説明

高周波機器

【課題】 高周波回路用電子部品とプリント基板上のアースパターンとの間で発生する容量を小さくした上に、作業効率を向上させる。
【解決手段】 プリント基板2上に表面実装部品14が表面実装され、それはプリント基板2への接触面14aと反対側に平面14bを有している。表面実装部品14の平面14bに、高周波阻止コイル4の一部が接触することによって高周波阻止コイル4は、プリント基板2と離れて位置し、リード線10、12が非被覆の状態でプリント基板2の所定位置にスルーホール接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばVHF帯やUHF帯のような高周波信号を扱う高周波機器に関し、特に、プリント基板上に構成されたものに関する。
【背景技術】
【0002】
上述したような高周波信号を扱う機器で使用される高周波回路用部品には、例えばチョークコイルのようにその巻線の両端にリード線を有するものがある。この高周波回路用電子部品では、リード線を、プリント基板の所定の位置にスルーホール接続する。この場合、チョークコイルとプリント基板上のアースパターンとの間で形成される容量を小さくするために、チョークコイルをプリント基板から浮かせて取り付ける。この浮かせた状態を維持するために、各リード線には、プリント基板の上面からチョークコイルのリードの根本部分までチューブを被せてから、或いは、特許文献1に開示されるように2つのリード線のプリント基板の上面からチョークコイルの根本まで1つのチューブを被せてから、プリント基板に両リード線をスルーホール接続していた。即ち、チューブをスペーサとして使用していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平01−163318号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような手法では、リード線に一々チューブを被せる作業が必要であり、作業効率が低かった。
【0005】
本発明は、リード線にチューブを挿通させる作業を省きながら高周波回路用電子部品とプリント基板上のアースパターンとの間で発生する容量を小さくした高周波機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の高周波機器は、プリント基板を有している。このプリント基板上に表面実装部品が表面実装されている。この表面実装部品は、前記プリント基板への接触面と反対側に平面を有している。前記表面実装部品の前記平面に、高周波回路用電子部品の一部が接触し、この高周波回路用電子部品は前記プリント基板と離れて位置している。この高周波回路用電子部品のリード線が非被覆の状態で、前記プリント基板の所定位置に接続されている。
【0007】
このように構成された高周波機器では、プリント基板に表面実装された表面実装部品が高周波回路用電子部品とプリント基板との間のスペーサとして機能するので、高周波回路用電子部品のリード線にいちいちチューブを挿通する作業が不要になる。その代わりに表面実装部品をプリント基板に表面実装する必要があるが、表面実装は自動機械によって行うことができるので、手作業によってリード線にチューブを挿通するのと比較して、作業効率が格段に向上する。
【0008】
前記高周波回路用電子部品は、その両端に前記リード線をそれぞれ有し、前記表面実装部品は、前記両リード線の間に位置する。このように表面実装部品が両リード線の間に位置するので、表面実装部品の表面実装後に、容易に両リード線のスルーホール接続が行える。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明によれば、高周波回路用電子部品とプリント基板上のアースパターンとの間で発生する容量を小さくした上に、リード線にチューブを挿通させる作業を省略することができ、作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の1実施形態の高周波機器の部分省略正面図である。
【図2】図1の高周波機器の部分省略側面図である。
【図3】図1の高周波機器のCATV信号用下り帯域での利得対周波数特性、入力側VSWR対周波数特性、出力側VSWR対周波数特性図である。
【図4】図1の高周波機器のCS/BS−IF帯での利得対周波数特性、入力側VSWR対周波数特性、出力側VSWR対周波数特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の1実施形態の高周波機器は、例えばCATV用の伝送ラインで使用されるCATV信号用上り帯域、下り帯域及びCS/BS−IF信号を増幅する双方向高周波増幅器に本発明を実施したもので、図1及び図2に示すように、プリント基板、例えば両面プリント基板2を有している。この両面プリント基板2には、高周波増幅器を構成するための様々な導電パターンが形成されており、それらパターン間に表面実装やスルーホール接続によって様々な高周波回路用電子部品が装着されている。
【0012】
そのような高周波回路用電子部品の一例として、図1及び図2には、高周波阻止コイル4が示されている。この高周波阻止コイル4は、フェライトコア6を有し、その外周面に巻線8が巻回されている。フェライトコア6の両端の巻線8からそれぞれリード線10、12が引き出されている。これらリード線10、12は高周波阻止コイル4の配置面と反対側に設けた所定の導電パターンにスルーホール接続されている。即ち、所定導電パターンから高周波阻止コイル4の配置面側に貫通させたバイアホールにリード線10、12が挿通され、所定導電パターンにおいてリード線10、12が半田付けされている。
【0013】
高周波阻止コイル4のフェライトコア6が両面プリント基板2から予め定めた距離だけ離れた、即ち浮いた状態にある。この浮いた状態を維持するために、高周波阻止コイル4と両面プリント基板2との間には、表面実装部品14、例えば表面実装型のダイオードまたは抵抗器が表面実装されている。この表面実装部品14は、両面プリント基板2に表面実装されている面14aと反対側に平面14bを有する例えば扁平な直方体状であり、この表面実装部品14の両側にリード線10、12が位置する長さ寸法のものである。この平面14bに高周波阻止コイル4の下面が接触している。この表面実装部品14が、高周波阻止コイル4のスペーサとして機能している。表面実装部品14としては、平面14a、14b間の距離が、高周波阻止コイル4を両面プリント基板2を浮かせておく距離に等しいものを使用する。
【0014】
高周波阻止コイル4を両面プリント基板2に取り付ける場合、まず表面実装部品14を、図示していない他の表面実装部品と共に、表面実装する。その後、高周波阻止コイル4を表面実装部品14の平面14bに接触するようにかつリード線10、12が表面実装部品14の両側に位置するように配置し、リード線10、12をスルーホール接続する。
【0015】
図3(a)は、上記の表面実装部品14を使用した双方向高周波増幅器のCATV信号用下り帯域(70乃至770MHz)での周波数対利得特性を、比較のために、表面実装部品14を除去した場合の周波数対利得特性と、表面実装部品14に代えてリード線10、12にチューブを被せた場合の周波数対利得特性と共に示したもので、同図(b)は、上記の各場合の下り帯域の入力側でのVSWRを示したもので、同図(c)は、上記の各場合のCATV信号用下り帯域の出力側でのVSWRを示したものである。それぞれ符号aが表面実装部品14を使用した場合、符号bは表面実装部品14を除去した場合、符号cはチューブを被せた場合を表している。
【0016】
図4(a)は、上記の表面実装部品14を使用した双方向高周波増幅器のCS/BS−IF帯(1032乃至2610MHz)の周波数対利得特性を、比較のために、表面実装部品14を除去した場合の周波数対利得特性と、表面実装部品14に代えてリード線10、12にチューブを被せた場合の周波数対利得特性と共に示したもので、同図(b)は、上記の各場合のCS/BS−IF帯の入力側のVSWRを示したもので、同図(c)は、上記の各場合のCS/BS−IF帯の出力側のVSWRを示したものである。符号aが表面実装部品14を使用した場合、符号bが表面実装部品14を除去した場合、符号cがチューブを被せた場合を表している。
【0017】
図3及び図4から明らかなように、表面実装部品14を使用した場合には、チューブを被せた場合とほぼ同等の特性が得られ、CS/BS−IF帯ではチューブを使用した場合よりも良好な特性が得られている。
【0018】
上記の実施形態では、高周波回路用電子部品として高周波阻止コイルを使用したが、これに限ったものではなく、例えば抵抗器やコンデンサを使用することもできる。
【符号の説明】
【0019】
2 プリント基板
4 高周波阻止コイル(高周波回路用電子部品)
10 12 リード線
14 表面実装部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板と、
プリント基板上に表面実装され、前記プリント基板への接触面と反対側に平面を有する表面実装部品と、
前記表面実装部品の前記平面に、一部が接触し、前記プリント基板と離れて位置し、リード線が非被覆の状態で前記プリント基板の所定位置に接続されている高周波回路用電子部品とを、
具備する高周波機器。
【請求項2】
請求項1記載の高周波機器において、前記高周波回路用電子部品は、その両端に前記リード線をそれぞれ有し、前記表面実装部品は、前記両リード線の間に位置する高周波機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−171550(P2011−171550A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−34568(P2010−34568)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(000109668)DXアンテナ株式会社 (394)
【Fターム(参考)】