説明

駆動伝達装置の潤滑構造

【課題】駆動伝達装置を備えるエンジンユニットの小型化及び低コスト化を実現できること。
【解決手段】クラッチ装置37が装着されたドリブン軸64の下方に、クラッチ装置37からの動力が伝達される第3減速ギア75C及び第4減速ギア75Dが配置され、ドリブン軸64には、一端側から内部を通ってクラッチ装置37へ潤滑オイルを導く下流側オイル通路116が形成され、この下流側オイル通路116に、オイルポンプから圧送された潤滑オイルを下流側オイル通路へ供給する上流側オイル通路が接続され、この上流側オイル通路と下流側オイル通路116の途中に、潤滑オイルを吐出して減速ギア75C、75Dを潤滑するオイル吐出孔120が設けられたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿式の多板式自動遠心クラッチ装置から動力が伝達される駆動伝達装置の潤滑構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動二輪車に搭載されたエンジンユニットには、ベルト式無段変速装置にて減速された動力を湿式の多板クラッチ装置を経て、動力伝達装置である減速ミッション機構へ伝達し、後輪を駆動させるものが知られている。このようなエンジンユニットにおいて、クランク室内で飛散した潤滑オイルにより、多板式クラッチ装置と減速ミッション機構のギアの一部を潤滑するものが特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第WO2003/85278号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に記載の多板式クラッチ装置の潤滑構造では、クランク室内で飛散した潤滑オイルのオイルミストにより多板式クラッチ装置を潤滑するので、この潤滑が安定して実施できているとは必ずしも言えない。また、減速ミッション機構の潤滑についても、クランク軸や多板式クラッチ装置にて飛散した潤滑オイルなどを用いてなされるため、多板式クラッチ装置と同様に、安定した潤滑がなされているとは必ずしも言えない。
【0005】
多板式クラッチ装置の潤滑を安定して効果的に実施するためには、このクラッチ装置が装着された回転軸の内部に、強制潤滑用の専用のオイル通路を形成することが望ましい。また、減速ミッション機構の潤滑についても、ギアを強制潤滑するためのオイルジェットを設置し、このオイルジェットに連通するオイル通路を専用に設けることが望ましい。
【0006】
しかしながら、このように多板式クラッチ装置や減速ミッション機構のそれぞれに専用のオイル通路を設けることは、エンジンユニットの大型化を招くことになる。更に、オイルポンプの容量を増大させる必要が生ずることから、コストも上昇してしまう。
【0007】
本発明の目的は、上述の事情を考慮してなされたものであり、駆動伝達装置を備えるエンジンユニットの小型化及び低コスト化を実現できる駆動伝達装置の潤滑構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、クラッチ装置が装着された回転軸の下方に、前記クラッチ装置からの動力が伝達される出力ギアが配置され、前記回転軸には、一端側から内部を通って前記クラッチ装置へ潤滑オイルを導く下流側オイル通路が形成され、この下流側オイル通路に、オイルポンプから圧送された潤滑オイルを前記下流側オイル通路へ供給する上流側オイル通路が接続され、前記上流側オイル通路と前記下流側オイル通路の途中に、潤滑オイルを吐出して前記出力ギアを潤滑するオイル吐出孔が設けられたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、上流側オイル通路と下流側オイル通路の途中にオイル吐出孔が設けられ、このオイル吐出孔から吐出される潤滑オイルにより出力ギアが潤滑されることから、出力ギア潤滑用のオイル通路を専用に別途設ける必要がない。この結果、駆動伝達装置を備えるエンジンユニットの小型化及び低コスト化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る駆動伝達装置の潤滑構造における一実施形態が適用されたエンジンユニットを搭載する自動二輪車を示す右側面図。
【図2】図1のエンジンユニットを示す左側面図。
【図3】図2のIII−III線に沿う断面図。
【図4】図3のエンジンユニット内に設けられた多板式自動遠心クラッチ装置を示す断面図。
【図5】図2におけるジェネレータケースを取り外して示すエンジンユニットの左側面図。
【図6】図2におけるジェネレータケース及び左側クランクケースを取り外して示すエンジンユニットの左側面図。
【図7】図6のギアボックスカバー周辺を示す部分拡大図。
【図8】図7のVIII−VIII線に沿う断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための実施形態を図面に基づき説明する。図1は、本発明に係る駆動伝達装置の潤滑構造における一実施形態が適用されたエンジンユニットを搭載する自動二輪車を示す右側面図である。本実施形態において、前後、左右、上下の表現は、自動二輪車乗車時の運転者を基準にしたものである。
【0012】
この自動二輪車1の車体フレーム2はアンダーボーン型であり、前頭部に位置するヘッドパイプ3からメインフレームパイプ4が後斜め下方に延び、このメインフレームパイプ4の後端付近から左右一対のリヤフレームパイプ5が後斜め上方に延びて構成される。メインフレームパイプ4とリヤフレームパイプ5との連結部付近にはエンジンブラケット6、7が設けられている。
【0013】
ヘッドパイプ3には前輪9を支持するフロントフォーク10がハンドルバー11やヘッドランプ12、フロントフェンダ13等とともに左右回動自在に軸支される。一方、エンジンブラケット7に架設されたピボット軸15には後輪16を支持するスイングアーム17が上下回動自在に軸支される。このスイングアーム17の後部とリヤフレームパイプ5の後部との間にリヤクッションユニット18が連結されている。
【0014】
エンジンブラケット6、7には、例えば空冷単気筒4サイクル形式のエンジン35を有するエンジンユニット20が懸架搭載され、その出力は、後輪16の左側に設けられたチェーンユニット21により後輪16に伝達される。エンジンユニット20にはステップ22が設けられ、エンジンユニット20の排気マフラ23は後輪16の右側に配置されている。また、車体フレーム2の前部が合成樹脂製のフロントカバー24およびレッグシールド25により覆われている。
【0015】
メインフレームパイプ4とリヤフレームパイプ5との連結部付近の上部には合成樹脂製で上面が開口する有底箱状の収納ボックス26が固定されている。この収納ボックス26の後方に燃料タンク28が、リヤフレームパイプ5間に支持されて設けられている。収納ボックス26はヘルメット等を収容可能な容量を持つ。
【0016】
これらの収納ボックス26と燃料タンク28の上部を覆うように着座シート30が設けられる。この着座シート30の前端部は、収納ボックス26の前上部に設けられたシートヒンジ31に軸支される。着座シート30は、シートヒンジ31を軸に後端が上方に持ち上げられることで開閉され、これにより、収納ボックス26への物品の出し入れや燃料タンク28への給油等が行われる。
【0017】
着座シート30の下方且つ収納ボックス26および燃料タンク28の左右両側は、左右一対の合成樹脂製のフレームカバー32により覆われる。また、収納ボックス26の後方且つ燃料タンク28の下方には、後輪16を上方から覆う合成樹脂製のリヤフェンダ33が設けられている。更に、フレームカバー32の後端部にはテールランプ34が設けられる。
【0018】
エンジンユニット20は、図2及び図3に示すように、エンジン35と、ベルト式無段変速機(CVT)36と、多板式自動遠心クラッチ装置(以下、単にクラッチ装置と称する)37と、減速ミッション機構38とを有して構成される。
【0019】
エンジン35は、クランクケース39の前面にシリンダ40及びシリンダヘッド41が略水平まで前傾して設置されている。エンジン40内にはピストン42が摺動可能に挿入され、このピストン42にコンロッド43の一端部が連結されている。コンロッド43の他端部は、クランク軸54(後述)のクランクピン44に連結されている。このコンロッド43によりピストン42の往復運動がクランク軸54の回転運動に変換される。
【0020】
シリンダヘッド41には燃焼室45が形成されると共に、この燃焼室45に連通して吸気ポート27(図2)及び排気ポート29が形成される。また、燃焼室45(図3)の内部に点火プラグ46が挿入されている。吸気ポートに吸気管47(図1)が接続され、排気ポートに排気管48が接続される。この排気管48は、シリンダヘッド41から後方へ延び排気マフラ23に接続される。
【0021】
図3に示すように、シリンダ40及びシリンダヘッド41に形成されるカムチェーン室49にはカムチェーン50が配設される。このカムチェーン50は、クランク軸54のカムドライブスプロケット51と、カム軸52のカムドリブンスプロケット53に巻き掛けられる。このカムチェーン50により、カム軸52は、クランク軸54の回転に従って回転し、吸気ポートを開閉する吸気バルブ(不図示)と、排気ポートを開閉する排気バルブ(不図示)を開閉動作させる。
【0022】
クランクケース39は、左側クランクケース39Aと右側クランクケース39Bとが接合されて構成され、内部にクランク軸54が収容される。このクランク軸54は、車幅方向に延在して水平に配置され、軸受55を介して左側クランクケース39Aに、軸受56を介して右側クランクケース39Bにそれぞれ回転自在に支持される。
【0023】
左側クランクケース39Aの前半部の左側に、ジェネレータ57を収容するジェネレータケース58が取り付けられる。クランク軸54の左側端部は、左側クランクケース39Aを貫通してジェネレータケース58内まで延び、この左側端部にジェネレータ57のロータ59が取り付けられる。ジェネレータ57のステータ60は、ロータ59に対向した状態でジェネレータケース58に取り付けられる。クランク軸54の回転によりロータ59がステータ60の周囲を回転することで、発電がなされる。
【0024】
右側クランクケース39Bの右側に、ベルト式無段変速機36を収容する変速機ケース61が取り付けられる。この変速機ケース61はクランクケース39と隔離して構成され、右側クランクケース39Bに接合される変速機内側ケース61Aと、この変速機内側ケース61Aに接合され、この変速機内側ケース61Aとの間でベルト室62を形成する変速機外側ケース61Bと、を有して構成される。ベルト室62内にベルト式無段変速機36が収容される。
【0025】
クランク軸54の右側端部は、右側クランクケース39B及び変速機内側ケース61Aを貫通してベルト室62内まで延び、この右側端部にベルト式無段変速機36のドライブプーリ63が回転一体に連結される。また、クランクケース39の後半部には、クランク軸54と平行にドリブン軸64が配置されている。このドリブン軸64は、軸受65を介して後述のギアボックスカバー77に、軸受66を介して変速機内側ケース61Aにそれぞれ回転自在に支持される。このドリブン軸64の右側半部はベルト室62内にあり、この右側半部にベルト式無段変速機36のドリブンプーリ67が、スリーブ68を介して回転一体に連結される。
【0026】
ベルト式無段変速機36は、前記ドライブプーリ63と、前記ドリブンプーリ67と、これらのドライブプーリ63とドリブンプーリ67に巻き掛けられて、ドライブプーリ63の回転力(駆動力)をドリブンプーリ67へ伝達するVベルト69と、を有して構成される。
【0027】
ドライブプーリ63は、固定フェイス63Aと可動フェイス63Bが対向配置されてなり、固定フェイス63Aがクランク軸54に固定される。また、可動フェイス63Bは、クランク軸54に、回転一体で軸方向にスライド自在に取り付けられている。この可動フェイス63Bの背面にはカム面70が形成され、クランク軸54の右側端部に固定されたカムプレート71と前記カム面70との間にウェイトローラ72が配設されている。
【0028】
また、ドリブンプーリ67は、固定フェイス67Aと可動フェイス67Bとが対向配置されてなる。固定フェイス67Aは、ドリブン軸64に固定された前記スリーブ68の外周に固着されている。また、可動フェイス67Bはスリーブ68に、回転一体で軸方向にスライド自在に取り付けられる。この可動フェイス67Bの背面には、スリーブ68に固定されたスプリング受け73との間にスプリング74が介装されている。このスプリング74の付勢力によって、可動フェイス67Bが固定フェイス67A側へ常時付勢される。
【0029】
ドライブプーリ63の固定フェイス63Aと可動フェイス63B間、ドリブンプーリ67の固定フェイス67Aと可動フェイス67B間にVベルト69が配置される。ドライブプーリ63のベルト巻き掛け径とドリブンプーリ67のベルト巻き掛け径は、ドライブプーリ63の可動フェイス63Bを固定フェイス63A側へ押圧するウェイトローラ72に作用する遠心力と、ドリブンプーリ67の可動フェイス67Bを固定フェイス67A側へ付勢するスプリング74の付勢力との大小関係によって決定される。これにより、ベルト式無段変速機36の減速比が自動的に定まる。
【0030】
つまり、クランク軸54の回転数が上昇するとウェイトローラ72が遠心力の作用でドライブプーリ63の径方向外方へ移動する。これにより、ドライブプーリ63の可動フェイス63Bがクランク軸54の軸方向に移動して固定フェイス63Aに接近し、ドライブプーリ63のベルト巻き掛け径が拡大する。このとき、ドリブンプーリ67は、可動フェイス67Bがスプリング74の付勢力に抗して、スリーブ68上をドリブン軸64の軸方向に沿って移動して固定フェイス67Aから離れ、ドリブンプーリ67のベルト巻き掛け径が縮小する。これにより、ベルト式無段変速機36の減速比が小さくなる。
【0031】
また、クランク軸54の回転数が低下したときには、ウェイトローラ72に作用する遠心力が小さくなって、ウェイトローラ72がドライブプーリ63の径方向内方へ移動し、スプリング74の付勢力がドリブンプーリ67の可動フェイス67Bを固定フェイス67A側へ接近させる。これにより、ドライブプーリ63のベルト巻き掛け径が縮小し、ドリブンプーリ67のベルト巻き掛け径が拡大して、ベルト式無段変速機36の減速比が大きくなる。ベルト式無段変速機36は、このようにして、クランク軸54の回転数を無段階に変速してドリブン軸64を回転させる。
【0032】
前記クラッチ装置37は、後に詳説するが、ドリブン軸64と減速ミッション機構38との間に配置され、クラッチイン状態(接続状態)では、ドリブン軸64の回転力(駆動力)を減速ミッション機構38の第1減速ギア75Aへ伝達し、クラッチオフ状態(遮断状態)では、上記駆動力の伝達を遮断する。このクラッチ装置37のクラッチイン状態とクラッチオフ状態は、ドリブン軸64の回転数に応じて自動的に切り換えられる。また、このクラッチ装置37はいわゆる湿式多板クラッチであり、後述のクラッチハウジング87に収容されるドライブプレート90及びドリブンプレート91は、潤滑オイルが存在する雰囲気にある。
【0033】
前記減速ミッション機構38は、クラッチ装置37と出力軸76との間に配置され、ドリブン軸64の回転力をギア列(第1減速ギア75A、第2減速ギア75B、第3減速ギア75C、第4減速ギア75D)により減速して出力軸76へ伝達する。この出力軸76は、左側クランクケース39Aと、この左側クランクケース39に接合されたギアボックスカバー77とに、それぞれ軸受78、79を介して回転自在に支持される。また、左側クランクケース39Aとキアボックスカバー77には中間軸80も、軸受81、82をそれぞれ介して回転自在に支持されている。
【0034】
前記第1減速ギア75Aは、図4にも示すように、ドリブン軸64の左側端部に軸受83を介して回転自在に支持され、クラッチ装置37のクラッチハウジング87(後述)にスプライン結合されている。図3に示すように、第2減速ギア75Bは、中間軸80に回転一体に設けられて第1減速ギア75Aに噛み合う。第3減速ギア75Cは中間軸80に形成される。第4減速ギア75Dは、出力軸76に回転一体に設けられて第3減速ギア75Cに噛み合う。この減速ミッション機構38により、ドリブン軸64の回転力(駆動力)が所望の減速比に減速されて出力軸76へ伝達される。
【0035】
出力軸76の左側端部は左側クランクケース39Aから外部へ突出し、この左側端部にドライブスプロケット84が固定されている。このドライブスプロケット84には、出力軸76の駆動力を後輪16(図1)へ伝達するためのドライブチェーン85が巻き掛けられ、これにより後輪16が駆動される。尚、ドライブチェーン85は、図1に示すチェーンユニット21の一構成要素である。
【0036】
さて、前記クラッチ装置37は、図3及び図4に示すように、クラッチイン状態でドリブン軸64の駆動力を減速ミッション機構38の第1減速ギア75Aへ伝達し、クラッチオフ状態で上記駆動力の伝達を遮断するものであり、スリーブハブ86、クラッチハウジング87、遠心ローラ88、及び付勢部材としての付勢スプリング89を有して構成される。クラッチハウジング87内に、クラッチプレートとしての複数枚のドライブプレート90及びドリブンプレート91が収容されている。
【0037】
スリーブハブ86は略有底円筒形状に構成され、内側から外側にボス部92、内筒部93、及び外筒部94を順次備えてなる。ボス部92の内面にスプライン歯95が形成される。スリーブハブ86は、このスプライン歯95を介して、入力部としてのドリブン軸64にスプライン結合され、このドリブン軸64と回転一体に設けられる。
【0038】
スリーブハブ86の内筒部93は、周方向が部分的に切り欠かれると共に、外周に凹凸歯96が形成されている。この凹凸歯96には、ドライブプレート90A、ドライブプレート90B及びドライブプレート90Cの内周に形成された凹凸歯97が噛み合う。これにより、ドライブプレート90(ドライブプレート90A、90B及び90C)は、スリーブハブ86の内筒部93で支持されると共に、スリーブハブ86と回転一体に設けられる。
【0039】
ここで、ドライブプレート90Bは、スリーブハブ86の最も内側(クラッチハウジング87内では最も外側)に位置し、付勢スプリング89支持側のドライブプレート90である。また、ドライブプレート90Cは、スリーブハブ86の最も外側(クラッチハウジング87内では最も内側)に位置し、付勢スプリング89受け側のドライブプレート90である。これらのドライブプレート90Bと90Cとの間に、複数枚のドライブプレート90Aが配置される。これらのドライブプレート90A、90B及び90Cは、スリーブハブ86の軸方向(つまりドリブン軸64の軸方向)に、間隔を空けて並んで配置されている。
【0040】
スリーブハブ86の外筒部94の内側に、クラッチインナプレート98が設置されている。このクラッチインナプレート98は、環形状のベースリング99の周方向等間隔位置に複数の位置決めピース100が一体に構成されたものであり、各位置決めピース100間に遠心ローラ88が配置される。また、ベースリング99は断面略三角形状に形成され、斜面が遠心ローラ88を案内するカム面101として形成される。
【0041】
前記クラッチハウジング87は略有底円筒形状に形成され、内側にボス部102を、外側に外周壁103を備えてなる。ボス部102の内面にスプライン歯104が形成される。クラッチハウジング87は、このスプライン歯104を介して、出力部としての第1減速ギア75Aにスプライン結合され、この第1減速ギア75Aと回転一体に設けられる。図4中の符号105はナットであり、クラッチハウジング87はこのナット105により、ワッシャ106を介して第1減速ギア75Aに締結される。尚、第1減速ギア75Aは、前述の如く、軸受83を介してドリブン軸64に対し回転自在に支持されている。
【0042】
クラッチハウジング87の外周壁103には、凹部107が周方向に等間隔で形成されている。これらの凹部107には、ドリブンプレート91の外周に突設された突起部108が嵌合する。これにより、複数枚のドリブンプレート91は、クラッチハウジング87の外周壁103で支持されると共に、クラッチハウジング87と回転一体に設けられる。
【0043】
ここで、複数枚のドリブンプレート91は、クラッチハウジング87の軸方向(つまりドリブン軸64の軸方向)に間隔を空けて並んで配置される。更に、クラッチハウジング87はスリーブハブ86と、互いの開口を対向させて配置されており、このクラッチハウジング87に支持されたドリブンプレート91は、スリーブハブ86に支持された隣接するドライブプレート90間に配置される。これにより、ドライブプレート90とドリブンプレート91は、交互に重ね合わせ可能にクラッチハウジング87内に収容される。
【0044】
前記遠心ローラ88は、スリーブハブ86の内筒部93及び外筒部94とドライブプレート90Bとで囲まれる空間109内に複数個配置される。各遠心ローラ88は、同じく上記空間109内に設置されたクラッチインナプレート98の位置決めピース100間に配置されて位置決めされる。そして、これらの遠心ローラ88は、ドリブン軸64の回転(つまりスリーブハブ86の回転)により発生する遠心力の作用でクラッチラジアル方向外方へ移動するが、このときクラッチインナプレート98のベースリング98におけるカム面101上を転動してクラッチスラスト方向への移動し、ドライブプレート90Bをドライブプレート90C側へ押圧して、ドライブプレート90(ドライブプレート90A、90B及び90C)とドリブンプレート91とを摩擦接合させる。
【0045】
前記付勢スプリング89は、遠心ローラ88に作用する遠心力に基づいてドライブプレート90とドリブンプレート91とをクラッチスラスト方向へ押圧する押圧力に抗する付勢力を発生するものであり、ドライブプレート90Bとドライブプレート90Cとの間に、挟持された状態で複数本(本実施形態では3本)介装される。このうちのドライブプレート90Bには、周方向の複数箇所(本実施形態では3箇所)に支持バー110が植設され、この支持バー110が付勢スプリング89に挿入されてこの付勢スプリング89を支持する。
【0046】
上述のようなクラッチ装置37は、遠心ローラ88に作用する遠心力と付勢スプリング89の付勢力との大小関係によって、クラッチイン状態(接続状態)と、クラッチオフ状態(遮断状態)とが切り換えられる。
【0047】
つまり、ドリブン軸64の回転によりスリーブハブ86の回転数が所定回転数以上になると、遠心ローラ88は、遠心力の作用でクラッチラジアル方向外方へ移動し、クラッチインナプレート98のカム面101上を転動する。このときには、遠心ローラ88に作用する遠心力が付勢スプリング89の付勢力よりも大きくなるので、遠心ローラ88は、付勢スプリング89の付勢力に抗してドライブプレート90Bをドライブプレート90C側へクラッチスラスト方向へ押圧する。これにより、ドライブプレート90とドリブンプレート91とが摩擦接合してクラッチイン状態となり、ドリブン軸64の駆動力がスリーブハブ86、ドライブプレート90、ドリブンプレート91及びクラッチハウジング87を経て第1減速ギア75Aへ伝達される。このクラッチイン状態を図4の下半図に示す。
【0048】
また、ドリブン軸64の回転数が低下してスリーブハブ86の回転数が所定回転数未満になると、遠心ローラ88に作用する遠心力が小さくなって、遠心ローラ88はクラッチラジアル方向内方へ移動する。このときには、上記遠心力よりも付勢スプリング89の付勢力が大きくなるので、この付勢スプリング89の付勢力によって、ドライブプレート90とドリブンプレート91との摩擦接合が解除されてクラッチオフ状態になり、ドリブン軸64の駆動力は第1減速ギア75Aに伝達されなくなる。尚、このクラッチオフ状態を図4の上半図に示す。
【0049】
ところで、図3に示すように、クラッチ装置37は、ギアボックスカバー77と右側クランクケース39Bと変速機内側ケース61Aとに囲まれたクラッチ室111内に収容される。また、クラッチ装置37から駆動力が伝達されるに動力伝達装置としての減速ミッション機構38における第3減速ギア75C及び第4減速ギア75Dは、左側クランクケース39Aとギアボックスカバー77とで囲まれたギア室112内に収容される。これらの第3減速ギア75C及び第4減速ギア75Dは出力ギアであり、第3減速ギア75Cがドライブギアとして、第4減速ギア75Dがドリブンギアとしてそれぞれ機能し、互いに噛み合う。
【0050】
尚、クラッチ室111とギア室112は一部(下部)が連通して構成されている。また、減速ミッション機構38の第1減速ギア75A及び第2減速ギア75Bは、クラッチ装置37と共にクラッチ室111内に収容されている。
【0051】
図2及び図6に示すように、中間軸80に形成された第3減速ギア75Cと、出力軸76に回転一体に設けられた第4減速ギア75Dとは、クラッチ装置37を装着(軸装)する、回転軸としてのドリブン軸64の下方に配置されている。次に、これらの第3減速ギア75C及び第4減速ギア75Dの潤滑構造と、クラッチ装置37の潤滑構造についてそれぞれ説明する。
【0052】
まず、クラッチ装置37の潤滑構造は、図5〜図8に示すように、潤滑オイルの流れ方向に沿って上流側第1オイル通路113、上流側第2オイル通路114、オイル溜りとしての凹部115、下流側オイル通路116、及び連通孔117が順次連通(接続)して構成され、オイルポンプ118から圧送された潤滑オイルをクラッチ装置37の特にドライブプレート90及びドリブンプレート91へ導く。
【0053】
つまり、上流側第1オイル通路113は、図5に示すように、左側クランクケース39Aにおけるジェネレータケース58(図2)との接合箇所に形成されて、クランクケース39(右側クランクケース39B)の下方に設置されたオイルポンプ118に連通する。
【0054】
上流側第2オイル通路114は、図5及び図6に示すようにギアボックスカバー77に形成される。このギアボックスカバー77は、図3に示すように、クラッチ装置37と第3減速ギア75C及び第4減速ギア75Cとの間に設けられる。上流側第2オイル通路114は、図6に示すように、ギアボックスカバー77において、第3減速ギア75C及び第4減速ギア75Bが配置された側の側面で、これらの第3減速ギア75C及び第4減速ギア75Dの上方に形成される。更に、この上流側第2オイル通路114は、上流端が左側クランクケース39Aの上流側第1オイル通路113(図5)に連通されると共に、下流端が図7及び図8に示す凹部115に連通される。
【0055】
凹部115は、ギアボックスカバー77において、上流側第2オイル通路114が形成された側面と反対側の、クラッチ装置37が配置された側の側面で、且つ軸受65の背面側に形成される。ギアボックスカバー77には、ドリブン軸64を支持する軸受65が保持されるが、凹部115は、本来、軸受65をギアボックスカバー77に圧入する際に、この軸受65を所定位置に位置決めするために設けられたものである。従って、この凹部115の直径は、軸受け65の直径よりも若干小さく形成されている。この凹部115は、前述の如く上流側第2オイル通路114に連通されて、潤滑オイルを一時的に貯溜するオイル溜りとして利用される。
【0056】
下流側オイル通路116は、ドリブン軸64におけるクラッチ装置37側の端部の内部に、ドリブン軸64の軸方向に沿って形成される。この下流側オイル通路116の一端が凹部115に連通する。
【0057】
連通孔117は、ドリブン軸64の径方向に延在してこのドリブン軸64に形成され、下流側オイル通路116の他端側に連通すると共に、ドリブン軸64の外面に開口する。連通孔117におけるドリブン軸64の外面の開口は、第1減速ギア75Aの内面に臨む位置である。
【0058】
従って、図5に示すオイルポンプ115にて圧送された潤滑オイルは、図5〜図8の矢印Aに示すように、左側クランクケース39Aの上流側第1オイル通路113及びギアボックスカバー77の上流側第2オイル通路114を通り、ギアボックスカバー117の凹部115を経て、ドリブン軸64の下流側オイル通路116に供給される。この下流側オイル通路116内に供給された潤滑オイルは、連通孔117から流出して軸受83を潤滑すると共に、遠心力により飛散されてクラッチ装置37に導かれ、特にこのクラッチ装置37のドライブプレート90及びドリブンプレート91を潤滑する。
【0059】
次に、第3減速ギア75C及び第4減速ギア75Dの潤滑構造について述べる。この潤滑構造は、図7及び図8に示すように、上流側第2オイル通路114と下流側オイル通路116との途中に位置する凹部115に連通してギアボックスカバー77に形成されたオイル吐出孔120と、左側クランクケース39Aにおいてオイル吐出孔120と対向する位置に形成された傾斜面121と、を有して構成される。
【0060】
オイル吐出孔120は、図8の矢印Bに示すように、凹部115内に溜まった潤滑オイルを吐出して、第3減速ギア75C及び第4減速ギア75Dを潤滑するものである。このオイル吐出孔120は、図7に示すように、第3減速ギア75C及び第4減速ギア75Dの噛合部位123よりも、第4減速ギア75Dの回転方向Rの上流側に潤滑オイルを吐出するように位置づけられる。また、このオイル吐出孔120は、第3減速ギア75Cの軸である中間軸80と、第4減速ギア75Dの軸である出力軸76との軸間範囲Lにおいて、中間軸80及び出力軸76よりも上方に設けられる。尚、図7中の符号Qは、第4減速ギア75Dに噛み合う第3減速ギア75Cの回転方向を示す。
【0061】
更に、オイル吐出孔120は、第3減速ギア75Cの歯先円124と、第4減速ギア75Dの歯先円125とに接する接線T(上流側第2オイル通路114側の接線T)の上方に設けられる。また、オイル吐出孔120は、図8に示すように、ドリブン軸64の下流側オイル通路116よりも上方に位置づけられて形成されると共に、連通孔117の開口面積よりも小さな開口面積に設定される。
【0062】
前記傾斜面121は、図8の矢印Cに示すように、オイル吐出孔120から吐出された潤滑オイルを衝突させ、方向変換させて第3減速ギア75C及び第4減速ギア75D(特に第4減速ギア75D)へ案内するものである。この傾斜面121は、第4減速ギア75Dの歯幅方向Wに対し傾斜してこの第4減速ギア75Dの直上に設けられる。また、傾斜面121の傾斜角度は、衝突して方向変換した潤滑オイルが第4減速ギア75Dの歯幅方向Wの略中央部分に向かうように設定される。更に、傾斜面121の下端121Aは、第4減速ギア75Dの歯幅の範囲M内における直上に位置づけされる。
【0063】
以上のように構成されたことから、本実施形態によれば、次の効果(1)〜(7)を奏する。
(1)図7及び図8に示すように、上流側第2オイル通路114と下流側オイル通路116との途中に、ギアボックスカバー77における凹部115に連通してオイル吐出孔120が設けられ、このオイル吐出孔120から吐出される潤滑オイルにより第3減速ギア75C及び第4減速ギア75Dが潤滑される。このため、これらの第3減速ギア75C及び第4減速ギア75Dを潤滑するためのオイル通路を専用に別途設ける必要がなく、ギアボックスカバー77にオイル吐出孔120を形成すれば足りるので、省スペース化を実現できると共に、オイルポンプ118の容量増大を招くこともない。この結果、クラッチ装置37及び減速ミッション機構(駆動伝達装置)38を備えるエンジンユニット20の小型化及び低コスト化を実現できる。
【0064】
(2)第3減速ギア75C及び第4減速ギア75Dを潤滑するための潤滑オイルを吐出するオイル吐出孔120が、軸受65よりも小径ではあるがある程度の直径を有する凹部115に連通してギアボックスカバー77に形成されている。このため、オイル吐出孔120の形成位置の自由度を大きくすることができる。
【0065】
(3)オイル吐出孔120は、第3減速ギア75Cと第4減速ギア75Dとの噛合部位123よりも、第4減速ギア75Dの回転方向Rの上流側に潤滑オイルを吐出するように設けられている。更に、オイル吐出孔120は、第3減速ギア75Cの軸である中間軸80と第4減速ギア75Dの軸である出力軸76との軸間範囲Lにおいて、中間軸80及び出力軸76よりも上方に位置づけられている。これらのことから、オイル吐出孔120から吐出して第4減速ギア75Dの歯面に衝突し飛散した潤滑オイルを、第3減速ギア75Cの方向へ指向させて飛散させることができるので、第3減速ギア75C及び第4減速ギア75Dを効果的に潤滑できる。
【0066】
(4)オイル吐出孔120が、第3減速ギア75Cの歯先円124と第4減速ギア75Dの歯先円125とに接する接線Tよりも上方に設けられたので、オイル吐出孔120から吐出して第4減速ギア75Dの歯面に衝突し飛散した潤滑オイルを、第3減速ギア75Cの歯面方向へ更に効率的に指向させることができる。このため、第3減速ギア75C及び第4減速ギア75Dをより効果的に潤滑できる。
【0067】
(5)オイル吐出孔120の開口面積が連通孔117の開口面積よりも小さく設定されたので、連通孔117からクラッチ装置37へ供給される潤滑オイル量を、オイル吐出孔120から第4減速ギア75Dへ吐出される潤滑オイル量よりも増大させることができる。このため、湿式クラッチ装置であるクラッチ装置37の耐久性及び信頼性を確保できると共に、オイル吐出孔120からの潤滑オイルの吐出圧を高く設定することができる。
【0068】
(6)オイル吐出孔120に対向して左側クランクケース39Aに形成された傾斜面121は、第4減速ギア75Dの歯幅方向Wに対し傾斜してこの第4減速ギア75Dの直上に設けられている。更に、この傾斜面121の傾斜角度は、衝突して方向変換した潤滑オイルが第4減速ギア75Dの歯幅方向Wの略中央部分に向かうように設定されている。これらの結果、オイル吐出孔120から吐出された潤滑オイルを、オイルポンプ118の油圧変動に影響されずに第4減速ギア75Dに安定して供給でき、第3減速ギア75C及び第4減速ギア75Dを効果的に潤滑できる。
【0069】
また、傾斜面121が左側クランクケース39Aに形成されることで、この傾斜面121を有する部分が補強リブとなって左側クランクケース39Aを補強し、この左側クランクケース39の剛性を向上させることもできる。
【0070】
(7)傾斜面121の下端121Aが、第4減速ギア75Dの歯幅の範囲Mにおける直上に位置づけられたので、傾斜面121に衝突した潤滑オイルを第4減速ギア75Dの歯面に必然的に滴下させることができ、左側クランクケース39Aの壁面に沿って流下することを防止できる。この観点からも、第3減速ギア75C及び第4減速ギア75Dを効果的に潤滑することができる。
【0071】
以上、本発明を上記実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0072】
20 エンジンユニット
35 エンジン
37 クラッチ装置(多板式自動遠心クラッチ装置)
38 減速ミッション機構(駆動伝達装置)
39 クランクケース
58 ジェネレータケース
64 ドリブン軸(回転軸)
65 軸受
75C 第3減速ギア(出力ギア)
75D 第4減速ギア(出力ギア)
76 出力軸
77 ギアボックスカバー(隔壁)
80 中間軸
113 上流側第1オイル通路(上流側オイル通路)
114 上流側第2オイル通路(上流側オイル通路)
115 凹部
116 下流側オイル通路
117 連通孔
118 オイルポンプ
120 オイル吐出孔
121 傾斜面
121A 下端
123 噛合部位
124、125 歯先円
L 軸間範囲
M 歯幅の範囲
R 回転方向
T 接線
W 歯幅方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラッチ装置が装着された回転軸の下方に、前記クラッチ装置からの動力が伝達される出力ギアが配置され、
前記回転軸には、一端側から内部を通って前記クラッチ装置へ潤滑オイルを導く下流側オイル通路が形成され、
この下流側オイル通路に、オイルポンプから圧送された潤滑オイルを前記下流側オイル通路へ供給する上流側オイル通路が接続され、
前記上流側オイル通路と前記下流側オイル通路の途中に、潤滑オイルを吐出して前記出力ギアを潤滑するオイル吐出孔が設けられたことを特徴とする駆動伝達装置の潤滑構造。
【請求項2】
前記出力ギアとクラッチ装置との間には、回転軸の軸受を保持する隔壁が設けられ、
この隔壁には前記軸受の背面側に凹部が形成され、この凹部が上流側オイル通路と下流側オイル通路に連通されると共に、前記隔壁に前記凹部に連通してオイル吐出孔が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の駆動伝達装置の潤滑構造。
【請求項3】
前記出力ギアは、互いに噛み合うドライブギアとドリブンギアであり、
オイル吐出孔は、前記ドライブギアと前記ドリブンギアとの噛合部位よりも前記ドリブンギアの回転方向上流側に潤滑オイルを吐出するよう設けられたことを特徴とする請求項1に記載の駆動伝達装置の潤滑構造。
【請求項4】
前記出力ギアは、互いに噛み合うドライブギアとドリブンギアであり、
オイル吐出孔は、前記ドライブギアと前記ドリブンギアのそれぞれの軸間における上方に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の駆動伝達装置の潤滑構造。
【請求項5】
前記出力ギアは、互いに噛み合うドライブギアとドリブンギアであり、
オイル吐出孔は、前記ドライブギアと前記ドリブンギアのそれぞれの歯先円に接する接線の上方に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の駆動伝達装置の潤滑構造。
【請求項6】
前記オイル吐出孔は、下流側オイル通路よりも上方に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の駆動伝達装置の潤滑構造。
【請求項7】
前記オイル吐出孔と対向する位置に、前記オイル吐出孔から吐出された潤滑オイルを衝突させて出力ギアへ案内する傾斜面が設けられ、この傾斜面は、前記出力ギアの歯幅方向に対し傾斜してこの出力ギアの直上に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の駆動伝達装置の潤滑構造。
【請求項8】
前記傾斜面の下端は、出力ギアの歯幅の範囲内における直上に位置付けられたことを特徴とする請求項7に記載の駆動伝達装置の潤滑構造。
【請求項9】
前記回転軸には、下流側オイル通路に連通してクラッチ装置へ潤滑オイルを導く連通孔が形成され、オイル吐出孔の開口面積が前記連通孔の開口面積よりも小さく設定されたことを特徴とする請求項1に記載の駆動伝達装置の潤滑構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−241776(P2012−241776A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−111330(P2011−111330)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】