説明

高圧燃料タンクに据え付けられる吸収媒体

CNGまたはHで駆動される自動車において使用される高圧燃料タンクに、吸収媒体が据え付けられる。燃料ガスまたは熱交換のための吸収媒体が、所定の長さの多角形または曲線状に設けられ、および、好ましくは、ハニカム横断面の形状であって、ガス吸収媒体または熱吸収媒体がその内部に収められている。納められている組立体における開空間は、ガス循環を許容するための管またはロッドと共に構成されている。管またはロッドは、燃料タンクの半径方向または長手軸線に沿って据え付けられる。媒体ロッドおよび/または媒体管は、所定の物理的およびガス循環の関係を具備し、開いているか、または熱吸収媒体にて充填されているかのいずれかである、同様な形状をもつ隣接する体積との所定の相関関係に管を維持する。媒体を通って出入りするガス流れは、自動車の動作モードに従って決定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車燃料のための車載タンクにおける内部体積の中の据え付けに関し、高圧の圧縮天然ガス(CNG)および水素ガスの燃料において有用な吸収材料に関する。本発明に従った、吸収材料の据え付けは、単位体積あたりのタンクの燃料容量を増加させ、タンクに格納されたガスを、補給中には冷却し、運転中には暖める。
【背景技術】
【0002】
高圧ガスを燃料とする自動車、例えば、CNGまたは水素ガスを使用するエンジンまたは燃料電池によって駆動される自動車には、運転航続距離の延長が必要である。自動車の燃料ガスタンク内に据え付けられたガス吸収体は、与えられたタンク体積に対して、ガスの収容容量を増加させる。しかしながら、一般的には、吸収体は、補給中に熱を放出し、運転中には熱を吸収して、吸収体の内部のガスは放出される。高圧タンクの迅速な再充填においては、補給中に発生する熱は、短時間での再充填が試みられるとき、著しいものとなる。タンク内に据え付けるための吸収媒体構造、および高圧タンクの内部に燃料ガス吸収媒体を据え付けるための対応する方法を求める要望が存在しており、自動車の動作における様々なモード中において、タンク内のガスに出入りする熱伝達に悪影響せず、タンクの内部体積を吸収媒体と共に効率的に収めることが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0261756号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/0246122号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2007/0051423号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2007/0000563号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2007/0000562号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2007/0000561号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2007/0000016号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、タンク内に吸収媒体を据え付けること、タンクを満たすガスから熱を奪うこと、再充填中に媒体から熱を奪うこと、再充填中に媒体からタンクの外部環境へ熱を伝達すること、運転中に外部環境からタンクの内部に熱を伝達すること、自動車の動作中の再充填モードか、運転中モードかのいずれかの間に、同一の装置に前述した目的を提供すること、および前述した目的を達成しつつ、タンクの内部の媒体に効率的な組立体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明において、燃料ガス吸収媒体は、所定の長さの多角形または曲線状(例えば、円形または楕円)のロッドまたは管として設けられ、好ましくは、ハニカム(六角形)である横断面に形成され、媒体から固有に形成されたロッドとして、または媒体が収められた形成管としてのいずれかである。“管”と称してはいるけれども、本願において意図している“管”は、長さを有する円筒形状の対象物または部品を具備し、中実(ロッド)または中空であって、燃料ガスまたは熱のための吸収媒体を具備しているものである。六角形の管は、燃料タンクの半径軸線に沿って据え付けられ、またはタンクの内部に長手方向に整列され、タンクの中心軸線に沿って整列された所定の構造を有する、複数の多孔質の層状形状を具備する。媒体および/または媒体の管は、タンクの製造中に据え付けられ、開いているか、または熱吸収媒体にて充填されている、同様な形状の隣接する空間と、所定の相関関係において、ガス吸収媒体を有して延在する管を維持するために、所定の物理的な関係を具備している。形成され収容された媒体組立体の内部における開空間によれば、たとえ、本質的にタンクの内部体積の全体が、管またはロッドの組立体によって占有されていたとしても、側部公差および中央の熱交換器を除いて、タンク内におけるガス循環が許容される。本発明は、添付図面と併せて、好ましい実施形態の以下の説明によって、より完全に開示される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】高圧ガス燃料タンクと、ガス吸収媒体管と、燃料タンクの内部に半径方向に整列された開空間管との部分を示した図である。
【図2A】ガス吸収媒体管とスペーサ管とから構成された、タンクの内部について、長手方向断面図を示している。
【図2B】図2Aのタンクの中心を通る半径方向の横断面図であって、燃料タンクの内部における吸収媒体管とスペーサ管とのそれぞれの整列状態を示している。また、図2Bは、矢印「→」を含む線によって、高温(タンク管の内部)から低温(中央の熱交換器に向かう)へのタンク内のガスの循環方向を示している。この特性の熱伝達は、補給中に生じる。
【図2C】六角形のガス吸収管と、スペーサ管と、その熱流れとの関係について、一例を示した平面図である。
【図3A】タンクの長手軸線に沿って据え付けるために、層状部分に形成された、ガスおよびスペーサ要素の組立体を示している。
【図3B】図3Aに従って組み立てられた、層状のタンク部分を示した側断面図である。
【図3C】本発明に従って完全に構成/収容されたタンクシステムを示した長手方向の断面図である。タンクには、図3Bに示した層状部分が完全に収容され、長手方向に延在する中央の内部熱交換器HEX1を具備し、その中心にて、外部HEX2と相互結合されて据え付けられている。
【図4A】本発明に従った組立体の構成において有用な、スペーサおよびガス吸収管に対して、所定の空間的領域の関係にあるガス吸収管の例を示している。
【図4B】本発明に従った組立体の構成において有用な、スペーサおよびガス吸収管に対して、所定の空間的領域の関係にあるガス吸収管の例を示している。
【図4C】本発明に従った組立体の構成において有用な、スペーサおよびガス吸収管に対して、所定の空間的領域の関係にあるガス吸収管の例を示している。
【図5A】タンク内に据え付けられた、代表的なハニカム組立体を通る水素およびCNGのガス流れを示している。
【図5B】タンク内に据え付けられた、代表的なハニカム組立体を通る水素およびCNGのガス流れを示している。
【図6A】本発明において有用な、スペーサキャビティおよびガス吸収管と所定の領域関係にある矩形のガス吸収管の例を示している。
【図6B】本発明において有用な、スペーサキャビティおよびガス吸収管と所定の領域関係にある三角形のガス吸収管の例を示している。
【図6C】本発明において有用な、スペーサキャビティおよびガス吸収管と所定の領域関係にある円形のガス吸収管の例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明において、ガスまたは熱のための吸収媒体は、所定の長さの多角形または曲線状に設けられ、好ましくは、ハニカム(六角形)の断面の形状を有し、ガス吸収媒体が内部に収容されている。隣接する管のハニカム組立体が設けられ、組立体がタンクの内部体積に合致するように本質的に対応している。管は、燃料タンクの半径軸線または長手軸線に沿って据え付けられる。媒体および/または媒体の管は、タンクの製造中に据え付けられ、開いているか、またはガスまたは熱吸収媒体で充填されている、同様な形状の隣接する空間(管である場合がある)と、所定の相関関係において、ガス吸収媒体を有して延在する管を維持するために、所定の物理的およびガス循環の関係を具備している。“管”とは称されているけれども、管として参照する意図は、中実形状の吸収媒体のロッドおよびスペーサを含むものであり、好ましくは、好ましい例において、ハニカムの六角形である管またはロッドの構造を含むものである。隣接する六角形の管は、隙間の間に本質的にまったく無駄な空間を伴わずに、互いに隣接して整列される。
【0008】
本発明は、高圧ガスを格納するために、自動車のタンクを提供する。複数の長手方向に延在する管は、ガス吸収媒体を備え、タンクの軸線に沿って延びた配列において、タンク内に収容されている。ガス流れのための複数のスペーサは、内部に収容されたガス吸収媒体を備えて長手方向に延びる管と隣接し、内部熱交換器は、高圧タンクの内部の中央に配置され、熱交換器は、管によって取り囲まれる。タンクは、自動車のガス流れ熱交換システムを備えて構成される。導管回路は流路を形成し、それにより、ガスは、タンクが据え付けられた自動車の動作モードに応じた方向に、循環する。第1に、再充填モードにおいては、補給貯蔵所からのガスは、内部熱交換器に導入されて循環してから、外部熱交換器へ出てガスが冷却され、その後、ガスはタンクに入って格納される。第2に、運転中モードにおいては、ガスは、導管回路を通ってタンクから排出されて、外部熱交換器へ入り、ここで、ガスは暖められ、次に、内部熱交換器に導入されて、吸収媒体と、別な方法でタンクに格納されたガスとを暖めてから、ガスは、自動車の動力システムへの回路へ流れる。
【0009】
実施形態においては、内部熱交換器は、タンクの長手軸線に沿って、タンク内の中央に配置され、管は、熱交換器に対して垂直に配置され、管は、タンクの体積を本質的に満たして、熱交換器によってタンク内に占有された体積を取り囲むか、または、内部熱交換器は、タンクの長手軸線に沿って、タンク内の中央に配置され、管は、タンクの長手軸線に沿って配置され、タンクの体積を本質的に満たして、熱交換器によってタンク内に占有された体積を取り囲む。
【0010】
別の例においては、自動車のタンクは、複数のドーナツ形の層状の円板を具備している。それぞれの円板は、上部および下部にガス透過性の支持体を備え、これらの間に、ガス吸収媒体が収容された管またはロッドが延びた構造が配置される。管は、円板のための上部および下部の支持体の間にあるガス流れ空間に対して配列され、円板は、タンクの長手軸線に沿ってタンクの内部にて間隔を隔てている。複数の円板の例においては、内部熱交換器は、ドーナツ形状である円板の中央開口部の中に中央に配置され、熱交換器は、タンクの長手軸線に沿って延在し、タンクの内部に配置されて、熱交換器が円板によって取り囲まれる。前述した例と同様に、導管回路は、ガス流れパターンを形成し、それにより、自動車の動作モードに応じてガスが循環するもので、すなわち、i)再充填モードにおいては、補給貯蔵所からのガスは、内部熱交換器に導入されて循環してから、外部熱交換器へ出てガスが冷却され、その後、ガスはタンクに入って格納され、または、ii)運転中モードにおいては、ガスは、導管回路を通ってタンクから排出されて、外部熱交換器へ入り、ここで、ガスは暖められ、次に、内部熱交換器に導入されて、吸収媒体と、別な方法でタンクに格納されたガスとを暖めてから、ガスは、自動車の動力システムへの回路へ運ばれる。
【0011】
本発明において有用な管は、六角形/ハニカム構造にて、商業的に入手可能である。しかしながら、延在管の横断面は、多角形または曲線状の形状でもよい。管内の媒体は、圧縮天然ガスまたは水素ガスのための吸収媒体である。
【0012】
本発明は、高圧ガスで駆動される自動車の有効航続距離を増加させるもので、そのために、追加的なガスを吸収媒体の内部に格納し、必要時には、タンクの内部体積に残っている残留ガスを加熱することでガスを放出する。本発明において、加熱/冷却ガス流れ回路は、車載の自動車タンクと共同動作するように配置されている。再充填中には、再充填ガスは、インサイチュー(その場)車載タンクの熱交換器HEX1を通して循環する。再充填中にHEX1に吸収された熱は、循環する補給ガスによって、タンクの外部にある第2の熱交換器HEX2へと運ばれ、ここで、吸収された熱は、周辺温度との熱交換またはその他の冷却装置によって解消される。運転中には、システム内の熱伝達は逆転され、必要時には、熱は、外部HEX2から内部HEX1へ伝達され、再充填工程中に媒体に吸収されたガスを、解放および膨張させる。
【0013】
本発明においては、吸収媒体は、CNGまたはHで駆動される自動車で使用される、高圧燃料タンク内に据え付けられる。燃料ガスまたは熱交換のための媒体は、形成された管またはロッドとして設けられ、ガス吸収媒体または熱吸収媒体がその内部に収容され、ガス循環を許容するために組立体に構成された、開空間を備えている。開かれているか、または、熱吸収媒体で充填されている、管またはロッドは、燃料タンクの半径方向の軸線または長手軸線に沿って据え付けられ、所定の物理的およびガス循環の関係を形成する。媒体から出て、媒体に入り、媒体を通過するガス流れは、自動車の動作モードに従って決定される。
【0014】
図1に示した燃料タンク25の部分は、内部HEX1を備え、タンクの長さに沿って延在し、タンクの内部の中央に配置されている。多彩なガス吸収媒体管Tガス およびTガス と、スペーサ管Tスペーサとは、タンク内の半径方向に配置される。図1には、タンクの半径軸線および長手方向中心線CL軸線を示している。本発明において水素ガスを使用する例においては、吸収管Tガス1、Tガス2、Tガス・・・、およびTガスNは、代表的に、金属有機構造体、金属含水化合物、カーボンナノチューブ、イオン複合物などで充填されている。CNGの用途においては、代表的な吸収体は、活性炭である。自動車で使用される代表的なタンク体積は、およそ167リットルである。
【0015】
図2Aには、ガス吸収媒体管Tガス およびスペーサ管Tスペーサ (図面の凡例によって説明されている)の完全な相補から構成された、タンクの内部を示した、長手方向の中心断面図を示している。燃料タンクは、それぞれの端部にボス22aおよび22bを具備し、HEX媒体の流れおよびガスの流入およびガスのタンクからの排出のための導管が据え付けられるようになっている。図2Bは、図2Aのタンクの中心を通る半径方向の横断面であって、燃料タンクの内部にあるTガスおよびTスペーサの管のそれぞれの配置を示しており、矢印によって示すように、高温から低温へ向けて、ガスが循環して流れる。好ましくは、ハニカム構造は、一体的であり、熱交換器に構造的支持を提供する、空の中央領域を有している。図2Cは、ガス吸収管およびスペーサ管または熱吸収管の六角形の関係について、一例を示した平面図である。吸収媒体要素およびスペーサまたは熱吸収媒体要素を出入りする熱流は、矢印の付いた実線にて示している。
【0016】
図3Aは、タンクの長手軸線に沿って据え付けるために、円形の層状円板または短縮シリンダに形成された、ガス吸収およびスペーサ要素の組立体を示している。形成されたTガスおよびTスペーサの要素は、互いに隣接する所定の構造のパターンにおいて、層状の中央部分として組み立てられ(例えば、図4A、図4B、および図4C参照)、それらの頂部と底部とにおいて、多孔質(ガス透過性)の板で取り囲まれ、符号30aおよび30bにて示すように、内部HEX1を通る通路のために中央開口部31を有している。板30aおよび30bは、本質的に同一であり、タンクの横断面直径に比べて、小さい直径に対応した、円周形状を有している。組立体は、タンクの内径に比べて小さい直径を有し、タンク内壁と分割器の外径との間に、半径方向の公差を許容する。好ましくは、頂部板および底部板は、図3Bに示すように、迫り上げ縁部またはリム40aおよび40bを具備し、互いに向けて内方に対面し、六角形の媒体要素、すなわち、TガスおよびTスペーサを維持して、それにより形成された層状の円板/シリンダを互いに固定された位置関係にしている。図3Bは、層状組立体の側断面図であって、媒体とスペーサセグメントとが完全に収容された円板を示している。
【0017】
図3Cは、本発明に従って完全に構成されたタンクシステムを、中心直径に沿って示した長手方向の側断面図であって、タンク25と共に端部ボス22aおよび22bを示している。図3Cの例において、内部固定具23aおよび23bによって支持された内部HEX1は、ガス充填のためのガス流れ導管GF1を介して外部HEX2と相互に結合されている。再充填中には、Hガスは、HEX1を通って還流して熱を吸収し、そのHガスは、GF2からガスが冷却される外部HEX2まで至り;次に、冷却されたガスは、GF3を通して導入され、ガスが暖められるHEX2を介して流れる;HEX1の内部を次々に循環してタンクの内部ガスを加熱し、再充填中に先に吸収体に捕らえられたガスを解放する。従って、ガスは、自動車の動作の特定のモード中に、冷却または加熱のいずれが要求されるのかに応じて、HEX1およびHEX2を通していずれかの方向に流れる。図3Cにて説明したように、タンク25の内部体積20VOLは、複数の層状の組立体を具備し、吸収体とスペーサとの六角形が、複数の円板50a、50b、50c、・・・、50nに形成されて、タンクの中に据え付けられる。層状の円板は、円板の側縁の様々な位置に固定された、符号60にて示したブレースまたはスペーサによって、タンクの内部に支持される。また、図3Cには、HEX1と併せて、タンクボス22aおよび22bを通り抜けるガス流れGF1、GF2、およびGF3のための導管とが示されている。
【0018】
本発明は、高圧燃料ガスタンクシステムに利用される、再充填、加熱、および冷却システムの多数の構成に適用可能である。発明者が開発したそのようなシステムは、発明の名称を「High Pressure Gas Tank Cooling by Ejector Pump Circulation」とする特許文献1に、発明の名称を「Gas Flow Management Equipment for High Pressure Storage Tanks」とする特許文献2に、発明の名称を「Pressure Differential System for Controlling High Pressure Refill Gas Flow Into On Board Vehicle Fuel Tanks」とする特許文献3に、発明の名称を「Gas Cooling Method Using a Melting/Solidifying Media for High Pressure Storage Tanks for Compressed Natural Gas or Hydrogen」とする特許文献4に、発明の名称を「System for Enhancing the Efficiency of High Pressure Storage Tanks for Compressed Natural Gas or Hydrogen」とする特許文献5に、発明の名称を「Pressure Powered Cooling System for Enhancing the Refill Speed and Capacity of On Board High Pressure Vehicle Gas Storage Tanks」とする特許文献6に、および発明の名称を「Gas Cooling Methods for High Pressure Fuel Storage Tanks on Vehicles Powered by Compressed Natural Gas or Hydrogen」とする特許文献7に開示されている。
【0019】
本発明による吸収媒体および空間の構成、または形成された熱吸収媒体部分の構成は、特定の媒体のガス吸収能力と、格納することが望まれるガスの量と、ガス吸収媒体と熱吸収媒体との様々な体積の関係と、媒体セルの横断面積と長さとに従う。六角形の例においては、ハニカムセルパネルは、多数の供給者によって商業的に提供されている。横浜ゴム株式会社(日本)の一般産業用のハニカム製品の参照サイトには、表1に示したチャートが示される。ハニカムユニットは、アルミニウム箔、金、および耐腐食性のバリエーションにて、提供されている。形成されるセルサイズは、六角形における3つの対向する側面間の距離である。図5には、ハニカム組立体を通るガス流れを示しており、これも、横浜ゴム株式会社(日本)の参照サイトに提供されている。
【0020】
【表1】

【0021】
ハニカムパネルにおいては、ハニカムセルは、ハニカムコアの薄いセル壁によって精密に分割されているので、隣接するセル間における空気対流は一般的に防がれる。ハニカムユニットの開放空気容量は、ハニカム構造のコアを形成する材料の重量比である5から1パーセント(横浜ゴム株式会社(日本))と比較して、重量の単位体積あたりほぼ95から99パーセントである。アルミニウム製ハニカム部分の単位体積あたりのHの収容容量の例は、以下の通り計算される。すなわち、100リットル(H)×0.0192(キログラム/リットル)=1.92(キログラム),1.92(キログラム)÷2.7(キログラム/リットル)=0.71(リットル)+α、ここで、t=50(マイクロメータ)。この式において、2.7(キログラム/リットル)はアルミニウムの密度であり、0.71(リットル)はアルミニウムによって占有される死容積、吸収体を有するセルは50ミクロンの厚みを有する。ハニカムの製造に使用される接着剤は、同様に、小さな死容積αを有する。この見積もりから、ハニカム構造は、タンクにおいて、ほとんど体積を消費することがなく、従って、ハニカム構造を含むことによって、全体的な収容容量は実質的に影響されない。
【0022】
図4A、図4B、および図4Cは、本発明による吸収体/スペーサの組立体の構成に有用な、所定の面積関係をもったガス吸収管の例を示しており、スペーサと熱吸収媒体との断面の間の関係が、1:1(図4A)、2:1(図4B)、および5:1(4C)になっている。
【0023】
組立体において、水素ガスHは、管の長さを通って移動する。ガスの循環は、タンク内において、および吸収管(ロッド)およびスペーサ開口部または熱吸収管(ロッド)内において許容される。図2Cに示すように、熱は、セル壁を通して隣接セルへ伝導によって移動し、ガスは、別の方法で、図5に示すように、セルの長さを通って流れ、熱は、対流によって、吸収体に出入りして伝達される。セル管(ロッド)には、例えば、ペレット、粒子、または顆粒の材料などの吸収媒体が、所定の順序で収容され、または、媒体自体が、据え付けのために、中実である透過性の媒体の長さをもって形成されている。六角形の管を図示しているけれども、管は、曲線状(円形、楕円)、または図6A、図6B、および図6Cに示すように、様々な多面体形状である断面形状を有することができる。形成された媒体に隣接する開空間は、たとえば、水、ナフタリン、またはグリコール化合物などの熱吸収材料が同一の形状で収容されるように形成された媒体に対して相補的な管を具備する。吸収媒体管とスペーサとは、タンクの構築中に、タンクの内部に製造される。上述したように、高圧格納タンクは、代表的に、高圧自動車ガス格納の用途においては、強化繊維複合材から形成され、代表的に、その端部に1または複数の端部片またはボスを具備している。
【0024】
ガス流れのための設計考慮事項に応じて、一方または両方の端部には、開放可能なボスが具備され、タンク内部へのアクセスを許容し、導管を具備して、タンクに出入りするガス流れまたは冷媒流れを許容する。
【産業上の利用可能性】
【0025】
高圧CNGまたは水素ガスを燃料とする、エンジンまたは燃料電池で駆動される自動車においては、航続距離の範囲の延長が必要である。原理的に、ガス吸収体が自動車の燃料ガスタンク内に据え付けられると、航続距離は増加するが、というのは、与えられたタンク体積に対するガス格納量が増加するためである。しかしながら、実際には、吸収体は、補給中に熱を放出し、運転中には、吸収体の内部にあるガスが放出されるように、熱を吸収することが必要である。短時間での再充填を試みるとき、高圧タンクの迅速な再充填は、熱を発生させる。タンク内の吸収媒体のためには、据付構造が必要であり、それにより、自動車の様々な動作モード中において、タンク内のガスに出入りする熱伝達に悪影響せず、タンクの内部体積は、吸収媒体で効率的に満たされる。本発明によるタンクの吸収体据付けシステムによれば、再充填中には、充填ガスおよび吸収体から熱伝達し、また、自動車モードの状態(再充填または運転中)によって必要とされるのに従って、熱を吸収および放出し、また、タンク内の閉じ込められた空間を効率的に利用する熱吸収媒体の組立体を提供する。補助的およびインサイチュー(その場)熱交換システムの多くの構成と共に使用されるとき、本発明は、高圧燃料ガスシステムにおける、便利さと、再充填速度と、効率と、自動車の航続距離と、耐久性とを高める。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧燃料ガスのための収容タンクであって、
a) ガス吸収媒体または熱吸収媒体のいずれかを備え、該タンクの軸線に沿って延在するように順に配列される複数の管またはロッドと、
b) 該管または該ロッドに隣接するガス流のための複数の空間と、
c) 該タンクの内部において中心に配置され、該管または該ロッドによって取り囲まれている内部熱交換器と、
d) 該タンクの外部の外部熱交換器と、
e) ガス流回路であって、該タンクと該内部熱交換器と該外部熱交換器とに出入りしまた通過するガス流を形成し、ガスは、該タンクが据え付けられた自動車の動作モードに基づいて循環し、再充填モードにおいては、補給貯蔵所からのガスを該内部熱交換器の中に導入し、該タンク内においてガスから吸収された熱を該ガスが収納のためのタンク内に流入する前に排出する該外部熱交換器に流入させ、運転中モードにおいては、該ガス流れが自動車の動力プラントに運ばれる前に、該ガスは、該ガス流回路内の該タンクから、該ガスが暖められて該内部熱交換器に導入される該外部熱交換器へ流れ、これにより該タンク内に収容される該ガスが暖められる該ガス流回路とを備えることを特徴とするタンク。
【請求項2】
請求項1に記載のタンクであって、
内部熱交換器は、該タンクの長手軸線に沿って、該タンクの内部における中央に配置され、該管または該ロッドは、該タンクの内部の熱交換器に対して垂直に配置され、該管または該ロッドは、本質的に該タンクの体積を満たし、該熱交換器によって該タンク内に占有された体積を取り囲んでいることを特徴とするタンク。
【請求項3】
請求項1に記載のタンクであって、
該内部熱交換器は、該タンクの長手軸線に沿って、該タンクの内部における中央に配置され、該管またはロッドは、該タンクの長手軸線に沿って配置され、該管または該ロッドは、本質的に該タンクの体積を満たして、該熱交換器によって該タンク内に占有された体積を取り囲んでいることを特徴とするタンク。
【請求項4】
自動車において高圧燃料ガスを車載格納するためのタンクシステムであって、
a) 複数のドーナツ形状である層状の円板であって、該円板組立体は、上部および下部にガス透過性の支持体を備え、該支持体の間には、ガス吸収媒体か、熱吸収媒体かのいずれかを備え、分離して延在する管またはロッドの構造が配置され、該管または該ロッドは、該組立体における上部支持体および下部支持体に対して順に配列され、該複数の円板は、該タンクの内部にて、その長手軸線に沿って間隔を隔てて配置される前記円板と、
b) 前記ドーナツ形状の円板における該中心開口部の内部の中心に配置され、該タンクの長手軸線に沿って延在して該タンク内に配置され、該円板によって同軸的に取り囲まれている内部熱交換器と、
d) 該タンクの外部の外部熱交換器と、
e) ガス流回路であって、該タンクと該内部熱交換器と該外部熱交換器とに出入りしまた通過するガス流を形成し、ガスは、該タンクが据え付けられた自動車の動作モードに基づいて循環し、再充填モードにおいては、補給貯蔵所からのガスを該内部熱交換器の中に導入し、該タンク内においてガスから吸収された熱を該ガスが収納のためのタンク内に流入する前に排出する該外部熱交換器に流入させ、運転中モードにおいては、該ガス流れが自動車の動力プラントに運ばれる前に、該ガスは、該ガス流回路内の該タンクから、該ガスが暖められて該内部熱交換器に導入される該外部熱交換器へ流れ、これにより該タンク内に収容される該ガスが暖められる該ガス流回路とを備えることを特徴とするタンク。
【請求項5】
請求項1または4に記載のタンクであって、前記延在する管またはロッドの断面は、多角形および閉じた曲線形状のうちの1つであることを特徴とするタンク。
【請求項6】
請求項1または4に記載のタンクであって、
前記延在する管またはロッドの横断面は、六角形の形状であることを特徴とするタンク。
【請求項7】
請求項1または4に記載のタンクであって、
該管またはロッドの割り当て内の媒体は、圧縮天然ガスのための吸収媒体であることを特徴とする請求項1または4に記載のタンク。
【請求項8】
請求項1または4に記載のタンクであって、
該管またはロッドの比率内の媒体は、水素ガスのための吸収媒体であることを特徴とするタンク。
【請求項9】
請求項1または4に記載のタンクであって、
該管またはロッドの比率内の媒体は、熱交換媒体であることを特徴とするタンク。
【請求項10】
請求項8に記載のタンクであって、
該管またはロッドは、金属有機構造体、金属含水化合物、カーボンナノチューブ、イオン複合物、または活性炭から構成されていることを特徴とするタンク。
【請求項11】
請求項9に記載のタンクであって、
該管またはロッドは、水、ナフタリン、またはグリコール化合物から構成されていることを特徴とするタンク。
【請求項12】
請求項1または4に記載のタンクであって、
該管またはロッドの比率は、開空間を備えていることを特徴とするタンク。
【請求項13】
請求項1または4に記載のタンクであって、
前記延在する管またはロッドの断面は、六角形の形状であることを特徴とするタンク。
【請求項14】
請求項1または4に記載のタンクであって、
該タンクの内部体積は、本質的に該管またはロッド、および空間によって占有され、該タンクは、中央に長手方向に延在するキャビティを具備し、その中に、内部熱交換器が配置されることを特徴とするタンク。
【請求項15】
請求項12に記載のタンクであって、
形成媒体の内部における開空間は、熱吸収材料と共に収められた形成媒体に対して相補的である管を具備していることを特徴とするタンク。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【公表番号】特表2010−529370(P2010−529370A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−509337(P2010−509337)
【出願日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際出願番号】PCT/US2008/005980
【国際公開番号】WO2008/156528
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】