説明

高圧洗浄車

【課題】ホースの繰り出し長さを容易に、かつ精度良く計測可能な高圧洗浄車を提供する。
【解決手段】高圧洗浄車は、洗浄水を噴射する洗浄ノズルと、洗浄ノズルに洗浄水を導くホースと、ホースが巻き付けられるホースリールとを備えている。高圧洗浄車は、ホースの繰り出しまたは巻き取り動作に伴って回転し、ホースを所定方向にガイドする2本のガイドローラ94と、ガイドローラ94の回転数からホースの繰り出し長さを計測する計測装置とを備えている。2つのガイドローラ94の一端部には、互いに噛み合う2つの歯車99が取り付けられている。2つのガイドローラ94は、2つの歯車99により同期して回転する。計測装置は、エンコーダ87を有しており、エンコーダ87は、2つのガイドローラ94のうち、一方のガイドローラ94の一端部に取り付けられている。エンコーダ87は、一方のガイドローラ94の回転数を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧洗浄車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、下水管等の洗浄に、高圧洗浄車が使用されている。通常、高圧洗浄車は、洗浄水を貯留するタンクと、洗浄水を圧送するポンプと、圧送された洗浄水を噴射装置に導くホースと、ホースが巻き付けられるホースリールとを備えている。作業時には、作業者はホースリールからホースを繰り出し、噴射装置から高圧の洗浄水を下水管等の被洗浄物に噴射することによって、被洗浄物の洗浄を行う。また、この種の高圧洗浄車の中には、油圧装置によりホースリールを回動させて、ホースの繰り出しまたは巻き取りを行うものがある。
【0003】
ところで、例えば、洗浄する下水管が閉塞していると、それ以上、洗浄作業ができないことがある。このような場合、洗浄作業を止めると共に、後日行う閉塞箇所の修復の為、下水管の閉塞位置を正確に計測しておくことが好ましい。しかし、従来の高圧洗浄車では、ホースリールの繰り出し長さを計測することができなかったため、工事報告書等に正確な補修箇所の位置を示すことができなかった。
【0004】
そこで、ホースリールに巻層数表示用目盛を設け、また、ホースの乱巻を防止するガイド装置付近に当該ガイド装置の位置を読み取るための目盛を設け、ホース巻層数とガイド装置の位置とからホースの繰り出し長さを測定する高圧洗浄車が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実用新案登録第1610638号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された高圧洗浄車では、ホースの繰り出し長さを測定するために、ホースリールとガイド装置付近とに設けられた目盛をそれぞれ読み取らなければならず、瞬時に繰り出し長さを算出することができなかった。また、人の目によって測定するため、誤って計測してしまうことがあった。さらに、ホースが多少ずれて巻かれてしまった場合、上記高圧洗浄車のように、目盛による計測手法では計測値がずれてしまうこととなる。そのため、上記高圧洗浄車では、ホースの繰り出し長さを精度良く計測することができなかった。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ホースの繰り出し長さを容易に、かつ精度良く計測可能な高圧洗浄車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る高圧洗浄車は、洗浄水を噴射する噴射装置と、先端に噴射装置が取り付けられ、前記噴射装置に洗浄水を導くホースと、前記ホースが巻き付けられるホースリールと、を備えた高圧洗浄車であって、前記ホースの外周面と接触し、前記ホースの繰り出しまたは巻き取り動作に伴って回転すると共に、前記ホースを所定方向にガイドするガイドローラと、前記ガイドローラの回転数から前記ホースの繰り出し長さを計測する計測装置と、を備えるものである。
【0008】
上記高圧洗浄車によれば、ガイドローラの回転数からホースの繰り出し長さを計測することができる。そのため、従来の高圧洗浄車のように、作業者が目盛を読むことなく、容易にホースの繰り出し長さを認識することができる。また、ガイドローラの回転数によりホースの繰り出し長さを計測するため、例えば、ホースが乱巻されたような場合であっても、精度良く繰り出し長さを計測することができる。
【0009】
前記高圧洗浄車は、前記ホースリールの回転軸に平行に延び、前記ホースリールの回転に従って回転するガイド軸と、前記ガイドローラを回転自在に支持すると共に、前記ガイド軸の回転に伴って前記ガイド軸上を往復移動する様に前記ガイド軸に取り付けられた支持部材と、をさらに備えることが好ましい。
【0010】
上記高圧洗浄車では、ガイドローラを回転自在に支持する支持部材がガイド軸の回転に伴ってガイド軸上を往復移動する。そのため、ホースを所定方向にガイドするガイドローラは、ホースリールの回転に伴ってガイド軸に平行な方向に往復移動することとなる。これにより、ホースの乱巻を防止することができる。
【0011】
前記ガイドローラは、同一水平面上において平行する様に配置された第1ガイドローラおよび第2ガイドローラを有し、前記ホースは前記第1ガイドローラおよび前記第2ガイドローラに挟持されていることが好ましい。
【0012】
上記高圧洗浄車によれば、ホースは第1ガイドローラおよび第2ガイドローラによって鉛直方向にガイドされることとなる。そのため、ガイドローラ付近においてホースが占める水平方向幅を抑えることができる。したがって、上記高圧洗浄車によれば、ホースを繰り出しまたは巻き取る際にも、ホースをコンパクトに配置することができる。
【0013】
ところで、ホースの摩耗を抑制する観点から、ホースは2つのガイドローラにより緩やかに挟持されることが好ましい。しかし、ホースをガイドローラに緩やかに挟持させることとすると、ホースが一方のガイドローラ側に偏り、ホースと他方のガイドローラとの間に僅かに隙間が生じてしまうことがある。このような場合、他方のガイドローラはホースの繰り出しまたは巻き取り動作に伴って回転しなくなる。
【0014】
そこで、前記高圧洗浄車は、前記第1ガイドローラと前記第2ガイドローラとが同期して回転する様に前記第1ガイドローラと前記第2ガイドローラとを連結する連結具をさらに備え、前記計測装置は、前記第1ガイドローラの回転数を検出する検出計を有していることが好ましい。
【0015】
上記高圧洗浄車では、ホースの繰り出しまたは巻き取り動作に伴って、ホースを挟持する第1ガイドローラと第2ガイドローラとが連結具によって同期して回転することとなる。これにより、上述のように、ホースが、例えば、第2ガイドローラ側に偏ってしまい、ホースと第1ガイドローラとの間に僅かに隙間が生じてしまった場合であっても、第1ガイドローラは第2ガイドローラに同期して回転する。そのため、ホースの繰り出しまたは巻き取り動作に伴って、両ガイドローラが確実に回転することとなる。このことにより、一方のガイドローラのみに回転数を検出する検出計を設けることとしても、正確なホースの繰り出し長さを計測することが可能となる。
【0016】
前記連結具は、前記第1ガイドローラの一端部に取り付けられ、前記第1ガイドローラと共に回転する第1歯車と、前記第2ガイドローラの一端部に取り付けられ、前記第2ガイドローラと共に回転し、前記第1歯車と係合する第2歯車と、を有していることが好ましい。
【0017】
このことにより、簡単な構成により第1ガイドローラと第2ガイドローラとを同期して回転させることができる。
【0018】
前記ホースの繰り出しまたは巻き取り動作を操作する操作入力手段が設けられた操作盤をさらに備え、前記計測装置は、前記検出計によって検出された前記第1ガイドローラの回転数から前記ホースの繰り出し長さを算出する演算部と、前記演算部によって算出された前記ホースの繰り出し長さを表示する表示計と、を有しており、前記表示計は、前記操作盤に設けられていることが好ましい。
【0019】
このことにより、ホースの繰り出しまたは巻き取り操作を行いつつ、ホースの繰り出し長さを確認することが可能となる。そのため、ホースの繰り出しまたは巻き取り操作を容易にかつ好適に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明によれば、ホースの繰り出し長さを容易に、かつ精度良く計測可能な高圧洗浄車を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0022】
図1および図2は、本実施形態に係る高圧洗浄車1を表している。高圧洗浄車1は、後述する洗浄ノズル33(図8参照)または洗浄ガン35(図8参照)から高圧の洗浄水を噴射することで、下水管やマンホール周辺等の被洗浄物を洗浄するものである。
【0023】
図1に示すように、高圧洗浄車1は、キャブ2と、シャーシ3とを備えている。シャーシ3には、走行用エンジン46(図8参照)や、図示しない動力伝達装置などが組み立てられている。また、シャーシ3には、車輪5が取り付けられている。
【0024】
シャーシ3上には、洗浄水を貯留するタンク11と、ポンプ収容室21とが設置されている。タンク11は、シャーシ3上の前後方向の中央部に設置されている。ポンプ収容室21は、タンク11の前方側に設置されている。ポンプ収容室21内には、タンク11内の洗浄水を圧送するためのポンプ12が収容されている。
【0025】
シャーシ3上のタンク11の後方側には、支持台4が設置されている。図1および図2に示すように、支持台4上には、ターンテーブル6が鉛直軸周りに旋回自在に設けられている。ターンテーブル6上には、ホースリール15、サブホースリール16および操作盤50が設置されている。
【0026】
ホースリール15は、ターンテーブル6にフレーム31を介して取り付けられている。ホースリール15は、フレーム31により、水平軸X1回りに正逆回転自在に支持されている。後述するが、ホースリール15には、洗浄水を導くホース13が巻き付けられている(図8参照)。
【0027】
図1および図2に示すように、サブホースリール16は、ターンテーブル6にフレーム32を介して取り付けられている。サブホースリール16は、フレーム32により、水平軸X2回りに正逆回転自在に支持されている。後述するが、サブホースリール16には、洗浄水を導くサブホース14が巻き付けられている(図8参照)。
【0028】
なお、ホースリール15は、後述する油圧装置8の油圧モータ51(図9参照)により正逆回転駆動される。これにより、ホース13は、ホースリール15から繰り出されまたは巻き取られる。一方、サブホースリール16は、油圧装置8の油圧モータ52(図9参照)により正逆回転駆動される。これにより、サブホース14は、サブホースリール16から繰り出されまたは巻き取られる。
【0029】
図3は、ホースリール15を示した側面図である。ホースリール15には、ホース13が乱巻されない様にホース13を所定の方向にガイドするガイド装置90が設けられている。なお、図示を省略するが、サブホースリール16にも、サブホース14が乱巻されない様にサブホース14を所定の方向にガイドするガイド装置が設けられていることもある。当該ガイド装置は、ホース13のガイド装置90と同様の構成をしているため、説明を省略する。
【0030】
ガイド装置90は、フレーム31に回転自在に支持され、水平軸X1に平行に配置されたガイド軸91と、ホース13をガイドするホースガイド92とを備えている。ガイド軸91には、交差する螺旋状の溝91a,91bが設けられている。螺旋状の溝91a,91bは、ガイド軸91の両端部付近において連結されており、両溝91a,91bは連続している。すなわち、ホースガイド92がガイド軸91の端部に到達すると、ホースガイド92は反対側へ移動するようになっている。
【0031】
ガイド軸91の一端部には、スプロケット91cが取り付けられている。スプロケット91cは、ホースリール15のシャフト15aの端部に設けられたスプロケット15bとチェーン91dによって連結されている。このような構成により、ホースリール15が正逆回転すると、ガイド軸91も同方向に回転することとなる。
【0032】
図4はホースガイド92の一部を切り欠いて示す側面図であり、図5はホースガイド92の一部を切り欠いて示す平面図である。図4および図5に示すように、ホースガイド92は、複数の板状片によって形成された支持部材93と、2本のガイドローラ94と、2本のガイドローラ95とを備えている。
【0033】
2本のガイドローラ94は、それぞれガイド軸91(図3参照)に平行に配置されている。2本のガイドローラ94は、それぞれ支持部材93を形成する板状片93a,93bに回転自在に支持されている。また、2本のガイドローラ94は、同一水平面上おいて平行する様に配置されている(図6参照)。
【0034】
一方、2本のガイドローラ95は、それぞれガイドローラ94の上方であって、平面視においてガイドローラ94と略直交する方向に延びている。また、2本のガイドローラ95は、それぞれ支持部材93を形成する板状片93c,93dに回転自在に支持されている。また、2本のガイドローラ95も、同一水平面上おいて平行する様に配置されている(図4参照)。
【0035】
図5に示すように、2本のガイドローラ94は所定の間隔Aを空けて配置されている。また、2本のガイドローラ95も所定の間隔Aを空けて配置されている。これにより、ガイドローラ94,95により、平面視において、1辺の長さAの略正方形状の隙間Zが形成される。なお、所定の間隔Aは、ホース13の直径とほぼ等しい長さとなる様に設定されている。また、ホース13は、ホース13の外周面がガイドローラ94,95と接触する様に、当該隙間Zに挿通されている(図6参照)。これにより、ホース13は、同一水平面上において平行する様に配置された2本のガイドローラ94または2本のガイドローラ95により、鉛直方向にガイドされることとなる(図6参照)。
【0036】
また、図6に示すように、支持部材93の一部を形成する板状片93eには、ガイド96が取り付けられている。ガイド96には、ガイド軸91が挿通されている。また、ガイド96は、ガイドキー96aを有しており、ガイドキー96aは、ガイド軸91の螺旋状の溝91aまたは螺旋状の溝91b(図3参照)と係合している。
【0037】
なお、ガイド軸91と平行にガイドシャフト78が設けられている。ガイドシャフト78は、フレーム31に取り付けられている。また、板状片93eには、ガイドシャフト78を保持する様にブラケット93fが設けられている。このような構成により、ガイド軸91とガイドシャフト78によりホースガイド92が保持されている。
【0038】
このような構成により、ホースリール15が正逆回転すると、ガイド軸91も同方向に回転する。これに伴い、ガイド軸91の螺旋状の溝91aまたは螺旋状の溝91bと係合するガイドキー96aを有するガイド96がガイド軸91上を往復移動する。そのため、支持部材93に回転自在に支持されたガイドローラ94,95は、ホースリール15の回転に伴ってガイド軸91に平行な方向に往復移動する。これにより、ガイドローラ94,95に挟持されたホース13は、鉛直方向に繰り出しまたは巻き取られる様になる。また、これと共に、ホース13の巻き取り位置は、ホースリール15の回転に従い、ガイド軸91の軸方向に順次移動させられる。このようにして、ガイド装置90によれば、ホース13がガイド軸91の軸方向に順に繰り出しまたは巻き取られることとなる。そのため、ホース13を繰り出す際には、ホース13を順序よく取り出すことができる。また、ホース13を巻き取る際には、乱巻を防止することができる。
【0039】
なお、上述したように、ホース13は、ホース13の外周面がガイドローラ94,95と接触する様に、当該隙間Zに挿通されている。そのため、ガイドローラ94,95は、ホース13の繰り出しまたは巻き取りに従いガイドローラ94,95とホース13との間において生じる摩擦力により回転することとなる。そのため、ガイドローラ94,95は、いかなる素材を用いて形成してもよいが、ホース13が摩耗し難い素材を用いることが好ましい。
【0040】
また、高圧洗浄車1は、ガイドローラ94の回転数からホース13の繰り出し長さを計測する計測装置85を備えている。図7に示すように、計測装置85は、ガイドローラ94の回転数を計測するエンコーダ87と、エンコーダ87によって計測された回転数からホース13の繰り出し長さを算出する演算部88と、演算部88によって算出されたホース13の繰り出し長さを表示する表示計86と、後述するリセットスイッチ89とを備えている。表示計86とリセットスイッチ89とは、操作盤50に設けられている(図1参照)。演算部88は、操作盤50に内蔵されている。
【0041】
リセットスイッチ89は、演算部88に接続されている。リセットスイッチ89がONされると、演算部88で算出されたホース13の繰り出し長さがリセットされ、表示計86には、繰り出し長さが零であることが表示される。
【0042】
図5に示すように、エンコーダ87は、2本のガイドローラ94のうち、一方のガイドローラ94の一端部に取り付けられている。具体的には、エンコーダ87の軸87aとガイドローラ94の一端とがカップリング98を介して連結されている。なお、当該エンコーダ87が取り付けられた一方のガイドローラ94は、本発明に係る第1ガイドローラに該当し、他方のガイドローラ94は、本発明に係る第2ガイドローラに該当する。
【0043】
図4、図5に示すように、高圧洗浄車1には、2本のガイドローラ94を同期して回転させる様に両ガイドローラを連結する歯車機構97が設けられている。歯車機構97は、両ガイドローラ94の一端部に取り付けられ、それぞれのガイドローラ94と共に回転する2つの歯車99によって構成されている。両歯車99は、同寸法、同形状に形成され、係合する様に配置されている。なお、一方のガイドローラ94に取り付けられた歯車99が本発明に係る第1歯車に該当し、他方のガイドローラ94に取り付けられた歯車99が本発明に係る第2歯車に該当する。
【0044】
図1に示すように、操作盤50には、操作レバー17と、切換スイッチ18と、前述した表示計86と、リセットスイッチ89とが設けられている。後述するが、操作レバー17は、ホースリール15またはサブホースリール16を正逆回転させてホース13またはサブホース14(図8参照)の繰り出しまたは巻き取り作業を操作する操作入力手段となる。操作レバー17は、後述する方向切換弁56(図9参照)に接続されている。切換スイッチ18は、操作レバー17で操作するホースリール(ホースリール15またはサブホースリール16)を変更するためのスイッチである。切換スイッチ18は、後述する流路切換弁59(図9参照)に接続されている。
【0045】
以上が本実施形態に係る高圧洗浄車1の構成である。次に、本実施形態に係る高圧洗浄車1の水回路について図8を用いて説明する。なお、水回路は、タンク11から洗浄ノズル33または洗浄ガン35に洗浄水を供給する回路である。
【0046】
《高圧洗浄車1の水回路》
図8に示すように、高圧洗浄車1のタンク11の底部には配管61の一端部が接続されている。配管61の他端部は、ポンプ12に接続されている。また、配管61には、上流側から下流側に向かって順に、開閉弁80とストレーナ62とが設けられている。
【0047】
配管61の開閉弁80よりも下流側かつストレーナ62よりも上流側の中途部には、配管74が接続されている。配管74の端部には、開閉弁79が設けられている。配管74は、洗浄終了後に、タンク11に残った洗浄水を外部に放流するためのものである。
【0048】
ポンプ12の吐出側には、配管63の一端が接続されている。ポンプ12は、配管61を介してタンク11内に貯留された洗浄水を吸入し、高圧の洗浄水として配管63に吐出する。
【0049】
なお、ポンプ12は、プーリ42、Vベルト43、ドライブシャフト44、およびPTO(動力取出装置)45を介して、前述した走行用エンジン46に連結されている。これにより、ポンプ12は走行用エンジン46によって駆動される。また、ドライブシャフト44は、動力伝達機構47を介して、後述する油圧装置8(図9参照)の油圧ポンプ41に連結されている。
【0050】
配管63の他端は、圧力制御弁64に接続されている。圧力制御弁64には、配管65の一端が接続されている。また、圧力制御弁64は、配管71を介してタンク11と接続されている。圧力制御弁64は、主として配管63内の洗浄水を、配管65へ導くが、流入した洗浄水の圧力が所定の設定圧力よりも高い場合、その一部を配管71へ導く。このようにして、配管65へ導く洗浄水の圧力は、圧力制御弁64により所定の設定圧力以下となるように制御される。
【0051】
配管65の他端は、マニホールド70に接続されている。配管65の中途部には配管66の一端が接続されている。配管66の他端には、開閉弁67が設けられている。
【0052】
マニホールド70には、配管72および配管75の一端が接続されている。また、マニホールド70には、圧力計77が設けられている。
【0053】
配管72の他端にはホースリール15が接続されている。また、配管72の一端側には開閉弁73が設けられている。前述したように、ホースリール15にはホース13が巻き付けられている。また、ホース13の先端部には、洗浄ノズル33が着脱自在に取り付けられている。このような構成により、マニホールド70に流入した洗浄水は、配管72に導かれる。そして、開閉弁73を開くことにより、上記洗浄水は、ホースリール15およびホース13を介して洗浄ノズル33から噴射されることとなる。
【0054】
配管75の他端にはサブホースリール16が接続されている。また、配管75の中途部には開閉弁76が設けられている。前述したように、サブホースリール16にはサブホース14が巻き付けられている。また、サブホース14の先端部には、洗浄ガン35が着脱自在に取り付けられている。このような構成により、マニホールド70に流入した洗浄水は、配管75に導かれる。そして、開閉弁76を開くことにより、上記洗浄水は、サブホースリール16およびサブホース14を介して洗浄ガン35から噴射されることとなる。
【0055】
以上が水回路の説明である。次に、ホースリール15およびサブホースリール16を正逆回転駆動する油圧装置8について図9を用いて説明する。
【0056】
−油圧装置8−
図9に示すように、油圧装置8は、作動油が貯留されたオイルリザーバ53と、オイルリザーバ53内の作動油を圧送する油圧ポンプ41と、方向切換弁56と、流路切換弁59と、油圧モータ51,52とを備えている。
【0057】
オイルリザーバ53には、供給管54および回収管55の一端が接続されている。供給管54および回収管55の他端は、方向切換弁56に接続されている。また、方向切換弁56には、第1流通管57および第2流通管58の一端が接続されている。
【0058】
方向切換弁56は、第1の入状態と、第2の入状態と、切状態とに切り換え自在に構成されている。具体的には、方向切換弁56は、第1の入状態に切り換えられると、供給管54と第1流通管57とを連通させる第1連通路83と、第2の入り状態に切り換えられると、供給管54と第2流通管58とを連通させる第2連通路84とを備えている。さらに、方向切換弁56は、切状態に切り換えられると、供給管54と回収管55とが連通させられ、供給管54と第1流通管57または第2流通管58との連通は解除され、回収管55と第1流通管57または第2流通管58との連通は解除される。
【0059】
また、方向切換弁56は、第1連通路83内を流れる作動油の流量を制御する第1流量制御機構83aを備えている。第1流量制御機構83aは、前述の操作レバー17の傾斜角度に応じて第1連通路83の開口面積を変化させる様に構成されている。さらに、方向切換弁56は、第2連通路84内を流れる作動油の流量を制御する第2流量制御機構84aを備えている。第2流量制御機構84aは、前述の操作レバー17の傾斜角度に応じて第2連通路84の開口面積を変化させる様に構成されている。
【0060】
このような構成により、方向切換弁56を切り換えると、第1流通管57と第2流通管58とに流れる作動油の向きが変更される。これにより、後述する油圧モータ51,52の回転方向が変更されることとなる。また、操作レバー17を用いることにより、操作レバー17の位置に応じて、第1流通管57または第2流通管58に流れ込む作動油の流量が変化する。これにより、後述する油圧モータ51,52の回転速度、すなわち、ホースリール15によるホース13の繰り出し速度および巻き取り速度が変更されることとなる。
【0061】
第1流通管57および第2流通管58の他端は、流路切換弁59に接続されている。
【0062】
流路切換弁59は、第1〜第6ポートa〜fを備えている。第1ポートaには第1流通管57の他端が接続されており、第2ポートbには第2流通管58の他端が接続されている。また、第3ポートcには油圧配管81の一端が接続されており、第4ポートdには油圧配管82の一端が接続されている。さらに、第5ポートeには油圧配管81の他端が接続されており、第6ポートfには油圧配管82の他端が接続されている。
【0063】
流路切換弁59は、本実施形態では電磁バルブにより構成されている。流路切換弁59は前述の切換スイッチ18に接続されており、切換スイッチ18によりON状態とOFF状態とが切り換えられる。具体的には、切換スイッチ18のレバー18aを左側に回動させるとOFF状態となり、右側に回動させるとON状態となる。
【0064】
流路切換弁59は、OFF状態(非通電状態)になると第1ポートaと第3ポートcとを連通させると共に、第2ポートbと第5ポートeとを連通させる。これにより、第1流通管57および第2流通管58は、油圧配管81を介して連通することとなる。一方、流路切換弁59は、ON状態(通電状態)になると、第1ポートaと第4ポートdとを連通させると共に、第2ポートbと第6ポートfとを連通させる。これにより、第1流通管57および第2流通管58は、油圧配管82を介して連通することとなる。
【0065】
油圧配管81の中途部には油圧モータ51が設けられている。一方、油圧配管82の中途部には油圧モータ52が設けられている。油圧モータ51は油圧配管81内を流れる作動油により回転駆動される。一方、油圧モータ52は油圧配管82内を流れる作動油により回転駆動される。また、油圧モータ51は連結具51aを介してホースリール15に連結されており、油圧モータ52は連結具52aを介してサブホースリール16に連結されている。これにより、ホースリール15は油圧モータ51により回転駆動される。また、サブホースリール16は油圧モータ52により回転駆動されることとなる。
【0066】
以上が油圧装置8の構成である。次に、高圧洗浄車1の動作を説明する。本高圧洗浄車1は、洗浄ノズル33から洗浄水を噴射する洗浄ノズル噴射運転と、洗浄ガン35から洗浄水を噴射する洗浄ガン噴射運転とを選択的に実行可能である。なお、ここでは、一例として下水管100(図10参照)内を洗浄する場合について説明する。
【0067】
《洗浄ノズル噴射運転》
−ホース13の繰り出し−
まず、ホース13の繰り出し作業を行う。高圧洗浄車1が洗浄作業の現場に到着すると、図10に示すように、高圧洗浄車1をマンホール101の近傍位置に停車させる。そして、ターンテーブル6を旋回させてホースリール15をマンホール101に対峙させる。これにより、ホースリール15のホース13を下水管100に送給しやすくなる。ホースリール15の方向が決定すると、ターンテーブル6を固縛し、旋回しないようにする。
【0068】
次に、ホース13の先端に取り付けられた洗浄ノズル33を下水管100内に配置する。具体的には、切換スイッチ18のレバー18aを図9における左側に回動させて流路切換弁59をOFF状態とする。そして、操作レバー17を図9における右方向(図1では下方向)に傾倒させる。これにより、方向切換弁56は、第1入状態に切り換えられ、供給管54と第1流通管57とが連通され、回収管55と第2流通管58とが連通される。
【0069】
このような状態で、油圧ポンプ41を始動すると、油圧ポンプ41により、オイルリザーバ53内の作動油は供給管54から第1流通管57、流路切換弁59を介して油圧配管81内に流れ込む。これにより、油圧モータ51は回転駆動され、ホースリール15はホース13が繰り出される方向に回動する。このようにして、ホース13を下水管100内に配置させる。
【0070】
−洗浄水噴射−
ホース13を下水管100内に配置させた後、ポンプ12を駆動し、タンク11内の洗浄水を洗浄ノズル33から噴射する。具体的には、ポンプ12を駆動すると、タンク11内の洗浄水は、配管61を通じてポンプ12に吸い込まれる。そして、ポンプ12から吐出された洗浄水は、圧力制御弁64、配管65を通過してマニホールド70に導かれる。ここで、開閉弁73を開放すると、マニホールド70内の洗浄水は配管72およびホースリール15を介してホース13に導かれる。そして、洗浄水はホース13の先端部に取り付けられた洗浄ノズル33から噴射される。
【0071】
ここで、洗浄ノズル33は、高圧の洗浄水をホース13の先端から斜め後方に向かって噴射する様に構成されている。そのため、洗浄水が噴射されると、洗浄ノズル33およびホース13には前向きの推進力が付与される。また、上述のとおり、油圧モータ51により、ホースリール15はホース13を繰り出す方向に回転している。これにより、洗浄ノズル33は下水管100内で前進することとなる(図10参照)。このようにして、洗浄水噴射の際、ホース13は、油圧モータ51と洗浄水噴射による推進力によりホースリール15から繰り出されていくこととなる。
【0072】
−ホース13の巻き取り−
上述のようにして洗浄ノズル33は下水管100内を洗浄しつつ前進する。そして、洗浄ノズル33が所定位置まで達したところで、洗浄ノズル33から洗浄水を噴射させたまま、油圧モータ51を逆回転させる。
【0073】
具体的には、操作盤50に設けられた操作レバー17を図9における左方向(図1では上方向)に傾倒させる。これにより、方向切換弁56は、第2入状態に切り換えられ、供給管54と第2流通管58とが連通され、回収管55と第1流通管57とが連通される。このような状態で、油圧ポンプ41を始動すると、油圧ポンプ41により、オイルリザーバ53内の作動油は供給管54から第2流通管58、流路切換弁59を介して油圧配管81内に流れ込む。これにより、油圧モータ51が逆回転し、ホースリール15はホース13が巻き取られる方向に回動駆動されることとなる。
【0074】
ここで、油圧モータ51による駆動力は、洗浄ノズル33に付与される推進力よりも大きい。そのため、ホース13は、推進力に抗してホースリール15に強制的に巻き取られることとなる。
【0075】
このようにして、洗浄ノズル33から洗浄水を噴射させたまま、洗浄ノズル33をマンホール101付近まで後退させていく。これにより、下水管100内の汚泥等は、高圧の洗浄水によって後方に押し流され、マンホール101近傍に集められることとなる。
【0076】
そして、洗浄ノズル33をマンホール101付近まで後退させた後、開閉弁73を閉じて洗浄水の噴射を停止する。これにより、洗浄ノズル33に付与される推進力がなくなる。なお、このとき、操作盤50に設けられた操作レバー17の位置はそのままとし、ホース13がホースリール15に完全に巻き取られるまで油圧モータ51を逆回転させ続ける。
【0077】
上述のようにして、ホース13の巻き取りが完了したら、操作レバー17を真ん中の中立位置に戻す。これにより、方向切換弁56は、切状態に切り換えられ、供給管54と第2流通管58との連通状態が解除される。そのため、油圧モータ51には作動油が供給されなくなり、油圧モータ51の回転が停止する。これに伴い、ホースリール15の回動も停止することとなる。
【0078】
なお、ホースリール15には、ガイド装置90が設けられている。そのため、ホース13は、ガイドローラ94によって鉛直方向に繰り出しまたは巻き取りされる様にガイドされる(図6参照)。
【0079】
また、ホース13のホースリール15上における位置は、ホースリール15の回転に従って、ガイド軸91の軸方向に順次移動させられる。そのため、ガイド装置90によれば、ホース13がガイド軸91の軸方向に順に繰り出しまたは巻き取られることとなり、特にホース13を巻き取る際には、乱巻を防止することができる。
【0080】
また、ホース13を繰り出しまたは巻き取りする際、上述した計測装置85によりホース13の繰り出し長さが計測される。具体的には、計測装置85のエンコーダ87がガイドローラ94の回転数を検出し、演算部88が当該回転数からホース13の繰り出し長さを算出する。そして、演算部88によって算出された繰り出し長さが表示計86に表示される。これにより、ホース13の繰り出しまたは巻き取り作業を行う作業員は、ホース13の繰り出しまたは巻き取り作業中に、ホース13の繰り出し長さを確認することができる。そのため、好適にホース13の繰り出しまたは巻き取り作業を行うことができる。
【0081】
《洗浄ガン噴射運転》
−サブホース14の繰り出し−
まず、サブホース14の繰り出し作業を行う。切換スイッチ18のレバー18aを図9における右側に回動させて流路切換弁59をON状態とする。そして、操作レバー17を図9における右方向(図1の上方向)に傾倒させる。これにより、方向切換弁56は、第1入状態に切り換えられ、供給管54と第1流通管57とが連通され、回収管55と第2流通管58とが連通される。
【0082】
このような状態で、油圧ポンプ41を始動すると、油圧ポンプ41により、オイルリザーバ53内の作動油は供給管54から第1流通管57、流路切換弁59を介して油圧配管82内に流れ込。これにより、油圧モータ52は回転駆動され、サブホースリール16はサブホース14が繰り出される方向に回動する。
【0083】
上述のようにして、サブホース14が必要長さ繰り出されたら、操作レバー17を真ん中の中立位置に戻す。これにより、方向切換弁56は、切状態に切り換えられ、供給管54と第1流通管57との連通状態が解除される。そのため、油圧モータ52には作動油が供給されなくなり、油圧モータ52の回転が停止する。これに伴い、サブホースリール16の回動も停止する。
【0084】
−洗浄水噴射−
そして、次に、水回路内のポンプ12を始動して、タンク11内の洗浄水を洗浄ガン35まで導き、噴射する。具体的には、タンク11内の洗浄水は、配管61を通じてポンプ12に吸い込まれる。そして、ポンプ12から吐出された洗浄水は、圧力制御弁64、配管65を通過してマニホールド70に導かれる。ここで、開閉弁76を開放すると、マニホールド70内の洗浄水は配管75およびサブホースリール16を介してサブホース14に導かれる。そして、洗浄水はサブホース14の先端部に取り付けられた洗浄ガン35から噴射される。
【0085】
−サブホース14の巻き取り−
洗浄終了後、サブホース14の巻き取り作業を行う。切換スイッチ18のレバー18aを図9の右側に回動させたままとし、流路切換弁59をON状態に保つ。そして、図9に示すように、操作レバー17を図9の左方向に傾倒させる。これにより、方向切換弁56は、第2入状態に切り換えられ、供給管54と第2流通管58とが連通され、回収管55と第1流通管57とが連通される。
【0086】
このような状態で、油圧ポンプ41を始動すると、油圧ポンプ41により、オイルリザーバ53内の作動油は供給管54から第2流通管58に流れ込む。そして、第2流通管58から流路切換弁59を介して油圧配管82内に流れ込み、油圧配管82内を矢印の方向に流れる。これにより、油圧モータ52は回転駆動され、サブホースリール16はサブホース14が巻き取られる方向に回動する。
【0087】
上述のようにして、サブホース14の巻き取りが完了したら、操作レバー17を真ん中の中立位置に戻す。これにより、方向切換弁56は、切状態に切り換えられ、供給管54と第2流通管58との連通状態が解除される。そのため、油圧モータ52には作動油が供給されなくなり、油圧モータ52の回転が停止する。これに伴い、サブホースリール16の回動も停止する。
【0088】
以上のように、本高圧洗浄車1は、ホース13の繰り出しまたは巻き取り動作に伴って回転するガイドローラ94,95と、ガイドローラ94の回転数からホース13の動作量を計測する計測装置85とを備えている。そのため、本高圧洗浄車1によれば、ガイドローラ94の回転数からホース13の繰り出し長さを計測することができる。そのため、従来の高圧洗浄車のように、作業者が目盛を読むことなく、容易にホース13の繰り出し長さを認識することができる。また、ガイドローラ94の回転数によりホース13の繰り出し長さを計測するため、例えば、ホース13が乱巻されたような場合であっても、精度良く繰り出し長さを計測することができる。
【0089】
本高圧洗浄車1は、ホースリール15のシャフト15aと平行に延び、ホースリール15の回転に伴い回転するガイド軸91と、ガイドローラ94を回転自在に支持する支持部材93とを備えている。また、支持部材93は、ガイド軸91の回転に伴ってガイド軸91上を往復移動する様にガイド軸91に取り付けられている。そのため本高圧洗浄車1では、ホース13を所定方向にガイドするガイドローラ94が、ホースリール15の回転に伴ってガイド軸91に平行な方向に往復移動することとなる。これにより、ホース13がガイド軸91の軸方向に順に繰り出しまたは巻き取られることとなり、特にホース13を巻き取る際には、乱巻を防止することができる。
【0090】
本高圧洗浄車1のガイド装置90は、ガイドローラ94は、同一水平面上おいて平行する様に配置された2本のガイドローラ94を有し、ホース13は両ガイドローラ94に挟持されている。本高圧洗浄車1によれば、ホース13は両ガイドローラ94によって鉛直方向にガイドされることとなる。そのため、ガイドローラ94付近においてホース13が占める水平方向幅を抑えることができる。したがって、本高圧洗浄車1によれば、ホース13を繰り出しまたは巻き取る際にも、ホース13をコンパクトに配置することができる。
【0091】
ところで、ホース13の摩耗を抑制する観点から、ホース13は2つのガイドローラ94により緩やかに挟持されることが好ましい。しかし、ホース13をガイドローラ94に緩やかに挟持させることとすると、ホース13が一方のガイドローラ94側に偏り、ホース13と他方のガイドローラ94との間に僅かに隙間が生じてしまうことがある。このような場合、他方のガイドローラ94はホース13の繰り出しまたは巻き取り動作に伴って回転しなくなるおそれがある。また、このような場合、エンコーダ87を設けてもホース13の繰り出し長さを精度良く計測することができなくなる。
【0092】
そこで、本高圧洗浄車1は、2本のガイドローラ94が同期して回転する様に2本のガイドローラ94を連結する連結具としての歯車機構97を備えている。そのため、本高圧洗浄車1では、ホース13の繰り出しまたは巻き取り動作に伴って、ホース13を挟持する2本のガイドローラ94が歯車99によって同期して回転することとなる。これにより、上述のように、ホース13が、例えば、一方のガイドローラ94側に偏ってしまい、ホース13と他方のガイドローラ94との間に僅かに隙間が生じてしまった場合であっても、一方のガイドローラ94は他方のガイドローラ94に同期して回転する。そのため、ホース13の繰り出しまたは巻き取り動作に伴って、両ガイドローラ94が確実に回転することとなる。このことにより、一方のガイドローラ94のみに回転数を検出するエンコーダ87を設けることとしても、正確なホース13の繰り出し長さを計測することが可能となる。
【0093】
歯車機構97は、両ガイドローラ94の一端部に取り付けられ、それぞれのガイドローラ94と共に回転する2つの歯車99によって構成されている。両歯車99は、係合する様に配置されている。そのため、本高圧洗浄車1によれば、簡単な構成により2つのガイドローラ94を同期して回転させることができる。
【0094】
ホース13の繰り出しまたは巻き取り動作を操作する操作レバー17が設けられた操作盤50には、演算部88によって算出されたホース13の繰り出し長さを表示する表示計86が設けられている。このことにより、作業者は、ホース13の繰り出しまたは巻き取り操作を行いつつ、ホース13の繰り出し長さを確認することが可能となる。そのため、ホース13の繰り出しまたは巻き取り操作を容易にかつ好適に行うことが可能となる。
【0095】
なお、本実施形態では、洗浄水の噴射装置として、洗浄ノズル33および洗浄ガン35を用いていた。しかし、噴射装置はこれらに限らず、他の噴射装置であってもよいことは勿論である。
【0096】
また、本実施形態では、エンコーダ87は、2本のガイドローラ94のうちの一方のガイドローラ94に取り付けているが、2本のガイドローラ95のうちの一方のガイドローラ95に取り付けてもよい。さらに、ホースリール15のホースガイド92のガイドローラ94,95以外であって、ホース13をガイドするもののローラにエンコーダ87を設けてもよい。
【0097】
さらに、本発明に係る支持部材は、本実施形態の支持部材93の形態に限定されない。例えば、板状片を複雑に組み合わせず、箱状に形成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0098】
以上説明したように、本発明は、高圧洗浄車について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】高圧洗浄車の側面図である。
【図2】高圧洗浄車の背面図である。
【図3】ホースリールの側面図である。
【図4】ホースガイドの一部を切り欠いて示す側面図である。
【図5】ホースガイドの平面断面図である。
【図6】ホースガイドおよびホースリールの背面図である。
【図7】計測装置と表示計との関係を示すブロック図である。
【図8】水回路を示す図である。
【図9】油圧装置を示す図である。
【図10】高圧洗浄車の使用の状況を説明する図である。
【符号の説明】
【0100】
1 高圧洗浄車
6 ターンテーブル
8 油圧装置
13 ホース
15 ホースリール
17 操作レバー(操作入力手段)
33 洗浄ノズル(噴射装置)
50 操作盤
85 計測装置
86 表示計
87 エンコーダ(検出計)
88 演算部
89 リセットスイッチ
90 ガイド装置
91 ガイド軸
93 支持部材
94 ガイドローラ(第1ガイドローラ、第2ガイドローラ)
95 ガイドローラ
96 ガイド
96a ガイドキー
97 歯車機構(連結具)
98 カップリング
99 歯車(第1歯車、第2歯車)
X1 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄水を噴射する噴射装置と、先端に噴射装置が取り付けられ、前記噴射装置に洗浄水を導くホースと、前記ホースが巻き付けられるホースリールと、を備えた高圧洗浄車であって、
前記ホースの外周面と接触し、前記ホースの繰り出しまたは巻き取り動作に伴って回転すると共に、前記ホースを所定方向にガイドするガイドローラと、
前記ガイドローラの回転数から前記ホースの繰り出し長さを計測する計測装置と、を備える、高圧洗浄車。
【請求項2】
請求項1に記載の高圧洗浄車であって、
前記ホースリールの回転軸に平行に延び、前記ホースリールの回転に従って回転するガイド軸と、
前記ガイドローラを回転自在に支持すると共に、前記ガイド軸の回転に伴って前記ガイド軸上を往復移動する様に前記ガイド軸に取り付けられた支持部材と、をさらに備える、高圧洗浄車。
【請求項3】
請求項1または2に記載の高圧洗浄車であって、
前記ガイドローラは、同一水平面上において平行する様に配置された第1ガイドローラおよび第2ガイドローラを有し、
前記ホースは前記第1ガイドローラおよび前記第2ガイドローラに挟持されている、高圧洗浄車。
【請求項4】
請求項3に記載の高圧洗浄車であって、
前記第1ガイドローラと前記第2ガイドローラとが同期して回転する様に前記第1ガイドローラと前記第2ガイドローラとを連結する連結具をさらに備え、
前記計測装置は、前記第1ガイドローラの回転数を検出する検出計を有している、高圧洗浄車。
【請求項5】
請求項4に記載の高圧洗浄車であって、
前記連結具は、
前記第1ガイドローラの一端部に取り付けられ、前記第1ガイドローラと共に回転する第1歯車と、
前記第2ガイドローラの一端部に取り付けられ、前記第2ガイドローラと共に回転し、前記第1歯車と係合する第2歯車と、を有している、高圧洗浄車。
【請求項6】
請求項3に記載の高圧洗浄車であって、
前記ホースの繰り出しまたは巻き取り動作を操作する操作入力手段が設けられた操作盤をさらに備え、
前記計測装置は、前記検出計によって検出された前記第1ガイドローラの回転数から前記ホースの繰り出し長さを算出する演算部と、前記演算部によって算出された前記ホースの繰り出し長さを表示する表示計と、を有しており、
前記表示計は、前記操作盤に設けられている、高圧洗浄車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−248620(P2008−248620A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−92881(P2007−92881)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】