説明

高効率蛍光体

二価のユーロピウムでドープされているカチオンMを有し、かつ基本式M(1−c)Si:D(式中、M=Sr、又はM=Sr(1−x−y)BaCa、x+y<0.5)で示されるオキシニトリドシリケートの種類からなる蛍光体が使用され、その際、前記オキシニトリドシリケートは完全に又はほとんど、高温安定性の変態HTからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、次の出願:2003P14656, 2003P14654及び2003P14655と近い関係にある。
【0002】
本発明は、請求項1の上位概念に記載のニトリドシリケートの種類の高効率蛍光体に関する。これは特にSrのオキシニトリドシリケートの種類の蛍光体である。
【0003】
従来の技術
オキシニトリドシリケート(Oxinitridosilikat)のタイプの蛍光体は、短縮式MSiONのもとで自体公知であり、これは例えば、"On new rare-earth doped M-Si-AI-O-N materials"、J. van Krevel著、TU Eindhoven 2000, ISBN 90-386-2711-4,第6章に記載されている。これは、この場合Tbでドープされている。発光は365nm又は254nmによる励起で達成される。
【0004】
新規種類の蛍光体は、未公開のEP-PA 02 021 117.8(整理番号2002P15736)からも公知である。この蛍光体は式MSi(M=Ca、Sr、Ba)のEu付活又はEu,Mn共付活オキシニトリドシリケートからなる。
【0005】
主格子の基本骨核は、"Phase Relationships in the Sr-Si-O-N system", W. H. Zhu et al.著, J. Mat. Sci. Lett. 13 (1994), p. 560 - 562から公知であり、そこではセラミック材料との関連で議論されている。この場合、この構造は、低温相X1と高温相X2との2種の変態の形で存在することが確認されている。以後NTと省略する低温相は、主に約1300℃で形成されるが、以後HTと省略する高温相は、約1600℃までのより高い温度で次第に多く形成される。もちろん、両方の相は基本的に分離するのが困難である、それというのも、これらは同じ基本構造であるが、異なる格子定数を有するためである。両方の相の正確な化学量論は、式MSiと相違することができる。
【0006】
発明の開示
本発明の課題は、できる限り効率が高い請求項1の上位概念に記載の蛍光体を提供することであった。更なる課題は、前記蛍光体を有する光源並びにこの有効な蛍光体の製造方法を提供することであった。
【0007】
前記課題は、請求項1、13もしくは17の特徴部分に記載の構成により解決される。特に有利な実施態様が引用形式請求項に示されている。
【0008】
今までは、高い効率で同時に外界の影響に対して敏感でなく、さらに、青色発光LEDもしくはUV発光LEDにより良好に励起可能である緑色発光蛍光体は存在していない。
【0009】
EP-PA 02 021 117.8から公知の蛍光体のMSi:Eu(M=Ca、Sr、Ba)は、M=Sr(1−x−y)BaCa(式中、0≦x+y<0.5)(以後Sr−Sionとする)のSrドープされた実施態様の場合にだけ、制御するのが困難である。個々の試験条件は抜群の結果を提供するにもかかわらず、今までは信頼できる望ましい結果を得るために基準が欠けていた。このために、高い温度負荷の際に蛍光体の効率が低下しかつ色度座標が著しく変化するという特定の傾向が生じていた。y=0で0≦x≦0.3及びx=0で0≦y≦0.1が特に有利である。
【0010】
意外にも、二つの相が蛍光体としてのその適性で本質的に区別されることが明らかになった。NT相はEuドープされた蛍光体として限定的にだけ利用可能でありかつむしろオレンジ−赤色を発光するが、HT相は緑色に発光する蛍光体として抜群の適性を示す。多くの場合にこの両方の変態の混合物が存在し、この混合物は広帯域の両方の発光により認識される。従って、HT相をできる限り純粋に、少なくとも50%の割合で、有利に70%の割合で、特に有利に少なくとも85%の割合で製造することが望ましい。
【0011】
このために、焼成プロセスを少なくとも1300℃で、しかしながら1600℃以上で実施する必要がある。約1450〜1580℃の温度範囲が有利である、それというのもより低い温度の場合には次第にNT相の形成が増加し、より高い温度では蛍光体の加工性が次第に悪くなり、かつ約1600℃からは硬質に焼結されたセラミック又は融液として存在するためである。この最適な温度範囲は、出発材料の正確な組成及び特性に依存する。
【0012】
Sr−Sionタイプの有効な蛍光体を製造するために特に重要なのは、基本成分SiO、SrCO並びにSiの使用下でのほぼ化学量論である出発生成物のバッチである。Srはこの場合に例えばMで表されている。この相違は理想的な化学量論的バッチの特に10%、有利に5%を上回らないのが好ましく、その際、しばしば常用である融剤の場合による添加もこの場合に含まれる。1%の最大の相違が特に有利である。これには、例えば酸化物のEuとして実現されるドーピングに寄与するユーロピウムのための前駆体が挙げられる。この認識は、今までの基本成分SiOを明らかに化学量論的に不足量で添加するという方法とは反対である。この認識は、EP-PA 02 021 117.8の教示による蛍光体として推奨される他のSion、たとえばBa−SionがまさにSiO不足量で製造されていることからも特に意外である。
【0013】
Sr−SionのMSiについて相応するバッチは、従ってSiO 11〜13質量%、Si 27〜29質量%、残りSrCOが使用される。Mに対するBa割合及びCa割合は、相応して炭酸塩として添加される。ユーロピウムは所望のドーピングに応じて、例えば酸化物又はフッ化物として、SrCOの代わりとして添加される。このバッチのMSiは電荷の維持に関して調和がとれている限り正確な化学量論から場合によって相違していることが考えられる。
【0014】
主格子の出発成分、特にSiができる限り高い純度を有することが特に有利であると判明した。従って、例えば四塩化ケイ素から出発する液相から合成されたSiが特に有利である。特に、タングステン及びコバルトによる汚染は危険であることが判明した。前記汚染はできる限り少なくするのが好ましく、前記前駆体物質に関して特にそれぞれ100ppmより少ない、特に50ppmより少ないのが好ましい。さらに、できる限り高い反応性が有利であり、これは活性表面積(BET)により定量化できる。これは、少なくとも6m/g、有利に少なくとも8m/gであるのが好ましい。アルミニウム及びカルシウムによる汚染も、前駆体物質のSiに対してできる限り100ppmを下回るのが好ましい。
【0015】
上記の方法実施から化学量論的バッチ及び温度管理において相違する際に、SiO添加量が低すぎる場合には窒素過剰量が生じるため、不所望な異質相としてニトリドシリケートのMSi、例えばMSiが増大する質量で生じる。この化合物自体は注目すべき蛍光体であるにもかかわらず、前記化合物はSr−Sionの合成との関係において、他のニトリドシリケートと同じように極端に妨げになる、それというのもこの異質相はSr−Sionの緑色放射を吸収し、かつ場合により前記ニトリドシリケートの公知の赤色放射に変換してしまうためである。反対に、高すぎるSiO添加量の際に、酸素過剰量が生じるために、ケイ酸Sr、例えばSrSiOが生じる。2つの異質相は利用可能な緑色の発光を吸収するか又は少なくとも格子欠陥、例えば空格子欠陥を引き起こし、この格子欠陥は蛍光体の効率を著しく損なってしまう。根拠として、異質相の割合ができる限り15%を下回り、有利に5%を下回る基準が用いられる。このことは、合成された蛍光体のXRDスペクトルにおいて、25〜32°の範囲内のXRD偏向角2θの場合に全ての異質相のピークの強度が、約31.8°でHT変態に特徴的な主ピークの強度の1/3より小さく、有利に1/4より小さく、特に1/5より小さいとする条件と一致する。このことは、特にSrSi、例えばSrSiのタイプの異質相に当てはまる。
【0016】
最適な方法実施の場合に、80〜明らかに90%を上回る量子効率が間違いなく達成される。それに対して、特別ではない方法実施の場合に、前記効率は高くても50〜60%の量子効率の範囲内にあるのが典型的である。
【0017】
本発明の場合に、従って、二価のEuで付活されていて、場合により共付活剤としてMnがさらに添加されている式MSi(M=Ca、Sr、Ba)のオキシニトリドシリケートの蛍光体が製造され、その際、前記蛍光体は主に又は単独で、つまり蛍光体の50%より多くが、有利に蛍光体の85%より多くがHT相からなる。このHT変態は、広帯域で励起可能であり、つまり50〜480nm、特に150〜480nm、特に有利に250〜470nmの広い範囲で励起可能であり、これは外界の影響に対して極端に高い安定性を有し、つまり空気中で150℃で測定可能な劣化は示さず、かつ変化する条件下で極めて良好な色度座標安定性を示すことを特徴とする。他の有利な点は、赤色領域において吸収性が低く、このことは蛍光体混合物の場合に特に有利である。この蛍光体は以後しばしばSr−Sion:Euとする。HT変態の過剰は、特に、25〜27°でのXRDスペクトルにおけるHT変態の3つの反射グループからなる最も高い強度を有するピークと比較して、約28.2°でのXRDスペクトルにおけるNT変態に特徴的なピークが、1:1よりも低い、有利に1:2よりも低い強度を有することにより識別可能である。この場合に実施されたXRDスペクトルは、それぞれ公知のCu−Kα線による励起に関する。
【0018】
同じ付活剤濃度で、この蛍光体は、同じ化学量論のNT変態とは異なる発光特性を示す。HT変態の半値幅は、最適なHT変態の場合に、単純な異質相を有する及び欠陥を有する混合物の場合よりも著しく低く、70〜80nmの範囲内にあるが、他方で単純な異質相を有するもしくは欠陥を有する混合物は約110〜120nmの半値幅を示す。この主波長はHT変態の場合に、明らかに異質相を有する試料の場合よりも一般に短く、典型的に10〜20nm短い。このために、高純度のHT変態の効率は、NTが主体の又は高い異質相を有する混合物の場合よりも、一般に少なくとも20%高く、部分的にさらに明らかに高くなる。
【0019】
NT変態及び異質相の割合が十分に低いという特徴は、90nmより低い発光の半値幅(FWHM)である。それというのもの異質相割合が少なくなればそれだけ、異質相が多い変態、特にニトリドシリケート異質相のSr−Si−N−Eu、特にSrSi:Euの特異的なオレンジ−赤色発光の割合が少なくなるためである。
【0020】
特性決定のために役立つのは、前記の低い半値幅の他に、前記したXRDスペクトルにおける典型的な反射であり、これは異なる結晶構造を明確に示している。
【0021】
HT変態のXRDスペクトルにおける主要なピークは約31.7°におけるピークである。他の主要なピークは、25〜27°の間(25.3及び26.0及び26.3°)のほぼ同じ強度の3つのピークであり、その際、最も小さな回折を有するピークが最も強いピークである。他の強いピークは12.6°である。
【0022】
この蛍光体は特に、555〜565nmの領域内の主波長で緑色に発光する。
【0023】
式MSiのオキシニトリドシリケートの分子中のSiN基に換えてAlO基をわずかに、特にSiN割合の最大で30%まで混入することも可能である。
【0024】
このSr−Sion:Euの両方の相は、同様に2つの構造的に異なる主格子変態に結晶化することができ、それぞれバッチ化学量論SrSi:Euを介して製造できる。この化学量論のわずかな相違は可能である。Euドープされた主格子は意外にも青色又はUVにおける励起の際に両方とも、主格子変態に応じて異なる発光色で発光する。NT変態はオレンジ色の発光を示し、HT変態は原則的に明らかにより高い効率で例えばλdom=560nmで緑色発光を示す。ドーピング含有量及びドーピング材料(Eu又はEu、Mn)に応じて並びにHT変態とNT変態との相対的割合に応じて、蛍光体の所望の特性を正確に調節できる。
【0025】
HT相の利点は、量子効率がわずかに変化するだけで、極めて広いスペクトル領域にわたる均一な良好な励起性である。
【0026】
さらに、広い温度範囲におけるHT変態のルミネッセンスは温度にあまり依存しない。従って、安定化のための特別な措置なしで特にLED用途のための緑色発光する蛍光体は初めて見出された。これは、前記課題のために今までに最も有望の候補として見なされていた蛍光体、つまりチオガレート蛍光体又はクロロシリケートと比較して優れている。
【0027】
一般に、これらの蛍光体は一連の光源:特に一次放射線としてUV又は青色を300〜480nmの領域で発光するLEDチップ(例えばInGaNタイプ)、さらに約50、有利に少なくとも150nmと400nmとの間の全ての種類のランプ、特にHg低圧ランプ及び高圧ランプ、並びにUV放射体及びVUV放射体、例えばエキシマ放射体によって有効に励起することができる。160nmでこの量子効率はいまだに最大量子効率の約50%である。
【0028】
この蛍光体は、UV−青色に一次発光するLEDをベースとするフルカラーに適した波長変換型LED並びに任意に調節可能な色を有する波長変換型LEDにおける使用のために特に良好に適している。
【0029】
M=(Sr,Ba)の、有利にBaなしの又は10%までのBa割合を有するSion化合物は、発光極大の広い領域を有する有効な蛍光体である。これは、純粋なSr−Sionの場合よりも大抵はより短波長にあり、有利に520〜565nmの間にある。達成可能な色空間は、さらにCa及び/又は亜鉛の少量の添加(有利に30mol%まで)によって拡張され、それにより発光極大はむしろ純粋なSr−Sionと比較して長波長領域にシフトされる;並びにSiのGe及び/又はSnによる部分的な置き換え(25mol%まで)によって拡張される。
【0030】
他の実施態様は、Mの、特にSrの三価又は一価のイオン、例えばLa3+又はLiによる部分的置き換えである。有利にこのイオンの割合はMの最大20mol%である。
【0031】
有利に波長変換型LED用の本発明による蛍光体は白色光の製造のために使用され、青色一次放射線を用いる際には、緑色成分としておSr−Sionを赤色成分としてのSrS:Eu2+と組み合わせることができ、UV一次放射線を使用する際には、公知の青色及び赤色発光蛍光体並びに本発明におる緑色発光蛍光体を用いて白色光が製造される。青色成分用の代表物はこの場合自体公知であり、例えばBaMgAl1017:Eu2+(BAMとして公知)又はBaSiO(Cl,Br):Eu2+又はCaLa:Ce3+又は(Sr,Ba,Ca)(POCl:Eu2+(SCAPとして公知)が適している。緑色成分として本発明による蛍光体が適している。赤色発光のために赤色蛍光体が使用される。((Y,La,Gd,Lu)S:Eu3+又は(Ca,Sr)Si:Eu2+が特に適している。
【0032】

次に、2つの実施例に基づき本発明について詳しく説明する。
【0033】
図面の簡単な説明:
図1は第1のオキシニトリドシリケートの発光スペクトルを表す。
【0034】
図2は、前記オキシニトリドシリケートの反射スペクトルを表す。
【0035】
図3は、Sr−Sionの励起性の励起波長を関数とするスペクトルを表す。
【0036】
図4は、Sr−Sionの温度特性を表す。
【0037】
図5は、Sr−Sionタイプの多様な蛍光体のXRDスペクトルを表す。
【0038】
図6及び11は、暖白色光の光源として利用される半導体デバイスを表す。
【0039】
図7は、異種相あり及びなしの2種の蛍光体の発光スペクトルを表す。
【0040】
図8〜10は、他のオキシニトリドシリケートの発光スペクトルを表す。
【0041】
図面の記載
本発明による蛍光体についての具体的な例を図1に示した。これはHT変態の形の蛍光体SrSi:(5%Eu2+)の発光であり、この場合Eu割合はSrが配置される格子位置の5mol%である。この発光極大は540nmにあり、平均波長(主波長)は560nmにある。この色度座標はx=0.357;y=0.605である。励起は460nmで行った。FWHMは76nmである。
【0042】
この製造は、まず出発材料のSrCO、Si及びSiOを正確に化学量論で一緒に混合し、引き続きこの混合物を炉中で1500℃でN及びH中で8時間にわたり還元しながら焼成することにより行われる。この場合、SiO 12.05質量%、Si 28.10質量%、並びにSrCO 56.27質量%(Eu 3.53質量%を含む)を有する化学量論的バッチが用いられる。それにより、付活剤としてEu5mol%がカチオンSrと置き換わる。
【0043】
図2は、前記蛍光体の拡散反射スペクトルを示す。この拡散反射スペクトルは440nmより低い領域で顕著な最低値及び470nmまでの十分な吸収を示し、従ってこれはこの領域での良好な励起性を表している。
【0044】
図8は、高効率の緑色発光蛍光体の例を示す。これはHT変態の形の蛍光体SrSi:(10%Eu2+)の発光であり、この場合Eu割合はSrが配置される格子位置の10mol%である。この発光極大は545nmにあり、平均主波長は564nm(λdom)にある。この色度座標はx=0.393;y=0.577である。励起は460nmで行った。FWHMは84nmである。
【0045】
図3は、10%Euを有するSr−Sionの励起性の波長の関数とするスペクトルを示す。この励起性は、吸収されたエネルギーと量子効率との積に比例する。本発明によるSr−Sionが極めて広範囲の波長領域250〜470nmにわたり50%を上回る励起性を有することが明らかである。
【0046】
図4は、前記蛍光体の温度特性を示す。この温度消光は意外にも少なく、室温度比較して125℃の極めて高い温度負荷で最大12%である。
【0047】
異なるように製造された蛍光体の異なる構造が図5において説明されている。ここでは、Sr−Sionタイプの4種の蛍光体のXRDスペクトル、つまりX線回折図が示されている。図5aは、ほとんどがNT変態のXRDスペクトルを示す。ほぼ28.2°での強いピークが特徴的である。この試料は、HT変態のほぼ10%の量子効率を達成し、この製造は反応性の低い出発材料を用いて約1300℃で焼成を行った。図5bは、NT成分に対して50%以上がHT成分である混合物についてのXRDスペクトルを示す。ここでは、約31.7℃でHT変態のXRD反射が出現し、25〜27°の領域内の三重の反射が、28.2°での顕著なNT反射と比較して次第に際立ってきている。HT変態と比較した量子効率は約70%である。この製造は約1400℃で行った。図5cには、異質相が入念には排除されていない試料を示す。特にニトリドシリケートに所属するピークが約31.2°で明らかに確認でき、31.7°でのHT相の特徴的なピークの最大ピーク高さの約50%である。ここではNT変態は著しく抑制されているにもかかわらず、この試料は純粋なHT変態の量子効率の40%より高い量子効率は達成されない。最後に、図5dは、ほとんど純粋なHTのXRDスペクトルを示し、この量子効率は他の試料のための基準(100%)として用いた。異質相及びNT変態は、ここでは著しく抑制されていて、これは出発物質の高い純度及び反応性を用いた約1500℃での焼成での正確な化学量論的製造のためである。
【0048】
白色光のための光源の構造は、RGBベースで図6に詳細に示されている。この光源は、例えば405nmのUVにおいてピーク発光波長を有するInGaN型のチップ1を備えた半導体デバイスであり、前記チップは光不透過性の基体ハウジング8の凹設部9の範囲内に埋め込まれている。前記チップ1はボンディングワイヤ14を介して第1の端子3と接続されていて、かつ第2の電気的端子2と直接接続されている。この凹設部9は注型材料5で充填されていて、この注型材料は主成分としてエポキシ注型樹脂(80〜90質量%)と蛍光体顔料6(20質量%未満)とを含有する。第1の蛍光体は、第1の実施例として挙げられた緑色発光オキシニトリドシリケートであり、第2の蛍光体は青色発光蛍光体(ここでは特にBAM)であり、第3の蛍光体は、(Ca,Sr)Si:Euのタイプの赤色発光ニトリドシリケートであり、ここでは、純粋なSr及びCaバリエーション並びにSrとCaとからなる混合物を含める。前記凹設部は壁部17を有し、前記壁部はチップ1からの一次放射線及び顔料6からの二次放射線用のリフレクタとして利用される。
【0049】
図9は、混合−SionのMSi:Eu 10%(その際、M=(10%Ca及び残りSr))の発光の例を示す。励起 460nm;色座標x/y 0.397/0.576;主波長 564nm;FWHM=84nm;量子効率約70%。
【0050】
図10は、混合−SionのMSi:Eu 10%(その際、M=(10%Ba及び残りSr))の発光の例を示す。励起 460nm;色座標x/y 0.411/0.566;主波長 566nm;FWHM=86nm;量子効率約67%。
【0051】
他の実施例において、図11は蛍光体顔料としてこの種の3種の蛍光体からなる混合物がRGB混色のために使用されている。しかしながら、前記蛍光体は波長変換型LEDのタイプの複数のLEDを有する外側ケーシングの壁部9に塗布されている。
【0052】
意外にも、出発材料の特にSiが少ない不純物を含むことを厳重に留意する場合に、特に有効な蛍光体を製造できることが明らかとなった。この場合、W、Co、Al及びCaについての不純物が特に危険である。
【0053】
MSi中のSiN基のAlO基による置き換えは、従って可能である、それというのもAl3+及びSi4+は比較可能なイオンサイズを有し、かつ両方の基は比較可能な結合長さを有するためである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】第1のオキシニトリドシリケートの発光スペクトルを表す。
【図2】前記オキシニトリドシリケートの反射スペクトルを表す。
【図3】Sr−Sionの励起性の励起波長を関数とするスペクトルを表す。
【図4】Sr−Sionの温度特性を表す。
【図5a】Sr−Sionタイプの多様な蛍光体のXRDスペクトルを表す。
【図5b】Sr−Sionタイプの多様な蛍光体のXRDスペクトルを表す。
【図5c】Sr−Sionタイプの多様な蛍光体のXRDスペクトルを表す。
【図5d】Sr−Sionタイプの多様な蛍光体のXRDスペクトルを表す。
【図6】暖白色光の光源として利用される半導体デバイスを表す。
【図7】異種相あり及びなしの2種の蛍光体の発光スペクトルを表す。
【図8】他のオキシニトリドシリケートの発光スペクトルを表す。
【図9】他のオキシニトリドシリケートの発光スペクトルを表す。
【図10】他のオキシニトリドシリケートの発光スペクトルを表す。
【図11】暖白色光の光源として利用される半導体デバイスを表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カチオンMを有し、かつ基本式M(1−c)Si:D(式中、Mは主成分としてSrを有し、その際、Dはユーロピウムを有する二価のドーピングである)で示されるオキシニトリドシリケートの種類からなる高効率蛍光体において、MについてSr単独であるか又はM=Sr(1−x−y)BaCa、x+y<0.5が使用され、その際、前記オキシニトリドシリケートは完全に又はほとんど、高温安定性の変態HTからなることを特徴とする、高効率蛍光体。
【請求項2】
Euの割合がMの0.1〜20mol%であることを特徴とする、請求項1記載の蛍光体。
【請求項3】
MとしてのSrは大部分の割合を占めていて、かつMの一部、特に30mol%までがBa及び/又はCaに置き換えられていることを特徴とする、請求項1記載の蛍光体。
【請求項4】
MとしてのSrは大部分の割合を占めていて、かつMの一部、特に30mol%までがLi及び/又はLa及び/又はZnに置き換えられていることを特徴とする、請求項1記載の蛍光体。
【請求項5】
式MSiのオキシニトリドシリケート中の基SiNの一部、特に30mol%までが基AlOに置き換えられていることを特徴とする、請求項1記載の蛍光体。
【請求項6】
Euの一部、特に30mol%までがMnに置き換えられていることを特徴とする、請求項1記載の蛍光体。
【請求項7】
W及びCoの不純物の割合ができる限り低く、かつ、前駆体物質に対して特にそれぞれ100ppmを下回る、有利に50ppmを下回ることを特徴とする、請求項1記載の蛍光体。
【請求項8】
オキシニトリドシリケートは70%より多く、特に85%より多くがHT変態からなることを特徴とする、請求項1記載の蛍光体。
【請求項9】
オキシニトリドシリケートは主にHT変態からなり、異質相の割合は15%より低いことを特徴とする、請求項1記載の蛍光体。
【請求項10】
50〜480nmの間でピーク発光を有する領域から由来する光励起での蛍光体の発光の半値幅(FWHM)は、90nmより低いことを特徴とする、請求項1記載の蛍光体。
【請求項11】
XRDスペクトルにおいて、25〜32°の範囲内のXRD偏向角2θで全ての異質相の強度が、約31.8°でHT変態に特徴的な主ピークの強度の1/3より小さい、有利に1/4より小さい、特に有利に1/5より小さいとする規定に従って、異質相の割合が最少化されていることを特徴とする、請求項1記載の蛍光体。
【請求項12】
XRDスペクトルにおいて、約28.2°でのXRDスペクトルにおけるNT変態に特徴的なピークが、25〜27°でXRDスペクトルにあるHT変態の3つの反射グループからなる最も高い強度を有するピークと比較して、1:1より低い、有利に1:2より低い強度を有するとする規定に従って、NT相の割合が最少化されていることを特徴とする、請求項1記載の蛍光体。
【請求項13】
波長領域50〜480nmで光学スペクトル領域の短波長領域で放射線を発光する一次光源を有し、前記放射線は、請求項1から12までのいずれか1項記載の少なくとも1種の第1の蛍光体により完全に又は部分的に、特に可視光領域のより長波長の二次放射線に変換される光源。
【請求項14】
一次放射線源としてInGaN系の発光ダイオードを使用することを特徴とする、請求項13記載の光源。
【請求項15】
さらに、一次放射線の一部を他の第2の蛍光体により、より長波長の放射線に変換し、特に両方の、つまり第1と第2の蛍光体は適切に選択されかつ混色されて、白色光を製造することを特徴とする、請求項13記載の光源。
【請求項16】
一次放射線の一部を、さらに第3の蛍光体により、より長波長の放射線に変換し、前記第3の蛍光体は、特に580〜670nmの領域でピークを有する赤色領域で発光することを特徴とする、請求項13記載の光源。
【請求項17】
次の方法工程:
a) 出発生成物のSiO、Si、残りMCO、並びにEu前駆体をほぼ化学量論的割合で準備しかつ前記生成物を混合する工程;
b) 前記混合物を約1300〜1600℃、有利に1450〜1580℃で焼成する工程
を特徴とする、請求項1記載の高効率蛍光体の製造方法。
【請求項18】
出発生成物は、W及びCoの不純物に関して、100ppmよりも低い高純度を有することを特徴とする、請求項17記載の方法。
【請求項19】
出発生成物はBET表面積少なくとも6m/gの高い反応性を有することを特徴とする、請求項17記載の方法。
【請求項20】
全ての成分の化学量論的バッチが少なくとも10%に正確に維持されていることを特徴とする、請求項17記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図5d】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2007−506815(P2007−506815A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527272(P2006−527272)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【国際出願番号】PCT/DE2004/002137
【国際公開番号】WO2005/030905
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(390009472)パテント−トロイハント−ゲゼルシヤフト フユール エレクトリツシエ グリユーラムペン ミツト ベシユレンクテル ハフツング (152)
【氏名又は名称原語表記】Patent−Treuhand−Gesellschaft fuer elektrische Gluehlampen mbH
【住所又は居所原語表記】Hellabrunner Strasse 1, Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】