説明

骨移植片複合材料およびスペーサー

【課題】関節固定術用骨移植片代用品物質及びその物質からなるスペーサーに関し、特定な用途において前記物質は骨形成組成物との相乗的な組み合わせにおいて提供。
【解決手段】結合非コラーゲン骨蛋白質を除去するために加工され、自然のコラーゲン物質及び天然結合骨無機質を含み、実質的に自然の非コラーゲン蛋白質を含まない天然の選択的不活性化骨物質と骨成長を刺激するために治療上有効量の前記骨物質内と相乗結合される骨成長因子との組成物を含む骨移植片代用品、前記骨移植片代用品組成物からなるスペーサー、及び前記スペーサーを用いる方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、関節固定術用骨移植片代用品物質およびその物質からなるスペーサーに関する。本発明の特定な用途において、前記物質は、骨形成組成物との相乗的な組み合わせにおいて提供される。
【背景技術】
【0002】
椎骨の融合は、構造的奇形、外傷性不安定性、変性不安定性、および切除後医原性不安定性などの苦痛な脊椎の運動および不調に関する脊柱の安定化を与えるとされる。融合、即ち、関節固定術は、隣接する可動分節の間に骨ブリッジを形成することにより達成される。これは、椎間板間隙の内部、腹側に近接した椎体の間、または後方に連続的な横突起、板もしくは椎骨の他の後方部の間で達成できる。
【0003】
骨ブリッジ、すなわち、融合の塊は、生物学的に骨格損傷の際身体により生成される。この正常な骨治癒応答は、融合部位に沿って椎骨損傷状態を作り直し、ついで骨を治癒させることにより、融合を異常な椎骨セグメントに誘導するために、外科医により用いられている。融合を成功させるには、骨形成もしくは骨潜在性細胞の存在、十分な血液供給、十分な炎症性応答、および局部骨の適切な準備が必要とされる。この生物学的環境は、典型的には皮質除去、すなわち、導管の格子状骨を露出するための外部皮質骨の除去、および十分な量の高品質移植片物質の堆積により、外科設定において提供される。
【0004】
融合、すなわち、関節固定術手順は、しばしば椎間板を含むアノモリーを治療するために実施される。隣接する椎骨の終板の間に位置する椎間板は、椎骨を安定化させ、椎骨の間に力を与え、椎骨体を保護する。普通の椎間板は、半ゲル状の部材、髄核を含み、髄核は、線維輪と呼ばれる外側の線維状の環に囲まれ、閉じ込められている。健全な、損傷のない椎骨においては、線維輪は、髄核が椎間板スペースの外部に突出するのを防ぐ。
【0005】
脊椎の椎間板は、トラウマ、病気、もしくは老化により変位もしくは損傷し得る。線維輪の崩壊は、髄核を脊柱管に突出させるが、これは普通ヘルニアもしくは破裂椎間板として言及される状態である。突き出た髄核は、脊髄神経を押し付け、結果として、神経損傷、苦痛、無感覚、筋肉弱化、および麻痺を起こしかねない。椎間板は、正常な老化工程もしくは病気によっても低下し得る。椎間板が脱水し硬化するにつれ、椎間板スペース高さは、減少して椎骨の不安定性、低下した運動性および苦痛に至る。
【0006】
ときには、これらの状態の兆候からの唯一の救いが、椎間板切除、すなわち、隣接する椎骨の融合を伴う椎間板の一部もしくは全部の外科的除去である。損傷もしくは不健全椎間板の除去は、椎間板スペースを崩壊させる。椎間板スペースの崩壊は、激しい痛みに加えて、椎骨の不安定性、異常な接合力学、関節炎もしくは神経障害の尚早な発達を起こし得る。椎間板切除および関節固定術による苦痛からの救いは、椎間板スペースの保護、および結果として病に冒された運動セグメントの融合を必要とする。
【0007】
骨移植片が、椎間板スペースの崩壊を防ぎ、椎間板スペースを横切る隣接する椎骨の融合を促進するために、椎間板を満たすのにしばしば用いられる。かつての技術においては、骨物質は、単に隣接する椎骨間に、典型的には椎骨の背側面に置かれ、椎骨は、冒された椎骨をつなぐ板もしくはロッドにより安定化された。いったん融合が起こると、セグメントの安定性を維持するために使用されるハードウエアは、よけいなものとなり、永久的な異質体だった。さらに、融合中レベルを安定化するためにロッドもしくは板を移植するために必要な外科手順は、しばしば長たらしいもので、巻き込まれるものだった。
【0008】
したがって、切除した椎間板スペースの安定化にもっと最適な解決は、好ましくは腹側および背側のプレーティングを必要とすることなく、それぞれの終板の間の椎骨を融合させることであると、決定された。少なくとも完全な関節固定術が成就されるまで、損傷椎間板を取り替え、隣接する椎骨間の椎間板インタースペースの安定性を維持するために、許容できる椎間板内移植を発達させるための数多くの試みがあった。成功するためには、移植は、一時的援助を与え、骨の内方生長を可能としなければならない。椎間板切除および融合手順の成功は、固体の塊を造るために骨の絶え間ない成長の発達を必要とするが、それは移植は、患者の命にとって周期的な圧搾的椎骨負担に耐えられない可能性があるからである。
【0009】
椎間板の除去後、椎間板スペースを回復させる多くの試みが、金属装置に頼っている。Brantiganによる米国特許第4,878,915号は、固体金属プラグを教示している。Rayによる米国特許第5,044,104号、第5,026,373号および4,961,740号;Michelsonによる第5,015,247号、およびHarms等による米国特許第4,820,305号;Bohler等による米国特許第5,147,402号、およびBrantiganによる第5,192,327号は、中空金属ケージ構造体を教示している。不幸にも、物質の剛性により、ある金属移植片は、骨移植片を応力遮蔽し、融合に要される時間を増加させ、骨移植片をケージ内で再吸収させる。沈下、すなわち、装置の骨への沈降も、金属移植片が椎骨間に移植されたとき、もし融合が遅れると生じる可能性がある。金属装置も、決して融合塊に完全に取り込まれることがあり得ない異質体である。
【0010】
種々の骨移植片および骨移植片代用品も、骨形成を促進し、金属移植片の不利を避けるために、用いられてきた。自家移植片は、それが骨誘発性(osteoinductive)であるため、しばしば好まれる。同種移植片および自家移植片ともに、のろい置換工程により、患者自身の骨と時間をかけて交換される生物学的物質である。時間がたつと、骨移植片は、その有用な寿命後も長く存続する金属移植片と違って、実質的に消失する。応力遮蔽は避けられるが、それは、骨移植片が周囲の骨と類似の弾性率を有するからである。普通使用される移植片物質は、皮質および格子状骨をはるかに越える剛性値を有する。チタン合金は、114 Gpaの剛性値を有し、316Lステンレススチールは、193 Gpaの剛性を有する。他方、皮質骨は、約17 Gpaの剛性値を有する。さらに、移植片としての骨は、また優れた手術後イメージングを可能とするが、それは、CTもしくはMRIイメージングにおける金属移植片のような散乱を生じないからである。
【0011】
椎間板の除去後、椎骨内スペースを満たすために、骨もしくは移植片代用品物質から、種々の移植片が考案されてきた。例えば、Clowardドエルは、イリウム製の同種異系もしくは自己生産プラグに穴をあけて作られた円形移植片である。Clowardドエルは、2つの皮質表面の間に多孔質格子状骨を有する二皮質である。そのようなドエルは、比較的劣った生体力学的特性、特に、低圧縮応力を有する。したがって、Clowardドエルは、椎骨の極度の周期的負担の下では、融合に先立って崩壊する危険があるため、内部固定なくしては椎骨内スペーサーとしては適切ではない。
【0012】
大きな生体力学的特性を有する骨ドエルは、フロリダ大学Tissue Bank, Inc., 1 Progress Boulevard, P.O. Box 31, S. Wing, Alachua, Florida 32615により製造され、市販されている。同種異系大腿骨もしくは頚骨骨瘤からの一皮質ドエルが、入手可能である。フロリダ大学は、また卓越した力学的特性を有する骨幹の皮質ドエルも開発した。このドエルも、ドナーの長骨の存在する髄質導管により形成される自然形成腔を有するという利点を提供する。腔には、骨もしくは生体セラミックなどの骨形成物質を充填することができる。
【0013】
不幸にも、骨移植片の使用は、いくつかの欠点を示す。自家移植片は、ほんの限られた量でしか入手できない。また、追加手術は、感染および血液損失の危険を増し、ドナー側の構造的一体性を低下させ得る。さらに、移植片採取手術が、融合手術よりももっと短期および長期の苦痛をもたらすと、苦情を述べる患者が存在する。
【0014】
同種のドナーから得られる同種移植片物質は、もっと容易に得られる。しかし、同種異系骨は、自己生産骨の骨誘発潜在力を有さず、したがって、ほんの一時的な援助しか提供できない。同種移植骨を使用する融合の遅い速度は、融合が達成される前に椎間板スペースの崩壊に至る可能性がある。
【0015】
同種移植片も自家移植片も、さらなる難点を示す。移植片だけでは、椎骨の負担に耐えるに要される安定性を提供できない。内部固定が、この問題に答えるが、しかしながら、金属固定装置の欠点に加えて、もっと複雑な手術の必要性などそれ自体の欠点を示す。また、手術は、しばしば、椎間板スペースを満たし、安定化させる正確なサイズを得るために、移植片物質を繰り返し切り取る必要がある。この試行錯誤のアプローチは、手術に要される時間を延長する。さらには、移植片物質は、普通、隣接する椎骨間の良好な摩擦適合性を与えない平らな表面を有する。移植片の滑りは、椎間板スペースの崩壊の他に、神経系かつ導管の損傷を生じかねない。滑りが起こらなくても、移植片/融合部位界面での微細運動が、融合に必要な治癒工程を崩壊させ得る。
【0016】
いくつかの試みが、金属移植片および骨移植片の利点を捉えながら、両者の欠点を避ける骨移植片代用品を開発するためになされてきた。例えば、Unilab, Inc.は、ヒドロキシアパタイトおよびウシのコラーゲンからなる種々の椎骨移植片を市販している。いずれの場合でも、金属の生体力学的特性、および骨の生物学的特性を有する移植片を、両者の欠点なしで開発することは、極めて困難であるか、もしくは不可能であった。
【0017】
これらの欠点は、骨修復の細胞事変の複雑なカスケードを制定する生活性物質の検討に至った。そのような物質には、代用のもしくは付属の移植片物質として使用される骨形態発生蛋白質が含まれる。骨マトリックスからの骨誘発因子クラスである、骨形態発生(morphogenic)蛋白質(BMPs)は、破損もしくは手術の骨部位に移植されると、骨形成を誘発できる。組換え的に生成されたヒトの骨形態発生蛋白質-2(rhBMP-2)は、いくつかの動物のモデルにおいて、骨格欠陥における再生骨に有効であると示された。そのような蛋白質の使用は、適宜のキャリヤーおよび融合スペーサー設計に対する需要に至った。
【0018】
より安全な骨移植片物質に対する需要により、バイオセラミックなどの骨移植片代用品は、近年かなりの注目を浴びている。挑戦は、金属移植片および骨移植片の利点を捉えながら、両者の欠点を避ける骨移植片代用品を開発することである。燐酸カルシウムセラミックは、生適合するが、同種移植片物質の伝染性もしくは免疫性関心を示さない。セラミックは、自家移植骨移植片物質に対して大きな利点である量で調製できる。さらに、バイオセラミックは骨伝導性(osteoconductive)であり、骨部位における骨形成を刺激する。バイオセラミックは、新しい骨の成長を鼓舞する多孔質マトリックスを提供する。不幸にも、セラミック移植片は、典型的に高い椎骨負担を支える強度に不足しており、したがって融合前に別の固定を必要とする。
【0019】
燐酸カルシウム(TCP)セラミック中、ヒドロキシアパタイト(HA)および燐酸トリカルシウムセラミックが、骨移植にもっとも一般的に使用されてきた。ヒドロキシアパタイトは、無機骨物質に化学的に類似していて、骨と生適合する。しかし、それは次第に分解する。β-燐酸トリカルシウムは、生体内で急速に分解し、あまりに弱いので、融合が起こるまで、椎骨の周期的負担の下で援助を提供できない。金属の生体力学的特性、および骨の生物学的特性を有する移植片を、両者の欠点なしで開発することは、極めて困難であるか、もしくは不可能であった。
【0020】
天然の骨無機質は、以前信じられていたほどには、ヒドロキシアパタイトの化学および構造に実際は近くないことが、最近明らかになった。(Spector, 21 Clinics in Plastic Surgery 437-444, 1994、その内容は、すべて本明細書に取り込まれる。)天然の骨無機質は、カーボネートイオン、マグネシウム、ナトリウム、ヒドロゲノホスフェートイオン、および微量元素を含む。また、骨無機質は、HAとは異なる結晶性構造を有する。骨化学の他の詳細は、Spectorによる米国特許第4,882,149号に開示されている。骨の化学および微細構造をまねることは、有利な弾性率および再吸収率を得るために重要である。
【0021】
骨の微細構造に近い物質を作るために、いくつかの試みがなされてきた。あるものは、骨無機質を産出するために、骨から有機物質を除去することを開示している。その物質のいくつかは、例えば、米国特許第5,417,975号に開示されるような薬物キャリヤーとして使用される。Spectorによる米国特許第4,882,149号は、脂肪および骨蛋白質を含まない骨無機質物質を記載している。結果は、骨成長蛋白質を輸送するために使用できる粉末状で、脆性の放射線不透過性物質である。Spectorの無機質は、合成燐酸カルシウムセラミックよりも天然の骨無機質に近いと思われるが、それを成形物に造形できる特徴を有さない。宮田等による米国特許第4,314,380号、および第5,573,771号は、コラーゲンもしくはゼラチンを骨無機質に添加することを開示している。しかし、蛋白質のすべてが治療される骨から除去されると、結晶性構造が破壊されるので、これらの物質がどのくらい骨の天然の構造に近いのかは不明である。Urist等(110 Arch Surg 416, 1975)は、物質の形態発生潜在力を保護すると考えられる化学滅菌抗原抽出自家消化同種移植片を開示している。これらの物質のいずれも、天然の骨と同一である非コラーゲン無蛋白質骨無機質を産出するとは思われない。
【0022】
骨の内方生長を刺激し、金属移植片の不利を避けるが、隣接する椎骨が融合されるまで、椎骨を支えるに十分な強さを与える融合スペーサーに対する需要が、依然として存在する。
【0023】
また、自家移植片の不利なしで、自家移植片の骨形成(osteogenic)潜在力、および感染性もしくは免疫抗原性複雑化の低リスクを与える骨移植片代用品に対する需要も、依然として存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】米国特許第4,878,915号
【特許文献2】米国特許第5,044,104号
【特許文献3】米国特許第5,026,373号
【特許文献4】米国特許第4,961,740号
【特許文献5】米国特許第5,015,247号
【特許文献6】米国特許第4,820,305号
【特許文献7】米国特許第5,147,402号
【特許文献8】米国特許第5,192,327号
【特許文献9】米国特許第4,882,149号
【特許文献10】米国特許第5,417,975号
【特許文献11】米国特許第4,314,380号
【特許文献12】米国特許第5,573,771号
【非特許文献】
【0025】
【非特許文献1】Spector, 21 Clinics in Plastic Surgery 437-444, 1994
【非特許文献2】Urist等(110 Arch Surg 416, 1975
【発明の概要】
【0026】
本発明の1つの態様によれば、骨移植片組成物、および骨移植片組成物からなる椎骨スペーサーが提供される。1つの態様では、本発明は、骨成長因子と相乗的に組み合わされた不活性化骨移植片組成物を提供する。
【0027】
本発明の1つの目的は、天然無機質構造、非免疫原性、安全性、および自家移植片の骨誘発潜在力を有する骨移植片代用品を提供することである。本発明のもう1つの目的は、椎間板スペースを回復させ、骨の内方生長を鼓舞して応力遮蔽を避けながら脊椎を援助する、椎骨間で働くスペーサーを提供することである。
【0028】
本発明の1つの利点は、骨移植片に関連する問題の多くを解決することである。不活性化工程は、骨の天然の微細構造を維持しながら、免疫原性および病気を起こすエージェント(agent)を除去する。この特徴は、実質的に無制限の供給で入手可能な異種移植に使用を可能とする。移植片を骨成長因子で強化させることは、自家移植片を採取する苦痛および危険を不必要とする。追加の利点は、本発明が、融合が起こる前に、骨成長のための安全な骨組みを与えることである。本発明のさらなる利点は、融合速度が増加したために、金属ケージもしくは内部固定を必要とせずに、骨移植片の使用を可能とすることである。本発明の他の目的および利点は、下記記載および図から、当業者には明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、本発明による選択的不活性化骨BMP複合ドエルの平面斜視図である。
【図2】図2は、L15と仙骨との間の両側ドエル配置を示す。
【図3】図3は、チャンバを有する皮質ドエルの斜視図である。
【図4】図4は、本発明によるドエルの側面斜視図である。
【図5】図5は、本発明の別のドエルの断面図である。
【図6】図6は、図5に示されるドエルの側面図である。
【図7】図7は、骨形成物質を充填した選択的不活性化皮質環である。
【図8】図8は、本発明により提供される、別の選択的不活性化皮質環の実施態様である。
【図9】図9は、本発明により提供される皮質環の別の態様である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
好ましい実施態様の説明
本発明の原理の理解を促進させる目的で、図面に説明される実施態様を参照し、それらを説明するために特定の言語を使用する。しかしながら、説明するスペーサーにおける改変および改質など、本発明の範囲の限定は意図されものではなく、そこに説明される本発明の原理の適用は、本発明が関与する当業界における熟練者により普通に企図されることは理解されよう。
【0031】
本発明は、骨移植片代用組成物、スペーサー、および外科手順を提供する。骨移植片組成物には、骨形態発生蛋白質(BMP)などの骨形成物質と相乗的に組み合わされた選択的不活性化骨移植片が含まれる。骨移植片は、選択的に不活性化され、細胞物質、脂肪、および非コラーゲン蛋白質のすべてを除去する。好ましい実施態様において、遊離コラーゲンも、骨の柱構造を形成する骨無機質と結合する構造的もしくは結合コラーゲンを残して、除去される。移植片は脱蛋白質および脱脂肪されるが、それは依然として骨の天然結晶性構造を含む。したがって、本発明の不活性化骨は、病気伝播もしくは重要な免疫原性の危険なしで、骨の天然の微細構造を有する。
【0032】
骨の天然の結晶性構造は、構造的コラーゲンの存在により維持される。これは、好ましい物理的特徴を有する選択的不活性化骨物質を産出する。構造的コラーゲンおよび骨の天然無機質構造の存在は、骨と同一もしくはほとんど同一の弾性および放射線不透過性をもたらす。その物質は、形成された本体を維持するに十分なレジリエンスおよび弾性を有し、しかも骨蛋白質間に開放スペースを維持するに十分剛性で、融合塊を生じる。脱無機質骨マトリックスなどの他の同種移植片物質は、支持体の助けなくこれを成就するための最適物性を有さない。
【0033】
本発明の選択的不活性化骨物質が、骨形態発生蛋白質などの骨形成因子と結合すると、複合材料は、理想的な骨移植片代用品である。この複合材料は、骨の天然燐酸カルシウム構造を有する。このことは、複合材料に2、3ヶ月の望ましい再吸収率を与える移植片物質の取り込みおよび置換を容易にする。これは、典型的に速すぎるか、遅いか、もしくは予測できない既知の物質の再吸収率に有利に匹敵する。例えば、同種移植片は、典型的に12〜60ヶ月以内に再吸収されるが、他方、患者による免疫原性応答により融合が起こり得る前に、あまりにも急速に再吸収する可能性がある。
【0034】
BMPと、本発明による選択的不活性化骨移植片を有する他の骨形成因子との組みドエルが、採取手術の必要なく、自家移植片の骨誘発潜在力を与える。本発明の骨誘発複合材料は、移植片への骨の成長および移植片の取り込みを高め、移植片のみよりも早い融合をもたらす。同種移植片だけでは、典型的に取り込みに何ヶ月も必要とし、ときには決して十分には取り込めず、単に患者の骨内に入れられているにすぎない。本発明により提供される約5ヶ月以内に起こる速い融合は、移植片のあまり望ましくない生体力学的特性を補償し、内部固定および金属体内融合装置の使用を不要とする。本発明のスペーサーは、スペーサーに対する生体力学的要求を減少する早い融合率のために、非常に長く椎骨の周期的負担を支えることが要求されない。しかし、必要なときは、本発明の組成物が、内部固定装置とともに使用できるし、あるいは、同時に係属している出願、1997年6月11日に出願された米国特許出願シリアル番号08/872,689号に開示されるように、強化できる。
【0035】
本発明により提供されるさらなる利点は、骨が選択的に不活性化されるので、移植片は、自己発生性、同種異系性もしくは外因性であり得る。病気を起こすか、もしくは患者の体に拒絶を促す骨の成分は、不活性化工程で除去される。ウシの骨など、外因性の骨は、実質的に無限の供給で入手可能である。いくつかの骨形成因子も、組換えDNA技術のおかげで、無限の供給で入手可能である。したがって、本発明は、供給、免疫原性、病気伝播、もしくは追加手術を含めて、自家移植片、同種移植片、および異種移植片に関連する問題のすべてを解決する。
【0036】
本発明は、骨の無機質が、骨形態発生蛋白質などの骨形成因子にとって優れたキャリヤーであるという発見を利用するさらなる利点を提供する。化学組成において皮質骨における無機質と非常に類似するヒドロキシアパタイトは、骨形成因子結合剤であり、ある蛋白質を融合部位に送達する速度を制御する。ヒドロキシアパタイトなどの燐酸カルシウム組成物は、骨形態発生蛋白質を結合し、融合が起こり得る前に、BMPがスペーサーから尚早に消散するのを防ぐと考えられる。また、薬剤によるBMPの保留は、蛋白質が、装置内で、完全で急速な骨形成、および最終的には椎間板スペースを横切る融合を促す速度で、間葉幹細胞の骨生成細胞もしくは骨芽細胞への転換を着手するのを可能とすると信じられている。本発明のスペーサーは、自然に結合し、骨形態発生蛋白質などの骨形成因子の制御された送達を与える、選択的不活性化骨からなる荷重支持部材を含む利点を有する。
【0037】
また、本発明は、金属のような皮質骨は、ここに開示される種々の形に好都合に機械で作れるという発見を利用している。いくつかの実施態様において、荷重支持部材は、外面に係合部(thread)を定める。係合部など、機械加工された表面は、かつては金属移植片でしか入手できなかったいくつかの利点を与える。係合部は、平らな表面で得られるよりも良好なスペーサー挿入の制御を可能とする。
【0038】
このことは、外科医が、スペーサーをもっと正確に配置させることを可能とし、これは、椎骨の臨界的な神経構造および導管構造の周辺では極めて重要である。また、係合部などは、増加した表面積を与えるが、それは、ドナーの骨物質の取り替えおよび融合に関する骨治癒およびのろい置換工程を容易にする。これらの特徴は、また隣接する椎骨終板を用い、排除を防ぐためにスペーサーを据え付けることにより、スペーサーの手術後安定性を増加させる。これは、平滑な移植片に対する主要利点である。また、表面特徴は、骨-スペーサー界面を安定化し、微細運動を減少させて取り込みおよび融合を容易にする。
【0039】
本発明の骨移植片代用品組成物は、従来方法により調製できる。ヒトもしくは動物源の骨を、既知の手順により得る。骨を、組織および血液を除去するために洗浄し、ついで細胞物質、脂肪、および非コラーゲン蛋白質を除去するために、薬剤で処理する。典型的な薬剤には、アルコールおよびペロキシドが含まれる。好ましい実施態様において、骨物質は、また、結合もしくは構造的コラーゲンを残して、遊離コラーゲンを除去するために処理される。これは、骨物質の構造的一体性を曲げることなく、免疫原性を減少させる。遊離コラーゲンおよび残存する脂肪を除去するための1つの好ましい薬剤は、ドデシルスルフェートナトリウム(SDS)である。ついで、不活性化骨物質は、好ましくは脱イオン水で洗浄され、適宜の方法により滅菌される。
【0040】
同種移植片ドエルは、梱包新鮮凍結されるか、凍結乾燥されるが、好ましくは凍結乾燥される。滅菌は、無菌加工により実施されるか、あるいは、ETO、E-光線、もしくはガンマ照射、好ましくはガンマ照射により終末で滅菌される。ガンマ照射は、激しくない環境的に制御された条件下で、同種移植片の達成および加工を可能とするが、それは終末滅菌が、有意義に高度の無菌性を与えるからである。
【0041】
好ましい不活性化骨物質は、フロリダ大学Tissue Bank, Inc. (UFTB)1 Innovation Drive, Alachua, Florida 32615, 904-462-3097もしくは1-800-OAGRAFTから入手可能である。この物質は、非免疫原性、無病気の選択的不活性化骨生成物を残して、非コラーゲン骨蛋白質のすべてを除去するために、処理されてきた。この製品は、天然の無機質、所望の形を維持するコンシステンシーを有する骨の微細結晶性構造を有する。UFTB製品も、既知の処理済骨製品のすべての天然の骨にもっとも近い微細構造を有しているので、好まれる。この骨製品も、天然の骨の放射線不透過性を有し、SpectorおよびGeistlichの骨製品の緻密な白いイメージを示さない。UFTB製品も、特に、骨形成因子と結びつくと、卓越した再吸収性を与える。再吸収は、SpectorおよびGeistlichの物質の数年、もしくはUrist製品の2、3週間に対して、数ヶ月以内に有利に起こることが発見された。物質が骨成長因子と結びつくと、再吸収時間は、融合および骨治癒に必要な骨ブリッジを形成するのに十分である。UFTB物質も、正常な骨に類似する弾性を有するが、SpectorおよびGeistlichの物質は、脆性で弱いことが発見された。
【0042】
本発明の骨物質は、好ましくは骨形成組成物、あるいは骨成長因子もしくは蛋白質を含む物質と相乗的に組み合わされる。骨形成物質は、移植片に骨形成組成物を含む溶液をしみ込ませることにより、骨物質に適用できる。同種移植片は、同種移植片に蛋白質を吸収させるために十分な時間、浸す。追加蛋白質を、送達ビヒクルの蛋白質の取り込みにより同種移植片とともに使用し、同種移植片の周囲もしくは中に配置できるだろう。いくつかの実施態様において、骨形成組成物を、物質の体内に定められたチャンバに充填することができる。組成物は、手術中に外科医により適用され得るし、もしくはスペーサーが、前適用の組成物とともに供給され得る。そのような場合、骨形成組成物は、輸送および貯蔵のために、凍結乾燥などにより安定化できる。安定化組成物を、食塩水もしくは水などの無菌流体、あるいは移植前後に適用された体液で、再水和および/または再活性化できる。ここで用いられる骨形成組成物という語は、天然、合成および組換え蛋白質、ホルモンなどを含む、骨の成長および治癒を促進する実質的にいかなる物質をも意味する。
【0043】
本発明に使用される骨形成組成物は、好ましくは薬学的に許容できるキャリヤー中の骨形態発生蛋白質などの実質的に純粋な骨誘発因子の、骨成長もしくは治療を刺激もしくは誘発するのに治療上有効な量を含んでなる。好ましい骨誘発因子には、それらに限定はされないが、組換えヒト骨形態発生蛋白質(rhBMPs)が含まれるが、それは、それらが無制限の供給で入手でき、伝染病を伝播しないからである。もっとも好ましくは、骨形態発生蛋白質は、rhBMP-2、rhBMP-4、もしくはそれらのヘテロダイマーである。rhBMP-2の濃度は、一般に約0.4 mg/ml〜約1.5 mg/ml、好ましくは1.5 mg/mlほどである。しかし、いずれの骨形態発生蛋白質も、BMP-1〜BMP-13と称される骨形態発生蛋白質を含んで企図される。BMPsは、Genetics Institute, Inc., Cambridge, Massachusettsから入手可能であり、また、Wozney等による米国特許第5,187,076号;Wozney等による第5,366,875号;Wang等による第4,877,864号;Wang等による第5,108,922号;Wang等による第5,116,738号;Wang等による第5,013,649号;Wozney等による第5,106,748号;およびWozney等によるPCT特許第WO93/00432号;Celeste等による第WO94/26893号;およびCeleste等による第WO94/26892号に記載されるような技術における熟練者により調製できる。すべての骨誘発因子が、前記のようにして得られたものであれ、もしくは骨から単離されたものであれ、企図される。骨形態発生蛋白質を骨から単離する方法は、UristおよびUrist等による米国特許第4,294,753号、81 PNAS 371, 1984に記載されている。
【0044】
骨形成組成物用キャリヤー物質の選択は、所望の用途、生体適合性、生体分解性、および界面特性に基づいている。骨成長誘発組成物は、骨物質の細孔に、いずれか適宜の方法により導入できる。例えば、組成物は、移植片の細孔に注入できる。他の実施態様において、組成物は、移植片上に滴り落とされるか、あるいは移植片は、骨誘発を刺激する有効量の組成物を含む溶液に浸すか、溶液を噴霧される。いずれの場合も、細孔は、液体が完全に移植片を浸すに十分な時間、組成物に暴露される。骨形成因子、好ましくは、BMPは、凍結乾燥された形で提供でき、無菌水、生理的食塩水、もしくは他の適宜のキャリヤーなどの薬学的に許容できる液体もしくはゲルに再構築される。キャリヤーは、蛋白質をスペーサーに送達できる適宜の媒体であり得る。好ましくは、媒体は、当業界で既知の緩衝液で補足される。本発明の特定な実施態様において、rhBMP-2は、水、食塩水、液体コラーゲン、もしくは注射可能な燐酸二カルシウムなどのキャリヤー中に、懸濁もしくは混入される。もっとも好ましい実施態様においては、BMPは、移植片の細孔に適用され、ついでリフォライズもしくは凍結乾燥される。ついで、移植片-BMP組成物を、貯蔵と輸送のために凍結することができる。あるいは、骨誘発蛋白質は、手術の際添加できる。
【0045】
他の骨誘発蛋白質キャリヤーは、蛋白質を骨物質内に定められたチャンバ、もしくは骨物質の移植部位周辺の場所に送達するのに役立つ。可能なキャリヤーには、硫酸カルシウム、ポリ乳酸、ポリ無水物、コラーゲン、燐酸カルシウム、高分子量アクリル酸エステル、および脱無機質骨が含まれる。キャリヤーは、蛋白質を送達できる適宜のキャリヤーでよい。もっとも好ましくは、キャリヤーは、体内に最終的に再吸収され得る。1つの好ましいキャリヤーは、Integra LifeSciences Corporationから、商品名Helistat(登録商標)Absorbable Collagen Hemostatic Agentの下で市販されている吸収性コラーゲンスポンジである。別の好ましいキャリヤーは、連続気泡ポリ乳酸ポリマー(OPLA)である。組成物用の他の可能なマトリックスは、生体分解可能で、化学的に定義される硫酸カルシウム、燐酸トリカルシウム(TCP)およびヒドロキシアパタイト(HA)、かつ注射可能な燐酸二カルシウム(BCP)を含む燐酸カルシウム、ならびにポリ無水物であり得る。他の可能な物質は、骨もしくは真皮コラーゲンなど、生体分解可能で、生物由来である。さらなるマトリックスは、純粋な蛋白質もしくは細胞外マトリックス成分からなる。骨誘発物質も、EMPおよびポリメチルメタクリルなどの高分子量アクリル酸エステルキャリヤーの混入物であり得る。
【0046】
本発明のスペーサーのチャンバに充填をするために、好ましくはキャリヤーは、チャンバ内に圧縮され得るスポンジとして、もしくはチャンバにドエルて折りたためるストリップあるいはシートとして与えられる。好ましくは、キャリヤーは、チャンバの幅と長さよりもやや大きい幅と長さを有する。もっとも好ましい実施態様において、キャリヤーは、rhBMP-2溶液をしみ込ませ、ついでチャンバ内に圧縮される。スポンジは、ドエルの壁に対してスポンジにより与えられる圧縮力により、チャンバ内に保持される。キャリヤーがチャンバの開口部から延長して、骨形成組成物の融合部位を囲む高繊管束組織との接触を容易にすることが、好ましいかもしれない。また、キャリヤーは、チャンバ内にドエルてサイズを定めたいくつかのストリップで与えることもできる。ストリップは、内部を充填するために、互いに向き合って配置できる。折りたたんだシートのように、ストリップを、スペーサー内にいくつかの整列で配置できる。好ましくは、骨形成物質は、スポンジ、単一の折りたたんだシート、もしくはいくつかの重なるストリップのいずれの形で与えられても、チャンバの長さと幅に対応する長さを有する。
【0047】
もっとも好ましいキャリヤーは、二相燐酸カルシウムセラミックである。ヒドロキシアパタイト/燐酸トリカルシウムセラミックは、その望ましい生体活性特性および生体内での分解率ゆえに好まれる。ヒドロキシアパタイト対燐酸トリカルシウムの好ましい割合は、約0:100〜約65:35である。荷重支持部材内に定められるチャンバに適合するいかなるサイズおよび形のセラミックキャリヤーも、企図される。セラミックブロックは、Sofamor Danek Group, B. P. 4-62180 Rang-du-Fliers, France、およびBioland, 132 Route d’Espagne, 31100 Toulouse, Franceより、市販されている。もちろん、長方形もしくは他の適宜の形も、企図される。骨誘発因子は、キャリヤー内にいずれかの適宜の方法により導入される。例えば、キャリヤーを、因子を含む溶液に浸すことができる。
【0048】
本発明は、隣接する骨間のスペースを維持するためのスペーサーも提供する。
スペーサーは、骨成長因子と相乗的に組み合わされた選択的不活性化骨移植片からなる本体を含む。骨源は、頚骨、脛骨(fibial)、上腕骨、腸骨などを含み、好ましくは、椎骨由来の、適宜の骨物質である。本発明の本体には、平らなスペーサー、骨ドエル、皮質環、骨チップ、および他の適宜に造形された骨片が含まれる。好ましい本体は、移植片内に自然なチャンバを形成する髄質導管を有する長骨の骨幹から得られる。
【0049】
図1に描かれる特定の実施態様において、本発明は、患者内の隣接する骨間のスペースを維持するためのスペーサー10を提供する。スペーサー10には、スペース内に適合するようサイズを定め、造形した荷重支持部材もしくは本体11が含まれる。本体11は、好ましくは、結合非コラーゲン骨蛋白質を除去するように加工された天然の選択的不活性化骨物質からなる。骨物質は、自然のコラーゲン物質および天然結合骨物質を含むが、実質的に自然の非コラーゲン蛋白質を含まない。骨物質の化学的組成は、それが造形本体を弾性的に保持することを可能とする。本体の形が、好ましくは形成され、骨物質が不活性化される前に、本体は機械にかけられて所望の表面特徴を有する。しかし、いくつかの実施態様において、骨の塊は、不活性化され、ついで、造形もしくは機械にかけられて特定な本体を形成する。
【0050】
図1および2を参照すると、いくつかの実施態様において、本体11は、ドエルとして造形される。ドエルに造形された本体は、骨が融合される椎骨であるときは、好まれるときがある。ドエル10には、スペースIVSを維持するために、椎骨内スペースIVS内の働きにサイズを合わせた壁12が含まれる。壁12は、隣接する椎骨に接触させるための外部かみ合い表面13を定める。壁12は、好ましくは骨ドエル10が、隣接する椎骨V間のスペースIVSの高さh、もしくは図2に描かれるように、もっとも低い腰椎L5と仙骨Sとの間のスペースの高さよりも大きい直径dを有するように、円筒形になっている。
【0051】
図3に描かれる別の実施態様において、本体は、かみ合い表面23を有する壁22を含む骨ドエル20である。壁22は、それを通してチャンバ25を定める。好ましくは、荷重支持部材は、チャンバ25を形成する髄質導管を有する長骨の骨幹から得られる骨移植片である。そのようなドエルは、UFTBから入手できる。チャンバ25には、骨誘発を刺激するために、骨形成組成物を充填することができる。チャンバ25は、好ましくは、組成物が、隣接する椎骨の終板と最大限に接触するように、一対の外部かみ合い表面23を通して定められる。図4を参照して、スペーサー20は、好ましくは、椎骨索をチャンバ25内に充填された物質の逃げもしくは漏れから保護するために配置できる固体保護壁26を含む。腹側のアプローチでは、保護壁26は、背側である。好ましくは、骨形成組成物は、チャンバの長さよりも大きい長さを有し(図5および6)、かつ組成物は、スペーサー20'が椎骨間に移植されるとき、隣接する椎骨の終板に接触するためにチャンバ25内に配置される。このことは、骨誘発を刺激するために、組成物の終板との良好な接触を提供する。
【0052】
種々の特徴が、本発明のドエルの外面上に機械で作られる。図3に示される実施態様において、ドエル20には、係合部24を定める外部かみ合い表面23が含まれる。再び図1を参照して、いくつかの実施態様において、ドエル10は、固体保護壁16に対向する壁18内の成形用具かみ合い孔19を有して設けられる。成形用具かみ合い孔19は、外科医に近く、初期係合部17に対向するドエルの表面内に設けられる。腹側手順については、成形用具かみ合い孔19は、ドエル10の腹側表面内に設けられるだろう。他の機械で作られる特徴が、外部もしくは骨かみ合い表面23において企図される。そのような機械特徴には、ぎざぎざをつけることやラチェットをつけることなど、表面をでこぼこにすることが含まれる。
【0053】
本発明のスペーサーは、従来技術および既知の成形用具を用いて挿入できる。
本発明の追加の態様により、スペーサー40などの体内融合スペーサーを移植する方法が、企図される。これらの方法も、共通に指定された、同時に係属している米国特許出願シリアル番号08/604,874、METHOD AND INSTRUMENTS FOR INTERBODY FUSIONに開示されている。本発明のスペーサーは、Sofamor Danek USAのLaproscopic Bone Dowel Surgical Technique, 1995, 1800 Pyramid Place, Memphis, Tennessee 38132, 1-800-933-2635に記載されるような腹腔鏡技術を用いて挿入することもできる。本発明の装置は、標準的な開放腹側腹膜後アプローチよりもはるかに外科手術的に健全なアプローチを有する腹側体内融合を容易にするSofamor Danekの腹腔鏡骨ドエル系内に、都合よく取り込むことができる。この系には、型板、トレフィン、拡張器、リーマー、ポート、および他の腹腔鏡ドエル挿入に必要とされる装置が含まれる。
【0054】
本体は、図7に示される皮質環などの他の形も含み得る。そのような皮質環50は、長骨の骨幹の断面スライスにより得られ、上級表面51および下級表面52を含む。図7に示される移植片は、上級表面51と下級表面52に隣接して、かつ間にある外面53を含む。1つの実施態様において、骨成長貫通孔53aは、融合を容易にするために、外面53を通して定められる。孔53aは、間葉幹細胞をこっそり入らせ、骨成長蛋白質を移植片から拡散させる。このことは、骨移植片の取り込みを容易にし、装置の外部で、かつそれを通して、腹側および側の骨ブリッジングを形成することにより、たぶん融合を促進する。別の実施態様において、外面53は、移植成形用具を受けるための成形用具かみ合い孔54を定める。好ましい実施態様において、少なくとも1つの上級および/または下級表面51、52が、隣接する椎骨の終板をつかむためにでこぼこにされる。表面でこぼこには、図8に示されるような環50'上の歯56、もしくは図9における環50”上に示されるワッフルパターン57が含まれ得る。皮質環が移植片物質として使用されるときは、環50は、図7に示されるより均一な配置のために手入れされるか、もしくは図9に示されるような場所に残され得る。
【0055】
移植片は、頸部の融合のためのSmith-Robinson技術など、現在の外科手術手順に好都合に取り込まれる四角形に形成することもできる(Smith, M.D., G.W. and R.A. Robinson, M.D., “The Treatment Of Certain Cervical-Spine Disorders By Anterior Removal Of The Intervertebral Disc And Interbody Fusion”, J. Bone And Joint Surgery, 40-A:607-624(1958)、および1958年4月22日、Washington, D.C.のHarvey Cushing Society会議における、Cloward, M.D., R.B., “The Anterior Approach For Removal Of Ruptured Cervical Disks”)。そのような手順において、外科医は、椎間板が除去された後移植片を受ける隣接する椎骨本体の終板を調製する。終板は、一般に高速バーで平行する表面となるように調製される。ついで、外科医は、典型的に、移植片が椎骨本体の間に圧縮により保持されるように、骨表面の間にしっかりと固定するために移植片を彫る。骨移植片は、冒された接合部の固体融合を達成するために、構造的支持体を与え、骨の内方生長を促進することを意図する。本発明のスペーサーは、既知のサイズおよび寸法のスペーサーが提供されるので、この移植片を彫る必要を回避する。本発明は、ドナーの手術の必要も回避するが、それは、自家移植片の骨誘発特性が必要とされないからである。スペーサーは、同種移植片を骨誘発性にする骨誘発性物質と組みあわせることができる。したがって、本発明のスペーサーは、外科手術の時間を短縮し、苦痛なドナーの手術を回避し、より早い融合を誘発することにより、患者の回復を早める。
【0056】
下記の特定な実施例は、本発明を説明する目的で与えられ、それによりなんら本発明に対する制限は、意図されていない。
【実施例】
【0057】
実施例1
骨幹皮質骨ドエルの調製
同意済み提供者(即ち、ドナーカード若しくは他の形態での提供者となることの承諾)を、ヒト免疫不全ウイルス、サイトメガロウイルス、B型肝炎、C型肝炎及び他の数種の病原体を含む種々の伝染性疾患並びに病原体について、選別した。これらの試験は、限定はしないが、ELISAアッセイ、PCRアッセイ又は赤血球凝集を含む当業で慣用された多くの方法のいずれによって実行してもよい。これらの試験は、以下の要求項目に従っている:(i)アメリカ組織バンク協会(American Association of Tissue Banks)、組織寄託の技術的手引(Technical Manual for Tissue Banking)、技術的手引-筋骨格組織(Technical Manual-Musculoskeletal Tissues) pages M19-M20;(ii)食品及び薬品管理(The Food and Drug Administration)、暫定規則(Interim Rule)、連邦登録(Federal Register)/Vol. 50, No, 238/Tuesday, December 14, 1993/規則並びに規定(Rules and Regulations)/65517、D. 感染症の試験及び臓器提供者の選別(Infectious Disease Testing and Donor Screening);(iii)MMWR/Vol. 43/No. RR-8、ヒトの組織及び臓器の移植に伴うヒト免疫不全ウイルス感染予防に対する指針(Guidelines for Preventing Transmission of Human Immunodeficiency Virus Through Transplantation of Human Tissue and Organs) pages 4-7;(iv)フロリダ州アドミニストラティブウイークリー(Florida Administrative Weekly), Vol. 10, No. 34, August 21, 1992, 59A-1. 001-014 59A-005(12)(c), F.A.C., (12)(a)-(h), 59A-1. 005(15), F.A.C., (4)(a)-(8)。一連の標準的生化学の試験に加えて、提供者、或いはその近親者は、提供者が、複数の性的相手を持っているか、血友病にかかっていないか、静脈用ドラッグの使用に関係していないか等のような、多数の高度の危険性のある習慣の、いずれかに関係したことがあるかどうかを確認するために、面接を受けた。提供者が受容可能と確認された後、ドエルの入手に有用な骨を取り出しそして清浄にした。
【0058】
ドエルは、長骨の骨幹から横方向切断の栓状物として、ダイヤモンドの先端を備えた切削刃先を使用し、水で清浄にしそして冷却しながら得られた。刃先は、商業的に入手可能で(Starlite, Inc)そして一般的に円形でそして内部空間の直径は約10 mmから約20 mmの間である。内部及び皮層ドエルを得るための機械は、ステンレススチール及び陽極酸化処理をしたアルミニウム製の、空気圧駆動の小型旋盤からなる。これは切削刃と平行に移動するスプリングで引っ張られた可動台を具備する。可動台は、2.54 cm(1.0インチ)のステンレス棒で、そして約20 cm(8.0インチ)の移動距離を持つ二本のレールの上に乗っている。一本のレールは走行棒に止めピン用の穴を持ち、止めピンを所望の穴に設置し、可動台の動きを止める。可動台は、メートル法及びヤード・ポンド法の目盛りを持つつまみにより、両端間で移動可能である。これにより移植片を所定の位置に置くことができる。この可動台上には、ドエルを切削する間、移植片を固定しそして所定の位置に保持する万力がある。万力には、そのあご部に、切削刃との間隙を得るための切り抜き部分がある。旋盤は、所望のRPMを設定するための弁調節器を備えた、空気圧モーターによる駆動系を具備する。
【0059】
最初に、可動台を手動で引き戻しそして止めピンで所定の位置に固定する。第二に、移植片を万力に固定しそして切削刃との位置を調整する。第三に、弁調節器のつまみを使用して、機械を始動しそしてRPMを設定する。第四に、止めピン、これにより移植片は切削刃に掛けられ、ドエルの切り出しが行われる。一旦切削機が移植片を全長にわたって切り出すと、可動台は止めピンの位置で停止する。第五に、滅菌水を使用して切削機からドエルを排出する。これは完全にオートクレーブに収容でき、そしてドエルの切り出し中移植片を保持するステンレススチールの万力及び/又は固定器具を具備している。移植片は、約0.025 mm(1インチの0.001”)以内に設置でき、切削工程でのドエルの均一性が得られる。
【0060】
上記機械に関連して使用される切削刃は、直径5 mmから30 mmの範囲のドエルを製作できそして切削刃の寸法は、10.6 mm;11.0 mm;12.0 mm;13.0 mm;14.0 mm;16.0 mm及び18.0 mmである。切削刃の構成は、ダイヤモンド粉末の切削表面を備えた、ステンレススチールであり、ドエルの壁の表面を非常に滑らかに仕上げる。更に、冷却及びドエルの切削中に移植片及び/又はドエルから切削屑を除去するために、滅菌水を使用している(水注入)(hydro infusion)。水は切削刃の中心を流れ落ちドエルを濡らし同時に水圧で清浄にする。更に、水はドエルを切削機から排出する助けをする。
【0061】
次いでドエルの骨髄の導管から骨髄を除去しそして穴を容器となるように清浄にした。最終的に機械仕上げされた製品は、後日の使用のために、冷凍若しくは冷凍乾燥及び真空密封し、貯蔵してもよい。
【0062】
実施例2
係合部付ドエル
骨幹皮質骨ドエルを上に記載したように調製する。栓状物を次いで、好ましくはクラス10クリーンルームで、所望の寸法に機械仕上げする。機械仕上げは、精密加工旋盤のような旋盤、又はこの目的のため特別に設計しそして適合させた機械加工器具で行うのが好ましい。次いでドエルの前方の壁面を通して穴をあける。次いで、係合部付き挿入器具を受け入れるため、穴にネジを切る。
【0063】
実施例3
不活性化同種移植片
同種移植片を、実施例1記載の標準的に受容された方法を使用して得た。クリーンルーム条件下で、移植片を、円筒形皮質骨ドエルに、所望の最終的な物理的形状及び寸法に切削した。同種移植片を、次いで化学的に処理し、免疫原性及び病気感染の危険性を減少するために、全ての細胞質及び非コラーゲン性タンパク質物質を、酵素的に溶解しそして除去した。移植片を、脂質を溶解するためイソプロパノールアルコールに浸した。移植片を、次いで非コラーゲン性タンパク質及び脂質を除去するため過酸化物に浸した。脱タンパク質化しそして脱脂質した移植片を、次いで、構造性コラーゲンを残し、遊離のコラーゲン及び全ての残存する脂質を除去するためにSDSに晒した。不活性化した移植片を次いで脱イオン水で洗浄し化学薬品及び屑を洗い落とした。ガンマ線照射による最終滅菌を次いで使用した。得られた移植片は主として構造性コラーゲン及び天然の骨の無機物質からなる。
【0064】
実施例4
滴下法による不活性化骨質ドエル-rhBMP-2複合物の調製
係合部付不活性化ドエルを実施例1及び2に記載の方法により得る。
【0065】
ガラス瓶内の4.0 mgの冷凍乾燥したrhBMP-2(Genetics Institute)を、以下により4.0 mg/mL溶液を得るため、1 mLの注射用滅菌水(Abbott Laboratories)により溶解する:
1. 3-ccシリンジ及び22G針を使用し、1.0 mLの注射用滅菌水を、冷凍乾燥したrhBMP-2の入ったガラス瓶に、ゆっくりと注入する。
2. 澄んだ溶液が得られるまで、ガラス瓶を静かに回すように振る。強くは振らない。
【0066】
以下の希釈スキームを、適当なrhBMP-2濃度を得るため使用する。この希釈物は、二個のドエルに十分な量を与える。希釈は、以下によって行なう:
1. 5-ccシリンジを使用して、4.0 mLのMFR906緩衝液(Genetics Institute)を滅菌ガラス瓶に入れる。
2. 1-ccシリンジを使用して、0.70 mLの再溶解したrhBMP-2を緩衝液の入ったガラス瓶に入れる。
3. 静かに回すように振り混合する。
【0067】
【化1】

【0068】
1. 3-ccシリンジ及び22G針を使用して、2.0 mLの0.60 mg/mLのrhBMP-2溶液を、骨質ドエル上に静かに滴下する。
2. 直ちに移植する。
【0069】
実施例5
浸潤法による不活性化骨質同種移植片BMP複合物
1. 冷凍乾燥したrhBMP-2を、実施例Aと同様に注射用滅菌水により再溶解する。
2. 滅菌した骨質同種移植片ドエルを、滅菌した“浸潤”容器に入れる。
3. 再溶解したrhBMP-2を浸潤容器に加え、同種移植片を完全にBMP溶液に沈める。
4. 骨質同種移植片ドエルを、rhBMP-2溶液に30〜60分間浸して移植片にタンパク質を吸収させる。
【0070】
実施例6
BMP-2/コラーゲン組成物を充填した骨質ドエル
係合部付不活性化ドエルを、実施例1〜3に記載の方法で得る。
【0071】
ガラス瓶内の4.0 mgの冷凍乾燥したrhBMP-2(Genetics Institute)を、以下により4.0 mg/mL溶液を得るため、1 mLの注射用滅菌水(Abbott Laboratories)により溶解する:
1. 3-ccシリンジ及び22G針を使用し、1.0 mLの注射用滅菌水を冷凍乾燥したrhBMP-2の入ったガラス瓶にゆっくりと注入する。
2. 澄んだ溶液が得られるまでガラス瓶を静かに回すように振る。強くは振らない。
【0072】
以下の希釈スキームを適当なrhBMP-2濃度を得るため使用する。希釈は以下によって行なう:
1. 3-ccシリンジを使用して、2.5 mLのMFR842緩衝液(Genetics Institute)を滅菌ガラス瓶に入れる。
2. 1-ccシリンジを使用して、0.30 mLの4.0 mg/mLの再溶解したrhBMP-2を緩衝液の入ったガラス瓶に入れる。
3. 静かに回すように振り混合する。
【0073】
【化2】

【0074】
rhBMP-2溶液をヘリスタット(Helistat)スポンジ(Genetic Institute)に、以下により加えた:
1. 滅菌した鉗子及び鋏を使用して、7.5 cm×2.0 cmのヘリスタットの小片を7.5×10 cm(3”×4”)のスポンジから切り取る。
2. 22-G針の1-ccシリンジを使用して、約0.8 mLの0.43 mg/mLのrhBMP-2溶液を、ヘリスタット片上に均一にゆっくりと滴下する。
3. 滅菌した鉗子を使用して、スポンジをドエルの穴に緩く充填する。
4. 22-G針の1-ccシリンジを使用して、0.8 mLの0.43 mg/mLのrhBMP-2溶液を、残りのドエル内のスポンジに穴の開口部から注入する。
5. 直ちに移植する。
【0075】
実施例7
rhBMP-2/HA/TCPを充填した骨質ドエル
係合部付不活性化ドエルを、実施例1〜3に記載の方法で得る。
【0076】
ガラス瓶内の4.0 mgの冷凍乾燥したrhBMP-2(Genetics Institute)を、以下により4.0 mg/mL溶液を得るため、1 mLの注射用滅菌水(Abbott Laboratories)により溶解する:
1. 3-ccシリンジ及び22G針を使用し、1.0 mLの注射用滅菌水を冷凍乾燥したrhBMP-2の入ったガラス瓶にゆっくりと注入する。
2. 澄んだ溶液が得られるまでガラス瓶を静かに回すように振る。強くは振らない。
【0077】
二相性(biphasic)ヒドロキシアパタイト/リン酸三カルシウム(Bioland)の円筒形の塊を、0.4 mg/mLのrhBMP-2溶液で濡らす。このBMP-セラミックの塊を、ドエルの穴に充填し、そして次いでドエルを移植する。
【0078】
実施例8
不活性化骨質同種移植片チップ-複合物の調製
1. 同種移植片チップを、実施例1及び2に記載の方法で得て、加工しそして調製する。
2. 冷凍乾燥したrhBMP-2を、実施例4に記載の方法で注射用滅菌水を使用して再溶解する。
3. 滅菌した海綿質骨質同種移植片チップを、滅菌した“浸潤”容器に入れる。
4. 再溶解したrhBMP-2を、浸潤容器に入れ、同種移植片を完全に沈める。
5. 骨質同種移植片チップを、rhBMP-2溶液に30〜60分間浸しておく。
6. 滅菌した鉗子を使用して、骨質同種移植片チップを、浸潤容器から取り出し、そして接合される脊椎の高さにある後側部の溝に入れる。
【0079】
実施例9
不活性化皮層リング-複合物
選択的に不活性化した皮層のリングを、ヒトの長骨の骨幹を横断面に沿って切った薄片として得て、そして次いで実施例1〜3に記載の方法により調製する。リングを、四角い中空のリングに形成する。リングに、実施例6若しくは7に記載の骨質形成組成物を充填する。
【0080】
実施例10
スペーサー
不活性化したD-型頸部スペーサーを、ヒトの長骨の骨幹を横断面に沿って切った薄片として得て、そして次いで実施例1〜3に記載の方法を使用して調製する。壁の外部表面を、薄片の機械加工によりD-型に仕上げる。スペーサーの接合表面には、標準的なフライス盤により突起部を作る。次いでスペーサーの前部の壁を通して穴をあける。次いで係合部付の挿入器具と組合わせるために、穴にネジを切る。次いでスペーサーの空隙に、実施例6若しくは7に記載の骨質形成組成物を充填する。
【0081】
実施例11
前部からの頸部骨間接合
頸部脊椎に既知の外科的技術により前部から接近する。複合材を円盤間の隙間に挿入する。
【0082】
実施例12
後側部からの接合
脊椎に既知の外科的技術により後側部から接近する。実施例4の複合材を隣接する椎骨間の部分に挿入する。
【0083】
実施例13
結合用マトリックスとの複合物の使用
実施例8に記載の加工した同種移植片を、同種移植片チップをまとめ、その取扱い上の特性を改良するために、結合用マトリックスに加える。同種移植片チップをI型ウシコラーゲンスラリーに加え、次いでシート状に冷凍乾燥する。手術の行われる時、外科医はコラーゲン/同種移植片複合物のスポンジを骨誘導(osteoinductive)タンパク質溶液によって水和する。又別の方法として、タンパク質溶液をスポンジ製造中にスポンジ上に冷凍乾燥してもよい。又別の結合混合剤物質として、ゼラチン、グリコボスアミノグリカン(glycvosaminoglycans)、ヒルオン酸(hyluonic acid)、ポリマー、タンパク質及び他の適当な物質を含む。
【0084】
実施例14
加工方法並びに化学的及び物理的特性を、実施例1及び2、並びにゲイストリッチ(Geistlich)等に付与された米国特許第5,573,771号、スペクター及びユリスト(Spector and Urist)に付与された米国特許第4,882,149号、“骨質バンクのための化学的に滅菌し抗原を抽出した自己消化性同族移植組織”(“A Chemosterilized Antigen-Extracted Autodigested Alloimplant for Bone Bank”)ユリスト等、に開示された物質について、既知の方法を使用して研究した。結果を以下の表I〜IIIに比較した。
【0085】
結論
骨質増殖因子と不活性化骨質移植片の組合わせは、優れた結果を提供する。より迅速な接合速度は、より速く増加した機械的強度を提供する。本発明の不活性化骨質は、接合部位への制御されたBMPの放出を提供する優秀なタンパク質担体である。構造性コラーゲンの存在及び骨の天然の無機質構造は、骨と同一か又は殆ど同一の弾性及びX線不透過性に帰着する。本物質は成型された身体を保持するに充分な弾性及び融通性を持ち、しかもなお接合物質となるべき骨質部間の空間部分を維持するに充分に強固である。
【0086】
本発明を、図及び上記の説明により詳細に例示しそして記述したが、これらは例示的なものであり、何等制限する性質のものではないと考えるべきであり、単に好ましい態様が示されそして記述され、そして本発明の精神に触れる全ての変更及び修正は保護されることを希望することは了解されるべきである。
【0087】
【表1】

【0088】
【表2】

【0089】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨移植片代用品組成物であって、
結合非コラーゲン骨蛋白質を除去するために加工され、自然のコラーゲン物質および天然結合骨無機質を含み、実質的に自然の非コラーゲン蛋白質を含まない、天然の選択的不活性化骨物質;および
骨成長を刺激するために治療上有効量の、前記骨物質内に取り込まれる骨成長因子
を含む骨移植片代用品組成物。
【請求項2】
前記不活性化骨が、約250℃以下の温度で加工され、前記不活性化骨物質が、薬学的に許容できるキャリヤー内に前記骨成長因子を分散させた、請求項1に記載の骨移植片代用品。
【請求項3】
前記不活性化骨が、実質的に遊離コラーゲンを含まない、請求項1に記載の骨移植片代用品。
【請求項4】
前記骨成長因子が、組換え型BMP-2である、請求項1に記載の骨移植片代用品。
【請求項5】
前記不活性化骨が、ウシの骨である、請求項1に記載の骨移植片代用品。
【請求項6】
脊椎中の一対の隣接する椎骨間のスペースを維持するためのスペーサーであって:
スペース内に適合するようにサイズを定め、造形された本体であって、結合非コラーゲン骨蛋白質を除去するために加工され、自然のコラーゲン物質および天然結合骨無機質を含み、実質的に自然の非コラーゲン蛋白質を含まない、天然の選択的不活性化骨物質からなる本体;および
骨成長を刺激するために治療上有効量の、前記骨物質と相乗的に組み合わされた骨成長因子
を含むスペーサ。
【請求項7】
前記本体が、椎骨の1つに接触するための上級壁、他の椎骨に接触するための下級壁、および前記上級壁と前記下級壁に隣接、かつ間にある側壁を定め、前記側壁が、貫通孔を定める、請求項6に記載のスペーサー。
【請求項8】
前記本体が大腿環から得られる、請求項6に記載のスペーサー。
【請求項9】
前記本体が骨ドエルから得られる、請求項6に記載のスペーサー。
【請求項10】
前記壁がチャンバを定め、前記チャンバには、前記骨成長因子を分散させた薬学的に許容できるキャリヤーが充填されている、請求項6に記載のスペーサー。
【請求項11】
前記骨物質が、薬学的に許容できるキャリヤー内に前記骨成長因子を分散させている、請求項6に記載のスペーサー。
【請求項12】
前記本体が、移植後、約5ヶ月以内で完全に再吸収できる、請求項6に記載のスペーサー。
【請求項13】
前記本体が、椎骨の骨の移植後、ほぼ放射線不透過性を有する、請求項6に記載の骨移植片代用品。
【請求項14】
前記骨移植片が、ウシの骨である、請求項6に記載の骨移植片代用品。
【請求項15】
骨の天然の結晶性構造および自然のコラーゲン物質を有する骨無機質からなり、実質的に非コラーゲン骨蛋白質を含まない加工骨物質;および
骨成長を刺激するために治療上有効量の、前記物質内に取り込まれる骨成長因子
を含む組成物。
【請求項16】
骨成長を刺激するために治療上有効量の骨成長因子と相乗的に組み合わされた選択的不活性化骨から本質的になる、弾性本体。
【請求項17】
前記骨が、自然のコラーゲンを含む、請求項16に記載の弾性本体。
【請求項18】
脊椎を安定化させる外科手順であって:
安定化を必要とする隣接する椎骨それぞれの一部を暴露する工程と;
加工骨物質と、骨成長を刺激するために治療上有効量の、前記物質と相乗的に組み合わされた骨成長因子と、を隣接する椎骨の一部の間の領域内に配置する工程であって、骨無機質からなる物質は、骨の天然の結晶性構造および自然のコラーゲン物質を有し、加工骨物質は、実質的に非コラーゲン骨蛋白質を含まない工程と;
を含む外科手順。
【請求項19】
骨物質が、チャンバを定める弾性本体に形成され、キャリヤーが、チャンバに充填されている、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
骨物質が、薬学的に許容できるキャリヤー内に前記骨成長因子を分散させている、請求項18に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−36690(P2011−36690A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215347(P2010−215347)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【分割の表示】特願平11−502905の分割
【原出願日】平成10年6月11日(1998.6.11)
【出願人】(506298792)ウォーソー・オーソペディック・インコーポレーテッド (366)
【Fターム(参考)】