説明

香料マイクロカプセルを含有している漂白組成物

過酸素漂白剤と、結晶性ヒドロキシル含有安定化剤と、香料マイクロカプセルと、総組成物の10重量%以上の界面活性剤とを含み、化学的及び物理的に安定な液体組成物。香料マイクロカプセルは好ましくは、メラミンとホルムアルデヒドとの縮合から作製される高分子外殻を含む。布地を洗濯するための方法は、布地を上記漂白組成物と接触させる工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漂白組成物、より具体的には香料マイクロカプセルを含む過酸素漂白剤含有組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
過酸素漂白剤含有組成物は、洗濯洗剤、洗濯添加剤又は更には洗濯前処理剤としての洗濯用途に関して広範に記載されてきた。漂白性能に加えて好ましい香りを送達する目的だけでなく、全般的な消費者にとっての漂白組成物の許容性を改善する目的で、過酸素漂白剤含有組成物を含む多くの漂白組成物は香料を含む。
【0003】
実際に、今日では良好な香料を有することが消費者にとっては重要であり、一部の組成物は、洗濯物に好ましい香りを付与することを主目的としている。したがって、優れたホワイトニング及び洗浄性能に加え、好ましい香りを洗濯物に与える組成物を提供することは、当該技術分野において有意な利点になり得る。しかしながら従来の漂白組成物への、香料などの一部の成分の組み込みは、漂白組成物がこれらの特定の成分と化学的に反応するという傾向に起因して常に問題を呈してきた。
【0004】
ほとんどの場合、これらの化合物の添加は漂白組成物を不安定なものにする。より具体的には、このような漂白組成物は化学的に不安定なものである。つまり活性成分が経時的に消失し、それに伴ない組成物の効果が低下する傾向がある。この効果は、香料を組み込む場合に特に有意である。香料は保管時に漂白成分と反応し、その結果生じる組成物は、所望の効果、すなわち洗濯処理することによって良好な香りを送達するという効果を有していない。
【0005】
この問題を打開するためにいくつかの異なる方法が用いられてきた。洗剤及び漂白組成物に香料を導入することを考慮するこれらの方法の一つは、香料が封入された粒子形態のマイクロカプセル及び/又は化合物を使用するものである。以下の文書は、香料マイクロカプセルを含む漂白組成物に利用可能な、代表的な既知の技術である:
国際公開第00/032735号(2000年6月8日公開)は、マイクロカプセル化形態の香料を含有している、漂白配合物を開示する。
【0006】
米国特許第2003/012222号(2003年7月3日公開)は、少なくとも1種の香料を包み込む疎水性材料コアを有するカプセルを含む、洗剤及び洗浄剤に関する。
【0007】
しかしながら、漂白組成物に粒子形態のこのようなマイクロカプセル及び/又は化合物を添加することは、製品を物理的に不安定なものにする傾向がある。実際に、これらの漂白組成物は、特に保管時及び/又は移送時に沈降及び/又は析出する傾向がある。加えて、漂白組成物に粒子形態のこのようなマイクロカプセル及び/又は化合物を添加することは、多くの場合組成物を不均質にし、及び/又は組成物表面に層を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第00/032735号
【特許文献2】米国特許第2003/012222号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、香料マイクロカプセルが安定的に懸濁された漂白組成物を配合することに対して必要性が存在する。
【0010】
したがって本発明は、洗濯処理することにより良好な香りを送達すると同時に、優れた漂白性能も有する、安定的な漂白組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、過酸素漂白剤と、香料マイクロカプセルと、結晶性ヒドロキシル含有安定化剤と、総組成物の10重量%超過の界面活性剤とを含む、液体組成物を提供することで、上に定義された必要性を充足する。本発明のマイクロカプセルは好ましくは、メラミンとホルムアルデヒドとの縮合から作製される高分子外殻を含む。
【0012】
驚くべきことに、結晶性ヒドロキシル含有安定化剤及び総組成物の10重量%超過の界面活性剤を含む過酸素漂白組成物に、本発明のマイクロカプセルを組み込むことにより、香料マイクロカプセルを安定的に懸濁できることが判明している。
【0013】
マイクロカプセルを漂白剤製品中に安定的に懸濁することにより、漂白組成物中の香料マイクロカプセルが、保管及び/又は移送時に製品から沈降及び/又は析出する傾向が軽減される。
【0014】
漂白組成物製品からマイクロカプセルが沈降及び/又は析出する傾向が軽減される結果として、消費者は、この組成物で処理することにより洗濯物に堆積することになる、香料をより一貫して有する。更に、漂白組成物製品からマイクロカプセルが沈降及び/又は析出する傾向が軽減される結果として、製品の外観は均質のまま維持されることになる。
【0015】
他の態様では、本発明は、布地を洗濯するための方法にも関し、この方法は、布地を本発明の漂白組成物と接触させる工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(A)いずれの結晶性ヒドロキシル含有安定化剤も含まない液体組成物と、(B)結晶質ヒドロキシル含有安定化剤を含む液体組成物のレオロジー特性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、過酸素漂白剤と、香料マイクロカプセルと、結晶性ヒドロキシル含有安定化剤と、総組成物の10重量%超過の界面活性剤とを含む、液体組成物に関する。
【0018】
本発明の漂白組成物は化学的に安定であり、かつ物理的に安定である。「化学的に安定」は、組成物が香料の漏れを制限し、かつこの組成物に含有される活性成分(香料など)が時間と共に消失する傾向を有していないことを意味する。
【0019】
加えて本明細書において、「化学的に安定」はまた、異なる成分間で反応することに起因する化学変化が実質的に生じないことを意味する。この用語はまた、本発明の、過酸素漂白剤を含んでいるこのような組成物が、50℃にて2週間経過させた時点で有効酸素を20%超過して損失することはないことを意味する。本明細書の組成物の化学安定性は、組成物製造後の所与の保管時間での有効酸素濃度を測定することにより、評価することができる。有効酸素濃度は、当該技術分野において既知の化学的な滴定法(ヨウ素滴定法、過マンガン酸滴定法及びセリウム滴定法など)により測定することができる。この方法、及び適切な方法の選択についての基準は、例えば「Hydrogen Peroxide」,W.C.Schumb、C.N.Satterfield及びR.L.Wentworth、Reinhold Publishing Corporation,New York,1955及び「Organic Peroxides」、Daniel Swern、Editor Wiley Int.Science,1970に記載されている。別の方法としては、この組成物の化学的な安定性はまた、組成物を収容している容器又は瓶の膨張を視覚的に観察することによっても評価することができる。
【0020】
本発明の漂白組成物は物理的に安定である。本明細書において、「物理的に安定」は、本発明の組成物は、ストレス条件(例えば40℃にて2週間にわたる)下に曝露させた際に、2つ以上の相に分離しないことを意味する。「物理的に安定」はまた、本発明の組成物が沈降及び/又は析出しないこと、特に保管及び/又は移送時に沈降及び/又は析出しないことも意味する。加えて、この用語はまた、マイクロカプセルが組成物中に懸濁されたまま留まり、したがって製品が均質のまま維持されることも意味する。
【0021】
液体組成物
本発明に従う漂白組成物は液体組成物として配合される。「液体」は、液体、ゲル及びペーストを含むものを意味する。
【0022】
漂白組成物は、必須ではないが好ましくは水性組成物として配合される。本明細書において、液体漂白組成物は使用の便宜上好まれる。本発明の好ましい液体漂白組成物は水性であり、そのためこの組成物は、好ましくは水を含んでいてもよく、より好ましくは組成物全体の60重量%〜98重量%、更により好ましくは80重量%〜97重量%、最も好ましくは85重量%〜97重量%の量で水を含んでいてもよい。
【0023】
好ましい実施形態においては、本発明に従う液体組成物は中性〜酸性のpH範囲で配合され、すなわち本組成物のpHは、25℃にて未希釈の組成物を測定した場合に好ましくは5〜9、より好ましくは6〜8である。この中性〜酸性のpHの範囲内で、過酸素漂白剤の、最適な化学安定性と漂白及び/又はクリーニング性能とが得られる。
【0024】
より正確には、本明細書の液体漂白組成物のpHは、所与のオーダー内で増加させることが好ましく、25℃で未希釈の製品を測定した場合に好ましくは少なくとも、0.1、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5又は5である。
【0025】
独立して、本明細書の液体漂白組成物のpHは、所与のオーダー内で増加させることが好ましく、25℃で未希釈の製品を測定した場合に好ましくは9、8.5、8、7.5、7、6.5、6又は5.5以下である。
【0026】
したがって、本明細書の組成物は、必要に応じてpHを調整するために酸又は塩基を更に含んでいてもよい。本明細書で好ましい酸は、有機若しくは無機酸、又はこれらの混合物である。好ましい有機酸は、酢酸、クエン酸、又はこれらの混合物である。好ましい無機酸は、硫酸、リン酸、又はこれらの混合物である。本明細書で使用するのに特に好ましい酸は無機酸であり、最も好ましいものは硫酸である。存在する場合、かかる酸の典型的な濃度は、総組成物の0.01重量%〜3.0重量%であり、好ましくは0.05重量%〜2.0重量%であり、より好ましくは0.1重量%〜1.0重量%である。本明細書で使用される塩基は、有機又は無機塩基であり得る。本明細書で用いるのに好適な塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び/若しくは水酸化リチウムのような苛性アルカリ、並びに/又は酸化ナトリウム及び/若しくは酸化カリウムのようなアルカリ金属酸化物、又はこれらの混合物である。好ましい塩基は、苛性アルカリ、より好ましくは水酸化ナトリウム及び/又は水酸化カリウムである。その他の好適な塩基としては、アンモニア、炭酸アンモニウム及び炭酸水素アンモニウムが挙げられる。存在する場合、かかる塩基の典型的な濃度は、総組成物の0.01重量%〜1.0重量%であり、好ましくは0.05重量%〜0.8重量%であり、より好ましくは0.1重量%〜0.5重量%である。
【0027】
過酸素漂白剤
本発明に従う漂白組成物は、必須要素として過酸素漂白剤を含む。過酸素漂白剤の存在は、優れた漂白及び洗浄効果を提供する。
【0028】
本明細書で使用するのに好適な過酸素漂白剤は、好ましくは、過酸化水素、過酸化水素の水溶性源、有機又は無機過酸、ヒドロペルオキシド、ジアシルペルオキシド、及びこれらの混合物からなる群から選択される。本明細書で使用するとき、過酸化水素源は、水との接触により過酸化水素イオンを生成する任意の化合物を指す。本明細書で用いるのに好適な水溶性過酸化水素源としては、過炭酸塩、過ホウ酸塩及び過ケイ酸塩、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0029】
本明細書で用いるのに好適なジアシルペルオキシドとしては、脂肪族、芳香族及び脂肪族−芳香族ジアシルペルオキシド、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0030】
本明細書で用いるのに好適な脂肪族ジアシルペルオキシドはジラウロイルペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、過酸化ジミリストイル、又はこれらの混合物である。例えば本明細書で用いるのに好適な芳香族ジアシルペルオキシドは、過酸化ベンゾイルである。例えば本明細書で用いるのに好適な脂肪族−芳香族ジアシルペルオキシドは、ラウロイルベンゾイルペルオキシドである。
【0031】
本明細書で用いるのに好適な有機又は無機過酸としては、モノ過硫酸塩などの過硫酸塩、ジぺルオキシドデカンジオン酸(DPDA)などのぺルオキシ酸、過フタル酸マグネシウム、過ラウリン酸、フタロイルアミノペルオキシカプロン酸(PAP)、過安息香酸及びアルキル過安息香酸、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0032】
本明細書で用いるのに好適なヒドロペルオキシドは、tert−ブチルヒドロペルオキシド、クミルヒドロペルオキシド、2,4,4−トリメチルペンチル−2−ヒドロペルオキシド、ジ−イソプロピルベンゼン−モノヒドロペルオキシド、tert−アミルヒドロペルオキシド及び2,5−ジメチル−ヘキサン−2,5−ジヒドロペルオキシド、及びこれらの混合物である。このようなヒドロペルオキシドは、特に布地及び色調に対して安全でありながらも、任意の洗濯用途で使用する場合に優れた漂白性能を送達するという利点を有する。
【0033】
本明細書において好ましい過酸素漂白剤は過酸化水素、過酸化水素の水溶性源、有機又は無機過酸、ヒドロペルオキシド、及びジアシルペルオキシド、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0034】
本明細書においてより好ましい過酸素漂白剤は過酸化水素、過酸化水素の水溶性源、及びジアシルペルオキシド、及びこれらの混合物からなる群から選択される。本明細書において更により好ましい過酸素漂白剤は過酸化水素、過酸化水素の水溶性源、脂肪族ジアシルペルオキシド、芳香族ジアシルペルオキシド、及び脂肪族−芳香族ジアシルペルオキシド、及びこれらの混合物からなる群から選択される。本明細書において最も好ましい過酸素漂白剤は過酸化水素、過酸化水素の水溶性源、又はこれらの混合物である。
【0035】
本発明に従う液体組成物は、総組成物の0.1重量%〜30重量%の上記過酸素漂白剤を含む。好ましくは、本明細書の漂白組成物は、総組成物の1重量%〜20重量%、好ましくは2重量%〜15重量%、より好ましくは3重量%〜10重量%の上記過酸素漂白剤を含み得る。
【0036】
本発明に従う漂白組成物中の過酸素漂白剤の存在は、漂白可能な染みのような点染み(例えばコーヒー、飲料、食事)が挙げられる様々なタイプの汚れに対する、本発明の組成物の優れた漂白及び/又はクリーニング性能に寄与する。更に本明細書において、過酸素漂白剤は、例えば、布地、特に染色された布地に対してより安全であるとみなされているような次亜ハロゲン酸漂白剤などの他の酸化剤に勝る酸化剤として選択される。
【0037】
本明細書において、「漂白可能な染み」は、任意の敷物に見出される場合のある、漂白剤感受性の成分を含有している任意の汚れ又は染み(例えばコーヒー又は紅茶などの染み)を意味する。
【0038】
香料マイクロカプセル
本発明の液体組成物は必須成分として香料マイクロカプセルを含む。本明細書において、「香料マイクロカプセル」は、マイクロカプセルに封入された香料を意味する。
【0039】
本発明の香料マイクロカプセルは、少なくとも1種の香料を包み込むコア材料と、壁材と、上記コア材料を少なくとも部分的に囲む殻とを含む。
【0040】
本発明の壁材は、物理的及び化学的特性の特定の組み合わせを有する。カプセル殻の物理的及び化学的特性は、破壊強度、粒径、粒子壁厚及び香料マイクロカプセルの漏れ性である。この物理的及び化学的特性は、当業者により一般に使用されている技術及び方法により評価することができる。したがって、出願者らの試験方法に従って試験したとき、上記マイクロカプセルの少なくとも75%、85%又は更には90%は、0.2MPa〜10MPa、0.4MPa〜5MPa、0.6MPa〜3.5MPa、又は更には0.7MPa〜3MPaの破壊強度、及び0%〜30%、0%〜20%、又は更には0%〜5%のマイクロカプセルの漏れ性を有する。本発明の一態様では、上記香料マイクロカプセルの少なくとも75%、85%又は更には90%は、1マイクロメートル〜80マイクロメートル、5マイクロメートル〜60マイクロメートル、10マイクロメートル〜50マイクロメートル、又は更には15マイクロメートル〜40マイクロメートルの粒径を有する。
【0041】
本発明の他の態様では、上記マイクロカプセルの75%、85%又は更には90%は60nm〜250nm、80nm〜180nm、又は更には100nm〜160nmの壁厚を有する。
【0042】
本発明の一実施形態では、マイクロカプセルの壁材は、好適な樹脂(アルデヒドとアミンとの反応生成物が挙げられる)を含む。本発明に従う好適なアルデヒドとしてはホルムアルデヒドが挙げられ、好適なアミンとしてはメラミン、尿素、ベンゾグアナミン、グリコルリル、及びこれらの混合物が挙げられる。好適なメラミンには、メチロールメラミン、メチル化メチロールメラミン、イミノメラミン及びこれらの混合物が挙げられる。好適な尿素には、ジメチロール尿素、メチル化ジメチロール尿素、尿素−レゾルシノール、及びこれらの混合物が挙げられる。製造に好適な材料は、以下の企業のうちの1つ以上から入手することができる:Solutia Inc.(St Louis,Missouri U.S.A.)、Cytec Industries(West Paterson,New Jeresy U.S.A.)、sigma−Aldrich(St.Louis,Missouri U.S.A.)。
【0043】
本発明の好ましい実施形態では、マイクロカプセルの壁は、メラミンとホルムアルデヒドとの縮合から作製される。
【0044】
本発明の一態様では、香料マイクロカプセルのコアは、香料原材料からなる群から選択される材料を含む。
【0045】
本発明の一態様では、上記香料マイクロカプセルは、総粒子重量に基づいて20重量%〜95重量%、50重量%〜90重量%、70重量%〜85重量%、又は更には80重量%〜85重量%の香料組成物を含む。
【0046】
本明細書で用いるのに好適な香料としては、嗅覚的に審美的な効果を提供し、及び/又は製品が有し得る何らかの「化学的」な臭気を覆い隠す材料が挙げられる。したがって、「香料」は、所望の嗅覚特性を有する任意の物質を意味する。このような物質としては、香水又は洗濯洗剤又は洗浄製品組成物に一般に使用される、全ての芳香剤又は香料が含まれる。
【0047】
このような香料は、中性で、半合成的な又は合成的な起源を有し得る。好ましくは、香料は、炭化水素、アルデヒド又はエステルを含む物質の部類から選択される。
【0048】
また、本発明の香料としては、オレンジ油、レモン油、バラ抽出物、ラベンダー、ジャコウ、パチョリ、バルサムエッセンス、ビャクダン油、松根油、及びシダー油などの成分の複合混合物を含み得る、天然の抽出物及び/又はエッセンスも挙げられる。本発明に従う香料は、単独の物質として又は他の物質との混合物として使用することができる。
【0049】
したがって、マイクロカプセルのコアは、単独の疎水性材料として香料のみを含む場合があり、あるいはマイクロカプセルのコアは、香料に加えて、香料を溶解又は分散する疎水性材料を更に含む場合がある。
【0050】
芳香剤又は香料に加え、コア材料として使用することができる疎水性材料としては、全ての種類の植物油、動物油、鉱物油、パラフィン、クロロパラフィン、フッ化炭素及び他の合成油が挙げられる。
【0051】
かかる材料は、ヒマシ油(caster oil)、ココナッツ油、綿実油、ブドウ油、菜種、大豆油、コーン油、パーム油、亜麻仁油、ベニバナ油、オリーブ油、ピーナッツ油、ココナッツ油、パーム核油、ヒマシ油(castor oil)、レモン油及びこれらの混合物などの、純粋な及び/又はブレンドされた植物油などの、植物油;植物油のエステル、ジブチルアジパート、ジブチルフタレート、ブチルベンジルアジパート、ベンジルオクチルアジパート、トリクレシルホスフェート、トリオクチルホスフェート及びこれらの混合物などのエステル;80℃を超える沸点を有する直鎖若しくは分枝鎖炭化水素などの、直鎖若しくは分枝鎖炭化水素;部分水素化テルフェニル、ジアルキルフタレート、モノイソプロピルビフェニルなどのアルキルビフェニル、ジプロピルナフタレンなどのアルキル化ナフタレン、ケロシンなどの石油スピリット、鉱油及びこれらの混合物;ベンゼン、トルエン及びこれらの混合物などの芳香族溶剤;シリコーン油;並びにこれらの混合物からなる群から選択される材料からなる群から選択され得る。
【0052】
本明細書での使用に好適な香料成分及び組成物は、当該技術分野において既知の従来のものである。どのような香料成分又は香料の量を選択するかは、主に審美的考慮に基づく。
【0053】
当該技術分野において見出すことのできる好適な香料化合物及び組成物としては、米国特許番号第4,145,184号(Brain及びCummins、1979年5月20日発行)、同第4,209,417号(Whyte、1980年6月24日発行)、同第4,515,705号(Moeddel、1985年5月7日発行)、及び同第4,152,272号(Young、1979年5月1日発行)が挙げられる。
【0054】
結晶性ヒドロキシル含有安定化剤
本発明の液体組成物は、重要な成分として、結晶性ヒドロキシル含有安定化剤を含む。この剤の存在は、実際に組成物の物理的安定性を改善する。
【0055】
結晶性ヒドロキシル含有安定化剤は、液体組成物の0.1重量%〜10重量%、より好ましくは0.1重量%〜3重量%、最も好ましくは0.3重量%〜2重量%で本発明の液体組成物中に存在し得る。
【0056】
結晶性ヒドロキシル含有安定化剤は、脂肪酸、脂肪酸エステル、又は脂肪石鹸水不溶性ワックス様物質とすることができる。本発明に従う結晶性ヒドロキシル含有安定化剤は、好ましくはヒマシ油誘導体であり、特に硬化ヒマシ油である。より好ましい実施形態では、結晶性ヒドロキシル含有安定化剤はヒマシワックスである。
【0057】
本発明の別の実施形態では、本発明の結晶性ヒドロキシル含有剤は以下のもの:
i)
【化1】

(式中、
【化2】

であり、
はR又はHであり、RはR又はHであり、Rは独立して少なくとも1つのヒドロキシル基を含むC10〜C22アルキル又はアルケニルである);
ii)
【化3】

(式中、
【化4】

であり、
はi)で上記に定義された通りであり、MはNa、K、Mg++若しくはAl3+、又はHである);及び
iii)これらの混合物
からなる群から選択される。
【0058】
あるいは、結晶性ヒドロキシル含有安定化剤は以下の式を有し得る:
【化5】

式中、(x+a)は11〜17であり、(y+b)は11〜17であり、及び(z+c)は11〜17である。好ましくは、結晶性ヒドロキシル含有安定化剤は、x=y=z=10であり及び/又はa=b=c=5である式を有する。
【0059】
市販の結晶性ヒドロキシル含有安定化剤としては、Thixcin(登録商標)(Rheox,Inc.)が挙げられる。
【0060】
Thixcin(登録商標)に加え、結晶性ヒドロキシル含有安定化剤としての使用に好適な別の材料としては、限定するものではないが以下の式の化合物が挙げられる:
Z−(CH(OH))−Z’
式中、aは2〜4であり、好ましくはaは2であり、Z及びZ’は疎水基、特にC〜C20アルキル若しくはシクロアルキル、C〜C24アルカリル若しくはアラルキル、C〜C20アリール又はこれらの混合物から選択される疎水基である。所望により、Zはエーテル又はエステルと同様に、1個以上の非極性酸素原子を含有することができる。このような代替的な物質の非限定的な例は、1,4−ジ−O−ベンジル−D−トレイトールのR,R及びS,S形態、並びに任意の混合物であり、光学的に活性であるか又は活性ではない。
【0061】
界面活性剤
本発明の組成物は、必須成分として界面活性剤又はこれらの混合物を含む。
【0062】
組成物は、総組成物の10重量%〜40重量%、好ましくは12重量%〜30重量%、より好ましくは15重量%〜25重量%の界面活性剤を含む。
【0063】
このような特定の量で界面活性剤が存在することが、組成物の優れたクリーニング性能並びに良好な物理的安定性をもたらすのに必須である。
【0064】
本明細書で用いるのに好適な界面活性剤としては、任意の非イオン性、アニオン性、双極性イオン性、カチオン性及び/又は両性界面活性剤が挙げられる。本明細書で用いるのに特に好適な界面活性剤は、本明細書で以降に記載の、アルコキシル化非イオン性界面活性剤及び/又はポリヒドロキシ脂肪酸アミド界面活性剤及び/又はアミンオキシドなどの非イオン性界面活性剤、並びに/あるいは双極性イオン性ベタイン界面活性剤のような双極性界面活性剤である。
【0065】
好適な非イオン性界面活性剤としては、アルコキシル化非イオン性界面活性剤が挙げられる。本明細書において好ましいアルコキシル化非イオン性界面活性剤は式RO−(CO)nH(式中、RはC〜C22アルキル鎖又はC〜C28アルキルベンゼン鎖であり、ここでnは0〜20、好ましくは1〜15、より好ましくは2〜15、最も好ましくは2〜12である)に従うエトキシル化非イオン性界面活性剤である。本明細書で用いるのに好ましいR鎖はC〜C22アルキル鎖である。本明細書において、プロポキシル化非イオン性界面活性剤及びエトキシル化/プロポキシル化非イオン性界面活性剤もまた、本明細書で上記に定義されるエトキシル化非イオン性界面活性剤の代わりに、あるいはかかる界面活性剤と一緒に用いることができる。
【0066】
好ましいエトキシル化非イオン性界面活性剤は、上記の式に従う、実質的に直鎖のエトキシル化非イオン性界面活性剤である。本明細書において、「直鎖」は、非イオン性界面活性剤(原材料)の基材として用いられる脂肪族アルコールの総量の、少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも97重量%、及び最も好ましくは100重量%が直鎖(すなわち直線状鎖)脂肪族アルコールである、脂肪族アルコールを意味する。
【0067】
本明細書で用いるのに好適な、実質的に直鎖のエトキシル化非イオン性界面活性剤はMarlipal(登録商標)24−7(Rは直鎖C12〜C14アルキル鎖の混合であり、nは7である)、Marlipal(登録商標)24−4(Rは直鎖C12〜C14アルキル鎖の混合であり、nは4である)、Marlipal(登録商標)24−3(Rは直鎖C12〜C14アルキル鎖の混合であり、nは3である)、Marlipal(登録商標)24−2(Rは直鎖C12及びC14アルキル鎖の混合であり、nは2である)、又はこれらの混合物である。本明細書において好ましいものは、Marlipal(登録商標)24−7、Marlipal(登録商標)24−4、又はこれらの混合物である。これらのMarlipal(登録商標)界面活性剤はCondeaから市販されている。
【0068】
好ましいエトキシル化非イオン性界面活性剤は上記の式に従い、かつ16を下回る、好ましくは15を下回る、及びより好ましくは14を下回るHLB(親水性−親油性バランス)を有する。これらのエトキシル化非イオン性界面活性剤は、良好な油落とし特性をもたらすことが見出されてきた。
【0069】
したがって、本明細書で用いるのに好適なエトキシル化非イオン性界面活性剤はDobanol(登録商標)又はLutensol(登録商標)エトキシル化非イオン性界面活性剤シリーズである。本明細書において好ましいものは、Dobanol(登録商標)91−2.5、又はLutensol(登録商標)TO3、又はLutensol(登録商標)AO3、又はTergitol(登録商標)25L3、又はDobanol(登録商標)23−3、又はDobanol(登録商標)23−2、又はDobanol(登録商標)45−7、Dobanol(登録商標)91−8、又はDobanol(登録商標)91−10、又はDobanol(登録商標)91−12、又はこれらの混合物である。これらのDobanol(登録商標)界面活性剤はSHELLから市販されている。これらのLutensol(登録商標)界面活性剤はBASFから市販され、これらのTergitol(登録商標)界面活性剤はUNION CARBIDEから市販されている。
【0070】
本明細書で用いるのに好適なアルコキシル化非イオン性界面活性剤の化学的な調製方法としては、所望の割合での、対応するアルコールとアルキレンオキシドとの縮合が挙げられる。このような方法は当業者に周知であり、当該技術分野において広範に記載されてきた。
【0071】
本明細書で用いるのに好適な双極性イオン性ベタイン界面活性剤は、比較的広範なpHにおいて、カチオン性親水基(すなわち四級アンモニウム基)とアニオン性親水基の両方を同じ分子上に含有する。典型的なアニオン性親水基は、カルボキシレート及びスルホネートであるが、スルフェート、ホスホネートなどのような他の基も使用することができる。本明細書で使用される双極性イオン性ベタイン界面活性剤の一般式は:R−N+(R)(R)RX−(式中、Rは疎水基であり、Rは水素、C〜Cアルキル、ヒドロキシアルキル又は他の置換C〜Cアルキル基であり、RはC〜Cアルキル、ヒドロキシアルキル又はRにも結合してNを有する環状構造を形成し得る他の置換C〜Cアルキル基、又はC〜Cスルホン酸基であり、Rはカチオン性窒素原子を親水基に結合させる部分であり、典型的にはアルキレン、ヒドロキシアルキレン、又は1〜10個の炭素原子を含有しているポリアルコキシ基であり、かつXは親水基であり、カルボキシレート又はスルホン酸基である)である。
【0072】
好ましい疎水基Rは脂肪族又は芳香族の、飽和又は不飽和の、置換又は未置換の炭化水素鎖であり、アミド基、エステル基などの結合基を含有し得る。より好ましいRは、1〜24個、好ましくは8〜18個、及びより好ましくは10〜16個の炭素原子を含有する、アルキル基である。これらの単純なアルキル基は費用及び安定性の理由から好ましい。しかしながら、疎水基Rはまた、式Ra−C(O)−NH−(C(Rb))m(式中、Raは脂肪族又は芳香族の、飽和又は不飽和の、置換又は未置換の炭化水素鎖であり、好ましくはアルキル基は8〜20個、好ましくは最大で18個、より好ましくは最大で16個の炭素原子を含有し、Rbは水素及びヒドロキシル基からなる群から選択され、かつmは1〜4、好ましくは2〜3、より好ましくは3であり、任意の(C(Rb))部分には1個以下のヒドロキシル基を有する)のアミドラジカルであってもよい。
【0073】
好ましいRは水素又はC〜Cアルキルであり、より好ましくはメチルである。好ましいRはC〜Cスルホン酸基又はC〜Cアルキル基であり、より好ましくはメチル基である。好ましいRは(CH(式中、nは1〜10、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜3の整数である)である。
【0074】
本明細書において組成物に使用するのに好適なアニオン性界面活性剤としては、式ROSOM(式中、好ましくはRはC10〜C24ヒドロカルビルであり、好ましくはC10〜C20アルキル成分を有するアルキル又はヒドロキシアルキルであり、より好ましくはC12〜C18アルキル又はヒドロキシアルキルであり、MはH又は、例えばアルカリ金属カチオン(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム)又はアンモニウム若しくは置換アンモニウム(例えば、メチル−、ジメチル−、及びトリメチルアンモニウムカチオン及び第四級アンモニウムカチオン、例えばテトラメチル−アンモニウム及びジメチルピペリジニウム(piperdinium)カチオン、並びにエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、及びこれらの混合物のようなアルキルアミンから誘導される第四級アンモニウムカチオン及び同様物)などのカチオンである)の水溶性の塩又は酸が挙げられる。典型的には、低い洗浄温度(例えば50℃を下回る温度)ではC1216アルキル鎖が好ましく、高い洗浄温度(例えば50℃を上回る温度)ではC1618アルキル鎖が好ましい。
【0075】
本明細書で用いるのに好適な他のアニオン性界面活性剤は、式RO(A)SOM(式中、Rは未置換のC10〜24アルキル又はC10〜C24アルキル成分を有するヒドロキシアルキル基であり、好ましくはC12〜C20アルキル若しくはヒドロキシアルキル、より好ましくはC12〜C18アルキル若しくはヒドロキシアルキルであり、Aはエトキシ又はプロポキシ単位であり、mは0を超え、典型的には0.5〜6であり、より好ましくは0.5〜3であり、かつMはH又は例えば金属カチオン(例えばナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウムなど)、アンモニウム若しくは置換アンモニウムカチオンであり得るカチオンである)の水溶性の塩又は酸である。アルキルエトキシル化スルフェート並びにアルキルプロポキシル化スルフェートについて本明細書において考察される。置換アンモニウムカチオンの具体例としては、メチル−、ジメチル−、トリメチルアンモニウム、及びテトラメチルアンモニウム、ジメチルピペリジニウム(piperdinium)のような第四級アンモニウムカチオン、並びに、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、及びこれらの混合物のようなアルカノールアミンから誘導されるカチオンなどが挙げられる。代表的な界面活性剤はC12〜C18アルキルポリエトキシレート(1.0)サルフェート(C12〜C18E(1.0)SM)、C12〜C18アルキルポリエトキシレート(2.25)サルフェート(C12〜C18E(2.25)SM)、C12〜C18アルキルポリエトキシレート(3.0)サルフェート(C12〜C18E(3.0)SM)、及びC12〜C18アルキルポリエトキシレート(4.0)サルフェート(C12〜C18E(4.0)SM)であり、式中、Mは便宜的にナトリウム及びカリウムから選択される。
【0076】
本明細書で用いるのに好適な他のアニオン性界面活性剤はスルホン化アニオン性界面活性剤であり、本明細書で用いるのに好適なスルホン化アニオン性界面活性剤としてはアルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルキルアルコキシル化スルホン酸塩、C〜C20アルキルアルコキシル化直鎖若しくは分枝鎖ジフェニルオキシドジスルホン酸塩又はこれらの混合物が挙げられる。本明細書で用いるのに好適なアルキルスルホン酸塩としては、式RSOM(式中、RはC〜C20の直鎖又は分枝鎖の、飽和又は不飽和アルキル基、好ましくはC〜C18アルキル基、及びより好ましくはC14〜C17アルキル基であり、MはHあるいは、例えばアルカリ金属カチオン(例えばナトリウム、カリウム、リチウム)又はアンモニウム若しくは置換アンモニウム(例えばメチル−、ジメチル−、及びトリメチルアンモニウムカチオン及び四級アンモニウムカチオン、例えばテトラメチル−アンモニウム及びジメチルピペリジニウムカチオン、並びにエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、及びこれらの混合物のようなアルキルアミンから誘導される第四級アンモニウムカチオン及び同様物)などのカチオンである)の水溶性の塩又は酸が挙げられる。本明細書で用いるのに好適なアルキルアリールスルホン酸塩としては、式RSOM(式中、RはC〜C20の直鎖又は分枝鎖の、飽和又は不飽和アルキル基、好ましくはC〜C18アルキル基、より好ましくはC10〜C16アルキル基で置換された、アリール、好ましくはベンジルであり、MはH又は例えばアルカリ金属カチオン(例えばナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、及び同様物)、又はアンモニウム若しくは置換アンモニウム(例えばメチル−、ジメチル−、及びトリメチルアンモニウムカチオン及び四級アンモニウムカチオン、例えばテトラメチル−アンモニウム及びジメチルピペリジニウム(piperdinium)カチオン、及びエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、及びこれらの混合物のようなアルキルアミンから誘導される四級アンモニウムカチオン及び同様物)などのカチオンである)の水溶性の塩又は酸が挙げられる。
【0077】
本明細書において、「直鎖アルキルスルホン酸塩」は未置換のアルキルスルホン酸塩を意味し、ここでアルキル鎖は6〜20個の炭素原子、好ましくは8〜18個の炭素原子、より好ましくは14〜17個の炭素原子を含み、このアルキル鎖は末端の1つがスルホン化されている。
【0078】
本明細書で用いるのに好適なアルコキシル化スルホン酸塩界面活性剤は、式R(A)SOM(式中、Rは直鎖又は分枝鎖のC〜C20アルキル成分、好ましくはC12〜C20アルキル又はヒドロキシアルキル、より好ましくはC12〜C18アルキル又はヒドロキシアルキルを有する、未置換のC〜C20アルキル、ヒドロキシアルキル又はアルキルアリール基であり、Aはエトキシ又はプロポキシ又はブトキシ単位であり、mは0を超え、典型的には0.5〜6、より好ましくは0.5〜3であり、かつMはH又は例えば金属カチオン(例えばナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウムなど)、アンモニウム若しくは置換アンモニウムカチオンであり得るカチオンである)に従うものである。アルキルエトキシル化スルホン酸塩、アルキルブトキシ化スルホン酸塩並びにアルキルプロポキシル化スルホン酸塩は本明細書において想到される。置換アンモニウムカチオンの具体例としては、メチル−、ジメチル−、トリメチル−アンモニウム、及びテトラメチル−アンモニウム、ジメチルピペリジニウム(piperdinium)のような第四級アンモニウムカチオン、並びに、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、及びこれらの混合物のようなアルカノールアミンから誘導されるカチオンなどが挙げられる。代表的な界面活性剤はC12〜C18アルキルポリエトキシレート(1.0)スルホン酸塩(C12〜C18E(1.0)SO3M)、C12〜C18アルキルポリエトキシレート(2.25)スルホン酸塩(C12〜C18E(2.25)SO3M)、C12〜C18アルキルポリエトキシレート(3.0)スルホン酸塩(C12〜C18E(3.0)SO3M)、及びC12〜C18アルキルポリエトキシレート(4.0)スルホン酸塩(C12〜C18E(4.0)SOM)である(式中、Mは便宜的にナトリウム及びカリウムから選択される)。特に好適なアルコキシル化スルホン酸塩としては、Union Carbideから市販されているTriton X−200(登録商標)のようなアルキルアリールポリエーテルスルホン酸塩が挙げられる。
【0079】
本明細書において好適な他のアニオン性界面活性剤としてはスルホコハク酸塩界面活性剤、アルキルカルボン酸塩界面活性剤、スルホスクシナマート界面活性剤及びスルホスクシンアミド界面活性剤が挙げられる。
【0080】
本明細書で用いるのに好適なアルキルカルボン酸塩界面活性剤は、式RCOM(式中、Rは、6〜20個、好ましくは8〜18個、より好ましくは10〜16個の炭素原子を含有する直鎖又は分枝鎖アルキルラジカル、並びにアルキル基中に6〜18個の炭素原子を含有するアルキルフェニルラジカル、からなる群から選択される、炭化水素基を表す)に従うものである。MはH又は例えばアルカリ金属カチオン(例えばナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム及び同様物など)又はアンモニウム若しくは置換アンモニウム(例えばメチル−、ジメチル−、及びトリメチルアンモニウムカチオン及び第四級アンモニウムカチオン、例えばテトラメチル−アンモニウム及びジメチルピペリジニウム(piperdinium)カチオン、及びエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、及びこれらの混合物などのアルキルアミンから誘導した第四級アンモニウムカチオン、及び同様物など)などのカチオンを意味する。
【0081】
洗浄目的のために有用な他のアニオン性界面活性剤も、本明細書で使用することができる。これらとしては、石鹸の塩(例えばナトリウム、カリウム、アンモニウム並びにモノ−、ジ−及びトリエタノールアミン塩などの置換アンモニウム塩)、アルカリ土類金属クエン酸塩の熱分解産物をスルホン化することにより調製されるスルホン化ポリカルボン酸(例えば英国特許第1,082,179号明細書に記載されるもの)、C〜C24アルキルポリグリコールエーテル硫酸塩(最大で10モルのエチレンオキシドを含有している)、C1416メチルエステルスルホン酸塩などのアルキルエステルスルホン酸塩、アシルグリセロールスルホン酸塩、脂肪族オレイルグリセロール硫酸塩、アルキルフェノールエチレンオキシドエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、アシルイセチオネートなどのイセチオネート、N−アシルタウレート、アルキルポリグルコシドの硫酸塩などのアルキルポリ多糖の硫酸塩(以下に記載される非イオン性非硫酸化化合物)、分枝鎖第一級アルキル硫酸塩、式RO(CHCHO)kCHCOO(式中、RはC〜C22アルキルであり、kは0〜10の整数であり、Mは可溶性の塩形態のカチオンである)のものなどのアルキルポリエトキシカルボン酸塩を挙げることができる。ロジン、水素添加ロジン、並びにトール油中に存在する又はトール油から誘導される樹脂酸及び水素添加樹脂酸のような、樹脂酸及び水素添加樹脂酸も好適である。
【0082】
同様に、本明細書で使用するのに好適な他のアニオン性界面活性剤としては、酸及び/又は塩形態のアシルサルコシン酸塩も挙げられる。天然脂肪酸の誘導体としては、上記アシルサルコシン酸塩が迅速にかつ完全に生分解可能なのものであり、良好な皮膚適合性を有する。
【0083】
任意成分
本明細書の組成物は、キレート剤、ビルダー、ラジカルスカベンジャー、酸化防止剤、漂白活性化剤、汚れ懸濁ポリマー、触媒、増白剤、顔料及び染料などの、様々な他の任意成分を更に含み得る。
【0084】
キレート剤
本発明の漂白組成物は、非常に好ましい任意成分としてキレート剤を含み得る。
【0085】
好適なキレート化剤としては、ホスホネートキレート化剤、アミノカルボキシレートキレート化剤、他のカルボキシレートキレート化剤、多官能置換された芳香族キレート化剤、エチレンジアミンN,N’−二コハク酸又はこれらの混合物を含む群から選択されるもののような、当該技術分野において既知のもののうちいずれかであってよい。
【0086】
本明細書で使用されるのに好適なホスホネートキレート剤としては、アルカリ金属エタン1−ヒドロキシジホスホネート(HEDP)、アルキレンポリ(アルキレンホスホネート)、アミノアミノトリ(メチレンホスホン酸)(ATMP)、ニトリロトリメチレンホスホネート(NTP)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホネート、及びジエチレントリアミンペンタメチレンホスホネート(DTPMP)を包含するアミノホスホネート化合物を挙げることができる。ホスホン酸塩化合物は、その酸形態であるか又はその酸性官能基の一部若しくは全ての上での異なるカチオンの塩として存在し得る。本発明で用いるのに好ましいホスホネートキレート剤は、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホネート(DTPMP)及びエタン1−ヒドロキシジホスホネート(HEDP)である。このようなホスホネートキレート剤は、Monsantoから商標名DEQUEST(登録商標)で市販されている。
【0087】
多官能性置換芳香族キレート剤も本明細書中の組成物において有用な場合がある。1974年5月21日にConnorらに対して発行された、米国特許第3,812,044号明細書を参照のこと。この種の酸型の好ましい化合物は、1,2−ジヒドロキシ−3,5−ジスルホベンゼンなどのジヒドロキシジスルホベンゼンである。本明細書で用いるのに好ましい生分解性キレート剤は、エチレンジアミンN,N’−二コハク酸、又はアルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩若しくはそれらの置換アンモニウム塩、又はこれらの混合物である。エチレンジアミンN,N’−二コハク酸、特に(S,S)異性体については、米国特許第4,704,233号(Hartman及びPerkins、1987年11月3日)に広く記載されている。エチレンジアミンN,N’−二コハク酸は、例えば、商品名ssEDDS(登録商標)でPalmer Research Laboratoriesから市販されている。
【0088】
本発明で用いるのに好適なアミノカルボキシレートとしては、酸型、又はアルカリ金属塩、アンモニウム塩、及び置換アンモニウム塩の形態の双方での、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミンテトラプロピオネート、トリエチレンテトラアミン六酢酸、エタノール−ジグリシン、プロピレンジアミン四酢酸(PDTA)、及びメチルグリシン二酢酸(MGDA)が挙げられる。本明細書で用いるのに特に好適なアミノカルボキシレートは、ジエチレントリアミン五酢酸、例えばBASFから商品名Trilon FS(登録商標)で市販されているプロピレンジアミン四酢酸(PDTA)、及びメチルグリシン二酢酸(MGDA)である。
【0089】
更に、本発明で用いるカルボキシレートキレート剤としてはサリチル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、マロン酸、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0090】
本明細書で用いるのに特に好ましいキレート剤は、アミノアミノトリ(メチレンホスホン酸)、ジ−エチレン−トリアミノ−五酢酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホネート、1−ヒドロキシエタンジホスホネート、エチレンジアミンN,N’−二コハク酸、及びこれらの混合物である。
【0091】
典型的には、本発明に従う漂白組成物は、総組成物の5重量%まで、好ましくは0.01重量%〜1.5重量%、より好ましくは0.01重量%〜0.5重量%のキレート化剤又はその混合物を含み得る。
【0092】
好ましくは組成物は、総組成物の0.5重量%未満のキレート剤、好ましくは、総組成物の0.5重量%未満のHEDPを含む。
【0093】
ビルダー
本発明の漂白組成物は1種以上のビルダー及び/又は修飾ポリカルボキシレートコビルダーを更に含み得る。
【0094】
好適なビルダーは、有機酸及びこれらの塩、ポリカルボキシレート、及びこれらの混合物からなる群から選択される。典型的には、このようなビルダーは少なくとも3のカルシウムイオン安定度定数(pKCa)を有する。本明細書において、ビルダー又はこれらの混合物のpKCa値は、0.1MのNHCl−NHOH緩衝液(25℃にてpH 10)及び0.1%の上記ビルダー又はこれらの混合物と共に標準的なカルシウムイオン電極を用いることで測定される。
【0095】
ビルダーの例は、クエン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、リンゴ酸、モノコハク酸、二コハク酸、オキシ二コハク酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、ジグリコール酸、カルボキシメチルタルトロン酸、二タルトロン酸及び他の有機酸又はこれらの混合物などの有機酸である。有機酸の好適な塩としては、アルカリ塩(好ましくはナトリウム又はカリウム)、アルカリ土類金属塩、アンモニウム又はアルカノールアミン塩が挙げられる。
【0096】
このような有機酸及びこれらの塩はJungbunzlaur、Haarman & Reimen、Sigma−Aldrich又はFlukaから市販されている。
【0097】
他の好適なビルダーとしては、非常に様々なポリカルボキシレート化合物が挙げられる。本明細書で使用するとき、「ポリカルボキシレート」は、複数のカルボン酸基、好ましくは少なくとも3個のカルボン酸基を有する化合物を指す。一般に、ポリカルボキシレートビルダーは、酸形態で組成物に加えることができるが、中和された塩又は「塩基過剰(overbase)」の形態で加えることもできる。塩の形態で用いる時は、ナトリウム、カリウム、及びリチウムのようなアルカリ金属塩、又はアルカノールアンモニウム塩が好ましい。有用なポリカルボキシレートとしては、アクリル酸のホモポリマー、並びにアクリル酸とマレイン酸とのコポリマーが挙げられる。
【0098】
他の有用なポリカルボキシレートビルダーとしては、エーテルヒドロキシポリカルボキシレート、無水マレイン酸とエチレン又はビニルメチルエーテルとのコポリマー、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン−2,4,6−トリスルホン酸、及びカルボキシメチルオキシコハク酸、ニトリロ三酢酸のようなポリ酢酸の各種アルカリ金属塩、アンモニウム塩及び置換型アンモニウム塩、並びにメリト酸、コハク酸、オキシ二コハク酸、ポリマレイン酸、ベンゼン−1,3,5−トリカルボン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、及びこれらの可溶性塩のようなポリカルボキシレートが挙げられる。
【0099】
好適なポリカルボキシレートはRohm & Haasから商品名Norasol(登録商標)又はAcusol(登録商標)で市販されている。
【0100】
本明細書において好ましいビルダーは、クエン酸塩、酒石酸塩、酒石酸モノコハク酸塩(tartrate monosuccinate)、二コハク酸酒石酸塩(tartrate disuccinate)、乳酸、シュウ酸、及びリンゴ酸、及びこれらの混合物からなる群から選択される。本明細書において更に好ましいビルダーは、クエン酸塩、酒石酸塩、酒石酸モノコハク酸塩、酒石酸二コハク酸塩、及びリンゴ酸、及びこれらの混合物からなる群から選択される。本明細書において最も好ましいビルダーは、クエン酸塩、酒石酸塩、酒石酸モノコハク酸塩、及び酒石酸二コハク酸塩、並びにこれらの混合物からなる群から選択される。
【0101】
典型的には、本明細書において漂白組成物は、総組成物の最大40重量%まで、好ましくは0.01重量%〜25重量%、より好ましくは0.1重量%〜15重量%、最も好ましくは0.5重量%〜10重量%の上記ビルダーを含み得る。
【0102】
本発明の組成物は、修飾されたポリカルボキシレートコビルダーを更に含み得る。用語「ポリカルボキシレート」は、複数のカルボキシレート基、好ましくは少なくとも3個のカルボキシレート基を有する化合物を指す。
【0103】
本明細書において、「修飾されたポリカルボキシレート」はポリカルボキシレート化合物の少なくとも1つの端部で、すなわちポリカルボキシレート鎖で、上記化合物が官能基(例えばホスホノ基)で修飾されていることを意味する。好ましい修飾されたポリカルボキシレートコビルダーは、ホスホノ末端基を有するポリカルボキシレートである。本明細書において、「ホスホノ末端基」は以下の式に従うホスホノ官能基を意味する:
【化6】

式中、各Mは独立してH又はカチオンであり、好ましくはMはどちらもHである。
【0104】
ホスホノ末端基を有するポリカルボキシレートの好適な例は、ホスホノ末端基を有するアクリル酸とマレイン酸とのコポリマー、及びホスホノ末端基を有するアクリル酸のホモポリマーである。このような修飾されたポリカルボキシレートは、Rohm & Haasから、商標名Acusol 425(登録商標)、Acusol 420(登録商標)又はAcusol 470(登録商標)で市販されている。
【0105】
典型的には、本明細書において漂白組成物は、総組成物の最大40重量%まで、好ましくは0.01重量%〜25重量%、より好ましくは0.1重量%〜15重量%、最も好ましくは0.5重量%〜5重量%の上記修飾されたポリカルボキシレートコビルダーを含み得る。
【0106】
ラジカルスカベンジャー
本発明の組成物は、ラジカルスカベンジャー又はその混合物を含んでもよい。本明細書で使用するのに好適なラジカルスカベンジャーとしては、周知の置換モノ及びジヒドロキシベンゼン並びにそれらの類似体、アルキル及びアリールカルボキシレート並びにそれらの混合物が挙げられる。本明細書で使用するのに好ましいこのようなラジカルスカベンジャーとしては、ジ−tert−ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ヒドロキノン、ジ−tert−ブチルヒドロキノン、モノ−tert−ブチルヒドロキノン、tert−ブチル−ヒドロキシアニソール、安息香酸、トルイル酸、カテコール、t−ブチルカテコール、ベンジルアミン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、没食子酸n−プロピル、又はそれらの混合物が挙げられ、ジ−tert−ブチルヒドロキシトルエンが極めて好ましい。このようなN−没食子酸プロピルのようなラジカルスカベンジャーは、Nipa Laboratoriesから商品名Nipanox S1(登録商標)で市販されている。使用する際には、本明細書においてラジカルスカベンジャーは、典型的には最大で総組成物の最大10重量%、好ましくは0.001重量%〜2重量%、より好ましくは0.001重量%〜0.5重量%の範囲の量で存在する。
【0107】
ラジカルスカベンジャーの存在は、本発明の組成物が何らかの洗濯用途で使用される場合、特に洗濯前処理用途で使用される場合に、布地の伸張強度の損失及び/又は色調の変性を軽減し得る。
【0108】
漂白活性化剤
任意成分として、本発明の組成物は漂白活性化剤又はそれらの混合物を含み得る。本明細書において、「漂白活性化剤」は、過酸化水素と反応して過酸を生成する化合物を意味する。このようにして生成された過酸は、活性化された漂白剤を構成する。本明細書での使用に好適な漂白活性化剤としては、エステル、アミド、イミド又は無水物の分類に属するものが挙げられる。本明細書での使用に好適なこのような化合物の例は、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、3,5,5トリメチルヘキサノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジペルオキシドデカン酸(例えば、米国特許第4,818,425号に記載のようなもの)及びペルオキシアジピン酸のノニルアミド(例えば、米国特許第4,259,201号に記載のようなもの)及びn−ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸(NOBS)である。同様に、置換又は未置換のベンゾイルカプロラクタム、オクタノイルカプロラクタム、ノナノイルカプロラクタム、ヘキサノイルカプロラクタム、デカノイルカプロラクタム、ウンデカノイルカプロラクタム、ホルミルカプロラクタム、アセチルカプロラクタム、プロパノイルカプロラクタム、ブタノイルカプロラクタム、ペンタノイルカプロラクタム又はこれらの混合物からなる群から選択される、N−アシルカプロラクタムが好適である。具体的な対象とする漂白活性化剤ファミリーは欧州特許第624 154号に開示され、特にこのファミリーで好ましいものはアセチルクエン酸トリエチル(ATC)である。アセチルクエン酸トリエチルは、最終的にはクエン酸とアルコールに分解することから、環境に優しいという利点を有する。加えて、アセチルクエン酸トリエチルは、保管時には製品中で加水分解への良好な安定性を有し、効果的な漂白活性化剤である。最終的に、アセチルクエン酸トリエチルは組成物に良好な能力強化をもたらす。本発明に従う組成物は、総組成物の0.01重量%〜20重量%、好ましくは1重量%〜10重量%、より好ましくは3重量%〜7重量%の上記漂白活性化剤又はそれらの混合物を含み得る。
【0109】
布地漂白方法
他の態様では、本発明はまた、上述の組成物を用いる、布地漂白方法も包含する。
【0110】
本発明に従う液体漂白組成物は、漂白される布地に接触させる必要がある。これはいわゆる「前処理モード」(布地を濯ぐ又は洗浄し次いで濯ぐ前に液体組成物を未希釈で上記布地に適用する)又は「浸漬モード」(液体組成物をまず水槽中で希釈し、次いで布地を、濯ぐ前にこの槽に浸し、かつ漬ける)のいずれかで実施することができる。布地との接触はまた、「洗浄モードを通して」実施されてもよく、この場合には液体組成物は典型的な洗濯洗剤を溶解又は分散させることで形成される洗浄液の上部に添加する。
【0111】
布地を上記組成物と接触させた後に、上記組成物を完全に乾燥させる前に布地を濯ぐことは、いずれの場合においても必須である。
【0112】
前処理モードでは、この方法は、上記液体組成物を未希釈の形態で上記布地上に、あるいは少なくとも布地上の汚れた部位に適用する工程と、続いて上記布地を濯ぐ工程又は洗浄し次いで濯ぐ工程とを含む。このモードでは、組成物が上記布地上で乾燥するまで放置されはしないという条件で、未希釈の組成物を、上記布地を濯ぐ、又は洗浄し次いで濯ぐ前に、所望により、上記布地上に1分〜1時間にわたる時間範囲で残して作用させることができる。特に染みなどの場合には、上記布地は必要に応じてスポンジ又はブラシなどの手段により更にこすったりブラッシングすることも、あるいは2枚の布を互いにこすり合わせることもできる。
【0113】
一般的に「浸漬モード」として呼ばれる別のモードでは、この方法は、未希釈の形態の上記液体組成物を水槽に希釈して、希釈済み組成物を形成する工程を含む。水槽への液体組成物の希釈濃度は典型的には最大1:85であり、好ましくは最大1:50、より好ましくは1:25である(組成物:水)。次いで布地を、液体組成物を含む水槽に接触させ、及びこの布地を最後には濯ぐ又は洗浄した後に濯ぐ。好ましくはこのような実施形態では、布地は液体組成物を含む水槽中に浸され、同様に好ましくは布地は1分〜48時間、好ましくは1時間〜24時間にわたる時間範囲で水槽中に漬け置かれる。
【0114】
「浸漬モード」の下位の実施形態としてみなすことができる更に別のモード(一般的に「洗浄モード時漂白」として呼ばれる)では、液体組成物はいわゆる洗濯用添加剤として使用される。並びに、このような実施形態では、水槽は、水に従来の洗濯洗剤を溶解又は分散させることにより形成される。未希釈の形態の液体組成物を水槽に接触させ、次いで布地を液体組成物を含有している水槽に接触させる。最後に、布地を濯ぐ。
【0115】
想定される最終用途に応じて、本明細書の組成物は、従来の瓶、ロールオン式瓶、スポンジ、刷毛又はスプレーを包含する様々な容器に包装できる。
【実施例】
【0116】
2種の液体組成物を調製した。一方は本発明に従い(0.25%の硬化ヒマシ油−結晶性ヒドロキシル含有安定化剤を含む)、もう一方は本発明に従うが結晶性ヒドロキシル含有安定化剤を含まない。35℃にて2週間、及び30℃にて3週間にわたり保存した試料に対して安定性試験を実施した。どちらの場合もぺルオキシドの損失は見られなかった。クリープ法を用いてそれぞれの液体組成物についてレオロジー特性を測定した。TA Instrument Advanced Rheometer AR2000を使用して試験を実施した。この方法には、20℃の試験温度に到達させるための調整工程と、1分間の平衡化時間を含む。クリープは20℃にて剪断応力5.97×10−3Paで実施した(平衡化時間2分)。次いで20℃にて剪断応力5.97×10−3Paで回復工程を実施した(平衡化時間2分)。この分析は試料1mLで実施した。結果は、図1に見ることができる。図1Aは、いずれの結晶質ヒドロキシル含有安定化剤も含まない液体組成物のレオロジー特性を示す。プロファイルはひずみ対時間(秒)(全体的な時間(秒))の測定値である。図1Bは、結晶質ヒドロキシル含有安定化剤を含む液体組成物についての対応するレオロジー特性を示す。これらのプロファイルから、剪断応力/曲線スロープとしてゼロ剪断粘度を計算することができる。この値から、沈降速度をストーク法則式を用いて計算することができる;
=dg(ρμ−ρ)/18η
(式中、V=沈降速度、η=ゼロ剪断粘度、d=粒径、ρμ=粒子密度、ρ=媒質密度、g=重力加速度)。
【0117】
密度1.009g/mL(香料マイクロカプセルに相当する)を有する20μm粒子について、結晶性ヒドロキシル含有安定化剤不含の場合には、沈降速度は−3cm/月であった一方で、結晶性ヒドロキシル含有安定化剤が存在する場合には−1cm/月であった。この「−」の値は、マトリックスの密度がより高いことに起因して香料マイクロカプセルが表面に「浮かび上がっている」という事実に一致する。したがって、結晶性ヒドロキシル含有安定化剤の存在下では、沈降速度は3倍ゆっくりであり、組成物の安定性は増加している。
【0118】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
過酸素漂白剤と、香料マイクロカプセルと、結晶性ヒドロキシル含有安定化剤と、総組成物の10重量%超過の界面活性剤とを含む、液体組成物。
【請求項2】
前記結晶性ヒドロキシル含有安定化剤がヒマシ油から誘導される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記結晶性ヒドロキシル含有安定化剤が、以下のもの:
i)
【化1】

(式中、
【化2】

であり、RはR又はHであり、RはR又はHであり、Rは独立して、少なくとも1つのヒドロキシル基を含むC10〜C22アルキル又はアルケニルである);
ii)
【化3】

(式中、
【化4】

であり、Rはi)で上記に定義された通りであり、Mは、Na、K、Mg++、若しくはAl3+、又はHである);及び
iii)これらの混合物
からなる群から選択される式を有する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が、総組成物の0.1重量%〜10重量%、より好ましくは0.1重量%〜3重量%、最も好ましくは0.3重量%〜2重量%の前記結晶性ヒドロキシル含有安定化剤を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記香料マイクロカプセルが、メラミンとホルムアルデヒドとの縮合から作製される高分子外殻を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記過酸素漂白剤が、過酸化水素、過酸化水素の水溶性源、有機又は無機過酸、ヒドロペルオキシド、及びジアシルペルオキシド、並びにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、総組成物の0.1重量%〜30重量%の前記過酸素漂白剤又はこれらの混合物、好ましくは総組成物の1重量%〜20重量%、最も好ましくは3重量%〜10重量%の前記過酸素漂白剤又はこれらの混合物を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、総組成物の0.5重量%未満のキレート化剤、好ましくは総組成物の0.5重量%未満のHEDPを更に含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物のpHが5〜9である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
布地を未希釈の又は希釈した形態の前記液体組成物に接触させる工程と、前記布地を前記液体組成物に接触させる工程の前に、及び/又は前記接触させる工程中に、及び/又は前記接触させる工程の後に、水と、従来の洗濯洗剤、好ましくは少なくとも1種の界面活性剤を含む洗濯洗剤と、を含む水槽で前記布地を洗浄する工程と、を含む、請求項1〜9のいずれか一項で定義されるような組成物で布地を処理する方法。

【図1】
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【公表番号】特表2012−514667(P2012−514667A)
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544691(P2011−544691)
【出願日】平成22年1月11日(2010.1.11)
【国際出願番号】PCT/US2010/020619
【国際公開番号】WO2010/083125
【国際公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】