説明

高圧導電路及びワイヤハーネス

【課題】省スペース化を図ることが可能な、また、経路形成を容易にすることが可能な高圧導電路及びワイヤハーネスを提供する。
【解決手段】ワイヤハーネス9は、高圧導電路15と、この高圧導電路15の端末に設けられる端子とを備えて構成されている。高圧導電路15は、導体19及び第一絶縁体20を有する高圧電線21と、この高圧電線21を覆うように設けられる高圧スパイラル電線22と、高圧スパイラル電線22を被覆する第二絶縁体23と、この第二絶縁体23を覆うように設けられる電磁シールド部材24と、電磁シールド部材24を被覆するシース25とを備えて構成されている。導体19はプラス極導体、高圧スパイラル電線22はマイナス極導体となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧導電路及びワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド自動車や電気自動車に好適なワイヤハーネスに関しては、下記特許文献1に開示されている。この開示技術のワイヤハーネスは、バッテリーとインバータユニットとを接続するものであって、プラス回路及びマイナス回路となる二本の高圧導電路を有している。ワイヤハーネスは、二本の高圧導電路を並べるように(平行に)配索されている。また、所望の経路となるように曲げが施されて配索されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−12868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術のワイヤハーネスにあっては、高圧導電路が駆動系の電力の送電を担うことから太物電線となり、また、これを二本並べるように配索することから、次のような問題点を有している。すなわち、太物電線を二本並べるように配索することから、幅方向に二本分の配索スペースを確保しなければならないという問題点を有している。また、太物電線を二本並べるように配索することから、曲げ方向に制約が出て経路形成に影響を来してしまうという問題点を有している。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、省スペース化を図ることが可能な、また、経路形成を容易にすることが可能な高圧導電路及びワイヤハーネスを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の本発明の高圧導電路は、プラス極導体及びマイナス極導体のいずれか一方と、該いずれか一方の外側に設けられる第一絶縁体と、該第一絶縁体の外側に設けられる前記プラス極導体及び前記マイナス極導体のいずれか他方と、該いずれか他方の外側に設けられる第二絶縁体とを備え、前記いずれか他方は、金属線材からなるとともに可撓性を有し、該可撓性を持たせるにあたっては、前記金属線材の隣り合う側部同士を接触させるように前記金属線材を螺旋状に巻回して前記いずれか他方を形成することを特徴とする。
【0007】
このような特徴を有する本発明によれば、一本の構成にプラス回路とマイナス回路とを含み、二本並べてなる場合と比べて省スペース化が図られた高圧導電路になる。高圧導電路は、プラス極導体及びマイナス極導体のいずれか一方が内側に配置され、いずれか他方が外側に配置される。外側となる上記いずれか他方は、金属線材を螺旋状に巻回形成することにより可撓性を有する構造になる。可撓性を有することにより、所望の曲げ形状に形成することが容易になる。すなわち、経路形成が容易になる。
【0008】
プラス極導体及びマイナス極導体に関しては、これらを例えば同心円に配置し、そして、プラス極導体にプラス側の電流を流すとともに、マイナス極導体にプラス極導体とは逆向きのマイナス側の電流を平行に流すと、プラス極導体及びマイナス極導体のそれぞれから発生する磁界が打ち消し合い、結果、高圧導電路から発生する磁界がなくなるようになる。すなわち、磁気シールド効果が得られるようになる。本発明の高圧導電路(ワイヤハーネス)は、これに近接する他の導電路や機器に対しノイズの影響を与えてしまうようなことはない。
【0009】
この他、上記いずれか他方は、上記いずれか一方で生じた熱を吸収してこの熱をいずれか他方全体に分散させたり、外部からの熱をいずれか一方へ伝えないようにしたりすることが可能になる。
【0010】
請求項2記載の本発明の高圧導電路は、請求項1に記載の高圧導電路に係り、前記金属線材を線状且つ板状に形成するとともに、前記金属線材を異形状の第一金属線材及び第二金属線材から構成し、さらに、前記いずれか他方を前記第一金属線材及び前記第二金属線材が交互の配置となる螺旋状に巻回して形成することを特徴とする。
【0011】
このような特徴を有する本発明によれば、異形状の第一金属線材及び第二金属線材を螺旋状に巻回すると、プラス極導体及びマイナス極導体のいずれか他方が形成される。いずれか他方は、これを構成する第一金属線材及び第二金属線材を異形状にすることにより、いずれか他方を曲げようとする際の曲げ形状に差を生じさせることができるようになる。そして、この曲げ形状の差により、隣り合う第一金属線材及び第二金属線材の側部に隙間を生じさせ難くすることができるようになる。
【0012】
請求項3記載の本発明の高圧導電路は、請求項1又は請求項2に記載の高圧導電路に係り、前記いずれか他方の端末に接続される端子を、前記端末の内外から挟み込むインナー端子及びアウター端子と、これらのいずれかに連続する外部接続用の電気接触部とを含んで形成することを特徴とする。
【0013】
このような特徴を有する本発明によれば、インナー端子及びアウター端子を有する端子を採用することにより、上記外側となる配置のいずれか他方の端末に外部接続用の端子を設けることができるようになる。
【0014】
請求項4記載の本発明の高圧導電路は、請求項1ないし請求項3いずれか記載の高圧導電路に係り、前記第二絶縁体の外側に設けられる電磁シールド部材と、該電磁シールド部材の外側に設けられるシースとを更に備えることを特徴とする。
【0015】
このような特徴を有する本発明によれば、請求項1による磁気シールド効果の他に電磁シールド効果も得られるようになる。高圧導電路は、大きなシールド効果が得られるような構成及び構造になる。尚、プラス極導体、マイナス極導体、及び電磁シールド部材は、実質的に同軸三層構造になる。
【0016】
上記課題を解決するためになされた請求項5記載の本発明のワイヤハーネスは、請求項1ないし請求項4いずれか記載の高圧導電路を含んでなることを特徴とする。
【0017】
このような特徴を有する本発明によれば、省スペース化が図られ且つ経路形成が容易な高圧導電路を含むワイヤハーネスになる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載された本発明によれば、一本の構成にプラス回路とマイナス回路とを含むことから、また、可撓性を持たせるために金属線材を螺旋状に巻回形成する構造を含むことから、従来に比べ省スペース化を図ることや、経路形成を容易にすることができるという効果を奏する。
【0019】
請求項2に記載された本発明によれば、プラス極導体及びマイナス極導体のいずれか他方のより良い構造を提供することができるという効果を奏する。
【0020】
請求項3に記載された本発明によれば、端末に接続される端子に関し、より良い構造を提供することができるという効果を奏する。
【0021】
請求項4に記載された本発明によれば、シールド効果を高めることができるという効果を奏する。
【0022】
請求項5に記載された本発明によれば、より良いワイヤハーネスを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る高圧導電路及びワイヤハーネスの図であり、(a)はワイヤハーネスの配索状態を示す概略図、(b)はワイヤハーネス及び高圧導電路の構成図である(実施例1)。
【図2】端子接続に係る構造説明図である。
【図3】本発明に係る高圧導電路及びワイヤハーネスの他の例の図であり、(a)はワイヤハーネスの配索状態を示す概略図、(b)はワイヤハーネス及び高圧導電路の構成図である(実施例2)。
【発明を実施するための形態】
【0024】
ワイヤハーネスを構成する高圧導電路は、一本の構成にプラス回路とマイナス回路とを含み、プラス極導体及びマイナス極導体のいずれか一方が内側に配置され、いずれか他方が外側に配置される。いずれか他方は、金属線材を螺旋状に巻回形成する。
【実施例1】
【0025】
以下、図面を参照しながら実施例1を説明する。図1は本発明に係る高圧導電路及びワイヤハーネスの図であり、(a)はワイヤハーネスの配索状態を示す概略図、(b)はワイヤハーネス及び高圧導電路の構成図である。また、図2は端子接続に係る構造説明図である。
【0026】
本実施例においては、ハイブリッド自動車(電気自動車であってもよいものとする)に本発明のワイヤハーネスを採用する例を挙げて説明するものとする。
【0027】
図1において、引用符号1はハイブリッド自動車を示している。ハイブリッド自動車1は、エンジン2及びモータユニット3の二つの動力をミックスして駆動する車両であって、モータユニット3にはインバータユニット4を介してバッテリー5(電池パック)からの電力が供給されるようになっている。エンジン2、モータユニット3、及びインバータユニット4は、本実施例において前輪等がある位置のエンジンルーム6に搭載されている。また、バッテリー5は、後輪等がある自動車後部7に搭載されている(エンジンルーム6の後方に存在する自動車室内に搭載してもよいものとする)。
【0028】
モータユニット3とインバータユニット4は、公知の高圧ワイヤハーネス8により接続されている。また、バッテリー5とインバータユニット4は、本発明のワイヤハーネス9により接続されている。ワイヤハーネス9は、高圧用のものとして構成されている。ワイヤハーネス9は、この中間部10が車体床下11の地面側に配索されている。また、車体床下11に沿って略平行に配索されている。車体床下11は、公知のボディであるとともに所謂パネル部材であって、所定位置には貫通孔(符号省略)が形成されている。この貫通孔には、ワイヤハーネス9が挿通されている。
【0029】
ワイヤハーネス9とバッテリー5は、このバッテリー5に設けられるジャンクションブロック12を介して接続されている。ジャンクションブロック12には、ワイヤハーネス9の後端13がコネクタ接続されている。ワイヤハーネス9の後端13側は、自動車室内側となる床上に配索されている。床上には、ワイヤハーネス9の前端14側も配索されている。ワイヤハーネス9の前端14側は、インバータユニット4にコネクタ接続されている。
【0030】
ここで本実施例での補足説明をすると、モータユニット3はモータ及びジェネレータを構成に含んでいるものとする。また、インバータユニット4は、インバータ及びコンバータを構成に含んでいるものとする。モータユニット3は、シールドケースを含むモータアッセンブリとして形成されるものとする。また、インバータユニット4もシールドケースを含むインバータアッセンブリとして形成されるものとする。バッテリー5は、Ni−MH系やLi−ion系のものであって、モジュール化してなるものとする。尚、例えばキャパシタのような蓄電装置を使用することも可能であるものとする。バッテリー5は、ハイブリッド自動車1や電気自動車に使用可能であれば特に限定されないものとする。
【0031】
先ず、ワイヤハーネス9の構成及び構造について説明をする。
【0032】
ワイヤハーネス9は、高圧導電路15と、この高圧導電路15の端末に設けられる端子16、17(図2参照)とを備えて構成されている。尚、本実施例のワイヤハーネス9は、高圧導電路15に対する外装部材を備えてないものとするが、仮想線で示す如くの導電路保護部材18を構成に含めてもよいものとする。導電路保護部材18は、公知の外装部材であって、具体的にはコルゲートチューブや金属パイプ、プロテクタ等が一例として挙げられるものとする。
【0033】
高圧導電路15は、導体19及び第一絶縁体20を有する高圧電線21と、この高圧電線21を覆うように設けられる高圧スパイラル電線22と、高圧スパイラル電線22を被覆する第二絶縁体23と、この第二絶縁体23を覆うように設けられる電磁シールド部材24と、電磁シールド部材24を被覆するシース25とを備えて構成されている。
【0034】
導体19は、特許請求の範囲に記載されたプラス極導体及びマイナス極導体のいずれか一方に相当するものとする。また、高圧スパイラル電線22は同じく特許請求の範囲に記載されたプラス極導体及びマイナス極導体のいずれか他方に相当するものとする。本実施例においては、導体19をプラス極導体(プラス回路)、高圧スパイラル電線22をマイナス極導体(マイナス回路)とするが、この逆であってもよいものとする。
【0035】
導体19は、この材質として、アルミニウム又はアルミニウム合金製の丸棒線(丸単心となる導体構造)が採用されている。尚、角棒線(四角形の単心となる導体構造)やバスバー形状となる導体構造のものが採用されてもよいものとする。また、撚り線導体となる構造のものが採用されてもよいものとする。材質に関しては、特に限定されないものとする。すなわち、銅や銅合金製であってもよいものとする。本実施例においては、安価且つ軽量であるというメリットを有するアルミニウム製のものが採用されている。導体19は、形状保持をすることが可能な剛性を有していてもよいものとする。
【0036】
第一絶縁体20は、導体19に対する被覆であって、公知の樹脂材料を押し出し成形することにより形成されている。
【0037】
以上のような高圧電線21は、高圧スパイラル電線22の内部である中空部分に収容されている。高圧電線21は、高圧スパイラル電線22の内面に接することで、自身に生じた熱を高圧スパイラル電線22に吸収させるようになっている。一方、高圧スパイラル電線22では、吸収した熱を分散させることができるようになっている。
【0038】
高圧スパイラル電線22は、金属製であって、高圧電線21を挿通・収容することができるように形成されている。本実施例の高圧スパイラル電線22は、高圧電線21をこの全長にわたって挿通・収容することができるように略筒状となる形状に形成されている。
【0039】
高圧スパイラル電線22は、金属線材26を螺旋状に巻回することにより形成されている。このような高圧スパイラル電線22は、可撓性を有している。可撓性を持たせるにあたっては、金属線材26の隣り合う側部同士を接触させるように金属線材26を螺旋状に巻回する工法が採用されている。
【0040】
金属線材26は、線状且つ板状に形成されている(厚みは任意であるものとする)。本実施例の金属線材26は、第一金属線材27及び第二金属線材28から構成されている。第一金属線材27及び第二金属線材28は、異形状となるように形成されている。具体的には、第一金属線材27が第二金属線材28よりも幅広となるように形成されている。高圧スパイラル電線22は、このような異形状の第一金属線材27及び第二金属線材28を交互の配置で螺旋状に巻回することにより形成されている。高圧スパイラル電線22は、スプリング効果を有している。
【0041】
尚、引用符号29は隣り合う側部同士の接触部分を示している。接触部分29は、金属材料の弾性力等により接触状態が形成される部分であって、側部同士の固着がないようになっている。
【0042】
第一金属線材27及び第二金属線材28から構成される金属線材26の材質としては、例えばアルミニウムやアルミニウム合金が挙げられるものとする。また、銅や銅合金、鉄なども挙げられるものとする。
【0043】
高圧スパイラル電線22は、導体19のサイズ(断面積)に対して同じか大きくなるように形成されている。すなわち、例えば導体19のサイズが15sqの場合、高圧スパイラル電線22ではこのサイズが15sq以上となるように形成されている(理由としては、電気的安定度を向上させることができるというメリットを有するからである)。
【0044】
高圧スパイラル電線22の材質は、導体19の材質やコスト等に配慮して選定されるものとする。本実施例においては、アルミニウム又はアルミニウム合金であるが、銅や銅合金であってもよいものとする。
【0045】
第二絶縁体23は、高圧スパイラル電線22に対する被覆であって、公知の樹脂材料を押し出し成形することにより形成されている。
【0046】
電磁シールド部材24は、第二絶縁体23とシース25との間に介在する電磁シールド用の部材(電磁波対策用の部材)であって、導電性の金属箔単体などにて筒状に形成されている。尚、電磁シールド部材24は、電磁波対策をすることが可能であれば、例えば極細の素線を多数有する編組を用いてもよいものとする(金属箔は、編組と比べて格段に軽量化を図ることができるという利点を有している)。
【0047】
シース25は、耐熱性、耐摩耗性、耐候性、耐衝撃性、押し出し成形性等の各種特性が良好な樹脂材料を選定し、その上で押し出し成形することにより形成されている。シース25は、この表面が高圧導電路15の外面に相当するようなものに形成されている。シースは、石跳ねや水跳ねから高圧導電路15自身を保護することができるように形成されている。シース25は、高圧導電路15において外装部材レスを可能とするように形成されている(外装部材レスとしない場合には、例えば上記導電路保護部材18が用いられるものとする)。
【0048】
シース25は、特に限定するものでないが、第一シース及び第二シースの二層構造にしてもよいものとする。この場合、内側となる第一シースの材質としては、例えばPE(ポリエチレン)が採用されるものとする。また、外側となる第二シースの材質としては、例えばPP(ポリプロピレン)が採用されるものとする。
【0049】
図2において、端子16、17は、上記の如く高圧導電路15の端末に設けられる電気的な接続部材であって、導電性を有する金属板をプレス加工することにより形成されている。端子16は高圧電線21用として、また、端子17は高圧スパイラル電線22用として設けられている。
【0050】
端子16は、電気接触部30と、電線接続部31とを有している。電気接触部30は、図示しない接続相手の端子形状に合わせて形成されている。電線接続部31は、導体19に対する導体加締め部32と、第一絶縁体20に対する被覆加締め部33とを有している。
【0051】
端子17は、インナー端子34と、アウター端子35と、このアウター端子35に連続する電気接触部36とを有する二部品から構成されている。端子17は、高圧スパイラル電線22の端末のにおいて、この内外から挟み込んで加締めを施すことにより、インナー端子34とアウター端子35とを固定することができるように形成されている。
【0052】
インナー端子34は、第一絶縁体20と高圧スパイラル電線22との間に挿入されるような筒形状に形成されている。アウター端子35は、高圧スパイラル電線22に対する加締め部37を有している。電気接触部36は、図示しない接続相手の端子形状に合わせて形成されている。
【0053】
次に、上記構成及び構造のワイヤハーネス9の製造について説明をする。尚、製造に係る図面は省略するものとする。以下の説明は一例であるものとする。
【0054】
第一金属線材27及び第二金属線材28から構成される金属線材26を螺旋状に巻回して高圧スパイラル電線22を形成するとともに、この高圧スパイラル電線22の外側に第二絶縁体23を押出により形成する。また、電磁シールド部材24を設けるとともにシース25を押出により形成する。この後、シース25等に覆われた高圧スパイラル電線22を全長が所望の長さとなるように切断する。そして、高圧スパイラル電線22の内部空間に、予め製造しておいた所定長さの高圧電線21を挿通(一例であるものとする)して高圧導電路15を形成するとともに、この高圧導電路15の端末に端子16、17を組み付けすると、ワイヤハーネス9の製造が完了する。
【0055】
尚、ワイヤハーネス9は、高圧電線21を覆うように金属線材26を螺旋状に巻回し、その上で高圧スパイラル電線22を形成するようにしてもよいものとする。
【0056】
上記の如く製造されたワイヤハーネス9は、例えば搬送し易い状態に丸められるとともに図示しない通箱等に収納され、この後に例えば自動車メーカーの組み立て工場へと搬送される。上記組み立て工場へと搬送された後は、図示しない通箱から取り出され、そして、車体床下11などに組み付けられて固定される。端子16、17を介して電気的な接続等がなされると、ワイヤハーネス9の配索が完了する。
【0057】
尚、特に限定するものでないが、ワイヤハーネス9の曲げ状態を保持する場合には、公知のプロテクタ等が用いられるものとする。また、車体床下11などへの組み付け固定は、公知のクランプ等が用いられるものとする。
【0058】
ワイヤハーネス9の配索位置は、本実施例において車体床下11などであるが、このような配索位置に限定されないものとする。
【0059】
以上、図1及び図2を参照しながら説明してきたように、本発明によれば、一本の高圧導電路15にプラス極導体(プラス回路である導体19)とマイナス極導体(マイナス回路である高圧スパイラル電線22)とを含むことから、従来例のような二本並べてなる場合と比べて、省スペース化を図ることができるという効果を奏する。
【0060】
また、本発明によれば、高圧電線21や、この高圧電線21よりも外側となる高圧スパイラル電線22が可撓性を有することから、高圧導電路15は所望の曲げ形状に形成することができるという効果を奏する。すなわち、容易に経路形成をすることができるという効果を奏する。
【実施例2】
【0061】
以下、図面を参照しながら実施例2を説明する。図3は本発明に係る高圧導電路及びワイヤハーネスの他の例の図であり、(a)はワイヤハーネスの配索状態を示す概略図、(b)はワイヤハーネス及び高圧導電路の構成図である。尚、上記実施例1と同一の構成部材には同一の符号を付して詳細な説明を省略するものとする。
【0062】
図3において、ワイヤハーネス41は、実施例1と同じ位置に配索されている。ワイヤハーネス41は、高圧導電路42と、この高圧導電路42の端末に設けられる端子(図2の端子16、17を参照)と、外装部材としての例えば金属パイプ43とを備えて構成されている。
【0063】
高圧導電路42は、導体19及び第一絶縁体20を有する高圧電線21と、この高圧電線21を覆うように設けられる高圧スパイラル電線22と、高圧スパイラル電線22を被覆する第二絶縁体23とを備えて構成されている。
【0064】
金属パイプ43は、高圧導電路42に対する外装部材として備えられている。尚、コルゲートチューブやプロテクタ等である実施例1の導電路保護部材18であってもよいものとする。
【0065】
実施例2のワイヤハーネス41も実施例1のワイヤハーネス9と同様の効果を奏するのは勿論である。
【0066】
この他、本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0067】
1…ハイブリッド自動車
2…エンジン
3…モータユニット
4…インバータユニット
5…バッテリー
6…エンジンルーム
7…自動車後部
8…高圧ワイヤハーネス
9…ワイヤハーネス
10…中間部
11…車体床下
12…ジャンクションブロック
13…後端
14…前端
15…高圧導電路
16、17…端子
18…導電路保護部材
19…導体(プラス極導体、いずれか一方)
20…第一絶縁体
21…高圧電線
22…高圧スパイラル電線(マイナス極導体、いずれか他方)
23…第二絶縁体
24…電磁シールド部材
25…シース
26…金属線材
27…第一金属線材
28…第二金属線材
29…接触部分
30…電気接触部
31…電線接続部
32…導体加締め部
33…被覆加締め部
34…インナー端子
35…アウター端子
36…電気接触部
41…ワイヤハーネス
42…高圧導電路
43…金属パイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラス極導体及びマイナス極導体のいずれか一方と、
該いずれか一方の外側に設けられる第一絶縁体と、
該第一絶縁体の外側に設けられる前記プラス極導体及び前記マイナス極導体のいずれか他方と、
該いずれか他方の外側に設けられる第二絶縁体とを備え、
前記いずれか他方は、金属線材からなるとともに可撓性を有し、
該可撓性を持たせるにあたっては、前記金属線材の隣り合う側部同士を接触させるように前記金属線材を螺旋状に巻回して前記いずれか他方を形成する
ことを特徴とする高圧導電路。
【請求項2】
請求項1に記載の高圧導電路において、
前記金属線材を線状且つ板状に形成するとともに、前記金属線材を異形状の第一金属線材及び第二金属線材から構成し、さらに、前記いずれか他方を前記第一金属線材及び前記第二金属線材が交互の配置となる螺旋状に巻回して形成する
ことを特徴とする高圧導電路。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の高圧導電路において、
前記いずれか他方の端末に接続される端子を、前記端末の内外から挟み込むインナー端子及びアウター端子と、これらのいずれかに連続する外部接続用の電気接触部とを含んで形成する
ことを特徴とする高圧導電路。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3いずれか記載の高圧導電路において、
前記第二絶縁体の外側に設けられる電磁シールド部材と、該電磁シールド部材の外側に設けられるシースとを更に備える
ことを特徴とする高圧導電路。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4いずれか記載の高圧導電路を含んでなる
ことを特徴とするワイヤハーネス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−26097(P2013−26097A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161511(P2011−161511)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】