説明

高い耐熱性を有するガスバリヤコーティング

水性ビヒクル中にシリル化ポリビニルアルコールおよびコロイダルシリカを含むコーティング組成物であって、該組成物の固形分は7.5%w/wより大きくなく、シリル化ポリビニルアルコール中のシリルモノマー含有量は、シリル化ポリビニルアルコールを形成するモノマーに基づいて3.0%より大きくなく、該シリル化ポリビニルアルコールは、組成物の固形分の少なくとも50%w/wを構成し、コロイダルシリカの平均粒径は5〜80nmであるコーティング組成物が、無機化合物を含む層を有する基体上にコーティングされ、ガスバリアラメラを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックラメラを生産するために使用することのできるコーティング組成物に関する。該ラメラは一層または積層物であることができ、回転可能であり、ガスバリヤ特性を有し、種種の物質、特には食品および医薬品のような酸素への暴露を防止することが必要とされるかまたは限定されるもの、および殺菌のために包装された物質が加熱殺菌される必要のある包装材料に使用されることができる。
【0002】
合成プラスチック材料は、ハンドリングからの、および湿気からの保護を必要とする食糧および他の材料のパッケージングに長く使用されてきた。しかしながら、近年、大気の酸素から保護されることにより、多くの食品および他の敏感な材料が利益を得ることが認識された。種々様々の多層のラミネート構造が、包装の目的に適したバリヤ特性および他の性能特性を提供するために開発されている。これらのラミネートはプラスチック、金属あるいはセルロース基体の任意の組み合わせでであることができ、1つ以上のコーティングあるいは接着剤の層を含むことができる。ポリマーのフィルムと、その上に配置された金属あるいはシリコン酸化物のような無機化合物を含むラミネートは、より良好な一般的なバリヤ特性を与えることが見いだされ、広く使用されている。しかしながら、それらの特性は大きく温度依存性であり、たとえば、包装材料が殺菌および/または調理のために加熱殺菌される時に、高温において酸素の進入を防止する能力が全く失われる場合がある。さらに、ラミネートのこれらのタイプの無機層はやや脆く、ラミネートが曲げられる場合、クラッキングを生じたり、壊れる場合があり、ガスバリヤ特性の喪失に帰着する。
【0003】
その結果、多くの他の積層フィルムがこの目的のために提案された。例えば、EP 0 878 495は、基体、無機化合物薄膜層、および保護層を含み、この順でラミネートされ、該保護層は無機化合物薄膜層上に水溶性ポリマーおよび(a)金属アルコキシドまたはそれらの加水分解産物および(b)塩化錫の少なくとも1つを含む水性コーティングをコーティングし、熱乾燥することにより形成されるガスバリヤ積層物について記述し特許請求する。同様の技術を使用する他の特許としてはEP 1 211 295(JSR)、EP 0 960 901(Nakato)および米国特許6,337,370があげられる。良好な酸素バリヤ性能は達成されるが、この技術は多くの短所を有する。これらの欠点としては、プレス側に加水分解産物シランを製造しなければならないこと(不良な長期安定性のため)、加水分解反応の発熱特性、およびシランおよび塩酸および他の酸を取り扱わなければならないことに伴う潜在的な危険が含まれる。更に、これらのコーティングの水抵抗性は不十分な場合がある。
【0004】
米国特許2004/0014857(Wacker)は、摩耗抵抗性のコーティングスリップ、特にはインクジェット記録材料コーティングのためのコーティングスリップのためのシラン含有ポリビニルアルコールの使用を開示する。
【0005】
EP 0 123 927は、シリル化ポリビニルアルコール(PVA)の合成と、耐水性組成物内へのその配合について記述し特許請求する。シリル化PVAは、酢酸ビニルとビニルアルコキシシラン(たとえば、ビニルトリエトキシシラン)の共重合と、引き続くアセテート基の加水分解によって生産される。耐水性組成物は、クレイまたはシリカのような無機粒子物質とこのシリル化PVAを混ぜ合わせることにより得られる。これらの組成物は優れた曇り除去特性を持つと言われている。同様の組成について記述する他の特許としてはJP2005194600A2、JP2005194471A2、JP2000290580A2および米国2004/0054069があげられる。
【0006】
我々は、EP 0 123 927に示されたタイプの組成物が優れたガスバリヤ特性を持っており、したがって、大気から保護される必要のある、食品、医薬品および他の材料の包装材料の要素として使用することができることを予想外にも見いだした。しかしながら、良好な加熱殺菌特性と組み合わされた良好なガスバリヤ特性を達成するためには、厳密な範囲内にコーティング組成物の成分を維持することが必要である。
【0007】
したがって、最初の態様では、本発明は、水性ビヒクル中にシリル化ポリビニルアルコールおよびコロイダルシリカを含むコーティング組成物であって、組成物の固形分は7.5%w/w%よりも大きくなく、シリル化ポリビニルアルコールのシリルモノマー含有量は、3.0%(シリル化ポリビニルアルコールを形成するモノマーに基づいて)よりも大きくはなく、前記シリル化ポリビニルアルコールが、組成物の固形分の少なくとも50%w/wを構成し、またコロイダルシリカの平均粒径は5〜80nmであるコーティング組成物に関する。
【0008】
第二の態様では、本発明は、ガスバリヤラメラを製造する方法であって、本発明の組成物を柔軟な基体に適用し、水性ビヒクルを移転させることを含む。
さらなる態様では、本発明は、無機化合物を含む第一のコーティング、および全体にわたって分散された粒状シリカを含むシリル化ポリビニルアルコールを含む第二のコーティングでコーティングされた柔軟なプラスチックフィルムを含むガスバリヤラメラであって、シリル化ポリビニルアルコールのシリルモノマー含有量は3.0%(シリル化ポリビニルアルコールを形成するモノマーに基づいて)よりも大きくはなく、シリル化ポリビニルアルコールは、シリル化ポリビニルアルコールおよびシリカの全重量の固形分の少なくとも50%w/wを構成し、コロイダルシリカの平均粒径は5〜80nmであるガスバリヤラメラに関する。
【0009】
本明細書において、用語「シリル化ポリビニルアルコール」はビニルアルコール単位およびシリル単位の両方を含んでいるポリマーを意味する。さらに、それは他のモノマーに由来したユニットを含むことができる:他のモノマーとしてはたとえば、エチレンまたはプロピレンのようなオレフィン;アクリル酸メチルまたはメタクリル酸エチルのような、アクリルあるいはメタクリル酸エステル;酢酸ビニルのような他のビニルモノマー;あるいはメチルスチレンのような、スチレンあるいはそれらの誘導体があげられる。
【0010】
本発明において使用されるシリル化ポリビニルアルコールの性質については、ガスバリヤコーティングの意図した用途に適切であるべきこと、および分子内にシリコン原子を持っている任意のポリビニルアルコールであること以外には特別の制限はない。そのようなシリル化ポリビニルアルコールはたとえば、以下のようにして調製するされることができる:ヒドロキシおよび/またはカルボキシ基を含んでいるポリビニルアルコールあるいは改質ポリ酢酸ビニルをシリル化すること;シリル基を含んでいるオレフィン性不飽和モノマーおよびビニルエステルの共重合体の鹸化;またはシリルメルカプタンが存在する状態でビニルエステルを重合することにより得られる、1つまたは複数の末端シリル基を有するポリビニルエステルの鹸化。より一般的には、EP 0 123 927、JP2005194600 A2、JP2005194471A2、JP2000290580A2および米国特許2004/0054069に記述されるようにして、それらを調製することができる。さらに、それは、ビニルトリメトキシシランのようなシリル基を含んでいるモノマーと、ビニルアルコール(あるいはそれらの先駆物質)の共重合によって調製することができる。
【0011】
シリル化ポリビニルアルコール中のシリル化の割合は本発明において重要である。すなわち、本発明においては、シリル化ポリビニルアルコールのシリルモノマー含有量は、3.0%(シリル化ポリビニルアルコールを形成するモノマーに基づいて)よりも大きくはなく、好ましくは少なくとも0.2%である。したがって、好ましい範囲は0.2〜3.0%である。より好ましくは、シリルモノマー含有量は2.0%未満である。さらなる好ましい範囲は0.2〜2.0%、最も好ましくは0.4〜2.0%である。これらのパーセンテージは、モノマー単位の合計に対するシリル基含有モノマー単位の比率として計算される。
鹸化の程度は、同様に、広い範囲、例えば70〜100mol%で変化することができる。
【0012】
シリル化ポリマーの量は、シリル化ポリビニルアルコールを含むコーティングとシリカの乾燥重量の少なくとも50%であり、より好ましくは少なくとも60%である。好ましくは、その量は90あるいは95%を超過しない。好ましい範囲は90〜50%であり、より好ましくは90〜60%である。
【0013】
微粒子のシリカがシリル化ポリビニルアルコールを介して分散される。これはコロイドシリカとして、本発明のコーティング組成物の中で使用される。さらに、使用されるシリカの量は、本発明の利点の達成にとって重要である。一方、あまりに少量が存在しても、効果は小さすぎ、多くの実際的な利益にはならない。他方、あまりに多量に存在しても、コーティングされるフィルムの特性に悪影響を及ぼす。量は、シリル化ポリビニルアルコールおよびコロイドシリカを含むコーティングの乾燥重量の50%を超過するべきでなく、より好ましくはシリル化ポリビニルアルコールおよび無機化合物を含むコーティングの乾燥重量の40%を超過するべきでない。他方、その量はシリル化ポリビニルアルコールおよび無機化合物を含むコーティングの乾燥重量の5%未満でないことが好ましい。より好ましくは、その量はシリル化ポリビニルアルコールおよび無機化合物を含むコーティングの乾燥重量の10〜50%である。
【0014】
貯蔵中に本発明のコーティング組成物がゲル化しないために、固形分は7.5%を超過するべきでない。より好ましくは、それは少なくとも0.5%である。また、好ましい範囲は0.5〜7.5%であり、最も好ましくは1.5〜5.0%w/wである。
【0015】
シリカの粒径は5〜80nmが好ましく、より好ましくは5〜50nm、さらに好ましくは5〜40nm、もっとも好ましくは10〜30nmである。
【0016】
本発明の方法において、このコーティング組成物は基体に適用され、次に水性のビヒクルがたとえば、加熱により移される。生じるガスバリヤラメラは単一層のラメラであることができる。またはより複雑な多層のラメラの一部を形成することができる。該多層のラメラは1つ以上の追加の基体、接着剤コーティング、インキおよびワニスの複数の層などを、当業者に公知のように含むことができる。本発明のラメラはさらに柔軟なプラスチックシートに接着されることが好ましい。
【0017】
好ましくはプラスチックフィルムであるが、柔軟な基体の性質に特別の制限はなく、意図した用途にふさわしい任意の材料を使用することができる。しかしながら、本発明のラメラで包装される物質が食品または医薬品である場合、プラスチックフィルムあるいは他の基体は食品グレードであることが通常好まれるだろう。適切な材料の例としては次のものがあげられる:ポリエチレンまたはポリプロピレンのようなポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートあるいはポリエチレンナフテネートのようなポリエステル;ナイロン−6あるいはナイロン−66のようなポリアミド;およびポリ塩化ビニル、ポリイミド、アクリルポリマー、ポリスチレン、セルロースあるいはポリ塩化ビニリデンのような他のポリマー。さらに、任意の相溶性を有する2つまたはそれ以上のモノマーを使用してこれらのポリマーを生産することが可能である。特にポリエステルが好ましい。
【0018】
さらなるプラスチックシートが存在する場合、これも柔軟であるべきであり、前のパラグラフ中で例示された材料の任意のものからも選ばれることができる。本発明のガスバリヤラメラが柔軟なプラスチックフィルム上に第一のコーティングを有する場合、これは無機化合物を含む。該プラスチックフィルムの性質は本発明のガスバリヤラメラの意図した用途によって決定されるだろう。また、ラメラが食品または医薬品用包装材として使用される場合、無機化合物は食品グレードであるべきである。そのような化合物の例としては次のものがあげられる:酸化アルミニウムのようなアルミニウム化合物、およびシリコン酸化物SiOxのようなシリコン化合物。
【0019】
この第一のコーティングの厚さは、一部分は無機化合物の性質およびそれの連続的なコヒーレントなコーティング層を形成する能力に依存するだろう。しかしながら、一般には、コーティングの厚さは好ましくは1nmから1000nm、より好ましくは20〜100nmまでである。
【0020】
第一のコーティングがある場合、プラスチックフィルム上の第2のコーティングは、第一のコーティングと同じ側にあっても反対側にあっても良い。前者の場合では、第2のコーティングは第一のコーティングの表面上にコーティングされる。第2のコーティングは、100nmの最大断面寸法を有する微粒子の無機化合物が分散されたシリル化ポリビニルアルコールを含む。この第二のコーティングの厚さは0.05μmから2.5μm、より好ましくは0.1μmからl.0μm(乾燥したコーティング膜厚)である。
【0021】
本発明は、さらに本発明のガスバリヤラメラを調製する方法を提供し、それは以下の工程を含む:柔軟なプラスチックフィルムに、(使用される場合には)無機化合物を含む第一のコーティング、および本発明のコーティング組成物を含む第二のコーティングを適用する工程;および得られたコーティングフィルムをシリル化ポリビニルアルコールを硬化するのに十分な温度に加熱する工程。
【0022】
使用される場合には、第一のコーティングおよび第二のコーティングは任意の順番で適用することができる。すなわち、第一のコーティングを最初に適用し、第二のコーティングを次に適用することができ、または第二のコーティングを最初に適用し、第一のコーティングを次に適用することができ、または第一のコーティングおよび第二のコーティングを同時に適用することができる。さらに、第二のコーティングでコーティングされたフィルムが加熱されて硬化される前に、あるいはその後に第一のコーティングを適用するこたができる。
【0023】
本発明は、さらに包装材が本発明のガスバリヤラメラを含む、包装された食品、医薬品または他の大気に敏感な物質を提供する。
本発明は、以下の非制限的な例によってさらに例証される。
【0024】
実施例
これらの例において、コーティングは6%(w/w)のイソプロパノールを含む水溶液中で調製された。コーティングされたサンプルの酸素透過度は、23℃および50%の相対湿度で、Mocon Oxtran 2/21ガス透過性試験装置で測定された。すべての場合において使用された基体は、酸化アルミニウム表面処理(およそ40nmの厚さ)された12μmゲージのポリエステル基体(Melinex 800)だった。コーティングはNo.2 K−バーで適用され、空気(実験室印刷はヘアドライヤーで乾かされた)の暖かい流れの中で乾かされた。
【0025】
25μmポリアミドと75μmキャストポリプロピレンの予め形成されたラミネートのポリアミド表面に接着剤を適用し、ついでポリアミド表面上の接着剤の層に、酸化アルミニウム/ポリエステル基体のコーティングされた表面を適用することにより、最終ラミネートを形成する。使用される接着剤は、ロームアンドハースによって供給されるAdcote81 1Aと触媒9L10であり、メーカー指示によって調製され、4 gsmの最終乾燥フィルム重量となるようにされた。その後、イソシアネートに基づく接着剤の十分な硬化を保証するために、ラミネートは50℃で10日間貯蔵された。
【0026】
その後、ラミネートは加熱殺菌の前および後に、結合強さ(N/15mm)および酸素バリヤ性に関してテストされた。加熱殺菌テストは130℃で30分(高温蒸気殺菌プロセス)で行った。ラミネートは加熱殺菌後に目視により、剥離のすべての兆候が評価された。ラミネートが顕著な剥離を示した場合、酸素透過度は必ずしも測定されるとは限らなかった。
【0027】
例1(比較例)
酸化アルミニウム/ポリエステル基体単独
これが上記のようにポリアミド−ポリプロピレンプライに積層された。
加熱殺菌の前に、酸素透過度は4.5―6.5 cm3/m2/24hと測定された。また、結合強さに対するテストはポリエステルフィルムの引き裂きに帰着した。加熱殺菌の後、酸素透過度は10.0―15.0 cm3/m2/24hの間であった。結合強さ試験の間に、ポリエステルフィルムは裂けた。
【0028】
例2(比較例)
EP 0 878 495に従って調製された組成物でコーティングされた酸化アルミニウム/ポリエステル基体
18.4gの水と18.4gのエタノール中の8.9gのテトラエチルオルトシリケートを、0.8gの0.1NのHClとともに30分間撹拌した。その後、3.9gの12%(w/w)PVA(Celvol 103)が加えられ、引き続いてコーティングがほぼ10μmのウェット膜厚で酸化アルミニウム/ポリエステル基体に適用された。その後、コーティングは90秒間120℃で乾燥され、ラミネートが調製された。
【0029】
加熱殺菌の前に、酸素透過度は1.5 cm3/m2/24hだった。また、ポリエステルフィルムは結合強さ試験中に裂けた。加熱殺菌の後、酸素透過度は7.1 cm3/m2/24hだった。また、ポリエステルフィルムは結合強さ試験中に裂けた。
【0030】
例3(比較例)
シリル化ポリビニルアルコール(PVA)「A」でコーティングされた酸化アルミニウム/ポリエステル基体
酸化アルミニウム/ポリエステル基体は、表1において「A」して定義されるシリル基官能化PVAの4%(w/w)溶液でコーティングされた。ポリマー骨格中のシリル基含有モノマーの濃度は1.6%(モノマー組成物のw/w)であった。加熱殺菌の前に、ラミネートは、0.25 cm3/m2/24hの酸素透過度を有していた。また、ポリエステルフィルムは結合強さ試験中に裂けた。加熱殺菌の後に、ラミネートは著しい剥離を示し、0.5N/15mmより少ない結合強さを示した。著しい剥離により、正確な酸素透過度の読みを得ることはできなかった。
【0031】
例4
コーティングは、3.0gのイソプロピルアルコールと19.3gの水、例3に記述されたPVAの7.25%(w/w)の溶液の17.1g、および15nmの粒径、40%の濃度および9.5のpHの0.46gのコロイダルシリカ(Bindzil 40/220、EKA製)を混ぜ合わせることにより調製された。このコーティングは、10−12 gsmのウェットコーティングフィルム重量で酸化アルミニウム/ポリエステル基体に適用され、空気乾燥された。ラミネートは通常の方法で形成された。
【0032】
加熱殺菌の前に、酸素透過度は0.1cm3/m2/24h未満だった。また、結合強さ試験はポリエステルのフィルムの引き裂きに帰着した。加熱殺菌の後、観察可能な剥離の兆候はなかった。また、酸素透過度は0.20 cm3/m2/24hだった。また、ポリエステルフィルムは結合強さ試験中に裂けた。
【0033】
例5〜30
例3に記述されるシリル化PVAを使用して、表1中で概説されるように、異なる粒径および濃度のアルカリ性コロイダルシリカを使用してコーティングが調製された。ラミネートは通常の方法で調製されテストされた。また、加熱殺菌後の試験結果が示された。
【0034】
【表1】

【0035】
A、B:水/イソプロパノールの94/6のブレンド中の重量%として与えられた濃度。
このシリーズの中で使用されるPVA(「A」)は、1.6%(w/w)の名目上のSiモノマー含有量であった。
1. 観察は、30分間130℃での加熱殺菌の後のすべての視認可能な剥離の兆候を記載する。
2. 結合強さは、N/15mmでラミネートの残りからコーティングを施したポリエステルを分離するのに必要な力として与えられる。
結合強さが大きすぎ、ポリエステルフィルムを裂くかこれを破壊する結果と成る場合は、表1中に「FT」として示される。
3. OTR(酸素透過度):23℃および50%の相対湿度でMocon Oxtran 2/21で測定した。(cm3/m2/24h)
【0036】
例31〜48
15nmのコロイダルシリカ(Bindzil 40/220)を使用して、4%(w/w)の全固形分濃度のコーティング組成物が、表2に示された多くの異なるシリル化PVAを使用して調製された。
ラミネートは通常の方法で試験され、加熱殺菌後の結果が表2に示される。
【0037】
【表2】

【0038】
A.表2の中で示されるシリル化PVAは、株式会社クラレから商業的に利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性ビヒクル中にシリル化ポリビニルアルコールおよびコロイダルシリカを含むコーティング組成物であって、該組成物の固形分は7.5%w/wより大きくなく、シリル化ポリビニルアルコール中のシリルモノマー含有量は、シリル化ポリビニルアルコールを形成するモノマーに基づいて3.0%より大きくなく、該シリル化ポリビニルアルコールは、組成物の固形分の少なくとも50%w/wを構成し、
コロイダルシリカの平均粒径は5〜80nmであるコーティング組成物。
【請求項2】
固形分が少なくとも0.5%w/wである、請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項3】
固形分が1.5から5.0%w/wである、請求項1または2記載のコーティング組成物。
【請求項4】
シリル化ポリビニルアルコール中のシリルモノマーの含有量が少なくとも0.2%である、請求項1から3のいずれか1項記載のコーティング組成物。
【請求項5】
シリル化ポリビニルアルコール中のシリルモノマーの含有量が2.0%未満である、請求項1から4のいずれか1項記載のコーティング組成物。
【請求項6】
シリル化ポリビニルアルコール中のシリルモノマーの含有量が0.4から2.0%である、請求項5記載のコーティング組成物。
【請求項7】
シリル化ポリビニルアルコールが組成物の固形分の少なくとも60%w/wを構成する、請求項1から6のいずれか1項記載のコーティング組成物。
【請求項8】
シリル化ポリビニルアルコールが組成物の固形分の60から90%w/wを構成する、請求項7記載のコーティング組成物。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項記載の組成物を柔軟な基体に適用し、水性ビヒクルを移転することを含む、ガスバリヤラメラの製造方法。
【請求項10】
無機化合物を含むコーティングも適用される、請求項9記載の製造方法。
【請求項11】
無機化合物が酸化アルミニウムである、請求項10記載の製造方法。
【請求項12】
無機化合物がシリコン酸化物である、請求項10記載の製造方法。
【請求項13】
シリル化ポリビニルアルコールおよびコロイダルシリカを含むコーティングが、無機化合物を含むコーティング上に適用される、請求項10から12のいずれか1項記載の製造方法。
【請求項14】
シリル化ポリビニルアルコールおよびコロイダルシリカを含むコーティングが、無機化合物を含むコーティングと反対側の基体表面上にコーティングされる、請求項10から12のいずれか1項記載の製造方法。
【請求項15】
基体が柔軟なプラスチックフィルムである、請求項10から14のいずれか1項記載の製造方法。
【請求項16】
無機化合物を含む第1のコーティング、およびその内部に粒状シリカが分散されたシリル化ポリビニルアルコールを含む第2のコーティングでコーティングされた柔軟な軟質プラスチックフィルムを含むガスバリヤラメラであって、シリル化ポリビニルアルコール中のシリルモノマー含有量がシリル化ポリビニルアルコールを形成するモノマーに基づいて3.0%より大きくなく、シリル化ポリビニルアルコールは、シリル化ポリビニルアルコールおよびシリカの全重量の固形分の少なくとも50%w/wを構成し、
コロイダルシリカの平均粒径は5〜50nmである、ガスバリヤラメラ。
【請求項17】
シリル化ポリビニルアルコールのシリルモノマー含有量が少なくとも0.2%である、請求項16記載のラメラ。
【請求項18】
シリル化ポリビニルアルコールのシリルモノマー含有量が少なくとも2.0%である、請求項16または17記載のラメラ。
【請求項19】
シリル化ポリビニルアルコールのシリルモノマー含有量が0.4から2.0%である、請求項18記載のラメラ。
【請求項20】
シリル化ポリビニルアルコールが、シリル化ポリビニルアルコールおよびシリカの合計重量の少なくとも60%w/wである、請求項16から19のいずれか1項記載のラメラ。
【請求項21】
シリル化ポリビニルアルコールが、シリル化ポリビニルアルコールおよびシリカの合計重量の50から90%w/wである、請求項20記載のラメラ。
【請求項22】
基体がポリエステルである、請求項16から21のいずれか1項記載のラメラ。
【請求項23】
第1のコーティングの無機化合物が酸化アルミニウムである、請求項16から22のいずれか1項記載のラメラ。
【請求項24】
第1のコーティングの無機化合物がシリコン酸化物である、請求項16から23のいずれか1項記載のラメラ。
【請求項25】
第2のコーティングが第1のコーティング上にコーティングされる、請求項16から24のいずれか1項記載のラメラ。
【請求項26】
第2のコーティングが第1のコーティングと反対側の柔軟なプラスチックフィルムの表面に適用される、請求項16から25のいずれか1項記載のラメラ。
【請求項27】
請求項16から26のいずれか1項記載のラメラを含み、さらなる柔軟なプラスチックシートに接着される多層ラメラ。
【請求項28】
前記のさらなるプラスチックシートがポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、アクリルポリマー、ポリスチレン、セルロース、ポリ塩化ビニリデンあるいはこれらのポリマーを形成する2つ以上の相溶可能なモノマーの共重合体である、請求項27記載のラメラ。
【請求項29】
請求項16から28のいずれか1項記載のラメラを含む包装材料で形成されるパッケージ。
【請求項30】
包装材料が請求項16から29のいずれか1項記載のラメラを含む、包装された食品、医薬品、または他の大気に敏感な物質。

【公表番号】特表2009−526088(P2009−526088A)
【公表日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−537903(P2008−537903)
【出願日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際出願番号】PCT/US2006/041609
【国際公開番号】WO2007/053389
【国際公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(596024024)サン・ケミカル・コーポレーション (39)
【Fターム(参考)】