骨密度計測装置
【課題】光を用いる骨密度の計測をより確実に行うことができる骨密度計測装置を提供する。
【解決手段】光照射部21は、生体表面の内で皮下組織の薄い足裏の踵Kに光を照射するように構成され、受光部22は、生体内部を伝播し、その反射光を受光するように構成され、受光した光に応じて踵Kの骨密度の計測がなされるようになっている。
【解決手段】光照射部21は、生体表面の内で皮下組織の薄い足裏の踵Kに光を照射するように構成され、受光部22は、生体内部を伝播し、その反射光を受光するように構成され、受光した光に応じて踵Kの骨密度の計測がなされるようになっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を用いて骨密度を計測する骨密度計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、光を用いて人等の計測対象の骨密度を計測する方法が知られている。例えば特許文献1には、光の強度を変化させて計測対象の内部に光を照射する光照射部と、照射された光の内で計測対象の内部から反射される反射光を受光する受光部と、照射された光の強度に対応する受光した反射光の強度の変化傾向を算出する変化傾向算出手段と、この変化傾向に基づいて計測対象の密度(骨密度)を算出する算出部とで構成された骨密度計測装置が開示されている。つまり、上記装置は、光照射部から照射される光の強度を適宜変化させ、反射光の強度の変化から骨密度を評価・計測するものである。
【特許文献1】特開2008−155011号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記の骨密度計測装置では、例えば皮下組織の厚い部分において骨密度を計測する場合、光照射部の出力不足等の理由で骨まで光が到達せず、骨密度の計測を適切に行うことが困難であった。
【0004】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、光を用いる骨密度の計測をより確実に行うことができる骨密度計測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、生体表面に光を照射する光照射部と、該光照射部により前記生体表面に照射されて骨を含む生体内部を伝播した光を受光する受光部と、該受光部にて取得した光量に基づいて骨密度を計測する骨密度計測部とを備えた骨密度計測装置であって、前記光照射部は、前記生体表面の内で皮下組織の薄い部位に光を照射するように構成され、前記受光部は、前記生体内部を伝播して前記皮下組織の薄い部位を通る光を受光するように構成されたことをその要旨とする。
【0006】
この発明では、光照射部は、生体表面の内で皮下組織の薄い部位に光を照射するように構成され、受光部は、生体内部を伝播して皮下組織の薄い部位を通る光を受光するように構成される。つまり、皮下組織(皮下脂肪等)の薄い部位において光照射部による光の照射及び受光部による光の受光がなされるため、光照射部にて照射された光が骨まで到達しやすく骨密度の計測をより確実にすることができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の骨密度計測装置において、前記光照射部は、前記生体表面である人の足裏に対して光が照射されるように構成されたことをその要旨とする。
【0008】
この発明では、光照射部は、生体表面である人の足裏に対して光が照射されるように構成される。つまり、皮下組織の薄い部位である人の足裏に対して光を照射することで、より確実且つ容易に骨密度の計測が可能となる。また、このような構成とすることで、ヘルスメータ(体重計)に搭載することも可能となる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の骨密度計測装置において、前記生体表面の皮下組織の厚みが10mm以下であるか否かを判定する判定部を設けたことをその要旨とする。
【0010】
この発明では、生体表面の皮下組織の厚みが10mm以下であるか否かを判定する判定部が設けられる。そのため、皮下組織の厚みが10mm以下と比較的薄い部位にて光照射部による光の照射及び受光部による光の受光を確実に行うことが可能となり、より確実に骨密度を計測することが可能となる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の骨密度計測装置において、前記光照射部は、500nm〜2500nmの範囲の波長の光を照射するように構成されたことをその要旨とする。
【0012】
この発明では、光照射部は、500nm〜2500nmの範囲の波長の光を照射するように構成される。このため、生体への透過性のよい波長の光を使用して骨密度の計測を行うことができる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の骨密度計測装置において、前記光照射部から照射される光及び前記生体内部を伝播した光を外光から遮光する遮光部を設けたことをその要旨とする。
【0014】
この発明では、光照射部から照射される光及び生体内部を伝播した光を外光から遮光する遮光部が設けられる。そのため、骨密度の計測に必要となる光に対してその他の光、つまりノイズが加わることを抑制することができ、より確実且つ正確に骨密度の計測を行うことができる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の骨密度計測装置において、人の足を載せる足載せ台が備えられるとともに、該足載せ台の前記足を載せる上面に下側に凸となる窪み部が形成され、前記光照射部及び前記受光部は、それらを外光から遮光すべく前記窪み部内に設けたことをその要旨とする。
【0016】
この発明では、人の足を載せる足載せ台が備えられるとともに、この足載せ台の足を載せる上面に下側に凸となる窪み部が形成され、光照射部及び受光部は、それらを外光から遮光すべく窪み部内に設けられる。つまり、光照射部及び受光部を外光から遮光することで、骨密度の計測に必要となる光に対してその他の光、つまりノイズが加わることを抑制することができ、より確実且つ正確に骨密度の計測を行うことができる。また、窪み部を形成したことにより、測定部位の位置決めを容易に行うことができる。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の骨密度計測装置において、前記受光部は、複数の受光素子を用いて構成されたことをその要旨とする。
この発明では、受光部は、複数の受光素子を用いて構成されるため、各素子において発生する受光量の誤差に起因した骨密度の計測値のズレを抑制することができる。
【0018】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の骨密度計測装置において、前記受光素子は、前記光照射部からの距離が近い第1受光素子と、該第1受光素子より前記光照射部からの距離が遠い第2受光素子とで構成され、前記骨密度算出部は、前記第1受光素子と前記第2受光素子との光量比率により骨密度を算出することをその要旨とする。
【0019】
この発明では、受光素子は、光照射部からの距離が近い第1受光素子と、この第1受光素子より光照射部からの距離が遠い第2受光素子とで構成され、骨密度算出部により、第1受光素子と第2受光素子の光量の比率にて骨密度が算出される。つまり、光照射部からの距離の異なる複数の受光素子を用いることで、生体内部を伝播する光路の異なる光を各受光素子にて受光することが可能となる。そして、光照射部からの距離の近い第1受光素子にて生体表面から浅い生体内(主に皮下組織)を通る光を受光し、光照射部からの距離の遠い第2受光素子にて生体表面から深い生体内(主に皮下組織と骨)を通る光を受光し、それら各素子にて得られる光量の比率から骨密度算出部にて骨密度の算出を行うことで、生体表面の皮膚の色や皮下組織の状態の影響を抑制させることができ、より正確な骨密度を算出することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、光を用いる骨密度の計測をより確実に行うことができる骨密度計測装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態の骨密度計測装置としてのヘルスメータ10の概略構成を示す。ヘルスメータ10は、使用者が両足を載せるように扁平直方体状に形成された足載せ台11を備えるとともに、その足載せ台11の上面11aには足位置ガイド12が設けられている。また、足載せ台11の前部には操作部13が着脱自在に取着されている。足載せ台11の後部(図1において下方)側面には、ヘルスメータ10をON/OFFする電源スイッチ14が備えられている。足載せ台11の内部には、図示しないロードセル等の荷重センサが設けられており、本実施形態のヘルスメータ10は体重計としての機能も担っている。
【0022】
足位置ガイド12には、その後部に使用者の特に踵Kの骨密度を計測する骨密度計測部20が設けられている。この骨密度計測部20は、図2に示すように使用者の踵Kに光を照射する光照射部21と、その光照射部21により照射されて骨を含む生体内部を伝播し、その反射光を受光する受光部22とを備えている。光照射部21は中心波長800nmのLEDで構成され、受光部22は1つのフォトダイオードで構成される。尚、光照射部21から照射される光の波長は500nm〜2500nmの範囲であれば波長を変更してもよく、皮下組織や骨等、生体の透過性がよい。また、500nmに近い波長の光は視認することも可能となるため、使用者に対してヘルスメータ10が動作していることを報知することもできる。
【0023】
また、光照射部21及び受光部22は、それらの下部に設けられるマイコン回路部23と電気的に接続されており、このマイコン回路部23により各部21,22の制御がなされている。また、受光部22は、マイコン回路部23に設けられる骨密度算出部としての演算部23a(図3参照)と接続されており、この演算部23aは受光部22の出力(光量)に基づいて骨密度の算出するようになっている。
【0024】
操作部13は、骨密度の計測開始を指示する計測開始ボタン13aと、種々の情報を表示する表示部13bとが設けられている。また、この操作部13は、図示しない接続ケーブルを介して足載せ台11と接続されており、該接続ケーブルは足載せ台11に内蔵された図示しないリールにより巻き取られるようになっている。表示部13bは、マイコン回路部23の演算部23aによる骨密度の計測結果を表示するようになっており、使用者は容易に計測結果を知ることができるようになっている。
【0025】
上述の様に構成されたヘルスメータ10は、足位置ガイド12上に足裏を載せた状態で、操作部13の計測開始ボタン13aを使用者により押されることで、マイコン回路部23は光照射部21を駆動して踵Kに対して光を照射する。それと略同時に、マイコン回路部23は受光部22を駆動し、踵K対して照射されて踵Kの皮下組織K1(図3参照)と踵骨K2(図3参照)等の生体内部を拡散反射しながら伝播した光を受光部22にて受光するようになっている。そして、マイコン回路部23は、その演算部23aにて受光部22にて得た光量に応じて踵骨K2の骨密度を算出するとともに、操作部13の表示部13bに骨密度の計測結果を表示するようになっている。尚、足載せ台11に足を載せることで使用者の体重等の加重がかかるため、皮下組織や骨密度の状態を安定させることができる。さらに、外からの光を遮断する効果もあり、精度の高い計測を行うことが可能となっている。
【0026】
次に、骨密度と受光量の関係、並びに照射される光と皮下組織の関係について図4(a)(b)及び図5を用いて説明する。
先ず、本発明者は、骨密度と受光量の関係を調べるべくモデル実験を行った。そこで、ポリウレタンを主剤として骨の主成分であるハイドロキシアパタイトを100、200、300、400[mg/cm3]で添加した骨ファントムを計4つ作成し、骨密度と受光部22にて得られる光量との関係を調べた。その結果、図4(a)に示すように骨密度の増加に対して指数関数的に減少し、光量の対数との関係を調べると図4(b)に示すように強い負の相関関係(相関係数r=0.99)をもつ直線Lで表されることが分かった。従って、受光部22にて得られた受光量から骨密度を計測可能であることがわかる。
【0027】
次に、照射された光に対して特に皮下脂肪等の皮下組織の影響を考慮するため、本発明者は、皮下脂肪の疑似モデルを用いて骨密度計測への影響を調べた。この時、疑似モデルは、皮下脂肪の厚さが0mm、5mm、10mm、20mmとなる4つの疑似モデルを使用しており、図5では近似直線にて示し、厚さの薄い方から順に各直線にL1〜L4の符号を付している。その結果、図5に示すように、皮下脂肪の厚さを0mm、5mm、10mmの順に厚くすると骨密度の変化に対する受光量の変化は小さくなる、つまり近似直線の傾きが小さくなることがわかった。また、皮下脂肪(皮下組織)の厚さが10mmを超えた厚さ20mmの疑似モデルを使用した場合に、骨密度の変化に追随できないことがわかった。従って、一般的に皮下組織の厚さが10mm以下の薄い部位(本実施形態では踵)であれば受光部22の光量は皮下組織の影響を受けにくく、骨密度の定量が可能ということがわかる。
【0028】
上述したことから、皮下組織の厚さが10mm以下である踵にて、骨密度を計測することにより、より確実な計測結果を得ることができる。また、使用者は足載せ台11に足裏を載せるといった、比較的容易な動作にて骨密度を計測することができる。
【0029】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)光照射部21は、生体表面の内で皮下組織K1の薄い部位(実施形態では踵K)に光を照射するように構成され、受光部22は、生体内部を伝播して皮下組織の薄い踵Kを通る光を受光するように構成される。つまり、皮下組織(皮下脂肪等)の薄い踵Kにおいて光照射部21による光の照射及び受光部22による光の受光がなされるため、骨密度の計測を皮下組織の薄い部位において行うことが可能となる。そのため、光照射部21にて照射された光が骨まで到達しやすくなり、皮下組織の影響を受けることを抑えて骨密度の計測をより確実にすることができる。また、足裏の踵Kの骨密度を計測するため、体重計としての機能も容易に搭載することが可能となる。
【0030】
(2)光照射部21は、照射される光の波長を500nmから2500nmの範囲である800nmとなるように構成される。このため、生体への透過性のよい波長の光を使用して骨密度の計測を行うことができる。尚、500nmに近い波長の光は視認することも可能となるため、使用者に対してヘルスメータ10が少なくとも骨密度計測装置として動作していることを報知することもできる。
【0031】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、体重計としての機能と骨密度計測装置とを組み合わせたヘルスメータとして構成したが、これに限らず、単に骨密度計測装置として構成してもよい。
【0032】
・上記実施形態では、特に言及していないが、例えば光照射部21から照射される光及び生体内部を伝播した光を外光から遮光する遮光部を設けてもよい。上記実施形態に適用するならば、図6(a)(b)に示すように、足位置ガイド12の後部外周、つまり使用者の踵Kの外縁を覆う断面U字状の遮光壁30を設ける構成を採用するとよい。尚、遮光壁30は、黒色でウレタン等の弾性体で構成することが好ましい。このような構成とすることで、骨密度の計測に必要となる光に対してノイズとなる踵Kの外縁から入射される照明等の光の進入を遮光壁30にて抑制することができ、より確実且つ正確に骨密度の計測を行うことができる。
【0033】
また、図7に示すように足載せ台11の上面11aにおいて土踏まずTが位置すると想定される個所に土踏まずTに倣ったアーチ状の遮光部31を形成してもよい。このような構成とすることで、土踏まずTの隙間から進入する照明等の光の進入を抑制することができ、より確実且つ正確に骨密度の計測を行うことができる。
【0034】
また、例えば図8(a)に示すように、足載せ台11の足を載せる上面11aに下側に凸となる窪み部32を形成し、光照射部21及び受光部22を外光から遮光すべく窪み部32内に設けてもよい。このように光照射部21及び受光部22を外光から遮光することで、骨密度の計測に必要となる光に対して外光、つまりノイズが加わることを抑制することができ、より確実且つ正確に骨密度の計測を行うことができる。尚、この場合、足先に所定の高さの凸部33を設けることで、踵Kを安定させた状態で計測することが可能となる。また、窪み部32の形状を踵Kに倣った湾曲状とし、踵Kと窪み部32とのフィット感を増す構成を採用してもよい。
【0035】
また、足先の場合は足の各指の形状に合わせた窪み部を形成し、各窪み部に光照射部21及び受光部22を設けることで各指の骨密度を計測する構成を採用してもよい。
上記構成の他、図9(a)(b)に示すように、足載せ台11の上面11aにおける使用者の踵の位置する部分に突部35を設け、その突部35に窪み部32を設ける構成を採用してもよい。
【0036】
・上記実施形態では、皮下組織の薄い部位として踵の骨密度を計測する構成としたが、例えば、図10に示すように足先Aにおいて骨密度を計測する構成や、図14に示すように土踏まずTにおいて骨密度を計測する構成を採用してもよい。その他、腰骨、肩関節部、肘部、脛部、膝部、手首の突起部、各指の関節部、足の踝等で骨密度の計測を行ってもよい。
【0037】
・上記実施形態では、特に言及していないが、例えば、図11に示すように皮下組織の厚みを計測する計測部としての超音波装置40と、その超音波装置40の計測結果、皮下組織の厚みが10mm以下であるか否かを判定する判定部としての演算部23aと、その演算部23aの判定結果に基づいて皮下組織の厚みが適正か否かを音声や表示等にて報知する報知部41とを設ける構成を採用してもよい。ここで、超音波装置40は、送信部40aと受信部40bとで構成され、送信部40aから送られる超音波が例えば踵骨(図3参照)の表面で反射され、受信部40bで受信されるまでの時間によって皮下組織の厚さを計測することができるようになっている。このような構成とすることで、皮下組織の厚みが10mm以下と比較的薄い部位にて光照射部21による光の照射及び受光部22による光の受光を行うことができ、より確実に骨密度を計測することが可能となる。尚、皮下組織の厚みを計測する方法として、上記他、光を用いて皮下組織の厚みを計測したり、機械的に皮下組織をつまんで皮下組織の厚みを計測したりしてもよい。また、皮下組織の厚みが適正か否かを報知することなく、判定部としての演算部23aによる判定にて皮下組織の厚みが10mm以下であると判定された際に骨密度の算出を開始するような構成を採用してもよい。
【0038】
・上記実施形態では、受光部22を1つのフォトダイオードで構成したが、複数の素子(フォトダイオード)にて構成してもよい。このような構成とすることで、複数の素子において発生する受光量の誤差に起因した骨密度の計測値のズレを抑制することができる。尚、受光部22はフォトダイオードに限らずフォトトランジスタであってもよく、要は、光照射部21により照射される光を受光できる素子を用いればよい。
【0039】
また、図12に示すように、受光部22を光照射部21からの距離が近い第1受光素子50と、該第1受光素子50よりも光照射部21からの距離が遠い第2受光素子51とで構成してもよい。この場合、骨密度算出部としての演算部23a(図3参照)により、第1受光素子50と第2受光素子51との光量の比率にて骨密度が算出される構成を採用してもよい。つまり、光照射部21からの距離の異なる複数の受光素子50,51を用いることで、生体内部を伝播する光路の異なる光を各受光素子50,51にて受光することが可能となる。そして、光照射部21からの距離の近い第1受光素子50にて生体表面から浅い生体内(主に皮下組織)を通る光を受光し、光照射部21からの距離の遠い第2受光素子51にて生体表面から深い生体内(主に皮下組織と骨)を通る光を受光し、それら各素子50,51にて得られる光量の比率から演算部23aにて骨密度の算出を行うことで、生体表面の皮膚の色や皮下組織の状態の影響を抑制させることができ、より正確な骨密度を算出することができる。
【0040】
・上記実施形態では、特に言及していないが、左右の足裏の骨密度を計測し、左右の骨密度のバランスを演算部23aにて算出し、その結果を表示部13bに表示させる構成や、左右の足裏の骨密度の平均値を演算部23aにて算出し、その結果を表示部13bに表示させる構成を採用してもよい。
【0041】
・上記実施形態では、表示部13bにて骨密度の計測結果を表示(報知)する構成としたが、例えば音声にて骨密度の計測結果を報知してもよい。
・上記実施形態では、特に言及していないが、例えば図13に示すように荷重センサ60をマイコン回路部23の下部に設け、荷重センサ60にて所定以上の荷重が検知されたら骨密度の計測を開始するようにしてもよい。尚、この場合、操作部13に計測開始ボタン13aを設けなくてもよい。
【0042】
・上記実施形態では、特に言及していないが、例えば予め、年齢、身長、体重などに応じた骨密度のデータベースをマイコン回路部23の図示しないメモリ等に保存しておき、使用者の骨年齢を演算して表示したりしてもよい。また、足裏の骨密度から全身の骨密度の推定値を演算してもよい。
【0043】
・上記実施形態では、光照射部21及び受光部22を足載せ台11に設ける構成としたが、これに限らない。例えば、光照射部21及び受光部22を直接生体表面に当接させて骨密度を計測する構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本実施形態における骨密度計測装置の概略構成図。
【図2】同上における骨密度計測装置の側面図。
【図3】同上における骨密度計測装置の概略構成図。
【図4】(a)(b)は、骨密度と受光量との関係について説明するための説明図。
【図5】受光量と皮下組織との関係について説明するための説明図。
【図6】(a)(b)は、別例における骨密度計測装置の概略構成を説明するための説明図。
【図7】別例における骨密度計測装置の概略構成を説明するための説明図。
【図8】(a)(b)は、別例における骨密度計測装置の概略構成を説明するための説明図。図である。
【図9】(a)(b)は、別例における骨密度計測装置の概略構成を説明するための説明図。
【図10】別例における骨密度計測装置の概略構成を説明するための説明図。
【図11】別例における骨密度計測装置の概略構成を説明するための説明図。
【図12】別例における骨密度計測装置の概略構成を説明するための説明図。
【図13】別例における骨密度計測装置の概略構成を説明するための説明図。
【図14】別例における骨密度計測装置の概略構成を説明するための説明図。
【符号の説明】
【0045】
10…骨密度計測装置としてのヘルスメータ、11…足載せ台、11a…上面、21…光照射部、22…受光部、23a…骨密度算出部としての演算部、30…遮光部としての遮光壁、31…遮光部、32…窪み部、50…第1受光素子、51…第2受光素子、K…生体表面の内で皮下組織の薄い部位としての踵、K1…生体内部を構成する皮下組織、K2…生体内部を構成する踵骨。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を用いて骨密度を計測する骨密度計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、光を用いて人等の計測対象の骨密度を計測する方法が知られている。例えば特許文献1には、光の強度を変化させて計測対象の内部に光を照射する光照射部と、照射された光の内で計測対象の内部から反射される反射光を受光する受光部と、照射された光の強度に対応する受光した反射光の強度の変化傾向を算出する変化傾向算出手段と、この変化傾向に基づいて計測対象の密度(骨密度)を算出する算出部とで構成された骨密度計測装置が開示されている。つまり、上記装置は、光照射部から照射される光の強度を適宜変化させ、反射光の強度の変化から骨密度を評価・計測するものである。
【特許文献1】特開2008−155011号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記の骨密度計測装置では、例えば皮下組織の厚い部分において骨密度を計測する場合、光照射部の出力不足等の理由で骨まで光が到達せず、骨密度の計測を適切に行うことが困難であった。
【0004】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、光を用いる骨密度の計測をより確実に行うことができる骨密度計測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、生体表面に光を照射する光照射部と、該光照射部により前記生体表面に照射されて骨を含む生体内部を伝播した光を受光する受光部と、該受光部にて取得した光量に基づいて骨密度を計測する骨密度計測部とを備えた骨密度計測装置であって、前記光照射部は、前記生体表面の内で皮下組織の薄い部位に光を照射するように構成され、前記受光部は、前記生体内部を伝播して前記皮下組織の薄い部位を通る光を受光するように構成されたことをその要旨とする。
【0006】
この発明では、光照射部は、生体表面の内で皮下組織の薄い部位に光を照射するように構成され、受光部は、生体内部を伝播して皮下組織の薄い部位を通る光を受光するように構成される。つまり、皮下組織(皮下脂肪等)の薄い部位において光照射部による光の照射及び受光部による光の受光がなされるため、光照射部にて照射された光が骨まで到達しやすく骨密度の計測をより確実にすることができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の骨密度計測装置において、前記光照射部は、前記生体表面である人の足裏に対して光が照射されるように構成されたことをその要旨とする。
【0008】
この発明では、光照射部は、生体表面である人の足裏に対して光が照射されるように構成される。つまり、皮下組織の薄い部位である人の足裏に対して光を照射することで、より確実且つ容易に骨密度の計測が可能となる。また、このような構成とすることで、ヘルスメータ(体重計)に搭載することも可能となる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の骨密度計測装置において、前記生体表面の皮下組織の厚みが10mm以下であるか否かを判定する判定部を設けたことをその要旨とする。
【0010】
この発明では、生体表面の皮下組織の厚みが10mm以下であるか否かを判定する判定部が設けられる。そのため、皮下組織の厚みが10mm以下と比較的薄い部位にて光照射部による光の照射及び受光部による光の受光を確実に行うことが可能となり、より確実に骨密度を計測することが可能となる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の骨密度計測装置において、前記光照射部は、500nm〜2500nmの範囲の波長の光を照射するように構成されたことをその要旨とする。
【0012】
この発明では、光照射部は、500nm〜2500nmの範囲の波長の光を照射するように構成される。このため、生体への透過性のよい波長の光を使用して骨密度の計測を行うことができる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の骨密度計測装置において、前記光照射部から照射される光及び前記生体内部を伝播した光を外光から遮光する遮光部を設けたことをその要旨とする。
【0014】
この発明では、光照射部から照射される光及び生体内部を伝播した光を外光から遮光する遮光部が設けられる。そのため、骨密度の計測に必要となる光に対してその他の光、つまりノイズが加わることを抑制することができ、より確実且つ正確に骨密度の計測を行うことができる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の骨密度計測装置において、人の足を載せる足載せ台が備えられるとともに、該足載せ台の前記足を載せる上面に下側に凸となる窪み部が形成され、前記光照射部及び前記受光部は、それらを外光から遮光すべく前記窪み部内に設けたことをその要旨とする。
【0016】
この発明では、人の足を載せる足載せ台が備えられるとともに、この足載せ台の足を載せる上面に下側に凸となる窪み部が形成され、光照射部及び受光部は、それらを外光から遮光すべく窪み部内に設けられる。つまり、光照射部及び受光部を外光から遮光することで、骨密度の計測に必要となる光に対してその他の光、つまりノイズが加わることを抑制することができ、より確実且つ正確に骨密度の計測を行うことができる。また、窪み部を形成したことにより、測定部位の位置決めを容易に行うことができる。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の骨密度計測装置において、前記受光部は、複数の受光素子を用いて構成されたことをその要旨とする。
この発明では、受光部は、複数の受光素子を用いて構成されるため、各素子において発生する受光量の誤差に起因した骨密度の計測値のズレを抑制することができる。
【0018】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の骨密度計測装置において、前記受光素子は、前記光照射部からの距離が近い第1受光素子と、該第1受光素子より前記光照射部からの距離が遠い第2受光素子とで構成され、前記骨密度算出部は、前記第1受光素子と前記第2受光素子との光量比率により骨密度を算出することをその要旨とする。
【0019】
この発明では、受光素子は、光照射部からの距離が近い第1受光素子と、この第1受光素子より光照射部からの距離が遠い第2受光素子とで構成され、骨密度算出部により、第1受光素子と第2受光素子の光量の比率にて骨密度が算出される。つまり、光照射部からの距離の異なる複数の受光素子を用いることで、生体内部を伝播する光路の異なる光を各受光素子にて受光することが可能となる。そして、光照射部からの距離の近い第1受光素子にて生体表面から浅い生体内(主に皮下組織)を通る光を受光し、光照射部からの距離の遠い第2受光素子にて生体表面から深い生体内(主に皮下組織と骨)を通る光を受光し、それら各素子にて得られる光量の比率から骨密度算出部にて骨密度の算出を行うことで、生体表面の皮膚の色や皮下組織の状態の影響を抑制させることができ、より正確な骨密度を算出することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、光を用いる骨密度の計測をより確実に行うことができる骨密度計測装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態の骨密度計測装置としてのヘルスメータ10の概略構成を示す。ヘルスメータ10は、使用者が両足を載せるように扁平直方体状に形成された足載せ台11を備えるとともに、その足載せ台11の上面11aには足位置ガイド12が設けられている。また、足載せ台11の前部には操作部13が着脱自在に取着されている。足載せ台11の後部(図1において下方)側面には、ヘルスメータ10をON/OFFする電源スイッチ14が備えられている。足載せ台11の内部には、図示しないロードセル等の荷重センサが設けられており、本実施形態のヘルスメータ10は体重計としての機能も担っている。
【0022】
足位置ガイド12には、その後部に使用者の特に踵Kの骨密度を計測する骨密度計測部20が設けられている。この骨密度計測部20は、図2に示すように使用者の踵Kに光を照射する光照射部21と、その光照射部21により照射されて骨を含む生体内部を伝播し、その反射光を受光する受光部22とを備えている。光照射部21は中心波長800nmのLEDで構成され、受光部22は1つのフォトダイオードで構成される。尚、光照射部21から照射される光の波長は500nm〜2500nmの範囲であれば波長を変更してもよく、皮下組織や骨等、生体の透過性がよい。また、500nmに近い波長の光は視認することも可能となるため、使用者に対してヘルスメータ10が動作していることを報知することもできる。
【0023】
また、光照射部21及び受光部22は、それらの下部に設けられるマイコン回路部23と電気的に接続されており、このマイコン回路部23により各部21,22の制御がなされている。また、受光部22は、マイコン回路部23に設けられる骨密度算出部としての演算部23a(図3参照)と接続されており、この演算部23aは受光部22の出力(光量)に基づいて骨密度の算出するようになっている。
【0024】
操作部13は、骨密度の計測開始を指示する計測開始ボタン13aと、種々の情報を表示する表示部13bとが設けられている。また、この操作部13は、図示しない接続ケーブルを介して足載せ台11と接続されており、該接続ケーブルは足載せ台11に内蔵された図示しないリールにより巻き取られるようになっている。表示部13bは、マイコン回路部23の演算部23aによる骨密度の計測結果を表示するようになっており、使用者は容易に計測結果を知ることができるようになっている。
【0025】
上述の様に構成されたヘルスメータ10は、足位置ガイド12上に足裏を載せた状態で、操作部13の計測開始ボタン13aを使用者により押されることで、マイコン回路部23は光照射部21を駆動して踵Kに対して光を照射する。それと略同時に、マイコン回路部23は受光部22を駆動し、踵K対して照射されて踵Kの皮下組織K1(図3参照)と踵骨K2(図3参照)等の生体内部を拡散反射しながら伝播した光を受光部22にて受光するようになっている。そして、マイコン回路部23は、その演算部23aにて受光部22にて得た光量に応じて踵骨K2の骨密度を算出するとともに、操作部13の表示部13bに骨密度の計測結果を表示するようになっている。尚、足載せ台11に足を載せることで使用者の体重等の加重がかかるため、皮下組織や骨密度の状態を安定させることができる。さらに、外からの光を遮断する効果もあり、精度の高い計測を行うことが可能となっている。
【0026】
次に、骨密度と受光量の関係、並びに照射される光と皮下組織の関係について図4(a)(b)及び図5を用いて説明する。
先ず、本発明者は、骨密度と受光量の関係を調べるべくモデル実験を行った。そこで、ポリウレタンを主剤として骨の主成分であるハイドロキシアパタイトを100、200、300、400[mg/cm3]で添加した骨ファントムを計4つ作成し、骨密度と受光部22にて得られる光量との関係を調べた。その結果、図4(a)に示すように骨密度の増加に対して指数関数的に減少し、光量の対数との関係を調べると図4(b)に示すように強い負の相関関係(相関係数r=0.99)をもつ直線Lで表されることが分かった。従って、受光部22にて得られた受光量から骨密度を計測可能であることがわかる。
【0027】
次に、照射された光に対して特に皮下脂肪等の皮下組織の影響を考慮するため、本発明者は、皮下脂肪の疑似モデルを用いて骨密度計測への影響を調べた。この時、疑似モデルは、皮下脂肪の厚さが0mm、5mm、10mm、20mmとなる4つの疑似モデルを使用しており、図5では近似直線にて示し、厚さの薄い方から順に各直線にL1〜L4の符号を付している。その結果、図5に示すように、皮下脂肪の厚さを0mm、5mm、10mmの順に厚くすると骨密度の変化に対する受光量の変化は小さくなる、つまり近似直線の傾きが小さくなることがわかった。また、皮下脂肪(皮下組織)の厚さが10mmを超えた厚さ20mmの疑似モデルを使用した場合に、骨密度の変化に追随できないことがわかった。従って、一般的に皮下組織の厚さが10mm以下の薄い部位(本実施形態では踵)であれば受光部22の光量は皮下組織の影響を受けにくく、骨密度の定量が可能ということがわかる。
【0028】
上述したことから、皮下組織の厚さが10mm以下である踵にて、骨密度を計測することにより、より確実な計測結果を得ることができる。また、使用者は足載せ台11に足裏を載せるといった、比較的容易な動作にて骨密度を計測することができる。
【0029】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)光照射部21は、生体表面の内で皮下組織K1の薄い部位(実施形態では踵K)に光を照射するように構成され、受光部22は、生体内部を伝播して皮下組織の薄い踵Kを通る光を受光するように構成される。つまり、皮下組織(皮下脂肪等)の薄い踵Kにおいて光照射部21による光の照射及び受光部22による光の受光がなされるため、骨密度の計測を皮下組織の薄い部位において行うことが可能となる。そのため、光照射部21にて照射された光が骨まで到達しやすくなり、皮下組織の影響を受けることを抑えて骨密度の計測をより確実にすることができる。また、足裏の踵Kの骨密度を計測するため、体重計としての機能も容易に搭載することが可能となる。
【0030】
(2)光照射部21は、照射される光の波長を500nmから2500nmの範囲である800nmとなるように構成される。このため、生体への透過性のよい波長の光を使用して骨密度の計測を行うことができる。尚、500nmに近い波長の光は視認することも可能となるため、使用者に対してヘルスメータ10が少なくとも骨密度計測装置として動作していることを報知することもできる。
【0031】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、体重計としての機能と骨密度計測装置とを組み合わせたヘルスメータとして構成したが、これに限らず、単に骨密度計測装置として構成してもよい。
【0032】
・上記実施形態では、特に言及していないが、例えば光照射部21から照射される光及び生体内部を伝播した光を外光から遮光する遮光部を設けてもよい。上記実施形態に適用するならば、図6(a)(b)に示すように、足位置ガイド12の後部外周、つまり使用者の踵Kの外縁を覆う断面U字状の遮光壁30を設ける構成を採用するとよい。尚、遮光壁30は、黒色でウレタン等の弾性体で構成することが好ましい。このような構成とすることで、骨密度の計測に必要となる光に対してノイズとなる踵Kの外縁から入射される照明等の光の進入を遮光壁30にて抑制することができ、より確実且つ正確に骨密度の計測を行うことができる。
【0033】
また、図7に示すように足載せ台11の上面11aにおいて土踏まずTが位置すると想定される個所に土踏まずTに倣ったアーチ状の遮光部31を形成してもよい。このような構成とすることで、土踏まずTの隙間から進入する照明等の光の進入を抑制することができ、より確実且つ正確に骨密度の計測を行うことができる。
【0034】
また、例えば図8(a)に示すように、足載せ台11の足を載せる上面11aに下側に凸となる窪み部32を形成し、光照射部21及び受光部22を外光から遮光すべく窪み部32内に設けてもよい。このように光照射部21及び受光部22を外光から遮光することで、骨密度の計測に必要となる光に対して外光、つまりノイズが加わることを抑制することができ、より確実且つ正確に骨密度の計測を行うことができる。尚、この場合、足先に所定の高さの凸部33を設けることで、踵Kを安定させた状態で計測することが可能となる。また、窪み部32の形状を踵Kに倣った湾曲状とし、踵Kと窪み部32とのフィット感を増す構成を採用してもよい。
【0035】
また、足先の場合は足の各指の形状に合わせた窪み部を形成し、各窪み部に光照射部21及び受光部22を設けることで各指の骨密度を計測する構成を採用してもよい。
上記構成の他、図9(a)(b)に示すように、足載せ台11の上面11aにおける使用者の踵の位置する部分に突部35を設け、その突部35に窪み部32を設ける構成を採用してもよい。
【0036】
・上記実施形態では、皮下組織の薄い部位として踵の骨密度を計測する構成としたが、例えば、図10に示すように足先Aにおいて骨密度を計測する構成や、図14に示すように土踏まずTにおいて骨密度を計測する構成を採用してもよい。その他、腰骨、肩関節部、肘部、脛部、膝部、手首の突起部、各指の関節部、足の踝等で骨密度の計測を行ってもよい。
【0037】
・上記実施形態では、特に言及していないが、例えば、図11に示すように皮下組織の厚みを計測する計測部としての超音波装置40と、その超音波装置40の計測結果、皮下組織の厚みが10mm以下であるか否かを判定する判定部としての演算部23aと、その演算部23aの判定結果に基づいて皮下組織の厚みが適正か否かを音声や表示等にて報知する報知部41とを設ける構成を採用してもよい。ここで、超音波装置40は、送信部40aと受信部40bとで構成され、送信部40aから送られる超音波が例えば踵骨(図3参照)の表面で反射され、受信部40bで受信されるまでの時間によって皮下組織の厚さを計測することができるようになっている。このような構成とすることで、皮下組織の厚みが10mm以下と比較的薄い部位にて光照射部21による光の照射及び受光部22による光の受光を行うことができ、より確実に骨密度を計測することが可能となる。尚、皮下組織の厚みを計測する方法として、上記他、光を用いて皮下組織の厚みを計測したり、機械的に皮下組織をつまんで皮下組織の厚みを計測したりしてもよい。また、皮下組織の厚みが適正か否かを報知することなく、判定部としての演算部23aによる判定にて皮下組織の厚みが10mm以下であると判定された際に骨密度の算出を開始するような構成を採用してもよい。
【0038】
・上記実施形態では、受光部22を1つのフォトダイオードで構成したが、複数の素子(フォトダイオード)にて構成してもよい。このような構成とすることで、複数の素子において発生する受光量の誤差に起因した骨密度の計測値のズレを抑制することができる。尚、受光部22はフォトダイオードに限らずフォトトランジスタであってもよく、要は、光照射部21により照射される光を受光できる素子を用いればよい。
【0039】
また、図12に示すように、受光部22を光照射部21からの距離が近い第1受光素子50と、該第1受光素子50よりも光照射部21からの距離が遠い第2受光素子51とで構成してもよい。この場合、骨密度算出部としての演算部23a(図3参照)により、第1受光素子50と第2受光素子51との光量の比率にて骨密度が算出される構成を採用してもよい。つまり、光照射部21からの距離の異なる複数の受光素子50,51を用いることで、生体内部を伝播する光路の異なる光を各受光素子50,51にて受光することが可能となる。そして、光照射部21からの距離の近い第1受光素子50にて生体表面から浅い生体内(主に皮下組織)を通る光を受光し、光照射部21からの距離の遠い第2受光素子51にて生体表面から深い生体内(主に皮下組織と骨)を通る光を受光し、それら各素子50,51にて得られる光量の比率から演算部23aにて骨密度の算出を行うことで、生体表面の皮膚の色や皮下組織の状態の影響を抑制させることができ、より正確な骨密度を算出することができる。
【0040】
・上記実施形態では、特に言及していないが、左右の足裏の骨密度を計測し、左右の骨密度のバランスを演算部23aにて算出し、その結果を表示部13bに表示させる構成や、左右の足裏の骨密度の平均値を演算部23aにて算出し、その結果を表示部13bに表示させる構成を採用してもよい。
【0041】
・上記実施形態では、表示部13bにて骨密度の計測結果を表示(報知)する構成としたが、例えば音声にて骨密度の計測結果を報知してもよい。
・上記実施形態では、特に言及していないが、例えば図13に示すように荷重センサ60をマイコン回路部23の下部に設け、荷重センサ60にて所定以上の荷重が検知されたら骨密度の計測を開始するようにしてもよい。尚、この場合、操作部13に計測開始ボタン13aを設けなくてもよい。
【0042】
・上記実施形態では、特に言及していないが、例えば予め、年齢、身長、体重などに応じた骨密度のデータベースをマイコン回路部23の図示しないメモリ等に保存しておき、使用者の骨年齢を演算して表示したりしてもよい。また、足裏の骨密度から全身の骨密度の推定値を演算してもよい。
【0043】
・上記実施形態では、光照射部21及び受光部22を足載せ台11に設ける構成としたが、これに限らない。例えば、光照射部21及び受光部22を直接生体表面に当接させて骨密度を計測する構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本実施形態における骨密度計測装置の概略構成図。
【図2】同上における骨密度計測装置の側面図。
【図3】同上における骨密度計測装置の概略構成図。
【図4】(a)(b)は、骨密度と受光量との関係について説明するための説明図。
【図5】受光量と皮下組織との関係について説明するための説明図。
【図6】(a)(b)は、別例における骨密度計測装置の概略構成を説明するための説明図。
【図7】別例における骨密度計測装置の概略構成を説明するための説明図。
【図8】(a)(b)は、別例における骨密度計測装置の概略構成を説明するための説明図。図である。
【図9】(a)(b)は、別例における骨密度計測装置の概略構成を説明するための説明図。
【図10】別例における骨密度計測装置の概略構成を説明するための説明図。
【図11】別例における骨密度計測装置の概略構成を説明するための説明図。
【図12】別例における骨密度計測装置の概略構成を説明するための説明図。
【図13】別例における骨密度計測装置の概略構成を説明するための説明図。
【図14】別例における骨密度計測装置の概略構成を説明するための説明図。
【符号の説明】
【0045】
10…骨密度計測装置としてのヘルスメータ、11…足載せ台、11a…上面、21…光照射部、22…受光部、23a…骨密度算出部としての演算部、30…遮光部としての遮光壁、31…遮光部、32…窪み部、50…第1受光素子、51…第2受光素子、K…生体表面の内で皮下組織の薄い部位としての踵、K1…生体内部を構成する皮下組織、K2…生体内部を構成する踵骨。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体表面に光を照射する光照射部と、該光照射部により前記生体表面に照射されて骨を含む生体内部を伝播した光を受光する受光部と、該受光部にて取得した光量に基づいて骨密度を算出する骨密度算出部とを備えた骨密度計測装置であって、
前記光照射部は、前記生体表面の内で皮下組織の薄い部位に光を照射するように構成され、前記受光部は、前記生体内部を伝播して前記皮下組織の薄い部位を通る光を受光するように構成されたことを特徴とする骨密度計測装置。
【請求項2】
請求項1に記載の骨密度計測装置において、
前記光照射部は、前記生体表面である人の足裏に対して光が照射されるように構成されたことを特徴とする骨密度計測装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の骨密度計測装置において、
前記生体表面の皮下組織の厚みが10mm以下であるか否かを判定する判定部を設けたことを特徴とする骨密度計測装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の骨密度計測装置において、
前記光照射部は、500nm〜2500nmの範囲の波長の光を照射するように構成されたことを特徴とする骨密度計測装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の骨密度計測装置において、
前記光照射部から照射される光及び前記生体内部を伝播した光を外光から遮光する遮光部を設けたことを特徴とする骨密度計測装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の骨密度計測装置において、
人の足を載せる足載せ台が備えられるとともに、該足載せ台の前記足を載せる上面に下側に凸となる窪み部が形成され、
前記光照射部及び前記受光部は、それらを外光から遮光すべく前記窪み部内に設けたことを特徴とする骨密度計測装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の骨密度計測装置において、
前記受光部は、複数の受光素子を用いて構成され、前記骨密度算出部は複数の受光量に基づいて骨密度を算出するように構成されたことを特徴とする骨密度計測装置。
【請求項8】
請求項7に記載の骨密度計測装置において、
前記受光素子は、前記光照射部からの距離が近い第1受光素子と、該第1受光素子より前記光照射部からの距離が遠い第2受光素子とで構成され、
前記骨密度算出部は、前記第1受光素子と前記第2受光素子との光量比率により骨密度を算出することを特徴とする骨密度計測装置。
【請求項1】
生体表面に光を照射する光照射部と、該光照射部により前記生体表面に照射されて骨を含む生体内部を伝播した光を受光する受光部と、該受光部にて取得した光量に基づいて骨密度を算出する骨密度算出部とを備えた骨密度計測装置であって、
前記光照射部は、前記生体表面の内で皮下組織の薄い部位に光を照射するように構成され、前記受光部は、前記生体内部を伝播して前記皮下組織の薄い部位を通る光を受光するように構成されたことを特徴とする骨密度計測装置。
【請求項2】
請求項1に記載の骨密度計測装置において、
前記光照射部は、前記生体表面である人の足裏に対して光が照射されるように構成されたことを特徴とする骨密度計測装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の骨密度計測装置において、
前記生体表面の皮下組織の厚みが10mm以下であるか否かを判定する判定部を設けたことを特徴とする骨密度計測装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の骨密度計測装置において、
前記光照射部は、500nm〜2500nmの範囲の波長の光を照射するように構成されたことを特徴とする骨密度計測装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の骨密度計測装置において、
前記光照射部から照射される光及び前記生体内部を伝播した光を外光から遮光する遮光部を設けたことを特徴とする骨密度計測装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の骨密度計測装置において、
人の足を載せる足載せ台が備えられるとともに、該足載せ台の前記足を載せる上面に下側に凸となる窪み部が形成され、
前記光照射部及び前記受光部は、それらを外光から遮光すべく前記窪み部内に設けたことを特徴とする骨密度計測装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の骨密度計測装置において、
前記受光部は、複数の受光素子を用いて構成され、前記骨密度算出部は複数の受光量に基づいて骨密度を算出するように構成されたことを特徴とする骨密度計測装置。
【請求項8】
請求項7に記載の骨密度計測装置において、
前記受光素子は、前記光照射部からの距離が近い第1受光素子と、該第1受光素子より前記光照射部からの距離が遠い第2受光素子とで構成され、
前記骨密度算出部は、前記第1受光素子と前記第2受光素子との光量比率により骨密度を算出することを特徴とする骨密度計測装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−99414(P2010−99414A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−275945(P2008−275945)
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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