説明

高密度極細織物

本発明は、高密度極細糸織物に係り、さらに詳細には、後加工としてシレ加工を不要とする高密度極細織物に関する。本発明は、経糸と緯糸の両方、またはいずれか一方の糸ひとすじの繊度が5デニール以上、100デニール以下であり、経糸と緯糸の両方、またはいずれか一方の糸ひとすじ内のモノフィラメントの繊度が0.1デニール以上、1.5デニール以下であり、経糸は、ナイロン、ポリエステル、またはナイロン及びポリエステルの複合糸であり、緯糸は、ナイロン、ポリエステル、またはナイロン及びポリエステルの複合糸であり、経糸または緯糸の何れか一方にナイロン高伸縮糸、ナイロン素材の部分配向糸、またはナイロン素材の伸びが25%以上であるスピンドローヤーンがさらに混繊または配列されるか、または精練工程や染色工程で水によって溶解して除去され得るPVA系の水溶性繊維がさらに混繊または配列されて、収縮したk値が22以上であることを特徴とする高密度極細織物を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明によって形成された構造物は、布団、パッドなどの寝具類及びそのカバー、家具などのカバー、各種のパッド材のカバー、医療用品のカバー、幼児用品のカバー、幼児の遊び道具のカバー、空気清浄器、真空清掃機のエアフィルター、または花粉や黄砂マスクのフィルターなどとして使用可能であり、特に、有害な生活アレルゲンの一つであるチリダニ及びその分泌物を遮断する用途として全般的に使用可能であり、前述の用途に限定されない産業上広範に応用可能な新規な高密度極細織物に関する。
【背景技術】
【0002】
日常生活のアレルゲン(アレルギーを起こす原因物質)を防止するための微細空隙織物を得るために、その間、経糸にポリエステル、緯糸にポリエステル及びナイロン、または経糸にポリエステル、緯糸にポリエステルの成分を主に使用し、経糸と緯糸の両方、または緯糸に単繊度0.3d以下の極細糸を使用して、製織後にすじ間の空隙を塞ぐ方法として、物理的な圧搾方法であるシレ(cire)加工を行って得るということが広く知られており、韓国の極細糸の生産胎動期である1980年代から前述の方法で製織した織物が衣類用または寝具用として生産されて海外に輸出されてきたことは周知の事実である(例えば、曉星社の‘ハイデナ’など)
【0003】
極細糸織物における空隙とは、極細糸の糸ひとすじ内のモノフィラメント間の空隙Aと、製織工程によって必然的に発生する、経糸と緯糸の交差点である極細糸のすじ間の空隙Bとに分けられる。しかし、極細糸の糸ひとすじ内のモノフィラメント間の空隙Aは、製織時に発生する経糸と緯糸との交差張力によって極細糸の糸ひとすじ内の複数のモノフィラメントが重畳するため、たとえ極細糸の糸ひとすじ内のモノフィラメントの直径が10μmであっても、重畳したモノフィラメント間の空隙は3μm以下と非常に小さく形成されるため、一般的に空隙Aよりは、製織時に経糸と緯糸とが交差する地点に形成される空隙である糸すじ間の空隙Bを調節することが重要であり、空隙Bは、可能なかぎり多数の経糸及び緯糸を製織することによって小さく形成されることができる。
【0004】
また、生活アレルゲンの主要原因の一つであるチリダニのサイズは、成体が約200ないし600μm、卵が約40ないし60μm、分泌物が約10ないし40μmであると知られている。したがって、糸ひとすじの繊度が約10μmである糸を使用して、空隙Aをチリダニの分泌物より小さくし、適切な繊度を有する糸で高密度に製織して、空隙Bを分泌物より小さくし、空隙A及び空隙Bは一時的ではなく永久的に維持され、変形しないようにしなければならない。
【0005】
下記特許文献1では、空隙Bを物理的圧搾方法であるシレ加工によって縮小させようとしたが、反復的な洗濯や人体との摩擦によって、空隙Bの大きさがシレ加工前に戻ってしまい、シレ加工の特性上、織物が硬くなる問題点がある。また、極細糸の糸ひとすじの繊度によって経糸及び緯糸の数を適切に決定しなければならないが、極細糸の糸ひとすじの繊度が100デニール以下のものを使用して、下記特許文献1に記載されたとおりに製織した場合、空隙Bのサイズを縮小させることが難しくなる。
【0006】
下記特許文献2は、製織後に平均空隙のサイズがAであるか、またはBであるか、技術的に不明であり、高密度であるとは言うが、それによるカバーファクターなどが記載されておらず、極細繊維の糸ひとすじの繊度が規定されていないため、曖昧な部分がある。また、物理的圧搾方法であるシレ加工を行って空隙Bを塞ごうとすれば、特許文献1に記載されているような問題が生じる。
【0007】
下記特許文献3では、極細糸の主素材がポリエステルであり、30%以下のナイロンが使用された高密度極細織物であるとしたが、30%以下のナイロンが含まれた極細糸の糸ひとすじの繊度が100デニール以下である場合には、物理的な方法で空隙Bを4μm以下に製織し難く、極細糸の糸ひとすじの繊度を規定していないため、曖昧な部分が多い。例えば、モノフィラメントの繊度が0.3デニール以下であっても、極細糸の糸ひとすじの繊度が50デニールである場合には、特許文献1に記載された方法通りに製織する場合、空隙Bのサイズは4μm以上となる。したがって、空隙Bのサイズを小さくするためには、シレ加工などの物理的圧搾方法などが必要とされるのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国特許登録第10−0365188−0000号
【特許文献2】韓国特許公開第10−2002−0035012号公報
【特許文献3】韓国特許公開第10−2002−0013679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
日常生活のアレルゲン防止機能のある高密度極細織物を製造するために、下記の3つの要素が検討されねばならない。第1要素として、極細糸の糸ひとすじ内のモノフィラメントの太さによる空隙Aが、チリダニの分泌物のサイズである10μmより十分に小さくなければならず、第2要素として、極細糸のすじ間の空隙Bが、チリダニの分泌物の最小サイズである10μmより十分に小さい高密度でなけれなならず、第3要素としては、後加工であるシレ加工ではない、織物そのものの形成によって空隙Bのサイズを縮小させて、永久的でありながら、触感の良いものでなければならない。ここで、最も重要な要素は第2要素と第3要素であり、第1要素は製織によるモノフィラメントの重畳によって容易に満足させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1要素として、モノフィラメントの太さによる空隙Aをチリダニの分泌物より小さくするためには、極細糸のモノフィラメントの繊度が、ナイロンである場合、0.97デニール(10μm)以下、ポリエステルである場合、1.04デニール(10μm)以下が好ましく、ナイロンである場合、繊度が0.7デニール以下、ポリエステルである場合、繊度が0.8デニール以下であることがさらに好ましい。それは、製織によってモノフィラメントは必然的に重畳するため、下記に規定したk値を満たす場合、空隙Aのサイズが3μm以下である織物を得ることができる。ここで、それぞれのモノフィラメントの繊度を0.1デニール以下にする場合、繊維の表面積が広くなって、染色加工時に障害が生じる恐れがあり、静電気が過度に発生する恐れがある。また、それぞれのモノフィラメントの繊度を1.5デニール以上にする場合には、織物の触感が硬くなる恐れがあるため好ましくない。
【0011】
第2要素として、一般的に高密度織物とは、経糸及び緯糸の密度を一般的な織物の密度より高く製織した織物を言い、どの程度高く製織する場合に高密度と言うかは現在まで定義されておらず、慣習的に使用される用語でもある。したがって、非形状用語である高密度という用語ではなく、カバーファクターk1(例えば、一つの単位面積が繊維で100%満たされる場合、k1値が1であるとすれば)を本明細書中では使用する。
極細糸のすじ間の空隙Bは、極細糸の糸ひとすじの繊度とインチ当たりのすじ数によって影響を受けるが、下記の式で表現されることができる。
k1=(Na×√(Da)×10.81+Nb×√(Db)×9.82+Nc×√(Dc)×9.37)/25400
k1=カバーファクター
Na=ナイロンの1インチ当たりのすじ数、Da=ナイロンの糸ひとすじの繊度(デニール)
Nb=ポリエステルの1インチ当たりのすじ数、Db=ポリエステルの糸ひとすじの繊度(デニール)
Nc=綿の1インチ当たりのすじ数、Dc=綿の糸ひとすじの平均繊度(デニール)
【0012】
第2要素として、糸すじ間の空隙Bは、糸ひとすじの繊度が低下するほど、同じカバーファクターであっても、空隙Bがそれに比例して小さくなる。したがって、可能なかぎり細繊度の糸を使用して初めて空隙Bを縮小させることができ、糸ひとすじの繊度によるカバーファクターの空隙係数は次の式で表すことができる。
k2=10/(c×√(Da))+10/(c×√(Db))+10/(c×√(Dc))
k2=空隙係数
c=素材定数;ナイロン=10.81、ポリエステル=9.82、綿=9.37
Da=ナイロンの糸ひとすじの繊度
Db=ポリエステルの糸ひとすじの繊度
Dc=綿の糸ひとすじの繊度
【0013】
また、本発明の発明者らは、k1とk2を掛け合わせた数値kがすじ間の空隙Bに関連しており、k値に100を掛けた数値が22以上であれば、満足すべき結果が得られるということを経験的に解るようになった。
k=(k1×k2)×100≧22
【0014】
経糸及び緯糸に使用される糸のモノフィラメントの繊度が0.3デニール以下であり、糸ひとすじ当たりの繊度が100デニール以上である場合には、k1値であるカバーファクターが約90%と非常に高くても、k2値が低く、それにより、すじ間の空隙Bが大きくなるため、この場合、理論的にはk1のNa、Nb、Nc値、すなわち、1インチ当たりの糸すじ数をさらに増加させて、k値を22以上にせねばならないが、現実的にこのような高密度な製織は不可能であり、k値が22未満になるため、やむを得ずシレ加工などの物理的な圧搾方法を使用して空隙を塞ぐしかないということが本発明者らの主張である。さらに、経糸及び緯糸に使用される糸ひとすじ当たりのデニールが5デニール未満である場合には、製織時に発生する張力によって糸が切断されるため好ましくないということが本発明者らの主張である。
【0015】
経糸と緯糸の何れか一方に使用される極細糸の糸ひとすじ当たりの繊度が100デニール以下である場合には、k2値が相対的に高くなるため有利である。実例として、経糸に繊度40デニールのナイロンまたはポリエステル、またはナイロン及びポリエステルの複合糸を使用し、緯糸に繊度120デニール以下のナイロンまたはポリエステル、またはナイロン及びポリエステルの複合糸を使用するが、ナイロンの成分を30%以上、好ましくは50%以上にして95℃以上で染色して、ポリエステルより熱収縮率の高いナイロンの急激な収縮によってk値が22以上である高密度の織物を得ることができる。k1値をさらに大きくするためには、高収縮性のナイロン、ナイロン部分配向糸(POY)または破断伸びが25%以上であるナイロンスピンドローヤーンのうち一つ以上を混繊または配列させる方法が好ましく、最大の収縮率を得るためには、PVA系の水溶性糸を経糸または緯糸、または経糸と緯糸の両方に追加的に混繊または配列させて、製織後の精練工程や染色工程などでPVA繊維を除去すれば、PVA繊維がとけながら急激に収縮して、k値の非常に高い超高密度の織物を得ることができ、空隙Bは3.0μm以下になる。また、織物の吸湿性を改善するためには、綿を使用する方法があるが、経糸と緯糸の両方の一部、または何れか一方の全部または一部に綿を使用する場合、ナイロンを30%以上含ませ、または高収縮のナイロン、ナイロン部分配向糸、または破断伸びが25%以上であるナイロンスピンドローヤーンのうち何れか一つを混繊または配列させるか、またはPVA系の繊維を混繊または配列させて、製織後の精練加工や染色加工によって溶解させて除去することによって、k値も満たしながら吸湿性も改善する満足すべき結果が得られた。
【0016】
また、他の実施例として、経糸は、ナイロン、ポリエステル、ナイロン及びポリエステルの複合糸、またはコットンであるか、またはこれらの素材とコットンが混繊または配列され、緯糸は、ナイロン、ポリエステル、ナイロン及びポリエステルの複合糸、またはコットンであるか、またはこれらの素材とコットンが混繊または配列されることができ、このとき、織物の単位面積当たりのコットンの重量比は1%以上であることが好ましい。
【0017】
ところで、経糸と緯糸の両方の一部、何れか一方の全部または一部に綿を使用する場合、30%未満のナイロンが含まれる場合や、破断伸びが25%未満であるナイロンスピンドローヤーンを混繊または配列させる場合、精練工程や染色工程で十分に収縮しないため、k2値が低すぎ、k値が22以下である不満足な結果が得られた。
【0018】
前述の改善された方法で生産された高密度極細織物を利用する物に関連して、前記高密度極細織物のうち何れか一つの織物とその他の材料が一つ以上構成されて2層以上に積層して構造物を製造することができる。また、前記構造物の積層固着方法として、繊維刺繍、繊維刺し縫い、繊維キルティング、繊維縫製、繊維文様の形成時に220℃以下で融着する成分が0.1%以上含まれている糸から構成されているため、前記形成時に発生する縫目が後加工によって糸の融着する成分によって塞がれうる部分を一部でも含んで構造物を製造することが可能であり、前記構造物の他の積層固着方法として、超音波で融着した繊維刺繍、繊維刺し縫い、繊維キルティング、繊維縫製、繊維文様を一部でも含んで構造物を製造することも可能である。
【0019】
さらに、前記高密度極細織物を利用して布団、パッド、枕などの寝具類及びそのカバー、衣類、児童向きの玩具の素材または玩具用カバー、マスク用フィルター、空気清浄器、真空清掃機のフィルター、カーテン類、家具用カバー類などの生活用品のカバーなどの構造物を製造することができる。
【発明の効果】
【0020】
前記の高密度極細織物は何なる物理的圧搾加工を行わずとも、空隙A及び空隙Bが3μm以下に発現されるため、製品の反復洗濯によって空隙が大きくなる現象を防止することができ、触感においてもシレ加工による硬い触感ではない、非常に柔らかいシルキー調の製品が得られるため、特に、抗アレルゲン幼児用寝具などへの適用に好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施例1)
経糸にナイロンの単繊度0.94デニールの48フィラメント数を有する糸ひとすじ当たりの繊度が45デニールである極細糸を使用し、緯糸には、ポリエステルの単繊度0.94デニールの48フィラメント数を有する糸ひとすじ当たりの45デニールである極細糸を使用して、経糸の密度が1インチ当たり150本、緯糸の密度が1インチ当たり90本である織物を製織した。このとき、ナイロンは、単位面積当たりの重量比が62.5%であり、k1値は0.66であり、k2値は0.290であり、k値は19.2であり、空隙Bは15μmであった。このように製織された布を95℃で2時間染色加工したら、経糸密度が175、緯糸密度が122であり、このとき、k1値は0.816、k値は23.6であり、空隙Aと空隙Bの両方とも3μm以下と、シレ加工を行わなくても空隙が所望の基準に合致し、触感も柔らかく、5回の洗濯後にも空隙のサイズは維持された。
【0022】
(実施例2)
経糸及び緯糸は前記実施例1のものを使用したが、緯糸に繊度が10デニール、フィラメント数が12であるナイロン部分配向糸をさらに混繊させて製織した。経糸は、すべての条件が前記実施例と同一であり、緯糸は、混繊後の糸ひとすじ当たりの繊度が55デニール、フィラメント数が60であり、1インチ当たり85本の織物を製織した。このとき、ナイロンは、単位面積当たりの重量比が66.5%であり、k1値は0.67であり、k2値は0.272であり、k値は18.08であり、空隙Bは16μmであった。このように製織された布を95℃で2時間染色加工したら、経糸の密度は180、緯糸の密度は130であり、このとき、k1値は0.89であり、k値は24.0であり、空隙Aと空隙Bの両方とも3μm以下と、シレ加工を行わなくても空隙が所望の基準に合致し、触感も柔らかく、5回の洗濯後にも空隙のサイズは維持された。
【0023】
(実施例3)
経糸及び緯糸は前記実施例1のものを使用したが、緯糸に、繊度が5デニール、フィラメント数が10であるPVA系の水溶性繊維をさらに混繊させて製織した。経糸は、すべての条件が前記実施例と同一であり、緯糸は、混繊後に糸ひとすじ当たりの繊度が50デニール、フィラメント数が58であり、1インチ当たり85本の織物を製織した。このとき、ナイロンは、単位面積当たりの重量比が59.1%であり、k1値は0.67であり、k2値は0.272であり、k値は18.08であり、空隙Bは13μmであった。このように製織された布を95℃で2時間染色加工したら、PVA系の繊維は水によって溶解して除去されるため、布が大きく収縮して、経糸の密度は190、緯糸の密度は140であり、このとき、k1値は0.94であり、k値は25.5であり、空隙Aと空隙Bの両方とも3μm以下と、シレ加工を行わなくても、空隙が所望の基準に合致し、触感も柔らかく、5回の洗濯後にも空隙のサイズは維持された。
【0024】
(実施例4)
経糸に、ナイロンの単繊度0.88デニールの34フィラメント数を有する糸ひとすじ当たりの繊度が30デニールである極細糸を使用し、緯糸には、ポリエステルの単繊度0.42デニールの72フィラメント数を有する糸ひとすじ当たりの30デニールである極細糸を使用して、経糸密度が1インチ当たり170本、緯糸密度が1インチ当たり100本の織物を製織した。このとき、ナイロンは、単位面積当たりの重量比が62.9%であり、k1値は0.57であり、k2値は0.355、k値は20.2であり、空隙Bは16μmであった。この製織された布を120℃で40分間精練加工したら、経糸密度が212、緯糸密度が128であり、このとき、k1値は0.72、k値は25.5であり、空隙Aと空隙Bの両方とも3μm以下と、シレ加工を行わなくても空隙が所望の基準に合致し、触感も柔らかく、5回の洗濯後にも空隙のサイズは維持された。
【0025】
(実施例5)
経糸に、ナイロンの単繊度0.88デニールの34フィラメント数を有する糸ひとすじ当たりの繊度が30デニールである極細糸を使用し、緯糸には、コットンの平均単繊度1デニールの平均50ファイバー数を有する糸ひとすじ当たり50デニールである極細綿を使用して、経糸の密度が1インチ当たり170本、緯糸の密度が1インチ当たり90本である織物を製織した。このとき、ナイロンは、単位面積当たりの重量比が51.7%であり、k1値は0.64であり、k2値は0.315であり、k値は20.0であり、空隙Bは17μmであった。このように製織された布を110℃で1時間染色加工したら、経糸の密度が212、緯糸の密度が120であり、このとき、k1値は0.82、k値は25.7であり、空隙Aと空隙Bの両方とも3μm以下と、シレ加工を行わなくても、空隙が所望の基準に合致し、触感も柔らかく、5回の洗濯後にも空隙のサイズは維持された。
【0026】
(比較例1)
経糸に、ポリエステルの単繊度0.94デニールの48フィラメント数を有する糸ひとすじ当たりの繊度が45デニールである極細糸を使用し、緯糸には、ポリエステルの単繊度0.94デニールの48フィラメント数を有する糸ひとすじ当たりの45デニールである極細糸を使用して、経糸の密度が1インチ当たり150本、緯糸の密度が1インチ当たり90本である織物を製織した。このとき、ナイロンは、単位面積当たりの重量比が0%であり、k1値は0.62であり、k2値は0.303であり、k値は18.8であり、空隙Bは15μmであった。このように製織された布を120℃で1時間染色加工したら、経糸の密度が162、緯糸の密度が98であり、このとき、k1値は0.674、k値は20.4であり、空隙Aと空隙Bは10μmないし14μmとなって、チリダニの分泌物の透過が予想された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経糸と緯糸の両方、またはいずれか一方の糸ひとすじの繊度が5デニール以上、100デニール以下であり、
前記経糸と前記緯糸の両方、またはいずれか一方の前記糸ひとすじ内のモノフィラメントの繊度が0.1デニール以上、1.5デニール以下であり、
前記経糸は、ナイロン、ポリエステル、またはナイロン及びポリエステルの複合糸であり、前記緯糸は、ナイロン、ポリエステル、またはナイロン及びポリエステルの複合糸であり、
前記経糸または前記緯糸の何れか一方にナイロン高伸縮糸、ナイロン素材の部分配向糸、またはナイロン素材の伸びが25%以上であるスピンドローヤーンがさらに混繊または配列されるか、または精練工程や染色工程で水によって溶解して除去され得るPVA系の水溶性繊維がさらに混繊または配列されて、収縮したk値が22以上であることを特徴とする高密度極細織物。
【請求項2】
経糸と緯糸の両方、またはいずれか一方の糸ひとすじの繊度が5デニール以上、100デニール以下であり、
前記経糸と前記緯糸の両方、またはいずれか一方の前記糸ひとすじ内のモノフィラメントの繊度が0.1デニール以上、1.5デニール以下であり、
前記経糸は、ナイロン、ポリエステル、またはナイロン及びポリエステルの複合糸であり、前記緯糸は、ナイロン、ポリエステル、またはナイロン及びポリエステルの複合糸であり、
収縮した織物の単位重量当たりのナイロン成分の重量比が30%以上であり、k値が22以上であることを特徴とする高密度極細織物。
【請求項3】
経糸と緯糸の両方、またはいずれか一方の糸ひとすじの繊度が5デニール以上、100デニール以下であり、
前記経糸と前記緯糸の両方、またはいずれか一方の前記糸ひとすじ内のモノフィラメントの繊度が、ナイロン、ポリエステル、またはナイロン及びポリエステルの複合糸である場合には0.1デニール以上、1.5デニール以下であり、コットンである場合には3デニール以下であり、
前記経糸は、ナイロン、ポリエステル、ナイロン及びポリエステルの複合糸またはコットンであるか、またはこれらの素材とコットンが混繊または配列され、前記緯糸は、ナイロン、ポリエステル、ナイロン及びポリエステルの複合糸またはコットンであるか、またはこれらの素材とコットンが混繊または配列され、
前記経糸と前記緯糸の何れか一方または両方にナイロン高伸縮糸、ナイロン素材の部分配向糸、またはナイロン素材の伸びが25%以上であるスピンドローヤーンがさらに混繊または配列されるか、または精練工程や染色工程で水によって溶解して除去され得るPVA系の水溶性繊維がさらに混繊または配列されて、
収縮した織物の単位面積当たりのコットンの重量比が1%以上であり、
k値が22以上であることを特徴とする高密度極細織物。
【請求項4】
経糸と緯糸の両方、またはいずれか一方の糸ひとすじの繊度が5デニール以上、100デニール以下であり、
前記経糸と前記緯糸の両方、またはいずれか一方の前記糸ひとすじ内のモノフィラメントの繊度が、ナイロン、ポリエステル、またはナイロン及びポリエステルの複合糸である場合には0.1デニール以上、1.5デニール以下であり、コットンである場合には3デニール以下であり、
前記経糸は、ナイロン、ポリエステル、ナイロン及びポリエステルの複合糸またはコットンであるか、またはこれらの素材とコットンが混繊または配列され、前記緯糸は、ナイロン、ポリエステル、ナイロン及びポリエステルの複合糸またはコットンであるか、またはこれらの素材とコットンが混繊または配列され、
収縮した織物の単位重量当たりのナイロン成分の重量比が30%以上であり、
織物の単位重量当たりのコットンの重量比が1%以上であり、
k値が22以上であることを特徴とする高密度極細織物。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4に記載の織物のうち、何れか一つの織物とその他の材料が一つ以上構成されて2層以上に積層されたことを特徴とする構造物。
【請求項6】
請求項5記載の積層固着方法において、繊維刺繍、繊維刺し縫い、繊維キルティング、繊維縫製、繊維文様の形成時に、220℃以下で融着する成分が0.1%以上含まれている糸で構成されており、前記形成時に発生する縫目が後加工によって糸の融着する成分で塞がれ得る部分が一部でも含まれることを特徴とする構造物。
【請求項7】
請求項5に記載の積層固着方法において、超音波で融着した繊維刺繍、繊維刺し縫い、繊維キルティング、繊維縫製、繊維文様が一部でも含まれることを特徴とする構造物。
【請求項8】
請求項1ないし請求項4のうち何れか一つの織物で構成された布団、パッド、枕などの寝具類及びそのカバー、衣類、児童向きの玩具用素材または玩具用カバー、マスク用フィルター、空気清浄器、真空清掃機のフィルター、カーテン類、家具用カバー類などの生活用品のカバーなどの構造物。

【公表番号】特表2011−526661(P2011−526661A)
【公表日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−516144(P2011−516144)
【出願日】平成21年7月1日(2009.7.1)
【国際出願番号】PCT/KR2009/003582
【国際公開番号】WO2010/002187
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(511001655)テクスランド アンド ネクスコ カンパニー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】