高域通過2次元梯子形共振器
高域通過2次元梯子形回路が高磁場MRIおよび証明書用途に関連して記載されている。回路の最大値の次位の固有値は共振器平面の上方において良好な空間的均一性を備えたB1磁場を発生させるノーマルモードに対応する。更に、その他の固有値は特定のイメージング用途のために使用されても良い。その最も基本的な形態において、梯子形回路は、アレイの各エレメントが各共振器に沿った1以上のポイントにおいてキャパシタCによって接合され、自己インダクタンスLを有する少なくとも1つの導電性ストリップによって代表される誘導結合共振器の集合体である。誘導結合高域通過2次元梯子形回路共振器アレイの強力な結合の限度内では、当該アレイは磁気共鳴映像法において使用される従来の直交B1磁場を発生させるために使用され得る高周波共振モードを生成し、微弱またはゼロ結合の限度内ではパラレルイメージング用途に適したフェーズドアレイに適応する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジオ周波共振器に関し、より詳細には、梯子形回路ラジオ周波共振器に関する。
【背景技術】
【0002】
[関連した特許出願に関するクロスレファレンス]
本件特許出願は、2005年4月15日付けで出願された米国仮出願60/671,597号の恩恵を請求するものであり、その全ての開示内容は、全体として本文に組み込む。
【0003】
[連邦政府による資金提供を受けた研究開発であることの記載]
本発明は、認可番号RO1EB02070の米国バイオメディカル・イメージングおよびバイオエンジニアリング研究所(National Institute of Biomedical Imaging and Bioengineering)によって資金提供を受けた研究に由来したものである。米国政府は、本発明に対して所定の諸権利を有し得る。
【0004】
磁気共鳴映像法(MRI)は、医学的研究、医学的診断等のような目的のために、身体(例えば人体、動物等)の内部の高解像度画像を生成するのに使用される。それらの画像は、電磁スペクトルではラジオ周波領域におけるエネルギーの吸収および放出に基づいて生成される。
【0005】
典型的には、磁気共鳴映像法は、患者を定常的な磁場B0の中に患者を配置することによって実行される。そこで、ラジオ周波励起パルス(B1磁場)が患者に対して送出される。励起パルスは、水素原子核の磁気モーメントにエネルギーを与える。その励起パルスの除去と同時に、その核のモーメントは、それらが吸収したエネルギーを放出して、定常的な磁場B0に従った再配列を開始する。この再配列期間中に、核モーメントは、その核が存在していた磁場および特定の化学的環境の特性に対応するラジオ周波信号を放出する。
【0006】
1つのRFコイルは、励起パルスを送出し核からの信号を受信してもよいし、その、両方に使用されても良い。また、その代替として、1つのRFコイルが励起パルスを送出するために使用され、別のコイルが核からの信号を受信するために使用されても良い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
マルチエレメントラジオ周波共振器のデザインは、身体の表面近傍における解剖学的構造に対し優れた感度を提供するものであり、パラレルイメージング用途に対し有用である。マルチエレメントラジオ周波共振器のデザインの1つの形式として、2次元梯子形回路共振器が知られている。2次元梯子形回路共振器に間する全般的な課題は、適切な境界条件を備えて振動する機械的な薄膜の問題に密接に関連することが知られている。この問題は、対象とする構造のメッシュに関するキルヒホフの電圧方程式に対して再帰的な関係を書き下すことによって、最も容易に解決される。固有値の分散関係が周波数スペクトルを付与する。その一方で、固有関数がメッシュの電流値を表している。その固有関数からB1マップを直接計算することができる。
【0008】
マイヤーその他(Meyer et al)は、低域通過2次元梯子形回路の具体例を提示している(特許文献1,2)。その低域通過2次元梯子形回路は、円偏波型磁気共鳴イメージング用の二重に縮退した均一モード(ホモジニアスモード)を提示する。更なる詳細は、バロンその他(Ballon et al)の「2次元梯子形回路共振器(Two Dimensional Ladder Network Resonators)」という表題の記事(非特許文献1)と、マイヤーその他の記事(非特許文献2)において見出され得るものであり、それらの内容は、引用として本文に組み込む。
【特許文献1】米国特許第5,515,855号
【特許文献2】米国特許第5,682,893号
【非特許文献1】バロンその他(Ballon et al)、「2次元梯子形回路共振器(Two Dimensional Ladder Network Resonators)」、磁気共鳴ジャーナル(Journal of Magnetic Resonance)のシリーズA 111、23−28(1994年)
【非特許文献2】マイヤーその他、「人体頭部のMRIに関する3×3メッシュの2次元梯子形回路共振器(A 3×3 Mesh Two Dimensional Ladder Network Resonator for MRI of the Human Head)」、磁気共鳴ジャーナルのシリーズB 107、19−24(1995年)
【0009】
低域通過型構造の主要な不都合のうちの1つは、これらの構造によると、最も均一な結果を与えるノーマルモードの固有値が最も低い周波数にあるという事実によって、より高い磁場の適用が制限されることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、高域通過2次元梯子形回路共振器を提示する。その最も基本的な形態において、高域通過2次元梯子形回路は、各エレメントが、各導電性ストリップに沿った1つまたはそれ以上のポイントにおいて数値Cを有するキャパシタによって接合される長方形の形状、円形の形状等(例えば、ドーム型の形状、台形の形状等)を取り、自己インダクタンスLを有する複数の導電性ストリップで代表されるようにした、誘導結合共振器の集合体である。
【0011】
回路の最大値から次位の固有値は、共振器平面上において良好な空間的均一性を備えたB1磁場を発生させるノーマルモードに対応する。誘導結合2次元共振器アレイの強力な結合の「固有モード」限度内では、当該アレイは、従来の直交B1磁場を発生させるために使用できる高い周波数の共振モードを生成するが、微弱またはゼロ結合モード限度内では、パラレルイメージング用途に適した周知のフェーズドアレイとなる。
【0012】
高域通過2次元梯子形回路共振器構造は、その構造が様々な用途において使用できるよう形成することができる。MRI用途のための形状としては、ブランケット形式のコイル、マイクロコイル、身体用コイル、体内コイル、動物用コイルおよび頭部コイルを含む円筒状コイル、手用コイル、足首用コイル等のような特殊コイルとを含む。また、その構造は、証明書カードの用途においても使用できる。
【0013】
MRI用途に関連しているかまたはそれとは無関係であるかに関わらず、誘導結合高域通過2次元梯子形回路共振器アレイの構造は、画像を形成するために使用される全ての基底関数を再編成するために使用することができる。アレイ構造の共振モード(すなわち固有関数)の集合体は、それらによっていくつかの適切に作用する関数が構造全体にわたって近似させる関数の完全セットを形成する。これらの関数は、実際の画像のフーリエ成分として示されることができる。画像を再現する工程は、共振モードの固有関数に対応するフーリエ係数の大きさにその振幅を設定した各共振モードでアレイを励起させることを含む。アレイ構造における振幅は記録される。アレイ構造のその振幅はフーリエ係数に対応する。フーリエ変換は、記録された振幅を使用して計算され、その結果として、画像が作成される。全ての共鳴モードが一度に(すなわち、並行して)或いは逐次的に迅速に前記アレイ構造が励起されるならば、そのアレイ構造は、イメージングデバイスとして使用できる。
【0014】
本発明のその他の様相および利点は、添付の図面と共に考慮される場合、後続の詳細な説明から更に明瞭になる。
【0015】
本発明は、特定の好適な実施例に関連して説明されるが、それらの実施例に限定するよう意図していない。それどころか、特許請求の範囲の各請求項によって規定される本発明の精神および適用範囲内に含まれる全ての代替、修正および同等物をカバーするよう意図されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、最大値の次位の固有値が共振器平面より上において良好な空間的均一性を備えたB1磁場を発生させるノーマルモードに対応する高域通過2次元梯子形回路を提供する。従って、それはイメージング用途およびセキュリティ用途に適したB1プロフィールを備えた直線または直交動作のために利用され得る。
【0017】
ここで、同じ参照番号が同様なエレメントを指し示している図面を参照して、本発明の実施例を図1に示す。図1に高域通過2次元梯子形回路20が、誘導結合共振器の5×5が集合体として示される。それらの共振器は、誘導的にのみ結合し、共振器の間では如何なる共通脚部をも共有していないが、他の共振器に対して部分的にオーバーラップしていても良い。図1における各共振器22は、各コーナーで数値Cを有する静電容量を有しているキャパシタ26によって接がれ、自己インダクタンスLを有する導電性ストリップ24として示されている。幾つかの用途では、その静電容量値は、回路20内において不均一であっても良く、或いは各個別の共振器に沿って様々なポイントに配置されても良く、或いは各共振器に沿って少なくとも1つであっても、または4つ以上のポイントに配置されても良い。キャパシタ26が正方形の形状の共振器の回りに配分されるときには、近傍の対象に対する静電結合は、単一のキャパシタの場合と比較して、更に制限される。各共振器の寸法は、共振器のアレイの、その他の共振器と同じ寸法である必要はない。
【0018】
共振器の形状は図1では長方形の形状として示されているが、その形状は、例えば、それに限定されることなく、ドーム型形状、台形形状、三角形の形状等の任意の形状であっても良い。例えば、図2は、誘導結合平面状5×5正方形メッシュの高域通過2次元梯子形回路共振器のプロトタイプの斜視図を示している。図3は、頭部イメージング用である誘導結合高域通過2次元梯子形回路共振器30のプロトタイプの斜視図である。図3のプロトタイプは、各端部が共振器の脚部の中央或いはその近傍に配置され、各端部間にチューニング用キャパシタ28を備え、導電性ストリップがヘルメット32に対して取付けられるようにした、シングル型導電性ストリップを示している。更に、図3のプロトタイプは、共振器の様々な寸法および形状をも示している。医療施設のMRラボにおいて使用される頭部用共振器(すなわち製品としての頭部用共振器)は、トリムキャパシタ28の代わりにキャパシタ26を使用するものであり、その共振器エレメント22は、共振器エレメント22を継続的なハンドリングから保護するに足る十分な強度の誘電体でカバーされる。頭部用共振器30のヘルメット32は、様々な寸法を有する。例えば、それは新生児用、小児用、および大人サイズの頭部用として大きさを設定される。
【0019】
図2のメッシュにおける電圧に関するキルヒホッフ方程式は、再帰的な関係を導く。その再帰的関係は、以下のように書くことができる。
【数1】
ここで、定数κおよびαは、それぞれ平行な脚部を有する最も近隣同士間における相互インダクタンスの係数、及び、それぞれの対角におけるものの間における相互インダクタンスの係数とを表している。1つの実施例では、0≦κ+α<l/4である。そのIm,n は、m番目およびn番目のエレメントにおける電流の振幅である。
【0020】
分散関係を求めるために、固有関数は、一定のエッジ境界条件に従うと仮定する(すなわち、I0,n =Im,0 =IM+1,n =Im,N+1 =0であると仮定する)。ΩおよびΓがΩ=1...M、Γ=1...Nである整数として定義すると、以下のような形式の試行固有関数、
【数2】
が、以下のような分散関係式:
【数3】
を与える。
【0021】
上記の方程式では、ΩおよびΓは、整数のモード番号であって、最終的に、固有関数の各々によって発生する磁場の均一性を決定する。弱い結合の限度内では、κおよびαは0に近く、各エレメントは、予測されるように周波数ω=(LC)−1/2において独立して動作する。強い結合の限度内では、κおよびαは、無視できないものであり、個々の回路エレメントは、結合して、ノーマルモードの振動を発生させる。加えて、その全体としての回路は、最も均一な固有関数に対応する最も低次のモード数が最も高い周波数において出現するようになった高域通過特性を呈する。対角結合が無視できる(α=0)図1の5×5共振器に関する分散関係を、図4aに示す。
【0022】
ここで、図4aを参照すると、図4aは、誘導結合した5×5の平面状アレイに関する理論的な固有値および実験により得られた固有値が示されている。その周波数スケールは、シングルエレメントの周波数ω=(LC)−1/2で正規化されている。10個の二重項および5個の一重項を含む合計25個の共振が存在する。N×N個のエレメントを備えた一般的な共振器の事例は、N(N−l)/2個の二重項およびN個の一重項を備えてN2個の共振を付与する。(1,5)(5,1)および(2,4)(4,2)の二重項は、対角結合を無視したため(3,3)の一重項と共に更に縮退する。最大値の次位の固有値、すなわち最大値の次位の周波数において出現する(1,2)(2,1)の二重項40は、共振器平面の上において良好な空間的均一性を備えたB1磁場を発生させるノーマルモードに対応する。その結果、(1,2)(2,1)の二重項40は、直交位相の動作に適したモードを付与し、イメージングに適したB1プロフィールを持つ。その他の固有モードもまた、空間依存性に対して均一性の度合いを変化させることで同様にイメージングのために使用され得ると留意することが重要である。これらのモードの幾つかもまた、(1,2)または(2,1)の対と同様にして直交動作において使用できる。
【0023】
2つの典型的なアレイに関する幾つかのノーマルモードが、図4aから図4cに示される。図4bでは、5×5の格子構造に関する25個のモードの完全セットが示されている。暗く示した所はマイナスの電流に対応し、明るく示した所はプラスの電流に対応する。図4cでは、30×30のアレイの最も低次の25個のモードが、固有関数をより良く例示するために示されている。それらの固有関数は、各共振器エレメントに対して構造の全体にわたっての電流の相対的な振幅を提示する。各モードに対して、それらの振幅は、B1プロフィールを形成するために使用される。連続体の限度内において、その電流配分磁場は、調波の重ね合せとなる。
【0024】
更に、マトリックスのサイズが増大するにつれて、単一エレメント共振周波数に対する「イメージングモード」の比率ω1,2/ω0は、増大するが、結局は図5aで示すように漸近的に1/(1−4κ)1/2に収束し、結果として、潜在的には、そのイメージングモードを増大する個数のモードから分離することをより困難にすることに留意されたい。その結合が増大すると、この比率もまた、図5bで示すように同様に増大する。図5bにおいて、線50は3×3アレイに対応し、線52は4×4アレイに対応し、線54は5×5アレイに対応し、線56は6×6アレイに対応し、線58は7×7アレイに対応し、線60は8×8アレイに対応する。高磁場のイメージングにおける磁場均一性を増大させるためには、マトリックスのサイズだけでなくエレメントの間における結合をも同様に増大させることが1つの戦略であろう。マトリックスのサイズが増大すると、電流分布は、定性的には同じままに留まり(例えば図4cを参照)、漸近的に連続的な定常調波に接近する。
【0025】
5×5メッシュの誘導結合した平面状および頭部用の共振器は、磁気共鳴映像法のためのものとして構築され、128MHz(3テスラの磁場強度)の作動周波数においてテストされた。それらの構造の(1,2)または(2,1)モードに対するBl磁場のシミュレーションは、この用途におけるイメージングに適した磁場を示した。図6aから図6cは、図6aではx=0cm、図6bではz=0cm、図6cではy=7.5cmとして、平面状共振器の(1,2)モードに対するシミュレーションを示している。図6dから図6fは、図6dではx=0cm、図6eではy=0cm、図6fではz=−6cmとして、頭部用共振器の(1,2)モードに関するシミュレーションを示している。
【0026】
平面状アレイの場合には、各エレメントは、117.0MHzの共振周波数に同調され、C=40pFとした8×8cmの寸法を有する。接着剤を裏打ちした銅テープが、厚さ1mmのテフロン(登録商標)基板上においてエレメントを形成するために使用された。同調は、近隣のエレメントとの結合に起因する共振ズレを回避すべく、隔離したエレメントにおいて、各メッシュ上で、40pFキャパシタに対して並列に接続されたトリムキャパシタによって行われた。実験的によって得られた固有値は、図4aにおける理論的な数値と比較される。
【0027】
平面状アレイのプロトタイプを使用して獲得される画像を、図7に示す。そのイメージングパラメータは、TR=75ms、TE=1.7msおよび5mmの厚さのスライスであった。21枚のスライスのための合計のスキャン時間は、30秒であった。単一エレメント共鳴周波数における5重の縮退は別として、全てのモードは、ネットワークアナライザおよびオシロスコープに接続する小型のピックアップコイルを使用して、構造全体にわたって相対的な磁場の振幅を測定することによって確認できる。
【0028】
頭部用アレイは、直径22cm深さ13cmの半球状の基板上に構築された。しかしながら、各共振器エレメント22は、1本の脚部の中央においてただ1つのキャパシタを有していた。同調の間に、1つを除く全てのメッシュは、短絡され、各メッシュの間における結合に起因する共振ズレを回避した。このプロセスは、そのプロセスが全てのメッシュに対して繰り返されるようにする。図8に示す人体の脳に関する優れた様相の画像は、直交動作の発信/受信モードにおいて機能する(1,2)(2,1)の二重項から獲得された。そのイメージングパラメータは、TR=2000ms、TE=69ms、THK=3mmおよびETL=8であった。全体のスキャン時間は、4分20秒であった。
【0029】
頭部用アレイに関する興味深い点は、固有モード限度内における(1,2)(2、1)の二重項が、シングルエレメントの共振周波数より15%以上高い周波数で現れたこと、更には、図5aおよび図5bで示されるように大きく変化する結合定数κの関数だったということである。個々のエレメントのサイズを縮小することによってこのデザインの作動周波数が高まることは、原理的に当然の結果であることに留意すべきである。それ故、これらの特性は、高磁場の用途において有益であり得る。
【0030】
前述したように、共振器は、例えば、そして限定されることなく、ドーム型形状、台形形状、三角形の形状等の任意の形状であっても良い。更に、高域通過2次元梯子形回路共振器は、身体用コイル、動物用コイル、手用および足首用等のような特殊コイル、、マイクロコイル、および体内コイルのような任意の形状を採っていても良い。図3および図9〜図13において、トリムキャパシタ28は、プロトタイプの共振周波数を所望の周波数に同調させるために使用される。トリムキャパシタ28は、各共振器エレメント22上において且つキャパシタ26に対して並列に配置される。或る製品環境では、キャパシタ26だけが必要である。代替として、トリムインダクタが、共振器エレメント22からのインダクタンスを加算/減算することによって周波数を同調させるべく使用されても良い。
【0031】
図9は、コンセプトの実証のために使用される身体用コイル70のプロトタイプを示している。身体用コイルは、円筒形の形状になるように形成される複数の共振器エレメント22によって構成される。製品においては、身体用コイルの内径72は、身体用コイル70がMRI装置82の内部に取付けられ得るように、MRI装置82の患者用開口部80より大きめとなっている(図10を参照)。身体用コイル70は、大部分のMRI機器の中に組み込まれ、基本的なスキャンのための発信および受信用のコイルとして機能する。このコイルは、大きい測定磁場を有するが、特殊コイルの高いSNRを有していない。特殊な受信器専用のコイル(すなわち表面コイル)が使用される場合、身体用コイル70は、その発信コイルとして機能し得る。代替として、身体用コイル70は、身体用コイル70が患者の回りに適合するに足る十分に大きい内径72を有しても良い。身体用コイル70における共振器エレメント22の最小限の個数は、物理的な制約の故に制限される。前述のように、導電性ストリップは、自己インダクタンスLを有する。共振器エレメントの外周が大きくなると、それらの導電性ストリップの自己インダクタンスもまた増大する。同じ周波数において作動するために、大きな外周を備えた共振器エレメントは、より小さい静電容量の数値を有していなければならない。
【0032】
図11aは、ブランケットコイルの中において使用できる可撓性コイル90のプロトタイプを示している。図11bは、ブランケットコイル92の図面を示している。ブランケットコイルの主要な利点は、コイルが人体により接近することによって、感度が増大するということである。ブランケットコイルは、必然的に人体から或る間隔だけ離れている剛直なシリンダーとは対照的に、体に合ったものであり得る。その材料94は、その形状を維持しつつ、埋め込んだ共振器エレメント22(すなわち導電性ストリップ24およびキャパシタ26)を保護するためには十分剛直であるが、ブランケットコイル92が様々な人体の部位に適合することを許容すべく体に合うためには十分可撓的である。ブランケットコイル92のカバー96は、エレメント22から人体を電気的に絶縁する。
【0033】
ここで、図12を参照すると、小型動物のイメージングに対する関心が、指数関数的に大きくなってきている。その理由は、逆説的であるが、人体の映像化における革命である。これらの技術は、もはや、単純に人体内部の解剖学的構造をマッピングすることには限定されていない。薬剤状のプローブは、人間よりも動物においてより容易にテストされ得るので、映像化の研究では、ネズミ、マウスおよびウサギにおける微細な細部を観察し得るスキャナが要望されている。臨床用のMRIシステムは、例えば、約1立方ミリメートルの大きさの特徴点を観察し得るものである。マウスのような小型動物では、その体積は、マウスの脳の大部分を占める。非常に微細な測定が、今では、事実上様々な画像処理システムにおいて実現到達範囲内にある。MRIは、例えば、強い磁場とラジオ波の組合せで、サンプル(典型的には水分内プロトンである)の中における原子核を共鳴させて、それらの位置を明らかにする。これらの磁場を増強して、先進的なソフトウェアアルゴリズムを使用することによって、動物組織における解像度は、一辺で50ミクロン(体積で8000分の1)まで向上した。
【0034】
ここで、図12を参照すると、動物用コイル100のプロトタイプが示されている。動物用コイル100は、複数の誘導結合したエレメント102を有する。1つの実施例では、各エレメント102は、1つまたはそれ以上のキャパシタ26がループの回りにおける様々なポイントにおいて導電性ストリップ24の各部分を分離するようにした、導電性ストリップ24のシングルループを含んでいる。そのプロトタイプでは、トリムキャパシタ28が、動物用コイル100の共振周波数を所望の周波数に調整する目的のために使用される。製品では、動物用のコイルのサイズは、直径1cm/長さ3cmから、直径2cm/長さ5cm、直径4cm/長さ8cm、直径6cm/長さ12cm、直径8cm/長さ16cm等までの範囲の大きさである。
【0035】
図13は、動物用コイル100より小さい指用コイル110のプロトタイプを示している。指用コイル110は、動物用コイルと同様に、複数の誘導結合エレメント102を有する。1つの実施例では、各エレメント102は、1つまたはそれ以上のキャパシタ26がループの回りにおける様々なポイントにおいて導電性ストリップ24の各部分を分離するようにした、導電性ストリップ24のシングルループを含んでいる。動物用コイルのプロトタイプと全く同様に、指用コイルのプロトタイプは、指用コイル100の共振周波数を所望の周波数に調整する目的のために各エレメント102においてトリムキャパシタ28を使用する。
【0036】
図14は、手用コイル120の図面を示している。1つの実施例では、手用コイル120は、指無し手袋に類似している。代替として、手用コイル120は、手を覆い、その手にフィットするバンドとして構成される。複数の誘導結合共振器エレメント22或いは誘導結合エレメント102は、手用コイル120の内部に位置していて、手の回りに巻回される。それらの共振器は、適当な材料122でカバーされて保護される。手用コイル120の大きさは、新生児用、小児科用、および大人サイズの手までの範囲である。
【0037】
図15は、体内コイル130の図面を示している。体内コイル130は、錠剤サイズ(例えばビタミン剤のサイズ)であり、平面状アレイ132として構成される複数の誘導結合共振器エレメント22を有する。共振器エレメント22の導電性ストリップ24およびキャパシタ26は、可撓性の基板の表面に取付けられる。可撓性の基板および複数の誘導結合共振器は、当該技術分野では周知であるような適当な生体親和性材料の中に封入される。体内コイル130は、嚥下され(例えば、錠剤として摂取され)得るものであり、或いは目的とする領域の中に(例えば、分光学的な手順で)挿入されても良い。
【0038】
ここで、図16を参照すると、人間の目の解像度の限界は、およそ100マイクロメートル(すなわち100ミクロン(μm))である。この限界は、その目の構造に関係する。光学顕微鏡は、0.2μm(すなわち200ナノメートル)の解像度の限界を有する。この限界は、可視光線それ自体の波長による。最新型の顕微鏡は、高い解像度の画像を高い倍率で形成することが可能であるが、そのような処理能力は、画像における十分なコントラストが欠けていては役に立たない。多くの標本、特に生体である場合、コントラストは、顕微鏡の倍率に関わりなく、標本が本質的には視認不可能なほどに劣悪である。コントラストを増強させる最も一般的な方法は、その標本を殺して、その後、それを固定して染色することである。生きている標本も、それらに対して蛍光粒子が添加されれば、観察され得る。しかしながら、これらの粒子は、しばしば、或る程度まで細胞の機能に悪影響を与える。同様にして、電子顕微鏡(EM)もまた、およそ2nmという解像度の限界を有する。この解像度の限界は、サンプルに電子を集束させるために使用されるレンズの制限事項に起因する。EMに拠れば、死んだ細胞の残存物は、固定および重金属イオンの染色の後に、観察され得ることになる。電子は、それらが標本の薄い断面を通り抜けるときに散乱し、その後、検出されて蛍光スクリーン上の画像に投影される。臨床用のMRIは、典型的には、大きさ1×1×1mmの組織の立方体(ボクセル)単位で画像をスキャンする。これは、一般的な人体の解剖学的構造に関しては大体満足されるが、1mmの立方体では十分とは言えない。その結果、細胞の内部を明瞭に観察したいならば、遥かにずっと微細な解像度が必要とされる。上述のように、現在、MR顕微鏡検査は、生きている動物では一辺が50μmであるボクセルを使用し、細胞イメージングにおいて使用される死んで固定した標本では一辺が10μmのボクセルを使用して、画像を撮影することが可能である。ヒト細胞の内部における詳細を観察するためには、一辺が1μmまたはそれより小さいボクセルが必要となる。このレベルの解像度では、目的とする粒子の拡散限界に接近していると認識される。しかし、これまでのところ、このようなマイクロコイルのデザインは、本質的には、連続して巻回されるソレノイド式共振器をより小型化するという改良策であった。本文において説明する2次元梯子形回路は、微細構造のイメージングに対し基本的に新しい方式を提示するものであり、1ミクロンスケールで製造され得るものでもある。
【0039】
図16は、個々の細胞の細胞レベルまたは分光学的レベルにおける磁気共鳴イメージングのためのマイクロコイル140の図面を示している。各共振器エレメント146を形成する導電性ストリップ142およびキャパシタ144は、ミクロンサイズのスケールのものである。複数の共振器エレメント146は、誘導的に結合し、クリアな生体親和性材料上に取付けられ、クリアな生体親和性材料でカバーされている。マイクロコイル140は、1cmのサイズから1mm以下のサイズまでの大きさのものであり、更に技術が進歩すれば、恐らくは100μm以下のサイズまでの範囲の大きさであることになる。
【0040】
ここで、図17を参照すると、誘導結合した高域通過2次元梯子形回路共振器アレイの構造は、画像を形成するために使用される全ての基底関数を再編成するために使用できる。アレイ構造の共振モード(すなわち固有関数)の集合体は、何らかの適切に作用する関数が構造全体にわたって近似する関数の完全セットを形成する。これらの関数は、実際の画像のフーリエ成分として説明されることができる。アレイによって画像を再現するステップは、各基底関数においてアレイを励起させる(ステップ200)。これは、後続の画像の再構築のために必要なフーリエ係数の大きさに振幅を設定した各共振モードでアレイを励起させることによって実行される。例えば、図4aを参照すると、最低の周波数において且つ各共振モードにおいてスタートし、各共振モードが励起されてしまうまで、共振の周波数および振幅において、そのアレイ構造を励起させることが可能であった。ピックアップコイルは、アレイ構造における電流の振幅を記録する(ステップ202)。その振幅は、フーリエ係数に対応する。図4aの5×5のアレイでは、フーリエ係数である25個の振幅値が存在することになる。フーリエ変換が計算される(ステップ204)。その結果が、作成された画像である。全ての共振モードが一度に(すなわち、並行して)或いは順次連続して迅速(例えば全ての固有モードが1秒のl/60以下で励起される)であるようにして、その構造が励起されるならば、そのアレイ構造が、イメージングデバイスとして使用できる。
【0041】
概括的に、図4aに戻って参照すると、モードの個数は、アレイのエレメントの個数に依存する。各モードの位置は、所定の共振器寸法の場合の共振器エレメントにおける静電容量値に依存する。言い換えれば、周波数に対する固有値のレベルは、上下に移動され得るのである。ここで、図18および図19を参照すると、誘導結合高域通過2次元梯子形回路アレイは、共振モードの個数(すなわちアレイの寸法)、モード周波数、および共振モードの振幅が他に比較してユニークな署名を提供するために使用できる証明書カードの用途においても使用できる。本文において使用される場合には、証明書カードという用語は、身分証明書カードおよびスマートカードを含む。モードの振幅は、静電容量値と共振器エレメントの間の間隔とに基づく。例えば、10×10のアレイでは、100個の固有値が存在する。固有値の幾つかには周波数のオーバーラップが存在するかもしれないが、十分な個数の周波数のユニークな固有値が静電容量における変化と共振器エレメントの間における間隔とによって与えられ、大部分の用途に応じたユニークな身分証明プロフィールを提供する。
【0042】
図18は、証明書カード300の図面を提示する。証明書カード300は、証明書カード300に内蔵される共振器304のアレイ302を有する。アレイ302は、シェル306の中に埋め込まれる。更に、シェル306は、写真身分証明308のような指標および/またはバーコード、署名、ホログラフィー層等のようなその他の指標310のような指標を封入していても良い。そのシェルは、アレイ302を絶縁し、且つアレイ302が各個人によって偽造されることを防止するようにした任意の材料であっても良い。スマートカードの用途の場合には、証明書カード300は、更に、証明書カード300に内蔵される集積回路310(例えば、「スマート」チップ)をも有する。アレイ302は、集積回路310に電力を供給するアンテナとしても機能し得る。
【0043】
ここで、図19を参照すると、各証明書カード300の共振モードは、判定されて、安全なデータベースのような安全なアプリケーションに記憶される。証明書カード300を確認するために採られる措置は、証明書カードアレイ302の共鳴モードを決定することである(ステップ400)。これは、周波数掃引によって身分証明書カード300を曝露させて、共振モードを決定するようにして実行される。それらの共振モードは、記憶された共振モードと比較される(ステップ402)。もし一致すれば、証明書カードは、有効であると判定される(ステップ404)。一致しないならば、適切な措置が採られる(ステップ406)。例えば、警報またはアラームが生起され得ることになり、一致が形成されなかった理由等が判定される。
【0044】
上述の内容から、誘導結合高域通過2次元梯子形回路は、高磁場MRIおよびセキュリティ用途に対する適用に関して説明されたものであると理解されよう。回路の最大値の次位の固有値は、共振器平面の上において良好な空間的均一性を備えたB1磁場を発生させる標準モードに対応する。強力な結合「固有モード」限度と微弱な結合「フェーズドアレイ」限度の両方における誘導結合した2次元共振器アレイの全般的な問題に関して、解決策が提示された。強力な結合の限度内では、アレイは、従来の直交B1磁場を発生させるために使用できる高周波共振モードを生成し、微弱であるかまたはゼロである結合の限度内では、パラレルイメージング用途に適した周知のフェーズドアレイに適応する。この誘導結合高域通過2次元梯子形回路は、身分証明書カードとしても機能する。
【0045】
本明細書中で引用する刊行物、特許出願および特許を含むすべての文献を、各文献を個々に具体的に示し、参照して組み込むのと、また、その内容のすべてをここで述べるのと同じ限度で、ここで参照して組み込む。
【0046】
本発明の説明に関連して(特に特許請求の範囲に関連して)用いられる名詞及び同様な指示語の使用は、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、単数および複数の両方に及ぶものと解釈される。語句「備える」、「有する」、「含む」および「包含する」は、特に断りのない限り、オープンエンドターム(すなわち「〜を含むが限定しない」という意味)として解釈される。本明細書中の数値範囲の具陳は、本明細書中で特に指摘しない限り、単にその範囲内に該当する各値を個々に言及するための略記法としての役割を果たすことだけを意図しており、各値は、本明細書中で個々に列挙されるかのように、明細書に組み込まれる。本明細書中で説明されるすべての方法は、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、あらゆる適切な順番で行うことができる。本明細書中で使用するあらゆる例または例示的な言い回し(例えば「など」)は、特に主張しない限り、単に本発明をよりよく説明することだけを意図し、本発明の範囲に対する制限を設けるものではない。明細書中の如何なる言い回しも、本発明の実施に不可欠である、請求項に記載されていない要素を示すものとは解釈されないものとする。
【0047】
本明細書中では、発明を実施するため本発明者が知っている最良の形態を含め、本発明の好ましい実施の形態について説明している。当業者にとっては、上記説明を読んだ上で、これらの好ましい実施の形態の変形が明らかとなろう。本発明者は、熟練者が適宜このような変形を適用することを期待しており、本明細書中で具体的に説明される以外の方法で発明が実施されることを予定している。従って本発明は、準拠法で許されているように、本明細書に添付された請求項に記載の内容の修正および均等物をすべて含む。さらに、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、好ましい実施の形態で考えられるすべての変形における上記要素のいずれの組合せも本発明に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図1は、本発明の教示に従う5×5正方形メッシュの高域通過2次元梯子形回路の図面である。
【図2】図2は、本発明の教示に従う誘導結合した平面状5×5正方形メッシュの高域通過2次元梯子形回路共振器のプロトタイプの図面である。
【図3】図3は、本発明の教示内容に従っている頭部コイル構成における誘導結合した高域通過2次元梯子形回路共振器のプロトタイプの図面である。
【図4a】図4aは、図2の平面状5×5の梯子形回路に関する理論的な固有値および実験的な固有値をすグラフである。
【図4b】図4bは、図2の平面状5×5の梯子形回路に関する25個の固有関数の完全セットを示す。
【図4c】図4cは、30×30のアレイに関する最初の25個の固有関数を示している。
【図5a】図5aは、κ=0.065,α=0の固定結合に対し、アレイの大きさの関数としてシングルエレメント共振周波数に対するイメージングモード共振周波数を示している。
【図5b】図5bは、様々な大きさのアレイに対し、結合定数κの関数としてωl,2/ω0を示す図である。
【図6a】図6aは、x=0cmとした図2の平面状共振器の(1,2)モードのB1マップである。
【図6b】図6bは、z=0cmとした図2の平面状共振器の(1,2)モードのB1マップである。
【図6c】図6cは、y=7.5cmとした図2の平面状共振器の(1,2)モードのB1マップである。
【図6d】図6dは、x=0cmとした図3の頭部用共振器の(1,2)モードのB1マップである。
【図6e】図6eは、y=0cmとした図3の頭部用共振器の(1,2)モードのB1マップである。
【図6f】図6fは、z=−6cmとした図3の頭部用共振器の(1,2)モードのB1マップである。
【図7】図7は、図2の平面回路によって獲得される矢状断面勾配(サジタルグラディエントエコー)の頭部画像である。
【図8】図8は、図3の誘導結合頭部用アレイによって直交において獲得される矢状断面(サジタル)高速スピンエコーの脳画像である。
【図9】図9は、本発明の教示に従う身体用コイル構成における誘導結合高域通過2次元梯子形回路共振器のプロトタイプの斜視図を示している。
【図10】図10は、外側カバーを外して図9の身体用コイルが取付けられる場所をおおよそ示す、MRI装置の図面を示している。
【図11a】図11aは、本発明の教示に従うブランケットコイルとして使用され得る可撓性コイルとして構成される誘導結合高域通過2次元梯子形回路共振器のプロトタイプの斜視図を示している。
【図11b】図11bは、本発明の教示に従う皮覆カバーリングを備えている可撓性コイルの図面を示している。
【図12】図12は、本発明の教示に従う動物用コイル構成における誘導結合高域通過2次元梯子形回路共振器のプロトタイプの斜視図を示している。
【図13】図13は、本発明の教示に従う指用コイル構成における誘導結合高域通過2次元梯子形回路共振器のプロトタイプの斜視図を示している。
【図14】図14は、本発明の教示に従う手用コイル構成における誘導結合高域通過2次元梯子形回路共振器の図面を示している。
【図15】図15は、本発明の教示に従う誘導結合高域通過2次元梯子形回路共振器内コイルの図面を示している。
【図16】図16は、本発明の教示に従う細胞イメージングのためのマイクロコイル構成における誘導結合高域通過2次元梯子形回路共振器の図面を示している。
【図17】図17は、誘導結合高域通過2次元梯子形回路共振器のモードを特定する方法のフローチャートを示している。
【図18】図18は、本発明の教示に従う身分証明書カード構成における誘導結合高域通過2次元梯子形回路共振器の図面を示している。
【図19】図19は、図18の身分証明書カードを特定/確認する方法のフローチャートを示している。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジオ周波共振器に関し、より詳細には、梯子形回路ラジオ周波共振器に関する。
【背景技術】
【0002】
[関連した特許出願に関するクロスレファレンス]
本件特許出願は、2005年4月15日付けで出願された米国仮出願60/671,597号の恩恵を請求するものであり、その全ての開示内容は、全体として本文に組み込む。
【0003】
[連邦政府による資金提供を受けた研究開発であることの記載]
本発明は、認可番号RO1EB02070の米国バイオメディカル・イメージングおよびバイオエンジニアリング研究所(National Institute of Biomedical Imaging and Bioengineering)によって資金提供を受けた研究に由来したものである。米国政府は、本発明に対して所定の諸権利を有し得る。
【0004】
磁気共鳴映像法(MRI)は、医学的研究、医学的診断等のような目的のために、身体(例えば人体、動物等)の内部の高解像度画像を生成するのに使用される。それらの画像は、電磁スペクトルではラジオ周波領域におけるエネルギーの吸収および放出に基づいて生成される。
【0005】
典型的には、磁気共鳴映像法は、患者を定常的な磁場B0の中に患者を配置することによって実行される。そこで、ラジオ周波励起パルス(B1磁場)が患者に対して送出される。励起パルスは、水素原子核の磁気モーメントにエネルギーを与える。その励起パルスの除去と同時に、その核のモーメントは、それらが吸収したエネルギーを放出して、定常的な磁場B0に従った再配列を開始する。この再配列期間中に、核モーメントは、その核が存在していた磁場および特定の化学的環境の特性に対応するラジオ周波信号を放出する。
【0006】
1つのRFコイルは、励起パルスを送出し核からの信号を受信してもよいし、その、両方に使用されても良い。また、その代替として、1つのRFコイルが励起パルスを送出するために使用され、別のコイルが核からの信号を受信するために使用されても良い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
マルチエレメントラジオ周波共振器のデザインは、身体の表面近傍における解剖学的構造に対し優れた感度を提供するものであり、パラレルイメージング用途に対し有用である。マルチエレメントラジオ周波共振器のデザインの1つの形式として、2次元梯子形回路共振器が知られている。2次元梯子形回路共振器に間する全般的な課題は、適切な境界条件を備えて振動する機械的な薄膜の問題に密接に関連することが知られている。この問題は、対象とする構造のメッシュに関するキルヒホフの電圧方程式に対して再帰的な関係を書き下すことによって、最も容易に解決される。固有値の分散関係が周波数スペクトルを付与する。その一方で、固有関数がメッシュの電流値を表している。その固有関数からB1マップを直接計算することができる。
【0008】
マイヤーその他(Meyer et al)は、低域通過2次元梯子形回路の具体例を提示している(特許文献1,2)。その低域通過2次元梯子形回路は、円偏波型磁気共鳴イメージング用の二重に縮退した均一モード(ホモジニアスモード)を提示する。更なる詳細は、バロンその他(Ballon et al)の「2次元梯子形回路共振器(Two Dimensional Ladder Network Resonators)」という表題の記事(非特許文献1)と、マイヤーその他の記事(非特許文献2)において見出され得るものであり、それらの内容は、引用として本文に組み込む。
【特許文献1】米国特許第5,515,855号
【特許文献2】米国特許第5,682,893号
【非特許文献1】バロンその他(Ballon et al)、「2次元梯子形回路共振器(Two Dimensional Ladder Network Resonators)」、磁気共鳴ジャーナル(Journal of Magnetic Resonance)のシリーズA 111、23−28(1994年)
【非特許文献2】マイヤーその他、「人体頭部のMRIに関する3×3メッシュの2次元梯子形回路共振器(A 3×3 Mesh Two Dimensional Ladder Network Resonator for MRI of the Human Head)」、磁気共鳴ジャーナルのシリーズB 107、19−24(1995年)
【0009】
低域通過型構造の主要な不都合のうちの1つは、これらの構造によると、最も均一な結果を与えるノーマルモードの固有値が最も低い周波数にあるという事実によって、より高い磁場の適用が制限されることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、高域通過2次元梯子形回路共振器を提示する。その最も基本的な形態において、高域通過2次元梯子形回路は、各エレメントが、各導電性ストリップに沿った1つまたはそれ以上のポイントにおいて数値Cを有するキャパシタによって接合される長方形の形状、円形の形状等(例えば、ドーム型の形状、台形の形状等)を取り、自己インダクタンスLを有する複数の導電性ストリップで代表されるようにした、誘導結合共振器の集合体である。
【0011】
回路の最大値から次位の固有値は、共振器平面上において良好な空間的均一性を備えたB1磁場を発生させるノーマルモードに対応する。誘導結合2次元共振器アレイの強力な結合の「固有モード」限度内では、当該アレイは、従来の直交B1磁場を発生させるために使用できる高い周波数の共振モードを生成するが、微弱またはゼロ結合モード限度内では、パラレルイメージング用途に適した周知のフェーズドアレイとなる。
【0012】
高域通過2次元梯子形回路共振器構造は、その構造が様々な用途において使用できるよう形成することができる。MRI用途のための形状としては、ブランケット形式のコイル、マイクロコイル、身体用コイル、体内コイル、動物用コイルおよび頭部コイルを含む円筒状コイル、手用コイル、足首用コイル等のような特殊コイルとを含む。また、その構造は、証明書カードの用途においても使用できる。
【0013】
MRI用途に関連しているかまたはそれとは無関係であるかに関わらず、誘導結合高域通過2次元梯子形回路共振器アレイの構造は、画像を形成するために使用される全ての基底関数を再編成するために使用することができる。アレイ構造の共振モード(すなわち固有関数)の集合体は、それらによっていくつかの適切に作用する関数が構造全体にわたって近似させる関数の完全セットを形成する。これらの関数は、実際の画像のフーリエ成分として示されることができる。画像を再現する工程は、共振モードの固有関数に対応するフーリエ係数の大きさにその振幅を設定した各共振モードでアレイを励起させることを含む。アレイ構造における振幅は記録される。アレイ構造のその振幅はフーリエ係数に対応する。フーリエ変換は、記録された振幅を使用して計算され、その結果として、画像が作成される。全ての共鳴モードが一度に(すなわち、並行して)或いは逐次的に迅速に前記アレイ構造が励起されるならば、そのアレイ構造は、イメージングデバイスとして使用できる。
【0014】
本発明のその他の様相および利点は、添付の図面と共に考慮される場合、後続の詳細な説明から更に明瞭になる。
【0015】
本発明は、特定の好適な実施例に関連して説明されるが、それらの実施例に限定するよう意図していない。それどころか、特許請求の範囲の各請求項によって規定される本発明の精神および適用範囲内に含まれる全ての代替、修正および同等物をカバーするよう意図されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、最大値の次位の固有値が共振器平面より上において良好な空間的均一性を備えたB1磁場を発生させるノーマルモードに対応する高域通過2次元梯子形回路を提供する。従って、それはイメージング用途およびセキュリティ用途に適したB1プロフィールを備えた直線または直交動作のために利用され得る。
【0017】
ここで、同じ参照番号が同様なエレメントを指し示している図面を参照して、本発明の実施例を図1に示す。図1に高域通過2次元梯子形回路20が、誘導結合共振器の5×5が集合体として示される。それらの共振器は、誘導的にのみ結合し、共振器の間では如何なる共通脚部をも共有していないが、他の共振器に対して部分的にオーバーラップしていても良い。図1における各共振器22は、各コーナーで数値Cを有する静電容量を有しているキャパシタ26によって接がれ、自己インダクタンスLを有する導電性ストリップ24として示されている。幾つかの用途では、その静電容量値は、回路20内において不均一であっても良く、或いは各個別の共振器に沿って様々なポイントに配置されても良く、或いは各共振器に沿って少なくとも1つであっても、または4つ以上のポイントに配置されても良い。キャパシタ26が正方形の形状の共振器の回りに配分されるときには、近傍の対象に対する静電結合は、単一のキャパシタの場合と比較して、更に制限される。各共振器の寸法は、共振器のアレイの、その他の共振器と同じ寸法である必要はない。
【0018】
共振器の形状は図1では長方形の形状として示されているが、その形状は、例えば、それに限定されることなく、ドーム型形状、台形形状、三角形の形状等の任意の形状であっても良い。例えば、図2は、誘導結合平面状5×5正方形メッシュの高域通過2次元梯子形回路共振器のプロトタイプの斜視図を示している。図3は、頭部イメージング用である誘導結合高域通過2次元梯子形回路共振器30のプロトタイプの斜視図である。図3のプロトタイプは、各端部が共振器の脚部の中央或いはその近傍に配置され、各端部間にチューニング用キャパシタ28を備え、導電性ストリップがヘルメット32に対して取付けられるようにした、シングル型導電性ストリップを示している。更に、図3のプロトタイプは、共振器の様々な寸法および形状をも示している。医療施設のMRラボにおいて使用される頭部用共振器(すなわち製品としての頭部用共振器)は、トリムキャパシタ28の代わりにキャパシタ26を使用するものであり、その共振器エレメント22は、共振器エレメント22を継続的なハンドリングから保護するに足る十分な強度の誘電体でカバーされる。頭部用共振器30のヘルメット32は、様々な寸法を有する。例えば、それは新生児用、小児用、および大人サイズの頭部用として大きさを設定される。
【0019】
図2のメッシュにおける電圧に関するキルヒホッフ方程式は、再帰的な関係を導く。その再帰的関係は、以下のように書くことができる。
【数1】
ここで、定数κおよびαは、それぞれ平行な脚部を有する最も近隣同士間における相互インダクタンスの係数、及び、それぞれの対角におけるものの間における相互インダクタンスの係数とを表している。1つの実施例では、0≦κ+α<l/4である。そのIm,n は、m番目およびn番目のエレメントにおける電流の振幅である。
【0020】
分散関係を求めるために、固有関数は、一定のエッジ境界条件に従うと仮定する(すなわち、I0,n =Im,0 =IM+1,n =Im,N+1 =0であると仮定する)。ΩおよびΓがΩ=1...M、Γ=1...Nである整数として定義すると、以下のような形式の試行固有関数、
【数2】
が、以下のような分散関係式:
【数3】
を与える。
【0021】
上記の方程式では、ΩおよびΓは、整数のモード番号であって、最終的に、固有関数の各々によって発生する磁場の均一性を決定する。弱い結合の限度内では、κおよびαは0に近く、各エレメントは、予測されるように周波数ω=(LC)−1/2において独立して動作する。強い結合の限度内では、κおよびαは、無視できないものであり、個々の回路エレメントは、結合して、ノーマルモードの振動を発生させる。加えて、その全体としての回路は、最も均一な固有関数に対応する最も低次のモード数が最も高い周波数において出現するようになった高域通過特性を呈する。対角結合が無視できる(α=0)図1の5×5共振器に関する分散関係を、図4aに示す。
【0022】
ここで、図4aを参照すると、図4aは、誘導結合した5×5の平面状アレイに関する理論的な固有値および実験により得られた固有値が示されている。その周波数スケールは、シングルエレメントの周波数ω=(LC)−1/2で正規化されている。10個の二重項および5個の一重項を含む合計25個の共振が存在する。N×N個のエレメントを備えた一般的な共振器の事例は、N(N−l)/2個の二重項およびN個の一重項を備えてN2個の共振を付与する。(1,5)(5,1)および(2,4)(4,2)の二重項は、対角結合を無視したため(3,3)の一重項と共に更に縮退する。最大値の次位の固有値、すなわち最大値の次位の周波数において出現する(1,2)(2,1)の二重項40は、共振器平面の上において良好な空間的均一性を備えたB1磁場を発生させるノーマルモードに対応する。その結果、(1,2)(2,1)の二重項40は、直交位相の動作に適したモードを付与し、イメージングに適したB1プロフィールを持つ。その他の固有モードもまた、空間依存性に対して均一性の度合いを変化させることで同様にイメージングのために使用され得ると留意することが重要である。これらのモードの幾つかもまた、(1,2)または(2,1)の対と同様にして直交動作において使用できる。
【0023】
2つの典型的なアレイに関する幾つかのノーマルモードが、図4aから図4cに示される。図4bでは、5×5の格子構造に関する25個のモードの完全セットが示されている。暗く示した所はマイナスの電流に対応し、明るく示した所はプラスの電流に対応する。図4cでは、30×30のアレイの最も低次の25個のモードが、固有関数をより良く例示するために示されている。それらの固有関数は、各共振器エレメントに対して構造の全体にわたっての電流の相対的な振幅を提示する。各モードに対して、それらの振幅は、B1プロフィールを形成するために使用される。連続体の限度内において、その電流配分磁場は、調波の重ね合せとなる。
【0024】
更に、マトリックスのサイズが増大するにつれて、単一エレメント共振周波数に対する「イメージングモード」の比率ω1,2/ω0は、増大するが、結局は図5aで示すように漸近的に1/(1−4κ)1/2に収束し、結果として、潜在的には、そのイメージングモードを増大する個数のモードから分離することをより困難にすることに留意されたい。その結合が増大すると、この比率もまた、図5bで示すように同様に増大する。図5bにおいて、線50は3×3アレイに対応し、線52は4×4アレイに対応し、線54は5×5アレイに対応し、線56は6×6アレイに対応し、線58は7×7アレイに対応し、線60は8×8アレイに対応する。高磁場のイメージングにおける磁場均一性を増大させるためには、マトリックスのサイズだけでなくエレメントの間における結合をも同様に増大させることが1つの戦略であろう。マトリックスのサイズが増大すると、電流分布は、定性的には同じままに留まり(例えば図4cを参照)、漸近的に連続的な定常調波に接近する。
【0025】
5×5メッシュの誘導結合した平面状および頭部用の共振器は、磁気共鳴映像法のためのものとして構築され、128MHz(3テスラの磁場強度)の作動周波数においてテストされた。それらの構造の(1,2)または(2,1)モードに対するBl磁場のシミュレーションは、この用途におけるイメージングに適した磁場を示した。図6aから図6cは、図6aではx=0cm、図6bではz=0cm、図6cではy=7.5cmとして、平面状共振器の(1,2)モードに対するシミュレーションを示している。図6dから図6fは、図6dではx=0cm、図6eではy=0cm、図6fではz=−6cmとして、頭部用共振器の(1,2)モードに関するシミュレーションを示している。
【0026】
平面状アレイの場合には、各エレメントは、117.0MHzの共振周波数に同調され、C=40pFとした8×8cmの寸法を有する。接着剤を裏打ちした銅テープが、厚さ1mmのテフロン(登録商標)基板上においてエレメントを形成するために使用された。同調は、近隣のエレメントとの結合に起因する共振ズレを回避すべく、隔離したエレメントにおいて、各メッシュ上で、40pFキャパシタに対して並列に接続されたトリムキャパシタによって行われた。実験的によって得られた固有値は、図4aにおける理論的な数値と比較される。
【0027】
平面状アレイのプロトタイプを使用して獲得される画像を、図7に示す。そのイメージングパラメータは、TR=75ms、TE=1.7msおよび5mmの厚さのスライスであった。21枚のスライスのための合計のスキャン時間は、30秒であった。単一エレメント共鳴周波数における5重の縮退は別として、全てのモードは、ネットワークアナライザおよびオシロスコープに接続する小型のピックアップコイルを使用して、構造全体にわたって相対的な磁場の振幅を測定することによって確認できる。
【0028】
頭部用アレイは、直径22cm深さ13cmの半球状の基板上に構築された。しかしながら、各共振器エレメント22は、1本の脚部の中央においてただ1つのキャパシタを有していた。同調の間に、1つを除く全てのメッシュは、短絡され、各メッシュの間における結合に起因する共振ズレを回避した。このプロセスは、そのプロセスが全てのメッシュに対して繰り返されるようにする。図8に示す人体の脳に関する優れた様相の画像は、直交動作の発信/受信モードにおいて機能する(1,2)(2,1)の二重項から獲得された。そのイメージングパラメータは、TR=2000ms、TE=69ms、THK=3mmおよびETL=8であった。全体のスキャン時間は、4分20秒であった。
【0029】
頭部用アレイに関する興味深い点は、固有モード限度内における(1,2)(2、1)の二重項が、シングルエレメントの共振周波数より15%以上高い周波数で現れたこと、更には、図5aおよび図5bで示されるように大きく変化する結合定数κの関数だったということである。個々のエレメントのサイズを縮小することによってこのデザインの作動周波数が高まることは、原理的に当然の結果であることに留意すべきである。それ故、これらの特性は、高磁場の用途において有益であり得る。
【0030】
前述したように、共振器は、例えば、そして限定されることなく、ドーム型形状、台形形状、三角形の形状等の任意の形状であっても良い。更に、高域通過2次元梯子形回路共振器は、身体用コイル、動物用コイル、手用および足首用等のような特殊コイル、、マイクロコイル、および体内コイルのような任意の形状を採っていても良い。図3および図9〜図13において、トリムキャパシタ28は、プロトタイプの共振周波数を所望の周波数に同調させるために使用される。トリムキャパシタ28は、各共振器エレメント22上において且つキャパシタ26に対して並列に配置される。或る製品環境では、キャパシタ26だけが必要である。代替として、トリムインダクタが、共振器エレメント22からのインダクタンスを加算/減算することによって周波数を同調させるべく使用されても良い。
【0031】
図9は、コンセプトの実証のために使用される身体用コイル70のプロトタイプを示している。身体用コイルは、円筒形の形状になるように形成される複数の共振器エレメント22によって構成される。製品においては、身体用コイルの内径72は、身体用コイル70がMRI装置82の内部に取付けられ得るように、MRI装置82の患者用開口部80より大きめとなっている(図10を参照)。身体用コイル70は、大部分のMRI機器の中に組み込まれ、基本的なスキャンのための発信および受信用のコイルとして機能する。このコイルは、大きい測定磁場を有するが、特殊コイルの高いSNRを有していない。特殊な受信器専用のコイル(すなわち表面コイル)が使用される場合、身体用コイル70は、その発信コイルとして機能し得る。代替として、身体用コイル70は、身体用コイル70が患者の回りに適合するに足る十分に大きい内径72を有しても良い。身体用コイル70における共振器エレメント22の最小限の個数は、物理的な制約の故に制限される。前述のように、導電性ストリップは、自己インダクタンスLを有する。共振器エレメントの外周が大きくなると、それらの導電性ストリップの自己インダクタンスもまた増大する。同じ周波数において作動するために、大きな外周を備えた共振器エレメントは、より小さい静電容量の数値を有していなければならない。
【0032】
図11aは、ブランケットコイルの中において使用できる可撓性コイル90のプロトタイプを示している。図11bは、ブランケットコイル92の図面を示している。ブランケットコイルの主要な利点は、コイルが人体により接近することによって、感度が増大するということである。ブランケットコイルは、必然的に人体から或る間隔だけ離れている剛直なシリンダーとは対照的に、体に合ったものであり得る。その材料94は、その形状を維持しつつ、埋め込んだ共振器エレメント22(すなわち導電性ストリップ24およびキャパシタ26)を保護するためには十分剛直であるが、ブランケットコイル92が様々な人体の部位に適合することを許容すべく体に合うためには十分可撓的である。ブランケットコイル92のカバー96は、エレメント22から人体を電気的に絶縁する。
【0033】
ここで、図12を参照すると、小型動物のイメージングに対する関心が、指数関数的に大きくなってきている。その理由は、逆説的であるが、人体の映像化における革命である。これらの技術は、もはや、単純に人体内部の解剖学的構造をマッピングすることには限定されていない。薬剤状のプローブは、人間よりも動物においてより容易にテストされ得るので、映像化の研究では、ネズミ、マウスおよびウサギにおける微細な細部を観察し得るスキャナが要望されている。臨床用のMRIシステムは、例えば、約1立方ミリメートルの大きさの特徴点を観察し得るものである。マウスのような小型動物では、その体積は、マウスの脳の大部分を占める。非常に微細な測定が、今では、事実上様々な画像処理システムにおいて実現到達範囲内にある。MRIは、例えば、強い磁場とラジオ波の組合せで、サンプル(典型的には水分内プロトンである)の中における原子核を共鳴させて、それらの位置を明らかにする。これらの磁場を増強して、先進的なソフトウェアアルゴリズムを使用することによって、動物組織における解像度は、一辺で50ミクロン(体積で8000分の1)まで向上した。
【0034】
ここで、図12を参照すると、動物用コイル100のプロトタイプが示されている。動物用コイル100は、複数の誘導結合したエレメント102を有する。1つの実施例では、各エレメント102は、1つまたはそれ以上のキャパシタ26がループの回りにおける様々なポイントにおいて導電性ストリップ24の各部分を分離するようにした、導電性ストリップ24のシングルループを含んでいる。そのプロトタイプでは、トリムキャパシタ28が、動物用コイル100の共振周波数を所望の周波数に調整する目的のために使用される。製品では、動物用のコイルのサイズは、直径1cm/長さ3cmから、直径2cm/長さ5cm、直径4cm/長さ8cm、直径6cm/長さ12cm、直径8cm/長さ16cm等までの範囲の大きさである。
【0035】
図13は、動物用コイル100より小さい指用コイル110のプロトタイプを示している。指用コイル110は、動物用コイルと同様に、複数の誘導結合エレメント102を有する。1つの実施例では、各エレメント102は、1つまたはそれ以上のキャパシタ26がループの回りにおける様々なポイントにおいて導電性ストリップ24の各部分を分離するようにした、導電性ストリップ24のシングルループを含んでいる。動物用コイルのプロトタイプと全く同様に、指用コイルのプロトタイプは、指用コイル100の共振周波数を所望の周波数に調整する目的のために各エレメント102においてトリムキャパシタ28を使用する。
【0036】
図14は、手用コイル120の図面を示している。1つの実施例では、手用コイル120は、指無し手袋に類似している。代替として、手用コイル120は、手を覆い、その手にフィットするバンドとして構成される。複数の誘導結合共振器エレメント22或いは誘導結合エレメント102は、手用コイル120の内部に位置していて、手の回りに巻回される。それらの共振器は、適当な材料122でカバーされて保護される。手用コイル120の大きさは、新生児用、小児科用、および大人サイズの手までの範囲である。
【0037】
図15は、体内コイル130の図面を示している。体内コイル130は、錠剤サイズ(例えばビタミン剤のサイズ)であり、平面状アレイ132として構成される複数の誘導結合共振器エレメント22を有する。共振器エレメント22の導電性ストリップ24およびキャパシタ26は、可撓性の基板の表面に取付けられる。可撓性の基板および複数の誘導結合共振器は、当該技術分野では周知であるような適当な生体親和性材料の中に封入される。体内コイル130は、嚥下され(例えば、錠剤として摂取され)得るものであり、或いは目的とする領域の中に(例えば、分光学的な手順で)挿入されても良い。
【0038】
ここで、図16を参照すると、人間の目の解像度の限界は、およそ100マイクロメートル(すなわち100ミクロン(μm))である。この限界は、その目の構造に関係する。光学顕微鏡は、0.2μm(すなわち200ナノメートル)の解像度の限界を有する。この限界は、可視光線それ自体の波長による。最新型の顕微鏡は、高い解像度の画像を高い倍率で形成することが可能であるが、そのような処理能力は、画像における十分なコントラストが欠けていては役に立たない。多くの標本、特に生体である場合、コントラストは、顕微鏡の倍率に関わりなく、標本が本質的には視認不可能なほどに劣悪である。コントラストを増強させる最も一般的な方法は、その標本を殺して、その後、それを固定して染色することである。生きている標本も、それらに対して蛍光粒子が添加されれば、観察され得る。しかしながら、これらの粒子は、しばしば、或る程度まで細胞の機能に悪影響を与える。同様にして、電子顕微鏡(EM)もまた、およそ2nmという解像度の限界を有する。この解像度の限界は、サンプルに電子を集束させるために使用されるレンズの制限事項に起因する。EMに拠れば、死んだ細胞の残存物は、固定および重金属イオンの染色の後に、観察され得ることになる。電子は、それらが標本の薄い断面を通り抜けるときに散乱し、その後、検出されて蛍光スクリーン上の画像に投影される。臨床用のMRIは、典型的には、大きさ1×1×1mmの組織の立方体(ボクセル)単位で画像をスキャンする。これは、一般的な人体の解剖学的構造に関しては大体満足されるが、1mmの立方体では十分とは言えない。その結果、細胞の内部を明瞭に観察したいならば、遥かにずっと微細な解像度が必要とされる。上述のように、現在、MR顕微鏡検査は、生きている動物では一辺が50μmであるボクセルを使用し、細胞イメージングにおいて使用される死んで固定した標本では一辺が10μmのボクセルを使用して、画像を撮影することが可能である。ヒト細胞の内部における詳細を観察するためには、一辺が1μmまたはそれより小さいボクセルが必要となる。このレベルの解像度では、目的とする粒子の拡散限界に接近していると認識される。しかし、これまでのところ、このようなマイクロコイルのデザインは、本質的には、連続して巻回されるソレノイド式共振器をより小型化するという改良策であった。本文において説明する2次元梯子形回路は、微細構造のイメージングに対し基本的に新しい方式を提示するものであり、1ミクロンスケールで製造され得るものでもある。
【0039】
図16は、個々の細胞の細胞レベルまたは分光学的レベルにおける磁気共鳴イメージングのためのマイクロコイル140の図面を示している。各共振器エレメント146を形成する導電性ストリップ142およびキャパシタ144は、ミクロンサイズのスケールのものである。複数の共振器エレメント146は、誘導的に結合し、クリアな生体親和性材料上に取付けられ、クリアな生体親和性材料でカバーされている。マイクロコイル140は、1cmのサイズから1mm以下のサイズまでの大きさのものであり、更に技術が進歩すれば、恐らくは100μm以下のサイズまでの範囲の大きさであることになる。
【0040】
ここで、図17を参照すると、誘導結合した高域通過2次元梯子形回路共振器アレイの構造は、画像を形成するために使用される全ての基底関数を再編成するために使用できる。アレイ構造の共振モード(すなわち固有関数)の集合体は、何らかの適切に作用する関数が構造全体にわたって近似する関数の完全セットを形成する。これらの関数は、実際の画像のフーリエ成分として説明されることができる。アレイによって画像を再現するステップは、各基底関数においてアレイを励起させる(ステップ200)。これは、後続の画像の再構築のために必要なフーリエ係数の大きさに振幅を設定した各共振モードでアレイを励起させることによって実行される。例えば、図4aを参照すると、最低の周波数において且つ各共振モードにおいてスタートし、各共振モードが励起されてしまうまで、共振の周波数および振幅において、そのアレイ構造を励起させることが可能であった。ピックアップコイルは、アレイ構造における電流の振幅を記録する(ステップ202)。その振幅は、フーリエ係数に対応する。図4aの5×5のアレイでは、フーリエ係数である25個の振幅値が存在することになる。フーリエ変換が計算される(ステップ204)。その結果が、作成された画像である。全ての共振モードが一度に(すなわち、並行して)或いは順次連続して迅速(例えば全ての固有モードが1秒のl/60以下で励起される)であるようにして、その構造が励起されるならば、そのアレイ構造が、イメージングデバイスとして使用できる。
【0041】
概括的に、図4aに戻って参照すると、モードの個数は、アレイのエレメントの個数に依存する。各モードの位置は、所定の共振器寸法の場合の共振器エレメントにおける静電容量値に依存する。言い換えれば、周波数に対する固有値のレベルは、上下に移動され得るのである。ここで、図18および図19を参照すると、誘導結合高域通過2次元梯子形回路アレイは、共振モードの個数(すなわちアレイの寸法)、モード周波数、および共振モードの振幅が他に比較してユニークな署名を提供するために使用できる証明書カードの用途においても使用できる。本文において使用される場合には、証明書カードという用語は、身分証明書カードおよびスマートカードを含む。モードの振幅は、静電容量値と共振器エレメントの間の間隔とに基づく。例えば、10×10のアレイでは、100個の固有値が存在する。固有値の幾つかには周波数のオーバーラップが存在するかもしれないが、十分な個数の周波数のユニークな固有値が静電容量における変化と共振器エレメントの間における間隔とによって与えられ、大部分の用途に応じたユニークな身分証明プロフィールを提供する。
【0042】
図18は、証明書カード300の図面を提示する。証明書カード300は、証明書カード300に内蔵される共振器304のアレイ302を有する。アレイ302は、シェル306の中に埋め込まれる。更に、シェル306は、写真身分証明308のような指標および/またはバーコード、署名、ホログラフィー層等のようなその他の指標310のような指標を封入していても良い。そのシェルは、アレイ302を絶縁し、且つアレイ302が各個人によって偽造されることを防止するようにした任意の材料であっても良い。スマートカードの用途の場合には、証明書カード300は、更に、証明書カード300に内蔵される集積回路310(例えば、「スマート」チップ)をも有する。アレイ302は、集積回路310に電力を供給するアンテナとしても機能し得る。
【0043】
ここで、図19を参照すると、各証明書カード300の共振モードは、判定されて、安全なデータベースのような安全なアプリケーションに記憶される。証明書カード300を確認するために採られる措置は、証明書カードアレイ302の共鳴モードを決定することである(ステップ400)。これは、周波数掃引によって身分証明書カード300を曝露させて、共振モードを決定するようにして実行される。それらの共振モードは、記憶された共振モードと比較される(ステップ402)。もし一致すれば、証明書カードは、有効であると判定される(ステップ404)。一致しないならば、適切な措置が採られる(ステップ406)。例えば、警報またはアラームが生起され得ることになり、一致が形成されなかった理由等が判定される。
【0044】
上述の内容から、誘導結合高域通過2次元梯子形回路は、高磁場MRIおよびセキュリティ用途に対する適用に関して説明されたものであると理解されよう。回路の最大値の次位の固有値は、共振器平面の上において良好な空間的均一性を備えたB1磁場を発生させる標準モードに対応する。強力な結合「固有モード」限度と微弱な結合「フェーズドアレイ」限度の両方における誘導結合した2次元共振器アレイの全般的な問題に関して、解決策が提示された。強力な結合の限度内では、アレイは、従来の直交B1磁場を発生させるために使用できる高周波共振モードを生成し、微弱であるかまたはゼロである結合の限度内では、パラレルイメージング用途に適した周知のフェーズドアレイに適応する。この誘導結合高域通過2次元梯子形回路は、身分証明書カードとしても機能する。
【0045】
本明細書中で引用する刊行物、特許出願および特許を含むすべての文献を、各文献を個々に具体的に示し、参照して組み込むのと、また、その内容のすべてをここで述べるのと同じ限度で、ここで参照して組み込む。
【0046】
本発明の説明に関連して(特に特許請求の範囲に関連して)用いられる名詞及び同様な指示語の使用は、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、単数および複数の両方に及ぶものと解釈される。語句「備える」、「有する」、「含む」および「包含する」は、特に断りのない限り、オープンエンドターム(すなわち「〜を含むが限定しない」という意味)として解釈される。本明細書中の数値範囲の具陳は、本明細書中で特に指摘しない限り、単にその範囲内に該当する各値を個々に言及するための略記法としての役割を果たすことだけを意図しており、各値は、本明細書中で個々に列挙されるかのように、明細書に組み込まれる。本明細書中で説明されるすべての方法は、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、あらゆる適切な順番で行うことができる。本明細書中で使用するあらゆる例または例示的な言い回し(例えば「など」)は、特に主張しない限り、単に本発明をよりよく説明することだけを意図し、本発明の範囲に対する制限を設けるものではない。明細書中の如何なる言い回しも、本発明の実施に不可欠である、請求項に記載されていない要素を示すものとは解釈されないものとする。
【0047】
本明細書中では、発明を実施するため本発明者が知っている最良の形態を含め、本発明の好ましい実施の形態について説明している。当業者にとっては、上記説明を読んだ上で、これらの好ましい実施の形態の変形が明らかとなろう。本発明者は、熟練者が適宜このような変形を適用することを期待しており、本明細書中で具体的に説明される以外の方法で発明が実施されることを予定している。従って本発明は、準拠法で許されているように、本明細書に添付された請求項に記載の内容の修正および均等物をすべて含む。さらに、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、好ましい実施の形態で考えられるすべての変形における上記要素のいずれの組合せも本発明に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図1は、本発明の教示に従う5×5正方形メッシュの高域通過2次元梯子形回路の図面である。
【図2】図2は、本発明の教示に従う誘導結合した平面状5×5正方形メッシュの高域通過2次元梯子形回路共振器のプロトタイプの図面である。
【図3】図3は、本発明の教示内容に従っている頭部コイル構成における誘導結合した高域通過2次元梯子形回路共振器のプロトタイプの図面である。
【図4a】図4aは、図2の平面状5×5の梯子形回路に関する理論的な固有値および実験的な固有値をすグラフである。
【図4b】図4bは、図2の平面状5×5の梯子形回路に関する25個の固有関数の完全セットを示す。
【図4c】図4cは、30×30のアレイに関する最初の25個の固有関数を示している。
【図5a】図5aは、κ=0.065,α=0の固定結合に対し、アレイの大きさの関数としてシングルエレメント共振周波数に対するイメージングモード共振周波数を示している。
【図5b】図5bは、様々な大きさのアレイに対し、結合定数κの関数としてωl,2/ω0を示す図である。
【図6a】図6aは、x=0cmとした図2の平面状共振器の(1,2)モードのB1マップである。
【図6b】図6bは、z=0cmとした図2の平面状共振器の(1,2)モードのB1マップである。
【図6c】図6cは、y=7.5cmとした図2の平面状共振器の(1,2)モードのB1マップである。
【図6d】図6dは、x=0cmとした図3の頭部用共振器の(1,2)モードのB1マップである。
【図6e】図6eは、y=0cmとした図3の頭部用共振器の(1,2)モードのB1マップである。
【図6f】図6fは、z=−6cmとした図3の頭部用共振器の(1,2)モードのB1マップである。
【図7】図7は、図2の平面回路によって獲得される矢状断面勾配(サジタルグラディエントエコー)の頭部画像である。
【図8】図8は、図3の誘導結合頭部用アレイによって直交において獲得される矢状断面(サジタル)高速スピンエコーの脳画像である。
【図9】図9は、本発明の教示に従う身体用コイル構成における誘導結合高域通過2次元梯子形回路共振器のプロトタイプの斜視図を示している。
【図10】図10は、外側カバーを外して図9の身体用コイルが取付けられる場所をおおよそ示す、MRI装置の図面を示している。
【図11a】図11aは、本発明の教示に従うブランケットコイルとして使用され得る可撓性コイルとして構成される誘導結合高域通過2次元梯子形回路共振器のプロトタイプの斜視図を示している。
【図11b】図11bは、本発明の教示に従う皮覆カバーリングを備えている可撓性コイルの図面を示している。
【図12】図12は、本発明の教示に従う動物用コイル構成における誘導結合高域通過2次元梯子形回路共振器のプロトタイプの斜視図を示している。
【図13】図13は、本発明の教示に従う指用コイル構成における誘導結合高域通過2次元梯子形回路共振器のプロトタイプの斜視図を示している。
【図14】図14は、本発明の教示に従う手用コイル構成における誘導結合高域通過2次元梯子形回路共振器の図面を示している。
【図15】図15は、本発明の教示に従う誘導結合高域通過2次元梯子形回路共振器内コイルの図面を示している。
【図16】図16は、本発明の教示に従う細胞イメージングのためのマイクロコイル構成における誘導結合高域通過2次元梯子形回路共振器の図面を示している。
【図17】図17は、誘導結合高域通過2次元梯子形回路共振器のモードを特定する方法のフローチャートを示している。
【図18】図18は、本発明の教示に従う身分証明書カード構成における誘導結合高域通過2次元梯子形回路共振器の図面を示している。
【図19】図19は、図18の身分証明書カードを特定/確認する方法のフローチャートを示している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高域通過2次元梯子形回路共振器であって:
複数の誘導結合共振器を備え、各誘導結合共振器は、自己インダクタンスLを有する少なくとも1つの導電性ストリップを含み、導電性ストリップの各端部が前記少なくとも1つの導電性ストリップの他の一つの端部に接続したキャパシタに接続されるようにした形状を採る、
前記高域通過2次元梯子形回路共振器。
【請求項2】
前記複数の誘導結合共振器が、オーバーラップしない誘導結合共振器の円筒形状のアレイを形成する、
請求項1記載の高域通過2次元梯子形回路共振器。
【請求項3】
前記円筒形状のアレイが人体の外径より大きい内径を有する、
請求項2記載の高域通過2次元梯子形回路共振器。
【請求項4】
前記円筒形状のアレイがMRI装置に組み込まれる、
請求項3記載の高域通過2次元梯子形回路共振器。
【請求項5】
前記少なくとも1つの導電性ストリップが複数の導電性ストリップを備え、前記複数の導電性ストリップが互いに接続され、前記複数の導電性ストリップの各端部がキャパシタに接続される、
請求項3記載の高域通過2次元梯子形回路共振器。
【請求項6】
前記複数の導電性ストリップの各端部がキャパシタに接続され、オーバーラップしない複数の誘導結合共振器の各々が長方形の形状を形成し、前記長方形の形状の各コーナーにキャパシタを備える、
請求項5記載の高域通過2次元梯子形回路共振器。
【請求項7】
前記円筒形状のアレイが動物の体の外径より大きい内径を有する、
請求項2記載の高域通過2次元梯子形回路共振器。
【請求項8】
前記円筒形状のアレイが人体の指の外径より大きい内径を有する、
請求項2記載の高域通過2次元梯子形回路共振器。
【請求項9】
前記複数の誘導結合共振器が、手を覆い、その手にフィットする誘導結合共振器の実質的に楕円形状のアレイを形成する、
請求項1記載の高域通過2次元梯子形回路共振器。
【請求項10】
オーバーラップしない誘導結合共振器の前記実質的に楕円形状のアレイが、電気的に絶縁した材料でカバーされる、
請求項9記載の高域通過2次元梯子形回路共振器。
【請求項11】
前記複数の誘導結合共振器が、人体の外肢を覆い、その外肢にフィットすべく形成されるオーバーラップしない誘導結合共振器のアレイを形成する、
請求項1記載の高域通過2次元梯子形回路共振器。
【請求項12】
前記複数の誘導結合共振器が頭部を覆って、その頭部にフィットすべく形成される、
請求項1記載の高域通過2次元梯子形回路共振器。
【請求項13】
前記少なくとも1つの導電性ストリップが複数の導電性ストリップを備え、前記複数の導電性ストリップが互いに接続し、前記複数の導電性ストリップの各端部がキャパシタに接続される、
請求項12記載の高域通過2次元梯子形回路共振器。
【請求項14】
前記複数の誘導結合共振器が可撓性の基板に取付けられる、
請求項1記載の高域通過2次元梯子形回路共振器。
【請求項15】
前記可撓性の基板が、前記高域通過2次元梯子形回路共振器であるように実質的に成型可能である、
請求項14記載の高域通過2次元梯子形回路共振器。
【請求項16】
前記複数の誘導結合共振器が電気的絶縁材料でカバーされる、
請求項14記載の高域通過2次元梯子形回路共振器。
【請求項17】
前記複数の誘導結合共振器が、前記高域通過2次元梯子形回路共振器が約1センチメートルから約100マイクロメートルの間の寸法を有するように、大きさが設定される、
請求項1記載の高域通過2次元梯子形回路共振器。
【請求項18】
前記高域通過2次元梯子形回路が生体親和性材料でカバーされる、
請求項17記載の高域通過2次元梯子形回路共振器。
【請求項19】
前記複数の誘導結合共振器が体内コイルを形成する、
請求項1記載の高域通過2次元梯子形回路共振器。
【請求項20】
前記体内コイルが錠剤サイズである、
請求項19記載の高域通過2次元梯子形回路共振器。
【請求項21】
前記複数の誘導結合共振器が証明書カードに埋め込んだアレイを形成する、
請求項1記載の高域通過2次元梯子形回路共振器。
【請求項22】
前記証明書カードが、更に、前記身分証明書カードの外側表面における少なくとも1つの識別子指標を備える、
請求項21記載の高域通過2次元梯子形回路共振器。
【請求項23】
前記少なくとも1つの識別子指標が写真画像を備える、
請求項22記載の高域通過2次元梯子形回路共振器。
【請求項24】
前記証明書カードが、更に、前記証明書カードに埋め込んだ集積回路を含む、
請求項21記載の高域通過2次元梯子形回路共振器。
【請求項25】
前記アレイが5×5アレイの最小限のサイズを有するアレイである、
請求項21記載の高域通過2次元梯子形回路共振器。
【請求項26】
請求項1記載の前記高域通過2次元梯子形回路共振器に従って前記高域通過2次元梯子形回路共振器の基底関数を再編成する方法であって:
各共振モードにおいて前記高域通過2次元梯子形回路共振器を励起させ;
各共振モードにおいて前記高域通過2次元梯子形回路共振器における電流の振幅を検出し;
各共振モードにおいて検出された電流の振幅をフーリエ変換におけるフーリエ係数として使用してフーリエ変換を計算する各ステップを含む、
前記基底関数を再編成する方法。
【請求項27】
前記電流の振幅を検出する前記ステップがピックアップコイルによって前記電流の振幅を検出するステップを含む、
請求項26記載の方法。
【請求項28】
各共振モードにおいて前記高域通過2次元梯子形回路共振器を励起させる前記ステップが、前記共振モードの前記固有関数に対応する前記フーリエ係数の大きさに振幅を設定した各共振モードにおいて前記高域通過2次元梯子形回路共振器を励起させるようにしたステップを含む、
請求項26記載の方法。
【請求項29】
各共振モードにおいて前記高域通過2次元梯子形回路共振器を励起させる前記ステップが、前記高域通過2次元梯子形回路共振器を各共振モードにおいて同時に励起させるステップを含む、
請求項26記載の方法。
【請求項30】
証明書カードであって:
アレイを形成する複数の誘導結合共振器であって、各誘導結合共振器が、自己インダクタンスLを有する少なくとも1つの導電性ストリップを含み、導電性ストリップの各端部が前記少なくとも1つの導電性ストリップの他方の端部に接続したキャパシタに接続されるようにした形状をとる、複数の誘導結合共振器と;
前記アレイを取り囲むシェルと;を備える、
前記証明書カード。
【請求項31】
前記シェルの中に封入した写真身分証明書を更に備える、
請求項30記載の証明書カード。
【請求項32】
少なくとも1つの指標を更に備える、
請求項30記載の証明書カード。
【請求項33】
前記証明書カードに埋め込んだ集積回路を更に備える、
請求項30記載の証明書カード。
【請求項34】
請求項30記載の前記身分証明書カードに従って前記身分証明書カードを認証する方法であって:
前記アレイの共振モードを判定し;
前記共振モードを前記身分証明書カードの記憶された共振モードと比較し;
一致した場合に前記身分証明書カードを認証する各ステップを含む、
前記身分証明書カードを認証する方法。
【請求項35】
前記アレイの前記共振モードを判定する前記ステップが周波数掃引によって前記身分証明書カードを曝露させるステップを含む、
請求項34記載の方法。
【請求項36】
一致しない場合に警報を発生させるステップを更に含む、
請求項34記載の方法。
【請求項37】
一致しない場合にアラームを発生させるステップを更に含む、
請求項34記載の方法。
【請求項38】
一致しない場合に一致しなかった理由を判定するステップを更に含む、
請求項34記載の方法。
【請求項1】
高域通過2次元梯子形回路共振器であって:
複数の誘導結合共振器を備え、各誘導結合共振器は、自己インダクタンスLを有する少なくとも1つの導電性ストリップを含み、導電性ストリップの各端部が前記少なくとも1つの導電性ストリップの他の一つの端部に接続したキャパシタに接続されるようにした形状を採る、
前記高域通過2次元梯子形回路共振器。
【請求項2】
前記複数の誘導結合共振器が、オーバーラップしない誘導結合共振器の円筒形状のアレイを形成する、
請求項1記載の高域通過2次元梯子形回路共振器。
【請求項3】
前記円筒形状のアレイが人体の外径より大きい内径を有する、
請求項2記載の高域通過2次元梯子形回路共振器。
【請求項4】
前記円筒形状のアレイがMRI装置に組み込まれる、
請求項3記載の高域通過2次元梯子形回路共振器。
【請求項5】
前記少なくとも1つの導電性ストリップが複数の導電性ストリップを備え、前記複数の導電性ストリップが互いに接続され、前記複数の導電性ストリップの各端部がキャパシタに接続される、
請求項3記載の高域通過2次元梯子形回路共振器。
【請求項6】
前記複数の導電性ストリップの各端部がキャパシタに接続され、オーバーラップしない複数の誘導結合共振器の各々が長方形の形状を形成し、前記長方形の形状の各コーナーにキャパシタを備える、
請求項5記載の高域通過2次元梯子形回路共振器。
【請求項7】
前記円筒形状のアレイが動物の体の外径より大きい内径を有する、
請求項2記載の高域通過2次元梯子形回路共振器。
【請求項8】
前記円筒形状のアレイが人体の指の外径より大きい内径を有する、
請求項2記載の高域通過2次元梯子形回路共振器。
【請求項9】
前記複数の誘導結合共振器が、手を覆い、その手にフィットする誘導結合共振器の実質的に楕円形状のアレイを形成する、
請求項1記載の高域通過2次元梯子形回路共振器。
【請求項10】
オーバーラップしない誘導結合共振器の前記実質的に楕円形状のアレイが、電気的に絶縁した材料でカバーされる、
請求項9記載の高域通過2次元梯子形回路共振器。
【請求項11】
前記複数の誘導結合共振器が、人体の外肢を覆い、その外肢にフィットすべく形成されるオーバーラップしない誘導結合共振器のアレイを形成する、
請求項1記載の高域通過2次元梯子形回路共振器。
【請求項12】
前記複数の誘導結合共振器が頭部を覆って、その頭部にフィットすべく形成される、
請求項1記載の高域通過2次元梯子形回路共振器。
【請求項13】
前記少なくとも1つの導電性ストリップが複数の導電性ストリップを備え、前記複数の導電性ストリップが互いに接続し、前記複数の導電性ストリップの各端部がキャパシタに接続される、
請求項12記載の高域通過2次元梯子形回路共振器。
【請求項14】
前記複数の誘導結合共振器が可撓性の基板に取付けられる、
請求項1記載の高域通過2次元梯子形回路共振器。
【請求項15】
前記可撓性の基板が、前記高域通過2次元梯子形回路共振器であるように実質的に成型可能である、
請求項14記載の高域通過2次元梯子形回路共振器。
【請求項16】
前記複数の誘導結合共振器が電気的絶縁材料でカバーされる、
請求項14記載の高域通過2次元梯子形回路共振器。
【請求項17】
前記複数の誘導結合共振器が、前記高域通過2次元梯子形回路共振器が約1センチメートルから約100マイクロメートルの間の寸法を有するように、大きさが設定される、
請求項1記載の高域通過2次元梯子形回路共振器。
【請求項18】
前記高域通過2次元梯子形回路が生体親和性材料でカバーされる、
請求項17記載の高域通過2次元梯子形回路共振器。
【請求項19】
前記複数の誘導結合共振器が体内コイルを形成する、
請求項1記載の高域通過2次元梯子形回路共振器。
【請求項20】
前記体内コイルが錠剤サイズである、
請求項19記載の高域通過2次元梯子形回路共振器。
【請求項21】
前記複数の誘導結合共振器が証明書カードに埋め込んだアレイを形成する、
請求項1記載の高域通過2次元梯子形回路共振器。
【請求項22】
前記証明書カードが、更に、前記身分証明書カードの外側表面における少なくとも1つの識別子指標を備える、
請求項21記載の高域通過2次元梯子形回路共振器。
【請求項23】
前記少なくとも1つの識別子指標が写真画像を備える、
請求項22記載の高域通過2次元梯子形回路共振器。
【請求項24】
前記証明書カードが、更に、前記証明書カードに埋め込んだ集積回路を含む、
請求項21記載の高域通過2次元梯子形回路共振器。
【請求項25】
前記アレイが5×5アレイの最小限のサイズを有するアレイである、
請求項21記載の高域通過2次元梯子形回路共振器。
【請求項26】
請求項1記載の前記高域通過2次元梯子形回路共振器に従って前記高域通過2次元梯子形回路共振器の基底関数を再編成する方法であって:
各共振モードにおいて前記高域通過2次元梯子形回路共振器を励起させ;
各共振モードにおいて前記高域通過2次元梯子形回路共振器における電流の振幅を検出し;
各共振モードにおいて検出された電流の振幅をフーリエ変換におけるフーリエ係数として使用してフーリエ変換を計算する各ステップを含む、
前記基底関数を再編成する方法。
【請求項27】
前記電流の振幅を検出する前記ステップがピックアップコイルによって前記電流の振幅を検出するステップを含む、
請求項26記載の方法。
【請求項28】
各共振モードにおいて前記高域通過2次元梯子形回路共振器を励起させる前記ステップが、前記共振モードの前記固有関数に対応する前記フーリエ係数の大きさに振幅を設定した各共振モードにおいて前記高域通過2次元梯子形回路共振器を励起させるようにしたステップを含む、
請求項26記載の方法。
【請求項29】
各共振モードにおいて前記高域通過2次元梯子形回路共振器を励起させる前記ステップが、前記高域通過2次元梯子形回路共振器を各共振モードにおいて同時に励起させるステップを含む、
請求項26記載の方法。
【請求項30】
証明書カードであって:
アレイを形成する複数の誘導結合共振器であって、各誘導結合共振器が、自己インダクタンスLを有する少なくとも1つの導電性ストリップを含み、導電性ストリップの各端部が前記少なくとも1つの導電性ストリップの他方の端部に接続したキャパシタに接続されるようにした形状をとる、複数の誘導結合共振器と;
前記アレイを取り囲むシェルと;を備える、
前記証明書カード。
【請求項31】
前記シェルの中に封入した写真身分証明書を更に備える、
請求項30記載の証明書カード。
【請求項32】
少なくとも1つの指標を更に備える、
請求項30記載の証明書カード。
【請求項33】
前記証明書カードに埋め込んだ集積回路を更に備える、
請求項30記載の証明書カード。
【請求項34】
請求項30記載の前記身分証明書カードに従って前記身分証明書カードを認証する方法であって:
前記アレイの共振モードを判定し;
前記共振モードを前記身分証明書カードの記憶された共振モードと比較し;
一致した場合に前記身分証明書カードを認証する各ステップを含む、
前記身分証明書カードを認証する方法。
【請求項35】
前記アレイの前記共振モードを判定する前記ステップが周波数掃引によって前記身分証明書カードを曝露させるステップを含む、
請求項34記載の方法。
【請求項36】
一致しない場合に警報を発生させるステップを更に含む、
請求項34記載の方法。
【請求項37】
一致しない場合にアラームを発生させるステップを更に含む、
請求項34記載の方法。
【請求項38】
一致しない場合に一致しなかった理由を判定するステップを更に含む、
請求項34記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図6d】
【図6e】
【図6f】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11a】
【図11b】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図6d】
【図6e】
【図6f】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11a】
【図11b】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公表番号】特表2008−538311(P2008−538311A)
【公表日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−506788(P2008−506788)
【出願日】平成18年4月14日(2006.4.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/014269
【国際公開番号】WO2006/113545
【国際公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(500017210)コーネル リサーチ ファンデイション インク. (1)
【氏名又は名称原語表記】Cornell Research Foundation Inc.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月14日(2006.4.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/014269
【国際公開番号】WO2006/113545
【国際公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(500017210)コーネル リサーチ ファンデイション インク. (1)
【氏名又は名称原語表記】Cornell Research Foundation Inc.
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]