高効率発電機
【課題】簡易な構造で、高出力化を図るとともに、小型化と省材料化を図ることができる高効率発電機を提供する。
【解決手段】高効率発電機30は、入力軸16に固定され、周方向に永久磁石18を複数有するロータ12と、ロータ12に対して所定の間隔をもって相対し、その相対する方向に突出するティース22に巻き回されたステータコイル26を有するステータ14とを備える。そして、ステータコイル26が、ステータ36の周方向に偏在するように配置されて不均等負荷配置になるように構成される。このような簡易な構成により、発電機10の高出力化、小型化および省材料化を図ることができる。
【解決手段】高効率発電機30は、入力軸16に固定され、周方向に永久磁石18を複数有するロータ12と、ロータ12に対して所定の間隔をもって相対し、その相対する方向に突出するティース22に巻き回されたステータコイル26を有するステータ14とを備える。そして、ステータコイル26が、ステータ36の周方向に偏在するように配置されて不均等負荷配置になるように構成される。このような簡易な構成により、発電機10の高出力化、小型化および省材料化を図ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、永久磁石を含むロータと、ステータコイルを含むステータとを有する高効率発電機に関し、特にステータの構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、入力軸に固定されたロータと、このロータに対して間隔を空けて配置されたステータとを有する発電機が知られている。
【0003】
発電機が永久磁石を用いた永久磁石型の発電機である場合、ロータは、このロータの周方向にN極とS極とが交互に並ぶように等間隔に配置される永久磁石を有する。
【0004】
一方、ステータは、ロータの永久磁石に対向するように突出して形成されたティースと、このティースに巻き回されたステータコイルとを有する。
【0005】
このように構成される発電機においては、ロータの回転で発生する回転磁界と、ステータコイルとの間で働く電磁誘導作用によりステータコイルに電圧が誘起されて電流が流れ、発電が行われる。
【0006】
発電機により発電される電力が3相交流である場合、通常、ステータコイルの数は、3m(mは正の整数)個となり、ステータコイルが周方向に例えばU,V,W相の順に並ぶように等間隔に配置される。しかも、ステータコイルは、各相で発生する起電力の大きさが同じで、それぞれ120°位相差があるような3相交流、すなわち対称3相交流の電力が取り出せるように配置される。上述のような、周方向に等間隔に配置することで、周方向に移動する永久磁石に対する反作用、すなわち逆トルクのムラを低減するステータコイルの配置構造を、以降、単にステータコイルの均等負荷配置構造という。そして、対称3相交流の電力を発電可能なステータコイルの配置構造を、以降、単にステータコイルの均等相配置構造という。
【0007】
下記特許文献1には、軸方向に延びる孔が周方向に等間隔で複数形成され、それらの孔内に永久磁石をそれぞれ配置して構成されるロータを有する回転電機が記載されている。
【0008】
また、下記特許文献2には、内周に永久磁石が配置された円筒状のロータと、このロータの内周に間隔をあけて設けられたステータとを有する3相交流発電機が開示されている。ステータは、径方向外側に突出するように設けられたティースと、このティースの巻き回されたステータコイルとを有する。この発電機においては、ロータの回転により発生する永久磁石とステータコイルとの電磁誘導作用により発電が行われる。
【0009】
また、下記特許文献3には、円筒状の内周面に永久磁石が周方向に配置されたアウターロータと、このロータに内装され、周方向に突出して設けられるティースにステータコイルが巻き回されたステータとを有する永久磁石式の交流発電機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2000−228838号公報
【特許文献2】特開2004−166381号公報
【特許文献3】特開2009−148020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来の3相交流発電機においては、上述のように、ステータコイルは均等負荷配置構造及び均等相配置構造である。このような構成で、ロータを1600、2000、3500または4000rpmなどの高速回転域で回転させることによって、対称3相交流の電力が発電され、発電機の出力仕様特性を満たすことができる。しかしながら、上述のような高速回転域においてロータを回転させると、当然に発熱が増大するので、発電機が損傷してしまう、又は寿命が短くなってしまう可能性がある。
【0012】
そこで、ステータコイルの数を単に増加させ、ロータを1000rpm以下などの低速回転域で回転させることにより、上述のような発熱を抑制することが考えられる。しかしながら、従来の3相交流発電機の構成では、ステータコイルの磁気抵抗が強すぎ、また各永久磁石に対する逆トルクが各相で均等に加算されて増加してしまうので、ロータが回転しない、あるいはロータが所望の回転数を得ることができず、結果として、所望の出力を得ることができないという問題があった。
【0013】
本発明の目的は、簡易な構造で、高出力化を図るとともに、小型化と省材料化を図ることができる高効率発電機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の高効率発電機は、入力軸に固定され、周方向に永久磁石を複数有するロータと、ロータに対して所定の間隔をもって相対し、その相対する方向に突出する複数のティースにそれぞれ巻き回されたステータコイルを有するステータと、を備え、ステータコイルが、ステータの周方向に偏在するように配置されて不均等負荷配置になるように構成されることを特徴とする。
【0015】
また、ステータは、入力軸に対して偏心している円筒形状であることが好適である。
【0016】
また、あるティースに巻かれるステータコイルの線径が、他のティースに巻かれるステータコイルの線径と異なることが好適である。
【0017】
また、あるティースに巻かれるステータコイルの巻き数が、他のティースに巻かれるステータコイルの巻き数と異なることが好適である。
【0018】
また、ある永久磁石の磁力は、他の永久磁石の磁力と異なることが好適である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の高効率発電機によれば、簡易な構造で、高出力化を図るとともに、小型化と省材料化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態に係る高効率発電機のステータの構成を示す図である。
【図2】図1のステータに対応するロータの構成を示す図である。
【図3】出力回路を示す図である。
【図4】別の実施形態に係る高効率発電機のステータの構成を示す図である。
【図5】本発明の高効率発電機と従来例の出力特性の一例を示す図である。
【図6】本発明の高効率発電機と従来例の出力特性の一例を示す図である。
【図7】本発明の高効率発電機と従来例の出力特性の一例を示す図である。
【図8】別の実施形態に係る高効率発電機のステータの構成を示す図である。
【図9】図8のステータに対応するロータの構成を示す図である。
【図10】別の実施形態に係る高効率発電機のステータの構成を示す図である。
【図11】本発明の高効率発電機と従来例の出力特性の一例を示す図である。
【図12】本発明の高効率発電機と従来例の出力特性の一例を示す図である。
【図13】本発明の高効率発電機と従来例の出力特性の一例を示す図である。
【図14】別の実施形態に係る高効率発電機のステータコイルの配置を示す図である。
【図15】別の実施形態に係る高効率発電機のステータコイルの配置を示す図である。
【図16】別の態様の出力回路を示す図である。
【図17】別の態様の出力回路を示す図である。
【図18】別の実施形態に係る高効率発電機のステータコイルの配置を示す図である。
【図19】別の実施形態に係る高効率発電機のステータコイルの配置を示す図である。
【図20】別の態様の、図1のステータに対応するロータの構成を示す図である。
【図21】別の態様の、図1のステータに対応するロータの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る高効率発電機の実施形態について、図を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る高効率発電機のステータの構成を示す図であり、図2は、図1のステータに対応するロータの構成を示す図である。
【0022】
本実施形態に係る高効率発電機(以下、単に「発電機」と記す)10は、3相交流発電機である。発電機10は、ロータ12と、ステータ14を有する。ロータ12は、ステータ14の内周に間隔を空けて回転可能に配置される。
【0023】
ロータ12は、入力軸16と同心の円筒状の磁性体であり、例えば電磁鋼板を軸方向に積層して構成される。ロータ12は、入力軸16に同期回転可能に固定される。ロータ12には、図2に示されるように、永久磁石18が周方向に16個配置される。具体的には、永久磁石18が、ロータ12の周方向にN極とS極とが交互に並ぶように等間隔に16個配置される。なお、永久磁石18の数は一例であり、永久磁石18の数は、2n(nは正の整数)個とすることができる。
【0024】
なお、本実施形態においては、各永久磁石18は、ロータ12の外周面に、軸方向に沿ってそれぞれ配置される。しかし、この構成に限定されず、各永久磁石18は、ロータ12に軸方向に延びて形成された孔内にそれぞれ埋め込まれて配置されてもよい。また、本実施形態では、ロータ12が電磁鋼板を積層して構成される場合について説明したが、この構成に限定されず、ロータ12が圧粉磁心から成形されるものであってもよい。
【0025】
ステータ14は、ロータ12の周囲に僅かな隙間を空けて配置される。ステータ14は、入力軸16と同心の円筒形状をした磁性体であり、例えば電磁鋼板を軸方向に積層して形成される。具体的には、ステータ14は、薄板状の電磁鋼板をプレスで打ち抜いて、打ち抜かれた電磁鋼板を軸方向に所定の枚数積層して、積層された複数の電磁鋼板を加圧カシメ等の処理を施して結合され形成される。
【0026】
なお、本実施形態においては、ステータ14が電磁鋼板を積層して構成される場合について説明したが、この構成に限定されず、ステータ14が圧粉磁心から成形されるものであってもよい。
【0027】
ステータ14は、環状のヨーク20と、このヨーク20の内周から径方向内側に向けて突出し、周方向に所定の間隔をおいて配置されたティース22とを有する。本実施形態のティース22は、図1に示されるように、周方向に24個配置される。なお、ティース22の数は一例である。
【0028】
互いに隣接するティース22の間には、溝状の空間であるスロット24が形成される。導線が、スロット24を通りつつ、ティース22に巻きつけられることでステータコイル26(図3に示す)を形成する。
【0029】
このように構成される発電機10においては、ロータ12の回転で発生する回転磁界と、ステータコイル26との間で働く電磁誘導作用によりステータコイル26に電圧が誘起されて電流が流れ、発電が行われる。
【0030】
本実施形態の発電機10は、ステータコイル26が不均等相配置になるように構成されることを特徴とする。不均等相配置とは、対称3相交流ではない電力が発電されるようなステータコイル26の配置であり、従来技術で述べた均等相配置とは異なる構成である。このようなステータコイル26の不均等相配置を採用する発電機10は、均等相配置のものに比べ、回転するロータ12に対する反作用、すなわち各永久磁石18に対する逆トルクの増加が抑制されるので、ロータ12の回転数が増加して高出力化を図ることができる。以下、ステータコイル26の不均等相配置の具体的な構成について説明する。
【0031】
図1には、U相のステータコイル26が巻かれるティース22に対して、右回りに、U1〜U8までアドレスが順に付され、同様に、V相のステータコイル26が巻かれるティース22に対して、V1〜V6までアドレスが付され、さらに、W相のステータコイル26が巻かれるティース22に対して、W1〜W5までアドレスが付されている。なお、図1に示されるステータ14においては、ステータコイル26のアドレスが付されていないティース22が5個ある。
【0032】
U相のステータコイル26では、コイルU1〜U6及びU7〜U8が、2相分のティース22を間においてティース22に巻き回され、コイルU6〜U7が、3相分のティース22を間においてティース22に巻き回され、コイルU8〜U1が、1相分のティース22を間において巻き回される。V相のステータコイル26において、コイルV1〜V2,V3〜V4及びV5〜V6が2相分のティース22を間において、コイルV2〜V3が5相分のティース22を間において、コイルV4〜V5が6相分のティース22を間において、そして、コイルV6〜V1が1相分のティース22を間において、それぞれティース22に巻き回される。さらに、W相のステータコイル26では、コイルW1〜W2及びW3〜W4が2相分のティース22を間において、コイルW2〜W3が5相分のティース22を間において、コイルW4〜W5が6相分のティース22を間において、そして、コイルW5〜W1が4相分のティース22を間において、それぞれティース22に巻き回される。
【0033】
従来例の発電機においては、各相のステータコイルは、2相分のティースを間においてティースに巻きつけられ、各相の間における位相差が120°で均等になるように配置される。しかし、本発明の発電機10においては、ステータコイル26が、上述のように、各相の間における位相差がそれぞれ120°の均等ではなく、少なくとも一部が不均等になるように配置される。このような構成により、ステータコイル26の不均等相配置を実現することができる。
【0034】
また、図1に示されるように、ティース22の数24個より、ティース22に巻かれるステータコイル26の数19個の方が少ない。そして、それらのステータコイル26が、各相の間における位相差が不均等になるように配置される。このような構成によっても、ステータコイル26の不均等相配置を実現することができる。このようなステータコイル26が周方向において等間隔に配置されない構造は、後述する不均等負荷配置に対応する。本発明では、このように、ステータコイル26の不均等相配置と不均等負荷配置を組み合わせることもできる。
【0035】
本実施形態においては、ステータコイル26の数が19個である場合について説明したが、本発明はこのステータコイル26の数19個に限定されない。ステータコイル26は、19個より少なくてもよく、全てのティース22に対して巻かれて24個であってもよい。いずれの構成であっても、ティース22に設けられたステータコイル26と出力側とを、各相の間における位相差が不均等になるように結線し、あるいは、一部のステータコイル26と出力側とを結線しないようにすることで、ステータコイル26の不均等相配置を実現することができる。
【0036】
次に、発電機10の出力回路について、図3を用いて説明する。本発明の発電機10の出力回路は、図3に示されるように、各相のステータコイル26、例えばコイルU1,U2,U3・・・U8の各出力端子と、これらに対応する整流回路28がそれぞれ接続され、それらの整流回路28の出力側において、同相のステータコイル26の出力が並列に接続されるように構成される。このような出力回路により、従来の出力回路である、Y結線またはΔ結線の3つの端子に整流回路をそれぞれ接続したものに比べ、各相の出力電流の増大を図ることができる。一方、この出力回路においては、従来の出力回路に比べ各相の出力電圧は低下する。しかし、上述のようにステータコイル26の不均等相配置により、従来例に比べ、ロータ12の回転数が増加するので、ステータコイル26ごとの高電圧化が図られる。したがって、本実施形態の発電機10とその出力回路との構成によれば、従来例に比べ、確実に高出力を得ることができ、特に、出力電力を、そのまま二次電池などの充電器へ充電するときに有用である。また、発電機10により発電された電力を、充電器へ充電する場合には、各ステータコイル26の出力端子と、これに対応する整流器28とをそれぞれ接続し、それらの出力側において、ステータコイル26の出力が並列に接続されるように構成される、すなわち単相出力方式により構成されることが好適である。
【0037】
本実施形態においては、発電機10が、ロータ12がステータ14の内側に配置された内転式発電機である場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されず、ロータがステータの外側に配置される外転式発電機とすることもできる。
【0038】
次に、別の実施形態の発電機30について、図4を用いて説明する。図4は、別の実施形態に係る高効率発電機のステータの構成を示す図である。なお、上記実施形態と同じ構成要素については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。また、この実施形態のステータに対応するロータの構成は、図2と同じである。
【0039】
この実施形態の発電機30は、ステータコイル26が不均等負荷配置になるように構成されることを特徴とする。不均等負荷配置とは、周方向に移動する永久磁石に対する反作用、すなわち逆トルクのムラが生じるようなステータコイル26の配置であり、従来技術で述べた均等負荷配置とは異なる構成である。このようなステータコイル26の不均等負荷配置を採用する発電機30は、均等負荷配置のものに比べ、回転するロータ12に対する反作用、すなわち各永久磁石18に対する逆トルクの増加が抑制されるので、ロータ12の回転数が増加して高出力化を図ることができる。以下、ステータコイル26の不均等負荷配置の具体的な構成について説明する。
【0040】
この実施形態のステータコイル26は、ステータ14の周方向において偏在するように配置される。周方向に偏在とは、周方向における所定の領域に偏っているというである。ティース22が、図4に示されるように、入力軸16の中心から所定の角度(例えば120°)により囲まれる扇形の領域に偏在して9個配置される。そして、各ティース22には、図4に示されていないが、ステータコイル26がそれぞれ巻き回される。このように、ステータコイル26が周方向における所定の領域に偏って配置される。なお、ティース22及びステータコイル26の数9個は一例であり、本発明はこの数に限定されない。また、本実施形態においては、ティース22が偏在化して形成される場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されず、ティース22が周方向に等間隔で形成され、ステータコイル26が周方向において偏在するように、それらのティース22の一部に巻かれて配置されてもよい。
【0041】
この実施形態におけるステータコイル26の相は任意に設定可能である。すなわち、各ステータコイル26に、それぞれ出力回路を接続した独立(単相)出力方式により出力電力を取り出すことができる。または、ステータコイル26が、周方向にU,V,W相の順に並ぶように等間隔に配置、すなわち均等相配置され、各相に、それぞれ出力回路を接続した3相交流出力方式により出力電力を取り出すこともできる。あるいは、ステータコイル26が、周方向において順不同にU,V,W相が並ぶように配置し、各相に、それぞれ出力回路を接続した3相交流出力方式により出力電力を取り出すこともできる。ステータコイル26ごとに出力端子が設けられ、この出力端子の結線方法を変更するだけでステータコイル26の相を任意に設定可能になるので、ステータ14の設計自由度が向上するとともに、出力電力の調整も容易になる。
【0042】
このように、この実施形態においては、ティース22と、これに対応するステータコイル26とが、ステータ14の周方向に偏在するように配置される。従来例の発電機においては、周方向に等間隔に配置されるステータコイルが、周方向に移動する各永久磁石に対して所定の逆トルク、いわゆる負荷が等間隔ごとにかかるように配置されていた。しかし、この発明の発電機30においては、ステータコイル26が周方向に偏在するように配置されるので、各永久磁石は、周方向に移動する際にかかる負荷が均等ではなく、不均等になる。このように、周方向におけるステータコイル26の偏在化により、ステータコイル26の不均等負荷配置を実現することができる。
【0043】
本実施形態においては、ステータコイル26の偏在化により、ステータコイル26の不均等負荷配置が構成される場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。周方向における負荷が不均等になるのであれば、あるティース22に巻かれるステータコイル26の線径が、他のティース22に巻かれるステータコイル26の線径と異なるように構成されてもよい。さらに、あるティース22に巻かれるステータコイル26の巻き数が、他のティース22に巻かれるステータコイル26の巻き数と異なるように構成されてもよい。または、これらを組み合わせた構成であっても、ステータコイル26の不均等負荷配置を実現することができる。さらに、ロータ12に配置される、ある永久磁石18の磁力が、他の永久磁石18の磁力と異なるように構成することで、それらの永久磁石が、周方向に移動する際にかかる負荷が均等ではなく、すなわち不均等にすることもできる。
【0044】
図4に戻り、この実施形態のステータ14は、入力軸16と偏心の円筒形状であることを特徴とする。具体的には、ステータ14の外周における中心と、入力軸16と同心である内周における中心とが異なる。このようなステータ14の構成は、周方向におけるステータコイル26の偏在化を図る際に、特に有用であり、ステータ14の小型化が図られる。この構成により、径方向におけるステータ14の長さが大きくなる領域が生じ、その領域に、ヨーク20の幅を確保しつつ、径方向により長いスロット24とティース22とを形成することができる。このように形成されるスロット24とティース22により、外径が同じ従来のステータに比べ、ティース22の1個あたりに巻きつけられる導線の巻き線数または線径の少なくとも一方をより大きくすることができ、ステータコイル26の容量の増大を図ることができる。また、線径の増大に伴い、巻き線の本数を少なく、例えば1本にすることでより大きな出力電流を得ることができる。また、本実施形態のステータ14と従来例のものが同じ外径である場合、上述のような、より大きく形成されるティース22には、従来例の周方向に等間隔で配置されたステータコイルで使用される長さの導線を、全て巻きつけることができる。
【0045】
次に、この実施形態に係る発電機30の出力特性について、図5から7を用いて説明する。図5から7は、それぞれ、本発明の高効率発電機と従来例の発電機との出力特性の一例を示す図である。なお、図5から7において、従来例の出力回路は、Δ結線に整流器を介して負荷が接続されたものであり、本発明の出力回路は、図3と同じ構成のものを採用し、発電機30に、整流器28を介して負荷が接続されたものとする。この負荷は、100w/12Vのランプが3個で全て共通である。また、従来例と本発明に使用される永久磁石の数は、ともに16個で、着磁力も同じとする。
【0046】
図5に示されるように、従来例は、巻き線のターン数が25T、ステータコイルの数が24個、線径が0.85φ×3本という条件である。この条件における測定値は、ロータの回転数が425rpm、出力電圧が0.21V、出力電流が4Aであった。一方、本発明では、従来例の条件から、巻き線のターン数を50T、ステータコイル26の数を9個という条件に変えて測定した。この測定値は、ロータ12の回転数が925rpm、出力電圧が6.0V、出力電流が35Aであった。
【0047】
図6では、従来例が、巻き線のターン数が35T、ステータコイルの数が24個、線径が0.85φ×1本という条件である。この条件における測定値は、ロータの回転数が474rpm、出力電圧が0.2V、出力電流が7Aであった。一方、本発明では、従来例の条件から、巻き線のターン数を21T、ステータコイル26の数を9個、線径を1.1φ×1本という条件に変えて測定した。この測定値は、ロータ12の回転数が785rpm、出力電圧が2.2V、出力電流が18Aであった。巻き線が1本であることにより、そこに大きな電流が流れ、しかも線径を大きくすることで、出力電流をさらに大きくすることができる。
【0048】
図7では、従来例が、巻き線のターン数が65T、ステータコイルの数が24個、線径が0.85φ×2本という条件である。この条件における測定値は、ロータの回転数が428rpm、出力電圧が0.37V、出力電流が1.5Aであった。一方、本発明では、従来例の条件から、巻き線のターン数を56T、ステータコイル26の数を9個という条件に変えて測定した。この測定値は、ロータ12の回転数が935rpm、出力電圧が17V、出力電流が17Aであった。
【0049】
これらの出力特性に示されるように、発電機30は、従来の発電機に比べ、ロータ12の回転数が増加し、高出力を得ることができた。すなわち、ステータコイル26が不均等負荷配置になるように構成することで、ロータ12の回転数が増加し、高出力化を可能にする。一方で、発電機30においては、従来例に比べてステータコイル26の数が削減されるので、省材料化を可能にする。
【0050】
この実施形態においては、発電機30が、ロータ12がステータ14の内側に配置された内転式発電機である場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されず、ロータがステータの外側に配置される外転式発電機32とすることもできる。
【0051】
この発電機32の構成について、図8,9を用いて説明する。図8は、別の実施形態の高効率発電機のステータの構成を示す図であり、図9は、図8のステータに対応するロータの構成を示す図である。なお、上述した二つの実施形態と同じ構成要素については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0052】
発電機32は、中空の円筒形状のロータ34と、ロータ34の内周に間隔を空けて設けられたステータ36とを有する。ロータ34と入力軸16とは軸方向端部において同期回転可能に固定される。ロータ34の内周には、周方向に等間隔で永久磁石18が配置される。具体的には、永久磁石18が、ロータ34の周方向にN極とS極とが交互に並ぶように等間隔に16個配置される。なお、永久磁石18の数は一例であり、永久磁石18の数は、2n(nは正の整数)個とすることができる。
【0053】
この実施形態のステータ36は、入力軸16が貫通する中空の、入力軸16と偏心の円筒形状である。すなわち、ステータ36の外周における中心と、入力軸16と同心である内周における中心とが異なる。この構成は、上述の実施形態のステータ14と同様に、周方向におけるステータコイル26(図示せず)の偏在化を図る際に、特に有用であり、ステータ36の小型化が図られる。
【0054】
次に、別の実施形態の発電機38について、図10を用いて説明する。図10は、別の実施形態に係る高効率発電機のステータの構成を示す図である。なお、上記実施形態と同じ構成要素については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。また、この実施形態のステータに対応するロータの構成は、図9と同じである。
【0055】
この発電機32は、ロータ34がステータ40の外側に配置される外転式発電機である。ステータ40は、入力軸16が貫通する中空の、入力軸16と同心の円筒形状である。すなわち、ステータ40の外周における中心と、入力軸16と同心である内周における中心とが同じである。
【0056】
ステータ40は、環状のヨーク20と、このヨーク20の外周から径方向外側に向けて突出し、周方向に所定の間隔をおいて配置されたティース22とを有する。本実施形態のティース22は、図10に示されるように、周方向に24個配置される。なお、ティース22の数は一例である。互いに隣接するティース22の間には、溝状の空間であるスロット24が形成される。
【0057】
図10には、ステータコイル26(図示せず)が巻かれるティース22に対して、右回りに22a〜22iまでアドレスが順に付されている。具体的には、ティース22aを起点として、右回りに、1個のティース22を間において、順にティース22iまでアドレスが順に付されている。よって、ステータコイル26は、入力軸16の中心から所定の角度(例えば240°)により囲まれる扇形の領域に偏在して9個配置される。なお、この配置は一例であり、本発明はこの構成に限定されず、周方向におけるステータコイル26の偏在化が形成されるのであれば、ステータコイル26の数を9個より少なくても、あるいは多くてもよい。また、ステータコイル26が巻き回されるティース22の場所も限定されず、隣接するティース22に連続的に巻き付けても、2個のティース22を間においてもよい。
【0058】
この実施形態におけるステータコイル26の相は、上述した実施形態と同様に、任意に設定可能である。すなわち、各ステータコイル26に、それぞれ出力回路を接続した独立(単相)出力方式により出力電力を取り出すことができる。または、ステータコイル26が、周方向にU,V,W相の順に並ぶように等間隔に配置、すなわち均等相配置され、各相に、それぞれ出力回路を接続した3相交流出力方式により出力電力を取り出すこともできる。あるいは、ステータコイル26が、周方向において順不同にU,V,W相が並ぶように配置し、各相に、それぞれ出力回路を接続した3相交流出力方式により出力電力を取り出すこともできる。ステータコイル26ごとに出力端子が設けられ、この出力端子の結線方法を変更するだけでステータコイル26の相を任意に設定可能になるので、ステータ40の設計自由度が向上するとともに、出力電力の調整も容易になる。
【0059】
次に、この実施形態に係る発電機38の出力特性について、図11から13を用いて説明する。図11から13は、それぞれ、本発明の高効率発電機と従来例の発電機との出力特性の一例を示す図である。なお、図11から13において、従来例の出力回路は、Δ結線に整流器を介して負荷が接続されたものであり、本発明の出力回路は、図3と同じ構成のものを採用し、発電機38に、整流器28を介して負荷が接続されたものとする。この負荷は、100w/12Vのランプが3個で全て共通である。また、従来例と本発明に使用される永久磁石の数は、ともに16個で、着磁力も同じとする。
【0060】
図11に示されるように、従来例は、巻き線のターン数が25T、ステータコイルの数が24個、線径が0.85φ×3本という条件である。この条件における測定値は、ロータの回転数が425rpm、出力電圧が0.21V、出力電流が7Aであった。一方、本発明では、従来例の条件から、巻き線のターン数を50T、ステータコイル26の数を9個という条件に変えて測定した。この測定値は、ロータ34の回転数が438rpm、出力電圧が6.0V、出力電流が15Aであった。
【0061】
図12では、従来例が、巻き線のターン数が35T、ステータコイルの数が24個、線径が0.85φ×1本という条件である。この条件における測定値は、ロータの回転数が178rpm、出力電圧が0.02V、出力電流が4.8Aであった。一方、本発明では、従来例の条件から、巻き線のターン数を21T、ステータコイル26の数を8個、線径を1.1φ×1本という条件に変えて測定した。この測定値は、ロータ34の回転数が573rpm、出力電圧が15.7V、出力電流が18Aであった。
【0062】
図13では、従来例が、巻き線のターン数が65T、ステータコイルの数が24個、線径が0.85φ×2本という条件である。この条件における測定値は、ロータの回転数が0rpm、すなわち回転せずに、出力電圧が0V、出力電流が0Aであった。一方、本発明では、従来例の条件から、巻き線のターン数を56T、ステータコイル26の数を6個という条件に変えて測定した。同じ入力にも関わらず、測定値は、ロータ34の回転数が935rpm、出力電圧が40V、出力電流が35Aであった。
【0063】
これらの出力特性に示されるように、発電機38は、従来の発電機に比べ、ロータ34の回転数が増加し、高出力を得ることができた。すなわち、ステータコイル26が不均等負荷配置になるように構成することで、ロータ34の回転数が増加し、高出力化を可能にする。
【0064】
次に、別の実施形態に係る高効率発電機のステータコイルの配置について、4つの図を用いて説明する。これらの図に用いられるステータには、ティース22が周方向に等間隔に配置されているものとする。しかし、これらの図においては、通常、周方向に配置されるティース22を、見易くするため、直線的に並び替えて表している。
【0065】
図14は、48個のティース22を有するステータ14におけるステータコイル26の配置を示す図である。図示しないが、ロータの永久磁石18は、周方向にN極とS極とが交互に並ぶように等間隔に32個配置される。すなわち、周方向において隣接するN極とS極の永久磁石18の間隔は、周方向において隣接するティース14の間隔に対して1.5倍になるように、永久磁石18がロータに配置される。
【0066】
図14には、ティース22に対して、左端から右端まで1〜48のアドレスが順に付されている。そして、ティース22に巻かれるステータコイル26に対しても、U1〜U4、V1〜V4そしてW1〜W4までアドレスが付されている。
【0067】
具体的には、U相のステータコイル26では、コイルU1が1,2番のティース22に対して巻き回され、コイルU2が13,14番のティース22に巻き回され、コイルU3が25,26番のティース22に巻き回され、コイルU4が37,38番のティース22に巻き回される。V相のステータコイル26では、コイルV1が9,10番のティース22に対して巻き回され、コイルV2が21,22番のティース22に巻き回され、コイルV3が33,34番のティース22に巻き回され、コイルV4が45,46番のティース22に巻き回される。そして、W相のステータコイル26では、コイルW1が4,5番のティース22に対して巻き回され、コイルW2が16,17番のティース22に巻き回され、コイルW3が28,29番のティース22に巻き回され、コイルW4が40,41番のティース22に巻き回される。
【0068】
従来例の発電機においては、各相のステータコイルの間における位相差が120°で均等になるように配置される。しかし、この実施形態においては、ステータコイル26が、上述のように配置されることにより、各相の間における位相差がそれぞれ120°の均等ではなくなる。このような構成により、ステータコイル26の不均等相配置を実現することができる。
【0069】
そして、上述したアドレス以外のティース22には、ステータコイル26が巻き回されていない。すなわち、3,6〜8,11,12,15,18〜20,23,24,27,30〜32,35,36,39,42〜44,47,48番のティース22には、ステータコイル26が巻き回されず、いわゆる空きのティース22が存在することになる。このように、空きのティース22を存在させることにより、言い換えれば、ステータコイル26の数をティース22の数より少なくすることにより、ステータコイル26の不均等相配置を達成するための最適なレイアウトが容易になる。
【0070】
本実施形態においては、ステータコイル26の数が12個である場合について説明したが、本発明はこのステータコイル26の数12個に限定されない。ステータコイル26は、全てのティース22の数48個より少なければよい。いずれの構成であっても、ティース22に設けられたステータコイル26と出力側とを、各相の間における位相差が不均等になるように結線し、あるいは、一部のステータコイル26と出力側とを結線しないようにすることで、ステータコイル26の不均等相配置を実現することができる。
【0071】
次に、24個のティース22を有するステータ14におけるステータコイル26の配置について、図15を用いて説明する。図示しないが、ロータの永久磁石18は、周方向にN極とS極とが交互に並ぶように等間隔に16個配置される。すなわち、周方向において隣接するN極とS極の永久磁石18の間隔は、周方向において隣接するティース14の間隔に対して1.5倍になるように、永久磁石18がロータに配置される。
【0072】
図15には、ティース22に対して、左端から右端まで1〜24のアドレスが順に付されている。ステータコイル26は、1,2番のティース22と、4,5番のティース22と、7,8番のティース22と、10,11番のティース22と、13番のティース22と、15,16番のティース22と、18,19番のティース22と、21,22番のティース22に対してそれぞれ巻き回される。そして、上述したアドレス以外のティース22には、ステータコイル26が巻き回されていない。すなわち、3,6,9,12,14,17,20,23,24番のティース22には、ステータコイル26が巻き回されず、いわゆる空きのティース22が存在することになる。このように、空きのティース22を存在させることにより、上述したように、ステータコイル26の不均等相配置を達成するための最適なレイアウトが容易になる。
【0073】
この実施形態におけるステータコイル26の相は、既に述べた実施形態と同様に、任意に設定可能である。すなわち、各ステータコイル26に、それぞれ出力回路を接続した独立(単相)出力方式により出力電力を取り出すことができる。または、ステータコイル26が、周方向において順不同にU,V,W相が並ぶように配置し、各相に、それぞれ出力回路を接続した3相交流出力方式により出力電力を取り出すこともできる。ステータコイル26ごとに出力端子が設けられ、この出力端子の結線方法を変更するだけでステータコイル26の相を任意に設定可能になるので、ステータ40の設計自由度が向上するとともに、出力電力の調整も容易になる。
【0074】
図16,17に、図3とは異なる別の態様の出力回路の一例を示す。図16に示されるように、各相のステータコイル26が並列にそれぞれ接続され、それらの出力端子が各整流回路28にそれぞれ対応するように接続される。例えば、並列接続されたコイルU1,U2,U3の出力端子と整流回路28が接続され、並列接続されたコイルV1,V2,V3の各出力端子と整流回路28が接続され、並列接続されたコイルW1,W2,W3の各出力端子と整流回路28が接続される。このような出力回路により、従来の出力回路である、Y結線またはΔ結線の3つの端子に整流回路をそれぞれ接続したものに比べ、各相の出力電流の増大を図ることができる。また、この出力回路においては、発電時におけるロータ12に対する磁気抵抗が低下するので、ロータ12の回転数が増加し、結果としてステータコイル26ごとの高電圧化が図られる。図17には、各相のステータコイル26が並列にそれぞれ接続され、それらの出力端子が各整流回路28にそれぞれ対応するように接続されるデルタ結線が示される。このような構成にすることによっても、各相の出力電流の増大を図ることができる。なお、各相のステータコイル26の数は一例であり、この態様ではステータコイル26の数3個に限定されず、複数個あれば実現できる。また、各相のステータコイル26が複数ある場合、それらの出力端子がそれぞれ別の出力回路に結線され、所望の電力、すなわち直流電力と交流電力を同時に取り出せるように構成されてもよい。このような場合、この発電機を、三相交流電力と直流電力とを同時に必要とする装置、例えば電気自動車に搭載して使用することが好適である。
【0075】
次に、18個のティース22を有するステータ14におけるステータコイル26の配置について、図18を用いて説明する。図示しないが、ロータの永久磁石18は、周方向にN極とS極とが交互に並ぶように等間隔に12個配置される。すなわち、周方向において隣接するN極とS極の永久磁石18の間隔は、周方向において隣接するティース14の間隔に対して1.5倍になるように、永久磁石18がロータに配置される。
【0076】
図18には、ティース22に対して、左端から右端まで1〜18のアドレスが順に付されている。そして、ティース22に巻かれるステータコイル26に対しても、U1、V1そしてW1のアドレスが付されている。
【0077】
具体的には、U相のステータコイル26では、コイルU1が1,2番のティース22に対して巻き回される。V相のステータコイル26では、コイルV1が4,5番のティース22に対して巻き回される。そして、W相のステータコイル26では、コイルW1が9,10番のティース22に対して巻き回される。
【0078】
この実施形態においては、ステータコイル26が、上述のように配置されることにより、各相の間における位相差がそれぞれ120°の均等ではなくなる。このような構成により、ステータコイル26の不均等相配置を実現することができる。
【0079】
そして、上述したアドレス以外のティース22には、ステータコイル26が巻き回されていない。すなわち、3,6〜8,11〜18番のティース22には、ステータコイル26が巻き回されず、いわゆる空きのティース22が存在することになる。このように、空きのティース22を存在させることにより、ステータコイル26の不均等相配置を達成するための最適なレイアウトが容易になる。
【0080】
本実施形態においては、ステータコイル26の数が3個である場合について説明したが、本発明はこのステータコイル26の数3個に限定されない。ステータコイル26は、全てのティース22の数18個より少なければよい。いずれの構成であっても、ティース22に設けられたステータコイル26と出力側とを、各相の間における位相差が不均等になるように結線し、あるいは、一部のステータコイル26と出力側とを結線しないようにすることで、ステータコイル26の不均等相配置を実現することができる。
【0081】
最後に、15個のティース22を有するステータ14におけるステータコイル26の配置について、図19を用いて説明する。図示しないが、ロータの永久磁石18は、周方向にN極とS極とが交互に並ぶように等間隔に10個配置される。すなわち、周方向において隣接するN極とS極の永久磁石18の間隔は、周方向において隣接するティース14の間隔に対して1.5倍になるように、永久磁石18がロータに配置される。
【0082】
図19には、ティース22に対して、左端から右端まで1〜15のアドレスが順に付されている。そして、ティース22に巻かれるステータコイル26に対しても、U1、V1そしてW1のアドレスが付されている。
【0083】
具体的には、U相のステータコイル26では、コイルU1が1,2番のティース22に対して巻き回される。V相のステータコイル26では、コイルV1が4,5番のティース22に対して巻き回される。そして、W相のステータコイル26では、コイルW1が9,10番のティース22に対して巻き回される。
【0084】
この実施形態においては、ステータコイル26が、上述のように配置されることにより、各相の間における位相差がそれぞれ120°の均等ではなくなる。このような構成により、ステータコイル26の不均等相配置を実現することができる。
【0085】
そして、上述したアドレス以外のティース22には、ステータコイル26が巻き回されていない。すなわち、3,6〜8,11〜15番のティース22には、ステータコイル26が巻き回されず、いわゆる空きのティース22が存在することになる。このように、空きのティース22を存在させることにより、ステータコイル26の不均等相配置を達成するための最適なレイアウトが容易になる。
【0086】
本実施形態においては、ステータコイル26の数が3個である場合について説明したが、本発明はこのステータコイル26の数3個に限定されない。ステータコイル26は、全てのティース22の数18個より少なければよい。いずれの構成であっても、ティース22に設けられたステータコイル26と出力側とを、各相の間における位相差が不均等になるように結線し、あるいは、一部のステータコイル26と出力側とを結線しないようにすることで、ステータコイル26の不均等相配置を実現することができる。
【0087】
図14,15,18,19に示された実施形態においては、主に、ステータコイル26が隣接する2個のティース22に対して巻かれる場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。不均等相配置の達成が可能であれば、ステータコイル26が、隣接する2個以上の複数のティース22、例えば3個、4個または6個のティース22に対して巻かれても良い。また、図14,15,18,19に示された実施形態においては、ティース22の数が、48,24,18,15個である場合について説明したが、本発明はこれらのティース22の数に限定されず、48個より多くても、15個より少なくても、あるいは、15から48個の間の数であってもよい。
【0088】
また、図14,15,18,19に示された実施形態においては、ロータの永久磁石18は、周方向にN極とS極とが交互に並ぶように等間隔に配置される場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。N極を複数個、例えば2個順に並べた後に、S極を複数個、例えば2個順に並ぶように構成することもできる。
【0089】
図20には、別の態様の、図1のステータに対応するロータの構成が示されている。この態様のロータ12においては、永久磁石18が、N,N,S,S,N,N,S,S・・・の順に配列されている。このような構成にすることで、図2で示されるロータ12を使用した発電機より、約2倍の出力を得ることができる。また、図21には、別の態様の、図1のステータに対応するロータの構成が示されている。この態様のロータ12においては、永久磁石18が、N,N,S,S,N,N,S,S・・・の順に配列されているとともに、永久磁石18の数が2倍、すなわち16個から32個になっている。このような構成にすることで、図2で示されるロータ12を使用した発電機より、ロータ12の回転速度が低下して、約2倍の出力を得ることができる。これらの永久磁石18の配列、すなわち同極の永久磁石18を隣接させる配列は、図9に示されるロータ34であっても、図14,15,18,19に示される発電機も用いられるロータにも適用することができる。
【符号の説明】
【0090】
10,30,32,38 高効率発電機、12,34 ロータ、14,36,40 ステータ、16 入力軸、18 永久磁石、20 ヨーク、22 ティース、24 スロット、26 ステータコイル、28 整流器。
【技術分野】
【0001】
本発明は、永久磁石を含むロータと、ステータコイルを含むステータとを有する高効率発電機に関し、特にステータの構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、入力軸に固定されたロータと、このロータに対して間隔を空けて配置されたステータとを有する発電機が知られている。
【0003】
発電機が永久磁石を用いた永久磁石型の発電機である場合、ロータは、このロータの周方向にN極とS極とが交互に並ぶように等間隔に配置される永久磁石を有する。
【0004】
一方、ステータは、ロータの永久磁石に対向するように突出して形成されたティースと、このティースに巻き回されたステータコイルとを有する。
【0005】
このように構成される発電機においては、ロータの回転で発生する回転磁界と、ステータコイルとの間で働く電磁誘導作用によりステータコイルに電圧が誘起されて電流が流れ、発電が行われる。
【0006】
発電機により発電される電力が3相交流である場合、通常、ステータコイルの数は、3m(mは正の整数)個となり、ステータコイルが周方向に例えばU,V,W相の順に並ぶように等間隔に配置される。しかも、ステータコイルは、各相で発生する起電力の大きさが同じで、それぞれ120°位相差があるような3相交流、すなわち対称3相交流の電力が取り出せるように配置される。上述のような、周方向に等間隔に配置することで、周方向に移動する永久磁石に対する反作用、すなわち逆トルクのムラを低減するステータコイルの配置構造を、以降、単にステータコイルの均等負荷配置構造という。そして、対称3相交流の電力を発電可能なステータコイルの配置構造を、以降、単にステータコイルの均等相配置構造という。
【0007】
下記特許文献1には、軸方向に延びる孔が周方向に等間隔で複数形成され、それらの孔内に永久磁石をそれぞれ配置して構成されるロータを有する回転電機が記載されている。
【0008】
また、下記特許文献2には、内周に永久磁石が配置された円筒状のロータと、このロータの内周に間隔をあけて設けられたステータとを有する3相交流発電機が開示されている。ステータは、径方向外側に突出するように設けられたティースと、このティースの巻き回されたステータコイルとを有する。この発電機においては、ロータの回転により発生する永久磁石とステータコイルとの電磁誘導作用により発電が行われる。
【0009】
また、下記特許文献3には、円筒状の内周面に永久磁石が周方向に配置されたアウターロータと、このロータに内装され、周方向に突出して設けられるティースにステータコイルが巻き回されたステータとを有する永久磁石式の交流発電機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2000−228838号公報
【特許文献2】特開2004−166381号公報
【特許文献3】特開2009−148020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来の3相交流発電機においては、上述のように、ステータコイルは均等負荷配置構造及び均等相配置構造である。このような構成で、ロータを1600、2000、3500または4000rpmなどの高速回転域で回転させることによって、対称3相交流の電力が発電され、発電機の出力仕様特性を満たすことができる。しかしながら、上述のような高速回転域においてロータを回転させると、当然に発熱が増大するので、発電機が損傷してしまう、又は寿命が短くなってしまう可能性がある。
【0012】
そこで、ステータコイルの数を単に増加させ、ロータを1000rpm以下などの低速回転域で回転させることにより、上述のような発熱を抑制することが考えられる。しかしながら、従来の3相交流発電機の構成では、ステータコイルの磁気抵抗が強すぎ、また各永久磁石に対する逆トルクが各相で均等に加算されて増加してしまうので、ロータが回転しない、あるいはロータが所望の回転数を得ることができず、結果として、所望の出力を得ることができないという問題があった。
【0013】
本発明の目的は、簡易な構造で、高出力化を図るとともに、小型化と省材料化を図ることができる高効率発電機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の高効率発電機は、入力軸に固定され、周方向に永久磁石を複数有するロータと、ロータに対して所定の間隔をもって相対し、その相対する方向に突出する複数のティースにそれぞれ巻き回されたステータコイルを有するステータと、を備え、ステータコイルが、ステータの周方向に偏在するように配置されて不均等負荷配置になるように構成されることを特徴とする。
【0015】
また、ステータは、入力軸に対して偏心している円筒形状であることが好適である。
【0016】
また、あるティースに巻かれるステータコイルの線径が、他のティースに巻かれるステータコイルの線径と異なることが好適である。
【0017】
また、あるティースに巻かれるステータコイルの巻き数が、他のティースに巻かれるステータコイルの巻き数と異なることが好適である。
【0018】
また、ある永久磁石の磁力は、他の永久磁石の磁力と異なることが好適である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の高効率発電機によれば、簡易な構造で、高出力化を図るとともに、小型化と省材料化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態に係る高効率発電機のステータの構成を示す図である。
【図2】図1のステータに対応するロータの構成を示す図である。
【図3】出力回路を示す図である。
【図4】別の実施形態に係る高効率発電機のステータの構成を示す図である。
【図5】本発明の高効率発電機と従来例の出力特性の一例を示す図である。
【図6】本発明の高効率発電機と従来例の出力特性の一例を示す図である。
【図7】本発明の高効率発電機と従来例の出力特性の一例を示す図である。
【図8】別の実施形態に係る高効率発電機のステータの構成を示す図である。
【図9】図8のステータに対応するロータの構成を示す図である。
【図10】別の実施形態に係る高効率発電機のステータの構成を示す図である。
【図11】本発明の高効率発電機と従来例の出力特性の一例を示す図である。
【図12】本発明の高効率発電機と従来例の出力特性の一例を示す図である。
【図13】本発明の高効率発電機と従来例の出力特性の一例を示す図である。
【図14】別の実施形態に係る高効率発電機のステータコイルの配置を示す図である。
【図15】別の実施形態に係る高効率発電機のステータコイルの配置を示す図である。
【図16】別の態様の出力回路を示す図である。
【図17】別の態様の出力回路を示す図である。
【図18】別の実施形態に係る高効率発電機のステータコイルの配置を示す図である。
【図19】別の実施形態に係る高効率発電機のステータコイルの配置を示す図である。
【図20】別の態様の、図1のステータに対応するロータの構成を示す図である。
【図21】別の態様の、図1のステータに対応するロータの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る高効率発電機の実施形態について、図を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る高効率発電機のステータの構成を示す図であり、図2は、図1のステータに対応するロータの構成を示す図である。
【0022】
本実施形態に係る高効率発電機(以下、単に「発電機」と記す)10は、3相交流発電機である。発電機10は、ロータ12と、ステータ14を有する。ロータ12は、ステータ14の内周に間隔を空けて回転可能に配置される。
【0023】
ロータ12は、入力軸16と同心の円筒状の磁性体であり、例えば電磁鋼板を軸方向に積層して構成される。ロータ12は、入力軸16に同期回転可能に固定される。ロータ12には、図2に示されるように、永久磁石18が周方向に16個配置される。具体的には、永久磁石18が、ロータ12の周方向にN極とS極とが交互に並ぶように等間隔に16個配置される。なお、永久磁石18の数は一例であり、永久磁石18の数は、2n(nは正の整数)個とすることができる。
【0024】
なお、本実施形態においては、各永久磁石18は、ロータ12の外周面に、軸方向に沿ってそれぞれ配置される。しかし、この構成に限定されず、各永久磁石18は、ロータ12に軸方向に延びて形成された孔内にそれぞれ埋め込まれて配置されてもよい。また、本実施形態では、ロータ12が電磁鋼板を積層して構成される場合について説明したが、この構成に限定されず、ロータ12が圧粉磁心から成形されるものであってもよい。
【0025】
ステータ14は、ロータ12の周囲に僅かな隙間を空けて配置される。ステータ14は、入力軸16と同心の円筒形状をした磁性体であり、例えば電磁鋼板を軸方向に積層して形成される。具体的には、ステータ14は、薄板状の電磁鋼板をプレスで打ち抜いて、打ち抜かれた電磁鋼板を軸方向に所定の枚数積層して、積層された複数の電磁鋼板を加圧カシメ等の処理を施して結合され形成される。
【0026】
なお、本実施形態においては、ステータ14が電磁鋼板を積層して構成される場合について説明したが、この構成に限定されず、ステータ14が圧粉磁心から成形されるものであってもよい。
【0027】
ステータ14は、環状のヨーク20と、このヨーク20の内周から径方向内側に向けて突出し、周方向に所定の間隔をおいて配置されたティース22とを有する。本実施形態のティース22は、図1に示されるように、周方向に24個配置される。なお、ティース22の数は一例である。
【0028】
互いに隣接するティース22の間には、溝状の空間であるスロット24が形成される。導線が、スロット24を通りつつ、ティース22に巻きつけられることでステータコイル26(図3に示す)を形成する。
【0029】
このように構成される発電機10においては、ロータ12の回転で発生する回転磁界と、ステータコイル26との間で働く電磁誘導作用によりステータコイル26に電圧が誘起されて電流が流れ、発電が行われる。
【0030】
本実施形態の発電機10は、ステータコイル26が不均等相配置になるように構成されることを特徴とする。不均等相配置とは、対称3相交流ではない電力が発電されるようなステータコイル26の配置であり、従来技術で述べた均等相配置とは異なる構成である。このようなステータコイル26の不均等相配置を採用する発電機10は、均等相配置のものに比べ、回転するロータ12に対する反作用、すなわち各永久磁石18に対する逆トルクの増加が抑制されるので、ロータ12の回転数が増加して高出力化を図ることができる。以下、ステータコイル26の不均等相配置の具体的な構成について説明する。
【0031】
図1には、U相のステータコイル26が巻かれるティース22に対して、右回りに、U1〜U8までアドレスが順に付され、同様に、V相のステータコイル26が巻かれるティース22に対して、V1〜V6までアドレスが付され、さらに、W相のステータコイル26が巻かれるティース22に対して、W1〜W5までアドレスが付されている。なお、図1に示されるステータ14においては、ステータコイル26のアドレスが付されていないティース22が5個ある。
【0032】
U相のステータコイル26では、コイルU1〜U6及びU7〜U8が、2相分のティース22を間においてティース22に巻き回され、コイルU6〜U7が、3相分のティース22を間においてティース22に巻き回され、コイルU8〜U1が、1相分のティース22を間において巻き回される。V相のステータコイル26において、コイルV1〜V2,V3〜V4及びV5〜V6が2相分のティース22を間において、コイルV2〜V3が5相分のティース22を間において、コイルV4〜V5が6相分のティース22を間において、そして、コイルV6〜V1が1相分のティース22を間において、それぞれティース22に巻き回される。さらに、W相のステータコイル26では、コイルW1〜W2及びW3〜W4が2相分のティース22を間において、コイルW2〜W3が5相分のティース22を間において、コイルW4〜W5が6相分のティース22を間において、そして、コイルW5〜W1が4相分のティース22を間において、それぞれティース22に巻き回される。
【0033】
従来例の発電機においては、各相のステータコイルは、2相分のティースを間においてティースに巻きつけられ、各相の間における位相差が120°で均等になるように配置される。しかし、本発明の発電機10においては、ステータコイル26が、上述のように、各相の間における位相差がそれぞれ120°の均等ではなく、少なくとも一部が不均等になるように配置される。このような構成により、ステータコイル26の不均等相配置を実現することができる。
【0034】
また、図1に示されるように、ティース22の数24個より、ティース22に巻かれるステータコイル26の数19個の方が少ない。そして、それらのステータコイル26が、各相の間における位相差が不均等になるように配置される。このような構成によっても、ステータコイル26の不均等相配置を実現することができる。このようなステータコイル26が周方向において等間隔に配置されない構造は、後述する不均等負荷配置に対応する。本発明では、このように、ステータコイル26の不均等相配置と不均等負荷配置を組み合わせることもできる。
【0035】
本実施形態においては、ステータコイル26の数が19個である場合について説明したが、本発明はこのステータコイル26の数19個に限定されない。ステータコイル26は、19個より少なくてもよく、全てのティース22に対して巻かれて24個であってもよい。いずれの構成であっても、ティース22に設けられたステータコイル26と出力側とを、各相の間における位相差が不均等になるように結線し、あるいは、一部のステータコイル26と出力側とを結線しないようにすることで、ステータコイル26の不均等相配置を実現することができる。
【0036】
次に、発電機10の出力回路について、図3を用いて説明する。本発明の発電機10の出力回路は、図3に示されるように、各相のステータコイル26、例えばコイルU1,U2,U3・・・U8の各出力端子と、これらに対応する整流回路28がそれぞれ接続され、それらの整流回路28の出力側において、同相のステータコイル26の出力が並列に接続されるように構成される。このような出力回路により、従来の出力回路である、Y結線またはΔ結線の3つの端子に整流回路をそれぞれ接続したものに比べ、各相の出力電流の増大を図ることができる。一方、この出力回路においては、従来の出力回路に比べ各相の出力電圧は低下する。しかし、上述のようにステータコイル26の不均等相配置により、従来例に比べ、ロータ12の回転数が増加するので、ステータコイル26ごとの高電圧化が図られる。したがって、本実施形態の発電機10とその出力回路との構成によれば、従来例に比べ、確実に高出力を得ることができ、特に、出力電力を、そのまま二次電池などの充電器へ充電するときに有用である。また、発電機10により発電された電力を、充電器へ充電する場合には、各ステータコイル26の出力端子と、これに対応する整流器28とをそれぞれ接続し、それらの出力側において、ステータコイル26の出力が並列に接続されるように構成される、すなわち単相出力方式により構成されることが好適である。
【0037】
本実施形態においては、発電機10が、ロータ12がステータ14の内側に配置された内転式発電機である場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されず、ロータがステータの外側に配置される外転式発電機とすることもできる。
【0038】
次に、別の実施形態の発電機30について、図4を用いて説明する。図4は、別の実施形態に係る高効率発電機のステータの構成を示す図である。なお、上記実施形態と同じ構成要素については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。また、この実施形態のステータに対応するロータの構成は、図2と同じである。
【0039】
この実施形態の発電機30は、ステータコイル26が不均等負荷配置になるように構成されることを特徴とする。不均等負荷配置とは、周方向に移動する永久磁石に対する反作用、すなわち逆トルクのムラが生じるようなステータコイル26の配置であり、従来技術で述べた均等負荷配置とは異なる構成である。このようなステータコイル26の不均等負荷配置を採用する発電機30は、均等負荷配置のものに比べ、回転するロータ12に対する反作用、すなわち各永久磁石18に対する逆トルクの増加が抑制されるので、ロータ12の回転数が増加して高出力化を図ることができる。以下、ステータコイル26の不均等負荷配置の具体的な構成について説明する。
【0040】
この実施形態のステータコイル26は、ステータ14の周方向において偏在するように配置される。周方向に偏在とは、周方向における所定の領域に偏っているというである。ティース22が、図4に示されるように、入力軸16の中心から所定の角度(例えば120°)により囲まれる扇形の領域に偏在して9個配置される。そして、各ティース22には、図4に示されていないが、ステータコイル26がそれぞれ巻き回される。このように、ステータコイル26が周方向における所定の領域に偏って配置される。なお、ティース22及びステータコイル26の数9個は一例であり、本発明はこの数に限定されない。また、本実施形態においては、ティース22が偏在化して形成される場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されず、ティース22が周方向に等間隔で形成され、ステータコイル26が周方向において偏在するように、それらのティース22の一部に巻かれて配置されてもよい。
【0041】
この実施形態におけるステータコイル26の相は任意に設定可能である。すなわち、各ステータコイル26に、それぞれ出力回路を接続した独立(単相)出力方式により出力電力を取り出すことができる。または、ステータコイル26が、周方向にU,V,W相の順に並ぶように等間隔に配置、すなわち均等相配置され、各相に、それぞれ出力回路を接続した3相交流出力方式により出力電力を取り出すこともできる。あるいは、ステータコイル26が、周方向において順不同にU,V,W相が並ぶように配置し、各相に、それぞれ出力回路を接続した3相交流出力方式により出力電力を取り出すこともできる。ステータコイル26ごとに出力端子が設けられ、この出力端子の結線方法を変更するだけでステータコイル26の相を任意に設定可能になるので、ステータ14の設計自由度が向上するとともに、出力電力の調整も容易になる。
【0042】
このように、この実施形態においては、ティース22と、これに対応するステータコイル26とが、ステータ14の周方向に偏在するように配置される。従来例の発電機においては、周方向に等間隔に配置されるステータコイルが、周方向に移動する各永久磁石に対して所定の逆トルク、いわゆる負荷が等間隔ごとにかかるように配置されていた。しかし、この発明の発電機30においては、ステータコイル26が周方向に偏在するように配置されるので、各永久磁石は、周方向に移動する際にかかる負荷が均等ではなく、不均等になる。このように、周方向におけるステータコイル26の偏在化により、ステータコイル26の不均等負荷配置を実現することができる。
【0043】
本実施形態においては、ステータコイル26の偏在化により、ステータコイル26の不均等負荷配置が構成される場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。周方向における負荷が不均等になるのであれば、あるティース22に巻かれるステータコイル26の線径が、他のティース22に巻かれるステータコイル26の線径と異なるように構成されてもよい。さらに、あるティース22に巻かれるステータコイル26の巻き数が、他のティース22に巻かれるステータコイル26の巻き数と異なるように構成されてもよい。または、これらを組み合わせた構成であっても、ステータコイル26の不均等負荷配置を実現することができる。さらに、ロータ12に配置される、ある永久磁石18の磁力が、他の永久磁石18の磁力と異なるように構成することで、それらの永久磁石が、周方向に移動する際にかかる負荷が均等ではなく、すなわち不均等にすることもできる。
【0044】
図4に戻り、この実施形態のステータ14は、入力軸16と偏心の円筒形状であることを特徴とする。具体的には、ステータ14の外周における中心と、入力軸16と同心である内周における中心とが異なる。このようなステータ14の構成は、周方向におけるステータコイル26の偏在化を図る際に、特に有用であり、ステータ14の小型化が図られる。この構成により、径方向におけるステータ14の長さが大きくなる領域が生じ、その領域に、ヨーク20の幅を確保しつつ、径方向により長いスロット24とティース22とを形成することができる。このように形成されるスロット24とティース22により、外径が同じ従来のステータに比べ、ティース22の1個あたりに巻きつけられる導線の巻き線数または線径の少なくとも一方をより大きくすることができ、ステータコイル26の容量の増大を図ることができる。また、線径の増大に伴い、巻き線の本数を少なく、例えば1本にすることでより大きな出力電流を得ることができる。また、本実施形態のステータ14と従来例のものが同じ外径である場合、上述のような、より大きく形成されるティース22には、従来例の周方向に等間隔で配置されたステータコイルで使用される長さの導線を、全て巻きつけることができる。
【0045】
次に、この実施形態に係る発電機30の出力特性について、図5から7を用いて説明する。図5から7は、それぞれ、本発明の高効率発電機と従来例の発電機との出力特性の一例を示す図である。なお、図5から7において、従来例の出力回路は、Δ結線に整流器を介して負荷が接続されたものであり、本発明の出力回路は、図3と同じ構成のものを採用し、発電機30に、整流器28を介して負荷が接続されたものとする。この負荷は、100w/12Vのランプが3個で全て共通である。また、従来例と本発明に使用される永久磁石の数は、ともに16個で、着磁力も同じとする。
【0046】
図5に示されるように、従来例は、巻き線のターン数が25T、ステータコイルの数が24個、線径が0.85φ×3本という条件である。この条件における測定値は、ロータの回転数が425rpm、出力電圧が0.21V、出力電流が4Aであった。一方、本発明では、従来例の条件から、巻き線のターン数を50T、ステータコイル26の数を9個という条件に変えて測定した。この測定値は、ロータ12の回転数が925rpm、出力電圧が6.0V、出力電流が35Aであった。
【0047】
図6では、従来例が、巻き線のターン数が35T、ステータコイルの数が24個、線径が0.85φ×1本という条件である。この条件における測定値は、ロータの回転数が474rpm、出力電圧が0.2V、出力電流が7Aであった。一方、本発明では、従来例の条件から、巻き線のターン数を21T、ステータコイル26の数を9個、線径を1.1φ×1本という条件に変えて測定した。この測定値は、ロータ12の回転数が785rpm、出力電圧が2.2V、出力電流が18Aであった。巻き線が1本であることにより、そこに大きな電流が流れ、しかも線径を大きくすることで、出力電流をさらに大きくすることができる。
【0048】
図7では、従来例が、巻き線のターン数が65T、ステータコイルの数が24個、線径が0.85φ×2本という条件である。この条件における測定値は、ロータの回転数が428rpm、出力電圧が0.37V、出力電流が1.5Aであった。一方、本発明では、従来例の条件から、巻き線のターン数を56T、ステータコイル26の数を9個という条件に変えて測定した。この測定値は、ロータ12の回転数が935rpm、出力電圧が17V、出力電流が17Aであった。
【0049】
これらの出力特性に示されるように、発電機30は、従来の発電機に比べ、ロータ12の回転数が増加し、高出力を得ることができた。すなわち、ステータコイル26が不均等負荷配置になるように構成することで、ロータ12の回転数が増加し、高出力化を可能にする。一方で、発電機30においては、従来例に比べてステータコイル26の数が削減されるので、省材料化を可能にする。
【0050】
この実施形態においては、発電機30が、ロータ12がステータ14の内側に配置された内転式発電機である場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されず、ロータがステータの外側に配置される外転式発電機32とすることもできる。
【0051】
この発電機32の構成について、図8,9を用いて説明する。図8は、別の実施形態の高効率発電機のステータの構成を示す図であり、図9は、図8のステータに対応するロータの構成を示す図である。なお、上述した二つの実施形態と同じ構成要素については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0052】
発電機32は、中空の円筒形状のロータ34と、ロータ34の内周に間隔を空けて設けられたステータ36とを有する。ロータ34と入力軸16とは軸方向端部において同期回転可能に固定される。ロータ34の内周には、周方向に等間隔で永久磁石18が配置される。具体的には、永久磁石18が、ロータ34の周方向にN極とS極とが交互に並ぶように等間隔に16個配置される。なお、永久磁石18の数は一例であり、永久磁石18の数は、2n(nは正の整数)個とすることができる。
【0053】
この実施形態のステータ36は、入力軸16が貫通する中空の、入力軸16と偏心の円筒形状である。すなわち、ステータ36の外周における中心と、入力軸16と同心である内周における中心とが異なる。この構成は、上述の実施形態のステータ14と同様に、周方向におけるステータコイル26(図示せず)の偏在化を図る際に、特に有用であり、ステータ36の小型化が図られる。
【0054】
次に、別の実施形態の発電機38について、図10を用いて説明する。図10は、別の実施形態に係る高効率発電機のステータの構成を示す図である。なお、上記実施形態と同じ構成要素については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。また、この実施形態のステータに対応するロータの構成は、図9と同じである。
【0055】
この発電機32は、ロータ34がステータ40の外側に配置される外転式発電機である。ステータ40は、入力軸16が貫通する中空の、入力軸16と同心の円筒形状である。すなわち、ステータ40の外周における中心と、入力軸16と同心である内周における中心とが同じである。
【0056】
ステータ40は、環状のヨーク20と、このヨーク20の外周から径方向外側に向けて突出し、周方向に所定の間隔をおいて配置されたティース22とを有する。本実施形態のティース22は、図10に示されるように、周方向に24個配置される。なお、ティース22の数は一例である。互いに隣接するティース22の間には、溝状の空間であるスロット24が形成される。
【0057】
図10には、ステータコイル26(図示せず)が巻かれるティース22に対して、右回りに22a〜22iまでアドレスが順に付されている。具体的には、ティース22aを起点として、右回りに、1個のティース22を間において、順にティース22iまでアドレスが順に付されている。よって、ステータコイル26は、入力軸16の中心から所定の角度(例えば240°)により囲まれる扇形の領域に偏在して9個配置される。なお、この配置は一例であり、本発明はこの構成に限定されず、周方向におけるステータコイル26の偏在化が形成されるのであれば、ステータコイル26の数を9個より少なくても、あるいは多くてもよい。また、ステータコイル26が巻き回されるティース22の場所も限定されず、隣接するティース22に連続的に巻き付けても、2個のティース22を間においてもよい。
【0058】
この実施形態におけるステータコイル26の相は、上述した実施形態と同様に、任意に設定可能である。すなわち、各ステータコイル26に、それぞれ出力回路を接続した独立(単相)出力方式により出力電力を取り出すことができる。または、ステータコイル26が、周方向にU,V,W相の順に並ぶように等間隔に配置、すなわち均等相配置され、各相に、それぞれ出力回路を接続した3相交流出力方式により出力電力を取り出すこともできる。あるいは、ステータコイル26が、周方向において順不同にU,V,W相が並ぶように配置し、各相に、それぞれ出力回路を接続した3相交流出力方式により出力電力を取り出すこともできる。ステータコイル26ごとに出力端子が設けられ、この出力端子の結線方法を変更するだけでステータコイル26の相を任意に設定可能になるので、ステータ40の設計自由度が向上するとともに、出力電力の調整も容易になる。
【0059】
次に、この実施形態に係る発電機38の出力特性について、図11から13を用いて説明する。図11から13は、それぞれ、本発明の高効率発電機と従来例の発電機との出力特性の一例を示す図である。なお、図11から13において、従来例の出力回路は、Δ結線に整流器を介して負荷が接続されたものであり、本発明の出力回路は、図3と同じ構成のものを採用し、発電機38に、整流器28を介して負荷が接続されたものとする。この負荷は、100w/12Vのランプが3個で全て共通である。また、従来例と本発明に使用される永久磁石の数は、ともに16個で、着磁力も同じとする。
【0060】
図11に示されるように、従来例は、巻き線のターン数が25T、ステータコイルの数が24個、線径が0.85φ×3本という条件である。この条件における測定値は、ロータの回転数が425rpm、出力電圧が0.21V、出力電流が7Aであった。一方、本発明では、従来例の条件から、巻き線のターン数を50T、ステータコイル26の数を9個という条件に変えて測定した。この測定値は、ロータ34の回転数が438rpm、出力電圧が6.0V、出力電流が15Aであった。
【0061】
図12では、従来例が、巻き線のターン数が35T、ステータコイルの数が24個、線径が0.85φ×1本という条件である。この条件における測定値は、ロータの回転数が178rpm、出力電圧が0.02V、出力電流が4.8Aであった。一方、本発明では、従来例の条件から、巻き線のターン数を21T、ステータコイル26の数を8個、線径を1.1φ×1本という条件に変えて測定した。この測定値は、ロータ34の回転数が573rpm、出力電圧が15.7V、出力電流が18Aであった。
【0062】
図13では、従来例が、巻き線のターン数が65T、ステータコイルの数が24個、線径が0.85φ×2本という条件である。この条件における測定値は、ロータの回転数が0rpm、すなわち回転せずに、出力電圧が0V、出力電流が0Aであった。一方、本発明では、従来例の条件から、巻き線のターン数を56T、ステータコイル26の数を6個という条件に変えて測定した。同じ入力にも関わらず、測定値は、ロータ34の回転数が935rpm、出力電圧が40V、出力電流が35Aであった。
【0063】
これらの出力特性に示されるように、発電機38は、従来の発電機に比べ、ロータ34の回転数が増加し、高出力を得ることができた。すなわち、ステータコイル26が不均等負荷配置になるように構成することで、ロータ34の回転数が増加し、高出力化を可能にする。
【0064】
次に、別の実施形態に係る高効率発電機のステータコイルの配置について、4つの図を用いて説明する。これらの図に用いられるステータには、ティース22が周方向に等間隔に配置されているものとする。しかし、これらの図においては、通常、周方向に配置されるティース22を、見易くするため、直線的に並び替えて表している。
【0065】
図14は、48個のティース22を有するステータ14におけるステータコイル26の配置を示す図である。図示しないが、ロータの永久磁石18は、周方向にN極とS極とが交互に並ぶように等間隔に32個配置される。すなわち、周方向において隣接するN極とS極の永久磁石18の間隔は、周方向において隣接するティース14の間隔に対して1.5倍になるように、永久磁石18がロータに配置される。
【0066】
図14には、ティース22に対して、左端から右端まで1〜48のアドレスが順に付されている。そして、ティース22に巻かれるステータコイル26に対しても、U1〜U4、V1〜V4そしてW1〜W4までアドレスが付されている。
【0067】
具体的には、U相のステータコイル26では、コイルU1が1,2番のティース22に対して巻き回され、コイルU2が13,14番のティース22に巻き回され、コイルU3が25,26番のティース22に巻き回され、コイルU4が37,38番のティース22に巻き回される。V相のステータコイル26では、コイルV1が9,10番のティース22に対して巻き回され、コイルV2が21,22番のティース22に巻き回され、コイルV3が33,34番のティース22に巻き回され、コイルV4が45,46番のティース22に巻き回される。そして、W相のステータコイル26では、コイルW1が4,5番のティース22に対して巻き回され、コイルW2が16,17番のティース22に巻き回され、コイルW3が28,29番のティース22に巻き回され、コイルW4が40,41番のティース22に巻き回される。
【0068】
従来例の発電機においては、各相のステータコイルの間における位相差が120°で均等になるように配置される。しかし、この実施形態においては、ステータコイル26が、上述のように配置されることにより、各相の間における位相差がそれぞれ120°の均等ではなくなる。このような構成により、ステータコイル26の不均等相配置を実現することができる。
【0069】
そして、上述したアドレス以外のティース22には、ステータコイル26が巻き回されていない。すなわち、3,6〜8,11,12,15,18〜20,23,24,27,30〜32,35,36,39,42〜44,47,48番のティース22には、ステータコイル26が巻き回されず、いわゆる空きのティース22が存在することになる。このように、空きのティース22を存在させることにより、言い換えれば、ステータコイル26の数をティース22の数より少なくすることにより、ステータコイル26の不均等相配置を達成するための最適なレイアウトが容易になる。
【0070】
本実施形態においては、ステータコイル26の数が12個である場合について説明したが、本発明はこのステータコイル26の数12個に限定されない。ステータコイル26は、全てのティース22の数48個より少なければよい。いずれの構成であっても、ティース22に設けられたステータコイル26と出力側とを、各相の間における位相差が不均等になるように結線し、あるいは、一部のステータコイル26と出力側とを結線しないようにすることで、ステータコイル26の不均等相配置を実現することができる。
【0071】
次に、24個のティース22を有するステータ14におけるステータコイル26の配置について、図15を用いて説明する。図示しないが、ロータの永久磁石18は、周方向にN極とS極とが交互に並ぶように等間隔に16個配置される。すなわち、周方向において隣接するN極とS極の永久磁石18の間隔は、周方向において隣接するティース14の間隔に対して1.5倍になるように、永久磁石18がロータに配置される。
【0072】
図15には、ティース22に対して、左端から右端まで1〜24のアドレスが順に付されている。ステータコイル26は、1,2番のティース22と、4,5番のティース22と、7,8番のティース22と、10,11番のティース22と、13番のティース22と、15,16番のティース22と、18,19番のティース22と、21,22番のティース22に対してそれぞれ巻き回される。そして、上述したアドレス以外のティース22には、ステータコイル26が巻き回されていない。すなわち、3,6,9,12,14,17,20,23,24番のティース22には、ステータコイル26が巻き回されず、いわゆる空きのティース22が存在することになる。このように、空きのティース22を存在させることにより、上述したように、ステータコイル26の不均等相配置を達成するための最適なレイアウトが容易になる。
【0073】
この実施形態におけるステータコイル26の相は、既に述べた実施形態と同様に、任意に設定可能である。すなわち、各ステータコイル26に、それぞれ出力回路を接続した独立(単相)出力方式により出力電力を取り出すことができる。または、ステータコイル26が、周方向において順不同にU,V,W相が並ぶように配置し、各相に、それぞれ出力回路を接続した3相交流出力方式により出力電力を取り出すこともできる。ステータコイル26ごとに出力端子が設けられ、この出力端子の結線方法を変更するだけでステータコイル26の相を任意に設定可能になるので、ステータ40の設計自由度が向上するとともに、出力電力の調整も容易になる。
【0074】
図16,17に、図3とは異なる別の態様の出力回路の一例を示す。図16に示されるように、各相のステータコイル26が並列にそれぞれ接続され、それらの出力端子が各整流回路28にそれぞれ対応するように接続される。例えば、並列接続されたコイルU1,U2,U3の出力端子と整流回路28が接続され、並列接続されたコイルV1,V2,V3の各出力端子と整流回路28が接続され、並列接続されたコイルW1,W2,W3の各出力端子と整流回路28が接続される。このような出力回路により、従来の出力回路である、Y結線またはΔ結線の3つの端子に整流回路をそれぞれ接続したものに比べ、各相の出力電流の増大を図ることができる。また、この出力回路においては、発電時におけるロータ12に対する磁気抵抗が低下するので、ロータ12の回転数が増加し、結果としてステータコイル26ごとの高電圧化が図られる。図17には、各相のステータコイル26が並列にそれぞれ接続され、それらの出力端子が各整流回路28にそれぞれ対応するように接続されるデルタ結線が示される。このような構成にすることによっても、各相の出力電流の増大を図ることができる。なお、各相のステータコイル26の数は一例であり、この態様ではステータコイル26の数3個に限定されず、複数個あれば実現できる。また、各相のステータコイル26が複数ある場合、それらの出力端子がそれぞれ別の出力回路に結線され、所望の電力、すなわち直流電力と交流電力を同時に取り出せるように構成されてもよい。このような場合、この発電機を、三相交流電力と直流電力とを同時に必要とする装置、例えば電気自動車に搭載して使用することが好適である。
【0075】
次に、18個のティース22を有するステータ14におけるステータコイル26の配置について、図18を用いて説明する。図示しないが、ロータの永久磁石18は、周方向にN極とS極とが交互に並ぶように等間隔に12個配置される。すなわち、周方向において隣接するN極とS極の永久磁石18の間隔は、周方向において隣接するティース14の間隔に対して1.5倍になるように、永久磁石18がロータに配置される。
【0076】
図18には、ティース22に対して、左端から右端まで1〜18のアドレスが順に付されている。そして、ティース22に巻かれるステータコイル26に対しても、U1、V1そしてW1のアドレスが付されている。
【0077】
具体的には、U相のステータコイル26では、コイルU1が1,2番のティース22に対して巻き回される。V相のステータコイル26では、コイルV1が4,5番のティース22に対して巻き回される。そして、W相のステータコイル26では、コイルW1が9,10番のティース22に対して巻き回される。
【0078】
この実施形態においては、ステータコイル26が、上述のように配置されることにより、各相の間における位相差がそれぞれ120°の均等ではなくなる。このような構成により、ステータコイル26の不均等相配置を実現することができる。
【0079】
そして、上述したアドレス以外のティース22には、ステータコイル26が巻き回されていない。すなわち、3,6〜8,11〜18番のティース22には、ステータコイル26が巻き回されず、いわゆる空きのティース22が存在することになる。このように、空きのティース22を存在させることにより、ステータコイル26の不均等相配置を達成するための最適なレイアウトが容易になる。
【0080】
本実施形態においては、ステータコイル26の数が3個である場合について説明したが、本発明はこのステータコイル26の数3個に限定されない。ステータコイル26は、全てのティース22の数18個より少なければよい。いずれの構成であっても、ティース22に設けられたステータコイル26と出力側とを、各相の間における位相差が不均等になるように結線し、あるいは、一部のステータコイル26と出力側とを結線しないようにすることで、ステータコイル26の不均等相配置を実現することができる。
【0081】
最後に、15個のティース22を有するステータ14におけるステータコイル26の配置について、図19を用いて説明する。図示しないが、ロータの永久磁石18は、周方向にN極とS極とが交互に並ぶように等間隔に10個配置される。すなわち、周方向において隣接するN極とS極の永久磁石18の間隔は、周方向において隣接するティース14の間隔に対して1.5倍になるように、永久磁石18がロータに配置される。
【0082】
図19には、ティース22に対して、左端から右端まで1〜15のアドレスが順に付されている。そして、ティース22に巻かれるステータコイル26に対しても、U1、V1そしてW1のアドレスが付されている。
【0083】
具体的には、U相のステータコイル26では、コイルU1が1,2番のティース22に対して巻き回される。V相のステータコイル26では、コイルV1が4,5番のティース22に対して巻き回される。そして、W相のステータコイル26では、コイルW1が9,10番のティース22に対して巻き回される。
【0084】
この実施形態においては、ステータコイル26が、上述のように配置されることにより、各相の間における位相差がそれぞれ120°の均等ではなくなる。このような構成により、ステータコイル26の不均等相配置を実現することができる。
【0085】
そして、上述したアドレス以外のティース22には、ステータコイル26が巻き回されていない。すなわち、3,6〜8,11〜15番のティース22には、ステータコイル26が巻き回されず、いわゆる空きのティース22が存在することになる。このように、空きのティース22を存在させることにより、ステータコイル26の不均等相配置を達成するための最適なレイアウトが容易になる。
【0086】
本実施形態においては、ステータコイル26の数が3個である場合について説明したが、本発明はこのステータコイル26の数3個に限定されない。ステータコイル26は、全てのティース22の数18個より少なければよい。いずれの構成であっても、ティース22に設けられたステータコイル26と出力側とを、各相の間における位相差が不均等になるように結線し、あるいは、一部のステータコイル26と出力側とを結線しないようにすることで、ステータコイル26の不均等相配置を実現することができる。
【0087】
図14,15,18,19に示された実施形態においては、主に、ステータコイル26が隣接する2個のティース22に対して巻かれる場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。不均等相配置の達成が可能であれば、ステータコイル26が、隣接する2個以上の複数のティース22、例えば3個、4個または6個のティース22に対して巻かれても良い。また、図14,15,18,19に示された実施形態においては、ティース22の数が、48,24,18,15個である場合について説明したが、本発明はこれらのティース22の数に限定されず、48個より多くても、15個より少なくても、あるいは、15から48個の間の数であってもよい。
【0088】
また、図14,15,18,19に示された実施形態においては、ロータの永久磁石18は、周方向にN極とS極とが交互に並ぶように等間隔に配置される場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。N極を複数個、例えば2個順に並べた後に、S極を複数個、例えば2個順に並ぶように構成することもできる。
【0089】
図20には、別の態様の、図1のステータに対応するロータの構成が示されている。この態様のロータ12においては、永久磁石18が、N,N,S,S,N,N,S,S・・・の順に配列されている。このような構成にすることで、図2で示されるロータ12を使用した発電機より、約2倍の出力を得ることができる。また、図21には、別の態様の、図1のステータに対応するロータの構成が示されている。この態様のロータ12においては、永久磁石18が、N,N,S,S,N,N,S,S・・・の順に配列されているとともに、永久磁石18の数が2倍、すなわち16個から32個になっている。このような構成にすることで、図2で示されるロータ12を使用した発電機より、ロータ12の回転速度が低下して、約2倍の出力を得ることができる。これらの永久磁石18の配列、すなわち同極の永久磁石18を隣接させる配列は、図9に示されるロータ34であっても、図14,15,18,19に示される発電機も用いられるロータにも適用することができる。
【符号の説明】
【0090】
10,30,32,38 高効率発電機、12,34 ロータ、14,36,40 ステータ、16 入力軸、18 永久磁石、20 ヨーク、22 ティース、24 スロット、26 ステータコイル、28 整流器。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力軸に固定され、周方向に永久磁石を複数有するロータと、
ロータに対して所定の間隔をもって相対し、その相対する方向に突出する複数のティースにそれぞれ巻き回されたステータコイルを有するステータと、
を備え、
ステータコイルが、ステータの周方向に偏在するように配置されて不均等負荷配置になるように構成される、
ことを特徴とする高効率発電機。
【請求項2】
請求項1に記載の高効率発電機において、
ステータは、入力軸に対して偏心している円筒形状である、
ことを特徴とする高効率発電機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の高効率発電機において、
あるティースに巻かれるステータコイルの線径が、他のティースに巻かれるステータコイルの線径と異なる、
ことを特徴とする高効率発電機。
【請求項4】
請求項1または2に記載の高効率発電機において、
あるティースに巻かれるステータコイルの巻き数が、他のティースに巻かれるステータコイルの巻き数と異なる、
ことを特徴とする高効率発電機。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載の高効率発電機において、
ある永久磁石の磁力は、他の永久磁石の磁力と異なる、
ことを特徴とする高効率発電機。
【請求項1】
入力軸に固定され、周方向に永久磁石を複数有するロータと、
ロータに対して所定の間隔をもって相対し、その相対する方向に突出する複数のティースにそれぞれ巻き回されたステータコイルを有するステータと、
を備え、
ステータコイルが、ステータの周方向に偏在するように配置されて不均等負荷配置になるように構成される、
ことを特徴とする高効率発電機。
【請求項2】
請求項1に記載の高効率発電機において、
ステータは、入力軸に対して偏心している円筒形状である、
ことを特徴とする高効率発電機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の高効率発電機において、
あるティースに巻かれるステータコイルの線径が、他のティースに巻かれるステータコイルの線径と異なる、
ことを特徴とする高効率発電機。
【請求項4】
請求項1または2に記載の高効率発電機において、
あるティースに巻かれるステータコイルの巻き数が、他のティースに巻かれるステータコイルの巻き数と異なる、
ことを特徴とする高効率発電機。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載の高効率発電機において、
ある永久磁石の磁力は、他の永久磁石の磁力と異なる、
ことを特徴とする高効率発電機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2012−182973(P2012−182973A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−276837(P2011−276837)
【出願日】平成23年12月19日(2011.12.19)
【分割の表示】特願2011−153950(P2011−153950)の分割
【原出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(507363532)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年12月19日(2011.12.19)
【分割の表示】特願2011−153950(P2011−153950)の分割
【原出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(507363532)
【Fターム(参考)】
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