説明

駐車空間検出装置

【課題】水平広角度ソナーを用いても駐車空間の検出精度を高めることができる駐車空間検出装置を提供する。
【解決手段】駐車空間検出装置は、12番の反射波形4wに対応する角検出位置S1を駐車空間Sの走行側の左角の検出位置に設定し、37番の反射波形4wに対応する角検出位置S2を駐車空間Sの走行側の右角の検出位置に設定する。そして、駐車空間検出装置は、双方の角検出位置S1、S2に基づいて駐車空間Sの位置を想定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は、ソナーおよび車速センサを用いて駐車車両間にある駐車空間を検出する駐車空間検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自車両の後方にある障害物を検出するには、自車両に搭載したソナー(超音波センサ)を用いて障害物を検出する装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。また、最近では、ソナーと車速センサを用いて、駐車車両間にある駐車空間を検出する駐車空間検出装置も提案されている(例えば特許文献2参照)。
【0003】
従来の駐車空間検出装置について簡単に説明すると、図11に示すように、自車両10が駐車領域Pの脇を走行するのに伴い、ソナー4が自車両10の側方から駐車領域Pに向けて超音波Wを所定間隔で発信する。
【0004】
駐車空間検出装置は、ソナー4から入力された検出信号により各発信位置(各測定位置)から駐車車両11までの反射時間を測定し、この反射時間に基づいて各発信位置から駐車車両11までの距離を算出する。また、駐車空間検出装置は、車速センサ(図示せず)から入力された検出信号に基づいて走行速度を算出し、この走行速度とソナー4の発信間隔時間を用いて発信位置を算出する。
【0005】
そして、駐車空間検出装置は、各発信位置と駐車車両までの距離とを用いて座標平面上に検出位置をプロットし、図12に示すような検出ラインMを作成する。駐車空間検出装置は、この検出ラインMにおいて、双方の駐車車両11、11の検出部分Ma、Maの間の部分に仮想駐車空間Msを設定している。
【0006】
なお、この駐車空間検出装置に使用されるソナー4は水平広角度ソナーである。この水平広角度ソナー4の指向性は、地面に対して垂直方向に狭角度であり水平方向に広角度である。したがって、この水平広角度ソナー4を使用することによって、地面を障害物であると誤って検出してしまうことが防止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−304919号公報
【特許文献2】特開2008−207726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、水平広角度ソナー4は、その指向性が水平方向に広いことから、駐車車両11を通り過ぎてもその駐車車両11がまだあると判断する。そのため、検出ラインMにおいて駐車車両11の角部11aの検出部分Mbは、実際の角部11aよりもかなり左右に外れてしまう。その結果、従来の駐車空間検出装置によって検出される駐車空間Msは、実際の駐車空間Sよりも非常に狭くなっていた。
【0009】
本件発明は、かかる従来の課題に鑑みてなされたものであり、水平広角度ソナーを用いても駐車空間の検出精度を高めることができる駐車空間検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために本件発明の請求項1に記載の駐車空間検出装置では、水平広角度ソナーおよび車速センサを用いて、座標平面上に駐車空間の左右にある双方の駐車車両の角部の検出ラインを設定する駐車車両角部検出手段と、双方の検出ライン上の中間部分に前記駐車空間の走行側の両角の検出位置を設定する駐車空間両角検出手段と、前記両角の検出位置に基づいて前記駐車空間の位置を想定する駐車空間想定手段とを備えていることを特徴としている。
【0011】
したがって、請求項1に記載の駐車空間検出装置では、従来の駐車空間検出装置に比べて駐車空間の走行側の両角の検出精度が高まるので、駐車空間の検出位置を実際の駐車空間の位置に近づけることが可能になる。
【0012】
また、本件発明の請求項2に記載の駐車空間検出装置では、請求項1に記載の駐車空間検出装置において、前記駐車車両角部検出手段は、前記超音波の各発信位置における反射波形を作成し、これらの反射波形の中で各駐車車両に対する反射波形と対応している各発信位置について各駐車車両までの距離を算出して前記座標面上に各駐車車両の検出位置を設定し、これらの検出位置を用いて前記双方の検出ラインを設定することを特徴としている。
【0013】
したがって、請求項2に記載の駐車空間検出装置では、ソナーによって一般的に得られる反射波形を用いて検出ラインを設定するので、検出ラインの設定処理を容易に行うことができる。
【0014】
また、本件発明の請求項3に記載の駐車空間検出装置では、請求項2に記載の駐車空間検出装置において、前記駐車空間両角検出手段は、前記双方の検出ラインに対応する双方の反射波形群で発信順序が中間部分に位置する中間反射波形をそれぞれ選択し、双方の中間反射波形にそれぞれ対応する検出位置を前記両角の検出位置にすることを特徴としている。
【0015】
したがって、請求項3に記載の駐車空間検出装置では、ソナーによって一般的に得られる反射波形を用いて駐車空間の走行側の両角の検出位置を設定するので、両角の検出処理を容易に行うことができる。
【0016】
また、本件発明の請求項4に記載の駐車空間検出装置では、請求項3に記載の駐車空間検出装置において、前記駐車空間両角検出手段は、前記双方の反射波形群でそれぞれ最大限界電圧値と最小限界電圧値の間に、前記中間反射波形を選択するための閾値を備えたことを特徴としている。
【0017】
したがって、請求項4に記載の駐車空間検出装置では、ソナーによって一般的に得られる反射波形の電圧値を用いて中間反射波形を選択することから、中間反射波形の選択処理を容易に行うことができる。
【0018】
さらに、本件発明の請求項5に記載の駐車空間検出装置では、請求項4に記載の駐車空間検出装置において、前記閾値は、当該閾値を超える一番小さい限界電圧を有する反射波形が前記中間反射波形となるように設定されていることを特徴としている。
【0019】
したがって、請求項5に記載の駐車空間検出装置では、中間反射波形の選択処理をさらに容易に行うことができる。
【0020】
また、本件発明の請求項6に記載の駐車空間検出装置では、請求項5に記載の駐車空間検出装置において、前記駐車空間両角検出手段は、前記超音波の発信順序が先である反射波形群に対して発信順序に反射波形の限界電圧値が前記閾値を越えているか否かを判断していき、一番最後に前記閾値を超える反射波形と、前記発信順序が後である反射波形群に対して前記発信順序と逆の順序で反射波形の限界電圧値が前記閾値を越えているか否かを判断していき、一番最後に前記閾値を超える反射波形とを、前記中間反射波形とすることを特徴としている。
【0021】
したがって、請求項6に記載の駐車空間検出装置では、反射波形の電圧値と超音波の発信順序を用いて中間反射波形の選択処理を行うことから、中間反射波形の選択処理をさらに容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本件発明の請求項1に記載の駐車空間検出装置では、双方の検出ライン上の中間部分に駐車空間の走行側の両角の検出位置を設定した。したがって、従来の駐車空間検出装置に比べて駐車空間の走行側の両角の検出精度が高まるので、駐車空間の検出位置を実際の駐車空間の位置に近づけることが可能になる。よって、本件発明の請求項1に記載の駐車空間検出装置は、水平広角度ソナーを用いても駐車空間の検出精度を高めることができる。
【0023】
また、本件発明の請求項2に記載の駐車空間検出装置では、ソナーによって一般的に得られる反射波形を用いて検出ラインを設定するようにした。したがって、検出ラインの設定処理を容易に行うことができる。よって、請求項2に記載の駐車空間検出装置は、駐車空間の検出処理速度を高めつつ駐車空間の検出精度を高めることができる。
【0024】
また、本件発明の請求項3に記載の駐車空間検出装置では、反射波形の中間反射波形を用いて駐車空間の走行側の両角の検出位置を設定するようにした。したがって、両角の検出処理を容易に行うことができる。よって、請求項3に記載の駐車空間検出装置は、駐車空間の検出処理速度をさらに高めることができる。
【0025】
また、本件発明の請求項4に記載の駐車空間検出装置では、反射波形の電圧値から閾値を設定し、この閾値を用いて中間反射波形を選択するようにした。したがって、中間反射波形の選択処理が容易になるので、駐車空間の両角の検出処理速度を高めることができる。よって、請求項4に記載の駐車空間検出装置は、駐車空間の検出処理速度をさらに高めることができる。
【0026】
また、本件発明の請求項5に記載の駐車空間検出装置では、閾値を超える一番小さい限界電圧を有する反射波形を中間反射波形とした。したがって、中間反射波形の選択処理がさらに容易になるので、駐車空間の両角の検出処理速度をさらに高めることができる。よって、請求項5に記載の駐車空間検出装置は、駐車空間の検出処理速度をさらに高めることができる。
【0027】
また、本件発明の請求項6に記載の駐車空間検出装置では、反射波形の電圧値と超音波の発信順序を用いて中間反射波形を選択するようにした。したがって、中間反射波形の選択処理がさらに容易になるので、駐車空間の両角の検出処理速度をさらに高めることができる。よって、請求項6に記載の駐車空間検出装置は、駐車空間の検出処理速度をさらに高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本件発明の一実施の形態を示す駐車支援装置のブロック図である。
【図2】同実施の形態において駐車空間検出処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】同実施の形態において駐車車両角部検出処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】同実施の形態において水平広角度ソナーから受信した信号の処理過程を示す図である。
【図5】同実施の形態において双方の駐車車両の角部の検出ラインと反射波形との関係を示す図である。
【図6】同実施の形態において駐車空間両角検出処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】図5の左側部分の拡大図である。
【図8】図5の右側部分の拡大図である。
【図9】同実施の形態において駐車空間想定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】同実施の形態において駐車空間の検出結果を示す図である。
【図11】駐車空間の検出処理方法を示す図である。
【図12】従来の駐車空間の検出結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本件発明の実施の形態を図にしたがって説明する。
【0030】
図1は、本件発明の一実施の形態を示す駐車支援装置1のブロック図である。この駐車支援装置1は、図11に示した駐車領域Pにおいて運転者が駐車操作を行うときにそれを補助するものとして使用される。また、この駐車支援装置1は、自車両10に搭載されており、本件発明の駐車空間検出装置2、自動駐車スイッチ3、水平広角度ソナー4、車速センサ5、自動駐車装置6を備えている。以下に、各構成部分について説明する。
【0031】
<駐車空間検出装置2>
駐車空間検出装置2は、図11に示すように自車両10が駐車領域Pの脇をX方向に走行することによって駐車車両11、11間にある駐車空間Sを検出するものである。この駐車空間検出装置2は、CPU、処理手順や各種データ等が記憶されたROM、処理中のデータ等を記憶するRAM、座標系、信号処理部、タイマー等を備えている。これらは、本件発明の駐車車両角部検出手段、駐車空間両角検出手段、駐車空間想定手段として機能する。
【0032】
なお、上記の信号処理部について説明する。この信号処理部は、水平広角度ソナー4から入力された信号を処理するものである。この信号処理部は、信号の入力側から順に、マスク回路、半波整流回路、包絡線検波回路、ADコンバータ、比較器を備えており、何れも周知のものである。
【0033】
<自動駐車スイッチ3>
自動駐車スイッチ3は、駐車空間検出装置2の入力部(図示せず)に接続されている。この自動駐車スイッチ3は、自動駐車装置6を作動するためのスイッチである。また、この自動駐車スイッチ3は、図示しないが、例えば自車両10の車室内の運転席の近くに設けられており、主に運転者によってON操作が行われる。
【0034】
<水平広角度ソナー4>
水平広角度ソナー4は、駐車空間検出装置2の入力部と出力部(図示せず)に接続されている。この水平広角度ソナー4は、周知のように超音波を用いて駐車車両11を検出するものである。そして、この水平広角度ソナー4は、図11に示すように自車両10の側面の後部に固定されている。また、水平広角度ソナー4の発信部と受信部(図示せず)は、自車両10の側方へ向けられている。また、水平広角度ソナー4の指向性は、背景技術のところで述べたように地面に対して垂直方向に狭角度であり水平方向に広角度である。なお、以下の説明では、水平広角度ソナー4を単にソナー4と称する。
【0035】
<車速センサ5>
車速センサ5は、駐車空間検出装置2の入力部に接続されている。この車速センサ5は、周知のようにタイヤの回転数から自車両10の走行速度を検出するのに用いられる。
【0036】
<自動駐車装置6>
自動駐車装置6は、駐車空間検出装置2の出力部(図示せず)に接続されている。この自動駐車装置6は、駐車空間検出装置2によって検出される駐車空間の位置情報を用いて自車両10を駐車位置まで自動的に導くものである。
【0037】
以上のように構成されている駐車支援装置1において、次に、駐車空間検出装置2による駐車空間検出処理を説明する。この駐車空間検出処理は、図2に示すように、駐車車両角部検出処理SA、駐車空間両角検出処理SB、駐車空間想定処理SCの順に行われる。以下に、各処理を説明する。
【0038】
<駐車車両角部検出処理SA>
まず最初に、駐車車両角部検出処理SAを説明する。この駐車車両角部検出処理SAでは、図11に示すように自車両10が駐車領域Pの脇をX方向に走行することにより、駐車空間Sの左右にある駐車車両11、11の角部11a、11aの検出ラインを設定する。図3は、駐車車両角部検出処理SAの処理手順を示すフローチャートである。以下に、各処理手順を具体的に説明する。
【0039】
(ステップSA1)
まず最初に、駐車空間検出装置2は、車速センサ5からの検出信号に基づいて自車両10の走行速度が所定の低速度以下(例えば時速10km以下)であるか否かを判断する。
【0040】
(ステップSA2)
駐車空間検出装置2は、自車両10の走行速度が所定の低速度以下である場合には(ステップSA1でYES)、ソナー4を作動する。なお、自車両10が最初の駐車車両11(図11の左の駐車車両)の先頭部分の脇を通るときにソナー4を作動させるのが好ましい。これは、角部11a、11aの検出ラインを作成しやすくするためである。
【0041】
なお、駐車空間検出装置2に開始スイッチを接続し、自車両10が最初の駐車車両11の先頭部分の脇を通るときに運転者が開始スイッチをONにしてソナー4を作動するようにしても良い。また、GPSを利用して自車両10が駐車場に入ったときにソナー4を作動させても良い。
【0042】
(ステップSA3)
ソナー4は、図11に示すように、自車両10の側方から所定間隔で駐車領域Pに向けて超音波Wを発信する。このときにソナー4は、図4(A)に示すように、駐車空間検出装置2に同期信号を出力する。駐車空間検出装置2は、この同期信号が入力されたか否かを判断する。
【0043】
(ステップSA4)
駐車空間検出装置2は、同期信号が入力された場合には(ステップSA3でYES)、タイマーを起動する。
【0044】
(ステップSA5)
続いて、駐車空間検出装置2は、自車両10の位置、つまり、超音波Wの発信位置を算出する。この発信位置は、ソナー4の移動距離である。具体的には、同期信号が入力される度に、車速センサ5から得られた自車両10の走行速度に超音波の発信間隔時間のN−1倍を掛ける。Nは、同期信号の入力回数である。つまり、最初の同期信号が入力されたときにはソナー4の移動距離はゼロであるため、発信位置はゼロとなる。
【0045】
(ステップSA6)
続いて、駐車空間検出装置2は、タイマーから所定の時間経過したか否かを判断する。ここで、駐車空間検出装置2は、所定の時間経過していると判断した場合には(ステップSA6でYES)、障害物がないと判断し、距離を∞として、ステップSA13の処理に進む。
【0046】
(ステップSA7)
ソナー4から発信された超音波は駐車車両11に当たって反射し、反射された超音波(反射波)をソナー4が受信してそれを反射波信号として駐車空間検出装置2に出力する。駐車空間検出装置2は、タイマーから所定の時間経過していないと判断した場合には(ステップSA6でNO)、上記の反射波信号が入力されたか否かを判断する。ここで、駐車空間検出装置2は、反射波信号が入力されていない場合には(ステップSA7でNO)、ステップSA6の処理に戻る。
【0047】
(ステップSA8)
駐車空間検出装置2は、反射波信号が入力された場合には(ステップSA7でYES)、反射波形(電圧波形)を作成する。これについて以下に説明する。
【0048】
最初に、反射波信号は信号処理部のマスク回路に通される。これによって、図4(B)に示すように送信波残響がマスキングされ、図4(C)に示すようなマスク波形の信号になる。この信号は半波整流回路に通されて図4(D)に示すような半波整流波形の信号になる。この信号は包絡線検波回路に通されて図4(E)に示すような包絡線検波波形の信号になり、この信号はADコンバータでデジタル化されて目的の反射波形の信号になる。
【0049】
(ステップSA9)
また、この反射波形の信号は比較器に通されて図4(F)に示す出力波形の信号になり、この信号が停止信号としてタイマーに入力されることによりタイマーが停止する。ここで図4(G)に示すようにタイマーの作動時間が、駐車車両11に対する超音波Wの反射時間(往復時間)となる。
【0050】
(ステップSA10)
また、駐車空間検出装置2は、図4(E)に示すように、反射波形の電圧値が第1閾値を超えているか否かを判断する。この第1閾値は、反射波形が駐車車両11に対する反射波形であるか否かを判断する基準になるものである。
【0051】
(ステップSA11)
駐車空間検出装置2は、反射波形の電圧値が第1閾値を超えている場合には(ステップSA10でYES)、発信位置から駐車車両11までの距離を算出する。具体的には、上記で説明した反射時間に超音波の速度を掛けて1/2にして距離を算出する。そして、駐車空間検出装置2は、発信位置および発信位置から駐車車両11までの距離を、発信番号とともにRAMに記憶する。
【0052】
(ステップSA12)
次に、駐車空間検出装置2は、第1閾値を超えている反射波形の限界電圧値(最大電圧値)を算出して、これをRAMに記憶する。
【0053】
(ステップSA13)
次に、駐車空間検出装置2は、自動駐車スイッチ3がONになっているか否かを判断する。また、このステップSA13は、ステップSA6において所定の時間経過している場合(ステップSA6でYES)、ステップSA10において反射波形の電圧値が第1閾値以下である場合(ステップSA10でNO)でも行われる。
【0054】
駐車空間検出装置2は、自動駐車スイッチ3がONでないと判断した場合には(ステップSA13でNO)、自動駐車スイッチ3がONになるまでステップSA3〜ステップSA12の処理を繰り返して行う。
【0055】
(ステップSA14)
駐車空間検出装置2は、自動駐車スイッチ3がONになっていると判断した場合には(ステップSA13でYES)、ソナー4を停止する。この結果、RAMには、発信番号毎に、発信位置、発信位置から駐車車両11までの距離、反射波形の限界電圧値を1組にしてそれぞれ記憶される。
【0056】
(ステップSA15)
次に、駐車空間検出装置2は、RAMに記憶されている上記の項目を用いて、図5に示すような検出ラインL、Lを設定する。この検出ラインL、Lは、上記でも述べたように、駐車空間Sの左右にある駐車車両11、11の角部11a、11aの検出ラインである。以下に検出ラインL、Lの設定方法について説明する。
【0057】
まず最初に、駐車空間検出装置2は、図5に示すような座標平面を作成する。この座標平面は、最初の発信位置を原点(0、0)とし、原点から自車両10の走行方向X(図11参照)に向けて延びる軸をX軸とし、原点から駐車領域Pの奥行方向Y(図11参照)に向けて延びる軸をY軸としている。
【0058】
次に、駐車空間検出装置2は、各発信位置をX値とし、各発信位置から駐車車両11までの距離をY値として、座標平面上に駐車車両11の検出位置4aをプロットし、各検出位置4aをつないで検出ラインL、Lを設定する。なお、図5では、検出ラインLの他に、駐車車両11、駐車空間S、発信位置4x、反射波形4wを対応させて示す。
【0059】
なお、自車両10が最初の駐車車両11の先頭部分の脇を通る前に検出処理が開始された場合には、まず、その開始位置からの検出ラインを作成し、その検出ラインにおいて最初の駐車車両11の先頭部分に対応する任意の発信位置を原点にして上記の検出ラインL、Lを作成しても良い。駐車空間検出装置2は、以上のようにして検出ラインL、Lを作成したら、駐車空間両角検出処理SBを行う。
【0060】
<駐車空間両角検出処理SB>
図6は、駐車空間両角検出処理SBの処理手順を示すフローチャートである。この駐車空間両角検出処理SBでは、検出ラインL、L上に、駐車空間Sの走行側の両角の検出位置を設定する。以下に、各処理手順を具体的に説明する。
【0061】
駐車空間検出装置2は、図5で示した検出ラインL、Lの左側の検出ラインL上に駐車空間Sの走行側の左角の検出位置を設定する。図7は、左側の検出ラインLを示す図である。この図7では、検出ラインLの他に、駐車車両11、駐車空間S、発信位置4x、反射波形4w、発信番号を対応させて示す。
【0062】
(ステップSB1)
そして、駐車空間検出装置2は、まず最初に、図7に示すように、左側の検出ラインLに対応している反射波形4w群について最小限界電圧値Vminを設定する。具体的には、第1閾値Vt1を超えている反射波形4w群、つまり発信番号が1番〜20番の反射波形4wの中で一番小さい限界電圧値を有する20番の反射波形4wの限界電圧値を最小限界電圧値Vminに設定する。言い換えると、発信順序で一番最後に第1閾値Vt1を超える20番の反射波形4wの限界電圧値を最小限界電圧値Vminに設定する。
【0063】
(ステップSB2)
次に、駐車空間検出装置2は、最大限界電圧値Vmaxを設定する。具体的には、1番〜20番の反射波形4wの中で、一番大きい限界電圧値を有している1番〜6番のいずれかの反射波形4wの限界電圧値を最大限界電圧値Vmaxに設定する。その他の方法としては、1番〜20番の検出位置4aの中でY値が一番小さい、つまり、発信位置4xから駐車車両11までの距離が一番短い1番〜6番のいずれかの検出位置4aに対応する反射波形4wの限界電圧値を最大限界電圧値Vmaxに設定する。
【0064】
(ステップSB3)
次に、駐車空間検出装置2は、最大限界電圧値Vmaxと最小限界電圧値Vminとの間に第2閾値Vt2を設定する。この第2閾値Vt2は、以下の式で算出する。
【0065】
〔数1〕
第2閾値Vt2
=(最大限界電圧値Vmax−最小限界電圧値Vmin)×p+最小限界電圧値Vmin
【0066】
この式においてpは0.1〜0.9の範囲にあり、第2閾値Vt2を双方の限界電圧値Vmax、Vminのどこに設定するかを決めるための係数である。この係数pは、使用するソナー4の特性によって異なる。
【0067】
(ステップSB4)
次に、駐車空間検出装置2は、第2閾値Vt2を用いて、検出ラインL上に駐車空間Sの左角の検出位置を設定する。この処理について以下に説明する。
【0068】
まず、駐車空間検出装置2は、発信順序に反射波形4wの限界電圧値が第2閾値Vt2を越えているか否かを判断していき、一番最後に第2閾値Vt2を超える12番の反射波形4wを中間反射波形とする。
【0069】
このような選択方法が可能なのは、図7に示すように、反射波形4wの限界電圧値が駐車車両11から離れるにつれて小さくなるからである。したがって、第2閾値Vt2は、12番の反射波形4wが中間反射波形になるように数1の式において係数pの最良値を設定する。
【0070】
また、この中間反射波形(12番の反射波形4w)は、1番〜20番の反射波形4wの中で中間部分に位置する。さらに、この中間反射波形は、第2閾値Vt2を超える1番〜12番の反射波形4wの中で一番小さい限界電圧値を有している。
【0071】
次に、駐車空間検出装置2は、検出ラインL上において中間反射波形(12番の反射波形4w)に対応する12番の検出位置4aを駐車車両11の角検出位置S1とする。この角検出位置S1は、検出ラインL上の中間部分に位置する。そして、駐車空間検出装置2は、この角検出位置S1を駐車空間Sの走行側の左角の検出位置にする。
【0072】
次に、駐車空間検出装置2は、図5で示した検出ラインL、Lにおいて、右側の検出ラインL上に駐車空間Sの走行側の右角の検出位置を設定する。図8は、右側の検出ラインLを示す図である。この図8では、図7と同様に、検出ラインLの他に、駐車車両11、駐車空間S、発信位置4x、反射波形4w、発信番号を対応させて示す。
【0073】
(ステップSB5)
そして、駐車空間検出装置2は、まず最初に、図8に示すように、右側の検出ラインLに対応している反射波形4w群について最小限界電圧値Vminを設定する。具体的には、第1閾値Vt1を超えている反射波形4w群、つまり発信番号が29番〜48番の反射波形4wの中で一番小さい限界電圧値を有する29番の反射波形4wの限界電圧値を最小限界電圧値Vminに設定する。言い換えると、発信順序の逆順で一番最後に第1閾値Vt1を超える29番の反射波形4wの限界電圧値を最小限界電圧値Vminに設定する。
【0074】
(ステップSB6)
次に、駐車空間検出装置2は、最大限界電圧値Vmaxを設定する。具体的には、29番〜48番の反射波形4wの中で、一番大きい限界電圧値を有している43番〜48番のいずれかの反射波形4wの限界電圧値を最大限界電圧値Vmaxに設定する。その他の方法としては、29番〜48番の検出位置4aの中でY値が一番小さい、つまり、発信位置4xから駐車車両11までの距離が一番短い43番〜48番のいずれかの検出位置4aに対応する反射波形4wの限界電圧値を最大限界電圧値Vmaxに設定する。
【0075】
(ステップSB7)
次に、駐車空間検出装置2は、最大限界電圧値Vmaxと最小限界電圧値Vminとの間に第2閾値Vt2を設定する。この第2閾値Vt2は、上記の数1の式を用いて算出される。
【0076】
(ステップSB8)
次に、駐車空間検出装置2は、第2閾値Vt2を用いて、検出ラインL上に駐車空間Sの右角の検出位置を設定する。この処理について以下に説明する。
【0077】
まず、駐車空間検出装置2は、発信順序と逆の順序、つまり、48番の反射波形4wから降順に反射波形4wの限界電圧値が第2閾値Vt2を越えているか否かを判断していき、一番最後に第2閾値Vt2を超える37番の反射波形4wを中間反射波形とする。
【0078】
このような選択方法が可能なのは、図8に示すように、反射波形4wの限界電圧値が駐車車両11から離れるにつれて小さくなっているからである。したがって、第2閾値Vt2は、37番の反射波形4wが中間反射波形になるように、上記の数1の式において係数pの最良値を設定する。
【0079】
また、この中間反射波形(37番の反射波形4w)は、29番〜48番の反射波形4wの中で中間部分に位置する。さらに、この中間反射波形は、第2閾値Vt2を超える37番〜48番の反射波形4wの中で一番小さい限界電圧値を有している。
【0080】
次に、駐車空間検出装置2は、検出ラインL上において中間反射波形(37番の反射波形4w)に対応する37番の検出位置4aを駐車車両11の角検出位置S2とする。この角検出位置S2は、検出ラインL上の中間部分に位置する。そして、駐車空間検出装置2は、この角検出位置S2を駐車空間Sの走行側の右角の検出位置にする。
【0081】
駐車空間検出装置2は、上記のようにして検出ラインL、L上に、駐車空間Sの走行側の両角の検出位置を設定したら、駐車空間想定処理SCを行う。
【0082】
<駐車空間想定処理SC>
図9は、駐車空間想定処理SCの処理手順を示すフローチャートである。この駐車空間想定処理SCでは、検出ラインL、L上で両角の検出位置に設定した角検出位置S1、S2に基づいて駐車空間Sの位置を想定する。以下に、各処理手順を具体的に説明する。
【0083】
(ステップSC1)
駐車空間検出装置2は、まず最初に、図10に示すように、座標平面上に左側面ラインS3を設定する。具体的には、左側の角検出位置S1からY方向(駐車領域Pの奥行方向)に直線を引く。この直線の長さは、例えば、X軸であるソナー4の測定ライン(超音波Wの発信ライン)から測定可能な最大距離4dを使用する。その他には、一般的な駐車空間Sの奥行方向の長さをROMに記憶してこれを使用しても良い。
【0084】
(ステップSC2)
次に、駐車空間検出装置2は、図10に示すように、座標平面上に右側面ラインS4を設定する。具体的には、右側の角検出位置S2からY方向に左側面ラインS3と同じ長さの直線を引く。
【0085】
(ステップSC3)
最後に、駐車空間検出装置2は、図10に示すように左側面ラインS3の端点S5と右側面ラインS4の端点S6とを結んで仮想駐車空間Lsを作成し、この仮想駐車空間Lsの位置により実際の駐車空間Sの位置を想定する。以上で、駐車空間Sの検出処理が終了する。なお、駐車空間検出装置2は、仮想駐車空間Lsの位置情報を自動駐車装置6(図1参照)に出力する。
【0086】
以上説明したように、本実施の形態の駐車空間検出装置2では、検出ラインL、L上の中間部分に駐車空間Sの走行側の両角の検出位置を設定した。したがって、本実施の形態の駐車空間検出装置2は、図10の仮想駐車空間Lsと図12の仮想駐車空間Msとを比較すればわかるように、従来の駐車空間検出装置に比べて駐車空間Sの走行側の両角の検出精度が高まるので、駐車空間Sの検出位置を実際の駐車空間Sの位置に近づけることが可能になる。よって、本実施の形態の駐車空間検出装置2は、ソナー4を用いても駐車空間Sの検出精度を高めることができる。
【0087】
また、本実施の形態の駐車空間検出装置2では、ソナー4によって一般的に得られる反射波形4wを用いて検出ラインLを設定した。したがって、検出ラインLの設定処理を容易に行うことができる。よって、本実施の形態の駐車空間検出装置2は、駐車空間Sの検出処理速度を高めつつ駐車空間Sの検出精度を高めることができる。
【0088】
さらに、本実施の形態の駐車空間検出装置2では、ソナー4によって一般的に得られる反射波形4w、具体的には12番と37番の中間反射波形4wを用いて駐車空間Sの走行側の両角の検出位置を設定した。したがって、両角の検出処理を容易に行うことができる。よって、本実施の形態の駐車空間検出装置2は、駐車空間Sの検出処理速度をさらに高めることができる。
【0089】
さらに、本実施の形態の駐車空間検出装置2では、反射波形4wの電圧値から設定した第2閾値Vt2と超音波Wの発信順序を用いて中間反射波形を選択した。したがって中間反射波形の選択処理が容易になるので、駐車空間の両角の検出処理速度を高めることができる。よって、本実施の形態の駐車空間検出装置2は、駐車空間Sの検出処理速度をさらに高めることができる。
【0090】
以上、本件発明にかかる実施の形態を例示したが、これらの実施の形態は本件発明の内容を限定するものではない。また、本件発明の請求項の範囲を逸脱しない範囲であれば、各種の変更等は可能である。
【0091】
例えば、本実施の形態の駐車空間検出装置2では、発信順序またはその逆順序で第2閾値Vt2を一番最後に超える限界電圧を有する反射波形(12番と37番の反射波形4w)を中間反射波形としたが、その前の反射波形(11番と38番の反射波形4w)や、その後の反射波形(13番と36番の反射波形4w)を中間反射波形にしても良い。
【0092】
また、本実施の形態の駐車空間検出装置2では、第2閾値Vt2と発信順序の両方を用いて中間反射波形を選択したが、発信順序または第2閾値Vt2の一方を用いて中間反射波形を選択しても良い。
【0093】
発信順序を用いる場合には、駐車車両11に対する反射波形群(1番〜20番の反射波形4w、29番〜48番の反射波形4w)の中で、発信順序が中間部分に位置する反射波形をそれぞれ選択し、これを中間反射波形とする。
【0094】
第2閾値Vt2を用いる場合には、第2閾値Vt2を超える限界電圧を有する反射波形群(1番〜12番の反射波形4w、37番〜48番の反射波形4w)の中で、一番小さい限界電圧値を有する12番と37番の反射波形4wを中間反射波形とする。また、このときに二番目に小さい11番と38番の反射波形4wを中間反射波形としても良い。
【0095】
また、本実施の形態の駐車空間検出装置2では、図11に示したように、自車両10の左側面にソナー4を設けた場合について説明したが、勿論、自車両10の左右側面にソナー4をそれぞれ設けて、本実施の形態と同様の駐車空間の検出処理をしても良い。
【0096】
また、本実施の形態では、自車両10と駐車車両11とは平行であるという前提で駐車空間Sの検出処理を説明したが、操舵角センサ等を用いて自車の走行方向の傾きを検出し、この傾きに基づいて検出ラインLの傾きを補正した上で、駐車空間両角検出処理SBを行えば、本実施の形態と同様の効果を得ることは可能である。
【産業上の利用可能性】
【0097】
以上説明したように本件発明の駐車空間検出装置は、水平広角度ソナーを用いても駐車空間の検出精度を高めることができる。したがって、本件発明の駐車空間検出装置を、駐車空間検出装置の技術分野で十分に利用することができる。
【符号の説明】
【0098】
2 駐車空間検出装置
4 水平広角度ソナー
4w 反射波形
5 車速センサ
10 自車両
11 駐車車両
11a 角部
L 検出ライン
S 駐車空間
S1 角検出位置
S2 角検出位置
Vt2 第2閾値
Vmax 最大限界電圧値
Vmin 最小限界電圧値
W 超音波

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車領域の脇を自車両が走行するのに伴い当該自車両の側方から所定間隔で前記駐車領域に超音波を発信する水平広角度ソナーおよび車速センサを用いて、座標平面上に駐車空間の左右にある双方の駐車車両の角部の検出ラインを設定する駐車車両角部検出手段と、
双方の検出ライン上の中間部分に前記駐車空間の走行側の両角の検出位置を設定する駐車空間両角検出手段と、
前記両角の検出位置に基づいて前記駐車空間の位置を想定する駐車空間想定手段と
を備えていることを特徴とする駐車空間検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の駐車空間検出装置において、
前記駐車車両角部検出手段は、前記超音波の各発信位置における反射波形を作成し、これらの反射波形の中で各駐車車両に対する反射波形と対応している各発信位置について各駐車車両までの距離を算出して前記座標面上に各駐車車両の検出位置を設定し、これらの検出位置を用いて前記双方の検出ラインを設定することを特徴とする駐車空間検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の駐車空間検出装置において、
前記駐車空間両角検出手段は、前記双方の検出ラインに対応する双方の反射波形群で発信順序が中間部分に位置する中間反射波形をそれぞれ選択し、双方の中間反射波形にそれぞれ対応する検出位置を前記両角の検出位置にすることを特徴とする駐車空間検出装置。
【請求項4】
請求項3に記載の駐車空間検出装置において、
前記駐車空間両角検出手段は、前記双方の反射波形群でそれぞれ最大限界電圧値と最小限界電圧値の間に、前記中間反射波形を選択するための閾値を備えたことを特徴とする駐車空間検出装置。
【請求項5】
請求項4に記載の駐車空間検出装置において、
前記閾値は、当該閾値を超える一番小さい限界電圧を有する反射波形が前記中間反射波形となるように設定されていることを特徴とする駐車空間検出装置。
【請求項6】
請求項5に記載の駐車空間検出装置において、
前記駐車空間両角検出手段は、前記超音波の発信順序が先である反射波形群に対して発信順序に反射波形の限界電圧値が前記閾値を越えているか否かを判断していき、一番最後に前記閾値を超える反射波形と、前記発信順序が後である反射波形群に対して前記発信順序と逆の順序で反射波形の限界電圧値が前記閾値を越えているか否かを判断していき、一番最後に前記閾値を超える反射波形とを、前記中間反射波形とすることを特徴とする駐車空間検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−33486(P2011−33486A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−180313(P2009−180313)
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】