駐車判定装置
【課題】自動車部品に水分が付着した状態での駐車が行なわれる直前を判定することができる駐車判定装置を提供する。
【解決手段】自動車部品に水分が付着していると判定され、かつ、車両が駐車する直前であると判定されたときに、自動車部品に水分が付着した状態での駐車が行なわれる直前であると判定する。
【解決手段】自動車部品に水分が付着していると判定され、かつ、車両が駐車する直前であると判定されたときに、自動車部品に水分が付着した状態での駐車が行なわれる直前であると判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車部品に水分が付着した状態での駐車が行なわれる直前を判定可能な駐車判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用ブレーキ装置は、一般に、車輪と一体に回転する円板状のブレーキロータと、ブレーキロータを間に挟んで対向するブレーキパッドと、ブレーキパッドをブレーキロータに押さえ付けるホイールシリンダとを有し、ブレーキパッドとブレーキロータの接触面間に生じる摩擦力によって制動を行なう。
【0003】
この車両用ブレーキ装置は、雨天や霧などによってブレーキロータに水分が付着することがあり、水分が付着したまま長時間が経過すると、ブレーキロータに錆が生じる。ブレーキロータに錆が生じると、ブレーキロータの厚みが不均一となり、ブレーキパッドをブレーキロータに押さえ付けたときにブレーキロータが異常に振動したり(ブレーキジャダー)、ブレーキロータに異常な鳴きが生じたりする。
【0004】
そこで、ブレーキロータに錆が生じた場合に、その錆を除去することが可能な車両用ブレーキ制御装置として、下記の特許文献に記載されたものが知られている。この車両用ブレーキ制御装置は、通常制動時は、回生制動力と摩擦制動力を併用して制動を行ない、ブレーキロータに錆が生じていると判定されたときは、回生制動力を発生させずに、摩擦制動力を優先的に発生させるようにし、その摩擦制動力によってブレーキロータの錆を除去するものである(特許文献1)。
【特許文献1】特開2006−103630号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このように、摩擦制動力を優先的に発生させる制御を行なっても、ブレーキロータに錆が発生してから錆が除去されるまでの間、上述したブレーキロータの異常な振動や鳴きが生じるのを避けることができない。
【0006】
また、ブレーキロータに生じた錆を除去するため、ブレーキパッドの材質を改良する技術や、ブレーキパッドの構造を変更する技術が提案されているが、これらの技術を採用しても、錆が発生してから錆が除去されるまでの間、ブレーキロータの異常な振動や鳴きは生じる。
【0007】
そこで、この発明者は、上述した問題を解消するために、錆の発生原因である水分がブレーキロータに付着した状態で駐車が行なわれる直前であると判定されたときに、ブレーキロータに発生させる摩擦制動力を通常制動時よりも増大させ、その摩擦制動力の増大量に応じて車両の駆動力を追加する制御を行なうことにより、ブレーキロータから水分を効果的に蒸発させ、ブレーキロータに錆が生じるのを未然に防ぐブレーキ制御装置を検討したが、このブレーキ制御装置を実現するためには、ブレーキロータに水分が付着した状態での駐車が行なわれる直前を判定する必要がある。
【0008】
また、アウトサイドミラーに水分が付着した状態での駐車が行なわれる直前を判定することができれば、アウトサイドミラーに水分が付着した状態での駐車が行なわれる直前に、アウトサイドミラー内部に組み込んだ熱線に電流を通して発熱させる制御を行なうことが可能となり、これにより、アウトサイドミラーの水分を効果的に蒸発させ、アウトサイドミラーに水垢が生じるのを防ぐことが可能となる。
【0009】
また、車体に水分が付着した状態での駐車が行なわれる直前を判定することができれば、車体に水分が付着した状態での駐車が行なわれる直前に、エアコンを内気循環から外気導入に切換える制御を行なうことが可能となり、これにより、車内の空気を自動的に入れ替え、車内にこもった湿気による異臭発生を防止することが可能となる。
【0010】
この発明が解決しようとする課題は、自動車部品に水分が付着した状態での駐車が行なわれる直前を判定することができる駐車判定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、車両に配設された自動車部品に水分が付着しているか否かを判定する水分付着判定手段と、前記車両が駐車する直前であるか否かを判定する駐車直前判定手段と、前記水分付着判定手段の判定と前記駐車直前判定手段の判定とに基づいて、前記自動車部品に水分が付着した状態で駐車が行なわれるか否かを判定する水分付着状態駐車直前判定手段とを有する構成を駐車判定装置に採用した。
【0012】
この駐車判定装置は、次の構成を加えることができる。
1)レインセンサからの信号またはワイパーの作動状態を示す情報に基づいて、フロントガラスに水分が付着しているか否かを判定するフロントガラス水分付着判定手段を設け、そのフロントガラス水分付着判定手段の判定に基づいて、前記水分付着判定手段は前記自動車部品に水分が付着しているか否かを判定するようにする。
2)前記駐車直前判定手段は、車輪速度が予め設定されたしきい値よりも小さいときに、前記車両が駐車する直前であると判定する。
3)ナビゲーションシステムのナビ情報に基づいて前記車両の現在位置が目的地にあるか否かを判定する目的地判定手段を設け、その目的地判定手段の判定に基づいて、前記駐車直前判定手段は前記車両が駐車する直前であるか否か判定するようにする。
4)変速レバーの位置情報とハザードランプの点灯状態を示す情報のうちの少なくとも一方に基づいて、運転者が駐車の準備に入っているか否かを判定する駐車準備判定手段を設け、その駐車準備判定手段の判定に基づいて、前記駐車直前判定手段は前記車両が駐車する直前であるか否か判定するようにする。
【発明の効果】
【0013】
この発明の駐車判定装置は、自動車部品に水分が付着した状態での駐車が行なわれる直前であるか否かを判定することができる。そのため、この駐車判定装置を用いると、駐車して車両の電子制御装置の電源が切れる前に、水分対策の制御を行なうことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1に、この発明の実施形態の駐車判定装置を採用するブレーキシステムのブロック図を示す。この、このブレーキシステムは、ブレーキECU1、エンジンECU2、トランスミッションECU3、メータECU4、ナビゲーションECU5、自動駐車支援制御ECU6が車内LANのバス7に接続されており、バス7を介して各ECU間での情報のやりとりが可能となっている。
【0015】
図2に示すように、メータECU4には、フロントガラスへの水滴の付着を検知するレインセンサ8、車外の気温を検知する外気温センサ9、ワイパーの作動操作を行なうワイパースイッチ10、ハザードランプの点灯操作を行なうハザードスイッチ11から信号が入力される。
【0016】
レインセンサ8は、図3に示すように、フロントガラス12に光を照射する発光ダイオード13と、フロントガラス12で反射した光を検知する受光素子14とを有し、フロントガラス12に水滴15が付着すると、受光素子14で検知される光の量が減少し、出力信号が変化する。
【0017】
ブレーキECU1には、車輪の回転速度を検知する車輪速度センサの検知信号が入力され、トランスミッションECU3には、トランスミッションの変速レバーの位置信号が入力される。
【0018】
このように構成されたブレーキシステムの制御を、図4〜図10に基づいて説明する。
【0019】
図4に、この制御のメインルーチンを示す。まず、ブレーキECU1は、フロントガラス12に水分が付着しているか否かを判定し(ステップS1,S2)、その判定結果に基づいて、ブレーキロータに水分が付着しているか否かを判定する(ステップS3)。つぎに、車両の現在位置が目的地にあるか否かを判定し(ステップS4)、また、運転者が駐車の準備に入っているか否かを判定し(ステップS5)、これらの判定結果に基づいて、車両が駐車する直前であるか否かを判定する(ステップS6)。
【0020】
ブレーキロータに水分が付着していると判定され、かつ、車両が駐車する直前であると判定されたときは(ステップS7)、ブレーキロータに水分が付着した状態での駐車が行なわれる直前であると判定し(ステップS8)、一方、ブレーキロータに水分が付着していないか、または、車両が駐車する直前でないときは(ステップS7)、ブレーキロータに水分が付着した状態での駐車が行なわれる直前ではないと判定する(ステップS9)。
【0021】
図5に、メインルーチンのステップS1に対応するサブルーチンを示す。まず、ブレーキECU1は、レインセンサ8の検知信号をメータECU4から取得し(ステップS11)、レインセンサ8がONのときは(ステップS12)、フロントガラスへの水分付着ありAのフラグをセットする(ステップS13)。
【0022】
一方、レインセンサがOFFになり(ステップS12)、かつ、その状態で時間Tが経過したときは(ステップS14)、フロントガラス12の水分が蒸発して無くなったと考えられるので、フロントガラスへの水分付着ありAのフラグをリセットする(ステップS15)。このとき、水分の蒸発速度が外気温に応じて異なるので、外気温センサ9の検知信号をメータECU4から取得し、図6に示すように、外気温が高くなるほど時間Tを小さく設定する。
【0023】
図7に、メインルーチンのステップS2に対応するサブルーチンを示す。まず、ワイパーの作動状態を示す情報をメータECU4から取得し(ステップS21)、ワイパーが作動中であり(ステップS22)、かつ、連続して所定回数(たとえば20回)以上作動したときは(ステップS23)、フロントガラスへの水分付着ありBのフラグをセットする(ステップS24)。ワイパーが作動中であっても(ステップS22)、連続作動回数が所定回数に満たないときは(ステップS23)、ウォッシャ液によるフロントガラスの清掃と考えられるので、フロントガラスへの水分付着ありBのフラグはセットしない。
【0024】
一方、ワイパーが停止した状態であり(ステップS22)、かつ、その状態で時間Tが経過したときは(ステップS25)、フロントガラス12の水分が蒸発して無くなったと考えられるので、フロントガラスへの水分付着ありBのフラグをリセットする(ステップS26)。時間Tは、図6に示すように、外気温が高くなるほど小さく設定する。
【0025】
このように、ワイパーの作動状態を示す信号に基づいて、フロントガラス12に水分が付着しているか否かを判定することにより、レインセンサ8では検出しにくい小雨や霧によるフロントガラス12への水分付着を判定することが可能となる。
【0026】
図8に、メインルーチンのステップS3に対応するサブルーチンを示す。フロントガラスへの水分付着ありAのフラグまたはフロントガラスへの水分付着ありBのフラグがセットされているときは(ステップS31)、ブレーキロータにも水分が付着していると考えられるので、ブレーキロータへの水分付着ありのフラグをセットする(ステップS32)。一方、フロントガラスへの水分付着ありAのフラグと、フロントガラスへの水分付着ありBのフラグとがいずれもリセットされたときは(ステップS31)、ブレーキロータへの水分付着ありのフラグをリセットする(ステップS33)。
【0027】
図9に、メインルーチンのステップS4に対応するサブルーチンを示す。まず、ナビゲーションECU5からナビ情報を取得し(ステップS41)、そのナビ情報に基づいて、車両の現在位置が、目的地としてナビゲーションECU5に設定された場所にあるか否か(ステップS42)、予め登録された自宅または会社の場所にあるか否か(ステップS43)、過去に長時間(たとえば6時間以上)駐車した履歴のある場所にあるか否か(ステップS44)を判定し、いずれかの場所にあるときは目的地到着のフラグをセットする(ステップS45)。
【0028】
一方、運転者が目的地を再設定したときや(ステップS46)、目的地到着のフラグがセットされてから所定時間(たとえば10分)以上経過した状態で車輪速度が所定速度(たとえば30km/h)を超えたときは(ステップS47)、目的地が車両の現在位置から離れた場所にあると考えられるので、目的地到着のフラグをリセットする(ステップS48)。
【0029】
図10に、メインルーチンのステップS5に対応するサブルーチンを示す。まず、変速レバーの位置情報をトランスミッションECU3から取得し、また、ハザードランプの点灯状態を示す情報をメータECU4から取得し、さらに、自動駐車支援制御(たとえば、駐車直前にステアリングを自動で回して駐車目標位置に導く制御や、車両を自動で減速させて駐車目標位置に停止させる制御など)が実行中であるか否かを示す情報を自動駐車支援制御ECU6から取得する(ステップS51)。
【0030】
変速レバーがR位置またはD位置にあり(ステップS52)、かつ、ハザードランプが点灯しているときは(ステップS53)、運転者が駐車の準備に入っていると考えられるので、駐車準備中のフラグをセットする(ステップS54)。また、自動駐車支援制御が実行中であるときも(ステップS55)、駐車準備中のフラグをセットする(ステップS54)。一方、変速レバーがP位置やN位置にあるときや(ステップS52)、ハザードランプが消灯しているは(ステップS53)、自動駐車支援制御が実行されていないことを条件として(ステップS55)、駐車準備中のフラグをリセットする(ステップS56)。
【0031】
図11に、メインルーチンのステップS6に対応するサブルーチンを示す。まず、目的地到着のフラグと駐車準備中のフラグがいずれもセットされ、かつ、車輪速度が予め設定されたしきい値(たとえば7km/h)よりも小さいときは(ステップS61)、駐車直前のフラグをセットする(ステップS62)。一方、目的地到着のフラグまたは駐車準備中のフラグがセットされていないときや、車輪速度が予め設定されたしきい値以上あるときは(ステップS61)、車両が駐車する直前ではないと考えられるので、駐車直前のフラグをリセットする(ステップS63)。
【0032】
この駐車判定装置は、ブレーキロータに水分が付着した状態での駐車が行なわれる直前を判定することができる。そのため、この駐車判定装置を用いると、ブレーキロータに水分が付着した状態での駐車が行なわれる直前に、ブレーキロータに発生させる摩擦制動力を通常制動時よりも増大させる制御を行なうことが可能となり、これにより、ブレーキロータに水分が付着した状態での駐車を行なう前にブレーキロータの温度を通常制動時よりも大きく上昇させてブレーキロータから水分を効果的に蒸発させ、ブレーキロータに錆が生じるのを未然に防ぐことが可能となる。また、このとき、摩擦制動力の増大量に応じて車両の駆動力を追加する制御を行なうことにより、摩擦制動力が増大することによる車両の運動への影響を吸収し、運転者の違和感を防止することができる。
【0033】
上記実施形態では、ブレーキロータに水分が付着した状態での駐車が行なわれる直前を判定する装置を例に挙げて説明したが、この発明は、他の自動車部品に水分が付着した状態での駐車が行なわれる直前を判定する装置にも適用することができる。たとえば、アウトサイドミラーに水分が付着した状態での駐車が行なわれる直前を判定する装置に適用してもよい。このようにすると、アウトサイドミラーに水分が付着した状態での駐車が行なわれる直前に、アウトサイドミラー内部に組み込んだ熱線に電流を通して発熱させる制御を行なうことが可能となり、これにより、アウトサイドミラーの水分を効果的に蒸発させ、アウトサイドミラーに水垢が生じるのを防ぐことが可能となる。
【0034】
また、この発明を、車体に水分が付着した状態での駐車が行なわれる直前を判定する装置に適用すると、車体に水分が付着した状態での駐車が行なわれる直前に、エアコンを内気循環から外気導入に切換える制御を行なうことが可能となり、これにより、車内の空気を自動的に入れ替え、車内にこもった湿気による異臭発生を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】この発明の実施形態の駐車判定装置を採用したブレーキシステムのブロック図
【図2】図1に示すメータECUのブロック図
【図3】図2に示すレインセンサの断面図
【図4】図1に示すブレーキECUの制御のメインルーチンを示すフロー図
【図5】図4のステップS1の処理を示すフロー図
【図6】図5のステップS14に示す時間Tと外気温の対応関係を示す図
【図7】図4のステップS2の処理を示すフロー図
【図8】図4のステップS3の処理を示すフロー図
【図9】図4のステップS4の処理を示すフロー図
【図10】図4のステップS5の処理を示すフロー図
【図11】図4のステップS6の処理を示すフロー図
【符号の説明】
【0036】
8 レインセンサ
12 フロントガラス
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車部品に水分が付着した状態での駐車が行なわれる直前を判定可能な駐車判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用ブレーキ装置は、一般に、車輪と一体に回転する円板状のブレーキロータと、ブレーキロータを間に挟んで対向するブレーキパッドと、ブレーキパッドをブレーキロータに押さえ付けるホイールシリンダとを有し、ブレーキパッドとブレーキロータの接触面間に生じる摩擦力によって制動を行なう。
【0003】
この車両用ブレーキ装置は、雨天や霧などによってブレーキロータに水分が付着することがあり、水分が付着したまま長時間が経過すると、ブレーキロータに錆が生じる。ブレーキロータに錆が生じると、ブレーキロータの厚みが不均一となり、ブレーキパッドをブレーキロータに押さえ付けたときにブレーキロータが異常に振動したり(ブレーキジャダー)、ブレーキロータに異常な鳴きが生じたりする。
【0004】
そこで、ブレーキロータに錆が生じた場合に、その錆を除去することが可能な車両用ブレーキ制御装置として、下記の特許文献に記載されたものが知られている。この車両用ブレーキ制御装置は、通常制動時は、回生制動力と摩擦制動力を併用して制動を行ない、ブレーキロータに錆が生じていると判定されたときは、回生制動力を発生させずに、摩擦制動力を優先的に発生させるようにし、その摩擦制動力によってブレーキロータの錆を除去するものである(特許文献1)。
【特許文献1】特開2006−103630号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このように、摩擦制動力を優先的に発生させる制御を行なっても、ブレーキロータに錆が発生してから錆が除去されるまでの間、上述したブレーキロータの異常な振動や鳴きが生じるのを避けることができない。
【0006】
また、ブレーキロータに生じた錆を除去するため、ブレーキパッドの材質を改良する技術や、ブレーキパッドの構造を変更する技術が提案されているが、これらの技術を採用しても、錆が発生してから錆が除去されるまでの間、ブレーキロータの異常な振動や鳴きは生じる。
【0007】
そこで、この発明者は、上述した問題を解消するために、錆の発生原因である水分がブレーキロータに付着した状態で駐車が行なわれる直前であると判定されたときに、ブレーキロータに発生させる摩擦制動力を通常制動時よりも増大させ、その摩擦制動力の増大量に応じて車両の駆動力を追加する制御を行なうことにより、ブレーキロータから水分を効果的に蒸発させ、ブレーキロータに錆が生じるのを未然に防ぐブレーキ制御装置を検討したが、このブレーキ制御装置を実現するためには、ブレーキロータに水分が付着した状態での駐車が行なわれる直前を判定する必要がある。
【0008】
また、アウトサイドミラーに水分が付着した状態での駐車が行なわれる直前を判定することができれば、アウトサイドミラーに水分が付着した状態での駐車が行なわれる直前に、アウトサイドミラー内部に組み込んだ熱線に電流を通して発熱させる制御を行なうことが可能となり、これにより、アウトサイドミラーの水分を効果的に蒸発させ、アウトサイドミラーに水垢が生じるのを防ぐことが可能となる。
【0009】
また、車体に水分が付着した状態での駐車が行なわれる直前を判定することができれば、車体に水分が付着した状態での駐車が行なわれる直前に、エアコンを内気循環から外気導入に切換える制御を行なうことが可能となり、これにより、車内の空気を自動的に入れ替え、車内にこもった湿気による異臭発生を防止することが可能となる。
【0010】
この発明が解決しようとする課題は、自動車部品に水分が付着した状態での駐車が行なわれる直前を判定することができる駐車判定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、車両に配設された自動車部品に水分が付着しているか否かを判定する水分付着判定手段と、前記車両が駐車する直前であるか否かを判定する駐車直前判定手段と、前記水分付着判定手段の判定と前記駐車直前判定手段の判定とに基づいて、前記自動車部品に水分が付着した状態で駐車が行なわれるか否かを判定する水分付着状態駐車直前判定手段とを有する構成を駐車判定装置に採用した。
【0012】
この駐車判定装置は、次の構成を加えることができる。
1)レインセンサからの信号またはワイパーの作動状態を示す情報に基づいて、フロントガラスに水分が付着しているか否かを判定するフロントガラス水分付着判定手段を設け、そのフロントガラス水分付着判定手段の判定に基づいて、前記水分付着判定手段は前記自動車部品に水分が付着しているか否かを判定するようにする。
2)前記駐車直前判定手段は、車輪速度が予め設定されたしきい値よりも小さいときに、前記車両が駐車する直前であると判定する。
3)ナビゲーションシステムのナビ情報に基づいて前記車両の現在位置が目的地にあるか否かを判定する目的地判定手段を設け、その目的地判定手段の判定に基づいて、前記駐車直前判定手段は前記車両が駐車する直前であるか否か判定するようにする。
4)変速レバーの位置情報とハザードランプの点灯状態を示す情報のうちの少なくとも一方に基づいて、運転者が駐車の準備に入っているか否かを判定する駐車準備判定手段を設け、その駐車準備判定手段の判定に基づいて、前記駐車直前判定手段は前記車両が駐車する直前であるか否か判定するようにする。
【発明の効果】
【0013】
この発明の駐車判定装置は、自動車部品に水分が付着した状態での駐車が行なわれる直前であるか否かを判定することができる。そのため、この駐車判定装置を用いると、駐車して車両の電子制御装置の電源が切れる前に、水分対策の制御を行なうことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1に、この発明の実施形態の駐車判定装置を採用するブレーキシステムのブロック図を示す。この、このブレーキシステムは、ブレーキECU1、エンジンECU2、トランスミッションECU3、メータECU4、ナビゲーションECU5、自動駐車支援制御ECU6が車内LANのバス7に接続されており、バス7を介して各ECU間での情報のやりとりが可能となっている。
【0015】
図2に示すように、メータECU4には、フロントガラスへの水滴の付着を検知するレインセンサ8、車外の気温を検知する外気温センサ9、ワイパーの作動操作を行なうワイパースイッチ10、ハザードランプの点灯操作を行なうハザードスイッチ11から信号が入力される。
【0016】
レインセンサ8は、図3に示すように、フロントガラス12に光を照射する発光ダイオード13と、フロントガラス12で反射した光を検知する受光素子14とを有し、フロントガラス12に水滴15が付着すると、受光素子14で検知される光の量が減少し、出力信号が変化する。
【0017】
ブレーキECU1には、車輪の回転速度を検知する車輪速度センサの検知信号が入力され、トランスミッションECU3には、トランスミッションの変速レバーの位置信号が入力される。
【0018】
このように構成されたブレーキシステムの制御を、図4〜図10に基づいて説明する。
【0019】
図4に、この制御のメインルーチンを示す。まず、ブレーキECU1は、フロントガラス12に水分が付着しているか否かを判定し(ステップS1,S2)、その判定結果に基づいて、ブレーキロータに水分が付着しているか否かを判定する(ステップS3)。つぎに、車両の現在位置が目的地にあるか否かを判定し(ステップS4)、また、運転者が駐車の準備に入っているか否かを判定し(ステップS5)、これらの判定結果に基づいて、車両が駐車する直前であるか否かを判定する(ステップS6)。
【0020】
ブレーキロータに水分が付着していると判定され、かつ、車両が駐車する直前であると判定されたときは(ステップS7)、ブレーキロータに水分が付着した状態での駐車が行なわれる直前であると判定し(ステップS8)、一方、ブレーキロータに水分が付着していないか、または、車両が駐車する直前でないときは(ステップS7)、ブレーキロータに水分が付着した状態での駐車が行なわれる直前ではないと判定する(ステップS9)。
【0021】
図5に、メインルーチンのステップS1に対応するサブルーチンを示す。まず、ブレーキECU1は、レインセンサ8の検知信号をメータECU4から取得し(ステップS11)、レインセンサ8がONのときは(ステップS12)、フロントガラスへの水分付着ありAのフラグをセットする(ステップS13)。
【0022】
一方、レインセンサがOFFになり(ステップS12)、かつ、その状態で時間Tが経過したときは(ステップS14)、フロントガラス12の水分が蒸発して無くなったと考えられるので、フロントガラスへの水分付着ありAのフラグをリセットする(ステップS15)。このとき、水分の蒸発速度が外気温に応じて異なるので、外気温センサ9の検知信号をメータECU4から取得し、図6に示すように、外気温が高くなるほど時間Tを小さく設定する。
【0023】
図7に、メインルーチンのステップS2に対応するサブルーチンを示す。まず、ワイパーの作動状態を示す情報をメータECU4から取得し(ステップS21)、ワイパーが作動中であり(ステップS22)、かつ、連続して所定回数(たとえば20回)以上作動したときは(ステップS23)、フロントガラスへの水分付着ありBのフラグをセットする(ステップS24)。ワイパーが作動中であっても(ステップS22)、連続作動回数が所定回数に満たないときは(ステップS23)、ウォッシャ液によるフロントガラスの清掃と考えられるので、フロントガラスへの水分付着ありBのフラグはセットしない。
【0024】
一方、ワイパーが停止した状態であり(ステップS22)、かつ、その状態で時間Tが経過したときは(ステップS25)、フロントガラス12の水分が蒸発して無くなったと考えられるので、フロントガラスへの水分付着ありBのフラグをリセットする(ステップS26)。時間Tは、図6に示すように、外気温が高くなるほど小さく設定する。
【0025】
このように、ワイパーの作動状態を示す信号に基づいて、フロントガラス12に水分が付着しているか否かを判定することにより、レインセンサ8では検出しにくい小雨や霧によるフロントガラス12への水分付着を判定することが可能となる。
【0026】
図8に、メインルーチンのステップS3に対応するサブルーチンを示す。フロントガラスへの水分付着ありAのフラグまたはフロントガラスへの水分付着ありBのフラグがセットされているときは(ステップS31)、ブレーキロータにも水分が付着していると考えられるので、ブレーキロータへの水分付着ありのフラグをセットする(ステップS32)。一方、フロントガラスへの水分付着ありAのフラグと、フロントガラスへの水分付着ありBのフラグとがいずれもリセットされたときは(ステップS31)、ブレーキロータへの水分付着ありのフラグをリセットする(ステップS33)。
【0027】
図9に、メインルーチンのステップS4に対応するサブルーチンを示す。まず、ナビゲーションECU5からナビ情報を取得し(ステップS41)、そのナビ情報に基づいて、車両の現在位置が、目的地としてナビゲーションECU5に設定された場所にあるか否か(ステップS42)、予め登録された自宅または会社の場所にあるか否か(ステップS43)、過去に長時間(たとえば6時間以上)駐車した履歴のある場所にあるか否か(ステップS44)を判定し、いずれかの場所にあるときは目的地到着のフラグをセットする(ステップS45)。
【0028】
一方、運転者が目的地を再設定したときや(ステップS46)、目的地到着のフラグがセットされてから所定時間(たとえば10分)以上経過した状態で車輪速度が所定速度(たとえば30km/h)を超えたときは(ステップS47)、目的地が車両の現在位置から離れた場所にあると考えられるので、目的地到着のフラグをリセットする(ステップS48)。
【0029】
図10に、メインルーチンのステップS5に対応するサブルーチンを示す。まず、変速レバーの位置情報をトランスミッションECU3から取得し、また、ハザードランプの点灯状態を示す情報をメータECU4から取得し、さらに、自動駐車支援制御(たとえば、駐車直前にステアリングを自動で回して駐車目標位置に導く制御や、車両を自動で減速させて駐車目標位置に停止させる制御など)が実行中であるか否かを示す情報を自動駐車支援制御ECU6から取得する(ステップS51)。
【0030】
変速レバーがR位置またはD位置にあり(ステップS52)、かつ、ハザードランプが点灯しているときは(ステップS53)、運転者が駐車の準備に入っていると考えられるので、駐車準備中のフラグをセットする(ステップS54)。また、自動駐車支援制御が実行中であるときも(ステップS55)、駐車準備中のフラグをセットする(ステップS54)。一方、変速レバーがP位置やN位置にあるときや(ステップS52)、ハザードランプが消灯しているは(ステップS53)、自動駐車支援制御が実行されていないことを条件として(ステップS55)、駐車準備中のフラグをリセットする(ステップS56)。
【0031】
図11に、メインルーチンのステップS6に対応するサブルーチンを示す。まず、目的地到着のフラグと駐車準備中のフラグがいずれもセットされ、かつ、車輪速度が予め設定されたしきい値(たとえば7km/h)よりも小さいときは(ステップS61)、駐車直前のフラグをセットする(ステップS62)。一方、目的地到着のフラグまたは駐車準備中のフラグがセットされていないときや、車輪速度が予め設定されたしきい値以上あるときは(ステップS61)、車両が駐車する直前ではないと考えられるので、駐車直前のフラグをリセットする(ステップS63)。
【0032】
この駐車判定装置は、ブレーキロータに水分が付着した状態での駐車が行なわれる直前を判定することができる。そのため、この駐車判定装置を用いると、ブレーキロータに水分が付着した状態での駐車が行なわれる直前に、ブレーキロータに発生させる摩擦制動力を通常制動時よりも増大させる制御を行なうことが可能となり、これにより、ブレーキロータに水分が付着した状態での駐車を行なう前にブレーキロータの温度を通常制動時よりも大きく上昇させてブレーキロータから水分を効果的に蒸発させ、ブレーキロータに錆が生じるのを未然に防ぐことが可能となる。また、このとき、摩擦制動力の増大量に応じて車両の駆動力を追加する制御を行なうことにより、摩擦制動力が増大することによる車両の運動への影響を吸収し、運転者の違和感を防止することができる。
【0033】
上記実施形態では、ブレーキロータに水分が付着した状態での駐車が行なわれる直前を判定する装置を例に挙げて説明したが、この発明は、他の自動車部品に水分が付着した状態での駐車が行なわれる直前を判定する装置にも適用することができる。たとえば、アウトサイドミラーに水分が付着した状態での駐車が行なわれる直前を判定する装置に適用してもよい。このようにすると、アウトサイドミラーに水分が付着した状態での駐車が行なわれる直前に、アウトサイドミラー内部に組み込んだ熱線に電流を通して発熱させる制御を行なうことが可能となり、これにより、アウトサイドミラーの水分を効果的に蒸発させ、アウトサイドミラーに水垢が生じるのを防ぐことが可能となる。
【0034】
また、この発明を、車体に水分が付着した状態での駐車が行なわれる直前を判定する装置に適用すると、車体に水分が付着した状態での駐車が行なわれる直前に、エアコンを内気循環から外気導入に切換える制御を行なうことが可能となり、これにより、車内の空気を自動的に入れ替え、車内にこもった湿気による異臭発生を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】この発明の実施形態の駐車判定装置を採用したブレーキシステムのブロック図
【図2】図1に示すメータECUのブロック図
【図3】図2に示すレインセンサの断面図
【図4】図1に示すブレーキECUの制御のメインルーチンを示すフロー図
【図5】図4のステップS1の処理を示すフロー図
【図6】図5のステップS14に示す時間Tと外気温の対応関係を示す図
【図7】図4のステップS2の処理を示すフロー図
【図8】図4のステップS3の処理を示すフロー図
【図9】図4のステップS4の処理を示すフロー図
【図10】図4のステップS5の処理を示すフロー図
【図11】図4のステップS6の処理を示すフロー図
【符号の説明】
【0036】
8 レインセンサ
12 フロントガラス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に配設された自動車部品に水分が付着しているか否かを判定する水分付着判定手段(S3)と、
前記車両が駐車する直前であるか否かを判定する駐車直前判定手段(S6)と、
前記水分付着判定手段(S3)の判定と前記駐車直前判定手段(S6)の判定とに基づいて、前記自動車部品に水分が付着した状態で駐車が行なわれるか否かを判定する水分付着状態駐車直前判定手段(S7,S8,S9)と、
を有する駐車判定装置。
【請求項2】
レインセンサ(8)からの信号またはワイパーの作動状態を示す情報に基づいて、フロントガラス(12)に水分が付着しているか否かを判定するフロントガラス水分付着判定手段(S1,S2)を設け、
そのフロントガラス水分付着判定手段(S1,S2)の判定に基づいて、前記水分付着判定手段(S3)は前記自動車部品に水分が付着しているか否かを判定する請求項1に記載の駐車判定装置。
【請求項3】
前記駐車直前判定手段(S6)は、車輪速度が予め設定されたしきい値よりも小さいときに、前記車両が駐車する直前であると判定する請求項1または2に記載の駐車判定装置。
【請求項4】
ナビゲーションシステムのナビ情報に基づいて前記車両の現在位置が目的地にあるか否かを判定する目的地判定手段(S4)を設け、
その目的地判定手段(S4)の判定に基づいて、前記駐車直前判定手段(S6)は前記車両が駐車する直前であるか否か判定する請求項1から3のいずれかに記載の駐車判定装置。
【請求項5】
変速レバーの位置情報とハザードランプの点灯状態を示す情報のうちの少なくとも一方に基づいて、運転者が駐車の準備に入っているか否かを判定する駐車準備判定手段(S5)を設け、
その駐車準備判定手段(S5)の判定に基づいて、前記駐車直前判定手段(S6)は前記車両が駐車する直前であるか否か判定する請求項1から4のいずれかに記載の駐車判定装置。
【請求項1】
車両に配設された自動車部品に水分が付着しているか否かを判定する水分付着判定手段(S3)と、
前記車両が駐車する直前であるか否かを判定する駐車直前判定手段(S6)と、
前記水分付着判定手段(S3)の判定と前記駐車直前判定手段(S6)の判定とに基づいて、前記自動車部品に水分が付着した状態で駐車が行なわれるか否かを判定する水分付着状態駐車直前判定手段(S7,S8,S9)と、
を有する駐車判定装置。
【請求項2】
レインセンサ(8)からの信号またはワイパーの作動状態を示す情報に基づいて、フロントガラス(12)に水分が付着しているか否かを判定するフロントガラス水分付着判定手段(S1,S2)を設け、
そのフロントガラス水分付着判定手段(S1,S2)の判定に基づいて、前記水分付着判定手段(S3)は前記自動車部品に水分が付着しているか否かを判定する請求項1に記載の駐車判定装置。
【請求項3】
前記駐車直前判定手段(S6)は、車輪速度が予め設定されたしきい値よりも小さいときに、前記車両が駐車する直前であると判定する請求項1または2に記載の駐車判定装置。
【請求項4】
ナビゲーションシステムのナビ情報に基づいて前記車両の現在位置が目的地にあるか否かを判定する目的地判定手段(S4)を設け、
その目的地判定手段(S4)の判定に基づいて、前記駐車直前判定手段(S6)は前記車両が駐車する直前であるか否か判定する請求項1から3のいずれかに記載の駐車判定装置。
【請求項5】
変速レバーの位置情報とハザードランプの点灯状態を示す情報のうちの少なくとも一方に基づいて、運転者が駐車の準備に入っているか否かを判定する駐車準備判定手段(S5)を設け、
その駐車準備判定手段(S5)の判定に基づいて、前記駐車直前判定手段(S6)は前記車両が駐車する直前であるか否か判定する請求項1から4のいずれかに記載の駐車判定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−94194(P2008−94194A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−276494(P2006−276494)
【出願日】平成18年10月10日(2006.10.10)
【出願人】(301065892)株式会社アドヴィックス (1,291)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月10日(2006.10.10)
【出願人】(301065892)株式会社アドヴィックス (1,291)
【Fターム(参考)】
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