説明

骨髄の抽出および/または注入装置、および、そうした装置を有するシステム

骨髄の抽出および/または注入装置(1)であって、グリップ領域(2)と、少なくとも1つの側面開口部(15)を有するニードル(10)と、を有し、 前記ニードル(10)の少なくとも一部を囲む保護スリーブ(20)が、前記少なくとも1つの側面開口部(15)の閉位置と前記少なくとも1つの側面開口部の開位置との間で前記ニードル(10)に対して移動する形で設置されている、という前記装置(1)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨髄の抽出および/または注入を行う装置、および、そうした装置が組み込まれたシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、骨髄の抽出に用いられる手段は、骨髄の流れる通り道となる軸方向開口部が設けられた中空のニードル(トロカール)である。こうした抽出法では、ニードル内に挿入される内部ロッド(マンドレル)が必要となる。ロッドの機能は、ニードルを骨に貫入させる貫入ステップにおいて、特に骨片によってニードルの開口部が詰まる事態を防止することである。適正に抽出ステップに入ると、ロッドはニードルから取り外されて、シリンジと交換される。それから、ユーザは、シリンジを使ってニードルの開口部経由で骨髄を吸い出す。吸い出された骨髄は、その後、収集袋に送り込まれ、抗凝固剤に接する。その後、抽出ステップは繰り返されるが、そのたびに、より多くの骨髄を収集するため、ロッドを備えたニードルが更に挿入される。こうした抽出方法には多くの問題点が見られる。主要な問題は、所望の量(1.5リットル(L)にもなりうる)の骨髄を得るための一連のステップの実施に関わるものである。典型的な手順は以下のようになる。すなわち、ロッドを配置する、ニードルを骨の中に貫入させる、ロッドを取り外す、シリンジを配置する、骨髄を吸い出す、シリンジを取り外す、そして、ロッドを再び配置する、というものである。そして、こうした手順を数回繰り返す必要がある。スピードの遅さと抽出作業の複雑さとが、こうした種類の抽出法に関する問題点である。この種の抽出法では、多くの人員が1〜2時間にわたって動員される。通常、1人または2人の医師が抽出を行い、それを1人または2人の助手が補助する形となる。助手は、骨髄を保存用の収集袋に入れる作業を担当する。さらに、こうした種類の抽出法では、連続して行われるロッドと骨髄吸引シリンジとの交換作業に関して別の問題が存在する。ニードルからロッドを取り外して後にシリンジを配置するまでに待ち時間が経過するということは、開口部から流れ出る骨髄が周囲の空気と接触することを意味する。周囲の空気とのこうした接触は、抽出された骨髄の細菌汚染の源になりうると共に、付随する形で別の問題を生じさせる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、本発明は、上で述べた問題の生じない骨髄抽出および/または注入装置を提供することを目的とする。
本発明はまた、注入モード(例えば、骨髄をドナーから受入れ側の患者に移植する場合)でも使用できる装置を提供することを目的とする。
本発明はまた、使用が簡単で、早くしかも安全な抽出および/または注入装置を提供することを目的とする。さらに具体的に言えば、本発明の目的は、必要な人員を減らすことができ、患者に麻酔をかける時間を短くでき、さらには、得られた骨髄が血液幹細胞に富んだ良好な品質を有するものとなることを保証できる、という抽出および/または注入装置を提供することである。
【0004】
本発明はまた、本発明の抽出および/または注入装置を無菌の抽出および/または注入システムに組み入れることで、骨髄のいかなる細菌汚染も排除することを目的とする。
本発明はまた、製造、組立および使用が簡単かつ安価である、という装置およびシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明が提供するのは、骨髄の抽出および/または注入装置であって、グリップ領域と、少なくとも1つの側面開口部を有するニードルと、を有し、前記ニードルの少なくとも一部を囲む保護スリーブが、前記少なくとも1つの側面開口部の閉位置と前記少なくとも1つの側面開口部の開位置との間で前記ニードルに対して移動する形で設置されている点である、という装置である。
【発明の効果】
【0006】
また、本装置の前記保護スリーブはニードルを中心に回転する形に設置されている、とするのが効果的である。
また、本装置の前記保護スリーブは少なくとも1つの側面開口部を有し、当該開口部は、前記開位置において、ニードルの前記少なくとも1つの側面開口部と実質的に向き合う位置に来る、とするのが効果的である。
【0007】
また、本装置の前記ニードルはニードルホルダ上に固定され、前記ニードルホルダは、前記保護スリーブの固定手段と協働するのに適した収容手段を有する、とするのが効果的である。
また、本発明の前記保護スリーブは、前記ニードルを囲むシースを構成する第1の部分と、前記固定手段を有する第2の部分とを有する、とするのが効果的である。
【0008】
また、本装置の前記固定手段はピボット運動可能な形で設置された少なくとも1つのツメを有し、当該ツメは、手動駆動面と突出部とを有する、とするのが効果的である。
また、前記ニードルホルダの前記収容手段は、前記保護スリーブの前記固定手段の少なくとも1つの突出部を収容するのに適した少なくとも1つのグルーブで成る、とするのが効果的である。
【0009】
また、前記装置は混合チャンバを有し、当該チャンバは、前記ニードルと、少なくとも1つの入口チャネルおよび少なくとも1つの出口チャネルとに接続されている、とするのが効果的である。
本発明は、また、上に述べたような装置を有する骨髄抽出システムを提供する。
また、前記システムは混合チャンバを有し、当該チャンバは、装置の有する前記ニードルと、少なくとも1つの入口チャネルおよび少なくとも1つの出口チャネルとに接続されている、とするのが効果的である。
【0010】
また、入口チャネルは抗凝固剤の供給源に接続されている、とするのが効果的である。
また、出口チャネルは骨髄収集容器に接続されている、とするのが効果的である。
また、前記システムが、少なくとも前記ニードルに接続された吸引手段を有すること、とするのが効果的である。
また、前記吸引手段は真空ポンプで成る、とするのが効果的である。
【0011】
また、前記吸引手段は、ユーザによって駆動されるペダルなどの制御手段によって制御される、とするのが効果的である。
また、前記入口チャネルは混合チャンバの中に突き出して、前記出口チャネルに向かっており、それによってヴェンチュリ(Venturi)効果を生じさせる、とするのが効果的である。
【0012】
また、前記システムが、骨髄吸引ステージの期間を設定するためのタイマ装置を有すること、とするのが効果的である。
本発明は、また、上で述べたような抽出および/または注入装置を有する骨髄注入システムを提供する。
また、前記装置が骨髄貯蔵器に接続されており、前記貯蔵器がディスペンサ手段に接続されている、とするのが効果的である。
【0013】
また、前記ディスペンサ手段は、COポンプや電気駆動式プランジャを備えたシリンジなどのポンプで成る、とするのが効果的である。
また、前記抽出および/または注入システムは無菌様態でパッケージされていること、とするのが効果的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明に関する他の特徴および効果は、非限定的な例として示す本発明の特定の実施の形態に関する以下の詳細な説明を、添付図面を参照しながら読むことで明らかになる。
図1を参照する。本発明の装置1は、少なくとも、グリップ領域2と、ニードル10と、そして保護スリーブ20とを有する。図に見られる装置は、骨髄の抽出と注入との両方に使用できる。
【0015】
グリップ領域2は、骨髄の抽出および/または注入が行われている間、装置のユーザが掴む面のことである。一例として、グリップ領域はハンドル(例えば、ねじ回しのハンドルに類似のもの)の形で作ることができる。ただし、ハンドルについては、どのような形状、どのような特徴を有するものでもよく、本発明は、いかなる意味でもここに示す特定の実施の形態(単なる一例として示すもの)に限定されない。
【0016】
ニードル10は、円筒状の中空の本体12の終端に、骨に挿し入れる形に作られたポイント11が付いた形となっている。ニードルには流れダクト14が見られる。本発明において、ニードルは少なくとも1つ(効果的構成としては2つ)の側面開口部15を有し、当該開口部はポイント11の近く(効果的構成としては円筒形本体12の端部)に形成されている。留意すべき点として、ニードル本体に形成される開口部の形状はいかなるものでもよい。効果的な構成として、ニードル10はニードルホルダ30と協働する。ニードルホルダはニードルと一体化した形で作ることもできるが、図2に見られるように別々に作ることもでき、分離可能であると共に、以下に詳しく説明するように、手で嵌めることにより協働させられる。
【0017】
保護スリーブ20は、効果的な構成として、先ず、シース21を形成する第1の部分を有し、次いで、固定手段22を有する第2の部分を有する。シース21は、効果的な構成として、ニードル10の全体または一部を囲む円筒形のケースを構成している。ニードルについては、前記シースがニードルの前記少なくとも1つの側面開口部と協働する形になるのであれば、囲まれるのは、その長さ方向または幅方向のごく一部のみでもよい。本発明において、スリーブ20は、前記少なくとも1つの側面開口部の閉位置と前記少なくとも1つの側面開口部の開位置との間で、ニードル10に対して相対移動するように設置されている。シース21は、効果的な構成として、少なくとも1つの側面開口部25を有し、当該開口部25は、前記開位置においてニードルの側面開口部15と一致する位置に来る、という形で移動させることができる。側面開口部25の形状については、ニードルの側面開口部15の形状に対応させるのが好ましいが、異なる形状とすることも考えられる。つまり、開口部の形状の組み合わせは様々に考えられ、ニードルの側面開口部15の位置をシースの側面開口部25と合わせることによって骨髄の抽出および/または注入時の通り道となる貫通孔を1つ以上形作ることができる。
【0018】
保護スリーブ20の固定手段22は、効果的な構成として、全体的な形状がフィンまたはツメの形となっている。本発明の好適な実施の形態では、装置は2つの固定手段22を、ほぼ向き合う形に配置された状態で有する。固定手段22は第1に手動駆動面23を有し、第2に突出部24を有する。固定手段22は、効果的な構成として、固定用ブッシング26に設置されている。保護スリーブ20の固定用ブッシング26およびシース21は、単一の部品として作ることも可能であろう。しかしながら、図2に示す本実施の形態では、これら2つの部材は別々に作られており、分離可能であると共に、以下に詳しく説明するように、手で嵌めることにより協働させられる。各固定手段22はレバーを形成しており、当該レバーは、軸226を中心に固定位置と解放位置との間でピボット運動させることができる。前記固定手段の手動駆動面23は、効果的な構成として、外向きに突き出していることで、ユーザによる保護スリーブ20の扱いをより容易にしている。突出部24は、前記保護スリーブ20を本発明の装置に固定するための固定面として働く。図に示す実施の形態では、固定手段22の突出部24は収容手段34と協働する。収容手段34は、効果的な構成として、ニードルホルダ30に径方向に形成されたグルーブの形をしている。ニードルホルダ30は、グリップ領域(またはハンドル)2と協働して単一ユニットを形成することができる。グルーブ34は、数を4つとし、2つずつの組34a、34bとして分散配置することができる。各組34a、34bは対向する2つのグルーブで成り、同様に互いに対向する位置にある2つのツメ22と協働することが可能である。保護スリーブはニードル10に対して相対移動する形に設置されているため、突出部24は、選択された位置(閉位置または開位置)に応じて、1方のグルーブの組、またはもう一方の組の中に配置される。保護スリーブ20は、好ましい構成として、ニードル10を中心に保護スリーブ20を回転させる形で、移動させられる。これを実現するには、ユーザの手でグルーブの第1の組34aからツメ22の突出部24を解放し、ニードル10を中心にして保護スリーブ20を回転させ、それから、ツメ22の突出部24をグルーブのもう一方の組34bの中に置く。こうして、第1の「開」位置では、ニードルの各側面開口部15は、保護スリーブの各側面開口部25と向き合う位置に配置される。よって、この位置では、骨髄の抽出および/または注入の通り道となる貫通孔が作られることになる。一方、第2の「閉」位置では、ニードルの側面開口部15は開いておらず、逆の言い方をすれば、側面開口部はスリーブ20のシース21によって覆われている。従って、この場合、骨髄の抽出および/または注入の通り道となる貫通孔が形作られることはなく、よって、抽出や注入は行われない。この第2の位置は、従って、ニードル10が骨の中に貫入させられる際の使用状態に対応している。このようにすれば、ニードル10の開口部15が、骨に前記ニードルが挿入されている時に詰まってしまう、という危険はなくなる。
【0019】
留意すべきこととして、上述の実施の形態が構成するのは本発明の効果的な実施の形態であって、これ以外に様々な変形例を考えることができる。例えば、保護スリーブ20を閉位置から開位置に(あるいは、その反対に)移動させるやり方については、保護スリーブを軸方向に移動させる形、あるいは、回転運動と軸方向移動運動との両方を組み合わせる形、が考えられるだろう。さらに、スリーブ20の固定手段22も、何らかの別の形で作ることが可能であろう。例えば、スリーブのニードルに対する相対位置をユーザに明確に示すためのインジケータ手段を組み入れることが考えられる。
【0020】
本発明の好適な実施の形態では、装置は混合チャンバ13を有する。混合チャンバ13は、ニードルのダクト14、少なくとも1つの入口チャネル31、そして、少なくとも1つの出口チャネル32に接続されている。ニードルのダクト14は、抽出された骨髄を運ぶものである。前記少なくとも1つの入口チャネル31は、抗凝固剤(ヘパリンなど)を運ぶのに使用でき、抗凝固剤は、抽出された骨髄の中での凝血の形成を防ぐ働きをする。従って、前記少なくとも1つの出口チャネル32の中には抗凝固剤と骨髄との混合物が入っており、当該チャネルは収集容器に通じる。効果的な構成として、入口チャネル31、出口チャネル32は、混合チャンバ13のいずれかの側面に配置されている。変形例として、混合チャンバと、前記少なくとも1つの入口チャネルおよび前記少なくとも1つの出口チャネルとを、抽出および/または注入装置から分離した形で作ることも考えられる。
【0021】
前記少なくとも1つの入口チャネル31は、効果的な構成として、混合チャンバ13の中に突き出しており、直接、前記少なくとも1つの出口チャネル32の位置にまで来てもよい。この種の配置は、ヴェンチュリ効果の生成に好都合であり、その結果として、前記少なくとも1つの出口チャネル32の位置における、骨髄と抗凝固剤混合物との混合状態が向上する。こうした混合状態の向上は、より状態の良い骨髄を得るうえでの助けとなる。
【0022】
図2に示す本発明の実施の形態では、混合チャンバ13は、ニードルホルダ30と協働する追加部材130の中で形成されている。この実施の形態では、前記追加部材130、ニードル10、そしてニードルホルダ30にそれぞれ形成された穴302、303、304に固定用ペグ301が挿入され、それによって単一ユニットが作られている。また、ペグ301がハンドル2に設けられた穴201と協働することで、ハンドルを当該ユニットに固定する、という形を考えることもできる。本実施の形態では、ニードルホルダ30上へのニードル保持を可能にするプラットフォーム103を、ニードル10に設けることができる。プラットフォームの配置は、ニードル10の一部101が自由に混合チャンバ13に到達できるようにしておく、という形になっている。従って、この自由部分は、ニードルのダクト14を混合チャンバ13と接続している。
【0023】
ニードル10のニードルホルダ30への配置をより容易にするために、インデックス手段を設けることができる。一例として、インデックス手段は穴105で作ることができ、当該穴は、ニードルのプラットフォーム103に形成され、ニードルホルダ上の突起305と協働するものとする。従って、ニードル10がニードルホルダの中央開口部310に挿入されつつある時、プラットフォームは、突起305が穴105の中に嵌まる状態になるように位置決めされる。このように位置決めされる結果として、穴303、304は位置が揃い、それによって、固定用ペグ301の挿入はより容易になる。さらに、追加部材130のプラットフォーム103への配置を対象としたインデックス手段を設けて、穴302の位置を穴303、304と合わせることもできる。
【0024】
上で述べたように、保護スリーブのシース21は、追加の部品とすることができる。この場合、シース21は、固定用ブッシング26を通る開口部265に挿入される。保護スリーブ20はクロスバー203によって保持され、当該バーは、固定用ブッシングに相補的な形状を有する形で形成されたハウジング263の中に置かれる。
図1、2を参照しながら上で説明した実施の形態についての効果は、装置の組み立ておよび分解が容易な点である。装置は、組み立てられていない状態で、無菌状態において単一のパッケージに包装することができる。使用時、ユーザはスリーブ20のシース21をブッシング26の開口部265に挿入する。そこから、ユーザはニードル10をニードルホルダ30の中に入れると、ユニットはブッシング26に組み付けられ、ニードル10はシース21内に入る。
【0025】
追加部材130内に設けられた混合チャンバ13は、任意の形として、ニードル30のブッシング26への組み付け前に、ペグ301を用いてニードルホルダ30に組み付けることが可能である。加えて、ハンドル2も、前記ペグ301によって予め組み付けておくことができる。
当然のことながら、この実施の形態は単なる一例である。具体的に言えば、上述の各種部材を単一の部品として作ることで、組み立てる部品の数を抑えることができる。例えば、混合チャンバ13をニードルホルダ30の中に形成し、ニードル10を前記ニードルホルダ30と一体化した形で作ることが可能であろう。また、混合チャンバ13をハンドル2の中に形成することも可能であろう。さらに、スリーブ20を単一部品として作ることも可能であろう。本質的な思想は、閉位置と開位置との間でニードル10に対して移動させることができる、というスリーブ20を作ることである。
【0026】
本発明はまた、上で述べたような抽出および/または注入装置を組み込んだ抽出および/または注入システムに関する。
図3に示すのは抽出システムの好適な実施の形態である。本実施の形態では、装置の入口チャネル31は、管42を介して抗凝固剤供給源40に接続されている。出口チャネル32の方は、管52介して骨髄収集容器50に接続されている。管42、52にはそれぞれソレノイド弁41、51を配置することができ、これら弁はそれぞれ、抗凝固剤の量の制御、抽出され抗凝固剤と混合された骨髄の量の制御に用いられる。収集容器50については、吸引手段60と連絡する状態としておくのが好ましい。吸引手段は、電気接続70に接続された真空ポンプによって形成することができる。真空ポンプは吸引力を発生させ、抗凝固剤と抽出された骨髄とを収集容器50に吸い込ませる。ただし、変形例として、蠕動ポンプや他の何らかの適当な吸引手段を用いることも可能である。システムは、ソレノイド弁41、51の開閉両方を単一の制御手段で制御するのが効果的である。制御手段90は、ユーザによって駆動されるペダルとすることができる。また、収集容器50を吸引手段60に接続する管53に、戻り防止装置61を配置することもできる。戻り防止装置61の目的は、抗凝固剤と骨髄との混合物が収集器50から吸引手段60に吸い込まれる事態を完全に防止することである。また、圧力計62を抽出システム内に組み込むこともできる。そうして、圧力計を介在させることにより、予め定めた真空閾値(好ましくは900ミリバール(mb)未満)に達した時点でソレノイド弁41、51を閉じることができる。圧力計62によって、弁が開いた直後に有効かつ強い吸引力が得ることが可能となるが、これは、造血progentitorsのより良好な分離に好都合であり、それによって、より優良な骨髄が取得できる。さらに、システムには、設定(具体的には、骨髄抽出が行われる時間の長さの制限)を目的としてタイマ装置80を組み入れることができる。その他にも、抽出に関していくつかの特性を定めるための制御手段を考えることが可能であろう。こうした特性としては、期間、濃度、流速、頻度などに言及しておくべきであろう。
【0027】
本発明はまた、海綿骨のトラベキュア(trabeculate)への骨髄移植に使用可能な注入システムに関する。この場合、装置1は、シリンジ型の骨髄貯蔵器にだけ接続されている。シリンジは手動で駆動してもよいし、ポンプ型ディスペンサ手段(例えば、電気駆動プランジャを備えたシリンジ、または、他の何らかの型のポンプ(COポンプ))や、他の何らかのオプション電気制御システムに接続することもできる。こうした手段は、移植される骨髄の速度や量について完全な制御を保証する。
【0028】
装置を注入システムにおいて使用する場合、混合チャンバ13の入口チャネル31は閉じておくのが好ましい。例えば、チャネル31は取り外して、その後に残る穴は何らかの適切な手段で閉じておく。そうすれば、混合チャンバ13は、効果的な構成として、骨髄用の単なる通過チャンバとなる。
本発明の抽出および/または注入装置、そして、抽出および/または注入システムは、キットの形で供給するのが効果的である。キットを構成する部分については、無菌状態で包装し、それによってあらゆる細菌汚染を排除する、とするのが効果的である。
【0029】
以上、本発明については、特定の実施の形態を参照しながら説明したが、言うまでもなく、本発明はこれら実施の形態に限定されるわけではない。それどころか、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲から逸脱しない形で、ユーザは、これら実施の形態に有用な変形を施すこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の効果的な実施の形態を構成する抽出および/または注入装置の概略断面図である。
【図2】図1の抽出および/または注入装置の一部を拡大して示す分解斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態を構成する抽出および/または注入システムの概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨髄の抽出および/または注入装置(1)であって、
・グリップ領域(2)と、
・少なくとも1つの側面開口部(15)を有するニードル(10)と、を有し、
特徴となるのは、
前記ニードル(10)の少なくとも一部を囲む保護スリーブ(20)が、前記少なくとも1つの側面開口部(15)の閉位置と前記少なくとも1つの側面開口部(15)の開位置との間で前記ニードル(10)に対して移動する形で設置されている点である、
という前記装置(1)。
【請求項2】
前記保護スリーブ(20)はニードル(10)を中心に回転する形に設置されていること、
を特徴とする請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記保護スリーブは少なくとも1つの側面開口部(25)を有し、当該開口部(25)は、前記開位置において、ニードル(10)の前記少なくとも1つの側面開口部(15)と実質的に向き合う位置に来ること、
を特徴とする請求項1または2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記ニードル(10)はニードルホルダ(30)上に固定され、前記ニードルホルダ(30)は、前記保護スリーブ(20)の固定手段(22)と協働するのに適した収容手段(34)を有すること、
を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の装置(1)。
【請求項5】
前記保護スリーブ(20)は、前記ニードルを囲むシース(21)を構成する第1の部分と、前記固定手段(22)を有する第2の部分とを有すること、
を特徴とする請求項4に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記固定手段(22)はピボット運動可能な形で設置された少なくとも1つのツメを有し、当該ツメは、手動駆動面(23)と突出部(24)とを有すること、
を特徴とする請求項4または5に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記ニードルホルダ(30)の前記収容手段(34)は、前記保護スリーブ(20)の前記固定手段(22)の少なくとも1つの突出部(24)を収容するのに適した少なくとも1つのグルーブで成ること、
を特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の装置(1)。
【請求項8】
前記装置は混合チャンバ(13)を有し、当該チャンバ(13)は、前記ニードルと、少なくとも1つの入口チャネル(31)および少なくとも1つの出口チャネル(32)とに接続されていること、
を特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の装置(1)。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の装置(1)を有すること、
を特徴とする骨髄抽出システム。
【請求項10】
前記システムは混合チャンバ(13)を有し、当該チャンバ(13)は、装置の有する前記ニードル(10)と、少なくとも1つの入口チャネル(31)および少なくとも1つの出口チャネル(32)とに接続されていること、
を特徴とする請求項9に記載の抽出システム。
【請求項11】
入口チャネル(31)は抗凝固剤の供給源に接続されていること、
を特徴とする請求項10に記載の抽出システム。
【請求項12】
出口チャネル(32)は骨髄収集容器(50)に接続されていること、
を特徴とする請求項10または11に記載の抽出システム。
【請求項13】
前記システムが、少なくとも前記ニードル(10)に接続された吸引手段を有すること、
を特徴とする請求項10乃至12のいずれかに記載の抽出システム。
【請求項14】
前記吸引手段(60)は真空ポンプで成ること、
を特徴とする請求項13に記載の抽出システム。
【請求項15】
前記吸引手段(60)は、ユーザによって駆動されるペダルなどの制御手段(90)によって制御されること、
を特徴とする請求項13または14に記載の抽出システム。
【請求項16】
前記入口チャネル(31)は混合チャンバ(13)の中に突き出して、前記出口チャネル(32)に向かっており、それによってヴェンチュリ(Venturi)効果を生じさせること、
を特徴とする請求項10乃至15のいずれかに記載の抽出システム。
【請求項17】
前記システムが、骨髄吸引ステージの期間を設定するためのタイマ装置(80)を有すること、
を特徴とする請求項9乃至16のいずれかに記載の抽出システム。
【請求項18】
請求項1乃至8のいずれかに記載の装置(1)を有すること、
を特徴とする骨髄注入システム。
【請求項19】
注入システムであって、前記装置(1)が骨髄貯蔵器に接続されており、前記貯蔵器がディスペンサ手段に接続されている、という注入システム。
【請求項20】
前記ディスペンサ手段は、COポンプや電気駆動式プランジャを備えたシリンジなどのポンプで成ること、
を特徴とする請求項19に記載の注入システム。
【請求項21】
前記システムは無菌様態でパッケージされていること、
を特徴とする請求項9乃至20のいずれかに記載の抽出および/または注入システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−533364(P2007−533364A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−537384(P2006−537384)
【出願日】平成16年10月26日(2004.10.26)
【国際出願番号】PCT/FR2004/050536
【国際公開番号】WO2005/041790
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(504295887)
【氏名又は名称原語表記】PRAXCELL
【Fターム(参考)】