説明

高周波フィルタ

【課題】 阻止帯域において高い減衰量を有する高周波フィルタを得る。
【解決手段】 平板形状である誘電体と、前記誘電体の下面に設けられた第1の導体と、前記誘電体の上面に設けられた第2の導体と、前記第1の導体と前記第2の導体を電気的に接続し、前記第1の導体と前記第2の導体とともに前記誘電体内に電磁界の共振領域を形成する複数のスルーホールと、前記第1の導体の下面に電気的に接続され前記誘電体に固定された金属板と、前記金属板に固定され高周波が伝搬する線路と、前記共振領域と前記線路とを電磁界結合させる結合手段と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、高周波回路等に用いられる高周波フィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の小形な高周波フィルタの一つとして、特許文献1に示されるように、高周波基板上に複数の誘電体同軸共振器を配置した構造を有するものがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−251804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術には次のような課題がある。
従来の高周波フィルタの構成要素である同軸共振器は、波長の1/4の長さで一端が短絡され他端が開放されている。開放された端部は電波を放射しやすいため、この放射により隣接する共振器や他の回路と不要結合しやすい。この不要結合はフィルタの阻止帯域における減衰量を劣化させることが知られている。したがって、高い減衰量を有する高周波フィルタが得られにくいという問題があった。
【0005】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、阻止帯域において高い減衰量を有する高周波フィルタを得るためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る高周波フィルタは、
平板形状である誘電体と、
前記誘電体の下面に設けられた第1の導体と、
前記誘電体の上面に設けられた第2の導体と、
前記第1の導体と前記第2の導体を電気的に接続し、前記第1の導体と前記第2の導体とともに前記誘電体内に電磁界の共振領域を形成する複数のスルーホールと、
前記第1の導体の下面に電気的に接続され前記誘電体に固定された金属板と、
前記金属板に固定され高周波が伝搬する線路と、
前記共振領域と前記線路とを電磁界結合させる結合手段と、
を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、阻止帯域において高い減衰量を有する高周波フィルタを得られるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1に係る高周波フィルタの上面図
【図2】この発明の実施の形態1に係る高周波フィルタのA−A断面図
【図3】この発明の実施の形態1に係る高周波フィルタのB−B断面図
【図4】この発明の実施の形態1に係る高周波フィルタのC−C断面図
【図5】この発明の実施の形態1に係る高周波フィルタのD−D断面図
【図6】この発明の実施の形態1に係る高周波フィルタのD’−D’断面図
【図7】この発明の実施の形態1に係る高周波フィルタのE−E断面図
【図8】この発明の実施の形態1に係る高周波フィルタの等価回路を示す図
【図9】この発明の実施の形態1に係る高周波フィルタ用共振器の斜視図
【図10】この発明の実施の形態2に係る高周波フィルタのA−A断面図
【図11】この発明の実施の形態2に係る高周波フィルタ用共振器の斜視図
【図12】この発明の実施の形態2に係る高周波フィルタ用共振器の分解図
【図13】この発明の実施の形態2に係る高周波フィルタ用第2の誘電体の下からの斜視図
【図14】この発明の実施の形態2に係る高周波フィルタ用共振器のF−F断面図
【図15】この発明の実施の形態3に係る高周波フィルタ用共振器の分解図
【図16】この発明の実施の形態3に係る高周波フィルタ用第2の誘電体の下からの斜視図
【図17】この発明の実施の形態3に係る高周波フィルタ用共振器のF−F断面図
【図18】この発明の実施の形態4に係る高周波フィルタの上面図
【図19】この発明の実施の形態4に係る高周波フィルタのG−G断面図
【図20】この発明の実施の形態4に係る高周波フィルタのH−H断面図
【図21】この発明の実施の形態4の変形例に係る高周波フィルタの上面図
【図22】この発明の実施の形態4の変形例に係る高周波フィルタのG’−G’断面図
【図23】この発明の実施の形態4の変形例に係る高周波フィルタのH’−H’断面図
【図24】この発明の実施の形態5に係る高周波フィルタの上面図
【図25】この発明の実施の形態5に係る高周波フィルタのJ−J断面図
【図26】この発明の実施の形態5に係る高周波フィルタのK−K断面図
【図27】この発明の実施の形態5に係る高周波フィルタのL−L断面図
【図28】この発明の実施の形態5に係る高周波フィルタの等価回路を示す図
【図29】この発明の実施の形態6に係る高周波フィルタのG−G断面図
【図30】この発明の実施の形態6に係る高周波フィルタのH−H断面図
【図31】この発明の実施の形態6に係る高周波フィルタの他のG−G断面図
【図32】この発明の実施の形態6に係る高周波フィルタの他のH−H断面図
【図33】この発明の実施の形態7に係る高周波フィルタのG−G断面図
【図34】この発明の実施の形態7に係る高周波フィルタのH−H断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1から図9までは、本発明の実施の形態1に係わる高周波フィルタを示す図である。図1は本実施の形態における高周波フィルタの上面図、図2は図1におけるA−Aの断面図、図3は図1におけるB−Bの断面図、図4は図1におけるC−Cの断面図である。図5は図2におけるD−Dの断面図、図6は図2におけるD’−D’の断面図で、それぞれ各共振器に設けられる結合孔を示す。また、図7は図2におけるE−Eの断面図であり線路上面に形成される結合孔、図8は高周波フィルタの等価回路、図9は本高周波フィルタに用いられる共振器単体の斜視図を示す。なお、各図において、同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0010】
図中、100はベース板、101a、bは導体パターン、102はスルーホール、103は誘電体層、104は結合孔、105はネジ穴、110は線路、201は結合孔、301a、bは4分の1波長線路、400は共振器、401は金属板、402は平板形状である誘電体、403aは第1の導体、403bは第2の導体、404はキリ穴、405は複数のスルーホール、406は結合孔、410は共振回路である。
【0011】
本実施の形態における高周波フィルタでは、3つの共振器400と線路110とから高周波フィルタを構成している。
【0012】
共振器400は誘電体402内に電磁波を共振させる誘電体共振器である。図9に共振器400の斜視図を示す。平板状の誘電体402の上面に第2の導体403bが蒸着などの方法により設けられている。また図9には示されていないが、図2に示されているように、誘電体402の下面には第1の導体403aが同様に設けられている。第1の導体403aと第2の導体403bは、誘電体402の周辺部において複数のスルーホール405により電気的に接続されている。これら、第1の導体403a、第2の導体403b、複数のスルーホール405によって、誘電体402内部の電磁波を電気的に遮蔽し、誘電体402内部に電磁波の共振領域を形成している。この構造において、内部の電磁波は矩形TE101モードで共振する。
【0013】
また、誘電体402の下面に設けられている第1の導体403aのさらに下側に、導電性接着剤を用いて金属板401を固定している。金属板401にはキリ穴404が設けられており、他の構造体とネジ止め等による固定が行えるようになっている。
【0014】
線路110は、誘電体層103と、誘電体層103の上下に設けられた導体パターン101a、101b、上下の導体パターン101a、bを接続するスルーホール102、および、これらを支えるベース板100とからなっている。この線路110において、電磁波は誘電体層103の内部を伝搬する。スルーホール102は図1および図3に示すように、誘電体層103の側面両側の端部近傍にそれぞれ複数設けられており、いわゆるSIW(Substrate Integrated Waveguide)形の線路を形成している。このため、線路110内の電磁波が、外部に漏れ出すことなく誘電体層103の内部を伝搬する。
【0015】
共振器400の第1の導体403aには、図5(a)に示すように結合孔201が設けられている。第1の導体403aに固定された金属板401にも、図6に示すように対応する箇所に同様に結合孔406が設けられている。線路110の上側の導体パターン101aにも、図7に示すように結合孔104が設けられている。
【0016】
さらに、共振器400は金属板401のキリ穴404を用いて、線路110のベース板100にネジ止めされている。このため共振器400と線路110とは密着している。共振器400の結合孔201と線路110の結合孔104は対応した位置において接合し、これらは結合手段を形成する。この結合手段によって、共振器400の誘電体402内部の電磁波と、線路110の誘電体層103を伝搬する電磁波との間に電磁界結合が生じる。
【0017】
共振器400と線路110とは密着しているので、この結合手段においても、電磁波が外部に放射しにくい。
【0018】
本実施の形態における高周波フィルタでは、図1と図2に示すように3つの共振器400を、線路110の上に、λg/4の間隔で配置している。ここでλgは所定の周波数における線路110内を進行する電磁波の波長である。それぞれの共振器400と線路110の間には、結合手段によって電磁界結合が生じている。なお、図2の波形の矢印は電磁波を表している。すなわち、3つの共振器400は、線路110の一部である4分の1波長線路301a、301bを介して接続されている。
【0019】
図8はこの高周波フィルタの等価回路を示す図である。各共振器400は等価的に410のような共振回路で表される。したがって高周波フィルタは共振回路410を4分の1波長線路301a、bで接続した回路となる。共振器400の損失が小さければ、等価回路の共振回路410中の抵抗値が十分小さいとすることができる。このとき、共振周波数近傍で共振回路410はリアクタンスがほぼ0となり短絡線路として動作するので、図8の等価回路は共振周波数近傍で入力側から出力側に波を通さない回路となる。また共振周波数から離れた周波数では共振回路410は有限のリアクタンスを有し短絡線路とならないので、図8の等価回路は入力側から出力側に波を通す回路となる。このように、本実施の形態に示す高周波フィルタは帯域阻止形のフィルタ特性を有する。
【0020】
なお、本実施の形態では、複数の共振器400を4分の1波長線路301a、bを介して接続しているが、4分の3波長線路や4分の5波長線路など、4分の1の奇数倍波長の線路を用いても同様なフィルタ特性が得られる。すなわち、共振器400をλg/4の奇数倍間隔で配置しても構わない。これは他の実施の形態においても同様である。
【0021】
この高周波フィルタでは、上述したように、共振器400や線路110において、外部への電磁波の放射が生じないため、共振器400間の不要結合などが生じない。したがって、高周波フィルタの阻止帯域における減衰量の劣化が生じず、高い減衰量を有する高周波フィルタが得られるという効果がある。
【0022】
さて、このような高周波フィルタに用いられる共振器400を小形にするには、共振器400に用いる誘電体402の誘電率を大きくすることが効果的である。誘電率が大きく電磁波の電気損失が小さい材料として高誘電率セラミックがある。共振器400の誘電体402に高誘電率セラミックを用いた場合、共振器400を小形にでき、高周波フィルタも小形にできる。
【0023】
しかし、線路110の材料、特にベース板100と、高誘電率セラミックの線膨張係数は一般に異なる。ベース板100には一般に安価な金属が用いられることが多い。このため、共振器400と線路110を直接接着すると、温度変化により応力が生じ電気特性に悪影響を及ぼす。本実施の形態では、共振器400の誘電体402に設けた第1の導体403aと金属板401とを導電性接着剤を用いて直接接着している。しかし、誘電体402に高誘電率セラミックを用いた場合でも、金属板401にニッケル−コバルト−鉄合金など、高誘電率セラミックに近い線膨張係数の材料を用いることができるので、温度変化が生じた場合においても誘電体402と金属板401とを安定に固定することができる。
【0024】
さらに共振器400を、金属板401に設けたキリ穴404を用いて、線路110のベース板100にネジ止めしている。このため、金属板401と線路110のベース板100との間に線膨張係数の差異があった場合にも、両者の接触部で応力が生じにくい。したがって、電気特性に悪影響を及ぼすことがない、安定な構造の高周波フィルタが得られる。
【0025】
なお、金属板401にキリ穴404を設ける代わりに、例えば金属板401にU字形の切り込み等を設けて、金属板401と線路110をネジ止めしても構わない。
【0026】
また、線路110の誘電体層103にも比較的高誘電率で低損失なセラミック系材料などを使用することができる。これにより、フッ素樹脂やガラスエポキシなどの樹脂に比べて小形化を実現でき、かつ誘電損失を小さく抑えることが可能となる。
【0027】
以上のように、本実施の形態では阻止帯域において高い減衰量を有する安定な構造の高周波フィルタが得られるという効果がある。
【0028】
なお、本実施の形態では3つの共振器400を、SIW形の線路110の上に設ける構造を示したが、線路110はSIW形でなくても良く、トリプレートや同軸線路であっても問題ない。また、共振器400が3個未満または4個以上でも本発明の効果が同様に得られる。また、結合孔201や結合孔406は図5(a)や図6に示す矩形の形状でなくても良く、図5(b)や図5(c)に示すような円形の形状、2つである数量でもよいし、別の形状、数量でも構わない。
【0029】
加えて、本実施の形態では共振器400を線路110の上側のみに設ける構造を示したが、複数の共振器400を設ける場合、共振器400を線路110の上側と下側の両方に設けても良い。例えば線路110内の電磁波の伝搬方向に対して共振器400を上下に互い違いに配置してもよい。特に共振器400の配置間隔を短くする必要がある場合、互いに重なることなく共振器400を配置することが可能となる効果がある。この際、共振器400と線路110との結合手段を得るため、必要に応じてベース板100に結合孔を設けても良い。
【0030】
実施の形態2.
図10から図14までは、この発明の実施の形態2に係わる高周波フィルタを示す図である。図10は実施の形態1において示した図1のA−Aの箇所に対応する断面図、図11は本高周波フィルタに用いられる共振器のみを抜き出した斜視図、図12は共振器の分解図、図13は第2の誘電体402bの下からの斜視図、図14は図11におけるF−F断面図を示す。
【0031】
図中、図1から図9までと同一符号は、同一又は相当部分を示し説明を省略する。402aは第1の誘電体、402bは第2の誘電体、503aは第3の導体、503bは第4の導体、405は複数のスルーホール、504は固定手段である複数のはんだボールである。
【0032】
図10において、本実施の形態における高周波フィルタでは、3つの共振器400を、線路110の上に配置している。
【0033】
3つの共振器400は、線路110の上にλg/4の間隔だけ距離をおいて、線路110のベース板100にネジ止めすることで固定されている。線路110は、実施の形態1と同様に、上側導体パターン101a、下側導体パターン101bおよび図10では図示されていないスルーホール102で電気的に遮蔽されたSIW形の導波路である。共振器400の結合孔201と線路110の結合孔104により結合手段が形成されており、この結合手段を通じて、共振器400と線路110とで電磁界結合が行われる。すなわち、3つの共振器400は、線路110の一部である4分の1波長線路301a、301bを介して接続されている。これにより本実施の形態における高周波フィルタは、実施の形態1と同様に帯域阻止形のフィルタ特性を有する高周波フィルタとして動作する。
【0034】
共振器400は、図11から図14に示すように第1の誘電体402aと第2の誘電体402bの2層の平板状の誘電体と金属板401とからなっている。第1の誘電体402aの下面には結合孔201が設けられた第1の導体403aを施し、第1の誘電体402aの上面には周辺部のみに第3の導体503aを施している。これら第1の導体403aと第3の導体503aは第1の複数のスルーホールを構成する複数のスルーホール405により電気的に接続されている。また、第2の誘電体402bの上面には第2の導体403bを施し、第2の誘電体402bの下面には図13に示すように、周辺部のみに第4の導体503bを施している。これら第2の導体403bと第4の導体503bは第2の複数のスルーホールを構成する複数のスルーホール405により電気的に接続されている。さらに、図12に示すように、第3の導体503aと第4の導体503bの間を複数のはんだボール504で接合して接続し、第1の誘電体402aと第2の誘電体402bを固定している。さらに第1の導体403aの下面に導電性接着剤を用いて金属板401が接着されており、第1の誘電体402aに固定されている。
【0035】
このように、第1の誘電体402aと第2の誘電体402bは、導体403a、403bおよび複数のスルーホール405と複数のはんだボール504により、電気的に遮蔽されている。このため、本構造は矩形TE101モードで共振する共振領域を有する共振器400となる。この共振器400は、金属板401に設けたキリ穴404を用いて、線路110のベース板100に、ネジ止めにより固定されている。
【0036】
したがって、本実施の形態における高周波フィルタでは実施の形態1と同様に、電磁波の不要な外部への放射がなく、高い減衰量特性を有する高周波フィルタが得られるという効果がある。
【0037】
さらに、本実施の形態2の共振器400は、同じ線膨張係数を有する第1の誘電体402と第2の誘電体502とを複数のはんだボール504を用いてはんだ接合している。このため、周囲温度の変化などによって誘電体の伸縮が起きても、はんだに応力が集中することがなく安定な構造の共振器400が得られる。
【0038】
誘電体402a、402bに誘電率が大きく損失が小さい高誘電率セラミックなどを用いる場合、製造プロセスの制限から、セラミック1枚の厚さには限度がある。
【0039】
しかし、本実施の形態では誘電体402a、402bを重ね合わせることにより、共振器400の厚みを上述の制限値より大きくすることができる。このことにより、電磁界が分布する共振器400の体積が増加するため、共振器400の無負荷Q値を向上することができる。すなわち、電気損失の小さい共振器400が得られる。この結果、阻止帯域でさらに高い減衰量特性を有し、通過帯域で挿入損失の小さい高周波フィルタが得られるという効果がある。
【0040】
なお、本実施の形態においても、線路110はトリプレートや同軸線路であっても問題なく、共振器が3個未満または4個以上でもよい。また、結合孔201は種々の形状、数量を用いることができる。
【0041】
実施の形態3.
図15から図17までは、本発明の実施の形態3による高周波フィルタを示す図である。本実施の形態の全体構成は実施の形態2に準じており、本実施の形態では共振器部分の構造について説明する。
図15は本実施の形態における共振器400の分解図であり、図16は第2の誘電体402bの下からの斜視図、図17は実施の形態2の図11におけるF−F断面図に相当する断面図である。図中、実施の形態1、実施の形態2と同一符号は、同一又は相当部分を示し説明を省略する。601aは第5の導体、601bは第6の導体、602は接続手段である複数のはんだボール、603は複数のスルーホールである。
【0042】
図15から図17に示した、本実施の形態における高周波フィルタにおける共振器400は、第1の導体403a、第3の導体503a、第5の導体601a、複数のスルーホール405および複数のスルーホール603により電気的に遮蔽された第1の誘電体402aと、第2の導体403b、第4の導体503b、第6の導体601bおよび複数のスルーホール505により電気的に遮蔽された第2の誘電体402bとを、固定手段である複数のはんだボール504および接続手段である複数のはんだボール602を用いてはんだ接合したものである。さらに、第1の導体403aの下面に導電性接着剤を用いて金属板401を接着し固定している。
【0043】
本共振器400も矩形TE101モードで共振する共振器である。
【0044】
共振器400の底部には、第1の導体403aに設けられた結合孔201と、金属板401に設けられた結合孔406を有している。これらが結合手段の一部を形成しており、共振器400と図示しない線路110との間に実施の形態2と同様に電磁界結合を行う。
【0045】
本実施の形態における共振器400では、第1の誘電体402aと第2の誘電体402bを重ね合わせて構成している。このため共振器400の体積を大きくでき、実施の形態2と同様に、無負荷Q値が大きく、電気損失の小さい共振器400を得ることができる。したがって、低損失で高減衰特性を有する高周波フィルタが得られる。
【0046】
さらに、第5の導体601a、第6の導体601b、複数のはんだボール602、複数のスルーホール603を設けたことにより、第1の誘電体402a内の共振領域のさらに内側に電気壁が形成されている。このため、共振器400内部の電磁界は、第2の誘電体402b内のほぼ全域と第1の誘電体402aの周囲部とが合わされた図17の一点鎖線で示すような領域に閉じ込められる。これにより、いわゆるシングルリッジ構造と呼ばれる形状が形成されている。シングルリッジ構造では、同じ外形寸法の通常の共振器に比べ、共振周波数が低域にシフトする。したがって、誘電体の図15中XZ方向の実装面積を同一にした場合には、共振周波数は低域にシフトする。逆に、同一の共振周波数を得ようとする場合にはXZ方向の大きさを小さくすることができる。即ち、同じ共振周波数でも、さらなる実装面積の小形化が可能となる。これにより高周波フィルタの小形化も可能となる。
【0047】
以上のように本実施の形態の高周波フィルタでは、実施の形態1、実施の形態2に示した効果が得られるとともに、さらに小形な高周波フィルタが得られる効果がある。
【0048】
なお、本実施の形態の上記構造から、第6の導体601bとはんだボール602を削除しても、同様にシングルリッジ構造の共振器400が得られる。したがって、この場合も同様の効果が得られる。さらに、はんだボール602は削除し、第6の導体601bと第2の導体403bの間に、スルーホール603と同様のスルーホールを形成すれば、第2の誘電体402b内にも電気壁が形成され、いわゆるダブルリッジ構造の共振器400が形成される。この場合も同一共振周波数を得る場合に、通常より共振器400の大きさを小さくすることができる。したがって、同様に小形な高周波フィルタが得られる効果がある。
【0049】
実施の形態4.
図18、図19および図20は、本発明の実施の形態4による高周波フィルタを示す図である。図18は本実施の形態における高周波フィルタの上面図、図19は図18におけるG−Gの断面図、図20は図18におけるH−Hの断面図である。また、図21、図22および図23は、本実施の形態における高周波フィルタの変形例を示す図である。図21は本実施の形態の変形例における高周波フィルタの上面図、図22は図21におけるG’−G’の断面図、図23は図21におけるH’−H’の断面図である。図中、実施の形態1から3までと同一符号は、同一又は相当部分を示し説明を省略する。701は外導体、702は内導体である。
【0050】
本実施の形態における高周波フィルタは、実施の形態1に示した3つの共振器400を、線路110である外導体701と内導体702からなる方形同軸線路上にλg/4の間隔で配置している。共振器400の底部と外導体701に設けた結合孔が結合手段を形成しており、この結合手段を通じて、共振器400と線路110との間で電磁界結合が行われる。すなわち、3つの共振器400は、線路110の一部である4分の1波長線路301a、301bを介して接続されている。これにより、本実施の形態における高周波フィルタは、実施の形態1と同様の動作により帯域阻止形のフィルタ特性を有する。
【0051】
図20に示すように、共振器400は金属板401に設けられたキリ穴404を用いて、線路110である方形同軸線路の外導体701にネジ止めされている。
【0052】
本実施の形態では、線路110にSIW形の伝送線路ではなく、方形同軸線路を用いている。SIW形の伝送線路では所望の周波数の電気信号を伝送させる際、線路110内の誘電体層103の誘電率に応じて線路の幅を変化させる必要がある。このとき、特にSIW形の伝送線路を形成する誘電体層103の誘電率が、共振器400を形成する誘電体402の誘電率よりも低い場合においては、SIW形線路の幅が共振器400の幅より広くなってしまう場合がある。
【0053】
このため、共振器400のネジ止め位置が幅方向に相対的に狭くなり、ネジ止めの位置がSIW形線路のスルーホール102の位置に重なったり、互いに干渉する位置になったりしてしまう可能性があった。この干渉を避けようとすると、ネジ止め位置をより幅方向に広げる必要があり、共振器400および高周波フィルタが幅方向に大きくなってしまう可能性があった。
【0054】
本実施の形態では、線路110に方形同軸線路を用いているため、内導体702の幅または厚さを調整することで同軸線路の外導体701の内寸の幅を調整することが容易である。したがって、外導体701の内寸の幅を共振器400の幅よりも狭くすることが容易である。このため、共振器400のネジ位置を必要最小限の幅にすることができ、共振器400および高周波フィルタの幅方向の大きさを小形化することができる。
【0055】
以上のように本実施の形態の高周波フィルタでは、さらに小形な高周波フィルタが得られる効果がある。同時に部品点数を少なくでき、組立が容易な高周波フィルタが得られる効果がある。
【0056】
なお、本実施の形態の共振器400は実施の形態1に示したものと同様のものを用いているが、これに限らず、実施の形態2や実施の形態3に示したものを用いても良く、同様の効果が得られることは明らかである。
【0057】
図21、図22および図23は、本実施の形態の変形例を示している。図21から図23に示す構成では、複数の共振器400について、第1の導体403aの下側に固定した金属板401を一体化し、共振器400をλg/4の間隔で複数個配置したものである。さらに、一体化された金属板401を方形同軸線路の外導体の一部として用い、線路110の一部である他の外導体701とネジ止めすることで、同様の帯域阻止形のフィルタ特性を有する高周波フィルタを構成している。
【0058】
本構造では金属板401が複数の共振器400において共通となっており、かつ線路110の外導体の一部の機能を合わせもった構造となっているが、本変形例においても本発明の効果が同様に得られる。なお、金属板401が複数の共振器400において共通となっていても、必ずしも外導体の一部となっている必要はなく、線路110とは独立な部材であってもよい。この場合にも同様の効果が得られることは明らかである。
【0059】
なお、本実施の形態に限らず、他の実施の形態においても金属板401を複数の共振器400において一体化してもよく、金属板401を線路110の外導体の一部として用いてもよい。
【0060】
実施の形態5.
図24から図28までは、本発明の実施の形態5による高周波フィルタを示す図である。図24は本実施の形態における高周波フィルタで、導体カバー805を取り除いた上面図である。図25は図24におけるJ−Jの断面図、図26は図24におけるK−Kの断面図、図27は図24におけるL−Lの断面図、図28は本実施の形態における高周波フィルタの等価回路である。図中、実施の形態1から4までと同一符号は、同一又は相当部分を示し説明を省略する。801は導体ケース、802はアイリス、803は導体棒、804は結合孔、805は導体カバー、806は調整ネジ、807は同軸コネクタ、810はインダクタである。
【0061】
本実施の形態における高周波フィルタでは、図25に示すように導体ケース801および導体カバー805で線路110である導波管構造を形成している。図24に示すように導体ケース801にはアイリス802が設けられ、導波管内を3個の領域に仕切っている。この各領域にそれぞれ共振器400が配置されている。図25に示すように導波管の端部には高周波信号の入出力用としてケース取付け型の同軸コネクタ807が設けられている。
【0062】
本実施の形態における共振器400は、結合孔の形状を除き実施の形態1と同様の構造であり、ネジ用のキリ穴404を備えた金属板401の上に、第1の導体403a、第2の導体403bおよび複数のスルーホール405によって電気的に遮蔽された誘電体402を、導電性接着剤等を用いて実装している。したがって、実施の形態1に示したる共振器400と同様、矩形TE101モードで共振する共振器である。この共振器400が、図23に示すように線路110の導体ケース801にネジ止めされ固定されている。
【0063】
さらに、本実施の形態における共振器400は、図24に示すように、複数のスルーホール405の隣り合う配列間隔の一部を他の間隔よりも広くする部分を設けて、これを結合手段である結合孔804としている。図24に示す3つの共振器400それぞれには、全て図中の左右2か所に結合孔804が設けられている。
【0064】
本実施の形態の高周波フィルタにおいて、図25中左側の入力側の同軸コネクタ807から入力された高周波信号は、同軸コネクタ807の芯線から線路110内に入力する。そして一番左の共振器400の左側の結合孔804を通じて、まず一番左の共振器400に入力する。さらに、この共振器400の右側の結合孔804から出力した高周波信号は、線路110内のアイリス802と導体棒803を通じて、中央の共振器400の左側の結合孔804と電磁界結合が行われ、中央の共振器400に入力する。
【0065】
導体棒803は、図27に示すようにアイリス802で挟まれた空間に突き出た形状となっており、調整ネジ806で高さが調整できるようになっている。これにより、両側の共振器400間の電磁界結合の結合量を調整することができる。
【0066】
以下、同様にして、一番右の共振器400から出力した高周波信号は線路110内を伝搬し右側の同軸コネクタ807から出力される。
【0067】
導体ケース801および導体カバー805によって形成される線路110の共振器400部分の導波管構造は、共振器400の共振周波数付近の周波数を遮断するような形状になるように選ばれている。このことで、導波管構造の線路110内部で共振器400を跳び越しての不要な空間結合が発生しないようにしている。また、線路110は導波管構造であるので、外部からの不要な電磁波の入り込みを防ぐこともできる。
【0068】
本高周波フィルタは図28に示す等価回路で表される。各共振器400は図28中の共振回路410として表され、アイリス802と導体棒803は等価回路中インダクタ810として表される。この回路は、共振回路410中の抵抗値が0に近い値であれば、共振周波数においてインピーダンスがほぼ0になり、共振周波数において入力と出力とがほぼ短絡線路となる。また、共振周波数から離れた周波数ではインピーダンスが有限のリアクタンスを有し、入力と出力とが短絡にならない。したがって、通過帯域である共振周波数近傍において入力側から出力側に高周波信号を通し、阻止帯域である共振周波数から離れた周波数において入力側から出力側に高周波信号を通さない帯域通過形のフィルタとして動作する。
【0069】
本実施の形態の共振器400は、他の実施の形態と同様、高誘電体材料を用いて薄形かつ小形の低損失な共振器400とすることができる。したがって、この共振器400を空洞の導波管構造の線路110中に配置することで、小形かつ薄形で、通過帯域で低損失な帯域通過形の高周波フィルタが得られる。また、不要な跳び越し結合が生じず、外部から不要な電磁波の入り込みもないため、阻止帯域において高い減衰量を有する帯域通過形の高周波フィルタが得られる。
【0070】
以上のように本実施の形態によれば、小形かつ薄形で、低損失、高減衰量の帯域通過形の高周波フィルタを得ることができる効果がある。
【0071】
なお、本実施の形態の共振器400は実施の形態1や実施の形態4に示したものと、結合孔804の形状以外は同様のものを用いているが、これに限らず、実施の形態2や実施の形態3に示したものに相当するものを用いても良く、同様の効果が得られることは明らかである。また、共振器400の数を2個以下や4個以上にしても良く、同様の効果が得られる。
【0072】
実施の形態6.
図29から図32までは、本発明の実施の形態7による高周波フィルタを示す図である。本実施の形態の全体構成は実施の形態4に準じており、線路110に方形同軸線路を用いている。
図29は実施の形態4の図18におけるG−G断面図に相当する断面図、図30は図18におけるH−H断面図に相当する断面図、図31は図18におけるG−G断面図に相当する他の断面図、図32は図18におけるH−H断面図に相当する他の断面図である。図中、実施の形態1から5までと同一符号は、同一又は相当部分を示し説明を省略する。703は誘電材料である。
【0073】
本実施の形態における高周波フィルタは、図29に示すように、実施の形態4と同様、実施の形態1に示した3つの共振器400を、線路110である外導体701と内導体702からなる方形同軸線路上にλg/4の間隔で配置している。共振器400の底部と外導体701に設けた結合孔が結合手段を形成しており、この結合手段を通じて、共振器400と線路110との間で電磁界結合が行われる。すなわち、3つの共振器400は、線路110の一部である4分の1波長線路301a、301bを介して接続されている。これにより、本実施の形態における高周波フィルタは、実施の形態1や実施の形態4と同様の動作により帯域阻止形のフィルタ特性を有する。
【0074】
本実施の形態では、線路110である方形同軸線路において、共振器400との結合手段である結合孔104近傍に誘電材料703を配置している。誘電材料703は、方形同軸線路の外導体701と内導体702の間の、内導体702より結合孔104側にのみに配置されている。図30の断面図に示すように、結合孔104部において、方形同軸線路内の上側のみに誘電材料703が充填され、下側は中空となっている。
【0075】
誘電材料703の比誘電率は1より大きいため、結合孔104近傍の線路110内において、内導体702より共振器400に近い側の誘電率が大きく、内導体702より共振器400に遠い側の誘電率は小さくなる。このとき、線路110内を伝搬する電磁波は誘電率が大きい側に集中して伝搬する。したがって、結合孔104において電磁波の電界強度が大きくなり、この結果、この部分で線路110と共振器400との結合を大きくすることができる。
【0076】
所要の特性を有する高周波フィルタを得る際、場合により線路110と共振器400との結合を大きくする必要があるが、本実施の形態では、線路110と共振器400との結合が大きく取れるため、阻止帯域幅が広い、または高い減衰量を有する高周波フィルタが容易に得られる効果がある。
【0077】
さらに、誘電材料703を線路110における内導体702の支持に用いることもできるため、構造の安定な高周波フィルタが得られる効果がある。
【0078】
図31、図32は、図29、図30とは異なる構成の高周波フィルタを示す断面図であり、本実施の形態の変形例を示している。図31、図32に示す構成では、結合孔104近傍以外においては、内導体702の上側と下側に共に誘電材料703が充填されている。結合孔104近傍では内導体702の下側は中空となっている。
【0079】
この構造においても、結合孔104近傍において、線路110内を伝搬する電磁波は誘電率が大きい側に集中して伝搬する。したがって、結合孔104において電磁波の電界強度が大きくなり、この結果、この部分で線路110と共振器400との結合を大きくすることができる。すなわち、図29、図30と同様の効果が得られる。
【0080】
なお、本実施の形態では、図31、図32に示すように、結合孔104部分にも誘電材料703を充填した構造としても良い。また中空で示した部分に、誘電材料703よりも誘電率が小さい他の誘電材料を充填してもよい。この場合も同様の効果が得られる。さらに、本実施の形態では線路110に方形同軸線路を用いる場合を示したが、これに限らず方形以外の同軸線路を用いることができ、同様の効果が得られる。
【0081】
さらに、本実施の形態の共振器400は実施の形態1に示したものと同様のものを用いているが、これに限らず、実施の形態2や実施の形態3に示したものを用いても良く、同様の効果が得られることは明らかである。
【0082】
実施の形態7.
図33、図34は、本発明の実施の形態7による高周波フィルタを示す図である。本実施の形態の全体構成は実施の形態4に準じており、線路110に方形同軸線路を用いている。
図33は実施の形態4の図18におけるG−G断面図に相当する断面図、図34は図18におけるH−H断面図に相当する断面図である。図中、実施の形態1から6までと同一符号は、同一又は相当部分を示し説明を省略する。
【0083】
図33に示すように、本実施の形態における高周波フィルタは、実施の形態4と同様、実施の形態1に示した3つの共振器400を、線路110である外導体701と内導体702からなる方形同軸線路上にλg/4の間隔で配置している。共振器400の底部と外導体701に設けた結合孔が結合手段を形成しており、この結合手段を通じて、共振器400と線路110との間で電磁界結合が行われる。すなわち、3つの共振器400は、線路110の一部である4分の1波長線路301a、301bを介して接続されている。これにより、本実施の形態における高周波フィルタは、実施の形態1や実施の形態4と同様の動作により帯域阻止形のフィルタ特性を有する。
【0084】
本実施の形態では、線路110である方形同軸線路において、内導体702を外導体701内部の中心位置より共振器400側に近い上側の位置に配置している。このため、線路110内を伝搬する電磁波は内導体702の上側に集中して伝搬する。したがって、結合孔104において電磁波の電界強度が大きくなり、この結果、この部分で線路110と共振器400との結合を大きくすることができる。
【0085】
所要の特性を有する高周波フィルタを得る際、場合により線路110と共振器400との結合を大きくする必要があるが、本実施の形態では、線路110と共振器400との結合が大きく取れるため、阻止帯域幅が広い、または高い減衰量を有する高周波フィルタが容易に得られる効果がある。
【0086】
なお、本実施の形態の共振器400は実施の形態1に示したものと同様のものを用いているが、これに限らず、実施の形態2や実施の形態3に示したものを用いても良く、同様の効果が得られることは明らかである。また、本実施の形態では線路110に方形同軸線路を用いる場合を示したが、これに限らず方形以外の同軸線路を用いることができ、同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0087】
100 ベース板、101a、b 導体パターン、102 スルーホール、103 誘電体層、104 結合孔、105 ネジ穴、110 線路、201 結合孔、301a、b 4分の1波長線路、400 共振器、401 金属板、402 誘電体、402a 第1の誘電体、402b 第2の誘電体、403a 第1の導体、403b 第2の導体、404 キリ穴、405 スルーホール、406 結合孔、410 共振回路、503a 第3の導体、503b 第4の導体、504 はんだボール、601a 第5の導体、601b 第6の導体、602 はんだボール、603 スルーホール、701 外導体、702 内導体、703 誘電材料、801 導体ケース、802 アイリス、803 導体棒、804 結合孔、805 導体カバー、806 調整ネジ、807 同軸コネクタ、810 インダクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板形状である誘電体と、
前記誘電体の下面に設けられた第1の導体と、
前記誘電体の上面に設けられた第2の導体と、
前記第1の導体と前記第2の導体を電気的に接続し、前記第1の導体と前記第2の導体とともに前記誘電体内に電磁界の共振領域を形成する複数のスルーホールと、
前記第1の導体の下面に電気的に接続され前記誘電体に固定された金属板と、
前記金属板に固定され高周波が伝搬する線路と、
前記共振領域と前記線路とを電磁界結合させる結合手段と、
を備えたことを特徴とする高周波フィルタ。
【請求項2】
平板形状である第1の誘電体と、
平板形状である第2の誘電体と、
前記第1の誘電体の下面に設けられた第1の導体と、
前記第2の誘電体の上面に設けられた第2の導体と、
前記第1の誘電体の上面に環状に設けられた第3の導体と、
前記第2の誘電体の下面に環状に設けられた第4の導体と、
前記第1の導体と前記第3の導体を電気的に接続する第1の複数のスルーホールと、
前記第2の導体と前記第4の導体を電気的に接続する第2の複数のスルーホールと、
前記第3の導体と前記第4の導体を電気的に接続して固定し、前記第1の導体、前記第2の導体、前記第1および第2の複数のスルーホールとともに前記第1の誘電体内と前記第2の誘電体内に電磁界の共振領域を形成する固定手段と、
前記第1の導体の下面に電気的に接続され前記第1の誘電体に固定された金属板と、
前記金属板に固定された高周波が伝搬する線路と、
前記共振領域と前記線路とを電磁界結合させる結合手段と、
を備えたことを特徴とする高周波フィルタ。
【請求項3】
前記第1の誘電体の上面に設けられ、前記第3の導体に囲まれた内側部に設けられた第5の導体と、
前記第5の導体と前記第1の導体とを電気的に接続するスルーホールと、
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の高周波フィルタ。
【請求項4】
前記第2の誘電体の下面に設けられ、前記第4の導体に囲まれた内側部に設けられた第6の導体と、
前記第6の導体と前記第2の導体とを電気的に接続するスルーホールと、
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の高周波フィルタ。
【請求項5】
前記第1の誘電体の上面に設けられ、前記第3の導体に囲まれた内側部に設けられた第5の導体と、
前記第2の誘電体の下面に設けられ、前記第4の導体に囲まれた内側部に設けられた第6の導体と、
前記第5の導体と前記第6の導体を電気的に接続する接続手段と、
前記第5の導体と前記第1の導体、もしくは、前記第6の導体と前記第2の導体とを電気的に接続するスルーホールと、
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の高周波フィルタ。
【請求項6】
前記第1の誘電体の上面に設けられ、前記第3の導体に囲まれた内側部に設けられた第5の導体と、
前記第2の誘電体の下面に設けられ、前記第4の導体に囲まれた内側部に設けられた第6の導体と、
前記第5の導体と前記第1の導体とを電気的に接続するスルーホールと、
前記第6の導体と前記第2の導体とを電気的に接続するスルーホールと、
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の高周波フィルタ。
【請求項7】
前記結合手段は、前記第1の導体に設けられた結合孔と、前記金属板に設けられた結合孔を有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の高周波フィルタ。
【請求項8】
前記結合手段は、前記複数のスルーホールにおいて、隣接するスルーホールの間隔の一部が他の間隔よりも広いことにより形成されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の高周波フィルタ。
【請求項9】
前記金属板を前記線路にネジ止めすることにより、前記共振領域と前記線路とを固定することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の高周波フィルタ。
【請求項10】
前記線路は内導体と外導体を有する同軸線路であり、前記結合手段を含む前記同軸線路の断面において、前記内導体と前記外導体の間で前記結合手段に近い側に、前記内導体と前記外導体の間で前記結合手段に遠い側よりも大きい誘電率の誘電材料を充填したことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の高周波フィルタ。
【請求項11】
前記線路は内導体と外導体を有する同軸線路であり、前記結合手段を含む前記同軸線路の断面において、前記内導体の中心位置が前記外導体内形の中心位置より前記結合手段に近いことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれかに記載の高周波フィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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