説明

駆動回路素子の接続構造

【課題】回路基板に直接搭載された駆動回路素子のアライメント状態の良否を簡便に判定できる簡素なアライメント検査機能を有する駆動回路素子の接続構造を提供する。
【解決手段】略細長直方体をなすドライバチップの底面の4コーナ部にそれぞれアライメント信号を出力可能に配線接続されたアライメントバンプが配設され、前記ドライバチップが載置される回路基板には、これらアライメントバンプに対応させてアライメント信号出力配線6がそれぞれ配設される。各アライメント信号出力配線6は、アライメントバンプに対応する位置にこのアライメントバンプの周囲に所定量の隙間を均等に確保するための正方形枠状に形成された導通接触検出用の枠状パット61が一端に設けられ、他端にはアライメント信号を出力するための平面パッド62が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、配線パターンが形成された基板に直接搭載される駆動回路素子のアライメント状態の良否を判定するためのアライメント検査機能を有する駆動回路素子の接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示パネル等のフラットパネルディスプレイには、半導体チップからなる駆動回路素子(以下、ドライバチップという)をガラス基板等の回路基板上に直接導通接続させて設置したものがある。このような搭載方式は、回路基板がガラス基板の場合は、COG(Chip On Glass)方式と呼ばれ、フラットパネルディスプレイの小型薄型化に有利な点から、近年広く採用されている。このCOG方式の液晶表示パネルの製造工程においては、ガラス基板上の配線回路とドライバチップとの導通接続状態等を確認するため、ドライバチップに対する入力配線の端子に検査装置のプローブを導通接触させて表示検査を行う。
【0003】
上述の表示検査では、ドライバチップと配線回路との導通接続がオープン不良(非接続)か、或いは設置位置ずれによるショート(隣接配線間の短絡)不良の有無は判定できるが、ドライバチップのアライメント不良を検出することはできない。ドライバチップのアライメント不良は、ドライバチップの設置位置のずれが僅かであるため、製造工程における検査時ではオープン不良やショート不良は引き起こさないものの、長期的にはオープン不良やショート不良を引き起こす原因となり液晶表示パネルの信頼性を低下させる。
【0004】
ドライバチップのアライメント不良を確実に検出する方法としては、従来、特許文献1に示されるような方法が採用されている。この方法は、アライメントマーク部を赤外線カメラ等で撮像し、この撮像データに基づきアライメントのずれ量を検出するものである。
【特許文献1】特開平10−125728号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したアライメントマークをカメラで撮像する方法は、検査装置が大掛かりとなり設備コストが嵩むだけでなく、検査に手間がかかり製造工数を増加させる。
【0006】
本発明の目的は、回路基板に直接搭載された駆動回路素子のアライメント状態の良否を簡便に判定できる簡素なアライメント検査機能を備えた駆動回路素子の接続構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の駆動回路素子の接続構造は、回路基板上に直接導通設置された駆動回路素子のアライメント状態の良否を判定するためのアライメント検査機能を有する接続構造であって、入力端子バンプと、出力端子バンプと、前記入力端子バンプの少なくとも1個と接続されたアライメント用バンプとがそれぞれ複数個づつ配設された駆動回路素子と、前記入力端子バンプにそれぞれ導通接続される複数の入力配線と、前記出力端子バンプにそれぞれ導通接続される複数の出力配線と、前記アライメント用バンプに対応させて設けられ、前記アライメント用バンプの設置位置に対してアライメントの許容範囲の距離だけ離間させて前記アライメント用バンプに近接させて配置された導通接触検出パット及びアライメントの良否を判定する為のアライメント信号を出力させるアライメント信号出力パッドを有するアライメント信号出力配線とがそれぞれ配設され、前記駆動回路素子が導通設置される回路基板とを備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の駆動回路素子の接続構造によれば、駆動回路素子にその入力端子バンプの少なくとも1個と接続されたアライメント用バンプと、回路基板にアライメント用バンプの設置位置に対してアライメントの許容範囲の距離だけ離間させて前記アライメント用バンプに近接させて配置された導通接触検出パットとを設けたので、アライメントのズレが許容範囲を超えたときには、入力端子バンプに供給された信号がアライメント信号出力パッドからアライメント信号として出力され、このアライメント信号によってアライメントの良否を判定することができる。よって、高価な画像認識検査装置を使わなくても、駆動回路素子のアライメント状態の良否をアライメント信号のオン・オフ2値の信号により簡単且つ的確に判定でき、駆動回路素子のアライメント検査に要する工数及び設備費が共に低減される。
【0009】
本発明の駆動回路素子の接続構造においては、アライメント信号出力配線の導通接触検出パットが、アライメント用バンプの設置位置に対してアライメントの許容範囲の距離だけ離間させて前記アライメント用バンプを取り囲む枠状パターンに形成されていることが好ましく、これにより、アライメント不良をより確実に検出することができる。
【0010】
また、本発明の駆動回路素子の接続構造においては、アライメント信号出力配線の複数の導通接触検出パットが、それぞれアライメント用バンプの設置位置に対してアライメントの許容範囲の距離だけ離間させて前記アライメント用バンプの3方を囲むコの字形状に形成され、且つそれぞれのコの字形状の開放部の方向が異なっていることが好ましく、これにより、アライメントずれの方向も検出することができる。
【0011】
さらに、本発明の駆動回路素子の接続構造は、液晶を挟持する一対の基板に駆動回路素子を直接搭載してなる液晶表示素子に有効に適用され、その結果、液晶表示素子の小型薄型化が促進されると共に歩留りが向上し製造コストが低減される。
【0012】
加えて、本発明の駆動回路素子の接続構造では、駆動回路素子が回路基板に異方性導電接着材を介して熱圧着され、アライメント用バンプがバンプの配置を均等化するために設けられるダミーバンプを兼ねる構成とすることが好ましく、これにより、駆動回路素子のバンプ構成が簡素化され、原価低減が促進される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は本発明の一実施形態としての液晶表示素子を示す平面図で、図2は前記液晶表示素子に搭載される駆動回路素子の底面図、図3は前記液晶表示素子の駆動回路素子を搭載する前の状態の駆動回路素子搭載エリアとその周辺を拡大して示す部分平面図である。
【0014】
本実施形態の液晶表示素子は、電極(不図示)が形成された一対のガラス基板1、2を、それぞれの電極形成面を対向させて枠状シール材(不図示)により所定の間隙を保って接合し、枠状シール材で囲まれたガラス基板1、2間に液晶を挟持して、構成されている。なお、本実施形態の液晶表示素子は、単純マトリクス方式の液晶表示パネルであり、一対のガラス基板1、2のうちの一方の例えばガラス基板1の内面には複数の表示電極が平行に配設され、これに対向する他方のガラス基板2の内面には複数の走査電極が前記表示電極と直交する方向に平行に配設されている。
【0015】
ガラス基板1、2のうちの一方のガラス基板2には、縁部を他方のガラス基板1の対応する端面よりも外側へ突出させて、突出部21が形成されている。この基板突出部21の表面には、駆動回路素子としての細長直方体をなすドライバチップ3がCOG方式により直接搭載されている。ドライバチップ3は、外部駆動制御回路(不図示)から入力される駆動制御信号に応じて表示電極と走査電極に信号電圧を印加し、挟持されている液晶を駆動する。
【0016】
本実施形態のドライバチップ3では、図2に示されるように、その底面に3種類のバンプ(突起電極)31〜33が凸設されている。これら3種類のバンプ31〜33は、一方のチップ長手辺に沿って等間隔に配設された四角柱状の入力バンプ31と、他方のチップ長手辺に沿って等間隔に配設された同じく四角柱状の出力バンプ32、及びチップの4コーナ部に配設されたアライメントバンプ33からなる。ここで、4個のアライメントバンプ33は、それぞれ、略円柱状に形成され、入力バンプ31のうちの何れかとチップ内部で図示しない配線により電気接続されている。
【0017】
図3において基板突出部21の表面には、複数の出力配線4と複数の入力配線5が引き回し配設されている。二点鎖線で示されるドライバチップ3の搭載エリアAmには、表示電極から引き出された出力配線4aの接続端子41が液晶挟持側(内側)長手辺に沿って等間隔に並設され、その両側には前記走査電極からそれぞれ引き出された出力配線4bの接続端子42が等間隔に並設されている。これら接続端子41、42は、前記ドライバチップ3の出力バンプ32に対応させてそれらと同ピッチで並設されている。
【0018】
一方、ドライバチップ搭載エリアAmより基板突出部先端側のエリアには、ドライバチップ3の各入力バンプ31に対応させて複数の入力配線5が配設されている。これら入力配線5は、基板突出部端面22に対して直角の方向に平行に延在させて等間隔に並設されており、それぞれの入力配線の一方の各端子51はドライバチップ搭載エリアAm内にそのもう一方の長手辺(外側長手辺)に沿って、他方の各端子52は基板突出部端面22に沿って、それぞれ等間隔に並設されている。ドライバチップ搭載エリアAm内に並設された各端子51は、前記ドライバチップ3の入力バンプ31に対応させてそれらと同ピッチで配設されている。
【0019】
そして、細長長方形をなすドライバチップ搭載エリアAmの4隅のコーナに対応させて、4本のアライメント信号出力配線6がそれぞれ配設されている。各アライメント信号出力配線6では、中央部に正方形の穴611が穿設された枠状パッド61が一方の端部に形成され、他方の端部には略正方形をなす平面パッド62が形成されている。
【0020】
4個の枠状パッド61は、ドライバチップ搭載エリアAmの4コーナ部、つまり前記ドライバチップ3の4コーナ部に配設されたアライメントバンプ33の設置位置に対応する4つの隅、にそれぞれ配置され、前記アライメントバンプ33の設置位置をアライメントの許容範囲の距離だけ離間させて取り囲む大きさの枠状パターンをなす導通接触検出パットに形成されている。また、各平面パッド62は、入力配線端子52の列の両側に分けてそれぞれ2個づつ並設されている。そして、これら各枠状パッド61と各平面パッド62の配置は、それぞれのアライメント信号出力配線6が交差することなく且つ長さが可及的に短くなるように設定されている。
【0021】
ここで、4個のアライメントバンプ33とこれらに対応させて配設された4個の枠状パッド61とは、図4(a)に示されるドライバチップ3の正常配置状態において、アライメントバンプ33が対応する枠状パッド61の角穴611に対し、その中央に位置して周囲四方に均等に幅wの間隔が確保されるように、それぞれの寸法が設定されている。
【0022】
図1に戻って、ガラス基板2の突出部21先端部には、フレキシブル配線基板7が導通接合されている。フレキシブル配線基板7は、外部駆動制御回路基板(不図示)とドライバチップ3とを電気接続するコネクタであり、入力配線5のガラス基板端面22に沿って並設された端子52にフレキシブル配線基板7の対応する配線端子(不図示)が導通接続される。
【0023】
本実施形態におけるドライバチップ3は、異方性導電接着材(不図示)を介して、ガラス基板2の搭載エリアAmにCOG方式により搭載されている。異方性導電接着材は、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化タイプのバインダ樹脂中に平均粒径が約5μm程度の導電性粒子を分散混合させてなる。
【0024】
COG搭載工程においては、ドライバチップ3とガラス基板2とを、異方性導電接着材を介して位置合わせ(アライメント)した状態でドライバチップ3の表面に所定温度に加熱したヒータツールを所定の圧力で圧接させて熱圧着させる。これにより、ドライバチップ3の入、出力バンプ31、32と対応する入、出力配線端子51、41、42とは、間に前記導電性粒子を挟持した状態で導通接続される。
【0025】
アライメントバンプ33と対応する枠状パッド61とは、図4(a)に示される正常にアライメントされた状態では、両者が平面的に重なっていないから、アライメントバンプ33と対応する枠状パッド61とが異方性導電接着材の導電性粒子を介して導通接続されることはない。しかし、前述したアライメントバンプ33と枠状パッド61の離隔幅wが導電性粒子の平均粒径よりも小さいと、正常配置状態においても両者が導通接続される不具合が発生する。そこで、上記離隔幅wは、異方性導電接着材の導電性粒子の平均粒径よりも大きく設定しておく必要があり、導電性粒子の平均粒径をdとすれば、
w>(1.5)×d
程度に設定しておくことが好ましい。
【0026】
ドライバチップ3のCOG搭載が完了したら、フレキシブル配線基板7を導通接合する前に、ドライバチップ3のアライメント検査を行う。このドライバチップ3のアライメント検査においては、基板突出部21の先端部に並設されている所定数の入力配線端子52と4個のアライメント信号出力配線の平面パッド62に一括導通接触可能なプローブユニットを用いる。複数の入力配線端子52と4本のアライメント信号出力配線6の各平面パッド62にそれぞれ対応するプローブを導通接触させた状態で、検査機本体から入力配線端子52に導通接触させたプローブを介して各入力配線5に検査信号を出力する。この検査信号は、各入力配線5からドライバチップ3と各出力配線4を介して対応する表示電極と走査電極に出力され、両電極が対向する各画素を点灯させる。この点灯状態から、ドライバチップ3と各配線4、5間のオープン不良やショート不良等の導通不良が検出される。
【0027】
入力配線5のうちのアライメントバンプ33に配線接続されている入力配線5からは、アライメントバンプ33にも検査信号が出力される。しかし、ドライバチップが正常に配置された状態においては、4個のアライメントバンプ33と対応する枠状パッド61とは図4(a)に示されるようにそれぞれ充分に離隔して電気的にオープン状態であるから、各アライメントバンプ33に出力された検査信号はそれぞれの対応するアライメント信号出力配線6には出力されない。すなわち、4個の平面パッド62の何れからも検査信号は検出されず、検査機のモニタには「アライメント正常」の旨が表示される。
【0028】
ドライバチップ3のアライメント不良状態においては、図4(b)に示されるように各アライメントバンプ33と対応する枠状パッド61とが導通接触するから、検査信号が導通接触する枠状パッド61からアライメント信号出力配線6に出力され、その平面パッド62に導通接触させたプローブを介して検査機内に入力され、モニタに「アライメント不良」の旨が表示される。
【0029】
「アライメント不良」が表示された液晶表示素子は、製造工程から外されて修理再生工程に送られる。この場合、ドライバチップをガラス基板にCOG搭載した時点でアライメント不良品を検査判別するから、不良品を容易に修理再生することができる。その結果、ドライバチップが正常に搭載されていない液晶表示素子が製品から的確に除外されて製品の信頼性が格段に向上するとともに、製品及びドライバチップ等の部品の歩留りが向上して液晶表示素子のコストダウンが促進される。
【0030】
以上のように、本実施形態の液晶表示素子は、ドライバチップ3のアライメントバンプ33をアライメント信号の出力端子とし、この出力信号を受けるガラス基板2側のアライメント信号出力配線6の端子パッド61を、アライメントバンプの設置位置に対してアライメントの許容範囲の距離だけ離間させて前記アライメントバンプに近接させて配置された枠状の導通接触検出パットとしたから、ドライバチップ3の搭載位置のズレが許容範囲を超えたとき、アライメントバンプ33と導通接触検出用の枠状パット61が導通接触したアライメント信号が得られ、目視では識別し難いドライバチップ3のアライメント状態の良否をオン・オフの2値からなるアライメント信号に基づき簡単且つ的確に判定することができる。これにより、ドライバチップ3のアライメント検査を、修理再生が容易な段階で安価な設備と少ない工数で正確に行うことができ、その結果、液晶表示素子の信頼性が格段に向上するだけでなく、製品歩留りが向上すると共に製造工数が低減されて液晶表示素子のコストダウンが促進される。
【0031】
次に、本発明の他の実施形態について図5及び図6(a)、(b)に基づき説明する。図5はドライバチップ搭載前の液晶表示素子を示す図2に対応した平面図で、図6(a)、(b)はそれぞれ正常配置状態とアライメント不良状態を示す拡大底面図である。なお、上記実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0032】
本実施形態は、図2に示した上記実施形態のアライメント信号出力配線6における閉じた4角形の枠状パッド61を、図5に示すように、矩形の一辺を開いたコの字形の枠状パッド81a〜81dに変更したもので、その他の構成は上記実施形態と同様である。
【0033】
ドライバチップ3の4コーナ部にそれぞれ設けられたアライメントバンプ33に対応させて、ガラス基板2側には4本のアライメント信号出力配線8a〜8dが配設されている。ここで、アライメント信号出力配線8a〜8dのそれぞれのコの字パッド81a〜81dは、コの字の向きつまり枠の開放方向が互いに異なっている。基板突出部21の長手方向をX方向とし、これに直交する幅方向をY方向とした場合、対角線上にある一対のアライメントバンプ33、33(図2参照)に対応するコの字パッド対81a、81cでは同じX方向で互いに反対側が開かれ、もう一方のコの字パッド対81b、81dでは同じY方向で互いに反対側が開かれている。なお、アライメント信号出力配線8a〜8dの各他端部は、それぞれ、上記実施形態と同じ略正方形の平面パッド82a〜82dに形成されている。
【0034】
上述のように構成された本実施形態のアライメント検査構造によれば、ドライバチップ3の設置位置の良否判定だけでなく、アライメント不良における位置ずれの方向をも判別することができる。
【0035】
図6(a)はドライバチップ3が正常な位置に設置された状態を示し、これに対し、図6(b)に示された状態は、位置ずれがY方向に沿って発生しそのずれ量が許容範囲を超えた状態を示している。このとき、X方向に開いたコの字パッド81a、81cと対応するアライメントバンプ33、33が導通接触して他端の各平面パッド82a、82cから検査機にオン信号が出力されるが、Y方向に開いたコの字パッド81b、81dと対応するアライメントバンプ33、33とは導通接触していないから、他端の各平面パッド82a、82cから検査機に信号は出力されない(オフ信号)。これらの信号を受けた検査機ではモニタに「Y方向アライメント不良」の旨の表示がなされる。
【0036】
一方、ドライバチップ3の搭載位置がX方向にずれた場合は、Y方向に開いたコの字パッド81b、81dがオン状態となって他端の各平面パッド82b、82dからオン信号が出力され、X方向に開いたコの字パッド81a、81cはオフ状態のままである。この場合、それらの信号を受けた検査機ではモニタに「X方向アライメント不良」の旨の表示がなされる。
【0037】
なお、4個の平面パッド82a〜82dの全てからオン信号が出力されたときは、図7(a)に示されるようにドライバチップ3の設置位置がX、Yの両方向にずれた状態の場合であり、検査機のモニタには、「X、Y両方向アライメント不良」の旨の表示がなされる。また、4個の平面パッド82a〜82dの内の3個からオン信号が出力されたときは、ドライバチップ3の設置位置がX、Yの何れかの方向に大きくずれた状態の場合である。例えば図7(b)に示した状態では、Y方向の+側(液晶表示素子の液晶挟持側つまり内側を+側とする)へのずれが所定量より大きくなった為にY方向で−側に開くコの字パッド81dがオン状態となり、その他端側平面パッド82dとX方向に開くコの字パッド81a、81cの他端側平面パッド82a、82cからオン信号が出力される。したがってこの場合は、検査機のモニタには、「Y方向+側重度アライメント不良」の旨の表示がなされる。
【0038】
以上のように、本実施形態の液晶表示素子においては、略直方体状ドライバチップ3の4コーナに設けたアライメントバンプ33に導通接触させるパッド81a〜81dを矩形の一辺を開いたコの字形に形成し、その内の2個づつのコの字パッドの対を同じ方向で互いに反対側に開いた形状としたから、ドライバチップ3のアライメント不良だけでなくアライメント不良における位置ずれの方向も判別することができる。従って、このアライメント検査結果をドライバチップ3の搭載工程にフィードバックすることにより、アライメント不良の発生率を低減させることができ、液晶表示素子の生産効率が向上する。その結果、信頼性に優れた液晶表示素子を低コストで効率良く製造することが可能となる。
【0039】
次に、上記実施形態の変形例について、図8、図9に基づき説明する。
図8に示す変形例は、上記アライメント信号出力配線4、8の構成を変形した例で、図9は上記ドライバチップ3のバンプ構成を変形した例である。
【0040】
図8に示す変形例では、1個のアライメントバンプ33に対し、4本のアライメント信号出力配線9a〜9dが配設されている。これら4本のアライメント信号出力配線9a〜9dのアライメントバンプ33に導通接触させる各端部91a〜91dは、それぞれ、矩形枠を形成する電気的に独立した一辺の枠辺パッドとなっている。すなわち、4本の枠辺パッド91a〜91dで図2に示す実施形態における枠状パッド41と同様な矩形パッドを形成しているが、それぞれの枠辺パッド91a〜91dは電気的に切り離されて個々に出力用平面パッド92a〜92dを備えている。
【0041】
このように構成されたアライメント検査構造によれば、ドライバチップのアライメント不良における位置ずれの状態を、X、Y各方向の±両側4方位に加えて、X、Yの中間方向の4方の方位を併せた合計8方位に識別して判定することができる。これにより、ドライバチップの搭載工程にフィードバックされるアライメント検査データがより精緻なものとなり、アライメント不良の発生率がより一層低減される。
【0042】
図9に示す変形例は、ドライバチップ10の入力バンプ101の数と出力バンプ102の数のアンバランスを補うためにダミーバンプ103を配設し、ドライバチップ10の底面における全てのバンプ101、102、103の分布を底面全体にわたり略均等化したものである。そして、ダミーバンプ103のうちの4コーナ部に配設されたダミーバンプ103a〜103dを本発明に係わるアライメントバンプとして兼用する。従って、これらアライメント兼用ダミーバンプ103a〜103dは、それぞれ、複数個の入力バンプ101の内の何れかと配線接続されており、アライメント信号を出力する。このように、圧着用ダミーバンプがアライメントバンプを兼用する構成とすることにより、ドライバチップの構造が大幅に簡素化される。なお、本変形例のドライバチップ10の構成は、上述した何れの実施形態のガラス基板側配線構成に対しても適用可能である。
【0043】
本変形例のアライメント検査機能を有する接続構造を備えた液晶表示素子によれば、ドライバチップ10の底面のバンプの分布が均等化されているため、異方性導電接着材を介した熱圧着接合工程において、ヒータツールによる押圧力がドライバチップ10の全面にわたり均等に作用し、全てのバンプ101〜103がガラス基板側の対応する配線端子に導電性粒子を挟圧した状態で確実に導通接続され、液晶表示素子の信頼性がより向上する。そして、これに加えて、ダミーバンプ103a〜103dがアライメント信号の出力端子を兼ねた簡素な接続構造により、ドライバチップ10のアライメント不良の状態を的確に判別できる。その結果、信頼性に優れた液晶表示素子を少ない工数で効率良く低コストで製造することができる。
【0044】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施形態においては略直方体状のドライバチップに対しその底面4コーナにアライメントバンプをそれぞれ配置したが、これに限らず、アライメントバンプは対角2コーナに配置するだけでもよく、また、ドライバチップの形状が変わればそれに応じてアライメントバンプの数と配置は最適化される。
【0045】
また、本発明は、COG方式の液晶表示素子に限らず、回路基板上に駆動回路素子を直接搭載する種々の電子デバイスに広く適用できることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施形態としてのアライメント検査構造が適用された液晶表示素子を示す底面図である。
【図2】上記液晶表示素子に搭載されたドライバチップを示す底面図である。
【図3】上記液晶表示素子の要部を拡大して示す底面図である。
【図4】(a)は上記アライメント検査構造における正常設置状態を示す説明図、(b)はアライメント不良状態を示す説明図である。
【図5】本発明の他の実施形態としてのアライメント検査構造が適用された液晶表示素子を示す要部拡大底面図である。
【図6】上記他の実施形態としてのアライメント検査構造におけるアライメント状態例を示す説明図で、(a)は正常設置状態を示し、(b)はY方向アライメント不良状態を示している。
【図7】上記他の実施形態としてのアライメント検査構造におけるその他のアライメント不良例を示す説明図で、(a)はX、Y両方向アライメント不良状態を示し、(b)はY方向+側重度アライメント不良状態を示している。
【図8】上記実施形態におけるアライメント信号出力配線パターンの変形例を示す説明図である。
【図9】上記実施形態におけるドライバチップの変形例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0047】
1、2 ガラス基板
3、10 ドライバチップ
33 アライメントバンプ
4 出力配線
5 入力配線
6 アライメント信号出力配線
61 枠状パッド(端子パッド)
62 平面パッド(出力側)
7 フレキシブル配線基板
8a、8b
8c、8d アライメント信号出力配線
81a、81b
81c、81d コの字パッド
9a、9b
9c、9d アライメント信号出力配線
91a、91b
91c、91d 枠辺パッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板上に直接導通設置された駆動回路素子のアライメント状態の良否を判定するためのアライメント検査機能を有する接続構造であって、
入力端子バンプと、出力端子バンプと、前記入力端子バンプの少なくとも1個と接続されたアライメント用バンプとがそれぞれ複数個づつ配設された駆動回路素子と、
前記入力端子バンプにそれぞれ導通接続される複数の入力配線と、前記出力端子バンプにそれぞれ導通接続される複数の出力配線と、前記アライメント用バンプに対応させて設けられ、前記アライメント用バンプの設置位置に対してアライメントの許容範囲の距離だけ離間させて前記アライメント用バンプに近接させて配置された導通接触検出パット及びアライメントの良否を判定する為のアライメント信号を出力させるアライメント信号出力パッドを有するアライメント信号出力配線とがそれぞれ配設され、前記駆動回路素子が導通設置される回路基板とを、備えることを特徴とする駆動回路素子の接続構造。
【請求項2】
前記アライメント信号出力配線の導通接触検出パットは、アライメント用バンプの設置位置に対してアライメントの許容範囲の距離だけ離間させて前記アライメント用バンプを取り囲む枠状パターンに形成されていることを特徴とする請求項1に記載の駆動回路素子の接続構造。
【請求項3】
前記アライメント信号出力配線の導通接触検出パットは、それぞれアライメント用バンプの設置位置に対してアライメントの許容範囲の距離だけ離間させて前記アライメント用バンプの3方を囲むコの字形状に形成され、且つそれぞれのコの字形状の開放部の方向が異なっていることを特徴とする請求項1に記載の駆動回路素子の接続構造
【請求項4】
前記回路基板は、液晶表示素子において液晶を挟持する一対の基板であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちの何れかに記載の駆動回路素子の接続構造。
【請求項5】
前記駆動回路素子は前記回路基板に異方性導電接着材を介して熱圧着され、前記アライメント用バンプがバンプの配置を均等化するために設けられるダミーバンプを兼ねていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちの何れかに記載の駆動回路素子の接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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