説明

高周波モジュール

【課題】 取り扱いの容易な高周波モジュールを提供する。
【解決手段】 回路基板10と、回路基板10の主面に配置された高周波素子20と、回路基板10に設けられ、高周波素子20に接続された高周波伝送路30と、主面上に設けられるキャップ状の収容部材40と、アンテナ50と、を有する高周波モジュールであって、高周波伝送路30は、第1端31と第2端32とを有し、第1端31が高周波素子に接続されるとともに、第2端が主面に導出されており、収容部材は、枠部と誘電体材料からなる蓋部とを有し、枠部には、第1ポートと第2ポートとを有する接続導波管が内蔵され、枠部の底面に第1ポートが、上面に第2ポートがそれぞれ導出されており、枠部は、第1ポートと第2端とが電磁的に結合するように配置され、アンテナは、蓋部に配置され、第2ポートと電磁的に結合して、蓋部の収容空間と対向していない側の主面から高周波信号の受信または送信を行なう、高周波モジュールである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主としてマイクロ波帯およびミリ波帯で用いる高周波素子を実装する高周波モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
高周波回路基板の上面に、MMIC(Monolithic Microwave Integrated Circuit)な
どの半導体素子が実装され、下面に、高周波信号の送信または受信の少なくとも一方を行なうアンテナを有するアンテナ基板が配置され、MMICとアンテナとの間を高周波伝送路によって電磁的に接続した高周波モジュールが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような高周波モジュールではアンテナ基板の下面側から高周波信号の受信および送信を行なう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−250913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の高周波モジュールでは、高周波回路基板の一方の面にMMICが実装され、他方の面にアンテナ基板が配置されているために、設計の自由度が低いという問題点があった。このような構成により、例えば、MMICによる熱を効果的に放熱させる放熱構造を所望の位置に配置することができず、高周波信号の伝送特性が劣化するおそれがあった。さらに、下面にある高周波信号の受信・送信部を遮らないように外部の配線基板等に実装する必要があるため、一般的な電子部品において実装面とする下面を実装面として使えないか、使う場合にも制限がある状態となるので、高周波モジュールの実装に対する自由度が低くなり、取り扱いの困難なものとなるおそれがあった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、設計の自由度が高く、取り扱いの容易な高周波モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の高周波モジュールは、回路基板と、前記回路基板の主面に配置された高周波素子と、前記回路基板に設けられた、前記高周波素子に接続された高周波伝送路と、前記回路基板の前記主面上に設けられた、前記回路基板との間に前記高周波素子を収容する収容空間を形成する、キャップ状の収容部材と、前記高周波伝送路を伝送する高周波信号の受信および送信の少なくとも一方を行なうアンテナとを有する高周波モジュールであって、前記高周波伝送路は、第1端と第2端とを有し、前記第1端が前記高周波素子に接続されているとともに、前記第2端が前記主面に導出されており、前記収容部材は、枠部と、誘電体材料からなり、前記枠部の開口の一方を塞ぐように配置された蓋部とを有し、前記枠部には、第1ポートと第2ポートとを有する接続導波管が内蔵され、前記枠部の底面に前記第1ポートが、上面に前記第2ポートがそれぞれ導出されており、前記枠部は、前記第1ポートと前記第2端とが電磁的に結合するように配置され、前記アンテナは、前記蓋部に配置されて、前記第2ポートと電磁的に結合して、前記蓋部の前記収容空間と対向していない側の主面から高周波信号の受信および送信の少なくとも一方を行なうものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、回路基板の高周波素子が実装される面と同じ側にアンテナが配置され
ているので、高周波素子が実装される面と反対側の面には高周波信号の伝送に関する構成がなくなり、下面に配置するものへの制約がなくなり、例えば実装に対する設計の自由度の高い高周波モジュールとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の高周波モジュールの実施の形態の一例を示す断面図である。
【図2】図1の収容部材を示す分解斜視図である。
【図3】本発明の高周波モジュールの変形例を示す断面図である。
【図4】図3のIIIA−IIIA線における要部矢視断面図である。
【図5】図3のIIIB−IIIB線における要部矢視断面図である。
【図6】(a),(b)はそれぞれ、本発明の高周波モジュールの変形例を示す断面図および上面図である。
【図7】本発明の高周波モジュールの変形例を示す断面図である。
【図8】本発明の高周波モジュールの変形例を示す断面図である。
【図9】(a),(b)はそれぞれ、本発明の高周波モジュールの変形例を示す要部斜視図である。
【図10】枠部内における接続導波管の配置例を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、本発明について詳述する。なお、以下の図面において、同様の箇所には同一の符号を付し、重複する記載を省略する。
【0010】
図1は本発明の高周波モジュールの実施の形態の一例を示す断面図であり、図2は図1の収容部材を説明する要部の分解斜視図である。
【0011】
図1および図2に示した実施の形態の例に係る高周波モジュールは、回路基板10,高周波素子20,高周波伝送路30,収容部材40およびアンテナ50を備えている。
【0012】
本例では、回路基板10の主面10aに、高周波素子20が配置されている。高周波伝送路30は、主面10a上に形成された信号線路33が接地導体層34と結合してマイクロストリップ線路として機能する。この接地導体層34は、回路基板10の厚み方向に主面10aと離間して配置され、基準電位に接続されている。そして、高周波伝送路30の第1端31は、高周波素子20とボンディングワイヤ70を介して接続されている。第2端32は回路基板10の主面10a上にある。
【0013】
収容部材40は、この例では、導電性材料からなる枠部42と、誘電体材料からなる蓋部43とを有し、両者を絶縁性の誘電体材料からなる接合層71を介して接合させてキャップ状の形状とし、回路基板10の主面10a上に配置することで、内部に高周波素子20を収容する収容空間41を形成できるものとなる。図1に示すように、蓋部43は、枠部42の開口のうち一方を塞ぐように配置することで、キャップ状の形状としている。なお、図2において、蓋部43と枠部42との間に介在する接合層71の図示を省略している。
【0014】
枠部42には、底面42a(回路基板10と接続される側の面)側から上面42b(蓋部43と接続される側の面)側まで高周波信号を伝送させることができるように、接続導波管44が内蔵されている。具体的には、枠部40は、縁の幅が周囲に比べて広い領域があり、その領域に図2の上下方向に貫通する貫通孔が形成され、貫通孔部分を高周波信号の通る伝搬部とし、貫通孔を形作る周囲の壁を管壁とする金属導波管が作り込まれている。このような接続導波管44は、枠部42の底面42a側の開口で形成される第1ポート44a,上面42b側の開口で形成される第2ポート44bを有し、第1ポート44aは
高周波伝送路30の第2端32と電磁的に結合し、第2ポート44bは後述するアンテナ50に電磁的に結合している。具体的には、高周波伝送路30の第2端32を被覆し、少なくとも枠部42の底面42aと回路基板10の主面10aとを接続する誘電体材料からなる接続層72を設け、第2端32と第2ポート44bとが接続層72を介して対向するように配置させ、両者を電磁的に結合させる。接続層72は、回路基板10に枠部42を固定する働きと、高周波伝送線路30と接続導波管44とを接続層72を介して電磁的に接続させる働きとを有する。
【0015】
アンテナ50は、蓋部43のうち収容空間41を臨む面とは反対側の面に配置されるアンテナ信号線51と、蓋部43の収容空間41を臨む側の面に配置され、基準電位に接続されるとともに、アンテナ信号線51と結合する接地導体層52とで構成される。アンテナ信号線51は、一端が蓋部43および接合層71を介して第2ポート44bと電磁的に結合する伝送線路部51aと、伝送線路部51aの途中に挿入され、伝送線路部51aに比べ線幅の広いスタブ部51bと、伝送線路部51aのもう一端に接続されるアンテナ導体部とを備えている。
【0016】
上述のように構成することで、高周波素子20の実装面と高周波信号の受信および送信の少なくとも一方を行なうアンテナ配置面とを回路基板10の同じ側の面(主面10a側)にまとめることができる。これにより、主面10aと反対側の面(下面)に高周波信号の伝送に寄与する部分がなくなるので、取り扱いが容易な高周波モジュールを提供することができる。さらに、下面側に配置させるものへの制約がなくなるので、高周波モジュールの実装や配置に関して設計の自由度の高い高周波モジュールを提供することができる。例えば、回路基板10の裏面(主面10aの反対側の主面)を外部の配線基板等への実装面としたり、実装したり、回路基板10の裏面に放熱構造を設けたりすることができる。
【0017】
また、アンテナ50を、回路基板10上ではなく、高周波素子20を収容する収容部材40の上面に配置していることから、小型な高周波モジュールとすることができる。
【0018】
また、アンテナ50と高周波伝送路30とを導波管によって接続しているので、高周波素子20と近い距離に配置しても、高周波素子20の影響を受けにくく、外部からのノイズの影響も少ない、優れた伝送特性を有する高周波モジュールとすることができる。
【0019】
さらに、高周波伝送路30とアンテナ50とを導波管で接続することにより、製造の際に位置ずれが生じたとしても、損失を少なくすることができる。このように、本発明の構成によれば、ロバスト性の高い高周波モジュールを提供することができる。特に、別体で構成した蓋部43と枠部42とを接合して収容部材40とする場合には、蓋部43と枠部42との間で位置ずれが発生しても、導波管を用いているので、接続導波管とアンテナとの間の高周波信号の伝送を損失の少ない状態で実現することができる。
【0020】
<変形例1:枠部>
次に、図1に示す高周波モジュールの変形例について、図3〜図5を用いて説明する。図3は、本発明の高周波モジュールの一例を示す断面図であり、図4は、図3のIIIA−IIIA線における矢視断面図であり、図5は、図3のIIIB−IIIB線における矢視断面図である。図3に示す高周波モジュールは、図1に示す高周波モジュールとは収容部材40を構成する枠部42の構成が異なり、他の部分は同様の構成であるため、以下、枠部について説明する。
【0021】
図3の枠部42Aは、誘電体層421を複数層積層して構成され、回路基板10の主面10aに配置された誘電体層421a上に配置されている。誘電体層421aは、誘電体層421と同様の材料を用いて同様の製法で設けることができる。そして、枠部42Aに
内蔵される接続導波管44Aは、誘電体層421,導体層442,444および貫通導体群441とで構成される積層型導波管である。具体的な構成は以下の通りである。
【0022】
複数の誘電体層(421a,421)間およびその上面には導体層442〜444が配置されている。導体層442〜444は開口部442a〜444aを有し、誘電体層42
1aと枠部42Aのうち最も回路基板10寄りの誘電体層421との間に配置された底面42a側導体層442の開口部442aは第1ポート44aとして機能する。同様に、枠部42Aの最も蓋部42側の誘電体層421上配置された上面側導体層443の開口部443aは第2ポート44bとして機能する。誘電体層441のうち、平面視で、開口部442a,443aの内側に位置する領域が高周波信号の伝搬部として機能する。そして、開口部442a,443aの周囲には、平面視で、伝搬する高周波信号の波長の1/2未満の間隔で、誘電体層421の厚み方向を貫通する貫通導体群441が配置されている。この貫通導体群441が接続導波管44Aの管壁として機能する。
【0023】
なお、この例では、枠部42Aの底面42aおよび上面42b以外にも、誘電体層421間に導体層443を設けている。これにより、複数の誘電体層421間において貫通導体群441の位置ずれが生じても導体層443を介して枠部42Aの底面42aから上面42bまでの間で貫通導体群441が電気的に接続された状態とすることができるので、伝送特性の優れたものとすることができる。
【0024】
また、導体層442〜444は、少なくとも平面視したときに貫通導体群441が存在する領域を含むような大きさを有していればよい。この例では、枠部42Aのうち、接続導波管44が内蔵されるために他の部位に比べて縁部が幅広となっている領域のみを覆う形状(大きさ)としているが、開口部442a,443a,444aを除く誘電体層421の全面を覆うように配置してもよい。
【0025】
さらに、図5に示すように、誘電体層421aを厚み方向に貫通する貫通導体73を、平面視で見たときに、第1ポート44aの、高周波伝送路30が延びる方向と反対側の外周を囲うように配置してもよい。貫通導体73は、伝搬する高周波信号の波長の1/2未満の間隔で繰り返し配置されている。このように構成することで、高周波伝送路30と接続導波管44Aとの間で高周波信号が漏洩することを抑制できる、伝送特性の優れたものとすることができる。
【0026】
<変形例2:高周波伝送路>
次に、本発明の変形例について、図3に示す高周波モジュールに基づき、図6を用いて説明する。図6は、本発明の高周波モジュールの変形例を示す、(a)は断面図,(b)は図6(a)のVI−VI線における矢視断面図である。図6に示す高周波モジュールは、図3に示す高周波モジュールとは高周波伝送路30の構成が異なり、他の部分は同様の構成であるため、異なる部分について説明する。
【0027】
図1,3に示す例では、高周波伝送路30はマイクロストリップ線路によって構成されていたが、この例では、第1端31,第2端32のみが主面10a上に導出された積層型導波管によって構成している。
【0028】
具体的には、回路基板10Aは、誘電体層111を複数層積層した積層体によって構成される(この例では5層の誘電体層111a〜111eを積層している)。そして、誘電体層111a,111b間に上側主導体層331を、誘電体層111c,111d間に下側導体層332を配置している。これら上側主導体層331と下側主導体層332とは、誘電体層111b,111cを厚み方向に貫通する貫通導体群333によって電気的に接続されている。この貫通導体群333は、伝搬する高周波信号の波長の1/2未満の間隔
で繰り返し配置されている。この上側主導体層331,下側主導体層332,貫通導体群333によって積層型導波管を構成し、上側主導体層331は導波管の上側の管壁として機能し、下側主導体層332は導波管の下側の管壁として機能し、貫通導体群333は導波管の側壁として機能する。
【0029】
そして、上側主導体層331には開口部331a,331bが形成されている。開口部331aは、平面視で誘電体層111a上(主面10a)に配置されたスロット導体334に設けられた開口部334aと重なるように配置されている。このスロット導体334と上側主導体層331とは、互いの開口部334a,331aの外周部を囲うように、伝搬する高周波信号の波長の1/2未満の間隔で配置された接続用貫通導体群335で、厚み方向に電気的に接続されている。
【0030】
スロット導体334は、高周波伝送路30の第1端31として機能し、高周波素子20とボンディングワイヤ70a,70bによって電気的に接続される。ここで、ボンディングワイヤ70aは高周波信号を伝送する信号線として機能し、スロット導体334の開口部334aの上方を跨ぐように、すなわち、開口部334aを挟んで高周波部品20と反対側においてスロット導体334に電気的に接続されている。ボンディングワイヤ70bは基準電位線として機能し、開口部334aの上方を跨がずに、すなわち、開口部334aよりも高周波部品20側において電気的に接続されている。なお、この例ではボンディングワイヤ70bを2本用いて、平面視でボンディングワイヤ70aの両側を挟むように配置している。
【0031】
開口部331bは、枠部42の底面42aに導出されている接続導波管44Aの第1ポート44aを構成する底面側導体層442の開口部442aと平面視で重なるように位置している。そしてこの底面側導体層442と上側主導体層331とは、互いの開口部442aと331bとの外周部を囲うように伝搬する高周波信号の波長の1/2未満の間隔で配置された接続用貫通導体群336で、厚み方向に電気的に接続されている。
【0032】
なお、この例では、高周波伝送路30を構成する積層型導波管において、回路基板10Aの内部に位置する信号伝搬部から第2端32を主面10aに導出するために、高周波信号の伝送方向の第2端32側の管壁(図6(a)の左側)を、各誘電体層111a〜111d毎に1/4λずつずらした階段状の構成としている。なお、ここでλは、積層型導波管を伝搬する高周波信号の波長である。このような階段状形状とすることにより、主面10aに導出された第2端32と、回路基板10Aの内部に位置する、導体層331,332,貫通導体群333で形成される信号伝搬部との間で損失の少ない状態で高周波信号を伝搬させることができる。
【0033】
このように、接続導波管44Aと積層型導波管で構成される高周波伝送路30とを用いたことから、図1,3の高周波モジュールにおいて必要であった誘電体層441aが不要となり、導体層442の開口部442aが、高周波伝送路30の第2端32としての機能も有するものとなる。
【0034】
このような構成により、高周波信号を伝送する部位のうち、露出している部分は、高周波信号の送信・受信を行なうアンテナ50部分のみとなるので、ノイズおよび損失の少ない、伝送特性の優れた高周波モジュールを提供することができる。
【0035】
また、回路基板10,枠部42Aを誘電体層421,111となるグリーンシートを用いて一体に形成すれば、高周波伝送路30と接続導波管44Aとの接続を良好に行なえるものとなる。
【0036】
<変形例3:接続導波管接続部>
次に、図6に示す高周波モジュールの変形例について、図7を用いて説明する。図7に示す高周波モジュールは、図6に示す高周波モジュールとは、高周波伝送路30と接続導波管44Aとの間および接続導波管とアンテナ50との間の接続部の構成が異なり、他の部分は同様の構成であるため、異なる部分についてのみ説明する。
【0037】
図7において、上側導体層442の開口部442aの外周部および底面側導体層441の開口部441aの外周部に設けられた貫通導体群441の配列から、伝搬する高周波信号の波長の1/4の距離分外側に離れた位置において、チョーク用貫通導体群445a,445bを設けている。チョーク用貫通導体群445aは、蓋部43側に位置する(最上層の)誘電体層421を厚み方向に貫通し、最上層の誘電体層421とその下の誘電体421との間に形成された導体層444と、上側導体層443と、を電気的に接続した構成となっている。チョーク用貫通導体群445bは、底面42a(最下層)側に位置する誘電体層421を厚み方向に貫通し、底面側導体層442と、最下層とその上の誘電体層421との間に位置する導体層444とを電気的に接続している。
【0038】
このような構成により、接続導波管においてチョーク構造を設けることができる。
【0039】
チョーク構造を設けることにより、製造時に位置ずれが生じても、損失の少ない状態で高周波信号を伝送することができる。
【0040】
<変形例4:アンテナ>
次に、本発明の高周波モジュールの変形例について図8を用いて説明する。図8に示す高周波モジュールは、蓋部43,アンテナ50および蓋部43と枠部42との接続方法が図7に示す高周波モジュールと異なる。このため、異なる点のみについて説明する。
【0041】
蓋部43Aは、複数の誘電体層431(誘電体層431a〜431d)が積層された積層体で構成される。
【0042】
図7に示す高周波モジュールのアンテナ50は、図2に示すように、アンテナ信号線51の伝送線路部51aが第2ポート44bと電磁的に結合していたが、図8のアンテナ50Aは、伝送線路部51aと第2ポート44bとの間に、蓋部43A中に形成された積層型導波管53を介在させている。積層型導波管53は、一端で第2ポート44bと電磁的に結合し、他端で伝送線路部51aと電磁的に結合する。
【0043】
具体的には、アンテナ50Aは以下のような構成となっている。誘電体層431a,431b間に上側主導体層531を、誘電体層431c,431d間に下側導体層532を配置している。これら上側主導体層531と下側主導体層532とは、誘電体層431b,431cを厚み方向に貫通する貫通導体群533によって電気的に接続されている。この貫通導体群533は、伝搬する高周波信号の波長の1/2未満の間隔で繰り返し配置されている。この上側主導体層531,下側主導体層532,貫通導体群533によって積層型導波管53を構成し、上側主導体層531は導波管53の上側の管壁として機能し、下側主導体層532は導波管53の下側の管壁として機能し、貫通導体群533は導波管53の側壁として機能する。
【0044】
そして、上側主導体層531には開口部531aが形成されている。開口部531aは、誘電体層431aを挟んでアンテナ信号線51の伝送線路部51aの一端と対向するように配置されている。上側主導体層531は、アンテナ信号線51と対向するように延在しており、アンテナ信号線51と結合してマイクロストリップ線路を構成する基準電位電極層としての機能を有する。これにより、積層型導波管53とアンテナ信号線51とが電
磁的に結合される。
【0045】
下側主導体層532には開口部332aが形成されている。開口部332aは、平面視で誘電体層431dの回路基板10A側の主面に配置されたスロット導体534に設けられた開口部534aと重なるように配置されている。このスロット導体534と下側主導体層532とは、互いの開口部534a,532aの外周部を囲うように、伝搬する高周波信号の波長の1/2未満の間隔で配置された接続用貫通導体群535で、厚み方向に電気的に接続されている。
【0046】
スロット導体534は、積層型導波管53のポートとして機能し、接続導波管44Aの第2ポート44bを構成する上面側導体層443の開口部443aと平面視で重なるように位置させる。そして、接合層71を介して対向配置させることで、接続導波管44Aと積層型導波管53とのポートを電磁的に結合させることができる。
【0047】
なお、この例では、積層型導波管53において、蓋部43Aの内部に位置する信号伝搬部から回路基板10Aと対向する側の主面にポートを導出するために、図8の左側の管壁を、各誘電体層431a〜431d毎に1/4λずつずらした階段状の構成としている。なお、ここでλは、積層型導波管53を伝搬する高周波信号の波長である。このような階段状形状とすることにより、損失の少ない状態で高周波信号を伝搬させることができる。
【0048】
このような構成とすることにより、接続導波管44Aとアンテナ50との接続が、導波管同士の接続となる。これにより、接続部の位置ずれに対する許容度が大きくなるので、ロバスト性の高いものとすることができる。具体的には、約50μmの位置ずれが生じても伝送特性を良好に保つことができる。このため、図8のように、アンテナ50を構成する積層型導波管53を内蔵させた蓋部43Aを別体として用意し、これと回路基板10Aに一体形成した枠部43Aとを接合層71によって接合させて高周波モジュールを製造する場合であっても、損失の少ない、伝送特性の優れた高周波モジュールを提供できる。また、接合層71,72として、接着剤等を用いても伝送特性を損なうことがないので、製造が容易で、生産性の高いものとすることができる。
【0049】
さらに、図8に示す高周波モジュールは、高周波信号を伝送させる経路が全て導波管であるため、伝送特性の良好なものとすることができる。また、収容部材40のうち収容空間41を臨む面に導体層がないため、高周波素子20やボンディングワイヤ70が不要な導体層と結合するおそれがない。このため、収容部材40を小さくすることができ、小型な高周波モジュールを提供することができる。
【0050】
<変形例:導波管>
図1〜図8では、枠部42に内蔵される接続導波管44の高周波信号の伝搬方向に沿う方向における断面形状が一定である構成について説明したが、図9(a)に示すように伝搬部の形状が高周波信号の伝搬方向に沿って変化するものとしてもよい。図9(a)は枠部42に内蔵される接続導波管44Bの形状を示す外形を示す斜視図である。なお、図9(a)において接続導波管44Bの構成が明確となるように、図1(a),図2,図3,図6(a),図7,図8に示す例の接続導波管44の記載向きから90°回転させている。すなわち、図1(a),図2,図3,図6(a),図7,図8に示す例では第1ポート44aが紙面下側に、第2ポート44bが紙面上側に向くように記載されているが、図9(a)では、第1ポート44Baが紙面手前に、第2ポート44Bbが紙面の奥側に位置するように配置されている。
【0051】
接続導波管44Bは、第1伝搬部451と変換部452と第2伝搬部453とを有する。第1伝搬部451,変換部452,第2伝搬部453は、高周波信号の伝搬方向に沿っ
て順に配置されている。第1伝搬部451は、高周波信号の伝送方向(伝搬方向:X方向)に直交する断面が第1方向(Z方向)に延びる一対の短辺と第2方向(Y方向)に延びる一対の長辺とで構成される矩形状となっている。変換部452は、高周波信号の伝送方向の延長線上において第1伝搬部451に接続しており、伝送方向に直交する断面が矩形状であり、第1伝搬部451に比べて第1方向の辺の長さが短く、第2方向の辺の長さが長い。そして、伝送方向の長さが伝搬する高周波信号の波長の1/4となっている。第2伝搬部453は、伝送方向の延長線上において変換部452の第1伝搬部451に接続している面と反対側の面に接続しており、伝送方向に直交する断面が矩形状であり、変換部452に比べて第1方向の辺の長さ及び前記第2方向の辺の長さが短くなっている。
【0052】
そして、第1伝搬部451において、高周波信号の伝送方向の延長線上において変換部452と接続している面と反対側の面が第1ポート44Baとして機能する。また、第2伝搬部452において、高周波信号の伝送方向の延長線上において変換部452と接続している面と反対側の面が第2ポート44Bbとして機能する。
【0053】
このような構成とすることにより、第1伝搬部451および第2伝搬部453よりも第2方向の幅が広い変換部452により、第1伝搬部451と変換部452との界面で生じる反射波R1と、変換部452と第2伝搬部453との界面で生じる反射波R2との反射レベルを同等とすることができ、反射波を打ち消し合い、高周波信号の損失を抑制して、優れた伝送特性を有するものとすることができる。
【0054】
ここで、上述の構成とすることにより、優れた伝送特性を実現できるメカニズムについて考察する。
【0055】
まず、変換部452の伝送方向の長さは伝搬する高周波信号の波長の1/4としている。このように構成することにより、反射波R1と、反射波R2との位相を逆位相とすることができる。これにより、反射波R1と反射波R2とを互いに打ち消すものとなる。
【0056】
次に、変換部452の第2方向に延びる辺の長さは、第1伝搬部451,第2伝搬部453の第2方向に延びる辺の長さに比べて長くなっている。これにより、反射波R1と反射波R2との反射レベル(振幅)を略同一とすることができる。このメカニズムは明らかではないが、以下のように推測している。
【0057】
従来、伝搬方向においてインピーダンスを変更する場合には、反射をできるだけ小さくするために、第1方向の辺の長さのみを階段状に変化させたり、テーパー状に徐々に変化させたりしていた。この場合には、導波管中のインピーダンスも徐々に変化するものとなっているため、各界面におけるインピーダンスの比率の差異は無視できるレベルではなかった。これに対して、接続導波管44Bでは、変換部452の第2方向における幅を長くとることにより、変換部452のインピーダンスZは、第1伝搬部451および第2伝搬部453のインピーダンスZ,Zに比べ大幅に低くなっている。これにより、第1伝搬部451と変換部452との界面および変換部452と第2伝搬部453との界面における反射は大きくなる。しかしながら、各界面におけるインピーダンスの比率(Z/Z,Z/Z)を略同一とみなすことができるようになり、これにより、反射波R1,R2の反射レベルを揃えることができる。
【0058】
このようなインピーダンスを大幅に低くした変換部452をインピーダンスが大きく変わる部位の近傍に配置することにより、伝送特性を良好にすることができる。本発明の実施形態に係る高周波モジュールは、高周波伝送路30と接続導波管44との接続部位でインピーダンスが大きく変化する(乱れる)可能性がある。このため、上述のような構成を有する接続導波管44Bの構成をとることが好ましい。
【0059】
同様の理由により、図6〜図8のように高周波伝送線路30を、回路基板10に内蔵する積層型導波管とする場合において、この積層型導波管を、第1端側伝搬部301と変換部302と第2端側伝搬部303とを有するものとしてもよい。このような構成を有する積層型導波管と図9(a)に示す接続導波管44Bとを組み合わせた例を図9(b)に示す。なお、図9(b)において、高周波信号が伝搬する伝搬部の形状のみ記載し、その他の構成の図示を省略している。
【0060】
具体的には、第1端側伝搬部301は、高周波信号の伝送方向(Z方向)に直交する断面が第3方向(X方向)に延びる一対の短辺と第4方向(Y方向)に延びる一対の長辺とで構成される矩形状となっている。変換部302は、伝送方向の延長線上において第1端側伝搬部301に接続しており、伝送方向に直交する断面が矩形状であり、第1端側伝搬部301に比べて第3方向の辺の長さおよび第4方向の辺の長さが長くなっている。そして、伝送方向の長さが高周波信号の波長の1/4となっている。第2端側伝搬部303は、伝送方向の延長線上において変換部302の第1端側伝搬部301に接続している面と反対側の面に接続しており、伝送方向に直交する断面が矩形状であり、変換部302に比べて第3方向の辺の長さが長く、かつ前記第4方向の辺の長さが短くなっている。なお、この積層型導波管において高周波信号の伝送方向は、第1端側伝搬部301から変換部302にかけての伝送方向をいう。
【0061】
そして、第1端側伝搬部301の変換部302と接続された面と反対側の面の近傍において、第1端31を構成するスロット導体334を介して接続されている。第2端側伝搬部303の変換部302と接続された面と直交する面(伝送方向と平行な面)に第2端32を構成する開口部が形成されている。このような位置に開口部を設けることにより、第1端側伝搬部301の変換部302とを伝送する高周波信号の伝送方向を90°変換することができる。このように高周波信号の伝送方向を90°変換する場合には、通常反射が大きくなり伝送特性が劣化するが、第1端側伝搬部301と第2端側伝搬部302との間に大きな反射を発生させる変換部302を設けることにより、90°変換することにより生じる反射の影響を打ち消すことができる。
【0062】
このように、高周波信号の伝送方向を変更することで大きなインピーダンスの変化が生じ、かつ、積層型導波管の導波部(管壁で囲まれた信号伝搬部)を構成する回路基板10構成材料と、接続導波管44Bの導波部を構成する構成材料との違いに起因するインピーダンス変化が生じる高周波モジュールにおいて、導波管の構成を図9に示すような構成とすることにより、高周波信号の伝送特性を良好なものとすることができる。
【0063】
なお、積層型導波管の導波部を比誘電率4の樹脂基板で構成し、接続導波管44Bの導波部を比誘電率9.4アルミナで構成するものとして、周波数特性についてシミュレーションした。その結果、直方体状の導波管を用いた場合に比べて、帯域は広がり、透過特性(S21)の優れた領域の幅も広くなっていることを確認した。
【0064】
ここで、変換部302,452の第4方向及び第2方向の幅は、他の部位に比べ十分にインピーダンスが低くなれば特に限定されない。例えば、他の部位に比べ1/4λ長ければ十分に機能する。すなわち、図9(a)に示すy1+y2の値が高周波信号の波長の1/4程度あれば変換部として機能する。
【0065】
<変形例:その他>
図1〜図9に示す例は、枠部42に1つの接続導波管44を内蔵する構成について説明したが、2つ以上の接続導波管を内蔵させてもよい。その場合には、図10に示すように、平面視で、2つの接続導波管44Aの間において導体層443に開口部75を設けるこ
とが好ましい。この開口部75は、2つの接続導波管44Aから、伝搬する高周波信号の波長の1/4だけ離れた位置に配置される。なお、底面側の導体層442においても、同様の位置に開口を設けることが好ましい。また、枠部42の外周部と接続導波管44Aの外周部との間隔を伝送する高周波信号の波長の1/4とすることが好ましい。
【0066】
このような構成とすることで、互いの接続導波管44Aを伝搬する高周波信号同士が混合するおそれを抑制することができ、優れた伝送特性を有する高周波モジュールとすることができる。
【0067】
なお、複数の接続導波管の配列方向、向き等は図10に制限されることなく自由に設定することができる。
【0068】
さらに、図1,図2に示す例では、接続導波管44の貫通孔(信号伝搬部)は空気で充たされた構成となっているが、枠部42の貫通孔に誘電体材料を充填してもよい。この場合には、接続導波管44の信号伝搬部の誘電率と、蓋部43,回路基板10を構成する材料の誘電率との差を少なくすることにより、高周波信号の損失を少なくすることができる。
【0069】
また、図1〜図8に示す例では、収容部材40の内側は対向する面が平坦であり、かつ平行になっているが、非平行となるようにしてもよい。高周波素子20を収容する収容空間41における共振を抑制するためである。例えば、枠部42の内壁(収容空間41を臨む側の面)に凹凸構造を設ければよい。図8に示す例であれば、蓋部43Aの回路基板10A側の面に凹凸構造を設けてもよい。
【0070】
また、図1〜図8に示す例では、アンテナ50は蓋部43の上面に配置されたアンテナ信号線路導体によって構成されるが、例えば、蓋部43を複数の誘電体層が積層される積層体とし、この誘電体層間に、蓋部43の上面側に向けて徐々に開口部が大きくなるような導体層を形成することで、アンテナを蓋部43に内蔵させる構成としてもよい。
【0071】
さらに、図3に示す例においては、誘電体層421aの平面形状を枠部42Aと同じにしているが、さらに広範な領域を覆う形状としてもよい。すなわち、高周波伝送路30がマイクロストリップ線路の場合に、信号線路33上に誘電体層を配置した構成としてもよい。このような構成とすることにより、信号線路33が露出している場合に比べて、ノイズや損失の少ない、伝送特性の優れた高周波モジュールを提供することができる。なお、信号線路33上に誘電体層を配置した構成としても、信号線路33と接続導波管44とは主面10aにおいて電磁的に接続させることはできるため、第2端32が主面に導出されているものとなる。このように、「高周波伝送路の第2端が主面に導出される」とは、伝搬する高周波信号を主面にて電磁的に結合させることが可能なことをいい、物理的に露出している構成に限定されるものではない。
【0072】
<各部の構成>
回路基板10は、高周波素子20を保持するものであれば特に限定されず、セラミック基板や有機基板を用いることができる。有機基板としては、ガラスエポキシ基板や液晶基板,4フッ化エチレン樹脂基板,樹脂基板等がある。
【0073】
高周波部品20は、高周波信号を介して信号伝達が行なわれている高周波回路を含んで構成されるものであり、例えばダイオードやMMIC等を用いることができる。
【0074】
高周波伝送路30を構成する信号線路33,接地導体層34、アンテナ50を構成するアンテナ信号線51,接地導体層52等は、導電材料からなる膜を印刷技術等で形成し、
パターニングして構成すればよい。
【0075】
回路基板10,枠部40を積層体で構成する場合には、誘電体層111,421,431は、高周波信号の伝送を妨げることがない特性を有するものであればとりわけ限定するものではないが、伝送線路を形成する際の精度および製造の容易性の点から、セラミックスからなるものが望ましい。
【0076】
たとえば、ガラスセラミックス、アルミナ質セラミックスや窒化アルミニウム質セラミックス等のセラミック原料粉末に適当な有機溶剤・溶媒を添加混合して泥漿状になすとともに、これを従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法等を採用してシート状となすことによって複数枚のセラミックグリーンシートを得る。しかる後、これらセラミックグリーンシートの各々に適当な打ち抜き加工を施すとともに、導体ペーストを貫通孔へ充填し、配線パターンあるいはいわゆるベタパターンとして印刷したものを積層して、ガラスセラミックスの場合は850〜1000℃、アルミナ質セラミックスの場合は1500〜1700℃、窒化アルミニウム質セラミックスの場合は1600〜1900℃の温度で焼成することによって製作される。
【0077】
また、スロット導体334,534、導体層331,332,442,443,444,531,532などの金属導体層としては、例えば誘電体層がアルミナ質セラミックスからなる場合には、タングステン,モリブデンなどの金属粉末に適当なアルミナ,シリカ,マグネシア等の酸化物や有機溶剤,溶媒等を添加混合した導体ペーストを厚膜印刷法によってセラミックグリーンシート上に印刷し、しかる後、約1600℃の高温で同時焼成して、厚みが10〜15μm以上となるようにして形成する。なお、金属粉末としては、ガラスセラミックスの場合は銅,金,銀が、アルミナ質セラミックス,窒化アルミニウム質セラミックスの場合はタングステン,モリブデンが好適である。また、このような導体層の厚みは一般的に5〜50μm程度とされる。
【0078】
誘電体層111,421,431としては、上記のようなセラミックスからなることが好ましいが、伝送信号の周波数や製造コストなどの観点から、樹脂材料を用いることもできる。誘電体層として使用可能な樹脂材料としては、例えば、PTET、液晶ポリマー、FR4、フッ素樹脂、フッ素ガラス樹脂などが挙げられる。この場合の金属導体としては、例えば銅箔の貼り付け、あるいは銅めっき膜での被覆を行ない、これをエッチングなどによってパターン形成したものを使用することができる。
【0079】
貫通導体群73,333,335,441,533,535は、例えば、グリーンシートに設けた貫通孔にタングステンメタライズペーストを充填し、同時焼成させて得ることができる。
【0080】
収容部材40によって回路基板10との間に形成される収容空間41の大きさは、収容空間41の高さ、幅および奥行きによって決まる共振周波数が、伝搬する高周波信号の使用帯域から外れるように設定する。
【0081】
蓋部43は、絶縁性の誘電体材料であれば特に限定はされないが、セラミック基板や有機基板を用いることができる。
【符号の説明】
【0082】
10 回路基板
10a 主面
20 高周波素子
30 高周波伝送路
31 第1端
32 第2端
40 収容部材
41 収容空間
42,42A 枠部
42a 底面
42b 上面
421 誘電体層
43 蓋部
44,44A,44B 接続導波管
44a 第1ポート
44b 第2ポート
441 貫通導体群
445 チョーク用貫通導体群
50 アンテナ
71,72 接合層(接合部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と、前記回路基板の主面に配置された高周波素子と、前記回路基板に設けられた、前記高周波素子に接続された高周波伝送路と、前記回路基板の前記主面上に設けられた、前記回路基板との間に前記高周波素子を収容する収容空間を形成する、キャップ状の収容部材と、前記高周波伝送路を伝送する高周波信号の受信および送信の少なくとも一方を行なうアンテナとを有する高周波モジュールであって、
前記高周波伝送路は、第1端と第2端とを有し、前記第1端が前記高周波素子に接続されているとともに、前記第2端が前記主面に導出されており、
前記収容部材は、枠部と、誘電体材料からなり、前記枠部の開口の一方を塞ぐように配置された蓋部とを有し、
前記枠部には、第1ポートと第2ポートとを有する接続導波管が内蔵され、前記枠部の底面に前記第1ポートが、上面に前記第2ポートがそれぞれ導出されており、
前記枠部は、前記第1ポートと前記第2端とが電磁的に結合するように配置され、
前記アンテナは、前記蓋部に配置されて、前記第2ポートと電磁的に結合して、前記蓋部の前記収容空間と対向していない側の主面から高周波信号の受信および送信の少なくとも一方を行なう、高周波モジュール。
【請求項2】
前記枠部は、複数の誘電体層を積層してなり、
前記接続導波管は、伝搬する高周波信号の波長の1/2未満の間隔で繰り返し配置された、前記誘電体層を厚み方向に貫通する複数の貫通導体群によって管壁を形成した積層型導波管である、請求項1に記載の高周波モジュール。
【請求項3】
前記枠部の前記上面と前記蓋部との間および前記枠部の前記底面と前記回路基板との間の少なくとも一方に、絶縁材料からなる接合部材を有する、請求項1または2に記載の高周波モジュール。
【請求項4】
前記枠部は、前記第1ポートおよび前記第2ポートから、伝搬する高周波信号の波長の1/4の距離分離れた外周部において、伝搬する高周波信号の波長の1/2未満の間隔で繰り返し配置された、前記誘電体層を厚み方向に貫通する複数のチョーク用貫通導体群をさらに有する、請求項1乃至3のいずれかに記載の高周波モジュール。
【請求項5】
前記接続導波管は、
高周波信号の伝送方向に直交する断面が第1方向に延びる一対の短辺と第2方向に延びる一対の長辺とで構成される矩形状である第1伝搬部と、
前記伝送方向の延長線上において前記第1伝搬部に接続しており、前記伝送方向に直交する断面が矩形状であり、前記第1伝搬部に比べて前記第1方向の辺の長さが短く、前記第2方向の辺の長さが長い、前記伝送方向の長さが前記高周波信号の波長の1/4である変換部と、
前記伝送方向の延長線上において前記変換部の前記第1伝搬部に接続している面と反対側の面に接続しており、前記伝送方向に直交する断面が矩形状であり、前記変換部に比べて前記第1方向の辺の長さがおよび前記第2方向の辺の長さが短い第2伝搬部と、を備え、
前記第1伝搬部は、前記伝送方向において前記変換部に接続している面と反対側の面が開口していることで前記第1ポートとして機能し、
前記第2伝搬部は、前記伝送方向の延長線上において前記変換部に接続している面と反対側の面が開口していることで前記第2ポートとして機能する、請求項1乃至4のいずれかに記載の高周波モジュール。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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