説明

高分子由来の微粒子を含有する組成物の方法および使用

【課題】研究、診断および治療分野で使用できる高分子微粒子の作成法の提供
【解決手段】水性の高分子溶液を脱水し、そして脱水した高分子を水相中で、または加
熱しながら架橋剤で架橋結合して形成する高分子微粒子の作成方法。ここで、脱水剤がポ
リビニルピロリドンおよびポリエチレングリコールのポリマー混合物であり、架橋剤がグ
ルタルアルデヒドであり、そして高分子がタンパク質、最も好ましくは免疫グロブリンで
あるものが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生化学分野に関し、より詳細には診断、治療および研究のために使用する微粒
子の作成法に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書において集合的に「微粒子」と呼ぶ微粒子、微小球およびマイクロカプセルは
1ミリメートルよりも小さい、より好ましくは100ミクロンよりも小さい直径を持つ固
体粒子であり、合成ポリマー、タンパク質および多糖をはじめとする様々な物質で形成す
ることができる。微粒子は多くの様々な応用、主に分離、診断およびドラッグデリバリー
に使用されて来た。
【0003】
分離技術において使用される微粒子の最も良く知られている例は、ポリアクリルアミド
、ハイドロキシアパタイドまたはアガロースのような合成またはタンパク質起源の合成さ
れたポリマーから形成されたものであり、その微粒子は分子量および/またはイオン電荷
に基づき、または微粒子に化学的に結合した分子との相互作用に基づいてタンパク質など
の分子を分離するために使用されている。
【0004】
診断分野では微粒子は、酵素、酵素に対する基質または標識抗体の固定に役立つような
微粒子の状態で使用されることが最も多く、そしてこれは次に検出されるべき分子と直接
的または間接的に相互作用する。
【0005】
制御されたドラッグデリバリー分野では、引き続き放出されるように、微粒子は微粒子
中にカプセル化される分子と混合状態にある。これらの微粒子を合成ポリマー、天然ポリ
マー、タンパク質および多糖から作成するための多くの様々な技術(相分離法、溶媒蒸発
法、乳化法および噴霧乾燥法を含む)が日常的に使用されている。
【0006】
微粒子は例えば硫酸アンモニウムでの沈殿のような一定の沈殿法で分離技術の副産物と
しても作成できる。しかしこれらの場合、沈殿物は遠心および/または濾過により回収さ
れ、そして圧し縮められ、次いで沈殿剤(塩)を塩で沈殿した分子から分離するために溶
媒に再溶解される。したがって、微粒子は不安定であり、かつ中間生成物として機能する
だけで、それ自体が最終生成物ではない。
【0007】
球状ビーズまたは粒子は長い間、生化学者に道具として市販されてきた。例えばしばし
ば抗体をビーズに結合させ、特定のリガンドに特異的な比較的大きな粒子が作成されてい
る。大きな抗体−被覆粒子は、細胞活性化のためにレセプターを細胞表面上に架橋結合す
るために日常的に使用され、そして免疫親和性精製法のために固体相に固定されるか、あ
るいは遠位部位に長時間にわたってゆっくり放出される治療薬を送達するために、所望部
位に薬剤を標的とするための粒子に結合した組織または腫瘍−特異的抗体が使用されてい
る。
【0008】
抗体を固体相マトリックスに共有結合するための最も普通の方法は、ビーズを化学結合
剤で活性化し、次に抗体を活性化ビーズに結合させることにある。タンパク質分子よりも
合成ポリマービーズを使用するほうが、タンパク質が耐え得るよりも多くのより苛酷な活
性化条件を使用することができる。これは比較的安価で、かつ広範な変性条件に対して安
定な結合を生じることが多い。あらゆる多種多様な構成物およびサイズの数多くの活性化
ビーズが市販されている。ポリアクリルアミド、ポリアクリル性、ポリスチレンおよびラ
テックスのような合成ポリマーから形成されたビーズは、カリフォルニア州、リッチモン
ドのバイオラッドラボラトリーズ(Bio−Rad Laboratories)および
スウェーデン、ストックホルムのLKBプロダクター(LKB Produkter)の
ような数多くの会社から市販されている。天然高分子および粒子から形成されたアガロー
ス、架橋アガロース、グロブリン、デオキシリボ核酸およびリポソームのようなものは、
カリフォルニア州、リッチモンドのバイオラッドラボラトリーズ、ニューヨーク州、ピス
カタウェイのファルマシア(Pharmacia)およびIBF(仏国)から市販されて
いる。ポリアクリルアミドおよびアガロースのコポリマーから形成されたビーズはIBF
およびファルマシアのような会社から購入できる。磁気ビーズはニューヨーク州、グレイ
トネックのダイナル社(Dynal Inc.)から入手できる。
【0009】
広範な材料および応用は、新規微粒子の作成法および使用法の開発について絶え間のな
い必要性が存在することを示しており、特にただ1つの応用というよりは分離、診断およ
びドラッグデリバリー分野での使用に適することができる微粒子の作成法および使用法の
開発が望まれている。
【発明の開示】
【0010】
したがって本発明の目的は安定な微粒子、および比較的簡単で、迅速かつ安価な微粒子
の作成法を提供することである。
【0011】
さらに本発明の目的は標的分子に高い親和性および特異性を持つ微粒子を提供すること
である。
【0012】
さらに本発明の目的はインビボに投与したとき吸収されない微粒子を提供することであ
る。
【0013】
さらに本発明の目的は分離技術、特にアフィニティクロマトグラフィーに使用する微粒
子を提供することである。
【0014】
さらに本発明の目的は、標的−特異的ドラッグデリバリーおよび組織病理学的あるいは
インビボにおける組織または腫瘍の画像化のようなは医薬および診断に応用するために使
用する微粒子を提供することである。
【0015】
微粒子、その作成法および使用法は、タンパク質、炭水化物、多糖、核酸、ウイスル、
ウイスル粒子、有機または無機合成医薬化合物、あるいはそれらのいずれかの混合物のよ
うな高分子を「脱水」し、そして高分子微粒子を加熱状態でインキューベーションするか
、または液相で高分子を「架橋することにより形成する」方法に基づいて提供される。高
分子は、効果的に全部脱水するが液相中に溶解または懸濁されたとき、高分子の「ポケッ
ト」を形成する試薬を使用して脱水され、それは例えばアンモニアまたはナトリウム塩、
有機溶媒、高濃度の直鎖または分枝ポリマー、亜鉛のような二価イオンまたはカオトロピ
ック試薬のような試薬と共に脱水することによる。高分子は薬剤、生物学的に活性な分子
、キャリアー分子、親和性分子またはその混合物から成ることができる。微粒子は予め定
めた時間の長さ、室温よりも高い温度で脱水した高分子をインキューベーションすること
により形成される。あるいはグルタルアルデヒドまたは他のアミン類、多価イオンのよう
な薬剤、ならびに架橋される高分子の反応性基に特異的な「親和性」を持つ多官能性分子
を使用して、様々な温度で高分子を架橋させて微粒子を形成する。
【0016】
微粒子を次に、もしあるならば脱水剤および過剰な架橋剤から濾過または遠心のような
分離法で分離する。その後、微粒子が標的分子と反応したときにいずれかの非−特異的結
合を効果的に減少するために、次に架橋剤のすべての未反応部位に結合するクエンチング
試薬で微粒子を洗浄することができる。これらの微粒子は広範な分離、診断、治療および
研究目的に使用できる。本発明によれは、特定の態様の発明として、以下のものが提供さ
れる。
【0017】
1.a)高分子を、硫酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、リン酸塩、アルカリ金属もしくは
アンモニウムもしくはマグネシウムのハロゲン塩、グリシン、水溶性有機溶媒、水溶性直
鎖または分枝ポリマー、二価のイオン、ポリアニオン、カオトロピック剤およびそれらの
混合物からなる群から選択される脱水剤と微粒子が形成するに十分な時間インキューベー
ションする工程、および
b)インキューベーション混合物から微粒子を分離する工程、を含んで成り、かつ、高分
子が、脱水剤とインキューベーションされる間またはインキューベーションの前後に架橋
剤により架橋される、ことを特徴とする微粒子の作成方法。
【0018】
2.a)高分子を、硫酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、リン酸塩、アルカリ金属もしくは
アンモニウムもしくはマグネシウムのハロゲン塩、グリシン、水溶性有機溶媒、水溶性直
鎖または分枝ポリマー、二価のイオン、ポリアニオン、カオトロピック剤およびそれらの
混合物からなる群から選択される脱水剤と微粒子が形成するのに十分な時間インキューベ
ーションし、そして
b)インキューベーション混合物から微粒子を分離し、ここで、高分子が、脱水剤とイン
キューベーションされる間またはインキューベーションの前後に架橋剤により架橋される
工程、
c)微粒子を、標的分子を含有する複合混合物と該微粒子が該標的分子に結合するのに十
分な時間混合する工程であって、ここで、微粒子は標的分子に親和性を有するものである
、工程、および
d)結合した標的分子を複合混合物から分離する工程、
を含むことを特徴とする標的分子を含有する複合混合物から標的分子の単離方法。
【0019】
3.a)微粒子と試料を組み合わせる工程であって、ここで、微粒子が、硫酸塩、亜硫
酸塩、チオ硫酸塩、リン酸塩、アルカリ金属もしくはアンモニウムもしくはマグネシウム
のハロゲン化物塩、グリシン、水溶性有機溶媒、水溶性直鎖または分枝ポリマー、二価の
イオン、ポリアニオン、カオトロピック剤およびそれらの混合物からなる群から選択され
る脱水剤と、高分子を微粒子が形成するのに十分な時間インキューベーションすることに
より調製され、かつ、高分子が脱水剤とインキューベーションされる間またはインキュー
ベーションの前後に架橋剤により架橋されており、かつ、高分子が標的生体分子に特異的
な親和性分子を含んでなり、そして検出可能な造影剤で標識されているものである、工程
、および
b)検出可能な造影剤を検出する工程、
を含むことを特徴とする試料中の標的分子の検出方法。
【0020】
以下に記載する特定例では、微粒子は(1)後にグルタルアルデヒドにより架橋される
ポリビニルピロリドンおよびポリエチレングリコールを含む高濃度直鎖ポリマー混合物で
脱水された抗体のようなタンパク質、(2)ポリビニルピロリドンおよびポリエチレング
リコールを含む高濃度直鎖ポリマー混合物で脱水され、そしてポリアミノ酸のような多価
イオンまたは二価カチオンで架橋された生物学的に活性な分子と混合したアルギン酸塩の
ような多糖、(3)アンモニアまたは硫酸ナトリウムを用いてタンパク質混合物を脱水し
た後、グルタルアルデヒドで架橋される、医薬化合物のためのキャリアーであるアルブミ
ンのようなタンパク質、(4)ポリビニルピロリドンおよびポリエチレングリコールの混
合物で脱水した後、グルタルアルデヒドで架橋したインスリンのようなペプチドホルモン
、(5)ポリビニルピロリドンおよびポリエチレングリコールを含む直鎖ポリマー混合物
で脱水し、そして加熱下でインキューベーションしたアルブミンのようなタンパク質、で
形成される。
[発明を実施するため具体的な態様]
微粒子、調製法およびキットを診断、治療および研究使用のために提供する。微粒子は
大きな表面積を有する架橋結合された高分子構造物である。微粒子を形成する高分子には
限定するわけではないが、タンパク質、炭水化物、多糖、核酸、ウイルス、ウイルス粒子
、有機または無機合成医薬化合物またはそれらの混合物であり、これらを脱水条件下の液
相中で架橋結合することができる。
<ポリマー性微粒子の形成>
微粒子は粒子が形成するために十分量の架橋剤または加熱時間で、高分子を脱水剤が存
在する溶液中で、あるいは液相中でインキューベーションすることにより形成される。高
分子を始めに水性溶媒中に溶解し、次に高分子溶液を脱水剤に加えるか、あるいは脱水剤
を高分子溶液に加えるかのいずれか、好ましくは後者である。微粒子を形成するために、
脱水された高分子溶液を次に好ましくは予め定めた時間の長さで加熱する。あるいは微粒
子を形成するために、架橋剤を脱水高分子溶液に室温の前後または室温のような様々な温
度で加える。生成した微粒子を、次にインキューベーション混合物中に存在する未反応成
分から当該技術分野で周知な物理的分離法により分離する。
<高分子>
微粒子を形成する高分子は液相で架橋することができる任意の分子である。最も好まし
くは、高分子はタンパク質、炭水化物、多糖、核酸、ウイルス、ウイルス粒子またはそれ
らの混合物である。高分子は架橋することができる天然または合成の医薬化合物でもよい
。当業者は架橋することができない化合物は、本明細書にて提供される方法により続いて
架橋されるキャリアー分子中に化合物を取り込んだ微粒子を形成することができることを
理解するだろう。さらに当業者は高分子も、例えばペプチド、二本鎖の核酸分子の一本鎖
区分またはウイルス粒子のようなリガンドと結合または相互作用するのに必要な活性を有
する分子の一部であることができると理解するだろう。また当業者は、「高分子」という
用語は複数の高分子を含み、そして例えば医薬化合物と、医薬化合物を治療が必要な組織
、器官または腫瘍へ標的化するための親和性分子との組み合わせなどのような各種高分子
の組み合わせ物を含むことも理解するだろう。
【0021】
さらに当業者は、親和性分子はレセプター−リガンド相互作用のレセプター部分または
リガンド部分のいずれかであることができると理解するだろう。他の生体分子と反応する
リガンドの例には、抗原として作用し、動物に投与された時に免疫応答を引き起こし、そ
して抗体の生産を引き起こすウイルス、細菌、多糖またはトキシンが挙げられる。
【0022】
インキューベーション混合物中の高分子の濃度は、インキューベーション条件に応じて
、好ましくは0.1から100mg/mLの間である。
<標識化高分子>
高分子を検出しうるラベルで標識することができる。タンパク質および核酸分子を標識
する様々な種類の標識またはラベルおよび方法が当該技術分野で周知である。当業者は、
例えば金属のような磁気性物質または磁気粒子はラベルという用語の定義内に含まれると
理解するだろう。例えば高分子を金属のような金属性物質で標識して、微粒子を磁気性デ
バイスにより溶液中の他の物質から分離できるようにすることができる。
【0023】
他の具体的なラベルまたはレポーター群を以下に説明する。
【0024】
例えば、限定するわけではないがラベルは、32P、H、14C、35S、125
または131Iのような放射性標識であることができる。32P標識は連結試薬でタンパ
ク質に結合、あるいはニックトランスレーション、末端−標識化または標識ヌクレオチド
の取り込みにより核酸分子の配列中に取り込むことができる。例えばH、14C、また
35S標識を標識された前駆体の取り込み、または化学修飾により核酸配列中に取り込
むことができ、一方125Iまたは131Iラベルは一般的に化学修飾により核酸配列中
に取り込むことができる。ラベルの検出はシンチレーションカウンティング、ガンマ線ス
ペクトロメトリーまたはオートラジオグラフィーのような方法により行われ得る。
【0025】
ラベルはマスまたは核磁気共鳴(NMR)標識、例えば13C、15Nまたは19Oの
ようなものであってもよい。そのようなラベルの検出はマススペクトロメトリーまたはN
MRにより行われ得る。
【0026】
色素、化学発光剤および蛍光源も高分子を標識するために使用できる。核酸を標識する
のに有用な色素の例はエチジウムブロミド、アクチジン、プロピジウムおよび他のインタ
ーカレーション剤、ならびに4’,6’−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAP
I)(シグマ化学社、セントルイス、モンタナ州)、または他の適当な核酸染色剤である
。蛍光源の例には、フルオレセインおよび誘導体、フィコエリトリン、アロ−フィコシア
ニン、フィコシアニン、ローダミン、テキサス レッド(Texas Red)または他
の適当な蛍光源が挙げられる。蛍光源は一般的に化学修飾により結合される。色素ラベル
は分光光度計により検出でき、そして蛍光源は蛍光検出機により検出できる。
【0027】
また、高分子は提供する酵素に対する色原体(酵素基質)、酵素またはアフィニティー
標識、あるいは酵素で標識することもできる。例えば高分子をビオチニル化して、酵素ま
たは蛍光源のようなラベルにカップルしていてもよいビオチン−アビジン反応に使用する
ことができる。高分子はペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、または基質が添加
された時に発色反応または蛍光反応を与える他の酵素で標識することができる。
【0028】
例えば、5−アミノ−2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン(Luminol
:商標として知られている)(シグマ化学者、セントルイス、モンタナ州)のような添加
剤、およびp−ヒドロキシビフェニル(p−フェニルフェノールとして知られている)(
シグマ化学者、セントルイス、モンタナ州)のような速度エンハンサーを、西洋ワサビペ
ルオキシダーゼのような酵素を発光反応を介して増幅するために使用でき、ならびに酵素
基質の発光性または蛍光性ジオキセタン誘導体も使用できる。
【0029】
検出しうるラベルを提供するために、核酸分子の制限酵素部位のような酵素の認識部位
も高分子中に取り込むこともできる。ラベルは任意の修飾塩基、アミノ酸または任意のラ
ベルを含む前駆体を取り込むことによっても作成でき、修飾塩基または化学基を含有する
アミノ酸の取り込みは特異的抗体により、または免疫蛍光または免疫−酵素反応を含む様
々な手段による任意の結合抗体複合体を検出することにより認識できる。そのようなラベ
ルは抗体−結合免疫アッセイ(ELISA)を使用することにより、または分光光度計で
色の変化を検出することにより検出できる。
<脱水剤>
脱水剤は水を高分子から高イオン性媒質に拡散させることができる化合物または化合
物の混合物である。適当な脱水剤には、硫酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、リン酸塩、ある
いはアルカリ金属、アンモニウムまたはマグネシウムのハロゲン塩のような天然の塩;グ
リシン;エタノールのような水溶性有機溶媒;高分子量の水溶性非イオン性直鎖または分
枝ポリマー;亜鉛のような金属イオン;乳酸2−エトキシ−6,9−ジアミノ−アクリジ
ンのような有機カチオン;小さいアニオン;ならびにポリリン酸およびポリアクリル酸の
ようなポリアニオンがある。
【0030】
好ましくは、脱水剤はポリビニルピロリドンおよびポリエチレングリコールのような2
種以上の溶解性の直鎖ポリマー混合物である。そのようなポリマー混合物は、James
E.Woiszwilloにより1992年1月7日に出願された同時係属中の出願で
ある米国特許出願第07/817,610号明細書およびJames E.Woiszw
illoにより1993年1月7日に出願された国際特許出願第US93−00073号
明細書に示された方法により調製することができ、これらは引用により本明細書に編入さ
れる。当業者は他の可溶性の直鎖ポリマー、例えばデキストラン、ノニルフェノール−エ
トキシレート、ポリビニルアルコールおよびそれらの混合物をポリビニルピドリドン(P
VP)およびポリエチレングリコール(PEG)に加えて、あるいはPVPまたはPEG
の代わりに使用できるものと理解するであろう。
【0031】
PVPは非−イオン性の親水性ポリマーであり、分子量範囲がおよそ10,000から
700,000の範囲であり、そして化学式(CNO)nを有する。PVPはまた
ポリ[1−(2−オキソ−ピロリジニル)エチレン]、Povidone(商標)、Po
lyvidone(商標)、RP 143(商標)、Kollidon(商標)、Per
egal ST(商標)、Periston(商標)、Plasdone(商標)、Pl
asmosan(商標)、Protagent(商標)、SubtosanおよびVin
isil(商標)としても知られている。PVPは無毒性で、高度に吸湿性であり、そし
て容易に水または有機溶媒に溶解する。
【0032】
PEGはポリ(オキシエチレン)グリコールとしても知られており、エチレンオキシド
と水との縮合ポリマーであり、化学式HO(CHCHO)nHを有する。
【0033】
デキストランはシュクロース基質上で生育する細菌により生産される多糖に適用する用
語である。ロイコノストック メセンテロイデス(Leuconostoc mesen
teroides)およびラクトバクテリア デキストラニカム(Lactobacte
ria dextranicum)のような細菌により生産される天然のデキストランは
通常、高い分子量を有する。
【0034】
ノニルフェノール−エトキシレート(NPE)は、しばしば界面活性剤として使用され
る長鎖化合物の種類である。これらは通常、必要な所望の溶解度に適合するように誘導さ
れる。
【0035】
ポリビニルアルコール(PVA)はポリビニル酢酸から、アセチル基をヒドロキシル基
に換えることにより調製され、式(CHCHOH)を有するポリマーである。ほとん
どのポリビニルアルコールが水溶性である。
【0036】
PEG、デキストラン、PVAおよびPVPはシグマ化学社(セントルイス、モンタナ
州)等の化学会社から市販されている。NPEにはカスタム合成が必要であり、特定の化
学製造元に注文できる。
【0037】
最も好ましいのは、脱水剤が分子量10,000から360,000の間のPVPの水
溶液を含むポリマー混合物であり、最も好ましいのは40,000、および200から3
5,000の分子量を持つPEGである。40,000の分子量を持つPVPおよび35
00の分子量を持つPEGが好ましい。あるいは均一サイズの微粒子を得るためには36
0,000の分子量を持つPVPが好ましい。好ましくはPVPを酢酸緩衝液に溶解し、
そしてPEGをPVP水溶液に加える。各々のポリマー濃度は各ポリマーの分子量に応じ
て、好ましくは1から40g/100mlの間である。最も好ましくは各ポリマー濃度は
24g/100ml、すなわち24%である。一般的に等濃度のPVPおよびPEGが、
ポリマー性微粒子の形成に最適なポリマーマトリックスを提供する。高分子に添加するポ
リマーの容量は、高分子のサイズおよび量に依存する。好ましくは3容量のポリマー混合
物が1容量の高分子を含む溶液に加えられる。
<加熱を利用するインキューベーション条件>
微粒子は高分子および脱水剤混合物を室温よりも高い温度で予め定めた時間インキュー
ベーションすることにより形成される。好ましくは混合物を水浴中で37℃以上で、かつ
80℃以下の温度で約5分から2時間インキューベーションする。最も好ましくは混合物
を50℃から70℃の温度で15−30分間インキューベーションする。
【0038】
微粒子のサイズはインキューベーション条件を調整することにより制御できる。例えば
、インキューベーション温度を室温から所望温度に次第に高くするか、または一定増分ず
つ高くするか、あるいは全体のインキューベーション時間を長くすることができる。さら
に、微粒子の凝集の量は脱水剤の濃度、容量または組成を変化させることにより制御でき
る。
<架橋剤>
また、微粒子は脱水した高分子を架橋結合させるために架橋剤を加えて形成される。架
橋剤は高分子を物理的に連結するニ官能性または多官能性化学試薬であり、そして場合に
よっては脱水剤を連結することもある。適当な架橋剤の例には、ジアルデヒドまたはアミ
ン類、多価イオンおよび架橋される高分子上の特定の反応性基に「親和性」を有する多官
能性分子のような他の試薬がある。
【0039】
好適な態様では、架橋剤は共有的に高分子を安定な三−次元構造に連結する。最も好ま
しくは架橋剤はグルタルアルデヒド;p,p’−ジフルオロ−m,m’−ジニトロジフェ
ニルスルフォン;ヘキサメチレンジイソシアネート;n,n’−(1,3−フェニレン)
−ビス−マレイミド;n,n’−エチレン−ビス−ヨードアセトアミド;3,6−ビス−
(メクリメチル)−ジオキサン;ビス−ジアゾベンジジン;ウッドワードのK;ビス−オ
キシラン;ジメチルアジピミデート;ジメチルスベリミデート;ジエチルマロニミデート
;フェノール−2,4−ジスルホニル−クロリド;ジビニルスルフォン;およびカルボジ
イミドのような二官能性試薬である。
【0040】
最も好ましくは、架橋剤は第一アミンとシッフ塩基を形成するグルタルアルデヒドのよ
うなジアルデヒドであり、緩和な条件下でこれは水素化ホウ素で還元した時、安定な二級
アミンを与える。
【0041】
別の種類の架橋剤は緩和な条件下でスルフヒドリル基に特異的なN−置換マレイミドで
ある。数種のN−アリルおよびN−アルキル−ビス−マレイミドが市販されており、それ
にはアゾフェニルジマレイミドも含まれる。これらは水に不溶性であり、一般的に固体で
化学量論的量をpHが7−8の反応物水溶液に加える。
【0042】
二官能性ハロゲン化アルキルは主にチオール、イミダゾールおよびアミノ基と反応する
。中性からわずかにアルカリ性のpHで、スルフヒドリル基との反応は優先するが、より
高pH値ではアミノ基との反応が優先する。他の化合物には1,5−ジフルオロ−2,4
−ジニトロベンゼンのようなハロゲン化アリール(アリールハロゲン化物)があり、これ
は水に不溶性であり、そしてアミノ基およびチロシンフェノール性基と優先的に反応する
が、スルフヒドリルおよびイミダゾール基とも反応するだろう。迅速な反応には比較的高
いpH値が必要である。一般的に試薬は濃厚アセトン溶液として反応物の水溶液に加えら
れ、生成物が形成する。イソシアネートはアミンと反応して置換ウレアを形成し、アルコ
ールと反応してウレタンを形成し、そして水と反応してアミンおよび二酸化炭素を形成す
る。アルカリpHではアミンとの反応が好ましい。2,2−ジカルボキシ−4,4’−ア
ゾフェニルジイソシアネートは水溶性であり、形成する橋が亜ジチオン酸塩によるアゾ基
の還元により容易に開裂するので有利である。緩和な条件下で活性化されて反応できる二
官能性アシル化剤を提供する多くの脂肪族または芳香族ジカルボン酸またはジスルホン酸
のようなアシル化剤も使用できる。ジカルボン酸のニトロフェニルエステルおよび芳香族
−ビス−スルフォニルクロライドがその例である。 これらは水に不溶性であり、そして
素早く加水分解する。ビス−スルホニルクロライドはアミノ基と反応し、安定なスルホン
アミド結合を形成し、そしてこれは続いて氷酢酸中のHBrで開裂することができる。水
溶性で、かつ緩和な条件下でアミノ基と高い特異性で反応する二官能性のイミドエステル
も使用できる。ジメチルスベリミデートは0.2M トリエタノールアミンHCl緩衝液
(pH 8.5)中で、室温にて3時間使用できる。生成するアミドは酸加水分解に対し
て安定であるが、アンモニアにより開裂しうる。主にアミノ基と反応するが、高いpHで
は炭水化物、フェノールおよびアルコールと反応するビニルスルフォンも使用できる。
【0043】
インキューベーション混合物中の架橋剤濃度は高分子のすべての活性基を結合するため
に十分でなくてはならない。架橋剤濃度とインキューベーション後に形成された微粒子の
数との間には直接的な関係がある。一般的にインキューベーション混合物中の架橋剤濃度
が増すほど形成される微粒子が増す。好ましくはインキューベーション混合物中の架橋剤
の濃度は、インキューベーション混合物1ミリリットル当り約5から200マイクロリッ
トルの25%グルタルアルデヒド溶液である。
<架橋するためのインキューベーション条件>
微粒子を形成するために、アンモニウムまたはナトリウム塩、有機溶媒、亜鉛のような
二価イオンまたはカオトロピック剤のようなポリマー溶液以外の脱水剤を使用するときは
、微粒子を形成するための正しい架橋剤の組み合わせを注意深く選択しなければならない
。なぜならば脱水剤と架橋剤との間に相互作用が起こることがあるからである。微粒子は
硫酸アンモニウム、グルタルアルデヒドおよびタンパク質を使用して形成されるが、反応
物濃度は直鎖ポリマーを使用して形成される微粒子に必要であるものとは異なる。
【0044】
好ましくは脱水剤がポリマー溶液であり、ここで高分子、ポリマーおよび架橋剤混合物
はボルテックスなどで一緒に激しく混合され、高分子、ポリマーおよび架橋剤の間で十分
な相互反応がおこり、そしてインキューベーションされるが、一方室温(20℃)または
室温未満の温度で十分な時間混合すると、最高の微粒子の形成が可能になる。あるいは微
粒子は架橋剤および加熱の組み合わせを使用して形成することができ、好ましくは37℃
以上、かつ80℃以下の温度でインキューベーションすることによる。
【0045】
インキューベーション時間の長さはポリマーおよび親和性分子それぞれの濃度ならびに
インキューベーション温度に依存する。好ましくはポリマー混合物および高分子は30分
から24時間の間でインキューベーションされる。最も好ましくはポリマー混合物および
高分子は撹拌または揺することにより120分間、室温で混合され、次に混合せずに4℃
で一晩静置する。
【0046】
インキューベーション混合物のpHは一般的に脱水剤のpHにより決められ、そして適
当量の酸性または塩基性緩衝液のいずれかを、脱水剤または高分子溶液のいずれかまたは
両方に、混合前に加えることにより調整できる。脱水剤が直鎖ポリマー溶液である場合、
インキューベーション工程の最後に形成される微粒子のサイズとインキューベーション混
合物のpHとの間には直接的な関係がある。より高いpH(より塩基性)では、より大き
な微粒子が形成する。より低いpHでは形成される微粒子はより小さい。直鎖ポリマーイ
ンキューベーション混合物のpHは好ましくは約5から8の間である。
<結合性部位のクエンチング>
当業者は後の非特異的結合を減らすために、架橋剤の任意の未反応結合性部位をブロッ
クするために、インキューベーション後に生成した微粒子にクエンチング(停止)剤を加
えることができると考えるだろう。脱水剤がPVP/PEGのような直鎖ポリマー溶液で
ある場合には、適当なクエンチング剤はアミノ酸またはアルブミンのような化合物であり
、これらは相当数のアミノ基を含有する。好ましくはクエンチング剤はリシンまたはグリ
シンを含む溶液である。最も好ましくはクエンチング剤はアミノ酸グリシンであり、その
濃度は0.1から0.5Mの範囲である。
<微粒子の精製>
生成した微粒子をインキューベーション混合物中の未反応成分から、当該技術分野で周
知の通常の分離法により分離する。好ましくはインキューベーション混合物を微粒子が遠
心管の底に落ちるように遠心し、そして未反応成分は上清に残り、これを次にデカントす
る。あるいは生成した微粒子を含むインキューベーション混合物を、微粒子がフィルター
に残り、そして未反応成分がフィルターを通過するように濾過する。
【0047】
さらに微粒子の精製は適当量の洗浄溶液で洗浄することにより行われる。好適な洗浄溶
液は緩衝液、最も好ましくはクエンチング剤を含むリン酸緩衝塩溶液である。洗浄は必要
に応じて繰り返すことができる。
【0048】
当業者は脱水剤の中には高分子構造中に取り込まれ、そして実際に各微粒子の分子組成
の一要素となるものがあるものと理解するだろう。
<微粒子の特性>
前述の方法で生成した微粒子は、温度、ポリマーサイズおよび混合物、ならびにタンパ
ク質濃度に応じて1つ以上の活性部位が各微粒子の表面に存在する球状または非球状の形
状であることができる。長円形および顆粒状の微粒子は、球状の微粒子ビーズよりもより
大きな表面積を持つ粒子を作り、そして従来の球状ビーズで達成されるよりも微粒子あた
り、より多くの数の高分子の取り込みを可能にする。
【0049】
さらにPVP/PEGの存在中でグルタルアルデヒドにより架橋結合した免疫グロブリ
ンのような高分子で形成された微粒子の例では、微粒子はアルカリおよび酸性pHで安定
であり、インビボに投与されたときに吸収されない。
【0050】
微粒子は以下にさらに詳しく説明する多種多様な診断、治療および研究を目的に有用で
ある。例えばインビボ診断目的に関しては、微粒子は検出しうるラベルで標識された免疫
グロブリンまたは細胞レセプターのような高分子を含むことができる。標識された微粒子
を患者に注入すると、癌のような増殖性の疾患を診断するための造影剤となり、または特
定の悪性細胞または生物の増殖を減らすための治療薬の達成度を評価する道具となる。イ
ンビトロの診断では、検査条件下で細胞または生物に特異的な免疫グロブリン、細胞レセ
プターまたはオリゴヌクレオチドプローブのような高分子を含む微粒子を試験試料と混合
し、任意の未反応成分から微粒子を分離し、そして結合した分子を従来法により検出する
。徐放性または治療が必要な部位に薬剤を標的送達するために、微粒子が治療薬を含有し
、そして患者に投与されたとき、微粒子は治療薬としても有用である。
【0051】
微粒子は特定分子を検出または定量するための試薬として、あるいは抗体のような分子
の産生のために、分子を複雑な混合物から精製するためにも有用である。例えば免疫グロ
ブリンのような高分子を含む微粒子をクロマトグラフィーカラムに結合して、免疫アフィ
ニティークロマトグラフィーの状態で使用して、複雑な混合物からリガンドを分離するこ
とができる。あるいは標識された高分子または様々な細胞もしくは生体分子に特異的な標
識化高分子(例えば細胞レセプターのような)の混合物を含む微粒子を、フローサイトメ
トリーのような技術を使用して特定の試験条件で反応する細胞または生体分子の数の変化
を検出するために使用できる。さらに微粒子はワクチン生産のアジュバントとしても使用
でき、ここでは抗原含有微粒子をマウスまたはウサギのような実験動物に注射して、抗原
に対する抗体を生産するために強化された免疫応答を開始させる。
<インビトロ 診断>
<インビトロ アッセイ>
本明細書に記載された微粒子はアッセイ(酵素−結合免疫吸着体アッセイ、ドット−ブ
ロットまたはウエスタンブロットのような)における固体相粒子として、生物試料中の特
定の標的(細胞、生体分子または薬剤のような)を検出するために有用である。この使用
のために設計された微粒子は標的分子に特異的な親和性分子を含む。例えば高分子が免疫
グロブリンであり、細胞レセプターまたはオリゴヌクレオチドプローブであり、そして高
分子が試験管またはマイクロタイタープレートに結合している。
【0052】
目的の標的分子の検出または定量のためには、試料を微粒子を含む溶液と混合し、微粒
子上の高分子が標的分子と反応し、微粒子を試料中の任意の未反応成分から分離し、そし
て結合した分子を含む微粒子を従来法で検出する。蛍光的に染色した微粒子は、当該技術
分野で周知のフローサイトメトリー分析に良く適している。
<組織病理学>
本明細書に記載された微粒子は組織学的試料中の病理学上の視覚的プローブまたはマー
カーとして有用である。この使用に設計された微粒子の高分子は特定の病理状態に現れる
生体分子に特異的であり、検出できるラベルで標識される。例えば高分子は免疫グロブリ
ン、細胞レセプターまたはオリゴヌクレオチドプローブであり、これらは急速に増殖する
細胞のような異常な細胞または病原体(例えばウイルス)に特異的である。
【0053】
病理状態を検出するために、組織学的試料を微粒子を含む溶液と混合し、微粒子上の標
識高分子が目的の標的分子と反応し、そして結合した微粒子を当該技術分野で周知の方法
でラベルを検出することにより検出する。
<インビボ診断−画像化>
本明細書に記載された微粒子は上記の組織病理学用の微粒子の使用について記載された
ものと同様に、特定分子、細胞のタイプまたは病理状態のインビボでの位置に関する造影
剤として有用である。この使用のために設計された微粒子上の高分子は、特定の細胞また
は病原生物により発現されている分子に特異的であり、そして検出できるラベルで標識さ
れる。例えば、高分子は免疫グロブリン、細胞レセプターまたはオリゴヌクレオチドプロ
ーブであり、これらは腫瘍細胞またはウイスルのような病原体に特異的である。
【0054】
微粒子は病理状態を検出するために、あるいは化学療法もしくは異常な組織腫瘍の大き
さが減少したか、または完全に切除されたかを確認する外科的治療の経過をモニターする
ために使用される。この使用のために、患者は微粒子溶液の投与を好ましくは静脈を介し
て受け、微粒子上の標識された高分子は体内の悪化した器官または部位に局在化するよう
に十分な量および時間で与えられ、高分子は検査条件下で細胞または器官により発現され
た標的分子と反応し、そして結合した微粒子はx−線のような当該技術分野で周知の従来
の画像化によりラベルを検出することにより検出される。
<治療−ドラッグデリバリーシステム>
微粒子は架橋結合医薬品化合物または架橋結合キャリアー(アルブミンのような)含有
治療剤から成るとき、治療に有用である。微粒子は薬剤を全身に徐放して提供するか、あ
るいは微粒子は標的組織、腫瘍に特異的な親和性分子を含むこができ、そして治療薬(抗
腫瘍、抗ウイルス、抗菌、抗寄生虫または抗関節炎剤、あるいはサイトカイン、ホルモン
もしくはインスリンのような)の標的送達のような治療が必要な部位に直接患者に注射す
るかのいずれかで提供できる。
<研究への応用>
微粒子は複雑な混合物から生体分子を精製するために研究の道具として、生体分子を検
出または定量するための試薬として、または抗体のような生体分子の生産のためにも有用
である。
【0055】
例えば、免疫グロブリンのような高分子から成る微粒子はクロマトグラフィーカラムに
結合させて、複雑な混合物からリガンドを分離するための免疫アフィニティークロマトグ
ラフィーに使用できる。当業者は高圧液体クロマトグラフィーに使用するための微粒子は
、始めに非−圧縮性固相球またはビーズに結合され、カラムのパッキング操作でその構造
が圧力下で強固になると理解するだろう。
【0056】
あるいは種々の細胞または細胞レセプターに特異的な標識した高分子または標識した高
分子の混合物を含む微粒子は、フローサイトメトリーのような技術を使用する特定の試験
条件に応答して細胞数または細胞表面レセプター数の変化を検出するために使用される。
【0057】
さらに微粒子は抗体産生のための有用なアジュバントであり、ここではワクチン生産の
ために抗原−含有微粒子がマウスまたはウサギのような実験動物に注射されるか、あるい
は抗原に対する免疫を誘導するためにヒトに注射され、そして抗原に対する抗体産生を強
化させる。
<微粒子を調製するためのキット>
微粒子を調製するためのキットを提供する。キットは以下の試薬を含む:脱水剤および
架橋剤。キットの使用者はカスタム微粒子の調製用キットとして使用することができ、こ
こでは使用者が微粒子中に形成される高分子を供給することになるだろう。あるいはキッ
トは使用者が目的とする微粒子の調製用に1つ以上の高分子を溶液状または凍結乾燥状で
含むことができる。形成された微粒子は次に研究、治療または診断を目的として上記のよ
うに使用できる。キットは好ましくはリン緩衝塩溶液のような緩衝液も含み、架橋剤によ
る非特異的結合をブロックするためのグリシンのようなクエンチング剤を含む。キットは
試料または患者の微粒子の存在を検出するための手段を提供するために検出しうるラベル
、またはあらかじめ標識した高分子も含むことができる。
【0058】
ポリマー性微粒子および上記の方法は以下の限定することを意図するものではない実施
例によりさらに理解されるだろう。
【実施例1】
【0059】
ガンマグロブリンならびにポリビニルピロリドンおよびポリエレングリコールのポリマー
混合物での微粒子の調製ならびにその安定性の分析
<微粒子の形成>
微粒子をガンマグロブリン、5つのうちの1つの分子量調製物(MW 10,000−
360,000)の5−25%ポリビニルピロリドン溶液、および一定分子量(MW 3
,500)調製物の25%ポリエチレングリコール溶液(両方とも以下の実施例2に記載
されたように調製した)を、グルタルアルデヒドの存在下で、6.9から7.75の間の
反応pH範囲で、以下の工程で混合することにより形成した。微粒子は酸性および塩基性
溶液中で安定であった。
【0060】
各々異なる分子量調製物のポリビニルピロリドンを含む5種のポリマー混合物を、以下
の表1に示すように調製した。20マイクロリットルのグルタルアルデヒド(25%、シ
グマ化学社、セントルイス、モンタナ州)を各ポリマー混合物に加えた。James E
.Woiszwillにより1992年1月7日に出願された同時係属中の米国特許出願
第07 817,610号明細書およびJames E.Woiszwill1oにより
1993年1月7日に出願された国際特許出願第US93−00073号明細書に記載さ
れた方法(これらは引用により本明細書に編入される)により精製された1ミリリットル
の精製ヤギガンマグロブリン(シグマ化学社、セントルイス、モンタナ州)を、各々5種
類のポリマー混合物とボルテックス混合して簡単に反応させた。反応溶液を40分間、2
0℃で混合し、そして4℃で一晩インキューベーションした。
【0061】
すべての5種の反応溶液を20℃に保存し、100μlのDL−リシン(シグマ化学社
、セントルイス、モンタナ州)を各々の溶液に加え、溶液を20℃で90分間混合した。
【0062】
この溶液を5000rpmで30分間、20℃で遠心した。上清をデカントし、そして
沈殿を0.2% Tween(シグマ化学社、セントルイス、モンタナ州)を含む1.0
mlのリン酸塩緩衝液(PBS)を含む1mlの緩衝液に再懸濁した。
【0063】
100マイクロリットルの各再沈殿物を100μlの1:2000に希釈した抗−ヤギ
IgGペルオキシダーゼ結合物と20℃で15分間反応させた。1mlのPBS/Twe
en緩衝液を各反応混合物に加え、そして混合物を4℃で一晩インキューベーションした

【0064】
試料を遠心し、100μlの各上清をそれぞれから取り出し、そして300μlのTM
Blueと反応させた。残りの上清を注意深くデカントし、沈殿を1mlのPBS/T
ween溶液に再懸濁した。
【0065】
再懸濁した試料を再度遠心し、そして100μlを取り出し、そして300μlのTM
Blueと反応させ、上清をデカントし、そして沈殿を1mlのPBS/Tweenに
再懸濁した。再懸濁沈殿物の100μlのアリコートを300μlのTM Blueと反
応させた。
【0066】
再懸濁試料を再度遠心し、100μlを取り出し、そして300μlのTM Blue
と反応させ、上清をデカントし、そして沈殿を1mlのPBS/Tweenに再懸濁した
。再懸濁沈殿物の100μlのアリコートを300μlのTM Blueと反応させた。
結果を以下の表1および2に表す。
【0067】
【表1】

【0068】
【表2】

【0069】
表1に示される結果は、グルタルアルデヒドの存在下で異なる分子量のPVP調製物を
含むすべての5種類の溶液について、微粒子が形成されたことを示す。
【0070】
表2に示される結果は、ガンマグロブリンが3回洗浄した後でも沈殿物中に存在する微
粒子に結合したことを示す。
<微粒子安定性分析>
微粒子の安定性に対する酸性または塩基性溶液の影響を分析するために、3種の反応を
反応#3の第一再懸濁沈殿物について以下のように行った。
【0071】
100マイクロリットルの反応#3の第一再懸濁沈殿物を3本の試験管に入れた。20
0マイクロリットルの脱イオン水を第一試験管に加えた。粒子が観察された。200マイ
クロリットルの1N 酢酸を第二試験管に加えた。第一試験管で観察されたものと同じサ
イズの粒子が観察された。200マイクロリットルの1% NaOHを第三試験管に加え
た。第一試験管で観察されたものと同じサイズの粒子が観察された。
【0072】
3本のすべての試験管を4℃にて一晩静置し、そして翌日観察した。試験管1および2
は変わらなかった。試験管3は試験管1または2よりも小さい粒子を有した。結果では酸
性または塩基性pHでは粒子の安定性を変化しないことが示された。
【実施例2】
【0073】
放射性 CEA対する抗−CEA微粒子の調製およびその結合性のインビトロ分析
抗−CEA(がん胎児性抗原)微粒子は一般的に実施例1の反応#3について記載した
ように形成し、そしてより詳細には以下に記載した。形成した微粒子を次に種々の濃度の
放射性CEAと混合し、抗−CEA抗体がCEAリガンドに親和性を保持したまま微粒子
中に取り込まれたかどうかを測定した。
抗−CEA微粒子の調製
14.3%の各ポリマー溶液、ポリビニルピロリドン(MW 40,000)およびポ
リエチレングリコール(MW3500)(シグマ化学社、セントルイス、モンタナ州から
得た)は、14.3グラムのポリマーを100mlの蒸留水に加えて調製した。14.3
%の各ポリマー溶液のpHはおよそ6.25に調整した。このポリマー溶液を1:1で混
合し、PVP/PEGポリマー混合物を作成した。
【0074】
対照として、ポリマー混合物をグルタルアルデヒドが存在しないガンマグロブリン中に
加えながら、0.45mlの精製ヤギ抗−CEAガンマグロブリンのアリコートを、3.
6mlのPVP/PEGポリマー混合物とボルテックスで反応させた。反応物を3℃で3
0分間静置した。反応物を2300rpmで60分間、20℃で遠心した。上清をデカン
トし、そして沈殿物を0.9mlのリン酸塩溶液に再懸濁した。
【0075】
再懸濁した沈殿物を1.8mlのポリマー混合物で洗浄し、予めpHを6.25に調整
し、3℃で20分間静置し、そして20℃にて5000rpmで30分間遠心した。 ポ
リマー混合物/グルタルアルデヒドをガンマグロブリン中に加えながら、0.9mlの精
製ヤギ抗−CEAガンマグロブリンを2mlのPVP/PEGポリマー混合物、pH6.
25(20μlのグルタルアルデヒドを含有する)とボルテックスで混合することにより
反応させた。反応物を20℃で90分間混合した。反応物を2300rpmで60分間、
20℃で遠心した。上清をデカントし、そして沈殿物を1mlのリン酸塩緩衝液中に再懸
濁した。80マイクロリットルのDL−リシンを、再懸濁沈殿物に加え、そして混合した
。反応物を4℃にて一晩静置した。
【0076】
反応物を5000rpmで30分間、20℃にて遠心した。試料を4℃で60時間静置
し、そして次に再度遠心した。上清は透明になり、そしてデカントした。抗−CEA微粒
子を含む沈殿物を10mlのリン酸塩緩衝液(1X)に再懸濁した。
<結合性分析>
放射性CEA(I125)を10%の液体魚ゼラチンを含有するリン酸塩緩衝液で希釈
した。希釈したI125CEAは100μlあたり39313カウントを含有した。
【0077】
各々100μlの希釈I125CEAを含む10本の反応試験管を、以下の表3に示す
ように適当容量再懸濁抗−CEA微粒子を加えて準備した。
【0078】
試験管1−5の中の放射性CEA/抗−CEA微粒子混合物を、2時間震盪しながら冷
蔵庫でインキューベーションした。試験管6−9中の放射性CEA/抗−CEA微粒子混
合物を15分間、室温で震盪しながらインキューベーションした。反応物を3回、10%
の液体魚ゼラチンを含有するリン酸塩緩衝液で洗浄し、1分間高速遠心機で遠心し、そし
てリン酸塩緩衝液に再懸濁した。結果は抗−CEA微粒子が免疫学的に活性であり、そし
て表3に数字で、そして図1にグラフで示すようにCEAと反応することを示す。
【0079】
【表3】

【実施例3】
【0080】
微粒子形成に対するpHの影響
この実験ではIgG微粒子形成能力に対するpHの影響を実証した。
【0081】
<実験法>
PVP/PEGのポリマー混合物を一般的に実施例2(48%の全ポリマー)に記載し
たように調製し、そしてpHを表4に示すように調整した。1ミリリットルの各溶液を各
々7本の遠心管に入れた。
【0082】
【表4】

【0083】
脱イオン水中の100μlの5.0%グルタルアルデヒド(シグマ化学社、セントルイ
ス、モンタナ州)を各試験管に加え、そしてよく混合した。
【0084】
ヒト血漿から精製したヒトIgGの300μlの3X濃厚試料cfを、上記実施例2に
記載したようにボルテックスで混合した。混合物を20℃で1時間混合し、そして物質を
3800RPMで30分間、20℃にて遠心した。上清をデカントし、そして粒子を5m
lの0.5M グリシン(1X PBS緩衝液中)で洗浄し、次に60分間、20℃にて
混合し、そして3800RPMで30分間、20℃で遠心した。上清をデカントし、そし
て粒子を5mlの0.5M グリシン(1X PBS中)で洗浄した。
<観察>
精製IgGを試験管に加え、そして20分間混合した後、凝集サイズの傾向を観察した
。PVP/PEG混合物のpHが上昇すると、形成する凝集物のサイズも大きくなった。
<第一沈殿物>
PVP/PEG混合物のpHが上昇すると、沈殿物は小さくなり、より湿っており、そ
してオレンジ色になった。これらの特徴のこのような注目すべき変化はpH6.6で起こ
った。
【0085】
試験管#7は沈殿物が試験管の壁に付着しないように大変注意深く処理しなければなら
なかった。90%の上清を注意深く使い捨てピペットで取り出した。
<第一再懸濁液>
PVP/PEG混合物のpHと形成した粒子サイズの間には直接的な関係がある。pH
が上昇すると粒子サイズは大きくなった。pH6.6で粒子はpH5.8よりも顕著に大
きかった。
<第二沈殿物>
pH6.6以上で、沈殿物は試験管の壁に付着せず、そして極めて容易に試験管の壁か
ら落ちた。pHが上昇すると沈殿物は黄色からオレンジ色になった。
<第二再懸濁液>
第一再懸濁液と同一。
【0086】
粒子を室温にし、よく混合し、そして次に2600RPMで20℃にて30分間遠心し
た。上清をデカントし、そして沈殿物を5.0mlの0.5M グリシン(1X PBS
緩衝液、pH5.6中)に再懸濁した。洗浄工程は次に3回以上、上清が透明になるまで
繰り返した。
<結論>
PVP/PEG混合物のpHが9.2から4.6に下がると、グルタルアルデヒドの架
橋結合作用により形成した粒子のサイズはより小さくなり、そしてサイズがより均一にな
った。
【実施例4】
【0087】
酵素−標識されたアルブミン微粒子の調製
1.60ミリグラムの鶏卵アルブミンを、実施例2に記載したように調製した2mlのP
VP/PEGポリマー混合物に溶解した。pHを4.5に1N HClで調整した。20
0μlのカッペル(Cappell)アフィニティー精製ウサギ抗−ヤギIgG西洋ワサ
ビペルオキシダーゼ(HRP)結合物を加えた。
2.混合物を30分間、回転させた。
3.10%のグルタルアルデヒド溶液を1:4に希釈し、そして200μlを混合物に加
えた。
4.混合物を30分間、回転させた。
5.混合物を1500rpmで30分間、20℃にて遠心し、そして上清を取り出した。
6.沈殿物をグリシン緩衝液に再懸濁し、そして1500rpmで10分間、20℃にて
2回遠心することにより洗浄した。
7.沈殿物を1%魚ゼラチを含む0.15M Tris塩、pH7.4、2ml全容量、
に再懸濁し、そして粒子を含有した。
<分析>
1.4滴のHRP基質を2つのガラス試験管に加えた。
2.工程7の4滴の再懸濁沈殿物を1つの試験管に加え混合した。
3.工程5の4滴の上清を別のガラス試験管に加え、そして混合した。
<結果>
1.工程5からの上清を含む試験管は透明だった(無色)。
2.工程7からの再懸濁沈殿物を含む試験管はマリンブルー色で、5分間以内で粒子がH
RPにより標識されていることを示した。
【実施例5】
【0088】
抗−HCGポリマー微粒子のインビボ投与
蛍光標識した抗−ヒト絨毛膜ゴナドトロピン(抗−HCG)微粒子をBalb/cマウ
スに注射し、そしてクリアランスを検査した:
体重が35gのメスのマウスにフェノバルビタールを5分間注射した。腹腔を外科的に
露出し、そして27 1/2 ゲージ針を使用して大動脈に蛍光標識した抗−HCGを注
入した。
【0089】
5分後、50μlの血液を採血した。
【0090】
10分後、50μlの血液を採血した。
【0091】
動物は採血時に強く心臓が鼓動しながら依然として生存していた。
【0092】
次にマウスを頸部転位により屠殺した。
<分析>
1.1滴の血液(5分および10分)を、試料用のくぼみを持つスライドガラスに沈殿さ
せ、そして試料をガラスカバースリップで覆った。1滴の油をスリップカバーに塗った。
2.血液試料を高出力を使用して蛍光顕微鏡(Zeiss IIIRS)で検査した。
3.強い蛍光が5分の細胞の回りに観察され、微粒子が動物にすぐには吸収されないこと
を示した。
4.弱い蛍光が10分の試料に観察された。
【実施例6】
【0093】
蛍光−標識されたヒトIgG微粒子の形成に対するポリマー混合物濃度の影響
この実験は抗体微粒子の形成に対するPVP/PEGポリマー濃度の影響を測定するた
めに行った。
<方法>
1容量のPVP/PEGポリマー混合物を実施例2に記載したように調製し、53.3%
濃度のポリマーを有するポリマー混合物を形成し、pHを4.8に調整した。ポリマーの
希釈は0.1M 酢酸ナトリウム、pH5.0を使用して以下の表5に説明するように作
成した:
【0094】
【表5】

【0095】
表5に説明した1mlの各希釈の組を、遠心管に分けた。各試験管に100μlの5%グ
ルタルアルデヒド溶液(400μlの25%グルタルアルデヒドを2.0mlのHOに
加え、そして混合して調製した)を加えた。ポリマー混合物/グルタルアルデヒド溶液を
徹底的にボルテックス混合した。
【0096】
試験管を次に300μlの蛍光標識ヒトIgGと反応させた。精製したヒト抗体を0.
1M グリシン溶液(PBS緩衝液、pH11.0中)中で3Xに濃縮し、そして蛍光イ
ソチオシアネート(0.1M グリシン緩衝液、濃度3mg/ml)で標識した。抗体を
ボルテックス混合しながらポリマー混合希釈物に加え、そして試験管を1時間混合し、続
いて30分間、2500rpmで20℃にて遠心した。 遠心後、上清をデカントし、そ
して沈殿物を5mlの0.5M グリシン(PBS中)に再懸濁した。沈殿物を破壊し、
そしてよく振った。それらを次に30分間、30℃にて2500rpmで遠心した。この
洗浄工程を4回繰り返した。
<結果>
各試験管には反応の開始から異なる外観が現れた。5.3%ポリマーを含有する試験管
はわずかに沈殿し、そのほとんどが試験管の壁に一緒に凝集していた。53.3%ポリマ
ーを含有する試験管は一緒に粘着しない、または試験管の壁に付かないきわめて微細な粒
子を含んでいた。
【0097】
全体的に、ポリマー濃度が増加すると沈殿物質はより微細になり、粘着性が低くなった
。酢酸ナトリウム対照中の固体反応物質は小さくかつ粘着性であった。
【0098】
遠心後、沈殿物のサイズはポリマー濃度に直接比例して増大するように思われた。沈殿
物のオレンジ色の明るさはポリマー濃度に逆比例した。 対照沈殿物は試験管中のポリマ
ー濃度が低いので、大変小さくかつ明るいオレンジ色を表した。沈殿物を0.5M グリ
シン洗浄緩衝液中に分散する容易さもポリマー濃度に関連した。試験管に含まれる沈殿物
のうち、5.3%ポリマー混合物のみが粘着性で、かつ分散し難かったが、各連続的試験
管中の粒子は粘着性が低かった。31.8%以上のポリマー濃度で、粒子は容易に別れた

【0099】
最初の洗浄および遠心の後、色の明るさの勾配が沈殿物中に未だ存在したが、その差異
の程度はより小さかった。上清はフルオレッセインイソチオシアネートが試料から洗い出
されているので明るいオレンジ色であった。第3回の洗浄後、上清は透明であり、そして
沈殿物の色は均一であった。沈殿物間のサイズの差異は変化しなかった。
<結論>
ポリマー濃度は、ポリマー混合物で作成された抗体粒子の特性の決定に明らかな役割を
果たす。40%以上のポリマー濃度では付着しない大変微細な粒子が生成する。またポリ
マー混合物中のポリマー濃度が高いほど、より多数の抗体分子を形成することができる。
【実施例7】
【0100】
ガンマグロブリン微粒子の形成に対するpHの影響
この実験は抗体粒子の形成に対するポリマー混合物をpHの影響を決定するために行っ
た。
<方法>
8本の遠心管のそれぞれに1mlのヤギ血清アリコートを入れた。血清を15分間、1
.8% Triton/3%Brij(シグマ化学社、セントルイス、モンタナ州)溶液
と一緒にインキューベーションした。続いて2mlの40%ポリマー混合物と反応させた
。ポリマー混合物の添加はボルテックス混合しながら行い、そして試験管を30分間混合
した。試験管を次に30分間、3600rpm、20℃で遠心した。上清をデカントし、
そして沈殿物を1mlの0.5M Imidazole(ベーカーケミカル社:Bake
r Chemical Co.)に再懸濁した。すべての試料は容易に、そして透明に再
懸濁した。
【0101】
Imidazole溶液中で15分間インキューベーションした後、ボルテックス混合
しながら試料に1mlのポリマー混合物を加えた。試験管を30分間混合し、そして30
分間、20℃にて3600rpmで遠心した。上清をデカントし、そして沈殿物は1ml
の脱イオン水中に容易に、かつ透明に再懸濁した。試料をpH勾配をもつポリマー混合物
(pHを塩酸で下方に調整し、そして3M Imidazolで上方に調整した)と反応
させた。調整したpH値を以下の表6に記する:
【0102】
【表6】

【0103】
1mlのpHを調整したポリマー混合物を各試験管に加え、続いて10分間混合した。
混合後、各試験管に40μlの25%グルタルアルデヒド(脱イオン水で1:10に希釈
した)を加えた。再度、試験管を10分間混合し、そして30分間、20℃にて3600
RPMで遠心した。試験管をデカントし、そして粒子を1ml 1XPBS中に再懸濁し
た。
<結果>
遠心後、試料はpHに関連して大きさおよび色の両方について明らかな勾配を表した。
1X PBS中に再懸濁する前に、試料1、2および七中の沈殿は他の試験管中のものよ
りもわずかに小さかった。高アルカリ性ではポリマー混合物がタンパク質を沈殿させる能
力を阻害するので、pH9.3の試料中では外観上の沈殿がなかった。酸性pH値の試料
は白色で、勾配にそって黄色−オレンジ色が増加した。また、粒子サイズはpHに直接比
例し、試料1の粒子が大変細かかった。pHが上昇するにつれて、粒子は大きく、そして
より凝集し易くなった。
<結論>
抗体粒子のサイズはポリマー混合物のpHを変化させることにより容易に制御できた。
高pHで、グルタルアルデヒドはタンパク質のアミノ基と大変強い結合を形成し、塩基性
試料の黄色−オレンジ色および全体の粘着性の原因となった。しかし酸性pH値で、グル
タルアルデヒドの効果は低下した。粒子はそれでも形成することができるが、それらはは
るかに微細であり、塩基性ポリマー混合物で作成された粒子よりも凝集し易い傾向が弱く
なる。
【実施例8】
【0104】
IgG微粒子の形成に対するグルタルアルデヒド濃度の効果
この実施例はグルタルアルデヒド量を上昇させてIgG微粒子形成に対する効果を示す
ために行った。
<実験法>
実施例2に記載した1.0mlのポリマー混合物(48%全ポリマー、pH4.8を含
む)を7本の遠心管に入れた。各試験管に表7に示す様々な容量のグルタルアルデヒドを
加えた。
【0105】
【表7】

【0106】
各試験管をよく混合し、そして300μlの精製IgG 3X 濃度(0.1M グリ
シン、pH11.2、緩衝液は2ng/mlのフルオレセインイソチオシアネート(FI
TCを含む)を各試験管に加えた。すべての試験管を20℃にて1時間混合し、次に36
00RPMで20℃にて30分間遠心した。
【0107】
上清をデカントし、そして粒子を5.0ml 0.5M グリシン(1X PBS緩衝
液、pH7.0)中で洗浄した。20℃で30分間混合した。2600RPMで20℃に
て30分間遠心した。この洗浄工程は2回以上繰り返した。
【0108】
粒子を4℃で5.0ml 0.5M グリシン(1X PBS緩衝液、pH7.0)中
で保存した。
<観察>
グルタルアルデヒドの量が増加すると、粒子数およびより濃いオレンジ色が増した。
【0109】
粒子を上清が透明になるまで繰り返して洗浄した。
【0110】
最後の遠心で、試験管の壁に完全に付着しないペレットが生成した。上清は使い捨てピ
ペットで注意深く取り出されなければならず、そして1.0mlの緩衝液を残した。
<結論>
ポリマー混合物(48%全ポリマー)に加えたグルタルアルデヒド量の増加と、形成し
た粒子量の増加の間には直接的な関係があった。グルタルアルデヒドの量(25%水溶液
2μlから200μlの間)は粒子サイズの上昇または減少に対して効果がないようだっ
た。
【実施例9】
【0111】
抗−HCGモノクローナル抗体微粒子のヨード化HCGへの結合の調製およびインビトロ
分析
この実験はPVP/PEGポリマー混合物および種々の濃度のグルタルアルデヒドで、
ヒト絨毛膜ゴナドトロピン(HCG)特異的モノクローナル抗体微粒子を形成し、そして
微粒子がHCG提示抗原に結合する能力を免疫アッセイで実証するために行った。
<実験法>
実施例2に記載した方法により調製した、一緒にプールしておいた2つの1ml精製H
CG抗体試料を解凍した。よく混合した。グルタルアルデヒドのより低比率溶液(25%
水溶液から)を以下の表8に説明するように増加させながら作成した。
【0112】
【表8】

【0113】
150μlのプールしておいたHCG試料を100μlのグルタルアルデヒドパーセン
ト溶液を含む試験管にボルテックス混合しながら加えた。室温で45分間混合した。
【0114】
0.5mlのポリマー混合物(40%全ポリマー、pH6.6)を素早く各試験管に加
え、そして20℃で30分間混合した。3500RPMで4℃にて3分間遠心した。上清
をデカントした。2mlの0.5M グリシン(1X PBS pH7.0)を各試験管
に加え、そして20℃で30分間混合した。3000RPMで4℃にて30分間遠心した
。上清をデカントし、そして粒子を2.0ml 0.5M グリシン(1X PBS中)
に再懸濁した。よく、しかし簡単に混合した。3000RPMで4℃にて3分間遠心した
。洗浄工程をもう1回繰り返した。4℃に一晩静置した。
【0115】
粒子を3000/RPMで4℃にて12分間遠心した。上清をデカントし、そして粒子
を2.0ml 1X PBS中に再懸濁した。
<観察>
粒子サイズの傾向に注目した。グルタルアルデヒドの量が減少すると、粒子数は減少し
たが、粒子のサイズは上昇した。試験管#7(対照)に粒子は観察されなかった。
<免疫アッセイ>
上記のように調製した粒子を含む各試料50μlを6本の試験管の3組(A、Bおよび
C)中に入れた(全部で18本)。
【0116】
総カウント用に25μlのHCGトレーサー(ヨード化HCG抗原、ベクトンデッキン
ソン:Becton Dickinson、サン ジョーズ、カリフォルニア州)をA組
の試験管1−6、およびHCG抗体対照含有試験管に加えた。
【0117】
総カウント用に25μlの小胞刺激ホルモン(FSH)トレーサー(ヨード化FSH抗
原)をB組の試験管1−6、およびFSH抗体対照含有試験管に加えた。
【0118】
総カウント用に25μlのエストラジオールトレーサー(ヨード化エストラジオール抗
原)をC組の試験管1−6、およびエストラジオール抗体対照含有試験管に加えた。
【0119】
すべての試験管を簡単にボステックス混合し、そして60分間、室温に静置した。2.
0mlの脱イオン水を混合し、そして30分間、3000RPMで遠心した。試験管を静
かにデカントした(およそ100マイクロリットルの残りの水を試験管に残した)。
【0120】
すべての試験管を1分間、シンチレーションカウンターで計数した。結果を以下の表9
に示す。
【0121】
【表9】

【0122】
【表10】

【0123】
<結論>
グルタルアルデヒド濃度が減少すると、より少ない抗−HCGモノクローナル抗体微粒
子が形成されたが、その粒子サイズはより大きかった。抗−HCG微粒子はヨード化HC
G抗原と免疫アッセイで結合できる。抗−HCG微粒子は、FSHおよびエストラジオー
ルのような他のヨード化抗原と免疫アッセイで非特異的に結合できない。
【実施例10】
【0124】
破傷風トキソイド微粒子の調製
この実験はPVPおよびPEGポリマー混合物ならびにグルタルアルデヒドで破傷風ト
キソイド微粒子を調製するために行った。
<実験法>
1.0mlの54%PVP/PEGポリマー混合物を遠心管に入れた。100μlのグ
ルタルアルデヒド(25%水溶液)を1つの試験管に入れ、そして10μlのグルタルア
ルデヒドを別の試験管に入れて徹底的にボルテックス混合した。0.5mlの破傷風トキ
ソイド(1.0mg/ml)(公衆衛生部)を両方の試験管に加え徹底的にボルテックス
混合した。
【0125】
室温で4時間15分間混合した。4℃にて3000RPMで30分間遠心した。上清を
デカントし、そして粒子を2.0mlの0.5M グリシン(1XPBS緩衝液中_)に
再懸濁した。4℃に一晩おいた。
【0126】
洗浄工程を2回以上繰り返した。粒子を最終的に0.5mlの1XPBS緩衝液中に再
懸濁した。
<観察>
100μlのグルタルアルデヒドを含む反応は10μlのグルタルアルデヒドを含む反
応よりもより多い粒子を有した。両反応の粒子はサイズが同じであった。粒子は目で見た
ところ大変小さい。
【実施例11】
【0127】
ウシ血清アルブミンポリマー微粒子の調製
この実験はPVP/PEGポリマー混合物ならびにグルタルアルデヒドでウシ血清アル
ブミン(BSA)微粒子の形成を実証し、そしてこの方法で使用する様々な容量のグルタ
ルアルデヒドの効果を観察するために行った。
<実験法>
110mgのBSAを0.1M 11mlのTris(商標)塩基、pH9.0中に入
れた。11mgのFITCを加え、pHを塩基で9.5に調整し、そして20℃で30分
間混合し、蛍光標識BSAを生成した。
【0128】
各々1mlのポリマー混合物(pH5.0、48%全ポリマー)を含む8本の試験管を
用意し、以下の量のグルタルアルデヒド(25%水溶液)を表10に示すように加えた。
【0129】
【表11】

【0130】
簡単に、しかし徹底的にボルテックス混合した。300mlのBSA−FITC溶液を
加えた。7.5時間混合した。
<結論>
各試験管にウシ血清アルブミン微粒子が形成した。グルタルアルデヒドの量を減少させ
ると、より大きな凝集が形成し、さらに小さく細かな粒子がすべての容量のグルタルアル
デヒド(1μlから200μl)で見られた。また、グルタルアルデヒド量を増加すると
、小さい微粒子の数が増加した。
【実施例12】
【0131】
脱水剤として飽和硫酸アンモニウムを使用する免疫グロブリン微粒子の調製
この実験はpH勾配にわたって、飽和硫酸アンモニウムを脱水剤として、そしてグルタ
ルアルデヒドを架橋剤として使用して免疫グロブリン微粒子を調製するために行った。
<実験法>
100mlの飽和硫酸アンモニウム溶液は76.1gの硫酸アンモニム(フィッシャー
科学社:Fisher Scientific、ピッツバーグ、ペンシルべニア州)を1
00mlの脱イオン水、pH5.2に入れて調製した。
【0132】
様々なpHの飽和硫酸アンモニウム溶液は、上記のように調製した溶液のアリコートを
低いpHの場合は氷酢酸で、そして高pH値の場合は2N 水酸化ナトリウムで調整し、
以下の表11に示すように調製した。
【0133】
【表12】

【0134】
各々の飽和硫酸アンモニウム溶液のアリコート0.3mlを15mlの遠心管に入れた

【0135】
50mlのグルタルアルデヒド(25%水溶液)を各試験管に加え、そしてよく混合し
た。
【0136】
0.3mlのヒト血漿由来の精製IgG試料(実施例2に記載したように精製した)を
各試験管に入れた。すべての試験管を次に約15分間、室温で混合した。粒子は精製Ig
G試料を加えるとすぐに形成されるのが観察された。
【0137】
5.0mlの0.5M グリシン(1X PBS緩衝液、pH7.0中)を各試験管に
加えた。試験管をよく混合し、そして2600RPMで30分間、20℃にて遠心した。
【0138】
上清をデカントし、そして粒子を5.0mlの0.5M グリシン(1X PBS緩衝
液、pH7.0中)中で洗浄した。20℃で30分間混合し、そして2600RPMで3
0分間、20℃にて遠心した。この洗浄を3回以上繰り返した。
<観察>
精製IgGをグルタルアルデヒドを含む硫酸アンモニウム(飽和)溶液に加えた直後に
、試験管を混合すると粒子が見られた。
【0139】
飽和硫酸アンモニウム溶液のpHの上昇と、形成した粒子量の増加には直接的な関係が
見られた。
【0140】
粒子サイズは飽和硫酸アンモニウム溶液のpH範囲間で変化しなかった。
【実施例13】
【0141】
脱水剤として飽和硫酸アンモニウムおよびポリエチレングリコールの混合物を使用する
免疫グロブリン微粒子の調製
この実験は脱水剤として飽和硫酸アンモニウムおよびポリエチレングリコール(PEG
)混合物を、そして架橋剤としてグルタルアルデヒドを使用して免疫グロブリン微粒子を
調製するために行った。
<実験法>
100ml容量の飽和硫酸アンモニウム溶液を実施例12に記載したように調製した。
20%のポリエチレングリコール(シグマ、セントルイス、モンタナ州)溶液(0.1M
酢酸ナトリウム、pH4.8中)も調製した。硫酸アンモニウム溶液を小増分で10m
lのPEG溶液に硫酸アンモニウムが沈殿するまで加えた。溶液中に存在した最大の硫酸
アンモニウム容量は1.2mlであった。1mlのこの硫酸アンモニウム/PEG溶液を
8本の各試験管に小分けした。試験管に次に25%グルタルアルデヒド(シグマ、セント
ルイス、モンタナ州)を、以下の表12に特定する量で加えた。
【0142】
【表13】

【0143】
試験管5−8は勾配にそって色反応の増加を示した。色の明るさは時間の経過によって
も増大した。これは硫酸アンモニウムのアミンと反応するグルタルアルデヒドの結果であ
った。試験管1−4は、これらの試験管中のグルタルアルデヒド濃度が大変低いので色が
変化しなかった。
【0144】
3倍濃縮した精製ブタIgG抗体の300μlアリコートをボルテックス混合しながら
各試験管に加えた。試験管を次に60分間混合し、そして3600RPMで20℃にて3
0分間遠心した。
【0145】
上清をデカントし、そして10mlの0.5M グリシン(シグマ、セントルイス、モ
ンタナ州)、pH7.0(リン酸塩緩衝液中)を各沈殿物に加えた。試験管を次によく震
盪し、沈殿物を分散させて4℃にて一晩保存した。
【0146】
翌朝、試験管を30分間3600RPMで20℃にて遠心した。上清をデカントし、そ
して沈殿物を5mlの0.5M グリシン緩衝液で洗浄した。よく震盪した後、試験管を
30分間3600RPMで20℃にて遠心した。遠心後、上清をデカントし、そして沈殿
物に5mlの0.5M グリシン緩衝液を加えた。試験管をよく震盪した。
<結果>
初めの遠心後、沈殿物はサイズおよび色が異なり、沈殿物はグルタルアルデヒド濃度が
増すとより大きく、そして暗くなった。沈殿物を分散させ、そしてよく混合した後、試験
管#1(これはグルタルアルデヒドを加えていない)を除いてすべての試験管に粒子が現
れた。試験管2−7には均一サイズに見える微細な粒子が存在した。しかし、粒子は粘着
性であり、そしてすべての試験管中で凝集する傾向があった。試験管中の粒子量に比べて
凝集化の割合がより大きいのは20μl未満のグルタルアルデヒドを加えた試験管であっ
た。これらの結果は最後の2回の洗浄でも一定していた。
【実施例14】
【0147】
インスリン微粒子の調製
この実験はPVPおよびPEGのポリマー混合物ならびにグルタルアルデヒドを使用し
てインスリン微粒子を調製し、形成した微粒子の濃度を測定し、そしてそれらの免疫活性
をアッセイするために行った。
<微粒子の調製>
ウシ膵臓由来の30mgインスリン(シグマ、セントルイス、モンタナ州)を、3.0
mlの3M HClに加え、乾燥したインスリンを溶解した。pHを8.4から9.0の
間に25μlの2N NaOHを加えて調整した。
【0148】
54%PVP/PEGポリマー混合物、pH5.0のアリコート1.0mlを遠心管に
加えた。以下の量のグルタルアルデヒド(II級、25%水溶液、シグマ化学社、セント
ルイス、モンタナ州)を各試験管に加えた:試験管Aに25μlのグルタルアルデヒド、
試験管Bに50μlのグルタルアルデヒド、試験管Cに100μlのグルタルアルデヒド

【0149】
1.0mlの可溶化インスリンをボルテックス混合しながら各試験管に加えた。20℃
で6−8時間混合し、そして一晩静置した。
【0150】
5.0mlのリシン溶液、pH9.4(10mgリシン/ml脱イオン水中に1mg/
ml アジ化ナトリウムを含む)を使用して粒子を9回洗浄した。洗浄工程は5.0ml
のリシン溶液を粒子に加え、よく、しかし簡単に混合した。2300rpmで、20℃に
て30分間遠心した。上清を吸引し、そして工程を繰り返した。粒子をリシン溶液中で一
晩、4℃にて保存した。
【0151】
粒子を遠心し、上清を吸引し、そして粒子を5.0mlの1Xリン酸塩緩衝液、pH7
.0に再懸濁した。各再懸濁物のpHは以下のとおり:試験管AはpH9.2、試験管B
はpH9.2、試験管CはpH8.8。
【0152】
粒子を遠心し、上清を吸引し、そして粒子を5.0mlの1Xリン酸塩緩衝液、pH7
.0に再懸濁した。各再懸濁物のpHは以下のとおり:試験管AはpH8.0、試験管B
はpH7.4、試験管CはpH7.2。
【0153】
粒子を遠心し、上清を吸引し、そして粒子を5.0mlの1Xリン酸塩緩衝液、pH7
.0に再懸濁した。各再懸濁物のpHは以下のとおり:試験管AはpH7.4、試験管B
はpH7.2、試験管CはpH7.2。
<結果>
形成した粒子は大変小さく、そして細かかった。リシン溶液中で遠心中に、粒子は完全
に固くなることができなかった。リン酸塩緩衝液で洗浄した後、粒子はかなりの程度固く
なることができ、そして粒子の凝集も形成した。
【0154】
試験管Cは最大量の粒子を有した。試験管Bは試験管Aよりも粒子が多かった。したが
って形成された粒子は各試験管に加えたグルタルアルデヒドの量で増大した。
<ヒツジ抗−インスリンペルオキシダーゼアッセイ>
インスリン微粒子の免疫活性は、微粒子が抗−ヒツジインスリンに結合できる能力をヒ
ツジ抗−インスリンペルオキシダーゼアッセイで測定することにより決定した。
【0155】
4本の各試験管を3連で準備した。上記各試験管A、BおよびCから以下の量のインス
リン粒子を、以下の表13に示される各連続した適当な試験管中に入れた。
【0156】
適当量の1Xリン酸塩緩衝液、pH7.0を各試験管に加え、そして最終容量を1.0
mlにした。すべての試験管をよく、しかし簡単に混合した。100μlのヒツジ抗−イ
ンスリンペルオキシダーゼ(バイオデザイン インターナショナル:Biodesign
International、ケンネバンクポート、メリーランド州、5mg/mlタ
ンパク質)を加えた。よく混合した。試験管を室温で4時間10分インキューベーション
した。試験管を4℃に一晩静置した。
【0157】
全連続のすべての試験管を3000rpmで、20℃にて30分間遠心した。粒子が偶
然損失することがないように、約90%だけの上清を注意深く取り出した。1.0mlの
0.2%Tween(商標)表面活性剤(1Xリン酸緩衝塩溶液中)を吸引した試験管に
加え、そしてボルテックス混合した。100μlの各上清を0.5mlの色原体 TM
Blue(商標)(テトラメチルベンジジン、ダイアグノスティク プロダクツセンター
:Center for Diagnostic Products、ミルホード、マサ
チュセッツ州)と反応させた。すべての上清は陽性であった。この全洗浄工程を2回以上
繰り返し、すべての過剰な未反応ヒツジ抗−インスリンペルオキシダーゼを除去した。
【0158】
最後の洗浄後に、上清の90%を吸引し、そして50μlの粒子を各試験管から取り出
し、そして0.2mlのTM Blue(商標)色原体と反応させた。
<結果>
以下の表13に示す結果は、インスリン微粒子が抗−ヒツジインスリンと結合できるこ
とを実証し、これはこれらの粒子が免疫的に活性であることを示している。
【0159】
【化14】

【0160】
<阻害アッセイ>
インスリン微粒子の免疫活性を、微粒子が抗−ヒツジインスリンに結合する能力を阻害
アッセイで測定することにより決定した。
【0161】
5本の各試験管を2連で以下のように準備した。上記反応物AおよびCからの以下の容
量のインスリン粒子を、適当な遠心管中に表14に示すように入れた。
【0162】
100μlのイムノフェイズ インスリン トレーサー(商標:Immunophas
e Insulin Tracer)(ヨード化インスリン、チバコーニング:Ciba
Corning)を両連の試験管に加えた。ボルテックス処理した。1.0μlのIm
munophase(商標)インスリン抗体(チバコーニング)を加えた。ボルテックス
処理した。室温で4時間30分静置した。3000rpmで20℃にて30分間遠心した

【0163】
試験管をシンチレーションガンマーカウンターで1分間計数した。
<結果>
阻害アッセイを使用した以下の表14に示す結果は、インスリン微粒子が抗−ヒツジイ
ンスリンと結合できることを実証し、これはこれらの粒子が免疫的に活性であることを示
している。
【0164】
【表15】

【実施例15】
【0165】
破傷風トキソイド微粒子でのマウスの免疫化
この実験は破傷風トキソイド微粒子でインビボ免疫化の効果を測定するために行った。
【0166】
実験の方法、結果および結論は次のとおりである:
<方法>
破傷風トキソイド微粒子は一般的に実施例10に記載されているように次のように調製
した:
モンタナ州、セントルイスのシグマ化学社から得たポリビニルピロリドン(MW40,
000)およびポリエチレングリコール(MW3500)の27%の各ポリマー溶液を、
27グラムのポリマーを100mlの蒸留水に添加することにより調製した。各ポリマー
溶液のpHは約pH6.25に調整した。このポリマー溶液を1:1で混合してPVP/
PEGポリマー混合物(54%全ポリマー)を作成した。
【0167】
脱イオン水中の100μlの5.0%グルタルアルデヒド(シグマ、セントルイス、モ
ンタナ)溶液を、1.0mlのPVP/PEGポリマー混合物に加え、そして激しくボル
テックッス混合した。
【0168】
公衆衛生部から得た0.5mlの破傷風トキソイド(1.0mg/ml)をPVP/P
EG−グルタルアルデヒド混合物に加え、そして激しくボルテックッス混合した。
【0169】
この混合物を室温で4時間15分間混合し、そして次に4℃にて3000RPMで30
分間遠心した。上清をデカントし、そして粒子を2.0mlの0.5M グリシン(1X
PBS緩衝液中)に再懸濁し、そして4℃に一晩静置した。
【0170】
洗浄工程は2回以上繰り返した。破傷風トキソイド粒子を最後に0.5mlの1X P
BS緩衝液中に再懸濁した。粒子はおよそ50から100ミクロンの間の粒子サイズを有
した。
【0171】
32兎のマウスの群を、FDAプロトコールに従いそれぞれ皮下に2μgの破傷風トキ
ソイド粒子を含有する一次投与量を接種した。2μgの破傷風トキソイド粒子を含有する
二次投与は一次投与の7週間後に投与した。血液試料を一次接種後、2、4、5、8およ
び10週間後にマウスから採血し、そして血中の力価を免疫アッセイで測定した。マウス
に致死量の破傷風トキソイドで一次接種後14週間目に攻撃した。
<結果>
図2に示すように、抗体力価は一次接種4週間目のおよそ10から一次接種10週間目
にはおよそ3000に上昇した。点線は破傷風トキソイドから2アンチトキシン単位の防
御を付与する力価を示す。点線より上の力価はFDA標準により2つの陽性免疫応答を示
す。したがって図2に示すように、マウスは破傷風トキソイド微粒子を接種後、わずか4
週間目に陽性の免疫応答を示した。4から10週間目の抗体力価の上昇は、この微粒子が
破傷風トキソイド抗原をゆっくりと放出していることを示す。 14週間目に投与した致
死量の破傷風トキソイドによる攻撃後に、100%のマウスが生存した。この生存率は破
傷風トキソイドに対して防御を付与する強い免疫応答を示す。
【0172】
この実験の結論として、マウスはすべて健康であった。注射部位の特記すべき炎症およ
び傷痕はなく、そして接種後に有意な体重の減少もなかった。したがって破傷風トキソイ
ド微粒子は皮下投与したとき一般的に無毒性である。
【0173】
この実験は、上記方法により調製した破傷風トキソイド微粒子が、破傷風トキソイド抗
原をゆっくり放出し、陽性の免疫応答を引き起こし、そして悪い副作用無く破傷風トキソ
イドの致死量攻撃に対して防御を与えることを示すデータを提供する。
【実施例16】
【0174】
直鎖ポリマーおよび加熱を使用したアルブミン微粒子の調製
この実験はアルブミンとPVPおよびPEG混合物とを様々な温度でインキューベーシ
ョンすることによりアルブミン微粒子を調製するために行った。
<実験法>
4本の反応試験管に1.0mlのウシ血清アルブミン−FITC溶液(1%のウシ血清
アルブミン(BSA)および10μlの透析したフルオレセインイソチオシアネート(F
ITC)アルブミンを含む)を入れた。2.0mlのポリマー混合物(8.0%PVPお
よび20%のPEGを0.1M 酢酸ナトリウム、pH5.0に含む)をボルテックス混
合しながら各試験管に加えた。
【0175】
反応1は室温で1.5時間混合した。反応2は室温で30分間混合し、そして58℃で
30分間、水浴中にてインキューベーションした。反応3は直ちに58℃の水浴中に30
分間置いた。反応4は室温で30分間混合し、そして次に37℃で30分間、水浴中にて
インキューベーションし、次に58℃の水浴中で30分間インキューベーションした。
【0176】
2.0mlの10%エタノールを各反応混合物に加え、そして簡単に混合した。20℃
にて30分間、3000rpmで遠心した。上清を注意深く吸引した。粒子を2.0ml
のエタノールに再懸濁した。反応混合物1は透明であり、一方2、3および4はくもって
いた。遠心および2.0mlの脱イオン水中に再懸濁し、そして蛍光顕微鏡で検査した。
<結果>
反応混合物1には微粒子が見られなかった。反応混合物2は非−凝集性の直径約1から
10μmの微粒子を含んだ。反応混合物3は非−凝集性の直径約10μmの微粒子と多く
の1μm未満の直径の微粒子を含んだ。反応混合物4は非−凝集性の直径約10μmから
25μmの微粒子、および1μm未満の直径の微粒子をいくらか含んだ。
<実験法>
2連の6本の反応試験管に、1.0mlのウシ血清アルブミン−FITC溶液(1%の
ウシ血清アルブミン(BSA)および10μlの透析したフルオレセインイソチオシアネ
ート(FITC)アルブミンを含む)を入れた。0.5ml、1.0ml、2.0ml、
3.0ml、4.0mlまたは5.0mlのポリマー混合物(8.0%のPVP(MW9
0,000)および20%のPEG(MW3350)を含む、pH5.0)をAの一連の
各試験管にボルテックス混合しながら加えた。0.5ml、1.0ml、2.0ml、3
.0ml、4.0mlまたは5.0mlのポリマー混合物(20%のPVP(MW40,
000)および20%のPEG(MW3350)を含む、pH5.0)をBの一連の各試
験管にボルテックス混合しながら加えた。
【0177】
反応混合物を室温で30分間静置し、そして次に試験管を37−40℃で30分間、水
浴中に置き、次に試験管を56−60℃の水浴中で30分間移した。2mlの10%エタ
ノールを加え、そして室温で30分間、3000rpmで遠心した。上清を吸引し、そし
て微粒子を2.0mlの10%エタノールに再懸濁した。再度15分間遠心し、2.0m
lの脱イオン水に再懸濁し、そして蛍光顕微鏡で検査した。
<結果>
<A連(8.0% PVP/20% PEG)>
0.5mlのポリマー混合物を使用して形成した微粒子は最も均一で、1から3μm
の間の範囲の直径を有した。小さなクラスターが観察された。直径が約25μmの幾つか
の大きい微粒子が見つかった。
【0178】
1.0mlのポリマー混合物を使用して形成した微粒子は0.5mlのものを使用して
形成したものよりも均一性が低く、1から10μmの間の範囲の直径を有した。上記より
も少ないクラスターが観察された。大きな微粒子は見られなかった。
【0179】
2.0mlのポリマー混合物を使用して形成した微粒子は0.5mlのものを使用して
形成したものよりも均一性が低く、1未満から15μmの間の範囲の直径を有した。極め
て少ないクラスターが観察された。大きな微粒子は見られなかった。
【0180】
3.0mlのポリマー混合物を使用して形成した微粒子は0.5mlのものを使用して
形成したものよりも均一性が低く、1未満から20μmの間の範囲の直径を有した。極め
て少ないクラスターが観察された。大きな微粒子は見られなかった。
【0181】
4.0mlのポリマー混合物を使用して形成した微粒子は0.5mlのものを使用して
形成したものよりも均一性が低く、1未満から25μmの間の範囲の直径を有した。クラ
スターおよび大きな微粒子は見られなかった。
【0182】
5.0mlのポリマー混合物を使用して形成した微粒子は0.5mlのものを使用して
形成したものよりも均一性が低く、1未満から30μmの間の範囲の直径を有した。クラ
スターおよび大きな微粒子は見られなかった。
<B連(20% PVP/20% PEG)>
0.5mlのポリマー混合物を使用して形成した微粒子は小さい凝集状態で、それぞれ
が1μm未満の直径の10から20個の間の微粒子を含んだ。直径が約5から20μmの
間の幾つかの大きい微粒子が観察された。
【0183】
1.0mlのポリマー混合物を使用して形成した微粒子は小さい凝集状態で、それぞれ
が1μm未満の直径の10から20個の間の微粒子を含んだ。直径が約5から50μmの
間の幾つかの大きい微粒子がよく観察された。
【0184】
2.0mlのポリマー混合物を使用して形成した微粒子は大きい凝集状態で、直径がサ
ブミクロンの微粒子を含んだ。直径が約1から10μmの間の幾つかの微粒子が観察され
た。
【0185】
3.0mlのポリマー混合物を使用して形成した微粒子は大きい、および小さい凝集状
態であった。時折、個々の直径が約5μmの微粒子が観察された。
【0186】
4.0mlのポリマー混合物を使用して形成した微粒子は小さい凝集状態であり、それ
ぞれが0.5mlのポリマー混合物を使用したときに観察されたものよりも小さい直径の
10−20個の微粒子を含んだ。個々の微粒子は観察されなかった。
【0187】
5.0mlのポリマー混合物を使用して形成した微粒子は、大変小さい微粒子を含んだ
小さいものと大きな凝集物の状態であった。個立した微粒子は観察されなかった。
<実験法>
7本の反応試験管に1.0mlのウシ血清アルブミン−FITC溶液を入れた。0.5
ml、0.75ml、1.0ml、1.25ml、1.5ml、1.75mlまたは2.
0mlのポリマー混合物(20%のPVP(MW40,000)および20%のPEG(
MW3350)を0.1M 酢酸ナトリウム、pH5.0中に含む)を各試験管にボルテ
ックス混合しながら加えた。 反応混合物を室温で30分間静置し、そして次に試験管
を37−40℃で30分間、水浴中に置き、次に試験管を56−60℃の水浴中で30分
間移した。2mlの10%エタノールを加え、そして20℃で30分間、3000rpm
で遠心した。上清を吸引し、そして微粒子を2.0mlの10%エタノールに再懸濁した
。再度15分間遠心し、2.0mlの脱イオン水に再懸濁し、そして蛍光顕微鏡で検査し
た。
<結果>
0.5mlのポリマー混合物を使用して形成した微粒子は、直径が1μm未満の小さい
微粒子の小さな凝集物(凝集物あたり10−20個の間)の状態であった。時折、大きな
単一の微粒子(直径が1−10μmの間)が観察された。
【0188】
0.75mlのポリマー混合物を使用して形成した微粒子は、凝集物あたり約1−10
個の間の小さい凝集物の状態であった。時折、大きな単一の微粒子(直径が1−10μm
の間)が観察された。
【0189】
1.0mlのポリマー混合物を使用して形成した微粒子は、37−40℃でのインキュ
ーベーション中に大きな粘着性凝集物を形成した。凝集物は凝集物あたり約1−5個の間
の微粒子を含んでいた。時折、より大きな単一の微粒子(直径が1−10μmの間)が観
察された。
【0190】
1.25mlのポリマー混合物を使用して形成した微粒子は、56−60℃でのインキ
ューベーション中に凝集物を形成した。凝集物は凝集物あたり約1−5個の間の微粒子を
含んだ。時折、より大きな単一の微粒子(直径が1−10μmの間)が観察された。
【0191】
1.5mlのポリマー混合物を使用して形成した微粒子は、56−60℃でのインキュ
ーベーション中に凝集物を形成した。凝集物は凝集物あたり約1−5個の間の微粒子を含
んだ。幾つかのより大きな単一の微粒子(直径が1−10μmの間)が観察された。
【0192】
1.75mlのポリマー混合物を使用して形成した微粒子は、56−60℃でのインキ
ューベーション中に凝集物を形成した。サイズが小さいので、凝集物中に微粒子が存在す
るのかどうかを測定できなかった。幾つかのより大きな単一の微粒子(直径が1−10μ
mの間)が観察された。
【0193】
2.0mlのポリマー混合物を使用して形成した微粒子は、凝集物あたり10−100
個の微粒子を形成した。直径が1μmの幾つかの単一微粒子が観察された。
【0194】
この実施例ではアルブミン微粒子が、アルブミンおよびPVP/PEG混合物を37−
60℃の温度で約30分間インキューベーションすることにより調製できることを実証し
た。微粒子のサイズおよび凝集形成の程度はアルブミンに加えたPVP/PEGポリマー
混合物の組成または容量を変化させることにより変更できた。
【0195】
本発明のさらなる別の態様を以下に列挙する。
1.脱水剤が中性塩、グリシン、可溶性直鎖または分枝ポリマー、金属イオン、有機カチ
オン、小アニオンおよびポリアニオンから成る群から選択される化合物である、脱水剤に
近接して位置する架橋結合した高分子を含んで成る微粒子組成物。
2.高分子がタンパク質、炭水化物、多糖、核酸分子、ウイルス、ウイルス粒子、医薬品
およびその混合物から成る群から選択される、上記態様1記載の微粒子組成物。
3.タンパク質が免疫グロブリン、抗原および細胞レセプターから成る群から選択される
、上記態様2記載の微粒子組成物。
4.さらに治療用分子を含んで成る上記態様1記載の微粒子組成物。
5.治療用分子が化学療法剤、抗ウイルス剤、抗菌剤、抗寄生虫剤、免疫抑制物質、サイ
トカイン、ホルモン、酵素およびその混合物から成る群から選択される、上記態様1記載
の微粒子組成物。
6.さらに磁気物質を含んで成る上記態様1記載の微粒子組成物。
7.高分子が検出できるラベルで標識されている上記態様1記載の微粒子組成物。
8.検出できるラベルが蛍光色素、化学発光ラベル、磁気粒子、酵素、酵素基質および放
射性ラベルから成る群から選択される、上記態様7記載の微粒子組成物。
9.微粒子がインビトロおよびインビボで安定である上記態様1記載の微粒子組成物。
10.脱水剤がポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールおよびその混合物から成
る群から選択される可溶性の直鎖ポリマーである、上記態様1記載の微粒子組成物。
11.高分子が、ジアルデヒド、アミン、多価イオン、架橋結合された高分子上の特別な
反応基に親和性を有する多官能性分子、N−置換マレイミド、二官能性アルキルハライド
、アリールハライド、イソシアネート、脂肪族または芳香族ジカルボン酸、脂肪族または
芳香族ジスルホン酸、二官能性イミドエステルおよびビニルスルホンから成る群から選択
される化合物で架橋結合されている上記態様1記載の微粒子組成物。
12.微粒子の作成法であって、
a)高分子を脱水剤と、予め定めた温度で粒子が形成するに十分な量の時間インキューベ
ーションし、
b)インキューベーション混合物から粒子を分離する、
工程を含んで成る上記方法。
13.インキューベーション温度が室温よりも高い上記態様1記載の方法。
14.インキューベーション温度が37℃以上で、かつ80℃以下である上記態様12記
載の方法。
15.インキューベーション混合物が5分から24時間の間インキューベーションされる
上記態様12記載の方法。
16.工程a)のインキューベーション混合物がさらに架橋剤を含んで成る上記態様12
記載の方法。
17.インキューベーション温度が室温以下である上記態様16記載の方法。
18.さらにクエンチング剤を含む緩衝液で粒子を洗浄する工程を含んで成る上記態様1
6記載の方法。
19.インキューベーション工程がpH5から8の間で行われる上記態様12記載の方法

20.脱水剤が中性塩、グリシン、水溶性有機溶媒、可溶性直鎖または分枝ポリマー、金
属イオン、有機カチオン、小アニオンおよびポリアニオンから成る群から選択される化合
物である請求の範囲第12項記載の方法。
21.脱水剤がポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールおよびその混合物から成
る群から選択される可溶性の直鎖ポリマーである、上記態様12記載の方法。
22.脱水剤が分子量約40,000のポリビニルピロリドンおよび分子量約3500の
ポリエチレングリコールの混合物である、上記態様12記載の方法。
23.架橋剤がジアルデヒド、アミン、多価イオン、架橋結合された高分子上の特別な反
応基に親和性を有する多官能性分子、N−置換マレイミド、二官能性アルキルハライド、
アリールハライド、イソシアネート、脂肪族または芳香族ジカルボン酸、脂肪族または芳
香族ジスルホン酸、二官能性イミドエステルおよびビニルスルホンから成る群から選択さ
れる上記態様16記載の方法。
24.高分子がタンパク質、炭水化物、多糖、核酸分子、ウイルス、ウイルス粒子、医薬
品およびその混合物から成る群から選択される、上記態様12記載の方法。
25.標的分子を該分子を含む複雑な混合物から単離する方法であって、
a)複雑な混合物を、標的分子に親和性を有する高分子微粒子と標的分子が高分子に結合
するのに十分な時間混合し、
ここで微粒子は脱水剤に近接して架橋結合された液相中の高分子
を含んでなる、そして
b)結合した標的分子を複雑な混合物から分離する、
工程を含んで成る、上記方法。
26.微粒子が固定されている請求の範囲第25項記載の方法。
27.高分子がタンパク質、炭水化物、多糖、核酸分子、ウイルス、ウイルス粒子、医薬
品およびその混合物から成る群から選択される、上記態様25記載の方法。
28.標的分子がタンパク質、炭水化物、核酸分子、ウイルスおよび細胞から成る群から
選択される、上記態様25記載の方法。
29.治療薬を患者に送達する方法であって、患者に脱水剤に近接して架橋結合された高
分子を含んで成る微粒子組成物を治療的に有効な量を投与することを含んで成り、ここで
高分子が治療薬を含んで成る上記方法。
30.治療薬が化学療法剤、抗ウイルス剤、抗菌剤、抗寄生虫剤、免疫抑制物質、サイト
カイン、ホルモン、酵素およびその混合物から成る群から選択される、上記態様29記載
の方法。
31.高分子がタンパク質、炭水化物、多糖、核酸分子、ウイルスおよびウイルス粒子、
医薬品およびその混合物から成る群から選択される、上記態様29記載の方法。
32.患者の標的組織を検出する方法であって、
a)患者に脱水剤に近接して架橋結合された高分子を含んで成る微粒子組成物を有効量で
投与し、
ここで高分子は検出できる造影剤で標識された標的組織に特異的
な親和性分子を含んでなるものであり、そして
b)検出できる造影剤を検出する、
工程を含んで成る、上記方法。
33.検出できる造影剤が蛍光色素、化学発光ラベル、磁気粒子、酵素、酵素基質および
放射性ラベルから成る群から選択される、上記態様31記載の方法。
34.高分子がタンパク質、炭水化物、多糖、核酸分子、ウイルスおよびウイルス粒子お
よびその混合物から成る群から選択される、上記態様32記載の方法。
35.試料中の標的生体分子を検出する方法であって、
a)脱水剤に近接して架橋結合された高分子を含んで成る微粒子組成物を試料と混合し、
ここで高分子は検出できる造影剤で標識された標的生体分子に特異的な親和性分子を
含んでなる、そして
b)検出でき造影剤を検出する、
工程を含んで成る、上記方法。
36.検出できる造影剤が蛍光色素、化学発光ラベル、磁気粒子、酵素、酵素基質および
放射性ラベルから成る群から選択される、上記態様35記載の方法。
37.高分子がタンパク質、炭水化物、多糖、核酸分子、ウイルスおよびウイルス粒子お
よびその混合物から成る群から選択される、上記態様35記載の方法。
38.a)中性塩、グリシン、可溶性直鎖または分枝ポリマー、金属イオン、有機カチオ
ン、小アニオンおよびポリアニオンから成る群から選択される脱水剤、および
b)ジアルデヒド、アミン、多価イオン、架橋結合された高分子上の特別な反応基に親和
性を有する多官能性分子、N−置換から成る群から選択される架橋剤、
を含んで成る微粒子を調製するためのキット。
【図面の簡単な説明】
【0196】
【図1】抗−発癌性胎芽抗原微粒子濃度に対する1分間あたりの結合放射性発癌性胎芽抗原の計数(カウント)を表すグラフである。
【図2】破傷風トキソイド粒子の一次および二次投与で免疫化した後の週に対する抗体価を表すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶液中で1または複数の高分子から形成される高分子粒子。
【請求項2】
前記水溶液がさらに、ポリマー、架橋剤またはそれらの混合物を含む、請求項1に記載の高分子粒子。
【請求項3】
前記高分子がイムノグロブリンまたはインスリンである、請求項1に記載の高分子粒子。
【請求項4】
前記1または複数の高分子が架橋されたものである、請求項1に記載の高分子粒子。
【請求項5】
前記高分子が薬学的化合物である、請求項1に記載の高分子粒子。
【請求項6】
前記高分子が酵素または蛍光源と結合しているものである、請求項1に記載の高分子粒子。
【請求項7】
前記水溶液は、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、デキストラン、ノニルフェノールエトキシレート、ポリビニルアルコールまたはその混合物をさらに含む、請求項1に記載の高分子粒子。
【請求項8】
前記水溶液は、ポリエチレングリコールの重量以下の重量での量でポリビニルピロリドンが存在する混合物をさらに含む、請求項1に記載の高分子粒子。
【請求項9】
球体または楕円の粒子の形態で高分子が存在する、高分子粒子。
【請求項10】
前記高分子がタンパク質である、請求項9に記載の高分子粒子。
【請求項11】
前記高分子がイムノグロブリンまたはインスリンである、請求項9に記載の高分子粒子。
【請求項12】
前記高分子粒子が1ミクロン未満から10ミクロンまでの直径を有する、請求項9に記載の高分子粒子。
【請求項13】
球体粒子の形態でタンパク質が存在する、球体タンパク質粒子。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−297633(P2007−297633A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−131091(P2007−131091)
【出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【分割の表示】特願平6−520171の分割
【原出願日】平成6年3月4日(1994.3.4)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【出願人】(501453189)バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム (289)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER HEALTHCARE S.A.
【Fターム(参考)】