説明

骨形成の促進方法と維持

対象者における骨芽細胞活性の向上を機械的に誘発する工程と、対象者における少なくとも1種の骨同化剤の血中濃度を上昇させる工程とを含む、そのような誘発を必要とする対象者において骨形成を誘発する方法。該方法の工程は、任意の順序で行ってもよいが、上昇した同化剤濃度と機械的に誘発された骨芽細胞活性の向上とが重なり合うのに充分な時間的近さで行う。該方法は、さらに、対象者に、高血中濃度の少なくとも1種の吸収阻害剤を与える工程であって、前記高濃度が、骨芽細胞活性によって生成した新しい骨成長の吸収を充分に防ぐ工程を含む。該方法の使用により、骨生成と保存に関し、対象者の特定の骨の標的化、より速い骨生成およびより早い骨同化製剤の遮断を可能にする。該方法を行うのに適したキットを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本発明は、2004年5月14日に出願された仮出願第60/571,200号に基づき、その優先権を主張する。仮出願の内容は、具体的に本明細書に組み込まれる。
【0002】
連邦政府が後援する研究開発に関する記載
本明細書で開示される本発明は、国立衛生研究所のNIH認可DE12110の下に政府の支持を受けてなされた。したがって、政府は本発明に関し、一定の権利を有する。
【0003】
本発明の分野
本発明は、概して、対象者における骨形成を促進する方法に関する。特に、本発明は、速い骨形成を誘発し、次いでこのようにして造られた骨を、たとえば、その吸収を最小限にすることによって、保存する方法に関する。本発明は、修復対象者の特定の骨の特異的標的化、強化、再形成および/またはモデル化を可能にする。さらに、本発明は、本発明の方法を実施するためのキットに関する。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
骨は、脊椎動物において多様な、欠くことのできない役割を担う多目的構造体である。これらは、体を支える枠組みを提供し、それに形を与える。骨は、個人の生涯にわたって、継続する再生または再モデル化を受けている。骨は、マトリックスとして知られる非生物物質内に広く散乱している生細胞からなる。2つの主な細胞のタイプは、骨再モデル化に応答可能であり、骨形成に関与する骨芽細胞および骨吸収に関与する破骨細胞がある。マトリックスは、弾性を提供するコラーゲンのような骨マトリックスタンパク質を産生し、分泌する骨芽細胞と、骨に硬さを与えるカルシウムおよびリンから形成されるミネラル塩との作用によって形成される。骨組織が成熟するにつれ、ある骨芽細胞が、骨マトリックス内に捕捉され、正常細胞活性を実行する成熟骨細胞である骨細胞に分化する。これらの骨細胞は、骨マトリックスを介して別の骨細胞と接合し、圧力を感知したり、骨中でひび割れる。したがって、これらは、骨の修復および/または再生中に、どこで破骨細胞が骨を溶解する作用をするのかを方向付けるのを補助する。
【0005】
破骨細胞は、既存の骨を溶解し、このようにして、骨の成長、修復および再生を促進する細胞である。破骨細胞は、単核食細胞の融合に由来する多核細胞である。破骨細胞は、破骨細胞と骨との間に位置する細胞外コンパートメントのpHを低下させるプロトンを分泌する。この低いpHによって、骨結晶の溶解が促進され、骨マトリックスを消化するリソソーム酵素が活性化される。したがって、破骨細胞は、骨表面の0.5%しか覆わない細胞を再吸収する、力強く効果的な骨である。骨形成に関して、骨芽細胞は、骨コラーゲンおよび別のタンパク質で形成される、「類骨」として知られる構造を造る。その後、骨芽細胞は、石灰化骨組織を造るために、カルシウムおよび他のミネラルの析出を制御して類骨とする。骨形成が完了した時、骨芽細胞は扁平化し、骨の表面に内層を形成する。「管壁細胞」として知られる、これらの扁平骨芽細胞は、骨へのおよび骨からのカルシウムの通過を調整する。さらに、これらは、ホルモン活性化の際、骨芽細胞分化および活性化を助長するタンパク質を造る。したがって、新しい骨を造ることは、類骨の横たわり、その成熟およびそれに続く石灰化を必要とする遅いプロセスである。破骨細胞とは対照的に、骨芽細胞は骨表面の30%を覆う。
【0006】
骨格の骨は、全部にわたって完全に固体ではない。外側の、すなわち皮質骨は、全体に
わたって実質的に固体であり、少数の小管しか持たない。しかし皮質骨から内側に向けて、海綿質骨として知られるスポンジ状の骨が位置する。該海綿質骨は、流動体骨髄で満たされている複数の空間または空洞を規定する柱状骨の蜂の巣状網、幹細胞およびいくつかの脂肪細胞から構成される。特に、骨粗鬆症のような損傷または病気による骨折さもなければ喪失を元に戻すために、既存の骨折した骨およびこれに対応して造られる新しい骨を補助する、種々の高度に特異化された細胞が、これらの骨髄腔内に存在している。
【0007】
骨の物理的構造は、疾患および損傷を始めとする種々の要因によって汚染され得る。最も一般的な骨疾患の1つは、骨量が低くおよび骨組織が構造的な悪化をきたし、特に、股関節、脊椎および手首の関節で、骨がもろくなり骨折し易くなることを特徴とする、骨粗鬆症である。骨粗鬆症は、骨吸収があまりにも早く起きる時、骨置換があまりにも遅く起こる場合、あるいはその両方が組み合わされて発症する。これは、一部、骨芽細胞は、3日以内に破骨細胞によって破壊された骨の量を再構築するのに6ヶ月を要するという事実に起因する。一方、骨損傷は、骨に対する局所的外傷に関与する。
【0008】
(1)たとえば病気による骨量の低下を患っている、(2)骨折のような損傷を起こす骨外傷に陥りやすい、および(3)椎骨のような骨を強化する必要のある個人において骨形成を促進する種々の方法が業界では周知である。しかし、これらの障害を治療するこれらの従来方法は、実際は、普通全身性である。すなわち、これらは単一の実体として骨格全体を治療する。したがって、これらの方法は、一般的に、たとえば、骨粗鬆症または骨折による骨外傷で起こる疾患の影響による骨喪失のため、より焦点を合わせた治療が求められる、たとえば、股関節、肩、脊椎および/または手首の関節の骨のような特定の骨の1以上を標的にすることができなかった。さらに、従来技術の方法は、しばしば、患者の同意に関する問題を伴う、望ましくない長期治療法が必要である。
【0009】
したがって、骨量の低下を患う対象者において、骨形成をより速く、より標的とした方法、特にそのように造られた新しい骨の保持の強化と一緒になった方法が、この分野の研究者にとって、長年、切実に必要としてきた。本発明は、先に記載した一般的な全身的効果に加えて、迅速な骨形成治療のために、そのような治療を最も必要とする1以上の特定の骨または骨領域の特異的標的化を可能にする。以下に説明するように、本発明の方法およびキットは、このように造られた骨の保持を可能にし、したがって、所望の機能を充分に満たしながら、迅速性が向上した、より効果的な骨形成を提供するために特別に適用される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
発明の要約
したがって、本発明の目的は、骨同化剤での治療の長さを減らすことができ、したがって、安全性と薬物経済的な利点を与えるような、対象者に迅速な骨形成を誘発する方法を提供することである。
【0011】
また、本発明の目的は、特定の骨を骨量の増加を狙うべき標的とすることを可能にし、一方さらに有益な骨形成効果を対象者の全骨格に提供する、骨量の減少を患う対象者に迅速な速度で骨形成を誘発する方法を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、骨折を予防および/または治療するために、対象者に迅速な骨形成を誘発しうる方法を提供することである。
【0013】
本発明のさらなる目的は、たとえば、股関節、膝および/または歯科インプラントのようなほかのタイプのインプラントの人工関節用のアンカー機構として作用するために、そ
のようなさらなる骨を必要とする対象者に、迅速な骨形成を誘発しうる方法を提供するものである。
【0014】
本発明のまたさらなるの目的は、脊髄挫傷のような状態に起因する慢性の疼痛を緩和するために、骨強化することを必要と対象者に、迅速な骨形成を誘発しうる方法を提供することである。
【0015】
本発明のさらに他の目的は、本発明に従って造られた、そのようなさらなる骨の任意の実質的な部分の吸収を減少させうる方法を提供することである。
【0016】
本発明さらに他の目的は、前記さらなる骨形成を介して骨の再形成/およびモデル化を可能にするように、迅速な骨形成を誘発しえる方法を提供することである。
【0017】
本発明さらに他の目的は、前記本発明の方法の実施を可能にするように構成されたキットを含む製品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
好ましい実施形態では、本発明の方法は、ヒト対象者に利用される。しかし、本発明は、さらに、獣医学的適用も想定する。
【0019】
1実施形態では、本発明は、そのような誘発を必要とする対象者において、骨形成を誘発する方法であって、(a)対象者の骨芽細胞活性の向上を機械的に誘発することと、(b)その中の少なくとも1種の骨同化剤の血中濃度をたとえば、そのような薬剤を投与することによって、またはそのような薬剤の自然形成を起こす化合物を投与することによって、上昇させること、とを含む方法を提供する。上記の工程は、任意の順序で行ってもよいが、上昇した同化剤濃度と機械的に誘発された骨芽細胞活性の向上とが少なくとも部分的に重なり合うのに充分な時間的近さで行う。
【0020】
本発明の別の実施形態では、該方法は、対象者の少なくとも1つの骨を治療するための標的化工程であって、各標準化された骨がその中の骨髄腔を規定する工程を含む。骨髄腔は、特に、多量の骨髄と複数の骨芽細胞とを含む。該方法は、さらに、骨髄腔の含有量を機械的に変化させて刺激し、そうすることでその中の骨芽細胞の分化および/または活性を向上させることを含む。該方法は、さらに、少なくとも1種の骨同化剤を、対象者内の同化剤の血中濃度がその自然濃度を超える濃度に上昇するのに充分な時間と濃度で、対象者に投与し、そうすることで機械的に誘発された骨芽細胞活性を長引かせることを含む。そのような骨成長を促進するのに望ましい、骨中の骨髄腔の含有量の機械的な変化は、対象者の特定の骨を、その中で骨形成を誘発するために、特異的に標的とすることを可能にする。
【0021】
本発明は、骨量の減少を患う対象者の骨形成を誘発する方法であって、対象者の少なくとも1つの骨を治療するための標的化工程を含み、各標的とされる骨がその中の骨髄腔を規定する方法を提供する。該骨髄腔は、多量の骨髄と複数の骨芽細胞とを含む。本発明の方法は、さらに、骨髄腔の含有量を機械的に変化させて刺激し、そうすることでその中の骨芽細胞活性(たとえば、分化の向上、または骨芽細胞の刺激による骨形成の向上)を向上させることを含む。その後、向上した骨芽細胞活性のため、骨量は該腔内で増加する。該方法は、さらに、少なくとも1種の骨同化剤を、対象者内の同化剤の血中濃度がその自然濃度を超える濃度に上昇するのに充分な時間と濃度で、対象者に投与し、そうすることで機械的に誘発された骨芽細胞活性を長引かせることを含む。しかし一方、該方法は、さらに、(1)骨同化剤投与と同時に、(2)重複して、あるいは(3)引き続き、吸収阻害剤を、骨芽細胞活性によって造られた新しい骨の吸収を減少させるのに充分な時間と濃
度で投与することも含む。前記方法と同様に、そのような刺激された成長が望ましい、骨の骨髄腔の含有量の機械的変化は、対象者の特定の骨を、骨形成を強化するために特異的に標的とすることを可能にする。
【0022】
さらに、本発明は、そのような骨形成を必要とする対象者の少なくとも1つの標的とされる骨において、骨形成を促進するキットを提供する。該キットは、少なくとも1種の骨同化剤を含む少なくとも1つの容器と、標的とされる骨の少なくとも1種内に、骨髄腔の含有量を変化させる機械的変化装置とを含む。該キットには、さらに、骨髄腔から前記含有量の少なくとも一部を排出する排出装置が含まれていてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の第1の実施形態は、骨形成の誘発を必要とする対象者において、新しい骨形成を誘発する方法を提供する。該方法は、前記対象者の骨芽細胞活性の向上を機械的に誘発する工程と、前記対象者において、少なくとも1種の骨同化剤の血中濃度を上昇させる工程とを含む。上記工程は、任意の順序で行ってもよいが、上昇した同化剤濃度と前記機械的に誘発された骨芽細胞活性の向上とが少なくとも部分的に重なり合うのに充分な時間的近さで行う。
【0024】
骨成長の誘発には、たとえば、現在骨成長が起こっていない場所での新しいまたはさらなる骨の生成および/またはすでに形成途中にある骨の成長を刺激すること(すなわち、その速度を増加させること)が含まれる。いかなる理論にも縛られないが、出願人は、骨成長の誘発は、(1)対象者における骨芽細胞活性の機械的な誘発と相まって(2)その中の少なくとも1種の骨同化剤の血中濃度の上昇の組み合わされた効果によって起こると考える。
【0025】
本発明の好ましい実施形態では、骨芽細胞活性における向上の機械的誘発は、骨髄灌注および切断方法によって得てもよい。再び、決して理論に縛られないが、出願人は、骨髄灌注および切断方法は、骨髄腔内の凝塊の形成を引き起こし、これが生化学反応のカスケードにより対象者の骨芽細胞活性の向上の一因となると考える。
【0026】
他の実施形態では、向上した骨芽細胞活性を、機械的誘発を生化学的誘発のような誘発のさらなる形体と組み合わせることによって、交互に得てもよい。このような生化学的誘発は、たとえば、第VII因子(「F」)、第VIIa因子、またはこれらの組み合わせなどの血液因子を、対象者に大量に投与することによって得てもよい。以下の組織または血管損傷凝固は、血漿FVII/FVIIaが組織因子(組織トロンボプラスチン)に結合することによって開始される。この複合体(FVII/FVIIa+トロンボプラスチン)は、最終的に線維素沈着および血小板活性化を誘導する凝固カスケードの活性化を起こすイベントのシーケンスを開始する。この複合体のイベントのシーケンスは、骨髄中の骨芽細胞の刺激の部分的な原因となっているかもしれない。第VII因子および第VIIa因子は、ノボ・ノルディスク社から市販されている。
【0027】
本発明の方法の使用により得られる骨芽細胞活性の向上は、(1)骨芽細胞分化、すなわち、さらなる骨芽細胞の生成、(2)対象者において骨形成の誘発がすでに存在する骨芽細胞の活性化および/または実効性の向上、(3)これらの組み合わせ(これらに限定されない)を始めとする多様な要因によるものであろう。本発明の好ましい実施形態では、骨芽細胞活性の向上は、前記機能の全てを含む。
【0028】
1実施形態では、少なくとも1種の骨同化剤の血中濃度を、1種以上の骨同化剤を対象者に直接投与することによって上昇させてもよい。
【0029】
本発明の別の実施形態では、該方法は、さらに、骨成長の誘発のために、対象者の1以上の特定の骨を「標的化」することを含む。この標的化は、その中の骨芽細胞活性の向上を誘発するように、標的とされる各骨の内部の骨髄腔を機械的に変化することによって達成する。
【0030】
したがって、本発明の方法は、外傷による骨折の場合のような骨修復に有用であるばかりでなく、骨折を防ぐために、骨量および/または骨密度の上昇の必要を、二重エネルギーX線吸光光度分析法(「DEXA」)またはその他の技術によって示された個人、または骨虚弱により椎骨挫傷のような状態に起因する慢性の疼痛を患っている個人の場合に、特異的方法における、骨の強化においても有用である。さらに、先に記載したように、本発明の方法は、人工股関節、膝および肩のような人工関節および/または歯科インプラントのような移植片用のアンカーとしての役目を果たすことが必要な新しい骨を提供(および保持する)ために、さらに働く。
【0031】
さらに別の実施形態では、本発明の方法は、加えて、少なくとも1種の吸収阻害剤の高血中濃度を対象者に提供することを含み、該高濃度は、本発明に従って機械的に誘発され、強化された骨芽細胞活性によって造られる新しい骨成長の吸収を減少させるのに充分である。
【0032】
1実施形態では、本発明は、骨形成の誘発を必要とする対象者において、骨形成を誘発する方法であって、(a)前記対象者の骨芽細胞活性の向上を機械的に誘発することと、(b)前記対象者に、該対象者内で内因性骨同化剤の血中濃度の増加を起こす薬剤の少なくとも1種を投与することとを含む方法を提供する。該方法の工程は、任意の順序で行ってもよいが、前記上昇した同化剤濃度と前記機械的に誘発された骨芽細胞活性の向上とが少なくとも部分的に重なり合うのに充分な時間的近さで行う。該方法の1実施形態では、内因性骨同化剤の向上した発現を起こす薬剤は、カルシウム拮抗剤であってもよい。本発明の方法で有用なカルシウム拮抗剤として、カルシウムのその受容体への結合を制限し、それによって内因性PTHの放出を開始させる任意の薬剤が挙げられるがこれらに限定されない。そのようなカルシウム拮抗化合物の例が、米国特許第6,362,231号、第6,395,919号、第6,432,656号および第6,521,667に記載され、これらの内容は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0033】
本発明は、さらに、骨量の減少または骨外傷を患う対象者において骨形成を誘発する方法を提供する。該方法は、治療のために対象者の少なくとも1つの骨を標的化する工程であって、標的とされた骨はそれぞれ、その中の骨髄腔を規定する工程を含む。骨髄腔は、特に多量の骨髄と複数の骨芽細胞とを含む。本発明の方法は、さらに、骨髄腔の含有量を機械的に変化させて刺激し、それによってその中の骨芽細胞活性を向上させることを含む。該方法は、さらに、少なくとも1種の骨同化剤を、前記対象者内の前記同化剤の血中濃度がその自然の濃度を超える濃度に上昇するのに充分な時間および濃度で、対象者に投与し、それによって前記機械的に誘発された骨芽細胞活性を長引かせることを含む。たとえば、ヒトの体の中で内因性的に造られる骨同化剤として、元々、ヒト対象者の血中で約8ピコモル(pmole)/リットル未満の濃度で見出される遊離酸形態のPTH[1−84]がある。したがって、本発明の実務では、先に指摘したように、対象者内の骨同化剤の血中濃度を、そのような元々の濃度に対応してそれを超える濃度に上昇させることに関与する。これに加えて、骨髄腔の含有量の機械的変化は、このように、対象者の特定の骨を、強化された骨形成の標的とすることを可能にする。
【0034】
本発明の実施形態では、骨形成を、対象者の骨における長期の骨折の位置で誘発し、骨折の治癒の迅速性を向上してもよい。他の実施形態では、該方法は、さらに、対象者の少なくとも1つの標的とされる骨を、それについて制御された方法でさらなる骨形成を誘発
することによって、再形成またはモデル化することを含む。
【0035】
驚いたことに、出願人は、骨芽細胞活性の初期バーストと少なくとも部分的に重なり合う時間中、骨同化剤の血中濃度を上昇させることによって、骨芽細胞活性の初期バーストを、予期しえぬ高濃度で維持できることを発見した。この効果は、図1中のグループCおよびDで得られた曲線を比較することによって、実証される。骨同化剤がない場合、骨形成の初期バーストは、素早く新しく形成した骨の吸収に進む(たとえば、図1中のグループCの曲線を参照)。図1のグループEで得られた曲線は、骨成長の向上が、PTH骨同化剤単独の投与によって誘発されるが、この向上は、骨髄切断(bmx)+PTHの投与の組み合わせによって達成される濃度には上昇しないことを示す。図1に示される結果は、bmxおよびPTH投与の組み合わせは、骨形成の度合い、速度および超寿命化において、bmxまたはPTHのみの場合と比べて予期しえぬ向上と、標的された部位特異的応答とをもたらすことを明らかに実証している。表1(下記)は、図1のグループA〜Eで得られた曲線に基づいた値を示す。第1週および第2週で、対照(グループA)およびシャム(グループB)群に関して数値が取れなかったので、これらの2つのグループの曲線を作る目的でこれらの値を推定した。さらに、表1は各グループで得られた値の標準偏差を提供し、該標準偏差も図1に示す。
【0036】
【表1】

【0037】
前記実験の間で本発明者らによる末梢骨定量的コンピュータ断層撮影(「pQCT」)測定では、PTH単独に対するbmx+PTHの組み合わせの総骨含有量の改良は、実証しなかった。これは、大腿骨が、皮質骨を殆ど含み、pQCTデータ(これはまだ対応する種々のタイプ骨の値に換算されていない)は現在のところ、骨組織の全ての集計値を対象にしているという事実のためである。
【0038】
図2は、特に、重なり合う(すなわちPTH投与とともに)または引き続き、吸収阻害剤サケカルシトニン(sCT)の投与により、さらに有益な効果が達せられたことを示すものである。先ず、グループH(bmxのみ)およびグループJ(PTH+sCT、bmxなし)で得られた曲線をグループI(bmx+PTH+sCT)で得られた曲線と比較すると、本発明の使用に起因する相乗効果のさらなる証拠が提供されている。加えて、グループIで得られた曲線は、bmxおよびPTH投与の組み合わせで起こる、骨芽細胞活性の初期バーストの後の吸収阻害剤の投与が、破骨細胞の作用により、対象者の体の中へ吸収されて、新しく形成する骨の割合を大きく減少させることも実証する。表2(下記)
は、図2の曲線に基づいた値を示す。1および2週間の間は、対照(グループF)およびシャム(グループG)の数値が取れなかったので、これらの値は、曲線を作る目的で推定した。表2は、各グループで得られた値の標準偏差を提供し、これらの標準偏差も図2に示した。
【0039】
【表2】

【0040】
図1および2に示した結果と、上で検討したこれらに対応する表1および表2は、図3A−3Dに示すような、骨芽細胞活性の向上を機械的に誘発する方法の使用で得られた。図3A〜3Dに示される方法は、説明の目的のためだけに提供されるもので、当業者に周知の数多くの代替技術を、骨芽細胞活性に必要な機械的誘発を得るために使用してもよいので、本発明は、図に示された手順に限定されるものではない。そこで、図3A〜3Dに示された代表的な方法において、迅速な成長期にある、9週齢のオスのスプラーグ−ドーレイラットを、外科手術(bmx)の5〜10日間収容した。外科手術の日、ラットの体重を測定し、断頭によってケタミン(50mg/kg)およびキシラジン(10mg/kg)の混合物で麻酔をかけた。麻酔は、0.4〜0.8mlのケタミンを0.5mlのキ
シラジンおよび8.5mlの生理食塩水と組み合わせて準備した。各ラットに麻酔薬を0.1ml/10g体重の速度で注射した。
【0041】
外科手術の準備で、各ラットの左膝関節上の毛を剃った。剃った場所は、ベータダイン洗浄剤で前処理し、エタノールで洗浄した。次いで、膝関節の内側部を横切って、縦方向に1.0cm切開した(図3A参照)。次いで、膝を曲げ、切開した組織を引き戻し、膝蓋腱を目印として露出した。該膝蓋を横に押しのけ、平滑な0.035k−針金ドリルビットを使用して、腱の上の大腿内部顆状陥凹を通り、骨髄腔への1.0mmの孔を開けた(図3B参照)。孔あけ動作を5回繰り返した。続けて、前記孔あけ工程を糸状の0.045インチドリルビットを使用して繰り返した。
【0042】
一度、孔が完成すると、骨髄腔の含有量を、26ゲージ針が付いたシリンジを使用して、5mlの通常の生理食塩水を大腿骨に注射することによって、バックフラッシュした(図3C参照)。次の工程は、内膜靭帯の構造の4〜0Dexon縫合糸での縫合および、皮膚の切開部を外科用金属クリップで閉じることを含む(図3D参照)。その後、各ラットに5mlボーラスの生理食塩水を注射し、識別するためにタグをつけた。回復の間、ラットにタイレノール(登録商標)溶液(300mg/kg/日)を、外科手術後最初の24時間投与し、次いで、最初の5日間、日単位で検査した。
【0043】
致死させた日、各ラットをCO室で安楽死させた。次いで、ラットの血液を心穿刺で集めた。大腿骨を取り、4%ホルマリン溶液中に固定し、その後、エタノール溶液の段階的シリーズ中で脱水した。
【0044】
その後、骨に種々の試料分析技術を施した。これらの技術は、大腿骨を個々にプラスチックバッグに密閉するX線分析;Lunar社のPIXIMUSスキャナーを使用して、大腿骨の骨髄腔中の骨ミネラル密度を測定するPIXIMUS分析;マイクロCT分析;オステオカルシン、PTH、CT、NTXおよび成長因子用の血液分析であった。
【0045】
本発明の1実施形態では、骨芽細胞活性の機械的誘発(骨芽細胞形成の向上によっておよび/または既存の骨芽細胞による骨形成の向上によって)と同時に、骨同化剤を対象者に投与し、この機械的誘発は、たとえば、骨髄腔の変化によって達成してもよい。好ましい実施形態では、骨髄および/または骨髄腔の他の成分(複数を含む)が加圧下で除去される(たとえば、骨髄腔に内と外で相対圧を変化させることによって)。
【0046】
他の実施形態では、骨同化剤を投与し、引き続きそのような機械的誘発を行う。他の実施形態では、骨同化剤濃度がすでに機械的誘発の時には増加しているように骨同化剤を機械的誘発の前に投与し、次いで、その濃度をその後長時間、断続的に維持する。
【0047】
骨同化剤は、経口的に、静脈内に、筋肉内に、皮下的に、インプラントを介して、粘膜を介して、経皮的に、直腸を介して、経鼻的に、デポ剤注射によって、または吸入および肺呼吸によって投与してよい。他の実施形態では、骨同化剤は、時間放出製剤のように1度に投与してもよいし、複数回で、または1回以上の長時間で投与してもよい。同化剤の血中濃度の増加は、機械的誘発後、少なくとも断続的に、約14〜365日の間維持されるのが好ましく、より好ましくは約30〜180日の間である。副甲状腺ホルモン、たとえばPTH[1−34]−NHの間欠投与を、1日に1回、または1週間に1回行い、投与量の間の基準濃度に戻る血中濃度のピークを得るが、それにもかかわらず、その後、同化剤によって少なくとも部分的に維持されるものの、最初に機械的に誘発された骨芽細胞活性の増加に重なるように、周期的な骨同化剤の血中濃度の増加となる。
【0048】
さらなる実施形態では、同化剤は、副甲状腺ホルモン(PTH)、アナボリックビタミ
ンDアナログ、低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質5(LRP5)、非ゲノムエストロゲン様シグナル伝達の活性化剤(ANGELS)、骨形態形成タンパク質(BMP)、インシュリン様成長因子(IGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)、スクレロスチン、レプチン、プロスタグランジン、スタチン、ストロンチウム、成長ホルモン、成長ホルモン関連因子(GHRF)、肝細胞成長因子(HGF)、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、副甲状腺ホルモン関連ペプチド(PTHrP)、トランスホーミング増殖因子(TGF)−βlおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される。本明細書で使用される用語副甲状腺ホルモンとしては、天然副甲状腺ホルモン、天然副甲状腺ホルモンのトランケート、アミド化天然副甲状腺ホルモントランケート、アミド化天然副甲状腺ホルモンおよびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
1実施形態では、骨同化剤は、遊離酸形態のトランケートされたPTH[1−34]である。この物質は、FDA認可医薬製剤として、イーライ・リリー社からフォルテオ(登録商標)(テリパラチド)の名前で市販されている。他に本発明との使用で有用な骨同化剤として、アミド化天然副甲状腺ホルモントランケート、PTH[1−30]NH、PTH[1−31]NH、PTH[1−32]NH、PTH[1−33]NH、PTH[1−34]NH、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい1実施形態では、骨同化剤は、PTH[1−34]NHである。トランケートされた副甲状腺ホルモンを調製する方法は、米国特許第6,103,495号明細書、Mehtaらに記載されている。さらに、該トランケートされた副甲状腺ホルモンをアミド化する手法は、たとえば、米国特許第5,789,234号明細書、Bertelsenら、および第6,319,685号明細書、Gilliganらにおいて提供されている。これらの特許の各内容は、特に参考によって本明細書に組み込まれる。
【0050】
本発明の方法の1実施形態では、本明細書で検討する好ましいトランケートされた副甲状腺ホルモンの充分な量を、対象者に投与して達成し、その後、対象者におけるその拍動性血中濃度を約50と350pg/mlとの間、好ましくは約100と200pg/mlとの間、最も好ましくは約150pg/mlに保つ。他の実施形態では、対象者における副甲状腺ホルモンの血中濃度を、骨髄腔の含有量の機械的変化の後に、7日未満までに好ましい濃度に上昇させる。業界では周知のように、PTH骨同化剤の適正な用量を、上記血中濃度を達成するように計算しなければならない。注射製剤の場合、たとえばヒト対象者に与えられる用量(活性ホルモンの純粋重量で)は、これらの種々の薬剤の骨同化活性に関する文献に考えられているものでよい。そのような用量は、約10と200μgとの間、1日1回、更に好ましくは約20と100μg/用量との間、最も好ましくは約20と50μg/用量との間の範囲内でもよいが、必ずしもこうである必要はない。前記副甲状腺ホルモン系薬剤の他の骨同化剤を含む注射液剤の服用濃度は、前記PTH薬剤でのものと一致する。
【0051】
一連の実験を、本発明の機械的誘発なしで、PTH[1−31]−NHおよびPTH[1−34]−OHで達成された(1)腰椎骨ミネラル密度および(2)腰椎骨形成速度と、先に検討した好ましいPTH[1−34]−NHアナログとを比較して行った。実験は、骨粗鬆症を誘発する卵巣切除(「OVX」)後6ヶ月で、10ヶ月齢メスのスプラーグ−ドーレイラットを、前記3種の副甲状腺ホルモントランケートの1種で、4週間処置した。ラットは、以下のグループ、すなわち、シャムOVX、OVX+賦形剤、OVX+PTH[1−31]−NHまたはPTH[1−34]−NH(Unigene Laboratories社から入手)に無作為化し、皮下注射で2.5、10または40μg/kg/日またはPTH[1−34]−OH(Bachemから入手)を10μg/kg/日皮下注射で投与した。処置の4週間後、各動物の右の大腿骨を、DEXAおよび骨形態計測器によって分析した。図4は、PTH[1−31]−NH、PTH[1−34]−NHおよびPTH[1−34]−OHで達成された、腰椎骨ミネラル密度の比較
を示す棒グラフである。図5は、これらと同じトランケートで達成された、腰椎骨形成速度を比較する棒グラフである。これらの実験の結果を基づいて、PTHのこれらの各アナログの骨同化活性は実質的に等価であることを特定した。先に検討した副甲状腺ホルモンのうち、タンパク同化作用の類似であるため、公知のPTHアナログは全て本発明の方法の所望のやり方で、都合よく機能することを期待するのは合理的である。
【0052】
本発明の別の実施形態では、骨芽細胞活性の機械的誘発は、構成されたまたは適用された物体を、骨形成強化の標的とされた骨の骨髄腔内に挿入して、腔の含有量を物理的に変化させ、それによって腔内の骨芽細胞活性を刺激することによって達成される。他の実施形態では、機械的変化は、腔含有量の少なくとも一部の除去を含む。
【0053】
さらに別の実施形態では、本発明の方法は、吸収阻害剤を、骨芽細胞活性により造られた新しい骨の吸収を実質的に防ぐのに充分な時間と濃度で、対象者に投与することをさらに含む。1実施形態では、吸収阻害剤を、骨同化剤の投与と同時に投与してもよい。他の実施形態では、吸収阻害剤を投与し、引き続いて骨同化剤の投与を行う。別の実施形態では、吸収阻害剤の投与を骨同化剤の投与の間に開始し、次いでその投与は、骨同化剤の投与が終了した後も続けてもよい。
【0054】
他の実施形態では、骨同化特性と抗骨吸収特性の両方を持つ単一薬剤を投与してもよい。そのような物質の例として、エストロゲン、ラネル酸ストロンチウムおよび選択性エストロゲン受容体モデュレータ(SERMS)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
本発明の方法の実施形態では、吸収阻害剤は、ヒトカルシトニン、サケカルシトニン(「sCT」)、ウナギカルシトニン、エルカトニン、ブタカルシトニン、トリカルシトニン、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるカルシトニンであってもよい。好ましい実施形態では、吸収阻害剤はサケカルシトニンである。カルシトニンの血中濃度は、吸収阻害剤として使用される場合、好ましくは約5〜500pg/mlの間、より好ましくは約10〜250pg/mlの間、最も好ましくは20〜50pg/mlの間の範囲である。さらに、たとえば注射液剤の場合、血中濃度を超える値を達成するために必要な、カルシトニン剤の対象者のヒト服用濃度は、同化剤としてこれらの物質を使用することに関連する文献中で考えられている濃度でよい。そのような用量として、約5〜200μg/kgの間、1日につき1回、より好ましくは、約5〜50μg/kgの間、最も好ましくは純粋薬剤との重量で8〜20μg/kgを毎日投与す範囲でもよいが、これらに限られない。別の経路、すなわち経鼻または経口投与によって投与されるサケカルシトニン(sCT)は、上で検討した投薬量より高い投薬量を必要とするだろう。
【0056】
あるいは、種々のさらなる吸収阻害剤(すなわち、カルシトニン以外のもの)が、本発明の方法で有用である。これらのものとして、一般的に、選択性エストロゲン受容体モデュレータ(SERMS)、ビスホスホネート、カテプシン−K阻害剤、ラネル酸ストロンチウムおよびこれらの種々の組み合わせのようなホルモン代替療法(HRT)剤が挙げられる。さらなる吸収阻害剤の具体的例として、(1)エストロゲンを活性成分として含む、ワイス・ラボラトリーズから市販されているプレマリン(登録商標)であり、代表的な許容投与量は、0.625mgの錠剤1個を毎日、(2)リセドロネートナトリウムをその主成分として含む、プロクター・アンド・ギャンブルから市販されているアクトネル(登録商標)であり、代表的な許容投与量は、0.625mgの錠剤1錠を毎日、5mg錠剤を毎日1錠、または35mg錠剤を毎週1錠、(3)ラロキシフェンHClを主成分として含む、イーライ・リリー社から販売されているエビスタ(登録商標)であり、この製剤の代表的な許容投与量は、60mg錠剤を毎日1錠、(4)アレンドロネートを主成分として含む、メルク社から市販されているフォサマックス(登録商標)が挙げられるが、
これらに限定されない。この物質の典型的な投与量は10mg/日または70mg/週である。
【0057】
他に記載があるまたは内容から明らかな場合を除いて、本明細書中の投与量は、医薬的賦形剤、希釈剤、担体またはその他の成分(そのような他の成分は、普通、本発明の方法に有用な種々の投与形態に含まれているが)から影響を受けない活性化合物の重さを言う。医薬業界で通常使用されている任意の投与形態(すなわち、カプセル、錠剤、注射その他)がここでの使用に適する。用語「賦形剤」、「希釈剤」または「担体」は、そのような、非活性成分を言い、普通、この業界では活性成分とともに使用される。たとえば、代表的なカプセル、ピル、腸溶コーティング剤、固体または液体希釈剤または賦形剤、風味剤、保存剤、などが挙げられる。さらに、本明細書で推奨される投与量に関し、臨床医師は、個々の患者の反応をモニターし、それにしたがって投与量を調節すべきであることをさらに記載する。
【0058】
吸収阻害剤は、経口的に、静脈内に、筋肉内に、皮下的に、インプラントを介して、粘膜を介して、直腸を介して、経鼻的に、デポ剤注射によって、吸入および肺呼吸によって、または経皮的に投与してもよい。さらに、吸収阻害剤を、1回、複数回、または1以上の長期間にわたって投与してもよい。吸収阻害剤は、経口的に、静脈内に、筋肉内に、皮下的に、インプラントを介して、粘膜を介して、直腸を介して、経鼻的に、デポ剤注射によって、吸入および肺呼吸によって、または経皮的に投与してもよい。さらに、吸収阻害剤を、1回、複数回、または1以上の長期間にわたって投与してもよい。
【0059】
さらに、本発明は、骨量の減少を患う対象者において、骨形成を誘発する方法であって、対象者の少なくとも1つの骨を治療のために標的化する工程を含み、標的された骨はその中の骨髄腔を規定する方法を提供する。骨髄腔は、多量の骨髄と複数の骨芽細胞とを含む。本発明の方法は、さらに、骨髄腔の含有量を機械的に変化させ、それによって刺激して、その中の骨芽細胞活性を向上させることを含む。その後、骨芽細胞活性の向上のため、腔内で骨量が向上する。該方法は、さらに、少なくとも1種の骨同化剤を、前記対象者内の前記同化剤の血中濃度がその自然の濃度を超える濃度に上昇するのに充分な時間および濃度で、対象者に投与し、それによって前記機械的に誘発された骨芽細胞活性を長引かせることを含む。次いで、該方法は、骨同化剤の投与と(1)同時に、(b)重複して、または(3)それに引き続き、本発明により達成された骨芽細胞活性の向上により造られた、新しい骨の吸収を実質的に防ぐのに充分な期間と濃度で、吸収阻害剤を投与することを含む。したがって、前記方法と同様に、骨髄腔の含有量の機械的変化は、骨形成の強化のために、対象者の特定の骨を標的とすることが可能である。
【0060】
前記方法の1実施形態では、骨同化剤は、天然副甲状腺ホルモン、天然副甲状腺ホルモンのトランケート、アミド化天然副甲状腺ホルモントランケート、アミド化天然副甲状腺ホルモンおよびこれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。特定の1実施形態では、薬剤は、商品名フォルテオ(登録商標)(テリパラチド)で、イーライ・リリー社から市販されている、遊離酸形態のPTH−[1−34]であってもよい。別の実施形態では、骨同化剤は、アミド化天然副甲状腺ホルモントランケートであり、PTH[1−30]NH、PTH[1−31]NH、PTH[1−32]NH、PTH[1−33]NH、PTH[1−34]NHおよびこれらの組み合わせから選択されてもよい。骨同化剤の好ましい選択は、PTH[1−34]NHである
本発明の別の実施形態では、充分な量のアミド化天然副甲状腺ホルモントランケートを対象者に投与し、対象者におけるその拍動性血中濃度を、約50および500pg/mlの間、好ましくは約l00〜200pg/mlの間、最も好ましくは約150pg/mlを達成するようにする。たとえば、注射液剤の場合、ヒト対象者に与えられる用量(活性ホルモンの純粋重量で)は、これらの種々の薬剤の骨同化活性に関する文献において考え
られているものでよい。このような用量として、1用量当たり約10〜200μg、より好ましくは約20〜100μg、最も好ましくは約20〜50μgの間の範囲でよいが、必ずということではない。相違する送達法を使用する場合、用量は約10μg〜10mgの間の範囲でもよいが、必ずということではない。
【0061】
特定の実施形態では、吸収阻害剤は、ヒトカルシトニン、サケカルシトニン、ウナギカルシトニン、エルカトニン、ブタカルシトニン、トリカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)およびこれらの組み合わせから選択されるカルシトニンである。1実施形態では、吸収阻害剤は、サケカルシトニンである。これを吸収阻害剤として使用する場合、サケカルシトニンの血中濃度が、約5〜500pg/mlの間、より好ましくは約10〜250pg/mlの間、最も好ましくは約20〜50pg/mlの間の範囲を達するようにするのが好ましい。前提の血清濃度を達成するため、使用される吸収阻害剤、たとえば注射液剤、の毎日の投与量は、約5〜200μg(薬物の純粋重量)、より好ましくは約5〜50μgの間、最も好ましくは約8〜20μgの間の範囲でよい。相違する伝達方法、すなわち注射以外の方法を使用する場合、用量は、約5μg〜5mgの間の範囲でもよい。吸収阻害剤の投与は、少なくとも3ヶ月、より好ましくは12〜24ヶ月の間続けるのが好ましい。
【0062】
本発明の1実施形態は、移植された歯科インプラントの固定を保護するために、対象者の顎骨領域内に充分な量のさらなる骨を形成するために前記方法のいずれかを使用することを含む。あるいはまたは加えて、前に記載した方法のいずれかを、対象者の標的とされた1以上の骨中で充分な量のさらなる骨を形成し、それへの人工器官のしっかりとした固定を可能にするために利用してもよい。そのような人工器官として、人工膝、肩または股関節が挙げられるが、これらに限定されない。別の実施形態では、対象者において任意の位置で充分な量のさらなる骨を形成し、それに固定する中空可変挿入体用に確実なアンカーとして役立つように、本発明のいずれかの方法を利用してもよい。加えて、本発明のいずれかの方法を、さらなる骨形成のために少なくとも1つの椎骨での標的化において使用してもよく、対象者が椎骨の挫傷により起こる慢性の疼痛から実質的に解放されるように、充分な量の骨が該少なくとも1つの椎骨に加えられる。
【0063】
さらに別の実施形態では、本発明は、そのような骨形成を必要とする対象者の少なくとも1つの標的とされる骨中で骨形成を促進するためのキットを提供する。該キットは、その中に少なくとも1種の骨同化剤を持つ、少なくとも1つの容器と、対象者の少なくとも1つの標的とされる骨中の骨髄腔の含有量を変化させる機械的変化装置とを含む。他の実施形態では、キットは、さらに、骨髄腔から前記含有量の少なくとも一部を排出するための排出装置を含んでもよい。別の実施形態では、キットは、さらに、その中に少なくとも1種の吸収阻害剤を持つ、少なくとも1つの容器を含んでもよい。
【0064】
本発明のキットの1実施形態では、骨同化剤は、天然副甲状腺ホルモン、天然副甲状腺ホルモンのトランケート、アミド化天然副甲状腺ホルモントランケート、アミド化天然副甲状腺ホルモンおよびこれらの組み合わせから選択される。好ましい実施形態では、骨同化剤は、天然副甲状腺ホルモンのトランケートである。薬剤としての使用が好ましいトランケートは、遊離酸形態のPTH[1−34]である。別の好ましいトランケートとして、アミド化トランケート類が挙げられる。したがって、骨同化剤は、PTH[1−30]NH、PTH[1−31]NH、PTH[1−32]NH、PTH[1−33]NH、PTH[I−34]NHおよびこれらの組み合わせから選択されてもよい。具体的な実施形態では、骨同化剤はPTH[1−34]NHである。
【0065】
本発明のキットの追加の実施形態では、吸収阻害剤は、ヒトカルシトニン、サケカルシトニン、ウナギカルシトニン、エルカトニン、ブタカルシトニン、トリカルシトニン、カ
ルシトニン関連遺伝子ペプチド(CGRP)およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるカルシトニンである。具体的な実施形態では、吸収阻害剤はサケカルシトニンである。
【0066】
本発明を、特定の実施形態に関して説明してきたが、多くの変形および変更、および他の用途が当業者には明らかになるであろう。したがって、本発明は、本明細書での具体的な開示には限定されず、請求の範囲にのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】3週間試験レジメン中1週間の間隔で試験した実験室用ラットの群の遠位大腿骨骨髄腔骨ミネラル密度(「BMD」)のPIXIMUS分析の結果のグラフ表示である。PIXIMUS分析器は、Lunar社(パロアルト、CA)から入手可能で、マウスやラットのような小動物用の二重エネルギーX線吸光光度分析(「DEXA」)データを提供する。9週齢のオスのスプラーグ−ドーレイラット(1グループにつき5匹)を致死させ、時間0、および1、2および3週間後に試験した。種々の群を以下の治療モダリティの対象とした。グループA−左大腿骨対照、グループB−左大腿骨シャム、グループC−左大腿骨の骨髄腔の含有量を変化させるために機械的骨髄切断(bmx)、グループD−左大腿骨の機械的骨髄切断治療(bmx)、とともに1〜21日間のアミド化副甲状腺ホルモントランケート(PTH[1−34]−NH)の投与を組み合わせる、およびグループE−1〜21日間、アミド化副甲状腺ホルモントランケート(PTH[1−34]−NH)で治療、左大腿骨は骨切断(bmx)治療されていたラットの右(bmxなし)大腿骨BMD測定。
【図2】致死させ、時間0および1、2および3週間後に試験した、9週齢オスのスプラーグ−ドーレイラット(1グループに付5匹)の第2の組の遠位大腿骨骨髄腔BMDのPIXIMUS分析の結果のグラフ表示である。種々の群を以下の治療モダリティの対象とした。グループF−左大腿骨対照、グループG−左大腿骨シャム、グループH−左大腿骨の骨髄腔の含有量を変化させるために機械的骨髄切断(bmx)、グループI−左大腿骨の機械的骨髄切断治療(bmx)、とともに1〜7日間のアミド化副甲状腺ホルモントランケート(PTH[1−34]−NH)、続いて7〜21日間のサケカルシトニン(sCT)吸収阻害剤の投与を組み合わせる、グループJ−アミド化副甲状腺ホルモントランケート(PTH[1−34]−NH)で治療し、左大腿骨を骨髄切断(bmx)治療されていたラットの右大腿骨BMD測定。
【図3A】先に検討したグループA〜Jのからの1グループのラットにおける左大腿骨骨髄切断を実施する連続した工程の代表的なものを示す。図3Aは遠位腿骨への接近を示す。
【図3B】先に検討したグループA〜Jのからの1グループのラットにおける左大腿骨骨髄切断を実施する連続した工程の代表的なものを示す。図3Bは遠位大腿骨の骨髄腔への孔あけを示す。
【図3C】先に検討したグループA〜Jのからの1グループのラットにおける左大腿骨骨髄切断を実施する連続した工程の代表的なものを示す。図3Cは、骨髄腔の洗浄を示す。
【図3D】先に検討したグループA〜Jのからの1グループのラットにおける左大腿骨骨髄切断を実施する連続した工程の代表的なものを示す。図3Dは切開の縫合を示す。
【図4】卵巣除去によって骨粗鬆症が誘発された、骨粗鬆症のメスのスプラーグ−ドーレイラットにおいて得られた腰椎骨ミネラル密度を比較した棒グラフである。ラットは(1)PTH[1−31]−NH、(2)PTH[1−34]−NHおよびPTH[1−34]−OHで処理した。
【図5】卵巣除去によって骨粗鬆症が誘発された、骨粗鬆症のメスのスプラーグ−ドーレイラットにおいて得られた腰椎骨形成速度を比較した棒グラフである。ラットは、(1)PTH[1−31]−NH、(2)PTH[1−34]−NH、およびPTH[1−34]−OHで処理した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨形成の誘発を必要とする対象者において、骨形成を誘発する方法であって、
(a)前記対象者の骨芽細胞活性の向上を機械的に誘発する工程と、
(b)前記対象者において、少なくとも1種の骨同化剤の血中濃度を上昇させる工程とを含み、
工程(a)および(b)は、任意の順序で行うが、前記上昇した同化剤濃度と前記機械的に誘発された骨芽細胞活性の向上とが少なくとも部分的に重なり合うのに充分な時間的近さで行う方法。
【請求項2】
骨同化剤の血中濃度を、対象者への骨同化剤の直接投与によって上昇させることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記対象者の1以上の特定の骨を、その中の骨芽細胞活性の前記向上を誘発するように、標的とされる前記骨のそれぞれにおいて、骨髄腔の含有量を機械的に変化させることによって誘発させた骨成長のために、標的化することをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記対象者に、少なくとも1種の吸収阻害剤の血中濃度を上昇させることをさらに含み、上昇した濃度が、前記向上した骨芽細胞活性により造られた新しい骨成長の吸収を実質的に防ぐのに充分である請求項1ことを特徴とするに記載の方法。
【請求項5】
骨形成の誘発を必要とする対象者において、骨形成を誘発する方法であって、
(a)前記対象者の骨芽細胞活性の向上を機械的に誘発する工程と、
(b)前記対象者に、該対象者内で内因性骨同化剤の血中濃度の増加を起こす少なくとも1種の薬剤を投与する工程とを含み、
工程(a)および(b)は、任意の順序で行うが、前記上昇した同化剤濃度と前記機械的に誘発された骨芽細胞活性の向上とが少なくとも部分的に重なり合うのに充分な時間的近さで行う方法。
【請求項6】
前記対象者内で前記内因性骨同化剤の発現の向上を起こす薬剤が、カルシウム拮抗剤であることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
骨量の減少または骨外傷を患う対象者における骨形成を誘発する方法であって、
(a)前記対象者の少なくとも1つの骨を治療するために標的化する工程であって、該標的とされる骨はそれぞれその中の骨髄腔を規定し、該骨髄腔は多量の骨髄と複数の骨芽細胞とを含む工程と、
(b)前記腔の含有量を機械的に変化させて刺激し、そうすることでその中の骨芽細胞活性を向上させる工程と、
(c)前記対象者内の前記同化剤の血中濃度がその自然の濃度を超える濃度に上昇するのに充分な時間および濃度で、少なくとも1種の骨同化剤を対象者に投与し、それによって前記機械的に誘発された骨芽細胞活性を長引かせる工程と、を含み、
そうすることで骨髄腔の機械的変化が、前記対象者の特定の骨を前記方法によって標的とされることを可能にし、その中の骨形成の強化を可能にするようにし、
工程(b)および(c)は、任意の順序で行うが、前記上昇した同化剤濃度と前記機械的に誘発された骨芽細胞活性の向上とが少なくとも部分的に重なり合うのに充分な時間的近さで行う方法。
【請求項8】
前記骨形成が、前記対象者の骨中の長期骨折位置で誘発され、前記骨折の治癒の迅速を向上させることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
制御された手法で追加の骨形成を誘発することによって、前記対象者の標的とされる骨の少なくとも1つを、再形成またはモデル化することをさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項10】
骨同化剤を、経口的に、静脈内に、筋肉内に、皮下的に、インプラントを介して、粘膜を介して、直腸を介して、経鼻的に、デポ剤注射によって、吸入および肺呼吸によって、または経皮的に投与することを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1種の骨同化剤が、副甲状腺ホルモン(PTH)、アナボリックビタミンD類縁体、低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質5(LRP5)、非ゲノムエストロゲン様シグナル伝達の活性化剤(ANGELS)、骨形態形成タンパク質(BMP)、インシュリン様成長因子(IGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)、スクレロスチン、レプチン、プロスタグランジン、スタチン、ストロンチウム、成長ホルモン、成長ホルモン関連因子(GHRF)、肝細胞成長因子(HGF)、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、副甲状腺ホルモン関連ペプチド(PTHrP)、トランスホーミング増殖因子(TGF)−β1およびこれらの組み合わせからなる群から選択される請求項1記載の方法。
【請求項12】
骨同化剤が、天然副甲状腺ホルモン、天然副甲状腺ホルモンのトランケート、アミド化天然副甲状腺ホルモントランケート、アミド化天然副甲状腺ホルモンおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の副甲状腺ホルモンである請求項11に記載の方法。
【請求項13】
骨同化剤が、遊離酸形態のPTH[1−84]、PTH[1−84]NH、遊離酸形態のPTH[1−34]、PTH[1−30]NH、PTH[1−31]NH、PTH[1−32]NH、PTH[1−33]NH、PTH[1−34]NHおよびこれらの組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
充分な量の前記副甲状腺ホルモンが前記対象者に投与され、前記対象者におけるその拍動性血中濃度が約50〜350pg/mlの間を達成することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
充分な量の前記副甲状腺ホルモンが、1用量当たりPTHホルモンの純粋重量が約10μg〜10mgである請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記副甲状腺ホルモンを注射によって投与し、充分な量の副甲状腺ホルモンが約10〜200μg/用量である請求項14記載の方法。
【請求項17】
前記対象者における前記副甲状腺ホルモンの血中濃度が、骨髄腔の含有量の機械的変化のある前の7日間未満までに、約50〜350pg/mlの間の濃度まで上昇することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項18】
骨芽細胞活性の機械的誘発が、強化された骨形成の標的とされる骨の骨髄腔に、該腔の含有量に物理的に変化するように構成されまたは適合された物体を挿入し、そうすることで、前記腔内で前記骨芽細胞活性を刺激することによって達成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記機械的変化が、さらに、前記変化した腔含有量の少なくとも部分を除去し、骨量の増加のために腔内に追加の空間を提供することを含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記骨同化剤が、また、前記骨芽細胞活性によって、造られた新しい骨の吸収を実質的に防ぐことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項21】
骨同化剤が、エストロゲン、ラネル酸ストロンチウム(strontium ranalate)または選択性エストロゲン受容体モデュレータ(SERM)である請求項20に記載の方法。
【請求項22】
さらに、(c)前記対象者に吸収阻害剤を、前記骨芽細胞活性によって造られた新しい骨の吸収を実質的に防ぐのに充分な時間および濃度で投与する工程を含み、
工程(b)および(c)は、任意の順序で行うが、前記上昇した同化剤濃度と前記機械的に誘発された骨芽細胞活性の向上とが少なくとも部分的に重なり合うのに充分な時間的近さで行う請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記吸収阻害剤の投与が、骨同化剤の投与の間に開始し、該骨同化剤の投与が終わっても続けられることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
吸収阻害剤が、ヒトカルシトニン、サケカルシトニン、ウナギカルシトニン、エルカトニン、ブタカルシトニン、トリカルシトニン、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるカルシトニンであることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項25】
吸収阻害剤が、サケカルシトニンであり、該サケカルシトニンを、前記対象者に、5〜500pg/mlの間の持続血中濃度を実質的に達成するよう計算された量で投与することを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記サケカルシトニンの量が、1用量あたり、カルシトニンの純粋重量が約5μg〜5mgであることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
サケカルシトニンを注射によって投与し、該サケカルシトニンの量が、約5μg〜200μg/用量であることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項28】
吸収阻害剤を、経口的に、静脈内に、筋肉内に、皮下的に、インプラントを介して、粘膜を介して、直腸を介して、経鼻的に、デポ剤注射によって、吸入および肺呼吸によって、または経皮的に投与することを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項29】
さらに、前記対象者に、前記骨芽細胞活性をさらに向上させるように計算された量の第VII因子または第VIIa因子を投与することを含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項30】
骨量の減少または骨外傷を患う対象者において骨形成を誘発する方法であって、
(a)前記対象者の少なくとも1つの骨を治療するための標的化工程であって、標的とされる各骨がその中の骨髄腔を規定し、該骨髄腔が多量の骨髄および複数の骨芽細胞を含む工程と、
(b)前記腔の含有量を機械的に変化させて刺激し、そうすることで、その中の骨芽細胞活性を向上させ、それに対応して、腔内の前記骨量を増加させる工程と、
(c)少なくとも1種の骨同化剤を、前記対象者内の前記同化剤の血中濃度がその自然の濃度を超える濃度に上昇するのに充分な時間および濃度で、対象者に投与し、それによって前記機械的に誘発された骨芽細胞活性を長引かせる工程と、
(d)前記骨同化剤投与と同時に、あるいはそれに引き続き、吸収阻害剤を、骨芽細胞
活性によって造られた新しい骨の吸収を実質的に防ぐのに充分な時間と濃度で、追加的に投与する工程とを含み、
そうすることで骨髄腔の機械的変化が、前記対象者の特定の骨を前記方法によって標的とされることを可能にし、その中の骨形成の強化を可能にするようにする方法。
【請求項31】
骨同化剤が、遊離酸形態のPTH[1−84]、PTH[1−84]NH、遊離酸形態のPTH[1−34]、PTH[1−30]NH、PTH[1−31]NH、PTH[1−32]NH、PTH[1−33]NH、PTH[1−34]NHおよびこれらの組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項32】
充分な量の前記アミド化天然副甲状腺ホルモントランケートを前記対象者に投与し、その拍動性血中濃度が約50〜500pg/mlの間を達成する請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記吸収阻害剤が、ヒトカルシトニン、サケカルシトニン、ウナギカルシトニン、エルカトニン、ブタカルシトニン、トリカルシトニンおよびこれらの組み合わせからなる群から選択されるカルシトニンである請求項30に記載の方法。
【請求項34】
吸収阻害剤がサケカルシトニンであり、該サケカルシトニンを、前記対象者に、50〜350pg/mlの間の持続血中濃度を達成するよう計算された量で投与することを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
さらに、前記対象者の顎骨領域内に補助の骨を形成し、前記顎骨領域に移植される歯科インプラントのためのアンカーを提供することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項36】
さらに、前記対象者の1以上の標的とされる骨において、充分な量のさらなる骨を形成し、少なくとも1つの前記標的とされる骨に確実に固定するように、移植される人工器官を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項37】
さらに、前記対象者において充分な量のさらなる骨を形成し、前記さらなる骨に固定された可変挿入体をくぼみに対する確実なアンカーとして働かせることを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項38】
さらに、さらなる骨形成のために前記対象者の少なくとも1つの椎骨を、標的化して、対象者が椎骨の挫傷により起こる慢性の疼痛から実質的に解放されるように、充分な量の骨を前記少なくとも1つの椎骨に加えることを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項39】
さらなる骨が、前記対象者の少なくとも1つの椎骨上に、それを強化することによって前記少なくとも1つの椎骨を安定化させるのに充分な量で形成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項40】
骨形成を必要とする対象者の少なくとも1つの標的とされる骨において、骨形成を促進するキットであって、
(a)その中に少なくとも1種の骨同化剤を含む少なくとも1つの容器と、
(b)前記標的とされる骨の少なくとも1つにおいて、骨髄腔の含有量を変化させる機械的変化装置とを含むキット。
【請求項41】
さらに、前記腔から、少なくとも一部の前記含有量を排出するための排出装置を含むことを特徴とする請求項40に記載のキット。
【請求項42】
さらに、その中に少なくとも1種の吸収阻害剤を含む少なくとも1つの容器を含むことを特徴とする請求項40に記載のキット。
【請求項43】
前記骨同化剤が、天然副甲状腺ホルモン、天然副甲状腺ホルモンのトランケート、アミド化天然副甲状腺ホルモントランケート、アミド化天然副甲状腺ホルモンおよびこれらの組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする請求項40に記載のキット。
【請求項44】
骨同化剤が、遊離酸形態のPTH[1−84]、PTH[1−84]NH、遊離酸形態のPTH[1−34]、PTH[1−30]NH、PTH[1−31]NH、PTH[1−32]NH、PTH[1−33]NH、PTH[1−34]NHおよびこれらの組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする請求項43に記載のキット。
【請求項45】
吸収阻害剤が、ヒトカルシトニン、サケカルシトニン、ウナギカルシトニン、エルカトニン、ブタカルシトニン、トリカルシトニンおよびこれらの組み合わせからなる群から選択されるカルシトニンである請求項42記載のキット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate

【図3D】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2007−537281(P2007−537281A)
【公表日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−513355(P2007−513355)
【出願日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【国際出願番号】PCT/US2005/016613
【国際公開番号】WO2005/112864
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(503195300)ユニジーン・ラボラトリーズ・インコーポレーテッド (17)
【出願人】(506379736)エール・ユニバーシティ (3)
【氏名又は名称原語表記】YALE UNIVERSITY
【Fターム(参考)】