説明

高屈折率眼鏡用プラスチックレンズ

【課題】耐衝撃性が高く、干渉縞のきわめて少ない軽量の高屈折率眼鏡用プラスチックレンズを得ること。
【解決手段】本発明は、少なくとも一種のポリイソシアネート化合物と少なくとも一種のポリチオール及び/又は含硫ポリオールとを重合して得られるポリウレタン系樹脂を用いたプラスチックレンズの表面に、少なくとも厚さ0.8μのポリウレタン樹脂からなるプライマー層を形成し、さらにその上に屈折率1.47以上のオルガノシロキサン系ハードコート層を形成し、更に該ハードコート層の上に金属薄膜を少なくとも一層設けた高屈折率眼鏡用プラスチックレンズである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐衝撃性に優れた高屈折率眼鏡用プラスチックレンズに関するものである。
【背景技術】
【0002】
眼鏡用プラスチックレンズは、軽い、割れにくい、染色しやすいといったガラス製のレンズにない特性を有しており、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ADC樹脂を経て、現在では高屈折率ウレタン樹脂が用いられ屈折率も1.60を超えるものが上市されている。
【0003】
しかし、プラスチックレンズは樹脂の光学特性は改善されるが、耐擦傷性においてはガラス製のレンズと比較してはるかに低い数値を示すものである。従ってレンズ面へのハードコート層の被着が不可欠の条件とされている。一方、屈折率においては、1.60以上になるとマイナスレンズにおいては、レンズ周辺部の厚さも薄くすることが可能となり見栄えのよいレンズが得られている。又、レンズの重量を軽減させるために中心部の厚みを極力薄くし且つ非球面による収差の改善と、周辺部の厚さを更に薄くすることが求められている。
【0004】
更に、耐擦傷性を向上させるために、有機珪素やエポキシ樹脂などを用いたハードコート層を設ける点については、その上層に位置する反射防止層を形成するための金属薄膜を密着させるにはきわめて有効であるが、衝撃でこの反射防止層に亀裂が生じた場合、レンズ本体まで亀裂が成長し、ついには一気にレンズを破壊してしまうという大きな欠点を有するものである。一般的にプラスチックレンズに直接ハードコーティング層を形成し、その上層にTiO2 、ZrO2 、SiO2 などの無機質を真空蒸着すると、これらの層は硬い反面非常にもろいので、耐衝撃性が低く、亀裂が入りやすいため、単純にこれらのコーティングを実施すると耐衝撃性はレンズ本体と比較して、1/20に低下すると言われている。特許文献1および特許文献2には特定のポリオールあるいは活性水素含有化合物とジイソシアネートあるいはポリイソシアネートから得られるポリウレタンをプライマーとしてジエチレングリコールビスアリルカーボネイトあるいはその共重合体からなるレンズ上に使用することが記載されており、使用されているレンズの中心厚は1.6mmあるいは1.2mmのものが用いられている。今日の高屈折率レンズにおいてはその高屈折率を生かしさらに薄いレンズの製造を可能にしている。レンズの中心厚を0.7mm以上1.2mm未満とすることができ、−レンズの場合にはコバ厚が薄く+レンズにおいては中心厚の薄いファッション性に富んだレンズを提供することができる。しかしながら、耐衝撃性はレンズが薄くなると極端に低下する傾向がある。
【0005】
さらに、耐衝撃性のテストはFDA規格により実施されるのが通常であり、重量約16.4g、直径約16mmの鋼球を127cmから落下させて評価するが、アメリカ国家規格(ANSI Z87.1 1989)では工業用安全メガネとして例えば、直径25.4mmの鋼球を127cmから落下させる評価法が規定されており、着用者のより一層の安全をはかっている。本発明者らは、メガネ着用者のより一層の安全を確保するため、工業用途の規定を満足する耐衝撃性を有するより安全性の高いメガネ用レンズを開発することを目的とした。レンズの耐衝撃性を評価する方法としては、上記のFDA規格の鋼球(16.4g)あるいはこれの数倍の重量を有する鋼球を落下させて、「FDAの数倍」という表現で安全度を評価する場合もあるが、これでは鋼球の直径が大きくなり、落下衝撃時に接触する面積が大きくなり真の倍率表示とはいえない。本発明者らは、安全度の評価のために、FDA規格の鋼球(16.4g)を使用し、これに速度を与える米国OLA認定のBRUCETON法によるテスト方法で破壊にようする衝撃エネルギーを求め安全度を評価した。FDA規格では、衝撃エネルギーは0.204ジュールと規定されているので、これに対する倍数で表示する。
【0006】
上述したように、プラスチックレンズにはハードコート層の形成は不可欠であるが、レンズ本体の屈折率が1.60を越えるようになると、ハードコート層とレンズの界面からの反射光とハードコート層表面からの反射光が互いに干渉して、干渉縞が発生する。理論的にはレンズ本体とハードコート層の各屈折率が同等であればよいが現状では0.1以上の差を有している。一方、ハードコート層の膜厚をきわめて薄くすることで干渉縞を防ぐことも考えられるが可視光の波長が400nmから700nmの範囲であり一つの波長のみに対応することができても他の波長には適用できないことと、このような薄膜では耐擦傷性の効果を発揮できない。
【0007】
本発明者らは、高屈折率眼鏡用プラスチックレンズの製品化に伴い、その成果を特許文献3に示したのであるが、生産性及び品質の向上のために、試行を繰り返し本発明に至ったものである。
【特許文献1】特開昭63−87223号公報
【特許文献2】特開昭63−141001号公報
【特許文献3】特開平5−341239公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとする課題は、レンズ本体上に行う表面処理の許容値の範囲を広くして安定した品質と耐衝撃性が高く干渉縞のきわめて少ない眼鏡用レンズを得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、(1)少なくとも一種のポリイソシアネート化合物と少なくとも一種のポリチオール及び/又は含硫ポリオールとを重合して得られるポリウレタン系樹脂を用いたプラスチックレンズの表面に、少なくとも厚さ0.8μのポリウレタン樹脂からなるプライマー層を形成し、さらにその上に屈折率1.47以上のオルガノシロキサン系ハードコート層を形成し、更に該ハードコート層の上に金属薄膜を少なくとも一層設けた高屈折率眼鏡用プラスチックレンズに存する。
【0010】
本発明は、(2)プライマー層の形成が指触乾燥により行われる上記(1)記載の高屈折率眼鏡用プラスチックレンズに存する。
【0011】
本発明は、(3)プラスチックレンズの屈折率が1.59以上である上記(1)記載の高屈折率眼鏡用プラスチックレンズに存する。
【0012】
本発明は、(4)中心部の厚みが0.7mm以上1.2mm未満のとき、耐衝撃エネルギー値がFDA規格値0.204ジュールの4倍以上の機械強度を有する上記(1)記載の高屈折率眼鏡用プラスチックレンズに存する。
【0013】
本発明は、(5)ハードコート層に紫外線吸収剤を配合した上記(1)記載の高屈折率眼鏡用プラスチックレンズに存する。
【0014】
本発明は、(6)プラスチックレンズとプライマー層の界面、プライマー層とハードコート層の界面、ハードコート層と金属薄膜の界面、ハードコート層と空気のいずれかの界面のうちの少なくとも一つの界面に、曲率半径が15nm乃至150nmの微細な凹凸面を構成してなる上記(1)記載の高屈折率眼鏡用プラスチックレンズに存する。
【0015】
なお、本発明の目的に添ったものであれば、上記(1)〜(6)を適宜組み合わせた構成も採用可能である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の高屈折眼鏡用レンズによれば、中心の厚さが0.7mm以上1.2mm未満と薄型であるにも拘わらずFDA規格の4倍以上の耐衝撃性を有し干渉縞のほとんど無い軽量のレンズを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0018】
本実施形態に係る高屈折率眼鏡用プラスチックレンズにおいて、使用するレンズ本体を構成する樹脂は、少なくとも一種のポリイソシアネート化合物と少なくとも一種のポリチオール及び/又は含硫ポリオールとを重合して得られる屈折率1.59以上のポリウレタン系樹脂である。
【0019】
ポリイソシアネートとしては脂肪族、芳香族あるいは脂環族ジイソシアネートから選ばれ、m−キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4' −ジフェニルメタンジイソシアネート等が好ましく使用される。
【0020】
ポリチオールとしては、ジ(2−メルカプトエチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、1.2−ビス[ (2−メルカプトエチル)チオ]−3−メルカプトプロパンなどのジチオールあるいはポリチオールが好ましく使用される。
【0021】
又、本実施形態に係る高屈折率眼鏡用プラスチックレンズにおいてはレンズ本体の表面に、少なくとも厚さ0.8μのポリウレタン樹脂からなるプライマー層を形成する。
【0022】
ポリウレタン樹脂としては、特開昭63−87223号、特開昭61−287680号に開示されているジイソシアネートとジオールより合成される熱可塑性ポリウレタンあるいは特開平3−109502号に開示されている熱硬化性ポリウレタンなどを使用している。更に特開平6−337376号に開示されているように無機微粒子を含有させたポリウレタン樹脂も使用できる。
【0023】
そして本実施形態に係る高屈折率眼鏡用プラスチックレンズにおいては、前記プライマー層の表面に、屈折率1.47以上のオルガノシロキサン系ハードコート層を形成してなり、さらに該ハードコート層の上に金属薄膜を少なくとも一層設けて反射防止機能を付与し、レンズ中心部の厚さが0.7mm以上1.2mm未満においても、対衝撃エネルギー値がFDA規格値0.204ジュールの4倍以上の機械強度を有するようにしている。
【0024】
ハードコート層を形成する樹脂は、シリコン樹脂を主成分とする硬化性組成物よりなり、アルキル基、アルケニル基、アリル基、ビニル基またはエポキシ基、ハロゲン基、アミノ基、メタクリロキシ基などを有する炭化水素基などで置換されたシラノール化合物、その加水分解物あるいは部分縮合物などに代表されるベース樹脂に粒径1〜50mμのコロイダルシリカを分散せしめた組成物などを例として挙げることができる。更に屈折率を上げる目的で微粒子状ジルコニア、鉄などを添加してもよい。
【0025】
又、ハードコート層を構成する樹脂に紫外線吸収剤を添加することでレンズ本体、プライマー、ハードコートを構成する樹脂類の劣化を防止する他、眼球の保護を行う。
【0026】
さらに、プラスチックレンズとプライマー層の界面、プライマー層とハードコート層の界面、ハードコート層と金属薄膜の界面、ハードコート層と空気の界面のうちの少なくとも一つの界面に、曲率半径が15nm乃至150nmの微細な凹凸面を構成して不均質層となし、反射光による干渉縞を除去するようにするものである。
【実施例】
【0027】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0028】
(実施例1)
図1において1は本発明の高屈折率眼鏡用プラスチックレンズの断面を示すものである。ポリイソシアネート化合物(A液)とポリチオール(B液)を使用したポリウレタン樹脂として三井東圧化学(株)製のMR−7(商品名)のA液とB液を当量比1対1に調合し、触媒を加えて充分撹拌したのち脱気を行う。所定のマイナスレンズ注型用セルに調合した樹脂を注入して一旦冷暗室に保管し自然脱気を一昼夜行う。冷暗室から取り出した直後に注入口を封じ、加熱機に入れ室温から100℃迄徐々に20時間程度加熱する。セルを解体して硬化した樹脂部分を取り出し、残留する未反応部分を除去するために再度120℃で2時間のアニーリングを行って樹脂部を完全に硬化させてプラスチックレンズ2を得た。レンズの中心厚はそれぞれ0.7mmおよび1.0mmになるように注型用セルの間隙を調節した。
【0029】
得られたプラスチックレンズ二枚を純水と超音波洗浄機で洗浄しポリウレタン樹脂からなるプライマー用液にディッピングしてそれぞれ0.8μ、2μの膜厚が得られるように塗布してプライマー層3,3−1を形成する。0.8μ以下では衝撃エネルギーの吸収ができずにクラックの原因となる。又、3μより厚くなると面精度が悪く透過する像にゆがみが発生する。
【0030】
プライマー層3,3−1が指触乾燥した時点でオルガノシロキサン系ハードコート液にディッピングし乾燥時膜厚が2.6μとなるように管理する。但し膜厚は一つのレンズ上では一定であることは言うまでもなく、不均一の場合不規則な干渉縞が生じて見栄えを悪くする。このハードコート層は2μ以下では耐擦傷性、耐衝撃性が不充分となり、逆に4μを越えると面だれを起こして面精度が低下する。このハードコート層の上に5層によりなる反射防止の金属膜を蒸着法により施した。BRUCETON法による衝撃エネルギーはレンズ中心部の厚さが0.7mmの場合0.86ジュール、1.0mmの場合1.56ジュールであり、それぞれFDAの4.2倍、7.5倍であった。
【0031】
上記ハードコート液にはベンゾフエノン誘導体の紫外線吸収剤を重量比で2%程度加えることにより380nm以下の紫外線を完全にカットするようにしたので、日光堅ろう度が増しレンズ本体及びハードコート層の劣化を防止するとともに、眼球に対する保護作用も行うことができる。本実施例に用いた紫外線吸収剤にはベンゾトリアゾール誘導体、シアノアクリレート誘導体なども用いることができる。
【0032】
(比較例1)
実施例1において、レンズの中心厚を0.5mmに、プライマー層膜厚を0.1μにした以外は同様の操作により、ハードコート層および反射防止層を設けたレンズを作成した。BRUCETON法による衝撃エネルギーは0.20ジュール、FDAの1倍であり、安全度としては不充分であった。
【0033】
(比較例2)
ジエチレングリコールジアリルカーボネート(CR−39)製の中心厚1.1mmのレンズに実施例1と同様にして0.8μの膜厚のプライマーを施しさらに2.5μの膜厚のハードコートを形成した。その上に、反射防止層を形成しレンズを得た。BRUCETON法による衝撃エネルギーは0.16ジュールであり、クラックが入ってしまった。
【0034】
(実施例2)
レンズ本体2、プライマー層3、ハードコート層4及び空気の各界面に不均質層を形成するところを一例としてレンズ本体とプライマー層の界面に形成する場合を説明する。目的とするところは注型用セルのレンズ対物面を成形する側のモールドにSiO2 の超微粒子を単層に密接して固定し超微粒子の表面形状を転写することで不均質を形成するものである。
【0035】
塗布液の調整はまずエチルシリケート[Si(OC254 ]をエタノールに溶解し、さらに加水分解のためのH2 Oと、触媒としてのHNO3 とを添加した溶液を作り、この溶液に粒径120nmのSiO2 の超微粒子を重量%で10%添加する。PHを調整して十分分散させる。調整された溶液に上記モールドをディッピングして垂直に5mm/sの速度で引き上げる。揮発分が蒸発したのち200゜C、30分間放置して塗布液の乾燥を行った。このようにしてモールドの成形面にSiO2 の超微粒子を単層に密接して固定する。
【0036】
上述のモールドを使用して実施例1の要領で高屈折率眼鏡用レンズを作成する。加熱重合過程でレンズ本体を構成する樹脂は体積収縮を行うから、モールドを追随させて早期離型が発生しないようにモールドを加圧する。所定の重合が終了した時点で加熱炉から取り出し室温まで徐冷しセルを解体してレンズ6を取り出す。レンズの対物面側には粒径の半径に相当する曲面が密接して転写されておりこの成形面が不均質層7となる(図2)。さらにこのレンズを純水による超音波洗浄を行い乾燥後、所定のプライマー層塗布を行ってプライマー層8,8−1を形成し順次ハードコート層、金属薄膜層を形成して完成品レンズ9を得る。かくして得られるレンズはレンズ6の表面の反射光を0.3%以内におさえることとなりハードコート層表面の反射光と干渉する光が微少となり干渉縞は視認できない。レンズの中心厚は1.1mmであり、衝撃エネルギーは1.56ジュールであり、FDA規格の7.5倍であった。
【0037】
本例に使用した超微粒子面を単層で密接に固定したモールドから金属製スタンパを作製すると大量に同一形状のモールドを得ることができる。すなわち、該モールド表面にまずニッケルを真空蒸着して蒸着層を形成し該蒸着層を電極として電鋳法により金属モールドを得るがこれを第一の母型としてさらに該モールドを転写して第二の母型をうる。この第二の母型は最初のモールドと同型となる。
【0038】
又、ハードコート層の外側面に微細な凹凸面を形成するには、上記第二の母型を使用すればよい。この場合、ハードコート層を2.5μ程度の膜厚になるようハードコート液を塗布しハードコート層10を形成し、減圧下で加熱可能なラミネータを用いて、上記第二の母型を押圧することで本例の場合は曲率半径60nmの微細な凹凸面を形成することができる。この凹凸面は不均質な層11となり反射防止の効果を示すものである。不均質な層の構造は空気側の屈折率から物質の屈折率(この場合はハードコート層の屈折率1.47)迄連続的に変化させるので図4に示すように反射率は400nmで1%程度、人間が一番強く光を感ずる550nmで0.3%、700nmで0.4%の反射率特性を有し、可視光全域でほぼ平坦な特性を示すので多層金属薄膜による反射防止層は特に必要でないが、耐擦傷性の向上を図るため単層施すことは有効である。又、微細な凹凸面にフッ素系コーティング剤を塗布して撥水性、耐汚染性を向上させるとともに、これらの皮膜の屈折率は1.36と低く、反射光防止に役立つものである。
【0039】
なお、ハードコート液をあらかじめ第二の母型面に塗布してレンズに形成したプライマー層に押圧し余剰のハードコート液を押し出す手法も用いることができる。この場合レンズ周辺の不要な部分にスペーサを置いて膜厚を制御するとよい。いずれにしても押圧過程で空気を巻き込まないよう配慮する必要がある。
【産業上の利用分野】
【0040】
本発明は、耐衝撃性に優れた高屈折率眼鏡用プラスチックレンズに関するものである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の高屈折率眼鏡用プラスチックレンズの模式断面図である。
【図2】第二の発明の高屈折率眼鏡プラスチックレンズの模式断面図である。
【図3】ハードコート層に微細な凹凸面を形成したプラスチックレンズの模式断面図である。
【図4】微細な凹凸面からなる不均質層の光反射率特性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0042】
1 高屈折率眼鏡用プラスチックレンズ
2 レンズ本体
3,3−1 プライマー層
4,4−1 ハードコート層
5 金属薄膜
6 レンズ本体
7 不均質
8 プライマー層
9 高屈折率眼鏡プラスチックレンズ
10 転写面
11 不均質層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一種のポリイソシアネート化合物と少なくとも一種のポリチオール及び/又は含硫ポリオールとを重合して得られるポリウレタン系樹脂を用いたプラスチックレンズの表面に、少なくとも厚さ0.8μのポリウレタン樹脂からなるプライマー層を形成し、さらにその上に屈折率1.47以上のオルガノシロキサン系ハードコート層を形成し、更に該ハードコート層の上に金属薄膜を少なくとも一層設けたことを特徴とする高屈折率眼鏡用プラスチックレンズ。
【請求項2】
前記プライマー層の形成が指触乾燥により行われることを特徴とする請求項1記載の高屈折率眼鏡用プラスチックレンズ。
【請求項3】
前記プラスチックレンズの屈折率が1.59以上であることを特徴とする請求項1記載の高屈折率眼鏡用プラスチックレンズ。
【請求項4】
中心部の厚みが0.7mm以上1.2mm未満のとき、耐衝撃エネルギー値がFDA規格値0.204ジュールの4倍以上の機械強度を有することを特徴とする請求項1記載の高屈折率眼鏡用プラスチックレンズ。
【請求項5】
前記ハードコート層に紫外線吸収剤を配合したことを特徴とする請求項1記載の高屈折率眼鏡用プラスチックレンズ。
【請求項6】
前記プラスチックレンズと前記プライマー層の界面、前記プライマー層と前記ハードコート層の界面、前記ハードコート層と前記金属薄膜の界面、前記ハードコート層と空気のいずれかの界面のうちの少なくとも一つの界面に、曲率半径が15nm乃至150nmの微細な凹凸面を構成してなることを特徴とする請求項1記載の高屈折率眼鏡用プラスチックレンズ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−206711(P2007−206711A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−57675(P2007−57675)
【出願日】平成19年3月7日(2007.3.7)
【分割の表示】特願平7−275509の分割
【原出願日】平成7年10月24日(1995.10.24)
【出願人】(391003750)株式会社アサヒオプティカル (13)
【出願人】(000116231)ワシ興産株式会社 (25)
【Fターム(参考)】