説明

飲用ラドン水保存容器、飲用ラドン水給水機

【課題】ラドン成分を含有する取水されたラドン水のラドン含有濃度を、飲用を適した濃度に維持しつつ、低コストで家庭に飲用ラドン水を販売できる飲用ラドン水保存容器を提供する。
【解決手段】本発明の飲用ラドン水保存容器1は、ラドン成分を含有する取水された飲用ラドン水2を収容する本体部3と、本体部3の一部に設けられ、飲用ラドン水2を吐出する吐水口4と、吐水口4を開閉する蓋5と、蓋5の本体部3内側に設けられ、ラジウム鉱石体7を収納するケース6と、を備え、ラジウム鉱石体7は、飲用ラドン水2を、所定のラドン含有濃度に維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取水された飲用ラドン水のラドン含有濃度を所定の範囲に維持する飲用ラドン水保存容器および飲用ラドン水給水機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
健康ブームに関連して、身体や健康に良いとしてラドン水を飲用することが提案されている。ラドン水は、天然温泉の源泉から得られることが多く、源泉の所有者が、源泉から湧水する天然のラドン水を、ポリタンクやペットボトルなどに詰めて、配送、販売することが広く行われている。
【0003】
ラドン水は、身体の新陳代謝の活発化や抗酸化機能の向上に役立つと考えられている。またラドン水は、整腸作用を有するとも考えられており、現代人の健康維持や健康増進にとって有用な飲用水の一つであると考えられている。このため、ラドン水の飲用が、提案されているものと考えられる。このため、家庭において、手軽かつ低コストにラドン水を飲用できるようになることが求められている。
【0004】
ラドン水は、入浴においても効能があると考えられているので、家庭においてラドン水を使った温泉入浴を行う技術も提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。これら特許文献1〜3は、温泉水を得るための技術を、開示している。加えて、天然水や水道水を鉱物によって、改質する技術も提案されている(例えば、特許文献4〜6参照)。加えて、温泉水や改質水を得るための鉱物の設置の工夫も提案されている(例えば、特許文献7、8参照)。
【特許文献1】特開2008−18157号公報
【特許文献2】特開2006−34736号公報
【特許文献3】特開2001−322877号公報
【特許文献4】特開2007−37661号公報
【特許文献5】特開2005−329336号公報
【特許文献6】特開2006−334522号公報
【特許文献7】特開2004−130155号公報
【特許文献8】特開2008−6232号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、源泉から取水されたり天然水を温泉水に改質する装置により得られたりしたラドン水を、ポリタンクやペットボトルに詰めて、配送販売する場合には、時間の経過と共にラドン水のラドン含有濃度が低下する問題がある。一般的に、ラドン水に含まれるラドン成分は、3,4日から1週間程度で蒸発してしまう。このため、ポリタンクやペットボトルに詰められた源泉から取水されたり、天然水を改質して得られたりしたラドン水は、在庫として保管される期間、輸送期間、および家庭での保管期間にラドン含有濃度がどんどん減少する問題がある。このため、ラドン水を飲用して健康増進などに役立てたい利用者にとっては、実際に飲用する前にラドン含有濃度が減少(時には消滅)するという好ましくない問題が生じる。
【0006】
また、天然水(水道水などの一般水も含む)に、ラジウム鉱石を投入しても、十分なラドン含有濃度を含むラドン水に改質されるまでには、やはり3,4日から1週間程度の時間を要する。このため、家庭においてラジウム鉱石を水やお湯に浸したとしても、すぐに飲用できるラドン水にはならない問題がある。
【0007】
更に、ラジウム鉱石やこれを原料とした改質剤は、高価であるので、コスト面で一般家庭用には不向きである問題がある。
【0008】
ラドン水を入浴用の温泉水として利用する場合には、細かなラドン含有濃度の制御は不要であるが、ラドン水を飲用水として利用する場合には、所定のラドン含有濃度の制御が必要となる。例えば、5.5マッヘ以上のラドン含有濃度を有するラドン水を温泉水として表示できるが、この程度のラドン含有濃度を有するラドン水を飲用すると、下痢などを引き起こす可能性がある。
【0009】
すなわち、家庭において、低コストで手軽に、ラドン含有濃度が調整されたラドン水を飲用とするには、
(1)容器に詰められたラドン水を購入する場合には、輸送や保管において、ラドン含有濃度が減少あるいは消滅する、
(2)ラジウム鉱石を水やお湯に浸してもラドン含有濃度を含むラドン水に改質されるには、かなりの時間を要する、
(3)家庭で水を改質するために、ラジウム鉱石を購入するのは高コストとなる。特に、水道水にラジウム鉱石を投入しても水道水に含まれる塩素が殺菌能力を有するので衛生上の問題はないが、ミネラルウォーターにラジウム鉱石を投入するとミネラルウォーターが殺菌能力を有さないので衛生上の問題がある、
(4)入浴用温泉水への改質技術を、飲用ラドン水への改質に適用すると、ラドン含有濃度が高すぎたり低すぎたりするように改質される、
などの問題を解決する必要がある。
【0010】
ここで、特許文献1〜3は、天然水を温泉水に改質する技術を開示している。特許文献1は、浴槽に張った水あるいはお湯に、ラジウム鉱石を浸すことで温泉成分を有する温泉水に改質することを開示している。特許文献2,3は、天然放射性元素鉱物をセラミック原料と共に焼成して製造される水の改質剤を開示している。
【0011】
しかしながら、文献1〜3に開示される技術は、入浴用の温泉水への改質であるので、そのラドン含有濃度の制御などを考慮していない。また、浴槽などに溜められた水やお湯を、改質の対象としているので、ラドン水の輸送や運搬などへの考慮もない。このため、特許文献1〜3の技術を飲用ラドン水の製造に応用した技術は、上記の問題(1)〜(4)を解決できない。
【0012】
特許文献4〜6は、天然水を機能性水に改質する技術を開示している。特許文献4は、ラジウム成分を利用して温泉水に改質する技術を開示している。特許文献5は、ラジウム成分ではないが、特定成分を有するセラミックや鉱石を、水の循環路の途中に配置して、所定成分を有する水に改質する技術を開示している。特許文献6は、水容器に触媒を収納して水を改質する技術を開示している。
【0013】
しかしながら文献4〜6に開示される技術を、実際に家庭において天然水や水道水からラドン水に改質する技術に応用しても、上記の問題(2)や(3)を解決できない。
【0014】
特許文献7,8は、温泉水への改質のための鉱物の設置位置を工夫する技術を開示している。特許文献7は、水の出口(例えば蛇口の下)に合わせて鉱物が収納されたケースを配置して、水を温泉水に改質する技術を開示している。特許文献8は、入浴用温泉水を得るために、浴槽の排水口に鉱物を収納するケースを配置する技術を開示している。
【0015】
しかしながら、特許文献7は、水と鉱物との接触時間が非常に短く、改質は十分に行われない。すなわち、特許文献7は、上記の問題(2)を解決できない。また、特許文献8は、入浴用の温泉水を生成する技術であって、飲用するラドン水の生成に応用できない上、仮に応用できても上記の問題(4)を解決できない。加えて、特許文献7,8のいずれも上記の問題(3)を解決できない。
【0016】
以上のように、ラジウム鉱石を用いて入浴用温泉水を生成する技術(特許文献1〜3)、天然水や水道水を機能性水に改質する技術(特許文献4〜6)および温泉水への改質のための鉱物の設置位置に関する技術(特許文献7〜8)のいずれによっても、上記の問題(1)〜(4)の全てを同時には解決できない。また、これらの技術を適宜組み合わせたとしても同様である。
【0017】
特に、上記の問題(2)を考慮すると、取水されたラドン水を容器に詰めて家庭での使用に供する場合に、容器に詰められたラドン水のラドン含有濃度を著しく減少させたり消滅させたりせずに、低コストでラドン水を提供することを前提とする必要がある。
【0018】
本発明は、上記問題点を解決するために、取水されたラドン水のラドン含有濃度を、飲用を適した濃度に維持しつつ、低コストで家庭に飲用ラドン水を販売できる飲用ラドン水保存容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題に鑑み、本発明の飲用ラドン水保存用器は、ラドン成分を含有する取水された飲用ラドン水を収容する本体部と、本体部の一部に設けられ、飲用ラドン水を吐出する吐水口と、本体部の内部に設置可能なラジウム鉱石体を収納するケースと、を備え、ラジウム鉱石体は、飲用ラドン水を、所定のラドン含有濃度に維持する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の飲用ラドン水保存容器は、取水されたラドン水のラドン含有濃度を、ほぼ半永久的に、飲用に適した(健康増進に効果があると考えられる)濃度に維持できる。このため、利用者に対して、健康増進や健康維持に役立つと考えられるラドン水であってラドン含有濃度が安定的に維持されたラドン水を提供できる。
【0021】
また、飲用ラドン水保存容器には、最初からラドン成分を含有したラドン水が詰められてから、家庭に配送されるので、ラドン成分が含有されていないままで飲用される心配もない。加えて、飲用ラドン水保存容器は、ラドン含有濃度を維持できるので、利用者は、入手した飲用ラドン水をいつ飲んでも、ラドン成分による効用を得ることができる。
【0022】
更に、ラジウム鉱石体は、ケースごと洗浄してもケースから取り出して洗浄しても再使用可能なので、家庭へ提供できる飲用ラドン水のコストを低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の第1の発明に係る飲用ラドン水保存容器は、ラドン成分を含有して取水された飲用ラドン水を収容する本体部と、本体部の一部に設けられ、飲用ラドン水を吐出する吐水口と、本体部の内部に設置可能なラジウム鉱石体を収納するケースと、を備え、ラジウム鉱石体は、飲用ラドン水を、所定のラドン含有濃度に維持する。
【0024】
この構成により、取水時に有していたラドン成分を、半永久的(少なくとも収容されている飲用ラドン水が使用されつくすまで)に、所定のラドン含有濃度に維持できる。結果として、使用者が収容されている飲用ラドン水を使用する際には、確実に、飲用上の効能が期待できるラドン含有濃度を提供できる。
【0025】
本発明の第2の発明に係る飲用ラドン水保存容器では、第1の発明に加えて、吐水口は、本体部の上部に位置する。
【0026】
この構成により、飲用ラドン水保存容器を種々の態様に使用できる。
【0027】
本発明の第3の発明に係る飲用ラドン水保存容器では、第1から第2のいずれかの発明に加えて、吐水口を開閉する蓋を更に備え、ケースは、蓋の本体部内側に取り付けられる。
【0028】
この構成により、ラジウム鉱石体の本体部への投入が、蓋を閉めるだけでできる。更には、ケースだけを取り替えることもできるので、ラジウム鉱石体の再使用が容易になる。
【0029】
本発明の第4の発明に係る飲用ラドン水保存容器では、第1から第3のいずれかの発明に加えて、ケースは、ラジウム鉱石体と本体部に収容される飲用ラドン水とが接触可能な貫通孔を有する。
【0030】
この構成により、ラジウム鉱石体が、飲用ラドン水に対して効率的にラジウム放射線を放射できる。
【0031】
本発明の第5の発明に係る飲用ラドン水保存容器では、第1から第4のいずれかの発明に加えて、ケースの少なくとも一部は、蓋への取り付けおよび蓋からの取り外しが可能である。
【0032】
この構成により、蓋と一体的にケースが取り扱われ、本体部に蓋を封止するだけで、ラジウム鉱石体は、本体部の内部側に収納されて、本体部に収容されている飲用ラドン水に対してラジウム放射線を放射できる。
【0033】
本発明の第6の発明に係る飲用ラドン水保存容器では、第1から第5のいずれかの発明に加えて、本体部は、変形自在な柔軟性を有する。
【0034】
この構成により、飲用ラドン水保存容器がウォーターサーバや給水機で使用される際に、収容されている飲用ラドン水が、空気と触れることがなくなって、衛生面が向上する。
【0035】
本発明の第7の発明に係る飲用ラドン水保存容器では、第1から第6のいずれかの発明に加えて、ラジウム鉱石体は、ケースに収納された状態およびケースから取り出された状態の少なくとも一方の状態で洗浄可能である。
【0036】
この構成により、高価なラジウム鉱石体のみを、再使用できる。結果として、飲用ラドン水保存容器を用いて飲用ラドン水を提供する際のコストを低減できる。
【0037】
本発明の第8の発明に係る飲用ラドン水保存容器では、第1から第7のいずれかの発明に加えて、ラジウム鉱石体は、50重量%未満のラジウム鉱石を含有する単数または複数のセラミックボールである。
【0038】
この構成により、ラジウム鉱石体の取り扱いが容易になる。
【0039】
本発明の第9の発明に係る飲用ラドン水保存容器では、第8の発明に加えて、20リットル飲用ラドン水に対して、ケースは、総量が略55g(グラム)となる直径が略3mmであるセラミックボールを収納する。
【0040】
本発明の第10の発明に係る飲用ラドン水保存容器では、第1から第9のいずれかの発明に加えて、ラジウム鉱石体は、収容された飲用ラドン水を、0.3マッヘから2.7マッヘのラドン含有濃度に維持する。
【0041】
これらの構成により、飲用上の問題のない飲用ラドン水が提供できる。
【0042】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0043】
なお、本明細書におけるラドン水とは、ラジウム鉱石体による放射線成分であるラドン成分を含有する水あるいはお湯を意味する。飲用ラドン水とは、飲用が可能なラドン水を意味し、飲用のみならず、料理、炊事に使用されても良い。
【0044】
(実施の形態1)
まず、飲用ラドン水保存容器の全体概要を、図1を用いて説明する
(全体概要)
図1は、本発明の実施の形態1における飲用ラドン水保存容器の斜視図である。
【0045】
飲用ラドン水保存容器1は、飲用ラドン水2を収容する本体部3と、本体部3の一部に設けられて飲用ラドン水2を吐出する吐水口4と、吐水口4を開閉する蓋5と、蓋5の本体部3内部側に設けられてラジウム鉱石体7を収納するケース6と、を備える。
【0046】
飲用ラドン水2は、例えば温泉の源泉から取水されたり、天然水や水道水にラジウム放射線を付与して得られたりする、ラジウムを含有しつつ飲用可能な飲料水である。この飲用ラドン水2は、取水時には所定のラドン含有濃度を有している。
【0047】
本体部3は、取水されたこの飲用ラドン水を収容する。本体部3は、所定の形状や大きさを有しており、用途によってその形状や大きさが定まる。例えば、飲用ラドン水保存容器1がウォーターサーバや給水機に用いられる場合には、数10リットルの大きさを有している。あるいは、飲用ラドン水保存容器1が家庭やオフィスでの飲用にそのまま供される場合には、数リットルの大きさを有している。例えば、本体部3は、数リットルのペットボトルであってもよい。
【0048】
本体部3は、収容している飲用ラドン水2を吐出する吐水口4を有している。吐水口4は、使用者が飲用に際してコップなどに注ぎだすために用いられてもよいし、飲用ラドン水保存容器1がウォーターサーバや給水機に用いられる場合には、給水管への接続口として用いられてもよい。吐水口4は、蓋5によって覆われ、蓋5の開閉により吐水口4も開閉される。
【0049】
蓋5の本体部3側は、ケース6を備えている。蓋5は吐水口4に取り付けられると、本体部3の外部側と内部側とを有することになる。ケース6は、この内部側に取り付けられる。ケース6が本体部3の内部側に取り付けられることで、ケース6に収納されるラジウム鉱石体7からのラジウム放射線が、本体部3に収容されている飲用ラドン水に対して放射されるようになる。ケース6は、蓋5に固定されてもよく、取り外し可能でも良い。
【0050】
ケース6は、ラジウム鉱石体7を収納している。ラジウム鉱石体7は、その特性に基づいて、ラジウム放射線を放射する。ケース6は、上述の通り蓋5の本体部3の内部側に設けられているので、ラジウム鉱石体7は、本体部3内部の飲用ラドン水2に対してラジウム放射線を放射する。ラジウム放射線は、水に対してラドンを含有させる。取水された飲用ラドン水2は、時間の経過と共にラドン含有濃度が減少する特性を有する。ラドン含有濃度がそのまま減少すると、取水された飲用ラドン水2は、ラドン含有濃度を失った通常のミネラルウォーターとなってしまう。
【0051】
飲用ラドン水保存容器1は、ケース6に収納したラジウム鉱石体7からのラジウム放射線を収容している飲用ラドン水2に放射できる。この結果、飲用ラドン水保存容器1に収容されている飲用ラドン水2は、半永久的にラドン含有濃度を維持できる。特に、所定の分量を有するラジウム鉱石体7を収納することで、収容している飲用ラドン水2のラドン含有濃度を所定の濃度に維持できる。
【0052】
このように、飲用ラドン水保存容器1は、取水して収容した飲用ラドン水2を、半永久的(外的あるいは内的な他の要因に基づく場合を除く)に所定のラドン含有濃度に維持できる。結果として、飲用ラドン水2を収容した飲用ラドン水保存容器1を購入した消費者は、長期間に渡って、健康増進や飲用に適した飲用ラドン水2を安心して飲用することができる。
【0053】
次に各部の詳細について説明する。
【0054】
(本体部)
本体部3は、飲用ラドン水2を収容する容器の主たる部分である。
【0055】
本体部3は、樹脂、ビニール、金属、PET、PEN、プラスチックなどで形成され、所定の形状や所定の大きさを有する。本体部3は、使用者がそのままコップなどに収容されている飲用ラドン水2を注ぐのに用いられてもよく、ウォーターサーバや給水機に取り付けられて用いられてもよい。
【0056】
本体部3は、使用者がそのままコップなどに注ぐのに用いられる場合には、図2に示されるようなペットボトル形状を有していても良い。図2は、本発明の実施の形態1におけるペットボトル形状を有する飲用ラドン水保存容器の斜視図である。
【0057】
本体部3がペットボトル形状を有していることで、例えば図2に示される本体部2は、1.5リットルや2リットル程度の大きさから10リットル程度の大きさを有する。また、図2からも明らかな通り、本体部3の吐水口4には、蓋5が備えられている。この蓋5は、ペットボトル形状の本体部3の吐水口4を開閉するのに用いられ、回転式で開閉されればよい。あるいは片開きによって開閉されても良い。
【0058】
蓋5は、ラジウム鉱石体7を収納するケース6を備えている。ラジウム鉱石体7は、ペットボトル形状の本体部3が収容する飲用ラドン水2にラジウム放射線を放射する。この結果、飲用ラドン水2のラドン含有濃度が維持される。
【0059】
また、本体部3がペットボトル形状の場合には、飲用ラドン水2を収容した状態で、ペットボトル入りの飲料水として販売や頒布されてもよいし、各家庭に配送されてもよい。この場合にはペットボトルは小型であるので、使用者が飲用ラドン水2を飲み終わった場合には、そのまま廃棄されても良い。勿論、後述するラジウム鉱石体7の再使用のために、ペットボトル形状の飲用ラドン水保存容器が回収されても良い。
【0060】
また、本体部3は、図1に示されるように、数10リットルの大きさを有して、ウォーターサーバや給水機に取り付けられて使用されてもよい。この場合には、本体部3は、固体形状を有してもよいし、図3に示されるように変形自在な柔軟性を有していても良い。樹脂やPETで形成される場合には、本体部3が柔軟性を有することができる。この場合には、本体部3は、ウォーターサーバや給水機に取り付けられ、本体部3が収容する飲用ラドン水2が給水手段を介して給水される。図3は、本発明の実施の形態1における本体部の模式図である。
【0061】
ここで、本体部3が変形しない固体形状を有する場合には、飲用ラドン水保存容器1は、水容器からの自然流下によって給水するウォーターサーバや給水機に好適に使用される。特にこの場合には、ウォーターサーバや給水機の上側に飲用ラドン水容器1が取り付けられて使用される。自然流下を利用しやすくするためである。
【0062】
また、本体部3が図3に示されるような変形自在な柔軟性を有する場合には、ポンプなどの吸引によって給水するウォーターサーバや給水機に好適に使用される。本体部3が変形自在な柔軟性を有することで、飲用ラドン水2を充填している場合には本体部3は膨らんでおり、本体部3から飲用ラドン水2が吸引されるに従って本体部3は収縮する。本体部3が収容する飲用ラドン水2の全てが吸引されると、本体部3は完全に収縮して折りたたまれる状態になる。このように、本体部3が変形自在な柔軟性を有すると、本体部3が収容する飲用ラドン水2の給水において本体部3に空気を送り込む必要がないので、飲用ラドン水2が衛生的に保たれるメリットがある。本体部3に収容されている飲用ラドン水2が、本体部3の中で空気に触れることが無いからである。
【0063】
いずれにしても、本体部3は、飲用ラドン水2を収容して、家庭やオフィスに提供できる形態を形成する。
【0064】
なお、本体部3がペットボトル形状ではなくウォーターサーバや給水機に使用される形状を有する場合でも、使用後においては廃棄されても良いし、回収されてもよい。
【0065】
本体部3は、このように源泉や工業的生産によって生成された飲用ラドン水2を収容して、飲用ラドン水保存容器1の主たる部分をなす。
【0066】
(吐水口と蓋)
本体部3は、収容している飲用ラドン水2を吐出する吐水口4を備え、吐水口4は、蓋5によって開閉される。吐水口4は、本体部3のいずれの位置に設けられても良いが、本体部3の上部に設けられるのが好適である。本体部3の上部に設けられることで、保管時には蓋5が邪魔になりにくく、飲用ラドン水保存容器1からコップなどに直接注ぐのも容易である。また、飲用ラドン水保存容器1がウォーターサーバや給水機の上部に設置されて自然流下が利用される場合には、飲用ラドン水保存容器1をさかさまにして設置するだけで、吐水口4がウォーターサーバや給水機の機械側を向くメリットがある。あるいは、飲用ラドン水保存容器1がウォーターサーバや給水機の下部に設置されてポンプなどで吸引される場合には、吐水口4が上を向くので、飲用ラドン水保存容器1をそのまま設置するだけでよいメリットがある。
【0067】
蓋5は、吐水口4の開閉を行う。蓋5は、スクリュー式で回転によって吐水口4に嵌め込んだり吐水口4から取り外されたりしてもよいし、一部が本体部3に取り付けられていて、この部位を支点として開閉可能となっていても良い。
【0068】
蓋5は、本体部3と共に使用後は廃棄されても良いし、回収されても良い。また、蓋5は、本体部3とは別に後述のケース6と共に回収されても良い。
【0069】
(ケース)
ケース6は、蓋5において本体部3の内部側に設けられる。ケース6は、ラジウム放射線を放射するラジウム鉱石体7を収納する。ケース6は、蓋5に取り付けられて蓋5と共に本体部3に取り付けられればよい。
【0070】
ケース6は、内部に収納するラジウム鉱石体7からのラジウム放射線を飲用ラドン水2に効率的に放射するために、ケースの一部に貫通孔10を有していることも好適である。貫通孔10を有していると本体部3に収容されている飲用ラドン水2とラジウム鉱石体7とが直接接触できるようになるので、飲用ラドン水2に対してラジウム放射線が影響を及ぼしやすいメリットを有する。あるいは貫通孔10を有していることでケース6が回収された後で、ラジウム鉱石体7をケース6ごと洗浄できるメリットもある。
【0071】
実際には、ラジウム鉱石体7は、空気を介してラジウム放射線を飲用ラドン水2に対して放射して、飲用ラドン水2のラドン含有を促進させるので、飲用ラドン水2とラジウム鉱石体7とが直接接触できなくても良い。
【0072】
ケース6は、蓋5に取り付けられることが好適である。ケース6は、内部にラジウム鉱石体7を収納して、ラジウム鉱石体7からのラジウム放射線が本体部3の内部に放射されれば良いので、ケース6は、蓋5に取り付けられるのが適当である。特に、蓋5と一体的に取り扱えることで、本体部3に対して蓋5と一緒にケース6を取り付けることもできるし、本体部3から蓋5と一緒にケース6を取り外すこともできる。ケース6が蓋5とは別個の独立した形態であると、本体部3の中にケース6を投入する必要があり、本体部3からのケース6の取り出しが面倒になる。
【0073】
例えば、ケース6は、図4に示されるように、蓋5に取り付けられても良い。
【0074】
図4は、本発明の実施の形態1におけるケースの取り付けを説明する説明図である。図4は、蓋5の底面にケース6が突起棒によって取り付けられる状態を示している。
【0075】
蓋5は、2本の突起棒15を有しており、突起棒15は、ケース7の上面12を貫通する。突起棒15の先端は、上面12を貫通した後で潰されて、突起棒15はケース7を蓋5に取り付ける。このとき、突起棒15の先端は電気ごてやレーザ照射などによる熱溶着で潰されればよい。先端が潰されることで、上面12に対する引っ掛かりが生じて突起棒15が上面12を取り付けても良いし、先端が潰される際に先端が上面12の裏面と固着されることで、突起棒15が上面12を固定してもよい。
【0076】
ケース6は、筒状の本体13に上面12と底面14とが取り付けられて構成される。この構造により全体として筒状であってラジウム鉱石体7を収納可能なケース6が構成される。
【0077】
上面12は本体13に固着されており、上面12と本体13とによって、ケース6の基本構造が構成される。上面12は、突起棒15によって蓋5の底面に固定される。突起棒15が上面12を貫いた上で突起棒15の先端が潰されて、突起棒15は、上面12を固定もしくは引っ掛ける。上面12は本体13に固着されているので、突起棒15によって本体13までが蓋5に固定されて取り付けられる。
【0078】
底面14はキャップのように本体13に対して取り外し可能に取り付けることができる。使用者や提供者は、底面14が取り外された状態にて本体13の内部にラジウム鉱石体7を投入する。ラジウム鉱石体7が投入された後で、底面14を本体13に取り付けて固定することで、ラジウム鉱石体7が収納されたケース6が構成される。このとき、ケース6は蓋5の底面に固定されて取り付けられる。
【0079】
図4に示されるように、蓋5の底面にケース6が取り付けられることで、本体部3の吐水口4に蓋5が取り付けられるだけで本体部3の内部にラジウム鉱石体7からラジウム放射線が放射されるようになる。すなわち、本体部3が収容している飲用ラドン水2のラドン含有濃度が維持される。なお、ラジウム鉱石体7からのラジウム放射線が効率よく、本体部3の内部に放射されるように、ケース6の本体13や底面14に貫通孔10が設けられることも好適である。貫通孔10は、場合によっては、本体部3に収容される飲用ラドン水2と直接的にラジウム鉱石体7が接触するのを助ける働きもある。なお、貫通孔10は、ラジウム鉱石体7が抜け出さない程度の大きさであることが好適である。
【0080】
また、図4における本体13と上面12とが取り外し可能である場合には、図5に示されるように、まず上面12と蓋5とが突起棒15によって取り付けられてから、ケース6が蓋5に取り付けられることも好適である。図5は、本発明の実施の形態1における蓋に上面を取り付ける様子を示す斜視図である。
【0081】
また、ケース6は、図6に示されるように蓋5に取り付けられても良い。図6は、本発明の実施の形態1におけるケースの取り付けを説明する説明図である。図4の場合と異なり、蓋5がケース6の上面を兼用する状態が示されている。
【0082】
ケース6は、本体13と底面14とが予め固定されているあるいは一体成型されており、上面は開放されている。ケース6の内部には、ラジウム鉱石体7が収納されている。また、ケース6の本体13や底面12には貫通孔10が設けられても良い。ラジウム鉱石体7からのラジウム放射線が、効率よく本体部3の内部に放射されるからである。また、貫通孔10は、場合によっては、本体部3に収容される飲用ラドン水2と直接的にラジウム鉱石体7が接触するのを助ける働きもある。なお、貫通孔10は、ラジウム鉱石体7が抜け出さない程度の大きさであることが好適である。
【0083】
本体13にラジウム鉱石体7が収納された後、ケース6は、蓋5に取り付けられる。キャップに用いられるスクリューで取り付けられてもよいし、接着剤で取り付けられても良い。部材同士を取り付ける公知の手段が用いられればよい。ただし、ケース6が蓋5から取り外し可能であることが好ましい。ケース6内部のラジウム鉱石体7を取り出して洗浄できるメリットが生じるからである。
【0084】
図6に示されるケース6も、蓋5の底面に取り付けられるので、蓋5が本体部3の吐水口4に取り付けられるだけで、ラジウム鉱石体7は、本体部3の内部にラジウム放射線を放射できる。また、蓋5を取り外すだけでラジウム鉱石体7が収納されているケース6を取り外すことができ、蓋5と共にケース6を独立して取り扱うことができる。
【0085】
図4に示されるケース6および図6に示されるケース6のいずれの場合でも、蓋5を本体部3と分離するだけで、ラジウム鉱石体7を収納するケース6を独立して取り扱うことができる。
【0086】
例えば、使用者の使用後に飲用ラドン水保存容器1を回収した後で、飲用ラドン水保存容器1に飲用ラドン水2を収容して提供する提供者が、本体部3は廃棄しつつケース6のみを再使用できる。ケース6は、蓋5に取り付けられているが、蓋5から取り外すことも可能である。ケース6は貫通孔10を有しているので、内部に収納しているラジウム鉱石体7をケース6とまとめて洗浄できる。あるいは、図4に示されるケース6であれば底面14を取り外すことで、収納されているラジウム鉱石体7を取り出すことができる。あるいは図6に示されるケース6であれば、蓋5を取り外すことで、収納されているラジウム鉱石体7を取り出すことができる。図7は、図6の場合のケース6にラジウム鉱石体7を投入する様子を示している。図7は、本発明の実施の形態1におけるケースの斜視図である。
【0087】
このようにして取り出されたラジウム鉱石体7は、洗浄されて再使用可能となる。
【0088】
本体部3は、再使用するには衛生面の問題とコスト面のメリットとのバランスが悪いが、ラジウム鉱石体7は、非常に高価であり使いきりであると飲用ラドン水保存容器1によって飲用ラドン水を提供するコストが高くなる。これは事業においても使用者にとっても不都合である。一方、ラジウム鉱石体7は、半永久的にラジウム放射線を放射できるので、使いきりをするのは好ましくない。ラジウム鉱石体7は、本体部3のように内面、外面など複雑な構造を有しているわけではないので、洗浄も容易かつ確実に行える。
【0089】
このように、ケース6が飲用ラドン水保存容器1の中で独立して取り扱えることで、ラジウム鉱石体7のみあるいはケース6に収納されたラジウム鉱石体7を、飲用ラドン水の使用後に洗浄して再使用できる。結果として、飲用ラドン水保存容器1の中で最もコストのかかるラジウム鉱石体7を再使用でき、飲用ラドン水保存容器1に収容した飲用ラドン水の販売価格を低減できるようになる。
【0090】
(ラジウム鉱石体)
次にラジウム鉱石体7について説明する。
【0091】
ラジウム鉱石体7は、ラジウム放射線を放射可能な鉱石あるいは鉱石の加工物である。ラジウム鉱石体7の原料であるラジウム鉱石そのものは、自然界から採取されるが、この自然界から採取されたそのものがラジウム鉱石体として使用されても良いし、加工された上で使用されても良い。ラジウム鉱石体7は、ラジウム放射線を放射できれば、どのような形状、形態であってもよい。
【0092】
ラジウム鉱石体7は、取り扱いの容易性から50重量%未満のラジウム鉱石を含有するセラミックボールであることも好適である。セラミックボールは、粉末状のラジウム鉱石をセラミックや粘土類と共に混合して焼成して形成される。セラミックや粘土類も粉末であって、粉末であるラジウム鉱石と粉末であるセラミックや粘土類が混合されて焼成される際に、所定形状に成型される。
【0093】
なお、ボールとの名称は、球体に限定するものではなく、角部があってもよいし、立方体や直方体に近い形状を有するものも含む。セラミックボールは、ラジウム鉱石体を50重量%未満含有することで、ラジウム放射線を放射できるとともに、セラミックや粘土類の粉末が混合されていることで、取り扱いも容易になるメリットがある。
【0094】
ケース6には、このセラミックボールがラジウム鉱石体7として収納される。
【0095】
ここで、セラミックボールは大型でかつ単体であってもよいが、ラジウム放射線の放射効率を上げるために、小型でかつ複数であることが好ましい。総重量が同じであっても、大型で単体であるセラミックボールよりも、小型で複数のセラミックボールである方が、総表面積が大きいからである。総表面積が大きいことで、ラジウム放射線を放射する面積が大きくなり、ラジウム放射線の放射効率が高まる。
【0096】
また、セラミックボールは、ケース6に設けられる貫通孔10よりもその直径が大きいことが好適である。ケース6からこぼれないようにするためである。セラミックボールは、表面に微小な孔が穿たれていることも、表面積拡大の点で有効である。
【0097】
また、ラジウム鉱石体7は、ケース6と共にあるいはケース6から取り出されて洗浄されることで再使用可能となるが、ラジウム鉱石体7がセラミックボールであることで、洗浄も容易になる。
【0098】
セラミックボールは、ケース6の内部に収納されて、蓋5と共に本体部3に取り付けられることで、本体部3の内部に向けてラジウム放射線を放射する。このセラミックボールをはじめとするラジウム鉱石体7のラジウム放射によって、もともとラドン含有濃度を有する飲用ラドン水のラドン含有濃度が所定の濃度に維持される。このとき、ラジウム鉱石体7は、半永久的にラジウム放射線を放射できるので、本体部3に収容されている飲用ラドン水2のラドン含有濃度は、半永久的に維持される(もちろん、通常は数日から数ヶ月の間で、収容されている飲用ラドン水2は使用されつくすので、この使用期間において十分にラドン含有濃度が維持される)。
【0099】
このように、実施の形態1における飲用ラドン水保存容器は、取水されたラドン成分を含有する飲用ラドン水のラドン含有濃度を、半永久的(少なくとも収容されている飲用ラドン水が使用され尽くすまでの期間)に、所定のラドン含有濃度に維持できる。更には、ラジウム鉱石体7が蓋5と一体化できるケース6に収納されることで、本体部3に蓋5を取り付けるだけで収容している飲用ラドン水のラドン含有濃度を維持できる。また、ラジウム鉱石体7は、洗浄されることで再使用可能となって、飲用ラドン水保存容器に飲用ラドン水を詰めて販売する際のコストを大きく低減できる。結果として、健康増進に効果があると考えられる飲用ラドン水を、安価に提供できる。
【0100】
なお、飲用ラドン水保存容器1は、ウォーターサーバや給水機に取り付けられる大型の容器であってもよいし、数リットルサイズのペットボトル型の容器であっても良いし、家庭やオフィスの冷蔵庫などで保管できる中型の容器であってもよく、種々の用途に適したバリエーションが用意されうる。
【実施例】
【0101】
次に、発明者の行った実施例について説明する。
【0102】
発明者は、収容されている20リットルの飲用ラドン水に対して、総量が55gとなる直径が略3mmである複数のセラミックボールをケースに収納して、飲用ラドン水保存容器を構成した。
【0103】
この飲用ラドン水保存容器を、飲用ラドン水が収容されたまま2週間ほど運搬車に乗せたまま放置した。飲用ラドン水が飲用ラドン水保存容器に詰められて販売される際には、このように2週間程度の運搬や放置などが生じる可能性があるからである。
【0104】
放置後の飲用ラドン水のラドン含有濃度を検査したところ、ラドン含有濃度は、0.44マッヘであった。ここで「マッヘ」は一般的にラドン含有濃度の基準として使用される単位である。
【0105】
5.5マッヘ以上のラドン水は、ラドン温泉水として表示できる。しかし、5.5マッヘ以上のラドン水を飲用すると、ラドン含有濃度が高すぎて、下痢などを起こしやすいことが知られている。このことから考えると、0.44マッヘのラドン水は、ラドン含有濃度が、ラドン温泉水の基準の10分の1以下であるので、飲用への悪影響はほとんどないと考えられる。加えて、0.44マッヘのラドン含有濃度は、飲用における効能が期待できると考えられる。
【0106】
勿論、飲用ラドン水の量とラジウム鉱石体の量のバランスを調整することで、維持できるラドン含有濃度を調整できる。しかしながら、ラジウム鉱石体が、収容されている飲用ラドン水を0.3マッヘから2.7マッヘ程度に維持できることが好適である。
【0107】
このように、実際に作成した実施例からも、2週間の期間にわたって放置された飲用ラドン水のラドン含有濃度が、飲用に適した濃度(悪影響がなく飲用上の効能が感じ取られる程度の濃度)に維持されることが分かる。従来の技術では、ラドンを含有するラドン水を保存していると、ラドン含有濃度が低減および消滅していたり、天然水にラジウム鉱石体を投入してもラドン含有濃度を得るまでにかなりの時間を要していたりしており、いずれも飲用時には適度な濃度のラドン含有が得られない。これに対して、実施例からも明らかな通り、実施の形態1における飲用ラドン水保存容器は、使用者の飲用時に確実に飲用に適したラドン含有濃度を提供できる。
【0108】
(実施の形態2)
次に実施の形態2について説明する。実施の形態2では、実施の形態1で説明した飲用ラドン水保存容器をウォーターサーバや給水機に適用する場合について説明する。
【0109】
まず、図8を用いて、飲用ラドン水保存容器からの自然流下によって飲用ラドン水を給水する給水機について説明する。図8は、本発明の実施の形態2における給水機の模式図である。
【0110】
この給水機21は、給水機21の最上部においてタンク収容ケース30を設け、このタンク収容ケース30は、その内部に飲用ラドン水保存容器1を着脱可能に設置する。この飲用ラドン水保存容器1の底部が貯蔵タンク23の上部から延長した導水管30に着脱可能に接続され、この貯水タンク23に加熱タンク24及び冷却タンク25が接続されている。飲用ラドン水保存容器1は、飲用ラドン水を収容し、飲用ラドン水保存容器1に取り付けられたケースに収納されたラジウム鉱石体によって、飲用ラドン水のラドン含有濃度が所定の濃度に保たれる。
【0111】
飲用ラドン水保存容器1は、収容した飲用ラドン水が自然流下することに伴う水の減少とともに縮小変形可能な形状で形成されても良いし、飲用ラドン水保存容器1に外部から空気を取り込みながら自然流下する固形形状で形成されても良い。収容した水が自然流下することに伴う水の減少とともに縮小変形可能な形状は、例えば飲用ラドン水保存容器1が蛇腹となっていることで実現される。
【0112】
貯蔵タンク23は、飲用ラドン水保存容器1から自然流下や後述のような吸引によって取り出される飲用ラドン水を一時的に貯蔵する。また、この貯蔵タンク23の外周には、一対の磁石51が対向状態で取り付けられ、この磁石51による磁場に水を通すことにより水分子(クラスタ)を活性化させて、水の腐敗を防止し、雑菌の繁殖を防止するようになっている。また、貯蔵タンク23の内部には、加熱タンク24及び冷却タンク25の流入口部に浄水抗菌用のフィルタ52が設けられている。
【0113】
加熱タンク24は、貯蔵タンク23の底部から下向きに延長した配管60が挿入される。この配管60は、貯蔵タンク23から加熱タンク24に飲用ラドン水を送る。更に、加熱タンク24からは加熱された温水を供給する温水供給部62が設けられている。ここで、加熱タンク24の外周には加熱バンド63が巻きつけられており、この加熱バンド63によって加熱タンク24に貯留される飲用ラドン水が加熱されて温水になる。なお、お湯の温度調節を調節するためのセンサやヒータ制御装置等が設けられても好適である。
【0114】
加熱タンク24と同様に、冷却タンク25は、貯蔵タンク23の底部から下向きに延長した配管70が挿入される。この配管70は、貯蔵タンク23から冷却タンク25に飲用ラドン水を送る。更に冷却タンク25からは冷却された冷水を供給する供給部72が設けられている。冷却タンク25には、コンプレッサ74と凝縮器75が接続されて、内部の飲用ラドン水が冷却される。また、冷水の温度調節を調節するための、センサや冷凍サイクル制御装置等が設けられてもよい。
【0115】
このように、飲用ラドン水保存容器1が給水機21に取り付けられることで、飲用ラドン水保存容器1からの自然流下によって、加熱された飲用ラドン水と冷却された飲用ラドン水を、家庭やオフィスで容易に提供できる。
【0116】
また、飲用ラドン水保存容器1は実施の形態1で説明したとおりに、収容している飲用ラドン水のラドン含有濃度を長期に渡って維持できるので、図8に示される給水機から得られる温水や冷水は、飲用の効能がある飲用ラドン水である。特に、温水が給水される際の蒸気にラドン成分が含まれることで、種々の効能も期待できる。
【0117】
次に、図9を用いて、吸引手段によって給水される給水機について説明する。
【0118】
図9は、本発明の実施の形態2における給水機の模式図である。図9における給水機は、図8で示される給水機と異なり、給水機の底部に飲用ラドン水保存容器1が設置され、飲用ラドン水保存容器1よりポンプなどの吸引手段によって、飲用ラドン水が供給される。
【0119】
給水機100は、給水機100の底部においてタンク収容ケース107を設け、このタンク収容ケース107は、その内部に飲用ラドン水保存容器1を着脱可能に設置する。この飲用ラドン水保存容器1は、収容している飲用ラドン水の減少に応じて収縮する変形可能な柔軟性を有している。このため、飲用ラドン水保存容器1の素材としては、柔軟フイルム(ポリプロピレンフイルムやポリエチレンラミネートフイルム等)が用いられ、又、人体に害を及ぼす(例えば環境ホルモンの溶出等)ことがないような素材を用いる。
【0120】
飲用ラドン水保存容器1には、収容している水を吸い上げるための吸引手段160が接続している。吸引手段160は、種々の形態のポンプであればよい。給水機100の上部には、吸い上げた飲用ラドン水を一時的に貯蔵する貯蔵タンク102が設置される。貯蔵タンク102は、センサ120(フロートセンサ)を備えている。センサ120は、貯蔵タンク102の水位が一定レベル以下になると、その情報を吸引手段160に送り、吸引手段160が作動して所定の水位まで飲用ラドン水保存容器1から飲用ラドン水を吸い上げる。飲用ラドン水保存容器1は、水の減少と共に収縮する柔軟性を有しているので、吸引手段160からの吸引に際して飲用ラドン水保存容器1内部に空気を外部から取り込む必要が無い。このため、飲用ラドン水保存容器1において飲用ラドン水は空気に触れることが無く、飲用ラドン水は衛生的に保たれる。
【0121】
また、貯蔵タンク102の外周には、一対の磁石121が対向状態で取り付けられ、この磁石121は、磁場を飲用ラドン水の中を通すことで水分子(クラスタ)を活性化させて、水の腐食を防止し、雑菌の繁殖を抑える。また、貯蔵タンク102の上端には、抗菌フィルタ123を装着した空気孔122が形成されても良い。あるいは空気孔122ではなく、熱殺菌やフィルタ除菌された空気を、貯蔵タンク102に供給する空気管を備えていても良い。
【0122】
貯蔵タンク102は、コンプレッサ144と凝縮器145によって、貯蔵している飲用ラドン水を冷却する。冷却された飲用ラドン水は、冷水供給部142より給水される。すなわち、図9の給水機では、貯蔵タンク102が冷却タンクを兼ね備えている。ここで、貯蔵タンク102内部に、殺菌用紫外線ランプ124が備えられ、内部の飲用ラドン水を殺菌してもよい。殺菌用紫外線ランプ124は、常時点等でもよいし所定期間のみ点灯しても良い。
【0123】
貯蔵タンク102の下部には、導管130を介して飲用ラドン水が供給される加熱タンク131が備えられている。加熱タンク131の外周には、加熱バンド133が取り付けられ、内部に貯蔵される飲用ラドン水を加熱して温水にする。なお、お湯の温度調節を行うセンサやヒータ制御装置が設けられても良い。加熱タンク131には、温水を供給する温水供給部132が接続されており、水圧によって温水供給部132から温水が供給される。
【0124】
このように、図9に示される給水機100は、収縮可能な変形柔軟性を有する飲用ラドン水保存容器から、ポンプなどの吸引手段によって飲用ラドン水を吸い上げた上で、冷水および温水としての飲用ラドン水を供給できる。なお、飲用ラドン水保存容器1は、飲用ラドン水を収容し、飲用ラドン水保存容器1に取り付けられたケースに収納されたラジウム鉱石体によって、飲用ラドン水のラドン含有濃度が所定の濃度に保たれる。このため、冷水および温水として供給される飲用ラドン水は、飲用ラドン水保存容器1に収容されている飲用ラドン水が使用し尽されるまで、飲用に効能があると考えられるラドン含有濃度を維持できる。
【0125】
なお、図9に示される給水機100は、給水機21と同じく加熱タンクと冷却タンクとが、貯蔵タンクとは別個に設けられても良い。図9に示される給水機100は、飲用ラドン水保存容器1が、収縮する変形柔軟性を有しているので、飲用ラドン水保存容器1内部に空気が入り込まず、図8の場合よりも衛生面でのメリットが生じる。
【0126】
実施の形態2で説明したとおり、飲用ラドン水保存容器1は、自然流下を利用した給水機や吸引を利用した給水機などに好適に使用される。この結果、家庭やオフィスで、適切なラドン含有濃度に維持された飲用ラドン水を容易に提供できる。また、給水機に使用されることで、提供者は飲用ラドン水を詰めた飲用ラドン水保存容器1を配達および回収するだけで、多くの使用者に飲用ラドン水を提供できる。この配達や保管において、時間が経過したとしても、飲用ラドン水のラドン含有濃度が維持できるので、提供者および使用者は安心して飲用ラドン水を飲用できる。また、提供者は、飲用ラドン水保存容器1を回収して、ラジウム鉱石体を再使用することができるので、飲用ラドン水を詰めた飲用ラドン水保存容器の提供価格も低減できる。
【0127】
なお、実施の形態2では、冷水を供給する冷却タンク(およびその供給系統)と温水を供給する加熱タンク(およびその供給系統)との両方を備える給水機について説明したが、冷却タンクおよび加熱タンクのいずれか一方のみを備える給水機であっても、本発明に含まれる。
【0128】
なお、実施の形態2における給水機では、殺菌フィルタ、熱殺菌、殺菌用紫外線ランプ、浄水用フィルタ、除菌剤、浄化剤、抗菌剤、オゾン発生器などを、貯蔵タンク、加熱タンク、冷却タンク、給水系統などに設置することで、飲用ラドン水の衛生面を確保することも可能である。
【0129】
なお、実施の形態1〜2で説明された飲用ラドン水保存容器や飲用ラドン水給水機は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】本発明の実施の形態1における飲用ラドン水保存容器の斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1におけるペットボトル形状を有する飲用ラドン水保存容器の斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態1における本体部の模式図である。
【図4】本発明の実施の形態1におけるケースの取り付けを説明する説明図である。
【図5】本発明の実施の形態1における蓋に上面を取り付ける様子を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態1におけるケースの取り付けを説明する説明図である。
【図7】本発明の実施の形態1におけるケースの斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態2における給水機の模式図である。
【図9】本発明の実施の形態2における給水機の模式図である。
【符号の説明】
【0131】
1 飲用ラドン水保存容器
2 飲用ラドン水
3 本体部
4 吐水口
5 蓋
6 ケース
7 ラジウム鉱石体
10 貫通孔
12 上面
13 本体
14 底面
15 突起棒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラドン成分を含有する取水された飲用ラドン水を収容する本体部と、
前記本体部の一部に設けられ、前記飲用ラドン水を吐出する吐水口と、
前記本体部の内部に設置可能なラジウム鉱石体を収納するケースと、を備え、
前記ラジウム鉱石体は、前記飲用ラドン水を、所定のラドン含有濃度に維持する飲用ラドン水保存容器。
【請求項2】
前記吐水口は、前記本体部の上部に位置する請求項1記載の飲用ラドン水保存容器。
【請求項3】
前記吐水口を開閉する蓋を更に備え、
前記ケースは、前記蓋の前記本体部内側に取り付けられる請求項1から2のいずれか記載の飲用ラドン水容器。
【請求項4】
前記ケースは、前記ラジウム鉱石体と前記本体部に収容される飲用ラドン水とが接触可能な貫通孔を有する請求項1から3のいずれか記載の飲用ラドン水保存容器。
【請求項5】
前記ケースの少なくとも一部は、前記蓋への取り付けおよび前記蓋からの取り外しが可能である請求項1から4のいずれか記載の飲用ラドン水保存容器。
【請求項6】
前記本体部は、変形自在な柔軟性を有する請求項1から5のいずれか記載の飲用ラドン水保存容器。
【請求項7】
前記ラジウム鉱石体は、前記ケースに収納された状態および前記ケースから取り出された状態の少なくとも一方の状態で洗浄可能である請求項1から6のいずれか記載の飲用ラドン水保存容器。
【請求項8】
前記ラジウム鉱石体は、50重量%未満のラジウム鉱石を含有する単数または複数のセラミックボールである請求項1から7のいずれか記載の飲用ラドン水保存容器。
【請求項9】
20リットル前記飲用ラドン水に対して、前記ケースは、総量が略55g(グラム)となる直径が略3mmである前記セラミックボールを収納する、請求項8記載の飲用ラドン水保存容器。
【請求項10】
前記ラジウム鉱石体は、収容された前記飲用ラドン水を、0.3マッヘから2.7マッヘのラドン含有濃度に維持する請求項1から9のいずれか記載の飲用ラドン水保存容器。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか記載の飲用ラドン水保存容器と、
前記飲用ラドン水保存容器から取り出される飲用ラドン水を一時的に貯蔵する貯蔵タンクと、
前記飲用ラドン水保存容器に収容された飲用ラドン水を自然流下および吸引の少なくとも一方によって、前記貯蔵タンクに運搬する運搬手段と、
前記貯蔵タンクから飲用ラドン水を供給する供給手段と、を備える飲用ラドン水給水機。
【請求項12】
前記貯蔵タンクは、
前記吸引手段で吸引される飲用ラドン水を冷却する冷却タンクと、
前記吸引手段で吸引される飲用ラドン水を加熱する加熱タンクと、を備え、
前記供給手段は、
前記冷却タンクからの冷水を供給する冷水供給部と、
前記加熱タンクからの温水を供給する温水供給部と、を備える請求項11記載の飲用ラドン水給水機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−119918(P2010−119918A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−293673(P2008−293673)
【出願日】平成20年11月17日(2008.11.17)
【出願人】(591018040)株式会社九州開発企画 (11)
【Fターム(参考)】