説明

高含水率シリコーンヒドロゲル

(a)より多量の非シリコーン含有親水性モノマー及び(b)より少量のシリコーン含有モノマーを含むモノマー混合物の水和重合生成物から形成され、含水率が50質量%を超える、シリコーンヒドロゲルが開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
技術分野
本発明は、一般に、高含水率シリコーンヒドロゲル材料に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
ヒドロゲルはコンタクトレンズのための望ましいクラスの材料である。ヒドロゲルは、平衡状態で水を含有する、水和した架橋ポリマー系である。ヒドロゲルレンズは比較的高い酸素透過係数ならびに望ましい生体適合性及び快適さを提供する。
【0003】
酸素透過係数(Dk)はコンタクトレンズ装着者の目の健康を維持するためのコンタクトレンズ設計における1つの重要なファクターである。たとえば、コンタクトレンズは長期の角膜の健康のために十分な量の酸素を角膜に到達させることができなければならない。コンタクトレンズは、また、周囲空気から酸素を角膜に到達させなければならない。というのは、角膜は他の組織のように血液供給から酸素を受け取ることがないからである。「ソフト」コンタクトレンズは目の形状に近く形状に追従するので、酸素はレンズの周囲を容易に迂回することができない。このため、ソフトコンタクトレンズはレンズを通して酸素を拡散させて角膜に到達させることができなければならない。
【0004】
ソフトコンタクトレンズの別の眼科適合要求は、レンズが目に強く付着してはならないことである。明らかに、消費者は消毒、洗浄又は廃棄のために目からレンズを容易に取り外すことができなければならない。しかしながら、レンズは、また、レンズと目との間の涙の流れを促進するために目の上で移動することができなければならない。レンズと目の間の涙の流れは異物粒子又は死んだ上皮細胞などのデブリをレンズの下から運び去り、最終的に、涙液から運び去ることができる。このように、コンタクトレンズは目の上でのレンズの十分な移動が抑制されるほど目に強く付着してはならない。
【0005】
日常装着ソフトコンタクトレンズの設計において、眼科適合性及び消費者の快適さの要求をバランスさせるために、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、N−ビニルピロリドンなどの親水性モノマーのコポリマーから構成され、そして旋盤切削法、スピンキャスティング法、キャスト成形法又はそれらの組み合わせ、次いで生理食塩水及び/又はリン酸塩緩衝溶液中での膨潤処理を行って約20〜約80質量%の含水率のレンズを得ることによって調製される、高含水率の従来型ヒドロゲルコンタクトレンズが開発された。これらの親水性ポリマーは目の上でよく動き、そして日常装着のための十分な酸素透過性を提供する。
【0006】
従来技術の高含水率のシリコーン含有親水性ソフトコンタクトレンズは酸素透過性が減じられているか又は低い酸素透過性である傾向がある。たとえば、フォーカスナイトアンドデイ(Focus Night & Day)(CIBA Vision Corporationから入手可能)の商品名で入手可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは含水率が約24%であり、Dkが約140バーラー(Barrer)である。O2オプティクス(Optix)((CIBA Vision Corporationから入手可能)の商品名で入手可能な別のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは含水率が約33%であり、Dkが約110バーラー(Barrer)である。アキュビューオアシス(Acuvue Oasys)(Johnson & Johnsonから入手可能)の商品名で入手可能な別のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは含水率が約38%であり、Dkが約105バーラー(Barrer)である。ピュアビジョン(Pure Vision)(Bausch & Lombから入手可能)の商品名で入手可能な別のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは含水率が約36%であり、Dkが約100バーラー(Barrer)である。アキュビューアドバンス(Acuvue Advance) (Johnson & Johnsonから入手可能)の商品名で入手可能な別のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは含水率が約46〜約47%であり、Dkが約65バーラー(Barrer)である。比較すると、アキュビュー(Acuvue)2(Johnson & Johnsonから入手可能)の商品名で入手可能な非シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは含水率が約58%であり、Dkが約25バーラー(Barrer)である。
【0007】
米国特許第5,260,000号明細書は主要量のシリコーン含有モノマー、親水性モノマー及び希釈剤としてn−ノナノ−ル又はn−ヘキサノールを含むモノマー混合物をキャストし、次いで、イソプロパノールで抽出して残留希釈剤ならびに未反応モノマー及びオリゴマーを除去する、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの調製方法を開示している。しかしながら、シリコーンヒドロゲルから低コストレンズを製造することに関連する問題として、未反応シリコーンを除去するための製造工程における溶剤抽出工程が要求されること、ならびに、湿潤可能で潤滑性で低汚染の表面を提供するための重合後表面改質工程を行うことが要求されること、が挙げられる。
【0008】
米国特許第7,268,198号明細書(‘198号特許)はN−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニル−N−エチルアセトアミド、N−ビニル−N−エチルホルムアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルピロリドン及びそれらの混合物からなる群より選ばれる親水性モノマー及びポリシロキサン含有モノマーを含むモノマー混合物の水和重合生成物であるシリコーンヒドロゲルであって、酸素透過係数が少なくとも約120バーラー(Barrer)であり、弾性率が40〜57g/mm2であるシリコーンヒドロゲルを開示している。しかしながら、‘198号特許の各実施例は、含水率が19.2%〜35.3%であるシリコーンヒドロゲルを形成している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
改良された高含水率のシリコーンヒドロゲルを提供することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の要旨
本発明の1つの実施形態によると、(a)より多量の非シリコーン含有親水性モノマー及び(b)より少量のシリコーン含有モノマーを含むモノマー混合物の水和重合生成物から形成され、含水率が50質量%を超える、シリコーンヒドロゲルが提供される。
【0011】
本発明の第二の実施形態によると、(a)より多量の非シリコーン含有親水性モノマー及び(b)より少量のシリコーン含有モノマーを含むモノマー混合物の水和重合生成物から形成され、含水率が70質量%を超えかつ酸素透過係数が約30〜約70バーラー(Barrer)である、シリコーンヒドロゲルが提供される。
【0012】
本発明の第二の実施形態によると、(a)より多量の非シリコーン含有親水性モノマー及び(b)より少量のシリコーン含有モノマーを含むモノマー混合物の水和重合生成物から形成され、含水率が50質量%を超える、シリコーンヒドロゲルを含む、コンタクトレンズが提供される。
【0013】
シリコーンヒドロゲルの調製において、より多量の非シリコーン含有親水性モノマーを含むベース材料に対して、より少量のシリコーン含有モノマーを用いることにより、シリコーン含有モノマーがバルク材料の特性(たとえば、酸素透過係数、含水率、弾性率など)及びその表面特性(たとえば、湿潤性、潤滑性など)に実質的な影響を有しないであろう。さらに、本発明のシリコーンヒドロゲルは、有利なことに、適切な酸素透過特性を有しながら、溶剤抽出工程及び重合後表面処理工程を行うことなく、所望の親水性表面及び高い含水率をもって形成することができる。このようにして、シリコーンヒドロゲルは比較的に効率的なプロセスでかつ低コストプラットフォームで製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
好ましい実施形態の詳細な説明
本発明は、(a)より多量の非シリコーン含有親水性モノマー及び(b)より少量のシリコーン含有モノマーを含むモノマー混合物の水和重合生成物から形成され、含水率が50質量%を超える、シリコーンヒドロゲルに関する。本明細書中に使用する際に、用語「モノマー」とはラジカル重合によって重合可能な比較的に低分子量の化合物、ならびに、「プレポリマー」、「マクロモノマー」などの用語でも参照される、より高分子量の化合物を指す。
【0015】
適切な非シリコーン含有親水性モノマーとしては、限定するわけではないが、不飽和カルボン酸、たとえば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル置換アルコール、ビニルラクタム、(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。本明細書中に使用される際に、用語「(メタ)」は随意に存在しうるメチル置換基を指す。このため、「(メタ)アクリレート」などの用語はメタクリレート又はアクリレートのいずれかを指し、そして「(メタ)アクリルアミド」はメタクリルアミド又はアクリルアミドのいずれかを指す。非シリコーン含有親水性モノマーの特定の例としては、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメチルアクリルアミド、グリセリルメタクリレート、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、N−メタクリロイルグリシン及び(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルプロピル)−4−メトキシフェニルエーテルが挙げられる。好ましいモノマーとしては、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドン(NVP)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)及びそれらの混合物が挙げられる。
【0016】
非シリコーン含有親水性モノマーは、モノマー混合物中に、より多量で(この用語は複数の親水性モノマーの混合物を含むことが意図される)、すなわち、モノマー混合物中の総成分の少なくとも50質量部の量で含まれる。1つの実施形態において、非シリコーン含有親水性モノマーは総モノマー混合物成分の約50〜約95質量部の範囲でモノマー混合物中に存在し、約60〜約90質量部が特に好ましい。好ましい実施形態において、モノマー混合物は少なくとも約60質量部、より好ましくは少なくとも約80質量部の非シリコーン含有親水性モノマー成分をその総計で含み、それにより、得られるシリコーンヒドロゲルをシリコーンヒドロゲル材料としての使用のために顕著に親水性かつ湿潤性とする。
【0017】
シリコーン含有モノマーはいかなる重合性シリコーン含有モノマーであることもできる。そのモノマーは、成形品を得るためのモノマー混合物に、モノマー又はプレポリマーとして添加されてよい。このため、用語「シリコーン含有モノマー」及び「親水性モノマー」はプレポリマーを包含することが理解される。たとえば、1つの実施形態において、シリコーン含有モノマーは非イオン性シリコーン含有モノマーであることができる。シリコーンヒドロゲルの形成における使用のための応用可能なシリコーン含有モノマー単位は当該技術分野でよく知られており、多数の例が、たとえば、米国特許第4,136,250号明細書、同第4,153,641号明細書、同第4,740,533号明細書、同第5,034,461号明細書、同第5,070,215号明細書、同第5,260,000号明細書、同第5,310,779号明細書及び同第5,358,995号明細書に提供されている。
【0018】
応用可能なシリコーン含有モノマー単位の代表的な例としては、下記式Iの構造で表される嵩高なシロキサニルモノマーが挙げられる。
【化1】

【0019】
上式中、Xは−O−又は−NR”−であり、R”は水素、メチル又はエチルであり、各R’は独立に水素又はメチルであり、各Rは独立に低級アルキル基、フェニル基又は下記式の基
【0020】
【化2】

であり、ここで、各R'''は独立に低級アルキル基又はフェニル基であり、hは1〜10である。
【0021】
嵩高なモノマーの例は3−メタクリロイルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン又はしばしばTRISと呼ばれるトリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート又はしばしばTRIS−VCと呼ばれるトリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルビニルカルバメート、ペンタメチルジシロキサニルメチルメタクリレート、フェニルテトラメチルジシロキサニルエチルアセテート及びメチルジ(トリメチルシロキシ)メタクリルオキシメチルシランなど及びそれらの混合物である。1つの実施形態において、シリコーン含有モノマーはトリス(トリアルキルシロキシ)シリルアルキルメタクリレート含有モノマー、たとえば、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート含有モノマーである。
【0022】
このような嵩高なモノマーはシリコーンマクロモノマーと共重合されることができ、そのマクロモノマーは、たとえば、分子の2つ以上の末端において不飽和基によってキャッピングされたポリ(オルガノシロキサン)である。米国特許第4,153,641号明細書は、たとえば、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基などの様々な不飽和基を開示している。
【0023】
別のクラスの代表的なシリコーン含有モノマーとしては、限定するわけではないが、シリコーン含有ビニルカーボネート又はビニルカルバメートモノマー、たとえば、1,3−ビス[4−ビニルオキシカルボニルオキシ)ブト−1−イル]テトラメチルジシロキサン、3−(トリメチルシリル)プロピルビニルカーボネート、3−(ビニルオキシカルボニルチオ)プロピル[トリス(トリメチルシロキシ)シラン]、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバメート、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルアリルカルバメート、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカーボネート、t−ブチルジメチルシロキシエチルビニルカーボネート、トリメチルシリルエチルビニルカーボネート、トリメチルシリルメチルビニルカーボネート、下記一般式のV225
【0024】
【化3】

など及びそれらの混合物が挙げられる。
【0025】
別のクラスのシリコーン含有モノマーとしては、ポリウレタン−ポリシロキサンマクロモノマー(時折、プレポリマーとも呼ぶ)が挙げられ、それは伝統的なウレタンエラストマーと同様のハード−ソフト−ハードブロックを有することができる。そのシリコーン含有モノマーは2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)などの親水性モノマーでエンドキャップされていることができる。このようなシリコーンウレタンの例は国際公開WO96/31792号明細書を含む様々な文献中に開示されている。国際公開WO96/31792号明細書はこのようなモノマーの例を開示しており、その内容の全体を参照により本明細書中に取り込む。シリコーンウレタンモノマーの代表的な例は式II及びIIIによって表される。
E(****G)a****E’ (II) 又は
E(****A)a****E’ (III)
Dは独立にアルキル二価基、アルキルシクロアルキル二価基、シクロアルキル二価基、アリール二価基又はアルキルアリール二価基であり、6〜約30個の炭素原子を有し、
Gは独立にアルキル二価基、シクロアルキル二価基、アルキルシクロアルキル二価基、アリール二価基又はアルキルアリール二価基であり、1〜約40個の炭素原子を有し、そしてそれは、エーテル、チオ又はアミン結合を主鎖に含むことができ、
*はウレタン又はウレイド結合基であり、
aは少なくとも1であり、
Aは独立に式IVの二価ポリマー基であり、
【0026】
【化4】

各RSは独立に、1〜約10個の炭素原子を有する、アルキル基又はフルオロ置換アルキル基であり、それは炭素原子の間にエーテル結合を含むことができ、
m’は少なくとも1であり、pは約400〜約10,000の部分分子量を提供する数であり、
各E及びE’は独立に式Vにより表される重合性不飽和有機基であり、
【0027】
【化5】

【0028】
上式中、R3は水素又はメチルであり、
4は、水素、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、又は、−CO−Y−R6基であり、ここで、Yは−O−、−S−又は−NH−であり、
5は1〜約10個の炭素原子を有する二価のアルキレン基であり、
6は1〜約12個の炭素原子を有するアルキル基であり、
Xは−CO−又は−OCO−であり、
Zは−O−又は−NH−であり、
Arは約6〜約30個の炭素原子を有する芳香族基であり、
wは0〜6であり、xは0又は1であり、yは0又は1であり、zは0又は1である。
【0029】
好ましいシリコーン含有ウレタンモノマーは下記式VIにより表される。
【化6】

【0030】
上式中、mは少なくとも1であり、好ましくは3又は4であり、aは少なくとも1であり、好ましくは1であり、pは約400〜約10,000の部分分子量を提供する数であり、好ましくは少なくとも約30であり、R7はイソシアネート基を取り除いた後のジイソシアネートの二価基であり、たとえば、イソホロンジイソシアネートの二価基であり、各E”は下記の基である。
【0031】
【化7】

【0032】
別の実施形態において、シリコーン含有モノマーはカチオン性シリコーン含有モノマーである。応用可能なカチオン性ケイ素含有モノマー単位の代表的な例として、下記式VIIのカチオン性モノマーが挙げられる。
【化8】

【0033】
各Lは独立にウレタン、カーボネート、カルバメート、カルボキシルウレイド、スルホニル、直鎖もしくは枝分かれC1〜C30アルキル基、直鎖もしくは枝分かれC1〜C30フルオロアルキル基、エステル含有基、エーテル含有基、ポリエーテル含有基、ウレイド基、アミド基、アミン基、置換もしくは未置換C1〜C30アルコキシ基、置換もしくは未置換C3〜C30シクロアルキル基、置換もしくは未置換C3〜C30シクロアルキルアルキル基、置換もしくは未置換C3〜C30シクロアルケニル基、置換もしくは未置換C5〜C30アリール基、置換もしくは未置換C5〜C30アリールアルキル基、置換もしくは未置換C5〜C30ヘテロアリール基、置換もしくは未置換C3〜C30複素環式基、置換もしくは未置換C4〜C30ヘテロシクロールアルキル基、置換もしくは未置換C6〜C30ヘテロアリールアルキル基、C5〜C30フルオロアリール基又はヒドロキシル置換アルキルエーテル及びそれらの組み合わせであることができる。
【0034】
-は少なくとも1価の荷電対イオンである。1価の荷電対イオンの例として、Cl-、Br-、I-、CF3CO2-、CH3CO2-、HCO3-、CH3SO4-、p−トルエンスルホネート、HSO4-、H2PO4-、NO3-及びCH3CH(OH)CO2-からなる群が挙げられる。2価の荷電対イオンの例として、SO42-、CO32-、及びHPO42-が挙げられる。他の荷電対イオンは当業者に明らかであろう。水和生成物中に残留量の対イオンが存在しうることが理解されるべきである。それゆえ、毒性対イオンの使用は避けるべきである。同様に、1価の荷電対イオンについては、対イオンと第四級シロキサニルとの比は1:1であろうことが理解されるべきである。より多価の負の荷電対イオンは対イオンの合計電荷量を基準に異なる比となるであろう。
【0035】
1及びR2は各々独立に、水素、直鎖もしくは枝分かれC1〜C30アルキル基、直鎖もしくは枝分かれC1〜C30フルオロアルキル基、C1〜C20エステル基、エーテル含有基、ポリエーテル含有基、ウレイド基、アミド基、アミン基、置換もしくは未置換C1〜C30アルコキシ基、置換もしくは未置換C3〜C30シクロアルキル基、置換もしくは未置換C3〜C30シクロアルキルアルキル基、置換もしくは未置換C3〜C30シクロアルケニル基、置換もしくは未置換C5〜C30アリール基、置換もしくは未置換C5〜C30アリールアルキル基、置換もしくは未置換C5〜C30ヘテロアリール基、置換もしくは未置換C3〜C30複素環式基、置換もしくは未置換C4〜C30ヘテロシクロールアルキル基、置換もしくは未置換C6〜C30ヘテロアリールアルキル基、フッ素基、C5〜C30フルオロアリール基又はヒドロキシル基であり、そして、
Vは独立に、重合性エチレン系不飽和有機基である。
【0036】
式VIIの好ましいモノマーは下記式VIIIに示される。
【化9】

【0037】
上式中、各R1は同一であり、−OSi(CH33であり、R2はメチルであり、L1はアルキルアミドであり、L2は2又は3個の炭素原子を有するアルキルアミド又はエステルであり、該L2は重合性ビニル基に結合しており、R3はメチルであり、R4はHであり、そしてX-はBr-又はCl-である。
【0038】
さらに好ましい構造は下記構造式IX〜XIIIを有する。
【化10】

及び
【化11】

【0039】
上記に開示したとおりのカチオン性シリコーン含有モノマーを製造するための合成方法の模式図を下記に提供する。
【化12】

【0040】
ここでの使用のための応用可能なカチオン性シリコーン含有モノマー単位の別のクラスの例として、下記式XIVのカチオン性モノマーが挙げられる。
【化13】

【0041】
上式中、各Lは同一であることも又は異なることもでき、そして式VIIのLについて上記に規定したとおりであり、X-は式VIIのX-について上記に規定したとおりの少なくとも1価の荷電対イオンであり、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12は各々独立に、式VIIのR1について規定したとおりであり、Vは独立に重合性エチレン系不飽和有機基であり、そしてnは1〜約300の整数である。
【0042】
式XIVの好ましいモノマーは下記式XV〜XIXに示される。
【化14】

【0043】
式XIVのカチオン性シリコーン含有モノマーを製造するための合成方法の模式図を下記に提供する。
【化15】

【0044】
ここでの使用のための応用可能なカチオン性シリコーン含有モノマー単位の別のクラスの例として、下記式XXのカチオン性モノマーが挙げられる。
【化16】

【0045】
上式中、xは0〜1000であり、yは1〜300であり、各Lは同一であることも又は異なることもでき、そして式VIIのLについて上記に規定したとおりであり、X-は式VIIのX-について上記に規定したとおりの少なくとも1価の荷電対イオンであり、R1、R13及びR14は各々独立に、式VIIのR1について規定したとおりであり、Aは重合性ビニル部分である。
【0046】
式XXの好ましいカチオン性ランダムコポリマーは下記式XXIに示されている。
【化17】

【0047】
上式中、xは0〜1000であり、そしてyは1〜300である。
【0048】
式XX及びXXIのカチオン性シリコーン含有ランダムコポリマーを製造するための合成方法の模式図を下記に提供する。
【化18】

【0049】
ここでの使用のための応用可能なカチオン性材料の別のクラスの例として、下記式XXIIのカチオン性ランダムコポリマーが挙げられる。
【化19】

【0050】
上式中、xは0〜1000であり、yは1〜300であり、各R15及びR16は同一であることも又は異なることもでき、そして式VIIのR1について上記に規定したとおりの基であることができ、R17は独立に1種以上の下記式XXIII及びXXIVであり、
【化20】

【0051】
及び
【化21】

【0052】
上式中、Lは同一であることも又は異なることもでき、そして式VIIのLについて上記に規定したとおりであり、X-は式VIIのX-について上記に規定したとおりの少なくとも1価の荷電対イオンであり、R18は同一であることも又は異なることもでき、そして式VIIのR1について上記に規定したとおりの基であることができ、R19は独立に水素又はメチルである。
【0053】
ここに開示されるペンダント重合性カチオン性基を有するポリ(ジメチルシロキサン)などのカチオン性シリコーン含有ランダムコポリマーを製造するための合成方法の模式図を下記に提供する。
【0054】
【化22】

【化23】

【0055】
ペンダントカチオン性基及びペンダント重合性カチオン性基を有するポリ(ジメチルシロキサン)を製造するための別の合成スキームを下記に提供する。
【0056】
【化24】

【0057】
ペンダント重合性基及びペンダントカチオン性基を有するポリ(ジメチルシロキサン)を製造するためのさらに別の合成スキームを下記に提供する。
【0058】
【化25】

【0059】
ここでの使用のためのウレタンの代表的な例としては、たとえば、アルキルなどのさらなる基に結合されることができるカルボキシル基に結合した第二級アミンが挙げられる。同様に、第二級アミンもアルキルなどのさらなる基に結合していてよい。
【0060】
ここでの使用のためのカーボネートの代表的な例としては、たとえば、アルキルカーボネート、アリールカーボネートなどが挙げられる。
【0061】
ここでの使用のためのカルバメート基の代表的な例としては、たとえば、アルキルカルバメート、アリールカルバメートなどが挙げられる。
【0062】
ここでの使用のためのカルボキシルウレイドの代表的な例としては、たとえば、アルキルカルボキシルウレイド、アリールカルボキシルウレイドなどが挙げられる。
【0063】
ここでの使用のためのスルホニルの代表的な例としては、たとえば、アルキルスルホニル、アリールスルホニルなどが挙げられる。
【0064】
ここでの使用のためのアルキル基の代表的な例としては、たとえば、分子の残りの部分に1〜約18個の炭素原子及び水素原子を含む直鎖又は枝分かれ炭化水素鎖であって、不飽和を含むか又は含まないものが挙げられ、たとえば、メチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル(又はイソプロピル)、n−ブチル、n−ペンチルなどが挙げられる。
【0065】
ここでの使用のためのフルオロアルキル基の代表的な例としては、たとえば、炭素原子に結合した1個以上のフッ素原子を有する、上記に規定したとおりの直鎖もしくは枝分かれアルキル基が挙げられ、たとえば、-CF3、-CF2CF3、-CH2CF3、CH2CF2H、-CF2Hなどが挙げられる。
【0066】
ここでの使用のためのエステル基の代表的な例は、たとえば、1〜20個の炭素原子を有するカルボン酸エステルが挙げられる。
【0067】
ここでの使用のためのエーテルもしくはポリエーテル含有基の代表的な例としては、たとえば、アルキルエーテル、シクロアルキルエーテル、シクロアルキルアルキルエーテル、シクロアルケニルエーテル、アリールエーテル、アリールアルキルエーテルが挙げられ、ここで、上記のアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニル、アリール及びアリールアルキル基は本明細書中に規定されるとおりであり、たとえば、アルキレンオキシド、ポリ(アルキレンオキシド)、たとえば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(ブチレンオキシド)及びそれらの混合物又はコポリマー、一般式−R20OR21(式中、R20は結合、本明細書中に規定されるとおりのアルキル、シクロアルキル又はアリール基であり、R21は本明細書中に規定されるとおりのアルキル、シクロアルキル又はアリール基である)のエーテル又はポリエーテル基が挙げられ、たとえば、式VIIにおいて規定されるとおりのLの場合には、エーテル含有基は−CH2CH2OC64又は−CH2CH2OC24であることができ、又は、式VIIにおいて規定されるとおりのR1及びR2の場合には、エーテル含有基は−CH2CH2OC65又は−CH2CH2OC25などであることができる。
【0068】
ここでの使用のためのアミド基の代表的な例としては、たとえば、一般式−R23C(O)NR2425(式中、R23、R24及びR25は独立にC1〜C30炭化水素基であり、たとえば、R23は本明細書中に規定されるとおりのアルキレン基、アリーレン基、シクロアルキレン基であり、R24及びR25はアルキル基、アリール基及びシクロアルキル基であることができる)のアミドなどが挙げられる。
【0069】
ここでの使用のためのアミン基の代表的な例としては、たとえば、一般式−R26NR2728(式中、R26は本明細書に規定されるとおりのC2〜C30アルキレン、アリーレン又はシクロアルキレンであり、R27及びR28は独立にC1〜C30炭化水素基であり、たとえば、アルキル基、アリール基又はシクロアルキル基であることができる)のアミンなどが挙げられる。
【0070】
ここでの使用のためのウレイド基の代表的な例としては、たとえば、1つ以上の置換もしくは未置換ウレイドを有するウレイド基が挙げられる。ウレイド基は好ましくは1〜12個の炭素原子を有するウレイド基である。置換基の例としては、アルキル基及びアリール基が挙げられる。ウレイド基の例としては、3−メチルウレイド、3,3−ジメチルウレイド及び3−フェニルウレイドが挙げられる。
【0071】
ここでの使用のためのアルコキシ基の代表的な例としては、たとえば、分子の残りの部分に酸素結合を介して結合した上記に規定するとおりのアルキル基が挙げられ、すなわち、一般式−OR29(式中、R29は上記に規定するとおりのアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニル、アリール又はアリールアルキルである)を有するものであり、たとえば、−OCH3、−OC25又は−OC65などが挙げられる。
【0072】
ここでの使用のためのシクロアルキル基の代表的な例としては、たとえば、約3〜約18個の炭素原子の置換もしくは未置換の非芳香族単環系もしくは多環系、たとえば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ペルヒドロナフチル、アダマンチル及びノルボルニル基、橋架け環式基又はスピロ二環式基、たとえば、スピロ−(4,4)−ノン−2−イルなどであって、場合により1つ以上のヘテロ原子、たとえば、O及びNなどを含むものが挙げられる。
【0073】
ここでの使用のためのシクロアルキルアルキル基の代表的な例としては、たとえば、約3〜約18個の炭素原子を含む置換もしくは未置換の環含有基がアルキル基に直接結合したものであって、そのアルキル基がアルキル基のいずれかの炭素位置でモノマーの主構造に結合し、安定な構造の形成をもたらすものであり、たとえば、シクロプロピルメチル、シクロブチルエチル、シクロペンチルエチルなどであって、上記の環は場合により1つ以上のヘテロ原子、たとえば、O及びNなどを含むものが挙げられる。
【0074】
ここでの使用のためのシクロアルケニル基の代表的な例としては、たとえば、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する、約3〜約18個の炭素原子を含む置換もしくは未置換の環含有基、たとえば、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニルなどであって、上記の環が場合により1つ以上のヘテロ原子、たとえば、O及びNなどを含むものが挙げられる。
【0075】
ここでの使用のためのアリール基の代表的な例としては、たとえば、約5〜約25個の炭素原子を含む、置換もしくは未置換の単環芳香族もしくは多環芳香族基、たとえば、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インデニル、ビフェニルなどであって、場合により1つ以上のヘテロ原子、たとえば、O及びNなどを含むものが挙げられる。
【0076】
ここでの使用のためのアリールアルキル基の代表的な例としては、たとえば、上記で規定されるとおりのアルキル基に直接結合された、上記のとおりの置換もしくは未置換のアリール基、たとえば、−CH265、−C2565などが挙げられ、上記アリール基は場合により1つ以上のヘテロ原子、たとえば、O及びNなどを含むことができる。
【0077】
ここでの使用のためのフルオロアリール基の代表的な例としては、たとえば、上記のとおりのアリール基に結合した1つ以上のフッ素原子を有する、アリール基が挙げられる。
【0078】
ここでの使用のための複素環式基の代表的な例としては、たとえば、3〜約15員の置換もしくは未置換の安定な環基であって、炭素原子及び1〜5個のヘテロ原子を含むものが挙げられ、そのヘテロ原子は、たとえば、窒素、リン、酸素、硫黄及びそれらの混合物である。ここでの使用に適する複素環式基は単環、二環又は三環系であることができ、その環系は縮合、橋架け又はスピロ環系を含むことができ、複素環式基の中の窒素、リン、炭素、酸素又は硫黄原子は、場合によって様々な酸化状態に酸化されていてよい。さらに、窒素は場合により第四級化されていてよく、そして環基は部分的に又は完全に飽和されていてよい(すなわち、複素芳香族又はヘテロアリール芳香族)。このような複素環式基の例としては、限定するわけではないが、アゼチジニル、アクリジニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキサニル、ベンゾフルニル、カルバゾリル、シノリニル、ジオキソラニル、インドリジニル、ナフチリジニル、ペルヒドロアゼピニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピリジル、プテリジニル、プリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラゾリル、イミダゾリル、テトラヒドロイソウイノリル(tetrahydroisouinolyl)、ピペリジニル、ピペラジニル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロリジニル、2−オキソアゼピニル、アゼピニル、ピロリル、4−ピペリドニル、ピロリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、オキサゾリニル、オキサソリジニル(oxasolidinyl)、トリアゾリル、インダニル、イソキサゾリル、イソキサソリジニル(isoxasolidinyl)、モルホリニル、チアゾリル、チアゾリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、キヌクリジニル、イソチアゾリジニル、インドリル、イソインドリル、インドリニル、イソインドリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、キノリル、イソキノリル、デカヒドロイソキノリル、ベンズイミダゾリル、チアジアゾリル、ベンゾピラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、フリル、テトラヒドロフルチル(tetrahydrofurtyl)、テトラヒドロピラニル、チエニル、ベンゾチエニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホン、ジオキサホスホラニル、オキサジアゾリル、クロマニル、イソクロマニルなど及びそれらの混合物が挙げられる。
【0079】
ここでの使用のためのヘテロアリール基の代表的な例としては、たとえば、上記に規定したとおりの置換もしくは未置換複素環式基が挙げられる。ヘテロアリール環基は安定な構造を形成することになるいかなるヘテロ原子又は炭素原子で主構造に結合されてもよい。
【0080】
ここでの使用のためのヘテロアリールアルキル基の代表的な例としては、たとえば、上記に規定されるとおりのアルキル基に直接結合した、上記に規定されるとおりの置換もしくは未置換ヘテロアリール環基が挙げられる。ヘテロアリールアルキル基は安定な構造を形成することになるアルキル基中のいかなる炭素原子で主構造に結合されてもよい。
【0081】
ここでの使用のためのヘテロシクロ基の代表的な例としては、たとえば、上記に規定されるとおりの置換もしくは未置換複素環式基が挙げられる。ヘテロシクロ環基は安定な構造を形成することになるいかなるヘテロ原子又は炭素原子で主構造に結合されてもよい。
【0082】
ここでの使用のためのヘテロシクロアルキル基の代表的な例としては、たとえば、上記のとおりのアルキル基に直接結合した、上記のとおりの置換もしくは未置換複素環式基が挙げられる。ヘテロシクロアルキル基は安定な構造を形成することになるアルキル基中のいかなる炭素原子で主構造に結合されてもよい。
【0083】
「重合性エチレン系不飽和有機基」の代表的な例としては、たとえば、(メタ)アクリレート含有基、(メタ)アクリルアミド含有基、ビニルカーボネート含有基、ビニルカルバメート含有基、スチレン含有基などが挙げられる。1つの実施形態において、重合性エチレン系不飽和有機基は一般式
【0084】
【化26】

【0085】
(上式中、R30は独立に、水素、フッ素、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、又は−CO−Y−R32基であり、ここで、Yは−O−、−S−又は−NH−であり、R32は1〜約10個の炭素原子を有する2価のアルキレン基であり、R31は水素、フッ素又はメチルである)によって表されることができる。
【0086】
「置換アルキル」、「置換アルコキシ」、「置換シクロアルキル」、「置換シクロアルキルアルキル」、「置換シクロアルケニル」、「置換アリールアルキル」、「置換アリール」、「置換複素環式基」、「置換ヘテロアリール環」、「置換ヘテロアリールアルキル」、「置換ヘテロシクロアルキル環」、「置換環式環」及び「置換カルボン酸誘導体」中の置換基は同一であっても又は異なっていてもよく、そして1つ以上の置換基、たとえば、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、カルボキシル、シアノ、ニトロ、オキソ(=O)、チオ(=S)、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換アルコキシ、置換もしくは未置換アルケニル、置換もしくは未置換アルキニル、置換もしくは未置換アリール、置換もしくは未置換アリールアルキル、置換もしくは未置換シクロアルキル、置換もしくは未置換シクロアルケニル、置換もしくは未置換アミノ、置換もしくは未置換アリール、置換もしくは未置換ヘテロアリール、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキル環、置換もしくは未置換ヘテロアリールアルキル、置換もしくは未置換複素環式環、置換もしくは未置換グアニジン、−COORx、−C(O)Rx、−C(S)Rx、−C(O)NRxRy、−C(O)ONRxRy、−NRxCONRyRz、−N(Rx)SORy、−N(Rx)SO2Ry、−(=N−N(Rx)Ry)、−NRxC(O)ORy、−NRxRy、−NRxC(O)Ry−、−NRxC(S)Ry−NRxC(S)NRyRz、−SONRxRy−、−SO2NRxRy、−ORx、−ORxC(O)NRyRz、−ORxC(O)ORy−、−OC(O)Rx、−OC(O)NRxRy、−RxNRyC(O)Rz、−RxORy、−RxC(O)ORy、−RxC(O)NRyRz、−RxC(O)Rx、−RxOC(O)Ry、−SRx、−SORx、−SO2Rx、−ONO2を含むことができ、ここで、上記の各基の中のRx、Ry及びRzは同一であっても又は異なっていてもよく、そして、水素原子、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換アルコキシ、置換もしくは未置換アルケニル、置換もしくは未置換アルキニル、置換もしくは未置換アリール、置換もしくは未置換アリールアルキル、置換もしくは未置換シクロアルキル、置換もしくは未置換シクロアルケニル、置換もしくは未置換アミノ、置換もしくは未置換アリール、置換もしくは未置換ヘテロアリール、「置換ヘテロシクロアルキル環」で置換された又は未置換のヘテロアリールアルキル、又は、置換もしくは未置換複素環式環が挙げられる。
【0087】
上記のシリコーン材料は、単に例示であり、そして本発明に係るアニオン性ポリマーを含む溶液中に保管されることによって利益を得ることができ、様々な文献に開示されており、コンタクトレンズ及び他のメディカルデバイスにおける使用のために継続的に開発されている、カチオン性基材としての使用のための他の材料も使用することができる。たとえば、他の適切なカチオン性モノマー材料は分子量が約600g/モル以下であり、そして約7.2〜約7.4のpH値(生理学的pH値)でプロトン化されうる第三級アミン基又は第四級アンモニウム基を含む。例示のモノマーとして、アクリル酸及びメタクリル酸の第三級C1〜C10アルキル、C2〜C3アルカノール及びベンジルアミノエチル又はN−モルホリノエチルエステル、たとえば、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMEAM)、2−N−モルホリノエチルメタクリレート(MEM)、N,N−ジエタノールアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメトキシエチルアミノエチルメタクリレート、ビニルアミン、アミノスチレン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、N−(2−ビニルオキシエチル)ピペリジン及び第四級アンモニウム化合物、たとえば、3−トリメチルアンモニウム−2−ヒドロキシプロピルメタクリレートクロリド(TMAHPM)、2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリルヒドロキシド、2−トリメチルアンモニウムエチルアクリルヒドロキシド、2−トリメチルアンモニウムメチルメタクリルクロリド、2−トリメチルアンモニウムメチルアクリルクロリド、及び、2−メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメチルスルフェートが挙げられる。
【0088】
シリコーン含有モノマーは、より少量で、たとえば、モノマー混合物の合計質量を基準として約15質量%以下の量でモノマー混合物に添加されるであろう。一般に、シリコーン含有モノマーはモノマー混合物の合計質量を基準として約0.1〜約15質量%の範囲の量で存在する。
【0089】
本発明のシリコーンヒドロゲルは、通常、より多量の非シリコーン含有モノマー、及び、より少量のシリコーン含有モノマーを少なくとも含むモノマー混合物を、当業者によく知られている従来の重合条件を用いて重合すること、たとえば、モノマー混合物を可視光もしくはUV線などの光照射、熱又はその両方に暴露して重合を誘導することによって形成される。一般に、重合は、たとえば、窒素又はアルゴンの不活性雰囲気下に約15分〜約72時間で行うことができる。所望ならば、得られる重合生成物を、真空下に、たとえば、約5〜約72時間乾燥し、又は、使用前に水溶液中に入れておくことができる。
【0090】
重合開始剤は重合工程を促進するためにモノマー混合物中に含まれることができる。代表的なラジカル熱重合開始剤は、有機ペルオキシド、たとえば、アセタールペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、デカノイルペルオキシド、ステアロイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ターシャリーブチルペルオキシピバレート、ペルオキシジカーボネートなど及びそれらの混合物である。代表的なUV開始剤は当該技術分野で知られたものであり、たとえば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ダロキュア(Darocure) 1173、1164、2273、1116、2959、3331 (EM Industries)及びイルガキュア(Irgacure) 651及び184(Ciba-Geigy)など及びそれらの混合物である。一般に、開始剤は総混合物質量の約0.1〜約5質量%の濃度でモノマー混合物中に使用されるであろう。
【0091】
モノマー混合物の重合は、一般に、希釈剤の存在下に行われる。希釈剤は、一般に、重合後に除去され、当業者によく知られている抽出及び水和手順において水で置き換えられる。代表的な希釈剤は、ジオール、アルコール、アルコール/水混合物、エチレングリコール、グリセリン、液体ポリエチレングリコール、低分子量直鎖ポリヒドロキシエチルメタクリレート、乳酸のグリコールエステル、ホルムアミド、ケトン、ジアルキルスルホキシド、ブチルカルビトールなど及びそれらの混合物である。
【0092】
キセロゲルを形成するために希釈剤の非存在下に重合を行うこともできる。その後、そのキセルゲルは、当該技術分野でよく知られているように、水和されてヒドロゲルを形成することができる。
【0093】
モノマー混合物は疎水性モノマーをさらに含むことができる。適切な疎水性モノマーとしては、エチレン系不飽和疎水性モノマー、たとえば、(メタ)アクリレート含有疎水性モノマー、N−アルキル(メタ)アクリルアミド含有疎水性モノマー、ビニルカーボネート含有疎水性モノマー、ビニルカルバメート含有疎水性モノマー、フルオロアルキル(メタ)アクリレート含有疎水性モノマー、N−フルオロアルキル(メタ)アクリルアミド含有疎水性モノマー、N−フルオロアルキルビニルカーボネート含有疎水性モノマー、N−フルオロアルキルビニルカルバメート含有疎水性モノマー、スチレン含有疎水性モノマー、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート含有疎水性モノマーなど及びそれらの混合物が挙げられる。
【0094】
好ましい実施形態において、疎水性モノマーは下記式XXVによって表される。
【化27】

【0095】
上式中、R30はメチル又は水素であり、R31は−O−又は−NH−であり、R32及びR34は独立に−CH2−、−CHOH−及び−CHR35−からなる群より選ばれる二価の基であり、R34及びR35は独立に枝分かれC3〜C8アルキル基であり、そしてnは少なくとも1の整数であり、m及びpは独立に0又は少なくとも1の整数であり、ただし、m、p及びnの合計は2、3、4又は5である。疎水性モノマーの代表的な例としては、限定するわけではないが、4−t−ブチル−2−ヒドロキシシクロヘキシルメタクリレート(TBE)、4−t−ブチル−2−ヒドロキシシクロペンチルメタクリレート、4−t−ブチル−2−ヒドロキシシクロヘキシルメタクリルアミド(TBA)、6−イソペンチル−3−ヒドロキシクロヘキシルメタクリレート及び2−イソヘキシル−5−ヒドロキシシクロペンチルメタクリルアミドが挙げられる。好ましい疎水性モノマーとしては、TBE及びTBAが挙げられる。
【0096】
疎水性モノマーは、通常、モノマー混合物の合計質量を基準にして、0〜約15質量%の範囲の量でモノマー混合物中に存在するであろう。
【0097】
モノマー混合物は架橋剤をも含むことができる。しかしながら、通常、非シリコーン含有親水性モノマー又はシリコーン含有モノマーのいずれかが架橋剤(架橋剤は多価重合性官能価を有するモノマーとして定義される)として機能し、又は、別個の架橋剤を用いてもよい。架橋剤は当該技術分野で知られており、代表的な架橋剤として、アリルメタクリレート及びエチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)が挙げられる。他のアクリル含有、ビニル含有及び/又はスチレン含有疎水性モノマーについて、メタクリルオキシエチルビニルカーボネート(HEMAVC)、4−ビニルフェニルビニルカーボネート及び4−ビニルフェニルカルバメートなどの架橋剤が使用される。
【0098】
モノマー混合物は強化モノマーも含んでよい。用語「強化モノマー」は、ここで使用する際に、改良された物性、特に引き裂き及び引っ張り強度を有するポリマー材料を提供するための親水性モノマーと重合されうるモノマーに関する。追加の親水性モノマーは強化モノマーとは異なる又は強化モノマーを除外するものと定義されることが理解される。強化モノマーは、通常、モノマー混合物の合計質量を基準として、約0.01〜約20質量%、好ましくは約5〜約10質量%の範囲の量でモノマー混合物中に存在するであろう。
【0099】
モノマー混合物は最終のレンズに取り込まれるときに、レンズにある程度の色を付与する薬剤として定義される着色剤を含んでよい。従来の着色剤は当該技術分野で知られており、着色剤として、非重合性薬剤又はレンズ形成性モノマーと反応性がある活性化不飽和基を含む重合性薬剤が挙げられる。この後者のクラスの化合物の1つの好ましい例は1,4−ビス(4−(2−メタクリルオキシエチル)フェニルアミノ)アントラキノンという化合物であり、それは米国特許第4,997,897号明細書に開示されたブルー可視着色剤である。
【0100】
本発明のヒドロゲル材料は50%を超える含水率を有する。1つの実施形態において、本発明の高含水率ヒドロゲル材料は含水率が少なくとも約70%水であろう。別の実施形態において、本発明の高含水率ヒドロゲル材料は含水率が少なくとも約80%水であろう。本発明の高含水率シリコーンヒドロゲルは酸素透過係数が約30バーラー〜約70バーラーであることができ、好ましくは約40バーラー〜約60バーラーである。ヒドロゲル材料は水接触角が約90度未満であることも好ましい。
【0101】
様々な好ましい実施形態によると、ヒドロゲル材料はバイオメディカル用途に適している。用語「バイオメディカル用途における使用のための成形品」又は「バイオメディカルデバイス又は材料」は、ここに開示したヒドロゲル材料が、生体組織、血液及び粘膜との長期間の接触に適したものとする物理化学的性質を有することを意味する。
【0102】
一般に、コンタクトレンズは、モノマー混合物をモールド中に装填し、次いで、それを光照射又は熱に付して、モールド中でモノマー混合物を硬化させることにより得ることができる。コンタクトレンズの製造におけるモノマー混合物の硬化のための種々の方法が知られており、スピンキャスティング及び静的キャスティングを含む。スピンキャスティング法はモノマー混合物をモールドに装填し、モノマー混合物を光に暴露しながら、制御した様式でモールドをスピンさせることを含む。静的キャスティング法は、一方のモールドセクションは前方レンズ表面を形成する形状であり、他方のモールドセクションは後方レンズ表面を形成する形状である、2つのモールドセクションの間にモノマー混合物を装填し、光への暴露によってモノマー混合物を硬化させることを含む。このような方法は米国特許第3,408,429号明細書、同第3,660,545号明細書、同第4,113,224号明細書、同第4,197,266号明細書及び同第5,271,875号明細書に記載されている。さらに、モノマー混合物はロッド又はボタンの形状でキャストされれてもよく、その後、所望のレンズ形状に旋盤切削される。
【0103】
下記の実施例は当業者が本発明を実施することができるように提供され、そして本発明の単なる例示である。実施例は特許請求の範囲に規定されるとおりの本発明の範囲を限定するものとして読まれるべきでない。
【実施例】
【0104】
分析測定
弾性率はASTM D−1708aに従うインストロン(Instron)(モデル4502)機器を用いて測定することができ、ここでは、ヒドロゲルコポリマーフィルムサンプルをホウ酸塩緩衝水溶液中に浸漬させる。フィルムサンプルの適切なサイズはゲージ長さ22mmであり、そして幅4.75mmであり、サンプルは、さらに、インストロン機器のクランプによってサンプルのグリッピングを行うためのドッグボーン形状を形成している両末端をさらに有し、そして100±50マイクロメートルの厚さを有する。
【0105】
水和フィルムの含水率を重量分析法によって測定した。1セット当たり5個のレンズを含む完全に水和したレンズ2セットを貯蔵デバイスから取り出す。レンズをろ紙で吸い取って残留表面水を除去する。その後、各セットを個々に計量して「湿潤質量」を決定する。その後、2つのセットのレンズを500〜650ワットマイクロ波オーブンに高い設定値で10分間入れる。その後、2つのセットのレンズをマイクロ波オーブンから取り出し、各セットを個々に計量して「乾燥質量」を決定する。各セットの%含水率を下記の等式を用いて決定する。報告する含水率は2つのセットの平均を示す。
【0106】
【数1】

【0107】
酸素透過係数(Dkとも呼ぶ)を下記の手順によって決定した。得られる酸素透過係数値が上記方法と同様であるかぎり、他の方法及び/又は機器を用いてもよい。プローブ端部に中央の円形金カソード及びカソードから絶縁された銀アノードを含むプローブを有するO2パーメオメータ(Permeometer)モデル 201T(Createch, Albany, California USA)を用いて、ポーラログラフィー法(ANSI Z80.20−1998)によって、シリコーンヒドロゲルの酸素透過係数を測定する。150〜600マイクロメートルの3つの異なる中心厚さを有する予備検査したピンホールフリーの平らなシリコーンヒドロゲルフィルムサンプルに対して測定を行う。フィルムサンプルの中心厚さ測定はレーダー(Rehder) ET−1電子厚さ計を用いて測定することができる。
【0108】
一般に、フィルムサンプルは円形ディスクの形状を有する。35℃+/−0.2°で平衡した、循環しているリン酸塩緩衝溶液(PBS)を含む浴中に浸漬したプローブ及びフィルムサンプルを用いて測定を行う。プローブ及びフィルムサンプルをPBS浴中に浸漬させる前に、平衡になったPBSで予め湿らせたカソード上にフィルムサンプルを中心に配置し、カソードとフィルムサンプルとの間に気泡又は過剰PBSが確実に存在しないようにし、その後、プローブのカソード部分がフィルムサンプルにのみ接触するようにしてフィルムサンプルを取り付けキャップによってプローブに固定する。シリコーンヒドロゲルフィルムでは、プローブカソードとフィルムサンプルとの間に、たとえば、円形ディスク形状を有するテフロン(登録商標)ポリマー膜を用いることがしばしば有用である。そのような場合には、予め湿らせたカソード上にテフロン(登録商標)膜を最初に配置し、その後、テフロン(登録商標)膜又はフィルムサンプルの下に気泡又は過剰のPBSが確実に存在しないようにして、フィルムサンプルをテフロン(登録商標)膜上に配置する。測定値を回収したら、0.97以上の相関係数値(R2)を有するデータのみをDk値計算に入力すべきである。
【0109】
1つの厚さにつき少なくとも2つのDk測定値及びR2適合値を得る。既知の回帰分析を用いて、少なくとも3つの異なる厚さを有するフィルムサンプルから酸素透過係数(Dk)を計算する。PBS以外の溶液で水和されたフィルムサンプルを最初に純水中に浸漬し、少なくとも24時間平衡にさせ、その後、PHB中に浸漬し、少なくとも12時間平衡にさせる。機器を定期的に清浄化し、RGP標準を用いて定期的に校正する。William J. BenjaminらのThe Oxygen Permeability of Reference Materials, Optom Vis Sci 7(12s):95(1997)(その開示の全体を参照により本明細書中に取り込む) により規定された文献値の+/−8.8%を計算することで上限値及び下限値を決める。
【0110】
材料名 文献値 下限 上限
フルオロパーム30(Fluoroperm 30) 26.2 24 29
メニコンEX(Menicon EX) 62.4 56 66
クオンタムII(Quantum II) 92.9 85 101
【0111】
例1
N−ビニル−2−ピロリドン(NVP)(90質量%)及び4−t−ブチル−2−ヒドロキシシクロヘキシルメタクリレート(TBE)(10質量%)を含むベース製剤を調製した。この製剤に、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)(0.15質量%)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)ビニルカーボネート(0.15質量%)及び式VIIに規定される一般構造を有するカチオン性のシリコーンをベースとするトリスメタクリレート(5質量%)ならびにバゾ(Vazo)(登録商標)64(アゾビスイソブチロニトリル)(AIBN))(0.5質量%)を添加した。得られた混合物を約3時間熱硬化した。得られたフィルムは弾性率が40g/mm2、含水率が83%、そしてDkが51バーラーであった。
【0112】
例2
NVP(90質量%)及びTBE(10質量%)を含むベース製剤を調製した。この製剤に、HEMAビニルカーボネート(0.30質量%)、シリコーンをベースとするメタクリレート(15質量%)及びAIBN(0.5質量%)を添加した。得られたモノマー混合物を約3時間熱硬化した。得られたフィルムは弾性率が52g/mm2、含水率が79%、そしてDkが42バーラーであった。本例で用いたシリコーンをベースとするメタクリレートは下記式を有するものである。
【0113】
【化28】

【0114】
例3
NVP(90質量%)及びTBE(5質量%)を含むベース製剤を調製した。この製剤に、アリルメタクリレート(0.38質量%)、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)(0.38質量%)、トリス(トリメトキシシリルプロピル)メタクリレート(TRIS−MA)(5質量%)及びAIBN(0.5質量%)を添加した。得られたモノマー混合物を約3時間熱硬化した。得られたレンズは弾性率が約50g/mm2、含水率が約78%、そしてDkが約42バーラーであった。
【0115】
例4
NVP(90質量%)及びTBE(10質量%)を含むベース製剤を調製した。この製剤に、アリルメタクリレート(0.20質量%)、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)(0.20質量%)、トリス(トリメトキシシリルプロピル)メタクリレート(TRIS−MA)(5質量%)及びAIBN(0.5質量%)を添加した。得られたモノマー混合物を約3時間熱硬化した。得られたレンズは弾性率が約80g/mm2、含水率が約79%、そしてDkが約45バーラーであった。
【0116】
例5
NVP(90質量%)及びTBE(10質量%)を含むベース製剤を調製した。この製剤に、アリルメタクリレート(0.38質量%)、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)(0.38質量%)、モノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン(5質量%)及びAIBN(0.5質量%)を添加した。得られたモノマー混合物を約3時間熱硬化した。
【0117】
本明細書中に開示された実施形態に対して様々な変更がなされてよいことが理解されるであろう。それゆえ、上記の記載は限定するのではなく、好ましい実施形態の単なる例示として解釈されるべきである。たとえば、本発明を操作するのに最良の形態として上記しそして実施した機能は単なる例示の目的である。本発明の精神と範囲を逸脱することなく、他の態様及び方法が当業者によって実施されうる。さらに、当業者はここに添付された特徴及び利点の範囲及び精神の範囲内で他の変更を考えるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)より多量の非シリコーン含有親水性モノマー及び(b)より少量のシリコーン含有モノマーを含むモノマー混合物の水和重合生成物から形成され、含水率が50質量%を超える、シリコーンヒドロゲル。
【請求項2】
含水率が約70質量%を超える、請求項1記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項3】
含水率が約80質量%を超える、請求項1記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項4】
酸素透過係数が約30〜約70バーラーである、請求項1記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項5】
酸素透過係数が約40〜約60バーラーである、請求項1記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項6】
含水率が約70質量%を超え、酸素透過係数が約40〜約60バーラーであり、そして弾性率が約20g/m2〜約120g/m2である、請求項1記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項7】
含水率が約80質量%を超え、酸素透過係数が約40〜約60バーラーであり、そして弾性率が約20g/m2〜約120g/m2である、請求項1記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項8】
前記非シリコーン含有親水性モノマーはN,N-ジメチルアクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、グリセリルメタクリレート、N−メタクリロイルグリシン、(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルプロピル)−4−メトキシフェニルエーテル及びそれらの混合物からなる群より選ばれる、請求項1記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項9】
前記非シリコーン含有親水性モノマーはモノマー混合物中に約65質量%を超える量で存在する、請求項1記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項10】
前記非シリコーン含有親水性モノマーはモノマー混合物中に約80質量%を超える量で存在する、請求項1記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項11】
前記シリコーン含有モノマーはトリス(トリアルキルシロキシ)シリルアルキルメタクリレート含有モノマーである、請求項1記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項12】
前記シリコーン含有モノマーはトリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート含有モノマーである、請求項1記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項13】
前記シリコーン含有モノマーは約15質量%未満の量でモノマー混合物中に存在する、請求項1記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項14】
(a)より多量の非シリコーン含有親水性モノマー及び(b)より少量のシリコーン含有モノマーを含むモノマー混合物の重合生成物から製造されるコンタクトレンズであって、該コンタクトレンズは含水率が50質量%を超えるシリコーンヒドロゲルから構成されている、コンタクトレンズ。
【請求項15】
含水率が約70質量%を超える、請求項14記載のコンタクトレンズ。
【請求項16】
含水率が約80質量%を超える、請求項14記載のコンタクトレンズ。
【請求項17】
酸素透過係数が約30〜約70バーラーである、請求項14記載のコンタクトレンズ。
【請求項18】
含水率が約70質量%を超え、酸素透過係数が約40〜約60バーラーであり、そして弾性率が約20g/m2〜約120g/m2である、請求項14記載のコンタクトレンズ。
【請求項19】
含水率が約80質量%を超え、酸素透過係数が約40〜約60バーラーであり、そして弾性率が約20g/m2〜約120g/m2である、請求項14記載のコンタクトレンズ。
【請求項20】
前記非シリコーン含有親水性モノマーはN,N-ジメチルアクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、グリセリルメタクリレート、N−メタクリロイルグリシン、(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルプロピル)−4−メトキシフェニルエーテル及びそれらの混合物からなる群より選ばれる、請求項14記載のコンタクトレンズ。
【請求項21】
前記非シリコーン含有親水性モノマーはモノマー混合物中に約65質量%を超える量で存在する、請求項14記載のコンタクトレンズ。
【請求項22】
(a)約65質量%を超える非シリコーン含有親水性モノマー及び(b)約15質量%未満のシリコーン含有モノマーを含むモノマー混合物の水和重合生成物から形成されるシリコーンヒドロゲルであり、含水率が50質量%を超え、前進接触角が約100度以下であり、そして酸素透過係数が約30バーラー〜約70バーラーである、シリコーンヒドロゲル。
【請求項23】
前記非シリコーン含有親水性モノマーはN,N-ジメチルアクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、グリセリルメタクリレート、N−メタクリロイルグリシン、(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルプロピル)−4−メトキシフェニルエーテル及びそれらの混合物からなる群より選ばれる、請求項22記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項24】
含水率が約70質量%を超え、そして酸素透過係数が約40〜約60バーラーである、請求項22記載のシリコーンヒドロゲル。
【請求項25】
約90質量%のN−ビニル−2−ピロリドン、約5〜10質量%の4−t−ブチル−2−ヒドロキシシクロヘキシルメタクリレート、約0.20〜0.38質量%のアリルメタクリレート、約0.20〜0.38質量%のエチレングリコールジメタクリレート、約5質量%のシリコーン含有モノマー及び約0.5質量%のアゾビスイソブチロニトリルを含むモノマー混合物の水和重合生成物から形成されるシリコーンヒドロゲルであり、含水率が50質量%を超えるシリコーンヒドロゲル。
【請求項26】
前記シリコーン含有モノマーはトリス(トリメトキシシリルプロピルメタクリレート)及びモノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサンからなる群より選ばれる、請求項25記載のシリコーンヒドロゲル。

【公表番号】特表2011−505486(P2011−505486A)
【公表日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−536961(P2010−536961)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2008/083160
【国際公開番号】WO2009/073321
【国際公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(506076640)ボーシュ アンド ローム インコーポレイティド (99)
【Fターム(参考)】