説明

高分子化合物およびそれを用いた発光素子

【課題】輝度寿命(特に、輝度半減寿命)が十分に長い発光素子の作製に有用な高分子化合物を提供する。
【解決手段】式(1)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物。


[式中、E〜Eは、アリール基、1価の複素環基または式(2)で表される基を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子化合物およびそれを用いた発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
高分子量の発光材料は、溶媒に可溶で塗布法により発光素子における発光層を形成できることから種々検討されている。その例として、3つの結合手が全て芳香環に結合した窒素原子を2個または3個有する繰り返し単位を含む高分子化合物が知られている。
【0003】
該高分子化合物としては、窒素原子を2個有する繰り返し単位である下記式で表される繰り返し単位を含むものが知られている(特許文献1)。
【0004】
【化1】

【0005】
また、該高分子化合物としては、窒素原子を3個有する繰り返し単位である下記式で表される繰り返し単位を含むものが知られている(特許文献2)。
【0006】
【化2】

【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第99/54385号
【特許文献2】特開2004−162059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記の高分子化合物を用いて作製された発光素子は、輝度寿命(特に、輝度半減寿命)は未だ十分でないという問題があった。
そこで、本発明は、輝度寿命が十分に長い発光素子の作製に有用な高分子化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は第一に、式(1)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物を提供する。
【0010】
【化3】

[式中、
、E、EおよびEは、それぞれ独立に、アリール基、1価の複素環基または式(2)で表される基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。Eが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
【0011】
【化4】

、R、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を表し、これらの基は、置換基を有していてもよい。R、R、R、R、R、R、RおよびRが複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
a、b、c、dおよびeは、それぞれ独立に、1または2であり、fは0〜3の整数を表す。f=0のとき、5≦a+b+c+e≦8、かつ、bおよびcの少なくとも一方は2である。f=1のとき、5≦a+b+c+d+e≦10である。dが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
m、n、o、p、qおよびlは、それぞれ独立に、0〜4の整数を表し、m、n、o、pおよびqが複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
jおよびkは、それぞれ独立に、0〜5の整数を表す。]
【0012】
本発明は第二に、該高分子化合物を含有する組成物および薄膜、並びに、該薄膜を有する(即ち、備える)発光素子を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の高分子化合物によれば、輝度寿命(特に、輝度半減寿命)の十分に長い発光素子を提供することができる。したがって、本発明の高分子化合物を含有する薄膜を備える発光素子は、ドットマトリックスのフラットパネルディスプレイ、セグメントタイプの表示素子、照明用としての曲面状や平面状の光源、液晶ディスプレイのバックライトなどに有用に使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書において、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表し、Buはブチル基を表す。また、接頭辞の「p−」は、パラ(para)を表し、「イソ」はisoを表す。
【0015】
本明細書において、「繰り返し単位」とは、一分子中に1以上存在する単位を意味し、一般に「構成単位」と呼ばれることがある。この「繰り返し単位」は、一分子中に2以上存在する単位であることが好ましい。
【0016】
本明細書において、「置換基を有していてもよい」とされ、かつ、特に説明がなされていないところにおける、該置換基としては、ハロゲン原子、炭素原子数1〜30のヒドロカルビル基および炭素原子数1〜30のヒドロカルビルオキシ基が例示され、これらの中でも、ハロゲン原子、炭素原子数1〜18のヒドロカルビル基または炭素原子数1〜18のヒドロカルビルオキシ基が好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数1〜12のヒドロカルビル基または炭素原子数1〜12のヒドロカルビルオキシ基がより好ましく、ハロゲン原子または炭素原子数1〜12のヒドロカルビル基が更に好ましく、ハロゲン原子または炭素原子数1〜6のヒドロカルビル基が特に好ましい。
【0017】
<高分子化合物>
本発明の高分子化合物は、前記式(1)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物である。本発明の高分子化合物は、前記式(1)で表される繰り返し単位を1種のみ含んでいてもよく、正孔輸送性の観点から、前記式(1)で表される繰り返し単位を2種以上含んでいてもよい。
【0018】
前記式(1)において、E〜Eで表されるアリール基は、芳香族炭化水素から、水素原子1個を除いた残りの原子団(好ましくは、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた残りの原子団)であり、該基は、置換基を有していてもよい。
芳香族炭化水素としては、縮合環を有するもの、独立したベンゼン環および縮合環から選ばれる2個以上が直接またはビニレン基などの基を介して結合したものが含まれる。アリール基の炭素原子数は、通常6〜60(該炭素原子数に、置換基の炭素原子数は含まれない)であり、好ましくは6〜20である。アリール基としては、例えば、フェニル基、C1〜C12アルコキシフェニル基(C1〜C12は、炭素原子数1〜12であることを示す。以下も同様である。)、C1〜C12アルキルフェニル基、C1〜C12アルキルチオフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、フェナントレン−イル基、ピレン−イル基、ペリレン−イル基、ペンタフルオロフェニル基等が挙げられ、C1〜C12アルコキシフェニル基、C1〜C12アルキルフェニル基、C1〜C12アルキルチオフェニル基が好ましい。
1〜C12アルコキシフェニル基としては、例えば、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、プロピルオキシフェニル基、イソプロピルオキシフェニル基、ブトキシフェニル基、イソブトキシフェニル基、tert−ブトキシフェニル基、ペンチルオキシフェニル基、ヘキシルオキシフェニル基、シクロヘキシルオキシフェニル基、ヘプチルオキシフェニル基、オクチルオキシフェニル基、2−エチルヘキシルオキシフェニル基、ノニルオキシフェニル基、デシルオキシフェニル基、3,7−ジメチルオクチルオキシフェニル基、ラウリルオキシフェニル基が挙げられる。
1〜C12アルキルフェニル基としては、例えば、メチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、ブチルフェニル基、イソブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、シクロヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、2−エチルヘキシルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、3,7−ジメチルオクチルフェニル基、ラウリルフェニル基が挙げられる。
1〜C12アルキルチオフェニル基としては、例えば、メチルチオフェニル基、エチルチオフェニル基、プロピルチオフェニル基、イソプロピルチオフェニル基、ブチルチオフェニル基、イソブチルチオフェニル基、tert−ブチルチオフェニル基、ペンチルチオフェニル基、ヘキシルチオフェニル基、シクロヘキシルチオフェニル基、ヘプチルチオフェニル基、オクチルチオフェニル基、2−エチルヘキシルチオフェニル基、ノニルチオフェニル基、デシルチオフェニル基、3,7−ジメチルオクチルチオフェニル基、ラウリルチオフェニル基が挙げられる。
【0019】
前記式(1)において、E〜Eで表される1価の複素環基とは、複素環式化合物から、水素原子1個を除いた残りの原子団(好ましくは、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた残りの原子団)であり、該基は、置換基を有していてもよい。
1価の複素環基の炭素原子数は、通常4〜60(該炭素原子数に、置換基の炭素原子数は含まれない)であり、好ましくは4〜20である。ここで、複素環式化合物は、環式構造を持つ有機化合物のうち、環を構成する元素が炭素原子だけでなく、酸素、硫黄、窒素、リン、ホウ素、ヒ素等のヘテロ原子を環内に含むものであり、縮合環を有するもの、独立した単環および縮合環から選ばれる2個以上が直接結合したものを含む。
1価の複素環基としては、1価の芳香族複素環基が好ましい。1価の芳香族複素環基は、芳香族複素環式化合物から、水素原子1個を除いた残りの原子団(好ましくは、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた残りの原子団)である。芳香族複素環式化合物としては、例えば、オキサジアゾール、チアジアゾール、チアゾール、オキサゾール、チオフェン、ピロール、ホスホール、フラン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジン、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、カルバゾール、ジベンゾホスホール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン等のヘテロ原子を含む複素環自体が芳香族性を示す化合物、並びに、フェノキサジン、フェノチアジン、ジベンゾボロール、ジベンゾシロール、ベンゾピラン等のヘテロ原子を含む複素環それ自体は芳香族性を示さなくとも、該複素環に芳香環が縮環されている化合物が挙げられる。
【0020】
前記式(1)において、E〜Eで表されるアリール基および1価の複素環基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換カルボキシル基およびシアノ基が挙げられ、これらの基は、後述のR〜Rで表される基と同じ意味を表す。
【0021】
前記式(1)において、E〜Eが表す前記式(2)で表される基におけるR〜Rは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を表し、これらの基は、置換基を有していてもよい。R〜Rが複数個存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。本発明の高分子化合物の溶解性の観点から、R〜Rは、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子が好ましく、アルキル基、ハロゲン原子がより好ましく、アルキル基がさらに好ましい。
【0022】
前記式(1)において、E〜Eは、本発明の高分子化合物の安定性、合成の行いやすさの観点から、アリール基であることが好ましい。
【0023】
前記式(1)において、R〜Rは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を表し、これらの基は、置換基を有していてもよい。R〜Rが複数個存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。本発明の高分子化合物の溶解性の観点から、R〜Rは、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子が好ましく、アルキル基、ハロゲン原子がより好ましく、アルキル基がさらに好ましい。
【0024】
前記R〜Rにおけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0025】
前記R〜Rにおけるアルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、置換基を有していてもよい。該アルキル基の炭素原子数は、通常1〜20(該炭素原子数に、置換基の炭素原子数は含まれない。)であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ラウリル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基が挙げられる。
【0026】
前記R〜Rにおけるアルコキシ基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、置換基を有していてもよい。該アルコキシ基の炭素原子数は、通常1〜20(該炭素原子数に、置換基の炭素原子数は含まれない。)であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロブトキシ基、パーフルオロヘキシルオキシ基、パーフルオロオクチルオキシ基、メトキシメチルオキシ基、2−メトキシエチルオキシ基が挙げられる。
【0027】
前記R〜Rにおけるアルキルチオ基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、置換基を有していてもよい。該アルキルチオ基の炭素原子数は、通常1〜20(該炭素原子数に、置換基の炭素原子数は含まれない。)であり、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基、ラウリルチオ基、トリフルオロメチルチオ基が挙げられる。
【0028】
前記R〜Rにおけるアリール基としては、前記E〜Eにおける1価のアリール基と同じものが挙げられる。
【0029】
前記R〜Rにおけるアリールオキシ基は、置換基を有していてもよく、その炭素原子数は、通常6〜60(該炭素原子数に、置換基の炭素原子数は含まれない。)であり、例えば、フェノキシ基、C1〜C12アルコキシフェノキシ基、C1〜C12アルキルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、ペンタフルオロフェニルオキシ基が挙げられ、C1〜C12アルコキシフェノキシ基、C1〜C12アルキルフェノキシ基が好ましい。
1〜C12アルコキシフェノキシ基としては、例えば、メトキシフェノキシ基、エトキシフェノキシ基、プロピルオキシフェノキシ基、イソプロピルオキシフェノキシ基、ブトキシフェノキシ基、イソブトキシフェノキシ基、tert−ブトキシフェノキシ基、ペンチルオキシフェノキシ基、ヘキシルオキシフェノキシ基、シクロヘキシルオキシフェノキシ基、ヘプチルオキシフェノキシ基、オクチルオキシフェノキシ基、2−エチルヘキシルオキシフェノキシ基、ノニルオキシフェノキシ基、デシルオキシフェノキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシフェノキシ基、ラウリルオキシフェノキシ基が挙げられる。
1〜C12アルキルフェノキシ基としては、例えば、メチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、プロピルフェノキシ基、1,3,5−トリメチルフェノキシ基、メチルエチルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、ブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、イソブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、ペンチルフェノキシ基、イソアミルフェノキシ基、ヘキシルフェノキシ基、ヘプチルフェノキシ基、オクチルフェノキシ基、ノニルフェノキシ基、デシルフェノキシ基、ドデシルフェノキシ基が挙げられる。
【0030】
前記R〜Rにおけるアリールチオ基は、置換基を有していてもよく、その炭素原子数は、通常3〜60(該炭素原子数に、置換基の炭素原子数は含まれない。)であり、例えば、フェニルチオ基、C1〜C12アルコキシフェニルチオ基、C1〜C12アルキルフェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、ペンタフルオロフェニルチオ基が挙げられ、C1〜C12アルコキシフェニルチオ基、C1〜C12アルキルフェニルチオ基が好ましい。
【0031】
前記R〜Rにおけるアリールアルキル基は、置換基を有していてもよく、その炭素原子数は、通常7〜60(該炭素原子数に、置換基の炭素原子数は含まれない。)であり、例えば、フェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル基、1−ナフチル−C1〜C12アルキル基、2−ナフチル−C1〜C12アルキル基が挙げられ、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル基が好ましい。
【0032】
前記R〜Rにおけるアリールアルコキシ基は、置換基を有していてもよく、その炭素原子数は、通常7〜60(該炭素原子数に、置換基の炭素原子数は含まれない。)であり、例えば、フェニルメトキシ基、フェニルエトキシ基、フェニルブトキシ基、フェニルペンチロキシ基、フェニルヘキシロキシ基、フェニルヘプチロキシ基、フェニルオクチロキシ基等のフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルコキシ基、1−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基、2−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基が挙げられ、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルコキシ基が好ましい。
【0033】
前記R〜Rにおけるアリールアルキルチオ基は、置換基を有していてもよく、その炭素原子数は、通常7〜60(該炭素原子数に、置換基の炭素原子数は含まれない。)であり、例えば、フェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルチオ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルチオ基が挙げられ、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルチオ基が好ましい。
【0034】
前記R〜Rにおけるアシル基は、置換基を有していてもよく、その炭素原子数は、通常2〜20(該炭素原子数に、置換基の炭素原子数は含まれない。)であり、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、トリフルオロアセチル基、ペンタフルオロベンゾイル基が挙げられる。
【0035】
前記R〜Rにおけるアシルオキシ基は、置換基を有していてもよく、その炭素原子数は、通常2〜20(該炭素原子数に、置換基の炭素原子数は含まれない。)であり、例えば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基、ペンタフルオロベンゾイルオキシ基が挙げられる。
【0036】
前記R〜Rにおけるアミド基は、置換基を有していてもよく、その炭素原子数は、通常2〜20(該炭素原子数に、置換基の炭素原子数は含まれない。)であり、好ましくは2〜18である。該アミド基としては、例えば、ホルムアミド基、アセトアミド基、プロピオアミド基、ブチロアミド基、ベンズアミド基、トリフルオロアセトアミド基、ペンタフルオロベンズアミド基、ジホルムアミド基、ジアセトアミド基、ジプロピオアミド基、ジブチロアミド基、ジベンズアミド基、ジトリフルオロアセトアミド基、ジペンタフルオロベンズアミド基が挙げられる。
【0037】
前記R〜Rにおける酸イミド基としては、酸イミドからその窒素原子に結合した水素原子を除いて得られる残基が挙げられ、置換基を有していてもよく、その炭素原子数は通常4〜20(該炭素原子数に、置換基の炭素原子数は含まれない。)であり、例えば、以下の基が挙げられる。
【0038】
【化5】

【0039】
前記R〜Rにおけるイミン残基としては、イミン化合物(分子内に、−N=C-を持つ有機化合物のことをいい、その例として、アルジミン、ケチミンおよびこれらのN上の水素原子が、アルキル基等で置換された化合物が挙げられる)から水素原子1個を除いた残基が挙げられる。該イミン残基は、置換基を有していてもよく、その炭素原子数は2〜20程度(該炭素原子数に、置換基の炭素原子数は含まれない。)であり、例えば、以下の基が挙げられる。
【0040】
【化6】

【0041】
前記R〜Rにおける置換アミノ基としては、アミノ基における水素原子の1または2個が、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基および1価の複素環基から選ばれる1または2個の基で置換されたアミノ基が挙げられ、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基および1価の複素環基は置換基を有していてもよい。該置換アミノ基の炭素原子数は、通常1〜60程度であり(該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基および1価の複素環基の置換基の炭素原子数は含まない。)、例えば、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基、ラウリルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ピロリジル基、ピペリジル基、ジトリフルオロメチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、C1〜C12アルコキシフェニルアミノ基、ジ(C1〜C12アルコキシフェニル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル)アミノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基、ペンタフルオロフェニルアミノ基、ピリジルアミノ基、ピリダジニルアミノ基、ピリミジルアミノ基、ピラジルアミノ基、トリアジルアミノ基フェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、ジ(C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基が挙げられる。
【0042】
前記R〜Rにおける置換シリル基としては、シリル基における水素原子の1、2または3個が、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基および1価の複素環基から選ばれる1、2または3個の基で置換されたシリル基が挙げられ、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基および1価の複素環基は置換基を有していてもよい。該置換アミノ基の炭素原子数は通常1〜60であり(該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基および1価の複素環基の置換基の炭素原子数は含まない。)、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリ−イソプロピルシリル基、ジメチル−イソプロピリシリル基、ジエチル−イソプロピルシリル基、tert−ブチルシリルジメチルシリル基、ペンチルジメチルシリル基、ヘキシルジメチルシリル基、ヘプチルジメチルシリル基、オクチルジメチルシリル基、2−エチルヘキシル−ジメチルシリル基、ノニルジメチルシリル基、デシルジメチルシリル基、3,7−ジメチルオクチル−ジメチルシリル基、ラウリルジメチルシリル基、フェニル−C1〜C12アルキルシリル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルシリル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルシリル基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルシリル基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルシリル基、フェニル−C1〜C12アルキルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリ−para−キシリルシリル基、トリベンジルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基が挙げられる。
【0043】
前記R〜Rにおける置換シリルオキシ基としては、シリルオキシ基における水素原子の1、2または3個が、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基および1価の複素環基から選ばれる1、2または3個の基で置換されたシリルオキシ基が挙げられ、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基および1価の複素環基は置換基を有していてもよい。該置換アミノ基の炭素原子数は通常1〜60であり(該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基および1価の複素環基の置換基の炭素原子数は含まない。)、例えば、トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、トリプロピルシリルオキシ基、トリ−イソプロピルシリルオキシ基、ジメチル−イソプロピリシリルオキシ基、ジエチル−イソプロピルシリルオキシ基、tert−ブチルシリルジメチルシリルオキシ基、ペンチルジメチルシリルオキシ基、ヘキシルジメチルシリルオキシ基、ヘプチルジメチルシリルオキシ基、オクチルジメチルシリルオキシ基、2−エチルヘキシル−ジメチルシリルオキシ基、ノニルジメチルシリルオキシ基、デシルジメチルシリルオキシ基、3,7−ジメチルオクチル−ジメチルシリルオキシ基、ラウリルジメチルシリルオキシ基、フェニル−C〜C12アルキルシリルオキシ基、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキルシリルオキシ基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキルシリルオキシ基、1−ナフチル−C〜C12アルキルシリルオキシ基、2−ナフチル−C〜C12アルキルシリルオキシ基、フェニル−C〜C12アルキルジメチルシリルオキシ基、トリフェニルシリルオキシ基、トリ−para−キシリルシリルオキシ基、トリベンジルシリルオキシ基、ジフェニルメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジフェニルシリルオキシ基、ジメチルフェニルシリルオキシ基、トリメトキシシリルオキシ基、トリエトキシシリルオキシ基、トリプロピルオキシシリルオキシ基、トリ−イソプロピルシリルオキシ基、ジメチル−イソプロピリシリルオキシ基、メチルジメトキシシリルオキシ基、エチルジメトキシシリルオキシ基が挙げられる。
【0044】
前記R〜Rにおける置換シリルチオ基は、シリルチオ基における水素原子の1、2または3個が、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基および1価の複素環基からなる群から選ばれる1、2または3個の基で置換されたシリルチオ基が挙げられ、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基および1価の複素環基は置換基を有していてもよい。該置換シリルチオ基の炭素原子数は、通常1〜60(該炭素原子数に、置換基の炭素原子数は含まれない。)であり、好ましくは3〜48である。置換シリルチオ基としては、例えば、トリメチルシリルチオ基、トリエチルシリルチオ基、トリプロピルシリルチオ基、トリイソプロピルシリルチオ基、イソプロピルジメチルシリルチオ基、ジエチルイソプロピルシリルチオ基、tert−ブチルジメチルシリルチオ基、ジメチルペンチルシリルチオ基、ヘキシルジメチルシリルチオ基、ヘプチルジメチルシリルチオ基、ジメチルオクチルシリルチオ基、2−エチルヘキシル−ジメチルシリルチオ基、ジメチルノニルシリルチオ基、デシルジメチルシリルチオ基、3,7−ジメチルオクチル−ジメチルシリルチオ基、ラウリルジメチルシリルチオ基、フェニル−C1〜C12アルキルシリルチオ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルシリルチオ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルシリルチオ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルシリルチオ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルシリルチオ基、フェニル−C1〜C12アルキルジメチルシリルチオ基、トリフェニルシリルチオ基、トリ(para−トリル)シリルチオ基、トリベンジルシリルチオ基、メチルジフェニルシリルチオ基、tert−ブチルジフェニルシリルチオ基、ジメチルフェニルシリルチオ基が挙げられる。
【0045】
前記R〜Rにおける置換シリルアミノ基は、シリルアミノ基における水素原子の1、2または3個が、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基および1価の複素環基からなる群から選ばれる1、2または3個の基で置換されたシリルアミノ基が挙げられ、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基および1価の複素環基は置換基を有していてもよい。該置換シリルアミノ基の炭素原子数は、通常1〜60(該炭素原子数に、置換基の炭素原子数は含まれない。)であり、好ましくは3〜48である。置換シリルアミノ基としては、例えば、トリメチルシリルアミノ基、トリエチルシリルアミノ基、トリプロピルシリルアミノ基、トリ−イソプロピルシリルアミノ基、ジメチル−イソプロピルシリルアミノ基、ジエチル−イソプロピルシリルアミノ基、tert−ブチルジメチルシリルアミノ基、ペンチルジメチルシリルアミノ基、ヘキシルジメチルシリルアミノ基、ヘプチルジメチルシリルアミノ基、オクチルジメチルシリルアミノ基、2−エチルヘキシル−ジメチルシリルアミノ基、ノニルジメチルシリルアミノ基、デシルジメチルシリルアミノ基、3,7−ジメチルオクチル−ジメチルシリルアミノ基、ラウリルジメチルシリルアミノ基、フェニル−C1〜C12アルキルシリルオキシ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルシリルアミノ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルシリルアミノ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルシリルアミノ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルシリルアミノ基、フェニル−C1〜C12アルキルジメチルシリルアミノ基、トリフェニルシリルアミノ基、トリ(p−トリル)シリルアミノ基、トリベンジルシリルアミノ基、ジフェニルメチルシリルアミノ基、tert−ブチルジフェニルシリルオアミノ基、ジメチルフェニルシリルアミノ基が挙げられる。
【0046】
前記R〜Rにおける1価の複素環基は、前記E〜Eにおける1価の複素環基と同じものが挙げられる。
【0047】
前記R〜Rにおけるヘテロアリールオキシ基は、置換基を有していてもよく、炭素原子数は、通常6〜60(該炭素原子数に、置換基の炭素原子数は含まれない。)であり、好ましくは7〜48である。ヘテロアリールオキシ基としては、例えば、チエニルオキシ基、C1〜C12アルコキシチエニルオキシ基、C1〜C12アルキルチエニルオキシ基、C1〜C12アルコキシピリジルオキシ基、C1〜C12アルキルピリジルオキシ基、イソキノリルオキシ基が挙げられ、C1〜C12アルコキシピリジルオキシ基、C1〜C12アルキルピリジルオキシ基が好ましい。
1〜C12アルコキシピリジルオキシ基としては、例えば、メトキシピリジルオキシ基、エトキシピリジルオキシ基、プロピルオキシピリジルオキシ基、イソプロピルオキシピリジルオキシ基、ブトキシピリジルオキシ基、イソブトキシピリジルオキシ基、tert−ブトキシピリジルオキシ基、ペンチルオキシピリジルオキシ基、ヘキシルオキシピリジルオキシ基、シクロヘキシルオキシピリジルオキシ基、ヘプチルオキシピリジルオキシ基、オクチルオキシピリジルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシピリジルオキシ基、ノニルオキシピリジルオキシ基、デシルオキシピリジルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシピリジルオキシ基、ラウリルオキシピリジルオキシ基が挙げられる。
1〜C12アルキルピリジルオキシ基としては、例えば、メチルピリジルオキシ基、エチルピリジルオキシ基、ジメチルピリジルオキシ基、プロピルピリジルオキシ基、1,3,5−トリメチルピリジルオキシ基、メチルエチルピリジルオキシ基、イソプロピルピリジルオキシ基、ブチルピリジルオキシ基、sec−ブチルピリジルオキシ基、イソブチルピリジルオキシ基、tert−ブチルピリジルオキシ基、ペンチルピリジルオキシ基、イソアミルピリジルオキシ基、ヘキシルピリジルオキシ基、ヘプチルピリジルオキシ基、オクチルピリジルオキシ基、ノニルピリジルオキシ基、デシルピリジルオキシ基、ドデシルピリジルオキシ基が挙げられる。
【0048】
前記R〜Rにおけるヘテロアリールチオ基は、置換基を有していてもよく、炭素原子数は、通常6〜60(該炭素原子数に、置換基の炭素原子数は含まれない。)であり、好ましくは7〜48である。ヘテロアリールチオ基としては、ピリジルチオ基、C1〜C12アルコキシピリジルチオ基、C1〜C12アルキルピリジルチオ基、イソキノリルチオ基等が挙げられ、C1〜C12アルコキシピリジルチオ基、C1〜C12アルキルピリジルチオ基が好ましい。
【0049】
前記R〜Rにおけるアリールアルケニル基は、置換基を有していてもよく、その炭素原子数は、通常8〜60(該炭素原子数に、置換基の炭素原子数は含まれない。)である。アリールアルケニル基としては、例えば、フェニル−C2〜C12アルケニル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルケニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルケニル基、1−ナフチル−C2〜C12アルケニル基、2−ナフチル−C2〜C12アルケニル基が挙げられ、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルケニル基、C2〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルケニル基が好ましい。
【0050】
前記R〜Rにおけるアリールアルキニル基は、置換基を有していてもよく、その炭素原子数は、通常8〜60程度(該炭素原子数に、置換基の炭素原子数は含まれない。)である。アリールアルキニル基としては、例えば、フェニル−C2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルキニル基、1−ナフチル−C2〜C12アルキニル基、2−ナフチル−C2〜C12アルキニル基が挙げられ、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルキニル基が好ましい。
【0051】
前記R〜Rにおける置換カルボキシル基は、カルボキシル基における水素原子が、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基または1価の複素環基で置換されたカルボキシル基が挙げられ、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基および1価の複素環基は置換基を有していてもよい。該置換カルボキシル基の炭素原子数は、通常2〜60(該炭素原子数に、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基および1価の複素環基の置換基の炭素原子数は含まれない。)である。置換カルボキシル基としては、例えば、メトキシカルボキシル基、エトキシカルボキシル基、プロポキシカルボキシル基、イソプロポキシカルボキシル基、ブトキシカルボキシル基、イソブトキシカルボキシル基、tert−ブトキシカルボキシル基、ペンチルオキシカルボキシル基、ヘキシロキシカルボキシル基、シクロヘキシロキシカルボキシル基、ヘプチルオキシカルボキシル基、オクチルオキシカルボキシル基、2−エチルヘキシロキシカルボキシル基、ノニルオキシカルボキシル基、デシロキシカルボキシル基、3,7−ジメチルオクチルオキシカルボキシル基、ドデシルオキシカルボキシル基、トリフルオロメトキシカルボキシル基、ペンタフルオロエトキシカルボキシル基、パーフルオロブトキシカルボキシル基、パーフルオロヘキシルオキシカルボキシル基、パーフルオロオクチルオキシカルボキシル基、フェノキシカルボキシル基、ナフトキシカルボキシル基、ピリジルオキシカルボキシル基が挙げられる。
【0052】
前記式(1)で示される繰り返し単位において、a、b、c、dおよびeは、それぞれ独立に、1または2であり、fは0〜3の整数を表す。cおよびdは、1であることが好ましい。
f=0のとき、5≦a+b+c+e≦8、かつ、bおよびcの少なくとも一方は2であり、5≦a+b+c+e≦6、かつ、bおよびcの少なくとも一方は2であることが好ましい。
f=1のとき、5≦a+b+c+d+e≦10であり、5≦a+b+c+d+e≦8であることが好ましい。
本発明の高分子化合物の正孔輸送性の観点から、f=0またはf=1であることが好ましく、f=1であることがより好ましい。
【0053】
m、n、o、p、qおよびlは、それぞれ独立に、0〜4の整数を表し、m、n、o、pおよびqが複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。m、n、o、p、qおよびlは、好ましくは0または1であり、より好ましくは0である。
【0054】
jおよびkは、それぞれ独立に、0〜5の整数を表す。jおよびkは、好ましくは1〜3の整数であり、より好ましくは1または3であり、さらに好ましくは1である。
【0055】
また、本発明の高分子化合物は、発光素子にした場合の輝度寿命の観点から、前記式(1)で表される繰り返し単位が、実質的に隣り合わないことが望ましい。ここで、「実質的に隣り合わない」とは、前記式(1)で表される繰り返し単位同士の結合の個数の、前記式(1)で表される繰り返し単位の全結合の個数に対する割合が、0.05未満であることを意味し、該割合は0.03未満であることが好ましく、0.01未満であることがより好ましい。
【0056】
前記式(1)で表される繰り返し単位としては、式(1−a)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
【0057】
【化7】

[式中、
〜EおよびR〜Rは、前記と同じ意味を表す。
b、c、dおよびfは前記と同じ意味を表す。n、oおよびpは前記と同じ意味を表す。]
【0058】
前記式(1)で表される繰り返し単位の具体例(f=0)としては、以下の繰り返し単位が挙げられる。
【0059】
【化8】

【0060】
前記式(1−a)で表される繰り返し単位の具体例(f=0)としては、以下の繰り返し単位が挙げられる。
【0061】
【化9】

【0062】
前記式(1)で表される繰り返し単位の具体例(f=1)としては、以下の繰り返し単位が挙げられる。
【0063】
【化10】

【0064】
前記式(1−a)で表される繰り返し単位の具体例(f=1)としては、以下の繰り返し単位が挙げられる。
【0065】
【化11】

【0066】
前記式(1)で表される繰り返し単位の具体例(f=2)としては、以下の繰り返し単位が挙げられる。
【0067】
【化12】

【0068】
前記式(1−a)で表される繰り返し単位の具体例(f=2)としては、以下の繰り返し単位が挙げられる。
【0069】
【化13】

【0070】
前記式(1)で表される繰り返し単位の具体例(f=3)としては、以下の繰り返し単位が挙げられる。
【0071】
【化14】

【0072】
前記式(1−a)で表される繰り返し単位の具体例(f=3)としては、以下の繰り返し単位が挙げられる。
【0073】
【化15】

【0074】
本発明の高分子化合物は、式(3)で表される繰り返し単位をさらに含んでいることが好ましい。
【0075】
【化16】

[式中、
Ar13はアリーレン基、2価の複素環基または金属錯体構造を有する2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
【0076】
前記式(3)中、Ar13が表すアリーレン基は、芳香族炭化水素から、水素原子2個を除いた残りの原子団(好ましくは、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いた残りの原子団)であり、該アリーレン基は、置換基を有していてもよい。
芳香族炭化水素としては、縮合環を有するもの、独立したベンゼン環および縮合環から選ばれる2個以上が直接またはビニレン基等を介して結合したものが含まれる。
【0077】
Ar13が表すアリーレン基において、置換基を除いた部分の炭素原子数は、通常6〜60(該炭素原子数に、置換基の炭素原子数は含まれない。)であり、好ましくは6〜20である。
【0078】
Ar13が表すアリーレン基としては、例えば、フェニレン基(下式1〜3)、ナフタレンジイル基(下式4〜13)、アントラセン−ジイル基(下式14〜19)、ビフェニル−ジイル基(下式20〜25)、ターフェニル−ジイル基(下式26〜28)、縮合環化合物から誘導される基(下式29〜35)、フルオレン−ジイル基(下式36〜38)、ベンゾフルオレン−ジイル(下式39〜46)が挙げられる。
下式1〜46で表される基は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換カルボキシル基およびシアノ基が挙げられる。なお、これらの基は前記R〜Rで表される基と同じ意味を表し、架橋性基は含まない。
【0079】
【化17】

【0080】
【化18】

【0081】
【化19】

【0082】
前記式(3)で表される繰り返し単位は、発光素子にした場合の輝度寿命の観点から、下記式(3’)で表される繰り返し単位であることが好ましく、R10、R11のうち少なくとも一方がアルキル基、アリール基またはアリールアルキル基であることがより好ましく、R10がアルキル基であり、かつ、R11がアリール基またはアリールアルキル基であることが更に好ましい。
【0083】
【化20】

[式中、
10およびR11は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよく、R10とR11は互いに結合して環構造を形成していてもよい。
12は、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を表し、これらの基は前記R〜Rで表される基と同じ意味を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R12が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
sおよびtは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。]
【0084】
前記式(3’)で表される繰り返し単位は、発光素子にした場合の輝度寿命の観点から、式(3’−a)で表される繰り返し単位であることが好ましい。本発明の高分子化合物の合成の容易さの観点から、sおよびtは0であることが好ましく、また、発光素子にした場合の輝度寿命の観点から、R10、R11のうち少なくとも一方がアルキル基、アリール基またはアリールアルキル基であることが好ましく、R10がアルキル基であり、かつ、R11がアリール基またはアリールアルキル基であることがより好ましい。
【0085】
【化21】

[式中、
10およびR11は、前記と同じ意味を表す。
12は、前記と同じ意味を表す。R12が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
sおよびtは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。]
【0086】
前記式(3’−a)で表される繰り返し単位としては、例えば、下記式(3’−a)−1〜(3’−a)−14で表される繰り返し単位が挙げられ、発光素子にした場合の輝度寿命の観点から、(3’−a)−8〜(3’−a)−9または(3’−a)−11〜(3’−a)−14で表される繰り返し単位が好ましく、(3’−a)−13または(3’−a)−14で表される繰り返し単位がより好ましい。
【0087】
【化22】

【0088】
前記式(3)で表される繰り返し単位は、本発明の高分子化合物の電荷輸送性の観点から、下記式(4)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
【0089】
【化23】

[式中、
13は、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を表す。これらの基は前記R〜Rで表される基と同じ意味を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R13が複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
rは0〜4の整数を表す。]
【0090】
本発明の高分子化合物の溶解性の観点から、前記R13は、アルキル基またはアルコキシ基が好ましく、アルキル基がさらに好ましい。また、前記rは、rは0〜2が好ましく、rは0が特に好ましい。本発明の高分子化合物の電荷輸送性がより優れるためである。
【0091】
前記式(4)で表される繰り返し単位は、本発明の高分子化合物の合成の容易さの観点から、下記式(4−a)または下記式(4−b)で表される繰り返し単位であることが好ましく、式(4−a)で示される繰り返し単位であることがより好ましい。
【0092】
【化24】

[式中、
13は前記と同じ意味を表し、R13が複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
rは、前記と同じ意味を表す。]
【0093】
【化25】

[式中、
13は前記と同じ意味を表し、R13が複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
rは、前記と同じ意味を表す。]
【0094】
前記式(3)中、Ar13が表す2価の複素環基は、複素環式化合物から、水素原子2個を除いた残りの原子団(好ましくは、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いた残りの原子団)であり、該基は、置換基を有していてもよい。
ここで、複素環式化合物は、環式構造を持つ有機化合物のうち、環を構成する元素が炭素原子だけでなく、酸素、硫黄、窒素、リン、ホウ素、ヒ素等のヘテロ原子を環内に含むものであり、縮合環を有するもの、独立した単環および縮合環から選ばれる2個以上が直接結合したものが含まれる。
2価の複素環基としては、2価の芳香族複素環基が好ましい。2価の芳香族複素環基は、芳香族複素環式化合物から、水素原子2個を除いた残りの原子団(好ましくは、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いた残りの原子団)である。芳香族複素環式化合物としては、例えば、オキサジアゾール、チアジアゾール、チアゾール、オキサゾール、チオフェン、ピロール、ホスホール、フラン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジン、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、カルバゾール、ジベンゾホスホール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン等のヘテロ原子を含む複素環自体が芳香族性を示す化合物、並びに、フェノキサジン、フェノチアジン、ジベンゾボロール、ジベンゾシロール、ベンゾピラン等のヘテロ原子を含む複素環それ自体は芳香族性を示さなくとも、該複素環に芳香環が縮環されている化合物が挙げられる。
2価の複素環基が有してもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換カルボキシル基またはシアノ基が挙げられ、得られる高分子化合物の溶解性の観点から、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、ハロゲン原子およびシアノ基が好ましい。なお、これらの基は前記R〜Rで表される基と同じ意味を表す。
【0095】
Ar13が表す2価の複素環基において、置換基を除いた部分の炭素原子数は、通常、3〜60であり、置換基を含めた全炭素原子数は、通常、3〜100である。
【0096】
Ar13が表す2価の複素環基としては、例えば、ピリジン−ジイル基(下式101〜104)、ジアザフェニレン基(下式105〜108)、トリアジン−ジイル基(下式109)、キノリン−ジイル基(下式110〜114)、キノキサリン−ジイル基(下式115〜119)、アクリジンジイル基(下式120〜123)、ビピリジル−ジイル基(下式124〜126)、フェナントロリンジイル基(下式127〜128)、ヘテロ原子として酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ケイ素原子等を含む構造を有する基(下式129〜136)、ヘテロ原子として酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ケイ素原子等を含む5員環複素環基(下式137〜140)、ヘテロ原子として酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ケイ素原子等を含む5員環縮合複素環基(下式141〜158)、ヘテロ原子として酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ケイ素原子等を含む5員環複素環基でそのヘテロ原子のα位で結合し2量体や3量体になっている基(下式159〜160)、ヘテロ原子として酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ケイ素原子等を含む5員環複素環基でそのヘテロ原子のα位でフェニル基に結合している基(下式161〜166)、ヘテロ原子として酸素原子、硫黄原子、窒素原子等を含む5員環縮合複素環基にフェニル基やフリル基、チエニル基が置換した基(下式167〜172)、ヘテロ原子として酸素原子、窒素原子等を含む6員環複素環基(下式173〜176)が挙げられる。なお、これらの基は、置換基を有していてもよい。
【0097】
【化26】

【0098】
【化27】

【0099】
【化28】

【0100】
【化29】

【0101】
【化30】

【0102】
前記Ar13が表す2価の複素環基としては、本発明の高分子化合物の電荷輸送性の観点から、下記式(5)で表される2価の複素環基が好ましく、該基は置換基を有していてもよい。
【0103】
【化31】

[式中、
Yは、酸素原子、硫黄原子、−N(R)−、−O−C(R)(R)−または−Si(R)(R)−を表す。R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基またはアリールアルキル基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
【0104】
前記式(5)中、Yは、本発明の高分子化合物の合成の容易さの観点から、酸素原子、硫黄原子または−N(R)−が好ましく、酸素原子または−N(Ra)−がより好ましい。
【0105】
前記式(5)が置換基を有する場合、該置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換カルボキシル基またはシアノ基が挙げられ、本発明の高分子化合物の溶解性の観点から、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、ハロゲン原子またはシアノ基が好ましい。なお、これらの基は前記R〜Rで表される基と同じ意味を表す。
【0106】
前記式(5)で表される2価の複素環基は、本発明の高分子化合物の電荷輸送性の観点から、下記式(5)−1または下記式(5)−2で表される2価の基であることが好ましい。なお、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0107】
【化32】

[式中、
1は、酸素原子、硫黄原子、−N(Ra)−、−O−C(Rb)(Rc)−または−Si(Rd)(Re)−を表す。]
【0108】
【化33】

[式中、
2は、酸素原子、硫黄原子、−N(Ra)−、−O−C(Rb)(Rc)−または−Si(Rd)(Re)−を表す。]
【0109】
前記式(5)−1および前記式(5)−2において、Y1およびY2は、本発明の高分子化合物の合成の容易さの観点から、酸素原子、硫黄原子または−N(Ra)−が好ましく、酸素原子または−N(Ra)−がより好ましく、酸素原子が特に好ましい。
【0110】
前記式(5)−1および(5)−2が置換基を有する場合、該置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、シアノ基およびニトロ基が挙げられ、得られる高分子化合物の溶解性の観点から、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、ハロゲン原子およびシアノ基が好ましい。なお、これらの基は前記R〜Rで表される基と同じ意味を表し、さらに置換基を有していてもよい。
【0111】
前記式(5)−1または前記式(5)−2で表される繰り返し単位としては、例えば、式(5−101)〜式(5−108)で表される繰り返し単位が挙げられる。なお、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を表す。これらの基は、置換基を有していてもよい。なお、これらの基は前記R〜Rで表される基と同じ意味を表す。
【0112】
【化34】

【0113】
前記Ar13が表す2価の複素環基としては、本発明の高分子化合物の電荷輸送性の観点から、式(6)で表される2価の複素環基が好ましく、該基は置換基を有していてもよい。
【0114】
【化35】

[式中、
は水素原子、アルキル基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
は、酸素原子、硫黄原子または−C(R14−で表される基を表す。R14は、アルキル基またはアリール基を表し、これらの基は置換基を有していてもよく、複数存在するR14は互いに同一でも異なっていてもよい。]
【0115】
前記Rにおけるアルキル基としては、例えば、C〜C20アルキル基を選択することができる。前記Rにおけるアリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基または2−フルオレニル基を選択することができる。前記Rにおける1価の複素環基としては、例えば、ピリジル基、ピリミジル基、トリアジル基またはキノリル基を選択することができる。なお、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0116】
前記Rが表す基が置換基を有する場合、該置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基、カルボキシル基、ニトロ基およびシアノ基が挙げられ、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、アシル基またはシアノ基であることが好ましく、アルキル基、アルコキシ基またはアリール基であることが更に好ましい。なお、これらの基は前記R〜Rで表される基と同じ意味を表す。
【0117】
前記Xは、発光素子に用いた場合の輝度寿命がより優れるので、酸素原子であることが好ましい。
【0118】
前記R14におけるアルキル基としては、例えば、C〜C20アルキル基を選択することができる。前記R14におけるアリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基または2−フルオレニル基を選択することができる。なお、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0119】
前記R14が表す基が置換基を有する場合、該置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基、カルボキシル基、ニトロ基およびシアノ基が挙げられ、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、アシル基またはシアノ基であることが好ましく、アルキル基、アルコキシ基またはアリール基であることが更に好ましい。なお、これらの基は前記R〜Rで表される基と同じ意味を表す。
【0120】
前記式(6)で表される2価の複素環基としては、例えば、下記式(6−1)、(6−2)および(6−3)で表される基が挙げられる。
【0121】
【化36】

【0122】
前記式(3)中、Ar13が表す金属錯体構造を有する2価の基とは、有機配位子を有する金属錯体の有機配位子から水素原子を2個除いた残りの原子団である。
該有機配位子の炭素原子数は、通常4〜60程度であり、例えば、8−キノリノールおよびその誘導体、ベンゾキノリノールおよびその誘導体、2−フェニル−ピリジンおよびその誘導体、2−フェニル−ベンゾチアゾールおよびその誘導体、2−フェニル−ベンゾキサゾールおよびその誘導体、ポルフィリンおよびその誘導体が挙げられる。該金属錯体の中心金属としては、例えば、アルミニウム、亜鉛、ベリリウム、イリジウム、白金、金、ユーロピウム、テルビウムが挙げられる。
有機配位子を有する金属錯体としては、例えば、低分子の蛍光材料、燐光材料として公知の金属錯体、三重項発光錯体が挙げられる。
【0123】
金属錯体構造を有する2価の基としては、例えば、下記式201〜207で表される繰り返し単位が挙げられる。
【0124】
【化37】

【0125】
前記式201〜207において、Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を表す。なお、これらの基は前記R〜Rで表される基と同じ意味を表す。
【0126】
本発明の高分子化合物は、下記式(7)で表される繰り返し単位をさらに含んでいてもよい。
【0127】
【化38】

[式中、
ssおよびttは、それぞれ独立に、0〜4の整数であり、uuは1または2であり、vvは0〜5の整数である。
53、R54およびR55は、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基、カルボキシル基、ニトロ基またはシアノ基を表す。R53、R54およびR55が複数個存在するとき、これらは同一であっても異なっていてもよい。なお、これらの基は前記R〜Rで表される基と同じ意味を表す。]
【0128】
式(7)で表される繰り返し単位としては、例えば、下記式(7−1)および(7−2)で表される繰り返し単位が挙げられる。
【0129】
【化39】



【0130】
本発明の高分子化合物は、前記式(1)で表される繰り返し単位に加えて、式(2A)で表される繰り返し単位および式(3A)で表される繰り返し単位の少なくとも一方をさらに含んでいることが好ましい。
【0131】
【化40】

[式中、
naは0〜3の整数を示し、nbは0〜12の整数を示し、nAは0または1であり、nxは1〜4の整数を示す。
Arは、(2+nx)価の芳香族炭化水素基または(2+nx)価の複素環基を示し、これらの基は置換基を有していてもよい。
およびLは、それぞれ独立に、アルキレン基またはフェニレン基を示し、これらの基は置換基を有していてもよい。Lが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。Lが複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
は、酸素原子または硫黄原子を示す。Lが複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
Xは、1価の架橋性基を示す。Xが複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。]
【0132】
【化41】

[式中、
cは0または1を示し、
ArおよびArは、それぞれ独立に、アリーレン基または2価の複素環基を示し、これらの基は置換基を有していてもよく、
Arは、アリーレン基、2価の複素環基、並びに、アリーレン基および2価の複素環基からなる群から選ばれる同一又は異なる2以上の基が連結した2価の基を示し、これらの基は置換基を有していてもよい。
1Aは1価の架橋性基を示し、
2Aは1価の架橋性基、アルキル基、アリール基または1価の複素環基を示し、これらの基は置換基(架橋性基を含まない)を有していてもよい。]
【0133】
式(2A)において、naは、0〜3の整数を示し、本実施形態の高分子化合物の原料となるモノマー合成が容易となるため、0〜2が好ましく、0または1がより好ましく、0がさらに好ましい。
【0134】
式(2A)において、nbは、0〜12の整数を示し、本実施形態の高分子化合物の原料となるモノマー合成が容易となるため、0〜10が好ましく、0〜8がより好ましい。
【0135】
式(2A)において、nAは、0または1を示し、本実施形態の高分子化合物を用いて製造される発光素子の輝度寿命が優れるため、0であることが好ましい。
【0136】
式(2A)において、nxは1〜4の整数であるが、本実施形態の高分子化合物を用いて製造される発光素子の正孔輸送性および耐久性がより優れるので、1〜3の整数であることが好ましく、2であることがより好ましい。
【0137】
式(2A)において、Arが示す非置換若しくは置換の(2+nx)価の芳香族炭化水素基の炭素原子数は、通常、6〜60であり、好ましくは6〜48であり、より好ましくは6〜20であり、さらに好ましくは6〜14である。(2+nx)価の芳香族炭化水素基としては、2価、3価、4価または5価の芳香族炭化水素基であることが好ましく、3価または4価の芳香族炭化水素基であることがより好ましい。ここで、「(2+nx)価の芳香族炭化水素基」とは、芳香族炭化水素化合物から、環を構成する炭素原子に直接結合した(2+nx)個の水素原子を除いた残りの原子団を意味し、ベンゼン環を有する基、縮合環を有する基が含まれる。なお、上記炭素原子には、置換基の炭素原子数は含めない。
上記芳香族炭化水素化合物としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、ピレン、ペリレン、フルオレン、ベンゾフルオレン、フェナンスレン、ジヒドロフェナンスレン、クリセン、コロネンが挙げられ、本実施形態の高分子化合物の安定性がより優れ、かつ、当該高分子化合物を用いて製造される発光素子の正孔輸送性がより優れるので、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ピレン、フルオレン、ベンゾフルオレン、フェナンスレン、ジヒドロフェナンスレンが好ましく、ベンゼン、ナフタレン、フルオレンがより好ましい。
【0138】
式(2A)において、Arが示す非置換若しくは置換の(2+nx)価の複素環基の炭素原子数は、通常、3〜60であり、好ましくは3〜20である。(2+nx)価の複素環基としては、2価、3価、4価または5価の複素環基であることが好ましく、2価、3価または4価の複素環基であることがより好ましい。ここで、「(2+nx)価の複素環基」とは、複素環式化合物から、環を構成する炭素原子に直接結合した(2+nx)個の水素原子を除いた残りの原子団を意味し、単環の基、縮合環を有する基を含む。なお、上記炭素原子数には、置換基の炭素原子数は含めない。
上記複素環化合物としては、例えば、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、カルバゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、ベンゾチアジアゾール、ジベンゾシロールが挙げられる。
【0139】
式(2A)において、Arで示される基が置換基を有する場合、該置換基は、好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基であり、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、アシル基、シアノ基であり、さらに好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基である。
アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換アミノ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基の定義、具体例は、前記式(1)におけるR〜Rが表すアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換アミノ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基の定義、具体例と同じである。
【0140】
式(2A)において、Arとしては、本実施形態の高分子化合物を用いて製造される発光素子の正孔輸送性および耐久性が優れるので、非置換若しくは置換の芳香族炭化水素基が好ましい。
【0141】
式(2A)において、LおよびLで示されるアルキレン基は、直鎖状、分岐状または環状のいずれでもよく、置換基を有していてもよい。本実施形態の高分子化合物の原料となるモノマー合成が容易になるため、直鎖状のアルキレン基であることが好ましい。直鎖状アルキレン基および分岐状のアルキレン基の炭素原子数は、通常1〜20であり、好ましくは1〜10であり、より好ましくは1〜6である。環状アルキレン基の炭素原子数は、通常3〜20であり、好ましくは3〜10であり、より好ましくは3〜6である。
アルキレン基としては、例えば、メチレン基、1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基、1,3−ブチレン基、1,3−ペンチレン基、1,4−ペンチレン基、1,5−ペンチレン基、1,4−ヘキシレン基、1,6−ヘキシレン基、1,7−ヘプチレン基、1,6−オクチレン基、1,8−オクチレン基が挙げられる。
【0142】
式(2A)において、LおよびLで示されるフェニレン基は、置換基を有していてもよい。フェニレン基としては、例えば、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基が挙げられる。フェニレン基が有してもよい置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子およびシアノ基が挙げられる。
アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子の定義、具体例は、前記式(1)におけるR〜Rが表すアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子の定義、具体例と同じである。
【0143】
式(2A)において、Lは、本実施形態の高分子化合物の原料となるモノマー合成が容易となるため、フェニレン基であることが好ましい。
【0144】
式(2A)において、Lは、本実施形態の高分子化合物の原料となるモノマー合成が容易となるため、アルキレン基であることが好ましい。
【0145】
式(2A)において、Lは酸素原子または硫黄原子を示し、本実施形態の高分子化合物の原料となるモノマー合成が容易となるため、酸素原子であることが好ましい。
【0146】
式(2A)において、Xは1価の架橋性基を示す。
Xとしては、例えば、非置換若しくは置換のアジリジニル基、非置換若しくは置換のアゼチジニル基、アジド基、非置換若しくは置換のエポキシ基、非置換若しくは置換のオキセタニル基、非置換若しくは置換のアルケニル基、非置換若しくは置換のアルキニル基、シクロブテン構造を有する基が挙げられ、本実施形態の高分子化合物の原料となるモノマー合成が容易となるため、非置換若しくは置換のアジリジニル基、アジド基、非置換若しくは置換のエポキシ基、非置換若しくは置換のオキセタニル基、非置換若しくは置換のアルケニル基、非置換若しくは置換のアルキニル基、シクロブテン構造を有する非置換若しくは置換のアリール基、シクロブテン構造を有する非置換若しくは置換の1価の複素環基が好ましく、非置換若しくは置換のアルケニル基、シクロブテン構造を有する非置換若しくは置換のアリール基、シクロブテン構造を有する非置換若しくは置換の1価の複素環基がより好ましく、非置換若しくは置換のアルケニル基、シクロブテン構造を有する非置換若しくは置換のアリール基がさらに好ましい。
【0147】
式(2A)において、Xとしては、例えば、下記式(X−1)、(X−2)、(X−01)〜(X−19)で表される基が挙げられ、本実施形態の高分子化合物の原料となるモノマー合成が容易となるため、式(X−1)、(X−2)、(X−01)、(X−03)、(X−04)、(X−06)〜(X−18)で表される基が好ましく、式(X−1)、(X−2)、(X−09)〜(X−18)で表される基がより好ましく、式(X−1)、(X−2)で表される基がさらに好ましい。
【0148】
【化42】

【0149】
式(X−1)中、ベンゾシクロブテンは置換基を有していてもよい。式(X−1)における置換基としては、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、シアノ基またはニトロ基が挙げられる。
アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基、置換カルボキシル基の定義、具体例は、前記式(1)におけるR〜Rが表すアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基、置換カルボキシル基の定義、具体例と同じである。
【0150】
【化43】

【0151】
式(X−2)中、neおよびnfは、それぞれ独立に、0または1を示す。
X1は酸素原子、硫黄原子、カルボニル基または−O−CO−で表される基を示す。
4A、R5A、R6A、R7AおよびR8Aは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、アミノ基、置換アミノ基、アシル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、シアノ基またはニトロ基を示す。
アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、置換アミノ基、アシル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子の定義、具体例は、前記式(1)におけるR〜Rが表すアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、置換アミノ基、アシル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子の定義、具体例と同じである。
【0152】
なお、式(X−2)において、波線の存在する二重結合を有する化合物は、E体、Z体、またはE体およびZ体の混合物のいずれでもよいことを意味する。
【0153】
【化44】

【0154】
【化45】

【0155】
【化46】

【0156】
式(X−01)〜(X−19)中、
は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、シアノ基またはニトロ基を表す。複数存在するRは、同一であっても異なっていてもよい。
アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基、置換カルボキシル基の定義、具体例は、前記式(1)におけるR〜Rが表すアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基、置換カルボキシル基の定義、具体例と同じである。
【0157】
としては、本実施形態の高分子化合物の原料となるモノマー合成が容易となるため、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基が好ましく、水素原子、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基がより好ましい。
【0158】
は、水素原子、アルキル基、アシル基、アリール基または1価の複素環基を表す。
アルキル基、アシル基、アリール基、1価の複素環基の定義、具体例は、前記式(1)におけるR〜Rが表すアルキル基、アシル基、アリール基、1価の複素環基の定義、具体例と同じである。
【0159】
としては、本実施形態の高分子化合物の原料となるモノマー合成が容易になるため、アリール基で置換されたアルキル基、アシル基、1価の複素環基が好ましい。
なお、式(X−01)〜(X−19)中、「*」は結合手を示す。
【0160】
式(X−1)で表される基としては、下記式(X−1−1)または(X−1−2)で表される基が挙げられ、本実施形態の高分子化合物の原料となるモノマー合成が容易となるため、式(X−1−1)で表される基であることが好ましい。
【0161】
【化47】

【0162】
式(X−1−1)および(X−1−2)中、
は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、シアノ基またはニトロ基を表す。複数あるRは、同一であっても異なっていてもよい。
アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基、置換カルボキシル基の定義、具体例は、前記式(1)におけるR〜Rが表すアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基、置換カルボキシル基の定義、具体例と同じである。
【0163】
としては、本実施形態の高分子化合物の原料となるモノマー合成が容易となるため、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基または1価の複素環基であることが好ましく、水素原子、アルキル基、アルコキシ基またはアリール基であることより好ましく、水素原子またはアルキル基であることがさらに好ましい。なお、式(X−1−1)および(X−1−2)中、「*」は結合手を示す。
【0164】
式(X−2)において、neは0または1を示し、本実施形態の高分子化合物を用いて製造される発光素子の正孔輸送性および耐久性がより優れるので、0が好ましい。
【0165】
式(X−2)において、nfは0または1を示し、本実施形態の高分子化合物の原料となるモノマー合成が容易となるため、0が好ましい。
【0166】
上記式(X−2)において、LX1は酸素原子、硫黄原子、カルボニル基または−O−CO−で表される基を示し、本実施形態の高分子化合物の原料となるモノマー合成が容易となるため、カルボニル基または−O−CO−で表される基が好ましい。
【0167】
式(X−2)において、R4A、R5A、R6A、R7A、R8Aは、本実施形態の高分子化合物を用いて製造される発光素子の正孔輸送性および耐久性がより優れるので、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、ハロゲン原子またはシアノ基であることが好ましく、水素原子、アルキル基またはフッ素原子であることがより好ましく、水素原子であることがさらに好ましい。
アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、ハロゲン原子の定義、具体例は、前記式(1)におけるR〜Rが表すアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、ハロゲン原子の定義、具体例と同じである。
【0168】
式(2A)で表される繰り返し単位としては、本実施形態の高分子化合物を用いて製造される発光素子の正孔輸送性および耐久性がより優れるので、下記式(4A)で表される繰り返し単位が好ましい。
【0169】
【化48】

【0170】
、L、L、na、nb、nAおよびXは、それぞれ前記と同じ意味を表す。
【0171】
mxは1または2を表す。mxは、本実施形態の高分子化合物を用いて製造される発光素子の正孔輸送性および耐久性がより優れるという観点からは、2であることが好ましい。
【0172】
3Aは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基または1価の複素環基を示す。
アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基の定義、具体例は、前記式(1)におけるR〜Rが表すアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基の定義、具体例と同じである。
【0173】
式(4A)において、R3Aは、本実施形態の高分子化合物を用いた発光素子の正孔輸送性および耐久性がより優れるので、アルキル基またはアリール基であることが好ましく、置換基を有するアリール基であることがより好ましく、アルキル基で置換されたアリール基であることがさらに好ましい。
アルキル基、アリール基の定義、具体例は、前記式(1)におけるR〜Rが表すアルキル基、アリール基の定義、具体例と同じである。
【0174】
式(4A)において、フルオレン環は置換基を有していてもよく、該置換基は、好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基、カルボキシル基、ニトロ基またはシアノ基であり、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、アシル基、シアノ基であり、さらに好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基である。
【0175】
式(2A)で表される繰り返し単位としては、例えば、下記式(2−101)〜(2−144)で表される繰り返し単位が好ましく、式(2−101)〜(2−103)、(2−109)、(2−111)、(2−112)、(2−114)〜(2−117)、(2−123)、(2−130)〜(2−141)で表される繰り返し単位がより好ましく、式(2−101)〜(2−103)、(2−109)、(2−111)(2−112)、(2−115)、(2−117)、(2−130)、(2−132)、(2−134)、(2−135)、(2−138)〜(2−141)で表される繰り返し単位がさらに好ましく、式(2−101)、(2−103)、(2−109)、(2−111)、(2−115)、(2−117)、(2−130)、(2−132)、(2−134)、(2−138)、(2−140)で表される繰り返し単位が特に好ましい。
【0176】
【化49】

【0177】
【化50】

【0178】
【化51】

【0179】
【化52】

【0180】
【化53】

【0181】
【化54】


【0182】
式(2A)で表される繰り返し単位の含有量は、本実施形態の高分子化合物を用いて製造される発光素子の正孔輸送性および耐久性が優れるので、全繰り返し単位の合計に対して0.5〜40モル%であることが好ましく、3〜30モル%であることがより好ましく、3〜20モル%であることがさらに好ましい。
【0183】
式(3A)中、ArおよびArは、それぞれ独立に、非置換若しくは置換のアリーレン基または非置換若しくは置換の2価の複素環基を示し、Arは、非置換若しくは置換のアリーレン基、非置換若しくは置換の2価の複素環基、または、アリーレン基および2価の複素環基から選ばれる同一又は異なる2以上の基が連結した2価の基(当該基は置換基を有していてもよい)を示す。
【0184】
1Aは1価の架橋性基を示し、R2Aは1価の架橋性基、アルキル基、アリール基または1価の複素環基を示す。
【0185】
式(3A)において、cxは、本実施形態の高分子化合物の原料となるモノマー合成が容易であり、かつ、本実施形態の高分子化合物を用いて製造される発光素子の正孔輸送性および耐久性より優れるため、0であることが好ましい。
【0186】
式(3A)において、Ar、ArおよびArで表される基は、非置換若しくは置換のアリーレン基であることが、本実施形態の高分子化合物を用いて製造される発光素子の正孔輸送性および耐久性がより優れるので好ましい。
【0187】
式(3A)において、Ar、ArおよびArにおけるアリーレン基としては、例えば、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、1,4−ナフタレンジイル基、2,6−ナフタレンジイル基、2,7−ナフタレンジイル基、2,6−アントラセンジイル基、9,10−アントラセンジイル基、2,7−フェナンスレンジイル基、5,12−ナフタセンジイル基、2,7−フルオレンジイル基、3,6−フルオレンジイル基、1,6−ピレンジイル基、2,7−ピレンジイル基および3,8−ペリレンジイル基を選択することができ、1,4−フェニレン基、2,7−フルオレンジイル基、2,6−アントラセンジイル基、9,10−アントラセンジイル基、2,7−フェナンスレンジイル基および1,6−ピレンジイル基が好ましく、1,4−フェニレン基がさらに好ましい。これらは置換基を有していてもよい。該置換基は、好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基、カルボキシル基、ニトロ基またはシアノ基であり、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、アシル基、シアノ基であり、さらに好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基である。
【0188】
式(3A)において、Ar、Ar、およびArにおける2価の複素環基としては、例えば、2,5−ピロールジイル基、ジベンゾフランジイル基、ジベンゾチオフェンジイル基および2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4,7−ジイル基を選択することができ、これらは上記置換基を有していてもよい。
【0189】
式(3A)において、Arにおけるアリーレン基および2価の複素環基から選ばれる同一又は異なる2以上の基が連結した2価の基としては、例えば、下記式(1a−1)、(1a−2)、(1a−3)、(1a−4)、(1a−5)、(1a−6)または(1a−7)で示される基であることが好ましく、下記式(1a−1)で示される基であることがより好ましい。なお、これらの基は上記置換基を有していてもよい。
【0190】
【化55】

【0191】
式(3)において、Ar、ArおよびArで示される基が置換基を有する場合、該置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基が挙げられ、好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、アシル基、シアノ基であり、より好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基である。
アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換アミノ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基の定義、具体例は、前記式(1)におけるR〜Rが表すアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換アミノ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基の定義、具体例と同じである。
【0192】
式(3A)において、R1AまたはR2Aで表される1価の架橋性基としては、例えば、上記式(X−1)、(X−2)、(X−01)〜(X−18)で表される基が挙げられ、本実施形態の高分子化合物を用いて製造される発光素子の正孔輸送性および耐久性がより優れるため、式(X−1)、(X−2)、(X−01)、(X−03)、(X−04)、(X−06)〜(X−18)で表される基が好ましく、式(X−1)、(X−2)、(X−07)〜(X−18)で表される基がより好ましく、式(X−1)で表される基がさらに好ましい。
【0193】
式(3A)において、R2Aで表されるアルキル基、アリール基、1価の複素環基の定義、具体例は、前記式(1)におけるR〜Rが表すアルキル基、アリール基、1価の複素環基の定義、具体例と同じである。
【0194】
式(3A)において、R2Aは、本実施形態の高分子化合物の原料となるモノマー合成が容易になるため、R1Aと同じ1価の架橋性基であることが好ましい。
【0195】
式(3A)で表される繰り返し単位の具体例としては、例えば、式(3−01)〜(3−05)で表される繰り返し単位が挙げられ、式(3−01)、(3−02)、(3−04)または(3−05)で表される繰り返し単位が好ましく、式(3−01)または(3−02)で表される繰り返し単位がより好ましく、式(3−01)で表される繰り返し単位がさらに好ましい。
【0196】
【化56】

【0197】
式(3A)で表される繰り返し単位の含有量は、本実施形態の高分子化合物を用いて製造される発光素子の正孔輸送性および耐久性がより優れるので、全繰り返し単位の合計に対して0.5〜40モル%であることが好ましく、3〜30モル%であることがより好ましく、3〜20モル%であることがさらに好ましい。
【0198】
−高分子化合物中の繰り返し単位の割合−
本発明の高分子化合物の例としては、以下の化合物EP−1〜EP−6が挙げられる。
【0199】
【表1】

[表中、
u、v、w、xおよびyは、繰り返し単位のモル比率を表す数である。
u+v+w+x+y=1.0であり、かつ、1≧u+v≧0.1である。]
【0200】
本発明の高分子化合物において、高分子化合物の全繰り返し単位(合計モル数)に対する、前記式(1)および前記式(3’)で表される繰り返し単位の繰り返し単位の合計モル数に対する割合は、通常、0.1〜1.0であり、本実施形態の高分子化合物を用いた発光素子の輝度寿命がより優れるため、0.5〜1.0であることが好ましく、0.7〜1.0であることがより好ましい。
【0201】
−高分子化合物の具体例−
本発明の高分子化合物の具体例としては、以下の式で表される高分子化合物が挙げられる。なお、式中、u、v、w、xおよびyは、モル比率を表す数である。また、下記式中でv1およびv2が付記された例では、v1およびv2は、それぞれ独立に、v=v1+v2を満たす数であり、v1、v2およびv3が付記された例では、v1、v2およびv3は、それぞれ独立にv=v1+v2+v3を満たす数である。
u+v+w+x+y=1.0であり、かつ、1≧u+v≧0.1である。
【0202】
【化57】

【0203】
【化58】

【0204】
【化59】

【0205】
【化60】

【0206】
【化61】

【0207】
【化62】

【0208】
本発明の高分子化合物は、発光素子に使用した場合の輝度寿命がより優れたものとなるため、ポリスチレン換算の数平均分子量が、1×103〜1×108であることが好ましく、1×103〜1×107であることがより好ましく、1×104〜1×107であることが特に好ましい。
【0209】
本発明の高分子化合物は、交互共重合体、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよい。本発明の高分子化合物は、完全なランダム共重合体より、発光素子に用いた場合の輝度寿命がより優れたものとなるため、高分子化合物を構成する同一の繰り返し単位同士が、実質的に隣り合わないランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体の方が好ましい。本発明の高分子化合物は、主鎖に枝分かれがあり、末端部が3個以上ある場合やデンドリマーも含む。
【0210】
本発明の高分子化合物の末端基は、重合活性基がそのまま残っていると、発光素子の作製に用いたときに、得られる発光素子の発光特性や寿命が低下することがあるので、安定な基で保護されていてもよい。該末端基としては、主鎖の共役構造と連続した共役結合を有している基が好ましく、例えば、炭素−炭素結合を介してアリール基または1価の複素環基と結合している基が挙げられ、特開平9−45478号公報に記載の置換基等でもよい。
【0211】
<高分子化合物の製造方法>
次に、本発明の高分子化合物の製造方法を説明する。
本発明の高分子化合物は、如何なる方法で製造してもよいが、例えば、式:X11−A11−X12で表される化合物と、式:X13−A12−X14で表される化合物とを縮合重合させることにより、製造することができる。上記式中、A11は、前記式(1)で表される繰り返し単位を示し、A12は、前記式(3’)または前記式(4)で表される繰り返し単位を示す。なお、上記式中、X11、X12、X13およびX14は、それぞれ独立に、重合反応性基を表す。
また、本発明の高分子化合物は、さらに式:X15−A13−X16で表される化合物を縮合重合させることで製造することができる。上記式中、A13は、前記式(3)(前記式(3’)および前記式(4)で表される繰り返し単位を除く。)、前記式(5)、前記式(6)、前記式(7)、前記式(2A)または前記式(3A)で表される繰り返し単位を示す。なお、上記式中、X15およびX16は、それぞれ独立に、重合反応性基を表す。
【0212】
前記式:X11−A11−X12は、X11およびX12が水素原子である場合、臭素化反応等の反応に供することにより、該水素原子を臭素原子に変換することができる。また、前記式:X13−A12−X14および前記式:X15−A13−X16については、X13、X14、X15およびX16がハロゲン原子である場合、該基は公知の反応に供することにより、ハロゲン原子以外の重合反応性基に変換することができる。
【0213】
前記重合反応性基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基、アリールアルキルスルホネート基、ホウ酸エステル残基、スルホニウムメチル基、ホスホニウムメチル基、ホスホネートメチル基、モノハロゲン化メチル基、ホウ酸残基(−B(OH)2)、ホルミル基、シアノ基、ビニル基が挙げられる。
【0214】
前記重合反応性基であるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0215】
前記重合反応性基であるアルキルスルホネート基としては、例えば、メタンスルホネート基、エタンスルホネート基、トリフルオロメタンスルホネート基が挙げられる。
【0216】
前記重合反応性基であるアリールスルホネート基としては、例えば、ベンゼンスルホネート基、p−トルエンスルホネート基が挙げられる。
【0217】
前記重合反応性基であるアリールアルキルスルホネート基としては、例えば、ベンジルスルホネート基が挙げられる。
【0218】
前記重合反応性基であるホウ酸エステル残基としては、例えば、下記式で表わされる基が挙げられる。
【0219】
【化63】

【0220】
前記重合反応性基であるスルホニウムメチル基としては、例えば、下記式で示される基が挙げられる。
−CH2+Me2X’-、−CH2+Ph2X’-
[式中、X’はハロゲン原子を表し、Phはフェニル基を表す。]
【0221】
前記重合反応性基であるホスホニウムメチル基としては、例えば、下記式で示される基が挙げられる。
−CH2+Ph3X’-
[式中、X’はハロゲン原子を表し、Phはフェニル基を表す。]
【0222】
前記重合反応性基であるホスホネートメチル基としては、例えば、下記式で示される基が挙げられる。
−CH2PO(OR’)2
[式中、R’はアルキル基、アリール基またはアリールアルキル基を表す。]
【0223】
前記重合反応性基であるモノハロゲン化メチル基としては、例えば、フッ化メチル基、塩化メチル基、臭化メチル基、ヨウ化メチル基が挙げられる。
【0224】
前記重合反応性基は、Yamamotoカップリング反応等の0価ニッケル錯体を用いる場合には、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基、アリールアルキルスルホネート基が好ましく、Suzukiカップリング反応等のニッケル触媒またはパラジウム触媒を用いる場合には、アルキルスルホネート基、ハロゲン原子、ホウ酸エステル残基、ホウ酸残基が好ましい。
【0225】
本発明の高分子化合物の製造は、モノマーとなる重合反応性基を複数有する化合物を、必要に応じて、有機溶媒に溶解させ、アルカリや適切な触媒を用い、有機溶媒の融点以上沸点以下の温度で行うことができ、例えば、“オルガニック リアクションズ(Organic Reactions),第14巻,270−490頁,ジョンワイリー アンド サンズ(John Wiley&Sons,Inc.),1965年”、“オルガニック シンセシス(Organic Syntheses),コレクティブ第6巻(Collective Volume VI),407−411頁,ジョンワイリー アンド サンズ(John Wiley&Sons,Inc.),1988年”、“ケミカル レビュー(Chem.Rev.),第95巻,2457頁(1995年)、“ジャーナル オブ オルガノメタリック ケミストリー(J.Organomet.Chem.),第576巻,147頁(1999年)”、“マクロモレキュラー ケミストリー マクロモレキュラー シンポジウム(Macromol.Chem.Macromol.Symp.),第12巻,229頁(1987年)”に記載の方法で行うことができる。
【0226】
本発明の高分子化合物の製造方法において、前記重合反応性基の種類に応じて、既知の縮合反応を用いることができ、例えば、対応するモノマーを、Suzukiカップリング反応により重合する方法、Grignard反応により重合する方法、0価ニッケル錯体により重合する方法、FeCl3等の酸化剤により重合する方法、電気化学的に酸化重合する方法、適切な脱離基を有する中間体高分子の分解による方法が挙げられる。
【0227】
これらのうち、本発明の高分子化合物の構造制御(「シーケンス制御」とも言う。)の観点から、Suzukiカップリング反応により重合する方法、Grignard反応により重合する方法または0価ニッケル錯体により重合する方法が好ましく、Suzukiカップリング反応により重合する方法がより好ましい。本発明の高分子化合物を構成する同一の繰り返し単位同士が、実質的に隣り合わない共重合体を得ることが可能となるためである。
【0228】
本発明の高分子化合物の製造方法の中では、重合反応性基が、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基およびアリールアルキルスルホネート基からなる群から選ばれ、かつ、0価ニッケル錯体の存在下で縮合重合する製造方法が好ましい。
【0229】
本発明の高分子化合物の原料となる化合物としては、例えば、ジハロゲン化化合物、ビス(アルキルスルホネート)化合物、ビス(アリールスルホネート)化合物、ビス(アリールアルキルスルホネート)化合物、ハロゲン−アルキルスルホネート化合物、ハロゲン−アリールスルホネート化合物、ハロゲン−アリールアルキルスルホネート化合物、アルキルスルホネート−アリールスルホネート化合物、アルキルスルホネート−アリールアルキルスルホネート化合物およびアリールスルホネート−アリールアルキルスルホネート化合物が挙げられる。また、シーケンスを制御した高分子化合物を製造する場合には、上記化合物としては、ハロゲン−アルキルスルホネート化合物、ハロゲン−アリールスルホネート化合物、ハロゲン−アリールアルキルスルホネート化合物、アルキルスルホネート−アリールスルホネート化合物、アルキルスルホネート−アリールアルキルスルホネート化合物、アリールスルホネート−アリールアルキルスルホネート化合物を用いるのが好ましい。
【0230】
本発明の高分子化合物の製造方法としては、高分子化合物の合成の容易さの観点から、重合反応性基が、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基、アリールアルキルスルホネート基、ホウ酸残基およびホウ酸エステル残基からなる群から選ばれ、かつ、全原料化合物が有するハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基およびアリールアルキルスルホネート基のモル数の合計(J)と、ホウ酸残基およびホウ酸エステル残基のモル数の合計(K)の比が実質的に1.0(通常、K/Jは0.7〜1.2。)であり、0価ニッケル触媒またはパラジウム触媒を用いて縮合重合する製造方法が好ましい。
【0231】
前記原料となる化合物の組み合わせ(例えば、前記式:X11−A11−X12で表される化合物と、前記式:X13−A12−X14で表される化合物)としては、ジハロゲン化化合物、ビス(アルキルスルホネート)化合物、ビス(アリールスルホネート)化合物またはビス(アリールアルキルスルホネート)化合物と、ジホウ酸化合物またはジホウ酸エステル化合物との組み合わせが挙げられる。
【0232】
また、シーケンスを制御した高分子化合物を製造する場合には、前記原料となる化合物としては、ハロゲン−ホウ酸化合物、ハロゲン−ホウ酸エステル化合物、アルキルスルホネート−ホウ酸化合物、アルキルスルホネート−ホウ酸エステル化合物、アリールスルホネート−ホウ酸化合物、アリールスルホネート−ホウ酸エステル化合物、アリールアルキルスルホネート−ホウ酸化合物、アリールアルキルスルホネート−ホウ酸化合物、アリールアルキルスルホネート−ホウ酸エステル化合物等を用いるのが好ましい。これにより、前記式(1)で表される繰り返し単位が実質的に隣り合わない高分子化合物を製造することが可能となるためである。
【0233】
前記縮合重合に用いられる有機溶媒は、副反応を抑制するために、十分に脱酸素処理、脱水処理を施しておくことが好ましい。但し、Suzukiカップリング反応のような水との2相系での反応の場合にはその限りではない。
【0234】
前記縮合重合に用いられる有機溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の飽和炭化水素;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の不飽和炭化水素、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、クロロブタン、ブロモブタン、クロロペンタン、ブロモペンタン、クロロヘキサン、ブロモヘキサン、クロロシクロヘキサン、ブロモシクロヘキサン等のハロゲン化飽和炭化水素;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化不飽和炭化水素;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、tert−ブチルアルコール等のアルコール類;蟻酸、酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸類;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン等のエーテル類;トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ピリジン等のアミン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルモルホリンオキシド等のアミド類が挙げられ、これらの中でもエーテル類が好ましく、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルが好ましい。これらの有機溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0235】
前記縮合重合において、反応を促進させるために、アルカリや適切な触媒を添加してもよい。アルカリや適切な触媒は、反応に用いる溶媒に十分に溶解するものが好ましい。アルカリまたは触媒を混合するには、反応液をアルゴンガスや窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で攪拌しながらゆっくりとアルカリまたは触媒の溶液を添加するか、逆にアルカリまたは触媒の溶液に反応液をゆっくりと添加すればよい。
【0236】
本発明の高分子化合物を発光素子等の作製に用いる場合、その純度が発光特性等の発光素子の性能に影響を与えるため、重合前の原料となる化合物を蒸留、昇華精製、再結晶等の方法で精製した後に重合することが好ましい。また、重合後、再沈精製、クロマトグラフィーによる分別等の純化処理をすることが好ましい。
【0237】
<用途>
本発明の高分子化合物は、発光材料として有用であるだけでなく、薄膜、有機半導体材料、有機トランジスタ、光学材料、有機光電変換素子またはドーピングにより導電性材料としても有用である。
【0238】
<組成物>
本発明の組成物は、本発明の高分子化合物と、正孔輸送材料、電子輸送材料および発光材料からなる群から選ばれる少なくとも1種類の材料を含有する組成物である。
【0239】
前記正孔輸送材料としては、例えば、ポリビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリシランおよびその誘導体、側鎖または主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリピロールおよびその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)およびその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)およびその誘導体が挙げられる。
【0240】
前記電子輸送材料としては、例えば、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタンおよびその誘導体、ベンゾキノンおよびその誘導体、ナフトキノンおよびその誘導体、アントラキノンおよびその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタンおよびその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレンおよびその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリンおよびその誘導体の金属錯体、ポリキノリンおよびその誘導体、ポリキノキサリンおよびその誘導体、ポリフルオレンおよびその誘導体が挙げられる。
【0241】
前記発光材料としては、例えば、ナフタレン誘導体、アントラセンおよびその誘導体、ペリレンおよびその誘導体、ポリメチン系色素、キサンテン系色素、クマリン系色素、シアニン系色素、8−ヒドロキシキノリンを配位子として有する金属錯体、8−ヒドロキシキノリン誘導体を配位子として有する金属錯体、その他の蛍光性金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエン、テトラフェニルシクロペンタジエン誘導体、テトラフェニルシクロブタジエン、テトラフェニルシクロブタジエン誘導体、並びに、スチルベン系、含ケイ素芳香族系、オキサゾール系、フロキサン系、チアゾール系、テトラアリールメタン系、チアジアゾール系、ピラゾール系、メタシクロファン系、アセチレン系等の低分子化合物の蛍光性材料が挙げられ、特開昭57−51781号公報、特開昭59−194393号公報等に記載されている発光材料も挙げられる。
【0242】
また、本発明の組成物は、溶媒を含有していてもよい。即ち、本発明の溶媒を含有する組成物は、本発明の高分子化合物と溶媒を含有する組成物、および、さらに正孔輸送材料、電子輸送材料および発光材料からなる群から選ばれる少なくとも1種類の材料を含有する組成物である。
【0243】
本発明の溶媒を含有する組成物は、発光素子や有機トランジスタの作製に有用である。本明細書において、「溶媒を含有する組成物」とは、素子作製時において液状である組成物を意味し、典型的には、常圧(即ち、1気圧)、25℃において液状のものを意味する。また、溶媒を含有する組成物は、一般的には、インク、インク組成物、液状組成物、溶液等と呼ばれることがある。
【0244】
本発明の組成物は、上記以外に、安定剤、粘度および/または表面張力を調節するための添加剤、酸化防止剤等を含んでいてもよい。これらの任意成分は、各々、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0245】
前記安定剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等が挙げられる。
【0246】
前記粘度および/または表面張力を調節するための添加剤としては、粘度を高めるための高分子量の化合物(増粘剤)や貧溶媒、粘度を下げるための低分子量の化合物、表面張力を下げるための界面活性剤等を必要に応じて組み合わせて使用すればよい。
【0247】
前記高分子量の化合物としては、発光や電荷輸送を阻害しないものであればよく、組成物が溶媒を含む場合には、通常、該溶媒に可溶性のものである。高分子量の化合物としては、例えば、高分子量のポリスチレン、高分子量のポリメチルメタクリレートを用いることができる。上記高分子量の化合物のポリスチレン換算の重量平均分子量は50万以上が好ましく、100万以上がより好ましい。また、貧溶媒を増粘剤として用いることもできる。
【0248】
前記酸化防止剤としては、発光や電荷輸送を阻害しないものであればよく、組成物が溶媒を含む場合には、通常、該溶媒に可溶性のものである。酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤を用いることができる。酸化防止剤を用いることにより、上記高分子化合物、溶媒の保存安定性を改善し得る。
【0249】
本発明の組成物が正孔輸送材料を含有する場合には、該組成物中の正孔輸送材料の割合は、本発明の高分子化合物を100重量%とすると、通常、1〜400重量%であり、好ましくは5〜150重量%である。また、本発明の組成物が電子輸送材料を含有する場合には、本発明の高分子化合物を100重量%とすると、通常、1〜400重量%であり、好ましくは5〜150重量%である。また、本発明の組成物が発光材料を含有する場合には、本発明の高分子化合物を100重量%とすると、通常、1〜400重量%であり、好ましくは5〜150重量%である。
【0250】
発光素子の作製の際に、前記溶媒を含む組成物を用いて成膜する場合、該組成物を塗布した後、乾燥により溶媒を除去するだけでよく、また、正孔輸送材料や電荷輸送材料、発光材料を混合した場合においても同様な手法が適用できるので、発光素子の製造の際に非常に有利である。なお、乾燥の際には、50〜150℃程度に加温した状態で乾燥させてもよく、また、10−3Pa程度に減圧して乾燥させてもよい。
【0251】
前記溶媒を含む組成物を用いた成膜には、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャップコート法、キャピラリコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、ノズルコート法等の塗布法を用いることができる。
【0252】
前記溶媒を含む組成物中の溶媒の割合は、本発明の高分子化合物を100重量%とすると、通常、1〜100000重量%であり、好ましくは150〜100000重量%であり、より好ましく1000〜100000重量%である。溶媒を含む組成物の粘度は印刷法によって異なるが、25℃において0.5〜500mPa・sが好ましく、インクジェット印刷法等の吐出装置を経由するものの場合には、吐出時の目づまりや飛行曲がりを防止するために、粘度が25℃において0.5〜20mPa・sが好ましい。
【0253】
前記溶媒を含む組成物に含まれる溶媒としては、該組成物中の溶媒以外の成分を溶解または分散できるものが好ましい。該溶媒としては、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、メシチレン等の芳香族炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルベンゾエート、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒;エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール等の多価アルコールおよびその誘導体;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が挙げられる。これらの溶媒は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。上記溶媒のうち、ベンゼン環を少なくとも1個以上含む構造を有し、かつ、融点が0℃以下、沸点が100℃以上である有機溶媒を1種類以上含むことが、粘度、成膜性等の観点から好ましい。溶媒の種類としては、溶媒を含む組成物中の溶媒以外の成分の有機溶媒への溶解性、成膜時の均一性、粘度特性等の観点から、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒のうち少なくとも1種類を含むことが好ましく、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メシチレン、n−プロピルベンゼン、i−プロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、i−ブチルベンゼン、s−ブチルベンゼン、アニソール、エトキシベンゼン、1−メチルナフタレン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロヘキシルベンゼン、ビシクロヘキシル、シクロヘキセニルシクロヘキサノン、n−ヘプチルシクロヘキサン、n−ヘキシルシクロヘキサン、メチルベンゾエート、2−プロピルシクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−オクタノン、2−ノナノン、2−デカノン、ジシクロヘキシルケトンが好ましく、キシレン、アニソール、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン、ビシクロヘキシルメチルベンゾエートのうち少なくとも1種類を含むことがより好ましい。
【0254】
前記溶媒を含む組成物に含まれる溶媒の種類は、成膜性の観点や素子特性等の観点から、2種類以上が好ましく、2〜3種類がより好ましく、2種類が特に好ましい。
【0255】
前記溶媒を含む組成物に2種類の溶媒が含まれる場合、そのうちの1種類の溶媒は25℃において固体状態でもよい。成膜性の観点から、1類の溶媒は沸点が180℃以上のものであり、他の1種類の溶媒は沸点が180℃未満のものであることが好ましく、1種類の溶媒は沸点が200℃以上のものであり、他の1種類の溶媒は沸点が180℃未満のものであることがより好ましい。また、粘度の観点から、60℃において、該組成物から溶媒を除いた成分の0.2重量%以上が溶媒に溶解することが好ましく、2種類の溶媒のうちの1種類の溶媒には、25℃において、該組成物から溶媒を除いた成分の0.2重量%以上が溶解することが好ましい。
【0256】
前記溶媒を含む組成物に3種類の溶媒が含まれる場合、そのうちの1〜2種類の溶媒は25℃において固体状態でもよい。成膜性の観点から、3種類の溶媒のうちの少なくとも1種類の溶媒は沸点が180℃以上の溶媒であり、少なくとも1種類の溶媒は沸点が180℃未満の溶媒であることが好ましく、3種類の溶媒のうちの少なくとも1種類の溶媒は沸点が200℃以上300℃以下の溶媒であり、少なくとも1種類の溶媒は沸点が180℃未満の溶媒であることがより好ましい。また、粘度の観点から、3種類の溶媒のうちの2種類の溶媒には、60℃において、該組成物から溶媒を除いた成分の0.2重量%以上が溶媒に溶解することが好ましく、3種類の溶媒のうちの1種類の溶媒には、25℃において、該組成物から溶媒を除いた成分の0.2重量%以上が溶媒に溶解することが好ましい。
【0257】
前記溶媒を含む組成物に2種類以上の溶媒が含まれる場合、粘度および成膜性の観点から、最も沸点が高い溶媒が、該組成物に含まれる全溶媒の重量の40〜90重量%であることが好ましく、50〜90重量%であることがより好ましく、65〜85重量%であることがさらに好ましい。
【0258】
<薄膜>
本発明の薄膜を説明する。本発明の薄膜は、本発明の高分子化合物または組成物を含有する。本発明の高分子化合物が、前記式(2A)で表される繰り返し単位および前記式(3A)で表される繰り返し単位の少なくとも一方を含む場合、本発明の薄膜は、本発明の高分子化合物、または、本発明の高分子化合物を含む組成物を架橋させて得られる薄膜である。この架橋させる工程は、例えば、加熱により行われる。
薄膜の種類としては、例えば、発光性薄膜、導電性薄膜、有機半導体薄膜が挙げられる。
【0259】
前記発光性薄膜は、発光素子の輝度や駆動電圧等の観点から、発光の量子収率が50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましい。
【0260】
前記導電性薄膜は、表面抵抗が1KΩ/□以下であることが好ましい。薄膜に、ルイス酸、イオン性化合物等をドープすることにより、電気伝導度を高めることができる。該薄膜の表面抵抗は、100Ω/□以下であることがより好ましく、10Ω/□以下であることがさらに好ましい。
【0261】
前記有機半導体薄膜は、電子移動度または正孔移動度のいずれか大きいほうが、10−5cm/V/秒以上であることが好ましく、10−3cm2/V/秒以上であることがより好ましく、10−1cm2/V/秒以上であることが更に好ましい。また、該有機半導体薄膜を用いて、有機トランジスタを作製することができる。具体的には、SiO2等の絶縁膜とゲート電極とを形成したSi基板上に有機半導体薄膜を形成し、Au等でソース電極とドレイン電極を形成することにより、有機トランジスタとすることができる。
【0262】
<有機トランジスタ>
本実施形態の有機トランジスタは、本発明の高分子化合物または組成物を含む有機トランジスタである。以下、有機トランジスタの一態様である高分子電界効果トランジスタを説明する。
【0263】
本発明の高分子化合物および組成物は、高分子電界効果トランジスタの材料として、中でも活性層として好適に用いることができる。高分子電界効果トランジスタの構造としては、通常は、ソース電極およびドレイン電極が高分子からなる活性層に接して設けられており、さらに活性層に接した絶縁層を挟んでゲート電極が設けられていればよい。
【0264】
高分子電界効果トランジスタは、通常、支持基板上に形成される。支持基板としては、例えば、ガラス基板、フレキシブルなフィルム基板やプラスチック基板を用いることができる。
【0265】
高分子電界効果トランジスタは、公知の方法、例えば、特開平5−110069号公報に記載の方法により製造することができる。
【0266】
活性層を形成する際に、有機溶媒可溶性の高分子化合物を用いること(即ち、本発明の溶媒を含む組成物を用いること)が製造上有利であり好ましい。有機溶媒可溶性の高分子化合物を溶媒に溶解させてなる溶液からの成膜には、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャップコート法、キャピラリコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、ノズルコート法等の塗布法を用いることができる。
【0267】
高分子電界効果トランジスタは、作製後に封止されていることが好ましい。これにより、高分子電界効果トランジスタが大気から遮断され、高分子電界効果トランジスタの特性の低下を抑えることができる。
【0268】
封止方法としては、紫外線(UV)硬化樹脂、熱硬化樹脂や無機のSiON膜等でカバーする方法、ガラス板やフィルムをUV硬化樹脂、熱硬化樹脂等で張り合わせる方法等が挙げられる。大気との遮断を効果的に行うためには、高分子電界効果トランジスタを作製後、封止するまでの工程を大気に曝すことなく行うことが好ましく、例えば、乾燥した窒素ガス雰囲気中や真空中で封止を行うことが挙げられる。
【0269】
<有機光電変換素子>
本実施形態の有機光電変換素子(例えば、太陽電池)は、本発明の高分子化合物または組成物を含む有機光電変換素子である。
【0270】
本発明の高分子化合物および組成物は、有機光電変換素子の材料として、中でも有機半導体と金属との界面を利用するショットキー障壁型素子の有機半導体層として、また、有機半導体と、無機半導体または有機半導体との界面を利用するpnへテロ接合型素子の有機半導体層として、好適に用いることができる。
【0271】
本発明の高分子化合物および組成物は、さらに、ドナー・アクセプターの接触面積を増大させたバルクヘテロ接合型素子における電子供与性高分子、電子受容性高分子として、また、高分子・低分子複合系を用いる有機光電変換素子、例えば、電子受容体としてフラーレン誘導体を分散したバルクヘテロ接合型有機光電変換素子の電子供与性共役系高分子(分散支持体)として、好適に用いることができる。
【0272】
前記有機光電変換素子の構造としては、例えば、pnへテロ接合型素子では、オーム性電極、例えば、ITO上にp型半導体層を形成し、さらにn型半導体層を積層し、その上にオーム性電極が設けられていればよい。
【0273】
前記有機光電変換素子は、通常は支持基板上に形成される。支持基板としては、例えば、ガラス基板、フレキシブルなフィルム基板やプラスチック基板を用いることができる。
【0274】
有機光電変換素子は、公知の方法、例えば、“Synth.Met.,102,982(1999)”に記載の方法や“Science,270,1789(1995)”に記載の方法により製造することができる。
【0275】
<発光素子>
次に、本発明の発光素子について説明する。
本発明の発光素子は、本発明の薄膜を有する発光素子である。本発明の発光素子としては、例えば、この薄膜が正孔輸送層である発光素子、この薄膜が発光層である発光素子等が挙げられる。以下、本発明の好ましい実施形態について説明する。
【0276】
本発明の第一の発光素子は、陽極および陰極からなる電極と、該電極間に設けられ本発明の高分子化合物もしくは組成物を含む発光層および/または該電極間に設けられ本発明の高分子化合物もしくは組成物を含む電荷輸送層とを有する、発光素子である。
また、本発明の第二の発光素子は、陽極および陰極からなる電極と、該電極間に設けられ本発明の高分子化合物もしくは組成物を架橋してなる発光層(通常、本発明の高分子化合物または組成物は架橋することにより硬化している。)および/または該電極間に設けられ本発明の高分子化合物もしくは組成物を架橋してなる電荷輸送層(通常、本発明の高分子化合物または組成物は架橋することにより硬化している。)とを有する発光素子である。
【0277】
本発明の発光素子としては、(1)陰極と発光層との間に電子輸送層を設けた発光素子、(2)陽極と発光層との間に正孔輸送層を設けた発光素子、(3)陰極と発光層との間に電子輸送層を設け、かつ、陽極と発光層との間に正孔輸送層を設けた発光素子が挙げられる。
【0278】
本発明の発光素子の構造としては、例えば、以下のa)〜d)の構造が挙げられる。
a)陽極/発光層/陰極
b)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
c)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
d)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(ここで、/は各層が隣接して積層されていることを示す。以下同じ。)
【0279】
前記発光層とは、発光する機能を有する層であり、前記正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する層であり、前記電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する層である。
なお、電子輸送層と正孔輸送層を総称して電荷輸送層と呼ぶ。発光層、正孔輸送層、電子輸送層は、それぞれ独立に、2層以上用いてもよい。また、発光層に隣接した正孔輸送層をインターレイヤー層と呼ぶこともある。
【0280】
発光層の成膜方法としては、溶液からの成膜による方法が挙げられる。溶液からの成膜には、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャップコート法、キャピラリコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、ノズルコート法等の塗布法を用いることができる。溶液からの成膜による方法は、正孔輸送層および電子輸送層の成膜にも有用である。
【0281】
発光素子の作製の際に、本発明の高分子化合物または組成物を用いることにより、溶液(即ち、本発明の溶媒を含む組成物)から成膜する場合、この溶液を塗布後乾燥により溶媒を除去するだけでよく、また電荷輸送材料や発光材料を混合した場合においても同様な手法が適用でき、製造上有利である。
【0282】
発光層の膜厚は、発光効率と駆動電圧が適度な値となるように選択すればよく、通常、1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0283】
本発明の発光素子が正孔輸送層を有する場合、使用される正孔輸送材料は、前記溶媒を含む組成物の項で説明した正孔輸送材料と同様であるが、ポリビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリシランおよびその誘導体、側鎖または主鎖に芳香族アミン化合物基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)およびその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)およびその誘導体等の高分子正孔輸送材料が好ましく、ポリビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリシランおよびその誘導体、側鎖または主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体がより好ましい。低分子の正孔輸送材料の場合には、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。
【0284】
正孔輸送層の成膜方法としては、低分子正孔輸送材料では、高分子バインダーとの混合溶液からの成膜による方法が挙げられる。また、高分子正孔輸送材料では、溶液からの成膜による方法が挙げられる。
【0285】
混合する高分子バインダーとしては、正孔輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また可視光に対する吸収が強くないものが好適に用いられる。該高分子バインダーとしては、例えば、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサンが挙げられる。
【0286】
正孔輸送層の膜厚は、発光効率と駆動電圧が適度な値となるように選択すればよく、通常、1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0287】
本発明の発光素子が電子輸送層を有する場合、使用される電子輸送材料は、前記溶媒を含む組成物の項で説明した電子輸送材料と同様であるが、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノンおよびその誘導体、アントラキノンおよびその誘導体、8−ヒドロキシキノリンおよびその誘導体の金属錯体、ポリキノリンおよびその誘導体、ポリキノキサリンおよびその誘導体、ポリフルオレンおよびその誘導体が好ましく、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ポリキノリンがより好ましい。
【0288】
電子輸送層の成膜方法としては、低分子電子輸送材料では、粉末からの真空蒸着法、溶液または溶融状態からの成膜による方法が、高分子電子輸送材料では溶液または溶融状態からの成膜による方法が挙げられる。溶液または溶融状態からの成膜時には、高分子バインダーを併用してもよい。
【0289】
混合する高分子バインダーとしては、電子輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また、可視光に対する吸収が強くないものが好適に用いられる。該高分子バインダーとしては、例えば、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)およびその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)およびその誘導体、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサンが挙げられる。
【0290】
電子輸送層の膜厚は、発光効率と駆動電圧が適度な値となるように選択すればよく、通常、1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0291】
また、電極に隣接して設けた電荷輸送層のうち、電極からの電荷注入効率を改善する機能を有し、発光素子の駆動電圧を下げる効果を有するものは、特に電荷注入層(正孔注入層、電子注入層)と呼ぶことがある。
【0292】
さらに、電極との密着性向上や電極からの電荷注入の改善のために、電極に隣接して電荷注入層または絶縁層を設けてもよく、また、界面の密着性向上や混合の防止等のために電荷輸送層や発光層の界面に薄いバッファー層を挿入してもよい。
【0293】
積層する層の順番や数、各層の厚さについては、発光効率や素子寿命を勘案して選択すればよい。
【0294】
本発明において、電荷注入層を設けた発光素子としては、陰極に隣接して電荷注入層(電子注入層)を設けた発光素子、陽極に隣接して電荷注入層(正孔注入層)を設けた発光素子が挙げられる。
【0295】
本発明の発光素子の構造としては、例えば、以下のe)〜p)の構造が挙げられる。
e)陽極/電荷注入層/発光層/陰極
f)陽極/発光層/電荷注入層/陰極
g)陽極/電荷注入層/発光層/電荷注入層/陰極
h)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
i)陽極/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
j)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
k)陽極/電荷注入層/発光層/電荷輸送層/陰極
l)陽極/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
m)陽極/電荷注入層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
n)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電荷輸送層/陰極
o)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
p)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
【0296】
電荷注入層としては、例えば、導電性高分子を含む層、陽極と正孔輸送層との間に設けられ、陽極材料と正孔輸送層に含まれる正孔輸送材料との中間の値のイオン化ポテンシャルを有する材料を含む層、陰極と電子輸送層との間に設けられ、陰極材料と電子輸送層に含まれる電子輸送材料との中間の値の電子親和力を有する材料を含む層が挙げられる。
【0297】
電荷注入層が導電性高分子を含む層の場合、該導電性高分子の電気伝導度は、10−5〜10S/cmが好ましく、発光画素間のリーク電流を小さくするためには、10−5〜10S/cmがより好ましく、10−5〜10S/cmがさらに好ましい。通常は該導電性高分子の電気伝導度を10−5〜10S/cmとするために、該導電性高分子に適量のイオンをドープする。
【0298】
ドープするイオンの種類は、正孔注入層であればアニオン、電子注入層であればカチオンである。アニオンとしては、例えば、ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、樟脳スルホン酸イオンが挙げられ、カチオンとしては、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンが挙げられる。
【0299】
電荷注入層の膜厚は、通常、1nm〜100nmであり、2nm〜50nmが好ましい。
【0300】
電荷注入層に用いる材料としては、例えば、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリピロールおよびその誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリチエニレンビニレンおよびその誘導体、ポリキノリンおよびその誘導体、ポリキノキサリンおよびその誘導体、芳香族アミン構造を主鎖または側鎖に含む重合体等の導電性高分子、金属フタロシアニン(銅フタロシアニン等)、カーボンが挙げられる。
【0301】
絶縁層は、電荷注入を容易にする機能を有するものである。この絶縁層の平均厚さは、通常、0.1〜20nmであり、好ましくは0.5〜10nm、より好ましくは1〜5nmである。絶縁層の材料としては、例えば、金属フッ化物、金属酸化物、有機絶縁材料が挙げられる。絶縁層を設けた発光素子としては、陰極に隣接して絶縁層を設けた発光素子、陽極に隣接して絶縁層を設けた発光素子が挙げられる。
【0302】
本発明の発光素子の構造としては、例えば、以下のq)〜ab)の構造が挙げられる。
q)陽極/絶縁層/発光層/陰極
r)陽極/発光層/絶縁層/陰極
s)陽極/絶縁層/発光層/絶縁層/陰極
t)陽極/絶縁層/正孔輸送層/発光層/陰極
u)陽極/正孔輸送層/発光層/絶縁層/陰極
v)陽極/絶縁層/正孔輸送層/発光層/絶縁層/陰極
w)陽極/絶縁層/発光層/電子輸送層/陰極
x)陽極/発光層/電子輸送層/絶縁層/陰極
y)陽極/絶縁層/発光層/電子輸送層/絶縁層/陰極
z)陽極/絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
aa)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/絶縁層/陰極
ab)陽極/絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/絶縁層/陰極
【0303】
本発明の発光素子を形成する基板は、電極を形成し、有機物の層を形成する際に変化しないものであればよく、例えば、ガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコンが挙げられる。不透明な基板の場合には、反対の電極が透明または半透明であることが好ましい。
【0304】
本発明の発光素子において、陽極および陰極からなる電極の少なくとも一方は、通常、透明または半透明であり、陽極側が透明または半透明であることが好ましい。
【0305】
陽極の材料としては、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜等が用いられ、例えば、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、およびそれらの複合体であるインジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等からなる導電性無機化合物を用いて作製された膜(NESA等)や、金、白金、銀、銅を用いて作製された膜が挙げられ、ITO、インジウム・亜鉛・オキサイド、酸化スズが好ましい。陽極の作製方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法が挙げられる。また、陽極として、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体等の有機の透明導電膜を用いてもよい。
【0306】
陽極の膜厚は、光の透過性と電気伝導度とを考慮して、通常、10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは40nm〜500nmである。
【0307】
また、陽極上に、電荷注入を容易にするために、フタロシアニン誘導体、導電性高分子、カーボン等からなる層、あるいは金属酸化物や金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる層を設けてもよい。
【0308】
陰極の材料としては、仕事関数の小さい材料が好ましく、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム等の金属、およびそれらのうち2種以上の合金、あるいはそれらのうち1種以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1種以上との合金、グラファイト、グラファイト層間化合物等が用いられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金が挙げられる。陰極を2層以上の積層構造としてもよい。
【0309】
陰極の膜厚は、電気伝導度や耐久性を考慮して、通常、10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
【0310】
陰極の作製方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、金属薄膜を熱圧着するラミネート法が用いられる。また、陰極と有機物層との間に、導電性高分子からなる層、あるいは金属酸化物や金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる層を設けてもよく、陰極作製後、該発光素子を保護する保護層を装着していてもよい。該発光素子を長期安定的に用いるためには、発光素子を外部から保護するために、保護層および/または保護カバーを装着することが好ましい。
【0311】
該保護層としては、樹脂、金属酸化物、金属フッ化物、金属ホウ化物等を用いることができる。また、保護カバーとしては、ガラス板、表面に低透水率処理を施したプラスチック板等を用いることができ、該カバーを熱硬化樹脂や光硬化樹脂で素子基板と貼り合わせて密閉する方法が好適に用いられる。スペーサーを用いて空間を維持すれば、素子がキズつくのを防ぐことが容易である。該空間に窒素ガスやアルゴンガス等の不活性なガスを封入すれば、陰極の酸化を防止することができ、さらに酸化バリウム等の乾燥剤を該空間内に設置することにより製造工程で吸着した水分が素子にタメージを与えるのを抑制することが容易となる。これらのうち、いずれか1種以上の方策をとることが好ましい。
【0312】
本発明の発光素子は、面状光源、セグメント表示装置、ドットマトリックス表示装置、液晶表示装置(バックライト等)、フラットパネルディスプレイ等の表示装置等に用いることができる。
【0313】
本発明の発光素子を用いて面状の発光を得るためには、面状の陽極と陰極が重なり合うように配置すればよい。また、パターン状の発光を得るためには、上記面状の発光素子の表面にパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、非発光部の有機物層を極端に厚く形成し実質的に非発光とする方法、陽極若しくは陰極のいずれか一方、または両方の電極をパターン状に形成する方法がある。これらのいずれかの方法でパターンを形成し、いくつかの電極を独立にON/OFFできるように配置することにより、数字や文字、簡単な記号等を表示できるセグメントタイプの表示素子が得られる。更に、ドットマトリックス素子とするためには、陽極と陰極をともにストライプ状に形成して直交するように配置すればよい。複数の種類の発光色の異なる高分子化合物を塗り分ける方法や、カラーフィルターまたは蛍光変換フィルターを用いる方法により、部分カラー表示、マルチカラー表示が可能となる。ドットマトリックス素子は、パッシブ駆動も可能であるし、TFT等と組み合わせてアクティブ駆動してもよい。これらの表示素子は、コンピュータ、テレビ、携帯端末、携帯電話、カーナビゲーション、ビデオカメラのビューファインダー等の表示装置として用いることができる。
【0314】
さらに、上記面状の発光素子は、自発光薄型であり、液晶表示装置のバックライト用の面状光源、または面状の照明用光源として好適に用いることができる。例えば照明用光源には白色、赤色、緑色、青色等の発光色が挙げられる。また、フレキシブルな基板を用いれば、曲面状の光源や表示装置としても使用できる。
【実施例】
【0315】
以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0316】
数平均分子量および重量平均分子量は、サイズエクスクルージョンクロマトグラフィー(SEC)(島津製作所製、商品名:LC−10Avp)によりポリスチレン換算の数平均分子量および重量平均分子量を求めた。SECのうち移動相が有機溶媒であるゲル浸透クロマトグラフィーをゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)という。測定する重合体は、約0.5重量%の濃度でテトラヒドロフランに溶解させ、GPCに30μL注入した。GPCの移動相はテトラヒドロフランを用い、0.6mL/分の流速で流した。カラムは、TSKgel SuperHM−H(東ソー製)2本とTSKgel SuperH2000(東ソー製)1本を直列に繋げた。検出器には示差屈折率検出器(島津製作所製、商品名:RID−10A)を用いた。測定は40℃で行った。
【0317】
LC−MSの測定は、下記の方法で行った。測定試料を約2mg/mLの濃度になるようにクロロホルムまたはテトラヒドロフランに溶解させて、LC−MS(アジレント・テクノロジー製、商品名:1100LCMSD)に約1μL注入した。LC−MSの移動相には、特に断りのない限り、アセトニトリルとテトラヒドロフランとを比率を変化させながら用い、0.2mL/分の流量で流した。カラムは、L−column 2 ODS(3μm)(化学物質評価研究機構製、内径:2.1mm、長さ:100mm、粒径3μm)を用いた。
【0318】
<合成例1>(化合物1−3の合成)
【0319】
【化64】

化合物1−1は特開2007−321022号公報に記載の方法に従って、化合物1−2は特開2004−143419号公報に記載の方法に従って、それぞれ合成した。
次に、アルゴンガス雰囲気下の300mLの3つ口フラスコの中に、化合物1−1(10.3g)および化合物1−2(5.00g)を加え、トルエン(50.0mL)に溶解させた。その後、該溶液にビストリフェニルホスフィンパラジウムジクロライド(216mg)および20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(22.7g)を加え、加熱還流した。反応終了後、放冷し、セライトろ過した。さらにトルエン(200mL)を加え、分液した。得られた有機層を硫酸ナトリウムにより乾燥させ、濃縮して溶媒を除去した。得られた生成物をカラムクロマトグラフィー(充填剤:アルミナ、展開溶媒:ヘキサン:トルエン=4:1(体積比))により精製した。溶媒を留去した後、テトラヒドロフランおよびメタノールの混合溶媒で再結晶し、化合物1−3(9.00g)を得た。以下のデータにより目的とする化合物であることを同定した。
【0320】
H−NMR(300MHz,THF−d):δ(ppm)=7.58(m,8H),7.35(m,10H),7.13(m,12H),7.00(m,2H),2.22(s,6H),2.20(s,12H),1.51(s,9H),1.50(s,18H).
【0321】
<合成例2>(化合物1−4の合成)
【0322】
【化65】

アルゴンガス雰囲気下の50mLの3つ口フラスコの中に、化合物1−3(8.00g)を加え、クロロベンゼン(80.0mL)に溶解させた。その後、該溶液を0℃に冷却し、N―ブロモスクシンイミド(2.89g)を加えて、0℃で5時間攪拌した。反応終了後、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液(50.0mL)を加え、さらにトルエン(200mL)を加え、分液した。得られた有機層を硫酸ナトリウムにより乾燥させ、濃縮して溶媒を除去した。得られた生成物を、テトラヒドロフランおよびメタノールの混合溶媒で再結晶することで、化合物1−4(4.10g)を得た。以下のデータにより目的とする化合物であることを同定した。
【0323】
H−NMR(300MHz,THF−d):δ(ppm)=7.63−7.57(m,8H),7.46−7.44(m,4H),7.37(s,6H)7.19−7.15(m,8H),7.04−7.02(m,4H),2.22−2.20(m,18H),1.51−1.50(m,27H).
LC−MS(APCI、positive):[M+H] 1140.4
【0324】
<合成例3>(化合物1−6の合成)
【0325】
【化66】

化合物1−5は、特開2004−143419号公報の記載の方法に従って、合成した。
次に、アルゴンガス雰囲気下の300mLの3つ口フラスコの中に、化合物1−1(9.47g)および化合物1−5(7.00g)を加え、トルエン(70.0mL)に溶解させた。その後、該溶液にビストリフェニルホスフィンパラジウムジクロライド(60.0mg)および20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(19.0g)を加えて、加熱還流した。反応終了後、放冷し、セライトろ過した。さらにトルエン(200mL)を加え、分液した。得られた有機層を硫酸ナトリウムにより乾燥させ、濃縮して溶媒を除去した。得られた生成物をカラムクロマトグラフィー(充填剤:アルミナ、展開溶媒:ヘキサン:トルエン=4:1(体積比))により精製した。溶媒を留去した後、テトラヒドロフランおよびメタノールの混合溶媒で再結晶することで、化合物1−6(3.58g)を得た。以下のデータにより目的とする化合物であることを同定した。
【0326】
H−NMR(300MHz,THF−d):δ(ppm)=7.43−7.39(m,12H),7.20−7.13(m,12H),7.02−6.94(m,16H),2.06(s,12H),2.03(s,12H),1.35(s,12H),1.34(s,12H).
【0327】
<合成例4>(化合物1−7の合成)
【0328】
【化67】

アルゴンガス雰囲気下の50mLの3つ口フラスコの中に、化合物1−6(3.30g)を加え、クロロベンゼン(33.0mL)に溶解させた。その後、該溶液を0℃に冷却し、N―ブロモスクシンイミド(895mg)を加えて、0℃で5時間攪拌した。反応終了後、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液(30.0mL)を加え、さらにトルエン(100mL)を加え、分液した。得られた有機層を硫酸ナトリウムにより乾燥させ、濃縮して溶媒を除去した。得られた生成物を、テトラヒドロフランおよびメタノールの混合溶媒で再結晶することで、化合物1−7(3.21g)を得た。以下のデータにより目的とする化合物であることを同定した。
【0329】
H−NMR(300MHz,THF−d):δ(ppm)=7.44−7.40(m,12H),7.28(d,4H),7.20(s,8H)7.02−6.98(m,12H),6.86(d,4H),2.06(s,12H),2.03(s,12H),1.35(s,12H),1.34(s,12H).
LC−MS(APCI、positive):[M+H] 1467.6
【0330】
<合成例4a>(化合物1−11の合成)
【0331】
【化68】

アルゴンガス雰囲気下の300mLの3つ口フラスコの中に、化合物1−8(9.06g)および化合物1−9(12.0g)を加え、キシレン(35.0mL)に溶解させた。その後、該溶液にトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(298mg)、トリ(tert−ブチル)ホスフィンテトラフルオロボレート塩(377mg)およびtert−ブトキシナトリウム(3.90g)を加えて、加熱還流した。反応終了後、放冷し、水(30mL)を加え、分液した。得られた水層を酢酸エチル(30mL)で3回抽出した。得られた有機層を硫酸ナトリウムにより乾燥させ、濃縮して溶媒を除去した。得られた生成物をカラムクロマトグラフィー(充填剤:ヘキサン、展開溶媒:ヘキサン:酢酸エチル=1:0〜50:1(体積比))により精製した。溶媒を留去した後、テトラヒドロフランおよび2−プロパノールの混合溶媒で再結晶することで、化合物1−10(16.2g)を得た。
次に、アルゴンガス雰囲気下の500mLの3つ口フラスコの中に、化合物1−10(15.2g)を加え、クロロベンゼン(200mL)に溶解させた。その後、該溶液を0℃に冷却し、臭素(4.49g)のクロロベンゼン溶液(80.0mL)を5時間かけて滴下し、0℃で4時間攪拌した。その後、0℃で臭素(0.63g)のクロロベンゼン溶液(12.0mL)を滴下して、0℃で5時間反応させた。反応終了後、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液(100mL)を加え、さらにトルエン(100mL)を加え、分液した。得られた有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥させ、濃縮して溶媒を除去した。得られた生成物をカラムクロマトグラフィー(充填剤:シリカゲル、展開溶媒:ヘキサン:酢酸エチル=10:1(体積比))により精製することで化合物1−11(7.90g)を得た。
【0332】
<合成例5>(化合物1Aの合成)
【0333】
【化69】

4口フラスコ内の気体を窒素ガスで置換した後、該フラスコ内で、2,7−ジブロモフルオレノン(16.5g)をジフェニルエーテルに懸濁させた。得られた懸濁液を120℃まで加熱し、2,7−ジブロモフルオレノンを溶解させた後、得られた溶液に水酸化カリウム(15.5g)を加え、160℃まで昇温し、2.5時間撹拌した。その後、該溶液を室温まで放冷後、ヘキサンを加えて、ろ過し、得られた固形分をヘキサンで分液洗浄した。次に、別の4口フラスコ内の気体を窒素ガスで置換した後、上記で得られたものを脱水N,N−ジメチルホルムアミド(以下、「DMF」とする。)に溶解させた。その後、該溶液を90℃に昇温し、反応を追跡しながらヨウ化メチル(53.0g)を加えた。反応時間は合計10時間であった。その後、該溶液を室温まで放冷し、0℃に冷却した水の中に滴下し、反応生成物をヘキサンで2回抽出した。その後、シリカゲルを敷いたグラスフィルターでろ過後、濃縮した。得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物1A(13.3g)を得た。以下のデータにより目的とする化合物であることを同定した。
【0334】
H−NMR(300MHz/CDCl):δ(ppm)=3.68(s,3H)、7.15(d,2H)、7.20(d,1H)、7.52(d,2H)、7.65(d,1H)、8.00(brs,1H).
【0335】
<合成例6>(化合物1Bの合成)
【0336】
【化70】

反応容器内の気体をアルゴンガス雰囲気下とした後、1−ブロモ−3,5−ジ−n−ヘキシルベンゼン(20.0g)およびテトラヒドロフランを加え、均一溶液を調製し、−70℃まで冷却した。その後、該溶液に2.76Mのn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(1−ブロモ−3,5−ジ−n−ヘキシルベンゼンに対して1モル当量)を−70℃で1.5時間かけて滴下し、さらに該溶液を−70℃で1.5時間撹拌した。その後、化合物1A(9.0g)およびテトラヒドロフランからなる溶液を−70℃で1時間かけて滴下し、−70℃で2時間撹拌した。その後、該溶液に−70℃にてメタノールおよび蒸留水を加え撹拌した後、室温まで昇温し、室温にて一晩撹拌した。得られた反応混合物をろ過し、得られたろ液を濃縮し、ヘプタンおよび水を加え撹拌し、静置して分液した油層から水層を除去した。得られた油層に飽和食塩水を加え撹拌し、静置して分液した油層から水層を除去した。得られた油層に硫酸マグネシウムを加え撹拌し、ろ過して得られたろ液を濃縮し、化合物1Bを得た。
【0337】
<合成例7>(化合物2Bの合成)
【0338】
【化71】

反応容器内の気体をアルゴンガス気流下とした後、化合物1B(23.4g)およびジクロロメタンを加え、均一溶液を調製し、−30℃に冷却した。その後、該溶液に3フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(化合物1Bに対して1モル当量)を−30℃において30分間かけて滴下し、室温にて一晩撹拌した。その後、該反応溶液を−20℃に冷却し、蒸留水を加え、1時間撹拌した後、静置して分液した水層を油層から除去した。その後、水を加え撹拌し、静置して分液した水層を油層から除去した。得られた油層に10重量%炭酸水素ナトリウム水溶液を加え撹拌し、静置して分液した水層を油層から除去した。得られた油層を濃縮し溶媒を除去した。その後、トルエンおよびヘプタンの混合溶媒を展開溶媒としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、濃縮して溶媒を除去した。その後、酢酸ブチルおよびメタノールの混合溶媒を用いて再結晶することにより、目的とする化合物2B(11.3g)を得た。以下のデータにより目的とする化合物であることを同定した。
【0339】
H−NMR(300MHz/CDCl):δ(ppm)=0.85(t,12H)、1.25(m,24H)、1.50(m,8H)、2.46(t,8H)、6.72(s,4H)、6.86(s,2H)、7.45(dd,2H)、7.46(d,2H)、7.54(d,2H).
【0340】
<合成例8>(化合物3Bの合成)
【0341】
【化72】

反応容器内の気体をアルゴンガス雰囲気下とした後、化合物2B(9.5g)、化合物3B−1(6.6g)、1,4−ジオキサン、酢酸カリウム(7.1g)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(dppf、0.lg)および1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンジクロロパラジウム(II)塩化メチレン錯体(PdCl(dppf)・CHCl、0.15g)を加え、100℃で5時間撹拌した。その後、得られた反応混合物を室温まで冷却した後、セライトおよびシリカゲルを敷き詰めたろ過器でろ過し、得られたろ液を濃縮して溶媒を除去した。その後、ヘキサンを加えて調製した溶液に、活性炭を加え、ヘキサンが還流する温度にて1時間撹拌した。その後、室温まで冷却し、セライトを敷き詰めたろ過器でろ過し、濃縮して溶媒を除去した。その後、トルエンおよびアセトニトリルの混合溶媒を用いて再結晶することにより、目的とする化合物3B(10.1g)を得た。以下のデータにより目的とする化合物であることを同定した。
【0342】
H−NMR(300MHz/CDCl):δ(ppm)=0.85(t,12H)、1.27(m,46H)、1.48(m,8H)、2.43(t,8H)、6.81(s,6H)、7.79(m,6H).
【0343】
<合成例9>(化合物1Cの合成)
【0344】
【化73】

3口フラスコ内の気体を不活性ガス雰囲気下とした後、3−n−ヘキシル−5−メチルブロモベンゼン(26.2g)および無水テトラヒドロフランを加え均一溶液とし、−70℃に冷却した。その後、得られた溶液に、2.5Mのn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(3−n−ヘキシル−5−メチルブロモベンゼンに対して0.93モル当量)を、溶液の温度が−70℃に保たれるように滴下し、同温度にて4時間撹拌し、溶液(以下、「溶液A」と言う。)を調製した。
別途、2口フラスコに、2−メトキシカルボニル−4,4’−ジブロモビフェニル(16.0g)、および無水テトラヒドロフランを加え、溶液(以下、「溶液B」と言う。
)を調製した。
溶液Aに溶液Bを、溶液Aの温度が−70℃に保たれるように滴下し、撹拌した。その後、反応溶液を室温にて15時間撹拌した。その後、反応溶液に水を0℃にて加え、撹拌した。その後、減圧下濃縮操作により溶媒を留去し、得られた残留物にヘキサンおよび水を加え、撹拌し、静置して生成した水層を除去し油層を得た。得られた油層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥させた後、減圧下で濃縮することにより、化合物1Cを白色固体として得た。
【0345】
<合成例10>(化合物2Cの合成)
【0346】
【化74】

反応容器内の気体をアルゴンガス雰囲気下とした後、化合物1C(30.0g)および無水ジクロロメタンを加え、5℃に冷却した。得られた混合物に、温度が0〜5℃の範囲内に保たれるように、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(化合物1Cに対して4.2モル当量)を滴下した後、室温にて終夜撹拌した。その後、反応溶液を氷水に注意深く注ぎ、30分撹拌し、静置して分液した水層を油層から除去した。得られた油層に10重量%リン酸カリウム水溶液を加え、2時間撹拌した後、静置して生成した水層を油層から除去した。得られた油層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥させた後、濃縮することにより溶媒を留去し、オイル状の液体を得た。得られたオイル状の液体にメタノールを加え、固体を得た。得られた固体をn−ブチルアセテートおよびメタノールの混合溶媒を用いて再結晶することにより、化合物2C(24.0g)を得た。以下のデータにより目的とする化合物であることを同定した。
【0347】
H−NMR(300MHz/CDCl):δ(ppm)=0.91(t,6H)、1.31(m,12H)、1.56(m,4H)、2.24(s,6H)、2.52(t,4H)、6.68(s,2H)、6.89(d,4H)、7.47(d,1H)、7.50(d,1H)、7.52(d,2H)、7.59(d,2H).
【0348】
<合成例11>(化合物3Cの合成)
【0349】
【化75】

反応容器内の気体をアルゴンガス雰囲気下とした後、化合物2C(8.0g)、化合物3B−1(6.6g)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンジクロロパラジウム(II)塩化メチレン錯体(Pd(dppf)・CHCl、0.15g)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(0.10g)、無水1,4−ジオキサンおよび酢酸カリウム(7.0g)を加え、100℃で20時間撹拌した。得られた反応溶液を室温に冷却した後、シリカゲルを通液させ、シリカゲルをトルエンで洗浄し、得られた溶液の溶媒を濃縮することにより留去し、褐色の液体を得た。得られた液体を、ヘキサンを展開溶媒とし、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した後、濃縮した。得られた濃縮液にアセトニトリルを加え、固体を得た。得られた固体をアセトニトリルおよびトルエンの混合溶媒を用いて再結晶を1回行い、次いで、ジクロロメタンおよびメタノールの混合溶媒を用いて再結晶を1回行い、次いで、減圧下で乾燥させることにより、化合物3C(2.9g)を得た。以下のデータにより目的とする化合物であることを同定した。
【0350】
H−NMR(300MHz/CDCl):δ(ppm)=0.86(t,6H)、1.28(m,36H)、1.51(m,4H)、2.15(s,6H)、2.46(t,4H)、6.66(s,2H)、6.81(s,2H)、6.97(s,2H)、7.80(m,6H).
【0351】
<合成例12>(正孔輸送性高分子化合物1の合成)
反応容器内の気体を窒素ガス雰囲気下とした後、前記化合物3B(17.1g、18.8mmol)、WO2005/049548号に記載の方法に従って合成した下記式で表される化合物(10.4g、11.5mmol)、
【0352】
【化76】

下記式で表される化合物(2.62g、4.78mmol)、
【0353】
【化77】

特開2008−106241号公報に記載の方法に従って合成した下記式で表される化合物(1.51g、2.87mmol)、
【0354】
【化78】

酢酸パラジウム(4.30mg)、トリ(o−アニシル)ホスフィン(30.0mg)およびトルエン(478mL)を混合し、100℃に加熱した。該溶液に20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(67.5g)を滴下し、4.5時間還流させた。反応後、そこに、フェニルボロン酸(233mg)およびジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(13.4mg)を加え、更に14時間還流させた。その後、そこに、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。冷却後、水(334mL)で2回、3重量%酢酸水溶液(334mL)で2回、水(334mL)で2回の順で分液洗浄し、得られた溶液をメタノール(3.87L)に滴下、ろ取することで沈殿物を得た。得られた沈殿物をトルエン(788mL)に溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを順番に通すことにより精製した。得られた溶液をメタノール(3.87L)に滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、正孔輸送性高分子化合物1(14.9g)を得た。正孔輸送性高分子化合物1のポリスチレン換算の数平均分子量は7.8×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は3.4×10であった。
【0355】
正孔輸送性高分子化合物1は、仕込み原料から求めた理論値では、下記式で表される繰り返し単位と、
【0356】
【化79】

下記式で表される繰り返し単位と、
【0357】
【化80】

下記式で表される繰り返し単位と、
【0358】
【化81】

下記式で表される繰り返し単位とが、
【0359】
【化82】

50:30:12.5:7.5のモル比で繰り返されてなる共重合体である。
【0360】
<合成例13>(共役系高分子化合物1の合成)
反応容器内の気体を窒素ガス雰囲気下とした後、前記化合物3C(13.4g、17.5mmol)、下記式で表される化合物(3.70g、6.98mmol)、
【0361】
【化83】

特開2010−215886号公報に記載の方法に従って合成した下記式で表される化合物(16.1g、24.9mmol)、
【0362】
【化84】

ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(17.5mg)およびトルエン(478mL)を混合し、100℃に加熱した。該溶液に20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(83.7g)を滴下し、4.5時間還流させた。反応後、そこに、フェニルボロン酸(300mg)およびジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(17.5mg)を加え、更に14時間還流させた。その後、そこに、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。冷却後、水(324mL)で2回、3重量%酢酸水溶液(324mL)で2回、水(324mL)で2回の順で分液洗浄し、得られた溶液をメタノール(3.87L)に滴下、ろ取することで沈殿物を得た。得られた沈殿物をトルエン(778mL)に溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを順番に通すことにより精製した。得られた溶液をメタノール(3.87L)に滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、共役系高分子化合物1(14.8g)を得た。共役系高分子化合物1のポリスチレン換算の数平均分子量は6.1×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は2.1×105であった。
【0363】
共役系高分子化合物1は、仕込み原料から求めた理論値では、下記式で表される繰り返し単位と、
【0364】
【化85】

下記式で表される繰り返し単位と、
【0365】
【化86】

下記式で表される繰り返し単位とが、
【0366】
【化87】

36:14:50のモル比で繰り返されてなる共重合体である。
【0367】
<実施例1>(高分子化合物P−1の合成)
反応容器内の気体を窒素ガス雰囲気下とした後、2,7−ビス(1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ジオクチルフルオレン(1.08g)、化合物1−4(1.94g)、酢酸パラジウム(0.62mg)、トリス(o−アニシル)ホスフィン(3.65mg)、1−ヘキセン(10.3mg)およびトルエン(48.0mL)を混合し、105℃に加熱した。該溶液に20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(5.70mL)を滴下し、2.5時間還流させた。反応後、そこに、フェニルボロン酸(20.7mg)を加え、さらに18時間還流させた。その後、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム(0.94g)および水(19.0mL)を加え、80℃で4時間撹拌した。室温まで冷却後、水(22.0mL)、3重量%の酢酸水溶液(22.0mL)、水(22.0mL)の順で分液洗浄した。得られたトルエン溶液をメタノール(300mL)に滴下し、1時間撹拌した後、得られた固体をろ取し、減圧乾燥した。さらに、アルミナカラム、シリカゲルカラムを通すことにより精製した。得られたトルエン溶液をメタノール(300mL)に滴下し、1時間撹拌した後、得られた固体をろ取し、乾燥させることにより高分子化合物P−1(1.59g)を得た。高分子化合物P−1のポリスチレン換算の数平均分子量は4.0×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は1.7×105であった。
【0368】
共役系高分子化合物P−1は、仕込み原料から求めた理論値では、下記式で表される繰り返し単位と、
【0369】
【化88】

下記式で表される繰り返し単位とが、
【0370】
【化89】

50:50のモル比で繰り返されてなる交互共重合体である。
【0371】
<実施例2>(高分子化合物P−2の合成)
反応容器内の気体を窒素ガス雰囲気下とした後、2,7−ビス(1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ジオクチルフルオレン(0.71g)、化合物1−7(1.98g)、ビストリフェニルホスフィンパラジウムジクロライド(1.0mg)、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド(アルドリッチ製、商品名:Aliquat336)(0.20g)およびトルエン(30.0mL)を混合し、105℃に加熱した。該溶液に2Mの炭酸ナトリウム水溶液(3.00mL)を滴下し、7時間還流させた。反応後、そこに、フェニルボロン酸(0.20g)を加え、さらに16時間還流させた。その後、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム(0.30g)および水(5.00mL)を加え、80℃で4時間撹拌した。室温まで冷却後、水(17.0mL)、3重量%の酢酸水溶液(17.0mL)、水(17.0mL)の順で分液洗浄した。得られたトルエン溶液をメタノール(400mL)に滴下し、1時間撹拌した後、得られた固体をろ取し、減圧乾燥した。さらに、アルミナカラム、シリカゲルカラムを通すことにより精製した。得られたトルエン溶液をメタノール(400mL)に滴下し、1時間撹拌した後、得られた固体をろ取し、乾燥させることにより高分子化合物P−2(2.02g)を得た。高分子化合物P−2のポリスチレン換算の数平均分子量は1.2×104であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は3.8×104であった。
【0372】
共役系高分子化合物P−2は、仕込み原料から求めた理論値では、下記式で表される繰り返し単位と、
【0373】
【化90】

下記式で表される繰り返し単位とが、
【0374】
【化91】

50:50のモル比で繰り返されてなる交互共重合体である。
【0375】
<実施例3>(高分子化合物P−3の合成)
反応容器内の気体を窒素ガス雰囲気下とした後、前記化合物3C(1.09g、1.42mmol)、下記式で表される化合物(0.36g、0.56mmol)、
【0376】
【化92】

特開2010−215886に記載の方法に従って合成した下記式で表される化合物(1.04g、1.60mmol)、
【0377】
【化93】

前記化合物1−7(0.59g、0.40mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(1.4mg)およびトルエン(50mL)を混合し、100℃に加熱した。反応溶液に20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(6.6mL)を滴下し、4.5時間還流させた。反応後、そこに、フェニルボロン酸(24.9mg)およびジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(1.4mg)を加え、更に14時間還流させた。その後、そこに、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。冷却後、水(26mL)で2回、3重量%酢酸水溶液(26mL)で2回、水(26mL)で2回の順で分液洗浄し、得られた溶液をメタノール(311mL)に滴下、ろ取することで沈殿物を得た。得られた沈殿物をトルエン(73mL)に溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを順番に通すことにより精製した。得られた溶液をメタノール(327mL)に滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、高分子化合物P−3(0.72g)を得た。高分子化合物P−3のポリスチレン換算の数平均分子量は1.1×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は3.8×105であった。
【0378】
高分子化合物P−3は、仕込み原料から求めた理論値では、下記式で表される繰り返し単位と、
【0379】
【化94】

下記式で表される繰り返し単位と、
【0380】
【化95】

下記式で表される繰り返し単位と、
【0381】
【化96】

下記式で表される繰り返し単位とが、
【0382】
【化97】

36:14:40:10のモル比で構成されてなる共重合体である。
【0383】
<比較例1>(高分子化合物CP−1の合成)
反応容器内の気体を窒素ガス雰囲気下とした後、下記式で表される化合物(0.42g)、
【0384】
【化98】

下記式で表される化合物(0.27g)、
【0385】
【化99】

および2,2’−ビピリジル(0.39g)を、脱水したテトラヒドロフラン(28.0ml)に溶解した後、窒素ガスで更にバブリングして反応容器内の気体を窒素ガスで置換した。その後、この溶液にビス(1、5−シクロオクタジエン)ニッケル(0){Ni(COD)}(0.69g)を加え、60℃まで昇温し、攪拌しながら3時間反応させた。反応後、この反応液を室温(25℃)まで冷却し、25重量%アンモニア水14mL/メタノール約170mL/イオン交換水約70mLの混合溶液中に滴下して1時間攪拌した後、析出した沈殿をろ過して2時間減圧乾燥し、トルエン(40mL)に溶解させた。その後、1M塩酸40mLを加えて1時間攪拌し、水層を除去することで得られた有機層に2重量%アンモニア水(40mL)を加え、1時間攪拌した後に水層を除去した。得られた有機層にイオン交換水(40mL)を加え攪拌した後、水層を除去した。得られた有機層をメタノール(200mL)に滴下することで沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し減圧乾燥することで固体を得た。その後、得られた固体をトルエン(40mL)に溶解させ、アルミナカラムを通して精製を行い、回収したトルエン溶液をメタノール(280mL)に滴下して1時間攪拌し、析出した沈殿をろ過して2時間減圧乾燥させることにより高分子化合物CP−1(0.40g)を得た。高分子化合物C−1のポリスチレン換算の数平均分子量は1.9×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は6.4×10であった。
【0386】
高分子化合物CP−1は、下記式で表される繰り返し単位と、
【0387】
【化100】

下記式で表される繰り返し単位とが
【0388】
【化101】

含まれるランダム共重合体である。
【0389】
<実施例4>(発光素子1の作製)
キシレン溶媒(関東化学社製:電子工業用(ELグレード))に1.3重量%の濃度で溶解させた共役系高分子化合物1の溶液と、キシレン溶媒に1.3重量%の濃度で溶解させた高分子化合物P−1の溶液とを、重量比で90:10(モル比で95:5)となるように混合して、発光材料1の溶液を調製した。
スパッタ法により45nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸の溶液(H.C.Starck社製、商品名:CLEVIOS P AI4083)を用いてスピンコートにより35nmの厚みで成膜し、ホットプレート上で200℃で10分間乾燥した。次に、正孔輸送性高分子化合物1を0.7重量%のキシレン溶液の状態でスピンコートして、約20nmの厚みに成膜した。これを、酸素濃度および水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で180℃で60分間熱処理した。次に、発光材料1を1.3重量%のキシレン溶液の状態でスピンコートして、約60nmの厚みに成膜した。これを、酸素濃度および水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で130℃で10分間乾燥した。真空度が、1×10−4Pa以下に到達した後に、陰極としてフッ化ナトリウムを約3nm、次いでフッ化ナトリウム層の上にアルミニウムを約80nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、発光素子1を作製した。
【0390】
得られた発光素子1に電圧を印加したところ、青色発光のエレクトロルミネッセンス(EL)が観測された。該素子は2.6Vから発光が開始し、輝度1000cd/mでの発光効率は4.3cd/Aであり、その時の電圧は3.8Vであり、その時の発光色度は(0.16,0.13)であった。
【0391】
上記で得られた発光素子1を初期輝度が1000cd/mとなるように電流密度を設定後、定電流密度で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は282時間後に半減した。結果を表2に記載する。
【0392】
<実施例5>(発光素子2の作製)
実施例4における共役系高分子化合物1と高分子化合物P−1を、重量比で93.3:6.7(モル比で97:3)となるように混合して発光材料2の溶液を調整した以外は、実施例4と同様にして、発光素子2を作製した。
【0393】
得られた発光素子2に電圧を印加したところ、青色発光のエレクトロルミネッセンス(EL)が観測された。該素子は2.6Vから発光が開始し、輝度1000cd/mでの発光効率は4.3cd/Aであり、その時の電圧は3.9Vであり、その時の発光色度は(0.16,0.13)であった。
【0394】
上記で得られた発光素子2を初期輝度が1000cd/mとなるように電流密度を設定後、定電流密度で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は296時間後に半減した。結果を表2に記載する。
【0395】
<実施例6>(発光素子3の作製)
実施例4における高分子化合物P−1を高分子化合物P−2に変更し、共役系高分子化合物1と高分子化合物P−2を、重量比で90:10(モル比で96:4)となるように混合して発光材料3の溶液を調製した以外は、実施例4と同様にして、発光素子3を作製した。
【0396】
得られた発光素子3に電圧を印加したところ、青色発光のエレクトロルミネッセンス(EL)が観測された。該素子は2.6Vから発光が開始し、輝度1000cd/mでの発光効率は4.3cd/Aであり、その時の電圧は3.7Vであり、その時の発光色度は(0.16,0.14)であった。
【0397】
上記で得られた発光素子3を初期輝度が1000cd/mとなるように電流密度を設定後、定電流密度で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は373時間後に半減した。結果を表2に記載する。
【0398】
<実施例7>(発光素子4の作製)
実施例4における高分子化合物P−1を高分子化合物P−2に変更し、共役系高分子化合物1と高分子化合物P−2を、重量比で95:5(モル比で98:2)となるように混合して発光材料4の溶液を調製した以外は、実施例4と同様にして、発光素子4を作製した。
【0399】
得られた発光素子4に電圧を印加したところ、青色発光のエレクトロルミネッセンス(EL)が観測された。該素子は2.6Vから発光が開始し、輝度1000cd/mでの発光効率は4.3cd/Aであり、その時の電圧は4.0Vであり、その時の発光色度は(0.16,0.15)であった。
【0400】
上記で得られた発光素子4を初期輝度が1000cd/mとなるように電流密度を設定後、定電流密度で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は338時間後に半減した。結果を表2に記載する。
【0401】
<実施例8>(発光素子5の作製)
実施例4における高分子化合物P−1を高分子化合物P−3に変更し、共役系高分子化合物1と高分子化合物P−3を、重量比で50:50(モル比で56:44)となるように混合して発光材料5の溶液を調製した以外は、実施例4と同様にして、発光素子5を作製した。
【0402】
得られた発光素子5に電圧を印加したところ、青色発光のエレクトロルミネッセンス(EL)が観測された。該素子は2.6Vから発光が開始し、輝度1000cd/mでの発光効率は5.0cd/Aであり、その時の電圧は3.6Vであり、その時の発光色度は(0.15,0.12)であった。
【0403】
上記で得られた発光素子5を初期輝度が1000cd/mとなるように電流密度を設定後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は305時間後に半減した。結果を表2に記載する。
【0404】
<比較例2>(発光素子C1の作製)
キシレン溶媒(関東化学社製:電子工業用(ELグレード))に1.3重量%の濃度で溶解させた共役系高分子化合物1の溶液と、キシレン溶媒に1.3重量%の濃度で溶解させた高分子化合物CP−1の溶液とを、重量比で83.3:16.7となるように混合して、発光材料C1の溶液を調製した。
スパッタ法により45nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸の溶液(H.C.Starck社製、商品名:CLEVIOS P AI4083)を用いてスピンコートにより35nmの厚みで成膜し、ホットプレート上で200℃で10分間乾燥した。次に、正孔輸送性高分子化合物1を0.7重量%のキシレン溶液の状態でスピンコートして、約20nmの厚みに成膜した。これを、酸素濃度および水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で180℃で60分間熱処理した。次に、発光材料C1を1.3重量%のキシレン溶液の状態でスピンコートして、約60nmの厚みに成膜した。これを、酸素濃度および水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で130℃で10分間乾燥した。真空度が、1×10−4Pa以下に到達した後に、陰極としてフッ化ナトリウムを約3nm、次いでフッ化ナトリウム層の上にアルミニウムを約80nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、発光素子C1を作製した。
【0405】
得られた発光素子C1に電圧を印加したところ、青色発光のエレクトロルミネッセンス(EL)が観測された。該素子は2.6Vから発光が開始し、輝度1000cd/mでの発光効率は4.3cd/Aであり、その時の電圧は3.7Vであり、その時の発光色度は(0.16,0.13)であった。
【0406】
上記で得られた発光素子C1を初期輝度が1000cd/mとなるように電流密度を設定後、定電流密度で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は120時間後に半減した。結果を表2に記載する。
【0407】
<比較例3>(発光素子C2の作製)
比較例2における共役系高分子化合物1と高分子化合物CP−1を、重量比で90:10となるように混合して発光材料C2の溶液を調製した以外は、比較例2と同様にして、発光素子C2を作製した。
【0408】
得られた発光素子C2に電圧を印加したところ、青色発光のエレクトロルミネッセンス(EL)が観測された。該素子は2.7Vから発光が開始し、輝度1000cd/mでの発光効率は4.4cd/Aであり、その時の電圧は3.8Vであり、その時の発光色度は(0.15,0.13)であった。
【0409】
上記で得られた発光素子C2を初期輝度が1000cd/mとなるように電流密度を設定後、定電流密度で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は90時間後に半減した。結果を表2に記載する。
【0410】
【表2】

【0411】
<実施例9>(高分子化合物P−4の合成)
反応容器内の気体を窒素ガス雰囲気下とした後、下記式で表される化合物(1.35g、2.00mmol)、
【0412】
【化102】

下記式で表される化合物(0.96g、1.60mmol)、
【0413】
【化103】

前記化合物1−11(0.50g、0.40mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(1.77mg)およびトルエン(50mL)を混合し、100℃に加熱した。該反応溶液に20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(6.6mL)を滴下し、5.5時間還流させた。反応後、そこに、フェニルボロン酸(26.2mg)およびジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(1.8mg)を加え、更に12時間還流させた。その後、そこに、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、85℃で2時間撹拌した。冷却後、水(26mL)で2回、3重量%酢酸水溶液(26mL)で2回、水(26mL)で2回の順で分液洗浄し、得られた溶液をメタノール(311mL)に滴下、ろ取することで沈殿物を得た。得られた沈殿物をトルエン(93mL)に溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを順番に通すことにより精製した。得られた溶液をメタノール(400mL)に滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、高分子化合物P−4(1.66g)を得た。高分子化合物P−4のポリスチレン換算の数平均分子量は5.6×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は3.1×105であった。
【0414】
高分子化合物P−4は、仕込み原料から求めた理論値では、下記式で表される繰り返し単位と、
【0415】
【化104】

下記式で表される繰り返し単位と、
【0416】
【化105】

下記式で表される繰り返し単位とが、
【0417】
【化106】

50:40:10のモル比で構成されてなる共重合体である。
【0418】
<合成例15>(共役系高分子化合物2の合成)
反応容器内の気体を不活性ガス雰囲気下とした後、下記式で表される化合物(3.1502g、5.94mmol)、
【0419】
【化107】

下記式で表される化合物(2.9615g、5.40mmol)、
【0420】
【化108】

下記式で表される化合物(0.4431g、0.60mmol)、
【0421】
【化109】

ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(4.3mg)、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド(商品名:Aliquat336(アルドリッチ製)、0.79g)、及び、トルエン(60ml)を混合し、105℃に加熱した。その後、該反応溶液に、2Mの炭酸ナトリウム水溶液(16.3ml)を滴下し、3時間10分還流させた。反応後、そこに、フェニルボロン酸(73mg)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(4.1mg)、トルエン(60mL)を加え、更に15.5時間還流させた。その後、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。冷却後、水(78ml)で2回、3重量%酢酸水溶液(78ml)で2回、水(78ml)で2回洗浄し、得られた溶液をメタノール(1500mL)に滴下、ろ取することで沈殿物を得た。得られた沈殿物をトルエン(190mL)に溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを順番に通すことにより精製した。得られた溶液をメタノール(930ml)に滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、共役系高分子化合物2を3.61g得た。共役系高分子化合物2のポリスチレン換算の数平均分子量は1.0×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は2.3×10であった。
【0422】
共役系高分子化合物2は、仕込み原料の量から求めた理論値では、下記式
【0423】
【化110】

で表される構成単位と、下記式
【0424】
【化111】

で表される構成単位とが、95:5のモル比で構成されてなる共重合体である。
【0425】
<実施例10>(発光素子6の作製)
実施例4における高分子化合物P−1を高分子化合物P−4に変更し、共役系高分子化合物1と高分子化合物P−4を、重量比で50:50(モル比で51:49)となるように混合して発光材料6の溶液を調製した以外は、実施例4と同様にして、発光素子6を作製した。
【0426】
得られた発光素子6に電圧を印加したところ、青色発光のエレクトロルミネッセンス(EL)が観測された。該素子は2.4Vから発光が開始し、輝度1000cd/mでの発光効率は2.4cd/Aであり、その時の電圧は4.1Vであった。
【0427】
上記で得られた発光素子6を初期輝度が1000cd/mとなるように電流密度を設定後、定電流密度で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は79時間後に初期輝度の70%となった。結果を表3に記載する。
【0428】
<実施例11>(発光素子7の作製)
実施例4における高分子化合物P−1を高分子化合物P−4に変更し、共役系高分子化合物1と高分子化合物P−4を、重量比で75:25(モル比で75:25)となるように混合して発光材料7の溶液を調製した以外は、実施例4と同様にして、発光素子7を作製した。
【0429】
得られた発光素子7に電圧を印加したところ、青色発光のエレクトロルミネッセンス(EL)が観測された。該素子は2.4Vから発光が開始し、輝度1000cd/mでの発光効率は2.4cd/Aであり、その時の電圧は4.1Vであった。
【0430】
上記で得られた発光素子7を初期輝度が1000cd/mとなるように電流密度を設定後、定電流密度で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は57時間後に初期輝度の70%となった。結果を表3に記載する。
【0431】
<比較例4>(発光素子C3の作製)
キシレン溶媒(関東化学社製:電子工業用(ELグレード))に1.3重量%の濃度で溶解させた共役系高分子化合物2の溶液を調整し、発光材料C3の溶液を調製した。
スパッタ法により45nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸の溶液(H.C.Starck社製、商品名:CLEVIOS P AI4083)を用いてスピンコートにより35nmの厚みで成膜し、ホットプレート上で200℃で10分間乾燥した。次に、正孔輸送性高分子化合物1を0.7重量%のキシレン溶液の状態でスピンコートして、約20nmの厚みに成膜した。これを、酸素濃度および水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で180℃で60分間熱処理した。次に、発光材料C3を1.3重量%のキシレン溶液の状態でスピンコートして、約60nmの厚みに成膜した。これを、酸素濃度および水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で130℃で10分間乾燥した。真空度が、1×10−4Pa以下に到達した後に、陰極としてフッ化ナトリウムを約3nm、次いでフッ化ナトリウム層の上にアルミニウムを約80nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、発光素子C3を作製した。
得られた発光素子C3に電圧を印加したところ、青色発光のエレクトロルミネッセンス(EL)が観測された。該素子は2.6Vから発光が開始し、輝度1000cd/mでの発光効率は5.2cd/Aであり、その時の電圧は4.0Vであった。
【0432】
上記で得られた発光素子C3を初期輝度が1000cd/mとなるように電流密度を設定後、定電流密度で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は12時間後に初期輝度の70%となった。結果を表3に記載する。
【0433】
【表3】

【0434】
<実施例12>(高分子化合物P−5の合成)
反応容器内の気体を窒素ガス雰囲気下とした後、前記化合物3B(1.792g、1.98mmol)、前記化合物1−11(1.490g。1.20mmol)、下記式で表される化合物(0.274g、0.50mmol)、
【0435】
【化112】

下記式で表される化合物(0.158g、0.30mmol)、
【0436】
【化113】

ジクロロビス(トリス(o−メトキシフェニル))ホスフィンパラジウム(1.77mg)およびトルエン(47mL)を混合し、100℃に加熱した。その後、該溶液に20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(6.6mL)を滴下し、一晩還流させた。反応後、そこに、フェニルボロン酸(24mg)およびジクロロビス(トリス(o−メトキシフェニル))ホスフィンパラジウム(1.77mg)を加え、更に14時間還流させた。その後、そこに、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。冷却後、水(26mL)で2回、3重量%酢酸水溶液(26mL)で2回、水(26mL)で2回の順で分液洗浄し、得られた溶液をメタノール(311mL)に滴下、ろ取することで沈殿物を得た。この沈殿物をトルエン(63mL)に溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを順番に通すことにより精製した。得られた溶液をメタノール(327mL)に滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、高分子化合物P−5(2.35g)を得た。高分子化合物P−5のポリスチレン換算の数平均分子量は3.0×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は1.2×10であった。
【0437】
高分子化合物P−5は、仕込み原料から求めた理論値では、下記式で表される繰り返し単位と、
【0438】
【化114】

下記式で表される繰り返し単位と、
【0439】
【化115】

下記式で表される繰り返し単位と、
【0440】
【化116】

下記式で表される繰り返し単位とが、
【0441】
【化117】

50:30:12.5:7.5のモル比で繰り返されてなる共重合体である。
【0442】
<実施例13>(発光素子8の作製)
スパッタ法により45nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸の溶液(H.C.Starck社製、商品名:CLEVIOS P AI4083)を用いてスピンコートにより35nmの厚みで成膜し、ホットプレート上で200℃で10分間乾燥した。次に、高分子化合物P−5を0.7重量%のキシレン溶液の状態でスピンコートして、約20nmの厚みに成膜した。これを、酸素濃度および水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で180℃で60分間熱処理した。次に、共役系高分子化合物2を1.3重量%のキシレン溶液の状態でスピンコートして、約60nmの厚みに成膜した。これを、酸素濃度および水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で130℃で10分間乾燥した。真空度が、1×10−4Pa以下に到達した後に、陰極としてフッ化ナトリウムを約3nm、次いでフッ化ナトリウム層の上にアルミニウムを約80nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、発光素子8を作製した。
【0443】
得られた発光素子8に電圧を印加したところ、該素子は2.9Vから発光が開始し、青色発光のエレクトロルミネッセンス(EL)が観測された。
【0444】
上記で得られた発光素子8を初期輝度が1000cd/mとなるように電流密度を設定後、定電流密度で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は9時間後に初期輝度の80%となった。結果を表4に記載する。
【0445】
<比較例5>(発光素子C4の作製)
実施例13における高分子化合物P−5を正孔輸送性高分子化合物1に変更した以外は、実施例13と同様にして、発光素子C4を作製した。
【0446】
得られた発光素子C4に電圧を印加したところ、該素子は2.6Vから発光が開始し、青色発光のエレクトロルミネッセンス(EL)が観測された。
【0447】
上記で得られた発光素子C4を初期輝度が1000cd/mとなるように電流密度を設定後、定電流密度で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度は3時間後に初期輝度の80%となった。結果を表4に記載する。
【0448】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物。
【化1】

[式中、
、E、EおよびEは、それぞれ独立に、アリール基、1価の複素環基または式(2)で表される基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。Eが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
【化2】

、R、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を表し、これらの基は、置換基を有していてもよい。R、R、R、R、R、R、RおよびRが複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
a、b、c、dおよびeは、それぞれ独立に、1または2であり、fは0〜3の整数を表す。f=0のとき、5≦a+b+c+e≦8、かつ、bおよびcの少なくとも一方は2である。f=1のとき、5≦a+b+c+d+e≦10である。dが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
m、n、o、p、qおよびlは、それぞれ独立に、0〜4の整数を表し、m、n、o、pおよびqが複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
jおよびkは、それぞれ独立に、0〜5の整数を表す。]
【請求項2】
式(3)で表される繰り返し単位をさらに含む、請求項1に記載の高分子化合物。
【化3】

[式中、
Ar13はアリーレン基、2価の複素環基または金属錯体構造を有する2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
【請求項3】
前記式(3)で表される繰り返し単位が、式(3’)で表される繰り返し単位である、請求項2に記載の高分子化合物。
【化4】

[式中、
10およびR11は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよく、R10とR11は互いに結合して、環構造を形成していてもよい。
12は、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R12が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
sおよびtは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。]
【請求項4】
前記式(3’)において、R10およびR11の少なくとも一方がアルキル基、アリール基またはアリールアルキル基である、請求項3に記載の高分子化合物。
【請求項5】
前記式(3’)において、R10がアルキル基であり、かつ、R11がアリール基またはアリールアルキル基である、請求項4に記載の高分子化合物。
【請求項6】
前記式(3)で表される繰り返し単位が、式(4)で表される繰り返し単位である、請求項2〜5のいずれか一項に記載の高分子化合物。
【化5】

[式中、
13は、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R13が複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
rは0〜4の整数を表す。]
【請求項7】
前記式(1)において、E、E、EおよびEがアリール基である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の高分子化合物。
【請求項8】
前記式(1)において、f=0またはf=1である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の高分子化合物。
【請求項9】
前記式(1)において、m、n、o、pおよびqがいずれも0である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の高分子化合物。
【請求項10】
高分子化合物の全繰り返し単位の合計モル数に対する、前記式(1)で表される繰り返し単位および前記式(3’)で表される繰り返し単位の合計モル数の割合が、0.7〜1.0である、請求項3〜9のいずれか一項に記載の高分子化合物。
【請求項11】
式(2A)で表される繰り返し単位および式(3A)で表される繰り返し単位の少なくとも一方をさらに含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の高分子化合物。

[式中、
naは0〜3の整数を示し、nbは0〜12の整数を示し、nAは0または1であり、nxは1〜4の整数を示す。
Arは、(2+nx)価の芳香族炭化水素基または(2+nx)価の複素環基を示し、これらの基は置換基を有していてもよい。
およびLは、それぞれ独立に、アルキレン基またはフェニレン基を示し、これらの基は置換基を有していてもよい。Lが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。Lが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
は、酸素原子または硫黄原子を示す。Lが複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
Xは、1価の架橋性基を示す。Xが複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。]

[式中、
cxは0または1を示し、
ArおよびArは、それぞれ独立に、アリーレン基または2価の複素環基を示し、これらの基は置換基を有していてもよく、
Arは、アリーレン基、複素環基、並びに、アリーレン基および2価の複素環基からなる群から選ばれる同一又は異なる2以上の基が連結した2価の基を示し、これらの基は置換基を有していてもよい。
1Aは1価の架橋性基を示し、
2Aは1価の架橋性基、アルキル基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の高分子化合物と、
正孔輸送材料、電子輸送材料および発光材料からなる群から選ばれる少なくとも1種類の材料を含有する組成物。
【請求項13】
請求項11に記載の高分子化合物と、
正孔輸送材料、電子輸送材料および発光材料からなる群から選ばれる少なくとも1種類の材料を含有する組成物。
【請求項14】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の高分子化合物と、溶媒を含有する組成物。
【請求項15】
請求項11に記載の高分子化合物と、溶媒を含有する組成物。
【請求項16】
請求項1〜10いずれか一項に記載の高分子化合物または請求項12に記載の組成物を含有する薄膜。
【請求項17】
請求項11に記載の高分子化合物または請求項13に記載の組成物を含有する薄膜。
【請求項18】
請求項11に記載の高分子化合物または請求項13に記載の組成物を架橋させて得られる薄膜。
【請求項19】
請求項16〜18のいずれか一項に記載の薄膜を備える発光素子。
【請求項20】
請求項16〜18のいずれか一項に記載の薄膜が正孔輸送層である、請求項19に記載の発光素子。
【請求項21】
請求項16〜18のいずれか一項に記載の薄膜が発光層である、請求項19に記載の発光素子。
【請求項22】
請求項19〜21のいずれか一項に記載の発光素子を備える面状光源。
【請求項23】
請求項19〜21のいずれか一項に記載の発光素子を備える表示装置。

【公開番号】特開2013−60585(P2013−60585A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−181397(P2012−181397)
【出願日】平成24年8月20日(2012.8.20)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】