説明

高圧燃料ポンプ

【課題】シリンダおよびプランジャの滑合部の中で特に発熱が大きいシリンダの下部(低圧燃料室側端部)においては、特に流体が滞留した状態となるためにシリンダを冷却し難い。本発明の目的は、シリンダおよびプランジャの滑合部の潤滑性が高い堅牢なこの種高圧燃料ポンプを提供することにある。
【解決手段】本発明ではシリンダとポンプボディとは別部材で形成し、プランジャには、加圧室とは反対側の外周部にシリンダと滑合する部分の直径よりも径の小さな段付き部を形成し、低圧燃料室内で往復動するプランジャのこの段付き部によって低圧燃料室の体積を増減させ、低圧燃料室内と低圧燃料通路との間で燃料の流動を発生させ、この燃料の流動がシリンダを直接若しくは間接的に冷却するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は筒内噴射型内燃機関の燃料噴射弁に高圧燃料を供給する高圧燃料供給ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明が対象とする高圧燃料ポンプはシリンダに滑合するプランジャを備え、当該プランジャの先端が加圧室内で往復動することで、吸入弁機構から加圧室に導入された燃料を圧縮加圧して吐出弁機構から吐出させる。
【0003】
この種高圧燃料供給ポンプはポンプボディに加圧室が形成され、当該加圧室にシリンダの先端部が突出するタイプ(例えば国際公開WO00/47888号パンフレットや国際公開WO02/055881号パンフレットに記載されるもの)や、シリンダ内に加圧室が形成されるタイプ(例えば特開2003−49743号公報や特開2001−295770号公報等に記載されるもの)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開WO02/055881号パンフレット
【特許文献2】特開2001−295770号公報
【特許文献3】特開2003−49743号公報
【特許文献4】国際公開WO00/47888号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種高圧燃料供給ポンプでは、燃料の高圧,大容量化が進んで、例えば常時100ヘルツ(Hz)程度の高速(現在ではエンジンが1分間に6000回転する高速回転領域でのみ遭遇する条件)で往復運動させる場合、シリンダとプランジャの滑合面部の摺動による発熱によって両者の滑合面部に潤滑剤として供給される加圧燃料が欠乏し、その結果半径方向に作用するわずかな応力の発生によって両者の滑合面が焼付いたり、噛付いたりする問題が発生する可能性がある。
【0006】
焼付きのメカニズムについては種々学説があるが、滑合面の温度を降下させることが、焼付きを防止する手段の一つであることは既に知られているが、シリンダおよびプランジャの滑合部の中で特に発熱が大きいシリンダの下部(低圧燃料室側端部)においては、特に流体が滞留した状態となるためにシリンダを冷却し難いという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、シリンダとプランジャの滑合面部の潤滑性が高く、堅牢なこの種高圧燃料供給ポンプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では上記目的を達成するために、シリンダとポンプボディとは別部材で形成し、プランジャには、加圧室とは反対側の外周部にシリンダと滑合する部分の直径よりも径の小さな段付き部を形成し、低圧燃料室内で往復動するプランジャのこの段付き部によって低圧燃料室の体積を増減させ、低圧燃料室内と低圧燃料通路との間で燃料の流動を発生させ、この燃料の流動がシリンダを直接若しくは間接的に冷却するように構成した。
【発明の効果】
【0009】
このように構成した本発明によれば、ポンプ内の積極的な流体の流れを利用してシリンダを冷却することが可能となった。
【0010】
流体の流れは、プランジャの動きに対応して生じるので、プランジャの動きが遅い、すなわち発熱量が小さい作動状態では、冷却流体の流れは少なく、プランジャの動きが速い、すなわち発熱量が大きい作動状態では冷却流体の流れが大きくなる。
【0011】
その結果シリンダを効率良く冷却することが可能となり、堅牢な高圧燃料ポンプが得られた。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】高圧燃料ポンプの実施方法を示した説明図である。
【図2】高圧燃料ポンプの実施方法を示した説明図である。
【図3】高圧燃料ポンプの作動工程を示したグラフである。
【図4】各工程の高圧燃料ポンプ内燃料の流れを示した図である。
【図5】各工程の高圧燃料ポンプ内燃料の流れを示した図である。
【図6】各工程の高圧燃料ポンプ内燃料の流れを示した図である。
【図7】加圧機構部を拡大した説明図である。
【図8】冷却部を拡大した説明図である。
【図9】冷却部を拡大した説明図である。
【図10】冷却のための伝熱の式を示したものである。
【図11】シリンダの溝の拡大図と、溝通路の面積を表す投影図である。
【図12】シリンダの溝の拡大図と、溝通路の面積を表す投影図である。
【図13】吐出工程率における、冷却のための流量を示したグラフである。
【図14】高圧ポンプ回転数と、摩擦・冷却エネルギを示したグラフである。
【図15】高圧燃料ポンプを使用する燃料システムを示す図である。
【図16】シリンダの溝を増加させた場合の実施例を示す図である。
【図17】シリンダの溝を増加させた場合の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明が適用される実施例は以下の基本的構成を有する。
【0014】
ポンプボディ1に組合されたシリンダ6と、シリンダ6に滑合して往復動するプランジャ2と、ポンプボディ1とシリンダ6とで画成されると共に、プランジャ2の一端部2aが出入りする加圧室11と、プランジャ2の他端部2bが出入りすると共に、低圧燃料通路(10c,10d)に連通する低圧燃料室10gとを備え、プランジャ2は、低圧燃料室10gに出入りする部分の外周部に、シリンダ6と滑合する部分よりも直径が小さい段付き部(2a,2b)を有し、低圧燃料室10gの体積がプランジャ2の段付き部(2a,2b)の出入りによって増減することで低圧燃料室10gに低圧燃料通路(10c,10d)から燃料が流入し、低圧燃料室10gから低圧燃料通路(10c,10d)に燃料が流出するように構成されており、シリンダ6の低圧燃料室10g側端部が低圧燃料室10gと低圧燃料通路(10c,10d)との間に形成される燃料の流動に晒されるように構成されている。
【0015】
好適には、低圧燃料室10gと低圧燃料通路(10c,10d)との間の燃料流動が、シリンダ6に設けた孔若しくは溝10fを通る。
【0016】
好適には、低圧燃料室10gと低圧燃料通路(10c,10d)との間の燃料流動が、シリンダ6を取り囲む部材の何れか(ポンプボディ1あるいはシリンダホルダ7)に設けた孔若しくは溝(10f)を通る。
【0017】
好適には、シリンダ6に設けた孔若しくは溝10fが複数本設けられている。
【0018】
好適には、シリンダ6を取り囲む部材の何れか(ポンプボディ1あるいはシリンダホルダ7)に設けた孔若しくは溝(10f)が複数本設けられている。
【0019】
好適には、シリンダ6に設けた複数本の孔若しくは溝10fが、プランジャ2の中心軸に対して対称、もしくは周方向に等間隔に設けられている。
【0020】
好適には、シリンダ6を取り囲む部材の何れか(ポンプボディ1あるいはシリンダホルダ7)に設けた複数本の孔若しくは溝(10f)が、前記プランジャの中心軸に対して対称、もしくは周方向に等間隔に設けられている。
【0021】
以下図面に基づき本発明のいくつかの実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0022】
図1乃至図15に基づき本発明の第1実施例を説明する。
【0023】
図1は本発明が実施される高圧燃料ポンプの縦断面図である。図15は図1の高圧燃料ポンプを用いた燃料供給システムを示す図面である。
【0024】
燃料タンク20から低圧フィードポンプ21によって吸い上げられた燃料は、吸入配管28を通して高圧燃料ポンプ100の燃料吸入口10aに導かれる。低圧フィードポンプ21は低圧配管内28の圧力が所望の圧力になるようエンジンコントロールユニット27(以後ECUと略称する)の信号27Dによって吐出量が制御される。
【0025】
燃料吸入口10aに導かれた燃料は金属ダンパ9の設置されたダンパ室14(後述する)、吸入通路10cを通って低圧室10dへ導かれる。
【0026】
ポンプボディ1には加圧室11が設けられ、加圧室11と低圧室10dとの間には、吸入弁31および協働して燃料の吸入遮断を制御するシート32が設けられている。
【0027】
ばね33でシート32に着座する方向に付勢されている吸入弁31は、電磁駆動機構30Aによってこのばねに抗してシート32から離れる方向に向かって押し出される。この吸入弁31,シート32,ばね33,電磁駆動機構30Aによって電磁駆動型吸入弁30が構成される。
【0028】
カム5の回転によるプランジャ2の下降に伴い、加圧室11の圧力が下がるために吸入弁体31は前後の圧力差によりばね33の付勢力に打ち勝ち開弁し、燃料が加圧室11内に流入する。この燃料の流入工程中に、電磁駆動型吸入弁30に電流が与えられ開弁状態を強固にする。その後カム5が回転して、プランジャ2が上昇に転じた後の特定のタイミングで電磁駆動型吸入弁30が吸入弁31を閉じると、吸入された燃料は加圧室11内で上昇するプランジャ2によって高圧に加圧され、燃料吐出口12から高圧配管29を通り、絞り25を経てコモンレール23に圧送される。
【0029】
コモンレール23には圧力センサ26が装着されており、ECU27はこの圧力センサ26の出力を監視することで、コモンレール内の圧力変化を検出する。コモンレール23には内燃機関の各気筒に取り付けられたインジェクタ24が接続されており、ECU27からの駆動信号によってインジェクタ24は各シリンダが要求する量の燃料をシリンダ内に直接噴射する。
【0030】
27Aは電磁駆動機構30Aに駆動電流を送る電力線、27Bは圧力センサ26の検出信号をECUに伝える信号線、27Cは燃料噴射弁24に駆動電流を送る電力線である。
【0031】
図1に示す本実施例になる高圧燃料ポンプ100は、図6の破線100で囲まれた構成部品をすべて備えている。
【0032】
ポンプボディ1には加圧室11を形成する筒状凹所が形成されており、この筒状凹所に先端が突出するようにしてポンプボディ1に固定されるシリンダ6と共に加圧室11を形成している。シリンダ6にはプランジャ2が摺動可能に収容され加圧機構を構成している。シリンダ6の外周部とポンプボディ1との金属接触部が内部の燃料に対して金属シール部として機能する結果、加圧室11内で往復動するプランジャ2と上述した電磁駆動型吸入弁30、およびシート8a,吐出弁8b,付勢ばね8cからなる吐出弁機構8が協働して、加圧室内部の燃料を20メガパスカル(MPa)程度あるいは必要ならばそれ以上まで加圧することができる。
【0033】
金属ダンパ9は低圧側の燃料通路内に装着され、低圧側の燃料通路内に発生する燃料の脈動を低減する機能を有する。
【0034】
低圧側の燃料通路内に発生する燃料の脈動は、燃料の吐出量を制御するために、吸入弁31を開いたままでプランジャ2を上昇させることで、加圧室内に一端導入された燃料が低圧室10dに逆流(溢流とも言う)する際に発生する。
【0035】
電磁駆動型吸入弁30は吐出燃料量の制御機能も備えている。具体的には、カム5が回転してプランジャ2がスプリング4の力で下降状態、つまりシリンダ6内に引き込まれる状態になると、ばね33によってシート32に引き付けられて閉弁状態の吸入弁31の低圧室10d側の圧力(フィードポンプ21のフィード圧で、1.5ないし2気圧:0.15乃至0.2MPa)と加圧室11側の圧力との差圧が変化してやがて吸入弁31を開く方向に作用する力の方が大きくなり、ばね33の力に抗して、吸入弁31はシート32から離れ、開弁する。つまり、吸入弁31は流体差圧による開弁力により、ばね33の付勢力に打ち勝って、開弁できるように設定されている。吸入弁32が開弁すると低圧燃料が加圧室11内に導入される。この状態を吸入行程と呼ぶ。
【0036】
カム5がさらに回転してプランジャ2が上昇に転じるまでに、電磁駆動機構30Aに電流を供給すると電磁プランジャ30Bが吸入弁31の開弁を維持する方向に電磁力を受けてばね33を一層圧縮する。
【0037】
かくして、カム5がさらに回転してプランジャ2が上昇しても吸入弁31は開いたままの状態となり、燃料は低圧室へ逆流、つまり戻される(溢流とも呼ぶ)。この行程を戻し行程(あるいは溢流行程)と称す。
【0038】
この時、吸入通路10cへ戻された燃料により低圧通路10には圧力脈動が発生する。この圧力脈動は金属ダンパ9が膨張・収縮することで吸収低減される。
【0039】
電磁駆動機構30Aに供給されている電流が遮断されるとその時点で電磁プランジャ30Bがばね33の付勢力と吸入弁31に作用する流体の力によって吸入弁31がすばやく閉弁する。そして、この時点から、プランジャ2による燃料の圧縮作用が始まり、吐出弁8bを閉弁方向に付勢するばね8cの力より燃料の圧力のほうが高くなった時点で燃料は吐出弁8bを開弁してポンプ100の吐出口12へ吐出される。この行程を吐出行程と称す。結果的に、プランジャの圧縮行程は、戻し行程と吐出行程とからなる。
【0040】
そして、電磁駆動型吸入弁30への通電を解除するタイミングを制御することで、吐出される高圧燃料の量を制御することができる。通電を解除するタイミングを早くすれば、圧縮行程(上昇行程)中の、戻し行程の割合が小さくなり、吐出行程の割合が大きくなる。すなわち、低圧室10dに戻される燃料の量が少なく、加圧されて吐出される燃料の量が多くなる。一方通電を解除するタイミングを遅くすれば、圧縮行程(上昇行程)中の、戻し行程の割合が大きくなり、吐出行程の割合が小さくなる。すなわち、低圧室10dに戻される燃料の量が多く、加圧されて吐出される燃料の量が少なくなる。通電を解除するタイミング、すなわち燃料の吐出量は、機関の運転状態に応じてECU27によって決定され、制御される。
【0041】
ポンプボディ1には、加圧室11を形成する筒状凹所の外側に低圧通路10の一部である円筒状の通路10bが形成されており、この通路10bは円形の開口を備えている。円形の開口は、内部ダンパカバー14によって封止され、その内部には2つの金属ダンパ9は設けられている。
【0042】
かくして、ポンプボディ1に形成された燃料導入開口10a,金属ダンパ9が設けられた円筒状の通路10b,低圧室10dと連通する吸入通路10cを介して燃料は導入される。
【0043】
電磁駆動型吸入弁30はポンプボディ1と溶接により固定され、吸入弁31は加圧室11の入り口部に設置され、吸入弁シート部32を基準に加圧室11と反対側に吸入通路10cが連通する。
【0044】
ポンプボディ1にはさらに、加圧室11を形成する筒状凹所に連通する吐出弁機構8取り付け用の横型筒状凹所が形成されている。この凹所は、電磁駆動型吸入弁30取り付け用の横型筒状凹所側から吐出弁機構8が挿入できるように、吐出弁機構8取り付け用の横型筒状凹所の直径より直径が小さく設計されている。
【0045】
吐出弁機構8をこの直径の小さい横型筒状凹所に圧入固定した後、加圧室11を形成する筒状凹所の内部上端に筒状の金属リングを圧入固定し、その外周の一部が先に固定した吐出弁機構8の加圧室側端部に対向するようにして、吐出弁機構8の抜け止めの機能と、加圧室の容積を少なくして、圧縮効率を高める機能とを持たせている。
【0046】
次にシリンダ6をその先端が加圧室11を形成する筒状凹所に突出するように、ポンプボディ1の筒状凹所に挿入し、シリンダ6の外周に形成した環状のシール面が筒状凹所の開口部周囲に形成されたシール面に当接するようにして取り付ける。
【0047】
具体的にはシリンダホルダ7の外周にシールリング7Aを取り付け、次にプランジャ2の表面に摺動接触する環状のガソリンシールとオイルシールが軸方向に所定の距離を隔てて装着されたシール機構13をシリンダホルダ7の内部に装着し、プランジャ2の下端側をこのシール機構13に挿通する。次にプランジャ2の先端をシリンダに挿通しながら当該シリンダホルダ7をシリンダ6の下端外周とその周囲に突出するポンプボディ1の筒状スリーブ1Sの内周との間に装着する。
【0048】
このとき、シリンダホルダ7内周の段付き部がシリンダの下端部に当接するようその直径が設定されている。
【0049】
さらに、筒状スリーブ1Sの外周に刻設されたねじに螺合するねじを内周に備えた締付けホルダ40の内周段付き部をシリンダホルダ7の外周段付き部に当接させて、締付けホルダ40を筒状スリーブ1Sにねじ込むことでシリンダホルダ7をシリンダ6の下端に押付け、さらにはシリンダ6外周段付き部のシール面をポンプボディ1の下端シール面に押付けることで加圧室をシールする。
【0050】
エンジンへポンプを固定するための取り付け金具41を締付けホルダ40とポンプボディ1の間に共締めしポンプを固定する。
【0051】
高圧燃料ポンプ100のエンジンへの装着は、シリンダホルダ7の下端に一端が当接するスプリング4の他端をプランジャの下端に取り付けたばね受け15によって保持し、このばね受けにリフタ3を被せる。次にリフタ3の外周をガイドにして、エンジンヘッドの取り付け穴にプランジャ2の下端部分をリフタ3がカム5に接する位置まで挿入し、締付けホルダ40の外周に設けたシールリングで締付けホルダ40の外周と取り付け穴の内周面との間をシールする。最後に取り付け金具41をねじ42でエンジンにねじ止めして、締付けホルダ40をエンジンの表面に押付けて固定する。
【0052】
プランジャ2は、加圧室11の内部で往復運動して、燃料を加圧室11に吸入し、加圧室11から低圧室10dに溢流させ、燃料を加圧室内で加圧し、加圧した燃料を吐出する所謂ポンプ機能を果たす。
【0053】
加圧室11から、プランジャ2とシリンダ6との隙間を通って漏れる燃料(ブローバイ燃料と呼ぶ)は、シール機構13とシリンダ6の下端との間に形成されたシール室10gへ至る。シール室10fは、シリンダ6の外周に刻設された縦溝10f,ポンプボディ1の内周面とシリンダ6の外周面とシリンダホルダ7およびシールリング7Aとで囲まれたシリンダホルダ7の外周を一周する環状の空間10e,ポンプボディ1に貫通形成された戻し通路10dを通して吸入通路10cと連通している。これによって燃料溜り10gの圧力が、ブローバイ燃料によって異常に上昇し、シール機構に悪影響を及ぼすのを防止することができる。
【0054】
また、プランジャ2の下端部外周に設けたシール機構13は、燃料が外部に漏れるのを防止すると同時にカム5とリフタ3、リフタ3とプランジャ2の接触部を潤滑する潤滑油が加圧室11や低圧室10dなどの燃料通路に流入するのを防止している。
【0055】
また、コモンレール23が異常な高圧になることを防ぐリリーフ機構200がポンプボディ1に設けられている。リリーフ機構200はリリーフ弁シート201,リリーフ弁202,リリーフ押さえ203,リリーフばね204から構成され、吐出弁機構8の下流と吐出口12との間の高圧通路から分岐して吸入通路10cに至るリリーフ通路内210,211の中に配置されている。コモンレール23を含む高圧燃料通路の圧力が異常高圧になろうとするとリリーフ弁201にその圧力が伝わり、リリーフ弁201がリリーフばね204の力に抗してリリーフ弁シート201から離れ、異常高圧を吸入通路に逃がすことで、高圧配管29やコモンレール23の損傷を防ぐ。なお、絞り214を介して異常高圧が伝わるように構成しているので、吐出時に発生する極短期間の高圧状態ではリリーフ弁202は開かない。これによって誤動作が防止される。
【0056】
ここで、プランジャ2が大径部と小径部とを有することについて説明する。プランジャ2はシリンダ6と摺動する大径部2aと、プランジャシール13と摺動する小径部2bからなる。小径部2bの直径は大径部2aの直径より小さく設定されており、互いに同軸に設定されている。本実施例の場合、大径部2aの直径は10mm、小径部2bの直径は6mm
に設定されている。このようにプランジャに大径部と小径部とを設けることにより、次のような幾つかの長所がある。一つは低圧側圧力の脈動低減である。プランジャの上下運動に伴って発生する脈動の内、電磁駆動型吸入弁30より上流側に発生する圧力脈動を低減することが出来る。この電磁駆動型吸入弁30より上流側に発生する圧力脈動は、ノイズの原因にもなり得ること、フィードポンプ21の耐久性を悪化させること、低圧配管28自体の耐久性を悪化させること等、各種性能への悪化要因である。二つ目の長所はプランジャシール13を小型にできることである。小型化故の長所は、プランジャとの燃料シール長が短くなるため、シールからの漏れ量をより低減できること、プランジャとの摩擦熱を低減できること、軽量化,安価等の長所がある。
【0057】
以下、一つ目の長所である、プランジャ2を大径部2aと小径部2bにより構成することで低圧側の圧力脈動を低減するメカニズムについて、図3,図4,図5,図6を用いて説明する。
【0058】
図3は、ポンプが一往復する時の工程と、電磁吸入弁であるソレノイドの動きとを簡単に説明する、横軸を時間としたダイアグラムである。
【0059】
[吸入工程]
時刻TTにおいて、プランジャ2は上死点、すなわち加圧室の容積が最も小さい状態、かつシール室の体積は最も大きい状態にある。カムの回転に伴い、スプリング4の圧縮反力によって、プランジャ2は下降を始める。プランジャ2が下降を始めると、加圧室11の容積の増大により、加圧室11の圧力は減少し、電磁駆動型吸入弁30内の圧力との差によって、吸入弁体31はスプリング33の付勢力に打ち勝って開弁する。この吸入工程において、加圧室11に流入する燃料は、吸入口10aからのものだけでなく、プランジャ2の動きによるシール室10gの体積減少分による燃料も含まれる。プランジャ2の大径部の直径をφd1、小径部の直径をφd2、プランジャの移動速度をvpとすると、加圧室に流入する燃料=φd12×vpのうち、(φd12−φd22)/φd12×vpの燃料が、燃料通路10dを通過して流入し、φd22/φd12×vpの燃料が吸入口10aから流入する。本実施例では、大径部が10mm、小径部が6mmのため、(100−36)/100×vp=64/100×vpの流量がシール室10gから、36/100×vpの燃料が吸入口10aから流入することになる。
【0060】
次の戻し工程,吐出工程に備え、時刻T1においてECU側から、電磁駆動型吸入弁30に電流が送られ、その電流がソレノイド30bにより吸入弁31を開弁する側に力を付勢し、開弁状態を強固にする。
【0061】
[戻し工程]
時刻TBにおいて、プランジャ2は下死点、すなわち加圧室11の容積が最も大きい状態、かつシール室10gの体積は最も小さい状態にある。カム5の回転に伴い、プランジャ2は上昇を始める。プランジャ2が上昇を始めると、加圧室11の容積の減少に伴い、加圧室11の燃料は吸入工程と全く逆の方向に移動をする。すなわち加圧室の燃料は、吸入口10aに戻されるだけでなく、プランジャの動きによるシール室10gの体積減少分により、燃料通路10dを通って、シール室10gにも戻される。
【0062】
吸入工程と同じ考えで、プランジャ2の大径部の直径をφd1、小径部の直径をφd2、とすると、加圧室11から流出する燃料=φd12×vpのうち、(φd12−φd22)/φd12×vpの燃料が、燃料通路10dを通過してシール室11gに戻り、φd22/φd12×vpの燃料が吸入口10aへ戻される。本実施例では大径部が10mm、小径部が6mmのため、(100−36)/100×vp=64/100×vpの割合の流量がシール室10gへ、36/100×vpの燃料が吸入口10aへ戻されることになる。
【0063】
[吐出工程]
ECU27において、所望の吐出流量を得られるべく、時刻T2が計算され、時刻T2に電磁駆動型吸入弁30に与えられる電流は遮断される。時刻T2まで電磁力によって付勢され開弁していた吸入弁体31は、スプリング33の圧縮反力と、吸入弁体31とシート32とを通過する流体の力とによって閉弁を開始する。完全に閉弁を終了した後、加圧室内はプランジャの上昇による加圧室内体積の減少により圧力が上昇し、吐出弁8aを押し出し吐出工程となる。吐出工程は、プランジャ2が上死点となるまで継続する。
【0064】
この吐出工程において、シール室10gの体積は増大する。このシール室10gの体積の増大に伴い、燃料が吐出口10aからシール室10gに流入する。吐出流量は、φd12×vpであり、一方このシール室10gへ流入する流量は、(φd12−φd22)/φd12×vpの流量が流入する。本実施例では、大径部が10mm、小径部が6mmのため、(100−36)/100×vp=64/100×vpの流量が吐出口10aからシール室へ流入する。
【0065】
ここで、注目すべきは、吸入工程,戻し工程,吐出工程の、いかなる工程においても、すなわち、ポンプが作動している全ての状態で、通路10dには、(φd12−φd22)/φd12×vpの流量が流れていることである(図13参照)。本実施例では、大径部が10mm、小径部が6mmのため、(100−36)/100×vp=64/100×vpの流量が、すべての工程でどちらかの方向に流れを持っている。
【0066】
本発明の実施例の特徴は、この通路10dに流れる、(φd12−φd22)/φd12×vpの流量を、ポンプの摺動部であるプランジャとシリンダとに発生する摩擦熱を奪うために利用することである。
【0067】
摩擦熱を奪う冷却機能の説明の前に、この低圧通路10dの、通路としての必要な面積について説明する。
【0068】
本低圧通路10dには、上に説明した如く、常に多量の燃料が流れることになる。そのため、通路面積が小さいと、シール室10gの燃圧脈動が増大する問題が起こる。シール室10gの燃圧脈動の増大は、次のような問題を起こす。
【0069】
1つは燃料が気化してしまう問題である。通常低圧通路系は0.4MPa(ゲージ圧)程度の圧力に制御されているが、燃圧脈動として例えば±0.4MPa程度の燃圧変化がある場合、小さい側は0MPaと大気圧レベルの圧力となってしまう。この時、50℃程度の温度で燃料が気化してしまうことになる。燃料の気化は、シリンダ6とプランジャ2間の摺動に必要な燃料の油膜形勢を妨げ、潤滑不良の問題となる。
【0070】
また、この気化した燃料が一部液化しながら電磁駆動型吸入弁30まで到達する場合、急激な体積変化により吐出流量制御が不安定になる問題も起こる。
【0071】
また、この気化した燃料が気化したまま加圧室11に到達した場合、十分な加圧ができなくなり、ポンプの性能を出すことができない。
【0072】
気化は、燃料通路を構成する部品にキャビテーションによって壊食を引き起こす可能性もあり有害である。
【0073】
2つは、プランジャシール13が磨耗する問題である。また、燃圧脈動によりプランジャシール13に加わる力の変動が増大することになり、プランジャシール13とプランジャ2との摺動面圧が増大し磨耗を促進させることになる。
【0074】
このような問題が起きぬよう、低圧通路10dの面積を確保することが必要条件となる。本実施例では、シール室の燃圧脈動が0.1MPa以下となるよう面積を確保している。
【0075】
低圧通路10dについて、必要な面積を確保するためには、通路が一つでは部品構成上、スペースが確保し難い場合がある。また確保しようとすると部品を大型化する必要がある場合がある。ここで、通路を複数にする長所について述べる。本実施例では、シール室10gから吸入通路10cへの連通路として、一部を通路10dとして、一部を複数通路である10fとして構成した。低圧通路10fを複数にすることにより、下記の長所がある。
【0076】
1つはスペースを小さくできることである。必要な通路面積が決まっている場合、本実施例のように、ポンプ中心にあるプランジャ2の周囲に通路を形成する場合、一本の場合と比較し、一本の場合より小さい径の通路を二本,三本と構成した方がスペース上有利であり、ポンプ外径を小さく構成することができる。しかし、通路面積あたりの通路壁面の面積は増加し圧力損失も増加することを加味し合計面積を増加させる必要がある。
【0077】
2つめの長所はプランジャ2に作用するサイドフォースの低減である。本シール室に流出入する流量は、比較的大きいために、シール室からの通路が一箇所のみの場合、シール室の通路が連通する箇所近傍の圧力脈動が大きくなる。すなわち、プランジャ2bを基準に考慮すると、プランジャ2bが囲まれている燃料のうち、プランジャ2bの、ある片方の燃料のみ、圧力が上昇し、反対側の燃料の圧力は減少する場合がある。この場合、プランジャ2bは片方に押し寄せられることになり、すなわちプランジャ2aにサイドフォースが発生し、シリンダ6との摺動を悪化させる要因となる。
【0078】
前記サイドフォースを低減するために、本シール室10gから2箇所の低圧通路10fを対称に構成することにより、多少の燃圧脈動が発生しようとも、プランジャ2bの、軸を通るある断面を考慮した場合、プランジャ2bの周囲で180度対向する位置の片方の側面と反対の側面との圧力差は比較的小さいと考えられる。
【0079】
3つめの長所はシリンダの冷却効果が良くなることである。詳しくは後述するが、シリンダとの流体が接触する面が増加することで、冷却効果が良くなる。
【0080】
ところで、シール室10fの体積について説明する。一般的に容積が大きい方が、脈動が小さくなるために大きい方が良いことは言うまでもない。しかしスペース上の制約もあるため、本実施例では、1プランジャ動作工程の流出入流量(φd12−φd22)/φd12×1動作工程の動作距離の5倍以上の体積としている。
【0081】
以下、加圧機構の動作とその課題をさらに詳細に説明する。図8,図9は加圧機構部の拡大図、図7はプランジャ2とシリンダ6との隙間を解り易くするために、意図的に大きく示した図であり、力の作用も示したものである。
【0082】
プランジャ2の上昇行程において電磁駆動機構30Aの通電を断って、吸入弁31を閉弁すると、加圧室11内は、燃料の加圧行程に入る。加圧行程となると、加圧室11内の燃料は急速に圧縮,加圧される。加圧室11内が加圧され高圧になると、プランジャ2には、圧縮反力として、加圧室11とリフタ3にはさまれる形で、プランジャ2の軸方向に力Fpが作用する。外径φdのプランジャ2は内径φDのシリンダ6に対して、例えば10μm程度の直径隙間(φD−φd)を有しているため、直径隙間分、プランジャ2はシリンダ6に対して傾かざるを得ない。プランジャ2の傾きは、前記圧縮反力の横力成分Fps1,Fps2を生じる。また、プランジャ2とリフタ3との接触点では、横力成分Fps3が作用する。プランジャ2の横力成分Fps1,Fps2はシリンダ6の内面およびプランジャ2の外面に負荷され、プランジャ2とシリンダ6との間の摺動面圧が上昇する。
【0083】
燃料圧力がより高圧に設定されると、前記圧縮反力Fpはより大きくなり、すなわち前記横力成分Fps1,Fps2も増加し、前記摺動面圧は増加する。前記摺動面圧の増加の問題点として、摺動部の油膜が確保できなくなり、摺動性が悪化するという問題がある。また、摺動面圧の増加により、プランジャ2とシリンダ6との相対運動による発生する摩擦熱が増加し、摺動部において、沸点が低く揮発性の高い燃料が気化し易くなり、燃料の気化は、油膜喪失の要因になり得るため、摺動性の悪化を加速させる。
【0084】
プランジャに作用する横力成分Fps1,Fps2,Fps3は、力の釣り合いを考えた場合、
Fps2=Fps1+Fps3
であり、シリンダ上端部に作用する力Fps1よりも、シリンダ下端部に作用するFps2の方が大きいことが分かる。すなわち、摩擦熱の最も発生する場所は、シリンダ下端部だと言える。
【0085】
上記の摺動性悪化の問題を解決するために、本実施例では、最も摩擦熱の発生するシリンダ下端の部位に、積極的な流れ持つ流体を作用させ、摩擦熱の発生を低減する燃料通路を構成する。具体的には、摩擦熱の発生するシリンダの下端部外周部に溝10fを設け、この溝10fが通路10dと連結するように通路を構成する。
【0086】
プランジャ2とシリンダ6との摺動による摩擦熱は定量化することは困難である。しかし、プランジャ2とシリンダ6とが摺動することにより、ある条件で凝着するという事実があるということは、現に、凝着部近辺では、数百度の温度に達することは明らかである。一方、燃料の温度は通常の運転状態では、常に燃料タンク20より外気温程度の温度の燃料がポンプへ送られてくるため、この数百度の温度よりは明らかに低い温度の燃料がポンプ内に存在することになる。また、本実施例での燃料はガソリンであり、シリンダ6下端部の燃料圧力0.4MPaおける沸点、約110℃を考慮すると、高く想定してもポンプの性能が出ている点より、沸騰していないと考慮すると、110℃以下の燃料が存在している。
【0087】
このように、燃料温度は明らかに、摩擦熱の発生しているプランジャ2とシリンダ6との温度より低いため、プランジャ2とシリンダ6との摺動による摩擦熱を奪うことができる。
【0088】
図12はシリンダ6に構成した溝6aの拡大図と、発生した摩擦熱を奪う熱量Qの式である。
【0089】
一般に、伝熱量Qは、シリンダ6の温度Tbと燃料の温度Taとの温度差に比例、流速の4/5乗に比例、溝幅に比例して増大する。
【0090】
Q=a×ΣB×V4/5×|Tb−Ta|
a:定数、B:溝の幅(ΣB:各溝幅の合計)、V:流速、Tb:シリンダの温度、 Ta:流体の温度
ここで重要なのは、摩擦熱の大きい、すなわちポンプの動作が速い条件下では、流体の速度が大きいために、流体の速度に比例(数式上厳密には4/5乗に比例)したエネルギを奪うことができることである(図14参照)。本発明では、プランジャが、大径部小径部を持つことにより発生する積極的な流体の流れを冷却に利用するものである。このような一般的な伝熱式でも分かるように、流体の速度が熱量を奪うことが明らかである。
【0091】
溝の幅Bについては、後述するが、伝熱上、幅が大きい方が望ましい。ところが、幅を大きくすると、通路面積が大きくなり、流速が減少するために伝熱の効果がほとんど見込まれなくなる。その場合は、通路面積自体は変化させることなく、溝幅を大きくすれば良い。すなわち、Bを大きくするが、高さHを小さくすれば流速が減少することは無く、伝熱量を増大させることができる。
【0092】
従来のプランジャが大径部,小径部を持たない構造のものでは、プランジャの作動によってシール室の体積変化が無いために、シリンダに本実施例のような通路を構成したところで流体の速度はほとんど無いために効果は少ない。
【実施例2】
【0093】
冷却効果を増加させるために、シリンダ6の溝10fの数を増加させる方法がある(図16,図17)。前記(1)式のBを増加させることで冷却熱量を増加させる。流速が落ちないよう、m寸法を小さくすれば良い。このことで、冷却性能を向上させるばかりか、プランジャ周りの圧力分布が均一となり、プランジャに発生するサイドフォースが小さくなり、プランジャ2とシリンダ6との焼付きの防止を助ける。
【実施例3】
【0094】
図示しないが、シリンダ6自体に溝10fを形成しなくとも良い。シリンダを包囲し支持するシリンダホルダ7に溝10fを形成しても良い。摩擦熱を発生させる箇所から冷却面が遠ざかる場合もあるが、一般にシリンダ部材は剛性が高く、加工し難いため、シリンダを取り囲む部材に加工を施しても良い。加工が容易となるメリットがある。
【実施例4】
【0095】
本実施例では、シリンダに溝10fを形成し、積極的に流体を発熱体であるシリンダに作用させ冷却降下を狙ったが、このような溝10fを形成しなくとも、シリンダ下面に流体が流動するのであれば、シリンダ下面をフィン形状で構成し発熱体であるシリンダを冷却することも可能である。但し摩擦面近傍を通過させるよりは効果は小さい。
【0096】
以上の実施例1乃至4に拠れば、シリンダに滑合するプランジャを高速で駆動しても滑合部が焼付いたり、噛付いたりしない高圧燃料ポンプを提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
流体を圧送するプランジャ式ポンプであれば、筒内噴射型内燃機関の高圧燃料ポンプばかりでなく、水ポンプ,油圧ポンプ,ディーゼル車用のポンプ等にも適用が可能である。
【符号の説明】
【0098】
1 ポンプボディ
2 プランジャ
3 リフタ
4 スプリング
5 カム
6 シリンダ
7 シリンダホルダ
8 吐出弁機構
9 金属ダンパ
10 低圧通路
11 加圧室
30 電磁駆動型吸入弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプボディに組合されたシリンダと、
シリンダに滑合して往復動するプランジャと、
前記ポンプボディと前記シリンダとで画成されると共に、前記プランジャの一端部が出
入りする加圧室と、
前記プランジャの他端部が出入りすると共に、低圧燃料通路に連通する低圧燃料室とを
備え、
前記プランジャは、前記低圧燃料室に出入りする部分の外周部に、前記シリンダと滑合
する部分よりも直径が小さい段付き部を有し、
前記低圧燃料室の体積が前記プランジャの段付き部の出入りによって増減することで前
記低圧燃料室に前記低圧燃料通路から燃料が流入し、当該低圧燃料室から前記低圧燃料通
路に燃料が流出するように構成されており、
前記シリンダの前記低圧燃料室側端部が当該低圧燃料室と前記低圧燃料通路との間に形
成される燃料の流動に晒されるように構成されており、
前記低圧燃料室と低圧通路との間の燃料流動が、前記シリンダに設けた孔若しくは溝を
通り、
前記シリンダに設けた孔若しくは溝が複数本設けられており、
前記シリンダに設けた複数本の孔若しくは溝が、前記プランジャの中心軸に対して対称
、もしくは周方向に等間隔に設けられている
高圧燃料供給ポンプ。
【請求項2】
請求項1に記載のものにおいて、
前記孔若しくは溝が、前記シリンダの周囲に沿う方向の幅(B)よりも中心軸線から放
射方向の寸法(Hあるいはm)の方が小さく形成されている
高圧燃料供給ポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−163111(P2012−163111A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−126672(P2012−126672)
【出願日】平成24年6月4日(2012.6.4)
【分割の表示】特願2008−279043(P2008−279043)の分割
【原出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】