説明

駆動伝達装置および画像形成装置

【課題】駆動伝達部材が駆動力を伝達する回転体に速度変動が生じるのを抑制でき、装置の大型化を抑制し、かつ、製造コストや組み立てコストを抑え、駆動伝達ムラを抑えることができる駆動伝達装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】アイドラギヤ9Kを、保持部材11Kを介して感光体ギヤ4Kに取り付けることで、側板に対して感光体ギヤ4Kを精度よく組み付けることにより、アイドラギヤ4Kを、側板に対して精度よく組み付けることができる。これにより、感光体ギヤ4K、および、現像ギヤ列の複数のギヤそれぞれ個別に側板に精度よく組み付けるものに比べて、組み立てコストを下げて、駆動伝達ムラを抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動伝達装置および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写機などの画像形成装置には、感光体や現像ローラなどの複数の回転体を備え、装置に対し着脱可能にしたプロセスユニットを有するものがある。画像形成装置の筐体内に設けられ、プロセスユニットの回転体たる感光体に駆動源たるモータの駆動力を伝達する駆動伝達装置は、一般に、モータの軸に取り付けられた原動ギヤと、この原動ギヤに噛み合うギヤと、ギヤが固定された回転軸の先端に取り付けられ、かつ、感光体の被係合部と係合する係合部材(カップリング)とから構成される。しかし、このような構成の場合、ギヤの回転軸への取り付け偏心誤差、係合部材の回転軸への取り付け偏心誤差により感光体に回転速度変動が生じる場合がある。
【0003】
特許文献1には、原動ギヤと噛み合うギヤ部と、回転軸部と、感光体の被係合部と噛み合う係合部とを有し、ギヤ部と回転軸部と係合部とが射出成形などによって一体成形された駆動伝達部材たる感光体ギヤを備えた駆動伝達装置が記載されている。この駆動伝達装置によれば、金型に樹脂を流し込むことによって、ギヤ部と回転軸部と係合部とが一体となって形成されるため、ギヤの回転軸への取り付け偏心誤差、係合部材の回転軸への取り付け偏心誤差が生じることがない。よって、感光体に回転速度変動が生じるのを抑制することができる。
【0004】
また、モータの駆動力が、感光体ギヤを介して感光体と現像ローラとに伝達される場合、現像ローラの負荷変動が、感光体ギヤに伝達され、感光体ギヤと原動ギヤとのバックラッシュなどにより、感光体ギヤに原動ギヤから駆動力が一瞬伝達されなくなる。その結果、感光体に速度変動が生じる場合がある。
【0005】
特許文献1に記載の駆動伝達装置は、モータの軸に固定した原動ギヤに対して、上記感光体ギヤと、現像ローラに駆動を伝達するための複数のギヤのうちひとつとをそれぞれ噛み合せている。これにより、モータから感光体への駆動伝達と、モータから現像ローラへの駆動伝達とを分けることができる。その結果、現像ローラの負荷変動は、現像ローラに駆動力を伝達する複数のギヤからなる現像ギヤ列を介して原動ギヤに伝達される。原動ギヤは、モータの軸に取り付けられ、駆動力を直接受けている。よって、原動ギヤは、現像ローラの負荷変動が伝達されても、モータの駆動力により回転し続ける。その結果、原動ギヤと噛み合う感光体ギヤへ良好に駆動力を伝達することができ、感光体に速度変動が生じるのを抑制することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載の駆動伝達装置は、感光体ギヤや、現像ギヤ列の複数のギヤは、それぞれ画像形成装置の側板に回転自在に取り付けられているので、側板の製造コストや組み立てコストが嵩むという問題が生じている。また、駆動伝達装置が大型化してしまうという問題も生じている。以下に、具体的に説明する。
【0007】
まず、製造コストや組み立てコストが嵩むという問題について、具体的に説明する。
駆動モータの駆動力をムラなく感光体へ伝達するためには、感光体ギヤと、原動ギヤとの噛み合い精度を高めることが重要である。また、同様に、駆動モータの駆動力をムラなく現像ローラへ伝達するためには、現像ギヤ列の各ギヤの噛み合い精度を高めることが重要である。
【0008】
感光体ギヤと原動ギヤとの噛み合い精度を高めるために、画像形成装置の側板の感光体ギヤが取り付けられる感光体ギヤ取り付け部を精度よく形成し、この感光体ギヤ取り付け部に感光体ギヤを精度よく取り付ける必要がある。また、現像ギヤ列の各ギヤの噛み合い精度を高めるため、画像形成装置の側板の現像ギヤ列の各ギヤそれぞれに対応する複数のギヤ取り付け部をそれぞれ精度よく形成し、現像ギヤ列の各ギヤを対応するギヤ取り付け部に精度よく取り付ける必要がある。また、画像形成装置の側板のモータが取り付けられるモータ取り付け部を精度よく形成し、このモータ取り付け部にモータを精度よく取り付ける必要がある。
【0009】
このため、特許文献1に記載の駆動伝達装置においては、上記感光体ギヤ取り付け部、上記複数のギヤ取り付け部、及びモータ取り付け部を画像形成装置の側板に精度よく形成する必要があり、側板の製造コストが嵩むという問題が生じるのである。また、感光体ギヤ、現像ギヤ列の各ギヤ、及びモータを精度よく側板に取り付ける必要があり、組み立てコストが嵩むという問題も生じるのである。
【0010】
次に、駆動伝達装置が大型化してしまうという問題について、説明する。
現像ギヤ列の複数のギヤを、それぞれ画像形成装置の側板に取り付けるため、駆動ギヤ列を、感光体ギヤのギヤ部の周囲に配置する必要があり、駆動伝達装置が大型化してしまうという問題が生じる。
【0011】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、駆動伝達部材が駆動力を伝達する回転体に速度変動が生じるのを抑制でき、装置の大型化を抑制し、かつ、製造コストや組み立てコストを抑え、駆動伝達ムラを抑えることができる駆動伝達装置および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、装置本体に対して脱着可能なユニットに設けられた複数の回転体のうちのひとつの回転体と係合する係合部と、駆動源の原動ギヤと噛み合うギヤ部とが一体成形された駆動伝達部材と、複数のギヤを有し、これらギヤうちのひとつが、駆動源の原動ギヤと噛み合い、上記係合部と係合する回転体とは異なる回転体に駆動力を伝達する駆動ギヤ列とを備えた駆動伝達装置において、上記駆動ギヤ列における複数のギヤのうちひとつを、上記駆動伝達部材に取り付けたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の駆動伝達装置において、上記駆動ギヤ列を、上記駆動伝達部材のギヤ部よりもユニット側に設けたことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の駆動伝達装置において、上記駆動伝達部材の軸方向範囲内に上記駆動ギヤ列を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3いずれかの駆動伝達装置において、上記駆動伝達部材に取り付けられる上記駆動ギヤ列のギヤを、上記駆動伝達部材を保持する保持部材を介して上記駆動伝達部材に取り付けたことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4の駆動伝達装置において、上記保持部材は、筒状部が設けられており、上記駆動伝達部材の一部を、上記筒状部内周面で保持し、上記筒状部外周面に上記駆動伝達部材に取り付けられる上記駆動ギヤ列のギヤを保持したことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至3いずれかの駆動伝達装置において、上記駆動伝達部材に取り付けられる上記駆動ギヤ列のギヤを、上記駆動伝達部材に対して回転自在に直接取り付けたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1乃至6いずれかの駆動伝達装置において、上記駆動伝達部材に取り付けられる上記駆動ギヤ列のギヤと、上記駆動伝達部材とが同軸上となるよう、上記駆動伝達部材に取り付けられる上記駆動ギヤ列のギヤを、上記駆動伝達部材に取り付けたことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項1乃至7いずれかの駆動伝達装置において、上記駆動ギヤ列に駆動力を伝達する駆動源が、上記駆動伝達部材に駆動力を伝達する駆動源と異なることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項1乃至8いずれかの駆動伝達装置にいて、上記駆動伝達部材の係合部は、該係合部と係合する回転体に形成された係合凹部と係合する凸部を有することを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、複数の回転体を有し、装置本体に対して脱着可能なユニットと、該ユニットの複数の回転体に駆動源の駆動力を伝達する駆動力伝達装置とを備えた画像形成装置において、上記駆動力伝達装置として、請求項1乃至9いずれかの駆動力伝達装置を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項10の画像形成装置において、上記駆動伝達部材が駆動力を伝達する回転体が、像担持体であることを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項10または11の画像形成装置において、上記駆動伝達装置を、装置本体側に設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、駆動ギヤ列における複数のギヤのうちひとつのギヤを、駆動伝達部材に取り付けるので、駆動伝達部材に取り付けられるギヤ以外の駆動ギヤ列のギヤが組み付けられる側板に対して駆動伝達部材を精度よく組み付けることにより、駆動伝達部材に取り付けたギヤを、側板に対して精度よく組み付けることができる。これにより、駆動伝達部材、および、駆動ギヤ列の複数のギヤそれぞれ個別に側板に精度よく組み付けるものに比べて、組み立てコストを下げて、駆動伝達ムラを抑えることができる。
また、駆動伝達部材に取り付けられたギヤの取り付け部を側板に設ける必要がない。その結果、側板の製造コストを抑えることができる。
さらに、駆動ギヤ列における複数のギヤのうちひとつのギヤを、駆動伝達部材に取り付けることで、駆動ギヤ列の全てのギヤ列を側板に取り付ける場合に比べて、装置の小型化を図ることができる。これにより、駆動伝達装置が取り付けられる装置の省スペース化を図ることができる。
また、係合部と駆動源の原動ギヤと噛み合うギヤ部とを一体成形することによって、係合部とギヤ部との取り付け偏心誤差が生じることがなく、駆動伝達部材が駆動力を伝達する回転体に回転速度変動が生じるのを抑制することができる。
また、原動ギヤに対して、駆動伝達部材のギヤ部と、駆動ギヤ列の複数のギヤのうちひとつとをそれぞれ噛み合せている。これにより、駆動ギヤ列が駆動力を伝達する回転体に負荷変動が生じても、この負荷変動が駆動伝達部材に伝達されることがない。これにより、駆動伝達部材が駆動力を伝達する回転体に回転速度変動が生じるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態に係るプリンタの概略構成図。
【図2】プロセスユニットの概略構成図。
【図3】K色駆動伝達装置の正面図。
【図4】K色駆動伝達装置とその周辺の断面図。
【図5】K色駆動伝達装置の変形例。
【図6】カラー駆動伝達装置の正面図。
【図7】カラー駆動伝達装置とその周辺の断面図。
【図8】カラー駆動伝達装置の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタという)の一実施形態について説明する。
まず、本プリンタの基本的な構成について説明する。図1は、本プリンタを示す概略構成図である。同図において、このプリンタは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、Y、C、M、Kと記す)のトナー像を形成するための4つのプロセスユニット26Y,C,M,Kを備えている。これらは、画像形成物質として、互いに異なる色のY,C,M,Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっており、寿命到達時に交換される。Kトナー像を形成するためのプロセスユニット26Kを例にすると、図2に示すように、潜像担持体たるドラム状の感光体24K、ドラムクリーニング装置83K、除電装置(不図示)、帯電装置25K、現像装置23K等を備えている。画像形成ユニットたるプロセスユニット26Kは、プリンタ本体に脱着可能であり、一度に消耗部品を交換できるようになっている。
【0016】
上記帯電装置25Kは、図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転せしめられる感光体24Kの表面を一様帯電せしめる。一様帯電せしめられた感光体24Kの表面は、レーザー光Lによって露光走査されてK用の静電潜像を担持する。このK用の静電潜像は、図示しないKトナーを用いる現像装置25KによってYトナー像に現像される。そして、後述する中間転写ベルト22上に中間転写される。ドラムクリーニング装置83Kは、中間転写工程を経た後の感光体24K表面に付着している転写残トナーを除去する。また、上記除電装置は、クリーニング後の感光体24Kの残留電荷を除電する。この除電により、感光体24Kの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。他色のプロセスユニット(26Y,C,M)においても、同様にして感光体(24Y,C,M)上に(Y,C,M)トナー像が形成されて、後述する中間転写ベルト22上に中間転写される。なお、感光体24Kにおける筒状のドラム部は、中空のアルミ素管のおもて面に有機感光層が被覆されたものである。このドラム部の軸線方向の両端部にそれぞれドラム軸を有するフランジが取り付けられて、感光体24Kを構成している。
【0017】
現像手段たる現像装置23Kは、図示しないKトナーを収容する縦長のホッパ部86Kと、現像部87Kとを有している。ホッパ部86K内には、図示しない駆動手段によって回転駆動されるアジテータ88K、これの鉛直方向下方で図示しない駆動手段によって回転駆動される撹拌パドル89K、これの鉛直方向で図示しない駆動手段によって回転駆動されるトナー供給ローラ80Kなどが配設されている。ホッパ部86K内のKトナーは、アジテータ88Kや撹拌パドル89Kの回転駆動によって撹拌されながら、自重によってトナー供給ローラ80Kに向けて移動する。トナー供給ローラ80Kは、金属製の芯金と、これの表面に被覆された発泡樹脂等からなるローラ部とを有しており、ホッパ部86K内のKトナーをローラ部の表面に付着させながら回転する。
【0018】
現像装置23Kの現像部87K内には、感光体24Kやトナー供給ローラ80Kに当接しながら回転する現像ローラ81Kや、これの表面に先端を当接させる薄層化ブレード82Kなどが配設されている。ホッパ部86K内のトナー供給ローラ80Kに付着したKトナーは、現像ローラ81Kとトナー供給ローラ80Kとの当接部で現像ローラ81Kの表面に供給される。供給されたKトナーは、現像ローラ81Kの回転に伴ってローラと薄層化ブレード82Kとの当接位置を通過する際に、ローラ表面上での層厚が規制される。そして、層厚規制後のKトナーは、現像ローラ81Kと感光体24Kとの当接部である現像領域において、感光体24K表面のK用の静電潜像に付着する。この付着により、K用の静電潜像がKトナー像に現像される。
【0019】
図2を用いてK用のプロセスユニット26Kについて説明したが、Y,C,M用のプロセスユニット26Y,C,Mにおいても、同様のプロセスにより、感光体24Y,C,M表面にY,C,Mトナー像が形成される。
【0020】
先に示した図1において、プロセスユニット26Y,C,M,Kの鉛直方向上方には、光書込ユニット27が配設されている。潜像書込装置たる光書込ユニット27は、画像情報に基づいてレーザーダイオードから発したレーザー光Lにより、プロセスユニット26Y,C,M,Kにおける感光体24Y,C,M,Kを光走査する。この光走査により、感光体24Y,C,M,K上にY,C,M,K用の静電潜像が形成される。かかる構成においては、光書込ユニット27と、プロセスユニット26Y,C,M,Kとにより、3つ以上の潜像担持体にそれぞれ互いに異なる色の可視像たるY,C,M,Kトナー像を作像する作像手段として機能している。
【0021】
なお、光書込ユニット27は、光源から発したレーザー光(L)を、図示しないポリゴンモータによって回転駆動したポリゴンミラーで主走査方向に偏光せしめながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体に照射するものである。LEDアレイの複数のLEDから発したLED光によって光書込を行うものを採用してもよい。
【0022】
プロセスユニット26Y,C,M,Kの鉛直方向下方には、無端状の中間転写ベルト22を張架しながら図中反時計回り方向に無端移動せしめるベルト装置たる転写ユニット75が配設されている。転写ユニット75は、中間転写ベルト22の他に、駆動ローラ76、テンションローラ20、4つの1次転写ローラ74Y,C,M,K、2次転写ローラ21、ベルトクリーニング装置71、クリーニングバックアップローラ72などを備えている。
【0023】
ベルト部材であり、転写ベルトである中間転写ベルト22は、そのループ内側に配設された駆動ローラ76、テンションローラ20、クリーニングバックアップローラ72及び4つの1次転写ローラ74Y,C,M,Kによって張架されている。そして、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動される駆動ローラ76の回転力により、同方向に無端移動せしめられる。
【0024】
4つの1次転写ローラ74Y,C,M,Kは、このように無端移動せしめられる中間転写ベルト22を感光体24Y,C,M,Kとの間に挟み込んでいる。この挟み込みにより、中間転写ベルト22のおもて面と、感光体24Y,C,M,Kとが当接するY,C,M,K用の1次転写ニップが形成されている。
【0025】
1次転写ローラ74Y,C,M,Kには、図示しない転写バイアス電源によってそれぞれ1次転写バイアスが印加されており、これにより、感光体24Y,C,M,Kの静電潜像と、1次転写ローラ74Y,C,M,Kとの間に転写電界が形成される。なお、1次転写ローラ74Y,C,M,Kに代えて、転写チャージャーや転写ブラシなどを採用してもよい。
【0026】
Y用のプロセスユニット26Yの感光体24Y表面に形成されたYトナーは、感光体24Yの回転に伴って上述のY用の1次転写ニップに進入すると、転写電界やニップ圧の作用により、感光体24Y上から中間転写ベルト22上に1次転写される。このようにしてYトナー像が1次転写せしめられた中間転写ベルト22は、その無端移動に伴ってM,C,K用の1次転写ニップを通過する際に、感光体24M,C,K上のM,C,Kトナー像が、Yトナー像上に順次重ね合わせて1次転写される。この重ね合わせの1次転写により、中間転写ベルト22上には4色トナー像が形成される。
【0027】
転写ユニット75の2次転写ローラ21は、中間転写ベルト22のループ外側に配設されて、ループ内側のテンションローラ20との間に中間転写ベルト22を挟み込んでいる。この挟み込みにより、中間転写ベルト22のおもて面と、2次転写ローラ21とが当接する2次転写ニップが形成されている。2次転写ローラ21には、図示しない転写バイアス電源によって2次転写バイアスが印加される。この印加により、2次転写ローラ21と、アース接続されているテンションローラ20との間には、2次転写電界が形成される。
【0028】
転写ユニット75の鉛直方向下方には、記録紙Pを複数枚重ねた紙束の状態で収容している給紙カセット41がプリンタの筐体に対してスライド着脱可能に配設されている。この給紙カセット41は、紙束の一番上の記録紙Pに給紙ローラ42を当接させており、これを所定のタイミングで図中反時計回り方向に回転させることで、その記録紙Pを給紙路に向けて送り出す。
【0029】
給紙路の末端付近には、レジストローラ43,44からなるレジストローラ対が配設されている。このレジストローラ対は、給紙カセット41から送り出された記録部材たる記録紙をローラ間に挟み込むとすぐに両ローラの回転を停止させる。そして、挟み込んだ記録紙を上述の2次転写ニップ内で中間転写ベルト22上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで回転駆動を再開して、記録紙Pを2次転写ニップに向けて送り出す。
【0030】
2次転写ニップで記録紙に密着せしめられた中間転写ベルト22上の4色トナー像は、2次転写電界やニップ圧の影響を受けて記録紙P上に一括2次転写され、記録紙Pの白色と相まって、フルカラートナー像となる。このようにして表面にフルカラートナー像が形成された記録紙Pは、2次転写ニップを通過すると、2次転写ローラ21や中間転写ベルト22から曲率分離する。そして、転写後搬送路を経由して、定着装置40に送り込まれる。
【0031】
2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト22には、記録紙に転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、中間転写ベルト22のおもて面に当接しているベルトクリーニング装置71によってベルト表面からクリーニングされる。中間転写ベルト22のループ内側に配設されたクリーニングバックアップローラ72は、ベルトクリーニング装置71によるベルトのクリーニングをループ内側からバックアップする。
【0032】
定着手段たる定着装置40には、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ45と、定着ローラ45に所定の圧力で当接しながら回転する加圧ローラ47とが設けられており、定着ローラ45と加圧ローラ47とによって定着ニップを形成している。定着装置40内に送り込まれた記録紙は、その未定着トナー像担持面を定着ローラ45に密着させるようにして、定着ニップに挟まれる。そして、加熱や加圧の影響によってトナー像中のトナーが軟化さしめられて、フルカラー画像が定着せしめられる。
【0033】
図示しないテンキー等からなる操作部に対する入力操作や、図示しないパーソナルコンピュータ等から送られてくる制御信号などにより、片面プリントモードが設定されている場合には、定着装置40内から排出された記録紙Pは、そのまま機外へと排出される。そして、筐体の上カバーの上面であるスタック部56にスタックされる。
【0034】
本実施形態においては、プロセスユニット26Y,C,M,K、光書込ユニット27でトナー像を形成するトナー像形成手段を構成している。
【0035】
次に、本プリンタの特徴点であるプロセスユニットの感光体、現像ローラに駆動源たるモータの駆動力を伝達する駆動伝達装置について説明する。
本プリンタは、K色のプロセスユニットの感光体や現像ローラに駆動力を伝達するK色駆動伝達装置と、Y,C,M色のプロセスユニットの感光体や現像ローラに駆動力を伝達するカラー駆動伝達装置とを備えている。
【0036】
図3は、K色のプロセスユニット26Kの感光体24Kや現像ローラ81Kに駆動力を伝達するK色駆動伝達装置1Kの正面図であり、図4は、K色駆動伝達装置1Kとその周辺の断面図である。なお、図4は、現像駆動ギヤ列5Kの各ギヤの回転軸は、図示していない。
図4に示すように、装置本体の本体側板13と、支持板12との間に、K色の駆動伝達装置1Kが設けられている。K色の駆動伝達装置1Kは、駆動源たる駆動モータ2Kの駆動力を感光体24Kへ伝達する駆動伝達部材たる感光体ギヤ4Kと、駆動モータ2Kの駆動力を現像ローラ81Kに伝達する現像駆動ギヤ列5Kとを有している。現像駆動ギヤ列5Kは、第1中継ギヤ6K、クラッチ7K、第2中継ギヤ8K、アイドラギヤ9K、現像ギヤ10Kなどを有している。現像駆動ギヤ列5Kは、感光体ギヤ4Kの軸方向幅に収まるよう配置し、駆動伝達装置1Kの軸方向長さの増大を抑制している。
【0037】
駆動源たるK色駆動モータ2Kは、支持板12の背面に取り付けられ、その回転軸を支持板12に形成された丸穴に背面から貫通させることで、モータ本体を支持板12の外部に位置させた状態で回転軸の先端側を支持板12と本体側板13との間に位置させている。K色駆動モータ2Kの回転軸の先端には、原動ギヤ3Kが固定されている。
【0038】
駆動モータ2Kの回転軸の上方には、駆動伝達部材としての感光体ギヤ4Kが配設されている。感光体ギヤ4Kは、円盤状のギヤ部4aKと、軸部4bKと、係合部たる凸状カップリング部4cKと有し、ギヤ部4aKと、軸部4bKと、凸状カップリング部4cKとは、それぞれ同じ材料(例えば樹脂材料)からなる一体成形品である。このように、ギヤ部4aKと、軸部4bKと、凸状カップリング部4cKとが一体成形された感光ギヤ4Kとすることで、ギヤの回転軸への取り付け偏心や、凸状カップリングの回転軸への取り付け偏心が発生することがない。これにより、ギヤと凸状カップリングとの回転軸への取り付け偏心に起因する感光体24Kの速度変動をなくすことができる。
【0039】
本体側板13には、例えば、ポリアセタール樹脂などといった摩擦係数の比較的小さな樹脂材料からなり、感光体ギヤ4Kと、アイドラギヤ9Kとを保持する保持部材11Kが、取り付けられている。保持部材11Kは、筒状部11aKを有し、感光体ギヤ4Kは、本体側板13に形成された位置決め孔13aKに凸状カップリング部4cKの先端が貫通するかたちで、感光体ギヤ4Kの軸部4bKが、この筒状部11aKの内周面に回転自在に保持されている。また、感光体ギヤ4Kの支持板12側側面の回転中心に、係合穴4dKが形成されており、この係合穴4dKが、支持板12に設けられた軸部12aKと係合することで、感光体ギヤ4Kが、支持板12に支持されている。
【0040】
感光体ギヤ4Kのギヤ部4aKの直径は、感光体24Kの直径よりも大きくなっており、原動ギヤ3Kと噛み合っている。ギヤ部4aKを大径とすることで、ギヤ1歯噛み合いに対応する感光体表面上でのピッチ誤差を小さくして、副走査方向の印字濃度むら(バンディング)の影響を少なくすることができる。また、原動ギヤ3Kから感光体24Kに至るまでの減速段数を1段としている。これは、部品点数を少なくし低コストにする他、噛み合い誤差や偏心による伝達誤差の要因を少なくする狙いからである。減速比は、感光体24Kの目標速度とモータ特性との関係から、高効率、高回転精度が得られる速度領域に基づいて決定される。また、凸状カップリング部4cKは、軸の外周に歯が形成された所謂スプライン軸となっている。感光体ギヤ4Kは、ポリアセタール樹脂などといった摩擦係数の比較的小さな樹脂材料からなっている。
【0041】
駆動モータ2Kの回転軸の下方には、原動ギヤ3Kと噛み合い、支持板12に回転自在に支持された回転軸6aKに固定された第1中継ギヤ6Kが配設されている。クラッチ7Kは、第1中継ギヤ6Kと噛み合う入力ギヤ7aKと、第2中継ギヤ8Kと噛み合う出力ギヤ7bKとクラッチ軸7cKとを備えている。クラッチ軸7cKは、支持板12に回転自在に支持されている。クラッチ7Kは、図示しない制御部によって電源供給がオンオフ制御されるのに伴って、入力ギヤ7aKの回転駆動力をクラッチ軸7cKに繋いだり、入力ギヤ7aKを空転させたりする。具体的には、クラッチ7Kに電源が供給されると、入力ギヤ7aKの回転駆動力がクラッチ軸7cKに繋がれて、出力ギヤ7bKが回転する。これに対し、クラッチ7Kへの電源供給が切られると、たとえ駆動モータ2Kが回転していても、入力ギヤ7aKがクラッチ軸7cK上で空転するため、出力ギヤ7bKの回転が停止する。
【0042】
第2中継ギヤ8Kは、支持板12に回転自在に支持された回転軸8aKに固定され、アイドラギヤ9Kと出力ギヤ7bKと噛み合っている。アイドラギヤ9Kは、保持部材11Kの筒状部11aKの外周面に回転自在に保持されている。現像ギヤ10Kは、アイドラギヤ9Kと噛み合うギヤ部10aKと、筒状の凹状カップリング部10bKとを有している。現像ギヤ10Kは、凹状カップリング部10bKの外周面が、本体側板13に設けられた軸受に回転自在に係合することで、本体側板13に回転自在に支持されている。
【0043】
K色の感光体24Kの本体側板13側フランジには、筒状の凹状カップリング部84Kが設けられており、凹状カップリング84Kの内周面には、内歯が形成されている。凹状カップリング84Kの外周面には、プロセスユニット26Kのケース26aKに設けられた軸受26bKが嵌合しており、軸受26bKの一部は、ケース26aKから突出している。現像ローラ81Kの回転軸81aKは、ケース26aKに設けられた軸受26cKにより回転自在に支持されており、先端がケース26aKから突出している。現像ローラ81Kの回転軸81aKの本体側板側の先端には、凸状カップリングとしてのスプライン軸部材85Kが設けられている。
【0044】
感光体ギヤ4Kのカップリング部4cKを凸状とし、感光体24K側のカップリング84Kを凹状とすることで、感光体ギヤ4Kのカップリング部を凹状とし、感光体側のカップリングを凸状とする場合に比べて、次の利点がある。すなわち、感光体ギヤ4Kのカップリング部を凹状とし、感光体側のカップリングを凸状とする場合、凸状カップリングが、プロセスユニットのケース26aKから突出し、カップリングの噛み合い位置が、ケース26aKの外側になる。一方、感光体ギヤ4Kのカップリング部を凸状とし、感光体24K側のカップリングを凹状とすることで、カップリングの噛み合い位置をケース26aKの内部にすることができる。その結果、カップリングの噛み合い位置を感光体側のカップリングを凸状とした場合に比べて、感光体側に近づけることができ、感光体24Kの振れを抑えることができるという利点がある。
【0045】
また、本実施形態においては、感光体24K側の凹状カップリング84Kをフランジに形成し、凹状カップリング84Kの外周面を軸受26bKでケース26aKに支持している。これにより、感光体24Kを貫通する感光体軸を無くすことができ、部品コスト、組み立てコストなどを削減することができ、結果として、プロセスユニット26Kのコストダウンを図ることができる。
【0046】
一方、現像ローラ側のカップリングは、現像ギヤ10Kのカップリング部10bKを凹状とし、現像ローラ81K側のカップリング85Kを凸状としている。これは、現像ローラは、感光体ほど速度変動を気にする必要がないので、内歯の成型が難しく、コストが高い凹状カップリングを本体側にすることで、プロセスユニット26Kのコストダウンを図っている。
【0047】
K色のプロセスユニット26Kを装置本体に装着する際、感光体24Kを支持する軸受26bKのケース26aKから突出している部分を、本体側板13の位置決め孔13aKに嵌合させる。これにより、K色のプロセスユニット26Kの装置本体に対する位置決めがなされる。また、このとき、感光体フランジに設けられた凹状カップリング84Kの内歯に、感光体ギヤ4Kの凸状カップリング部4cKの歯が噛み合う。また、現像ローラ81Kの軸81aKに設けられたスプライン軸部材85Kの歯が、現像ギヤ10Kの凹状カップリング部10bKの内歯と噛み合う。
【0048】
駆動モータ2Kの駆動力は、原動ギヤ3K、感光体ギヤ4Kを介して、感光体24Kに伝達されるとともに、原動ギヤ3、第1中継ギヤ6K、クラッチ7K、第2中継ギヤ8K、アイドラギヤ9K、現像ギヤ10Kを介して、現像ローラ81Kに伝達される。このとき、感光体ギヤ4Kの軸部4bKが保持部材11Kの筒状部11aKの内周面を摺動するが、感光体ギヤ4K、保持部材11Kともに、ポリアセタール樹脂などといった摩擦係数の比較的小さな樹脂材料で形成されているため、感光体ギヤ4Kの軸部4bKや保持部材11K筒状部11aKの内周面の磨耗が抑制されている。また、アイドラギヤ9Kが、保持部材11Kの筒状部11aKの外周面を摺動するが、アイドラギヤ9Kも、摩擦係数の比較的小さな樹脂材料で形成することによって、アイドラギヤ9Kと、筒状部11aKとの磨耗を抑制することができる。また、感光体ギヤ4Kと保持部材11Kの筒状部11aK内周面との間と、アイドラギヤ9Kと保持部材11Kの筒状部11aKの外周面との間に、それぞれボールベアリングを設けて、ボールベアリングで感光体ギヤ4Kおよびアイドラギヤ9Kを保持部材11Kに回転自在に保持してもよい。
【0049】
本実施形態のK色の駆動伝達装置1Kによれば、アイドラギヤ9Kが、保持部材11Kを介して感光体ギヤ4Kに取り付けられる。感光体ギヤ4Kの装置本体の取り付けは、感光体ギヤ4Kの凸状カップリング部4bKを、保持部材11Kの筒状部11aKを貫通させ、感光体ギヤ4Kの軸部4bKを保持部材11Kの筒状部11aKに係合させる。次に、保持部材11Kの外周面にアイドラギヤ9Kを係合させる。そして、保持部材11Kの嵌合突起11bKを本体側板13の位置決め孔13aKに嵌合させて、保持部材11Kを本体側板13に位置決めする。これにより、保持部材11Kに保持されている感光体ギヤ4Kと、保持部材11Kを介して感光体ギヤ4aKに取り付けられたアイドラギヤ9Kとが、本体側板13の所定の位置に位置決めされる。そして、支持板12に設けた軸部12aKを係合穴4dKの挿入することで、感光体ギヤ4Kが装置本体に組み付けられる。また、これと同時に、感光体ギヤ4Kに取り付けられたアイドラギヤ9Kも、装置本体に組み付けられる。このように、感光体ギヤ4Kを本体側板13に位置決めして、装置本体に取り付けることで、アイドラギヤ9Kも、本体側板13に位置決めされて、装置本体に取り付けられる。これにより、感光体ギヤ4Kとアイドラギヤ9Kとを別個に、本体側板13に位置決めして、装置本体に取り付ける場合に比べて、組み立てコストを削減することができる。また、本体側板13または支持板12に、アイドラギヤ9Kを組み付けるための加工が不要になり、製造コストを削減することができる。また、アイドラギヤ9Kを側板に取り付けた場合に比べて、駆動伝達装置を小型化することができる。これにより、装置のコンパクト化を図ることができる。
【0050】
図3、図4に示した駆動伝達装置1Kは、クラッチ7Kが、感光体ギヤ4Kと対向しないように設け、クラッチ7Kの交換が容易に行われるようにしているが、現像駆動ギヤ列を、例えば、図5に示すように、クラッチ7Kと、アイドラギヤ9Kと、現像ギヤ10Kとで構成し、クラッチ7Kの一部が感光体ギヤ4Kのギヤ部4aKの一部と対向するような構成としてもよい。図5に示す構成は、クラッチ7Kの入力ギヤ7aKが原動ギヤ3Kと噛み合っている。アイドラギヤ9Kは、保持部材11Kを介して感光体ギヤ4Kに取り付けられており、アイドラギヤ9Kは、クラッチ7Kの出力ギヤ7bKと現像ギヤ10Kと噛み合っている。このように、構成することによって、さらに、駆動伝達装置を小型化することができる。これにより、装置のコンパクト化を図ることができる。また、現像ローラ81Kの長寿命化の観点からクラッチ7Kを設けているが、クラッチ7Kに変えて、中継ギヤとしてもよい。
【0051】
また、アイドラギヤ9K、および、アイドラギヤ9Kと噛み合う現像ギヤ10Kを、感光体ギヤ4Kのギヤ部4aKよりもプロセスユニット26K側に設けるのが好ましい。アイドラギヤ9K、および、現像ギヤ10Kを、感光体ギヤ4Kのギヤ部4aKよりもプロセスユニット26K側に設けることで、感光体ギヤのギヤ部4aKを、現像ギヤ10Kの凹状カップリング部10bKにより阻害されることがなく、大径化することができる。よって、感光体ギヤのギヤ部4aKの一部が現像ローラの回転軸81aKと対向するほど大径化が可能となる。
【0052】
また、原動ギヤ3Kに対して、感光体ギヤ4Kと、第1中継ギヤ6Kとをそれぞれ噛み合せて、モータ2Kから感光体24Kへの駆動伝達と、モータ2Kから現像ローラ81Kへの駆動伝達とを分けている。これにより、現像ローラの負荷が、感光体24Kの回転に影響を与えることがなくなり、感光体24Kの回転速度変動を抑制することができる。
【0053】
次に、カラー駆動伝達装置について説明する。
図6は、カラー駆動伝達装置1YCMの正面図であり、図7は、カラー駆動伝達装置1YCMとその周辺の断面図であり、図8は、カラー駆動伝達装置1YCMの斜視図である。なお、以下の説明では、カラー駆動伝達装置1YCMの特徴点のみを説明し、K色の駆動伝達装置1Kと同じ構成の部分については、説明を省略する。
本実施形態におけるカラー駆動伝達装置1YCMは、装置本体の本体側板13と、支持板12との間に設けられている。カラー駆動伝達装置1YCMは、駆動源たるカラー感光体駆動モータ2aの駆動力をY,C,Mそれぞれの感光体24Y,C,Mへ伝達するカラー感光体駆動ギヤ列と、駆動源たる現像駆動モータ2bの駆動力をY,C,Mそれぞれの現像ローラ81Y,C,Mへ伝達するカラー現像駆動ギヤ列とを有している。
【0054】
カラー感光体駆動ギヤ列は、Y,C,M色の感光体ギヤ4Y,C,Mと、感光体アイドラギヤ17とを備えている。Y,C,M色の感光体ギヤ4Y,C,Mは、K色の感光体ギヤ4Kと同様の構成である。各感光体ギヤ4Y,C,Mは、K色の感光体ギヤ4Kと同様、本体側板13に取り付けられた保持部材11Kの筒状部11aKの内周面に回転自在に保持されている。M色の感光体ギヤ4Mのギヤ部4aMと、C色の感光体ギヤ4Cのギヤ部4aCとが、カラー感光体駆動モータ2aの回転軸に固定されている感光体原動ギヤ3aと噛み合っている。感光体アイドラギヤ17は、Y色の感光体ギヤ4YとC色の感光体ギヤ4Cとの間に配設され、Y色の感光体ギヤ4Yのギヤ部4aYと、C色の感光体ギヤ4Cのギヤ部4aCと噛み合っている。
【0055】
カラー感光体駆動モータ2aの駆動力が、感光体原動ギヤ3a、M色の感光体ギヤ4Mを介して、M色の感光体24Mに伝達される。また、感光体原動ギヤ3aからC色の感光体ギヤ4Cを介して、C色の感光体24Cに伝達される。また、感光体原動ギヤ3aからC色の感光体ギヤ4C、アイドラギヤ17、Y色の感光体ギヤ4Yを順次介して、Y色の感光体24Yに伝達される。
【0056】
次に、カラー現像駆動ギヤ列について説明する。
現像駆動モータ2bの回転軸に固定されている現像原動ギヤ3bには、第1中継ギヤ14と第2中継ギヤ15とが噛み合っている。第1中継ギヤ14には、Y色のアイドラギヤ9Yが噛み合っている。Y色のアイドラギヤ9Yは、K色のアイドラギヤ9Kと同様、Y色の保持部材11Yの筒状部11aYの外周面に回転自在に保持されている。Y色のアイドラギヤ9Yには、Y色の現像ギヤ10Yと噛み合っている。
【0057】
また、第2中継ギヤ15には、C色のアイドラギヤ9Cが噛み合っており、C色のアイドラギヤ9Cは、C色の保持部材11Cの筒状部11aCの外周面に回転自在に保持されている。C色のアイドラギヤ9Cには、C色の現像ギヤ10Cと、第3中継ギヤ16とが噛み合っている。第3中継ギヤ16には、M色のアイドラギヤ9Mが噛み合っており、M色のアイドラギヤ9Mは、Y色の保持部材11Yの筒状部11aYの外周面に回転自在に保持されている。M色のアイドラギヤ9Mは、M色の現像ギヤ10Mと噛み合っている。各色の現像ギヤ10Y,C,Mは、K色の現像ギヤ10Kと同様な構成である。
【0058】
現像駆動モータ2bの駆動力が、現像原動ギヤ3b、第1中継ギヤ14、Y色のアイドラギヤ9Y、Y色の現像ギヤ10Yを介してY色の現像ローラ81Yに伝達される。また、現像原動ギヤ3b、第2中継ギヤ15、C色のアイドラギヤ9C、C色の現像ギヤ10Cを介してC色の現像ローラ81Cに伝達される。また、現像原動ギヤ3b、第2中継ギヤ15、C色のアイドラギヤ9C、第3中継ギヤ16、M色のアイドラギヤ9M、M色の現像ギヤ10Mを介してM色の現像ローラ81Mに伝達される。
【0059】
カラー駆動伝達装置1YCMにおいても、各色のアイドラギヤ9Y,C,Mは、保持部材11Y,C,Mを介して感光体ギヤ4Y,C,Mに取り付けている。これにより、各感光体ギヤ4Y,C,Mを本体側板13に位置決めして、各感光体ギヤ4Y,M,Cを装置本体に組み付けることで、各色のアイドラギヤ9Y,C,Mが、本体側板13に位置決めされて、装置本体に組み付けられる。これにより、各色感光体ギヤ4Y,C,Mと各色のアイドラギヤ9Y,C,Mとを別個に、本体側板13に位置決めして、装置本体に組み付ける場合に比べて、組み立てコストを削減することができる。また、本体側板13または支持板12に、アイドラギヤ9Y,C,Mを組み付けるための加工が不要になり、製造コストを削減することができる。
【0060】
また、カラー駆動伝達装置1YCMは、各色アイドラギヤ9Y,C,Mを対応する色の感光体ギヤ4Y,C,Mに取り付け、中継ギヤ14,15,16の一部が、感光体ギヤのギヤ部4aY,C,Mと対向するように、カラー現像駆動ギヤ列を構成することによって、カラー駆動伝達装置1YCMを小型化することができる。これにより、装置のコンパクト化を図ることができる。
【0061】
また、カラー駆動伝達装置1YCMは、各色の現像ローラ81Y,C,Mに駆動力を付与する駆動源と、各色の感光体24Y,C,Mに駆動力を付与する駆動源とを異ならせている。これにより、各色の感光体24Y,C,Mに駆動力を伝達する経路と、各現像ローラ81Y,C,Mに駆動力を伝達する経路を完全に別にすることができる。これにより、各色の現像ローラ81Y,C,Mの負荷が、各色の感光体24Y,C,Mの回転に影響を与えることがなくなり、各色の感光体24Y,C,Mの回転速度変動を抑制することができる。
【0062】
また、このカラー駆動伝達装置1YCMにおいても、カラー現像駆動ギヤ列を各色の感光体ギヤ4Y,C,Mの軸方向幅に収めることで、カラー駆動伝達装置1YMCの軸方向の大型化を抑えている。また、このカラー駆動伝達装置1YCMは、カラー現像駆動ギヤ列を各色の感光体ギヤのギヤ部4aY,C,Mよりもプロセスユニット側に設けているので、各色の現像ギヤのカップリング部10bY,C,Mが、感光体ギヤのギヤ部4aY,C,Mの大径化を阻害することがない。よって、各色の感光体ギヤのギヤ部4aY,C,Mの一部が現像ローラの回転軸81aY,C,Mと対向するほど大径化が可能となる。各色の感光体ギヤのギヤ部4aY,C,Mを大径化できるので、ギヤ1歯噛み合いに対応する各色の感光体表面上でのピッチ誤差を小さくして、副走査方向の印字濃度むら(バンディング)の影響を少なくすることができる。
【0063】
なお、本実施形態の駆動伝達装置は、プロセスユニットの感光体24と現像ローラ81とに駆動モータの駆動力を伝達しているが、現像ローラ81ではなく、帯電ローラ25や供給ローラ80に駆動モータの駆動力を伝達する構成でもよい。また、現像ローラ81に伝達された駆動力をトナー供給ローラ81、帯電ローラ25に伝達する構成でもよい。
【0064】
また、本実施形態においては、アイドラギヤ9を、保持部材を介して感光体ギヤに取り付けているが、アイドラギヤ9を感光体ギヤ4の軸部に直接取り付けてもよい。しかしながら、本実施形態のように、アイドラギヤ9の回転方向と、感光体ギヤ4の回転方向とが逆方向になる構成の場合、アイドラギヤ9を感光体ギヤ4に直接取り付けると、相対速度が速くなり、磨耗の進行が早くなるおそれがある。よって、アイドラギヤ9の回転方向と、感光体ギヤ4の回転方向とが逆方向になる構成の場合は、保持部材を介してアイドラギヤ9を感光体ギヤ4に取り付けた方が、感光体ギヤ4とアイドラギヤ9との磨耗が抑制され、好ましい。これとは逆に、アイドラギヤ9と感光体ギヤ4とが同方向に回転する場合は、相対速度が遅くなるため、アイドラギヤ9を感光体ギヤ4に直接取り付けた方が、磨耗が抑制でき、好ましい。また、アイドラギヤ9を保持部材11を介して感光体ギヤ4に取り付けることで、アイドラギヤ9の振動などが、直接、感光体ギヤ4に伝達されないため、感光体24の速度変動を抑制することができるというメリットもある。一方、アイドラギヤ9を感光体ギヤ4の軸部に直接取り付けることで、部品点数を削減でき、装置のコストダウンを図ることができるというメリットがある。
【0065】
また、アイドラギヤ9の回転方向と感光体ギヤの回転方向とが同方向で、かつ、アイドラギヤ9の回転速度と感光体ギヤの回転速度が同速度の場合は、アイドラギヤ9を感光体ギヤに固定してもよい。
【0066】
以上、本実施形態の駆動伝達装置によれば、装置本体に対して脱着可能なユニットたるプロセスユニットに設けられた複数の回転体のうちのひとつと係合する係合部たるカップリング部4cと、駆動源たる駆動モータの原動ギヤ3と噛み合い、カップリング部4cと係合する回転体たる感光体24に駆動力を伝達するギヤ部4aとが一体成形された駆動伝達部材たる感光体ギヤ4と、複数のギヤを有し、これらギヤうちのひとつが、駆動モータ2の原動ギヤ3と噛み合い、感光体24とは異なる回転体たる現像ローラ81に駆動力を伝達する駆動ギヤ列たる現像駆動ギヤ列とを備えている。そして、現像駆動ギヤ列における複数のギヤのうちひとつであるアイドラギヤ9を感光体ギヤ4に取り付けている。
かかる構成によれば、感光体ギヤ4を本体側板13に対して精度よく組み付けることで、アイドラギヤ9を、本体側板13に対して精度よく組み付けることができる。これにより、感光体ギヤ4、および、アイドラギヤ9をそれぞれ個別に本体側板に精度よく組み付けるものに比べて、組み立てコストを下げて、現像ローラおよび感光体の回転速度変動を抑えることができる。
また、アイドラギヤ9の取り付け部を本体側板13に精度よく加工する必要がない。その結果、感光体ギヤ4、および、アイドラギヤ9それぞれを個別に本体側板13に取り付けるものに比べて、本体側板13の製造コストを抑えることができる。
さらに、現像駆動ギヤ列の各ギヤの全てを、側板に取り付ける構成に比べて、装置を小型化することができる。
【0067】
また、現像駆動ギヤ列を、感光体ギヤのギヤ部よりもユニット側に設けることで、現像駆動ギヤ列の現像ローラと係合するためのカップリングが、感光体ギヤのギヤ部の大径化を阻害することがない。これにより、感光体ギヤのギヤ部の一部が、現像ローラの軸部と対向するまで大径化することができる。このように、感光体ギヤのギヤ部を大径化できるので、ギヤ1歯噛み合いに対応する各色の感光体表面上でのピッチ誤差を小さくして、副走査方向の印字濃度むら(バンディング)の影響を少なくすることができる。
【0068】
また、感光体ギヤ4の軸方向範囲内に現像駆動ギヤ列を設けることによって、駆動伝達装置の軸方向の大型化を抑制することができる。
【0069】
また、感光体ギヤ4に回転自在に取り付けられるアイドラギヤ9を、感光体ギヤ4を回転自在に保持する保持部材11を介して取り付ける。具体的には、感光体ギヤ4の一部を、保持部材11の筒状部の内周面で保持し、保持部材の筒状部の外周面にアイドラギヤを保持した。これにより、アイドラギヤの振動などが、直接、感光体ギヤに伝達されないため、感光体の速度変動を抑制することができる。
【0070】
また、アイドラギヤ9を、感光体ギヤ4に直接回転自在に取り付けてもよい。これにより、保持部材を介してアイドラギヤを感光体ギヤに取り付ける構成に比べて、部品点数を削減でき、装置のコストダウンを図ることができる。
【0071】
また、アイドラギヤと、感光体ギヤとが同軸上となるよう、アイドラギヤを、感光体ギヤに取り付けることで、簡単な構成で、アイドラギヤを感光体ギヤに取り付けることができる。
【0072】
また、現像駆動ギヤ列に駆動力を伝達する駆動源が、感光体ギヤに駆動力を伝達する駆動源とが異なるので、感光体に、現像ローラの回転負荷の影響が生じることがない。これにより、感光体の回転速度変動を抑制することができる。
【0073】
また、感光体ギヤの係合部たるカップリング部は、感光体に形成された係合凹部たる凹状カップリング部と係合する凸部を有する凸状カップリング部とした。これにより、感光体側のカップリングを凸状とし、感光体ギヤのカップリングを凹状とした場合に比べて、カップリングの噛み合い位置を感光体側にすることができる。よって、感光体側のカップリングを凸状とし、感光体ギヤのカップリングを凹状とした場合に比べて、感光体に振れを抑制することができる。
【0074】
複数の回転体を有し、装置本体に対して脱着可能なユニットたるプロセスユニットと、プロセスユニットの複数の回転体に駆動源の駆動力を伝達する駆動力伝達装として、上述の駆動力伝達装置を用いることによって、装置の製造コストを抑えることができるとともに、濃度ムラが抑制された画像を得ることができる。
【0075】
また、駆動伝達装置を、装置本体側に設けることで、プロセスユニット側に駆動伝達装置を設けた構成に比べて、プロセスユニットを安価にすることができる。
【符号の説明】
【0076】
1K:K色駆動伝達装置
1YCM:カラー駆動伝達装置
2a:カラー感光体駆動モータ
2b:現像駆動モータ
2K:K色駆動モータ
3K:原動ギヤ
3a:感光体原動ギヤ
3b:現像原動ギヤ
4K,4Y,4C,4M:感光体ギヤ
4aK,4aY,4aC,4aM:ギヤ部
4bK,4bY,4bC,4bM:軸部
4cK,4cY,4cC,4cK:凸状カップリング部
6K,14:第1中継ギヤ
7K:クラッチ
8K,15:第2中継ギヤ
9K,9Y,9C,9M:アイドラギヤ
10K,10Y,10C,10M:現像ギヤ
11K,11Y,11C,11M:保持部材
12:支持板
13:本体側板
13aK,13aY,13aC,13aM:位置決め孔
16:第3中継ギヤ
17:感光体アイドラギヤ
24K,24Y,24C,24M:感光体
26K,26Y,26C,26M:プロセスユニット
81K,81Y,81C,81M:現像ローラ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0077】
【特許文献1】特開2009−175667号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に対して脱着可能なユニットに設けられた複数の回転体のうちのひとつの回転体と係合する係合部と、駆動源の原動ギヤと噛み合うギヤ部とが一体成形された駆動伝達部材と、
複数のギヤを有し、これらギヤうちのひとつが、駆動源の原動ギヤと噛み合い、上記係合部と係合する回転体とは異なる回転体に駆動力を伝達する駆動ギヤ列とを備えた駆動伝達装置において、
上記駆動ギヤ列における複数のギヤのうちひとつを、上記駆動伝達部材に取り付けたことを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項2】
請求項1の駆動伝達装置において、
上記駆動ギヤ列を、上記駆動伝達部材のギヤ部よりもユニット側に設けたことを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項3】
請求項1または2の駆動伝達装置において、
上記駆動伝達部材の軸方向範囲内に上記駆動ギヤ列を設けたことを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれかの駆動伝達装置において、
上記駆動伝達部材に取り付けられる上記駆動ギヤ列のギヤを、上記駆動伝達部材を保持する保持部材を介して上記駆動伝達部材に取り付けたことを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項5】
請求項4の駆動伝達装置において、
上記保持部材は、筒状部が設けられており、
上記駆動伝達部材の一部を、上記筒状部内周面で保持し、上記筒状部外周面に上記駆動伝達部材に取り付けられる上記駆動ギヤ列のギヤを保持したことを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項6】
請求項1乃至3いずれかの駆動伝達装置において、
上記駆動伝達部材に取り付けられる上記駆動ギヤ列のギヤを、上記駆動伝達部材に対して回転自在に直接取り付けたことを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項7】
請求項1乃至6いずれかの駆動伝達装置において、
上記駆動伝達部材に取り付けられる上記駆動ギヤ列のギヤと、上記駆動伝達部材とが同軸上となるよう、上記駆動伝達部材に取り付けられる上記駆動ギヤ列のギヤを、上記駆動伝達部材に取り付けたことを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項8】
請求項1乃至7いずれかの駆動伝達装置において、
上記駆動ギヤ列に駆動力を伝達する駆動源が、上記駆動伝達部材に駆動力を伝達する駆動源と異なることを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項9】
請求項1乃至8いずれかの駆動伝達装置にいて、
上記駆動伝達部材の係合部は、該係合部と係合する回転体に形成された係合凹部と係合する凸部を有することを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項10】
複数の回転体を有し、装置本体に対して脱着可能なユニットと、
該ユニットの複数の回転体に駆動源の駆動力を伝達する駆動力伝達装置とを備えた画像形成装置において、
上記駆動力伝達装置として、請求項1乃至9いずれかの駆動力伝達装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項10の画像形成装置において、
上記駆動伝達部材が駆動力を伝達する回転体が、像担持体であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項10または11の画像形成装置において、
上記駆動伝達装置を、装置本体側に設けたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−145423(P2011−145423A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−5338(P2010−5338)
【出願日】平成22年1月13日(2010.1.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】