説明

高周波加熱装置

【課題】製品が周囲が閉塞されたような組込状態で使用された場合でも、調理の出来具合を維持するとともに電気部品の劣化を防ぐ。
【解決手段】制御装置7は、両面グリル調理を行う場合、ステージ1でマグネトロン15の排気レベルのMAX値を保持する(ステップS5)。ステージ2において、排気レベルが定数Pk以上となっている場合には、本体1が組込状態と判定し、以降の調理においては組込状態に適した条件で調理を行う(ステップS13、ステップS17)。定数Pk未満の場合には、通常状態の条件で調理を行う(ステップS14、ステップS18)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体を、周囲が閉塞されたような部分に組み込んで使用することが可能な高周波加熱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
加熱手段としてオーブン機能を有する高周波加熱装置において、本体を、周囲が開放された場所に設置した状態(以下、通常状態という)使用される場合に限らず、周囲が閉塞されたような部分に組み込んだ状態(以下、組込状態という)で使用される場合もある。
【0003】
しかしながら、従来においては、組込状態であっても、例えばオーブン調理の際の条件である加熱室内の温度や調理時間や冷却ファンの回転数などは通常状態と同じとしていた。このため、組込状態で使用した場合、本体の雰囲気温度が上昇し、冷却ファン周辺の温度も上昇するので、通常状態で使用した場合に比べて機械室内の部品の温度が高くなる。したがって、カタログに明記する最小スペースでの部品温度を保証する条件でしか、ヒーターの通電率、通電タイミングなどの定数が決められなかった。そのため、焼き調理に必要な加熱パワーが少なく、調理時間が長くなる、あるいは、調理物が乾燥気味になるなど、調理の出来栄えを損なっていた。
【0004】
近年においては、高周波発熱体を底面に貼り付けた受け皿を用い、高周波加熱で受け皿の底面を加熱した後、上面からのヒーター加熱で食品をひっくり返すことなく、上下に焦げ目をつけられることを特徴とする商品も発売されている。
【0005】
高周波加熱とオーブン加熱を同時に利用する調理では、高周波発生装置を冷却した後の温風が機械室内に流れ、さらにオーブン加熱によって、機械室の温度も上昇してくるので、電気部品の冷却は製品開発における課題のひとつとなっている。さらに組込状態で使用されるとなると、調理中の本体の発熱分や本体からの排気で本体近傍の雰囲気温度が上昇することで、本体冷却用に吸気するための冷却ファン部の吸気温度も上昇するので、本体内の電気部品の冷却が厳しく、食品を加熱するエネルギーを落とすことで、電気部品の温度が限度を超えるのを防いでいた。そのため、調理の出来栄えにも影響していた。
【0006】
このため、設置状態判定手段を設けた加熱調理器が提案されている。これは、温度サーミスタによる温度検知に基づいて、設置状態を判定し、加熱手段の加熱調理に係わる調理定数や前記冷却ファンの回転数を制御するものである(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−169997号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来の構成では、季節の影響や被調理物の影響を受けないように、機械室に内蔵した温度センサーや加熱室の温度測定用の温度センサーを用い、具体的方法として、予熱中の加熱室の立ち上がり時間を測定することで、本体の設置状態を判断しているが、高周波加熱とヒーター加熱を同時に利用する調理、特に高周波加熱体を貼り付けた受け皿に被調理物を載せて調理するモードでは、庫内を予熱することなく、室温で保管された受け皿の上に被調理物を載せて調理開始するのが一般的で予熱は行わないため、従来例に開示されている具体的な方法では、実現が困難であった。
【0008】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、通常状態、組込状態に関わらず、高周波加熱とヒーター加熱を同時に利用する調理時に調理の出来栄え維持と電気部品の劣化を防
ぐことを両立した高周波加熱装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来の課題を解決するために、本発明に係る高周波加熱装置は、加熱室を有する本体と、加熱室に設けられたヒーター加熱手段と、高周波を発生させ高周波加熱を行う高周波発生手段と、前記本体に設けられた電気部品冷却用の冷却ファンと、前記高周波発生装置の温度を検出する温度センサを備え、前記温度センサの温度変化を利用して、本体が、周囲が閉塞されたような部分に組み込まれた組込状態であるか否かを判定することを特徴とする。
【0010】
そして、組込状態か否かを判定するための専用の温度検出手段がなくても確実に組込状態の判定ができるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の高周波加熱装置によれば、本体が組み込まれている状態で設置されていると判定した場合には、加熱手段の加熱調理に係わる調理定数や冷却ファンの回転数を組込状態での使用に適するように制御することにより、調理の出来具合を可能な限り維持しつつ、電気部品を温度限度内で使用することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
第1の発明は、加熱室を有する本体と、加熱室に設けられたヒーター加熱手段と、高周波を発生させ高周波加熱を行う高周波発生手段と、前記本体に設けられた電気部品冷却用の冷却ファンと、前記高周波発生装置の温度を検出する温度センサを備え、前記温度センサの温度変化を利用して、本体が周囲が閉塞されたような部分に組み込まれた組込状態であるか否かを判定することを特徴とするもので、新たに温度検知専用の温度センサを追加しなくても、設置状態に応じた適切な制御が可能となる。
【0013】
第2の発明は、特に、第1の発明の高周波加熱装置において、ヒーター加熱手段によるヒーター加熱と高周波加熱による加熱が同時に動作する同時調理の際、組込状態であるかを判定することを特徴とするもので、冷却の厳しいモードにおいても設置状態に応じた適切な制御が可能となる。
【0014】
第3の発明は、特に第1、第2の発明の高周波加熱装置で、被加熱物を載置する受け皿に高周波発熱体を貼り付けた受け皿を備えたものである。これによって、被加熱物の上下をひっくり返すことなく、調理するモードにおいて、設置状態に応じた適切な制御が可能となる。
【0015】
第4の発明は、第3の発明で行われる同時調理が、複数の調理ステージから成り立ち、組込判断は途中のステージで行うようにしたものである。
【0016】
第5の発明は、第4の発明において、組込判断する調理ステージの高周波出力が、前ステージの高周波出力エネルギーよりも低く設定することで、組込判断を正確に行うようにしたものである。
【0017】
第6の発明は、組込状態であるか否かの判定を、調理毎に毎回行うことを特徴とするもので、組込状態をメモリー等に記憶することなしに、調理毎に判断するので、設置条件が改善された場合には通常状態で動作させることが可能となる。
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0019】
(実施の形態1)
図2は、本発明の実施の形態における高周波加熱装置の開閉扉を開けた状態を示す正面図、図3は正面方向から見た高周波加熱装置の断面図、図4は右側面からみた機械室の構成図、図5は電気的構成を示すブロック図である。
【0020】
図において、高周波加熱装置の本体1には前面が開口した加熱室2が配設されている。本体1の前面には前記加熱室2の前面を塞ぐ扉3が開閉可能に設けられており、さらには使用者が調理メニューの選択や調理開始の指示などを行う各種操作キー4や必要な表示を行う表示部5を有する操作パネル6が設けられている。また、操作パネル6の裏側には、制御基板(図示せず)が配設されていて、この制御基板に、マイクロコンピューターからなる制御装置7やヒューズ(図示せず)、加熱手段を動作させるための駆動回路8等が設けられている。更に、操作パネル後方には機械室が設けられている。
【0021】
加熱室2の天面には加熱手段のひとつである上ヒーター9(760W)が配設されている。また、加熱室2の下面にも、加熱手段のひとつである下ヒーター10(600W)が配設されている。加熱室2の側面には受け皿11保持用のレール12が設けられている。受け皿11の下部には高周波吸収体13を貼り付けてあるので、高周波加熱により、食品14の下部を焦がすことができるようにしてある。加熱室2上方右側奥には、加熱室内の温度を検出するためのサーミスタからなる加熱室用の温度センサ30が配設されている。
【0022】
機械室には、加熱室2の右側壁に位置させて、加熱手段のひとつで、高周波発生装置のマグネトロン15が配設されている。マグネトロン15の右側には裏板16に取り付けられた冷却ファン17、エアガイドA18を配置し、マグネトロン15を冷却する。マグネトロン15の左側にはエアガイドC19を設置し、加熱室2内へ風を送り込んでいる。エアガイドC19には、マグネトロン15の温度を検出する排気サーミスタ20を設けている。マグネトロン15から発振した高周波は、導波管21を介して、本体底面に備えた給電口22から加熱室2内にマイクロ波を供給するようになっている。マグネトロン15の上部には、マグネトロン15の出力を可変するインバータ電源23を配置している。庫内の食品14の温度を検知する赤外線センサー24、庫内を照らすランプ25等も機械室に配置されている。
【0023】
図5は電気的構成を示したものである。この図5において、上記制御装置7には、スタートスイッチを含む各種の操作キー4、食品の温度を検知する赤外線センサー24、高周波発生装置のマグネトロン15の温度を検出する排気サーミスタ20、加熱室2内の温度を検出する加熱室用サーミスタ15からの信号が入力されるようになっている。制御装置7はこれらの信号に基づき予め記憶されたプログラムに従って表示器5に調理時間や付属品の情報を表示するとともに、駆動回路8を介して、マグネトロン15、上ヒーター9、下ヒーター10、冷却ファン17を制御している。マグネトロン15はインバータ電源23を経由して制御されるので、出力を自由にコントロールすることができ、例えば、上ヒーター9と高周波出力300Wを同時に使用するということが可能になる。
【0024】
ここで、ヒーター加熱と高周波加熱を同時に使う、両面グリル調理を行う場合を説明する。両面グリルモードは3ステージからなる調理である。
【0025】
まず、ステージ1で高周波加熱出力600Wを連続で発振し、受け皿11の高周波吸収体13を加熱して、食品14の下部の焦がす。マグネトロン15が動作しているので、冷却ファン17は強回転で回っている。
【0026】
次に、ステージ2では、上ヒーター760Wと高周波加熱300Wを連続で出力する。
出力を落としながらも受け皿11を加熱し続けることで、食品14の下面にさらに焦げ目がつくようにしながら、上面からも上ヒーター9で加熱を開始することで、食品14の上面も焦がす。このステージでもマグネトロン15が動作しているため、冷却ファン17は強回転で回っている。
【0027】
最終ステージ3は、上ヒーター9(760W)と下ヒーター10(600W)を連続で運転するもので、加熱室2内の温度をあげ、食品14の中心まで温度をあげるステージである。このステージ3ではマグネトロン15が動作していないため、冷却ファン17の回転を弱回転まで落としている。これは、マグネトロン15を冷却した風がエアガイドC19を通じて加熱室2内に流れていくので、この風の量を少なくすることで、加熱室2内の温度が下がるのを防ぐのが目的である。しかしながら、冷却ファン17の回転数を下げるので、機械室内の温度は上昇し、内部の部品は温度的には厳しい状態となる。
【0028】
特に、本体1を周囲が閉塞された状態に設置された場合は、本体1の温度上昇や排気熱で本体1周辺の温度があがるので、冷却ファン17の吸気温度も上昇する。通常状態では部品の温度上昇値が問題ないレベルでおさまっていても、周囲が閉塞された状態に組み込まれると部品の温度限度を超えてしまう。そこで、制御装置7は、両面グリル調理を行う場合、マグネトロン15の排気温度を排気サーミスタ20で検知して、組込状態であるか否かを判定する機能を有するとともに、判定結果に基づいて、加熱手段のオン/オフ時間と冷却ファンの回転数を設置状態に適した条件になるように設定し、調理を実行させる機能を有する構成となっている。
【0029】
図1のフローチャートは、制御装置7による制御内容のうち、本実施の形態の要旨に関係した部分が示されており、以下これについて関連した作用と共に説明をする。
【0030】
使用者が本体1を周囲が開放されたようなテーブルの上、或いは、周囲が閉塞されたようなキャビネットの中に設置した状態で電源を入れる。使用者が両面グリルキー4bを選択すると図1のフローチャートがスタートする。制御装置7は、まず初期化を行う(ステップS1)。ここでは組込フラグを0にする。この時、毎回、組込フラグを0にしている。前回の調理での判定結果を覚えずに初期化している。通常状態の調理が実行された場合の方が調理の出来栄えはよりいいので、最初は通常調理モードが動くようにするためである。そして、調理時間設定、スタートキー4aが押されるまで待機する(ステップS2)。
【0031】
使用者が食品14を受け皿11に載せ、加熱室2に収容した状態で調理時間(ここでは最大設定時間30分)を時間設定キー4cで設定し、スタートキー4aを押すと制御装置7はステップS3に移行し、ステージ1の調理を開始する。
【0032】
ステージ1の調理は高周波加熱600Wで連続動作させ、受け皿11の高周波吸収体13を加熱させる。高周波加熱なのでマグネトロン15が通電され、温度が上昇する。
【0033】
次に制御装置7は排気サーミスタ20のレベルを取得し(ステップS4)、ステップS5で記憶する。ステップS6でステージ1の調理時間が終了したかどうかを判定する。各ステージは使用者が設定した時間に応じて制御装置7が計算する時間で動作する。30分で調理時間が設定された場合は、ステージ1は10分32秒、ステージ2は5分13秒、ステージ3は残りの時間、動作する。これらの調理時間は実験の繰り返しによって経験を積んだ計算式を制御装置7にプログラムしている。ステップS6でステージ1の終了時間に達していない時にはステップS3に戻る。
【0034】
ステップS5では、ステップS4で取得した排気レベルの最大値を保持する処理をして
いる。ここで、ステージ1における排気レベルの最大値を求める。ステージ1の調理時間10分32秒が経過するとステップS7に移り、ステージ2の調理モードとなる。
【0035】
ステージ2に移っても、制御装置7の組込判断はすぐには行わず、一定のマスク時間(本発明で3分)を設けている。これもできるだけ、通常状態で調理を動作したい配慮からである。ステップS8でマスク時間が終了していな場合はステップS14に飛んで、通常状態の調理を行う。ステージ2の通常状態の調理は上ヒーター9(760W)と高周波出力300Wを連続で通電する。ステップS15でステージ2が終わったかどうかの判断に移る。ここでは、ステージ2に入ってすぐなのでステップS8に戻る。こうして、マスク時間が終了するまではステップS14の通常状態の調理を実行する。
【0036】
マスク時間が終了すると、ステップS9に移る。初めてステップS9に来たときは、組込フラグは0の状態である。ここで、ステージ2の時の排気レベルを取得する(ステップS10)。次にステップS11でステップS9で取得したレベルと定数Pkとを比較する。定数PkはステップS5で保持していたステージ1のMAX値からある定数(今回は15に設定)を減算した値としている。ステージ1の高周波出力が600Wに対し、ステージ2の高周波出力は300Wを使用している。
【0037】
本体を通常状態で使用している時は冷却ファンの吸気温度も室温程度となっているので、マグネトロン15は十分に冷やされ、排気サーミスタ20のレベルも下がるが、本体1を閉塞された状態に設置された場合には、本体1の発熱や本体1からの排気熱が閉塞された空間でこもるので、本体1の冷却ファン17近傍の雰囲気温度も上がり、冷却ファン17で温風を送ることになるので、十分な冷却効果が得られず、高周波出力の出力レベルを落としているのに、排気レベルの減少値は通常状態と比較して少なくなる。そこで、ステップS11で定数Pk以上であった場合は、本体が閉塞空間に組み込まれた状態と判断し、組込時の調理定数で調理する(ステップS13)。
【0038】
本実施の形態では、ステージ2の組込時の調理定数は、上ヒーター9(760W)は連続通電のままとし、高周波出力を30秒オン、10秒オフのデューティー制御を行っている。冷却ファン17の回転はマグネトロン15に通電があるので、強回転のままである。マスク時間が終了し、組込判断がされた後はステップS9からステップS13に処理は飛び、組込時の調理を実行し続ける。ステップS15でステージ2の調理時間が終わるまで継続する。ステップS15でステージ2が終了すると、ステージ3へと移行する。
【0039】
ステージ3では、まず、ステージ2で組込判定がされたかどうかを確認する(ステップS16)。組込判定がされていない場合(組込フラグが0)は、通常時の調理を実行する(ステップS18)。ステージ3の通常時の調理は上ヒーター9(760W)と下ヒーター10(600W)を連続で通電する。冷却ファン17は5分間、弱回転した後、中回転で制御される。ステップS16で組込判定されている場合は、組込時の調理を実行する(ステップS17)。ステージ3の組込時の調理は上ヒーター9(760W)を連続通電、下ヒーター10(600W)を30秒オン、10秒オフのデューティー制御とし、冷却ファン17はステージ3の当初から中回転で回転させる。調理時間終了(ステップ19)するまで、組込時の調理、あるいは、通常時の調理のどちらかで動作する。ステップ19で調理時間が終了したら、ステップ20に移り、駆動回路8を停止、調理終了ブザーを鳴らす等の調理終了処理を実行して、両面グリル調理が終了する。
【0040】
図6に通常状態の場合と組込状態の場合の調理時間と排気レベルの関係を示す。通常状態に設置された場合の調理では、ステージ1で75レベルまで排気レベルが上昇し、ステージ2のマスク時間が終了した時点での排気レベルが54レベル。その後もレベルは下がり続けるので、組込判定されない。一方、組込状態で設置された場合(今回は、本体に対
し、左右65mmの位置、後方50mmの位置に厚さ20mmの木壁を設置)、ステージ1で76レベルまで排気レベルが上昇している。7分30秒ぐらい経過した時点で排気レベルが一定になっているが、これは、マグネトロン15の温度上昇が急であったため、部品保護の目的で高周波出力を450Wに落としているためである。組込状態の場合、ステージ2に移っても、排気レベルの減少はあまり見られず、マスク時間が終了した時点で69レベルであり、76−15=61レベルよりも高いので、組込状態と判断している。
【0041】
図7に通常状態と組込状態における調理時間と部品(ヒューズ)の温度をグラフに示したものである。図に示すように、通常状態の場合、ステージ3に入った時点で冷却ファン17の回転が弱回転に落とすのでヒューズの温度が上昇するが、5分経過で冷却ファン17の回転が弱回転から中回転にUPすることで、ヒューズの温度も下がり、温度限度内でおさまっている。一方、組込状態で運転された場合、ステージ2の途中移行は断続運転が開始されるのと、冷却ファン17の回転数も弱回転に落とすことはないので、80℃前後のふらつきで収まっているので、温度限度内とすることができる。
【0042】
本実施の形態では、組込と判断された場合、ステージ2では高周波出力300W、ステージ3においては、下ヒーター10の通電の断続させ、上ヒーター9は連続通電を維持している。これによって、食品14の上面にはしっかりと焦げ目をつけ、下面は若干、焼き色が弱くなるものの、火が通る火力は維持しているので、使用者が食品14の上下をひっくり返す必要はなく、調理することが可能となる。
【0043】
なお、本実施の形態では、前述したように、組込状態を初期化して、調理毎に判定し、前回の調理での判定結果を保持しないようにすることで、常に通常状態を優先して動作するようにしている。つまり、熱的な条件の良い通常状態で最適化された調理条件を優先することにより、調理の出来栄えはよりよくなるのである。
【0044】
更に、毎回、組込状態の判定を行うので、これまで組込状態と判断して動作していても、掃除や整理により、高周波加熱装置の周囲、特に機械室のある部分(本実施の形態では、本体の右側)の設置状態が変わって風通しが良くなったり、冬場など気温が低くなり、冷却条件が改善された時等には、通常状態としての動作を行うことが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上のように、本発明にかかる高周波加熱装置によれば、本体が組込状態で設置されていると判定した場合には、加熱手段の加熱調理に係わる調理定数や冷却ファンの回転数を、組込状態で使用するのに適した状態で制御することにより、調理の出来具合を、本体が通常状態で使用された場合とほぼ同等にしながら、電気部品の冷却も行うので、電気部品の劣化を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態1の高周波加熱装置の制御内容を示すフローチャート
【図2】同高周波加熱装置本体の構成図
【図3】同高周波加熱装置の正面から見た断面図
【図4】同高周波加熱装置の右側面の構成図
【図5】同制御手段の電気的構成を示すブロック図
【図6】本発明の実施の形態1における両面グリル調理時の調理時間と排気レベルのグラフ
【図7】本発明の実施の形態1における両面グリル調理時の調理時間と部品の温度のグラフ
【符号の説明】
【0047】
1 本体
2 加熱室
9 上ヒーター(ヒーター加熱手段)
10 下ヒーター(ヒーター加熱手段)
11 受け皿
13 高周波吸収体
15 マグネトロン(高周波発生手段)
17 冷却ファン
20 排気サーミスタ(温度センサ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱室を有する本体と、加熱室に設けられたヒーター加熱手段と、高周波を発生させ高周波加熱を行う高周波発生手段と、前記本体に設けられた電気部品冷却用の冷却ファンと、前記高周波発生装置の温度を検出する温度センサを備え、前記温度センサの温度変化を利用して、本体が周囲が閉塞されたような部分に組み込まれた組込状態であるか否かを判定することを特徴とする高周波加熱装置。
【請求項2】
ヒーター加熱手段によるヒーター加熱と高周波加熱による加熱が同時に動作する同時調理の際、組込状態であるかを判定することを特徴とする請求項1記載の高周波加熱装置。
【請求項3】
被加熱物を載置する受け皿に高周波発熱体を貼り付けた受け皿を備えた請求項1または2記載の高周波加熱装置。
【請求項4】
同時調理は複数ステージからなり、組込判断は途中のステージで行うことを特徴とする請求項3記載の高周波加熱装置。
【請求項5】
組込状態であるか否かを判定するステージの高周波出力は、前ステージよりも高周波出力エネルギーが低いことを特徴とする請求項4記載の高周波加熱装置。
【請求項6】
組込状態であるか否かの判定は、調理毎に毎回行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の高周波加熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−351399(P2006−351399A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−177259(P2005−177259)
【出願日】平成17年6月17日(2005.6.17)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】