説明

飲食店の業務補助管理装置、業務補助管理方法及びそれを記録した記録媒体

【課題】 注文入力用端末機により注文情報を入力することで、各部で共通して参照、更新することが出来る注文情報データベースを構築し、これにより様々な部分で行われる業務作業を円滑に進める。
【解決手段】 注文入力用端末機は、飲食店のメニューアイテムのリストを表示するモニタ機能とその表示されたリストからメニューを選択して注文品名、その員数及び客のテーブルの所在を示す卓番を含む注文情報を入力する能を有する。ホストコンピュータは、予め記録したメニューデータベースを備え、このデータベースにより前記注文入力用端末機のモニタにメニューアイテムのリストを表示すると共に、同注文入力用端末機で入力された注文情報から注文情報データベースを作成する機能を有する。処理用端末機は、ホストコンピュータが作成した注文情報データベースを表示するモニタ機能と注文情報データベースの注文情報の更新が可能な入力機能を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食店において、来店客の注文を受け、この注文された料理を準備し、来店客のテーブルに配膳する業務において、主として注文から料理の準備、配膳に至る業務を間違いなく円滑に処理し、加えて精算時の会計処理も容易に行えるように店員をアシストするための飲食店の業務補助管理装置、業務補助管理方法及びそれを記録した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来において飲食店では、来店客からの注文受けから準備、配膳及びレジでの精算までを伝票により処理していた。例えば、来店してテーブルに着席した客に店員が注文を聞いてこれを伝票に記入する。次に、この伝票を厨房の棚等に注文時間順に並べ、これを調理担当や配膳担当の店員が順次準備する。そして準備が完了した注文の品は注文した客が居るテーブルに配膳する。そして注文の品が全て配膳し終わった後、注文控の伝票をテーブルに居る客に渡す。客が食事を終わって帰る時に、その控えの伝票をレジに提示し、料金を精算する。
【0003】
しかしながら、従来のこのような伝票を用いた注文、配膳及び精算に至る管理方法では、来店客が多い大型レストラン、或いは取り扱う品目が多岐にわたり、客が何度か追加注文することが多い、いわゆる居酒屋形式の飲食店では、間違いの発生が多くなるという問題があった。また伝票の処理を店員が行うため、店員の手数が多く必要となり、省力化が困難であった。
【0004】
そこで、ハンディターミナル、PDA(Personal Digital Assistance)等と呼ばれる個人用携帯情報端末機を用い、来店客からの注文受けの段階で注文情報を電子化し、これをホストPCで処理して管理することで、その後の調理、配膳、精算といった一連の注文処理を電子データとして処理する手法が一般化されてきている。
【0005】
例えば、特開2002−83375号公報には、注文情報が入力されると、入力された注文情報と顧客側端末機装置を識別するための端末機識別情報とを対応づけた端末機別注文情報を生成する顧客側端末機装置と、顧客側端末機装置から接触的にまたは非接触的に端末機識別情報を取得するとともに、端末機識別情報を取得した顧客側端末機装置についての前記端末機別注文情報に基づいて得られた料金情報に基づいて、当該顧客側端末機装置についての精算料金を表示する料金精算装置とを備えた注文管理システムが記載されている。
【0006】
また、特開平5−266324号公報には、飲食店で顧客が注文し端末機から入力されたメニューを厨房に設置されたモニタに表示して調理指示を行う飲食店サービスシステムにおいて、上記メニューが特急で調理すべき料理やコース料理などの特殊メニューの場合、該特殊メニューの内容を上記モニタにウインドウ表示する飲食店サービスシステムが記載されている。
【0007】
さらに、特開2000−293761号公報には、ハンディターミナルから顧客からの料理品と数量等の注文情報を入力し、情報処理部で所定の処理を行ない、表示部に出力し厨房に調理指示する飲食店における注文情報処理方法において、前記ハンディターミナルに指定した所定料理品の所定分量を単位としてまとめて提供することを指示する単位キーを設け、前記ハンディターミナルから所定の注文品情報を入力する際、該ハンディターミナルを操作して所定の注文品をまとめたい量毎に注文品名と量を入力すると共に、前記単位キーを押下し、前記情報処理部は前記単位キーが押下される毎に指定した料理品と数量を単位としてまとめて、前記表示部に出力し表示する飲食店における注文情報処理方法が記載されている。
【0008】
これらの注文情報処理手段では、注文の処理、その精算会計、注文の特殊事情に伴う処理等が容易に行えるようになる。しかしながら、これらの注文情報処理手段では、飲食店の中の様々な部分で遂行される一連の業務の遂行が互いに関連付けされておらず、広汎な電子データ処理化に至っていないのが実情である。例えば、特開2002−83375号公報に記載された注文管理システムでは、注文を受ける個人用携帯情報端末機側に個々にメニューデータを格納しておき、これを注文の際に利用する方式であるため、季節等にメニュー品目が変わったり、価格が変わった場合に、それを更新する手数が多くかかり、データの改変に臨機に対応できないという課題がある。
【特許文献1】特開2002−83375号公報
【特許文献2】特開平5−266324号公報
【特許文献3】特開2000−293761号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記従来の飲食店の業務補助管理手段における課題に鑑み、個人用携帯情報端末機等を使用した注文入力用端末機により注文情報を入力することで、各部で共通して参照、更新することが出来る注文情報データベースを構築し、これにより様々な部分で行われる業務作業を円滑に進めることが出来る飲食店の業務補助管理手法を提供することを目的としている。
【0010】
本発明では、この目的を達成するため、個人用携帯情報端末機等を使用した注文入力用端末機により注文情報を入力することで、ホストパソコンに注文情報データベースを構築し、注文情報データベースを各部で共通して参照、更新することが出来るようにした。各部では、この注文情報データベースを随時参照しながら各種の業務を遂行出来るようにした。
【0011】
すなわち、本発明による飲食店の業務補助管理装置は、注文入力用端末機、ホストコンピュータ及び処理用端末機とが主な構成要素である。注文入力用端末機は、飲食店のメニューアイテムのリストを表示するモニタ機能とその表示されたリストからメニューを選択して注文品名、その員数及び客のテーブルの所在を示す卓番を含む注文情報を入力する能を有する。ホストコンピュータは、予め記録したメニューデータベースを備え、このデータベースにより前記注文入力用端末機のモニタにメニューアイテムのリストを表示すると共に、同注文入力用端末機で入力された注文情報から注文情報データベースを作成する機能を有する。処理用端末機は、ホストコンピュータが作成した注文情報データベースを表示するモニタ機能と注文情報データベースの注文情報の更新が可能な入力機能を有する。
【0012】
このような飲食店の業務補助管理装置を使用し、前記注文入力用端末機によりに入力された注文情報により前記ホストコンピュータで注文情報データベースが構築、蓄積される。この注文情報データベースは注文入力用端末機によりに入力された注文情報及び管理用端末機から入力される注文情報に関するデータにより逐次更新される。このような機能を前記業務補助管理装置で実現するプログラムは予めコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、ホストコンピュータにセットアップされる。
【0013】
このような本発明による飲食店の業務補助管理装置と方法では、個人用携帯情報端末機等を使用した注文入力用端末機により注文情報を入力することで、ホストパソコンに注文情報データベースを構築し、注文情報データベースを各部で共通して参照、更新することが出来る。これにより、各部分で業務を進める店員は常に新しい注文情報データベースを随時参照し、それを利用ながら業務を進めることが出来る。
注文入力用端末機は各テーブルの注文情報をモニタに表示する機能を有する。これにより、テーブルに居る客の前で注文情報を随時提示することが出来るので、客からの問い合わせ等に対し、店員が注文入力用端末機のモニタを見て即座に応答することが出来る。
【0014】
例えば、処理用端末機は、注文品を準備し、その注文品をテーブルに配膳する厨房と、提供した注文品に対する対価を会計精算するレジ部に少なくとも配置される。前者では、厨房において各注文品の準備の順序或いはその遅延状況等を即座に確認することが出来るので、厨房における処理を間違いなく行うことが出来る。また、後者では、注文情報データベースを利用して適切に客の注文に対する会計の精算をすることが出来る。
【0015】
ホストコンピュータは、注文情報データベースの各注文情報及びその各注文品に各種の付記を付して処理用端末機に表示する機能を有する。例えばこのような処理用端末機に表示される注文品の付記は、注文からの経過時間、注文から短時間に急いで配膳を要するときはその表示等を含むものである。このような付記があることにより、個々の注文品の特殊事情等を処理用端末機で容易に確認することが出来る。
【0016】
注文情報に含まれる注文品は、注文を受けた順に準備にとりかかるのが適切である。メニューの種類により準備時間はそれぞれ異なるが、同じ種類のメニューであれば、注文を受けた順に配膳出来るので、客の待ち時間に対する違和感は少ない。このような観点から、処理用端末機に表示される注文品は、注文からの経過時間の長い順に優先して配膳するようソートされて表示されるようにする。さらに配膳の遅延に対する注意を喚起する意味で、所定時間経過毎に色を変えて表示するとよい。但し、特に急いで配膳を要する注文品は、注文からの経過時間に係わらず優先すべき位置に割込ソートして表示する。
【0017】
このようにして処理用端末機に表示される注文品を確認しながら、厨房で注文品の準備を行うが、準備を終えたもの及びテーブルに配膳が完了したものにはそれぞれ注文品にその旨の表示がなされる。これにより、各注文品に対する処理の進捗状況をリアルタイムに把握することが出来、準備漏れ、配膳漏れ等のミスを防止することが出来る。
【0018】
ホストコンピュータに作成された注文情報データベースから抽出された所要の情報のハードコピーがプリンタにより印刷される。例えば、各テーブルで注文された注文情報を印刷した注文明細書、精算会計時に発行される会計レシート等が印刷される。これらにより、端末機のモニタを用いずに、注文情報を確認出来る。会計レシートは、会計精算時に支払いと引き替えに客に発行する伝票として利用される。
【0019】
ホストコンピュータは、注文情報データベースから、各テーブル毎の注文情報を処理用端末機に表示する機能を有する。これにより処理用端末機では、既に受けた注文の注文情報のうち、配膳の未了或いは完了等の現況を即座に把握することが出来るので、間違いの確認、客の問い合わせに対する対応が容易に行える。
【0020】
さらに、ホストコンピュータは、食材の在庫情報を含む食材在庫データベースを記録し、この食材在庫データベースは注文情報データベースと処理用端末機から入力されるデータにより更新される。これにより、注文情報データベースを利用して、飲食店の食材の在庫管理を行うことが出来る。例えば在庫の少ない食材の発注処理等を電子データ処理により行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明による飲食店の業務補助管理手段では、個人用携帯情報端末機等を使用した注文入力用端末機により注文情報を入力することで構築され、さらにその入力と処理用端末機での入力により更新される注文情報データベースを中心として運用されることにより、中心となるデータベースの構築、更新が業務遂行の作業の中に簡単に組み込める。そしてこの注文情報データベースを各部で共通して参照、更新することが出来るので、各部署でそれぞれの業務を進める店員は常に新しい注文情報データベースを随時参照し、それを適切に利用しながらそれぞれの業務を進めることが出来る。これにより、幾種類かの業務遂行が現況に応じた適切な処理と対応により容易に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、実施例をあげて詳細に説明する。
図1は、本発明による飲食店の業務補助管理装置を構成する各機器の接続を示す図である。
注文入力用端末機としてPDA(Personal Digital Assistance)等の携帯情報端末機が複数備えられており、これらは無線LANによりルータ(アクセスポイント)を介してホストパソコン(ホストPC)に接続されている。ホストパソコンには、有線LAN及び無線LANを介して複数の処理用端末機が接続されている。図示の例では処理用端末機としてモニタ機能とそのモニタ画面に入力機能を付与した端末機が3つ接続されている。これらはそれぞれ管理端末機、厨房端末機、レジ端末機として事務室、厨房、レジに配置されている。さらに、ホストパソコンには、有線LANを介して厨房プリンタとレジプリンタが接続され、それらのプリンタはそれぞれ厨房とレジに配置されている。
【0023】
図2は、前記の各機器毎の処理、動作を示した全体のフローシートである。但し、レジ端末機は省略してある。以下、これらの処理、動作を具体的に説明する。
図3は注文入力用端末機としてPDAを使用し、注文情報(オーダー)を入力する手順を示すフローシートであり、図2よりさらに詳細に示している。
【0024】
注文入力用端末機は、図4〜図7に示すようなモニタを有し、このホストパソコンとのデータにより、これから説明するような所要の画面を選択して表示することが出来る。またこのモニタは入力画面ともなっており、そのモニタ上に表示されたアイコンをペン先等で触れてクリックすることにより、画面操作や情報の入力をすることが出来る。
【0025】
このような注文入力用端末機を使用し、まず注文情報入力のスタートは図4に示すオーダー初期画面から始まる。注文入力用端末機が初期画面になっていない場合は、スタートメニューに登録されている「オーダー入力」のアイコンをクリックすることで初期画面を表示させる。
この初期画面では、まず新規か追加かを入力する。「新規」はその卓番のテーブルに座った客または客のグループが最初に注文する場合に入力し、それ以降に同じテーブルの客または客のグループが注文する場合は「追加」を入力する。但し、注文が特に急ぎを要する「特急」であるばあいは、その前に「特急」のチェックボックスにチェックを入れる。
【0026】
次に図4の右側の図のように卓番、担当、人数を入力するボックスが表示されるので、そこでテーブルの所在を示す卓番、注文を受ける入力担当者の番号及びそのテーブルに座った客の人数を入力する。図4に示す画面では、これらの情報が各選択ボックスの右側に設けた「∨」アイコンをクリックすることによりプルダウン方式で選択肢としての数字が表示され、これら表示された選択肢の数字から必要なものを選択する方式で入力される。
【0027】
これらの入力が済んだら、「開始」のアイコンをクリックすると、図5に示すようなメニューの選択画面が表示される。予めホストパソコンでメニューデータベースを作成しておき、このメニューデータベースを注文入力用端末機に送り、これをメニューの選択画面という形で注文入力用端末機のモニタに表示させる。メニューは季節等により変わることが多いので、ホストコンピュータで予め作成したメニューデータベースは、必要に応じて修正、更新して運用することになる。この点は、後のマスタ管理の説明で触れる。
【0028】
メニューは例えば図5の画面に示すように「肉類」、「酒類」、「飲物」、「小鉢」、「焼物」というように分類されており、モニタに表示されたそれぞれの分類アイコンをクリックすることで、分類されたメニューアイテムがプルダウン方式のリストとして表示される。そこで図5の左端の画面に示すようにプルダウン方式で表示されたメニューアイテムのリストから客が注文したメニューを選択してクリックすると、そのメニューアイテム表示が反転表示される。次に、分類アイコンの右側に員数を選択するボックスがあるので、そのボックスの右側に設けた「∨」アイコンをクリックすることによりプルダウン方式で表示される数字の中から員数を選択し、入力する。その後、メニュー選択画面の中央よりやや下にある「注文」のアイコンをクリックする。
【0029】
また必要に応じて、デザート類等は配膳の順番が要求されることがあるので、そのようなメニューアイテムを選択すると、図5の右上の配膳順番画面となり、配膳順番が入力出来る。その決定アイコンをクリックすると、元のメニュー選択画面に戻る。
こうして全ての注文を入力した後、メニュー選択画面図で確認表示アイコンをクリックすると次の図6の左端の確認、登録画面に移る。
【0030】
この図6の左端に示すような確認、登録画面で注文内容を確認し、間違いが無ければ図6の左下の画面のように確認、登録画面に表示されている「登録」のアイコンをクリックする。これにより、入力された注文情報がホストコンピュータに送られる。
他方、注文品を削除または訂正する場合は、確認、登録画面で注文品名を選択すると、図6の中央のような注文品名の詳細画面となり、ここで注文品表示の下に「削除」、「変更」、「戻る」のアイコンが表示される。このうち、「削除」または「変更」のアイコンをクリックして既に入力した注文品を削除または変更する。
【0031】
「削除」のアイコンをクリックした場合は、図6に示していないが、削除画面となり、「<削除>」の標題の下に選択した注文品が表示され、その下に「戻り」、「削除」のアイコンが表示された画面となる。ここで再び「削除」のアイコンをクリックすると、既に入力した注文品が削除され、確認画面に戻る。この確認画面では、注文品リストから削除された注文品が消去された画面が表示される。
【0032】
他方、「変更」のアイコンをクリックした場合は、図6の右上に示す変更の画面となり、ここで員数変更や配膳順序の変更が可能である。この変更画面で「変更」のアイコンをクリックすると、既に入力した注文品の員数や配膳順序が変更され、確認、登録画面に戻る。この確認、登録画面では、注文品の員数が変更された画面が表示される。そこで注文内容を確認し、間違いが無ければ図6の左下の画面のように確認、登録画面に表示されている「登録」のアイコンをクリックすると、入力された注文情報がホストコンピュータに送られる。
なお、注文品名そのものを変更する場合は、前記の削除の操作を行った後、前記のメニュー選択画面に戻り、そこで別の注文品とその員数を入力することになる。
【0033】
図7は、例えば主食、副食、デザート、飲物等がセットになったいわゆるセットメニューの注文画面である。このようなセットメニューでは、主食がライスとパン、飲物がコーヒー、紅茶、ジュース類等のように選択できるようにする必要が多い。或いは図7のように、複数のメニューから任意の品を数点選択するようなセットメニューもある。このようなセットメニューにはそれぞれ特別なメニューデータベースを組んでおき、これを注文入力用端末機のモニタ画面に表示して注文を入力出来るようにする。
なお、以上の注文入力用端末機による入力手順や画面は一例であり、これ限られず適宜の入力手段を採用することが出来る。例えばメニューアイテムやその分類等は、飲食店の業種により異なることは言うまでもない。
【0034】
図8は、注文入力用端末機(PDA)とホストコンピュータとのデータのやりとりを示す概念図である。予めホストコンピュータで作成されたメニューデータベースにより注文入力用端末機側にメニュー情報を送信して注文入力用端末機のモニタにメニュー選択画面を表示させる。注文入力用端末機で入力された注文情報(オーダー)には、それぞれ自動的に伝票番号、注文時間が付され、これらの項目がホストコンピュータに送られ、ホストコンピュータで注文情報データベースに追加される。この注文情報データベースをもとに、様々な管理が行われる。
【0035】
図9は注文情報データベースをもとに行われる注文管理業務の概念図である。ホストコンピュータは、注文情報データベースをもとに各テーブルの卓番毎の注文状況、配膳状況等の情報を作成し、これを管理端末機のモニタに表示させる。また、商品毎の各注文情報毎の状況の情報を作成し、これを管理端末機のモニタに表示させる。厨房側では注文明細書や注文一覧を表示した、いわゆるF券(Food Ticket)を印刷し、発行する。このF券は、各注文品毎に一葉ずつ発行され、その印刷項目は、商品名、個数、卓番、伝票番号、オーダー時間、特急指示の有無、配膳順番(前、後)等である。厨房で注文品の準備が完了した時、このF券を注文品に添えておくことで、配膳すべき卓が容易に分かる。さらに注文入力用端末機(PDA)のモニタには特定の卓番の注文一覧を表示させる。
【0036】
図10は、管理端末機のモニタに表示された卓番毎の状況である。テーブル状況画面では卓番毎に入店時間、人数、注文金額、配膳完了数が表示される。画面右上の累計表示のアイコンをクリックすると、卓番別累計画面となり、店全体の総合計が確認出来る。また、テーブル状況画面から特定の卓番アイコンをクリックすると、その卓番の注文状況画面となり、特定の卓番の注文状況が把握出来る。
【0037】
図11に注文入力用端末機(PDA)のモニタに特定の卓番の注文一覧を表示させる手順を示す。オーダー初期画面から注文明細アイコンをクリックし、注文明細画面に移動し、そこで卓番を入力して実行アイコンをクリックすると、その卓番の注文一覧が表示される。
図12は注文情報データベースをもとに行われる配膳準備管理業務の概念図である。ホストコンピュータは、注文情報データベースをもとに準備指示情報を作成し、準備指示一覧を厨房端末機のモニタに表示させる。準備指示一覧のうち、注文品の調理等の準備が完了した場合、或いはその配膳が完了した場合、厨房端末機での入力により、当該注文品について準備完了或いは配膳完了の情報をホストコンピュータに入力し、注文情報データベースの情報を更新する。これにより、ホストコンピュータの注文情報データベースはリアルタイムに更新され、その情報は直ちに厨房端末機のモニタ表示に反映する。さらに、注文品について準備完了の情報がホストコンピュータに入力したとき、ホストパソコンは厨房プリンタに準備完了券の印刷を指示し、同プリンタが準備完了券を印刷する。
【0038】
図13は、前記厨房端末機のモニタに表示された準備指示一覧の一例である。準備指示一覧は前記の注文入力用端末機でホストコンピュータに入力した注文情報が注文品毎に、且つ注文時間が速い順にソートして配列されたリスト形式で表示される。但し、前記の注文入力用端末機で特急のボックスにチェックが着けて入力された特急の注文品は、それ以外の注文品を飛び越すように割り込みソートして表示される。各注文品には、注文からの経過時間、配膳順序に指定がある場合はその旨、特に急いで配膳することを要する場合はその旨の付記がなされる。また、各注文品は注文時間から経過した時間毎に色分けして表示される。例えば、注文から10分経過した注文品は黄色の下地に反転表示され、注文から15分経過した注文品は赤色の下地に反転表示されるといった如くである。さらに、各注文品の欄には、準備完了の状態も表示される。各注文品の欄の左端にある「レシピ」のアイコンをクリックすると、モニタがレシピ画面が変わり、その注文品のいわゆるレシピ、すなわち調理方法、調理手順等が表示される。レシピ画面から「戻る」のアイコンをクリックすると、元の準備指示一覧の画面に戻る。
【0039】
図14は注文情報データベースをもとに行われる会計処理業務の概念図である。ホストコンピュータは、注文情報データベースをもとに伝票番号毎の会計情報を作成する機能を有する。客が飲食を終わった後、テーブルを立ってレジに行き、レジに伝票を提示する。その伝票に記載された伝票番号、担当をレジ端末機で入力し、それらの情報をホストコンピュータに通知すると、ホストコンピュータからレジ端末機のモニタにその卓番の会計情が表示される。
【0040】
その後、客からの現金の支払いがあったときは、レジ端末機からホストコンピュータに入金情報を送信する。すると、ホストコンピュータはキャッシュドロワを開き、現金の受け入れと釣り銭の支払いを可能にする。それと共にレジプリンタがレシートを印刷し、これが客に発行される。他方、客がクレジットカードで支払いを要求したときは、カードリーダで提示されたカードを読み取り、カード情報をホストコンピュータに送る。これにより、ホストコンピュータが公衆オンライン回線で信販会社と接続し、信販による支払いが可能であるか否か問い合わせ、可能である場合は、信販にて決済する。それと共に、レジプリンタが信販による決済である旨を表示したレシートを印刷し、これが客に発行される。
【0041】
図15は、一般的な会計処理におけるレジ端末機のモニタ画面の例である。また、図16と図17は、個別会計を行う場合のレジ端末機のモニタ画面の例とその処理手順である。「個別会計」とは例えば複数人のグループが同じ卓番や伝票番号で注文した注文情報を、各個人毎の会計に分割して処理する会計である。この場合は、会計画面の分割アイコンをクリックし、品名毎に個数を設定して会計する。
図18は、前記の会計処理後に取り消し処理を行う手順を示す画面である。この場合、ログオンパスワードの設定が必要であり、ログオンパスワードを入力した場合のみ処理を可能とする。会計を取り消した後、再会計をする場合は、前述と同様にして処理する。
【0042】
図19は注文情報データベースをもとに行われる売上管理業務の概念図である。ホストコンピュータでは、前記の会計処理業務の中で、現金の支払いや信販による決済の額とその注文内容が蓄積される。これられの情報を使用して会計データベースを作成することが出来る。この会計データベースにより、売上管理が可能である。図20は、この売上管理業務を行うために管理端末やレジ端末のモニタに表示される画面の例である。
【0043】
図21はマスタ管理業務の概念図である。このマスタ管理業務は前記の注文情報データベースをもとに行われる各種の業務を遂行するのに必要な情報の管理を行うものである。例えば、前述したメニューデータベースの作成、メンテンナンスの他、営業開始時の日付の登録、釣銭準備金の登録である。前者のメニューデータベースのメンテナンスは、季節や食材の市場動向等により変わるメニューアイテム、その価格等を常に更新し、最新のものに整備しておく業務であり、管理端末機により行う。また例えば後者は、当日の営業開始前にレジのキャッシュドロアに最初に入れておく釣銭をホストコンピュータに登録する業務であり、レジのキャッシュドロアに最初に実際に入れておく釣銭の金種と額をホストコンピュータに登録しておく。
【0044】
さらにこのマスタ管理業務では、前記の注文情報データベースを使用して食材の在庫管理も行う。ホストコンピュータに予め食材の在庫品データベースを作成しておき、飲食店の営業に際して消費された食材により食材の在庫品データベースを更新する。前述のように、ホストコンピュータが有している注文情報データベースでは、注文入力用端末機によりホストコンピュータに入力された注文情報が蓄積され、さらに前述の厨房管理業務において注文情報データベースに準備完了や配膳完了した注文品の情報が入力される。これらの情報により、在庫品データベースの更新を行う。食材の仕入れに時には、別途処理端末機でその発注、入荷の情報を入力し、在庫品データベースの更新を行う。例外的消費、例えば、調理完了品の意図せぬ毀損、間違い注文による注文品の消費等にいても、同様にして処理端末機で情報処理する。この在庫品データベースにより、食材の発注等の業務も行う。図22はこの在庫管理業務の画面の一例である。
【0045】
なお、以上の注文入力用端末機や処理用端末機のモニタ画面表示は一例であり、これ限られず適宜の画面表示を採用することが出来る。基本的に同等の機能が得られるシステムであれば、例えば飲食店の業種により最適な画面表示をデザインすることが適切である。本発明の基本的な機能を満たす限りにおいて、必ずしも前述のような画面表示や処理手順には限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明による飲食店の業務補助管理装置を構成する各機器の接続を示す構成図である。
【図2】前記の各機器毎の処理、動作を示した全体のフローシートである。
【図3】注文入力用端末機としてPDAを使用し、注文情報(オーダー)を入力する手順を示すフローシートである。
【図4】注文入力用端末機のオーダー初期画面を示す図である。
【図5】注文入力用端末機のメニューの選択画面を示す図である。
【図6】注文入力用端末機の確認、登録画面を示す図である。
【図7】注文入力用端末機のセットメニューの注文画面を示す図である。
【図8】注文入力用端末機(PDA)とホストコンピュータとのデータのやりとりを示す概念図である。
【図9】注文情報データベースをもとに行われる注文管理業務におけるデータのやりとりを示す概念図である。
【図10】管理端末機のモニタに表示された卓番毎の状況画面を示す図である。
【図11】注文入力用端末機(PDA)のモニタに特定の卓番の注文一覧を表示させる手順を示す図である。
【図12】注文情報データベースをもとに行われる配膳準備管理業務におけるデータのやりとりを示す概念図である。
【図13】厨房端末機のモニタに表示された準備指示一覧画面を示す図である。
【図14】注文情報データベースをもとに行われる会計処理業務におけるデータのやりとりを示す概念図である。
【図15】一般的な会計処理におけるレジ端末機のモニタ画面の例を示す図である。
【図16】個別会計を行う場合の前半のレジ端末機のモニタ画面の例とその処理手順を示す図である。
【図17】個別会計を行う場合の後半のレジ端末機のモニタ画面の例とその処理手順を示す図である。
【図18】会計処理後の取り消し処理を行う時のレジ端末機のモニタ画面の例とその処理手順を示す図である。
【図19】注文情報データベースをもとに行われる売上管理業務におけるデータのやりとりを示す概念図である。
【図20】売上管理業務を行うために管理端末やレジ端末のモニタに表示される画面の例である。
【図21】マスタ管理業務におけるデータのやりとりを示す概念図である。
【図22】マスタ管理業務のうちの在庫管理業務の画面の一例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲食店のメニューアイテムのリストを表示するモニタ機能とその表示されたリストからメニューアイテムを選択して注文品名、その員数及び客のテーブルの所在を示す卓番を含む注文情報を入力する入力機能とを有する注文入力用端末機と、
予め記録したメニューデータベースを備え、このメニューデータベースにより前記注文入力用端末機のモニタにメニューアイテムのリストを表示すると共に、同注文入力用端末機で入力された注文情報から注文情報データベースを作成する機能を有するホストコンピュータと、
このホストコンピュータが作成した注文情報データベースを表示するモニタ機能と注文情報データベースの注文情報の更新が可能な入力機能を有する処理用端末機とを備えることを特徴とする飲食店の業務補助管理装置。
【請求項2】
注文入力用端末機は各テーブルの注文情報をモニタに表示する機能を有することを特徴とする請求項1に記載の飲食店の業務補助管理装置。
【請求項3】
処理用端末機は、注文品を準備し、その注文品をテーブルに配膳する厨房と、提供した注文品に対する対価を会計精算するレジ部に少なくとも配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の飲食店の業務補助管理装置。
【請求項4】
ホストコンピュータは、注文情報データベースの各注文情報及びその各注文品に各種の付記を付して処理用端末機に表示する機能を有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の飲食店の業務補助管理装置。
【請求項5】
処理用端末機に表示される注文品の付記は、注文からの経過時間、特に急いで配膳を要するときはその表示を含むことを特徴とすることを請求項4に記載の飲食店の業務補助管理装置。
【請求項6】
処理用端末機に表示される注文品は、注文からの経過時間の長い順に優先して配膳するようソートされて表示されると共に、所定時間経過毎に色を変えて表示され、特に急いで配膳を要する注文品は、注文からの経過時間に係わらず優先すべき位置に割込ソートして表示されることを特徴とすることを請求項5に記載の飲食店の業務補助管理装置。
【請求項7】
処理用端末機に表示される注文品のうち、準備を終えたもの及びテーブルに配膳が完了したものにはそれぞれその旨の表示がなされることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の飲食店の業務補助管理装置。
【請求項8】
ホストコンピュータに作成された注文情報データベースから抽出された所要の情報のハードコピーを印刷するプリンタを備えることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の飲食店の業務補助管理装置。
【請求項9】
プリンタにより印刷されるハードコピーは、各テーブルで注文された注文情報を印刷した注文明細書と精算会計時に発行する会計レシートを含むことを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の飲食店の業務補助管理装置。
【請求項10】
ホストコンピュータは、注文情報データベースから、各テーブル毎の注文情報を処理用端末機に表示する機能を有することを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の飲食店の業務補助管理装置。
【請求項11】
ホストコンピュータは、食材の在庫情報を含む食材在庫データベースを記録し、この食材在庫データベースは注文情報データベースと処理用端末機から入力されるデータにより更新されることを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の飲食店の業務補助管理装置。
【請求項12】
飲食店のメニューアイテムのリストを表示するモニタ機能とその表示されたメニューからメニューを選択して注文品、その員数及び客のテーブルの所在を示す卓番を含む注文情報を入力する入力機能とを有する注文入力用端末機と、
予め記録したメニューデータベースを備え、このデータベースにより前記注文入力用端末機のモニタにメニューアイテムのリストを表示すると共に、同注文入力用端末機で入力された注文情報から注文情報データベースを作成する機能を有するホストコンピュータと、
このホストコンピュータが作成した注文情報データベースを表示するモニタ機能と注文情報データベースの注文情報の更新が可能な入力機能を有する処理用端末機とを備える飲食店の業務補助管理装置を使用し、
前記ホストコンピュータの注文情報データベースは、前記注文入力用端末機によりに入力された注文情報により作成、蓄積される共に、注文入力用端末機によりに入力された注文情報及び管理用端末機から入力される注文情報に関するデータにより逐次更新されることを特徴とする飲食店の業務補助管理方法。
【請求項13】
飲食店のメニューアイテムのリストを表示するモニタ機能とその表示されたメニューからメニューを選択して注文品、その員数及び客のテーブルの所在を示す卓番を含む注文情報を入力する入力機能とを有する注文入力用端末機と、
予め記録したメニューデータベースを備え、このデータベースにより前記注文入力用端末機のモニタにメニューアイテムのリストを表示すると共に、同注文入力用端末機で入力された注文情報から注文情報データベースを作成する機能を有するホストコンピュータと、
このホストコンピュータが作成した注文情報データベースを表示するモニタ機能と注文情報データベースの注文情報の更新が可能な入力機能を有する処理用端末機とを備える飲食店の業務補助管理装置を使用し、
前記ホストコンピュータの注文情報データベースは、前記注文入力用端末機によりに入力された注文情報により作成、蓄積される共に、注文入力用端末機によりに入力された注文情報及び管理用端末機から入力される注文情報に関するデータにより逐次更新される機能を前記業務補助管理装置で実現するプログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図8】
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【図9】
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【図12】
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【図14】
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【図19】
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【図21】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図20】
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【図22】
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【公開番号】特開2006−301821(P2006−301821A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−120453(P2005−120453)
【出願日】平成17年4月19日(2005.4.19)
【出願人】(000183945)助川電気工業株式会社 (79)
【Fターム(参考)】