説明

骨格部材

【課題】 衝突時のエネルギーを吸収可能な骨格部材を提供する。
【解決手段】 車両前後方向に延在する中空断面の柱状部材10の車両上方の面における車両前後方向の中央部に、柱状部材10へ車両前後方向から所定荷重以上の荷重が入力された際に、柱状部材10に車両下方への折れ変形を生じさせる易変形部を構成する凹部12を設け、柱状部材10の中空部S内に、車両前後方向に延在する板状部材に形成され、両端が凹部12を跨いで柱状部材10に固定された衝突部材16を配置し、衝突部材16の両端を固定する位置を、柱状部材10の折れ変形量が所定の変形量に達した際に、柱状部材10の一部を挟んで互いに衝突する位置とすることにより、折れ変形量が所定の変形量に達した柱状部材10に、折れ変形に抗する反力を発生させる反力発生部を衝突部材16によって構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、車両の衝突時のエネルギーを吸収可能な骨格部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の衝突時に、エンジンルームの潰れストロークを拡大することにより、車両の衝突によって生じる衝突エネルギーを吸収し、車室の変形を防止するサブフレームとして、例えば、特許文献1に記載されているサブフレームがある。このサブフレームでは、サブフレームを構成する部材のうち車両前後方向に延在する柱状部材が、車両の衝突時に車両下方への折れ変形を生じることにより、エンジンを車両下方に移動させ、エンジンルームの潰れストロークを拡大して車室の変形を防止している。
【特許文献1】特開2002−211249号公報(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載のサブフレームでは、柱状部材のうち折れ変形を生じた部分のみが断面変形して、衝突エネルギーを吸収している。このため、例えば、柱状部材全体が車両前後方向に潰れ変形して衝突エネルギーを吸収する場合と比較して、衝突エネルギーに対して柱状部材で発生する反力が減少してしまう。衝突エネルギーに対して柱状部材で発生する反力が減少すると、柱状部材による衝突エネルギーの吸収効率が低下してしまい、車室に変形が生じるおそれがある。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、柱状部材の変形状態を制御するとともに、衝突エネルギーに対して柱状部材で発生する反力を増加可能として、車室の変形を防止可能なサブフレームを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明は、中空断面の柱状部材を備えた骨格部材において、
前記柱状部材の一部に、所定荷重以上の荷重が入力された際に前記柱状部材に折れ変形を生じさせる易変形部を設け、
前記柱状部材に、当該柱状部材の折れ変形量が所定の変形量に達した際に折れ変形が生じた前記柱状部材に前記折れ変形に抗する反力を発生する反力発生部を設けたことを特徴とする骨格部材を提供するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、所定荷重以上の荷重が入力されて柱状部材に折れ変形が生じ、柱状部材の折れ変形量が所定の変形量に達した際に、反力発生部によって、折れ変形が生じた柱状部材に折れ変形に抗する反力が発生する。その結果、衝突エネルギーに対して柱状部材で発生する反力が増加するため、柱状部材による衝突エネルギーの吸収効率を増加させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
まず、図1から図4を参照して、本発明の実施形態の構成を説明する。なお、本実施形態では、車両の構成の一例として、前置きエンジンの前輪駆動車を用いて説明しているが、車両の構成は、これに限定されるものではない。
図1に示すように、本実施形態のサブフレーム1は、車室2よりも車両前後方向の前方に配置されており、車体4に備えられたサイドメンバ6の車両下方において、車両前後方向の両端またはその近傍でサイドメンバ6に締結されて支持されている。なお、本実施形態では、サブフレーム1が、サイドメンバ6に締結されて支持される場合を例にあげて説明するが、サブフレーム1を支持する構成は、これに限定されるものではなく、例えば、サブフレーム1が、ブッシュ等を介してサイドメンバ6にマウントされる構成としてもよい。また、図1中に示す符号8はエンジン、符号Rはエンジンルームを示しており、ホイール及びタイヤの図示を省略している。
【0007】
サブフレーム1は、車両前後方向に延在する中空断面の柱状部材10を備えており、柱状部材10の車両上方の面の車両前後方向の中央部には、凹部12が設けられており、柱状部材10のうち凹部12が設けられている部分の車両上下方向変形に対する剛性は、車両上下方向下側に凸となる変形に対する剛性が、車両上下方向上側に凸となる変形に対する剛性よりも小さくなっている。凹部12は、後述するように、柱状部材10へ車両前後方向から所定荷重以上の荷重が入力された際に、柱状部材10に車両下方への折れ変形を生じさせる易変形部を構成している。柱状部材10は、図1中に示すように、凹部12近傍の凹部12よりも車室2側の位置、すなわち、凹部12よりも車両前後方向の後方の位置に固定された連結部材14を備えており、この連結部材14は、柱状部材10のうち凹部12近傍の凹部12よりも車室2側の位置とエンジン8を連結している。
【0008】
また、サブフレーム1は、図2に示すように、全体として井桁状に形成され、サイドメンバ6に締結される四箇所の締結点P1〜P4を有している。
凹部12は、図3に示すように、柱状部材10の一部が中空部S内に陥没して形成されており、凹部12の形状寸法を変化させることにより、柱状部材10が折れ変形を生じた際の柱状部材10の折れ変形量を、所定の変形量に設定可能となっている。
【0009】
中空部S内には、車両前後方向に延在する板状部材によって形成された衝突部材16が配置されており、この衝突部材16は、後述するように、折れ変形量が所定の変形量に達した柱状部材10に、折れ変形に抗する反力を発生させる反力発生部を構成している。衝突部材16の両端は凹部12を跨いで対向する衝突部を形成しており、これらの衝突部は、柱状部材10のうち、柱状部材10の折れ変形量が所定の変形量に達した際に、柱状部材10の一部を挟んで互いに衝突する位置に固定されている。また、衝突部材16は湾曲部を有しており、図3中に示すように、全体として車両左右方向から見て略U字状をなしている。衝突部材16の湾曲部の最大曲率部18は、柱状部材10を凹部12がある面から見て凹部12と重なる位置及び、柱状部材10の断面二次モーメントの中立軸線CLと柱状部材10の軸方向から見て重なる位置に形成されている。
また、衝突部材16は、図4に示すように、湾曲部の最大曲率部18の厚さT1は、他の部分の厚さT2よりも薄くなるように形成されている。すなわち、衝突部材16は、湾曲部の最大曲率部18の断面積が、他の部分の断面積よりも小さくなるように形成されている。
【0010】
次に、図5及び図6を参照して、本実施形態の作用・効果について説明する。
車両の衝突によって生じた衝突エネルギーがサブフレーム1に伝達され、柱状部材10に車両前後方向から所定荷重以上の荷重が入力されると、図5に示すように、柱状部材10が車両下方への折れ変形を生じ、柱状部材10の折れ変形に伴って、衝突部材16が変形する。
【0011】
ここで、柱状部材10が折れ変形を生じる理由は、柱状部材10のうち凹部12が設けられている部分の断面係数が、柱状部材10の他の部分の断面係数よりも小さくなることにより、柱状部材10のうち凹部12が設けられている部分の剛性が、柱状部材10の他の部分の剛性よりも低くなるためである。また、柱状部材10が折れ変形を生じる方向が車両下方となる理由は、凹部12が柱状部材10の上面に設けられているとともに、凹部12が柱状部材10の一部を中空部S内に陥没させて形成されているためである。
【0012】
柱状部材10の車両下方への折れ変形が進行し、柱状部材10の折れ変形量が所定の変形量に達すると、衝突部材16の両端が柱状部材10の一部を挟んで互いに衝突する。衝突部材16の両端が柱状部材10の一部を挟んで互いに衝突すると、折れ変形を生じた柱状部材10に折れ変形に抗する反力が発生し、衝突エネルギーに対して柱状部材10で発生する反力が増加するため、柱状部材10による衝突エネルギーの吸収効率が増加する。
【0013】
また、柱状部材10が車両下方への折れ変形を生じると、図6に示すように、柱状部材10とともに連結部材14が車両下方へ移動して、エンジン8が車両下方へ移動するとともに、柱状部材10の下面が地面20と接触する。このとき、エンジン8は、凹部12近傍の車両前後方向の後方の位置に固定された連結部材14によって、柱状部材10と連結されているため、柱状部材10に生じた車両下方への折れ変形に伴い、エンジン8は車両前後方向の前方へ移動する。なお、図6中では、折れ変形を生じる前の柱状部材10を破線で示し、折れ変形が生じた後の柱状部材10を実線で示している。また、移動前のエンジン8を破線で示し、移動後のエンジン8を実線で示している。さらに、車体4及びサイドメンバ6の図示を省略している。
【0014】
したがって、本実施形態のサブフレームであれば、車両の衝突時に、柱状部材10に車両前後方向から所定荷重以上の荷重が入力され、柱状部材10に車両下方への折れ変形が生じ、柱状部材10の折れ変形量が所定の変形量に達すると、衝突部材16の両端が柱状部材10の一部を間に挟んで互いに衝突する。その結果、衝突部材16によって、折れ変形が生じた柱状部材10に折れ変形に抗する反力が発生するため、衝突エネルギーに対して柱状部材10で発生する反力が増加し、柱状部材10による衝突エネルギーの吸収効率が増加して、車室2の変形が防止される。
【0015】
また、本実施形態のサブフレームであれば、衝突部材16の両端が、柱状部材10の折れ変形量が所定の変形量に達した際に、柱状部材10の一部を間に挟んで互いに衝突する位置に固定されている。このため、衝突エネルギーに対して柱状部材10で発生する反力の立ち上がりが早くなり、衝突エネルギーに対して柱状部材10で発生する反力の発生期間を長期化することが可能となる。その結果、柱状部材10による衝突エネルギーの吸収効率が増加して、車室2の変形が防止される。
【0016】
さらに、本実施形態のサブフレームであれば、衝突部材16が、車両前後方向に延在する板状部材であるとともに、両端が柱状部材10に固定されているため、一つの板状部材のみによって衝突部材16を形成することが可能となり、部品コストを低減することが可能となる。
また、本実施形態のサブフレームであれば、衝突部材16が有する湾曲部の最大曲率部18が、柱状部材10を凹部12がある面から見て凹部12と重なる位置及び、柱状部材10の断面二次モーメントの中立軸線CLと柱状部材10の軸方向から見て重なる位置に形成されている。このため、衝突部材16を一つの板状部材で形成しても、柱状部材10に生じる折れ変形の効率が、衝突部材16によって低下することが回避される。
【0017】
また、本実施形態のサブフレームであれば、衝突部材16が有する湾曲部の最大曲率部18の断面積が他の部分の断面積よりも小さく形成されているため、柱状部材10に生じる折れ変形の効率が、衝突部材16によって低下することが回避される。
また、本実施形態のサブフレームであれば、凹部12が、柱状部材10の車両前後方向の中央部に設けられているため、柱状部材10に折れ変形が生じる位置を、柱状部材10の車両前後方向の中心に制御することが可能となる。このため、柱状部材10に折れ変形が生じた際の、柱状部材10の変位量を増加させることが可能となる。
【0018】
また、本実施形態のサブフレームであれば、凹部12が、柱状部材10の一部を車両下方に向けて中空部S内に陥没させて設けられているため、柱状部材10に生じる折れ変形の方向を、車両下方に制御することが可能となる。このため、折れ変形が生じた柱状部材10の下面を、地面20と接触させることが可能となり、例えば、自車両が前方車両と衝突した場合に、自車両が前方車両の下側に潜り込むことを回避することが可能となる。
【0019】
また、本実施形態のサブフレームであれば、連結部材14によって柱状部材10とエンジン8が連結されているため、柱状部材10が車両下方への折れ変形を生じた際に、エンジン8を車両下方へ強制的に移動させることが可能となる。このため、エンジン8が車室2内に移動することを防止することが可能となるとともに、エンジンルームRの潰れストロークを拡大可能となる。
【0020】
また、本実施形態のサブフレームであれば、連結部材14が、凹部12近傍の車両前後方向の後方の位置に固定されているため、柱状部材10が車両下方への折れ変形を生じた際に、エンジン8を車両前後方向の前方へ強制的に移動させることが可能となる。このため、エンジン8が車室2内に移動することを防止することが可能となるとともに、エンジンルームRの潰れストロークを拡大可能となり、衝突エネルギーの吸収効率を向上させることが可能となる。
【0021】
なお、本実施形態のサブフレームでは、衝突部材16の両端を、柱状部材10の折れ変形量が所定の変形量に達した際に、柱状部材10を介在させて互いに衝突する位置に固定したが、これに限定されるものではない。すなわち、衝突エネルギーに対して柱状部材10で発生する反力を発生可能であれば、衝突部材16の両端を固定する位置は限定されない。
【0022】
また、本実施形態のサブフレームでは、衝突部材16を、車両前後方向に延在する板状部材で形成したが、これに限定されるものではなく、衝突部材16を、例えば、図7に示すように、複数の部材から構成してもよい。
さらに、本実施形態のサブフレームでは、衝突部材16が有する湾曲部の最大曲率部18を、柱状部材10を凹部12がある面から見て凹部12と重なる位置及び、柱状部材10の断面二次モーメントの中立軸線CLと柱状部材10の軸方向から見て重なる位置に形成したが、これに限定されるものではない。すなわち、衝突部材16が有する湾曲部の最大曲率部18を形成する位置は、中空部S内であればよい。
【0023】
また、本実施形態のサブフレームでは、衝突部材16が有する湾曲部の最大曲率部18を、柱状部材10を凹部12がある面から見て凹部12と重なる位置及び、柱状部材10の断面二次モーメントの中立軸線CLと柱状部材10の軸方向から見て重なる位置に形成したが、これに限定されるものではない。すなわち、衝突部材16が有する湾曲部の最大曲率部18を形成する位置は、柱状部材10を凹部12がある面から見て凹部12と重なる位置及び、柱状部材10の断面二次モーメントの中立軸線CLと柱状部材10の軸方向から見て重なる位置のうち、一方の位置のみであってもよい。
【0024】
また、本実施形態のサブフレームでは、衝突部材16が有する湾曲部の最大曲率部18の断面積を、他の部分の断面積よりも小さく形成したが、これに限定されるものではなく、例えば、衝突部材16の全ての断面積が同一となるように形成してもよい。
また、本実施形態のサブフレームでは、凹部12を、柱状部材10の車両前後方向の中央部に設けたが、凹部12を設ける位置は、これに限定されるものではなく、例えば、柱状部材10の車両前後方向の中央部近傍であってもよい。
【0025】
また、本実施形態のサブフレームでは、凹部12を、柱状部材10の車両上方の面に設けたが、凹部12を設ける位置は、これに限定されるものではない。すなわち、凹部12を設ける位置は、例えば、柱状部材10の車両下方の面であってもよい。この場合、柱状部材10に車両前後方向から所定荷重以上の荷重が入力された際に、柱状部材10が折れ変形を生じる方向は、車両上方となる。したがって、凹部12を設ける位置を任意の位置とすることにより、柱状部材10に車両前後方向から所定荷重以上の荷重が入力された際に、柱状部材10に生じる折れ変形の方向を、任意の方向に制御することが可能となる。
【0026】
また、本実施形態のサブフレームでは、連結部材14によって柱状部材10とエンジン8を連結したが、これに限定されるものではなく、柱状部材10とエンジン8を隔離した構成としてもよい。
また、本実施形態のサブフレームでは、連結部材14を、凹部12近傍の車両前後方向の後方の位置に固定したが、これに限定されるものではなく、連結部材14の柱状部材10への固定位置は、例えば、凹部12近傍の車両前後方向の前方の位置であってもよい。
【0027】
また、本実施形態のサブフレームでは、衝突部材16を、柱状部材10の中空部S内に配置したが、これに限定されるものではなく、衝突部材16を、柱状部材10の外周面に配置してもよい。この場合、柱状部材10に折れ変形が生じ、柱状部材10の折れ変形量が所定の変形量に達すると、衝突部材16は互いに直接衝突することとなる。
また、本実施形態のサブフレームでは、柱状部材10へ車両前後方向から所定荷重以上の荷重が入力された際に、柱状部材10に車両下方への折れ変形を生じさせる易変形部を、凹部12によって構成したが、易変形部の構成は、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、柱状部材10の車両上方の面にスリットを設けることにより、柱状部材10のうちスリットを設けた部分の車両上方の剛性を、柱状部材10のうちスリットを設けた部分の車両下方の剛性よりも低くして、柱状部材10に易変形部を構成してもよい。
【0028】
また、本実施形態のサブフレームでは、折れ変形が生じ、折れ変形量が所定の変形量に達した柱状部材10に、折れ変形に抗する反力を発生させる反力発生部を、互いに衝突する衝突部を有する衝突部材16によって構成したが、反力発生部の構成は、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、柱状部材10のうち、柱状部材10に折れ変形が生じ、柱状部材10の折れ変形量が所定の変形量に達した際に最初に接触する部分同士の厚さを、他の部分の厚さより増加させる等の方法により、柱状部材10の折れ変形量が所定の変形量に達した際に最初に接触する部分同士の剛性を向上させて、反力発生部を構成してもよい。
【0029】
また、本実施形態では、反力発生部を備える折れ変形する柱状部材を、車両の骨格部材を形成するサブフレームに適用したが、これに限定されるものではなく、サブフレームを備えない車両の骨格部材に適用してもよい。
また、本実施形態では、反力発生部を備える折れ変形する柱状部材を、自動車を構成する骨格部材に適用したが、これに限定されるものではなく、衝突時に変形を抑制しない空間を有する移動体、例えば、飛行機、船舶、鉄道車両等に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明のサブフレームを用いた車両の構成を示す図である。
【図2】本発明のサブフレームの構成を示す図である。
【図3】柱状部材の構成を示す図である。
【図4】衝突部材の構成を示す図である。
【図5】折れ変形を生じた柱状部材を示す図である。
【図6】衝突前と衝突後の状態を示す図である。
【図7】柱状部材の変形例の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0031】
1 サブフレーム
2 車室
4 車体
6 サイドメンバ
8 エンジン
10 柱状部材
12 凹部
14 連結部材
16 衝突部材
18 最大曲率部
20 地面
R エンジンルーム
P 締結点
S 中空部
CL 柱状部材の断面二次モーメントの中立軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空断面の柱状部材を備えた骨格部材において、
前記柱状部材の一部に、所定荷重以上の荷重が入力された際に前記柱状部材に折れ変形を生じさせる易変形部を設け、
前記柱状部材に、当該柱状部材の折れ変形量が所定の変形量に達した際に折れ変形が生じた前記柱状部材に前記折れ変形に抗する反力を発生する反力発生部を設けたことを特徴とする骨格部材。
【請求項2】
車両前後方向に延在するとともに、車室に対して車両前後方向前側あるいは後側に配置される前記骨格部材において、
前記易変形部は、前記柱状部材の車両前後方向中央部またはその近傍に設けられていることを特徴とする請求項1に記載した骨格部材。
【請求項3】
前記柱状部材のうち前記易変形部が設けられた部分の車両上下方向変形に対する剛性は、車両上下方向下側に凸となる変形に対する剛性が、車両上下方向上側に凸となる変形に対する剛性に対して小さいことを特徴とする請求項1または2に記載した骨格部材。
【請求項4】
前記易変形部は、前記柱状部材の一部が前記中空部内に陥没した凹部であることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項に記載した骨格部材。
【請求項5】
前記反力発生部は、前記易変形部を跨いで互いに対向する二つの衝突部を有する衝突部材であり、
前記各衝突部は、前記柱状部材のうち当該柱状部材の折れ変形量が所定の変形量に達した際に互いに衝突する位置にそれぞれ固定されることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1項に記載した骨格部材。
【請求項6】
前記反力発生部は、前記易変形部を跨いで互いに対向する二つの衝突部を有する衝突部材であり、
前記各衝突部は、前記柱状部材のうち当該柱状部材の折れ変形量が所定の変形量に達した際に柱状部材の一部を間に挟んで互いに衝突する位置にそれぞれ固定されることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1項に記載した骨格部材。
【請求項7】
前記衝突部材は、前記各衝突部が前記易変形部を跨いで前記柱状部材にそれぞれ固定される板状部材であり、
前記衝突部材の両端が固定される位置は、前記柱状部材のうち当該柱状部材の折れ変形量が所定の変形量に達した際に柱状部材の一部を間に挟んで互いに衝突する位置であることを特徴とする請求項6に記載した骨格部材。
【請求項8】
前記衝突部材は湾曲部を有するとともに前記中空部内に配置され、
前記湾曲部の最大曲率部は、前記柱状部材を前記凹部がある面から見て凹部と重なる位置に形成されることを特徴とする請求項7に記載した骨格部材。
【請求項9】
前記衝突部材は湾曲部を有するとともに前記中空部内に配置され、
前記湾曲部の最大曲率部は、前記柱状部材の断面二次モーメントの中立軸線と柱状部材の軸方向から見て重なる位置に形成されることを特徴とする請求項7または8に記載した骨格部材。
【請求項10】
前記衝突部材は、前記湾曲部の最大曲率部の断面積がその他の部分の断面積よりも小さいことを特徴とする請求項8または9に記載した骨格部材。
【請求項11】
前記柱状部材はエンジンよりも車両下方に配置され、
前記柱状部材は、当該柱状部材と前記エンジンを連結する連結部材を備えることを特徴とする請求項1から10のうちいずれか1項に記載した骨格部材。
【請求項12】
前記連結部材は、前記柱状部材のうち前記易変形部近傍の易変形部よりも車室側の位置と前記エンジンを連結することを特徴とする請求項11に記載した骨格部材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2007−15552(P2007−15552A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−199023(P2005−199023)
【出願日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】