飲料注ぎ出し装置
【課題】
【解決手段】加圧飲料を、過剰な泡を発生させること無く高流量で注ぎ出すことができるようにする、飲料注ぎ出し装置(35)において、流線型の弁アッセンブリ(37)と、一連の容器(54)に底から充填できるようにする下向きに伸張するノズルアッセンブリ(38)と、を備えているノズル。
【解決手段】加圧飲料を、過剰な泡を発生させること無く高流量で注ぎ出すことができるようにする、飲料注ぎ出し装置(35)において、流線型の弁アッセンブリ(37)と、一連の容器(54)に底から充填できるようにする下向きに伸張するノズルアッセンブリ(38)と、を備えているノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭酸入りの、又は、加圧した飲料を注ぎ出すための装置に関し、より具体的には、炭酸入りの、又は、加圧した飲料を、発泡を最小に抑えて高い流量で注ぎ出すための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ビールのような加圧飲料は、一定量の溶解ガス、典型的には二酸化炭素(CO2)、を飲料に封入して作られる。一定量の溶解したCO2は、ビールの醸造及び発酵過程で自然に発生するが、殆どの大きなビール醸造所は、追加のCO2をその製品に溶解している。CO2を追加するのは、商業的な醸造所にとって主要な目的が2つある。第1は、品質管理の観点から、製造される全てのビールに、同じ量のCO2が含まれるようにすることである。第2には、CO2を追加するとビールの発泡性が上がり、消費者には、すっきりして風味がよいと受け取られるからである。
【0003】
殆どの大手醸造所が生産するビールには、10から15psi(68950から103425ニュートン毎平方メートル)の間の溶解CO2が入っている。大気中のCO2の水準はずっと低いので、ビールは、大気圧に曝されると、その溶解したCO2の一部を放出する傾向がある。ビールは化学的に複雑な組成を持っているため、この溶解したCO2が溶液から出るときに、泡が形成される傾向がある。
【0004】
ビールの中で発生する泡の量に寄与するこの他のパラメーターには、温度と攪乱が含まれる。液体の物理的特性によれば、液体の温度が高くなるほど、溶解ガスに対する容量が低くなる。従って、ビールの温度が高いほど、その溶解ガスが溶液を出る傾向が強まり、ビールが発泡する傾向が強まる。攪乱及び別の形態の撹拌は、ビールの中に、CO2を溶液から泡の形で出現させる急激で極端な圧力変動の領域を作り出す。
【0005】
大手の商業的な醸造所で作られるビールの多くは、瓶と缶に詰め込まれることが多いが、大量のビールが、小樽(keg)として知られている大きな密閉容器にも詰め込まれる。小樽は、再利用可能で再充填可能なアルミニウムの容器であって、典型的には15.5ガロン(58.7リットル)の、ビールの、効率的で衛生的な取扱い、保管、及び、注ぎ出しに適している。小樽ビールと呼ばれる、小樽に詰め込まれたビールは、普通は、バー、居酒屋、ナイトクラブ、スタジアム、お祭り、及び、大きなパーティーで出される。
【0006】
小樽ビールを、消費用の開放容器に注ぎ出すには、特殊な装置を必要とする。ビール注ぎ出し蛇口(通常はビール栓と呼ばれる)は、ビールの流れを制御し、開放容器に送るための弁と注ぎ口を備えている。ビールは、従来型の蛇口から注ぎ出されるときに、泡立つことが多い。そのような発泡の1つの原因は、単に、ビールに溶解しているCO2と大気圧内に存在するCO2の間の圧力差である;すなわち、CO2は、ビールが大気に曝されると、ビールから自然に放出される。そのような発泡のもう一つの原因は、従来型の蛇口からビールを注ぎ出す際の攪乱性である;すなわち、慎重に注ぎ出しても、ビールは、容器の壁と底部に飛び散り、泡ができる。
【0007】
少量の泡は、望ましいことが多い。適切に保管されていないビールは、しばしばその溶解したCO2を大気に逃がし、気が抜けてしまう。従って、少量の泡は、ビールが新鮮であることを消費者に示す。加えて、ビール販売業者は、完全なビールの容器が泡の密な泡の層を持っている、と表現することに成功している。一方で、泡が多すぎるのは、消費者と飲料販売者にとって望ましくない。泡は、液体のビールに代わって容器をCO2で満たすので、過剰な量の泡は消費者に不満を残し、しばしば新しい容器を供するように要求されることにもなる。このことを理解すれば、販売者には2つの選択肢が残される。販売者は、部分的に容器を満たし、泡が消えるのを待ち、それからビールを追加することができるという、時間が掛かるプロセスである。代わりに、販売者は、容器を満たしているときに、過剰な泡を溢れ出させて注ぐこともできるが、このプロセスではビールが無駄になる。
【0008】
過剰な発泡は、消費者と販売者の双方にとって問題なので、注ぎ出し過程で最適な量の泡を理想的に実現するように設置され、構成されるビール注ぎ出しシステムを設計する試みが行われてきている。従来型のビール注ぎ出しシステムは、注ぎ出し過程を通してビールを一定の冷温に維持するだけでなく、ビールが容器に衝突するときに発泡しない速度で蛇口を出ることができるほどにゆっくりした流量でビールを注ぐように作られている。
【0009】
従来型のシステムは、毎分1米国ガロン(3.785リットル)の流量に最適化されている。このような流量は、殆どの少量注ぎ出し用途に適してはいるが、最適な量の泡を維持しながらビールがもっと速く注ぎ出されれば、販売者と消費者の双方にとって有益となる状況は沢山ある。忙しいバー、居酒屋、お祭り、大きなパーティーやスタジアムでは、消費者は、出されるまで長い列を成して待たなければならないことが多い。これらの状況の下では、販売者と消費者の双方にとって、もっと速くビールが注ぎ出されることが望ましい。
【0010】
以前のビール注ぎ出しシステムは、ビールを、標準的な毎分1米国ガロンの流量よりも速く注ぎ出すよう設計されていた。これらのシステムの1つの欠点は、それらが普通は精巧な電子制御機構を使用しており、製造及び保守するのに費用が掛かることである。加えて、これらのシステムの中には、蛇口の近くにリザーバーを使用しているものもあり、装置が大きくなり、洗浄し難くなっている。更に、そのような装置を既存のバートップの上に後から取り付けるのは、難しく費用が掛かる可能性がある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、加圧飲料を、過剰な泡を形成することなく、従来の機械栓装置より相当に高い流量で注ぎ出すための飲料注ぎ出し装置に関する。製造及び保守コストを低く抑えるために、純粋に機械的な装置として実施することもできる。更に、本発明は、注ぎ出す点又はその付近にリザーバーを使用することなく実施することができるので、洗浄が容易で、既存のバートップの上に容易に後から取り付けることができる。
【0012】
好適な実施形態では、本発明は、加圧飲料を注ぎ出すための飲料注ぎ出し装置において、加圧飲料が、少なくとも最初は大気圧状態で通過して出て行くノズルであって、内部経路と、加圧飲料注ぎ出しシステムの端部要素として取り付けられるようになっている液体受け口と、加圧飲料を、少なくとも最初は大気圧状態に注ぎ出す液体注ぎ出し口とを備え、ノズルの内部経路の断面積が、液体受け口から液体注ぎ出し口まで減少しているノズルから成る飲料注ぎ出し装置で構成されている。
【0013】
別の実施形態では、本発明は、上向きに伸張する頸部と、流線形の弁アッセンブリと、下向きに伸張するノズルアッセンブリと、を備えている。装置の全体的形状寸法によって、一連の容器を底部から満たせるようになっている。更に、ノズルアッセンブリは、液体の流れを概ね半径方向に拡散させるよう作用する流線形の流れ方向転換要素を含んでいる。従って、ビールが高速で注ぎ出されるときに発生する泡の量は、少なくされるのが好ましい。
【0014】
1つの実施形態では、ノズルの水平方向断面積は、ノズルの上部から、ノズルの下部すなわち液体注ぎ出し端部まで徐々に減少している。好適にも、この減少している断面積のプロフィルは、そのようなノズルが無いときに重力を受けて落下する液体の流れのプロフィルと一致している。ノズルがこのような形状になっているので、ノズルを通って流れる液体は、確実に、ノズルの内壁と実質的に連続的に接触した状態を保つ。この様にして、空気がノズルの液体注ぎ出し端部から泡になってノズルに入るのを防いでいる。更に、ノズルの内壁とノズルを通って流れる液体の間に働く粘性力は、ノズル内の液体が受ける重力の加速度を抑制するように作用する。
【0015】
本発明の別の実施形態では、ノズルに、ノズルを通る液体の流れに乱流を少なくする働きをする整流要素が追加されている。そのような要素は、更に、減速粘性力が働く表面積の量を増す。
【0016】
本発明の別の実施形態では、装置は、ビールを2つの異なる流量で選択的に注ぎ出すことができる。そのような実施形態では、減圧要素が、液体を選択的に減圧要素を通して送る多方弁と共に、装置内に組み込まれている。液体が高速飲料注ぎ出し装置に入る前に先ず減圧器を通って流れるように弁が位置決めされている場合は、液体は、低減速度、望ましくは従来型のビール注ぎ出し蛇口の最適速度で注ぎ出される。液体が減圧器を迂回するように弁が位置決めされている場合は、高速飲料注ぎ出し装置は、その速い方の流量で機能する。
【0017】
高速飲料注ぎ出し装置は、ビールを、最適レベルの泡を実現させながら、従来型のビール注ぎ出しシステムの少なくとも2倍の流量で注ぎ出すことができるので、好奇心の対象として、飲料消費者からの注目を集めることにもなる。この魅力は、消費者が中を流れる飲料を見ることができるように装置の構成要素を透明な材料で形成することによって、高めることができる。
【0018】
本発明の実施形態のこの他の利点及び特徴は、以下の本発明の詳細な説明と関連図面とから明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】高速飲料注ぎ出し装置の第1の実施形態の概略断面図と一体で、飲料注ぎ出しシステムの構成要素を示す側面図である。
【図2】図1の高速飲料注ぎ出し装置の拡大概略断面図である。
【図3】頸部アッセンブリを背高樽抜き注ぎ出しタワーに置き換えた、高速飲料注ぎ出し装置の第2の実施形態の概略斜視図である。
【図4】図2の弁アッセンブリの、弁が閉位置にある状態を示す拡大概略断面図である。
【図5】図2の弁アッセンブリで使用する、流線形弁部材の別の実施形態の側面図である。
【図6】図2の弁アッセンブリで使用するための流線形弁部材の更に別の実施形態の側面図である。
【図7】図4の弁アッセンブリの、弁が開位置にある状態を示す概略断面図である。
【図8】図4の流線形弁部材の、弁の肩部の液体接触面の曲率と全体形状を示す斜視図である。
【図9】弁頸部と弁の肩部の断面斜視図である。
【図10】従来型のビール注ぎ出し蛇口の概略断面図である。
【図11】従来型の蛇口から流れる液体に働く重力の影響の説明図である。
【図12】図2のノズル断面積の放物線状のプロフィルが直線状のテーパーを備えたノズルで近似されている、ノズルアッセンブリの別の実施形態の概略断面図である。
【図13】図2のノズル断面積の放物線状のプロフィルが円筒形のノズルで近似されている、ノズルアッセンブリの別の実施形態の概略断面図である。
【図14】ノズルの中に4つの四分円整流チャネルが設けられている、ノズルアッセンブリの更に別の実施形態の断面斜視図である。
【図15】中に2つの半円整流チャネルが設けられたノズルアッセンブリの断面図である。
【図16】中に6つの六分円整流チャネルが設けられたノズルアッセンブリの断面図である。
【図17】中に7つの円形整流チャネルが設けられたノズルアッセンブリの断面図である。
【図18】図2のノズルアッセンブリの、容器が存在し、流れ方向転換器が液体の流れの方向を変えている様子を液体の流線が示している、拡大断面概略図である。
【図19】図2の流れ方向転換器の斜視図である。
【図20】図2のノズルアッセンブリで使用するための流れ方向転換器の別の実施形態の断面図である。
【図21】図2のノズルアッセンブリで使用するための流れ方向転換器の又別の実施形態の断面図である。
【図22】図2のノズルアッセンブリで使用するための流れ方向転換器の更に別の実施形態の断面図である。
【図23】長手方向に位置を調整できる流れ方向転換器を備えたノズルアッセンブリの概略断面図である。
【図24】流れ方向転換器が新しい位置へ動かされて示されている、図23のノズルアッセンブリの概略断面図である。
【図25】頸部アッセンブリ内に円錐形拡散器が備えられている高速飲料注ぎ出し装置の概略断面図である。
【図26】多方弁と減圧要素と共に示す高速飲料注ぎ出し装置の概略断面図である。
【図27】弁が、液体を、減圧要素を迂回するように送っている状態を示す、図26の多方向弁の拡大概略断面図である。
【図28】弁が、液体を、高速飲料注ぎ出し装置に送る前に減圧要素を通るように送っている状態を示す、図26の多方弁の拡大概略断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1に示しているように、高速飲料注ぎ出し装置35は、頸部アッセンブリ36と、弁アッセンブリ37と、下向きに伸張するノズルアッセンブリ38とを備えている。好適な実施形態では、頸部アッセンブリ36は実質的に垂直である。高速飲料注ぎ出し装置35は、ビール小樽40又は同様の飲料保管リザーバーと、飲料を容器又はビール小樽40から高速飲料注ぎ出し装置35へ送るための飲料配管41とを含むビール注ぎ出しシステム39の様な従来型の加圧飲料注ぎ出しシステムに取り付けるように設計されている。シャンク42は、高速飲料注ぎ出し装置35を飲料配管41に接続している。小樽タッピング装置43は、飲料配管41をビール小樽40に接続している。樽抜き注ぎ出しタワー(draft dispensing tower)44は、シャンク42を支えている。
【0021】
米国の大部分の大手の製造業者によって作られるビールは、約華氏38度(摂氏3.3度)で最適に保管され、提供されるように処方されている。ビールがこの最適温度より温かければ、注ぎ出すときに放出される二酸化炭素(CO2)が多すぎることになる。ビールがこの最適温度より冷たければ、注ぎ出すときに残る二酸化炭素が多すぎて香りが弱くなる。大部分のシステムが正確な温度を維持できないので、華氏36度から40度(摂氏2.2度から4.4度)の範囲であれば、一般的に容認できると考えられている。従って、1つの実施形態では、本発明のビール注ぎ出しシステム39は、システムの様々な要素を冷却し、これらの要素をこの容認できる温度範囲内に維持する能力を有している。
【0022】
図1に示すように、多くの注ぎ出しシステムでは、飲料配管41内のビールは、飲料配管41に束ねられた冷却材配管45を通して冷却液を循環させることによって冷たく保持されている。そのようなシステムは、通常は、グリコール冷却装置46及びグリコールポンプ47の手段によってグリコールを冷却し循環する。代わりに、飲料配管41を低温に保つ手段として、飲料配管41の入った導管に冷たい空気を吹き込むシステムもある。
【0023】
ビール小樽40に入っているビールは、ビール小樽40からビール注ぎ出しシステム39全体を通して高速飲料注ぎ出し装置35へ飲料を送るためのエネルギー源を必要とする。そのようなエネルギーは、普通は加圧されたガス、代表的には加圧されたCO2を介して供給される。図1に示すように、このシステムでは、加圧されたCO2が入っているタンク48が、加圧ガスホース49を介してビール小樽40に接続されている。圧力調整装置50は、ビール注ぎ出しシステム39を通してビールを送るCO2の圧力を調整する手段として作用する。ビール小樽40と高速飲料注ぎ出し装置35の間の距離が長いシステムでは、飲料配管41を通してビールを動かすための追加の圧力を作り出すために第2のガスが使われてもよい。この第2のガスとして、窒素タンク51内に入れられている加圧された窒素(N2)を用いてもよい。窒素タンク51は、別の加圧ガスホース49を介してビール小樽40に接続されている。別の圧力調整装置50が、圧縮窒素によって提供される追加の圧力を調整する手段として作用する。システムの中には、空気から窒素を抽出することができ、別の窒素タンクの必要性を排除するものもある。随意的に、別の実施形態では、システムは、加圧ガスの代わりに、又はそれに加えて、ビールをシステムを通して動かすのに必要なエネルギーを供給するため機械式ポンプ(図示せず)を使用することができる。
【0024】
レイノルズ数は、流体流れ分析にしばしば用いられる無次元のパラメーターである。2100未満のレイノルズ数を有する丸い配管又はチューブを通る流体は、層流を呈すると言われている。4000を超えるレイノルズ数のシステムは、乱流を呈すると言われている。層流でも乱流でもないシステムは、遷移流の特性を呈すると言われている。レイノルズ数は、以下の式を使って計算することができ:
【数2】
ここで、Re=レイノルズ数、
ρ=液体の密度、
V=液体の線速度、
D=配管の直径、
μ=液体の粘度、である。
【0025】
高速飲料注ぎ出し装置35を通って移動する液体が受ける圧力降下は、ビールがビール注ぎ出しシステム39を通って移動する流量を決定する幾つかのパラメーターの1つである。流量は、飲料配管41の長さ、直径及び粗さ、ビール小樽40と高速飲料注ぎ出し装置35の間の高さの差、加圧されたCO2及び/又はN2によって供給されるエネルギーによっても影響を受ける。具体的には、十分に成長した層流について、流量は、以下の式に従って求めることができる:
【数3】
ここで、Q=体積流量、
Dは飲料配管41の直径、
Δp=ビール小樽40と高速飲料注ぎ出し装置35の間の圧力差、
μ=注ぎ出されるビール又は他の液体の粘度、
l=ビールが流れる飲料配管41の長さ、である。
【0026】
従来型のビール注ぎ出し蛇口の目標流量は毎分1米国ガロン(3.785リットル)であるが、高速飲料注ぎ出し装置35は、少なくともその2倍の目標流量を有している。1インチ未満の内径を有する飲料配管41では、ビールが毎分1ガロンで流れているか毎分3ガロンで流れているかに関係なく、飲料配管41を通る流れが、完全に層流であることは滅多にない。これらの状況の下では、以下の式が当てはまる:
【数4】
ここで、
hL=システムの区画1と2の間の水頭損失、
f=摩擦係数(飲料配管41の粗さとレイノルズ数の関数)、
l=飲料配管41の長さ、
D=飲料配管41の直径、
V=流体の線速度、
g=重力定数、である。
【0027】
従って、ビール小樽40を高速飲料注ぎ出し装置35に接続する飲料配管41が長くなるほど、そして飲料配管41の直径が小さくなるほど、追加の圧力水頭損失に打ち勝つため、加圧されたCO2やN2からの、必要なエネルギーの量を増やさなければならない。更に、加圧されたCO2からの、必要なエネルギーの量は、飲料配管41を通って移動する液体の速度を上げるために、増やさなければならない。好適なことに、ビール注ぎ出しシステム39は、ビールを、高めた流量でシャンク42のところまで送り、高速飲料注ぎ出し装置35が従来型のシステムと比べて高くなった注入能力を提供できるように構成されている。
【0028】
高速飲料注ぎ出し装置35の頸部アッセンブリ36は、グラスからピッチャーまで及ぶ、広範な種類の容器寸法の、底部からの充填をすることができるように、高速飲料注ぎ出し装置35を位置決めし、支持する。そのような容器を底部充填できるようにするため、ノズルアッセンブリ38の遠位端52とバーのカウンターの上面53又はその真下の他の構造体の間の距離は、少なくとも充填対象の最大の容器の高さ程度はあるのが望ましい。ピッチャー54をノズルアッセンブリ38の真下に配置できる十分な間隙があるのが望ましい。
【0029】
本発明の高速飲料注ぎ出し装置35の1つの実施形態を図2にさらに詳しく示している。図2に示す実施形態では、頸部アッセンブリ36の下端部55は、標準的なシャンク連結ナット57、圧縮リング58及び圧縮座金59を使って標準的なビール蛇口シャンク42に取り付けるためのねじ部56を有しているが、Oリング付フランジや急速着脱式接続金具を含め、それに限らず別の取付方法も考えられる。更に、頸部アッセンブリ36は、溶接又は他の手段でシャンク42に永久的に取り付けてもよい。通常のバーのカウンターの上に設置する際は、シャンク42は、樽抜き注ぎ出しタワーの柱60に取り付けられる。連結ガスケット61は、確実に密封するため、シャンク42と頸部アッセンブリ36の間に配置される。頸部アッセンブリ36の中には、液体をシャンク穴63から弁アッセンブリ37まで運ぶための1本の頸部配管62がある。頸部配管62の直径は、頸部アッセンブリ36とシャンク42の間の取り付け点におけるシャンク穴63の直径と一致することが望ましい。好適なことに、頸部アッセンブリ36の下端部55の頸部配管62は、最初はシャンク穴63と軸線方向に整列している。この実施形態では、頸部配管62は、頸部アッセンブリ36内で垂直に伸びる前に約90度の湾曲部を有している。頸部配管62は、次に、頸部アッセンブリ36の上端部65付近で約90度の弧64で曲がっている。液体の流れの方向の変化に伴う乱流は、弧64の半径が大きいほど小さくなる。大きい半径の弧64は液体の流れの方向の変化に伴う乱流を小さくするが、同時に、高速飲料注ぎ出し装置35の樽抜き注ぎ出しタワー44とノズルアッセンブリ38の間の水平方向距離を長くする。従って、弧64の半径は、ノズルアッセンブリ38をバートップのドレイン66の直ぐ上に配置できる程に小さいのが望ましい。好適な実施形態では、弁アッセンブリ37は、液体が、漏れることなく頸部配管62を通って、弁アッセンブリ37に移動できるように、頸部アッセンブリ36の上端部65に取り付けられている。更に、頸部アッセンブリ36の上端部65の中の頸部配管62は、弁アッセンブリ37に近づくにつれ、頸部アッセンブリ36と弁アッセンブリ37が接合する点で頸部配管62の内径が弁ハウジング94の内径と一致するように、内径が大きくなっていてもよい。
【0030】
頸部アッセンブリ36は周囲の環境に曝されているので、システムが活動していない期間に頸部配管62内に残っているビールは、望ましくないことに温まる。頸部配管62内のビールを適切な供給温度に維持するため、頸部アッセンブリ36は断熱材67で満たされている。断熱材67の代わりに、又は断熱材に加えて、頸部アッセンブリ36は、冷却材管45を頸部アッセンブリ36内に伸張させ、グリコールで冷却してもよい。
【0031】
図3に示しているように、本発明の別の実施形態では、高速飲料注ぎ出し装置35の頸部アッセンブリ36は、背高樽抜き注ぎ出しタワーの柱69、樽抜き注ぎ出しタワーカバー70、樽抜き注ぎ出しタワー基部71、取り付けスクリュー72、シャンク42、及び柱の断熱材73から成る背高樽抜き注ぎ出しタワーアッセンブリ68に置き換えられている。この実施形態では、弁アッセンブリ37は、背高樽抜き注ぎ出しタワーの柱69に固定されているシャンク42に取り付けられている。弁アッセンブリ37は、シャンク連結ナット57、圧縮リング58、圧縮座金59及び連結ガスケット61を使ってシャンク42に取り付けられているが、Oリング付フランジ及び瞬間脱着金具を含む別の手段も考えられる。バートップ53とシャンク42の間の距離は、ノズルアッセンブリ38の遠位端52とバートップ53の間の距離が標準的なピッチャー54の高さより大きくなるようになっている。この実施形態では、頸部アッセンブリは周囲の大気に曝されておらず、弁アッセンブリ37より上流の圧力の掛かった状態に維持されているビールは、背高樽抜き注ぎ出しタワーアッセンブリ68の中で周囲の大気から断熱された状態にある。更に、この実施形態では、シャンク穴63の直径は、その長さに沿って徐々に大きくなっており、一端では、シャンク穴63の直径は飲料配管41の直径と等しく、弁アッセンブリ37がシャンク42に取り付けられる点では、シャンク穴63の直径は弁ハウジング94の内径と一致している。
【0032】
図4に示している1つの実施形態では、弁アッセンブリ37は、弁部材74、ハンドルレバー75、摩擦リング76、ボンネット座金77、圧縮ボンネット78、弁チャンバ79、弁座80、弁肩部ガイド81、外部通気穴82及び内部通気穴83を備えている。弁部材74は、弁頭部84、弁頸部85、弁肩部86及び弁座座金87を備えていてもよい。弁頸部85は、どの様な既知の手段で弁頭部84に固定してもよい。弁頸部85は、2つの部品に分解できるように、ねじ手段によって弁頭部84に固定されているのが望ましい。弁座座金87は、弁頭部84と弁頸部85の間の所定の位置に保持されている。組み立てられた弁頭部84、弁座座金87及び弁頸部85の全体的形状は、回りを流れる液体の乱れを最小限に抑えるように流線形になっている。従って、弁座座金87の液体に面する外側表面88は、弁頭部84の外側表面89と平滑に、望ましくは接線方向に、つながるように形作られている。更に、弁座座金87の液体に面する外側表面88は、弁頸部85と平滑に、望ましくは接線方向につながるように形作られている。
【0033】
弁部材74の別の実施形態を図5と図6に示している。これらの実施形態では、弁頭部84は、事実上、概ね球形又は楕円形であり、弁座座金87の外側表面88は、弁頭部84の外側表面89と概ね平滑につながるような形状になっている。同様に、弁座座金87の外側表面88は、弁頸部85と概ね平滑につながるように形作られている。図4に示しているように、弁肩部86は、弁部材74全体を、弁チャンバ79に対して軸方向に整列した状態に保持するように、精密な外周公差で弁肩部ガイド81内を長手方向に滑動できる寸法になっている。ハンドルレバー75の遠位端90は、弁肩部スロット91に嵌り込んでいる。ハンドルレバー75に形成されているボールジョイント92は、弁ハウジング94の一部であるボール座93に填っている。摩擦リング76とボンネット座金77は、ボールジョイント92の上部の回りを取り巻くように装着されている。圧縮ボンネット78も又、ハンドルレバー75の回りを取り巻くように装着され、圧縮ボンネット78内のねじと弁ハウジング94に形成されたねじによって所定の位置に保持されてもよい。所定の位置までねじ込むと、圧縮ボンネット78は、摩擦リング76とボンネット座金77を押し付け、ビールが、ボール座93を通過して弁アッセンブリ37から漏れるのを防ぐシールを形成する。
【0034】
図4は、弁アッセンブリ37の、弁部材74が閉位置にある状態を示している。この位置では、ハンドルレバー75のねじ付の近位端95は、弁頭部84に向かって傾斜していてもよい。ハンドルレバー75は、そのボールジョイント92の回りに旋回するので、この弁閉鎖位置では、ハンドルレバー75の遠位端90は、弁頭部84から遠ざかる方向に傾斜しており、弁座座金87が弁座80と接触して、液体の流れを遮断するシールを形成するまで、弁部材74を長手方向に引っ張っている。この位置では、弁チャンバ79とシステムの中にある液体は、概ね周囲の大気圧を上回る圧力の下にあり、システムがビールを注いでいないときにCO2が溶液から出るのを防いでいる。従って、弁チャンバ79内の液体から受ける圧力を、弁肩部86と弁肩部ガイド81の間、及び、弁肩部スロット91、摩擦リング76、ボンネット座金77、圧縮ボンネット78、ハンドルレバー75の間に作用する摩擦力と組み合わせると、弁部材74をその閉位置に保持するに十分である。その結果、弁部材74の上流側の液体の圧力にも関わらず、弁部材74をその閉位置に維持するのに、弁部材74に外から力を加えるばね、ロック、アクチュエータ又は他の構成要素は必要ない。更に、弁部材74が閉位置にくると、弁肩部スロット91が外部通気穴82と内部通気穴83の間の通路を完成するので、弁部材74が閉位置に動かされた瞬間に、空気がノズル99の上部に進入し、ノズルアッセンブリ38内の液体をより迅速且つ完全に排出し易いようにしている。
【0035】
弁部材74を開くには、ハンドルレバー75のねじ付端部95を前方に、概ね弁座80から遠ざかる方向に動かす。ハンドルレバー75がこの様に動かされると、ボールジョイント92の中心回りにボール座93内で回転し、ハンドルレバー75の遠位端90が反対方向に回転する。ハンドルレバー75の遠位端90がこの様に動くことにより、弁部材74が、弁座座金87を弁座80から離す方向に滑動し、弁部材74は開位置とされる。弁頭部の回りに流れている液体から弁頭部84に作用する力を、弁肩部86と弁肩部ガイド81の間、及び、弁肩部スロット91や、摩擦リング76、ボンネット座金77、圧縮ボンネット78、ハンドルレバー75の間に作用する摩擦力と組み合わせると、ハンドルレバー75又は弁部材74に連続する外力を加えなくても、弁部材74をその開位置に保持するのに十分である。
【0036】
液体の流れへの外乱は、できる限り流線形にされた弁アッセンブリ37によって最小に抑えられることが望ましい。図7に液体の流線96で示しているように、弁アッセンブリ37を通って流れる液体は、概ね下方向に向けられているノズルアッセンブリ38の中へと弧状になって案内される。従って、弁アッセンブリ37は、液体の流れの開始と停止をするのみならず、できるだけ液体の流れの乱れを発生させずに液体をノズル99へと案内するように作用する。図8に示しているように、液体の流れを滑らかに方向転換させ易くするため、弁肩部86の液体に面する表面97は、弁部材74がその開位置にあるときは、弁ハウジング94の内側表面の曲率と一致するように形作られている。具体的には、ここに示している実施形態では、弁肩部86付近の弁ハウジング94の内側表面は、概ね、弧状の円筒の一部の形状になっている。即ち、弁肩部86の液体と面する表面97は、概ね凹形状であり、2つの曲率半径を有している。第1の半径は、液体をノズル99に案内する弁ハウジング94によって形成されている弧の大きい半径と一致している。第2の曲率半径は、第1の半径に垂直であり、弁アッセンブリ37とノズル99が接合されている点における弁ハウジング94の内側半径と一致している。代わりに、弁肩部86の液体と面する表面97は、第1の曲率半径だけを有していてもよく、その場合も、弁肩部86の液体に面する表面97は、液体の流れを流線形であるようにノズル99に送ることになる。更に、弁肩部86の液体と面する表面97は平面であってもよく、その場合、そのような面の縁部は、弁部材74がその開位置にあるとにき、弁ハウジング94の内側表面と同面になり、平面は、液体の流れをノズル99の中に効率的に導くように傾斜していなければならない。対照的に、図10に示しているように、従来型のビール注ぎ出し蛇口98内に設けられている弁肩部86の液体と面する表面97は、何の細工もなく、概ね垂直方向に平坦な面になっている。更に、そのような設計では、液体は、その流線96で示しているように、突然方向転換されることになる。液体のそのような突然の方向転換は、乱流を引き起こすことがある。
【0037】
弁チャンバ79を通って流れる液体の一部は、ノズルアッセンブリ38への途中で弁頸部85を通過しなければならないので、図9に示している弁頸部85の断面は、この方向の液体の流れに対して流線形になっている。
【0038】
弁部材74を手動で動かすことを前提にしている上記実施形態の代わりに、弁部材74をその開位置と閉位置の間で動かすのに要するエネルギーを、自動的な、又はモーター駆動手段で供給してもよい。例えば、1つの実施形態では、弁肩部86に接続されているリニアアクチュエータが、弁部材74をその閉位置から開位置へ、そして逆へと動かす際にハンドルレバー75を押し引きする機能を置き換えてもよい。更に、弁部材74は、家庭用品で水の流れを制御するのに用いられているソレノイドと同様のやり方で、電磁手段を使って動かしてもよい。同様に、ギア式又は他の回転式弁運動機構も又、弁部材74を閉位置と開位置の間で動かすように機能することができる。そのようなギアを回転させるためのエネルギーは、電気機械式又は手動式手段で供給してもよい。
【0039】
弁アッセンブリ37を通って流れる液体は、図2に示しているように、ノズルアッセンブリ38に直接送られることが望ましい。ノズルアッセンブリ38は、下向きに伸張するノズル99と、ノズル99の下端部101付近に配置されている液体分散部材即ち流れ方向転換器100を備えていることが望ましい。弁アッセンブリ37を通過してノズルアッセンブリ38に流れる液体は、重力の影響によって加速する傾向にある。ノズルアッセンブリ38は、4つの主要な機能を果たす。第1に、ノズルの内側表面102と液体の間に作用する粘性力は、重力による液体の加速度を多少抑制し、液体が流れる速度を遅くする働きをする。第2に、ノズル内側表面102は、弁部材74がその開位置にあるときに、空気がシステムの中へと昇る機会を最小に抑える形状になっている。密で空気を含んでいない液体の流れは、ノズルアッセンブリ38内での液体の発泡を最小に抑える。第3に、流れ方向転換器100は、ノズルアッセンブリ38を出る液体の流れを、液体が充填される容器の内側表面に衝突するときに発生する乱流及び発泡が最小になるように、方向転換させる働きがある。ノズルアッセンブリ38は、流れ方向転換器100が、注ぎ出す対象となる最大の容器の底部に達し、底部で又は底部付近で容器を充填できるほど長いのが望ましい。好適な実施形態では、ノズルアッセンブリ38の長さは、約3インチ(7.62cm)から約15インチ(38.1cm)である。ノズルアッセンブリ38の長さが、約4インチ(10.16cm)から約12インチ(30.48cm)であれば更に望ましい。ノズルアッセンブリ38の長さが、約8インチ(20.32cm)から約10インチ(25.4cm)であれば、なお望ましい。
【0040】
従来型の蛇口98から流れる液体の流れ103を、図11に示している。ノズル99が無ければ、蛇口98を出た液体の速度は、重力のために液体が落ちるにつれて速くなる。この加速度によって、液体の流れ103の断面積は、液体が落下して蛇口98からますます離れるほど小さくなる。このプロフィルの概略の形状は放物線状であり、その具体的なプロフィルは、液体の流量と蛇口の出口104の直径で変わる。基本的な幾何学と共にベルヌーイの式を使えば、蛇口の出口104から所与の距離にある液体の流れ103の断面積を計算することができる。ベルヌーイの式によれば:
【数5】
であり、ここで、p1、p2は、それぞれ、蛇口の出口104と、蛇口の出口104から所与の距離における液体の圧力、
ρは液体の密度、
V1、V2は、それぞれ、蛇口の出口104と、蛇口の出口104から所与の距離における液体の流れ103の線速度、
gは重力による加速度、
z1とz2は、それぞれ、蛇口の出口104と、蛇口の出口104から所与の距離の点である。
【0041】
自由に流れる液体の流れ103は大気圧の下にあるので、p1=p2=0である。z1=0、z2=hとし、V2をV0に、V1をVhに改名すると、Vhをhの関数として表すことができ、ここに、Vhは、液体の流れ103の、蛇口の出口104から垂直距離hだけ下における線速度である。
【数6】
【数7】
【数8】
【数9】
ここで、V0は蛇口の出口104における液体の流れ103の線速度である。
【0042】
液体の流れ103の流量は、以下の式に従って、液体の流れ103の線速度と液体の流れ103の断面積に関係付けることができる:
Q=A0V0
ここで、Qは液体の流量、
A0は蛇口の出口104の断面積、
V0は、蛇口の出口104における液体の流れ103の線速度である。
V0を解いて、Vhの式に代入すると:
【数10】
となる。
【0043】
蛇口の出口104が円形の場合、A0は蛇口の出口104の直径D0の関数として表すことができ:
【数11】
【数12】
となる。
更に代入して、VhをD0の関数として解くと:
【数13】
【数14】
【数15】
となる。
更に、液体の流量は、非圧縮性システムの中では一定なので、
Q=AhVh
であり、ここで、Qは液体の体積流量、
Ahは、蛇口の出口104から距離hにおける液体の流れ103の断面積、
Vhは、蛇口の出口104から距離hにおける液体の流れ103の線速度である。
【0044】
上記の式をAhに関して解き、Vhの先の定義に代入すると、液体の流れ103の断面積Ahを、その蛇口の出口104からの垂直距離h、蛇口の出口104の直径、及び液体流量の関数として求めることができる:
Q=VhAh
【数16】
【数17】
【0045】
ノズルアッセンブリ38の断面積のプロフィルは、上記式を使って計算した、自由落下する液体の流れ103の断面積のプロフィルと一致するのが望ましい。この実施形態では、ノズル99の断面積は、上部から底部に向かって徐々に減少している。流れ方向転換器を用いている好適な実施形態では、ノズル99は、流れ方向転換100を入れるためその遠位端付近で広がっているが、結果としての同心環状の断面積は、ノズルアッセンブリ出口105の点まで、この徐々に減少する断面積の連続を保っている。図示のように、同心環は、上部から下部に向かって断面積が徐々に大きくなる流れ方向転換器軸部106を有する流れ方向変換器を使用することによって、この徐々に減少する断面積を維持している。代わりに、ノズル99の遠位端が徐々に減少する断面(図示せず)を有している場合は、流れ方向変換器100は、直径が一定の流れ方向変換器軸106を有していてもよい。断面積のプロフィルが自由落下する液体の流れ103のプロフィルと一致するノズルアッセンブリ38は、液体が、ノズル内側表面102と常に接触してノズルアッセンブリ38を通って流れるように保つ働きをする。この様にして、液体とノズル内側表面102の間に作用する粘性力は、液体を減速するように作用する。更に、ノズルアッセンブリ38が最適化された流量で液体が流れている限り、空気は、泡になってノズルアッセンブリ38に入ることはできない。
【0046】
図12に示しているノズルアッセンブリ38の代替実施形態では、線形のテーパを有するノズル107が、断面積プロフィルが自由に流れる液体の流れのそれと一致し、断面積が徐々に減少してゆくノズル99を近似している。
【0047】
図13に示しているノズルアッセンブリ38の別の実施形態では、円筒形のノズル108が使用されている。この実施形態では、円筒形ノズル108の断面積は、流れ方向変換器100が導入されるまで一定であり、この場合、流れ方向変換器100を配置したことによる断面積の減少が、液体が流れているときには空気が円筒形ノズル108に入らないほどに十分になっている。従って、内部経路の断面積は、ノズルの液体受け入れ端部からノズルの液体注ぎ出し端部に向かって減少している。
【0048】
図14に示している更に別の実施形態では、ノズルアッセンブリ38は、2つ以上の整流チャネル109を含み、ノズルアッセンブリ38内の液体の横方向の運動を少なくし、ノズルアッセンブリ38を通って流れる液体の乱流を抑えている。ノズル99は、少なくとも2つのチャネル109に再分割するのが望ましく、3つから10個のチャネル109に再分割するのが望ましい。ノズル99は、4つの等しい寸法のチャネル109に分割されるのが更に望ましい。図15、図16、図17は、チャネルに分割されたノズルの様々な実施形態を断面で示している。
【0049】
レイノルズ数は、液体の流れが層流であるか又は乱流であるかの特性についての標示となる。整流チャネル109を備えていない円形断面のノズル99のレイノルズ数は、以下の式で与えられる:
【数18】
非円形導管のレイノルズ数は、以下の式で求めることができる:
【数19】
ここで、Rehは、水力直径に基づくレイノルズ数である。水力直径は、Dh=4A/Pと定義され、ここで、Aは導管の断面積、Pは導管の周長である。ノズルアッセンブリ38内の、それぞれ同じ寸法の、分円、楔形のチャネル109について:
【数20】
【数21】
【数22】
【数23】
【数24】
であり、ここで、Dはノズル99の内径、nは、同じ寸法の、分割円で、楔形のチャネル109の数である。チャネル109を有するノズル99のレイノルズ数を、整流チャネルが含まれていないノズル99と比較すると、以下の比が得られる:
【数25】
【0050】
この様に、整流チャネル109を有するノズルアッセンブリ38を通って流れる液体のレイノルズ数は、整流チャネルが配置されていないノズルアッセンブリ38と比べ、(π)/(π+n)倍だけ小さくなる。示されたように、チャネル109の数が増すと、ノズル99を通って流れる液体のレイノルズ数が更に減少する。更に、各整流チャネル109の表面110は、液体と表面110の間に作用する粘性力が形成することのできる有効表面積を大きくするので、液体がノズル99を通って移動する際に、液体を更に減速する。
【0051】
ノズルアッセンブリ38は、断熱されたり、液体又は当技術分野で既知の他の手段で冷却されたりしてもよく、発泡体、空気、循環グリコール、循環水、及び熱電手段などを含むがこれに限定されるものではない。ノズルアッセンブリ38は、周囲の大気に曝されているので、このような断熱又は冷却機構が無ければ、大気温度まで温まることがある。グリコール冷却式注ぎ出しシステムのグリコール配管を伸張してノズルアッセンブリ38内でコイル状にさせ(図示せず)、ノズルアッセンブリ38を低温に維持することに利用してもよい。
【0052】
ビールを注ぎ出すときに過剰な泡が発生する主な原因は、飲料を、高速で、又は他の乱流を作るやり方で容器の底部に当てることである。流れ方向転換器100は、ノズルアッセンブリ38を出る液体を、液体と容器の間の衝撃の力が低くなるように、穏やかに方向転換して注ぎ出すことによって、泡の発生を最小に抑える。図18に液体の流線96で模擬的に示しているように、ノズルアッセンブリ38を通って移動する液体は、流れ方向変換器軸106の周りに均等に分散される。液体は、流れ方向変換器100を通過して流れる際に、概ね下向きの流れから半径方向の流れに穏やかに方向転換される。ノズルアッセンブリ38を出る液体は、下向きベクトルも有する均一な360度のパターンで、半径方向に分散されるのが望ましい。そのようなパターンは、多種多様な容器寸法に飲料を注ぎ出す際に飲料の発泡を最小限に抑えると決定されたものである。ノズル99の下端部のリップ111もあってもよい。リップ111は、ノズルアッセンブリの出口105を出る液体の流れ特性を改良するために、別の形状も考えられるが、丸みを帯びているのが望ましい。
【0053】
流れ方向転換器100は、流線形の物体であるのが望ましい。好適な実施形態では、流れ方向転換器100の近位端112は楕円ドーム形状である。この実施形態では、丸い流れ方向転換器軸106は、液体の流れを、最小量の乱流で方向転換できるように、流れ方向転換器基部113に向かって徐々に広がっている。流れ方向転換器100の長手方向の全長に沿う水平方向断面は、その形状が液体の流れと実質的に干渉しない限り、別の形状も考えられるが、円形であるのが望ましい。流れ方向転換器基部113も、平坦な底の容器の底部が流れ方向転換器基部113と同一平面上に配置できるように、円形且つ平坦であるのが望ましい。しかしながら、流れ方向転換器基部113の底部は、流れ方向転換器基部113の底部の周辺縁部が、充填する容器の底部と実質的に接触する限り、幾らか窪んだ表面を有していてもよい。流れ方向転換器100の外側表面は、平滑であるのが望ましい。
【0054】
背高幅広の流れ方向転換器100は、液体を方向変換させるときに発生する乱流を抑制する働きをするが、そのような流れ方向転換器100は、ノズルアッセンブリ38が長くて幅広になり、小さな容器に収まり難くなりかねない。このため、流れ方向転換器100は、小型の方が望ましい。流れ方向転換器100は、近位端112と基部113の間で測定して、0.5インチ(1.27cm)と8インチ(20.32cm)の間にあるのが望ましい。流れ方向転換器100は、この長さに沿って測定したとき、1インチ(2.54cm)と4インチ(10.16cm)の間にあるのが更に望ましい。流れ方向転換器100は、この長さに沿って測定したとき、2インチ(5.08cm)であるのが更に望ましい。流れ方向転換器基部113は、その最も幅広の点で測って、0.25インチ(0.635cm)と5インチ(12.7cm)の間にあるのが望ましい。流れ方向転換器基部113は、その最も幅広の点で測って、0.5インチ(1.27cm)と2インチ(5.08cm)の間にあるのが更に望ましい。流れ方向変換器100の別の実施形態を図20、図21、図22に示している。液体がノズルアッセンブリ38を離れて容器に衝突するときに発生する泡の量を減らす役目を果たす流れ方向転換器100の形状及び構造は、この他にも沢山考えられる。流れ方向転換器は逆円錐形であるのが望ましい。
【0055】
流れ方向転換器100は、一般的には取り外しできないが、取り外し可能であることが好ましい。流れ方向転換器100は、1つ以上の支持構造体114によってノズル99の内側に取り付けられている。支持構造体114は、液体の流れが在っても、流れ方向転換器100をノズル99の軸に沿って中心に保持できるだけの強度がある。液体の流れの乱れを最小限に抑えるため、支持構造体114は、流線形で、丸い近位端115から遠位端116の点に向かって徐々に細くなっているのが望ましい。図19に示している翼形状は、支持構造体114によって生じる乱流を最小にすることが分かった。中に整流チャネル109が設けられているノズルアッセンブリ38の場合、流れ方向転換器100は、整流チャネル109を形成している表面110に直接取り付けられているので、所定の位置に保持するための支持構造体114を必要としない。
【0056】
流れ方向転換器100は、液体がノズルアッセンブリ38を離れて容器に入ることを可能にするノズルアッセンブリの出口105が、ノズルアッセンブリ38のリップ111と流れ方向転換器100の間に形成されるように、ノズルアッセンブリ38の中に長手方向に配置されている。ノズルアッセンブリの出口105の寸法は、液体がノズルアッセンブリ38を迅速に出ることができるよう十分に大きく、液体を容器の中へ均等に半径方向に分散させることができるよう十分に小さくなければならない。ノズルアッセンブリの出口105の最適な寸法は、液体の流量、ノズル99の直径及び流れ方向転換器100の具体的な形状によって変わる。ノズルアッセンブリの出口105の高さは、ノズル99のリップ111と流れ方向転換器100の間の垂直の間隔として測定して、0.2インチ(0.508cm)と1.5インチ(3.81cm)の間にあるのが望ましい。ノズルアッセンブリの出口105の高さは、0.35インチ(0.889cm)と0.6インチ(1.524cm)の間にあるのが更に望ましい。ノズルアッセンブリの出口105の高さは、0.4インチ(1.016cm)と0.5インチ(1.27cm)の間にあるとなお望ましい。
【0057】
ノズルアッセンブリの出口105の高さは固定された間隔でもよいが、図23と24に示している本発明の別の実施形態では、ノズルアッセンブリ38内の流れ方向変換器100の具体的な長手方向の位置は、ノズル99内のセットスクリュー117と座ぐり溝118によって微調整することができ、セットスクリュー117を緩めると、流れ方向変換器100を長手方向に動かすことができる。流れ方向転換器100をノズルアッセンブリ38の軸に沿って長手方向に動かすと、ノズルアッセンブリの出口105の高さが変化する。洗浄又は保守のために、流れ方向転換器100をノズルアッセンブリ38から取り外すことができるように、セットスクリュー117も又、ノズルアッセンブリ38から完全に取り外されてもよい。
【0058】
本発明の別の実施形態では、弁アッセンブリ37の上流にディフューザ121が配置されており、乱流の量を最小限に抑える方法で弁アッセンブリ37に入る液体の断面積を増やしている。ディフューザ121は、そのスロート端部119からその出口端部120までテーパーになっているのが望ましい。図25に示している1つの実施形態では、円錐状ディフューザ121が、高速飲料注ぎ出し装置35の頸部アッセンブリ36内に配置されている。この実施形態の円錐状ディフューザ121の軸は、高速飲料注ぎ出し装置35の頸部アッセンブリ36内に垂直に整列しているが、曲率半径を有していてもよい。円錐状ディフューザ121の広がり角は、円錐状ディフューザ121の長手方向軸と円錐状ディフューザ壁122の間の角度で測定して、比較的小さいのが望ましい。広がり角が大きいと、液体の断面積を短い距離で拡げるため、一般的に乱流が増大することになる。乱流を最小限に抑えながら拡散させ易くするには、円錐状ディフューザ121は、広がり角が25度未満であるのが望ましい。広がり角は12度未満であれば更に望ましく、8度未満であればなお望ましい。
【0059】
或る条件の下では、高速飲料注ぎ出し装置35を出る液体の流速を遅くすることが望ましいこともある。図26に示している本発明の別の実施形態では、注ぎ出される液体の流速を随意的に遅くするため、このシステムには、減圧要素123が多方弁124と組み合わせて導入されている。減圧要素123はさまざまな形態を取ることができるが、減圧要素123は、或る長さの、直径が小さい配管であるのが望ましい。減圧要素123は、その空間要件を最小にするために、高速飲料注ぎ出し装置35の頸部アッセンブリ36内でコイル状とされている。
【0060】
減圧要素123の入端部125と出端部126は、高速飲料注ぎ出し装置35の頸部基部127に配置されている多方弁124に接続されている。図27の1つの実施形態に示しているように、1つの位置では、多方向弁124は、高速飲料注ぎ出し装置35とビール注ぎ出しシステム39の残りの部分の間で、邪魔のない全開ポートとなっている。液体の流れの矢印128は、多方弁124を通る液体の流れの経路を示している。この位置では、液体の流れは減圧要素123を完全に迂回し、液体は、減圧要素123が無いかの様に、その通常の流量で高速飲料注ぎ出し装置35から注ぎ出される。
【0061】
図28に示しているように、別の位置では、多方弁124は、液体を、高速飲料注ぎ出し装置35を通る途中で減圧要素123を通るように方向付ける。この位置では、多方弁124に入る液体は、減圧要素123の入端部125に取り付けられている弁出口129に送られる。ビール注ぎ出しシステム39からのエネルギーは、減圧要素123の出端部126から送り出された液体を方向付ける多方弁124に、弁入口130を通って再び入る前に減圧要素123の全長を通る液体を、高速飲料注ぎ出し装置35を通るその全行程に亘って動かし続ける。多方弁124に再び入る液体は、圧力降下を経ているので、液体は、下がった流量で、望ましくは従来型のビール注ぎ出し蛇口の最適流量で、高速飲料注ぎ出し装置35に再び入る。
【0062】
以上の詳細な説明は、分かり易く示すことを意図したものであって、限定するものではなく、当然のことながら、本発明の精神及び範囲を規定することを意図しているものは、特許請求の範囲並びに全ての等価物である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭酸入りの、又は、加圧した飲料を注ぎ出すための装置に関し、より具体的には、炭酸入りの、又は、加圧した飲料を、発泡を最小に抑えて高い流量で注ぎ出すための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ビールのような加圧飲料は、一定量の溶解ガス、典型的には二酸化炭素(CO2)、を飲料に封入して作られる。一定量の溶解したCO2は、ビールの醸造及び発酵過程で自然に発生するが、殆どの大きなビール醸造所は、追加のCO2をその製品に溶解している。CO2を追加するのは、商業的な醸造所にとって主要な目的が2つある。第1は、品質管理の観点から、製造される全てのビールに、同じ量のCO2が含まれるようにすることである。第2には、CO2を追加するとビールの発泡性が上がり、消費者には、すっきりして風味がよいと受け取られるからである。
【0003】
殆どの大手醸造所が生産するビールには、10から15psi(68950から103425ニュートン毎平方メートル)の間の溶解CO2が入っている。大気中のCO2の水準はずっと低いので、ビールは、大気圧に曝されると、その溶解したCO2の一部を放出する傾向がある。ビールは化学的に複雑な組成を持っているため、この溶解したCO2が溶液から出るときに、泡が形成される傾向がある。
【0004】
ビールの中で発生する泡の量に寄与するこの他のパラメーターには、温度と攪乱が含まれる。液体の物理的特性によれば、液体の温度が高くなるほど、溶解ガスに対する容量が低くなる。従って、ビールの温度が高いほど、その溶解ガスが溶液を出る傾向が強まり、ビールが発泡する傾向が強まる。攪乱及び別の形態の撹拌は、ビールの中に、CO2を溶液から泡の形で出現させる急激で極端な圧力変動の領域を作り出す。
【0005】
大手の商業的な醸造所で作られるビールの多くは、瓶と缶に詰め込まれることが多いが、大量のビールが、小樽(keg)として知られている大きな密閉容器にも詰め込まれる。小樽は、再利用可能で再充填可能なアルミニウムの容器であって、典型的には15.5ガロン(58.7リットル)の、ビールの、効率的で衛生的な取扱い、保管、及び、注ぎ出しに適している。小樽ビールと呼ばれる、小樽に詰め込まれたビールは、普通は、バー、居酒屋、ナイトクラブ、スタジアム、お祭り、及び、大きなパーティーで出される。
【0006】
小樽ビールを、消費用の開放容器に注ぎ出すには、特殊な装置を必要とする。ビール注ぎ出し蛇口(通常はビール栓と呼ばれる)は、ビールの流れを制御し、開放容器に送るための弁と注ぎ口を備えている。ビールは、従来型の蛇口から注ぎ出されるときに、泡立つことが多い。そのような発泡の1つの原因は、単に、ビールに溶解しているCO2と大気圧内に存在するCO2の間の圧力差である;すなわち、CO2は、ビールが大気に曝されると、ビールから自然に放出される。そのような発泡のもう一つの原因は、従来型の蛇口からビールを注ぎ出す際の攪乱性である;すなわち、慎重に注ぎ出しても、ビールは、容器の壁と底部に飛び散り、泡ができる。
【0007】
少量の泡は、望ましいことが多い。適切に保管されていないビールは、しばしばその溶解したCO2を大気に逃がし、気が抜けてしまう。従って、少量の泡は、ビールが新鮮であることを消費者に示す。加えて、ビール販売業者は、完全なビールの容器が泡の密な泡の層を持っている、と表現することに成功している。一方で、泡が多すぎるのは、消費者と飲料販売者にとって望ましくない。泡は、液体のビールに代わって容器をCO2で満たすので、過剰な量の泡は消費者に不満を残し、しばしば新しい容器を供するように要求されることにもなる。このことを理解すれば、販売者には2つの選択肢が残される。販売者は、部分的に容器を満たし、泡が消えるのを待ち、それからビールを追加することができるという、時間が掛かるプロセスである。代わりに、販売者は、容器を満たしているときに、過剰な泡を溢れ出させて注ぐこともできるが、このプロセスではビールが無駄になる。
【0008】
過剰な発泡は、消費者と販売者の双方にとって問題なので、注ぎ出し過程で最適な量の泡を理想的に実現するように設置され、構成されるビール注ぎ出しシステムを設計する試みが行われてきている。従来型のビール注ぎ出しシステムは、注ぎ出し過程を通してビールを一定の冷温に維持するだけでなく、ビールが容器に衝突するときに発泡しない速度で蛇口を出ることができるほどにゆっくりした流量でビールを注ぐように作られている。
【0009】
従来型のシステムは、毎分1米国ガロン(3.785リットル)の流量に最適化されている。このような流量は、殆どの少量注ぎ出し用途に適してはいるが、最適な量の泡を維持しながらビールがもっと速く注ぎ出されれば、販売者と消費者の双方にとって有益となる状況は沢山ある。忙しいバー、居酒屋、お祭り、大きなパーティーやスタジアムでは、消費者は、出されるまで長い列を成して待たなければならないことが多い。これらの状況の下では、販売者と消費者の双方にとって、もっと速くビールが注ぎ出されることが望ましい。
【0010】
以前のビール注ぎ出しシステムは、ビールを、標準的な毎分1米国ガロンの流量よりも速く注ぎ出すよう設計されていた。これらのシステムの1つの欠点は、それらが普通は精巧な電子制御機構を使用しており、製造及び保守するのに費用が掛かることである。加えて、これらのシステムの中には、蛇口の近くにリザーバーを使用しているものもあり、装置が大きくなり、洗浄し難くなっている。更に、そのような装置を既存のバートップの上に後から取り付けるのは、難しく費用が掛かる可能性がある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、加圧飲料を、過剰な泡を形成することなく、従来の機械栓装置より相当に高い流量で注ぎ出すための飲料注ぎ出し装置に関する。製造及び保守コストを低く抑えるために、純粋に機械的な装置として実施することもできる。更に、本発明は、注ぎ出す点又はその付近にリザーバーを使用することなく実施することができるので、洗浄が容易で、既存のバートップの上に容易に後から取り付けることができる。
【0012】
好適な実施形態では、本発明は、加圧飲料を注ぎ出すための飲料注ぎ出し装置において、加圧飲料が、少なくとも最初は大気圧状態で通過して出て行くノズルであって、内部経路と、加圧飲料注ぎ出しシステムの端部要素として取り付けられるようになっている液体受け口と、加圧飲料を、少なくとも最初は大気圧状態に注ぎ出す液体注ぎ出し口とを備え、ノズルの内部経路の断面積が、液体受け口から液体注ぎ出し口まで減少しているノズルから成る飲料注ぎ出し装置で構成されている。
【0013】
別の実施形態では、本発明は、上向きに伸張する頸部と、流線形の弁アッセンブリと、下向きに伸張するノズルアッセンブリと、を備えている。装置の全体的形状寸法によって、一連の容器を底部から満たせるようになっている。更に、ノズルアッセンブリは、液体の流れを概ね半径方向に拡散させるよう作用する流線形の流れ方向転換要素を含んでいる。従って、ビールが高速で注ぎ出されるときに発生する泡の量は、少なくされるのが好ましい。
【0014】
1つの実施形態では、ノズルの水平方向断面積は、ノズルの上部から、ノズルの下部すなわち液体注ぎ出し端部まで徐々に減少している。好適にも、この減少している断面積のプロフィルは、そのようなノズルが無いときに重力を受けて落下する液体の流れのプロフィルと一致している。ノズルがこのような形状になっているので、ノズルを通って流れる液体は、確実に、ノズルの内壁と実質的に連続的に接触した状態を保つ。この様にして、空気がノズルの液体注ぎ出し端部から泡になってノズルに入るのを防いでいる。更に、ノズルの内壁とノズルを通って流れる液体の間に働く粘性力は、ノズル内の液体が受ける重力の加速度を抑制するように作用する。
【0015】
本発明の別の実施形態では、ノズルに、ノズルを通る液体の流れに乱流を少なくする働きをする整流要素が追加されている。そのような要素は、更に、減速粘性力が働く表面積の量を増す。
【0016】
本発明の別の実施形態では、装置は、ビールを2つの異なる流量で選択的に注ぎ出すことができる。そのような実施形態では、減圧要素が、液体を選択的に減圧要素を通して送る多方弁と共に、装置内に組み込まれている。液体が高速飲料注ぎ出し装置に入る前に先ず減圧器を通って流れるように弁が位置決めされている場合は、液体は、低減速度、望ましくは従来型のビール注ぎ出し蛇口の最適速度で注ぎ出される。液体が減圧器を迂回するように弁が位置決めされている場合は、高速飲料注ぎ出し装置は、その速い方の流量で機能する。
【0017】
高速飲料注ぎ出し装置は、ビールを、最適レベルの泡を実現させながら、従来型のビール注ぎ出しシステムの少なくとも2倍の流量で注ぎ出すことができるので、好奇心の対象として、飲料消費者からの注目を集めることにもなる。この魅力は、消費者が中を流れる飲料を見ることができるように装置の構成要素を透明な材料で形成することによって、高めることができる。
【0018】
本発明の実施形態のこの他の利点及び特徴は、以下の本発明の詳細な説明と関連図面とから明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】高速飲料注ぎ出し装置の第1の実施形態の概略断面図と一体で、飲料注ぎ出しシステムの構成要素を示す側面図である。
【図2】図1の高速飲料注ぎ出し装置の拡大概略断面図である。
【図3】頸部アッセンブリを背高樽抜き注ぎ出しタワーに置き換えた、高速飲料注ぎ出し装置の第2の実施形態の概略斜視図である。
【図4】図2の弁アッセンブリの、弁が閉位置にある状態を示す拡大概略断面図である。
【図5】図2の弁アッセンブリで使用する、流線形弁部材の別の実施形態の側面図である。
【図6】図2の弁アッセンブリで使用するための流線形弁部材の更に別の実施形態の側面図である。
【図7】図4の弁アッセンブリの、弁が開位置にある状態を示す概略断面図である。
【図8】図4の流線形弁部材の、弁の肩部の液体接触面の曲率と全体形状を示す斜視図である。
【図9】弁頸部と弁の肩部の断面斜視図である。
【図10】従来型のビール注ぎ出し蛇口の概略断面図である。
【図11】従来型の蛇口から流れる液体に働く重力の影響の説明図である。
【図12】図2のノズル断面積の放物線状のプロフィルが直線状のテーパーを備えたノズルで近似されている、ノズルアッセンブリの別の実施形態の概略断面図である。
【図13】図2のノズル断面積の放物線状のプロフィルが円筒形のノズルで近似されている、ノズルアッセンブリの別の実施形態の概略断面図である。
【図14】ノズルの中に4つの四分円整流チャネルが設けられている、ノズルアッセンブリの更に別の実施形態の断面斜視図である。
【図15】中に2つの半円整流チャネルが設けられたノズルアッセンブリの断面図である。
【図16】中に6つの六分円整流チャネルが設けられたノズルアッセンブリの断面図である。
【図17】中に7つの円形整流チャネルが設けられたノズルアッセンブリの断面図である。
【図18】図2のノズルアッセンブリの、容器が存在し、流れ方向転換器が液体の流れの方向を変えている様子を液体の流線が示している、拡大断面概略図である。
【図19】図2の流れ方向転換器の斜視図である。
【図20】図2のノズルアッセンブリで使用するための流れ方向転換器の別の実施形態の断面図である。
【図21】図2のノズルアッセンブリで使用するための流れ方向転換器の又別の実施形態の断面図である。
【図22】図2のノズルアッセンブリで使用するための流れ方向転換器の更に別の実施形態の断面図である。
【図23】長手方向に位置を調整できる流れ方向転換器を備えたノズルアッセンブリの概略断面図である。
【図24】流れ方向転換器が新しい位置へ動かされて示されている、図23のノズルアッセンブリの概略断面図である。
【図25】頸部アッセンブリ内に円錐形拡散器が備えられている高速飲料注ぎ出し装置の概略断面図である。
【図26】多方弁と減圧要素と共に示す高速飲料注ぎ出し装置の概略断面図である。
【図27】弁が、液体を、減圧要素を迂回するように送っている状態を示す、図26の多方向弁の拡大概略断面図である。
【図28】弁が、液体を、高速飲料注ぎ出し装置に送る前に減圧要素を通るように送っている状態を示す、図26の多方弁の拡大概略断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1に示しているように、高速飲料注ぎ出し装置35は、頸部アッセンブリ36と、弁アッセンブリ37と、下向きに伸張するノズルアッセンブリ38とを備えている。好適な実施形態では、頸部アッセンブリ36は実質的に垂直である。高速飲料注ぎ出し装置35は、ビール小樽40又は同様の飲料保管リザーバーと、飲料を容器又はビール小樽40から高速飲料注ぎ出し装置35へ送るための飲料配管41とを含むビール注ぎ出しシステム39の様な従来型の加圧飲料注ぎ出しシステムに取り付けるように設計されている。シャンク42は、高速飲料注ぎ出し装置35を飲料配管41に接続している。小樽タッピング装置43は、飲料配管41をビール小樽40に接続している。樽抜き注ぎ出しタワー(draft dispensing tower)44は、シャンク42を支えている。
【0021】
米国の大部分の大手の製造業者によって作られるビールは、約華氏38度(摂氏3.3度)で最適に保管され、提供されるように処方されている。ビールがこの最適温度より温かければ、注ぎ出すときに放出される二酸化炭素(CO2)が多すぎることになる。ビールがこの最適温度より冷たければ、注ぎ出すときに残る二酸化炭素が多すぎて香りが弱くなる。大部分のシステムが正確な温度を維持できないので、華氏36度から40度(摂氏2.2度から4.4度)の範囲であれば、一般的に容認できると考えられている。従って、1つの実施形態では、本発明のビール注ぎ出しシステム39は、システムの様々な要素を冷却し、これらの要素をこの容認できる温度範囲内に維持する能力を有している。
【0022】
図1に示すように、多くの注ぎ出しシステムでは、飲料配管41内のビールは、飲料配管41に束ねられた冷却材配管45を通して冷却液を循環させることによって冷たく保持されている。そのようなシステムは、通常は、グリコール冷却装置46及びグリコールポンプ47の手段によってグリコールを冷却し循環する。代わりに、飲料配管41を低温に保つ手段として、飲料配管41の入った導管に冷たい空気を吹き込むシステムもある。
【0023】
ビール小樽40に入っているビールは、ビール小樽40からビール注ぎ出しシステム39全体を通して高速飲料注ぎ出し装置35へ飲料を送るためのエネルギー源を必要とする。そのようなエネルギーは、普通は加圧されたガス、代表的には加圧されたCO2を介して供給される。図1に示すように、このシステムでは、加圧されたCO2が入っているタンク48が、加圧ガスホース49を介してビール小樽40に接続されている。圧力調整装置50は、ビール注ぎ出しシステム39を通してビールを送るCO2の圧力を調整する手段として作用する。ビール小樽40と高速飲料注ぎ出し装置35の間の距離が長いシステムでは、飲料配管41を通してビールを動かすための追加の圧力を作り出すために第2のガスが使われてもよい。この第2のガスとして、窒素タンク51内に入れられている加圧された窒素(N2)を用いてもよい。窒素タンク51は、別の加圧ガスホース49を介してビール小樽40に接続されている。別の圧力調整装置50が、圧縮窒素によって提供される追加の圧力を調整する手段として作用する。システムの中には、空気から窒素を抽出することができ、別の窒素タンクの必要性を排除するものもある。随意的に、別の実施形態では、システムは、加圧ガスの代わりに、又はそれに加えて、ビールをシステムを通して動かすのに必要なエネルギーを供給するため機械式ポンプ(図示せず)を使用することができる。
【0024】
レイノルズ数は、流体流れ分析にしばしば用いられる無次元のパラメーターである。2100未満のレイノルズ数を有する丸い配管又はチューブを通る流体は、層流を呈すると言われている。4000を超えるレイノルズ数のシステムは、乱流を呈すると言われている。層流でも乱流でもないシステムは、遷移流の特性を呈すると言われている。レイノルズ数は、以下の式を使って計算することができ:
【数2】
ここで、Re=レイノルズ数、
ρ=液体の密度、
V=液体の線速度、
D=配管の直径、
μ=液体の粘度、である。
【0025】
高速飲料注ぎ出し装置35を通って移動する液体が受ける圧力降下は、ビールがビール注ぎ出しシステム39を通って移動する流量を決定する幾つかのパラメーターの1つである。流量は、飲料配管41の長さ、直径及び粗さ、ビール小樽40と高速飲料注ぎ出し装置35の間の高さの差、加圧されたCO2及び/又はN2によって供給されるエネルギーによっても影響を受ける。具体的には、十分に成長した層流について、流量は、以下の式に従って求めることができる:
【数3】
ここで、Q=体積流量、
Dは飲料配管41の直径、
Δp=ビール小樽40と高速飲料注ぎ出し装置35の間の圧力差、
μ=注ぎ出されるビール又は他の液体の粘度、
l=ビールが流れる飲料配管41の長さ、である。
【0026】
従来型のビール注ぎ出し蛇口の目標流量は毎分1米国ガロン(3.785リットル)であるが、高速飲料注ぎ出し装置35は、少なくともその2倍の目標流量を有している。1インチ未満の内径を有する飲料配管41では、ビールが毎分1ガロンで流れているか毎分3ガロンで流れているかに関係なく、飲料配管41を通る流れが、完全に層流であることは滅多にない。これらの状況の下では、以下の式が当てはまる:
【数4】
ここで、
hL=システムの区画1と2の間の水頭損失、
f=摩擦係数(飲料配管41の粗さとレイノルズ数の関数)、
l=飲料配管41の長さ、
D=飲料配管41の直径、
V=流体の線速度、
g=重力定数、である。
【0027】
従って、ビール小樽40を高速飲料注ぎ出し装置35に接続する飲料配管41が長くなるほど、そして飲料配管41の直径が小さくなるほど、追加の圧力水頭損失に打ち勝つため、加圧されたCO2やN2からの、必要なエネルギーの量を増やさなければならない。更に、加圧されたCO2からの、必要なエネルギーの量は、飲料配管41を通って移動する液体の速度を上げるために、増やさなければならない。好適なことに、ビール注ぎ出しシステム39は、ビールを、高めた流量でシャンク42のところまで送り、高速飲料注ぎ出し装置35が従来型のシステムと比べて高くなった注入能力を提供できるように構成されている。
【0028】
高速飲料注ぎ出し装置35の頸部アッセンブリ36は、グラスからピッチャーまで及ぶ、広範な種類の容器寸法の、底部からの充填をすることができるように、高速飲料注ぎ出し装置35を位置決めし、支持する。そのような容器を底部充填できるようにするため、ノズルアッセンブリ38の遠位端52とバーのカウンターの上面53又はその真下の他の構造体の間の距離は、少なくとも充填対象の最大の容器の高さ程度はあるのが望ましい。ピッチャー54をノズルアッセンブリ38の真下に配置できる十分な間隙があるのが望ましい。
【0029】
本発明の高速飲料注ぎ出し装置35の1つの実施形態を図2にさらに詳しく示している。図2に示す実施形態では、頸部アッセンブリ36の下端部55は、標準的なシャンク連結ナット57、圧縮リング58及び圧縮座金59を使って標準的なビール蛇口シャンク42に取り付けるためのねじ部56を有しているが、Oリング付フランジや急速着脱式接続金具を含め、それに限らず別の取付方法も考えられる。更に、頸部アッセンブリ36は、溶接又は他の手段でシャンク42に永久的に取り付けてもよい。通常のバーのカウンターの上に設置する際は、シャンク42は、樽抜き注ぎ出しタワーの柱60に取り付けられる。連結ガスケット61は、確実に密封するため、シャンク42と頸部アッセンブリ36の間に配置される。頸部アッセンブリ36の中には、液体をシャンク穴63から弁アッセンブリ37まで運ぶための1本の頸部配管62がある。頸部配管62の直径は、頸部アッセンブリ36とシャンク42の間の取り付け点におけるシャンク穴63の直径と一致することが望ましい。好適なことに、頸部アッセンブリ36の下端部55の頸部配管62は、最初はシャンク穴63と軸線方向に整列している。この実施形態では、頸部配管62は、頸部アッセンブリ36内で垂直に伸びる前に約90度の湾曲部を有している。頸部配管62は、次に、頸部アッセンブリ36の上端部65付近で約90度の弧64で曲がっている。液体の流れの方向の変化に伴う乱流は、弧64の半径が大きいほど小さくなる。大きい半径の弧64は液体の流れの方向の変化に伴う乱流を小さくするが、同時に、高速飲料注ぎ出し装置35の樽抜き注ぎ出しタワー44とノズルアッセンブリ38の間の水平方向距離を長くする。従って、弧64の半径は、ノズルアッセンブリ38をバートップのドレイン66の直ぐ上に配置できる程に小さいのが望ましい。好適な実施形態では、弁アッセンブリ37は、液体が、漏れることなく頸部配管62を通って、弁アッセンブリ37に移動できるように、頸部アッセンブリ36の上端部65に取り付けられている。更に、頸部アッセンブリ36の上端部65の中の頸部配管62は、弁アッセンブリ37に近づくにつれ、頸部アッセンブリ36と弁アッセンブリ37が接合する点で頸部配管62の内径が弁ハウジング94の内径と一致するように、内径が大きくなっていてもよい。
【0030】
頸部アッセンブリ36は周囲の環境に曝されているので、システムが活動していない期間に頸部配管62内に残っているビールは、望ましくないことに温まる。頸部配管62内のビールを適切な供給温度に維持するため、頸部アッセンブリ36は断熱材67で満たされている。断熱材67の代わりに、又は断熱材に加えて、頸部アッセンブリ36は、冷却材管45を頸部アッセンブリ36内に伸張させ、グリコールで冷却してもよい。
【0031】
図3に示しているように、本発明の別の実施形態では、高速飲料注ぎ出し装置35の頸部アッセンブリ36は、背高樽抜き注ぎ出しタワーの柱69、樽抜き注ぎ出しタワーカバー70、樽抜き注ぎ出しタワー基部71、取り付けスクリュー72、シャンク42、及び柱の断熱材73から成る背高樽抜き注ぎ出しタワーアッセンブリ68に置き換えられている。この実施形態では、弁アッセンブリ37は、背高樽抜き注ぎ出しタワーの柱69に固定されているシャンク42に取り付けられている。弁アッセンブリ37は、シャンク連結ナット57、圧縮リング58、圧縮座金59及び連結ガスケット61を使ってシャンク42に取り付けられているが、Oリング付フランジ及び瞬間脱着金具を含む別の手段も考えられる。バートップ53とシャンク42の間の距離は、ノズルアッセンブリ38の遠位端52とバートップ53の間の距離が標準的なピッチャー54の高さより大きくなるようになっている。この実施形態では、頸部アッセンブリは周囲の大気に曝されておらず、弁アッセンブリ37より上流の圧力の掛かった状態に維持されているビールは、背高樽抜き注ぎ出しタワーアッセンブリ68の中で周囲の大気から断熱された状態にある。更に、この実施形態では、シャンク穴63の直径は、その長さに沿って徐々に大きくなっており、一端では、シャンク穴63の直径は飲料配管41の直径と等しく、弁アッセンブリ37がシャンク42に取り付けられる点では、シャンク穴63の直径は弁ハウジング94の内径と一致している。
【0032】
図4に示している1つの実施形態では、弁アッセンブリ37は、弁部材74、ハンドルレバー75、摩擦リング76、ボンネット座金77、圧縮ボンネット78、弁チャンバ79、弁座80、弁肩部ガイド81、外部通気穴82及び内部通気穴83を備えている。弁部材74は、弁頭部84、弁頸部85、弁肩部86及び弁座座金87を備えていてもよい。弁頸部85は、どの様な既知の手段で弁頭部84に固定してもよい。弁頸部85は、2つの部品に分解できるように、ねじ手段によって弁頭部84に固定されているのが望ましい。弁座座金87は、弁頭部84と弁頸部85の間の所定の位置に保持されている。組み立てられた弁頭部84、弁座座金87及び弁頸部85の全体的形状は、回りを流れる液体の乱れを最小限に抑えるように流線形になっている。従って、弁座座金87の液体に面する外側表面88は、弁頭部84の外側表面89と平滑に、望ましくは接線方向に、つながるように形作られている。更に、弁座座金87の液体に面する外側表面88は、弁頸部85と平滑に、望ましくは接線方向につながるように形作られている。
【0033】
弁部材74の別の実施形態を図5と図6に示している。これらの実施形態では、弁頭部84は、事実上、概ね球形又は楕円形であり、弁座座金87の外側表面88は、弁頭部84の外側表面89と概ね平滑につながるような形状になっている。同様に、弁座座金87の外側表面88は、弁頸部85と概ね平滑につながるように形作られている。図4に示しているように、弁肩部86は、弁部材74全体を、弁チャンバ79に対して軸方向に整列した状態に保持するように、精密な外周公差で弁肩部ガイド81内を長手方向に滑動できる寸法になっている。ハンドルレバー75の遠位端90は、弁肩部スロット91に嵌り込んでいる。ハンドルレバー75に形成されているボールジョイント92は、弁ハウジング94の一部であるボール座93に填っている。摩擦リング76とボンネット座金77は、ボールジョイント92の上部の回りを取り巻くように装着されている。圧縮ボンネット78も又、ハンドルレバー75の回りを取り巻くように装着され、圧縮ボンネット78内のねじと弁ハウジング94に形成されたねじによって所定の位置に保持されてもよい。所定の位置までねじ込むと、圧縮ボンネット78は、摩擦リング76とボンネット座金77を押し付け、ビールが、ボール座93を通過して弁アッセンブリ37から漏れるのを防ぐシールを形成する。
【0034】
図4は、弁アッセンブリ37の、弁部材74が閉位置にある状態を示している。この位置では、ハンドルレバー75のねじ付の近位端95は、弁頭部84に向かって傾斜していてもよい。ハンドルレバー75は、そのボールジョイント92の回りに旋回するので、この弁閉鎖位置では、ハンドルレバー75の遠位端90は、弁頭部84から遠ざかる方向に傾斜しており、弁座座金87が弁座80と接触して、液体の流れを遮断するシールを形成するまで、弁部材74を長手方向に引っ張っている。この位置では、弁チャンバ79とシステムの中にある液体は、概ね周囲の大気圧を上回る圧力の下にあり、システムがビールを注いでいないときにCO2が溶液から出るのを防いでいる。従って、弁チャンバ79内の液体から受ける圧力を、弁肩部86と弁肩部ガイド81の間、及び、弁肩部スロット91、摩擦リング76、ボンネット座金77、圧縮ボンネット78、ハンドルレバー75の間に作用する摩擦力と組み合わせると、弁部材74をその閉位置に保持するに十分である。その結果、弁部材74の上流側の液体の圧力にも関わらず、弁部材74をその閉位置に維持するのに、弁部材74に外から力を加えるばね、ロック、アクチュエータ又は他の構成要素は必要ない。更に、弁部材74が閉位置にくると、弁肩部スロット91が外部通気穴82と内部通気穴83の間の通路を完成するので、弁部材74が閉位置に動かされた瞬間に、空気がノズル99の上部に進入し、ノズルアッセンブリ38内の液体をより迅速且つ完全に排出し易いようにしている。
【0035】
弁部材74を開くには、ハンドルレバー75のねじ付端部95を前方に、概ね弁座80から遠ざかる方向に動かす。ハンドルレバー75がこの様に動かされると、ボールジョイント92の中心回りにボール座93内で回転し、ハンドルレバー75の遠位端90が反対方向に回転する。ハンドルレバー75の遠位端90がこの様に動くことにより、弁部材74が、弁座座金87を弁座80から離す方向に滑動し、弁部材74は開位置とされる。弁頭部の回りに流れている液体から弁頭部84に作用する力を、弁肩部86と弁肩部ガイド81の間、及び、弁肩部スロット91や、摩擦リング76、ボンネット座金77、圧縮ボンネット78、ハンドルレバー75の間に作用する摩擦力と組み合わせると、ハンドルレバー75又は弁部材74に連続する外力を加えなくても、弁部材74をその開位置に保持するのに十分である。
【0036】
液体の流れへの外乱は、できる限り流線形にされた弁アッセンブリ37によって最小に抑えられることが望ましい。図7に液体の流線96で示しているように、弁アッセンブリ37を通って流れる液体は、概ね下方向に向けられているノズルアッセンブリ38の中へと弧状になって案内される。従って、弁アッセンブリ37は、液体の流れの開始と停止をするのみならず、できるだけ液体の流れの乱れを発生させずに液体をノズル99へと案内するように作用する。図8に示しているように、液体の流れを滑らかに方向転換させ易くするため、弁肩部86の液体に面する表面97は、弁部材74がその開位置にあるときは、弁ハウジング94の内側表面の曲率と一致するように形作られている。具体的には、ここに示している実施形態では、弁肩部86付近の弁ハウジング94の内側表面は、概ね、弧状の円筒の一部の形状になっている。即ち、弁肩部86の液体と面する表面97は、概ね凹形状であり、2つの曲率半径を有している。第1の半径は、液体をノズル99に案内する弁ハウジング94によって形成されている弧の大きい半径と一致している。第2の曲率半径は、第1の半径に垂直であり、弁アッセンブリ37とノズル99が接合されている点における弁ハウジング94の内側半径と一致している。代わりに、弁肩部86の液体と面する表面97は、第1の曲率半径だけを有していてもよく、その場合も、弁肩部86の液体に面する表面97は、液体の流れを流線形であるようにノズル99に送ることになる。更に、弁肩部86の液体と面する表面97は平面であってもよく、その場合、そのような面の縁部は、弁部材74がその開位置にあるとにき、弁ハウジング94の内側表面と同面になり、平面は、液体の流れをノズル99の中に効率的に導くように傾斜していなければならない。対照的に、図10に示しているように、従来型のビール注ぎ出し蛇口98内に設けられている弁肩部86の液体と面する表面97は、何の細工もなく、概ね垂直方向に平坦な面になっている。更に、そのような設計では、液体は、その流線96で示しているように、突然方向転換されることになる。液体のそのような突然の方向転換は、乱流を引き起こすことがある。
【0037】
弁チャンバ79を通って流れる液体の一部は、ノズルアッセンブリ38への途中で弁頸部85を通過しなければならないので、図9に示している弁頸部85の断面は、この方向の液体の流れに対して流線形になっている。
【0038】
弁部材74を手動で動かすことを前提にしている上記実施形態の代わりに、弁部材74をその開位置と閉位置の間で動かすのに要するエネルギーを、自動的な、又はモーター駆動手段で供給してもよい。例えば、1つの実施形態では、弁肩部86に接続されているリニアアクチュエータが、弁部材74をその閉位置から開位置へ、そして逆へと動かす際にハンドルレバー75を押し引きする機能を置き換えてもよい。更に、弁部材74は、家庭用品で水の流れを制御するのに用いられているソレノイドと同様のやり方で、電磁手段を使って動かしてもよい。同様に、ギア式又は他の回転式弁運動機構も又、弁部材74を閉位置と開位置の間で動かすように機能することができる。そのようなギアを回転させるためのエネルギーは、電気機械式又は手動式手段で供給してもよい。
【0039】
弁アッセンブリ37を通って流れる液体は、図2に示しているように、ノズルアッセンブリ38に直接送られることが望ましい。ノズルアッセンブリ38は、下向きに伸張するノズル99と、ノズル99の下端部101付近に配置されている液体分散部材即ち流れ方向転換器100を備えていることが望ましい。弁アッセンブリ37を通過してノズルアッセンブリ38に流れる液体は、重力の影響によって加速する傾向にある。ノズルアッセンブリ38は、4つの主要な機能を果たす。第1に、ノズルの内側表面102と液体の間に作用する粘性力は、重力による液体の加速度を多少抑制し、液体が流れる速度を遅くする働きをする。第2に、ノズル内側表面102は、弁部材74がその開位置にあるときに、空気がシステムの中へと昇る機会を最小に抑える形状になっている。密で空気を含んでいない液体の流れは、ノズルアッセンブリ38内での液体の発泡を最小に抑える。第3に、流れ方向転換器100は、ノズルアッセンブリ38を出る液体の流れを、液体が充填される容器の内側表面に衝突するときに発生する乱流及び発泡が最小になるように、方向転換させる働きがある。ノズルアッセンブリ38は、流れ方向転換器100が、注ぎ出す対象となる最大の容器の底部に達し、底部で又は底部付近で容器を充填できるほど長いのが望ましい。好適な実施形態では、ノズルアッセンブリ38の長さは、約3インチ(7.62cm)から約15インチ(38.1cm)である。ノズルアッセンブリ38の長さが、約4インチ(10.16cm)から約12インチ(30.48cm)であれば更に望ましい。ノズルアッセンブリ38の長さが、約8インチ(20.32cm)から約10インチ(25.4cm)であれば、なお望ましい。
【0040】
従来型の蛇口98から流れる液体の流れ103を、図11に示している。ノズル99が無ければ、蛇口98を出た液体の速度は、重力のために液体が落ちるにつれて速くなる。この加速度によって、液体の流れ103の断面積は、液体が落下して蛇口98からますます離れるほど小さくなる。このプロフィルの概略の形状は放物線状であり、その具体的なプロフィルは、液体の流量と蛇口の出口104の直径で変わる。基本的な幾何学と共にベルヌーイの式を使えば、蛇口の出口104から所与の距離にある液体の流れ103の断面積を計算することができる。ベルヌーイの式によれば:
【数5】
であり、ここで、p1、p2は、それぞれ、蛇口の出口104と、蛇口の出口104から所与の距離における液体の圧力、
ρは液体の密度、
V1、V2は、それぞれ、蛇口の出口104と、蛇口の出口104から所与の距離における液体の流れ103の線速度、
gは重力による加速度、
z1とz2は、それぞれ、蛇口の出口104と、蛇口の出口104から所与の距離の点である。
【0041】
自由に流れる液体の流れ103は大気圧の下にあるので、p1=p2=0である。z1=0、z2=hとし、V2をV0に、V1をVhに改名すると、Vhをhの関数として表すことができ、ここに、Vhは、液体の流れ103の、蛇口の出口104から垂直距離hだけ下における線速度である。
【数6】
【数7】
【数8】
【数9】
ここで、V0は蛇口の出口104における液体の流れ103の線速度である。
【0042】
液体の流れ103の流量は、以下の式に従って、液体の流れ103の線速度と液体の流れ103の断面積に関係付けることができる:
Q=A0V0
ここで、Qは液体の流量、
A0は蛇口の出口104の断面積、
V0は、蛇口の出口104における液体の流れ103の線速度である。
V0を解いて、Vhの式に代入すると:
【数10】
となる。
【0043】
蛇口の出口104が円形の場合、A0は蛇口の出口104の直径D0の関数として表すことができ:
【数11】
【数12】
となる。
更に代入して、VhをD0の関数として解くと:
【数13】
【数14】
【数15】
となる。
更に、液体の流量は、非圧縮性システムの中では一定なので、
Q=AhVh
であり、ここで、Qは液体の体積流量、
Ahは、蛇口の出口104から距離hにおける液体の流れ103の断面積、
Vhは、蛇口の出口104から距離hにおける液体の流れ103の線速度である。
【0044】
上記の式をAhに関して解き、Vhの先の定義に代入すると、液体の流れ103の断面積Ahを、その蛇口の出口104からの垂直距離h、蛇口の出口104の直径、及び液体流量の関数として求めることができる:
Q=VhAh
【数16】
【数17】
【0045】
ノズルアッセンブリ38の断面積のプロフィルは、上記式を使って計算した、自由落下する液体の流れ103の断面積のプロフィルと一致するのが望ましい。この実施形態では、ノズル99の断面積は、上部から底部に向かって徐々に減少している。流れ方向転換器を用いている好適な実施形態では、ノズル99は、流れ方向転換100を入れるためその遠位端付近で広がっているが、結果としての同心環状の断面積は、ノズルアッセンブリ出口105の点まで、この徐々に減少する断面積の連続を保っている。図示のように、同心環は、上部から下部に向かって断面積が徐々に大きくなる流れ方向転換器軸部106を有する流れ方向変換器を使用することによって、この徐々に減少する断面積を維持している。代わりに、ノズル99の遠位端が徐々に減少する断面(図示せず)を有している場合は、流れ方向変換器100は、直径が一定の流れ方向変換器軸106を有していてもよい。断面積のプロフィルが自由落下する液体の流れ103のプロフィルと一致するノズルアッセンブリ38は、液体が、ノズル内側表面102と常に接触してノズルアッセンブリ38を通って流れるように保つ働きをする。この様にして、液体とノズル内側表面102の間に作用する粘性力は、液体を減速するように作用する。更に、ノズルアッセンブリ38が最適化された流量で液体が流れている限り、空気は、泡になってノズルアッセンブリ38に入ることはできない。
【0046】
図12に示しているノズルアッセンブリ38の代替実施形態では、線形のテーパを有するノズル107が、断面積プロフィルが自由に流れる液体の流れのそれと一致し、断面積が徐々に減少してゆくノズル99を近似している。
【0047】
図13に示しているノズルアッセンブリ38の別の実施形態では、円筒形のノズル108が使用されている。この実施形態では、円筒形ノズル108の断面積は、流れ方向変換器100が導入されるまで一定であり、この場合、流れ方向変換器100を配置したことによる断面積の減少が、液体が流れているときには空気が円筒形ノズル108に入らないほどに十分になっている。従って、内部経路の断面積は、ノズルの液体受け入れ端部からノズルの液体注ぎ出し端部に向かって減少している。
【0048】
図14に示している更に別の実施形態では、ノズルアッセンブリ38は、2つ以上の整流チャネル109を含み、ノズルアッセンブリ38内の液体の横方向の運動を少なくし、ノズルアッセンブリ38を通って流れる液体の乱流を抑えている。ノズル99は、少なくとも2つのチャネル109に再分割するのが望ましく、3つから10個のチャネル109に再分割するのが望ましい。ノズル99は、4つの等しい寸法のチャネル109に分割されるのが更に望ましい。図15、図16、図17は、チャネルに分割されたノズルの様々な実施形態を断面で示している。
【0049】
レイノルズ数は、液体の流れが層流であるか又は乱流であるかの特性についての標示となる。整流チャネル109を備えていない円形断面のノズル99のレイノルズ数は、以下の式で与えられる:
【数18】
非円形導管のレイノルズ数は、以下の式で求めることができる:
【数19】
ここで、Rehは、水力直径に基づくレイノルズ数である。水力直径は、Dh=4A/Pと定義され、ここで、Aは導管の断面積、Pは導管の周長である。ノズルアッセンブリ38内の、それぞれ同じ寸法の、分円、楔形のチャネル109について:
【数20】
【数21】
【数22】
【数23】
【数24】
であり、ここで、Dはノズル99の内径、nは、同じ寸法の、分割円で、楔形のチャネル109の数である。チャネル109を有するノズル99のレイノルズ数を、整流チャネルが含まれていないノズル99と比較すると、以下の比が得られる:
【数25】
【0050】
この様に、整流チャネル109を有するノズルアッセンブリ38を通って流れる液体のレイノルズ数は、整流チャネルが配置されていないノズルアッセンブリ38と比べ、(π)/(π+n)倍だけ小さくなる。示されたように、チャネル109の数が増すと、ノズル99を通って流れる液体のレイノルズ数が更に減少する。更に、各整流チャネル109の表面110は、液体と表面110の間に作用する粘性力が形成することのできる有効表面積を大きくするので、液体がノズル99を通って移動する際に、液体を更に減速する。
【0051】
ノズルアッセンブリ38は、断熱されたり、液体又は当技術分野で既知の他の手段で冷却されたりしてもよく、発泡体、空気、循環グリコール、循環水、及び熱電手段などを含むがこれに限定されるものではない。ノズルアッセンブリ38は、周囲の大気に曝されているので、このような断熱又は冷却機構が無ければ、大気温度まで温まることがある。グリコール冷却式注ぎ出しシステムのグリコール配管を伸張してノズルアッセンブリ38内でコイル状にさせ(図示せず)、ノズルアッセンブリ38を低温に維持することに利用してもよい。
【0052】
ビールを注ぎ出すときに過剰な泡が発生する主な原因は、飲料を、高速で、又は他の乱流を作るやり方で容器の底部に当てることである。流れ方向転換器100は、ノズルアッセンブリ38を出る液体を、液体と容器の間の衝撃の力が低くなるように、穏やかに方向転換して注ぎ出すことによって、泡の発生を最小に抑える。図18に液体の流線96で模擬的に示しているように、ノズルアッセンブリ38を通って移動する液体は、流れ方向変換器軸106の周りに均等に分散される。液体は、流れ方向変換器100を通過して流れる際に、概ね下向きの流れから半径方向の流れに穏やかに方向転換される。ノズルアッセンブリ38を出る液体は、下向きベクトルも有する均一な360度のパターンで、半径方向に分散されるのが望ましい。そのようなパターンは、多種多様な容器寸法に飲料を注ぎ出す際に飲料の発泡を最小限に抑えると決定されたものである。ノズル99の下端部のリップ111もあってもよい。リップ111は、ノズルアッセンブリの出口105を出る液体の流れ特性を改良するために、別の形状も考えられるが、丸みを帯びているのが望ましい。
【0053】
流れ方向転換器100は、流線形の物体であるのが望ましい。好適な実施形態では、流れ方向転換器100の近位端112は楕円ドーム形状である。この実施形態では、丸い流れ方向転換器軸106は、液体の流れを、最小量の乱流で方向転換できるように、流れ方向転換器基部113に向かって徐々に広がっている。流れ方向転換器100の長手方向の全長に沿う水平方向断面は、その形状が液体の流れと実質的に干渉しない限り、別の形状も考えられるが、円形であるのが望ましい。流れ方向転換器基部113も、平坦な底の容器の底部が流れ方向転換器基部113と同一平面上に配置できるように、円形且つ平坦であるのが望ましい。しかしながら、流れ方向転換器基部113の底部は、流れ方向転換器基部113の底部の周辺縁部が、充填する容器の底部と実質的に接触する限り、幾らか窪んだ表面を有していてもよい。流れ方向転換器100の外側表面は、平滑であるのが望ましい。
【0054】
背高幅広の流れ方向転換器100は、液体を方向変換させるときに発生する乱流を抑制する働きをするが、そのような流れ方向転換器100は、ノズルアッセンブリ38が長くて幅広になり、小さな容器に収まり難くなりかねない。このため、流れ方向転換器100は、小型の方が望ましい。流れ方向転換器100は、近位端112と基部113の間で測定して、0.5インチ(1.27cm)と8インチ(20.32cm)の間にあるのが望ましい。流れ方向転換器100は、この長さに沿って測定したとき、1インチ(2.54cm)と4インチ(10.16cm)の間にあるのが更に望ましい。流れ方向転換器100は、この長さに沿って測定したとき、2インチ(5.08cm)であるのが更に望ましい。流れ方向転換器基部113は、その最も幅広の点で測って、0.25インチ(0.635cm)と5インチ(12.7cm)の間にあるのが望ましい。流れ方向転換器基部113は、その最も幅広の点で測って、0.5インチ(1.27cm)と2インチ(5.08cm)の間にあるのが更に望ましい。流れ方向変換器100の別の実施形態を図20、図21、図22に示している。液体がノズルアッセンブリ38を離れて容器に衝突するときに発生する泡の量を減らす役目を果たす流れ方向転換器100の形状及び構造は、この他にも沢山考えられる。流れ方向転換器は逆円錐形であるのが望ましい。
【0055】
流れ方向転換器100は、一般的には取り外しできないが、取り外し可能であることが好ましい。流れ方向転換器100は、1つ以上の支持構造体114によってノズル99の内側に取り付けられている。支持構造体114は、液体の流れが在っても、流れ方向転換器100をノズル99の軸に沿って中心に保持できるだけの強度がある。液体の流れの乱れを最小限に抑えるため、支持構造体114は、流線形で、丸い近位端115から遠位端116の点に向かって徐々に細くなっているのが望ましい。図19に示している翼形状は、支持構造体114によって生じる乱流を最小にすることが分かった。中に整流チャネル109が設けられているノズルアッセンブリ38の場合、流れ方向転換器100は、整流チャネル109を形成している表面110に直接取り付けられているので、所定の位置に保持するための支持構造体114を必要としない。
【0056】
流れ方向転換器100は、液体がノズルアッセンブリ38を離れて容器に入ることを可能にするノズルアッセンブリの出口105が、ノズルアッセンブリ38のリップ111と流れ方向転換器100の間に形成されるように、ノズルアッセンブリ38の中に長手方向に配置されている。ノズルアッセンブリの出口105の寸法は、液体がノズルアッセンブリ38を迅速に出ることができるよう十分に大きく、液体を容器の中へ均等に半径方向に分散させることができるよう十分に小さくなければならない。ノズルアッセンブリの出口105の最適な寸法は、液体の流量、ノズル99の直径及び流れ方向転換器100の具体的な形状によって変わる。ノズルアッセンブリの出口105の高さは、ノズル99のリップ111と流れ方向転換器100の間の垂直の間隔として測定して、0.2インチ(0.508cm)と1.5インチ(3.81cm)の間にあるのが望ましい。ノズルアッセンブリの出口105の高さは、0.35インチ(0.889cm)と0.6インチ(1.524cm)の間にあるのが更に望ましい。ノズルアッセンブリの出口105の高さは、0.4インチ(1.016cm)と0.5インチ(1.27cm)の間にあるとなお望ましい。
【0057】
ノズルアッセンブリの出口105の高さは固定された間隔でもよいが、図23と24に示している本発明の別の実施形態では、ノズルアッセンブリ38内の流れ方向変換器100の具体的な長手方向の位置は、ノズル99内のセットスクリュー117と座ぐり溝118によって微調整することができ、セットスクリュー117を緩めると、流れ方向変換器100を長手方向に動かすことができる。流れ方向転換器100をノズルアッセンブリ38の軸に沿って長手方向に動かすと、ノズルアッセンブリの出口105の高さが変化する。洗浄又は保守のために、流れ方向転換器100をノズルアッセンブリ38から取り外すことができるように、セットスクリュー117も又、ノズルアッセンブリ38から完全に取り外されてもよい。
【0058】
本発明の別の実施形態では、弁アッセンブリ37の上流にディフューザ121が配置されており、乱流の量を最小限に抑える方法で弁アッセンブリ37に入る液体の断面積を増やしている。ディフューザ121は、そのスロート端部119からその出口端部120までテーパーになっているのが望ましい。図25に示している1つの実施形態では、円錐状ディフューザ121が、高速飲料注ぎ出し装置35の頸部アッセンブリ36内に配置されている。この実施形態の円錐状ディフューザ121の軸は、高速飲料注ぎ出し装置35の頸部アッセンブリ36内に垂直に整列しているが、曲率半径を有していてもよい。円錐状ディフューザ121の広がり角は、円錐状ディフューザ121の長手方向軸と円錐状ディフューザ壁122の間の角度で測定して、比較的小さいのが望ましい。広がり角が大きいと、液体の断面積を短い距離で拡げるため、一般的に乱流が増大することになる。乱流を最小限に抑えながら拡散させ易くするには、円錐状ディフューザ121は、広がり角が25度未満であるのが望ましい。広がり角は12度未満であれば更に望ましく、8度未満であればなお望ましい。
【0059】
或る条件の下では、高速飲料注ぎ出し装置35を出る液体の流速を遅くすることが望ましいこともある。図26に示している本発明の別の実施形態では、注ぎ出される液体の流速を随意的に遅くするため、このシステムには、減圧要素123が多方弁124と組み合わせて導入されている。減圧要素123はさまざまな形態を取ることができるが、減圧要素123は、或る長さの、直径が小さい配管であるのが望ましい。減圧要素123は、その空間要件を最小にするために、高速飲料注ぎ出し装置35の頸部アッセンブリ36内でコイル状とされている。
【0060】
減圧要素123の入端部125と出端部126は、高速飲料注ぎ出し装置35の頸部基部127に配置されている多方弁124に接続されている。図27の1つの実施形態に示しているように、1つの位置では、多方向弁124は、高速飲料注ぎ出し装置35とビール注ぎ出しシステム39の残りの部分の間で、邪魔のない全開ポートとなっている。液体の流れの矢印128は、多方弁124を通る液体の流れの経路を示している。この位置では、液体の流れは減圧要素123を完全に迂回し、液体は、減圧要素123が無いかの様に、その通常の流量で高速飲料注ぎ出し装置35から注ぎ出される。
【0061】
図28に示しているように、別の位置では、多方弁124は、液体を、高速飲料注ぎ出し装置35を通る途中で減圧要素123を通るように方向付ける。この位置では、多方弁124に入る液体は、減圧要素123の入端部125に取り付けられている弁出口129に送られる。ビール注ぎ出しシステム39からのエネルギーは、減圧要素123の出端部126から送り出された液体を方向付ける多方弁124に、弁入口130を通って再び入る前に減圧要素123の全長を通る液体を、高速飲料注ぎ出し装置35を通るその全行程に亘って動かし続ける。多方弁124に再び入る液体は、圧力降下を経ているので、液体は、下がった流量で、望ましくは従来型のビール注ぎ出し蛇口の最適流量で、高速飲料注ぎ出し装置35に再び入る。
【0062】
以上の詳細な説明は、分かり易く示すことを意図したものであって、限定するものではなく、当然のことながら、本発明の精神及び範囲を規定することを意図しているものは、特許請求の範囲並びに全ての等価物である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧飲料を注ぎ出すための飲料注ぎ出し装置において、
前記加圧飲料が通過して、少なくとも最初は大気圧状態に出て行くノズルであって、内部経路と、加圧飲料注ぎ出しシステムの端部要素として取り付けることができるようになっている液体受け入れ端部と、前記加圧飲料を少なくとも最初は大気圧状態に注ぎ出す液体注ぎ出し端部と、を有しているノズルを備えており、
前記ノズルの前記内部経路の断面積は、前記液体受け入れ端部から前記液体注ぎ出し端部まで減少している、装置。
【請求項2】
前記内部経路の前記断面積の減少は連続的である、請求項1に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項3】
前記内部経路の断面積のプロフィルは、周囲圧力で自由落下する液体の流れの断面積のプロフィルに近似している、請求項2に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項4】
前記ノズルの長さは、少なくとも約3インチ(7.62cm)はある、請求項2に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項5】
前記ノズルを通って流れている液体は、前記内部経路の表面と実質的に常に接触している、請求項4に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項6】
液体受け入れ端部と液体注ぎ出し端部とを有している液体分散部材を備えており、前記液体分散端部は、前記ノズルの前記液体注ぎ出し端部から伸張しており、前記ノズルの前記液体注ぎ出し端部を出る飲料を半径方向に分散している、請求項1に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項7】
前記液体分散部材は、前記ノズルの前記内部経路の前記液体注ぎ出し端部内に取り外し可能に支持されている、請求項6に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項8】
前記液体分散部材は、実質的に均一な外周の軸部と、実質的に逆円錐形の液体分散表面を更に備えている、請求項6に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項9】
前記液体分散部材の前記液体分散表面は、前記ノズルの前記液体注ぎ出し端部から、約0.2インチ(0.51cm)から約1.5インチ(3.81cm)伸張している、請求項8に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項10】
前記液体分散部材の前記液体分散表面は、前記ノズルの前記液体注ぎ出し端部から、約0.35インチ(0.889cm)から約0.6インチ(1.524cm)伸張している、請求項9に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項11】
前記液体分散部材の前記液体分散表面は、前記ノズルの前記液体注ぎ出し端部から、約0.4インチ(1.016cm)から約0.5インチ(1.27cm)伸張している、請求項10に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項12】
前記液体分散部材の前記液体分散表面が前記ノズルの前記液体注ぎ出し端部から伸張する距離は調整可能である、請求項6に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項13】
前記液体分散表面は、徐々に小さくなる傾斜を有している、請求項8に記載の液体分散部材。
【請求項14】
前記液体分散表面は、液体を、前記ノズルから、前記ノズルの長手方向軸に対して或る角度で分散させる、請求項13に記載の液体分散部材。
【請求項15】
前記分散表面は、液体を、前記ノズルから、前記液体分散部材の軸に対して実質的に垂直に分散させる、請求項14に記載の液体分散部材。
【請求項16】
前記内部経路の断面積のプロフィルは、式
【数1】
に従って上部から底部まで徐々に減少している、請求項1に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項17】
前記ノズルの前記内部経路は、少なくとも2つの垂直なチャネルを備えている、請求項1に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項18】
前記ノズルの前記内部経路は、4つの垂直なチャネルを備えている、請求項17に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項19】
飲料注ぎ出しシステムにおいて:
炭酸飲料を保持している容器と;
前記容器内の前記炭酸飲料を加圧するエネルギー源と;
前記容器内の前記飲料と流体連通しており、開位置と閉位置とを有している弁と;
前記弁と連通している液体受け入れ端部と、前記弁が開位置にあるときには前記炭酸飲料が通って流れる断面積を有する内部経路と、前記炭酸飲料が通って少なくとも最初は大気圧状態に出て行く開口部を有する液体注ぎ出し端部と、を有しているノズルであって、前記ノズルの前記内部経路の断面積は、前記ノズルを通って流れる前記炭酸飲料が、前記液体受け入れ端部から前記液体注ぎ出し端部まで前記内部経路の表面と実質的に常に接触しているように、前記液体受け入れ端部から前記液体注ぎ出し端部まで減少している、ノズルと、
を備えているシステム。
【請求項20】
前記ノズルの前記内部経路の前記断面積の減少は連続的である、請求項19に記載の飲料注ぎ出しシステム。
【請求項21】
前記内部経路の前記断面積のプロフィルは、周囲圧力で自由落下する液体の流れの断面積のプロフィルに近似している、請求項20に記載の飲料注ぎ出しシステム。
【請求項22】
液体受け入れ端部と液体注ぎ出し端部とを有する液体分散部材を備えている、請求項19に記載のノズル。
【請求項23】
前記液体分散部材は、前記ノズルの前記内部経路の液体注ぎ出し領域内に取り外し可能に支持されている、請求項22に記載の飲料注ぎ出しシステム。
【請求項24】
前記液体分散部材は実質的に動かない、請求項23に記載の飲料注ぎ出しシステム。
【請求項25】
前記液体分散部材は、実質的に逆円錐形の液体分散表面を更に備えている、請求項22に記載の飲料注ぎ出しシステム。
【請求項26】
前記液体分散部材の前記液体分散表面は、前記ノズルの前記液体注ぎ出し開口部から伸張している、請求項25に記載の飲料注ぎ出しシステム。
【請求項27】
前記液体分散部材の前記液体分散表面は、前記ノズルの前記液体注ぎ出し端部から約0.2インチ(0.51cm)から約1.5インチ(3.81cm)伸張している、請求項26に記載の飲料注ぎ出しシステム。
【請求項28】
前記液体分散部材は調整可能である、請求項24に記載の飲料注ぎ出しシステム。
【請求項29】
前記液体分散表面は、徐々に小さくなる傾斜を有している、請求項25に記載の液体分散部材。
【請求項30】
前記液体分散表面は、液体を、前記ノズルから、前記ノズルの長手方向軸に対して或る角度で分散させる、請求項29に記載の液体分散部材。
【請求項31】
前記分散表面は、液体を、前記ノズルから、前記ノズルの軸に対して実質的に垂直に分散させる、請求項30に記載の液体分散部材。
【請求項32】
前記分散表面は、液体を、前記液体分散部材から半径方向に分散させる、請求項30に記載の液体分散部材。
【請求項33】
前記ノズルは、少なくとも2つの垂直なチャネルを更に備えている、請求項19に記載の飲料注ぎ出しシステム。
【請求項34】
前記弁は、弁頭部、弁軸部、及び弁本体を備えている、請求項33に記載の飲料注ぎ出しシステム。
【請求項35】
前記弁本体は、前記弁軸部に対して斜めになっている弁肩部を更に備えている、請求項34に記載の弁。
【請求項36】
前記弁肩部の表面は、前記弁ハウジングの内部形状と一致している、請求項35に記載の弁。
【請求項37】
前記弁肩部の表面の一部は、前記弁軸部の中心軸に対して鋭角を成している、請求項36に記載の弁。
【請求項38】
前記弁肩部の表面は凹面状をしている、請求項37に記載の弁。
【請求項39】
飲料注ぎ出し装置において:
ノズルと;
弁アッセンブリと;
液体分散部材と;
前記弁アッセンブリの上流にある拡散器であって、第1端部、第2端部、及び前記第1端部と第2端部の間の内部経路を有している拡散器と;
を備えており、
前記拡散器の前記内部経路の断面積は、前記第1端部から前記第2端部まで増大している、装置。
【請求項40】
前記拡散器の中心軸から前記内部経路の表面までの開散角は25度未満である、請求項39に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項41】
前記開散角は12度以下である、請求項40に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項42】
前記開散角は8度以下である、請求項41に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項43】
飲料注ぎ出し装置において:
注ぎ出すための飲料を前記飲料注ぎ出し装置に導入するための手段と;
前記装置を通る液体の流量を上げるための手段と;
前記液体の流れの中の乱流を少なくするための手段と;
前記装置から注ぎ出される液体の発泡を少なくするための手段と;
前記装置から液体を注ぎ出すことを制御するための手段と、
を備えている装置。
【請求項44】
圧力を下げるための手段を更に備えている、請求項43に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項45】
前記飲料注ぎ出し装置内の液体を冷却するための手段を更に備えている、請求項44に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項46】
前記飲料注ぎ出し装置を通る流体の流量を選択的に制御するための手段を更に備えている、請求項45に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項47】
飲料注ぎ出し装置において:
炭酸飲料を保持している容器と;
前記容器内の前記炭酸飲料を加圧するエネルギー源と;
前記容器内の前記飲料と流体連通している弁であって、前記弁は開位置と閉位置とを有し、前記弁は、弁ハウジングと、弁座と、弁頭部とを有しており、前記弁ハウジングは、入口及び出口と、湾曲した流体チャンバを画定する湾曲した内側表面を有しており、前記弁は、更に、液体に面する表面を有する弁肩部を有しており、前記液体に面する表面は、前記弁ハウジングの内側表面の湾曲と一致する形状に作られている、弁と、
を備えている装置。
【請求項48】
前記液体に面する表面は、概ね弧状の円筒の一部分の形状をしている、請求項47に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項49】
前記液体に面する表面は、概ね凹面状であり、2つの曲率半径を有している、請求項48に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項50】
前記弁頭部は、概ね楕円形である、請求項47に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項51】
前記弁頭部は、概ね球形である、請求項47に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項52】
前記弁頭部は、前記弁ハウジングの入口の方向に開いている、請求項47に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項53】
前記ノズルから上流の液体の圧力を選択的に下げるための手段を備えている、請求項1に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項54】
前記ノズルから上流の液体の圧力を選択的に下げるための前記手段は、多方弁を備えている、請求項53に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項55】
前記ノズルから上流の液体の圧力を選択的に下げるための前記手段は、或る長さの飲料配管を備えている、請求項54に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項56】
前記ノズルから上流の液体の圧力を選択的に下げるための前記手段は、多方弁と、或る長さの飲料配管とを備えており、前記多方弁は、流体の流れを、前記或る長さの配管を通るように、又はその回りを通るように、選択的に経路指定することができる、請求項53に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項57】
炭酸飲料内の泡の形成を少なくするための方法において:
開位置と閉位置とを有する液体の流れの制御弁と、液体受け入れ開口部と、液体注ぎ出し開口部と、断面が縮小して行く液体の流れ経路と、を有する液体注ぎ出しノズルに、液体の流れを向かわせる段階と;
液体受け入れ容器の内側の底部を、前記ノズルの開口部付近に配置する段階と;
前記弁を前記開位置に動かして、前記液体の流れが前記ノズルを通過できるようにする段階と;
前記ノズルを通る液体の流れを、前記ノズルにほぼ平行な経路で前記流体注ぎ出し開口部に向かわせる段階と;
前記液体の流れを、液体の流れの方向転換手段によって、前記ノズルの開口部で、前記液体受け入れ容器に対してほぼ接線方向に方向転換させる段階と、
から成る方法。
【請求項1】
加圧飲料を注ぎ出すための飲料注ぎ出し装置において、
前記加圧飲料が通過して、少なくとも最初は大気圧状態に出て行くノズルであって、内部経路と、加圧飲料注ぎ出しシステムの端部要素として取り付けることができるようになっている液体受け入れ端部と、前記加圧飲料を少なくとも最初は大気圧状態に注ぎ出す液体注ぎ出し端部と、を有しているノズルを備えており、
前記ノズルの前記内部経路の断面積は、前記液体受け入れ端部から前記液体注ぎ出し端部まで減少している、装置。
【請求項2】
前記内部経路の前記断面積の減少は連続的である、請求項1に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項3】
前記内部経路の断面積のプロフィルは、周囲圧力で自由落下する液体の流れの断面積のプロフィルに近似している、請求項2に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項4】
前記ノズルの長さは、少なくとも約3インチ(7.62cm)はある、請求項2に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項5】
前記ノズルを通って流れている液体は、前記内部経路の表面と実質的に常に接触している、請求項4に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項6】
液体受け入れ端部と液体注ぎ出し端部とを有している液体分散部材を備えており、前記液体分散端部は、前記ノズルの前記液体注ぎ出し端部から伸張しており、前記ノズルの前記液体注ぎ出し端部を出る飲料を半径方向に分散している、請求項1に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項7】
前記液体分散部材は、前記ノズルの前記内部経路の前記液体注ぎ出し端部内に取り外し可能に支持されている、請求項6に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項8】
前記液体分散部材は、実質的に均一な外周の軸部と、実質的に逆円錐形の液体分散表面を更に備えている、請求項6に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項9】
前記液体分散部材の前記液体分散表面は、前記ノズルの前記液体注ぎ出し端部から、約0.2インチ(0.51cm)から約1.5インチ(3.81cm)伸張している、請求項8に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項10】
前記液体分散部材の前記液体分散表面は、前記ノズルの前記液体注ぎ出し端部から、約0.35インチ(0.889cm)から約0.6インチ(1.524cm)伸張している、請求項9に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項11】
前記液体分散部材の前記液体分散表面は、前記ノズルの前記液体注ぎ出し端部から、約0.4インチ(1.016cm)から約0.5インチ(1.27cm)伸張している、請求項10に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項12】
前記液体分散部材の前記液体分散表面が前記ノズルの前記液体注ぎ出し端部から伸張する距離は調整可能である、請求項6に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項13】
前記液体分散表面は、徐々に小さくなる傾斜を有している、請求項8に記載の液体分散部材。
【請求項14】
前記液体分散表面は、液体を、前記ノズルから、前記ノズルの長手方向軸に対して或る角度で分散させる、請求項13に記載の液体分散部材。
【請求項15】
前記分散表面は、液体を、前記ノズルから、前記液体分散部材の軸に対して実質的に垂直に分散させる、請求項14に記載の液体分散部材。
【請求項16】
前記内部経路の断面積のプロフィルは、式
【数1】
に従って上部から底部まで徐々に減少している、請求項1に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項17】
前記ノズルの前記内部経路は、少なくとも2つの垂直なチャネルを備えている、請求項1に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項18】
前記ノズルの前記内部経路は、4つの垂直なチャネルを備えている、請求項17に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項19】
飲料注ぎ出しシステムにおいて:
炭酸飲料を保持している容器と;
前記容器内の前記炭酸飲料を加圧するエネルギー源と;
前記容器内の前記飲料と流体連通しており、開位置と閉位置とを有している弁と;
前記弁と連通している液体受け入れ端部と、前記弁が開位置にあるときには前記炭酸飲料が通って流れる断面積を有する内部経路と、前記炭酸飲料が通って少なくとも最初は大気圧状態に出て行く開口部を有する液体注ぎ出し端部と、を有しているノズルであって、前記ノズルの前記内部経路の断面積は、前記ノズルを通って流れる前記炭酸飲料が、前記液体受け入れ端部から前記液体注ぎ出し端部まで前記内部経路の表面と実質的に常に接触しているように、前記液体受け入れ端部から前記液体注ぎ出し端部まで減少している、ノズルと、
を備えているシステム。
【請求項20】
前記ノズルの前記内部経路の前記断面積の減少は連続的である、請求項19に記載の飲料注ぎ出しシステム。
【請求項21】
前記内部経路の前記断面積のプロフィルは、周囲圧力で自由落下する液体の流れの断面積のプロフィルに近似している、請求項20に記載の飲料注ぎ出しシステム。
【請求項22】
液体受け入れ端部と液体注ぎ出し端部とを有する液体分散部材を備えている、請求項19に記載のノズル。
【請求項23】
前記液体分散部材は、前記ノズルの前記内部経路の液体注ぎ出し領域内に取り外し可能に支持されている、請求項22に記載の飲料注ぎ出しシステム。
【請求項24】
前記液体分散部材は実質的に動かない、請求項23に記載の飲料注ぎ出しシステム。
【請求項25】
前記液体分散部材は、実質的に逆円錐形の液体分散表面を更に備えている、請求項22に記載の飲料注ぎ出しシステム。
【請求項26】
前記液体分散部材の前記液体分散表面は、前記ノズルの前記液体注ぎ出し開口部から伸張している、請求項25に記載の飲料注ぎ出しシステム。
【請求項27】
前記液体分散部材の前記液体分散表面は、前記ノズルの前記液体注ぎ出し端部から約0.2インチ(0.51cm)から約1.5インチ(3.81cm)伸張している、請求項26に記載の飲料注ぎ出しシステム。
【請求項28】
前記液体分散部材は調整可能である、請求項24に記載の飲料注ぎ出しシステム。
【請求項29】
前記液体分散表面は、徐々に小さくなる傾斜を有している、請求項25に記載の液体分散部材。
【請求項30】
前記液体分散表面は、液体を、前記ノズルから、前記ノズルの長手方向軸に対して或る角度で分散させる、請求項29に記載の液体分散部材。
【請求項31】
前記分散表面は、液体を、前記ノズルから、前記ノズルの軸に対して実質的に垂直に分散させる、請求項30に記載の液体分散部材。
【請求項32】
前記分散表面は、液体を、前記液体分散部材から半径方向に分散させる、請求項30に記載の液体分散部材。
【請求項33】
前記ノズルは、少なくとも2つの垂直なチャネルを更に備えている、請求項19に記載の飲料注ぎ出しシステム。
【請求項34】
前記弁は、弁頭部、弁軸部、及び弁本体を備えている、請求項33に記載の飲料注ぎ出しシステム。
【請求項35】
前記弁本体は、前記弁軸部に対して斜めになっている弁肩部を更に備えている、請求項34に記載の弁。
【請求項36】
前記弁肩部の表面は、前記弁ハウジングの内部形状と一致している、請求項35に記載の弁。
【請求項37】
前記弁肩部の表面の一部は、前記弁軸部の中心軸に対して鋭角を成している、請求項36に記載の弁。
【請求項38】
前記弁肩部の表面は凹面状をしている、請求項37に記載の弁。
【請求項39】
飲料注ぎ出し装置において:
ノズルと;
弁アッセンブリと;
液体分散部材と;
前記弁アッセンブリの上流にある拡散器であって、第1端部、第2端部、及び前記第1端部と第2端部の間の内部経路を有している拡散器と;
を備えており、
前記拡散器の前記内部経路の断面積は、前記第1端部から前記第2端部まで増大している、装置。
【請求項40】
前記拡散器の中心軸から前記内部経路の表面までの開散角は25度未満である、請求項39に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項41】
前記開散角は12度以下である、請求項40に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項42】
前記開散角は8度以下である、請求項41に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項43】
飲料注ぎ出し装置において:
注ぎ出すための飲料を前記飲料注ぎ出し装置に導入するための手段と;
前記装置を通る液体の流量を上げるための手段と;
前記液体の流れの中の乱流を少なくするための手段と;
前記装置から注ぎ出される液体の発泡を少なくするための手段と;
前記装置から液体を注ぎ出すことを制御するための手段と、
を備えている装置。
【請求項44】
圧力を下げるための手段を更に備えている、請求項43に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項45】
前記飲料注ぎ出し装置内の液体を冷却するための手段を更に備えている、請求項44に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項46】
前記飲料注ぎ出し装置を通る流体の流量を選択的に制御するための手段を更に備えている、請求項45に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項47】
飲料注ぎ出し装置において:
炭酸飲料を保持している容器と;
前記容器内の前記炭酸飲料を加圧するエネルギー源と;
前記容器内の前記飲料と流体連通している弁であって、前記弁は開位置と閉位置とを有し、前記弁は、弁ハウジングと、弁座と、弁頭部とを有しており、前記弁ハウジングは、入口及び出口と、湾曲した流体チャンバを画定する湾曲した内側表面を有しており、前記弁は、更に、液体に面する表面を有する弁肩部を有しており、前記液体に面する表面は、前記弁ハウジングの内側表面の湾曲と一致する形状に作られている、弁と、
を備えている装置。
【請求項48】
前記液体に面する表面は、概ね弧状の円筒の一部分の形状をしている、請求項47に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項49】
前記液体に面する表面は、概ね凹面状であり、2つの曲率半径を有している、請求項48に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項50】
前記弁頭部は、概ね楕円形である、請求項47に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項51】
前記弁頭部は、概ね球形である、請求項47に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項52】
前記弁頭部は、前記弁ハウジングの入口の方向に開いている、請求項47に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項53】
前記ノズルから上流の液体の圧力を選択的に下げるための手段を備えている、請求項1に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項54】
前記ノズルから上流の液体の圧力を選択的に下げるための前記手段は、多方弁を備えている、請求項53に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項55】
前記ノズルから上流の液体の圧力を選択的に下げるための前記手段は、或る長さの飲料配管を備えている、請求項54に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項56】
前記ノズルから上流の液体の圧力を選択的に下げるための前記手段は、多方弁と、或る長さの飲料配管とを備えており、前記多方弁は、流体の流れを、前記或る長さの配管を通るように、又はその回りを通るように、選択的に経路指定することができる、請求項53に記載の飲料注ぎ出し装置。
【請求項57】
炭酸飲料内の泡の形成を少なくするための方法において:
開位置と閉位置とを有する液体の流れの制御弁と、液体受け入れ開口部と、液体注ぎ出し開口部と、断面が縮小して行く液体の流れ経路と、を有する液体注ぎ出しノズルに、液体の流れを向かわせる段階と;
液体受け入れ容器の内側の底部を、前記ノズルの開口部付近に配置する段階と;
前記弁を前記開位置に動かして、前記液体の流れが前記ノズルを通過できるようにする段階と;
前記ノズルを通る液体の流れを、前記ノズルにほぼ平行な経路で前記流体注ぎ出し開口部に向かわせる段階と;
前記液体の流れを、液体の流れの方向転換手段によって、前記ノズルの開口部で、前記液体受け入れ容器に対してほぼ接線方向に方向転換させる段階と、
から成る方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【公表番号】特表2006−513936(P2006−513936A)
【公表日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−569648(P2004−569648)
【出願日】平成15年3月14日(2003.3.14)
【国際出願番号】PCT/US2003/007972
【国際公開番号】WO2004/083789
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(505345004)ラミナール テクノロジーズ,エルエルシー. (1)
【氏名又は名称原語表記】LAMINAR TECHNOLOGIES,LLC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年3月14日(2003.3.14)
【国際出願番号】PCT/US2003/007972
【国際公開番号】WO2004/083789
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(505345004)ラミナール テクノロジーズ,エルエルシー. (1)
【氏名又は名称原語表記】LAMINAR TECHNOLOGIES,LLC.
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]