説明

高分子および光学素子

【課題】フォトルミネッセンス素子やエレクトロルミネッセンス素子に好適に採用される高分子を提供する。
【解決手段】高分子は、ポリ(アリーレンビニレン)、ポリアリーレンまたはポリヘテロアリーレン、ポリチオフェンを含み、電荷輸送セグメントとエレクトロルミネッセンスセグメントを有する。電荷輸送セグメントはAr−Het−Ar部分を有し、Arは互いに同一または異なる芳香族単位であり、Hetは複素芳香族環である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトルミネッセンス素子やエレクトロルミネッセンス素子のような光学素子用の高分子に関する。
【背景技術】
【0002】
高分子LEDは、ブロウヘスらによる出願明細書(PCT/GB90/00584)に最初に記載されている。また、共重合体を基材とする素子(ホルメスらによる出願明細書、PCT/GB91/01420;PCT/GB91/01421)、多層構造の素子(PCT/GB93/01573;PCT/GB93/01574)、電子親和力の高い高分子を基材とする素子(PCT/GB94/01118)も、既に報告されている。
【0003】
共役高分子ポリ(3−アルキルチエニレン)が既に調製されているが、これについてはJ.ロンカリ(ケミカルレビュー,1992,92,711)によって総説が書かれており、そのエレクトロルミネッセンス素子への応用例がY.オオモリ等(Jpn.J.Appl.Phys.Part2,1991,20(11B),L1938〜L1940)によって報告されている。位置規則性(Regioregular)のポリ(3−アルキルチエニレン)は、R.D.マックロウ,R.D.ロウ,M.ジャヤラマン,及びD.L.アンダーソン(J.Org.Chem.,1993,58,904)によって報告されている。位置規則性のポリ(3−アルキルチエニレン)について、溶媒依存性のキロオプチカルな挙動(Solvent dependent chioptical behaviour)が報告されている(M.M.バウマン,E.E.ハビンガ,R.A.J.ジャンセン及びE.W.メイジャー,Mol.Cryst.Liq.Crist.,1994,256,439)。位置無作為性(Regiorandom)のヒドロキシ官能化(hydroxy-functionalised)ポリチオフェン共重合体が報告されており(C.デラ・カーサ,E.サラテリ,F.アンドレアニ及びP.コスタ・ビッザリ,Makromol.Chem.Makromol.Symp.,1992,59,233)、架橋のポテンシャルが示されている(J.ロウ及びS.ホールドクロフト,Poly.Prepr.,1994,35,297〜298)。
【0004】
素子の性能を向上させるために改良された高分子LEDは、発光性又は放射性材料及び電荷輸送材料の使用に供せられることができるようになっている(P.L.バーン,A.B.ホルメス,A.クラフト,A.R.ブラウン,D.D.C.ブラッドレイ,R.H.フレンド,Mat.Res.Soc.Symp.Proc.,1992,247,647;A.R.ブラウン,D.D.C.ブラッドレイ,J.H.ブロウ,R.H.フレンド,N.C.グリーンハム,P.L.バーン,A.B.ホルメス及びA.クラフト,Appl.Phys.Lett.,1992,61,2793;T.ナカノ,S.ドイ,T.ノグチ,T.オオニシ,Y.イエチカ,住友化学工業株式会社,米国特許第5,317,169号,1994年5月31日)。発光性高分子は、高分子LEDにおける主活性層を構成する。二重電荷注入によって一重項励起が形成され、その後の放射線的な崩壊によって光放射が生成される。一方、電荷輸送高分子は、素子の内部量子効率(注入電子当たりの放射光子の数)の増強、稼働電圧の低減、素子の長寿命化という重要な役割を果たすことが既に見出されている。このことは、上述したポリ(メチルメタクリレート)内の混合物としての既知の電子輸送分子(PBD)[2−(4−ビフェニル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール]を使用することによって最初に明らかにされている[バーン等,ナカノ等]。
【0005】
近時、高効率(4%)の青色エレクトロルミネッセンスは、多層素子[ITO/PVK/PQ(ポリキノリン)/PBD+PMMA/Ca]における正孔輸送材料としてのポリビニルカルバゾール(PVK)と、電子輸送材料としてのポリメチルメタクリレート(PMMA)が混合されたPBDとを使用した電荷輸送層によって実現されている(I.D.パーカー,Q.ペイ,M.マロッコ,Appl.Phys.Lett.,1994,65(10),1272)。
【0006】
LEDにおける電荷輸送層の役割は、以下の事柄を含む。即ち、
(i)電極から発光層への有効キャリア注入を促進し、
(ii)発光層内へのキャリアの閉じ込めにより、放射崩壊を通じての再結合過程の確率を増加させ、
(iii)放射材料と電極との界面での励起子の消失を防止することである。
【0007】
共役高分子のほとんどは、簡単にP型にドープされ、これにより、正孔輸送の特性を示す。素子の性能と機能を高める上で、電子輸送と高分子LEDへの電子注入は重要であるが、そのことはより困難であることが立証されている。
【0008】
PBDのような芳香族オキサジアゾール化合物は、電子輸送材料として有用であることがよく知られている[K.ナイトウ,特開平5−202011号公報;S.ルナック,M.ネプラス,A.カルファースト及びJ.クサン,Chem.Phys.,1993,170,67]。性能が向上された多層LED素子は、電子輸送層として、気相成長されたPBDやスピンコートされたPBD/PMMAの混合物を使用していることが報告されている。
【0009】
しかしながら、このようないずれの場合においても、素子の使用中に外部電界が印加され、あるいは環境温度が上昇すると、素子破壊(例えば、PBDの集成又は凝集と再結晶化)を引き起こすおそれがあるという問題がある(C.アダチ等,Jpn.J.Appl.Phys.,1988,27,L269;C.アダチ,S.トキトウ,T.ツツイ,S.サイトウ,Jpn.J.Appl.Phys.1988,27,L713;Y.ハマダ,C.アダチ,T.ツツイ,S.サイトウ,Jpn.J.Appl.Phys.1992,31,1812;K.ナイトウ,A.ミウラ,J.Phys.Chem.,1993,97,6240)。
【0010】
芳香族環及び/又は複素芳香族環を含む共役高分子に対してかなりの興味が持たれている。それは、ドープされた後のそれらの潜在的な電導率とエレクトロルミネッセンス特性のためである。しかしながら、これらは、主高分子鎖が堅く、高分子鎖間の分子間力が強いため、通常、不溶性あるいは不融性であり、このことは、共役高分子にとって過酷な処理上の問題となる。これらの高分子の処理性を改良するための1つの方法は、その後に、高分子(p−フェニレンビニレン)(PPV)(A)を用いて行うことができるような、堅い共役高分子に変化する可溶性の前駆体を用意することである(黄緑発光体は、スルホニウム前駆体ルートによって調製される:P.L.バーン,D.D.C.ブラッドレイ,R.H.フレンド,D.A.ハリデイ,A.B.ホルメス,R.W.ジャクソン及びA.クラフト,J.Chem.Soc.,Perkin Trans.,1992,1,3225)。
【0011】
他の方法は、主鎖上に大きく弾力性のあるアルキル基又はアルコキシ基を結合することによって分子間力が弱められ、溶解性が増加している間に、完全に共役した材料を生成することである((B)及び(C)におけるアルキル又はアルコキシ置換PPVの場合に示すように)。
【0012】
第3の方法は、弾力性のある鎖のセグメントが、慣用されている有機溶媒中での溶解性を増強し得ることから弾力性のある高分子鎖にフォトルミネッセンスの発色団を結合する又は挿入することである。これは、不活性で弾力性のあるブロックの間に挟まれたπ共役活性ブロックからなるブロック共重合体の場合において示される(R.ギル,G.ハッジイオアンノウ,J.ヘレマ,G.マリアリス,R.ワイリンガ,J.ワイルドマン,WPI Acc.第94−234969号;Z.ヤング,I.ソコリック,F.E.カラス,Macromolecules,1993,26(5),1188;住友化学工業株式会社,第5320635号)。
【0013】
【化1】

【0014】
高分子LEDの機能を向上させるためには、ルミネッセンス高分子を電荷輸送高分子の会合において使用することが必要である。慣用的には、電荷輸送材料は、発光層又は放射層と電極との間の単層として使用することができる。代替的には、混合物を使用することができる。
【0015】
このように、光学素子に使用されている従来の高分子は、ガラス転移温度が低いため、溶媒に対する感受性がある。このため、形態的な変化を引き起こす。更に、分子電子輸送材料が、このような光学素子に使用された場合、材料の集成又は凝集や再結晶化を伴う問題が、素子のブレークダウンを引き起こす可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の1つの形態は、フォトルミネッセンス素子やエレクトロルミネッセンス素子のような光学素子において発光を行うことができる半導体性の高分子を提供するものである。該高分子は、モル質量を増加させ、溶媒への溶解に耐えるように、架橋を含む、発光性で膜形成性の溶媒処理可能な高分子からなり、前記架橋は、高分子が半導体性及び発光性の特性を保持できるようなものとする。
【0017】
高分子のモル質量が増加することにより、低いガラス転移温度により溶媒に対する感受性と形態的な変化が生じるという有害な影響が回避される。驚くべきことに、架橋高分子は、これらの半導体性と発光性の特性を保持する。従って、光学素子に使用されるような発光性と電気的活性を有する高分子の薄膜を安定化させることができる。なぜなら、該薄膜は、共通の溶媒の溶解に耐えるからであり、これにより、溶媒コーティング技術によってさらなる層の付着、例えば、電気的に活性な高分子フィルムの層の付着が可能となり、それによって、素子の製造が容易になる。架橋を有する半導体性高分子は、好ましい発光特性の全てを保持し、素子使用時での高い形態的な安定性を示すという利点を有する。
【0018】
前記架橋は、半導体性高分子内において、熱的架橋、化学的架橋又は光化学的架橋の形で形成することができる。高分子のための架橋方法論はよく知られている。例えば、熱的、化学的及び光化学的方法によるフォトレジストのための高分子の架橋が総説に述べられている(S.ポール,総合ケミカルサイエンス(G.アレン編著),パーガモン,オックスフォード,1989,Vol.6,Ch.7,pp.149〜192「コーティング表面の架橋化学」;S.R.ターナー及びR.C.ダリー,総合ケミカルサイエンス(G.アレン編著),パーガモン,オックスフォード,1989,Vol.6,Ch.7,pp.193〜225「光化学及び放射線感応レジスト」;S.P.パッパス,総合ケミカルサイエンス(G.アレン編著),パーガモン,オックスフォード,1989,Vol.6,Ch.5,pp.135〜148「光架橋」)。加えて、シクロオクテン−5−メタクリレートの開環複分解重合を通じての高分子の架橋の例がB.R.マウホン及びR.H.グラッブス(Polym.Prepr.,1995,36,471〜472)によって報告されている。
【0019】
熱的架橋の特に有用な例は、通常は、スペーサ基によって高分子の主鎖に結合されるアジ化物基の使用を含む。典型的には、80℃〜250℃の温度範囲においては、脂肪族アジ化物は、二重結合を有するピラゾリン付加物を形成するか、あるいは、分解して他の高分子と架橋を形成し得る高い反応性のナイトレンを形成するかである。アリールアジ化物は、20℃〜250℃の範囲で同様に挙動する。好都合なことに、スペーサは、堅い性質を有するものではない。スペーサは、好ましくは、−(CH2n−又は−(CH2n−Ar−から構成され、nは、好ましくは2から20までのうちの適当な整数であり、Arは、アリール基、好ましくはフェニレン基である。このようなスペーサの最も好ましい例は、−(CH211−基である。
【0020】
化学的架橋は、ジイソシアネートあるいは活性化されたジカルボン酸誘導体を使用し、可溶性高分子上の末端官能基(例えば、−OH)とで反応させることによって行うことができる。この方法において、ウレタンやエステル結合が生成されうる。また、低分子量の二官能価化合物あるいは多官能価化合物(例えば、エポキシ樹脂)は、高分子の主鎖内に、あるいは高分子の側鎖上に存在している官能基(例えば、アミノ等)と化学的に反応することを目的として、溶媒処理可能な高分子と混合することができる。好適な架橋剤は、ホルムアルデヒドあるいは他のアルデヒド、1,6−ビスアジドヘキサンのようなビスあるいは多官能価アジ化物、及びポリイソチアネートを含む。
【0021】
光化学的架橋は、適切なエネルギーの光、通常はUV光の照射により活性化され得るいずれかの側鎖置換基によってなされる。例えば、ケイ皮酸エステルは、適切なコンディション、典型的には、中圧水銀ランプを用いた周辺温度における高分子フィルムの照射下で、[2+2]−付加環化を受ける。また、広い温度範囲、好ましくは−50℃〜+50℃にわたるアルキル又はアリールアジ化物の光分解により、高分子を架橋することができる反応性ナイトレン中間体を生成することができる。
【0022】
本発明に係る発光性の膜形成性の高分子とその架橋形態は、発光性の主鎖、又は発光性の側鎖の効力によって発光性とすることができる。該高分子は、このようないくつかの膜形成性の高分子からなり、共重合体及びオリゴマーを含む。発光性の主鎖高分子は、例えば、PCT/GB90/00584とPCT/GB91/01420に述べられている。このような高分子は、ポリ(アリーレンビニレン)誘導体を含む。本発明において特に有効なポリ(アリーレンビニレン)高分子は、一般式Bの高分子であって結合体として架橋し得る官能性をもつものを含む。エレクトロルミネッセンス・ポリアリーレンは、また、本発明において特に有効であり、ポリヘテロアリーレン、特にポリチオフェンを含む。ポリチオフェン共重合体は、発光可能であることが知られており、置換されたポリ(3−アルキルチエニレン)が好ましい。
【0023】
位置規則性の頭部−尾部結合を含む置換されたポリ(3−アルキルチエニレン)のランダム共重合体は、K.A.マレイ,S.C.モラッティ,D.R.バイゲント,N.C.グリーンハム,K.ピッチラー,A.B.ホルメス及びR.H.フレンド,Synth.Met.,1995,69,395〜396に従って作製することができ、架橋することもできる。側鎖アルキル置換基あるいはそれらの一部は、化学的、光化学的又は熱的架橋処理に使用することができる官能性をもつ。
【0024】
発光性の主鎖を有する高分子の他の例は、高分子の主鎖の一部を形成する下記の図式2におけるエレクトロルミネッセンスのセグメントを有するものである。本発明の好ましい実施の形態において、ポリチオフェン共重合体は、次の一般式のものである。
【0025】
【化2】

【0026】
式中、R′は可溶化基、R″は主鎖を他の高分子に架橋するスペーサ基を表し、x、y及びnはそれぞれ整数であって、x:yは19:1〜1:2の範囲であり、nは3〜100の範囲である。
【0027】
好ましくは、R′は−C613−である。
【0028】
高分子が発光性の側鎖を含む場合は、この側鎖は、共役内に少なくとも3つの不飽和単位を含む化学種のようないくつかの発光基を組み込むことができる。好ましくは、発光性の側鎖は、ジスチリルベンゼンからなる。高分子が発光性の側鎖を含む場合は、高分子自身の主鎖が発光性を有することは不要であるが、高分子は、放射される光に対して透明であるべきである。従って、種々の高分子を、主鎖を形成するために使用することができる。特に有効な高分子は、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリシロキサン及びポリメタクリレート(これが好適である)を含む。ポリメタクリレートについては、以下、更に詳細に説明する。
【0029】
本発明の1つの実施の形態において、その高分子は更に、高分子主鎖内に存在するか、または電荷輸送側鎖内にあってこれに共有結合された電荷輸送セグメントを有する。
【0030】
本発明の更に他の形態により提供される高分子は、エレクトロルミネッセンス素子のような光学素子において、電荷輸送、好ましくは電子輸送が可能なものである。その高分子は、溶媒処理可能な、あるいは処理可能な前駆体高分子(precursor polymer)から形成されるものであって、高分子主鎖内にあるか、または電荷輸送側鎖内にあってこれに共有結合された電荷輸送セグメントを含む膜形成性の高分子からなる。
【0031】
その高分子は、高分子光放射素子において、電荷輸送及び/又はエレクトロルミネッセンス材料の両者として使用される。従って、該高分子は、側鎖基として、あるいは高分子の主鎖内において、電荷輸送機能を有するセグメントとエレクトロルミネッセンス機能を有するセグメントを含む。相互作用可能な最終高分子に至った前駆体高分子を、変換工程の後に使用することができ、同様に十分に処理可能な高分子を使用することができる。各種の高分子は、多層構造を加工する際に、特有の利点を持ち得る。
【0032】
電荷輸送セグメントは、Ar1−Het−Ar2部分からなる。ここで、Ar1及びAr2は、互いに同じであるか、または互いに異なる芳香族単位である。これら芳香族担体の例を下記の図式1に示す。Hetは、複素芳香族環(ヘテロ芳香族環)であり、その電子的構成は電荷輸送に好適である。その例としては、オキシジアゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリミジン及びキノリンのようなこれらのベンゾ融合(縮合)類似体を含む。複素芳香族環は電子が不足しており、これにより、電荷注入が増強され、輸送が一般に有効である。
【0033】
【化3】

【0034】
【化4】

【0035】
【化5】

【0036】
エレクトロルミネッセンスセグメントは、図式2で示されるような共役フォトルミネッセンスの発色団セグメントからなるものとし得る。
【0037】
側鎖(共)重合体は、発光性の及び/又は電子を輸送するセグメントを有する側鎖修飾体を含むいくつかの主鎖高分子からなる。その典型例は、図式3に示されるように、ペンダント側基における電荷輸送セグメント及び/又は発光セグメントを含むポリ(メタクリレート)である。
【0038】
側鎖高分子は、例えばガラス転移温度(Tg)を高めることによってポリ(メタクリレート)の安定性を改善するような架橋としての役目を果たす選択的な第3の機能性セグメントを含む。該第3のセグメントは、エポキシドのように化学的に架橋結合可能な基、アジ化物のように熱的に架橋結合可能な基、又はケイ皮酸エステルやスチルベン基のように光学的に架橋結合可能な基とすることができる。
【0039】
【化6】

【0040】
この明細書において言及した主鎖高分子及び共重合体は、図式4の代表例によって示されるような可撓性スペーサを伴うか、または伴わない高分子又は共高分子主鎖に沿った輸送セグメント及び/又はエレクトロルミネッセンスセグメントを含む(共)重合体である。
【0041】
本発明に係る高分子は、他のエレクトロルミネッセンス高分子との混合物として、又は他のエレクトロルミネッセンスセグメントを有する共重合体の成分の1つとして、多層LED素子における電子輸送層として使用する上で特に好適である。これにより、内部量子効率及び素子特性の両者が改善される。
【0042】
【化7】

【0043】
【化8】

【0044】
側鎖高分子の調製と応用
ポリ(メタクリレート)は、高い透明性、高い耐薬品性及び良好な機械的強度といった多数の利点を有する。また、多官能価共重合体のみならず高分子量の高分子を合成することが比較的容易である。この一般的な概念を示すためには、所定範囲の芳香族オキサジアゾール結合高分子[特に、ポリ(メタクリレート)]を合成し、図式5に示すように、組み込まれる単量体について検討した。これらの(共)重合体は、異なる様式(単層、混合層及び共重合体層)においての放射性高分子との会合に使用することができ、素子の機能を向上させる。
【0045】
【化9】

【0046】
先の出願(PCT/GB93/02856)においては、青色発光の特徴を有する発色団Dを含む所定範囲のポリ(メタクリレート)誘導体が合成された。発色団のグループF,G,H,Iは、共有結合によってポリ(メタクリレート)鎖に結合された2又は3の共役アリール環(ジスチリルベンゼン単位(distyrylbenzene units))からなる。これは、青色の側鎖で修飾された光放射性高分子についての多数の可能な例の中の代表例である。電荷輸送セグメントを担持する高分子を用いた架橋及び共重合は、これらの材料を、青色発光のための特に有望な候補者とするものである。
【0047】
電荷輸送が可能な高分子は、一般に、光学素子において、エレクトロルミネッセンス高分子層と電荷注入電極との間の機能的な高分子層として使用される。この層は、金属電極(通常は、カソード)からの電荷、特に電子の注入及び電荷輸送を高める役目を果たす。該高分子は、素子特性が向上された多層構造の高分子LEDにおいて、電荷注入をバランスさせることができる。
【0048】
本発明の更に他の形態においては、光学素子、好ましくはエレクトロルミネッセンス素子における上述した高分子の使用方法が提供される。本発明は、また、基体上に支持され、前記特定されたような基体及び高分子からなる光学素子を提供する。該光学素子は、好ましくはエレクトロルミネッセンス素子である。代表的に、前記高分子は、このような素子において薄膜として使用される。動作に際し、架橋した半導体性の高分子は、好ましい発光特性を保持し、増強された形態的な安定性を示すという利点を有する。
【0049】
以下、本発明の好適な実施の形態につき、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0050】
実施例1:
メタクリレート−PPD単量体(9a)の合成(図式5)
アルデヒド(2)の調製
0℃(アイスバスを用いた)のMeOH(150ml)中にテレフタルアルデヒド(terephthaldehyde)モノ(ジエチルアセタール)(39.9g,0.19モル)を含む溶液にホウ水素化ナトリウム(4.9g,0.13モル)のペレットを加えた。この反応混合物を0℃で1.5時間攪拌した。水(100ml)及びHCl(10M,200ml)を加え、その混合物を室温で1.5時間攪拌した。
【0051】
減圧下でMeOHを除去した後、エチルアセテート(200ml)を加えた。有機層を炭酸水素ナトリウム溶液と水で洗浄した。清澄な有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。粗製の生成物(20.35g)をクロロホルム/ヘキサンで再結晶化させ、微細な結晶(18.79g,73%)として得た。融点:43〜45℃。
【0052】
4−(アセチロキシ−メチル(acetyloxy-methyl))安息香酸(3)の調製
THF(50ml)中にアルデヒド(2)(12.57g,92.4ミリモル)を含む溶液にトリエチルアミン(15.4ml,110.4ミリモル)を加え、0℃で冷却した。次いで、塩化アセチル(7.91g,110.4ミリモル)を25分以上かけて徐々に加え、次にその混合物を攪拌しながら室温で2時間放置した。1時間後、酢酸エチル(200ml)を加え、その溶液を炭酸ナトリウム(100ml)、HCl(17%,50ml)及び水(100ml)のそれぞれで洗浄した。次いで、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去し、冷却の際に結晶化される油状物を得た。メタノール−ヘキサンの中での再結晶化によって、明るい黄色の結晶を得た。
【0053】
4−[アセチロキシ−メチル]ベンズアルデヒド
(15.39g,94%)。融点:33〜35℃。Rf 値:0.62(エーテル)。赤外スペクトルの波数νmax(KBr)/cm-1:1735s(O−C=O),1686s(H−C=O),1608m(フェニル吸収),1384,1369,1253、1212及び811。1HNMRの化学シフト値λH(250MHz,CDCl3):2.10(3H,s,CH3),5.14(2H,s,CH3O−),7.41(2H,d,J8.1,Ar−H),7.89(2H,d,J8.1,Ar−H)及び9.98(1H,s,CHO)。13CNMRの化学シフト値δC(63.5MHz;CDCl3):20.8(CH3),65.4(CH2),128.2,129.9,142.7,141.8(フェニルカーボン),170.6(O−C=O)及び191.8(H−C=O)。
【0054】
次に、アセトン中の4−[アセチロキシ−メチル]ベンズアルデヒド(15.3g,86.5ミリモル)を攪拌しながら(発熱反応)ジョーンズ試薬(33.0ml,3倍超過)と反応させた。これを2時間攪拌し、その後、濾過して緑色の固体を得た。次いで、緑色の固体を減圧下で乾燥し、酢酸エチル(400ml)中に溶かし、炭酸ナトリウム溶液及び水で中性になるまで洗浄した。溶媒の除去後、黄色結晶の塊(13.3g)を得て、これを次にクロロホルム−ヘキサン中で再結晶させて白結晶(3)(12.62g,76%)を得た。融点:120〜123℃、Rf値:0.29(体積比(v/v)1:1ヘキサン−エーテル)。
【0055】
4−tert−ブチル安息香酸ヒドラジド(4-tert-butyl benzoic hydrazide)の調製
エタノール(25ml)中の4−tert−ブチル安息香酸メチル(metyhl 4-tert-butyl benzoate)(25.3g,29ミリモル)にヒドラジン水和物(hydrazine hydrate)(9.4ml,194ミリモル)を加え、次いで、窒素雰囲気下で18時間還流した。溶媒を減圧下で除去し、固体の残分をトルエン−ヘキサン(140ml,体積比(v/v)10:4トルエン−ヘキサン)で再結晶化させ、4−tert−ブチル安息香酸ヒドラジド(4-tert-butyl benzoic hydrazide)(19.25g,76%)の無色の結晶を得た。融点:126〜128℃。
【0056】
1−(p−tert−ブチル−ベンゾイル)−2−(4−アセチロキシ−メチル−ベンゾイル)−ヒドラジン(6)の調製
250mlの3つ口RBフラスコ中の(3)(15.10g,77.8ミリモル)に塩化チオニル(30ml)を加え、70〜80℃で40分間還流した。真空下で余分な塩化チオニルを取り除いた後、褐色の油状物(4)をクロロホルム(3×15ml)で洗浄した。その残分を乾燥したピリジン(120ml)中に溶かした。最後にヒドラジド(5a)(14.9g,77.8ミリモル)を加えた。生成物を沈殿させるために前記混合物を氷水(700ml)中に注ぐ前にその褐色の溶液を3時間攪拌して、還流した後、その沈殿生成物を水で洗浄し、真空下に80℃で乾燥させて生成物を得た。更に、生成物をトルエン中で再結晶化によって精製することにより白色結晶を得た。融点:229〜230℃(液晶挙動を備え、空気中で容易に分解する)。1HNMRの化学シフト値δH(250MHz,CDCl3):1.32(9H,s,tBu),2.13(3H,s,CH3CO),5.13(2H,s,CH2),7.41(4H,t)及び7.81(4H,m,Ar−H),9.59及び9.72(2H,d,−NHNH−)。13CNMRの化学シフト値δC(63.5MHz,CDCl3):20.9(CH3),31.1(C(CH33),65.4(CH2),125.7,127.1,127.6,128.0,128.3,130.4,131.1,140.5(C),156.1(C=O),163.9(C=O)。赤外スペクトルの波数νmax(CHCl3)/cm-1:3233(N−H),1736(O−CO),1672(NH−CO),1633,1445,1450(フェニル吸収)。[C212424の実測値:C,68.66;H,6.64;N,7.65、理論値:C,68.48;H,6.52;N,7.61%]。
【0057】
2−(パラ−tert−ブチル−フェニル)−5−(4−アセチロキシ−メチル−フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(7a)の調製
(6a)(3.31g,8.99ミリモル)にPOCl3(35ml)を加え、窒素雰囲気下で18時間還流した。その残分を氷水内に注ぐ前に、POCl3を反応混合物から留去した。酢酸エチル(2×200ml)で抽出し、溶媒を除去した後に、黄色の油状物を得た。ヘキサン−エーテル(体積比(v/v)10:1〜3:7)を使用したフラッシュカラムクロマトグラフィによって、粗製の生成物(TLCにより3つのスポットで示される)を精製し、無色結晶(7a)(1.02g,22%)を生成した。融点:93〜95℃。Rf値:0.24(体積比(v/v)1:1ヘキサン−エーテル)。1HNMRの化学シフト値δH(250MHz,CDCl3):1.36(9H,s,tBu),2.14(3H,s,CH3CO),5.18(2H,s,CH2),7.54及び8.07(4H,m,Ar−H)。13CNMRの化学シフト値δC (63.5MHz,CDCl3):21.0(CH3CO),31.1(C(CH33),35.1(C(CH33),66.5(CH2),121.1及び126.1,126.8,139.7(Ar−CH2OAc),123.9,127.1,128.6,155.5(Ar−tBu),164.1(C)及び164.8(C)及び170.7(C=O)。[C21223Nの実測値:C,72.12;H,6.29;N,8.10、理論値:C,72.0;N,8.0;H,6.3%]。マススペクトルのm/z値(相対強度):350(80),335(100%),161(30)及び43(30)。[C21223Nの実測値:(イオン質量M+)350.1630、理論値:(分子量M)350.1630]。
【0058】
2−(パラ−tert−ブチル−フェニル)−5−(4−ヒドロキシル−メチル−フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(8a)の調製
エタノール(30ml)中に水酸化ナトリウム(0.11g,2.75ミリモル)を含む溶液にオキサジアゾール(7a)(0.67g,1.91ミリモル)を加え、その混合物を2時間攪拌した。その混合物を重炭酸ナトリウム水溶液(5%,100ml)中に注いで、白色沈殿物を生成し、該沈殿物を濾過によって捕集した。その粗製の生成物(0.9g)をCHCl3−ヘキサンで再結晶させて無色の結晶を生成した(8a)(0.53g,91%)。融点:115〜116℃。Rf値:0.08(体積比(v/v)1:1ヘキサン−エーテル)。赤外スペクトルの波数νmax(CHCl3 )/cm-1:3308(OH),2967(CH),1615,1552,1495(Ar),965(オキサジアゾール)。1HNMRの化学シフト値δH(250MHz,CDCl3):1.36(9H,s,(C(CH33)),2.22(1H,t,OH),4.79(2H,d,CH3O),7.53及び8.06(8H,m,2×Ar−H)。13CNMRの化学シフト値δC(63.5MHz、CDCl3):21.0(CH3CO),31.1(C(CH33),35.1(C(CH33),64.5(CH3OH),121.0及び123.1(オキサジアゾール環に結合したアリールカーボン),126.1,126.8,127.1,127.3(Ar),144.7.0(Ar−CH2OH),155.4(Ar−tBu),164.1及び164.8(C)。[C192022の実測値:C,74.08;N,9.03;H,6.52、理論値:C,74.0;N,9.1;H,6.5%]。マススペクトルのm/z値(相対強度):308(55),293(100%),161(25),135(25),116(25)及び77(25)。[C192022の実測値:(イオン質量M+)308.1525、理論値:(分子量M)308.1525]。
【0059】
単量体(9a)の調製
THF(20ml)中にオキサジアゾール(8a)(0.61g,19.8ミリモル)を含む溶液にトリエチルアミン(1.0ml,41.0ミリモル)を加え、窒素雰囲気で攪拌した。塩化メタクリロイル(0.9ml,84ミリモル)を注射器を用いてゆっくりと加えた。その溶液を室温で2時間攪拌した。曇りが観察された。エーテル(100ml)を加え、その混合物を水(100ml)、HCl(2M、100ml)及びブライン(100ml)で洗浄した。その合わせた洗浄水溶液を更にエーテル(100ml)で抽出した。その合わせたエーテル層を無水硫酸ナトリウムにより乾燥させ、その溶媒を減圧下で除去し、灰色乃至黄色がかった白色の固体を得た。Rfは0.38(体積比(v/v)1:1ヘキサン−エーテル)である。エーテル−ヘキサン(体積比(v/v)1:1)のフラッシュ・カラムクロマトグラフィを用いて精製した後、乾燥することにより、(8a)を無色の結晶(0.67g,91%)として得た。融点:106〜109℃。赤外スペクトルの波数νmax(CHCL3)/cm-1:2966(C−H),1720s(C=O),1615,1494(Ar),965(オキサジアゾール)。1HNMRの化学シフト値δH(250MHz,CDCl3):1.36(9H,s,tBu),1.99(3H,t,J1.313,CH3),5.27(2H,s,CH2),5.63,6.20(2H,2,CH=CH),7.55及び8.10(8H,m,2×Ar−H)。13CNMRの化学シフト値XXXδC(100MHz,CDCl3):18.3(CH3),31.1(C(CH33),35.1(CMe3),65.7(CH2−O),121.0及び123.8(Ar),126.1,126.2,126.8,127.1,128.4,139.8及び155.5(Ar),164.0及び164.7(複素環中のカーボン)及び167.0(C=O)。[C232432の実測値:73.40;H,6.35;N,7.50、理論値:C,73.4,H,6.4,N7.4%]。マススペクトルのm/z値(相対強度):376(80),361(100%),161(40),69(40)及び41(65)。[C232432実測値(イオン質量M+):376.1787、理論値(分子量M):376.17868]。
【0060】
実施例2:
メタクリレート単量体PBD(9b)の合成:
1−(4−フェニル−ベンゾイル)−2−(4−アクチロキシル−メチル−ベンゾイル)−ヒドラジン(6b)の合成
その合成は、ヒドラジド(5a)の代わりにヒドラジド(5b)を用いる点を除いて、(6a)の場合と同様である。粘土様の固体を単離した後、これを95%のエタノール中で再結晶化させ、100℃で真空中で乾燥することにより、白色結晶(6b)(88%)を得た。Rf 値:0.28(エーテル)。1HNMRの化学シフト値δH(250MHz,CDCl3):2.13(3H,s,CH3),5.15(2H、s、CH2),7.44(5H,m,Ar−H),7.65,7.92(8H,m,Ar−H)。13CNMRの化学シフト値δC(63.5MHz,CDCl3):20.9(CH3),65.4(CH2),127.2,127.8,128.0,129.0,130.0,131.0(Ar),139.8(Ar−Ph2),140.5(CC=O),145.1(CCH2),164.7(C=O),170.7(C=O)。赤外スペクトルの波数νmax(クロロホルム)/cm-1:3407,3234(N−H),3013(C−H),1736(CO−O),1635,1448(Ar),965(オキシジアゾール)。[C252023の実測値:C,69.8;H,5.1;N,7.0、理論値:C,71.11;H,5.19;N,7.21%]。
【0061】
2−(ビフェニル)−5−(4−アセチルロキシ−メチル−フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(7b)の合成
(7b)を形成するための(6b)の脱水環化は(7a)の製法と類似している。即ち、(6b)(11.95g,30.76ミリモル)をPOCl3(40ml)中に溶かした。6時間還流した後、POCl3を留去し、その後、その残分を氷水中に注いで、明るい灰色の粉末を得、該粉末を中性になるまで水(5×200ml)で洗浄した。粗製の生成物をヘキサン−エーテル(体積比(v/v)1:1)を用いたフラッシュカラムクロマトグラフィで精製した。(7b)を無色の結晶(5.57g,40%)として得た。融点:130〜132℃。Rf値:0.71(エーテル)。1HNMRの化学シフト値δH(250MHz,CDCl3):2.16(3H,s,CH3),5.20(2H,s,CH2),7.50,7.72及び8.22(13H,m,Ar−H)。13CNMRの化学シフト値δC(63.5MHz,CDCl3):20.9(CH3CO),65.5(CH2),122.6,123.7(C−オキサジアゾール),127.1,127.3,127.4,127.7,128.2,128.6,129.0(Ar),139.8,144.6(C−Ph),164.3,164.6(オキサジアゾール),170.7(C=O)。赤外スペクトルの波数νmax(クロロホルム)/cm-1:3013(C−H),1737(CO−O),1614,1550,1484(Ar),965(オキサジアゾール)。[C231823の実測値:C,74.76;H,4.75;N,7.54、理論値:C,74.58;H,4.90;H,7.56%]。
【0062】
2−ビフェニル−5−(4−ヒドロキシル−メチル−フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(8b)の合成
エタノール(95%,350ml)中に(7b)(7.0g,18.9ミリモル)及び水酸化ナトリウム(1.33g,33.3ミリモル)を溶かし、室温で3時間攪拌し、その後、その反応混合物を炭酸ナトリウム溶液(600ml)中に注いで、白い沈殿物を得た。次に、その生成物を酢酸エチルに溶かし、水(3×300ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。その溶媒を蒸発除去し、真空下で乾燥させて、微細な白色結晶として(8b)を得た(5.6g,90%)。融点:168〜171℃。Rf 値:0.71(エーテル)。1HNMRの化学シフト値δH(250MHz,CDCl3):2.25(1H,br,OH),4.81(2H,s,CH2),7.48(5H,m,Ar−H),7.70(4H,m,Ar−H)及び8.15(4H,m,Ar−H)。13CNMRの化学シフト値δC(63.5MHz,CDCl3):64.7(CH2),122.7,123.1(C−オキサジアゾール),127.2,127.4,127.7,128.2,129.0(Ar),139.8,144.5及び144.9(C−Ph,CCH2),164.5(オキサジアゾール)。赤外スペクトルの波数νmax(CHCl3)/cm-1:3692,3610(OH),3015(OHに結合したH),1614,1551,1484(Ar),965(オキサジアゾール)。[C211422の実測値:C,76.87;H,4.75;N,8.27、理論値:C,76.81;H,4.91;N,8.54%]。
【0063】
メタクリレートPBD単量体(9b)の合成
乾燥したTHF(150ml)及び乾燥したトリエチルアミン中に、(8b)(3.86g、11.76ミリモル)を溶かし、0℃で攪拌した。塩化メタクリロイル(3ml,0.28モル)を注射器で滴下添加した。その後、2時間攪拌し、次いで、室温まで暖め、その濁った溶液を氷水(600ml)中に注ぐことによって白い沈殿物を得、該沈殿物を水(5×150ml)で洗浄し、次いで、乾燥させることによって単量体(9b)を得た。TLCは主な1つのスポットを示した。Rf 値は0.38(体積比(v/v)1:1.44エーテル−ヘキサン)であった。そして更に、エーテル−ヘキサンを使用したフラッシュカラムクロマトグラフィで前記粗製の単量体を更に精製した。(9b)を白色結晶(3.78g、81%)として得た。融点:123〜125℃(おそらく重合)。1HNMRの化学シフト値δH(250MHz,CDCl3):2.01(3H,s,CH3),5.29(2H,s,CH2),5.64(1H,s,CH=C),6.21(1H,s,CH=C),7.50(5H,m,Ar−H),7.72(4H,m,Ar−H)及び8.22(4H,m,Ar−H)。13CNMRの化学シフト値δC(63.5MHz,CDCl3):18.4(CH3),65.7(CH2 ),122.7,123.7(C−オキサジアゾール),126.2,136.0(C=C),140.0,144.6,127.2,127.4,127.7,128.2,128.4,129.0(Ar),164.3及び164.6(オキサジアゾール),167.1(C=O)。赤外スペクトルの波数νmax(CHCl3 )/cm-1:3012(C−H),1717(CO−O),1614,1550,1483(Ar),965(オキサジアゾール)。[C252023の実測値:C,75.5;H,4.9;N,6.9、理論値:C,75.74;H,5.08;N,7.07%]。
【0064】
【化10】

【0065】
実施例3:
メタクリレート単量体TPV(16)の合成
アルコール(15)の合成
DMF(30ml)中にビス−ホスホン酸(11)(3.3g,8.73ミリモル)を含み、0℃に冷却された溶液に水素化ナトリウム(1.0g,25.0ミリモル、鉱油中に60%分散)を加えた。その反応混合物を15分間攪拌した。次いで、DMF(10ml)中の置換ベンズアルデヒド(12)(1.75g,9.1ミリモル)及びテレフタルアルデヒドモノ(ジエチル)アセタール(12)(2ml,10.05ミリモル)を滴下ロートを使って加え、その反応混合物を冷却浴内において0℃で2時間攪拌した。余分なNaHを破壊してアセタール保護基を取り除くために、その冷却された反応混合物にHCl(3M,10ml)を一滴ずつ入れた。その酸性化された混合物を室温で2時間攪拌し、大量の蒸留水中に注いだ。生成物の粗製混合物から(黄色固体)を吸引下に濾過し、真空下で乾燥させた。薄層クロマトグラフィ(CH2Cl2)により、その生成混合物内に3つの異なる化合物があることが示された。これら3つの化合物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(CH2Cl2)によって分離した。所望のアルデヒド(14)を得た(1.11g,32.1%)。
【0066】
そのアルデヒド(14)をTHF(30ml)中に溶かし、0℃に冷却した。LiAlH4 (0.2g,5.0ミリモル)を2回に分けてゆっくり加えた。そして、その混合物を60℃で一夜還流した。余分なLiAlH4 を破壊すると共に、形成されるアルミナスラッジを溶かすために、前記冷却された混合物に希酸(1M,100ml)を一滴ずつ加えた。その混合水をCH2Cl2(3×50ml)で抽出した。その3つのCH2Cl2画分を合わせ、ブライン(50ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、CH2 Cl2 を蒸発除去して、粗製アルコール(15)を得た。その生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(1:1CH2Cl2−ヘキサン〜CH2Cl2(体積比)で溶出)で精製することにより、黄色がかった緑色の固体(1.01g,2.54ミリモル,91%)を得た。[全体の収率:29.1%]。Rf値:0.53(CH2Cl2)。赤外スペクトルの波数νmax(KBr)/cm-1:3386(OH),1493(C=C),1456(C=C),1362(Ar),1248(C−O)。1HNMRの化学シフト値δH(400MHz,CDCl3):1.34(9H,s,t−Bu),3.87(3H,s,OCH3),4.70(2H,d,J4.6,CH2),6.84(1H,d,J8.5,C=CH),7.05〜7.15(3H,m,J9.4及び6.4,C=CH),7.27(1H,d,J2.5,Ar−H),7.36(2H,d,J8.1,Ar−H),7.46〜7.55(7H,m,Ar−H),7.59(1H,d,J2.5,Ar−H)。
【0067】
メタクリレートエステル(16)の合成
乾燥したCH2 Cl2 (20ml)中にアルコール(15)(1.01g,2.54ミリモル)及びトリエチルアミン(0.6ml,4.3ミリモル)を含む溶液に塩化メタクリロイル(0.4ml,4.09ミリモル)を加えた。その混合物を室温で3時間攪拌した。薄層クロマトグラフィ(CH2Cl2)では、出発物質(15)の存在は認められなかった。CH2Cl2(80ml)をその混合物に加え、更に、Na2CO3(50ml)、HCl(1M,50ml)及びブライン(50ml)で洗浄した。水の部分を更なる量のCH2Cl2(50ml)で抽出した。その2つのCH2Cl2の画分を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、CH2Cl2を蒸発除去することによって、粗製のエステル(16)を得た。その生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(体積比1:6のCH2Cl2−ヘキサン、続いて体積比1:4のCH2Cl2−ヘキサンで溶出)を用いて精製した。UV照射で青色発光を行う緑色の固体としてエステルを得た。Rf値:0.13(体積比(v/v)1:9エーテル−ヘキサン)。赤外スペクトルの波数νmax(KBr)/cm-1:1716(C=O),1638(C=C),1603(C=C),1515(Ar),1494(Ar),1462(Ar),1156(C−O)。1HNMRの化学シフト値δH(400MHz,CDCl3):1.34(9H,s,t−Bu),1.97(3H,s,CH3),3.88(3H,s,OCH3),5.19(2H,s,CH2),5.59(1H,s,C=CH),6.16(1H,s,C=CH),6.84(1H,d,J8.6,C=CH),7.05〜7.14(3H,m,J11.0及び5.2,C=CH),7.28(1H,d,J2.4,Ar−H),7.36(2H,d,J8.1,Ar−H),7.46〜7.56(7H,m,Ar−H),7.60(1H,d,J2.4,Ar−H)。13CNMRの化学シフト値δC(100MHz,CDCl3):167.29(CO2),154.94(C),143.34(C),137.71(C),137.44(C),136.17(C),135.34(C),128.91(C),128.53(C),128.40(C),127.71(C),126.89(C),126.83(C),126.61(CH),125.85(CH),125.64(C),124.19(CH),123.55(CH),110.65(CH),66.22(CO2CH2Ar),55.65(OCH3),34.19(CMe3),31.56(C(CH33),18.37(CH3)。
【0068】
実施例4:
アニオン重合によるメタクリレートPPD単量体の重合(PMA−PPD−1)(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)ジイソブチルアルミニウム[Al(BHT)iBu2]の調製
ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(4.412g,20.0ミリモル)をトルエン(20ml)中に溶かした。トリイソブチル・アルミニウム(20ml,トルエン中に1M)を窒素雰囲気中で注射器を使って加えた。ブタンガスが発生している間に温度が50℃まで上がった。次いで、その混合物を50℃で
1時間攪拌した。フラスコを隔膜で封止し、ストック用の溶液として使用した。
【0069】
重合:
n−ブチルリチウム(0.05ml,15%)とAl(BHT)Bu2(1.5ml)をトルエン(2ml)中に溶かし、0℃で30分間、窒素雰囲気中で攪拌した。最初に、トルエン(2ml)中の単量体(14)(0.33g,0.9ミリモル)の溶液をゆっくり滴下して加えたところ、黄色を呈した。そして、その単量体は、非常に早く反応した。2時間後、その色は消え、反応が停止したことが認められた。更に、BuLi(0.05ml,15%)を加えた。更に3時間後、TLCによって高分子は検出されなかった。従って、メタノールを加えることによって反応を終了させた。CH2Cl2(200ml)と水(100ml)を加えることによって、高分子がフラスコの底に認められた。その高分子を過剰なCHCl3で抽出した。その溶媒を減圧下で除去し、この結果得られた高分子を最少量のCHCl3中に溶かし、砂を充填したピペットを通して濾過し、MeOH(200ml)に加えた。その結果得られた白色の高分子を濾過によって捕集し、高分子(15)を得た(約50mg)。融点:190〜230℃。赤外スペクトルの波数νmax(KBr)/cm-1:2961,1734s(C=O),1617,1495,1138,1067及び842。1HNMRの化学シフト値δH(250MHz,CDCl3):1.24(12H,bs,α−CH3及びC(CH33基),1.77(2H,b,CH2),5.29(2H,s,CH2),7.37及び7.88(2×4H,b,Ar−H)。13CNMRの化学シフト値δC(63.5MHz,CDCl3):31.0(CH3及びC(CH33),35.0(C(CH33),44.9(CH2),66.1(CH2−OH),120.8,123.8,125.9,126.6,126.9,129.1,138.4,155.2,163.6及び164.5(Ar)及び176.5(C=O)。[C232432の実測値:C,64.6;H,5.9;N,6.3、理論値:C,73.4;H,7.4;N,7.4%]。GPC検定結果(CHCl3,標準としてポリスチレン):Mn=36,000、Mw=489,000。
【0070】
実施例5:
ラジカル重合によるメタクリレートPPD単量体(9a)の重合(PMA−PPD−2)
単量体(9a)(0.33g,0.89ミリモル)をベンゼン(5ml,0.3mg,1.83×10-6モル)中のAIBN溶液に溶かした。AIBN/単量体の比は0.21%である(モル/モル)。真空下にベンゼン約4mlを除去した後、その溶液を数回(5回〜8回)の凍結融解ポンプサイクルで完全に脱気した。その反応混合物を80℃で2時間攪拌した後、室温まで冷却した。その粘性のある反応混合物をMeOH(10ml)中に注いで、白い沈殿を得、次いで、これをMeOH(3×2ml)で洗浄して、乾燥させることにより、粗製の高分子(9a)(0.22g,69%)を得た。その高分子を更にクロロホルム中へ溶解し、MeOH中に再沈殿させることにより精製した(これを3回繰り返した)。1HNMRの化学シフト値δH(250MHz,CDCl3):0.67,0.98(3H,b,α−CH3),1.24(9H,C(CH33),1.87(2H,CH2),4.87(2H,b,CH2),7.37,7.88(2×4H,Ar−H)。13CNMRの化学シフト値δC(100MHz,CDCl3):16.9,19.0(a−CH3),31.0(C(CH33),35.0(CMe3),45.0(CH2),54.1(CC=O),66.1(CH2OCO),120.8,123.8,125.9,126.7,126.9,129.1,138.5,155.2(Ar),163.7,164.5(オキサジアゾール),176.8(C=O)。赤外スペクトルの波数νmax(CHCl3)/cm-1:2966(C−H),1728(C=O),1615,1552,1494(Ar),964(オキサジアゾール)。[C232423の実測値:C,72.69;H,6.30;N,7.22、理論値:C,73.38;H,6.43;N,7.44%]。GPC検定結果(CHCl3,標準としてポリスチレン):Mn=52,000、Mw=127,000、Mw/Mn=2.46。
【0071】
実施例6:
ラジカル重合法によるメタクリレートPPD単量体(9a)の重合(PMA−PDD−3)
この重合法の手順は、開始剤(単量体の量に対して0.5モル%)としてAIBNを使用することを除いて実施例5と同様である。CHCl3に溶かすことによって精製した後、続いてMeOH内に沈殿させ、これを3回繰り返すことによって、高分子(9a)を得た(55%)。GPC検定結果(CHCl3,標準としてポリスチレン):Mn=34,000、Mw=103,000、Mw/Mn=2.99。
【0072】
実施例7:
メタクリレートPBD(9b)の重合(PMA−PBD−1)
単量体(9b)の重合は、実施例5における(9a)の場合と同様である。即ち、単量体(9b)(0.35g,0.885ミリモル)を、AIBN(5.4ml,0.73mgのAIBN)を含むベンゼン溶液中に溶かした(AIBN/単量体=0.5モル%)。その反応混合物内に約0.5ml〜1.0mlのベンゼンが残るまで、余分なベンゼンを真空下に蒸発除去した。次いで、数回(5〜8回)の凍結融解ポンプサイクルを使用して溶液を完全に脱気した。その反応混合物を窒素雰囲気中、80℃で2時間攪拌した。室温まで冷却した直後、その粘性のある反応混合物をメタノールアセトン(20ml,(体積比)1:1)中に注いで、白い沈殿物を得た。そして、その高分子を、CHCl3 中に溶かし、メタノールアセトン中に沈殿させるという処理を繰り返す(3回)ことによって、精製した。真空下に乾燥させた後、(9a)を白い粉末状固体(0.23g,66%)として得た。1HNMRの化学シフト値δH(250MHz,CDCl3):0.66〜0.98(3H,b,a−CH3),1.90(2H,b,CH2),4.86(2H,b,CH2),7.28,7.47(9H,b,Ar−H),7.85(4H,b,Ar−H)。13CNMRの化学シフト値δC(100MHz、CDCl3):18.5(CH3),29.5(CH3),44.9(CH2),65.7(CH2),122.7,123.7(Ar−オキサジアゾール),126.9,127.2,127.4,127.7,128.1,128.4,128.8及び129.0(Ar),139.4,144.5(Ar−Ph,Ar−CH2 O),163.8(C,オキサジアゾール),164.2(C,オキサジアゾール)。赤外スペクトルの波数νmax(KBr)/cm-1:3010(C−H),1730(CO−O),1614,1550,1484(Ar),964(オキサジアゾール)。[C252023の実測値:C,74.44;H,4.92;N,6.66、理論値:C,75.74;H,5.08;N,7.07%]。GPC検定結果(CHCl3,標準としてポリスチレン):Mn=89,000、Mw=103,000。
【0073】
実施例8:
メタクリレート単量体PBD(9b)の重合(PMA−PBD−2)
この重合の手順は、溶媒としてベンゼンの代わりにクロロベンゼンを使用する点を除いて、実施例7と同様である。そして、その高分子を、CHCl3 中に溶かし、メタノールアセトン中に沈殿させるという処理を繰り返す(3回)ことによって精製した。収率50%で(9b)を得た。GPC検定結果(CHCl3 ,標準としてポリスチレン):Mn=4,080、Mw=42,500。
【0074】
実施例9:
メタクリレートTPV(16)の重合(PMA−TPV)
単量体(16)の重合は、単量体(9)の場合と全く同じである。即ち、単量体(16)(0.205g,0.44ミリモル)を、0.35mgのAIBN(10.8mg,0.85ミリモル)を含むベンゼン溶液(2.5ml)に溶かした。そして、その溶液を真空下における幾分かのベンゼンの蒸発除去によって濃縮し、次いで、凍結融解ポンプ法(5回の繰り返し)の使用によって完全に脱気した。次に、その反応混合物を不活性な窒素雰囲気下において80℃で2時間攪拌した。そのホモポリマーを過剰なメタノール中から沈殿によって取り出し、CHCl3 内に溶かすことにより精製し、過剰なMeOH中で再沈殿させるという処理を2回繰り返した。その高分子を真空下で一夜乾燥させることによって、薄黄色の粉末状固体(0.11g,54%)として得た。赤外スペクトルの波数νmax(KBr)/cm-1:1720(C=O),1613(C=C),1514(Ar),1465(Ar),1150(C−O)。1HNMRの化学シフト値δH(400MHz,CDCl3):0.5〜1.1(b,主鎖α−Me),1.1〜1.25(b,主鎖CH2),1.29(9H,s,C(CH33),3.74(3H,s,OCH3),4.6〜5.2(2H,b,CO2CH2),6.7〜7.1(2H,b,CH=CH),7.1〜7.7(13H,b,CH=CH及びAr−H)。lmax/nm(CHCl3 ):245,324。GPC検定結果(CHCl3,標準としてポリスチレン):Mn=161,000、Mw=702,000、Mw/Mn=4.37。
【0075】
実施例10:
アニオン重合によるメタクリレート単量体TPV(16)におけるメチルメタクリレートのスクリーン処理アニオン重合
10.1 (2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)ジイソブチルアルミニウム[Al(BHT)i Bu2 ]の調製
ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(4.412g,20.0ミリモル)をトルエン(20ml)中に溶かした。トリイソブチル・アルミニウム(20ml,トルエン中に1M)を窒素雰囲気下で注射器によって加えた。温度を50℃まで上昇させた。ブタンガスが発生した。そして、その混合物を50℃で1時間攪拌した。フラスコを隔膜で封止し、その混合物をストック用の溶液として使用した。
【0076】
10.2 メチルメタクリレートの重合
Al(BHT)iBu2(3ml,1.5ミリモル,トルエン中に0.5M)の溶液を、均等圧滴下ロート、窒素バルーン及び隔膜を備えた100mlの3つ口フラスコの中で、トルエン(15ml)と混合した。次いで、tert−ブチルリチウム(0.3ml,ペンタン中に1.7M)を注射器を用いて攪拌しながら加えた。2つの金属アルキルの完全な複合化を可能にするために、数分間放置した。メチルメタクリレート(MMA)(2ml,1.87g,18.7ミリモル)を滴下ロートから一滴ずつ加えた。その混合物を0℃で1時間攪拌した。このMMAの添加によって溶液の色ははっきりした黄色を呈したが、重合の完了時には溶液は無色となった。その高分子を過剰のヘキサン内から沈殿によって取り出し、真空下で一夜乾燥させた。収率(1.7g、90%)。融点:173〜280℃。赤外スペクトルの波数νmax(KBr)/cm-1:1731(C=O),1150(C−O)。1HNMRの化学シフト値δH(400MHz,CDCl3):0.75〜1.1(b,3H,α−CH3),1.7〜2.1(b,2H,CH2),3.59(s,3H,CH3)。感度(Tactility )δH(3価元素,%):0.83(rr,68.8%),1.01(mr、31.2%)。クロロホルムのGPCにおいて、Mn=25,980,Mw/Mn=1.35を示した。
【0077】
実施例11:
メタクリレートPBDとTPVの共重合
単量体(9b)と単量体(16)の共重合は、単独重合と同様のラジカル共重合法を使用して行った。即ち、最初に、単量体(9b)(0.211g,0.532ミリモル)と(16)(0.250g,0.537ミリモル)を、0.8839mgのAIBNを含むベンゼン溶液(6.5ml)中に溶かし(AIBN/(17+18)=0.5モル%)、均質に拡散された溶液を作った。そして、その溶液を、真空下で幾分かのベンゼンを蒸発除去することによって約1mlまで濃縮し、次いで、凍結融解ポンプ法(5回の繰り返し)を使用することによって、完全に脱気した。その反応混合物を、不活性な窒素雰囲気下において、80℃で2時間攪拌した。室温まで冷却した後、その粘性のある溶液をMeOH(20ml)内に注いで白い沈殿を得、これを更に、クロロホルム中に溶かし、メタノール中に沈殿させるという処理を3回繰り返して、精製した。その共重合体を薄い黄色の粉末状固体(0.29g,63%)として得た。1HNMRの化学シフト値δH(250MHz,CDCl3):0.67〜1.16(2×3H,b,2×a−CH3),1.33(9H,s,tBu),1.61(4H,CH2),3.88(3H,OCH3),4.82(4H,s,CH2),6.72〜7.9(24H,b,Ar−H)。13CNMRの化学シフト値δC(100MHz;CDCl3):31.5(C(CH33),34.1(CMe3),55.5(OCH3),110.5(CH=CH),123.4,124.0,126.6,127.0,127.2,127.4,127.8,128.2,128.5,129.0,137.4(Ar)。赤外スペクトルの波数νmax(KBr)/cm-1:2949(C−H),1724(C=O),1610,1548(Ar),961(オキサジアゾール)。GPC検定結果(CHCl3,標準としてポリスチレン):Mn=44,000、Mw=242,000、Mw/Mn=5.45。
【0078】
実施例12:
単一の電子輸送層としてのポリ(メタクリレート)PPD
LED素子での高分子の適応性を評価するために、2層構造の2つのLED素子を、正孔輸送層としてのPPVと陰極としてのアルミニウムあるいはカルシウムのいずれかを使用して作製した。
【0079】
LED素子の組立
ITOガラスを、洗浄剤溶液を用いて、バス中で20分間超音波洗浄し、蒸留水、アセトン及びイソプロパノールですすいだ後、窒素の気流で乾燥した。乾燥され、完全にきれいにされたITOガラス基板に、PPV前駆体溶液(メタノール中に1%)を、室温、2000回転で20分間スピンコートした。PPV前駆体の熱変換を、真空下(約0.1mmHg)において、280℃で4時間行って、PPV層(厚み約40nm)を得た。そのPPV層は、正孔輸送層と光放射層の両方として機能する。そして、高分子PMA−PPD−2(通常、クロロホルム中に2%)を含むオキサジアゾールを、前記変換されたPPV層上にスピンコートした後、頂部にアルミニウムを形成(蒸着)して2層構造のLED素子を作製した。その電極を、細長い銅の接着テープを使用して導出させ、次いで、空気との接触を防止するために、PVCの接着テープで被覆した。
【0080】
(1)ITO/PPV/PMA−PPD/Al 28V以下で光放射なし
(2)ITO/PPV/PMA−PPD/Ca 黄緑色の光放射あり
前記の結果から、陰極としてアルミニウムを使用したとき、2層構造の素子にPMA−PPD層を組み込んでも、明確な効果は何もないことがわかる。しかしながら、カルシウムを陰極として使用することで、光放射(28V以下での)は増強される。図1は、ターンオン電圧を低下させながら(図2)、2層構造の素子(2)の内部量子効率を約4倍に増加させることができることを明らかに示している。
【0081】
実施例13:
ポリ(メタクリレート)誘導体(TPV)を含むスチルベンを用いた混合物の形態で、電子輸送層として使用されるポリ(メタクリレート)(PPD)
また、PMA−PPDは、一連の素子において、PPVを正孔輸送層として使用する青発光高分子を用いた混合物で使用される。これらの素子は、PMA−TPV(クロロホルム中に2%)と、PMA−TPVとPMA−PPD−2(クロロホルム中に体積比で1:1)との混合溶液を代わりに使用することを除けば、実施例12で説明した手順と同様の手順を使用することで組み立てられる。
【0082】
(3)ITO/PMA−TPV/Ca 光放射なし
(4)ITO/PPV/PMA−TPV/Ca 光放射なし
(5)ITO/PPV/PMA−TPV+PMA−PPDとの混合/Ca
青色発光し、徐々に緑色発光に変化(6)ITO/PPV/PMA−TPV+PMA−PPD/Al 光放射なし
これらの結果は、PMA−TPVは、電子輸送性の高分子であるPMA−PPDを使用しなければ(素子3)、28V以下でエレクトロルミネッセンスを行わないことを示唆している。素子4において、青色の発光は最初に現れるが、約15Vのバイアス電圧(図3に示すように)で素子が連続してチャージされている20分の間に、その色は、徐々に緑色に変化する。図4bは、素子を1週間保管した後に、素子の内部量子効率が増加していること示す。
【0083】
実施例14:
単一の電子輸送層としてのポリ(メタクリレート)PBD:
実施例12において説明したLEDの組立手順に従って、クロロホルム中のPMA−PBD−1溶液をITOガラス基板上のPPV層上にスピンコートし、これによって、電子輸送層としてPMA−PBDを使用したLED素子を作製した。
【0084】
(7)ITO/PPV/PMA−PBD/Ca 緑色発光あり
バイアス電圧15Vを印加したとき、緑色の光放射が行われた。
【0085】
実施例15:
発光高分子としてのポリ(メタクリレート)TPVとの混合物の形態において、電子輸送層として使用されるポリ(メタクリレート)PBD
クロロホルム中にPMA−PBD−1/PMA−TPV(体積比(v/v)1:1)を含む混合溶液を使用し、ITOガラス基板上のPPVの層上にフィルムをスピンコートした。
【0086】
(8)ITO/PPV/PMA−PBD+PMA−TPV/Ca 青色発光あり
青色発光が、20Vのバイアス電圧で最初の30分間観察され、続いて、連続した緑色発光(図5)となった。そのPMA−PBD高分子は、PMA−TPV高分子が青色発光している間に、電子輸送機能層として使用されている。そのPMA−TPV高分子は、また、幾分かの架橋ポテンシャルを示す。
【0087】
実施例16:
2層構造の素子において、青色発光層として使用されるポリ(メタクリレート)PBD−TPV共重合体
一連のLED素子において、アルミニウムが陰極として使用された場合には、PMA−PBDの組み込みは、PPVあるいはPMA−TPV層からの光放射を増強するのに何の効果も示さないことが見出されている[素子(9)及び(10)]。しかしながら、共重合体PMA−TPV−PBDにおけるPBDセグメントは、共重合体内のTPV発色団からの青色発光を実際に増強させるか、または促進させる[素子(13)に示すように]。
【0088】
(9)ITO/PPV/Al 光放射なし
(10)ITO/PPV/PMA−PBD/Al 光放射なし
(11)ITO/PPV/PMA−TPV/Al 光放射なし
(12)ITO/PPV/PMA−TPV+PMA−PBDの混合/Al
青色発光あり、但し、安定せず
(13)ITO/PPV/PMA−TPV−PBDの共重合体/Al
青色発光あり
これらの結果は、共重合体における電子輸送セグメントの使用は混合の形態よりも優れていることを示唆している[素子(12)を素子(13)及び(14)と比べて]。図6は、素子のターンオン電圧が約16Vであり、23V(この電圧を超えると素子のブレークダウンを誘発する)以下において印加電圧の増加に伴って光強度が増加することを示す。放射された光の色が青色であることは図7からわかる。なぜなら、エレクトロルミネッセンスのスペクトルの最大ピークが457nmに位置するからである。これは可視スペクトルの青色領域に属する。また、図8(ライン2)から、代表的なPPV放射である554nmと507nmでの2つのエレクトロルミネッセンスの肩の部分があることから、PPV層からの発光があることがわかる[図8(ライン3)]。更に、このPPV放射は、素子に対して連続的にチャージが行われている場合において、発光色が徐々に青色から緑色に変化するときに確認される。これは、PMA−TPV−PBD共重合体内のTPV発色団がブレークダウンし、PPVが唯一の光放射高分子として残っていることを示唆している。図9は、陰極としてアルミニウムが使用されていることを考慮すると、素子が相当に高い内部量子効率(0.035%で)を持つことを示している。
【0089】
実施例17:
単層構造の素子における青色発光層として使用されるPMA−TPV−PBD共重合体
共重合体溶液(クロロホルム中に2%)を、清浄なITOガラス基板上に直接スピンコートし、続いて、この単層構造の素子にアルミニウムを形成(蒸着)して単層のLED素子を作製した。
【0090】
(14)ITO/PMA−TPV−PBD/Al 青色発光あり
バイアス電圧(20V)を印加したときに青色発光が観察されたが、素子は、一見して2層構造のLED素子(13)と比較して安定していなかった。
【0091】
前駆体ルートを通じてのLED共重合体主鎖の調製と応用
ポリ(メタクリレート)は、高い透明度、高い耐化学薬品性と良好な機械的強度のように、多くの利点を有する。多官能共重合体と同様に、高分子量ポリ(メタクリレート)も、容易に取得することができる。しかし、ポリ(メタクリレート)誘導体は、高い安定性と電界に対する抵抗性(絶縁性)を示す高分子としては良好な候補者ではない。従って、これらは、LED素子を含む用途において寿命の問題がある可能性がある。この問題を回避するために、TPVのような架橋可能な基を含む他の連鎖セグメントの導入を伴う1つの手法がある。電界に対する抵抗(絶縁性)を改善する他の方法は、硬質ロッドポリマーやラダーポリマーのような他のタイプの高分子連鎖を選択することである。しかしながら、慣用された有機溶媒内での硬質ロッドポリマーやラダーポリマーの低い溶解性のために過酷な処理性(processability)を強いられるという問題がある。これら高分子の処理性(processability)は、硬質の共役高分子に変換することのできる可溶性前駆体を使用することによって改善することができる。ここに、我々は、図式8及び図式9に示すような多芳香族オキサジアゾールの合成のために前駆体ルートを試みた。
【0092】
【化11】

【0093】
【化12】

【0094】
実施例18:
多芳香族ヒドラジド(24)の合成
250mlの3つ口RBフラスコ内におけるN−メチルピロリドン(NMP)(50ml)とLiCl(4.86)中の(23)(5.08g,26.17ミリモル)のスラリーに、1,3−イソフタロイルジクロリド(5.31g,26.17ミリモル)を加えた。反応体を0℃で5時間攪拌した後、粘性のある反応混合物を水に注いで、白色の沈殿物を得、それを1%LiOH水溶液、水及びメタノールのそれぞれで洗浄した。その高分子を、メタノールを使用したソックスレー抽出処理(8時間)によって精製し、真空下において110℃で8時間乾燥させた。
【0095】
多芳香族ヒドラジド(24)を白色の粉末状固体(7.82g,92%)として得た。1HNMRの化学シフト値δH(200MHz,DMSO−d6):7.73(1H,s),8.15(2H,d,Ar−H),8.09(4H,s),8.52(1H,s,Ar−H),10.77(4H,s,2×NHNH)。13CNMRの化学シフト値δC(100MHz,DMSO−d6):127.2,128.5,130.0,131.4,133.0,135.5(Ar),165.3(C=O),165.5(C=O)。赤外スペクトルの波数νmax(KBr)/cm-1:3252(N−H),1685(C=O),1654(CO−NH),1560,1508,1488(Ar)。固有粘度:0.5dL/g(DMSO中で30℃)。
【0096】
実施例19:
多芳香族オキサジアゾール(25)の調製
多芳香族ヒドラジド(24)を窒素雰囲気下においてあるいは真空下で、少なくとも24時間かけて、270℃(又はそれよりも高い温度)で(25)へと熱変換した。赤外スペクトルの波数νmax(KBr)/cm-1:1700(CO−NH残基),1609,1543,1478,1458(Ar),961(オキサジアゾール)。λmax/film:227,335nm。
【0097】
実施例20:
多芳香族ヒドラジド−tert−Bu(27)の調製
凝縮器、機械式攪拌器及び温度計が設置された250mlの3つ口RBフラスコに、(23)(3.88g,0.02モル)、5−tert−ブチル−1,3−イソフタル酸(26)(4.44g,0.02モル)、並びに乾燥したNMP(60ml)と乾燥したピリジン(40ml)中に溶かされたLiCl(6.0g)を充填した。反応は、亜リン酸ジフェニルの存在下において、120℃で2.5時間行った。粘りのある不透明な溶液をメタノール(500ml)中に注ぎ、白色の沈殿物を得、それをメタノール(4×200ml)で洗浄し、次いで、ソックスレー抽出器内でメタノールを使用して20時間かけて抽出した。真空下に乾燥させた後、多芳香族ヒドラジド−tert−Bu(27)を白色の固体(5.85g,77%)として得た。1HNMRの化学シフト値δH(200MHz,DMSO−d6):1.43(9H,s,C(CH33),8.10(4H,b),8.20(2H,b),8.37(1H,Ar−H),10.77,10.80(4H,2,2×NHNH)。13CNMRの化学シフト値δC(100MHz,DMSO−d6):31.0(C(CH33),35.1(CMe3),122.1,124.8,127.9,132.9,135.6,151.8(Ar),165.3(C=O),165.7(C=O)。赤外スペクトルの波数νmax(KBr)/cm-1:3252(CO−N−H),2957(C−H),1654(CO−NH),1543,1478(Ar)。[C202044の実測値:C,60.60;H,5.64;N,14.47、理論値:C,63.13;H,5.30;N,14.47%]。
【0098】
実施例21:
多芳香族オキサジアゾール−tert−Bu(28)の調製
多芳香族ヒドラジド−tBu高分子(27)を、窒素雰囲気下においてあるいは真空下に、少なくとも24時間かけて、270℃(又はそれよりも高い温度)で、高分子(28)へと熱変換した。赤外スペクトルの波数νmax(KBr)/cm-1:2957(C−H),1543s,1482(Ar),962(オキサジアゾール)。[C201642の実測値:C,68.64;H,4.65;N,15.64、理論値:C,68.54;H,4.69;N,16.28%]。
【0099】
フレキシブル・スペーサの導入による主鎖高分子の調製及び応用
共役あるいは硬質高分子内へのフレキシブル・スペーサの導入は、一般に、高分子の溶解性を向上させる。次の実施例は、ヘキサフルオプロピレン・スペーサ(図式10)を用いた3つの異なる高分子の調製と応用を示す。
【0100】
実施例22:
ポリ(フェニレン−1,3,4−オキサジアゾール−2,5−ジイルフェニレン−2,2−ヘキサフルオロプロピリデン)(31)の調製
五酸化リン(2.95g,20.0ミリモル)をメタンスルホン酸(20ml)中に入れ、80℃で30分かけて攪拌して溶かした。硫酸ヒドラジン(1.302g,10.0ミリモル)と2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(29)(3.923g,10.0ミリモル)を加え、その混合物を80℃で24時間攪拌した。固体は、30分以内に徐々に溶解した。室温まで冷却した直後、その黄色い粘性のある溶液を水(300ml)中に注ぎ、Na2 CO3 の飽和水溶液(40ml)で中和した。その沈殿物(繊維状)を吸引により濾別し、水(3×300ml)で洗浄し、最後に、クロロホルム中に溶かし、メタノール中で再沈殿させるという処理(3回繰り返した)を行って、精製した。(31)を、270℃以上で融解/分解する白灰色の繊維(2.79g,75.4%)として得た。λmax(クロロホルム):300nm。λmax(固形フィルム):290nm。赤外スペクトルの波数νmax(KBr)/cm-1:1618,1585,1551,1499,1420,1256,1210,1175,1140,1071,10120,971,928,840,723。1HNMRの化学シフト値δH(400MHz,CDCl3):7.60〜8.18(8H,b,Ar−H)。13CNMRの化学シフト値δC(100MHz;CDCl3):122.3,124.8,125.3(ipso−C),127.1及び131.0(CH),136.5(ipso−C)。[C17862Oの実測値:C,54.99;H,2.29;N,7.56、理論値:C,55.15;H,2.18;N,7.57%]。その高分子は、酢酸エチル、エーテル、アセトニトリル、トルエン及びアセトンには溶解しないが、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン及びクロロホルムには溶解する。GPC検定結果(CHCl3,標準としてポリスチレン,流量10ml/分):Mn=11,800、Mw=143,000、Mw/Mn=12。
【0101】
【化13】

【0102】
実施例23:
高分子(32)の調製
高分子(32)のための合成手順は、高分子(31)の場合と全く同様である。五酸化リン(2.70g)をメタンスルホン酸(16.0ml)中に入れ、80℃で30分かけて攪拌して溶かした。ヒドラジド(23)(1.6355g,8.42ミリモル)と2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(29)(3.301g,8.42ミリモル)を加え、その混合物を80℃で24時間攪拌した。その混合物を室温まで冷やした直後、その黄色い粘性のある溶液を水(300ml)中に注ぎ、Na2CO3の飽和水溶液(40ml)で中和した。その沈殿物を吸引により濾別し、水(3×300ml)で洗浄し、最後に、メタノールを使用した48時間のソックスレー抽出処理によって精製した。高分子(32)を、270℃以上で融解/分解するグレイ色の粉末状固体(3.43g,79.2%)として得た。λmax(固形フィルム):312nm。赤外スペクトルの波数νmax(KBr)/cm-1:1725,1617,1576,1552,1497,1415,1327,1256,1210,1174,1140,1072,1017s,970,928,838,722。1HNMRの化学シフト値δH(400MHz,CDCl3):7.43(4H,s,Ar−H),7.64(4H,s,Ar−H),7.85(4H,s,Ar−H)。13CNMRの化学シフト値δC(100MHz;CDCl3):123.8,124.3,127.2,127.8,129.8,130.8,133.0,133.8,141.6。
【0103】
実施例24:
高分子(33)の調製
高分子(33)の合成手順は、高分子(31)の場合と全く同様である。五酸化リン(1.860g)をメタンスルホン酸(12.0ml)中に入れ、80℃で30分かけて攪拌して溶かした。ヒドラジド(23)(0.611g,3.148ミリモル)と、硫酸ヒドラジン(0.410g,3.148ミリモル)及び2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(29)(2.47g,6.30ミリモル)を加え、その混合物を80℃で24時間攪拌した。その混合物を室温まで冷やした直後、その黄色い粘性のある溶液を水(300ml)中に注ぎ、Na2CO3の飽和水溶液(40ml)で中和した。その沈殿物を吸引濾過によって捕集し、水(3×300ml)で洗浄し、最後に、メタノールを使用した48時間のソックスレー抽出処理によって精製した。(33)を、270℃以上で融解/分解するグレイ色の粉末状固体(2.54g,91.4%)として得た。λmax(固形フィルム):320nm。1HNMRの化学シフト値δH(250MHz,CDCl3):7.41(4H,s,Ar−H),7.90(4H,s,Ar−H),8.13(2H,s,Ar−H)。13CNMRの化学シフト値δC(100MHz;CDCl3):124.2,124.4,125.0,127.8,128.5(C),130.4,131.5,134.5(CH),142.3(C)。
【0104】
実施例25:
単一の電子輸送層としての高分子(31)
清浄な高分子(31)の溶液(クロロホルム中に1%,0.45μlの膜を通じて濾過された)をITOガラス基板上のPPV層(ITOガラス基板上の厚み約40nm)上にスピンコートした。次に、アルミニウムを、高分子(31)の膜(約40nm)の頂部に蒸着して、2層構造の高分子LED素子[IT/PPV/P−31/Al]を作った。22Vのバイアス電圧で、高分子(31)を有しない素子と比較して、より安定な緑色の発光が得られた。
【0105】
実施例26:
ポリアルキルチオフェンを混合した形態における電子輸送高分子としての高分子(31)
清浄な高分子混合溶液(クロロホルム中に1%,0.45μlの膜を通じて濾過された)[高分子(31)とポリ[3−(2−ジメチルエチル)チオフェンの比=1:1]を、乾燥した清浄なITOガラス基板上にスピンコートした。次に、アルミニウムを混合高分子(約40nm)の膜の頂部に蒸着して、2層構造の高分子LED素子:[ITO/PAT+P−31/Al]を作った。18Vのバイアス電圧で、高分子(31)を有しない素子と比較して、より安定な黄色の発光が得られた。
【0106】
実施例27:
2層構造素子における電子輸送高分子及びエレクトロルミネッセンス高分子の両方としての高分子(32)
清浄な高分子(32)の溶液(トリフルオロ酢酸中に1%,ポアサイズ0.6μlの膜を通じて濾過された)を、PPV層(ITOガラス基板上の厚み約40nm)上にスピンコートした。次に、アルミニウムを、高分子(32)の膜(約40nm)の頂部に蒸着して、2層構造の高分子LED素子[IT/PPV/P−32/Al]を作った。15Vのバイアス電圧で緑色の発光が得られ、より高いバイアス電圧(28V)が印加されたとき青紫色の発色に変化した。
【0107】
ポリチオフェン45a〜45cの合成
関連するポリチオフェン45a〜45cの合成方法を図式11に示す。
【0108】
関連するチオフェン単量体1及び2は報告されている(K.A.マレイ,S.C.モラッティ,D.R.バイゲント,N.C.グリーンハム,K.ピッチラー,A.B.ホルメス及びR.H.フレンド,Synth.Met.,1995,69,395〜396)。
【0109】
架橋結合可能な高分子を示すために選ばれた規則的な位置選択性の(regioregular)ポリチオフェンは、少量の11−ヒドロキシウンデシル側鎖を含むポリ(3−ヘキシルチオフェン)である。その単量体は、19:1,1:2から2:1,1:2までの比率で共重合され、テトラヒドロピラニル・アセタールで保護された共重合体43を得た。これらは、アルコール官能化共重合体(alcohol-functionalised copolymers )44を得るために、保護を外すことができる(図式11)。アジ化物への変換は、過剰なアジ化ジフェニルホスホリルを使用して1ステップで達せられ、比率19:1、9:1及び4:1の共重合体44に対して実施され、アジ化された(azidated)共重合体45a,45b及び45cがそれぞれ得られた。このとき、1HNMRによれば、残存するアルコールは認められなかった。
【0110】
アジ化物の熱分解は、高分子45a〜45cの膜を200℃で真空下において30分加熱することによって達成され、このとき、高分子45bの示差走査熱量測定は、185℃以上でアジ化物の分解が発生していることを示した。アジ化物の分解は窒素の喪失をもたらし、ほとんど無差別に、単結合及び二重結合との反応を誘発する高い反応性のナイトレンの形成をもたらした。その高分子の紫外・可視吸収スペクトルの変化から架橋が観察された。即ち、スペクトルは、高分子の主鎖に沿ったナイトレン挿入により、共役長さ(結合長)がより短くなったために、より低い波長(より高いエネルギー)にシフトした。この効果は、高分子のアジ化物の含量と共に増加する(図11,表1)。その結果得られた膜をクロロホルムで洗浄した。これらは不溶性であったが、わずかな色の変化を示した(表1)。少量の架橋されていない可溶性高分子が、19:1共重合体(例えば45a)の洗浄の際に出るが、残存する高分子は全くの不溶性である。
【0111】
【表1】

【0112】
結果的に得られる不溶性ポリチオフェン膜は、素子形成において使用することができる。この場合、ポリチオフェンの頂部に、ダメージを与えることなくスピンコートによって溶液から更に膜を形成することができる。また、アジ化物の濃度を変更し、高分子における結合長(共役長)を制御することによって、物理的特性を調整することができる。
【0113】
ポリチオフェン素子の実施例:
架橋結合していないポリチオフェンの膜を、ITO膜が形成されたガラス基板上にスピン処理(1000rpm/40sec)して、暗い赤色の均一な膜を形成した。その基板を、真空(5×10-6mbar)中において200℃で60分間焼成した。冷却した後、その膜を慎重にクロロホルムで洗浄し、窒素雰囲気中で乾燥した。1000オングストローム(Å)のアルミニウムを高分子の上端に蒸着して頂部接点(取出し電極)を形成した。最後に、素子をエポキシ/ガラスの組合せを用いて被覆した。図16は、代表的なIV及びLI曲線を示す。2cd/sqmの放射は、10V駆動において約100mA/sqcmで得られた。その放射は赤色であり、その放射スペクトルを図17に示す。
【0114】
本発明に係る更なる実施例においては、架橋高分子の紫外/可視特性は維持され、有意に溶解することなく、溶媒環境に対する応答性を示す。架橋高分子の固形フィルムはすべて赤色である(しかし、クロロホルムあるいは他の良好な溶媒(トルエン,THF)との接触の際にはオレンジ色である)。このことは高分子の溶媒和を示している。その9:1共重合体(45b)の吸収スペクトルを図11に示す。この特性は、これらの高分子の光特性が変化することから、これらの高分子膜を検出及び感知素子で使用可能とする機能に寄与するものである。光キラル(chiroptical)特性の変化は、また、キラルに改変された側鎖を担持する架橋ポリチオフェンにおいても検出することができる。このようにして、鏡像(異性)体、ペプチド、タンパク質及び酵素のような、様々な基質を検出するためのセンサー、あるいはキラル薄膜の親和性表面として機能し得る光学素子を作製することができる。
【0115】
架橋ケイ皮酸エステル誘導体
ジスチリルベンゼン及びケイ皮酸側鎖を伴うランダムオキサジアゾール側鎖を担持するポリ(メタクリレート)高分子49(図式12)は、光化学的照射によって架橋される。光放射素子における、この結果得られる高分子は、有効に青色光の放射を行う。
【0116】
ポリ(メタクリレート)は、高い透明性、高い耐薬品性及び良好な機械的強度といった多数の利点を有する。また、多官能共重合体ばかりでなく高い分子量の高分子を合成することが比較的容易である。所定範囲の芳香族オキサジアゾール結合高分子、ジスチリルベンゼン結合高分子、及びオキサジアゾールとジスチリルベンゼンの両者が結合した共重合体が合成され、電子輸送層や光放射層のために使用される。しかしながら、これら高分子の素子は、動作中において、非常に安定であるわけではない。おそらく、フレキシブルな主鎖や異なるジスチリルベンゼン間で容易に二重体化することによる。この問題を解決するためには、UV感光により架橋可能な他の官能単位が、電子輸送単位、青色発光単位及び紫外線架橋性単位を有するポリメタクリレートを実現するために共重合される。架橋の結果として、高分子連鎖の移動及び二重体化が抑制され、これにより、安定性が良好な素子が期待される。
【0117】
UV感応性2−(シンナモイロキシ)エチルメタクリレート47を文献[M.カトウ,T.ヒラヤマ,Macromol.Rapid.Commun.,1994,15,741]に従って合成した。単量体47は、AIBNにより開始することによって容易に重合され得る。ベンゼンを溶媒として使用したとき、形成された高分子のほとんどは、普通の有機溶媒に不溶であることがわかり、重合の間に架橋反応が結果として同時に生じることがが判明した。重合をTHF中で行った場合、完全に可溶性の高分子を60℃、8時間で得ることができる。溶媒THFは、明らかに、溶解させる役割を果たすのみならずラジカル化学種の反応性を制御する。
【0118】
芳香族オキサジアゾール単位46、ジスチリルベンゼン単位48及び単量体47の共重合を、ホモポリマーの場合と同様の条件で行った。単量体間の比は変動させることができる。便宜上、p=0.53、q=0.28及びr=0.19(図式12)に対応する共重合のために、等しい重量の単量体が使用される。黄色の粉状の共重合体49は、精製(2回にわたるメタノール内での沈殿処理)後に、良好な収率で得られる。共重合体49は、塩素化溶媒、THF及びトルエンに対して可溶であり、ヘキサン、メタノールに対して不溶である。GPC分析により、49のモル質量は11,200/53,500(Mn/Mw)であることがわかった。自由設定の(free standing)高分子フィルムは、流延技術によって容易に得られる。この高分子は、冷凍庫内で0℃よりも低い温度に保たれるのであれば、非常に安定である。
【0119】
高分子49は、UV光下において緑がかった青の蛍光を発する。
【0120】
共重合体の光架橋挙動
3つの単位の共重合体は、発光団(luminophore)と電子輸送性発色団を含むのみならず、UV感応性架橋単位をも含む。高分子の光架橋挙動を理解するために、高分子の薄膜を種々の時間の間、UV光にさらした。共重合体は、固体の状態において、200nm,295nm及び400nmの3つの吸収ピークを示すことが、図14からわかる。露呈時間が増加すると共に、これら3つのピークの強さは低下した。295nm及び200nmでのピークは、架橋の結果として減少し得るシンナモイロキシ基に関連している。シンナモイルエステルカルボキシル基の赤外吸収に対する効果を表2に示す。高分子49の膜(ガラス基板上の)を5分間さらしたとき、その膜は、クロロホルムに対して不溶となるにもかかわらず、なお青色の蛍光を発した。従って、5〜10分の露呈時間は、架橋した不溶性の高分子を得るのに好適である。この結果得られる架橋高分子膜のPLスペクトルは、更なる照射の際にほとんど変化を示さず、一定の発光効率(39%)を維持した。
【0121】
【表2】

【0122】
LEDへの応用
正孔輸送層としてのPPVと発光層としての5分間のUV照射を行った共重合体49及び5分間のUV照射を行わない共重合体49を使用して2つの素子を組み立てた。
【0123】
A)ITO/PPV/共重合体49/Al:青白い発光(20V/0.8mA)あり
B)ITO/PPV/UV照射された共重合体49/Al:青白い発光(28V/0.8mA)あり
上述の結果は、高分子49は、陰極として安定したアルミニウムを使用した青色発光高分子として十分に使用され得ることを示している。更に、スピンコートされた発光性高分子は、UV照射によって容易に硬化され、これによって、不溶性となって架橋高分子となるに至り、この結果、より安定な高分子LEDが得られる。
【0124】
また、発光層として高分子49を使用し、陰極としてカルシウムを使用した単層の光放射素子を作製した。青色発光は、0.1%の内部量子効率で得られた。単層構造の素子においては、その量子効率は相対的に高い。高分子49を使用した単層構造の素子のエレクトロルミネッセンス・スペクトルを図15に示す。
【0125】
高分子45bの代表的合成例
位置規則性の9:1ポリ{3−ヘキシル−co−3−(11−[2−テトラヒドロピラニロキシ]ウンデシル)−チオフェン}(43b)
上述した手順(高分子43aのための)に従い、2−ブロモ−3−ヘキシルチオフェン(41)(1.47g,5.95ミリモル)と2−ブロモ−3−(5−[2−テトラヒドロピラニロキシ]ウンデシル)−チオフェン(42)(0.28g,0.67ミリモル)との混合物を重合(NiCl2 (dppp)触媒の1回の添加で)させて共重合体43b(108mg,9%)を深紫色の固形フィルムとして得た。λmax(CHCl3 /nm):450。1HNMRの化学シフト値δH(200MHz,CDCl3):0.91(t,J6.4,ヘキシルの6′−H[3H]),1.20〜1.80(br m,側鎖CH2),2.81(2H,br t,J7.6,1′−H),3.31〜3.54(0.2H,m,11′,11−THPO−ウンデシルの6″−H[2H]),3.66〜3.90(0.2H,m,11′,11−THPO−ウンデシルの6″−H[2H]),4.57(0.1H,m,11−THPO−ウンデシルの2″−H[1H])及び6.98(1H,s,4−H)。GPC(CHCl3,450nm)/Da:Mn=9,5000,Mw=13,400,多分散性1.42。
【0126】
位置規則性の9:1ポリ{3−ヘキシル−co−3−(11−ヒドロキシウンデシル)−チオフェン}(44b)
上述した手順(高分子44aのための)に従い、位置規則性の9:1ポリ{3−ヘキシル−co−3−(11−[2−テトラヒドロピラニロキシ]ウンデシル)−チオフェン}(43b)(117mg)をメタノール/希HCl水溶液で処理を施して、保護を外した(deprotected)共重合体44b(104mg,93%)を深紫色の固形フィルムとして得た。λmax(固体/nm):526,550sh,600sh,(CHCl3/nm):450。1HNMRの化学シフト値δH(200MHz,CDCl3):0.91(br t,J〜6.4,ヘキシルの6′−H[3H]),1.20〜1.80(br m,側鎖CH2),2.81(2H,br t,J〜7.5,1′−H),3.62(0.2H,t,J6.5,11−ヒドロキシ−ウンデシルの11′−H[2H])及び6.98(1H,s,4−H)。GPC(CHCl3,450nm)/Da:Mn=11,500,Mw=17,000,多分散性1.65。
【0127】
位置規則性の9:1ポリ{3−ヘキシル−co−3−(11−アジドウンデシル)−チオフェン}(45b)
上述した手順(高分子45aのための)に従い、位置規則性の9:1ポリ{3−ヘキシル−co−3−(11−ヒドロキシウンデシル)−チオフェン}(44b)(77mg)をアジ化して、共重合体45b(63mg,81%)を深紫色の固形フィルムとして得た。λmax(KBrディスク)/cm-1は2095w(アジ化物)を含む。λmax(固体/nm):522,550sh,600sh,(CHCl3 /nm):450。1HNMRの化学シフト値δH(200MHz,CDCl3):0.91(br t,J〜6.7,ヘキシルの6′−H[3H]),1.20〜1.80(br m,側鎖CH2),2.81(2H,br t,J〜7.4,1′−H),3.23(0.2H,t,J〜7,11−アジドウンデシルの11′−H[2H])及び6.98(1H,s,4−H)。GPC(CHCl3,450nm)/Da:Mn=5,100,Mw=11,800,多分散性2.34。DSC:185℃で発熱、最高200℃(2回目の掃引では、ナイトレン形成は見られず)。TGA(%/℃):99.5/185,95.5/270,55/480,<10/600(N2喪失=1.6%)。
【0128】
【化14】

【0129】
【化15】

【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】(ITO/PPV/PMA−PPD/Ca)素子および(ITO/PPV/Ca)素子の電流に対する内部量子効率の変化を示すグラフである。
【図2】図1に示す素子の電界に対する電流の変化を示すグラフである。
【図3】(ITO/PPV/PMA−TPV+PMA−PPD/Ca)素子の電圧Vに対する輝度Lの変化を示すグラフである。
【図4】図3に示す素子の電流に対する効率の変化を示すグラフである。
【図5】(ITO/PPV/PMA−TPV+PMA−PBD/Ca)素子の波長λに対する輝度Lの変化を示すグラフである。
【図6】(ITO/PPV/PMA−TPV−PBD/Al)素子の電圧に対する電流の変化を示すグラフである。
【図7】時間の関数としてジスチリルベンゼン(distyrlbenzene)発色団の架橋結合を示す、種々のLED素子(ITO/PPV/Ca,ITO/PPV/共重合体16/Al及びITO/PPV/共重合体9b(1:1)/Al)における波長λに対する輝度の変化を示すグラフである。
【図8】図7に示す(ITO/PPV/共重合体/Al)素子の電流に対する効率の変化を示すグラフである。
【図9】図7に示す共重合体の波長λに対する輝度の変化を示すグラフである。
【図10】架橋のためのポリチオフェンの代表例を示す。
【図11】加熱処理の前後における9:1共重合体45bの架橋を示す。
【図12】共重合体49におけるUV−VIS吸収スペクトルを示すグラフである。
【図13】3つの官能基を有するポリメタクリレート49(p=0.5,q=0.3,r=0.2)のフォトルミネッセンス・スペクトルを示す。
【図14】時間の関数としてUV光で露光した場合における図13に示す3単位の共重合体のUV−VIS吸収スペクトルを示す。
【図15】放射層(内部量子効率が0.1%のITO/高分子49/Ca)として高分子49を使用した光放射素子のエレクトロルミネッセンス・スペクトルを示す。
【図16】架橋されたポリチオフェン(45b,9:1)素子の電圧に対する電流と輝度の変化を示すグラフである。
【図17】図16に示す架橋されたポリチオフェン・素子のエレクトロルミネッセンス・スペクトルを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子に使用される高分子であって、電荷輸送セグメントと、エレクトロルミネッセンスセグメントとを有することを特徴とする高分子。
【請求項2】
請求項1記載の高分子において、電子輸送セグメントを有することを特徴とする高分子。
【請求項3】
請求項1または2記載の高分子において、当該高分子は、ポリ(アリーレンビニレン)、ポリアリーレンまたはポリへテロアリーレンを含むことを特徴とする高分子。
【請求項4】
請求項3記載の高分子において、当該高分子は、ポリチオフェンを含むことを特徴とする高分子。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の高分子において、前記電荷輸送セグメントは、Ar1−Het−Ar2部分を有することを特徴とする高分子。ここで、Ar1およびAr2は互いに同一または異なる芳香族単位であり、Hetは複素芳香族環である。
【請求項6】
請求項5記載の高分子において、Hetが以下の群から選択された基であり、ならびに/または、Ar1およびAr2は以下の群から個別に選択された基であることを特徴とする高分子。
【化1】

【化2】

ここで、R1-19およびR′1-12は、水素、ハロゲン元素、シアノ、アルキル、アルコシキ側鎖の群から選択された基である。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の高分子において、当該高分子は、オキサジアゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、それらのベンゾ縮合物類似体からなる電荷輸送セグメントを有することを特徴とする高分子。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の高分子において、電荷輸送セグメントが当該高分子の主鎖に存在することを特徴とする高分子。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の高分子において、電荷輸送セグメントが当該高分子の側鎖に存在することを特徴とする高分子。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の高分子において、エレクトロルミネッセンスセグメントが当該高分子の主鎖に存在することを特徴とする高分子。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の高分子において、エレクトロルミネッセンスセグメントが当該高分子の側鎖に存在することを特徴とする高分子。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の高分子において、さらに、可撓性スペーサを有することを特徴とする高分子。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の高分子において、当該高分子は、青色発光能を有することを特徴とする高分子。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載された高分子の使用方法であって、当該高分子を、発光させるためおよび/または電荷を輸送させるためのものとして光学素子内で使用することを特徴とする高分子の使用方法。
【請求項15】
請求項14記載の使用方法において、前記光学素子がエレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする高分子の使用方法。
【請求項16】
基板と、前記基板上に支持された高分子とを有する光学素子であって、前記高分子が請求項1〜13に記載された高分子であることを特徴とする光学素子。
【請求項17】
請求項16記載の光学素子において、当該光学素子がエレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする光学素子。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2008−189920(P2008−189920A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−16835(P2008−16835)
【出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【分割の表示】特願2002−340806(P2002−340806)の分割
【原出願日】平成7年12月28日(1995.12.28)
【出願人】(597063048)ケンブリッジ ディスプレイ テクノロジー リミテッド (152)
【Fターム(参考)】