説明

駐車支援システム

【課題】不鮮明なカメラ映像が車載モニタに表示されてしまうことを防止する。
【解決手段】電波強度算出手段15は、車庫内に車両が駐車された状態で車庫用無線通信手段で検出される電波信号の受信信号強度を基準として、駐車操作中に検出される受信信号強度の割合を求めて信号強度値を算出する。車載用制御手段15は、算出された信号強度値が90%より高い場合にカメラ映像を表示手段11に表示させ、信号強度値が80%〜90%の場合に、表示手段11にカメラ映像を表示させるか否かの選択肢を表示させ、信号強度値が80%以下の場合に、表示手段11にカメラ映像を表示させない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は駐車支援システムに関し、より詳細には、車庫用カメラで撮影されたカメラ映像を、無線通信手段を用いて車内に設置される表示手段に表示させることが可能な駐車支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日では、車両の後方に後方確認用のカメラを設置し、車両を後退させる場合に後方確認用のカメラで撮影された映像を運転席などに設置されるモニタに表示させることにより、車両後方の様子を運転者に知らせるシステムが提案されている。運転者は、後方確認用のカメラにより撮影された映像を確認しながら車両を後退させることによって、確認が困難な車両後方の様子を運転席で知ることが可能となる。
【0003】
しかしながら、車両後方確認用のカメラは、一般的に車両の後方下側、より詳細には、車両の後端部から5m〜10m程度後方までの地面を撮影するようにカメラの視点が設定されている。このため、車両の真後ろに障害物があるか否かの判断は可能であるが、車両後部の周囲状況を確認することは困難であった。
【0004】
このため、車庫の後方上部に無線機能を備えたカメラを設置し、車両を車庫に駐車する場合に、車庫の後方上部から撮影された映像を、無線通信を用いて車載モニタに出力し、車載モニタに車両後方の映像を表示させる駐車支援システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−143595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した駐車支援システムでは、車庫に取り付けられたカメラによって出力される無線信号用の電波を車両の受信器で受信した場合に、車載モニタの映像が車庫のカメラ映像に切り替えられる構造となっている。
【0007】
しかしながら、無線通信を用いてカメラの映像を送信する場合には、無線信号の電波を受信できる状況になっても、鮮明なカメラ映像を受信できるとは限らない。このため、電波の受信により車載カメラの映像が車庫のカメラ映像に切り替わってしまうと、不鮮明な映像が表示されてしまって、かえって駐車操作における利便性を損なってしまう場合があった。
【0008】
さらに、今日の車両には、後方確認用のカメラが設置される場合も多いため、後方確認用のカメラにより車載モニタに車両後方の映像が表示されている途中で、電波の受信に伴って車載モニタの映像が不鮮明な映像に切り替わってしまうと、後方確認用のカメラの映像を駐車操作時に有効に活用できなくなってしまうおそれが生ずる。
【0009】
また、上述した駐車支援システムでは、車載モニタの一方の半分の画面に後方確認用のカメラの映像を表示させ、他方の半分の画面に車庫に取り付けられたカメラの映像を表示させる方法も提案されている。しかしながら、車庫に取り付けられたカメラの映像が不鮮明に表示される場合には、画面の半分に不鮮明な画像が表示されても駐車操作に役立てることができず、かえって邪魔になってしまうという問題があった。
【0010】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、車庫用カメラで撮影されたカメラ映像を車両に設置された表示手段に表示させる場合において、不鮮明なカメラ映像が表示手段に表示されてしまうことを防止することが可能な駐車支援システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明に係る駐車支援システムは、駐車操作中の車両を撮影する車庫用カメラと、前記車両とのデータの送受信を無線通信方式を用いて行う車庫用無線通信手段と、前記車庫用カメラにより撮影されたカメラ映像を前記車庫用無線通信手段を用いて前記車両へと出力させる車庫用制御手段とを有して車庫に設置されるカメラ映像送信装置と、前記車庫用無線通信手段とのデータの送受信を無線通信方式を用いて行う車載用無線通信手段と、前記車庫内に前記車両が駐車された状態において前記車載用無線通信手段で検出される前記車庫用無線通信手段からの電波信号の受信信号強度を基準として、前記駐車操作中に前記車載用無線通信手段で検出される前記車庫用無線通信手段からの電波信号の受信信号強度の割合を求めることにより、前記車庫用無線通信手段から出力される電波信号の信号強度値を算出する電波強度算出手段と、前記車載用無線通信手段により受信されたデータとして前記車庫用カメラにより撮影されたカメラ映像を受信した場合に、当該カメラ映像を表示させることが可能な表示手段と、前記表示手段に前記カメラ映像を表示させるか否かを、前記電波強度算出手段により算出された前記信号強度値に基づいて制御する車載用制御手段とを有して前記車両に設置されるカメラ映像表示装置とを備える駐車支援システムであって、前記カメラ映像送信装置は、前記車庫内であって、当該車庫内において前記車両の駐車が完了された状態で、前記車庫用無線通信手段より前記カメラ映像を送信したときに、前記表示手段に表示される前記カメラ映像が最も鮮明に表示される場所に設置され、前記車載用制御手段は、前記電波強度算出手段により算出された前記信号強度値が90%より高い場合に、前記カメラ映像を前記表示手段に表示させ、前記電波強度算出手段により算出された前記信号強度値が80%よりも高くて90%以下である場合に、前記表示手段に前記カメラ映像を表示させるか否かの選択肢を表示させ、前記電波強度算出手段により算出された前記信号強度値が80%以下の場合には、前記表示手段に前記カメラ映像を表示させないことを特徴とする。
【0012】
本発明に係る駐車支援システムでは、車載用制御手段が、信号強度値に基づいて、車庫用カメラにより撮影されたカメラ映像を、表示手段に表示させるか否かの判断を行う。
【0013】
ここで、信号強度値は、車庫内に車両が駐車された状態において検出される受信信号強度を基準として、駐車操作中に検出される受信信号強度の割合を求めることにより算出される値である。さらに、カメラ映像送信装置は、車庫内において車両の駐車が完了された状態で、車庫用無線通信手段によって車庫用カメラにより撮影されたカメラ映像を送信したときに、表示手段に表示されるカメラ映像が最も鮮明に表示される車庫内の場所に設置されている。
【0014】
このため、車庫内において車両の駐車が完了された状態において検出される受信信号強度が、最もカメラ映像を鮮明に表示させることが可能な受信信号強度であり、このときの受信信号強度を基準として(100%として)駐車操作中に検出される受信信号強度の割合を求めることにより、信号強度値として算出されることになる。
【0015】
従って、信号強度値が90%より高い場合には、表示手段に表示されるカメラ映像の鮮明さを保ちつつ表示させることが可能であり、信号強度値が80%〜90%の場合には、カメラ映像の鮮明さが低減したとしても駐車操作時に車両の状態を確認することが可能な程度の画質を維持するカメラ映像を表示させることが可能となる。
【0016】
このため、信号強度値が90%より高い場合には、車載用制御手段が積極的に表示手段に表示させる映像を車庫用カメラで撮影されたカメラ映像に切り替えることにより、車庫用カメラで撮影される車両の周囲の映像を鮮明な画質で提供することが可能となる。
【0017】
特に、電波信号の受信信号強度は、電波信号の発信位置からの距離に相対的に比例して強度が変化する傾向を示す。このため、信号強度値が100%に近ければ近い程、車両が車庫内の停車位置の極近くまで移動されたことを意味し、信号強度値が低ければ低いほど、車両が車庫内の停車位置から離れた位置に存在すると判断することができる。
【0018】
ユーザが車庫に車両を駐車させる場合には、車両が駐車位置に近づけば近づく程、駐車位置に対する車両のわずかな位置の修正が困難となるため、車庫用カメラで撮影された車両の周囲のカメラ映像を表示手段に表示されることが望まれる。このため、信号強度値が90%より高い場合には、車両が車庫内の駐車位置に近づいている状態であると判断して、表示手段に表示させる映像を車載用カメラで撮影されたカメラ映像に切り替えることにより、駐車位置に対する車両のわずかな位置の修正を容易にすることが可能となる。
【0019】
一方で、信号強度値が80%〜90%の場合には、駐車操作時に車両の状態を確認することが可能な程度の画質を維持するカメラ映像を表示手段に表示させることが可能であるが、車両が車庫内の駐車位置から少し離れている状態であるとも判断できる。車両が車庫内の駐車位置から少し離れている場合には、車庫用カメラで撮影されたカメラ映像を利用して駐車処理を行うよりも目視などで後方確認する方が安全に駐車処理を行える場合も存在する。
【0020】
このため、本発明に係る駐車支援システムでは、信号強度値が80%〜90%の場合に、表示手段に車庫用カメラで撮影されたカメラ映像を表示させるか否かの選択肢を表示させ、ユーザが、車庫用カメラで撮影されたカメラ映像を表示させる旨の選択を行った場合にのみ、車載用制御手段が、カメラ映像を表示手段に表示させるようにすることによって、ユーザが、車庫用カメラで撮影されたカメラ映像を表示手段に表示させたいときにだけ表示させることができる。さらに、この状況において表示手段にカメラ映像を表示させても、車両の状態を確認することが可能な程度の画質を確保することができるため、不鮮明なカメラ映像が表示されてしまうことを防止することができる。
【0021】
また、信号強度値が80%以下の場合には、表示手段に表示される車庫用カメラのカメラ映像が、不鮮明なものとなってしまうおそれがあり、不鮮明なカメラ映像が表示手段に表示されると、運転者に不快感を与えてしまうおそれがある。さらに、信号強度値が80%以下の場合には、車両が車庫内の駐車位置からある程度離れている状態であるとも判断できるため、車庫用カメラで撮影された車両周囲のカメラ映像を見ながら駐車処理を行うよりも、目視などにより車両後方を確認しつつ駐車操作を行う方が好ましいとも考えられる。
【0022】
このため、本発明に係る駐車支援システムでは、信号強度値が80%以下の場合に、カメラ映像を表示手段に意図的に表示させないことによって、表示手段に不鮮明なカメラ映像が表示されてしまって、運転者に不快感を与えてしまうことを防止し、目視などにより駐車操作に集中できるような状況を確保することが可能となる。
【0023】
また、上述した駐車支援システムにおいて、前記カメラ映像表示装置は、前記車両の後部に設置されて車両後方を撮影する後方確認用カメラを備え、前記車載用制御手段は、前記電波強度算出手段により算出された前記信号強度値が90%より高い場合に、前記車庫用カメラで撮影されたカメラ映像だけを前記表示手段に表示させ、前記電波強度算出手段により算出された前記信号強度値が80%よりも高くて90%以下場合に、前記表示手段に前記車庫用カメラで撮影されたカメラ映像だけを表示させるか、あるいは、前記車庫用カメラで撮影されたカメラ映像と前記後方確認用カメラで撮影されたカメラ映像との2つのカメラ映像を半分ずつ表示させるかの選択肢を表示させ、前記電波強度算出手段により算出された前記信号強度値が80%以下の場合には、前記表示手段に前記後方確認用カメラで撮影されたカメラ映像だけを表示させるものであってもよい。
【0024】
本発明に係る駐車支援システムでは、車両後方を撮影するための後方確認用カメラが設けられている。信号強度値が80%〜90%の場合には、車両が車庫内の駐車位置から少し離れている状態であると判断できることから、車庫用カメラで撮影されたカメラ映像だけでなく、後方確認用カメラで撮影されたカメラ映像をも参考にした方が駐車操作を円滑に行うことができる場合もある。
【0025】
本発明に係る駐車支援システムでは、信号強度値が80%〜90%である場合に、表示手段に車庫用カメラで撮影されたカメラ映像だけを表示させるか、あるいは、車庫用カメラで撮影されたカメラ映像と前記後方確認用カメラで撮影されたカメラ映像との2つのカメラ映像を半分ずつ表示させるかの選択肢を表示させる。このため、ユーザが、車庫用カメラで撮影されたカメラ映像だけを表示させる旨の選択を行った場合には、車庫用カメラのカメラ映像だけを表示手段に表示させることができ、ユーザが、カメラ映像を半分ずつ表示させる旨の選択を行った場合には、車庫用カメラのカメラ映像と後方確認用カメラのカメラ映像とを同時に表示させることができる。
【0026】
また、信号強度値が80%以下の場合には、表示手段に表示される車庫用カメラのカメラ映像が、不鮮明なものとなってしまうおそれがあり、運転者に不快感を与えてしまうおそれがある。また、信号強度値が80%以下の場合には、車両が車庫内の駐車位置からある程度離れている状態であるとも判断できるため、車庫用カメラで撮影された車両周囲のカメラ映像を見ながら駐車処理を行うよりも、後方確認用カメラで撮影されたカメラ映像を見ながら駐車処理を行う方が好ましいとも考えられる。
【0027】
このため、本発明に係る駐車支援システムでは、信号強度値が80%以下の場合に、表示手段に後方確認用カメラのカメラ映像だけを表示させることによって、表示手段に不鮮明なカメラ映像が表示されてしまって運転者に不快感を与えてしまうことを防止し、駐車操作に役立つカメラ映像を提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の駐車支援システムによれば、信号強度値が90%より高い場合には、表示手段に表示されるカメラ映像の鮮明さを保ちつつ表示させることが可能であり、信号強度値が80%〜90%の場合には、カメラ映像の鮮明さが低減したとしても駐車操作時に車両の状態を確認することが可能な程度の画質を維持するカメラ映像を表示させることが可能となる。
【0029】
このため、信号強度値が90%より高い場合には、車載用制御手段が積極的に表示手段に表示させる映像を車庫用カメラで撮影されたカメラ映像に切り替えることにより、車庫用カメラで撮影される車両の周囲の映像を鮮明な画質で提供することが可能となる。
【0030】
特に、電波信号の受信信号強度は、電波信号の発信位置からの距離に相対的に比例して強度が変化する傾向を示す。このため、信号強度値が100%に近ければ近い程、車両が車庫内の停車位置の極近くまで移動されたことを意味し、信号強度値が低ければ低いほど、車両が車庫内の停車位置から離れた位置に存在すると判断することができる。
【0031】
このため、信号強度値が90%より高い場合には、車両が車庫内の駐車位置に近づいている状態であると判断して、表示手段に表示させる映像を車載用カメラで撮影されたカメラ映像に切り替えることにより、駐車位置に対する車両のわずかな位置の修正を容易にすることが可能となる。
【0032】
一方で、信号強度値が80%〜90%の場合には、車両が車庫内の駐車位置から少し離れている状態であるとも判断できる。このため、本発明に係る駐車支援システムでは、信号強度値が80%〜90%である場合に、表示手段に車庫用カメラで撮影されたカメラ映像を表示させるか否かを選択させることによって、ユーザが、車庫用カメラで撮影されたカメラ映像を表示手段に表示させたいときにだけ表示させることができる。
【0033】
さらに、この状況において表示手段にカメラ映像を表示させても、車両の状態を確認することが可能な程度の画質を確保することができるため、不鮮明なカメラ映像が表示されてしまうことを防止することができる。
【0034】
また、信号強度値が80%以下の場合には、表示手段に表示される車庫用カメラのカメラ映像が、不鮮明なものとなってしまうおそれがあり、不鮮明なカメラ映像が表示手段に表示されると、運転者に不快感を与えてしまうおそれがある。さらに、信号強度値が80%以下の場合には、車両が車庫内の駐車位置からある程度離れている状態であるとも判断できるため、車庫用カメラで撮影された車両周囲のカメラ映像を見ながら駐車処理を行うよりも、目視などにより車両後方を確認しつつ駐車操作を行う方が好ましいとも考えられる。
【0035】
このため、本発明に係る駐車支援システムでは、信号強度値が80%以下の場合に、カメラ映像を表示手段に意図的に表示させないことによって、表示手段に不鮮明なカメラ映像が表示されてしまって、運転者に不快感を与えてしまうことを防止し、目視などにより駐車操作に集中できるような状況を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施の形態に係る駐車支援システムの車載用本体部と車庫設置用カメラ部との設置例を示した図である。
【図2】実施の形態に係る車載用本体部の概略構成を示したブロック図である。
【図3】実施の形態に係る車庫設置用カメラ部の概略構成を示したブロック図である。
【図4】実施の形態に係るCPUにおけるカメラ映像切換処理の処理内容を示した第1のフローチャート。
【図5】実施の形態に係るCPUにおけるカメラ映像切換処理の処理内容を示した第2のフローチャート。
【図6】実施の形態に係る車両と車庫との位置関係に基づく、電波強度を測定可能な範囲と、車庫用カメラで撮影可能な範囲と、車載用カメラで撮影可能な範囲とを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明に係る駐車支援システムの一例を、図面を用いて詳細に説明する。
【0038】
図1は、本実施の形態に係る駐車支援システムの一実施例を示した図である。駐車支援システム1は、図1に示すように、車載用本体部(カメラ映像表示装置)10と、車庫設置用カメラ部(カメラ映像送信装置)30とを備えている。車載用本体部10は、車両100に設置されており、車庫設置用カメラ部30は、車庫の上部に設置されている。
【0039】
図2は、車載用本体部10の概略構成を示したブロック図である。車載用本体部10は、車載モニタ(表示手段)11と、無線カメラ用データベース12と、無線信号処理部(車載用無線通信手段)13と、無線用アンテナ(車載用無線通信手段)14と、CPU(電波強度算出手段、車載用制御手段)15と、ROM16と、RAM17と、タッチパネル部18と、後方確認用カメラ19とを備えている。
【0040】
車載モニタ11は、一般的な液晶ディスプレイにより構成されており、車両100のインストルメントパネルなどの運転者から視認可能な位置に設置されている。車載モニタ11は、無線信号処理部13を介して受信されたカメラの映像を表示させる役割を有しており、また、後方確認用カメラ19により撮影されたカメラ映像を表示させる役割を有している。このカメラ映像の切り換え操作については後述する。
【0041】
タッチパネル部18は、車載モニタ11に表示されるメニューアイコンなどのタッチ操作を検出する役割を有している。ユーザのタッチ位置の情報がCPU15に伝達され、タッチ位置の情報と、車載モニタ11に表示されるメニューアイコンの表示位置との関係に基づいて、CPU15がユーザの操作内容を判断することが可能となっている。なお、本実施の形態においては、タッチパネル部18によりユーザの入力操作の検出を行う構成を説明するが、タッチパネル部18以外の操作手段として、例えば、キーボード、ジョイスティックおよび操作リモコンなどを用いることにより、ユーザの入力操作検出を行う構成であってもよい。
【0042】
後方確認用カメラ19は、図1に示すように、車両100の後端部から5m〜10m程度後方の地面を撮影することが可能な状態で、車両100の後部に設置されている。後方確認用カメラ19は、有線ケーブルによって車載用本体部10の図示を省略したインターフェース部に接続されており、車載モニタ11に撮影されたカメラ映像を出力することが可能となっている。但し、後方確認用カメラ19により撮影されたカメラ映像が車載モニタ11に出力されるか否かは、CPU15によるカメラ映像切換処理によって決定される。
【0043】
無線カメラ用データベース12は、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、FLASHメモリ、SDカードなどの一般的な補助記録装置により構成されている。無線カメラ用データベース12には、無線用アンテナ14および無線信号処理部13を介し受信される電波信号に基づいて、電波信号の発信元の機器を特定するための情報が記録されている。具体的には、予めネットワーク名、MACアドレス、無線モード、チャンネル、暗号化方法などに関する情報などが記録されている。車載用本体部10では、受信された電波信号に基づいて特定される上記情報に従って、特定の電波信号の発信元を特定して、目的とするカメラ映像の受信を許容する処理を行う。
【0044】
無線用アンテナ14は、車庫設置用カメラ部30より送信される電波信号を受信するためのアンテナであり、無線信号処理部13は、無線用アンテナ14を介して受信された電波信号に関する情報(上述したネットワーク名、MACアドレス、無線モード、チャンネル、暗号化方法、電波の受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indication、受信している電波信号の強さを数値化したもの)の値などの情報)を抽出し、また、電波の送受信が可能な場合には、受信した電波信号に基づいてカメラ映像を復元する処理を行う役割を有している。
【0045】
なお、本実施の形態に係る車載用本体部10では、一般的な無線通信規格であるIEEE802.11の規格に準じた通信機器を使用する。この通信方式を用いることにより、電波信号に対して暗号化などを施すことが可能となり、電波信号の送受信を特定の機器間のみに限定することが可能となる。但し、無線通信規格の通信方式は、IEEE802.11の規格のみには限定されず、カメラ映像の送受信を行うことが可能なものであれば、いずれの通信方式を採用してもよい。
【0046】
CPU15は、無線信号処理部13より取得した電波信号に関する情報と、無線カメラ用データベース12に記録される電波信号の発信元の機器に関する情報とを比較することにより、車庫設置用カメラ部30により発信された電波信号を特定する役割を有している。無線信号処理部13より取得された電波信号に関する情報に基づいて車庫設置用カメラ部30により発信された電波信号を特定した場合、CPU15は、予め無線カメラ用データベース12に記録される車庫設置用カメラ部30用の復号化キーを用いて受信した電波信号の復号化を行うことができるかの判断を行う。無線カメラ用データベース12に記録された復号化キーで復号化処理が可能である場合、CPU15は、受信した電波信号が車庫設置用カメラ部30により発信された電波信号であると判断して、車庫設置用カメラ部30により送信されるカメラ映像を受信可能な状況に設定する。
【0047】
また、CPU15は、車庫設置用カメラ部30により送信されるカメラ映像を車載モニタ11に表示させるか、あるいは、後方確認用カメラ19により撮影されたカメラ映像を車載モニタ11に表示させるかの切り替え処理(カメラ映像切替処理)を行う。カメラ映像切換処理の具体的な処理内容については後述する。
【0048】
ROM16は、CPU15における各制御処理を行うためのプログラムなど(例えば、後述する図4および図5においてフローチャートで示されるカメラ映像切替処理用のプログラムなど)などが記録されている。CPU15は、ROM16から各種プログラムを読み出して実行することにより、上述したような様々な処理を実行する。また、RAM17は、CPU15で実行される各種処理において、ワークエリアとして利用される。
【0049】
図3は、車庫設置用カメラ部30の概略構成を示したブロック図である。車庫設置用カメラ部30は、図3に示すように、車庫用カメラ31と、無線信号処理部(車庫用無線通信手段)32と、無線用アンテナ(車庫用無線通信手段)33と、車庫カメラ用CPU(車庫用制御手段)34と、車庫カメラ用ROM35と、車庫カメラ用RAM36とを備えている。
【0050】
車庫用カメラ31は、図1に示すように、車庫の奥側上部に設置されている。車庫用カメラ31は、一般的なCCDカメラなどにより構成されており、設置される車庫の明暗状況に対応して十分な輝度で撮影することが可能な性能を備えている。車庫用カメラ31において撮影されたカメラ映像は、図示を省略したAD変換部などを経て無線信号を用いて送信可能なデータ形式に変換される。
【0051】
無線用アンテナ33は、車庫用カメラ31により撮影されたカメラ映像であって送信可能なデータ形式に変換されたカメラ映像を、車載用本体部10に対して出力するためのアンテナである。また。無線信号処理部32は、無線用アンテナ33を介して出力される無線信号について、ネットワーク名、MACアドレス、無線モード、チャンネル、暗号化方法などを設定し、または、車庫用カメラ31において撮影されたカメラ映像を、無線用アンテナ33を介して車載用本体部10に出力する役割を有している。
【0052】
車庫カメラ用CPU34は、車庫用カメラ31により撮影されたカメラ映像を、無線信号処理部32において出力させるか否かの制御を行ったり、あるいは、無線信号処理部32において設定されるネットワーク名、MACアドレス、無線モード、チャンネル、暗号化方法などの設定内容を決定する役割を有している。
【0053】
車庫カメラ用ROM35は、車庫カメラ用CPU34において実行される制御内容に対応するプログラムが記録されており、車庫カメラ用RAM36は、車庫カメラ用CPU34で実行される各種制御処理のワークエリアとしての役割を有している。
【0054】
本実施の形態においては、予め車庫カメラ用CPU34において、ネットワーク名、無線モード、チャンネル、暗号化方法などの設定がなされており、車庫用カメラ31において撮影されたカメラ映像が暗号化された状態で出力されるものとする。なお、この暗号化に対応する復号化キーは、上述したように、予め無線カメラ用データベース12に記録されている。
【0055】
次に、車載用本体部10のCPU15が、車載モニタ11に表示させるカメラ映像として、後方確認用カメラ19により撮影されたカメラ映像と、車庫用カメラ31において撮影されたカメラ映像との切替を行うカメラ映像切換処理について説明する。
【0056】
図4および図5は、CPU15におけるカメラ映像切換処理の処理内容を示したフローチャートである。図4および図5に示したフローチャートでは、すでに運転者がトランスミッション(速度変速機)をリバース位置に設定しているものとする。後方確認用カメラを備えた一般的な駐車支援システムでは、トランスミッションがリバースに設定されたことをトリガーとして、車載モニタに後方確認用カメラにより撮影されたカメラ映像を表示させるような切換処理が行われる。従って、本実施の形態に係る駐車支援システム1においても、既に、後方確認用カメラ19により撮影されたカメラ映像が、車載モニタ11に表示されているものとする。
【0057】
なお、図4および図5には示していないが、トランスミッションがリバース以外の設定に変更された場合には、CPU15に対して割り込み処理が発生し、図4および図5における処理内容にかかわらず、車載モニタ11に対するカメラ映像の表示処理を終了して、カメラ映像切換処理を終了するものとする。
【0058】
まず、CPU15は、無線用アンテナ14および無線信号処理部13において電波信号の受信処理を行い(ステップS.1)、電波信号が受信されたか否かの判断を行う(ステップS.2)。電波信号を受信することができない場合(ステップS.2においてNoの場合)、CPU15は、繰り返し電波信号を受信する処理(ステップS.1)を実行する。
【0059】
一方で、電波信号を受信することができた場合(ステップS.2においてYesの場合)、CPU15は、受信した電波信号に関する情報と、無線カメラ用データベース12に記録される電波信号の発信元の機器に関する情報とを比較し(ステップS.3)、車庫設置用カメラ部30により発信された電波信号を特定することができたか否かの判断を行う(ステップS.4)。
【0060】
車庫設置用カメラ部30により発信された電波信号を特定することができなかった場合(ステップS.4においてNoの場合)、CPU15は、他の電波信号の受信を行うために、無線用アンテナ14および無線信号処理部13により電波信号が受信されたか否かの処理(ステップS.1)へ処理を移行する。
【0061】
一方で、車庫設置用カメラ部30により発信された電波信号を特定することができた場合(ステップS.4においてYesの場合)、CPU15は、無線カメラ用データベース12に記録される復号化キーなどを用いて、車庫設置用カメラ部30により送信されるデータの受信処理を行う(ステップS.5)。そして、CPU15は、データの受信が可能であるか否かの判断を行う(ステップS.6)
【0062】
カメラ映像の受信が不可能である場合(ステップS.6においてNoの場合)、CPU15は、車載モニタ11に対して、車庫設置用カメラ部30の電波信号を受信することはできたが、カメラ映像を受信することができない旨のメッセージを一時的に表示させた後に(ステップS.7)、カメラ映像切替処理を終了する。一方で、カメラ映像の受信が可能である場合(ステップS.6においてYesの場合)、CPU15は、図5に示す車庫設置用カメラ部30のカメラ映像を取得する処理(ステップS.8、車庫設置用カメラ部のカメラ映像取得処理(図5))を実行する。
【0063】
車庫設置用カメラ部のカメラ映像取得処理において、CPU15は、車庫設置用カメラ部30より受信された電波信号の電波強度を検出する処理を行う(ステップS.11)。そして、CPU15は、検出された電波強度に基づいて次述する処理を行う。
【0064】
まず、CPU15は、十分な電波強度が検出されたか否かの判断を行う(ステップS.12)。本実施の形態に係るCPU15では、電波強度の判断基準としてRSSI(受信信号強度)に基づいて、電波強度の判断を行う。本実施の形態では、RSSI値として信号強度値%を用いた電波強度の判断を行う。信号強度値%は、最大の受信信号強度(RSSI)に対する受信した受信信号強度(RSSI)の割合を%で示したものを意味し、
信号強度値%=(受信したRSSI/最大のRSSI)×100
で示される。この信号強度値%を、本実施の形態では、RSSIの値(RSSI値)として説明する。
RSSIの値(RSSI値)%=信号強度値%
【0065】
なお、本実施の形態に係る駐車支援システム1では、車両100が車庫に駐車完了された状態において検出されるRSSIの値が最大の受信信号強度となるように車庫設置用カメラ部30の設置位置が調整されている。また、最大の受信信号強度の場合(つまり、車両100が車庫に駐車完了された状態)において、車庫用カメラ31により撮影されたカメラ映像を車載モニタ11に表示させたときには、鮮明なカメラ映像が表示されるものとする。
【0066】
十分な電波強度が検出されず、RSSIの値を検出できない場合(ステップS.12においてNoの場合)、CPU15では、車庫設置用カメラ部30において撮影されたカメラ映像を受信することが困難であると判断して、カメラ映像切換処理を終了する。
【0067】
図6(a)〜(c)は、車庫の奧側上部に車庫設置用カメラ部30が設置された車庫と車両100との位置関係に基づいて、十分な電波強度を測定可能な範囲(RSSI値を求めることが可能な範囲)Sと、後方確認用カメラ19により撮影可能な範囲P1と、車庫用カメラ31により撮影可能な範囲P2とが示されている。図6(a)示すように、車両100が(より詳細には、車載用本体部10の無線信号処理部13が)、電波強度を測定可能な範囲Sに進入していない場合(位置していない場合)には、電波強度を測定することができない。
【0068】
一方で、十分な電波強度を検出することができ、RSSIの値が検出できる場合(ステップS.12においてYesの場合)に、CPU15は、RSSIの値が70%よりも高い値であるか否かの判断を行う(ステップS.13)。RSSIの値が70%以下である場合(ステップS.13においてNoの場合)、CPU15は、再度、電波強度を検出する処理を行う(ステップS.11)。
【0069】
電波信号の受信信号強度は、電波信号の発信位置からの距離に相対的に比例して強度が変化する傾向を示す。このため、RSSIの値が100%に近ければ近い程、車両100が車庫内の駐車完了位置の極近くまで移動されたことを意味し、RSSIの値が低ければ低いほど、車両が車庫内の駐車完了位置から離れた位置に存在すると判断することができる。
【0070】
したがって、RSSIの値が70%以下である場合(ステップS.13においてNoの場合)には、車両100が駐車完了位置から離れた位置に存在するものと判断することができる。このように車両100が駐車完了位置から離れた位置で車庫用カメラ31により撮影された映像を車載モニタ11に表示させると、カメラ映像が不鮮明となる可能性が高く、かえって運転者の駐車操作の邪魔となってしまう場合がある。このため、CPU15では、RSSIの値が70%以下である場合(ステップS.13においてNoの場合)に、あえてカメラ映像の切換処理を行わず、車両100が車庫に十分近づくまでの電波強度の検出処理を繰り返し実行(ステップS.11)する。
【0071】
RSSIの値が70%よりも高い値である場合(ステップS.13においてYesの場合)、CPU15は、無線信号処理部13および無線用アンテナ14を介して、車庫設置用カメラ部30に対して、カメラ映像の送信開始要求を行うことにより無線通信におけるコネクションの確保を行う(ステップS.14)。車庫設置用カメラ部30の車庫カメラ用CPU34では、カメラ映像の送信開始要求を受信したことを条件として、車載用本体部10とのコネクションの確保を行う。そして、車庫カメラ用CPU34は、車庫用カメラ31により撮影されたカメラ映像を、無線信号処理部32および無線用アンテナ33を介して車載用本体部10に送信する。
【0072】
CPU15は、再度、電波信号の電波強度を検出し(ステップS.15)、RSSIの値が90%より高い値であるか否かの判断を行う(ステップS.16)。RSSIの値が90%より高い値である場合(ステップS.16においてYesの場合)、CPU15は、車載モニタ11に表示されるカメラ映像を、後方確認用カメラ19によって撮影されたカメラ映像から、車庫設置用カメラ部30より受信したカメラ映像へと切り換えて表示させる(ステップS.17)。そして、その後、電波強度の検出処理(ステップS.15)を繰り返し実行する。
【0073】
図6(c)は、RSSIの値が90%より高い値である場合における、車両の移動位置を示している。上述したように、電波信号の受信信号強度は、電波信号の発信位置からの距離に相対的に比例して強度が変化する傾向を示すため、RSSIの値が90%よりも高い値となる場合には、図6(c)に示すように、車両100が車庫の背面壁付近まで近づいた状態となる。このように、車両100が車庫の背面壁付近まで近づいた場合には、後方確認用カメラ19で撮影されたカメラ映像では背面壁しか映らなくなってしまうため、後方確認を効果的に行うことが困難となってしまう。しかしながら、車庫設置用カメラ部30の車庫用カメラ31で撮影されたカメラ映像は、車庫の奧側上部から見下ろすようにして車両100の後部とその周囲を撮影することが可能であるため、車両100の後端部と車庫の背面壁との間隔を把握することが可能となる。
【0074】
また、RSSIの値が90%より高い値である場合には、十分に鮮明なカメラ映像を車載モニタ11に表示させることが可能であるため、CPU15が積極的に車載モニタ11に表示させる映像を車庫用カメラ31で撮影されたカメラ映像に切り替えることにより、車庫用カメラ31で撮影される車両100の周囲の映像を鮮明な画質で提供することが可能となる。
【0075】
一方で、RSSIの値が90%より高い値でない場合(ステップS.16においてNoの場合)、CPU15は、RSSIの値が80%よりも高い値であるか否かの判断を行う(ステップS.18)。RSSIの値が80%以下である場合(ステップS.18においてNoの場合)、CPU15は、車載モニタ11に表示されるカメラ映像を、後方確認用カメラ19によって撮影されたカメラ映像に切り替えて(ステップS.19)、さらに、車庫設置用カメラ部30に対して、カメラ映像の送信停止要求を行い(ステップS.20)、ステップS.11に示した電波強度の検出処理へ処理を移行する。
【0076】
RSSIの値が80%以下である場合(ステップS.18においてNoの場合)には、車載モニタ11に表示される車庫用カメラ31のカメラ映像が、不鮮明なものとなってしまうおそれがあり、不鮮明なカメラ映像が車載モニタ11に表示されると、運転者に不快感を与えてしまうおそれがある。さらに、RSSIの値が80%以下の場合には、車両100が車庫内の駐車完了位置からある程度離れている状態であるとも判断できるため、車庫用カメラ31で撮影された車両周囲のカメラ映像を見ながら駐車処理を行うよりも、後方確認用カメラ19により撮影されたカメラ映像を用いたり目視などで車両後方を確認しつつ、駐車操作を行う方が好ましいとも考えられる。
【0077】
このため、CPU15では、RSSIの値が80%以下となった場合(ステップS.18においてNoの場合)には、車載モニタ11に表示されるカメラ映像を、後方確認用カメラ19により撮影された映像へと切り替えて、不鮮明な車庫用カメラ31の映像が車載モニタ11に表示されてしまうことを防止する。
【0078】
さらに、RSSIの値が80%以下である場合(ステップS.18においてNoの場合)には、車庫用カメラ31における鮮明なカメラ映像を受信することが困難であるため、車庫設置用カメラ部30に対してカメラ映像の送信停止要求を行うことによって、車庫設置用カメラ部30とのコネクションの切断を行う。車庫設置用カメラ部30に対するカメラ映像の送信停止要求によって、車庫設置用カメラ部30とのコネクションが切断されることになるため、車庫設置用カメラ部30は、車載用本体部10に対する連続的なカメラ映像の配信処理を終了する。
【0079】
一方で、RSSIの値が80%よりも高い値である場合(ステップS.18においてYesの場合)、つまり、ステップS.16における判断処理によって、RSSIの値が80%よりも高くて90%以下である場合に、CPU15は、車庫用カメラ31のカメラ映像を車載モニタ11に表示可能である旨の情報を車載モニタ11に表示させて、ユーザに対する通知処理を行う(ステップS.21)。
【0080】
図6(b)は、RSSIの値が80%よりも高く90%以下である場合における、車両100の後退位置を示した図であり、RSSIの値が80%よりも高く90%以下である場合には、車両100が車庫に少しだけ離れた位置に存在していると判断することができる。従って、RSSIの値が80%よりも高く90%以下である場合には、後方確認用カメラ19において撮影される車両後方のカメラ映像も、車庫用カメラ31により撮影される車庫上部から見下ろすようなカメラ映像も、駐車操作に有効に利用することが可能である。
【0081】
このため、CPU15は、ユーザに対する通知処理(ステップS.21)を行うことにより、車載モニタ11の表示内容を、後方確認用カメラ19において撮影されたカメラ映像だけの表示とするか、あるいは、車庫用カメラ31により撮影されたカメラ映像と後方確認用カメラ19により撮影されたカメラ映像との2画面表示にするか否かを選択させる処理を行う(ステップS.22)。
【0082】
ユーザが車載モニタ11に表示される指示に従って、タッチパネル部18によるタッチ操作を行い、2画面表示を選択した場合(ステップS.22においてYesの場合)、CPU15は、車載モニタ11に表示させるカメラ映像を左半分だけ(あるいは右半分だけ)、後方確認用カメラ19により撮影されたカメラ映像とし、右半分だけ(あるいは左半分だけ)、車庫用カメラ31により撮影されたカメラ映像とする2画面表示処理を行ってから(ステップS.23)、処理を電波強度の検出処理(ステップS.15)へと移行する。
【0083】
一方で、ユーザが2画面表示を選択しなかった場合(ステップS.22においてNoの場合)、CPU15は、車載モニタ11に表示されるカメラ映像を、後方確認用カメラ19によって撮影されたカメラ映像だけの表示に切り替えて(ステップS.24)、処理を電波強度の検出処理(ステップS.15)へと移行する。
【0084】
このようにして、RSSIの値が80%よりも高くて90%以下である場合には、車庫設置用カメラ部30より受信する車庫用カメラ31のカメラ映像を車載モニタ11に鮮明に表示させることが可能であるが、図6(b)に示すように、後方確認用カメラ19により撮影されたカメラ映像だけを用いて駐車処理を行う方が、駐車操作が容易になるか、車庫用カメラ31により撮影されたカメラ映像と後方確認用カメラ19により撮影されたカメラ映像とを2画面表示して駐車処理を行う方が、駐車操作が容易になるかは、運転者の好みの問題となる。
【0085】
このため、車庫用カメラ31のカメラ映像を車載モニタ11に鮮明に表示させることが可能であっても、ユーザの好みに応じて車載モニタ11に表示されるカメラ映像を切り替えられるようにすることによって、ユーザに最適なカメラ映像を提供することが可能となる。
【0086】
さらに、RSSIの値が80%よりも高くて90%以下である場合、車庫用カメラ31により撮影されたカメラ映像の鮮明さがRSSIの値が90%よりも高い場合に比べて低減したとしても、駐車操作時に車両の状態を確認することが可能な程度の画質の鮮明さを維持することは可能である。このため、車載モニタ11に、車庫用カメラ31により撮影されたカメラ映像と後方確認用カメラ19により撮影されたカメラ映像との2画面表示を行う場合であっても、表示されるカメラ映像の鮮明さを確保することができ、運転者の駐車操作に役立つカメラ映像を提供することが可能となる。
【0087】
以上、本発明に係る駐車支援システムについて一例を示して説明を行ったが、本発明に係る駐車支援システムは上述した実施の形態には限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0088】
例えば、上述した駐車支援システム1では、後方確認用カメラ19は、有線ケーブルによって車載用本体部10に接続される場合について説明を行ったが、後方確認用カメラ19により撮影されたカメラ映像は、必ずしも有線ケーブルによって伝達されるものには限定されない。車両の後部に後方確認用カメラを設定する場合であっても、トラックなどのように運転席から車両後部までの距離が長くて、有線ケーブルで後方確認用カメラ19から車載モニタ11までのケーブル配設が容易でない場合も存在する。
【0089】
このような場合には、後方確認用カメラ19から出力されるカメラ映像を無線信号処理部13や無線用アンテナ14で取得する構成にすることによって、後方確認用カメラ19で撮影されたカメラ映像を、車庫用カメラ31で撮影されたカメラ映像と同じように、無線通信方式を用いてCPU15へ伝達して、車載モニタ11で表示させることが可能である。
【0090】
さらに、本実施の形態に係る駐車支援システム1では、RSSIの値が80%よりも高くて90%以下である場合に、後方確認用カメラ19により撮影されたカメラ映像だけを車載モニタ11に表示させるか、あるいは、2画面表示させるかを選択する構成について説明したが、表示させる方法はこのような選択パターンには限定されない。例えば、RSSIの値が80%よりも高くて90%以下である場合に、車庫設置用カメラ部30より受信する車庫用カメラ31のカメラ映像と、2画面表示とを選択させる構成であってもよく、また、車庫用カメラ31により撮影されたカメラ映像と、後方確認用カメラ19により撮影されたカメラ映像とを選択させる構成であってもよく、さらに、それぞれの映像のいずれかを選択させる構成であってもよい。
【0091】
RSSIの値が80%よりも高くて90%以下である場合には、どのようなカメラ映像を車載モニタ11に表示させることにより駐車操作が容易になるかは、運転者の好みの問題であるといえる。このため、ユーザの好みに応じて車載モニタ11に表示されるカメラ映像を切り替えられるようにすることによって、ユーザに最適なカメラ映像を提供することが可能となる。
【0092】
さらに、本実施の形態に係る駐車支援システム1では、RSSIの値の判断を、90%より高い値であるか、80%より高い値であって、90%以下の値であるか、80%以下の値であるか、70%以下の値であるかという基準を用いて判断を行ったが、判断基準となるRSSIの値は、これらの数値には限定されない。
【0093】
具体的な数値は、車庫用カメラ31により撮影されたカメラ映像の鮮明さと車庫に対する車両の移動位置との関係に基づいて決定されるものである。このため、RSSIの値が90%以上という判断基準の代わりに、後方確認用カメラ19で撮影されるカメラ映像よりも車庫用カメラ31で撮影されるカメラ映像の方が駐車操作に役立つような車両の駐車操作位置であって、さらに、カメラ映像を鮮明に表示できる状況を示すときのRSSIの値を、判断基準の値として設定することができる。
【0094】
また、RSSIの値が80%よりも高くて90%以下という判断基準の代わりに、後方確認用カメラ19で撮影されるカメラ映像と、車庫用カメラ31で撮影されるカメラ映像との両方を駐車操作に利用可能な車両の駐車操作位置であって、さらに、カメラ映像を十分に鮮明な状態で表示できる状況を示すときのRSSIの値を、判断基準の値として設定することができる。
【符号の説明】
【0095】
1 …駐車支援システム
10 …車載用本体部(カメラ映像表示装置)
11 …車載モニタ(表示手段)
12 …無線カメラ用データベース
13 …無線信号処理部(車載用無線通信手段)
14 …無線用アンテナ(車載用無線通信手段)
15 …CPU(電波強度算出手段、車載用制御手段)
16 …ROM
17 …RAM
18 …タッチパネル部
19 …後方確認用カメラ
30 …車庫設置用カメラ部(カメラ映像送信装置)
31 …車庫用カメラ
32 …無線信号処理部(車庫用無線通信手段)
33 …無線用アンテナ(車庫用無線通信手段)
34 …車庫カメラ用CPU(車庫用制御手段)
35 …車庫カメラ用ROM
36 …車庫カメラ用RAM
100 …車両
P1 …後方確認用カメラにより撮影可能な範囲
P2 …車庫用カメラにより撮影可能な範囲
S …十分な電波強度を測定可能な範囲(RSSI値を求めることが可能な範囲)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車操作中の車両を撮影する車庫用カメラと、
前記車両とのデータの送受信を無線通信方式を用いて行う車庫用無線通信手段と、
前記車庫用カメラにより撮影されたカメラ映像を前記車庫用無線通信手段を用いて前記車両へと出力させる車庫用制御手段と
を有して車庫に設置されるカメラ映像送信装置と、
前記車庫用無線通信手段とのデータの送受信を無線通信方式を用いて行う車載用無線通信手段と、
前記車庫内に前記車両が駐車された状態において前記車載用無線通信手段で検出される前記車庫用無線通信手段からの電波信号の受信信号強度を基準として、
前記駐車操作中に前記車載用無線通信手段で検出される前記車庫用無線通信手段からの電波信号の受信信号強度の割合を求めることにより、前記車庫用無線通信手段から出力される電波信号の信号強度値を算出する電波強度算出手段と、
前記車載用無線通信手段により受信されたデータとして前記車庫用カメラにより撮影されたカメラ映像を受信した場合に、当該カメラ映像を表示させることが可能な表示手段と、
前記表示手段に前記カメラ映像を表示させるか否かを、前記電波強度算出手段により算出された前記信号強度値に基づいて制御する車載用制御手段と
を有して前記車両に設置されるカメラ映像表示装置と、
を備える駐車支援システムであって、
前記カメラ映像送信装置は、前記車庫内であって、当該車庫内において前記車両の駐車が完了された状態で、前記車庫用無線通信手段より前記カメラ映像を送信したときに、前記表示手段に表示される前記カメラ映像が最も鮮明に表示される場所に設置され、
前記車載用制御手段は、
前記電波強度算出手段により算出された前記信号強度値が90%より高い場合に、前記カメラ映像を前記表示手段に表示させ、
前記電波強度算出手段により算出された前記信号強度値が80%よりも高くて90%以下である場合に、前記表示手段に前記カメラ映像を表示させるか否かの選択肢を表示させ、
前記電波強度算出手段により算出された前記信号強度値が80%以下の場合には、前記表示手段に前記カメラ映像を表示させない
ことを特徴とする駐車支援システム。
【請求項2】
前記カメラ映像表示装置は、
前記車両の後部に設置されて車両後方を撮影する後方確認用カメラを備え、
前記車載用制御手段は、
前記電波強度算出手段により算出された前記信号強度値が90%より高い場合に、前記車庫用カメラで撮影されたカメラ映像だけを前記表示手段に表示させ、
前記電波強度算出手段により算出された前記信号強度値が80%よりも高くて90%以下である場合に、前記表示手段に前記車庫用カメラで撮影されたカメラ映像だけを表示させるか、あるいは、前記車庫用カメラで撮影されたカメラ映像と前記後方確認用カメラで撮影されたカメラ映像との2つのカメラ映像を半分ずつ表示させるかの選択肢を表示させ、
前記電波強度算出手段により算出された前記信号強度値が80%以下の場合には、前記表示手段に前記後方確認用カメラで撮影されたカメラ映像だけを表示させること
を特徴とする請求項1に記載の駐車支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−199796(P2012−199796A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62818(P2011−62818)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】