する第1導電性電極であって、前記第1部分は前記管路にて前記流体経路に近接して配置される一方、前記第2部分は前記第1部分に対し実質的に垂直に伸長する、第1導電性電極と、
前記第1導電性電極と一緒になって第1の特定の電気容量を有する第1キャパシタを形成する第1導電性対電極と、
第3部分と第4部分とを有する第2導電性電極であって、前記第3部分は前記管路にて前記流体経路に近接して配置される一方、前記第4部分は前記第3部分に対し実質的に垂直に、且つ、前記第1導電性電極の前記第2部分から離間して伸長する、第2導電性電極と、
前記第2導電性電極と一緒になって第2の特定の電気容量を有する第2キャパシタを形成する第2導電性対電極と、
前記第1導電性対電極と前記第2導電性対電極とは、電気的接続によって短絡されており、
前記第1導電性電極と前記第2導電性電極との間を電気的に接続する導電装置と、
一対のトリガーポイントであって、第1トリガーポイントは前記第1導電性電極の前記第1部分から離れて前記第2部分に形成される一方、第2トリガーポイントは前記第1トリガーポイントに対向して前記第1導電性対電極に形成されている、一対のトリガーポイントと、
前記一対のトリガーポイントを短絡させると共に、前記第1トリガーポイントから前記流体経路に沿って電場を伝播せしめる、電気駆動回路と、
を含む、殺菌装置を設けるステップと、
前記電気的に絶縁された流体経路内に飲料を供給するステップと、
前記第1及び第2導電性電極を帯電させるステップと、
前記短絡ポイントを作動させて、前記電気的に絶縁された流体経路を通る電場を発生させるステップと、
前記帯電と短絡とを繰り返すステップと、
を備える方法。
【0032】
本発明の第4の態様は、電気的に絶縁された流体経路を通して行われる飲料を殺菌する方法に関するもので、この方法は、次のようなステップを備えている。すなわち、
以下を含む殺菌装置を設けるステップであり、
外表面と内部空間とを形成すると共に、第1端部と第2端部とを有するハウジングと、
前記表面によって管路形状を形成すると共にチューブを受け合うのに適合した、電気的に絶縁された流体経路であって、前記管路は前記チューブを受け合って固定する開口部分を有している、流体経路と、
第1部分と第2部分とを有する第1導電性電極であって、前記第1部分は前記管路にて前記流体経路に近接して配置される一方、前記第2部分は前記第1部分に対し実質的に垂直に伸長する、第1導電性電極と、
前記第1導電性電極と一緒になって第1の特定の電気容量を有する第1キャパシタを形成する第1導電性対電極と、
第3部分と第4部分とを有する第2導電性電極であって、前記第3部分は前記管路にて前記流体経路に近接して配置される一方、前記第4部分は前記第3部分に対し実質的に垂直に、且つ、前記第1導電性電極の前記第2部分から離間して伸長する、第2導電性電極と、
前記第2導電性電極と一緒になって第2の特定の電気容量を有する第2キャパシタを形成する第2導電性対電極と、
前記第1導電性対電極と前記第2導電性対電極とは、電気的接続によって短絡されており、
前記第1導電性電極と前記第2導電性電極との間を電気的に接続する定電流保持インダクタと、
一対のトリガーポイントであって、第1トリガーポイントは前記第1導電性電極の前記第1部分から離れて前記第2部分に形成される一方、第2トリガーポイントは前記第1トリガーポイントに対向して前記第1導電性対電極に形成されている、一対のトリガーポイントと、
前記一対のトリガーポイントを短絡させると共に、前記第1トリガーポイントから前記流体経路に沿って電場を伝播せしめる、電気駆動回路と、
を含む、殺菌装置を設けるステップと、
前記電気的に絶縁された流体経路内に飲料を供給するステップと、
前記第1及び第2導電性電極を帯電させるステップと、
前記短絡ポイントを作動させて、前記電気的に絶縁された流体経路を通る電場を発生させるステップと、
前記帯電と前記短絡とを繰り返すステップと、
を備える方法。
【0033】
前記第3及び/又は第4の態様は、本発明の前記第1及び/又は第2の態様に装置を用いて実行することができる。
【0034】
本発明の或る実施形態では、流量計が存在しているかも知れない。流量計は、例えば先に議論したチューブ又は配管などの流体案内路内を、流体が流れるときを検出するために用いられることを企図したものである。このことは、装置が、2つの異なる速度で殺菌を実行できるようにする。2つの異なる速度とは、一つは、流体が分配されるか、若しくは少なくともチューブ又は配管内を流れるときの早い速度であり、今一つは、流体がながれていないか、若しくは分配されていないときのより遅い速度である。
一つの例は生ビール分配装置であり、そこでは、ビール容器とビールラインつまりチューブ又は配管との間の結合部に、流量計が備えられている。例えば蛇口からビールが分配されるとき、流量計が流速の変化を検出し、殺菌装置を駆動するか、若しくは、少なくとも殺菌装置に、高い繰り返し速度で電場が加えられる異なるモードへの変更を生じせしめる。飲料が何ら分配されていないときには、殺菌装置は、より低い頻度で電場を発することになる。
【0035】
飲料分配用蛇口への飲料案内ラインに接続された1つ若しくはそれ以上の飲料貯留容器を備えた酒場セット(bar setting)では、本発明に従った殺菌装置を、1つ若しくはそれ以上の飲料容器が飲料案内チューブ又はラインに接続される箇所に、及び飲料分配用蛇口にもう一つ、取り付けることが有益である。
飲料容器が空になると、新しい満杯のものが、飲料分配ライン又はチューブに接続される。この結合が実行されるときに、システム内に汚染が導かれる可能性がある。また、分配用蛇口は、酒場の周囲環境に曝され、それにより、汚染物に曝されることになる。
従って、これらの箇所では、本発明に従った飲料殺菌装置を配置もしくは取り付けることが有益である。更に、流量計は時間と共に装置のエネルギ消費を低減させることを企図したものであるので、流量計の付加は有利さを増大させることを企図したものである。
【0036】
蛇口から何らの飲料も分配されていないときには、蛇口の先端部に少量の残留物が在るかも知れず、また、先端部は、終端が開口し、周囲環境に露出しているので、バクテリアや他の微生物が先端部に入り、それにより、飲料を汚染する危険性がある。従って、蛇口装置の先端部に飲料殺菌装置を配置または取り付けることは、有益であることが予期される。
これに加えて、飲料が分配されるときを検出する流量計も含まれるかも知れない。何らの飲料も分配されていないときには、先端部内に存在する如何なる微生物も、例えば先端部の開口から当該先端部の上流への方向に、比較的ゆっくりと移動するだけである。従って、飲料が分配されているときよりも単位時間当たりに少ない回数で、先端部内に存在する飲料の殺菌を実行すれば十分であるかも知れない。飲料が流れているか否かの検出も、蛇口のハンドル又は操作部分に関連付けられるかも知れない。
【0037】
前記帯電と前記短絡または駆動とは、第1の時間周期の間、0.01Hzから1kHzの周波数で繰り返されることができる。この代わりに、前記帯電と前記短絡または駆動とは、非周期的に繰り返されてもよい。前記帯電と前記短絡とは、第2の時間周期の間、非周期的に繰り返されてもよい。この第2の時間周期は10秒であってもよく、或いは、流量計または前述のような他の流量検出手段によって制御されてもよい。
【0038】
本発明の第3及び/又は第4の態様に従った方法においては、使用されるシステムは、前記第1及び/又は第2の態様に従ったシステム若しくは装置に係る特徴事項を含んでいてもよい。
【0039】
本発明の第5の態様は、以下の特徴を備えた飲料ガイド及び殺菌システムに関するものである。すなわち、
飲料を受け取ると共に、第1最大流速で前記飲料の層流を許容する第1断面形状を画成する飲料入口部であって、前記第1断面形状は第1断面積を画成すると共に、前記第1断面形状によって第1最大幅と第1最小幅とが規定され、該第1最小幅に対する第1最大幅の第1の比率は1から10の区間内にある、飲料入口部と、
第1端部と、これに対向する第2端部と、前記第1端部に形成され前記第1断面形状と同一の断面形状と、を有する第1遷移部と、
第2断面形状を有する飲料殺菌部であって、該飲料殺菌部は電場を発生させるために1組の電極を備え、前記電場は前記飲料殺菌部内の飲料を貫通する、飲料殺菌部分と、
前記第1遷移部は、前記第2端部に、前記第2断面形状と同一の断面形状を形成し、また、前記第1遷移部は、前記第1端部から前記第2端部に至る第1遷移部長さを形成しており、前記第1遷移部の断面は、前記飲料が当該第1遷移部を通過するときに飲料が層流状態で流れるように、前記第1断面形状から前記第2断面形状に至るまで前記第1遷移部長さに沿って変化し、前記第2断面形状は第2断面積を画成すると共に、前記第2断面形状によって第2最大幅と第2最小幅とが規定されており、該第2最小幅に対する第2最大幅の第2の比率は10から10000の区間内にあり、
前記飲料殺菌部は、当該飲料殺菌部の第2端部で、前記第1遷移部と連通している、
ことを特徴とするシステム。
【0040】
或る追加的な実施形態は、電極と、チューブ,配管またはパイプとを同軸の形態で有しているかも知れず、そこでは、電極は、チューブ,配管またはパイプの内方部分の内側か、若しくはチューブ,配管またはパイプの内壁に、配置されている。パイプ,チューブ又は配管の断面の形つまり幾何学形状は、好ましくは円形であるが、楕円形,四角形,多角形もしくはそれらの組み合わせであってもよい。
【0041】
電場は、飲料の流れの方向に対して垂直に、飲料の流れと平行に、或いは、飲料の流れに対して或る特定の角度をなして、伝播することができる。好ましくは、飲料の流れは、当該飲料が実質的に直線状に流れる部分を含み、電場の方向は、飲料の流れのこの部分に対して規定されるようにしてもよい。
【0042】
電極は、また、ブルームライン構造内に配置されてもよく、そこでは、電場は、飲料の流れ方向に沿って素早く伝播する。上述の電極形態についての注記は、本発明の全ての態様に当て嵌まるものである。
【0043】
第5の態様に従ったシステムは、飲料が層流または実質的に層流の状態で流れることが重要である飲料生産設備で用いられることを企図したものである。ビールを醸造するときが正しく当て嵌まるかも知れない。この場合、醸造されたビールが乱流で流れ、その結果、生産システム内に泡が形成されることが望ましくない。しかしながら、少量もしくは僅かな乱流であれば容認可能である。このことは、炭酸清涼飲料の生産についても同様である。
【0044】
飲料からガスが放出されることを防止するために層流が維持されるべきである。しかしながら、少量の非層流であれば容認可能である。遷移部は、急激な遷移がないように形成されるべきである。第1断面形状から第2断面形状への形状変化は滑らか(スムース:smooth)なものでなければならない。
【0045】
前記電極の組は、静電場,パルス電場,可変電場,交番電場、AC電場,DC電場,RF電場,HF電場,AC重畳を伴ったDC電場、或いはこれらのあらゆる組み合わせを発生させることができる。電場のタイプは、例えば、周囲環境,EMC要求あるいはコンプライアンス,飲料の早さつまり速度、及び電場に曝されるべき飲料のサイズ若しくは幅など、様々の考慮すべき事項に依存していてもよい。
【0046】
或る実施形態では、電場は50kVの高電圧を用いて発生させられるかも知れない。飲料殺菌部の最大幅は略1から5メートル程度であり、最小幅は略1から5ミリメートル程度であるかも知れない。流速は、通常、10m/秒よりも遅い。
【0047】
飲料がシステム内を流れ、電極は静止状態を保っているので、飲料と電極との間には、なお相対運動がある。
【0048】
或る実施形態では、前記飲料殺菌部は、前記第1遷移部および/または前記第2遷移部の部分によって形成されていてもよい。そのとき、電極は、一方または両方の遷移部の頂部に配置することができる。また、前記第1遷移部および前記第2遷移部は、一体的に形成されていてもよい。
【0049】
前記飲料殺菌部は、前記第1遷移部と前記第2遷移部とを相互に結合している別物の部分であってもよい。また、前記第1遷移部および前記第2遷移部は、前記飲料殺菌領域または飲料殺菌部と一体的に形成されていてもよい。
【0050】
特に、前記第1遷移部および/または前記第2遷移部は非導電性の材料で製作されることができる。これは、電場がシステム及び飲料を貫通できることを保証することを企図したものである。また、前記飲料殺菌部は非導電性の材料で製作されていてもよい。
【0051】
前記第1断面形状は、実質的に、円形,楕円形,全体的に丸い形状の多角形、或いはこれらのあらゆる組み合わせである、ことが有利である。前記第1断面形状は、例えば醸造所におけるような生産施設内のチューブ又はパイプの幾何学形状に対応している。
【0052】
前述のように、或る別の実施形態は、電極と、チューブ,配管またはパイプとを同軸の形態で有することができ、そこでは、電極は、チューブ,配管またはパイプの内方部分の内側か、若しくはチューブ,配管またはパイプの内壁に、配置されている。
【0053】
前記第2断面形状は、実質的に、長方形,四角形、或いは楕円形であってもよい。この第2断面形状は、電場の移動が最短距離となるように形成されるべきである。より大きな間隔は、より高い電圧、従ってより大きな電力消費を必要とし、また、他の機器等との干渉の問題も生じかねない。
【0054】
本発明の第5の態様に従ったシステムは、本発明の第1,第2,第3及び/又は第4の態様に関連して述べた特徴事項を含むことができる。
【0055】
本発明は、図面を参照しながら、より詳細に議論されよう。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】殺菌システムの第1実施形態の概略図である。
【図2a】キャパシタ・システムの概略図である。
【図2b】キャパシタ・システムの概略図である。
【図3】一体化された殺菌システムを備えたチューブの概略図である。
【図4】一体化された殺菌システムを備えたチューブの概略図である。
【図5】一体化された殺菌システムを備えたチューブの概略図である。
【図6】一体化された殺菌システムを備えたチューブの概略図である。
【図7】一体化された殺菌システムを備えたチューブの概略図である。
【図8】一体化された殺菌システムを備えたチューブの概略図である。
【図9a】容器内の飲料を殺菌するための殺菌デバイスを組み込んだ装置の概略図である。
【図9b】図9aの装置の拡大図である。
【図9c】容器を飲料で満たし、飲料が分配されるときに飲料を殺菌するための殺菌デバイスを組み込んだ、装置の概略図である。
【図9d】図9cの装置の拡大図である。
【図10】殺菌されている缶内の飲料概略図である。
【図11a】飲料を殺菌するための回路の概略図である。
【図11b】飲料を殺菌するための回路の概略図である。
【図12a】生産設備内における飲料殺菌用システムの概略図である。
【図12b】生産設備内における飲料殺菌用システムの概略図である。
【図13a】チューブ内を流れる飲料を殺菌するための装置の一実施形態の概略図である。
【図13b】チューブ内を流れる飲料を殺菌するための装置の一実施形態の概略図である。
【図14a】チューブ内を流れる飲料を殺菌するための装置の他の実施形態の概略図である。
【図14b】チューブ内を流れる飲料を殺菌するための装置の他の実施形態の概略図である。
【図15a】3つの飲料容器と飲料分配栓とを備えたシステムの概略図である。
【図15b】飲料分配栓の拡大図である。
【図15c】飲料容器用のコネクタの拡大図である。
【図16】生ビール分配システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
図1は、飲料を殺菌するためのシステム10の概略図である。現今の好ましい実施形態では、飲料はビールであるが、例えば、水,フルーツジュース,ソフトドリンク或いはワイン等の他の飲料でも、用いられることができる。
前記システム10は、アダプタ14及び16を有するハウジング12を備えている。前記アダプタは、例えば、醸造所における、或いは、例えば酒場(バー:bar)などに在る飲料分配機構における、飲料流体路に接続するためのものである。
【0058】
前記ハウジング12は、当該ハウジング12を貫通する流体経路を設けるために、アダプタ14及び16と流通する流体案内管(ガイドチューブ:guiding tube)18を含んでいる。
【0059】
図1に示された実施形態では、ハウジング12はガラス材料で造られている。チューブ18も、ガラスで造られ、また、ハウジング12と一体的に形成されることもできる。ハウジング12は、中空で、ハウジング12の内部に真空を形成するために真空引きされている。代替的な実施形態では、ハウジングは、気体(ガス:gas)、例えば不活性ガス若しくは金属蒸気で満たされるかもしれない。
【0060】
ハウジング12は、更に、2枚の金属製プレート20及び22を備えている。これら2枚のプレート20及び22は、流体ガイドチューブ18の長さに沿って配置されている。該チューブ18は実質的に真っ直ぐであるので、プレート20及び22はチューブ18と平行に配置されている。
【0061】
各々のプレート20及び22は、2つの部分24,26及び28,30をそれぞれ備えている。プレート20で説明すれば、2つの部分24及び26は、互いに実質的に垂直に配置されている。その構造は、他の図面を参照してより詳しく説明されよう。プレート20及び22は、電気的に伝導性のある金属材料で作られている。これらプレート20及び22は、蓄電器(キャパシタ:capacitor)システムの一部を形成している。
【0062】
システム10は、更に、2つの格子(グリッド:grid)32及び34を備えている。これらグリッドは、プレート20内で移動し、チューブ18を通ってプレート22へ移動する電磁波をスタートさせるのに用いられるサイラトロン(thyratron)の一部である。グリッド32及び34は、起動効果(trigger effect)を与えるものである。通常のグリッド電位は、陰極に関して負(ネガティブ:negative)であり、電子がプレートに流れることを妨げている。他の好適な点火装置(ignition device)が用いられてもよい。
また、磁気パルス圧縮用の装置がシステム内に含まれてもよい。これは、システムを短絡(ショート)させブルームライン(Blumlein)回路を稼働する前の最後の瞬間に、信号が発生されることができるようにするのに用いられる。
【0063】
サイラトロンは、高エネルギの電気的スイッチとして用いられる、気体(ガス)が充填されたタイプの管(チューブ:tube)である。殆どは三極管の設計のものであるが、過去には、三極管,四極管および五極管のサイラトロンの変形(バリエーション:variation)が製造されてきた。使用可能なガスには、水銀蒸気,キセノン(xenon),ネオン(neon)が含まれ、特に高電圧の用途もしくは非常に短い切替時間(switching time)を必要とする用途には、水素または重水素(デューテリウム:deuterium)が含まれる。
【0064】
電場が、前記部分24及び30に対して垂直な電場成分を有して、チューブ18を通じて形成されることが企図されている。従って、チューブ18内を移動する飲料は、電場の影響を受けることになる。
【0065】
グリッド32及び34は、制御可能な電源に結合されている。
【0066】
概して言えば、飲料内のバクテリアも電場の影響を受けることになる。バクテリアは、脂質二重層膜(lipid bilayer membrane)を有している。この脂質二重層膜とは、脂質分子、通常はリン脂質でなる、膜または膜の領域である。脂質は、極性頭部基と非極性の脂肪酸尾部とを有しているので、両親媒性分子である。二重層は、それらの炭化水素尾部面が互いにファン・デル・ワールス相互作用(Van der Waals interaction)によって一緒に保持された油性の中核部を形成する一方、その帯電した(charged)頭部は膜の何れかの側の水溶液に面するように配置された、二つの脂質の層で構成されている。
細胞の電気的なポレーション(electro-poration)若しくは電気的な透過化(electro-permeabilisation)は、外部から電場をかけることによって引き起こされる細胞膜の電気伝導性および電気透過性(electrical permeability)における顕著な上昇である。このことは、分子生物学においても利用される。細胞膜を横切って印可される電圧が絶縁耐力を越えると、気孔が形成される。加えられた電場の強度および/または電場に対する露出期間が適切に選ばれている場合には、電気的パルスによって形成された気孔は、短い期間の後に再び閉じ、その間に、特別な細胞の複合物(extra cellular compounds)が細胞内へ入る機会を有している。しかしながら、電場への活きた細胞の過度な露出は、細胞の自然死および/または壊死を生じさせ得る、つまり細胞の死滅をもたらし得る。
【0067】
前記膜は、それが裏返しにされるように変化する。電場がオン・オフされると、膜に脈動を生じさせ、結局は破壊される。
【0068】
電場は、例えば1000ヘルツ(Hz)の周波数でパルスを発し得る。膜は、損傷を受けることなく、約1マイクロ秒(μsec)−1ミリ秒(msec)で裏返ることができる。前記システム10は、更にワイヤ36を備えている。
【0069】
前記システム10は、例えばボイラー(boiler)の出口にある、或いは、飲料がボトル,缶または樽に充填される充填ステーション(station)の例えば直前にある、醸造システムの一部であってもよい。
【0070】
飲料ガイドチューブ18の幅は、1センチメートル(cm)の位数にあり、キャパシタは約105ボルト(V)まで充電され、その結果、電場は104V/mmの位数の電場強度を有している。
【0071】
図2aは、図1におけるシステム10のキャパシタ部分を具現化する一つの方法の概略図である。3枚の板(プレート:plate)38,40及び42が、キャパシタ状の構造を形成している。プレート42に対するプレート38及び40の間隔を維持するために、誘電性媒質44が用いられている。プレート38,40及び42は、電気伝導性のある材料で製作されている。
コイル46は、2枚のプレート38及び40間の接続を例示するもので、実質的に一定の電流を維持するためのものである。代替的な実施形態では、他の好適な電気的な部品が用いられるかもしれない。この構造は、プレート38の部分47とプレート40の部分48との間に電場が発生せしめられるために、繰り返して充電および放電される。
【0072】
前記部分47と部分48との間には、飲料導管またはチューブ50が位置している。この導管50は、好ましくはプラスチックやガラス等の非導電性材料で製作されている。飲料は、この導管50内を矢印52及び54の方向に流れる。
【0073】
システムを短絡(ショート)させて点(ポイント)60から電波を発生させるために、ワイヤ56及び58が用いられている。電波は前記部分47の方に向かって伝わる。
上述のように、導管50内の飲料は電場の影響を受け、この電場は、約1000Hzの周波数でパルスが発生される。このことは、バクテリアの有極性(polar)の二重膜に突然の裏返しを生じさせ、結局は膜を破壊し、それによりバクテリアを殺す。導管50の入口からその出口に達するまでの移動の間、バクテリアが適応できず、また、多くの周期を被るような高速で、電場が変化させられる。
【0074】
図2bは、図1におけるシステム10のキャパシタ部分を具現化する別の方法の概略図である。
【0075】
キャパシタ部分は、2枚の板(プレート)62及び64を備えている。各プレート62,64は、それぞれ第1部分66,68を備えると共に、それぞれ第1部分66,68にそれぞれ垂直に配置された第2部分70,72を備えている。飲料は、部分70及び72間に位置する溝部(チャンネル)73内を流れる。
【0076】
同軸ケーブル76からのポイント74から電場が発するので、プレート62の第1部分66は三角形状に形成されてもよく、このようにして、用いられる材料および空間(スペース)を低減している。
【0077】
2本の同軸ケーブル76及び80間には、電気的な接続78が確立されている。接続78は、同軸ケーブル76及び80のスクリーン(screen)間にあり、コア(core)部分ではない。
【0078】
図3から図8は、飲料ガイドチューブ又はパイプ内に一体化または包含された殺菌装置の概略構成図である。該殺菌装置は、電場を発生させるために、前記チューブ又はパイプ内に金属を用いている。
【0079】
図3は、パイプ又はチューブ164の断面を概略的に示している。チューブ164内には、包囲状の電極166が埋め込まれている。電源168からの電気的な接続が設けられている。スイッチ170は、チューブ164の内側の本体176上の2つの電極172及び174間での切替を許容する。このことは、矢印180で示された電場が、電極174と電極166との間に発生することができるようにする。
【0080】
図4は、図3に示されたパイプ164の同じ断面を概略的に示している。しかしながら、図4においては、矢印182で示されるように、電場は、電極172と電極166との間に発生させられる。
【0081】
本体176は、矢印178の方向における飲料の流れを引き起こす。図3において同様の要素を指称するものについては、符号は同一である。
【0082】
図5は、内部に埋め込まれた電極186を備えたパイプ184の断面を概略的に示している。本体188は、チューブ184内に配置されている。この本体188は、電極190を包含している。電場192は、電極186と電極190との間に発生させられる。矢印194は、飲料の流れを示している。
【0083】
図6は、本体198を備えたパイプ196の断面を概略的に示している。本体は、2つの電極200及び202を包含している。電力は、電力供給部204から供給される。電極内の電流は、飲料内に電場206を発生させる。
【0084】
図7は、パイプ内に2つの電極208及び210が埋め込まれたパイプ207の断面を概略的に示している。飲料は、パイプ206内で本体212の周りを流れる。電力は、電力供給部214から供給される。電場は、矢印215によって示されている。
【0085】
図8は、内部に埋め込まれた電極218を備えたパイプ216を概略的に示している。本体220は、パイプ216内に配置されている。2つの電極222及び224が、本体220内に埋め込まれている。これら2つの電極222及び224には、電力供給部226から電力が供給される。
【0086】
2つの電極が示されている上述の図面における実施形態では、2つの電極は、同時に、又は独立して、又は交番的に、又はそれらの組み合わせで、駆動される。
【0087】
図9aは、容器内の飲料を殺菌するための、特に、ガラス製容器、すなわちガラス製の瓶(ボトル:bottle)内の飲料を殺菌するための、システム106の概略図である。このシステム106は、2つの電場発生器108及び110を含んでいる。これら発生器は、1本のボトルを取り囲むことができるように、一方向において移動可能である。ボトルが電場発生器によって取り囲まれると、電場が作用し、その電場がボトルを貫通し、本明細書の何処か他の箇所に記載されているように、二重の脂質膜と相互に影響し合う。
【0088】
前記2つの電場発生器108及び110は、装置112及び114によって互いに相反して駆動される。また、これら2つの電場発生器108及び110は、容器、つまり図に示されているボトルの長手方向軸線と実質的に平行な方向において動作させられる。
【0089】
ボトルは、運搬システム(コンベヤシステム)116を介して、供給つまり輸送され、そして、殺菌後、ボトルは、更に第2のコンベヤシステム118によって輸送される。ボトルは、飲料で満たされキャップを装着した後、殺菌システムに供給される。代替的な実施形態では、キャップは後で適用される。ボトルは、更なる処理ステーション若しくは梱包ステーションへ輸送される。
【0090】
更なる代替的な実施形態では、システム106は、空のボトルを殺菌するのに用いることができる。
【0091】
図9bは、電場発生器108内に在るボトル120の概略的な切断(cut-through)図である。電場は波線122で表示されている。電場は、金属製のキャップによって何ら実質的な影響を受けることはない。
【0092】
図9cは、容器内の飲料を殺菌するための、特に、ガラス製容器、すなわちガラス製の瓶(ボトル)内の飲料を殺菌するための、システム228の概略図である。上述のシステム106と対比しての主要な相違点は、このシステム228は、飲料を、特定の容器内へ輸送されるときに殺菌することである。容器自体は洗浄され殺菌されているものと仮定されている。
【0093】
前記システム228は、複数の飲料分配用のロッド若しくはガイド230を備え、これらは、反時計回り方向に、つまり、コンベヤシステム234上の容器232と同じ方向に、回転させられている。容器、例えばガラス製ボトル、の各々は、符号236での入口部から反対側の出口部への移動中に、充填される。前記ロッド230は、容器の長手方向軸線と平行な方向において、つまり、上下方向に移動可能である。
【0094】
図9dは、ロッド230を介して充填されている容器の概略的な拡大図である。ロッド230の開口端部238には、2つの電極240及び242が配置されている。これら電極240及び242は、本発明に従った飲料殺菌装置の一部であり、本明細書の全体を通じて説明されている。
【0095】
より有利には、前記ロッド若しくはシステム238内に流量計が組み込まれることができ、その結果、電極240及び242は、飲料が容器内に充填されるときに電場を発生するだけである。その代わりに、飲料が何ら分配されていないときにも電場が発生させられ、飲料を容器内へ通過させる前にロッド230に汚染が無いことが保証される。
【0096】
図10は、容器124内の飲料を殺菌する代替的な方法の概略説明図である。一般に、容器は、金属製または導電性あるいは少なくとも部分的に導電性であっても良く、また、被覆(コーティング)を含んでいても良く、若しくは部分的に被覆されていても良い。更に、容器は、缶,樽または瓶であっても良い。
電極126が、飲料128内に降下させられている。電極126と缶124との間で、飲料128内に電場が発生させられる。缶124は、内壁にコーティングを備えており、その結果、電場が、電場の存在によって生じる電解プロセス、或いは壁部と飲料との間の他の何らかの形態の相互作用のために、飲料内で溶解する缶124の壁部の材料を何ら生じさせることはない。
【0097】
図11a及び図11bは、それぞれ、セットアップ及び回路の線図を概略的に示している。図11aは、両者間に飲料ガイド86が配置されている2枚の板材(プレート:plate)82及び84を示している。コイル88が前記2枚のプレート82及び84に接続されている。これら2枚のプレート82及び84は、前述のキャパシタ・システムを確立する共通プレート90を共有している。
【0098】
図11bは、共通電極96を有する2つのキャパシタ92及び94を含む回路を概略的に示している。符号100の所では0(ゼロ)V(ボルト)に保たれる一方、符号98の所ではUB0の電圧が印加される。コイル102は、2つのキャパシタ92及び94にわたって電圧が維持されることを確かなものとしている。回路は、更に、火花間隙(スパークギャップ:spark gap)104を備えている。
【0099】
図12a及び図12bは、生産施設内で飲料を殺菌するシステム146の概略説明図である。該システム146は、入口部148を介して飲料の流れ(フロー:flow)を受容する。この飲料は層流状態で流れる。前記入口部148は、円形断面の幾何学形状を有している。飲料は、矢印150で示される方向に移動する。
【0100】
飲料は、入口部148から第1遷移部分152に向かって流れる。この第1遷移部分152の入口部の幾何学形状は、前記入口部148の幾何学形状に対応している。第1遷移部分152は、そして、実質的に円形の断面からより矩形状の断面に、そして、より薄くより幅広に、形状が変化する。この断面形状の変化は、飲料の流れが層流に維持されるように、徐々に形成される。前述のように、僅かな非層流は許容され得る。
【0101】
第1遷移部分152は、実質的に矩形断面から実質的に円形断面へと反対の遷移をもたらす第2遷移部分154に結合されている。この第2遷移部分154は出口部162に接続されている。第1遷移部分152と第2遷移部分154との接合部分156には、電極158が配置されている。前記接合部分156の反対側には、第2の電極160が第1の電極158と平行に配置されている。これら2つの電極は、一緒になって、電場がシステム146内の飲料を介して伝えられることができるようにする。
【0102】
電極158と電極160とによって発生させられる電場は、静電場であるかも知れず、例えば1kHzなどの固定された周波数でもって、或いは、周波数帯域またはインターバル内で周期的なパルス電場であるかも知れない。
【0103】
好ましくは、前記システム146は、非電気伝導性の材料、好ましくは、ガラス又はテフロン(Teflon)で製作される。この代わりに、あらゆる好適な材料を用いることができる。
【0104】
図13a及び図13bは、飲料分配ライン132に取り付けられた殺菌装置130の概略説明図である。前記飲料分配ライン132は、酒場のセット(bar setting)等の一部であるかもしれない。また、前記殺菌装置130は、水の分配装置内に含まれるかもしれない。
殺菌装置130は、2つの半割体134及び136で構成され、各半割体には凹所が形成されており、これら2つの半割体を組み立てる際には、前記凹所によって形成された開口もしくは通路内に管(チューブ:tube)を受容することができる。
【0105】
チューブつまり分配ライン132は、ガラス又はテフロン或いは他のあらゆる好適な材料によって製作することができる。
【0106】
図13a及び図13bに示された実施形態は、破線で表示されているように、各半割体に電極138及び140を有している。代替的な実施形態では、一方の半割体のみに電極が配置されているかも知れない。これら半割体は必ずしも同一である必要はなく、例えば、或る実施形態では、一方の部品が他方よりも若干大きく、例えば、チューブ受容部分および対応する蓋(リッド:lid)或いは他のチューブ保持手段を具現化しているかもしれない。
【0107】
図14a及び図14bは、別の殺菌装置142の実施形態を概略的に示している。チューブ144は、装置142のハウジング内の通路を通っている。代替的な実施形態では、装置142は、取付手段または装置142をチューブに結合する結合具(カップリング:coupling)を含んでいるかも知れず、飲料は、図1に示された装置と同様の形態で、装置142内を流れる。
【0108】
図13a及び図13bに示された実施形態も図14a及び図14bに示された実施形態も、ハウジング内部に電源を含んでいるが、当該電源は図示されていない。電源は電池(バッテリ)である。装置によって消費される実効値は低いので、標準的な電池でも十分に長い寿命をもたらし得る。電源の状態を検査できるように、電池レベル指示器が含まれていてもよい。
【0109】
図15aは、3つの飲料貯留容器246,248及び250を備えたシステムの概略的な説明図である。容器246,248及び250は、パイプ252,254及び256を介して、蛇口部258に接続されている。圧力媒体容器260から容器246,248及び250へ、圧力媒体が供給される。この実施形態では、圧力媒体はCO2(二酸化炭素)である。
【0110】
容器246,248及び250の各々は、図15cに示されるような結合装置262を介して、パイプ252,254,256に結合されている。前記装置262は、飲料が各容器から出て行くことができる開状態と、飲料が各パイプ若しくはチューブへ入らない閉状態との間で、操作可能なハンドルを備えている。この閉状態では、例えば容器が空になったときなどに、容器を交換することも可能である。
【0111】
図15cに示されたチューブ266は、本発明の教示するところに従った飲料殺菌装置を備えている。この飲料殺菌装置は、バクテリアや微生物の形態における如何なる汚染物も、パイプ若しくはチューブ内へ入ることが許容されないことを保証するものである。容器を交換または変更するときには、汚染の危険が有るかも知れないことが予期される。このことは、結合装置262が、周囲環境に、従って、上述のようにバクテリアや微生物の汚染にも、曝されることになる。飲料容器とパイプ若しくはチューブシステムとの間の結合部に飲料殺菌装置が存在することは、かかる装置を有しないシステムと比較して、より清浄な飲料を提供することを予期させる。
【0112】
図15bの拡大された概略的な説明図に示されるように、蛇口装置258には、本発明の基本的な教示に従った、電極268及び270で表示される、飲料殺菌装置が在る。結合装置262の場合と同様に、蛇口装置258は周囲環境に曝されるが、飲料分配蛇口272は継続的に曝され、例えばバクテリアのような微生物が蛇口272内へ入ることを許容する可能性がある。
【0113】
飲料が分配されている状況と飲料が何ら分配されていない状況との間の識別をできるようにするために、蛇口部258内に、以前に議論した流量計が含まれていてもよい。この代わりに、センサがハンドル274の位置を検出してもよい。蛇口部258は、通常は、バー(bar)などに配置される。
【0114】
蛇口部258を介して何らの飲料も分配されていない状況では、飲料殺菌装置は、第1の速度(レート:rate)で、例えば1Hzの周波数で、微生物を殺すために、電場を伝播または発生させることができる。飲料が分配されているときには、飲料殺菌装置は、第2の速度(レート)で、例えば1000Hzの周波数で、微生物を殺すために、電場を伝播または発生させることができる。
【0115】
図16は、生ビールを分配するシステム276の概略的な説明図である。このシステムは、内部に飲料容器282が受容される圧力室(圧力チャンバ:pressure chamber)280を有するハウジング278を備えている。図示されたシステムは、気体(ガス)で圧縮されるフレキシブル(flexible)で折り畳み可能な飲料容器282を用いるもので、前記ガスには、好ましくはCO2(二酸化炭素)が用いられるが、他のガスも使用可能である。飲料容器282は、飲料チューブ284に連通している。このチューブ284は、更に蛇口部286に連通している。バルブ288は、選択的に飲料つまり生ビールを分配するハンドル290によって制御される。
【0116】
2個のブロック292及び294で図示される殺菌装置が、蛇口部の先端部296に装備されている。この先端部296には、飲料を分配するために、終端が開口した経路(チャンネル:channel)298が形成されている。このチャンネル298を通って飲料が分配された後には、チャンネル298の壁部に微小な液体膜が固まって形成され、また、内壁に液滴が形成される可能性もある。終端が開口したチャンネル298は周囲環境に曝されているので、例えば空気伝送の又は先端部の外表面上に存在する、例えばバクテリア等の微生物が、前記終端が開口したチャンネル298内に入ってくる危険性がある。
【0117】
分配された飲料が汚染されないことを確かなものとするために、殺菌装置292及び294は、飲料が分配されているときと、飲料が分配されていないときの両方について作動することができる。飲料が分配されているときには、飲料殺菌装置は例えば1000Hzの高周波で作動するかも知れず、このことは、電場が毎秒1000回発生することを意味している。
【0118】
飲料が分配されていないときには、周波数を低くすることができ、それにより、エネルギ消費を低減できる。
【0119】
前記チャンネル298の内側に水または飲料の膜が形成されており、且つ、飲料がチャンネルを通ってながれていない場合には、内部に存在するあらゆる微生物は、比較的ゆっくり移動または動作する。従って、チャンネルを清浄に維持すること、或いはチャンネル298内に少なくともバクテリアが存在しないように保つことを保証するために、殺菌装置を頻繁に使用する必要は必ずしもない。
【0120】
図16に示された実施形態では、要素(エレメント:element)292及び294は、先端部296に比べて相対的に小さいが、他の実施形態においては、これらの要素は、例えば終端開口からバルブ288までチャンネル298の全長に沿った、より大きな延長部分を有していてもよい。
【0121】
ハウジング278内では、チューブ284が飲料容器282に接続されるポイントに、要素298及び300で表示される第2の飲料殺菌装置が配置されている。この第2の殺菌装置は、チューブ284と飲料容器282との間の接続部分周りの領域から、チューブ284内へ微生物が入らないことを保証することを企図したものである。
【0122】
飲料容器282は交換可能であり、空の飲料容器を満杯のものと交換する際には、チューブ及び/又は接続部分が微生物に曝されるかも知れないという危険性がある。
【0123】
第2の飲料殺菌装置での領域は周囲に露出していないので、第2の飲料殺菌装置は、先端部にある第1の飲料殺菌装置と同じ周波数で作動させられる必要はない。第2の飲料殺菌装置は、また、例えば図15a,15b及び15cに示された実施形態に関連して説明されたように、例えばフローセンサ(flow sensor)又はハンドル290の状態など、飲料の流れの検出体によって結合つまり制御されることができる。
【0124】
チューブ284の各端部に1つずつ、2つの飲料殺菌装置が存在することは、バルブ288と飲料容器との間のチューブ284内に存在する飲料が汚染されることはなく、従って、飲料容器282内に存在する飲料を汚染することはないことを、確かなものとすることが企図されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間を画成すると共に、第1端部と第2端部とを有するハウジングと、
前記第1端部から前記第2端部まで前記内部空間を通って延びる管路を形成する、電気的に絶縁された流体経路と、
第1部分と第2部分とを有する第1導電性電極であって、前記第1部分は前記管路にて前記流体経路に近接して配置される一方、前記第2部分は前記第1部分に対し実質的に垂直に伸長する、第1導電性電極と、
前記第1導電性電極と一緒になって第1の特定の電気容量を有する第1キャパシタを形成する第1導電性対電極と、
第3部分と第4部分とを有する第2導電性電極であって、前記第3部分は前記管路にて前記流体経路に近接して配置される一方、前記第4部分は前記第3部分に対し実質的に垂直に、且つ、前記第1導電性電極の前記第2部分から離間して伸長する、第2導電性電極と、
前記第2導電性電極と一緒になって第2の特定の電気容量を有する第2キャパシタを形成する第2導電性対電極と、
前記第1導電性対電極と前記第2導電性対電極とは、電気的接続によって短絡されており、
前記第1導電性電極と前記第2導電性電極との間を電気的に接続する導電装置と、
一対のトリガーポイントであって、第1トリガーポイントは前記第1導電性電極の前記第1部分から離れて前記第2部分に形成される一方、第2トリガーポイントは前記第1トリガーポイントに対向して前記第1導電性対電極に形成されている、一対のトリガーポイントと、
前記一対のトリガーポイントを短絡させると共に、前記第1トリガーポイントから前記流体経路に沿って電場を伝播せしめる、電気駆動回路と、
を備える、ことを特徴とする飲料殺菌装置。
【請求項2】
前記ハウジングは、一側でヒンジ結合された2つの部品で構成され、前記流体経路は、前記2つの部品が組み合わされたときに当該流体経路が形成されるように、前記部品の各々の凹所によって形成され、前記凹所はチューブを受け合う構造を形成している、ことを特徴とする請求項1に記載の飲料殺菌装置。
【請求項3】
前記ハウジングは、第1チューブとの連通を確立する流体入口を構成する前記第1端部に第1コネクタを有し、また、前記ハウジングは、第2チューブとの連通を確立する流体出口を構成する前記第2端部に第2コネクタを有している、ことを特徴とする請求項1に記載の飲料殺菌装置。
【請求項4】
外表面と内部空間とを形成すると共に、第1端部と第2端部とを有するハウジングと、
前記表面によって管路形状を形成すると共にチューブを受け合うのに適合した、電気的に絶縁された流体経路であって、前記管路は前記チューブを受け合って固定する開口部分を有している、流体経路と、
第1部分と第2部分とを有する第1導電性電極であって、前記第1部分は前記管路にて前記流体経路に近接して配置される一方、前記第2部分は前記第1部分に対し実質的に垂直に伸長する、第1導電性電極と、
前記第1導電性電極と一緒になって第1の特定の電気容量を有する第1キャパシタを形成する第1導電性対電極と、
第3部分と第4部分とを有する第2導電性電極であって、前記第3部分は前記管路にて前記流体経路に近接して配置される一方、前記第4部分は前記第3部分に対し実質的に垂直に、且つ、前記第1導電性電極の前記第2部分から離間して伸長する、第2導電性電極と、
前記第2導電性電極と一緒になって第2の特定の電気容量を有する第2キャパシタを形成する第2導電性対電極と、
前記第1導電性対電極と前記第2導電性対電極とは、電気的接続によって短絡されており、
前記第1導電性電極と前記第2導電性電極との間を電気的に接続する定電流保持インダクタと、
一対のトリガーポイントであって、第1トリガーポイントは前記第1導電性電極の前記第1部分から離れて前記第2部分に形成される一方、第2トリガーポイントは前記第1トリガーポイントに対向して前記第1導電性対電極に形成されている、一対のトリガーポイントと、
前記一対のトリガーポイントを短絡させると共に、前記第1トリガーポイントから前記流体経路に沿って電場を伝播せしめる、電気駆動回路と、
を備える、ことを特徴とする飲料殺菌装置。
【請求項5】
前記短絡をさせるポイントはブルームライン伝播ポイントであり、前記電気駆動回路は、前記ブルームライン伝播ポイントを前記第1導電性対電極に短絡させて、前記ブルームライン伝播ポイントで電場を生じさせ、前記ポイントから前記流体経路に沿って伝播せしめる、ブルームライン短絡回路である、ことを特徴とする請求項1から4の何れか一に記載の飲料殺菌装置。
【請求項6】
前記電気駆動回路は、スパーク間隙,スパークコイル,スパークプラグ,サイラトロン、或いはその他のあらゆる好適な電気的要素、又は上述の要素のあらゆる組み合わせ、によって構成されている、ことを特徴とする請求項1から4の何れか一に記載の飲料殺菌装置。
【請求項7】
前記第1導電性対電極は前記第1導電性電極の第2部分に対向して配置され、該第1導電性電極の第2部分と前記第1導電性対電極との間に実質的に一定の間隔が保たれるように延びている、ことを特徴とする請求項1から6の何れか一に記載の飲料殺菌装置。
【請求項8】
前記第2導電性対電極は前記第2導電性電極の第2部分に対向して配置され、該第2導電性電極の第2部分と前記第2導電性対電極との間に実質的に一定の間隔が保たれるように延びている、ことを特徴とする請求項1から7の何れか一に記載の飲料殺菌装置。
【請求項9】
前記第1導電性対電極および前記第2導電性対電極は単極として形成されている、ことを特徴とする請求項1から8の何れか一に記載の飲料殺菌装置。
【請求項10】
前記第1導電性対電極および前記第2導電性対電極は別々の電極として形成され、これら第1導電性対電極と第2導電性対電極との間に直接の電気的接続が形成されている、ことを特徴とする請求項1から8の何れか一に記載の飲料殺菌装置。
【請求項11】
前記第1導電性電極の第1部分から離れた当該第1導電性電極の第2部分に、短絡ポイントが形成されている、ことを特徴とする請求項1から10の何れか一に記載の飲料殺菌装置。
【請求項12】
前記第1導電性対電極は、前記第1導電性電極と電気的に接続された第1同軸ケーブルによって構成されている、ことを特徴とする請求項1から6の何れか一に記載の飲料殺菌装置。
【請求項13】
前記第2導電性対電極は、前記第2導電性電極と電気的に接続された第2同軸ケーブルによって構成されている、ことを特徴とする請求項1から6の何れか一に記載の飲料殺菌装置。
【請求項14】
前記第1同軸ケーブルのシールド部分は、前記第2同軸ケーブルのシールド部分と電気的に接続されている、ことを特徴とする請求項12又は13に記載の飲料殺菌装置。
【請求項15】
前記流体経路は、前記ハウジング内のチューブ状の導管によって構成されている、ことを特徴とする請求項6から14の何れか一に記載の飲料殺菌装置。
【請求項16】
前記導管は、ガラス,テフロン或いはその他の好適な材料で製作されている、ことを特徴とする請求項15に記載の飲料殺菌装置。
【請求項17】
前記ハウジングはプラスチック材料で製作されている、ことを特徴とする請求項1から16の何れか一に記載の飲料殺菌装置。
【請求項18】
前記ハウジングによって内部空間が画成されており、前記ハウジングの前記内部空間内にガスが含まれ、前記流体経路を少なくとも部分的に取り囲んでいる、ことを特徴とする請求項1から17の何れか一に記載の飲0料殺菌装置。
【請求項19】
前記ハウジング内にサイラトロンが配置され、前記第1導電性電極と電気的に接続されている、ことを特徴とする請求項1から18の何れか一に記載の飲料殺菌装置。
【請求項20】
前記ハウジング内に電源が配置されている、ことを特徴とする請求項1から10の何れか一に記載の飲料殺菌装置。
【請求項21】
前記電源は、リチウムイオン電池のような電池である、ことを特徴とする請求項20に記載の飲料殺菌装置。
【請求項22】
前記第1キャパシタは、1から5pFのインターバル内で電気容量を有している、ことを特徴とする請求項1から21の何れか一に記載の飲料殺菌装置。
【請求項23】
前記定電流保持コンダクタはコイルである、ことを特徴とする請求項1から22の何れか一に記載の飲料殺菌装置。
【請求項24】
前記飲料殺菌装置は飲料分配装置内に含まれるか、又は、飲料分配ラインに接続もしくは飲料分配ラインに含まれている、ことを特徴とする請求項1から23の何れか一に記載の飲料殺菌装置。
【請求項25】
前記導電性要素は、インダクタ,抵抗,キャパシタ、又はそれらのあらゆる組み合わせを含む、ことを特徴とする請求項1から24の何れか一に記載の飲料殺菌装置。
【請求項26】
電気的に絶縁された流体経路を通して行われる飲料を殺菌する方法であって、
以下を含む殺菌装置を設けるステップであり、
内部空間を画成すると共に、第1端部と第2端部とを有するハウジングと、
前記第1端部から前記第2端部まで前記内部空間を通って延びる管路によって形成された、電気的に絶縁された流体経路と、
第1部分と第2部分とを有する第1導電性電極であって、前記第1部分は前記管路にて前記流体経路に近接して配置される一方、前記第2部分は前記第1部分に対し実質的に垂直に伸長する、第1導電性電極と、
前記第1導電性電極と一緒になって第1の特定の電気容量を有する第1キャパシタを形成する第1導電性対電極と、
第3部分と第4部分とを有する第2導電性電極であって、前記第3部分は前記管路にて前記流体経路に近接して配置される一方、前記第4部分は前記第3部分に対し実質的に垂直に、且つ、前記第1導電性電極の前記第2部分から離間して伸長する、第2導電性電極と、
前記第2導電性電極と一緒になって第2の特定の電気容量を有する第2キャパシタを形成する第2導電性対電極と、
前記第1導電性対電極と前記第2導電性対電極とは、電気的接続によって短絡されており、
前記第1導電性電極と前記第2導電性電極との間を電気的に接続する導電装置と、
一対のトリガーポイントであって、第1トリガーポイントは前記第1導電性電極の前記第1部分から離れて前記第2部分に形成される一方、第2トリガーポイントは前記第1トリガーポイントに対向して前記第1導電性対電極に形成されている、一対のトリガーポイントと、
前記一対のトリガーポイントを短絡させると共に、前記第1トリガーポイントから前記流体経路に沿って電場を伝播せしめる、電気駆動回路と、
を含む、殺菌装置を設けるステップと、
前記電気的に絶縁された流体経路内に飲料を供給するステップと、
前記第1及び第2導電性電極を帯電させるステップと、
前記短絡ポイントを作動させて、前記電気的に絶縁された流体経路を通る電場を発生させるステップと、
前記帯電と短絡とを繰り返すステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項27】
電気的に絶縁された流体経路を通して行われる飲料を殺菌する方法であって、
以下を含む殺菌装置を設けるステップであり、
外表面と内部空間とを形成すると共に、第1端部と第2端部とを有するハウジングと、
前記表面によって管路形状を形成すると共にチューブを受け合うのに適合した、電気的に絶縁された流体経路であって、前記管路は前記チューブを受け合って固定する開口部分を有している、流体経路と、
第1部分と第2部分とを有する第1導電性電極であって、前記第1部分は前記管路にて前記流体経路に近接して配置される一方、前記第2部分は前記第1部分に対し実質的に垂直に伸長する、第1導電性電極と、
前記第1導電性電極と一緒になって第1の特定の電気容量を有する第1キャパシタを形成する第1導電性対電極と、
第3部分と第4部分とを有する第2導電性電極であって、前記第3部分は前記管路にて前記流体経路に近接して配置される一方、前記第4部分は前記第3部分に対し実質的に垂直に、且つ、前記第1導電性電極の前記第2部分から離間して伸長する、第2導電性電極と、
前記第2導電性電極と一緒になって第2の特定の電気容量を有する第2キャパシタを形成する第2導電性対電極と、
前記第1導電性対電極と前記第2導電性対電極とは、電気的接続によって短絡されており、
前記第1導電性電極と前記第2導電性電極との間を電気的に接続する定電流保持インダクタと、
一対のトリガーポイントであって、第1トリガーポイントは前記第1導電性電極の前記第1部分から離れて前記第2部分に形成される一方、第2トリガーポイントは前記第1トリガーポイントに対向して前記第1導電性対電極に形成されている、一対のトリガーポイントと、
前記一対のトリガーポイントを短絡させると共に、前記第1トリガーポイントから前記流体経路に沿って電場を伝播せしめる、電気駆動回路と、
を含む、殺菌装置を設けるステップと、
前記電気的に絶縁された流体経路内に飲料を供給するステップと、
前記第1及び第2導電性電極を帯電させるステップと、
前記短絡ポイントを作動させて、前記電気的に絶縁された流体経路を通る電場を発生させるステップと、
前記帯電と前記短絡とを繰り返すステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項28】
前記帯電と前記短絡とは、第1の時間周期の間、10Hzから1000Hzの周波数で繰り返される、ことを特徴とする請求項26又は27に記載の方法。
【請求項29】
前記帯電と前記短絡とは、第2の時間周期の間、非周期的に繰り返される、ことを特徴とする請求項26から28の何れか一に記載の方法。
【請求項30】
前記第2の時間周期は1マイクロ秒(μsec)から1ミリ(msec)である、ことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記システムは、請求項1から請求項25の何れかに従った特徴事項を備えている、ことを特徴とする請求項26から30の何れか一に記載の方法。
【請求項32】
飲料を受け取ると共に、第1最大流速で前記飲料の層流を許容する第1断面形状を画成する飲料入口部であって、前記第1断面形状は第1断面積を画成すると共に、前記第1断面形状によって第1最大幅と第1最小幅とが規定され、該第1最小幅に対する第1最大幅の第1の比率は1から10の区間内にある、飲料入口部と、
第1端部と、これに対向する第2端部と、前記第1端部に形成され前記第1断面形状と同一の断面形状と、を有する第1遷移部と、
第2断面形状を有する飲料殺菌部であって、該飲料殺菌部は電場を発生させるために1組の電極を備え、前記電場は前記飲料殺菌部内の飲料を貫通する、飲料殺菌部分と、
前記第1遷移部は、前記第2端部に、前記第2断面形状と同一の断面形状を形成し、また、前記第1遷移部は、前記第1端部から前記第2端部に至る第1遷移部長さを形成しており、前記第1遷移部の断面は、前記飲料が当該第1遷移部を通過するときに飲料が層流状態で流れるように、前記第1断面形状から前記第2断面形状に至るまで前記第1遷移部長さに沿って変化し、前記第2断面形状は第2断面積を画成すると共に、前記第2断面形状によって第2最大幅と第2最小幅とが規定されており、該第2最小幅に対する第2最大幅の第2の比率は10から10000の区間内にあり、
前記飲料殺菌部は、当該飲料殺菌部の第2端部で、前記第1遷移部と連通している、
ことを特徴とする飲料ガイド及び殺菌システム。
【請求項33】
前記電極の組は、静電場,パルス電場,可変電場,交番電場、或いはこれらのあらゆる組み合わせを発生させる、ことを特徴とする請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記飲料殺菌部は、前記第1遷移部および/または前記第2遷移部の部分によって形成されている、ことを特徴とする請求項31又は32に記載のシステム。
【請求項35】
前記飲料殺菌部は、前記第1遷移部と前記第2遷移部とを相互に結合している別物の部分である、ことを特徴とする請求項31又は32に記載のシステム。
【請求項36】
前記第1遷移部および/または前記第2遷移部は非導電性の材料で製作されている、ことを特徴とする請求項31から35の何れか一に記載のシステム。
【請求項37】
前記飲料殺菌部は非導電性の材料で製作されている、ことを特徴とする請求項35又は36に記載のシステム。
【請求項38】
前記第1断面形状は、実質的に、円形,楕円形,全体的に丸い形状の多角形、或いはこれらのあらゆる組み合わせである、ことを特徴とする請求項31から37の何れか一に記載のシステム。
【請求項39】
前記第2断面形状は、実質的に、長方形,四角形、或いは楕円形である、ことを特徴とする請求項31から38の何れか一に記載のシステム。
【請求項40】
前記第2断面形状は、実質的に、長方形,四角形、或いは楕円形である、ことを特徴とする請求項31から38の何れか一に記載のシステム。
【請求項1】
内部空間を画成すると共に、第1端部と第2端部とを有するハウジングと、
前記第1端部から前記第2端部まで前記内部空間を通って延びる管路を形成する、電気的に絶縁された流体経路と、
第1部分と第2部分とを有する第1導電性電極であって、前記第1部分は前記管路にて前記流体経路に近接して配置される一方、前記第2部分は前記第1部分に対し実質的に垂直に伸長する、第1導電性電極と、
前記第1導電性電極と一緒になって第1の特定の電気容量を有する第1キャパシタを形成する第1導電性対電極と、
第3部分と第4部分とを有する第2導電性電極であって、前記第3部分は前記管路にて前記流体経路に近接して配置される一方、前記第4部分は前記第3部分に対し実質的に垂直に、且つ、前記第1導電性電極の前記第2部分から離間して伸長する、第2導電性電極と、
前記第2導電性電極と一緒になって第2の特定の電気容量を有する第2キャパシタを形成する第2導電性対電極と、
前記第1導電性対電極と前記第2導電性対電極とは、電気的接続によって短絡されており、
前記第1導電性電極と前記第2導電性電極との間を電気的に接続する導電装置と、
一対のトリガーポイントであって、第1トリガーポイントは前記第1導電性電極の前記第1部分から離れて前記第2部分に形成される一方、第2トリガーポイントは前記第1トリガーポイントに対向して前記第1導電性対電極に形成されている、一対のトリガーポイントと、
前記一対のトリガーポイントを短絡させると共に、前記第1トリガーポイントから前記流体経路に沿って電場を伝播せしめる、電気駆動回路と、
を備える、ことを特徴とする飲料殺菌装置。
【請求項2】
前記ハウジングは、一側でヒンジ結合された2つの部品で構成され、前記流体経路は、前記2つの部品が組み合わされたときに当該流体経路が形成されるように、前記部品の各々の凹所によって形成され、前記凹所はチューブを受け合う構造を形成している、ことを特徴とする請求項1に記載の飲料殺菌装置。
【請求項3】
前記ハウジングは、第1チューブとの連通を確立する流体入口を構成する前記第1端部に第1コネクタを有し、また、前記ハウジングは、第2チューブとの連通を確立する流体出口を構成する前記第2端部に第2コネクタを有している、ことを特徴とする請求項1に記載の飲料殺菌装置。
【請求項4】
外表面と内部空間とを形成すると共に、第1端部と第2端部とを有するハウジングと、
前記表面によって管路形状を形成すると共にチューブを受け合うのに適合した、電気的に絶縁された流体経路であって、前記管路は前記チューブを受け合って固定する開口部分を有している、流体経路と、
第1部分と第2部分とを有する第1導電性電極であって、前記第1部分は前記管路にて前記流体経路に近接して配置される一方、前記第2部分は前記第1部分に対し実質的に垂直に伸長する、第1導電性電極と、
前記第1導電性電極と一緒になって第1の特定の電気容量を有する第1キャパシタを形成する第1導電性対電極と、
第3部分と第4部分とを有する第2導電性電極であって、前記第3部分は前記管路にて前記流体経路に近接して配置される一方、前記第4部分は前記第3部分に対し実質的に垂直に、且つ、前記第1導電性電極の前記第2部分から離間して伸長する、第2導電性電極と、
前記第2導電性電極と一緒になって第2の特定の電気容量を有する第2キャパシタを形成する第2導電性対電極と、
前記第1導電性対電極と前記第2導電性対電極とは、電気的接続によって短絡されており、
前記第1導電性電極と前記第2導電性電極との間を電気的に接続する定電流保持インダクタと、
一対のトリガーポイントであって、第1トリガーポイントは前記第1導電性電極の前記第1部分から離れて前記第2部分に形成される一方、第2トリガーポイントは前記第1トリガーポイントに対向して前記第1導電性対電極に形成されている、一対のトリガーポイントと、
前記一対のトリガーポイントを短絡させると共に、前記第1トリガーポイントから前記流体経路に沿って電場を伝播せしめる、電気駆動回路と、
を備える、ことを特徴とする飲料殺菌装置。
【請求項5】
前記短絡をさせるポイントはブルームライン伝播ポイントであり、前記電気駆動回路は、前記ブルームライン伝播ポイントを前記第1導電性対電極に短絡させて、前記ブルームライン伝播ポイントで電場を生じさせ、前記ポイントから前記流体経路に沿って伝播せしめる、ブルームライン短絡回路である、ことを特徴とする請求項1から4の何れか一に記載の飲料殺菌装置。
【請求項6】
前記電気駆動回路は、スパーク間隙,スパークコイル,スパークプラグ,サイラトロン、或いはその他のあらゆる好適な電気的要素、又は上述の要素のあらゆる組み合わせ、によって構成されている、ことを特徴とする請求項1から4の何れか一に記載の飲料殺菌装置。
【請求項7】
前記第1導電性対電極は前記第1導電性電極の第2部分に対向して配置され、該第1導電性電極の第2部分と前記第1導電性対電極との間に実質的に一定の間隔が保たれるように延びている、ことを特徴とする請求項1から6の何れか一に記載の飲料殺菌装置。
【請求項8】
前記第2導電性対電極は前記第2導電性電極の第2部分に対向して配置され、該第2導電性電極の第2部分と前記第2導電性対電極との間に実質的に一定の間隔が保たれるように延びている、ことを特徴とする請求項1から7の何れか一に記載の飲料殺菌装置。
【請求項9】
前記第1導電性対電極および前記第2導電性対電極は単極として形成されている、ことを特徴とする請求項1から8の何れか一に記載の飲料殺菌装置。
【請求項10】
前記第1導電性対電極および前記第2導電性対電極は別々の電極として形成され、これら第1導電性対電極と第2導電性対電極との間に直接の電気的接続が形成されている、ことを特徴とする請求項1から8の何れか一に記載の飲料殺菌装置。
【請求項11】
前記第1導電性電極の第1部分から離れた当該第1導電性電極の第2部分に、短絡ポイントが形成されている、ことを特徴とする請求項1から10の何れか一に記載の飲料殺菌装置。
【請求項12】
前記第1導電性対電極は、前記第1導電性電極と電気的に接続された第1同軸ケーブルによって構成されている、ことを特徴とする請求項1から6の何れか一に記載の飲料殺菌装置。
【請求項13】
前記第2導電性対電極は、前記第2導電性電極と電気的に接続された第2同軸ケーブルによって構成されている、ことを特徴とする請求項1から6の何れか一に記載の飲料殺菌装置。
【請求項14】
前記第1同軸ケーブルのシールド部分は、前記第2同軸ケーブルのシールド部分と電気的に接続されている、ことを特徴とする請求項12又は13に記載の飲料殺菌装置。
【請求項15】
前記流体経路は、前記ハウジング内のチューブ状の導管によって構成されている、ことを特徴とする請求項6から14の何れか一に記載の飲料殺菌装置。
【請求項16】
前記導管は、ガラス,テフロン或いはその他の好適な材料で製作されている、ことを特徴とする請求項15に記載の飲料殺菌装置。
【請求項17】
前記ハウジングはプラスチック材料で製作されている、ことを特徴とする請求項1から16の何れか一に記載の飲料殺菌装置。
【請求項18】
前記ハウジングによって内部空間が画成されており、前記ハウジングの前記内部空間内にガスが含まれ、前記流体経路を少なくとも部分的に取り囲んでいる、ことを特徴とする請求項1から17の何れか一に記載の飲0料殺菌装置。
【請求項19】
前記ハウジング内にサイラトロンが配置され、前記第1導電性電極と電気的に接続されている、ことを特徴とする請求項1から18の何れか一に記載の飲料殺菌装置。
【請求項20】
前記ハウジング内に電源が配置されている、ことを特徴とする請求項1から10の何れか一に記載の飲料殺菌装置。
【請求項21】
前記電源は、リチウムイオン電池のような電池である、ことを特徴とする請求項20に記載の飲料殺菌装置。
【請求項22】
前記第1キャパシタは、1から5pFのインターバル内で電気容量を有している、ことを特徴とする請求項1から21の何れか一に記載の飲料殺菌装置。
【請求項23】
前記定電流保持コンダクタはコイルである、ことを特徴とする請求項1から22の何れか一に記載の飲料殺菌装置。
【請求項24】
前記飲料殺菌装置は飲料分配装置内に含まれるか、又は、飲料分配ラインに接続もしくは飲料分配ラインに含まれている、ことを特徴とする請求項1から23の何れか一に記載の飲料殺菌装置。
【請求項25】
前記導電性要素は、インダクタ,抵抗,キャパシタ、又はそれらのあらゆる組み合わせを含む、ことを特徴とする請求項1から24の何れか一に記載の飲料殺菌装置。
【請求項26】
電気的に絶縁された流体経路を通して行われる飲料を殺菌する方法であって、
以下を含む殺菌装置を設けるステップであり、
内部空間を画成すると共に、第1端部と第2端部とを有するハウジングと、
前記第1端部から前記第2端部まで前記内部空間を通って延びる管路によって形成された、電気的に絶縁された流体経路と、
第1部分と第2部分とを有する第1導電性電極であって、前記第1部分は前記管路にて前記流体経路に近接して配置される一方、前記第2部分は前記第1部分に対し実質的に垂直に伸長する、第1導電性電極と、
前記第1導電性電極と一緒になって第1の特定の電気容量を有する第1キャパシタを形成する第1導電性対電極と、
第3部分と第4部分とを有する第2導電性電極であって、前記第3部分は前記管路にて前記流体経路に近接して配置される一方、前記第4部分は前記第3部分に対し実質的に垂直に、且つ、前記第1導電性電極の前記第2部分から離間して伸長する、第2導電性電極と、
前記第2導電性電極と一緒になって第2の特定の電気容量を有する第2キャパシタを形成する第2導電性対電極と、
前記第1導電性対電極と前記第2導電性対電極とは、電気的接続によって短絡されており、
前記第1導電性電極と前記第2導電性電極との間を電気的に接続する導電装置と、
一対のトリガーポイントであって、第1トリガーポイントは前記第1導電性電極の前記第1部分から離れて前記第2部分に形成される一方、第2トリガーポイントは前記第1トリガーポイントに対向して前記第1導電性対電極に形成されている、一対のトリガーポイントと、
前記一対のトリガーポイントを短絡させると共に、前記第1トリガーポイントから前記流体経路に沿って電場を伝播せしめる、電気駆動回路と、
を含む、殺菌装置を設けるステップと、
前記電気的に絶縁された流体経路内に飲料を供給するステップと、
前記第1及び第2導電性電極を帯電させるステップと、
前記短絡ポイントを作動させて、前記電気的に絶縁された流体経路を通る電場を発生させるステップと、
前記帯電と短絡とを繰り返すステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項27】
電気的に絶縁された流体経路を通して行われる飲料を殺菌する方法であって、
以下を含む殺菌装置を設けるステップであり、
外表面と内部空間とを形成すると共に、第1端部と第2端部とを有するハウジングと、
前記表面によって管路形状を形成すると共にチューブを受け合うのに適合した、電気的に絶縁された流体経路であって、前記管路は前記チューブを受け合って固定する開口部分を有している、流体経路と、
第1部分と第2部分とを有する第1導電性電極であって、前記第1部分は前記管路にて前記流体経路に近接して配置される一方、前記第2部分は前記第1部分に対し実質的に垂直に伸長する、第1導電性電極と、
前記第1導電性電極と一緒になって第1の特定の電気容量を有する第1キャパシタを形成する第1導電性対電極と、
第3部分と第4部分とを有する第2導電性電極であって、前記第3部分は前記管路にて前記流体経路に近接して配置される一方、前記第4部分は前記第3部分に対し実質的に垂直に、且つ、前記第1導電性電極の前記第2部分から離間して伸長する、第2導電性電極と、
前記第2導電性電極と一緒になって第2の特定の電気容量を有する第2キャパシタを形成する第2導電性対電極と、
前記第1導電性対電極と前記第2導電性対電極とは、電気的接続によって短絡されており、
前記第1導電性電極と前記第2導電性電極との間を電気的に接続する定電流保持インダクタと、
一対のトリガーポイントであって、第1トリガーポイントは前記第1導電性電極の前記第1部分から離れて前記第2部分に形成される一方、第2トリガーポイントは前記第1トリガーポイントに対向して前記第1導電性対電極に形成されている、一対のトリガーポイントと、
前記一対のトリガーポイントを短絡させると共に、前記第1トリガーポイントから前記流体経路に沿って電場を伝播せしめる、電気駆動回路と、
を含む、殺菌装置を設けるステップと、
前記電気的に絶縁された流体経路内に飲料を供給するステップと、
前記第1及び第2導電性電極を帯電させるステップと、
前記短絡ポイントを作動させて、前記電気的に絶縁された流体経路を通る電場を発生させるステップと、
前記帯電と前記短絡とを繰り返すステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項28】
前記帯電と前記短絡とは、第1の時間周期の間、10Hzから1000Hzの周波数で繰り返される、ことを特徴とする請求項26又は27に記載の方法。
【請求項29】
前記帯電と前記短絡とは、第2の時間周期の間、非周期的に繰り返される、ことを特徴とする請求項26から28の何れか一に記載の方法。
【請求項30】
前記第2の時間周期は1マイクロ秒(μsec)から1ミリ(msec)である、ことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記システムは、請求項1から請求項25の何れかに従った特徴事項を備えている、ことを特徴とする請求項26から30の何れか一に記載の方法。
【請求項32】
飲料を受け取ると共に、第1最大流速で前記飲料の層流を許容する第1断面形状を画成する飲料入口部であって、前記第1断面形状は第1断面積を画成すると共に、前記第1断面形状によって第1最大幅と第1最小幅とが規定され、該第1最小幅に対する第1最大幅の第1の比率は1から10の区間内にある、飲料入口部と、
第1端部と、これに対向する第2端部と、前記第1端部に形成され前記第1断面形状と同一の断面形状と、を有する第1遷移部と、
第2断面形状を有する飲料殺菌部であって、該飲料殺菌部は電場を発生させるために1組の電極を備え、前記電場は前記飲料殺菌部内の飲料を貫通する、飲料殺菌部分と、
前記第1遷移部は、前記第2端部に、前記第2断面形状と同一の断面形状を形成し、また、前記第1遷移部は、前記第1端部から前記第2端部に至る第1遷移部長さを形成しており、前記第1遷移部の断面は、前記飲料が当該第1遷移部を通過するときに飲料が層流状態で流れるように、前記第1断面形状から前記第2断面形状に至るまで前記第1遷移部長さに沿って変化し、前記第2断面形状は第2断面積を画成すると共に、前記第2断面形状によって第2最大幅と第2最小幅とが規定されており、該第2最小幅に対する第2最大幅の第2の比率は10から10000の区間内にあり、
前記飲料殺菌部は、当該飲料殺菌部の第2端部で、前記第1遷移部と連通している、
ことを特徴とする飲料ガイド及び殺菌システム。
【請求項33】
前記電極の組は、静電場,パルス電場,可変電場,交番電場、或いはこれらのあらゆる組み合わせを発生させる、ことを特徴とする請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記飲料殺菌部は、前記第1遷移部および/または前記第2遷移部の部分によって形成されている、ことを特徴とする請求項31又は32に記載のシステム。
【請求項35】
前記飲料殺菌部は、前記第1遷移部と前記第2遷移部とを相互に結合している別物の部分である、ことを特徴とする請求項31又は32に記載のシステム。
【請求項36】
前記第1遷移部および/または前記第2遷移部は非導電性の材料で製作されている、ことを特徴とする請求項31から35の何れか一に記載のシステム。
【請求項37】
前記飲料殺菌部は非導電性の材料で製作されている、ことを特徴とする請求項35又は36に記載のシステム。
【請求項38】
前記第1断面形状は、実質的に、円形,楕円形,全体的に丸い形状の多角形、或いはこれらのあらゆる組み合わせである、ことを特徴とする請求項31から37の何れか一に記載のシステム。
【請求項39】
前記第2断面形状は、実質的に、長方形,四角形、或いは楕円形である、ことを特徴とする請求項31から38の何れか一に記載のシステム。
【請求項40】
前記第2断面形状は、実質的に、長方形,四角形、或いは楕円形である、ことを特徴とする請求項31から38の何れか一に記載のシステム。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図9d】
【図10】
【図11a】
【図11b】
【図12a】
【図12b】
【図13a】
【図13b】
【図14a】
【図14b】
【図15a−15c】
【図16】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図9d】
【図10】
【図11a】
【図11b】
【図12a】
【図12b】
【図13a】
【図13b】
【図14a】
【図14b】
【図15a−15c】
【図16】
【公表番号】特表2011−501947(P2011−501947A)
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−530275(P2010−530275)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【国際出願番号】PCT/DK2008/000373
【国際公開番号】WO2009/052827
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
2.TEFLON
【出願人】(505413303)カールスバーグ・ブルワリーズ・エー/エス (10)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【国際出願番号】PCT/DK2008/000373
【国際公開番号】WO2009/052827
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
2.TEFLON
【出願人】(505413303)カールスバーグ・ブルワリーズ・エー/エス (10)
【Fターム(参考)】
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