説明

駐車場出入口の警報装置

【課題】自動車と人とを識別してそれぞれに応じた警報を発することができ、しかも設置工事が簡単で、幅広の駐車場出入口に適した駐車場出入口の警報装置を提供する。
【解決手段】駐車場の出入口に小間隔Lを明けて2個配置されたレーザセンサ5、6と、これらのレーザセンサに接続された演算装置3と、警報器4とからなる。演算装置3は、自動車または人の通過によりレーザセンサ5、6が順次遮光されたとき、レーザセンサ5、6間の遮光時間差tとそのn倍の遅延時間ntを演算する演算手段11と、遅延時間nt中の遮光状態により自動車と人を判別する判別手段12とを備え、警報器4は判別結果に応じた警報を発する機能を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場出入口に設置して歩行者や自動車の通行を検知し、歩行者や運転者に警報を発する駐車場出入口の警報装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
駐車場出入口に光学式または電磁式のセンサを設置し、物体を検知したときにブザーやパトライト等によって警報を発するようにした駐車場出入口の警報装置は広く普及している。しかしその多くは自動車と人とを識別することができないため、無差別に警報を発するのみである。
【0003】
そこで特許文献1に示されるように、一定間隔を設けて2個のセンサを配置し、両方のセンサが同時に検知信号を発したときには自動車と判定し、個別に検知信号を発したときには人と判定するようにした立体駐車場出入口の警報装置も提案されている。
【0004】
しかしこの特許文献1の装置は、人と自動車を確実に識別するために2個のセンサの設置間隔を人体の幅よりも広い1m程度としなければならず、設置工事に手数を要するという問題があった。また立体駐車場出入口のような狭い範囲の監視には適しているが、歩道に面して地上に設置されている大型の駐車場のような幅広の駐車場出入口には不向きであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平5−30961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は上記した従来の問題点を解決し、自動車と人とを識別してそれぞれに応じた警報を発することができ、しかも設置工事が簡単で、幅広の駐車場出入口に適した駐車場出入口の警報装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するためになされた本発明の駐車場出入口の警報装置は、駐車場の出入口に小間隔Lを明けて2個配置されたレーザセンサと、これらのレーザセンサに接続された演算装置と、警報器とからなり、演算装置は、自動車または人の通過によりこれらのレーザセンサが順次遮光されたとき、レーザセンサ間の遮光時間差tとそのn倍の遅延時間ntとを演算する演算手段と、遅延時間nt中の遮光状態により自動車と人を判別する判別手段とを備え、警報器は判別結果に応じた警報を発する機能を備えたものであることを特徴とするものである。
【0008】
なお請求項2のように、判別手段は、遅延時間nt中に遮光が連続する場合に、自動車と判別する機能を備えたものとすることができる。また請求項3のように、判別手段は、遅延時間ntの間に入光と遮光とが繰り返される場合に、遮光時間の積算値により自動車と人を判別する機能を備えたものとすることができる。さらに請求項4のように、判別手段は、所定時間以上連続して遮光されたときに、異常と判断する機能を備えたものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の駐車場出入口の警報装置は、駐車場の出入口に小間隔Lを明けて2個配置されたレーザセンサ間の遮光時間差tに基づいてそのn倍の遅延時間ntを演算し、遅延時間nt中の遮光状態により自動車と人を判別する方式を採用したため、2個のレーザセンサの設置間隔Lを人体の幅よりも狭くすることができ、受光部を一体化することが可能であるから、設備の小型化と設置工事の簡素化が可能である。
【0010】
また本発明の駐車場出入口の警報装置は、自動車と人を判別して進行方向に応じた様々な警報を発することが可能である。さらに本発明の駐車場出入口の警報装置は、レーザセンサを用いているために幅数十mの区間をカバーすることができ、幅広の駐車場出入口にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態を示すブロック図である。
【図2】反射式のレーザ検出器と反射器の拡大図である。
【図3】投受光式のレーザ検出器と反射器の拡大図である。
【図4】自動車が駐車場に進入する場合の様子を示す図である。
【図5】自動車が駐車場から出る場合の様子を示す図である。
【図6】人が通過する場合の様子を示す図である。
【図7】本発明の物体判別のタイムチャートである。
【図8】誤動作防止のタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。
図1は本発明の実施形態を示すブロック図であり、1は駐車場の出入口の片側に設置されるレーザ検出器、2は出入口の反対側に設置されるレーザ光線の反射器、3はレーザ検出器1に接続された演算装置、4は警報器である。
【0013】
レーザ検出器1は図2に示されるように、自立式センサボックスの内部に小間隔Lを明けて配置された2個のレーザセンサ5、6を備えている。小間隔Lは人体の幅よりも狭くすることができ、好ましくは10〜20cm程度である。地上からの高さは車高の低い自動車が駐車場の出入口を走行した場合にも確実に検出できる高さとする。2個のレーザセンサ5、6は駐車場の出入口における自動車の走行方向と平行に設置する。
【0014】
この実施形態では、各レーザセンサ5、6はレーザ投光器と受光器とを内蔵するものである。レーザ光線の反射器2も自立式センサボックスの内部に小間隔Lを明けて配置された2個の回帰反射型のレーザ反射板7、8を備えている。レーザセンサ5、6から投光されたレーザ光線はレーザ反射板7、8によって反射してレーザセンサ5、6により受光される。
【0015】
このような反射式のほか、図3に示すようにレーザセンサ5、6を受光専用とし、レーザ反射板7、8をレーザ投光器9、10に置き換えて投受光式のレーザ検出器とすることもできる。
【0016】
図2の反射式の場合にはレーザ検出器1と反射器2との最大間隔を15m程度、図3の投受光式の場合にはレーザ検出器1とレーザ投光器との最大間隔を60m程度とすることができる。図2の反射式の場合には2個のレーザセンサ5、6の間隔Lは10〜20cm程度、図3の投受光式の場合には2個のレーザセンサ5、6の間隔Lは20〜40cm程度が好ましい。このように何れの場合にも2個のレーザセンサ5、6の間隔Lは狭くすることができるから、一体型のレーザ検出器1とすることができる。レーザ検出器1と反射器2、あるいはレーザ検出器1とレーザ投光器9、10は正対させて設置してもよいが、図4などに示すようにやや斜め方向にずらして設置することが、検出精度を高めるために有効である。
【0017】
このように配置した2個のレーザセンサ5、6は、レーザ光線が自動車または人により遮光されると、演算装置3に信号を出力する。演算装置3は演算手段11と、判別手段12と、誤動作防止手段13とを備えている。自動車または人が出入り口を通過すると、レーザセンサ5、6は必ず順次遮光されるので、演算装置3は遮光時間差tを演算する。レーザセンサ5、6間の間隔Lは一定であるから、速度をVとするとt=L/Vである。なお何れのレーザセンサ5、6が先に遮光されるかによって、進行方向を検出することができる。
【0018】
次に演算装置3は、遮光時間差tのn倍の遅延時間ntを演算する。Lが20cmの場合にはnは6〜10程度とし、Lが10cmの場合にはnは10〜20程度とすることが好ましい。nは必ずしも整数である必要はない。速度Vで走行している車体の先端がレーザセンサ5、6を順次遮光するとき、遮光時間差tの間に距離Lを走行したこととなる。このため速度Vが一定とすれば、遅延時間ntの間に距離nLを走行するはずである。仮にL=20cm、n=10とすると、遅延時間tの長短にかかわらず遅延時間ntの間に200cm移動することとなる。
【0019】
遮光したものが自動車である場合、車体の長さは2m以上はあるから、車体の先端が200cmを移動してもなおレーザセンサ5、6は車体により遮光されたままである。これに対して、遮光したものが人である場合には人体の幅は1m以下であるから、200cmを移動するまでにレーザセンサ5、6はレーザ光線を受光するはずである。このため遅延時間nt中の遮光状態によって、判別手段12は自動車か人かを判別する。この本発明の方式の利点は、通過速度Vとは無関係に判別が行えることであり、自動車が人の歩行速度と同じ低速で走行しても、あるいは人が高速でレーザセンサ5、6の前を走りぬけても、判断を誤ることはない。
【0020】
この判別手段12の動作をさらに具体的に説明すると、まず遅延時間nt中に遮光が連続する場合には、乗用車やトラックのような連続した車体を有する自動車が通過した場合であるから、自動車と判断する。しかしトレーラのように運転席と荷台とが分離しているような自動車では、車体の先端から距離nLの位置が連結部となり、遅延時間nt中に入光と遮光とが繰り返される。また人であっても数人のグループが通過したような場合には、入光と遮光とが繰り返される。
【0021】
すなわち、これらの場合にはいずれも遅延時間ntの間にレーザセンサ5、6への入光と遮光とが繰り返されることとなるので、判別手段12は断続する遮光時間の積算値を演算する。そしてその積算値が遅延時間ntの何割を占めるかにより、自動車と人を判別する。具体的には、自動車の場合には遮光割合は9割以上となると考えられ、人の場合には6割以下と考えられる。そこでその中間値を基準としてそれよりも遮光割合が大きい場合には自動車、小さい場合には人と判別する。この様子は図7のタイムチャートに示されている。
【0022】
このようにして判別手段12が駐車場に進入する自動車と判別した場合には、警報器4に信号を送り、図4に示すように警報器4のスピーカ15から例えば「車を定位置に止め、エンジンを切って下さい」というメッセージを出力する。また判別手段12が駐車場から出る自動車と判別した場合には、図5に示すように警報器4のパトライト14を点灯するとともに、スピーカ15から例えば「車が出ます、ご注意下さい」というメッセージを出力する。また判別手段12が人の通過と判別した場合には、図6に示すように警報器4のスピーカ15から例えば「車にご注意下さい」というメッセージを出力する。
【0023】
なお、人または自動車がレーザセンサ5、6の前で止まってしまった場合には、本発明の機能が発揮できない。そこで連続遮光時間が長すぎる場合には、誤動作防止手段13が不正遮光と判断して機能を停止し、誤動作を防止する。また片方のレーザセンサのみが遮光され他方が遮光されない場合には、落ち葉等が貼りついた可能性があるため、やはり不正遮光と判断して機能を停止し、誤動作を防止する。これらの様子は図8のタイムチャートに誤動作防止として示されている。
【0024】
以上に説明したように、本発明の本発明の駐車場出入口の警報装置は、2個のレーザセンサ5、6の設置間隔Lを人体の幅よりも狭くして設備の小型化と設置工事の簡素化を図ることができ、しかも自動車と人を正確に判別して進行方向に応じた様々な警報を発することが可能な利点がある。またレーザセンサを使用しているので、出入口の幅が広い駐車場にも適用することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 レーザ検出器
2 反射器
3 演算装置
4 警報器
5 レーザセンサ
6 レーザセンサ
7 レーザ反射板
8 レーザ反射板
9 レーザ投光器
10 レーザ投光器
11 演算手段
12 判別手段
13 誤動作防止手段
14 パトライト
15 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場の出入口に小間隔Lを明けて2個配置されたレーザセンサと、これらのレーザセンサに接続された演算装置と、警報器とからなり、
演算装置は、自動車または人の通過によりこれらのレーザセンサが順次遮光されたとき、レーザセンサ間の遮光時間差tとそのn倍の遅延時間ntとを演算する演算手段と、遅延時間nt中の遮光状態により自動車と人を判別する判別手段とを備え、
警報器は判別結果に応じた警報を発する機能を備えたものであることを特徴とする駐車場出入口の警報装置。
【請求項2】
判別手段は、遅延時間nt中に遮光が連続する場合に、自動車と判別する機能を備えたものであることを特徴とする請求項1記載の駐車場出入口の警報装置。
【請求項3】
判別手段は、遅延時間ntの間に入光と遮光とが繰り返される場合に、遮光時間の積算値により自動車と人を判別する機能を備えたものであることを特徴とする請求項1記載の駐車場出入口の警報装置。
【請求項4】
判別手段は、所定時間以上連続して遮光されたときに、異常と判断する機能を備えたものであることを特徴とする請求項1記載の駐車場出入口の警報装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−170479(P2011−170479A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−31997(P2010−31997)
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パトライト
【出願人】(510043870)有限会社尾張電気 (1)
【Fターム(参考)】