高周波加熱調理器
【課題】焦げ目付け皿による調理時間の短縮と調理仕上りの向上。
【解決手段】焦げ目付け金属皿９の底部全外周を加熱室底板５の平面部と接触させ金属で囲まれた閉空間を形成し、その金属閉空間に高周波を閉じ込める構成としてあり、これにより高周波発熱体の発熱効率が向上し、調理時間の短縮が可能になるとともに、食品に吸収される高周波量を少なくし食品内部の水分／旨み成分の蒸発を抑えた良好な調理仕上りが可能となる。
【解決手段】焦げ目付け金属皿９の底部全外周を加熱室底板５の平面部と接触させ金属で囲まれた閉空間を形成し、その金属閉空間に高周波を閉じ込める構成としてあり、これにより高周波発熱体の発熱効率が向上し、調理時間の短縮が可能になるとともに、食品に吸収される高周波量を少なくし食品内部の水分／旨み成分の蒸発を抑えた良好な調理仕上りが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は焦げ目付け皿を用いる高周波加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
一般に高周波加熱調理記に用いられる焦げ目付け皿は、フェライト・炭素・炭化珪素・金属粉末・チタン酸バリウム等の高周波を吸収して発熱する高周波発熱体を受け皿底部に装着して構成してある。この焦げ目付け皿は、電子レンジでヒーター加熱のように食品に焦げ目をつけられるので非常に便利なものであり消費者に広く受け入れられている。また、上ヒーターと組み合わせて使えば、食品を上下から加熱でき食品を調理中に裏返す必要が無い。さらに食品の底面に焦げ目をつける下ヒーターが要らないので商品価格の低減化になる。
【０００３】
このような焦げ目付け皿を使った調理は以下のように行われる。食品を乗せた焦げ目付け皿を加熱室内に載置し、高周波発生装置によって発生した高周波を加熱室内に供給する。焦げ目付け皿に装着した高周波発熱体は高周波を吸収することにより発熱し、その熱で食品表面を加熱する。食品に焦げ目が付いた時点又は食品に十分火が通った時点で調理終了となる。食品をおいしく仕上げるためにはなるべく短時間で焦げ目がつくことが望ましい、焦げ目がつくまでの調理時間が長いと食品に含まれる水分が食品内部から蒸発し、ぱさぱさの旨みが少ない出来上がりとなるからである。
【０００４】
高周波発熱体の発熱効率を上げるには、加熱室内に供給される高周波はできるだけ食品に吸収され無い事が望ましい、高周波エネルギーの多くが食品に吸収され高周波発熱体の発熱効率が落ちるためである。また、高周波は食品の内部から加熱し水分や旨み成分の蒸発を促進する。その結果、食品の乾燥が進みぱさぱさの旨みが少ないあじけないものになってしまう。本来、ヒーターの輻射熱による焼き物は食品の外側は水分を飛ばしパリッとした感触、中身は旨み成分を残したジューシーな出来上がりが好まれる。従来電子レンジ用焦げ目付け皿を使った調理は時間がかかり、食品内部が乾燥気味の旨みが少ないあじけない出来上がりであった。
【０００５】
図５は焦げ目付け皿を用いた従来の高周波加熱調理器の断面図、図６は高周波の動きを説明する図５の要部断面図、図７は加熱室と焦げ目付け皿の関係を示す要部断面図である。
【０００６】
図５において、１は高周波を発生するマグネトロンであり、マグネトロン１で発生した高周波２は導波管３を通り加熱室４の低部を形成する加熱室底板５の中央部に設けた給電口６から加熱室４に放射される。放射された高周波２は回転アンテナ７により攪拌され加熱室４の隅々まで到達する。８はセラミック製の載置台で、電子レンジ調理のときに食品を載置する。９は焦げ目付け皿で、高周波を反射する金属を使用している。焦げ目付け皿９の裏面には高周波により発熱する高周波発熱体１０を接着している。加熱室４の前面開口部には食品１１を出し入れするための扉１２が設置される。扉１２の加熱室４側には加熱室４内を覗き見るための扉ガラス１３が設けられている。
【０００７】
図６において給電口６から放射された高周波２の動きを説明する。高周波２は給電口６を放射された後、回転アンテナ７によって攪拌される。その後、大部分は焦げ目付け皿９の裏面に設置された高周波発熱体１０に吸収され、そのエネルギーは熱に変換される。その熱によって食品１１は加熱され焦げ目を付けられる(例えば、特許文献１)。
【特許文献１】特開２００３−２５７６１４号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
しかしながら上記従来の高周波加熱調理器は、扉１２の加熱室４側には扉ガラス１３が取り付けられており、ガラスは高周波を通すためにその厚みを通って高周波２は加熱室４の上方に漏れ出し食品１１に吸収される。また扉ガラス１３が焦げ目付け皿９の金属外周部で傷つかないためのクリアランス１４も設ける必要があり、その隙間からも高周波２の一部が通り抜け食品１１に吸収されていた。
【０００９】
図７は電子レンジ用焦げ目付け皿を加熱室に載置した従来の高周波加熱調理器の加熱室のコーナー部を示す。加熱室４のコーナー部は金属板を２枚溶接またはカシメ締結するので一般的には直角になる。対して焦げ目付け皿は金属板を絞り加工するためと安全のために３０ｍｍ〜４０ｍｍのコーナーRを取る事が多い、このため、加熱室４と焦げ目付け皿９の間には隙間が出来てしまい、この隙間から高周波が漏れ出し食品１１に吸収されていた。
【００１０】
このように従来の高周波加熱調理器においては、マグネトロン１で発生された高周波２は焦げ目付け皿９の高周波発熱体１０には全てが吸収されずに、一部は扉ガラス１３の厚み及び焦げ目付け皿９の外周部とのクリアランス１４で作られる隙間から、また、一部は加熱室４のコーナー部から漏れ出し食品１１に吸収されていた。そのため高周波発熱体１０に吸収される高周波量が減ることにより高周波発熱体１０の発熱効率が悪くなり調理に時間がかかっていた。また食品が高周波によって内部から加熱されるため、食品内部の水分が蒸発し、ぱさぱさの旨みが少ないおいしさに欠ける出来上がりとなっていた。
【００１１】
本発明はこのような従来の課題を解決するもので、焦げ目付け皿による調理時間の短縮が可能で調理仕上りも良い高周波加熱調理器を提供する事を目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
前記従来の課題を解決するために、本発明の高周波加熱調理器は、被加熱物を加熱調理する金属からなる加熱室と、前記加熱室の底部を形成し周辺の平面部と中央部の絞り部からなる金属製の加熱室底板と、前記加熱室に高周波を供給する高周波発生装置と、前記高周波発生装置が発生する高周波を前記加熱室底板に導く導波管と、前記加熱室底板の絞り部に設置され前記高周波発生装置が発生する高周波を撹拌する回転アンテナと、前記加熱室の前面開口部に設置され被加熱物の出し入れを行う扉と、前記加熱室底板の絞り部開口部に設置され被加熱物を載置する載置台と、前記加熱室底板に載置され高周波を吸収して発熱する高周波発熱体を裏面に装着した金属焦げ目付け皿から構成され、前記金属焦げ目付け皿は前記加熱室底板に載置すると、前記金属焦げ目付け皿底部の全外周が前記加熱室底板の周辺平面部と接触する構成としている。
【００１３】
この構成により、加熱室底板の中心部から給電された高周波は焦げ目付け皿及び加熱室底板で囲まれた金属閉空間に閉じ込められるので閉空間の外（焦げ目付け皿の上部）に載置された食品には吸収されない。従って閉空間に供給された高周波は全て高周波発熱体に吸収される事になる。また、高周波は食品が載置されている焦げ目付け皿の上部まで届かないので、食品は高周波を吸収せず内部からの加熱が起こらない。
【発明の効果】
【００１４】
本発明は、焦げ目付け皿の発熱効率を向上させることができるので焦げ目付け皿調理時間を短縮できるとともに、焦げ目付け皿調理において、高周波による食品内部からの加熱が少なく水分/旨み成分が多く残る調理性能に優れた高周波加熱調理器を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１５】
第１の発明は、被加熱物を加熱調理する金属からなる加熱室と、前記加熱室の底部を形成し周辺の平面部と中央部の絞り部からなる金属製の加熱室底板と、前記加熱室に高周波を供給する高周波発生装置と、前記高周波発生装置が発生する高周波を前記加熱室底板に導く導波管と、前記加熱室底板の絞り部に設置され前記高周波発生装置が発生する高周波を撹拌する回転アンテナと、前記加熱室の前面開口部に設置され被加熱物の出し入れを行う扉と、前記加熱室底板の絞り部開口部に設置され被加熱物を載置する載置台と、前記加熱室底板に載置され高周波を吸収して発熱する高周波発熱体を裏面に装着した金属焦げ目付け皿から構成され、前記金属焦げ目付け皿は前記加熱室底板に載置すると、前記金属焦げ目付け皿底部の全外周が前記加熱室底板の周辺平面部と接触する構成としてある。
【００１６】
この構成により加熱室下底板の中心部から給電された高周波は焦げ目付け皿及び加熱室底板で囲まれた金属閉空間に閉じ込められるので閉空間の外（焦げ目付け皿の上部）に載置された食品には吸収されない。従って閉空間に供給された高周波は全て高周波発熱体に吸収される事になり、発熱効率が上がり調理時間の短縮が図れる。また、高周波は食品が載置されている焦げ目付け皿の上部まで届かないので、食品は高周波を吸収せず内部からの加熱が起こらない。従って適度な水分/旨み成分が多く残り調理性能に優れた高周波加熱装置を実現できる。
【００１７】
また第２の発明は、加熱室底板の絞り部に設置された回転アンテナは中心から外周に向かって放射状に広がる矩形開口部を複数設ける構造としてあり、焦げ目付け皿下部に設けられた高周波発熱体は均等に高周波を吸収し、ムラのない加熱分布が可能になり調理性能を向上させることができる。
【００１８】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【００１９】
（実施の形態１）
図１は電子レンジ用焦げ目付け皿を加熱室に載置した実施の形態１における高周波加熱調理器の側面からみた断面図、図２は同調理器の前面から見た断面図、図３(a)(b)は高周波加熱調理器の回転アンテナの平面および側面図、また図４(a)(b)は回転アンテナと焦げ目付け皿の位置関係を示す平面および側断面図である。
【００２０】
図１及び図２において、１は高周波を発生するマグネトロンであり、マグネトロン１で発生した高周波２は導波管３を通り加熱室４の低部を形成する加熱室底板５の中央部に設けた給電口６から加熱室４に放射される。放射された高周波２は回転アンテナ７により攪拌され加熱室４の隅々まで到達する。８はセラミック製の載置台で、電子レンジ調理のときに食品を載置する。９は焦げ目付け皿で、高周波を反射する金属を使用している。焦げ目付け皿９の裏面には高周波により発熱する高周波発熱体１０を接着している。加熱室４の前面開口部には食品１１を出し入れするための扉１２（図２は省略）が設置される。扉１２の加熱室４側には加熱室４内を覗き見るための扉ガラス１３（図２は省略）が設けられている。
【００２１】
焦げ目付け皿９は加熱室底板５の外周平面部に焦げ目付け皿底部を全周接触させて載置される。焦げ目付け皿９及び加熱室底板５は金属で構成されており、高周波２は焦げ目付け皿９と加熱室底板５の隙間を通り抜けられず金属で囲まれた閉空間に閉じ込められる。したがって、給電口６から加熱室底板５の絞り部内に放射された高周波２は回転アンテナ７で攪拌されながら全て高周波発熱体１０に吸収される事になる。全ての高周波２がロスすることなく高周波発熱体９に吸収されるので発熱効率は飛躍的に向上する。したがって調理時間も短縮する事が可能になるのである.。
【００２２】
また, 高周波２が焦げ目付け皿９の上方に漏れる隙間がなくなった為、焦げ目付け皿９に載置されている食品が高周波２によって内部から加熱されることは無く、調理後においても適度な水分/旨み成分が内部に多く残り調理性能に優れた高周波加熱調理器が実現できる。
【００２３】
図３(a)(b)は本発明の高周波加熱調理器の回転アンテナ７の回転部分の形状をあらわしている。中心から外周に向かって放射状に広がる矩形開口部７aを複数設ける構造であり、外周部の開口ほどあいている面積が大きくなっている。図４(a)(b)は焦げ目付け皿９と回転アンテナ７の位置関係を示しており、焦げ目付け皿の外周部は回転アンテナの外周開口部に対面しており、開口面積が大きいため中心部に比べより多く高周波が当たることになる。外周部は中心部に比べ熱の放散が多いため中心部との発熱のバランスを取るためにはより多くの高周波を吸収して発熱する必要がある。中心から外周に向かって放射状に広がる矩形開口部を複数設ける回転アンテナを用いる事により加熱分布のよい焦げ目付け皿が可能となった。
【産業上の利用可能性】
【００２４】
以上のように本発明によれば、高周波発熱体を使った焦げ目付け皿調理において調理時間の短縮と調理性能の向上が図れるので、焦げ目付け皿を搭載した電子レンジ全般に応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【００２５】
【図１】本発明の実施の形態１における高周波加熱調理器の側面から見た断面図
【図２】同高周波加熱調理器の前面から見た断面図
【図３】(a)は同高周波加熱調理器の回転アンテナの平面図、(b)は同側面図外観図
【図４】(a)は同高周波加熱調理器の回転アンテナと焦げ目付け皿の位置関係を示す平面図、(b)は同側断面図
【図５】従来の高周波加熱調理器の側面から見た断面図
【図６】同高周波加熱調理器の要部断面図
【図７】同高周波加熱調理器の加熱室内の要部断面図
【符号の説明】
【００２６】
１ 高周波発生装置
３ 導波管
４ 加熱室
５ 加熱室底板
７ 回転アンテナ
８ 載置台
９ 焦げ目付け皿
１０ 高周波発熱体
１２ 扉
【技術分野】
【０００１】
本発明は焦げ目付け皿を用いる高周波加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
一般に高周波加熱調理記に用いられる焦げ目付け皿は、フェライト・炭素・炭化珪素・金属粉末・チタン酸バリウム等の高周波を吸収して発熱する高周波発熱体を受け皿底部に装着して構成してある。この焦げ目付け皿は、電子レンジでヒーター加熱のように食品に焦げ目をつけられるので非常に便利なものであり消費者に広く受け入れられている。また、上ヒーターと組み合わせて使えば、食品を上下から加熱でき食品を調理中に裏返す必要が無い。さらに食品の底面に焦げ目をつける下ヒーターが要らないので商品価格の低減化になる。
【０００３】
このような焦げ目付け皿を使った調理は以下のように行われる。食品を乗せた焦げ目付け皿を加熱室内に載置し、高周波発生装置によって発生した高周波を加熱室内に供給する。焦げ目付け皿に装着した高周波発熱体は高周波を吸収することにより発熱し、その熱で食品表面を加熱する。食品に焦げ目が付いた時点又は食品に十分火が通った時点で調理終了となる。食品をおいしく仕上げるためにはなるべく短時間で焦げ目がつくことが望ましい、焦げ目がつくまでの調理時間が長いと食品に含まれる水分が食品内部から蒸発し、ぱさぱさの旨みが少ない出来上がりとなるからである。
【０００４】
高周波発熱体の発熱効率を上げるには、加熱室内に供給される高周波はできるだけ食品に吸収され無い事が望ましい、高周波エネルギーの多くが食品に吸収され高周波発熱体の発熱効率が落ちるためである。また、高周波は食品の内部から加熱し水分や旨み成分の蒸発を促進する。その結果、食品の乾燥が進みぱさぱさの旨みが少ないあじけないものになってしまう。本来、ヒーターの輻射熱による焼き物は食品の外側は水分を飛ばしパリッとした感触、中身は旨み成分を残したジューシーな出来上がりが好まれる。従来電子レンジ用焦げ目付け皿を使った調理は時間がかかり、食品内部が乾燥気味の旨みが少ないあじけない出来上がりであった。
【０００５】
図５は焦げ目付け皿を用いた従来の高周波加熱調理器の断面図、図６は高周波の動きを説明する図５の要部断面図、図７は加熱室と焦げ目付け皿の関係を示す要部断面図である。
【０００６】
図５において、１は高周波を発生するマグネトロンであり、マグネトロン１で発生した高周波２は導波管３を通り加熱室４の低部を形成する加熱室底板５の中央部に設けた給電口６から加熱室４に放射される。放射された高周波２は回転アンテナ７により攪拌され加熱室４の隅々まで到達する。８はセラミック製の載置台で、電子レンジ調理のときに食品を載置する。９は焦げ目付け皿で、高周波を反射する金属を使用している。焦げ目付け皿９の裏面には高周波により発熱する高周波発熱体１０を接着している。加熱室４の前面開口部には食品１１を出し入れするための扉１２が設置される。扉１２の加熱室４側には加熱室４内を覗き見るための扉ガラス１３が設けられている。
【０００７】
図６において給電口６から放射された高周波２の動きを説明する。高周波２は給電口６を放射された後、回転アンテナ７によって攪拌される。その後、大部分は焦げ目付け皿９の裏面に設置された高周波発熱体１０に吸収され、そのエネルギーは熱に変換される。その熱によって食品１１は加熱され焦げ目を付けられる(例えば、特許文献１)。
【特許文献１】特開２００３−２５７６１４号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
しかしながら上記従来の高周波加熱調理器は、扉１２の加熱室４側には扉ガラス１３が取り付けられており、ガラスは高周波を通すためにその厚みを通って高周波２は加熱室４の上方に漏れ出し食品１１に吸収される。また扉ガラス１３が焦げ目付け皿９の金属外周部で傷つかないためのクリアランス１４も設ける必要があり、その隙間からも高周波２の一部が通り抜け食品１１に吸収されていた。
【０００９】
図７は電子レンジ用焦げ目付け皿を加熱室に載置した従来の高周波加熱調理器の加熱室のコーナー部を示す。加熱室４のコーナー部は金属板を２枚溶接またはカシメ締結するので一般的には直角になる。対して焦げ目付け皿は金属板を絞り加工するためと安全のために３０ｍｍ〜４０ｍｍのコーナーRを取る事が多い、このため、加熱室４と焦げ目付け皿９の間には隙間が出来てしまい、この隙間から高周波が漏れ出し食品１１に吸収されていた。
【００１０】
このように従来の高周波加熱調理器においては、マグネトロン１で発生された高周波２は焦げ目付け皿９の高周波発熱体１０には全てが吸収されずに、一部は扉ガラス１３の厚み及び焦げ目付け皿９の外周部とのクリアランス１４で作られる隙間から、また、一部は加熱室４のコーナー部から漏れ出し食品１１に吸収されていた。そのため高周波発熱体１０に吸収される高周波量が減ることにより高周波発熱体１０の発熱効率が悪くなり調理に時間がかかっていた。また食品が高周波によって内部から加熱されるため、食品内部の水分が蒸発し、ぱさぱさの旨みが少ないおいしさに欠ける出来上がりとなっていた。
【００１１】
本発明はこのような従来の課題を解決するもので、焦げ目付け皿による調理時間の短縮が可能で調理仕上りも良い高周波加熱調理器を提供する事を目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
前記従来の課題を解決するために、本発明の高周波加熱調理器は、被加熱物を加熱調理する金属からなる加熱室と、前記加熱室の底部を形成し周辺の平面部と中央部の絞り部からなる金属製の加熱室底板と、前記加熱室に高周波を供給する高周波発生装置と、前記高周波発生装置が発生する高周波を前記加熱室底板に導く導波管と、前記加熱室底板の絞り部に設置され前記高周波発生装置が発生する高周波を撹拌する回転アンテナと、前記加熱室の前面開口部に設置され被加熱物の出し入れを行う扉と、前記加熱室底板の絞り部開口部に設置され被加熱物を載置する載置台と、前記加熱室底板に載置され高周波を吸収して発熱する高周波発熱体を裏面に装着した金属焦げ目付け皿から構成され、前記金属焦げ目付け皿は前記加熱室底板に載置すると、前記金属焦げ目付け皿底部の全外周が前記加熱室底板の周辺平面部と接触する構成としている。
【００１３】
この構成により、加熱室底板の中心部から給電された高周波は焦げ目付け皿及び加熱室底板で囲まれた金属閉空間に閉じ込められるので閉空間の外（焦げ目付け皿の上部）に載置された食品には吸収されない。従って閉空間に供給された高周波は全て高周波発熱体に吸収される事になる。また、高周波は食品が載置されている焦げ目付け皿の上部まで届かないので、食品は高周波を吸収せず内部からの加熱が起こらない。
【発明の効果】
【００１４】
本発明は、焦げ目付け皿の発熱効率を向上させることができるので焦げ目付け皿調理時間を短縮できるとともに、焦げ目付け皿調理において、高周波による食品内部からの加熱が少なく水分/旨み成分が多く残る調理性能に優れた高周波加熱調理器を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１５】
第１の発明は、被加熱物を加熱調理する金属からなる加熱室と、前記加熱室の底部を形成し周辺の平面部と中央部の絞り部からなる金属製の加熱室底板と、前記加熱室に高周波を供給する高周波発生装置と、前記高周波発生装置が発生する高周波を前記加熱室底板に導く導波管と、前記加熱室底板の絞り部に設置され前記高周波発生装置が発生する高周波を撹拌する回転アンテナと、前記加熱室の前面開口部に設置され被加熱物の出し入れを行う扉と、前記加熱室底板の絞り部開口部に設置され被加熱物を載置する載置台と、前記加熱室底板に載置され高周波を吸収して発熱する高周波発熱体を裏面に装着した金属焦げ目付け皿から構成され、前記金属焦げ目付け皿は前記加熱室底板に載置すると、前記金属焦げ目付け皿底部の全外周が前記加熱室底板の周辺平面部と接触する構成としてある。
【００１６】
この構成により加熱室下底板の中心部から給電された高周波は焦げ目付け皿及び加熱室底板で囲まれた金属閉空間に閉じ込められるので閉空間の外（焦げ目付け皿の上部）に載置された食品には吸収されない。従って閉空間に供給された高周波は全て高周波発熱体に吸収される事になり、発熱効率が上がり調理時間の短縮が図れる。また、高周波は食品が載置されている焦げ目付け皿の上部まで届かないので、食品は高周波を吸収せず内部からの加熱が起こらない。従って適度な水分/旨み成分が多く残り調理性能に優れた高周波加熱装置を実現できる。
【００１７】
また第２の発明は、加熱室底板の絞り部に設置された回転アンテナは中心から外周に向かって放射状に広がる矩形開口部を複数設ける構造としてあり、焦げ目付け皿下部に設けられた高周波発熱体は均等に高周波を吸収し、ムラのない加熱分布が可能になり調理性能を向上させることができる。
【００１８】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【００１９】
（実施の形態１）
図１は電子レンジ用焦げ目付け皿を加熱室に載置した実施の形態１における高周波加熱調理器の側面からみた断面図、図２は同調理器の前面から見た断面図、図３(a)(b)は高周波加熱調理器の回転アンテナの平面および側面図、また図４(a)(b)は回転アンテナと焦げ目付け皿の位置関係を示す平面および側断面図である。
【００２０】
図１及び図２において、１は高周波を発生するマグネトロンであり、マグネトロン１で発生した高周波２は導波管３を通り加熱室４の低部を形成する加熱室底板５の中央部に設けた給電口６から加熱室４に放射される。放射された高周波２は回転アンテナ７により攪拌され加熱室４の隅々まで到達する。８はセラミック製の載置台で、電子レンジ調理のときに食品を載置する。９は焦げ目付け皿で、高周波を反射する金属を使用している。焦げ目付け皿９の裏面には高周波により発熱する高周波発熱体１０を接着している。加熱室４の前面開口部には食品１１を出し入れするための扉１２（図２は省略）が設置される。扉１２の加熱室４側には加熱室４内を覗き見るための扉ガラス１３（図２は省略）が設けられている。
【００２１】
焦げ目付け皿９は加熱室底板５の外周平面部に焦げ目付け皿底部を全周接触させて載置される。焦げ目付け皿９及び加熱室底板５は金属で構成されており、高周波２は焦げ目付け皿９と加熱室底板５の隙間を通り抜けられず金属で囲まれた閉空間に閉じ込められる。したがって、給電口６から加熱室底板５の絞り部内に放射された高周波２は回転アンテナ７で攪拌されながら全て高周波発熱体１０に吸収される事になる。全ての高周波２がロスすることなく高周波発熱体９に吸収されるので発熱効率は飛躍的に向上する。したがって調理時間も短縮する事が可能になるのである.。
【００２２】
また, 高周波２が焦げ目付け皿９の上方に漏れる隙間がなくなった為、焦げ目付け皿９に載置されている食品が高周波２によって内部から加熱されることは無く、調理後においても適度な水分/旨み成分が内部に多く残り調理性能に優れた高周波加熱調理器が実現できる。
【００２３】
図３(a)(b)は本発明の高周波加熱調理器の回転アンテナ７の回転部分の形状をあらわしている。中心から外周に向かって放射状に広がる矩形開口部７aを複数設ける構造であり、外周部の開口ほどあいている面積が大きくなっている。図４(a)(b)は焦げ目付け皿９と回転アンテナ７の位置関係を示しており、焦げ目付け皿の外周部は回転アンテナの外周開口部に対面しており、開口面積が大きいため中心部に比べより多く高周波が当たることになる。外周部は中心部に比べ熱の放散が多いため中心部との発熱のバランスを取るためにはより多くの高周波を吸収して発熱する必要がある。中心から外周に向かって放射状に広がる矩形開口部を複数設ける回転アンテナを用いる事により加熱分布のよい焦げ目付け皿が可能となった。
【産業上の利用可能性】
【００２４】
以上のように本発明によれば、高周波発熱体を使った焦げ目付け皿調理において調理時間の短縮と調理性能の向上が図れるので、焦げ目付け皿を搭載した電子レンジ全般に応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【００２５】
【図１】本発明の実施の形態１における高周波加熱調理器の側面から見た断面図
【図２】同高周波加熱調理器の前面から見た断面図
【図３】(a)は同高周波加熱調理器の回転アンテナの平面図、(b)は同側面図外観図
【図４】(a)は同高周波加熱調理器の回転アンテナと焦げ目付け皿の位置関係を示す平面図、(b)は同側断面図
【図５】従来の高周波加熱調理器の側面から見た断面図
【図６】同高周波加熱調理器の要部断面図
【図７】同高周波加熱調理器の加熱室内の要部断面図
【符号の説明】
【００２６】
１ 高周波発生装置
３ 導波管
４ 加熱室
５ 加熱室底板
７ 回転アンテナ
８ 載置台
９ 焦げ目付け皿
１０ 高周波発熱体
１２ 扉
【特許請求の範囲】
【請求項１】
被加熱物を加熱調理する金属からなる加熱室と、前記加熱室の底部を形成し周辺の平面部と中央部の絞り部からなる金属製の加熱室底板と、前記加熱室に高周波を供給する高周波発生装置と、前記高周波発生装置が発生する高周波を前記加熱室底板に導く導波管と、前記加熱室底板の絞り部に設置され前記高周波発生装置が発生する高周波を撹拌する回転アンテナと、前記加熱室の前面開口部に設置され被加熱物の出し入れを行う扉と、前記加熱室底板の絞り部開口部に設置され被加熱物を載置する載置台と、前記加熱室底板に載置され高周波を吸収して発熱する高周波発熱体を裏面に装着した金属焦げ目付け皿から構成され、前記金属焦げ目付け皿は前記加熱室底板に載置すると、前記金属焦げ目付け皿底部の全外周が前記加熱室底板の周辺平面部と接触する構成とした高周波加熱調理器。
【請求項２】
前記加熱室底板の絞り部に設置され前記高周波発生装置が発生する高周波を撹拌する回転アンテナは中心から外周に向かって放射状に広がる矩形開口部を複数設ける構成とした請求項１記載の高周波加熱調理器。
【請求項１】
被加熱物を加熱調理する金属からなる加熱室と、前記加熱室の底部を形成し周辺の平面部と中央部の絞り部からなる金属製の加熱室底板と、前記加熱室に高周波を供給する高周波発生装置と、前記高周波発生装置が発生する高周波を前記加熱室底板に導く導波管と、前記加熱室底板の絞り部に設置され前記高周波発生装置が発生する高周波を撹拌する回転アンテナと、前記加熱室の前面開口部に設置され被加熱物の出し入れを行う扉と、前記加熱室底板の絞り部開口部に設置され被加熱物を載置する載置台と、前記加熱室底板に載置され高周波を吸収して発熱する高周波発熱体を裏面に装着した金属焦げ目付け皿から構成され、前記金属焦げ目付け皿は前記加熱室底板に載置すると、前記金属焦げ目付け皿底部の全外周が前記加熱室底板の周辺平面部と接触する構成とした高周波加熱調理器。
【請求項２】
前記加熱室底板の絞り部に設置され前記高周波発生装置が発生する高周波を撹拌する回転アンテナは中心から外周に向かって放射状に広がる矩形開口部を複数設ける構成とした請求項１記載の高周波加熱調理器。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【公開番号】特開２００７−２７８５３１（Ｐ２００７−２７８５３１Ａ）
【公開日】平成１９年１０月２５日（２００７．１０．２５）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−１０１７５７（Ｐ２００６−１０１７５７）
【出願日】平成１８年４月３日（２００６．４．３）
【出願人】（０００００５８２１）松下電器産業株式会社 (73,050)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１９年１０月２５日（２００７．１０．２５）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年４月３日（２００６．４．３）
【出願人】（０００００５８２１）松下電器産業株式会社 (73,050)
【Ｆターム（参考）】
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