説明

高分子組成物の製造方法および製造装置

【課題】均一分散性に優れた高分子組成物を製造するための方法および装置を提供すること。
【解決手段】少なくとも1種類の高分子を含む高分子混合物を溶融状態で、平行な2つの面の間隙に2回以上通過させることを特徴とする高分子組成物の製造方法。被処理物を流入させるための流入口5および処理された物を吐出させるための吐出口6を備え、該流入口5と吐出口6との間の被処理物の流路において、平行な2つの面の間隙を2ヶ所以上(例えば2a、2b)有することを特徴とする高分子組成物の製造装置10A。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般消費用、工業用または食用として広範な用途に用いられる高分子組成物の製造方法および製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
少なくとも1種類の高分子を含む2種以上の化合物を混練して高分子組成物を製造する方法として、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなどのバッチ式装置を用いるバッチ式製造法や、一軸混練装置、二軸混練装置、石臼式混練装置などの連続式装置を用いる連続式製造法が知られている。これらの装置の中では、伸張流動と剪断流動が起こり、高分子およびその配合剤あるいは複数の高分子のブレンド、ポリマーアロイなどの高分子組成物が製造される。例えば、特許文献1では樹脂やゴムなど高分子組成物を製造するための公知の技術がまとめられている。
【0003】
しかしながら、高分子組成物を公知の混練装置あるいは混練方法を用いて製造しても、高分子組成物を構成する各成分の均一混合が困難であり、特に高分子組成物に含まれる添加剤の均一分散が困難であった。そのため、得られた高分子組成物を用いて製造された成形体の物性をその用途で要求されるレベルまで制御できないという問題があった。
【0004】
例えば、導電剤を絶縁体高分子に分散させて半導体高分子を製造するときに、半導体高分子の抵抗をばらつきが小さくなるように制御することは困難であった。また例えば、いわゆる相溶性が互いに低い2種類の高分子をブレンドしてポリマーアロイを製造するときに、ポリマーアロイ中で分散されるポリマー粒子の粒径を1μ未満で制御したりすることは困難であった。
【特許文献1】「混練・分散の基礎と先端的応用技術」(2003/11/30発行、テクノシステム)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、均一分散性に優れた高分子組成物を製造するための方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、少なくとも1種類の高分子を含む高分子混合物を溶融状態で、平行な2つの面の間隙に2回以上通過させることを特徴とする高分子組成物の製造方法に関する。
【0007】
本発明はまた、被処理物を流入させるための流入口および処理された物を吐出させるための吐出口を備え、該流入口と吐出口との間の被処理物の流路において、平行な2つの面の間隙を2ヶ所以上有することを特徴とする高分子組成物の製造装置に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、各種成分が十分に均一に分散された高分子組成物を製造できる。そのため、電気的特性や、靭性、剛性、および弾性等力学的特性の各種物性に優れた製品または半製品を容易に製造できる。
【0009】
例えば、導電剤を絶縁体高分子に分散させて半導体高分子を製造するとき、本発明によれば、10−9S/m以下の低導電率領域、あるいは環状ベルト形状であった場合にその表面抵抗が10Ω/□以上の高抵抗領域でも、抵抗ばらつきが十分に低減された半導体高分子を製造できる。
【0010】
また例えば、いわゆる相溶性が互いに低い2種類の高分子をブレンドしてポリマーアロイを製造するとき、本発明によれば、ポリマーアロイ中で分散されるポリマー粒子の粒径が1μ未満で制御されたポリマーアロイを製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(高分子組成物の製造方法および製造装置)
本発明に係る高分子組成物の製造方法は、溶融状態の高分子混合物に対して間隙通過処理を行うことを特徴とする。
【0012】
高分子混合物は少なくとも1種類の高分子を含む2種類以上の化合物の混合物である。高分子混合物に含まれる高分子としては、特に制限されず、公知の高分子が使用可能である。例えば、ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下、PPS樹脂という)、ナイロン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(以下、ABS樹脂という)などの(社)高分子学会高分子ABC研究会編 ポリマーABCハンドブック(2001年1月1日発行、エヌティーエス)に記載された高分子である。
【0013】
高分子のガラス転移点は、間隙通過処理時の高分子混合物の粘度が加熱によって後述する範囲内に制御できれば特に制限されるものではなく、例えば−70〜300℃、好ましくは10〜250℃である。
本明細書中、ガラス転移点は示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ株式会社製)によって測定された値を用いている。
【0014】
高分子混合物には2種類以上の高分子が含まれてよい。2種類以上の高分子が含まれても、それらの高分子は十分に均一に混合・分散される。
【0015】
高分子混合物に含まれる2種類以上の高分子は、熱可塑性樹脂、エラストマー、熱可塑性エラストマー(TPE)の中から選ばれる。例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレンー酢酸ビニルコポリマー(EVA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポレチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ABS樹脂(ABS)、AS樹脂(AS)、アクリル樹脂(PMMA)、ナイロン(ポリアミド、PA)、ポリアセタール(POM)、ポリオレフェニレンオキシド(PPO)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレネーテル(m−PPE)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、フッ素樹脂(FR)、ポリアリレート(PAR)、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド(PI)、天然ゴム(NR)、ポリブタジエン(BR)、ポリスチレンブタジエン(SBR)、ポリイソプレン(IR)、熱可塑性ポリウレタンゴムなど(社)高分子学会高分子ABC研究会編ポリマーABCハンドブック(NTS)に記載された高分子の中から選ばれる組合せである。
【0016】
有効な組合せとしては、PPS+PA、PPS+PTFE,PPS+PPE、PPS+PES、PPS+PEEK、PPS+PAI、PPS+PSF、PPS+PKS、PPS+PC、PPS+PEI、PPS+PETをはじめPPSとポリエステル系樹脂との組合せ、PPS+PEをはじめPPSとポリオレフィン系樹脂の組合せ、PPSとエポキシ樹脂の組合せ、PE+PMMA、PE+EVA、PS+PEをはじめPSとポリオレフィン系樹脂との組合せ、PS+PVC、PS+PPE、PS+TMPC、AS+TMPC、AS+PMMA、AS+PVC、AS+MMA、PC+ABS、PC+PS、PC+PA、PC+PMMA、PC+PBT、PC+PET、PA+PEをはじめとするPAとポリオレフィン系樹脂、PA+PPO、PVC+EVA、PVC+PEをはじめとするPVCとポリオレフィン系樹脂、PVC+NBR、PVC+TPFE、PP+PE、PP+ニトリルゴムなどであり、通常必要な相溶化剤の添加が無くとも本発明の方法を用いると高分子の高次構造が小さくなるなど良好な結果が得られる。特に以下に示す組み合わせで使用されると本発明の効果が顕著に現れるので好ましい。中でも(1)の組み合わせでは、PPS樹脂の高難燃性とナイロン樹脂の高靭性を備えることが可能となる。
(1)PPS+PA;
(2)PC+ABS。
【0017】
上記組み合わせにおいてそれらの高分子は一般に互いに相溶性が低いために、十分に均一に混合・分散させることが困難であるが、そのような組み合わせであっても、十分に均一に混合・分散され得る。
【0018】
上記組み合わせにおいて各種樹脂の割合は特に制限されることなく、均一な混合・分散を達成できる。特に、例えば組み合わせ(1)においてPPS樹脂/ナイロン樹脂の含有比率は重量比で99/1〜70/30、特に97/3〜85/15が好ましい。また例えば組み合わせ(2)においてポリカーボネート樹脂/ABS樹脂の含有比率は重量比で20/80〜80/20、特に20/80〜60/40が好ましい。
【0019】
高分子混合物には、得られる高分子組成物の用途に応じて、各種添加剤が含まれてよい。添加剤が含まれても、当該添加剤は十分に均一に混合・分散され得る。添加剤は各種用途で公知のものが使用可能であり、例えば、導電剤(導電性付与剤)、強化剤、酸化防止剤、熱安定剤、結晶核剤、紫外線防止剤、着色剤、難燃剤などが挙げられる。
【0020】
導電剤としては、含有されることによって導電性を付与できるものであれば特に制限されない。例えば、電子写真用転写ベルトの分野で従来から使用されている公知の導電剤が使用可能である。そのような導電剤の具体例として、例えば、カーボン;アンチモンドープ酸化スズ、インジウムドープ酸化スズ、酸化第二スズゾル、酸化亜鉛、導電性ペロブスカイト等の導電性金属酸化物微粒子;ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリアニリンの導電性高分子等が挙げられる。経済的に導電性を付与するにはカーボンが好ましく使用される。カーボンは一般に樹脂中において分散され難いが、本発明においてはカーボンを十分に均一に分散させ得るためである。
【0021】
導電剤の含有量は特に制限されず、通常はポリマー成分合計量100重量部に対して2〜30重量部であり、特に高分子組成物の表面抵抗を1010Ω/□程度にする観点からは、2〜20重量部が好ましい。2種類以上の導電剤が含有される場合、それらの合計量が上記範囲内であればよい。
【0022】
強化剤は強度、剛性、耐熱性、寸法安定性などのさらなる向上を達成するものである。強化剤としては繊維状および/または粒状の強化剤が使用できる。
【0023】
繊維状強化剤としては、ガラス繊維、シラスガラス繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維などの無機繊維および炭素繊維等が挙げられる。
粒状の強化剤としては、ワラステナイト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、ベントナイト、アスベスト、タルク、アルミナシリケートなどの珪酸塩、アルミナ、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタンなどの金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、ガラス・ビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素、シリカなどが挙げられ、これらは中空であってもよい。
【0024】
強化剤の含有量は特に制限されず、通常はポリマー成分合計量100重量部に対して1〜40重量部であり、靭性の観点からは、1〜20重量部が好ましい。2種類以上の強化剤が含有される場合、それらの合計量が上記範囲内であればよい。
【0025】
添加剤の総含有量は、分散性、耐酸化性、難燃性などの機能のさらなる向上の観点から、ポリマー成分合計量100重量部に対して1〜20重量部、特に1〜15重量部が好ましい。
【0026】
本発明においては上記した高分子混合物を溶融状態で間隙通過処理する。
【0027】
間隙通過処理とは、高分子混合物を溶融状態で、平行な2つの面の間隙に通過させる処理であり、本発明において当該間隙通過処理を2回以上、好ましくは3〜1000回行う。これによって、高分子混合物に含まれる各成分の十分に均一な混合・分散が達成される。間隙を1回だけ通過させても、均一な混合・分散は十分に達成できない。たとえ、間隙における高分子混合物の移動方向の距離を長くしても、当該間隙を1回通過させただけでは、均一な混合・分散は十分に達成できない。間隙通過処理は、一軸あるいは二軸混練機で混練後行うことによりその回数を減らすことが可能で、例えば二軸混練機の先に取り付けた装置で連続的に行う場合には、3から10回まで回数を減らすことができる。
【0028】
本発明の効果が得られるメカニズムの詳細は明らかではないが、以下のメカニズムに基づくものと考えられる。溶融状態の高分子混合物が間隙に入るとき、高分子混合物が受ける圧力および高分子混合物の移動速度が大きく変化する。このとき、溶融物に対して剪断作用、伸長作用および折りたたみ作用が有効に働くものと考えられる。そのため、そのような変化を高分子混合物が2回以上受けることにより、結果として各成分の十分に均一な混合・分散が有効に達成されるものと考えられる。
【0029】
間隙通過処理は、間隙を2ヶ所以上で有する装置において当該間隙を1回ずつ通過させることによって達成されてもよいし、または間隙を1ヶ所だけ有する装置を用いて2回以上処理を繰り返すことによって達成されてもよい。連続運転の効率性の観点からは、間隙通過処理は、間隙を2ヶ所以上で有する装置において当該間隙を1回ずつ通過させることによって達成されることが好ましい。
【0030】
2以上の間隙における平行な2つの面間距離xはそれぞれ独立して7mm以下、特に0.05〜7mmであり、より均一な混合・分散、装置の小型化、およびベントアップの防止の観点からは、0.5〜5mmが好ましく、より好ましくは0.5〜3mmである。面間距離が大きすぎる間隙を通過させても、十分に均一な混合・分散は達成できない。
【0031】
2以上の間隙における高分子混合物の移動方向MDの距離yはそれぞれ独立して2mm以上であればよく、処理の効果のさらなる向上の観点からは、3mm以上が好ましく、より好ましくは5mm以上、さらに好ましくは10mm以上である。距離yの上限値は特に制限されるものではないが、長すぎると、効率が悪いだけでなく、高分子混合物を移動方向MDで移動させるための圧力を大きくする必要があり経済的ではない。よって距離yはそれぞれ独立して2〜100mmが好ましく、より好ましくは3〜50mm、さらに好ましくは5〜30mmである。
【0032】
2以上の間隙における幅方向WDの距離zは特に制限されず、例えば、20mm以上であり、通常は100〜1000mmである。
【0033】
高分子混合物が溶融状態で間隙を通過するときの流速は間隙の断面積1cmあたりの値で1g/分以上であればよく、本発明の効果において上限は特に制限はないが、あまり大きくなると装置の設置面積が大きくなり経済的ではない。好ましくは10〜5000g/分、より好ましくは10〜500g/分である。
【0034】
本明細書中、断面積とは、移動方向MDに対する垂直断面における面積を意味するものとする。
流速は吐出口から吐出される高分子混合物の吐出量(g/分)を間隙の断面積(cm)で除することによって測定できる。
【0035】
間隙通過処理時の高分子混合物の粘度は、上記間隙通過時の流速が達成される限り特に制限されず、加熱温度によって制御できる。当該粘度は例えば、1〜10000Pa・sであり、好ましくは10〜8000Pa・sである。
高分子混合物の粘度は粘弾性測定装置MARS(ハーケー社製)によって測定された値を用いている。
【0036】
溶融状態の高分子混合物を移動方向MDに移動させるための圧力は、上記間隙通過時の流速が達成される限り特に制限されず、大気圧力との差圧で示される樹脂圧力で0.1MPa以上が好ましい。樹脂圧力は間隙における樹脂の吐出口から1mm以上内側で計測した高分子混合物の圧力であり、圧力計で直接計測することによって測定できる。圧力は高いほど効果的であるが樹脂圧力が高すぎると著しい剪断発熱が生じ、高分子の分解に至る場合があるので、樹脂圧力は500MPa以下が好ましく、より好ましくは50MPa以下である。この樹脂圧力については、良好な物性を示す高分子組成物を製造するための目安を示したもので、記載した樹脂圧力以外で本発明の目的を達成できるならばこれに制限を加えるものではない。
【0037】
間隙通過処理時の高分子混合物の温度は、上記間隙通過時の流速が達成される限り特に制限されないが、400℃を超える高温度では高分子の分解が生じるので400℃以下が推奨される。また当該高分子混合物温度は、高分子のTg以上の温度であると樹脂圧力が著しく高くならないので好ましい。2種類以上の高分子を使用する場合、それらの割合と各Tgから加重平均により算出される値をTgとする。例えば、高分子AのTgがTg(℃)、使用割合がR(%)であり、高分子BのTgがTg(℃)、使用割合がR(%)であるとき(R+R=100)、「(Tg×R/100)+(Tg×R/100)」をTgとする。
間隙通過処理時の高分子混合物温度は、当該処理を行う装置の加熱温度を調整することによって制御できる。
【0038】
本発明において通常は、間隙通過処理の直前に、高分子混合物を押出混練機により溶融・混練し、混練後に押し出された溶融状態の高分子混合物に対して間隙通過処理を所定回数で行う。溶融・混練方法は特に制限されず、例えば、剪断力を利用した公知の押出混練機が使用できる。具体的には、例えば、二軸押出混練機KTX46(神戸製鋼社製)等のような押出混練機を用いることができる。
溶融・混練条件は、特に制限されず、例えばスクリュー回転数は50〜1000rpmが採用可能であり、溶融混練温度は上記した間隙通過処理時の高分子混合物の温度と同様の温度が採用可能である。
【0039】
以下、間隙通過処理を行う高分子組成物の製造装置を示す図面を用いて、間隙通過処理方法について具体的に説明する。そのような高分子組成物の製造装置は、被処理物を流入させるための流入口および処理された物を吐出させるための吐出口を備え、当該流入口と吐出口との間の被処理物の流路において、平行な2つの面の間隙を2ヶ所以上で有するものである。
【0040】
例えば、間隙通過処理を2回行う高分子組成物の製造装置の一例を図1に示す。図1(A)は、間隙通過処理を2回行う高分子組成物の製造装置について上面から装置内部を透視したときの概略透視図であり、図1(B)は、図1(A)の装置のP−Q断面における概略断面図である。図1の装置は全体として略直方体形状を有するものである。図1の装置は流入口5を押出混練機(図示しない)の吐出口に連結させておくことによって、当該押出混練機の押出力を、高分子混合物の移動の推進力として利用し、溶融状態の高分子混合物を全体として移動方向MDに移動させ、間隙2a、2bを通過させることができる。このように図1の装置は押出混練機の吐出口に連結させて使用されるため、ダイと呼ぶこともできる。
【0041】
図1の装置は、具体的には、被処理物を流入させるための流入口5および処理された物を吐出させるための吐出口6を備え、流入口5と吐出口6との間の被処理物の流路において、平行な2つの平面からなる間隙を2ヶ所(2a、2b)で有する。通常はさらに、間隙2a、2bそれぞれの直前に断面積が当該間隙の断面積よりも大きい溜まり部1a、1bを有する。処理時において押出混練機から押し出された高分子混合物は溶融状態で、当該押出混練機の押出力に基づいて、図1の装置10Aにおける流入口5から溜まり部1aに流入し、幅方向WDに広がる。次いで、高分子混合物は移動方向MDおよび幅方向WDで連続的に、間隙2aを通過して溜まり部1bに移動し、その後、さらに間隙2bを通過し、吐出口6から吐出される。
本明細書中、溜まり部の断面積は、移動方向MDに対する垂直断面における当該溜まり部の最大の断面積を意味する。
【0042】
図1において間隙2a、2bにおける平行な2つの面間距離x、xは前記距離xに相当し、それぞれ独立して前記距離xと同様の範囲内であればよい。
【0043】
図1において間隙2aにおける移動方向MDの距離yおよび間隙2bにおける移動方向MDの距離yは前記距離yに相当し、それぞれ独立して前記距離yと同様の範囲内であればよい。
【0044】
図1において間隙2a、2bにおける幅方向WDの距離zは前記距離zに相当し、それぞれ独立して前記距離zと同様の範囲内であればよく、通常は共通の値である。
【0045】
図1において溜まり部1a、1bにおける最大高さh、hはそれぞれ、直後の間隙2a、2bの面間距離x、xより大きい値であり、通常はそれぞれ独立して3〜100mm、好ましくは3〜50mmである。
【0046】
本明細書中、溜まり部の最大高さは、直方体形状の装置の場合、幅方向WDに対する垂直断面における最大高さを意味するものとする。
【0047】
図1において間隙2aの断面積S2aとその直前の溜まり部1aの最大断面積S1aとの比率S1a/S2aおよび間隙2bの断面積S2bとその直前の溜まり部1bの最大断面積S1bとの比率S1b/S2bはそれぞれ独立して1.1以上、特に1.1〜1000であり、より均一な混合・分散、装置の小型化、およびベントアップの防止の観点からは2〜100が好ましく、より好ましくは3〜15である。それらの断面積比率が小さすぎると、十分に均一な混合・分散は達成できない。
【0048】
図1において溜まり部1aにおける移動方向MDの距離mおよび溜まり部1bにおける移動方向MDの距離mはそれぞれ独立して1mm以上であればよく、連続運転の効率の観点からは、2mm以上が好ましく、より好ましくは5mm以上、さらに好ましくは10mm以上である。距離mおよびmの上限値は特に制限されるものではないが、長すぎると、効率が悪いだけでなく、流入口5に連結される押出混練機の押出力を大きくする必要があり経済的ではない。よって距離mおよびmはそれぞれ独立して1〜300mmが好ましく、より好ましくは2〜100mm、さらに好ましくは5〜50mmである。
【0049】
また例えば、間隙通過処理を3回行う高分子組成物の製造装置の一例を図2に示す。図2(A)は、間隙通過処理を3回行う高分子組成物の製造装置について上面から装置内部を透視したときの概略透視図であり、図2(B)は、図2(A)の装置のP−Q断面における概略断面図である。図2の装置は全体として略直方体形状を有するものである。図2の装置は流入口5を押出混練機(図示しない)の吐出口に連結させておくことによって、当該押出混練機の押出力を、高分子混合物の移動の推進力として利用し、溶融状態の高分子混合物を全体として移動方向MDに移動させ、間隙2a、2b、2cを通過させることができる。このように図2の装置もまた押出混練機の吐出口に連結させて使用されるため、ダイと呼ぶことができる。
【0050】
図2の装置は、具体的には、被処理物を流入させるための流入口5および処理された物を吐出させるための吐出口6を備え、流入口5と吐出口6との間の被処理物の流路において、平行な2つの平面からなる間隙を3ヶ所(2a、2b、2c)で有する。通常はさらに、間隙2a、2b、2cそれぞれの直前に、断面積が直後の間隙の断面積よりも大きい溜まり部1a、1b、1cを有する。処理時において押出混練機から押し出された高分子混合物は溶融状態で、当該押出混練機の押出力に基づいて、図2の装置10Bにおける流入口5から溜まり部1aに流入し、幅方向WDに広がる。次いで、高分子混合物は移動方向MDおよび幅方向WDで連続的に、間隙2aを通過して溜まり部1bに移動し、その後、さらに間隙2bを通過して溜まり部1cに移動し、最後に間隙2cを通過し、吐出口6から吐出される。
【0051】
図2において間隙2a、2b、2cにおける平行な2つの面間距離x、x、xは前記距離xに相当し、それぞれ独立して前記距離xと同様の範囲内であればよい。
【0052】
図2において間隙2aにおける移動方向MDの距離y、間隙2bにおける移動方向MDの距離yおよび間隙2cにおける移動方向MDの距離yは前記距離yに相当し、それぞれ独立して前記距離yと同様の範囲内であればよい。
【0053】
図2において間隙2a、2b、2cにおける幅方向WDの距離zは前記距離zに相当し、それぞれ独立して前記距離zと同様の範囲内であればよく、通常は共通の値である。
【0054】
図2において溜まり部1a、1b、1cにおける最大高さh、h、hはそれぞれ、直後の間隙2a、2b、2cの面間距離x、x、xより大きい値であり、通常はそれぞれ独立して、図1における最大高さh、hと同様の範囲内である。
【0055】
図2において間隙2aの断面積S2aとその直前の溜まり部1aの最大断面積S1aとの比率S1a/S2a、間隙2bの断面積S2bとその直前の溜まり部1bの最大断面積S1bとの比率S1b/S2bおよび間隙2cの断面積S2cとその直前の溜まり部1cの最大断面積S1cとの比率S1c/S2cはそれぞれ独立して、図1における比率S1a/S2aおよび比率S1b/S2bと同様の範囲内である。
【0056】
図2において溜まり部1aにおける移動方向MDの距離m、溜まり部1bにおける移動方向MDの距離mおよび溜まり部1cにおける移動方向MDの距離mはそれぞれ独立して、図1における距離mおよび距離mと同様の範囲内である。
【0057】
本明細書中、「平行」は、2つの平面の間で達成される平行関係だけでなく、2つの曲面の間で達成される平行関係も含む概念で用いるものとする。すなわち、図1および図2において間隙2a、2b、2cは平行な2つの平面からなっているが、これに制限されるものではなく、例えば、図3に示す間隙2aや図4に示す間隙2a、2b、2cのように、平行な2つの曲面からなっていてもよい。「平行」は、2つの面の関係において、それらの間の距離が一定であることを意味し、装置製造時の精度を考慮して、厳密に「一定」であることを要さず、実質的に「一定」であればよい。従って、「平行」は本発明の目的が達成される範囲内で「略平行」であってよい。略直方体形状の装置において、幅方向WDに対する垂直断面における間隙の形状および位置は幅方向において変わらないものとする。略円柱体形状の装置において、軸を通る断面における間隙の形状および位置は装置の軸を軸とした周方向において変わらないものとする。
【0058】
図3は、間隙通過処理を2回行う高分子組成物の製造装置の一例を示す。図3(A)は、間隙通過処理を2回行う高分子組成物の製造装置について上面から装置内部を透視したときの概略透視図であり、図3(B)は、図3(A)の装置のP−Q断面における概略断面図である。図3の装置は全体として略直方体形状を有するものである。図3の装置は流入口5を押出混練機(図示しない)の吐出口に連結させておくことによって、当該押出混練機の押出力を、高分子混合物の移動の推進力として利用し、溶融状態の高分子混合物を全体として移動方向MDに移動させ、間隙2a、2bを通過させることができる。このように図3の装置もまた押出混練機の吐出口に連結させて使用されるため、ダイと呼ぶことができる。
【0059】
図3の装置は、間隙2aが平行な2つの曲面からなること以外、図1の装置と同様であるため、図3の装置の詳しい説明を省略する。
【0060】
図4は、間隙通過処理を3回行う高分子組成物の製造装置の一例を示す。図4(A)は、間隙通過処理を3回行う高分子組成物の製造装置の概略見取り図であり、図4(B)は、図4(A)の装置の軸を通るP−Q断面における概略断面図である。図4の装置は全体として略円柱体形状を有し、装置の小型化を可能にする。図4の装置は流入口5を押出混練機(図示しない)の吐出口に連結させておくことによって、当該押出混練機の押出力を、高分子混合物の移動の推進力として利用し、溶融状態の高分子混合物を全体として移動方向MDに移動させ、間隙2a、2b、2cを通過させることができる。このように図4の装置もまた押出混練機の吐出口に連結させて使用されるため、ダイと呼ぶことができる。
【0061】
図4の装置は、具体的には、被処理物を流入させるための流入口5および処理された物を吐出させるための吐出口6を備え、流入口5と吐出口6との間の被処理物の流路において、平行な2つの曲面からなる間隙を3ヶ所(2a、2b、2c)で有する。通常はさらに、間隙2a、2b、2cそれぞれの直前に、断面積が直後の間隙の断面積よりも大きい溜まり部1a、1b、1cを有する。処理時において押出混練機から押し出された高分子混合物は溶融状態で、当該押出混練機の押出力に基づいて、図4の装置10Dにおける流入口5から溜まり部1aに流入し、半径方向に広がる。次いで、高分子混合物は移動方向MDおよび周方向PDで連続的に、間隙2aを通過して溜まり部1bに移動し、その後、さらに間隙2bを通過して溜まり部1cに移動し、最後に間隙2cを通過し、吐出口6から吐出される。
【0062】
図4において間隙2a、2b、2cにおける平行な2つの面間距離x、x、xは前記距離xに相当し、それぞれ独立して前記距離xと同様の範囲内であればよい。
【0063】
図4において間隙2aにおける移動方向MDの距離y、間隙2bにおける移動方向MDの距離yおよび間隙2cにおける移動方向MDの距離yは前記距離yに相当し、それぞれ独立して前記距離yと同様の範囲内であればよい。
【0064】
図4において溜まり部1aにおける最大高さhは特に制限されるものではなく、通常は1〜100mm、好ましくは1〜50mmである。
図4において溜まり部1b、1cにおける最大高さh、hはそれぞれ、直後の間隙2b、2cの面間距離x、xより大きい値であり、通常はそれぞれ独立して、図1における最大高さh、hと同様の範囲内である。
本明細書中、溜まり部の最大高さは、略円柱体形状の装置の場合、装置の軸を通る断面における直径方向の最大高さを意味するものとする。
【0065】
図4において間隙2aの断面積S2aとその直前の溜まり部1aの最大断面積S1aとの比率S1a/S2aは1.2以上、特に1.2〜10であり、より均一な混合・分散、装置の小型化、およびベントアップの防止の観点からは1.2〜7が好ましく、より好ましくは1.2〜5である。それらの断面積比率が小さすぎると、十分に均一な混合・分散は達成できない。
【0066】
図4において間隙2bの断面積S2bとその直前の溜まり部1bの最大断面積S1bとの比率S1b/S2bおよび間隙2cの断面積S2cとその直前の溜まり部1cの最大断面積S1cとの比率S1c/S2cはそれぞれ独立して、図1における比率S1a/S2aおよび比率S1b/S2bと同様の範囲内である。
【0067】
図4において溜まり部1aにおける移動方向MDの距離m、溜まり部1bにおける移動方向MDの距離mおよび溜まり部1cにおける移動方向MDの距離mはそれぞれ独立して、図1における距離mおよび距離mと同様の範囲内である。
【0068】
図1〜図4に記載の装置は、通常、樹脂の混練装置および押出装置の分野で従来から吐出口に取り付けて使用されるダイの製造に使用される材料から製造される。
【0069】
間隙通過処理後は、間隙通過処理された高分子混合物を急冷する。間隙通過処理によって達成された各種成分の十分に均一な混合・分散形態が急冷によって、有効に維持される。
【0070】
急冷は、間隙通過処理によって得られた溶融状態の高分子組成物をそのまま0〜60℃の水に浸漬することによって達成できる。−40℃〜60℃の気体で冷却するか、−40℃〜60℃の金属に接触させることによって、急冷を達成してもよい。急冷は必ずしも行わなければならないというわけではなく、例えば放置冷却するだけでも、各種成分の十分に均一な混合・分散形態は維持できる。
【0071】
冷却された高分子組成物は、次工程での処理を容易にするために、通常、粉砕によってペレタイズされる。
【0072】
本発明においては、高分子混合物を間隙通過処理する直前に行われる溶融・混練処理のさらに前に、高分子混合物を構成する少なくとも一部の成分を予め混合処理してもよい。例えば、2種類以上の高分子および添加剤を含む高分子組成物を製造する場合、まず、少なくとも1種類の高分子および添加剤を予め混合処理した後で、所望により少なくとも1種類の高分子をさらに添加する。次いで、間隙通過処理直前の溶融・混練処理を行い、さらにその後で間隙通過処理を所定回数で行う。また例えば、全成分を予め混合処理した後で、間隙通過処理直前の溶融・混練処理を行い、さらにその後で間隙通過処理を所定回数で行う。これによって、各種成分の混合・分散がより一層有効に達成される。
【0073】
混合方法としては、所定の成分を単に乾式で混合するドライブレンド法を採用してもよいし、または所定の成分を従来の溶融混練方法によって溶融混練、冷却および粉砕する溶融混練法を採用してもよい。溶融混練法を採用する場合、前記と同様の押出混練機が使用可能で、このとき押出混練機は吐出口に従来から公知のダイが取り付けられて使用されてよい。
【0074】
(高分子組成物の用途)
以上の方法で製造された本発明の高分子組成物を、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法、吹込成形法、射出圧縮成形法などの公知の各種成形法に適用することによって、任意の形状が付与された成形体を製造できる。例えば、ベルト(特にシームレス環状ベルト)、フィルム、パイプ、繊維などの形状を有する成形体を製造できる。成形法は、特に射出成形法、押出成形法が好適である。本発明においては、いずれの成形法を採用する場合も、成形後は急冷を行うことが好ましい。高分子組成物において達成された各種成分の十分に均一な混合・分散形態が、成形体においてもより一層有効に維持されるためである。
【0075】
特に、本発明の高分子組成物が電子写真用転写ベルトの製造に使用される場合、高分子組成物には通常、導電剤が含有される。本発明の高分子組成物および当該組成物を用いて製造された成形体は添加剤の均一分散性が向上するので、導電剤が配合されると、導電剤の均一な分散が達成される。その結果、成形体は全体にわたって均一な導電性を有する。特に成形体が電子写真用シームレス環状転写ベルトである場合は、当該転写ベルトの周方向において比較的均一な電気抵抗値を有し得る。
【0076】
本発明の高分子組成物を用いて製造された成形体は各種用途に適用できる。そのような用途の一例を以下に示す。例えば、発電機、電動機、変圧器、変流器、電圧調整器、整流器、インバーター、継電器、電力用接点、開閉器、機遮断機、ナイフスイッチ、他極ロッド、電気部品キャビネットなどの電気機器部品、センサー、LEDランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、小型スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント基板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品等に代表される電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク・コンパクトディスク等の音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品等に代表される家庭・事務電気製品部品;オフィスコンピューター関連部品、電話器関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品:顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計等に代表される光学機器・精密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディヤー用ポテンシオメーターベース、排気ガスバルブ等の各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、ブレーキパットウェアーセンサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキパッド摩耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンベイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビューター、スタータースイッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウォッシャーノズル、エアコンパネルスイッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース等の自動車・車両関連部品等々。
【0077】
本発明の高分子組成物に導電剤、特にカーボンを配合させ、当該組成物を電子写真用転写ベルトの製造に用いると、本発明の効果をさらに有効に得ることができる。電子写真用転写ベルトにおいて導電剤は均一に分散させることが困難であったが、本発明においては簡便に均一に分散させることができるためである。電子写真用転写ベルトは、感光体上に形成されたトナー像を自己の表面に一旦、転写させた後、転写されたトナー像を紙等の記録材にさらに転写させるための中間転写ベルトであってもよいし、または紙を自己の表面に静電気により吸着し、感光体上に形成されたトナー像をその紙に転写する直接転写ベルトであってもよい。
【0078】
転写ベルトはシームレス環状形状を有することが好ましい。そのような形状を有する転写ベルトは、成形の際に環状金型ダイの内部において溶融樹脂が合流する領域が他の領域と比較して導電剤含有割合が高くなり、電気抵抗値が低くなる傾向があるが、本発明の転写ベルトはそのような合流領域においても、他の領域と略同程度の電気抵抗値を達成できるためである。
【0079】
転写ベルトは、前記高分子組成物からなるベルトをそのまま用いても良いが、転写効率を高めるために、表面だけを硬くすると、本発明の効果をさらに有効に得ることができる。表面だけを硬くする方法として無機材料をコーティングする方法がよいが、その方法は特に限定されるものではない。例えば、「ゾル−ゲル法応用技術の新展開」(CMC出版)に記載されているような塗布による方法、「薄膜材料入門」(裳華房)に記載されたCVD,PVD,プラズマコーティングなどの物理化学的方法など、公知の方法を採用できる。表面にコーティングされる無機材料は、本発明の目的を達成できる限り特に制限されず、物性と経済性を考慮すると、Si、Al、Cを含む酸化物系材料が特に好ましい。例えば、アモルファスシリカ薄膜、アモルファスアルミナ薄膜、アモルファスシリカアルミナ薄膜、アモルファスダイヤモンド薄膜などが推奨される。このように硬度が比較的高い無機薄膜をベルトにコーティングすることにより、ブレードとの摩擦磨耗寿命が改善されたり、転写性が向上する。
【0080】
転写ベルトは、中間転写方式の画像形成装置に用いられる転写ベルトであり、特に継ぎ目のないシームレスベルトであることが好ましい。転写ベルトは、現像装置に単色トナーのみを持つモノカラー画像形成装置、1つの潜像担持体に対してY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、B(ブラック)の現像器が備わり、各色の現像器ごとに潜像担持体上での現像およびトナー像の転写ベルトへの一次転写を行うサイクル方式フルカラー画像形成装置、1つの潜像担持体に対して1つの現像器が備わった各色の画像形成ユニットが直列に配置され、各色の画像形成ユニットごとに潜像担持体上での現像およびトナー像の転写ベルトへの一次転写を行うタンデム方式フルカラー画像形成装置などに適用することができる。本発明の転写ベルトを適用することにより文字の中抜けやトナーの飛び散りを抑制できる画像形成装置とすることができる。
【0081】
例えば、図5に示すようなタンデム方式フルカラー画像形成装置において、転写ベルト1は数本のローラー52、53、54等に張架され、当該転写ベルト51に沿って直列に、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)およびB(ブラック)の画像形成ユニット55,56,57,58が配置されている。転写ベルト51は矢印の方向に回転され、各画像形成ユニットで潜像担持体(感光体)(59,60,61,62)上に形成されたトナー像が一次転写ローラ(63,64,65,66)により転写ベルト51上に順次、一次転写される。その後、転写ベルト51上に形成された4色トナー像は二次転写ローラ67と押圧ローラ52との間で記録材(記録紙)68に二次転写されるようになっている。
【0082】
各画像形成ユニット(55、56、57、58)では、潜像担持体(59、60、61、62)は表面を帯電器(例えば、69)により一様に帯電され、露光器(例えば、70)により画像に対応する静電潜像を形成される。形成された静電潜像は現像器(例えば、71)で現像され、トナー像が一次転写ローラ(例えば、63)によって転写ベルトに転写された後は、図示しないクリーナ等により残留トナーを除去されるようになっている。
【実施例】
【0083】
(実施例1)
PPS(ポリフェニレンサルファイド;東レ社製、Tg=97℃)84kgおよび酸性カーボン(デグサ社製)10kgの混合物を二軸押出混練機で内部温度300℃および吐出量30kg/時の条件にて溶融混練した(予備混合工程)。上記押出混練機のダイは直径5mmの棒状に押し出すストランドダイであった。その後、混練物を30℃の水に浸漬することによって急冷し、ペレット化して、高分子組成物を得た。この高分子組成物94kgと6ナイロン(東レ社製、Tg=48℃)6kgの混合物を、図2に示すダイを吐出口に取り付けた二軸押出混練機(KTX46;神戸製鋼社製)で内部温度295℃、吐出量30kg/時および樹脂圧力4MPaの条件にて溶融混練した(混練工程および間隙通過工程)。詳しくは二軸押出混練機から吐出された高分子組成物は溶融状態で、図2のダイ10における流入口5から溜まり部1aに流入した後、間隙2aを通過して溜まり部1bに移動した。その後、間隙2bを通過して溜まり部1cに移動し、最後に間隙2cを通過した。間隙2cを通過するときの流速は間隙断面積1cmあたりの値で83.3g/分であった。間隙2cから吐出した混練物を30℃の水に浸漬することによって急冷し、ペレタイザーによりペレット状に粉砕して、高分子組成物を得た。
【0084】
図2に示すダイは以下に示す寸法を有するもので、二軸押出混練機の内部温度と同様の温度に加熱して用いた。
【0085】
溜まり部1a;最大高さh=10mm、最大断面積S1a=30cm、移動方向距離m=20mm;
間隙2a;面間距離x=2mm、断面積S2a6cm、移動方向距離y=30mm、幅方向距離z=300mm;
溜まり部1b;最大高さh=10mm、最大断面積S1b=30cm、移動方向距離m=20mm;
間隙2b;面間距離x=2mm、断面積S2b6cm、移動方向距離y=30mm、幅方向距離z=300mm;
溜まり部1c;最大高さh=10mm、最大断面積S1c=30cm、移動方向距離m=20mm;
間隙2c;面間距離x=2mm、断面積S2c6cm、移動方向距離y=30mm。
【0086】
得られた高分子組成物を、290℃に加温した環状金型ダイ及び75℃に設定した冷却用サイジングダイを取り付けた急冷可能な成形機にて押出成形して、シームレス環状形状の中間転写ベルト(厚み0.1mm)を得た(成形工程)。この中間転写ベルトの表面抵抗を周方向において20mm間隔にて24点で、抵抗計(ハイレスタ;三菱油化電子社製)により測定したところ、平均値は2×1010Ω/□であり、周方向の抵抗ばらつきは100.2であった。周方向の抵抗ばらつきとは、測定値について最大値/最小値を算出した値である。表面抵抗の測定電圧は500V、測定時間は10秒間であった。
【0087】
MIT値は18000であった。MIT値はMIT揉疲労試験機(MIT−D;東洋精機製)を用いて、加重250g、振り角90°、回数175回/分にて計測した。数値は破断したときの振り回数で示し、5サンプルの平均値である。
【0088】
(実施例2)
以下に示す寸法を有する図2のダイを用いたこと以外、実施例1と同様の方法により、中間転写ベルトの製造および評価を行った。間隙2cを通過するときの流速は間隙断面積1cmあたりの値で166.7g/分であった。
【0089】
溜まり部1a;最大高さh=10mm、最大断面積S1a=30cm、移動方向距離m=20mm;
間隙2a;面間距離x=1mm、断面積S2a3cm、移動方向距離y=2mm、幅方向距離z=300mm;
溜まり部1b;最大高さh=10mm、最大断面積S1b=30cm、移動方向距離m=20mm;
間隙2b;面間距離x=1mm、断面積S2b3cm、移動方向距離y=2mm、幅方向距離z=300mm;
溜まり部1c;最大高さh=10mm、最大断面積S1c=30cm、移動方向距離m=20mm;
間隙2c;面間距離x=1mm、断面積S2c3cm、移動方向距離y=2mm、幅方向距離z=300mm。
【0090】
中間転写ベルトの表面抵抗を周方向において20mm間隔にて24点で測定したところ、平均値は2.5×1010Ω/□であり、周方向の抵抗ばらつきは100.3であった。
MIT値は22000であった。
【0091】
(実施例3)
以下に示す寸法を有する図2のダイを用いたこと以外、実施例1と同様の方法により、中間転写ベルトの製造および評価を行った。間隙2cを通過するときの流速は間隙断面積1cmあたりの値で83.3g/分であった。
【0092】
溜まり部1a;最大高さh=10mm、最大断面積S1a=30cm、移動方向距離m=50mm;
間隙2a;面間距離x=2mm、断面積S2a6cm、移動方向距離y=30mm、幅方向距離z=300mm;
溜まり部1b;最大高さh=10mm、最大断面積S1b=30cm、移動方向距離m=50mm;
間隙2b;面間距離x=2mm、断面積S2b6cm、移動方向距離y=30mm、幅方向距離z=300mm;
溜まり部1c;最大高さh=10mm、最大断面積S1c=30cm、移動方向距離m=50mm;
間隙2c;面間距離x=2mm、断面積S2c6cm、移動方向距離y=30mm、幅方向距離z=300mm。
【0093】
中間転写ベルトの表面抵抗を周方向において20mm間隔にて24点で測定したところ、平均値は3×1010Ω/□であり、周方向の抵抗ばらつきは100.2であった。
MIT値は19500であった。
【0094】
(実施例4)
以下に示す寸法を有する図1のダイを用いたこと以外、実施例1と同様の方法により、中間転写ベルトの製造および評価を行った。間隙2bを通過するときの流速は間隙断面積1cmあたりの値で83.3g/分であった。
【0095】
溜まり部1a;最大高さh=10mm、最大断面積S1a=30cm、移動方向距離m=50mm;
間隙2a;面間距離x=2mm、断面積S2a6cm、移動方向距離y=10mm、幅方向距離z=300mm;
溜まり部1b;最大高さh=10mm、最大断面積S1b=30cm、移動方向距離m=50mm;
間隙2b;面間距離x=2mm、断面積S2b6cm、移動方向距離y=10mm、幅方向距離z=300mm。
【0096】
中間転写ベルトの表面抵抗を周方向において20mm間隔にて24点で測定したところ、平均値は2.5×1010Ω/□であり、周方向の抵抗ばらつきは100.5であった。
MIT値は17000であった。
【0097】
(比較例1)
図2に示すダイを吐出口に取り付けた二軸押出混練機の代わりに、吐出口にダイを有さない二軸押出混練機を用いたこと以外、実施例1と同様の方法により、中間転写ベルトの製造および評価を行った。
中間転写ベルトの表面抵抗を周方向において20mm間隔にて24点で測定したところ、平均値は1×1010Ω/□であり、周方向の抵抗ばらつきは102.5であった。
MIT値は3500であった。
【0098】
(実施例5)
以下の方法で得られた混合物を、以下に示す寸法を有する図2のダイを吐出口に取り付けた二軸押出混練機KTX30;神戸製鋼社製でシリンダー温度220℃、吐出量12kg/時および樹脂圧力3MPaの条件にて溶融混練したこと以外、実施例1と同様の方法により、高分子組成物を得た。間隙2cを通過するときの流速は間隙断面積1cmあたりの値で33.3g/分であった。
【0099】
ポリカーボネート(帝人化成(株)製;商品名パンライトL−1250、Tg=150℃)およびABS樹脂(日本合成ゴム(株)製;商品名ABS−15、Tg=105℃)を1:1の重量比でドライブレンドして、混合物を得た。
【0100】
溜まり部1a;最大高さh=10mm、最大断面積S1a=30cm、移動方向距離m=20mm;
間隙2a;面間距離x=2mm、断面積S2a6cm、移動方向距離y=30mm、幅方向距離z=300mm;
溜まり部1b;最大高さh=10mm、最大断面積S1b=30cm、移動方向距離m=20mm;
間隙2b;面間距離x=2mm、断面積S2b6cm、移動方向距離y=30mm、幅方向距離z=300mm;
溜まり部1c;最大高さh=10mm、最大断面積S1c=30cm、移動方向距離m=20mm;
間隙2c;面間距離x=2mm、断面積S2c6cm、移動方向距離y=30mm、幅方向距離z=300mm。
【0101】
得られた高分子組成物の透過電子顕微鏡写真では1μm以上の組織は観察されなかった。透過電子顕微鏡写真を図6に示す。
【0102】
(比較例2)
図2に示すダイを吐出口に取り付けた二軸押出混練機の代わりに、吐出口にダイを有さない二軸押出混練機を用いたこと以外、実施例5と同様の方法により、高分子組成物を得た。
得られた高分子組成物の透過電子顕微鏡写真では6μm以上の組織が観察された。透過電子顕微鏡写真を図7に示す。
【0103】
(比較例3)
以下に示す寸法を有する図8のダイを用いたこと以外、実施例1と同様の方法により、中間転写ベルトの製造および評価を行った。間隙102を通過するときの流速は間隙断面積1cmあたりの値で83.3g/分であった。
【0104】
溜まり部101;最大高さh101=10mm、最大断面積S101=30cm、移動方向距離m101=2mm;
間隙102;面間距離x102=2mm、断面積S1026cm、移動方向距離y102=30mm、幅方向距離z102=300mm;
【0105】
中間転写ベルトの表面抵抗を周方向において20mm間隔にて24点で測定したところ、平均値は2×1010Ω/□であり、周方向の抵抗ばらつきは101.8であった。
MIT値は5500であった。
【0106】
(比較例4)
以下に示す寸法を有する図8のダイを用いたこと以外、実施例1と同様の方法により、中間転写ベルトの製造および評価を行った。間隙102を通過するときの流速は間隙断面積1cmあたりの値で83.3g/分であった。
【0107】
溜まり部101;最大高さh101=10mm、最大断面積S101=30cm、移動方向距離m101=2mm;
間隙102;面間距離x102=2mm、断面積S1026cm、移動方向距離y102=60mm、幅方向距離z102=300mm;
【0108】
中間転写ベルトの表面抵抗を周方向において20mm間隔にて24点で測定したところ、平均値は4×1010Ω/□であり、周方向の抵抗ばらつきは101.3であった。
MIT値は8200であった。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明の高分子組成物の製造方法および製造装置は、電気、電子部品、自動車部品、一般機械部品など種々の広い分野に適用できる。特に、本発明の方法により製造された高分子組成物を用いて得られた転写ベルトは、電子写真式画像形成装置に用いられる直接転写ベルトもしくは中間転写ベルトに応用した場合にベルトの周方向の抵抗安定性と強度に優れたベルトを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】(A)は、本発明の高分子組成物の製造方法を採用した製造装置の一例について、上面から装置内部を透視したときの概略透視図であり、(B)は、(A)の装置のP−Q断面における概略断面図である。
【図2】(A)は、本発明の高分子組成物の製造方法を採用した製造装置の一例について、上面から装置内部を透視したときの概略透視図であり、(B)は、(A)の装置のP−Q断面における概略断面図である。
【図3】(A)は、本発明の高分子組成物の製造方法を採用した製造装置の一例について、上面から装置内部を透視したときの概略透視図であり、(B)は、(A)の装置のP−Q断面における概略断面図である。
【図4】(A)は、本発明の高分子組成物の製造方法を採用した製造装置の一例の概略見取り図であり、(B)は、(A)の装置の軸を通るP−Q断面における概略断面図である。
【図5】本発明の方法により製造された高分子組成物の用途を説明するための画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図6】実施例5で得られた高分子組成物の透過電子顕微鏡写真である。
【図7】比較例2で得られた高分子組成物の透過電子顕微鏡写真である。
【図8】(A)は、比較例3および比較例4で使用した高分子組成物の製造装置について、上面から装置内部を透視したときの概略透視図であり、(B)は、(A)の装置のP−Q断面における概略断面図である。
【符号の説明】
【0111】
1a:1b:1c:溜まり部、2a:2b:2c:間隙、5:流入口、6:吐出口、10A:10B:10C:10D:本発明の高分子組成物の製造装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種類の高分子を含む高分子混合物を溶融状態で、平行な2つの面の間隙に2回以上通過させることを特徴とする高分子組成物の製造方法。
【請求項2】
前記間隙がそれぞれ独立して、平行な2つの平面の間隙であるか、または平行な2つの曲面の間隙である請求項1に記載の高分子組成物の製造方法。
【請求項3】
前記間隙における平行な2つの面間距離xがそれぞれ独立して7mm以下である請求項1または2に記載の高分子組成物の製造方法。
【請求項4】
前記間隙における高分子混合物移動方向の距離yがそれぞれ独立して2mm以上である請求項1〜3のいずれかに記載の高分子組成物の製造方法。
【請求項5】
前記間隙通過処理の直前に高分子混合物を溶融・混練して押し出し、該押出力によって、高分子混合物の前記間隙通過処理を行う請求項1〜4のいずれかに記載の高分子組成物の製造方法。
【請求項6】
前記間隙通過処理された高分子混合物を急冷する請求項1〜5のいずれかに記載の高分子組成物の製造方法。
【請求項7】
前記高分子混合物が2種類以上の高分子を含む請求項1〜6のいずれかに記載の高分子組成物の製造方法。
【請求項8】
前記高分子混合物がポリフェニレンスルフィド樹脂およびナイロン樹脂を含む請求項1〜7のいずれかに記載の高分子組成物の製造方法。
【請求項9】
前記高分子混合物がポリカーボネート樹脂およびアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂を含む請求項1〜7のいずれかに記載の高分子組成物の製造方法。
【請求項10】
前記高分子混合物が添加剤を含む請求項1〜9のいずれかに記載の高分子組成物の製造方法。
【請求項11】
添加剤が導電剤である請求項10に記載の高分子組成物の製造方法。
【請求項12】
導電剤がカーボンである請求項11に記載の高分子組成物の製造方法。
【請求項13】
被処理物を流入させるための流入口および処理された物を吐出させるための吐出口を備え、該流入口と吐出口との間の被処理物の流路において、平行な2つの面の間隙を2ヶ所以上有することを特徴とする高分子組成物の製造装置。
【請求項14】
前記間隙がそれぞれ独立して、平行な2つの平面の間隙であるか、または平行な2つの曲面の間隙である請求項13に記載の高分子組成物の製造装置。
【請求項15】
前記間隙における平行な2つの面間距離xがそれぞれ独立して3mm以下である請求項13または14に記載の高分子組成物の製造装置。
【請求項16】
前記間隙における高分子混合物移動方向の距離yがそれぞれ独立して3mm以上である請求項13〜15のいずれかに記載の高分子組成物の製造装置。
【請求項17】
前記高分子組成物の製造装置の流入口が押出混練機の吐出口に連結されている請求項13〜16のいずれかに記載の高分子組成物の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−137405(P2010−137405A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−314460(P2008−314460)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.レーザーディスク
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】