説明

飲水器

【課題】雑菌が除去可能な設置型の飲水器を提供する。
【解決手段】設置型のケーシング3内部に飲用水を貯える貯水桶6を備えるとともに、貯水桶6に冷水用通水管22、冷水用出水管28、通水管26を介して接続された出水口34をケーシング3外部に備えた飲水器において、
貯水桶6と出水口34とを結ぶ通路に戻し管29が分岐して接続され、この戻し管29は貯水桶に接続され、
冷水用通水管22と通水管26と戻し管29とで循環路が構成され、この循環路に濾過フィルタ30とポンプPとをそれぞれ設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、飲水器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から設置型の飲水器が知られており、この飲水器は家庭、オフィス、会議室、休憩所等で使用されている。比較的容量の多い飲料水の入ったタンクあるいはボトルの開口部を下側にして飲水器に設置し、水を供給、使用するものである。例えば、図7に示すように、飲水器50は、ケーシング51内に設けられた貯水桶52にボトル53などから飲用水を供給し、この貯水桶52に貯水された飲用水を加熱装置55・冷却装置56を用いて所望の温度にした後にそれぞれ温水出口57と冷水出口58とからカップ等の容器に注水可能な構成となっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような従来の飲水器50にあっては、残留塩素を含まない飲用水をボトル53や貯水桶52に入れているため経時的な使用により雑菌が発生し易い事、また使用時にボトル53や貯水桶52に空気を取り入れる必要がある事から雑菌等が混入しやすい事、など衛生的な問題を有している。さらに、上述したようにケーシング51の上部に設けられた貯水桶52にボトル53や貯水桶52から飲用水を移して、この貯水桶52から冷却装置56および加熱装置55を経由してそれぞれに接続された温水出口57又は冷水出口58から冷水又は熱水として取り出す飲水器が一般的であるが、とりわけこのような飲水器50において冷水が通水される通路では上述した雑菌が発生し易く、また、雑菌が発生してしまうと、通路を清掃滅菌するまで使用することができないという課題がある。
このため、衛生的で、大型、なおかつメンテナンスの頻度を低減可能な飲水器が要望されている。
【0004】
そこで、この発明は、雑菌を除去可能な設置型の飲水器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、設置型のケーシング(例えば、実施の形態におけるケーシング3)内部に飲用水を貯える貯水部(例えば、実施の形態における貯水桶6)を備えるとともに、該貯水部に通路(例えば、実施の形態における冷水用通水管22、通水管26、冷水用出水管28)を介して接続された出水口(例えば、実施の形態における出水口34)を前記ケーシング外部に備えた飲水器において、前記貯水部と前記出水口とを結ぶ通路に、戻し通路(例えば、実施の形態における戻し管29)が分岐して接続され、この戻し通路は前記貯水部に接続され、前記通路の一部と前記戻し通路とで循環路が構成され、この循環路に濾過手段(例えば、実施の形態における濾過フィルタ30)と圧送手段(例えば、実施の形態におけるポンプP)とをそれぞれ設けたことを特徴とする。
このように構成することで、圧送手段によって飲用水を貯水部、通路の一部および戻し通路を介して循環させ、この循環中に濾過手段で飲用水中の雑菌を除去することができる。
【0006】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載の発明において、前記濾過手段は中空糸膜(例えば、実施の形態における中空糸膜40)からなる濾材を備えていることを特徴とする。
このように構成することで、きわめて微小な雑菌をも除去することができる。
【0007】
請求項3に記載した発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記通路であって、前記出水口と前記濾過手段とを結ぶ部位に加熱手段(例えば、実施の形態におけるヒータ41)を設けるとともに、前記出水口の手前の部位にバルブ(例えば、実施の形態に置ける電磁弁42)を設けたことを特徴とする。
このような構成とすることで、濾過手段と出水口とを結ぶ通路を加熱して滅菌することができ、さらに、この滅菌後にバルブを閉じることで、出水口からの雑菌の侵入を確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載した発明によれば、圧送手段によって飲用水を貯水部、通路の一部および戻し通路を介して循環させ、この循環中に濾過手段で飲用水中の雑菌を除去することができるため、貯水部や通路を常に清潔に保つことができ、この結果、清掃などのメンテナンスの頻度を低減することが可能となり、ランニングコストを抑制することができる効果がある。
【0009】
請求項2に記載した発明によれば、きわめて微小な雑菌を除去できるため、飲水器内部をより清浄に保つことができる効果がある。
【0010】
請求項3に記載した発明によれば、濾過手段と出水口とを結ぶ通路を加熱して滅菌することができ、さらに、この滅菌後にバルブを閉じることで、出水口からの雑菌の侵入を確実に防止することができるでき、したがって、濾過手段と出水口とを結ぶ通路を常に清潔に保つことができるため、さらにメンテナンスの頻度を低減することができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態を図1から図5に基づいて説明する。
図1〜図4に示すように、飲水器1は4つのコーナー部分にゴム製のクッション2を備え角型形状をした設置型のケーシング3を備えている。このケーシング3の上部は主に貯水室4として構成され、その下部は主に機器収容部5として構成されている。
【0012】
ケーシング3の上部の貯水室4には貯水桶6が設けられている。この貯水桶6の上部には飲水タンクとしての浄水用のボトル7(例えば、容量20L程度)の開口部8を下側にして飲水器1に設置してセットできるようにボトル7用のベース9が設けられている。このベース9は飲水器1のケーシング3の上壁の開口部から貯水桶6を臨むように形成された略有底円筒状の円筒部10と、この円筒部10の上周縁から上方に向かって拡径して形成されボトル7の肩部11に当接して受容する当接部材12と、この当接部材12の上縁から前記ケーシング3の上壁に向かって垂下して形成される円筒状の支持部材13とを一体に形成したものである。円筒部10の底部10bの中央部分には突出部14が設けられ、その側壁に複数の供給孔14aが形成されている。
【0013】
ボトル7は有底円筒状の胴部15と、この胴部15から開口部8に向けて縮径した肩部11と、図示しないキャップによって閉栓され開口部8を備えた口部16とから形成されている。ここで、前記ボトル7の開口部8を下向きにしてキャップを外し、口部16を前記ベース9の円筒部10に挿入してセットすることでボトル7内の飲用水が口部16から貯水桶6に注がれることとなる。飲水器専用のボトル7の口部16は、通常プラスチック材或いはゴム材によってシールされており、開口部8の中央部分に突出部14を差し込む事によりこの開口部8のシールが破られ、中の飲用水が供給孔14aを介して貯水桶6に供給されるようになっている。
【0014】
貯水桶6には、その底部17に温水用出口ポート18と冷水用出口ポート19とがそれぞれ形成されており、温水用出口ポート18には、温水用通水管20を介して加熱装置21が接続され、一方、冷水用出口ポート19には、冷水用通水管(通路)22を介して冷却装置23が接続されている。そして、冷水用通水管22には、飲用水を冷却装置23に向けて圧送するためのポンプPが介装されている。ここで、加熱装置21と冷却装置23とは、ケーシング3の下部の機器収容部5に配置されており、ケーシング3の底部に図示しないブラケットなどを介して固定されている。
【0015】
加熱装置21は、貯水桶6から温水用通水管20を介して供給された飲用水を電熱線等により加熱(例えば、80〜90℃程度)するものであり、この加熱装置21は、図3に示す温水用出水管24を介して図2、図4に示す温水(あるいは熱水)出口用コック25に接続されている。ここで、加熱装置21として、後述する冷凍サイクルから放出される熱を有効利用するペルチェ素子などの装置を取入れて前記飲用水を加熱するようにしてもよい。
【0016】
一方、冷却装置23は、貯水桶6から冷水用通水管22を介して供給された飲用水を冷凍サイクルの熱交換器によって冷却するものである。この冷却装置23には、略鉛直方向に沿って立ち上がる通水管(通路)26が接続されており、その途中に濾過フィルタ30が介装されている。そして、この濾過フィルタ30の下流側にT字状の連結管(ティーズ)27が接続されている。なお、通常、ケーシング3の背面には前述した冷却装置23の冷媒を放熱する放熱器が設けられ、この放熱器で前記冷媒が空気により冷却されることとなるが、図示都合上この放熱器を省略している。
【0017】
通水管26は連結管27によって分岐され、その一方に水平方向に沿って配置された冷水用出水管(通路)28が接続され、他方に、通水管26の延長線上に沿う戻し管29が接続されている。この戻し管29は、その端部が貯水桶6の側壁に接続され貯水桶6内の空間部分に開口している。つまり、貯水桶6の飲用水を冷水用通水管22、通水管26および戻し管29を介して再び貯水桶6内に戻す循環路が構成されている。また、冷水用出水管28は図1に示す冷水出口用コック31に接続されている。なお、加熱装置21と冷却装置23には、これらの内部の残水をケーシング3の外部に排出するドレーン44が接続されている。
【0018】
温水出口用コック25と冷水出口用コック31は、図1、図2に示すように、ケーシング3正面に奥側に向かって凹設された凹部32の底壁に取り付けられている。温水出口用コック25と冷水出口用コック31には、これら温水出口用コック25と冷水出口用コック31の上部に各々支持された各レバー33が下方に垂下して設けられている。また、温水出口用コック25と冷水出口用コック31の下部には出水口34,34が下方に臨んで設けられている。この出水口34,34に対応したケーシング3の下部には回収容器35が形成されている。この回収容器35は温水出口用コック25と冷水出口用コック31からこぼれた飲用水を回収するものであり、上壁がメッシュ形状に形成されている。
【0019】
ここで、例えばカップ等の容器をレバー33の下部に押し付けると、温水出口用コック25又は冷水出口用コック31が開放され温水又は冷水が出水口34,34から流出して容器に注がれ、容器をレバー33の下部に押し付けるのをやめると温水出口用コック25と冷水出口用コック31が閉塞されて温水又は冷水の流出が止まるようになっている。
【0020】
図5に示すように、濾過フィルタ(濾過フィルタ)30は、飲用水を取り入れる取り入れ口36と、濾過水を出水する濾過水出口37とを有したメインケース38を備えており、取り入れ口36と濾過水出口37とにそれぞれ通水管26が着脱自在に接続されている。このメインケース38の内部にはメインケース38に樹脂層39にて液密に固定された中空糸膜40からなる濾材が設けられている。この中空糸膜40はウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂などのポッティング材による樹脂層39によって取り入れ側と濾過水側とが遮断されている。さらに中空糸膜40よりも上流側のメインケース38の内部には、中空糸膜40からなる濾材とは異なる性質の濾材であるプレフィルタ43を設けても良い。プレフィルタ43を設けることにより、冷水用出水管28から取り入れ口36を介して供給された冷水は、まずプレフィルタ43にて濾過し、その後中空糸膜40で濾過されて濾過水出口37に接続された冷水用出水管28に送出されることとなり、中空糸膜40によって濾過する前に中空糸膜40よりも目の粗い濾過を行うことから、中空糸膜40の目詰まりを防止することが可能となり、この結果、濾過フィルタ30の交換周期を長くすることが可能となる。
【0021】
前記中空糸膜は、以下に示すようなものである。
中空糸膜は、微生物及び細菌を含む0.1μm以上の粒状体の濾過、除去に好適に使用されるものであり、この中空糸膜には種々の多孔質かつ管状の中空糸膜が使用でき、例えば、セルロース系、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン)系、ポリビニルアルコール系、エチレン・ビニルアルコール共重合系、ポリエーテル系、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)系、ポリスルフォン系、ポリアクリロニトリル系、ポリ四弗化エチレン系、ポリビニリデンフロライド(PVDF)系、ポリカーボネイト系、ポリエステル系、ポリアミド系、芳香族ポリアミド系、等の各種材料から成るものが使用できる。中でも中空糸膜の取扱性や加工特性等を考慮すると、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系の中空糸膜が好ましい。
【0022】
また、中空糸膜の外径は、20〜2000μm、孔径は0.01〜1μm、空孔率は20〜90%、中空糸膜の膜厚は5〜300μmのものが好ましい。さらに孔径として、ASTM F316−80やJIS K3832に準ずるバブルポイント測定方法(中空糸膜測定用に一部変更)により測定した値で、100kPa以上であることが最も好ましい。
【0023】
また、原水を濾過する中空糸膜は表面に親水基を有するもので、いわゆる恒久親水化中空糸膜であることが望ましい。中空糸膜の表面が疎水性であると、供給水の自重水圧では濾過通水が非常に困難となる。
逆に、空気を取り入れる中空糸膜は、疎水性であることが好ましい。
中空糸膜の充填密度は、20〜70%とすることにより、より好適には40〜65%とすることにより、さらに好適には45〜60%とすることにより、濾過フィルタ30における通水速度を高めることができ、比較的多量の原水を短時間での浄化処理が可能となる。
【0024】
また、中空糸膜の上流側に設けられたプレフィルタは、中空糸膜よりも目の粗い濾過を行うものであれば良いが、多孔質の粉末焼結体からなる焼結フィルタや、不織布、メッシュ等が好適に用いられる。中でも、焼結フィルタにした際の重量が軽く、リサイクルが可能で、焼却処分の際にも有害物質を発生せず、孔径のコントロールを行い易いポリオレフィン樹脂が好適に用いられる。として吸着材を設けるようにしてもよい。吸着材は以下に示すようなものである。
吸着材としては、粉末状吸着材、この粉末吸着材を造粒した粒状吸着材、繊維状吸着材などが挙げられる。このような吸着材としては、例えば、天然物系吸着材(天然ゼオライト、銀ゼオライト、酸性白土等)、合成物系吸着材(合成ゼオライト、細菌吸着ポリマー、ヒドロキシアパタイト、モレキュラーシーブ、シリカゲル、シリカアルミナゲル系吸着材、多孔質ガラス、珪酸チタニウム等)等の無機質吸着材、粉末状活性炭、粒状活性炭、繊維状活性炭、ブロック状活性炭、押出成型活性炭、成型活性炭、分子吸着樹脂、合成物系粒状活性炭、イオン交換樹脂、イオン交換繊維、キレート樹脂、キレート繊維、高吸収性樹脂、高吸水性繊維、吸油性樹脂、吸油材などの有機系吸着材等、公知のものが挙げられる。
【0025】
中でも、原水中の残留塩素やカビ臭、トリハロメタンなどの有機化合物の吸着力に優れた活性炭や硬度低下、溶解性金属の吸着に優れたイオン交換樹脂や合成物系吸着材が好適に用いられる。
活性炭の中でも被濾過液との接触面積が大きく、吸着性、通水性が高いことから、粒状活性炭や繊維状活性炭が好適に用いられる。
活性炭としては、植物質(木材、セルロース、のこくず、木炭、椰子殻炭、素灰等)、石炭質(泥炭、亜炭、褐炭炭、瀝青炭、無煙炭、タール等)、石油質(石油残査、硫酸スラッジ、オイルカーボン等)、パルプ廃液、合成樹脂などを炭化し、必要に応じてガス賦活(塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、リン酸、硫酸、カセイソーダ、KOH等)したものなどが挙げられる。繊維状活性炭としては、ポリアクリロニトリル(PAN)、セルロース、フェノール、石炭系ピッチを原料にしたプレカーサを炭化し、賦活したものなどが挙げられる。
【0026】
活性炭の形態としては、粉末状活性炭、この粉末状活性炭を造粒した粒状活性炭、粒状活性炭、繊維状活性炭、粉末及び/又は粒状活性炭をバインダーにて固めた成型活性炭などが使用できる。中でも、取扱性、コスト面から粒状活性炭が好適に用いられる。活性炭としては、充填密度0.1〜0.7g/ml、ヨウ素吸着量800〜4000mg/g、粒度0.075〜6.3mmの性状を持つものが好ましい。
さらには、吸着材が、抗菌機能を有する吸着材を含むとより衛生的であるため好ましい。抗菌機能を有する吸着材としては、例えば、活性炭に銀を付着及び/又は混合したものが挙げられる。
【0027】
また、除去対象とする有機物によっては、マイクロポア(細孔孔径20E−10m以下)、トランジショナル(細孔孔径20E−10〜1000E−10m)、マクロポア(細孔孔径1000E−10〜10000E−10m)の各々の活性炭細孔孔径の比率を調整し、それぞれの除去能力を最大限に発揮するポアサイズに調整した活性炭を使用することが好ましい。ポアサイズを調整した活性炭は単独で使用しても、通常の活性炭とブレンドさせて使用してもよい。
【0028】
例えば、トリハロメタンを除去対象とする場合には、マクロポアの比率が低くマイクロポアの比率が高い活性炭を使用することが好ましい。
活性炭は、単独で用いてもよいし、前述の吸着材と併用することもできる。例えば、鉛等を除去する吸着材として、珪酸チタニウム、ヒドロキシアパタイト、ゼライト、モレキュラーシーブ、キレート樹脂などを別の層として充填するか、あるいは混合して充填したり、バインダーにて活性炭に添着させたりして使用することもできる。
また、高度の高い水を軟水化する場合、陽イオン交換樹脂が好適に用いられる。あるいは、硝酸性窒素、亜硝酸性窒素等を除去するために、陰イオン交換樹脂を使用することもできる。
【0029】
次に、上述した飲水器の作用を説明する。
まず、飲用水が充填されたボトル7を、開口部8を下にしてボトル用のベース9に設置すると、ボトル7内の飲用水が貯水桶6に供給される。この貯水桶6に供給された飲用水は、それぞれ冷水用出口ポート19と温水用出口ポート18とを介して貯水桶6の下方に設置された加熱装置21と冷却装置23に供給される。ここで、飲用水は、その自重によって加熱装置21に供給されるとともに、ポンプPで圧送されることで冷却装置23に供給される。
【0030】
加熱装置21に供給された飲用水は、加熱されて温水(熱水)となり、温水出口用コック25の出水口34に供給され、この温水出口用コック25のレバー33が押されることで、温水出口用コック25が開放して温水が出水口34から流出する。
【0031】
一方、冷却装置23に供給された飲用水は、冷却装置23で冷却されて冷水となり、濾過フィルタ30で濾過された後に連結管27、冷水用出水管28を経由して冷水出口用コック31の出水口34に供給される。そして、冷水出口用コック31のレバー33が押されるまでは、飲用水は、ポンプPによって貯水桶6、冷水用通水管22、冷却装置23、通水管26、濾過フィルタ30、連結管27、戻し管29、貯水桶6の順に流れて循環される。そして、冷水出口用コック31のレバー33が押されると冷水出口用コック31が開放されて、連結管27と冷水用出水管28とを介して出水口34から飲用水が流出することとなる。
【0032】
ここで、冷却装置23から下流側に供給される飲用水は、出水口34が開放している状態では、冷水用出水管28および戻し管29の両者を流過することとなる。出水口34からの飲用水の流出量が足りない場合には、例えば、戻し管29に図示しないバルブを設けてレバー33が押されて冷水出口用コック31が開放したときにこのバルブを閉じるように設定し、ポンプPで圧送される飲用水を全て出水口34に供給するようにしてもよい。
【0033】
したがって、上述した第一の実施の形態によれば、ポンプPによって飲用水を貯水桶6、冷水用通水管22および戻し管29を介して循環させることができ、この循環中に濾過フィルタ30で飲用水中の雑菌を除去することができるため、貯水桶6や、この中の飲用水、冷水用通水管22などを常に清潔に保つことができ、この結果、清掃などのメンテナンスの頻度を低減することが可能となり、ランニングコストを抑制することができる。
また、濾過フィルタ30に中空糸膜40を設けたことで、きわめて微小な雑菌を除去できるため、流出する飲用水をより清浄に保つことができる。
【0034】
なお、上述した第一の実施の形態では冷却装置23と連結管27の間に濾過フィルタ30を介在させたが、これに限られるものではなく、循環路であれば、例えば、貯水桶6と冷却装置23との間の冷水用通水管22又は連結管27と貯水桶6との間の戻し管29に介在させるようにしてもよい。
【0035】
また、上述した第一の実施の形態では、ポンプPを貯水桶6と冷却装置23との間に設けた場合について説明したが、濾過フィルタ30と同様に、例えば、循環路を構成する通水管26又は戻し管29に介在させるようにしてもよい。上記第一の実施の形態では冷却装置23の通水系統に濾過フィルタ30とポンプPとを設けて、戻し管29を介して飲用水を循環させるようにしたが、これと同様の構成を加熱装置21の通水系統に設けるようにしてもよい。さらに、温水出口用コック25と冷水出口用コック31とを一本化して共用出口用コックとし、切換スイッチで温水と冷水を切り換えて飲用水を取り出してもよい。
【0036】
次に、図6に示すのはこの発明の第二の実施の形態であり、この第二の実施の形態は上述した第一の実施の形態の冷水用出水管28にヒータと電磁弁とをそれぞれ設けたものであるので、第一の実施の形態と同一部分に同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0037】
図6に示すように、濾過フィルタ30の下流側の冷水用出水管28の周縁には、この冷水用出水管28を加熱する電熱線等で構成されたヒータ(加熱手段)41が取り付けられている。さらに、このヒータ41よりも下流側の冷水用出水管28には、電磁弁42が介装されている。この電磁弁42は前述した冷水出口用コック31のレバー33と連動するようになっており、例えば、レバー33が押されると開作動し、レバー33の押された状態が解除されると一定時間経過後に閉作動するようになっている。そして、前述したヒータ41も電磁弁と同様に、レバー33に応じて作動するようになっており、レバー33が押された状態でOFF(非加熱)、レバーが押されていない状態でON(加熱)となるようになっている。なお、上記ヒータ41はレバーが押されていない状態が所定時間経過した後にOFFするようにしてもよい。
【0038】
次に、上記ヒータ41と電磁弁42とを用いた加熱滅菌について説明する。ここでは、飲用水が貯水桶6に供給され、冷却装置23、加熱装置21が稼働中である通常使用状態を前提としている。
まず、レバー33にカップなどの容器を押し当てると、出水口34から飲用水が流出してコップに注がれる。そして、カップをレバー33から離すと冷水出口用コック31が閉塞されて飲用水の流出が止まる。この時、冷水用出水管28に設けられたヒータ41がONとなり、冷水用出水管28の内部が加熱され、この冷水用出水管28内部の滅菌が完了する所定時間後に電磁弁42が閉作動される。なお、冷水用出水管28の加熱中にレバー33が押された場合には、ヒータ41が停止するとともに電磁弁42を開状態に維持するようになっている。
【0039】
したがって、第二の実施の形態によれば、出水口34からの飲用水の流出が止まった時点で、ヒータ41によって冷水用出水管28を加熱して冷水用出水管28内部を滅菌し、その後、電磁弁42が閉作動するので、出水口34から濾過フィルタ30に向かって雑菌が侵入するのを防止することができる。この結果、濾過フィルタ30よりも出水口34側の冷水用出水管28をより清浄な状態に維持することができる。一方、レバー33が押されると、電磁弁42が開作動して出水口34から飲用水が流出するが、このとき、ヒータ41はOFFとなり、冷水が温められてしまうことはない。
【0040】
なお、上記第二の実施の形態に限られるものではなく、例えば、ヒータ41の上流側に電磁弁を設けてもよい。このように構成することで、例えば、レバー33が戻された後に、ヒータ41によって冷水用出水管28内の残留水を加熱乾燥させて滅菌することができるため、より一層清浄に保つことができ有利となる。さらに、冷水用出水管28に電磁弁42とヒータ41とを設けた場合を説明したが、これに限られるものではなく、温水用出水管24に電磁弁42とヒータ41とを設けてもよい。さらに、温水出口用コック25と冷水出口用コック31とを一本化して共用出口用コックとし、切換スイッチで温水と冷水を切り換えて飲用水を取り出すようにしてもよい。
【0041】
また、上述した各実施の形態ではレバー33を押すと出水口34が開放される場合で説明したが、レバー33を手前に引いた場合に出水口34が開放する飲水器にも適用できるのは言うまでもない。この場合には、ヒータ41と電磁弁42とのON・OFFを逆にすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】この発明の第一の実施の形態の図2のA−A線に沿う断面図である。
【図2】この発明の第一の実施の形態の正面図である。
【図3】この発明の第一の実施の形態の背面の部分断面図である。
【図4】この発明の第一の実施の図2のB−B線に沿う断面図である。
【図5】この発明の第一の実施の形態の濾過フィルタの縦断面図である。
【図6】この発明の第二の実施の形態の図1に相当する断面図である。
【図7】従来の飲水器の図1に相当する断面図である。
【符号の説明】
【0043】
3 ケーシング
6 貯水桶
22 冷水用通水管(通路)
26 通水管(通路)
28 冷水用出水管(通路)
29 戻し管
30 濾過フィルタ(濾過手段)
34 出水口
40 中空糸膜
41 ヒータ(加熱手段)
P ポンプ(圧送手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置型のケーシング内部に飲用水を貯える貯水部を備えるとともに、該貯水部に通路を介して接続された出水口を前記ケーシング外部に備えた飲水器において、
前記貯水部と前記出水口とを結ぶ通路に戻し通路が分岐して接続され、この戻し通路は前記貯水部に接続され、
前記通路の一部と前記戻し通路とで循環路が構成され、この循環路に濾過手段と圧送手段とをそれぞれ設けたことを特徴とする飲水器。
【請求項2】
前記濾過手段は中空糸膜からなる濾材を備えていることを特徴とする請求項1に記載の飲水器。
【請求項3】
前記通路であって、前記出水口と前記濾過手段とを結ぶ部位に加熱手段を設けるとともに、前記出水口の手前の部位にバルブを設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の飲水器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2007−216992(P2007−216992A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−37243(P2006−37243)
【出願日】平成18年2月14日(2006.2.14)
【出願人】(504346204)エムアールシー・ホームプロダクツ株式会社 (57)
【Fターム(参考)】