説明

飲料水サーバー用ボトルのキャップ取外し装置

【課題】 キャップの取外し時に大きな不快音を発生せず、キャップの取外しミスが起こらないようにした飲料水サーバー用ボトルのキャップ取外し装置を提供する。
【解決手段】 斜め上方引き上げ力に抗してボトル(10)の肩部(12)を押さえる押えアーム(211)と、該押えアームをボトル肩部を押さえる押え位置と押えを解除した解除位置との間で進退させる押えアクチュエーターと、キャップ(14)の取外し位置においてボトル口部に嵌合されたキャップを側方から挟持する挟持爪(216)と、挟持爪をキャップを挟持した挟持位置とその挟持を解除した解除位置との間で進退させる挟持アクチュエーターと、一端が水平軸(214) 回りに回転自在に支持され、中間に挟持爪が支持されたレバー(212) と、レバーをその一端側の水平軸回りに持ち上げる取外しアクチュエーター(215) と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は飲料水サーバー用ボトルのキャップ取外し装置に関し、特にキャップの取外し時に大きな不快音を発生せず、しかもキャップの取外しミスが起こらないようにした取外し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、食品の安全性が叫ばれ、飲料水についても安全でかつ美味しい水が求められている。例えば、店舗や家庭等に飲料水サーバーを設置し、清潔で安全な冷水や温水をユーザに提供することが行われている。
【0003】
通常、飲料水サーバーでは清浄な水を12Lなどの大型のボトルに充填し、ボトルの注入口を比較的軟質のキャップで密封しておき、ボトルを倒立させてサーバーの差込み口にセットし、ボトルからサーバー内に飲料水を供給し、ボトル内の飲料水が空になると、新しいボトルと交換するようになっている(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
【0004】
他方、空のボトルは回収され、ボトル内を殺菌・洗浄した後、清浄な水を充填し、口部をキャップで密封することが行われているが、キャップが外されあるいはキャップの中蓋がボトル内に落とし込まれて回収されると、農薬や異物などがボトル内に入れられていることが懸念されることから、回収したボトルを飲料水の再充填には使用できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−254022号公報
【特許文献2】特開2006−27661号公報
【特許文献3】特開2003−128194号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、ボトルを洗浄して飲料水の再充填する工程において、回収した空のボトルの口部からキャップを取り外すことが行われている。
【0007】
しかし、キャップを左右から挟持し、そのまま上方に持ち上げることによってキャップを外すようにすると、ボトル口部にピッタリと密着しているキャップを無理に抜くことになり、大きな力で持ち上げる必要があるばかりでなく、抜けたときに’ポン’と耳障りな音が発生し、作業者に不快感を与え、さらにはキャップの取外しミスが起こることがあった。
【0008】
また、キャップとボトル口部とがピッタリと密着しているので、キャップを取外すときにキャップと口部とが相互に擦れ合ってキャップの抜きかすが口部に付着し、その洗浄が煩雑であった。
【0009】
本発明は、かかる問題点に鑑み,キャップの取外し時に大きな不快音を発生せず、しかもキャップの取外しミスが起こらないようにした飲料水サーバー用ボトルのキャップ取外し装置を提供することを第1の課題とする。
【0010】
また、本発明は、ボトル口部にキャップの抜きかすが付着しないようにしたキャップ取外し装置を提供することを第2の課題とする。
【0011】
さらに、本発明は、キャップが外されて回収されたボトルやキャップの中蓋が落とし込まれて回収されたボトルを判別するようにしたキャップ取外し装置を提供することを第3の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そこで、本発明に係る飲料水サーバー用ボトルのキャップ取外し装置は、胴部に肩部を介して小径の首部が連続し該首部の先端に口部が形成されたボトルにおける上記口部に嵌合されたキャップを取り外す飲料水サーバー用ボトルのキャップ取外し装置において、斜め上方引き上げ力に抗して上記ボトルの肩部を押さえる押えアームと、該押えアームをボトル肩部を押さえる押え位置と押えを解除した解除位置との間で進退させる押えアクチュエーターと、キャップの取外し位置において上記ボトル口部に嵌合されたキャップを側方から挟持する挟持爪と、該挟持爪をキャップを挟持した挟持位置とその挟持を解除した解除位置との間で進退させる挟持アクチュエーターと、一端が水平軸回りに回転自在に支持され、中間に上記挟持爪が支持されたレバーと、該レバーをその一端側の水平軸回りに持ち上げる取外しアクチュエーターと、を備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明の特徴の1つは梃子の原理を利用してボトルのキャップを斜め上方に抜くようにした点にある。
【0014】
これにより、キャップと口部との間に隙間ができるので、キャップを軽く取り外すことができ、キャップが抜けたときに’ポン’と耳障りな音が発生することはなく、作業者に不快感を与えることもない。また、キャップを確実に取り外すことができ、キャップの取外しミスが起こることがない。
【0015】
さらに、キャップとボトル口部とがピッタリと密着していても、キャップを斜め上方に取外すので、キャップと口部との間に隙間ができ、擦れ合ってキャップの抜きかすが口部に付着することはほとんどない。
【0016】
キャップの取外し作業を自動化するので、回収したボトルを取外し位置まで自動的に送るのが好ましい。
【0017】
すなわち、ボトルをキャップの取外し位置に送り込み、キャップの取外し後送り出すボトル搬送ラインと、ボトルの不良品を搬送する不良品搬送ラインと、ボトルの不良品をボトル搬送ラインから不良品搬送ラインに案内するガイド部材と、ボトルが不良品のときにガイド部材を作動させる制御装置と、を更に備えるのがよい。
【0018】
キャップの取外し工程の前にボトルの不良品を検査するのがよい。そこで、キャップの取外し位置の手前に設けられ、ボトル口部のキャップの有無を検知するキャップセンサーを更に備え、制御装置がキャップセンサーの信号を受け、キャップがないときにガイド部材を作動させるように構成するのが好ましい。
【0019】
また、キャップの取外し位置の上方に設けられ、ボトル口部のキャップの中蓋の有無を検知する中蓋センサーを備え、制御装置が中蓋センサーの信号を受け、キャップの中蓋がないときにガイド部材を作動させるように構成することもできる。
【0020】
さらに、キャップの取外し位置の直後に設けられ、キャップを取外した後のボトルの口部にエアーを吹き付けて清掃するエアーノズルを更に備えるのがよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る飲料水サーバー用ボトルのキャップ取外し装置が適用されるボトル及びキャップを示す図である。
【図2】本発明に係る飲料水サーバー用ボトルのキャップ取外し装置の好ましい実施形態を示す概略側面図である。
【図3】上記実施形態の概略平面及び搬送ラインを示す図である。
【図4】上記実施形態におけるキャップセンサー及びエアーノズルを示す構成図である。
【図5】上記実施形態における取外し動作を模式的に示す図である。
【図6】図5におけるA−A部及びB−B部の構造を示す図である。
【図7】上記実施形態におけるキャップの取外し動作を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。図1ないし図7は本発明に係る飲料水サーバー用ボトルのキャップ取外し装置の好ましい実施形態を示す。図において、ボトル10はPETなどの合成樹脂材料を用いて例えば12Lの大きさに製造され、ボトル10の胴部11はほぼ円筒状をなし、胴部11の側面には携帯用のグリップ15が形成され、胴部11の上部には傾斜した肩部12が形成され、肩部12の中央には小径筒状の口部13が形成され、口部13の先端にはキャップ14が外嵌されている。
【0023】
キャップ14は例えば塩化ビニルを用いてほぼ円筒状に製造され、キャップ14の側面には段部14Cが形成され、又キャップ14の上面には穴14Aが穿設され、穴14Aは中蓋14Bによって密封されている。
【0024】
キャップ取外し装置20では床面上に矩形状フレームからなるベース21が設置され、ベース21上には左右のコンベア22がボトル10を搭載し得る間隔をあけて配置され、コンベア22は前後の回転軸に取付けられた駆動プーリー22Aと従動プーリー22Bの間に掛け渡され、駆動プーリー22Aの回転軸はギアードモータ(図示せず)に連結され、ギアードモータによって駆動されるようになっている。
【0025】
また、ベース21にはフレーム状のハウジング24が固定され、コンベア22上には左右のガイドバー23がボトル10の胴部11の凹部が嵌まり込む間隔をあけて設けられ、左右のガイドバー23は取付けアーム23Aによってハウジング24及びコンベア22のサイドプレートに固定されている。
【0026】
また、ハウジング24には左右のテーブル21Aがコンベア22の上面高さにあわせて固定され、テーブル21Aには3本のエアーシリンダ25が幅方向内方を向けて固定され、送り方向手前側のエアーシリンダ25のロッドには停止プレート27が固定され、残り2本のエアーシリンダ25のロッドには係止プレート26が固定され、係止プレート26はボトル10の胴部11を挟み込み、ボトル10を取外し位置に係止するようになっている。他方、停止プレート27はボトル10の胴部11と当接してボトル10の送りを停止させるようになっている。
【0027】
コンベア22の送り方向前方には第1のローラコンベア26が配置され、コンベア22と第1のローラコンベア26によって搬送ライン27が構成されている。また、第1のローラコンベア26の始端側には第2のローラコンベア28が第1のローラコンベア26と直交する方向に延びて設けられ、第2のローラコンベア28が不良品搬送ラインを構成している。
【0028】
また、第1のローラコンベア26の始端側にはガイドプレート29が取付け軸29Aの回りに揺動自在に取付けられるとともに、エアーシリンダ210によってガイドプレート29を揺動させるようになっている。
【0029】
さらに、ハウジング24には開閉構造の押えアーム211が側方からボトル10の肩部12を押える押え位置と押えを解除した解除位置との間で進退自在に取付けられ、押えアーム211は図示しないエアーシリンダ(押えアクチュエーター)によって進退されるようになっている。
【0030】
また、ハウジング24にはレバー212の一端が取付けブラケット213によって回転軸214の回りに回転自在に取付けられ、レバー212の他端にはエアーシリンダ215のピストンロッドが連結され、レバー212を回転軸214の回りに揺動させるようになっている。
【0031】
レバー212の中間には挟持爪216が取付けられ、挟持爪216には図示しないがこれをボトル10のキャップ14の段部14Cを挟持した挟持位置と挟持を解除した解除位置との間で進退させるエアーシリンダ(挟持アクチュエーター)が設けられている。
【0032】
また、ハウジング24にはコンベア23上に搭載されたボトル10を検知する第1のセンサー217、ボトル10がキャップ14の取外し位置にきたことを検知する第2のセンサー218、及びキャップ14が取り外されたボトル10が送り出されたことを検知する第3のセンサー219が取付けられ、第3のセンサー219の前方にはエアーノズル220が取付けられている。また、レバー212には取外し位置にあるボトル10のキャップ14の中蓋14Bがあることを検知する第4のセンサー221が取付けられ、これらのセンサー217、218、219、221の信号は制御盤225に入力され、制御盤225は取外し装置の各部を制御するようになっている。
【0033】
さらに、ベース21のレバー212の下方には取り外されたキャップ14を受ける函30が配置されている。
【0034】
空のボトル10が回収されてくると、ボトル10をガイドバー23の間にてコンベア22の上に搭載し、前方に押して行く。ボトル10が第1のセンサー217の位置まで来ると、ボトル10が検知され、制御盤225がコンベア22を作動させ、ボトル10が前方に送られる。
【0035】
ボトル10が取外し位置の手前の第2のセンサー218の下方を通過し、取外し位置に達すると、エアーシリンダ25が作動され、係止プレート26がボトル10を挟み込んで係止し、次のボトル10は前進した停止プレート27と当たって停止される。
【0036】
ボトル10が取外し位置に係止されると、押えアーム211が閉じられ、つまり押え位置に向けて前進され、ボトル10の口部13を挟み込んで肩部12を押える。ボトル10が完全に押さえられると、制御盤25がエアーシリンダ215を作動させてピストンロッドを伸長させ、レバー212が回転軸214の回りに下方に揺動される。
【0037】
レバー212が完全に揺動されると、挟持爪216がボトル10のキャップ14を挟み込むようになる(図7の(a) 参照)。すると、制御盤225がエアーシリンダを作動させ、挟持爪216を前進させてキャップ14の段部14Cを挟持し、十分に挟持すると、エアーシリンダ216が収縮され、レバー212が回転軸214の回りに上方に揺動され(図7の(b) 参照)、キャップ14は斜め上方に持ち上げられ、キャップ14の内面とボトル10の口部13の外面との間に隙間ができ、空気が回り込むので、後はボトル10の口部13から軽く取り外される(図7の(c) 参照)。
【0038】
キャップ14が外れると、エアーシリンダ25が作動されて係止プレート26が開かれ、ボトル10は前方に送られ、第3のセンサー219がキャップ14の外されたボトル10が検知されると、制御盤225がエアーノズル220からエアーを吐出させ、ボトル10の口部13を清掃し、キャップ14の外されたボトル10は第1のローラコンベア26によって前方に送られる。
【0039】
キャップ14の外されたボトル10が取外し位置から送り出され、第3のセンサー219でそれが検知されると、制御盤225はエアーシリンダ25を作動させて停止プレート27を後退させ、停止されていたボトル10を取外し位置に向けて前進させ、上記と同様にしてキャップ14が取り外される。
【0040】
取外されたキャップ14は制御盤225の制御によって挟持爪216が後退され、下方の函30に落下される。
【0041】
回収されてきたボトル10のキャップ14が外されていた場合、キャップ14の中蓋14Bがボトル10内に落とし込まれていた場合、安全性の点から飲料水の再充填には不向きであるので、第2のセンサー217でボトル10のキャップ14がないことが検知されると、ボトル10は取外し位置に係止されることなくそのまま送られ、同時に制御盤225はエアーシリンダ210が作動させ、ガイドプレート210を揺動させ、ボトル10と不良品として第2のローラコンベア28上に搬送される。
【0042】
また、キャップ14が残っているが、中蓋14Bが落とし込まれている場合にはボトル10が取外し位置に係止されたときに、第4のセンサー221によって中蓋14Bのないことが検知され、制御盤225はボトル10の係止を解除し、取外し位置から送り出し、同時にガイドプレート29がボトル10を不良品として第2のローラコンベア28上を搬送する。
【0043】
以上のように、梃子の原理を利用してボトル10のキャップ14を斜め上方に抜くようにしたので、キャップ14と口部13との間に隙間ができて空気が回り込み、キャップ14を軽く取り外すことができ、又キャップ14が抜けたときに’ポン’と耳障りな音が発生することもない。
【0044】
また、キャップ14を確実に取り外すことができ、キャップ14の取外しミスが起こることがない。
【0045】
さらに、キャップ14とボトル口部13とがピッタリと密着していても、キャップ14を斜め上方に取外すので、キャップ14の抜きかすが口部13に強固に付着することはほとんどない。
【符号の説明】
【0046】
10 ボトル
11 胴部
12 肩部
13 口部
14 キャップ
20 取外し装置
22 コンベア(搬送ライン)
26 第1のローラコンベア(搬送ライン)
28 第2のローラコンベア(不良品搬送ライン)
211 押えアーム
212 レバー
215 エアーシリンダ
216 挟持爪
217、218,219,221 センサー
220 エアーノズル
225 制御盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴部に肩部を介して小径の首部が連続し該首部の先端に口部が形成されたボトルにおける上記口部に嵌合されたキャップを取り外す飲料水サーバー用ボトルのキャップ取外し装置において、
斜め上方引き上げ力に抗して上記ボトルの肩部を押さえる押えアームと、
該押えアームをボトル肩部を押さえる押え位置と押えを解除した解除位置との間で進退させる押えアクチュエーターと、
キャップの取外し位置において上記ボトル口部に嵌合されたキャップを側方から挟持する挟持爪と、
該挟持爪をキャップを挟持した挟持位置とその挟持を解除した解除位置との間で進退させる挟持アクチュエーターと、
一端が水平軸回りに回転自在に支持され、中間に上記挟持爪が支持されたレバーと、 該レバーをその一端側の水平軸回りに持ち上げる取外しアクチュエーターと、
を備えたことを特徴とする飲料水サーバー用ボトルのキャップ取外し装置。
【請求項2】
上記ボトルをキャップの取外し位置に送り込み、キャップの取外し後送り出すボトル搬送ラインと、ボトルの不良品を搬送する不良品搬送ラインと、ボトルの不良品をボトル搬送ラインから不良品搬送ラインに案内するガイド部材と、ボトルが不良品のときにガイド部材を作動させる制御装置と、を備えた請求項1記載の飲料水サーバー用ボトルのキャップ取外し装置。
【請求項3】
上記キャップの取外し位置の手前に設けられ、上記ボトル口部のキャップの有無を検知するキャップセンサーを更に備え、上記制御装置が上記キャップセンサーの信号を受け、キャップがないときに上記ガイド部材を作動させるようになっている請求項2記載の飲料水サーバー用ボトルのキャップ取外し装置。
【請求項4】
上記キャップの取外し位置の上方に設けられ、上記ボトル口部のキャップの中蓋の有無を検知する中蓋センサーを備え、上記制御装置が上記中蓋センサーの信号を受け、キャップの中蓋がないときに上記ガイド部材を作動させるようになっている請求項2記載の飲料水サーバー用ボトルのキャップ取外し装置。
【請求項5】
上記キャップの取外し位置の直後に設けられ、上記キャップを取外した後の上記ボトルの口部にエアーを吹き付けて清掃するエアーノズルを更に備えた請求項2記載の飲料水サーバー用ボトルのキャップ取外し装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−63279(P2011−63279A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−213740(P2009−213740)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(509259530)日電工株式会社 (1)
【Fターム(参考)】