説明

高度な可逆の熱的性質を有する高分子複合体およびその形成方法

高分子複合体およびそれら高分子複合体の製造方法について述べる。一実施形態では相変化材料を含有する一組のマイクロカプセルを分散用高分子材料と混合して第一ブレンドを形成する。この分散用高分子材料は最低で40 J/gの潜熱と0℃から50℃の範囲の転移温度とを有する。この第一ブレンドを加工して高分子複合体を形成する。この高分子複合体は、ペレット、繊維、フレーク、シート、フィルム、ロッドなどの様々な形態に形づくることができる。この高分子複合体はそのまま用いることもでき、また熱調節特性が要求される様々な品物に組み込むこともできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、「Melt Spinable Concentrate Pellets Having Enhanced Reversible Thermal Properties」という名称のHartmann他の特許出願、すなわち2000年9月21日出願の米国仮特許出願番号第60/234,150号に関する特典を請求するものである、「Melt Spinable Concentrate Pellets Having Enhanced Reversible Thermal Properties」という名称のHartmann他の特許出願、すなわち2001年2月6日出願の米国特許出願第09/777,512号の継続出願である、「Melt Spinable Concentrate Pellets Having Enhanced Reversible Thermal Properties」という名称のHartmann他の特許出願、すなわち2004年7月13日出願の米国特許出願第10/891,428号の一部継続出願である。これらの開示内容はそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、高分子複合体およびそれらの製造に関する。より詳細には本発明は、合成繊維の製造に有用な相変化材料を含む高分子複合体に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの布は合成繊維からできている。合成繊維を製造するには通常2種類の方法、すなわち湿式溶液法(wet solution process)および溶融紡糸法が使用される。湿式溶液法は一般にアクリル系繊維を形成するために用いられ、一方、溶融紡糸法は一般にナイロン繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、および他のこれらに似た繊維を形成するために用いられる。よく知られているようにアクリル系繊維は、アクリロニトリル単位の存在を特徴とする長鎖合成ポリマーを含み、ナイロン繊維は、アミド基−CONH−の存在を特徴とする長鎖合成ポリアミドポリマーを含み、ポリエステル繊維は、置換芳香族カルボン酸単位のエステルを少なくとも85重量%有する長鎖合成ポリマーを含み、またポリプロピレン繊維は、オレフィン単位を少なくとも85重量%有し、かつ一般には分子量約40,000以上を有する長鎖合成結晶性ポリマーを含む。
【0004】
溶融紡糸法は、繊維産業で使用される大部分の合成繊維がこの方法により製造されるので特に関心のある方法である。一般に溶融紡糸法では、融解した高分子材料が紡糸口金として知られる装置を通過し、それによって一組の個々の合成繊維を形成する。いったん形成されたらその合成繊維を回収してストランドにするか、または切断して短繊維にすることができる。これら合成繊維を用いて織布または不織布を作ることができ、あるいはこれら合成繊維を巻き取ってヤーンにした後、製織または編成工程で使用して合成繊維布を形成することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
繊維の高度な可逆の熱的性質を実現することを可能にし、またこのような繊維から作られる布が同様のこれら機能を果たすことを可能にするために相変化材料がアクリル系繊維に混ぜられてきた。これは、アクリル系繊維を形成する湿式溶液法に一般に髄伴する多量の揮発性材料(例えば溶媒)によりある程度は容易に達成される。しかし多量の揮発性材料は溶融紡糸工程には一般に存在しないかまたは望ましくないので、相変化材料を溶融紡糸合成繊維に混ぜることはより問題である。相変化材料を溶融紡糸合成繊維に混ぜるこれまでの試みは、一般に相変化材料を標準的な繊維用熱可塑性ポリマーと混合してブレンドを形成し、続いてこのブレンドを溶融紡糸して合成繊維を形成するものである。このような試みは、低濃度の相変化材料を使用しない限り、一般にその繊維中での相変化材料の不十分な分散、不満足な繊維特性、および不満足な加工性をひき起した。しかし低濃度の相変化材料の場合、通常ではその相変化材料の使用に付随する望ましい高度な可逆の熱的性質の実現は難しい。
本明細書中で述べる高分子複合体を開発する必要性が生じたことがこの背景にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様において本発明は、高分子複合体の製造方法に関する。一実施形態ではこの方法は、(a)相変化材料を含有する一組のマイクロカプセルを、最低で40 J/gの潜熱と0℃から50℃の範囲の転移温度とを有する分散用高分子材料と混合して第一ブレンドを形成するステップ、および(b)この第一ブレンドを加工して高分子複合体を形成するステップを含む。
【0007】
別の実施形態ではこの方法は、(a)第一温度調節材料を融解して第一溶融液を形成するステップ、(b)この第一溶融液中に第二温度調節材料を分散して第一ブレンドを形成するステップ、(c)この第一ブレンドを加工してグラニュールを形成するステップ、および(d)母材高分子材料を融解して第二溶融液を形成するステップ、(e)この第二溶融液中にグラニュールを分散して第二ブレンドを形成するステップ、および(f)この第二ブレンドを加工して高分子複合体を形成するステップを含む。
【0008】
さらなる実施形態ではこの方法は、(a)最低で40 J/gの潜熱と0℃から50℃の範囲の転移温度とを有する第一高分子材料を融解して第一溶融液を形成するステップ、(b)この第一溶融液中に、最低で40 J/gの潜熱と0℃から50℃の範囲の転移温度とを有する層変化材料を含む温度調節材料を分散して第一ブレンドを形成するステップ、(c)この第一ブレンドを第二高分子材料と混合して第二ブレンドを形成するステップ、および(d)この第二ブレンドを加工して高分子複合体を形成するステップを含む。
【0009】
別の態様において本発明は高分子複合体に関する。一実施形態ではこの高分子複合体は、(a)最低で40 J/gの潜熱と0℃から50℃の範囲の転移温度とを有する高分子材料、および(b)最低で40 J/gの潜熱と0℃から50℃の範囲の転移温度とを有する相変化材料を含有し、この高分子材料中に分散された一組のマイクロカプセルを含む。
【0010】
別の実施形態ではこの高分子複合体は、高分子材料と非カプセル化相変化材料とのブレンドを含む。非カプセル化相変化材料が、その高分子材料中に分散した一組のドメインを形成するように、この高分子材料は非カプセル化相変化材料に対して部分的親和性を有する。この非カプセル化相変化材料は、最低で60 J/gの潜熱と10℃から50℃の範囲の転移温度とを有する。
【0011】
本発明の他の態様および実施形態もまた検討する。上記の概要および下記の詳細な説明は、本発明を或る特定の実施形態に限定することを意図するものではなく、単に本発明の幾つかの実施形態を記述することを意図するものである。
【0012】
本発明の本質および目的のより良い理解には添付の図面と関連して行われる下記の詳細な説明を参照されたい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施形態は、高度な可逆の熱的性質を有する高分子複合体およびその製造方法に関する。本発明の様々な実施形態による高分子複合体は、異なる環境条件下で熱エネルギーを吸収および放出する能力を有する。さらにこれら高分子複合体は、例えば相変化材料の分散の向上またはより高い配合量を示すことができる。これら高分子複合体は、ペレット、繊維、フレーク、シート、フィルム、ロッドなどの様々な形態または形状に形づくることができる。これら高分子複合体は、そのまま用いて、または様々な品物に組み込んでその品物に強度の向上をもたらすと同時に、熱調節特性を与えることができる。例えば本発明の様々な実施形態による高分子複合体は、紡織繊維(例えば布)、服飾品(例えばアウトドアウェア、ドライスーツ、および保護服)、履物(例えばソックス、ブーツ、および靴の中底)、医療製品(例えば治療用パッド、失禁パッド、およびホット/コールドパック)、容器および包装材料(例えば飲料および食品容器、食糧ウォーマー、シートクッション、および回路基板積層材)、建築物(例えば壁または天井の断熱材、壁紙、カーテンの裏張り、パイプラップ、カーペット、およびタイル)、家庭電熱機器(例えば家庭電熱機器の断熱材)、および他の製品(例えば自動車の内張り材料、寝袋、および寝具)に使用することができる。
【0014】
本発明の様々な実施形態によるこれら高分子複合体を加工して高度な可逆の熱的性質を有する様々な品物を形成することができる。例えば高分子複合体は、合成繊維を形成するのに有用な、射出成形工程用また押出工程用のペレットとして形づくることができる。これらペレットの使用は、様々な品物中に相変化材料を組み込むことによって達成される利点を提供することができ、これら品物には、例えばアクリル繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、およびポリプロピレン繊維などの繊維類、フィルム、発泡体、および射出成形品が挙げられる。
【0015】
本発明の様々な実施形態によるこれら高分子複合体は、服飾品または履物などの品物に組み込んだ場合、快適さのレベルの向上をもたらすことができる。特にこれら品物は、様々なまたは変化する環境条件下でこのような快適さのレベルの向上を実現することができる。相変化材料の使用は、これら品物が「一方向の」または「静的な」温度調節ではなく、「多方向の」または「動的な」温度調節を実現することを可能にする。特に「多方向の」温度調節によりこれら品物は、寒冷な天候で熱エネルギーを放出するだけでなく、温暖な天候で熱エネルギーを吸収することができる。このようにこれら品物は、温暖な天候における冷却および寒冷な天候における加熱をすることができ、こうして様々な天候条件下で望ましい快適さのレベルを維持する。また、「動的な」温度調節によりこれら品物は、変化する環境条件下でそれらの熱調節特性を適合または調整することができる。このようにこれら品物は、温暖な天候および寒冷な天候用の両方のような多様な使い方が可能である。さらにこれら品物は、水分または日光などの外的なトリガー・メカニズムを必要とせずにそれらの熱調節特性を適合または調整することができる。
【0016】
得られる熱調節特性とあいまって本発明の様々な実施形態によるこれら高分子複合体は、例えば服飾品または履物中に組み込んだ場合、他の快適さのレベルの向上を可能にすることができる。例えばこれら高分子複合体を組み込んだ品物は、例えば発汗による人の皮膚の湿りの低下をもたらすことができる。具体的にはこれら品物は、皮膚の温度または相対湿度を下げることによって、より低度の皮膚の湿りおよびより高度の快適さを可能にすることができる。特定の材料の使用と、特定の服飾品または履物の設計の特徴とは、快適さのレベルをさらに高めることができる。例えばこれら品物は、ある種の添加剤、処理、または塗料と一緒に用いて熱調節および水分管理特性においてさらなる利点をもたらすことができる。
【0017】
本発明の幾つかの実施形態による高分子複合体は、1または複数種の材料を含むことができる。本発明の幾つかの実施形態によれば高分子複合体は、温度調節材料、分散用高分子材料、および母材高分子材料を含むことができる。本発明の幾つかの実施形態によれば高分子複合体は、温度調節材料、分散用高分子材料、および母材高分子材料の液状溶融混合物または凝固溶融混合物である。一般にはこの温度調節材料は、高分子複合体中に均質に分散される。しかしその高分子複合体に望まれる特定の特性によっては、この温度調節材料の分散は、高分子複合体内で変わることもある。分散用高分子材料と母材高分子材料は、同一でも異なってもよい。本発明の幾つかの実施形態については温度調節材料、分散用高分子材料、および母材高分子材料のうちの1つまたは複数を省くこともまたできると考えられる。例えば高分子複合体は、母材高分子材料を必要とせずに温度調節材料および分散用高分子材料を含むことができる。
【0018】
高分子複合体の製造方法、さらなる加工の望ましい状況、またはその高分子複合体の特定の用途によってはこの高分子複合体はさらに、水、界面活性剤、分散剤、泡消し剤(例えば、シリコーン含有化合物およびフッ素含有化合物)、酸化防止剤(例えば、ヒンダードフェノールおよびホスファイト)、熱安定剤(例えば、ホスファイト、有機リン化合物、有機カルボン酸の金属塩、およびフェノール系化合物)、光またはUV安定剤(例えば、ヒドロキシベンゾアート類、ヒンダードヒドロキシベンゾアート類、およびヒンダードアミン類)、光またはUV吸収添加剤(例えば、IV族遷移金属炭化物および酸化物のセラミック粒子)、マイクロ波吸収添加剤(例えば、多官能性第一アルコール、グリセリン、および炭素)、補強繊維(例えば、炭素繊維、アラミド繊維、およびガラス繊維)、導電性繊維または粒子(例えば、グラファイトまたは活性炭繊維または粒子)、滑剤、加工助剤(例えば、脂肪酸の金属塩、脂肪酸エステル、脂肪酸エーテル、脂肪酸アミド、スルホンアミド、ポリシロキサン、有機リン化合物、およびフェノール系ポリエーテル)、難燃剤(例えば、ハロゲン化化合物、リン化合物、有機リン酸塩、有機臭化物、アルミナ三水和物、メラミン誘導体、水酸化マグネシウム、アンチモン化合物、酸化アンチモン、およびホウ素化合物)、粘着防止添加剤(例えば、シリカ、タルク、ゼオライト、炭酸の金属塩、および有機ポリマー類)、防曇添加剤(例えば、非イオン界面活性剤、グリセロールエステル、ポリグリセロールエステル、ソルビタンエステルとそれらのエトキシラート、ノニルフェニルエトキシラート、およびアルコールエトキシラート)、静電防止添加剤(例えば、脂肪酸エステル、エトキシル化アルキルアミン、ジエタノールアミド、およびエトキシル化アルコールなどの非イオン性物質や、アルキルスルホナートおよびアルキルホスファートなどの陰イオン性物質や、塩素、メト硫酸、または硝酸の金属塩、および第四アンモニウム化合物などの陽イオン性物質や、アルキルベタインなどの両性物質)、抗菌物質(例えば、ヒ素化合物、イオウ、銅化合物、イソチアゾリン、フタルアミド、カルバミン酸塩、銀系無機物質、銀亜鉛ゼオライト、銀銅ゼオライト、銀ゼオライト、金属酸化物、およびケイ酸塩)、架橋剤または制御分解剤(例えば、過酸化物、アゾ化合物、およびシラン)、着色剤、顔料、染料、蛍光増白剤または蛍光光沢剤(例えば、ビスベンズオキサゾール、フェニルクマリン、およびビス(スチリル)ビフェニル)、充填剤(例えば、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、およびケイ酸塩などの天然の無機物および金属や、タルクや、クレーや、ケイ灰石や、グラファイトや、カーボンブラックや、炭素繊維や、ガラス繊維およびビーズや、セラミック繊維およびビーズや、金属繊維およびビーズや、微細繊維や、木粉、デンプン粉、またはセルロース粉の繊維などの天然または合成起源の繊維類)、カップリング剤(例えば、シラン、チタン酸塩、ジルコン酸塩、脂肪酸塩、酸無水物、エポキシ、および不飽和重合酸)、強化剤、結晶化または核剤(例えば、結晶成長の速度/動力学、成長する結晶の数、または成長する結晶の型を改善するなど、ポリマー中の結晶化度を増加または向上させる任意の材料)などの1または複数種類の添加剤を含むことができる。
【0019】
本発明の幾つかの実施形態によれば温度調節材料は、1または複数種の相変化材料を含むことができる。一般に相変化材料には、熱エネルギーを吸収または放出して温度安定化範囲のある点で、またはその範囲内で熱流動を減らすかまたは無くす能力を有する任意の物質(または物質の混合物)が挙げられる。この温度安定化範囲は、ある特定の転移温度または転移温度の範囲を含むことができる。本発明の様々な実施形態に関連して用いられる相変化材料は、一般にはその相変化材料が2つの状態間(例えば液体と固体状態、液体と気体状態、固体と気体状態、または2種類の固体状態)で転移を受けるように、その相変化材料が熱を吸収または放出している時間のあいだ熱エネルギーの流れを抑制することができる。この作用は一般に一過性であり、例えば相変化材料の潜熱が加熱または冷却過程で吸収または放出されるまで続くことができる。本明細書中で用いられる用語「潜熱」は、物質(または物質の混合物)が2つの状態間で転移を受けるようにその物質によって吸収または放出される熱の量を指す。熱エネルギーは保存することも相変化材料から除去することもでき、またその相変化材料は一般に熱または冷気の供給源により事実上回復させることができる。適切な相変化材料を選択することによって高分子複合体は、その任意の用途に対して形成することができる。
本発明の幾つかの実施形態によれば相変化材料は、固体/固体相変化材料であることができる。固体/固体相変化材料は、一般に2種類の固体状態間で転移(例えば結晶またはメソ結晶相の転移)を受ける型の相変化材料であり、したがって一般に使用中に液体にならない。
【0020】
相変化材料は、2種類以上の物質の混合物を含むことができる。2種類以上の異なる物質を選択し混合物を形成することにより、温度安定化範囲を高分子複合体の任意の特定の用途に対して調整することができる。本発明の幾つかの実施形態によれば2種類以上の異なる物質の混合物を高分子複合体中に混ぜた場合、2つ以上の明瞭な転移温度または単一の変更された転移温度を示す。
【0021】
本発明の様々な実施形態に従って高分子複合体中に取り込むことができる相変化材料は、様々な有機および無機物質などであることができる。相変化材料の例には、炭化水素類(例えば、直鎖アルカン類またはパラフィン系炭化水素、分枝鎖アルカン類、不飽和炭化水素、ハロゲン化炭化水素、および脂環式炭化水素)、含水塩(例えば、塩化カルシウム六水和物、臭化カルシウム六水和物、硝酸マグネシウム六水和物、硝酸リチウム三水和物、フッ化カリウム四水和物、アンモニウムミョウバン、塩化マグネシウム六水和物、炭酸ナトリウム十水和物、リン酸二ナトリウム十二水和物、硫酸ナトリウム十水和物、および酢酸ナトリウム三水和物)、ワックス、油、水、脂肪酸、脂肪酸エステル、二塩基酸、二塩基性エステル、1−ハロゲン化物、第一アルコール、芳香族化合物、包接化合物、半包接化合物、気体接化合物、酸無水物(例えば無水ステアリン酸)、炭酸エチレン、多価アルコール(例えば、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−ヒドロキシメチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ペンタエリロリトール、ジペンタエリトリタール、ペンタグリセリン、テトラメチロールエタン、ネオペンチルグリコール、テトラメチロールプロパン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、モノアミノペンタエリトリトール、ジアミノペンタエリトリトール、およびトリス(ヒドロキシメチル)酢酸)、ポリマー類(例えば、ポリエチレン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレン、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリマロン酸プロピレン、ポリセバシン酸ネオペンチルグリコール、ポリグルタル酸ペンタン、ポリミリスチン酸ビニル、ポリステアリン酸ビニル、ポリラウリン酸ビニル、ポリメタクリル酸ヘキサデシル、ポリメタクリル酸オクタデシル、グリコール(またはそれらの誘導体)と二酸(またはそれらの誘導体)の重縮合により生成されるポリエステル類、およびポリアクリル酸エステルか、あるいはアルキル炭化水素の側鎖またはポリエチレングリコールの側鎖を有するポリ(メタ)アクリル酸エステルなどのコポリマー類、ならびにポリエチレン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレン、ポリプロピレングリコール、またはポリテトラメチレングリコールを含めたコポリマー類)、金属類、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0022】
相変化材料の選択は、一般には所望の転移温度または得られる高分子複合体の所望の用途によって決まることになる。例えば室温に近い転移温度を有する相変化材料は、その得られる高分子複合体を服飾品または履物中に組み込んで使用者にとって快適な温度を維持する用途には望ましいことがある。
【0023】
本発明の幾つかの実施形態によれば相変化材料は、約−40℃から約100℃または約−5℃から125℃などの約−40℃から約125℃の範囲の転移温度を有することができる。衣類用途に有用な一実施形態では相変化材料は、約10℃から約50℃、約15℃から約45℃、約22℃から約40℃、または約22℃から約28℃などの約0℃から約50℃の範囲の転移温度を有することができる。また本発明の幾つかの実施形態によれば相変化材料は、最低約50 J/g、最低約60J/g、最低約70 J/g、最低約80 J/g、最低約90 J/g、または最低約100 J/gなどの最低約40 J/gの潜熱を有することができる。衣類用途に有用な一実施形態では相変化材料は、約60 J/gから約400 J/g、約80 J/gから約400 J/g、または約100 J/gから約400 J/gなどの約40 J/gから約400 J/gの範囲の潜熱を有することができる。
【0024】
本発明の幾つかの実施形態によれば、特に有用な相変化材料には、炭素原子10から44個を有するパラフィン系炭化水素(すなわちC10〜C44パラフィン系炭化水素)が挙げられる。表1は、本明細書で述べる高分子複合体中で相変化材料として用いることができるC13〜C28パラフィン系炭化水素の一覧を提供する。パラフィン系炭化水素の炭素原子の数は、一般にその融点と相互に関係がある。例えば、1分子当り28個の直鎖炭素原子を含むn−オクタコサンは61.4℃の融点を有する。これに比べて1分子当り13個の直鎖炭素原子を含むn−トリデカンは−5.5℃の融点を有する。本発明の実施形態によれば、1分子当り18個の直鎖炭素原子を含み、28.2℃の融点を有するn−オクタデカンが衣類用途に特に望ましい。
【0025】
【表1】

【0026】
他の有用な相変化材料には、高分子複合体の所望の用途に適した転移温度(例えば衣類用途の場合、約22℃から約40℃)を有する高分子相変化材料が挙げられる。高分子相変化材料には、1または複数種のモノマー単位を含む様々な鎖構造を有するポリマー(またはポリマーの混合物)を挙げることができる。具体的には高分子相変化材料には、線状ポリマー、分岐ポリマー(例えば、星型分岐ポリマー、櫛型分岐ポリマー、または樹枝状分岐ポリマー)、またはこれらの混合物を挙げることができる。ある種の用途の場合、高分子相変化材料は、より大きな密度と、より高度の配向された分子充填および結晶化とを可能にするように、望ましくは線状ポリマーまたは少量の分枝を有するポリマーを含む。このようなより高度に配向された分子充填および結晶化は、より大きな潜熱およびより狭い温度安定化範囲(例えば、明瞭な転移温度)を与えることができる。高分子相変化材料には、ホモポリマー、コポリマー(例えば、ターポリマー、統計コポリマー、ランダムコポリマー、交互コポリマー、周期コポリマー、ブロックコポリマー、放射状コポリマー、またはグラフトコポリマー)、またはこれらの混合物を挙げることができる。高分子相変化材料を形成する1または複数種のモノマー単位の性質は、その高分子相変化材料の転移温度に影響を及ぼす可能性がある。したがってモノマー単位の選択は、その高分子相変化材料を含む高分子複合体の所望の転移温度または所望の用途によって決まる可能性がある。通常の当業技術者には分かるはずであるが、ポリマーの反応性および官能性は、アミン、アミド、カルボキシル、ヒドロキシル、エステル、エーテル、エポキシ、酸無水物、イソシアナート、シラン、ケトン、およびアルデヒドなどの官能基の付加によって変えることができる。また高分子相変化材料は、その靭性あるいはその熱、水分、または化学薬品に対する抵抗性を増すために架橋、からみ合い、または水素結合の能力のあるポリマーを含むことができる。
【0027】
当業技術者には分かるはずであるが、ポリマーの分子量はそのポリマーを形成するために用いられる加工条件によって決まるので、ある種のポリマーは異なる分子量を有する様々な形態で与えられる。したがって高分子相変化材料には、特定の分子量または特定の範囲の分子量を有するポリマー(またはポリマーの混合物)を含めることができる。本明細書中で用いる「分子量」は、ポリマー(またはポリマーの混合物)の数平均分子量、重量平均分子量、またはメルトインデックスを指す。
【0028】
本発明の幾つかの実施形態によれば高分子相変化材料は、より高分子量、より大きな分子サイズ、またはより高粘度を有する結果として非高分子相変化材料(例えばパラフィン系炭化水素)に比べて望ましい場合がある。この大きな分子サイズまたは高粘度の結果として、高分子相変化材料は加工または最終用途において高分子複合体から漏れにくい傾向を示す。本発明の幾つかの実施形態の場合、その高分子相変化材料には、約2,000から約5,000,000、約8,000から約100,000、または約8,000から約15,000などの約400から約5,000,000の範囲の数平均分子量を有するポリマーが含めることができる。例えば合成繊維に混ぜる場合、その大きな分子サイズまたはその高粘度は、高分子相変化材料がその繊維の外側を通って流れるのを防止することができる。熱調節特性の付与に加えて高分子相変化材料は、本発明の様々な実施形態に従って品物に組み込んだ場合、機械的性質(例えば、延性、引張強さ、および硬さ)の改良をもたらすことができる。もし望むなら所望の転移温度を有する高分子相変化材料を高分子材料(例えば、分散用高分子材料または母材高分子材料)と併用して高分子複合体を形成することができる。本発明の幾つかの実施形態によれば高分子相変化材料は、別の高分子材料を必要とせずにそれを用いて高分子複合体を形成することができるような十分な機械的性質を実現し、こうしてより高い配合量の高分子相変化材料および改良された熱調節特性を可能にすることができる。例えば、高分子相変化材料はそのまま使用することもでき、また高分子複合体を形成するために分散用高分子材料として働くこともできると考えられる。
【0029】
例えばポリエチレングリコールは、本発明の幾つかの実施形態において相変化材料として使用することができる。ポリエチレングリコールの数平均分子量は、一般にその融点と相関に関係がある。例えば約570から約630の範囲の数平均分子量を有するポリエチレングリコール(例えば、The Dow Chemical Company, Midland, Michiganから入手できるCarbowax(商標)600)は一般に約20℃から約25℃の融点を有することになり、それらを衣類用途に望ましいものにする。他の温度安定化範囲で有用な可能性のある他のポリエチレングリコールには、約400の数平均分子量および約4℃から約8℃の範囲の融点を有するポリエチレングリコール、約1,000から約1,500の範囲の数平均分子量および約42℃から約48℃の範囲の融点を有するポリエチレングリコール、ならびに約6,000の数平均分子量および約56℃から約63℃の範囲の融点を有するポリエチレングリコール(例えば、The Dow Chemical Company, Midland, Michiganから入手できるCarbowax(商標)400、1500、および6000)が挙げられる。
【0030】
さらなる有用な相変化材料には、脂肪酸で末端封鎖したポリエチレングリコールを基材とする高分子相変化材料が挙げられる。例えば約22℃から約35℃の範囲の融点を有するポリテトラメチレングリコール脂肪酸ジエステルは、ステアリン酸またはラウリン酸で末端封鎖した約400から約600の範囲の数平均分子量を有するポリエチレングリコールから作り上げることができる。さらに有用な相変化材料には、テトラメチレングリコールを基材とする高分子相変化材料が挙げられる。例えば、約1,000から約1,800の範囲の数平均分子量を有するポリテトラメチレングリコール(例えば、DuPont Inc., Wilmington, Delawareから入手できるTerathane(登録商標)1000および1800)は、一般に約19℃から約36℃の範囲の融点を有する。約60℃から約65℃の範囲の融点を有するポリエチレンオキシドもまた、本発明の幾つかの実施形態において相変化材料として使用することができる。
幾つかの用途の場合、その高分子相変化材料には、通常の重合法を用いて形成することができる約0℃から約50℃の範囲の融点を有するホモポリマーを挙げることができる。表2は、様々な種類のモノマー単位から形成することができる様々なホモポリマーの融点を示す。
【0031】
【表2】

【表3】

【表4】

【0032】
さらに望ましい相変化材料には、例えばグリコール(またはそれらの誘導体)と二酸(またはそれらの誘導体)の重縮合によって形成することができる約0℃から約40℃の範囲の融点を有するポリエステルが挙げられる。表3は、グリコールと二酸の様々な組合せにより形成することができるポリエステルの融点を示す。
【0033】
【表5】

【表6】

【0034】
本発明の幾つかの実施形態によれば、望ましい転移温度を有する高分子相変化材料は、相変化材料(例えば上記で考察した相変化材料)をポリマー(またはポリマーの混合物)と反応させることによって形成することができる。したがって、例えばn−オクタデシル酸(n-octadecylic acid)(すなわちステアリン酸)をポリビニルアルコールと反応またはそれによりエステル化してポリステアリン酸ビニルを生成することができ、またドデカン酸(すなわちラウリン酸)をポリビニルアルコールと反応またはそれによりエステル化してポリラウリン酸ビニルを生成することができる。相変化材料(例えば、アミン、カルボキシル、ヒドロキシル、エポキシ、シラン、硫酸などの1または複数個の官能基を有する相変化材料)とポリマー類の様々な組合せを反応させて所望の転移温度を有する高分子相変化材料を生成することができる。
【0035】
所望の転移温度を有する高分子相変化材料は、様々な種類のモノマー単位から形成することができる。例えばポリメタクリル酸オクタデシルと同様に、高分子相変化材料は、オクタデシルアルコールをメタクリル酸でエステル化することによって形成することができるメタクリル酸オクタデシルの重合によって形成することができる。また高分子相変化材料はポリマー(またはポリマーの混合物)の重合によっても形成することができる。例えば、ポリ−(ポリエチレングリコール)メタアクリラート、ポリ−(ポリエチレングリコール)アクリラート、ポリ−(ポリテトラメチレングリコール)メタアクリラート、およびポリ−(ポリテトラメチレングリコール)アクリラートは、それぞれポリエチレングリコールメタアクリラート、ポリエチレングリコールアクリラート、ポリテトラメチレングリコールメタアクリラート、およびポリテトラメチレングリコールアクリラートを重合することによって形成することができる。この例ではそれらモノマー単位は、ポリエチレングリコール(またはポリテトラメチレングリコール)をメタクリル酸(またはアクリル酸)でエステル化することによって形成することができる。ポリグリコールをアリルアルコールでエステル化するか、または酢酸ビニルでエステル交換してポリグリコールビニルエーテルを形成することができ、続いて重合してポリ(ポリグリコール)ビニルエーテルを形成することもできると考えられる。同様に高分子相変化材料を、エステルまたはエーテルで末端封鎖したポリエチレングリコールおよびポリテトラメチレングリコールなどのポリグリコールの同族体から形成することもできると考えられる。
【0036】
本発明の幾つかの実施形態によれば温度調節材料は、相変化材料を未加工の形態(例えばその相変化材料をミクロまたはマクロのいずれのレベルでもカプセル化しない、すなわちマイクロまたはマクロカプセル化しない)で含むことができる。高分子複合体の製造の間にその未加工の形態の相変化材料を、様々な形態の固形物(例えば、バルク形態、粉末、ペレット、グラニュール、フレークなど)として、または様々な形態の液体(例えば、溶融形態、溶媒に溶かしたものなど)として供給することができる。
【0037】
本発明の他の実施形態によれば温度調節材料は、相変化材料をカプセル化する、含有する、取り囲む、吸収する、またはそれと反応する封じ込め構造体を含むことができる。この封じ込め構造体は、高分子複合体またはその高分子複合体から作られる品物の形成に随伴する製造条件(例えば高温またはせん断力)に対して相変化材料にある程度の保護を与えると同時に、相変化材料の取扱いを容易にすることができる。さらにこの封じ込め構造体は、高分子複合体から、またはそれから形成される品物から相変化材料が漏れるのを低減または防止するように働くことができる。
【0038】
封じ込め構造体の例として温度調節材料は、相変化材料を含有するマイクロカプセルを含むことができ、このマイクロカプセルは高分子複合体中に均質または不均質に分散することができる。マイクロカプセルは、相変化材料を閉じ込める中空の殻として形成することができ、また一定または不揃いの様々な形状(例えば、球体、長円体など)および大きさに形づくられる個々のマイクロカプセルを含むことができる。それら個々のマイクロカプセルは、同一または異なる形状または大きさを有することができる。本発明の幾つかの実施形態によればこれらマイクロカプセルは、約0.01から約100ミクロンの範囲の最大線寸法(例えば直径)を有することができる。一実施形態ではこれらマイクロカプセルは、ほぼ球形の形状および約0.5から約3ミクロンなどの約0.5から約10ミクロンの範囲の最大線寸法(例えば直径)を有することができる。封じ込め構造体の他の例には、シリカ粒子(例えば、沈降シリカ粒子、フュームドシリカ粒子、およびこれらの混合物)、ゼオライト粒子、炭素粒子(例えば、グラファイト粒子、活性炭粒子、およびこれらの混合物)、および吸着材(例えば、吸着高分子材料、超吸着高分子材料、セルロース材料、ポリ(メタ)アクリル酸エステル材料、ポリ(メタ)アクリル酸エステル材料の金属塩、およびこれらの混合物)が挙げられる。例えば温度調節材料は、相変化材料を含浸させたシリカ粒子、ゼオライト粒子、炭素粒子、または吸着材料を含むことができる。
【0039】
本発明の幾つかの実施形態によれば高分子複合体は、温度調節材料を重量で約100パーセントまで含むことができる。幾つかの実施形態では高分子複合体は、温度調節材料を重量で約5パーセントから約70パーセント含むことができる。したがって本発明の幾つかの実施形態によれば高分子複合体は、温度調節材料を重量で約10パーセントから約30パーセントまたは約15パーセントから約25パーセント含むことができる。また他の実施形態によれば高分子複合体は、温度調節材料を重量で約15パーセント含むことができる。下記でさらに考察するように本発明の幾つかの実施形態は、相変化材料を含有する水湿潤マイクロカプセルを使用して高分子複合体を形成する。このような実施形態では高分子複合体は、一般に約1重量パーセント未満の水の量を含むことができる。
【0040】
本発明の幾つかの実施形態によれば高分子複合体は、互いに異なる2種類以上の温度調節材料を何らかの方法で含むことができる。例えば2種類の温度調節材料は、2種類の異なる相変化材料、または未加工の形態の相変化材料とカプセル化形態の相変化材料を含むことができる。この未加工の形態の相変化材料には高分子相変化材料を含めることができ、これは高分子複合体を形成するための分散用高分子材料として働くことができると考えられる。
【0041】
一般に分散用高分子材料には、高分子複合体中への温度調節材料の取り込みを容易にする任意のポリマー(またはポリマーの混合物)を挙げることができる。高分子相変化材料が分散用高分子材料として働く実施形態ではその高分子相変化材料は、分散用高分子材料について本明細書中で検討した特性を有するように選択することができる。本発明の幾つかの実施形態によれば分散用高分子材料は、その温度調節材料と相溶性または混和性であるか、あるいはその温度調節材料に対して親和性を有することができる。本発明の幾つかの実施形態ではこのような親和性は、例えばその分散用高分子材料および温度調節材料の溶解パラメーター、極性、疎水特性、または親水特性の類似性によって決まる。このような親和性は、高分子複合体の製造の間の中間溶融または液体形態での(例えば分散用高分子材料の溶融液中での)温度調節材料の分散を容易にすることができ、したがって最終的には高分子複合体中への相変化材料のより均質またはより多くの量あるいは負荷レベルの取り込みを容易にすることができるので有利である。温度調節材料が相変化材料を含有した封じ込め構造体を含んでいる実施形態では、その分散用高分子材料は、相変化材料に対するその親和性と共に、またはその親和性に代るものとして封じ込め構造体に対するその親和性を得るように選択することができる。具体的には温度調節材料が相変化材料を含有したマイクロカプセルを含んでいる場合、分散用高分子材料は、そのマイクロカプセル(例えば、マイクロカプセルを形成するその材料または材料群)に対する親和性を有するように選択することができる。このような親和性は、高分子複合体の中間溶融または液体形態での(例えば分散用高分子材料の溶融液中での)相変化材料を含有するマイクロカプセルの分散を容易にすることができ、したがって最終的には高分子複合体中への相変化材料のより均質またはより多くの量あるいは負荷レベルの取り込みを容易にすることができる。例えば分散用高分子材料は、そのマイクロカプセルを形成するポリマーと同一または類似のポリマーを含むように選択することができる(例えばマイクロカプセルがナイロンの殻を含む場合、その分散用高分子材料はナイロンを含むように選択することができる)。別の例として分散用高分子材料は、アミンまたはエポキシなどの1または複数個の官能基を有するポリマーを含むように選択してマイクロカプセルに対してそのような親和性を与えることができる(例えば、マイクロカプセルが1または複数個のカルボキシル基を含む場合、その分散用高分子材料は、ポリメタクリル酸ステアリル−co−メタクリル酸グリシジルなどの1または複数個のエポキシ基を有するポリマーを含むように選択することができる)。望ましくは分散用高分子材料は、温度調節材料をその分散用高分子材料中に分散した場合に所望の温度安定化範囲が保たれるように、その温度調節材料と十分非反応性であるように選択することができる。
【0042】
例えば分散用高分子材料には、約4から約36 g/10分の範囲のメルトインデックスを有する高密度ポリエチレン(例えば、Sigma-Aldrich Corp., St. Louis, Missouriから入手できるメルトインデックス4、12、および36 g/10分を有する高密度ポリエチレン)、変性形の高密度ポリエチレン(例えば、DuPont Inc., Wilmington, Delawareから入手できるFusabond(登録商標)E MB100D)、およびエチレンプロピレンゴム(例えば、DuPont Inc., Wilmington, Delawareから入手できるFusabond(登録商標)N MF416D)が挙げられる。通常の当業技術者には分かるはずだが、メルトインデックスは一般にポリマー(またはポリマーの混合物)の流動特性の尺度を意味し、また一般にポリマー(またはポリマーの混合物)の分子量と逆の相関がある。極性相変化材料(例えば、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、およびこれらの同族体)の場合、その分散用高分子材料は、その相変化材料の分散を容易にするために極性ポリマー(または極性ポリマーの混合物)を含むことができる。したがって、例えばその分散用高分子材料は、ポリブチレンテレフタラート−ブロック−ポリテトラメチレングリコール(例えば、DuPont Inc., Wilmington, Delawareから入手できるHytrel(登録商標)3078、5544、および8238)およびポリアミド−ブロック−ポリエーテル(例えば、ATOFINA Chemicals, Inc., Philadelphia, Pennsylvaniaから入手できるPebax(登録商標)2533、4033、5533、7033、MX 1205、およびMH 1657)などのポリエステルのコポリマーを含むことができる。
【0043】
本発明の幾つかの実施形態によれば分散用高分子材料は、温度調節材料とわずかなまたは部分的な相溶性または混和性、あるいは親和性を有することができる(例えば半混和性ポリマー)。このような部分的親和性は、温度調節材料の分散を容易にするのに、またより高温での加工を容易にするのに十分である。より低温およびせん断条件において、またいったん高分子複合体が形成されると、この部分的親和性は温度調節材料を分離させることができる。未加工の形態の相変化材料を使用する本発明の実施形態の場合、この部分的親和性は、相変化材料の不溶化および高分子複合体内での相変化材料のドメイン形成の向上をもたらすことができる。本発明の幾つかの実施形態によればドメイン形成は、相変化材料の二つの状態間の転移を容易にすることによって熱調節特性の改善をもたらすことができる。さらにドメイン形成は、加工中または使用中に高分子複合体からの相変化材料の損失または漏出を低減または防止するように働くことができる。
【0044】
例えばパラフィン系炭化水素などのある種の相変化材料は、低濃度の相変化材料では、またはその温度が臨界溶解温度を超える場合には、ポリオレフィンまたはポリオレフィンのコポリマーと相溶性であることができる。したがって、例えばパラフィン系炭化水素(またはパラフィン系炭化水素の混合物)と、ポリエチレンまたはポリエチレン−co−酢酸ビニルとの混合が、より高温のまたより高濃度のパラフィン系炭化水素において達成されて、容易に制御でき、ポンプを使用でき、また加工して高分子複合体を形成することができる均一なブレンドを生成することができる。いったん高分子複合体が形成され冷却されると、そのパラフィン系炭化水素は不溶性になることができ、また明瞭なドメインに分離することができる。これらのドメインは、そのパラフィン系炭化水素のきれいな融解または結晶化を可能にして熱調節特性を改良する。さらにこれらのドメインは、そのパラフィン系炭化水素の損失または漏出を低減または防止するように働くことができる。本発明の幾つかの実施形態によればポリエチレン−co−酢酸ビニルは、酢酸ビニルを重量で約5から約90パーセントの間で有することができ、また本発明の他の実施形態によればその酢酸ビニル含量は約5から約50重量パーセントの間である。一実施形態では酢酸ビニル含量は、望ましくは約18から約25重量パーセントの間である。この酢酸ビニルの含量は、パラフィン系炭化水素とポリエチレン−co−酢酸ビニルを混合してブレンドを形成する場合、温度による混和性制御を可能にすることができる。具体的にはこの酢酸ビニル含量は、高温ではすぐれた混和性を可能にし、したがってそのブレンドの均一性のおかげで溶融紡糸工程の安定および制御を容易にすることができる。より低温(例えば、室温または通常の市販織物の使用温度)では、このポリエチレン−co−酢酸ビニルはパラフィン系炭化水素と半混和性であり、したがってパラフィン系炭化水素の分離およびドメイン形成を可能にする。
【0045】
分散用高分子材料を母材高分子材料と相溶性または混和性であるように、あるいは親和性を有するように選択することができることが分かるはずである。ここで分散用高分子材料は、温度調節材料と母材高分子材料の間で相溶化用つなぎ材として働き、それによって高分子複合体中への温度調節材料の取り込みを容易にすることができる。
【0046】
一般に分散用高分子材料には、熱可塑性ポリマー(または熱可塑性ポリマーの混合物)(すなわち加熱して溶融液を形成し、続いて造形または成形して高分子複合体を形成できるもの)が含まれることになる。本発明の幾つかの実施形態によれば分散用高分子材料は、望ましくは1または複数種の低分子量ポリマーを含む。低分子量ポリマーは、加熱して溶融液を形成した場合に一般に低粘度を有し、その低粘度が溶融液中での温度調節材料の分散を容易にすることができる。さきに考察したように幾種類かのポリマーを異なる分子量を有する様々な形態で得ることができる。したがって本明細書中で用いる用語「低分子量ポリマー」は、ポリマーの低分子量形態(例えば本明細書中で考察したポリマーの低分子量形態)を意味することができる。例えば、約20,000(またはそれ以下)の数平均分子量を有するポリエチレンは、本発明の実施形態において低分子量ポリマーとして使用することができる。低分子量ポリマーに関係する分子量または分子量範囲は、選択される特定のポリマー(例えばポリエチレン)によって決まり、または温度調節材料をその低分子量ポリマーと混合するために用いられる方法または設備によって決まる。
【0047】
分散用高分子材料には、1または複数種のモノマー単位を含む様々な鎖構造を有するポリマー(またはポリマーの混合物)を挙げることができる。具体的には分散用高分子材料には、線状ポリマー、分岐ポリマー(例えば、星型分岐ポリマー、櫛型分岐ポリマー、または樹枝状分岐ポリマー)、またはこれらの混合物を挙げることができる。分散用高分子材料は、ホモポリマー、コポリマー(例えば、ターポリマー、統計コポリマー、ランダムコポリマー、交互コポリマー、周期コポリマー、ブロックコポリマー、放射状コポリマー、またはグラフトコポリマー)、またはこれらの混合物を挙げることができる。さきに考察したようにポリマーの反応性および官能性は、アミン、アミド、カルボキシル、ヒドロキシル、エステル、エーテル、エポキシ、酸無水物、イソシアナート、シラン、ケトン、およびアルデヒドなどの官能基の付加によって変えることができ、また分散用高分子材料は、その靭性あるいはその熱、水分、または化学薬品に対する抵抗性を増すために架橋、からみ合い、または水素結合の能力のあるポリマーを含むことができる。
【0048】
分散用高分子材料の例には、ポリアミド類(例えば、ナイロン6、ナイロン6/6、ナイロン12、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸など)、ポリアミン類、ポリイミド類、ポリアクリル樹脂類(例えば、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、メタクリル酸およびアクリル酸のエステルなど)、ポリカーボナート類(例えば、ポリビスフェノールAカーボナート、ポリプロピレンカーボナートなど)、ポリジエン類(例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリノルボルネンなど)、ポリエポキシド類、ポリエステル類(例えば、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリトリメチレンテレフタラート、ポリカプロラクトン、ポリグリコリド、ポリラクチド、ポリヒドロキシブチラート、ポリヒドロキシバレラート、ポリエチレンアジパート、ポリブチレンアジパート、ポリプロピレンスクシナートなど)、ポリエーテル類(例えば、ポリエチレングリコール(ポリエチレンオキシド)、ポリブチレングリコール、ポリプロピレンオキシド、ポリオキシメチレン(パラホルムアルデヒド)、ポリテトラメチレンエーテル(ポリテトラヒドロフラン)、ポリエピクロロヒドリンなど)、ポリフルオロカーボン類、ホルムアルデヒドポリマー(例えば、ユリア−ホルムアルデヒド、メラミン−ホルムアルデヒド、フェノールホルムアルデヒドなど)、天然のポリマー類(例えば、セルロース系、キトサン、リグニン、ワックスなど)、ポリオレフィン類(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリブテン、ポリオクテンなど)、ポリフェニレン類(例えば、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテルスルホンなど)、ケイ素含有ポリマー(例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリカルボメチルシランなど)、ポリウレタン、ポリビニル(例えば、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリメチルビニルエーテル、ポリエチルビニルエーテル、ポリビニルメチルケトンなど)、ポリアセタール、ポリアリーラート、コポリマー類(例えば、ポリエチレン−co−酢酸ビニル、ポリエチレン−co−アクリル酸、ポリブチレンテレフタラート−co−ポリテトラメチレンテレフタラート、ポリラウリルラクタム−ブロック−ポリテトラヒドロフランなど)、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0049】
本発明の幾つかの実施形態によれば高分子複合体は、分散用高分子材料を重量で約100パーセントまで含むことができる。幾つかの実施形態では高分子複合体は、分散用高分子材料を重量で約10パーセントから約30パーセント含むことができる。また一実施形態によれば高分子複合体は、分散用高分子材料を重量で約15パーセント含むことができる。
【0050】
一般に母材高分子材料は、高分子複合体またはそれから作られる品物(例えば合成繊維)にとって望ましい1または複数の物理的性質を有するかまたは与える任意のポリマー(またはポリマーの混合物)を含むことができる。物理的性質の例には、機械的性質(例えば、延性、引張強さ、および硬さ)、熱的性質(例えば熱成形性)、および化学的性質(例えば反応性)が挙げられる。本発明の幾つかの実施形態によれば母材高分子材料は、分散用高分子材料と相溶性または混和性であるか、あるいはそれに対して親和性を有することができる。本発明の幾つかの実施形態によればこのような親和性は、例えばその分散用高分子材料および母材高分子材料の溶解パラメーター、極性、疎水特性、または親水特性の類似性によって決まる。このような親和性は、高分子複合体の製造中に母材高分子材料、分散用高分子材料、および温度調節材料のブレンドの形成を促進することができ、したがって最終的には高分子複合体中への相変化材料のより均質なまたはより多くの量または負荷レベルの取り込みを容易にすることができるので有利である。さきに考察したように分散用高分子材料は、母材高分子材料と温度調節材料の間で相溶化用つなぎ材として働き、それによって高分子複合体中への温度調節材料の取り込みを容易にすることができる。
母材高分子材料を温度調節材料と相溶性または混和性であるか、あるいはそれに対して親和性を有するように選択することができることが分かるはずである。温度調節材料が相変化材料を含有した封じ込め構造体を含んでいる実施形態では、その母材高分子材料は、相変化材料に対するその親和性と共に、またはその親和性に代るものとして封じ込め構造体に対するその親和性を得るように選択することができる。本発明の幾つかの実施形態によれば母材高分子材料は、温度調節材料とわずかなまたは部分的な相溶性または混和性、あるいは親和性を有することができる。このような部分的親和性は、温度調節材料の分散を容易にするのに、またより高温での加工を容易にするのに十分である。より低温およびせん断条件では、またいったん高分子複合体が形成されると、この部分的親和性は温度調節材料を分離させることができる。未加工の形態の相変化材料を使用する本発明の実施形態の場合、この部分的親和性は相変化材料の不溶化および高分子複合体内での相変化材料のドメイン形成の向上をもたらすことができる。
【0051】
一般は母材高分子材料には、熱可塑性ポリマー(または熱可塑性ポリマーの混合物)が含まれることになる。本発明の幾つかの実施形態によれば母材高分子材料は、望ましくは1または複数種の高分子量ポリマーを含む。高分子量ポリマーは、一般に高度の物理的性質(例えば機械的性質)を有するが、加熱して溶融液を形成した場合、高粘度を有する可能性がある。さきに考察したように幾種類かのポリマーを異なる分子量を有する様々な形態で得ることができる。したがって本明細書中で用いる用語「高分子量ポリマー」は、ポリマーの高分子量形態(例えば本明細書中で考察したポリマーの高分子量形態)を意味することができる。例えば約20,000(またはそれ以上)の数平均分子量を有するポリエステルを本発明の実施形態において高分子量ポリマーとして使用することができる。高分子量ポリマーに関係する分子量または分子量範囲は、選択される特定のポリマー(例えばポリエステル)によって決まり、または温度調節材料をその高分子量ポリマーと混合するために用いられる方法または設備によって決まる。
【0052】
分散用高分子材料の場合と同様に母材高分子材料には、1または複数種のモノマー単位を含む様々な鎖構造を有するポリマー(またはポリマーの混合物)を挙げることができる。具体的には母材高分子材料には、線状ポリマー、分岐ポリマー(例えば、星型分岐ポリマー、櫛型分岐ポリマー、または樹枝状分岐ポリマー)、またはこれらの混合物を挙げることができる。母材高分子材料には、ホモポリマー、コポリマー(例えば、ターポリマー、統計コポリマー、ランダムコポリマー、交互コポリマー、周期コポリマー、ブロックコポリマー、放射状コポリマー、またはグラフトコポリマー)、またはこれらの混合物を挙げることができる。さきに考察したようにポリマーの反応性および官能性は、アミン、アミド、カルボキシル、ヒドロキシル、エステル、エーテル、エポキシ、酸無水物、イソシアナート、シラン、ケトン、およびアルデヒドなどの官能基の付加によって変えることができ、また母材高分子材料は、その靭性あるいはその熱、水分、または化学薬品に対する抵抗性を増すために架橋、からみ合い、または水素結合の能力のあるポリマーを含むことができる。
【0053】
母材高分子材料の例には、ポリアミド類(例えば、ナイロン6、ナイロン6/6、ナイロン12、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸など)、ポリアミン類、ポリイミド類、ポリアクリル樹脂(例えば、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、メタクリル酸およびアクリル酸のエステルなど)、ポリカーボナート類(例えば、ポリビスフェノールAカーボナート、ポリプロピレンカーボナートなど)、ポリジエン類(例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリノルボルネンなど)、ポリエポキシド類、ポリエステル類(例えば、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリトリメチレンテレフタラート、ポリカプロラクトン、ポリグリコリド、ポリラクチド、ポリヒドロキシブチラート、ポリヒドロキシバレラート、ポリエチレンアジパート、ポリブチレンアジパート、ポリプロピレンスクシナートなど)、ポリエーテル類(例えばポリエチレングリコール(ポリエチレンオキシド)、ポリブチレングリコール、ポリプロピレンオキシド、ポリオキシメチレン(パラホルムアルデヒド)、ポリテトラメチレンエーテル(ポリテトラヒドロフラン)、ポリエピクロロヒドリンなど)、ポリフルオロカーボン類、ホルムアルデヒドポリマー(例えば、ユリア−ホルムアルデヒド、メラミン−ホルムアルデヒド、フェノールホルムアルデヒドなど)、天然のポリマー類(例えば、セルロース系、キトサン、リグニン、ワックスなど)、ポリオレフィン類(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリブテン、ポリオクテンなど)、ポリフェニレン類(例えば、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテルスルホンなど)、ケイ素含有ポリマー(例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリカルボメチルシランなど)、ポリウレタン類、ポリビニル類(例えば、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリメチルビニルエーテル、ポリエチルビニルエーテル、ポリビニルメチルケトンなど)、ポリアセタール類、ポリアリーラート類、コポリマー類(例えば、ポリエチレン−co−酢酸ビニル、ポリエチレン−co−アクリル酸、ポリブチレンテレフタラート−co−ポリテトラメチレンテレフタラート、ポリラウリルラクタム−ブロック−ポリテトラヒドロフランなど)、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0054】
本発明の幾つかの実施形態によれば高分子複合体は、母剤高分子を重量で約100パーセントまで含むことができる。幾つかの実施形態では高分子複合体は、母剤高分子を重量で約40パーセントから約80パーセント含むことができる。また一実施形態によれば高分子複合体は、母剤高分子を重量で約70パーセント含むことができる。
【0055】
この時点で通常の当業技術者は、本発明の様々な実施形態に関連する多くの利点を理解することができる。例えば本発明の幾つかの実施形態による高分子複合体は、その高分子複合体を服飾品または履物などの品物に組み込んだ場合、快適さのレベルの向上を可能にする改良された熱調節特性を提供することができる。本発明の幾つかの実施形態による高分子複合体は、その高分子複合体中に1または複数種の高い配合量の相変化材料を含むことができる。本発明の幾つかの実施形態によれば、分散用高分子材料が高分子複合体中への温度調節材料の取り込みを容易にすることができるので、このような高い配合量を可能にすることができる。有利には高分子複合体はまた、その高分子複合体の総合的な物理的性質(例えば機械的性質)および加工性を改善する(例えば、本明細書中で述べたようにその形成を容易にすることによって)ように選択された母材高分子材料を含むことができる。本発明の幾つかの実施形態によれば高分子相変化材料は適切な機械的特性を与えることができ、かつ分散用高分子材料として使用することができ、こうして一層高い配合量およびさらに改良された熱調節特性を可能にする。
【0056】
本発明の幾つかの実施形態によれば高分子複合体は、最低約10 J/g、最低約20 J/g、最低約30 J/g、最低約40 J/g、最低約50 J/g、または最低約60 J/gなどの最低で約2 J/gの潜熱を有することができる。一実施形態では高分子複合体は、約20 J/gから約200 J/g、約40 J/gから約200 J/g、または約60 J/gから約200 J/gなどの約2 J/gから約200 J/gの範囲の潜熱を有することができる。
【0057】
本発明の幾つかの実施形態に従って高分子複合体を形成する一般的な方法を下記で考察する。まず、温度調節材料、分散用高分子材料、および母材高分子材料を準備する。さきに考察したようにこの温度調節材料は相変化材料を含むことができ、またさらにこの相変化材料をカプセル化する、含有する、取り囲む、または吸収するために封じ込め構造体(例えばマイクロカプセル)を含むことができる。本発明の幾つかの実施形態によれば分散用高分子材料には、封じ込め構造体または相変化材料に対して親和性を有する低分子量ポリマーを含むことができ、またその母材高分子材料は、その分散用高分子材料に対して親和性を有し、かつ高分子複合体またはそれから作られる品物に1または複数の望ましい物理的性質を与える高分子量ポリマーを含むことができる。さきに考察したように高分子相変化材料を分散用高分子材料として使用することも、また本発明の幾つかの実施形態については母材高分子材料を省くこともまたできると考えられる。
【0058】
次に、その温度調節材料を分散用高分子材料と混合して第一ブレンドを形成する。本発明の幾つかの実施形態によれば分散用高分子材料を融解して第一溶融液を形成し、この第一溶融液中に温度調節材料を分散して第一ブレンドを形成する。
【0059】
次いでこの第一ブレンドと母材高分子材料を用いて第二ブレンドを形成する。本発明の幾つかの実施形態によれば第一ブレンドを加工してグラニュールを形成し、このグラニュールを母材高分子材料と混合して第二ブレンドを形成する。具体的には母材高分子材料を融解して第二溶融液を形成し、この第二溶融液中にグラニュールを分散して第二ブレンドを形成することができる。別法では第二ブレンドは、グラニュールを融解し、それに母材高分子材料を加えることによって形成することもできる。本発明の他の実施形態によればグラニュールの形成を必要とせず、第一ブレンドを母材高分子材料と混合して第二ブレンドを形成する。
【0060】
いったん形成されたならばその第二ブレンドを加工して高分子複合体を形成する。本発明の幾つかの実施形態によればこの第二ブレンドを加工してペレットを形成する。このペレットは、相変化材料をその中に組み込むことによって得られる高度な可逆の熱的性質を有する。
【0061】
本発明は、本発明の実施形態に従って高分子複合体を形成するための製造方法を示す図1を参照してより完全に理解される。
【0062】
図1を参照すると温度調節材料が準備される(ステップ10)。この実施形態では温度調節材料は、相変化材料と、この相変化材料を含有するマイクロカプセルとを含む。ここで温度調節材料はさらに、このマイクロカプセルを湿潤し、被覆する、またはマイクロカプセルにより吸収される一定量の水を含むことができる。これら水湿潤マイクロカプセルは、ウェットケーキを形成することができる。このウェットケーキは、マイクロカプセルおよび相変化材料を重量で約1パーセントから約90パーセント含むことができ、残りの部分が水などである。一般にはウェットケーキは、マイクロカプセルおよび相変化材料を重量で約60パーセントから約70パーセント含み、残りの部分が水などである。本発明の幾つかの実施形態によればこのウェットケーキの使用は、マイクロカプセルの取扱いを容易にするのに役立つ可能性があり、または溶融液中へのマイクロカプセルの分散を改善する(例えば塊になるのを防ぐ)ことができる。
【0063】
マイクロカプセルと共に、またはそれに代るものとして他の封じ込め構造体を用いて相変化材料をカプセル化する、含有する、取り囲む、または吸収することもできる。また、この温度調節材料は未加工の形態の相変化材料をその代わりにまたはそれと共に含むこともできることが分かるであろう。この未加工の形態の相変化材料は、様々な形態の固形物(例えば、バルク形態、粉末、ペレット、グラニュール、フレークなど)として、または様々な形態の液体(例えば、溶融形態、溶媒に溶かしたものなど)として得ることができる。
【0064】
次に分散用高分子材料が準備される(ステップ11)。さきに考察したように分散用高分子材料は、高分子複合体中への温度調節材料の取り込みを容易にする任意のポリマー(またはポリマーの混合物)を含むことができる。この実施形態では分散用高分子材料は、マイクロカプセルに対して親和性を有する低分子量ポリマーを含む。この分散用高分子材料は、1または複数種の追加のポリマー(例えば1または複数種の追加の低分子量ポリマー)を含むこともできることが分かるであろう。この分散用高分子材料は高分子相変化材料を含むこともまた考えられる。
【0065】
図1に示すように温度調節材料を分散用高分子材料と混合して第一ブレンドを形成する(ステップ12)。この実施形態によれば最初に分散用高分子材料を融解して第一溶融液を形成(例えば加熱した混合ボウル中またはウェットフラッシング装置中で)し、温度調節材料(例えばウェットケーキ)をこの第一溶融液に加え、その中に分散させて第一ブレンドを形成する。第一溶融液中への相変化材料を含有するマイクロカプセルの均一な分散は、そのマイクロカプセルに対する分散用高分子材料の親和性によって容易にすることができる。また分散は、分散用高分子材料を溶融状態に保つことによって、または混合(例えば、ふり混ぜまたは攪拌)によって助長することができる。この実施形態ではウェットケーキの水はウェットフラッシングによって実質上除去することができる。具体的には第一ブレンドは、例えばその第一ブレンドが水を重量で約1パーセント未満含むようにウェットケーキの水が実質上なくなるまで加熱される。ステップ12は、別法では温度調節材料を分散用高分子材料と乾式混合してドライブレンドを形成する工程を含むこともでき、その後これを加熱して第一ブレンドを形成することができる。
【0066】
いったん形成されたならばこの第一ブレンドを加工してグラニュールを形成する(ステップ14および15)。この実施形態では第一ブレンドを冷却して第一固形物を形成し(ステップ14)、その第一固形物を粒状化してグラニュールを形成する(ステップ15)。本発明の幾つかの実施形態によれば第一ブレンドを押出して、例えばスレッド(または複数本のスレッド)にし、このスレッドを冷却し、その後スレッドを粒状化してグラニュールを形成する。押出は、任意の押出機(例えば単軸押出機などの任意の通常の押出機)を用いて行われ、様々な規則正しいまたは不揃いな断面形状を有するスレッドを形成することができる。
【0067】
一般には任意の方法(任意の通常の方法を含めた)を用いて第一固形物を粒状化することができる。例えば第一固形物を任意の通常の方法を用いて砕き、切断し、または細断してグラニュールを形成することができる。様々な形状(例えば、球体、長円体、円柱体、粉末形態、不揃いな形状など)および大きさを有するグラニュールを形成することができる。グラニュールは、同一または異なる形状または大きさを有することができ、また平滑または粗い表面でできていてもよい。本発明の幾つかの実施形態によればグラニュールは、約0.01から約10ミリメートル、また一般には約1から約5ミリメートルの範囲の最大線寸法(例えば、長さまたは直径)を有することができる。
【0068】
グラニュールは、温度調節材料を重量で(例えばマイクロカプセルとその中に分散した相変化材料とを乾燥重量で)約30パーセントから約60パーセント含むことができ、残りの部分が分散用高分子材料などである。本発明の幾つかの実施形態によればグラニュールは、一般にマイクロカプセルおよび相変化材料を重量で約45パーセントから約55パーセント含み、残りの部分が分散用高分子材料などである。上記で考察したようにグラニュールはまた、少量の水(例えば水の重量で約1パーセント未満)を含むことができる。
【0069】
次いで母材高分子材料が準備され(ステップ18)、さきに考察したようにその母材高分子材料は、高分子複合体またはそれから作られる品物(例えば合成繊維)にとって望ましい1または複数の物理的性質を与える任意のポリマー(またはポリマーの混合物)を含むことができる。この実施形態では母材高分子材料は、分散用高分子材料に対して親和性を有し、かつ望ましい機械的または熱的性質などの望ましい物理的性質を与える高分子量ポリマーを含む。母材高分子材料は、1または複数種の追加のポリマー(例えば1または複数種の追加の高分子量ポリマー)を含むことができることが分かるであろう。また母材高分子材料は、本発明の幾つかの実施形態については省くこともできると考えられる。
【0070】
ステップ15で形成されるグラニュールを母材高分子材料と混合して第二ブレンドを形成する(ステップ17)。この実施形態によればまず母材高分子材料を融解して第二溶融液を形成し、この第二溶融液中にグラニュールを加え、分散して第二ブレンドを形成する。第二溶融液中へのグラニュールの分散は、分散用高分子材料に対する母材高分子材料の親和性によって容易にすることができる。さらにグラニュールは一般に第二溶融液に加えられた後に融解されて相変化材料を含有するマイクロカプセルを放出し、その第二溶融液中へのマイクロカプセルの均質な分散は、分散用高分子材料に対する母材高分子材料の親和性およびマイクロカプセルに対する分散用高分子材料の親和性によって促進することができる。分散はまた、母材高分子材料を溶融状態に保つことによって、または混合(例えば、ふり混ぜまたは攪拌)によって容易にすることもできる。この実施形態ではウェットケーキの水はウェットフラッシングによってさらに除去することができる。ステップ17は別法ではグラニュールを母材高分子材料と乾式混合してドライブレンドを形成する工程を含むこともでき、その後これを加熱して第二ブレンドを形成することができることが分かるであろう。
【0071】
いったん形成されたらその第二ブレンドを加工して高分子複合体を形成する(ステップ20および21)。さきに考察したようにこの高分子複合体は、ペレット、繊維、フレーク、シート、フィルム、ロッドなどの様々な形状に形づくることができる。この実施形態では第二ブレンドを冷却して第二固形物を形成し(ステップ20)、この第二固形物を粒状化してペレットを形成する(ステップ21)。本発明の幾つかの実施形態によれば第二ブレンドを押出して、例えばスレッド(または複数本のスレッド)にし、このスレッドを冷却し、続いて粒状化してペレットを形成する。押出は、任意の押出機(例えば、単軸押出機などの任意の通常の押出機を含めた)を用いて行われ、様々な規則正しいまたは不揃いな断面形状を有するスレッドを形成することができる。
【0072】
一般に任意の方法(任意の通常の方法を含めた)を用いて第二固形物を粒状化することができる。例えば第二固形物を任意の通常の方法を用いて砕き、切断し、または細断してペレットを形成することができる。様々な形状(例えば、球体、長円体、円柱体、粉末形態、不揃いな形状など)および大きさを有するペレットを形成することができる。ペレットは、同一または異なる形状または大きさを有することができ、また平滑または粗い表面でできていてもよい。本発明の幾つかの実施形態によればペレットは、約1から約10ミリメートル、また一般には約1から約5ミリメートルの範囲の最大線寸法(例えば、長さまたは直径)を有することができる。
【0073】
本発明のこの実施形態によれば、形成されるペレットは一般に温度調節材料(例えばマイクロカプセルおよび相変化材料)を重量で約10パーセントから約30パーセント、分散用高分子材料を重量で約10パーセントから約30パーセント、および母材高分子材料を重量で約40パーセントから約80パーセント含む。さらにペレットは、一般に約1重量パーセント未満の水の量を含むことができる。このペレットを用いて合成繊維、フィルム、および射出成形品などの高度な可逆の熱的性質を有する様々な品物を形成することができる。
【0074】
図2は、本発明の別の実施形態に従って高分子複合体を形成するための製造方法を示す。さきの実施形態の場合と同様に温度調節材料、分散用高分子材料、および母材高分子材料が準備される(ステップ30~32)。さきに考察したように本発明の幾つかの実施形態については高分子相変化材料を分散用高分子材料として使用することも、また母材高分子材料を省くこともまたできると考えられる。
【0075】
図2に示すように、次いでこの温度調節材料、分散用高分子材料、および母材高分子材料を混合する(ステップ33)。この実施形態によれば、まず分散用高分子材料を融解して第一溶融液を形成し、この第一溶融液に温度調節材料を加え、分散させて第一ブレンドを形成する。存在する場合、水はウェットフラッシングによって実質上除去することができる。別法では温度調節材料を分散用高分子材料と乾式混合してドライブレンドを形成し、続いてこれを加熱して第一ブレンドを形成することもできることが分かるであろう。次にこの第一ブレンドを母材高分子材料と混合して第二ブレンドを形成する。まず母材高分子材料を融解して第二溶融液を形成し、第一ブレンドをこの第二溶融液と混合して第二ブレンドを形成することができる。別法では母材高分子材料をこの第一ブレンドに加え、分散して第二ブレンドを形成することもできる。
【0076】
この温度調節材料、分散用高分子材料、および母材高分子材料を他の様々な方法を用いて混合して第二ブレンドを形成することができることが分かるであろう。例えば分散用高分子材料および母材高分子材料の高分子ブレンドを形成し、その後この高分子ブレンドに温度調節材料を加え、分散して第二ブレンドを形成することもできる。別の例として、この温度調節材料、分散用高分子材料、および母材高分子材料を乾式混合してドライブレンドを形成し、その後これを加熱して第二ブレンドを形成することもできる。さらなる例として、温度調節材料、分散用高分子材料、および母材高分子材料を準備し、加熱し、混合して第二ブレンドを形成することもできる。具体的には本発明の幾つかの実施形態によれば、温度調節材料、分散用高分子材料、および母材高分子材料を押出機に供給して第二ブレンドを形成することができる。
【0077】
いったん形成されたらその第二ブレンドを加工して高分子複合体を形成する(ステップ35および36)。さきに考察したように高分子複合体は、ペレット、繊維、フレーク、シート、フィルム、ロッドなどの様々な形態または形状に形づくることができる。この実施形態では第二ブレンドを冷却して固形物を形成し(ステップ35)、この固形物を粒状化してペレットを形成する(ステップ36)。本発明の幾つかの実施形態によれば第二ブレンドを押出して、例えばスレッド(または複数本のスレッド)にし、このスレッドを冷却し、続いて粒状化してペレットを形成する。
【0078】
次に図3を参照して本発明のさらなる実施形態に従って高分子複合体を形成するための製造方法を示す。この実施形態では高分子複合体を多段押出機43を用いて形成する。一般に多段押出機は、様々な配置(例えば直列)に動作可能に連結することができる2つ以上の押出ユニットを含むものと考えられ、各押出ユニットは、単軸または多軸押出機であることができ、押出される物質を受け入れるための1または複数個の入口開口部を有することができ、また空気、水(例えば蒸気)、および揮発性材料などのガスを排出するための1または複数個の排出口を有することができる。
【0079】
図3に示すように温度調節材料および分散用高分子材料を準備し(ステップ40および41)、多段押出機43に供給する。さきに考察したように本発明の幾つかの実施形態についてはまた、高分子相変化材料を分散用高分子材料として使用することもできると考えられる。この実施形態では温度調節材料および分散用高分子材料を多段押出機43の同じ入口開口部に供給することも、また別の入口開口部に供給することもできる。多段押出機43内で温度調節材料は分散用高分子材料と混合されて第一ブレンドを形成し、この第一ブレンドは多段押出機43を通って溶融液の流路44に沿って進む。
【0080】
次に母材高分子材料を準備し(ステップ42)、多段押出機43に供給する。さきに考察したように本発明の幾つかの実施形態についてはまた、高分子相変化材料を省くこともできると考えられる。この実施形態では母材高分子材料は、溶融液の流路44に沿った入口開口部の下流に供給される。別法では母材高分子材料は、溶融液の流路44に沿った入口開口部の上流(例えば、温度調節材料または分散用高分子材料を受け入れるために用いられるのと同じ入口開口部)に供給される。多段押出機43内で第一ブレンドは母材高分子材料と混合されて第二ブレンドを形成する。図3に示すように水は、存在する場合は排出口を通って実質上除去することができる(ステップ45)。
【0081】
いったん形成されたらその第二ブレンドを加工して高分子複合体を形成する(ステップ46)。さきに考察したようにこの高分子複合体は、ペレット、繊維、フレーク、シート、フィルム、ロッドなどの様々な形状に形づくることができる。例えばこの第二ブレンドをダイを通して押出してスレッド(または複数本のスレッド)にし、このスレッドを冷却し、続いて粒状化してペレットを形成することができる。別の例としてこの第二ブレンドを紡糸口金を通して押出して合成繊維を形成することができる。
【0082】
さきに考察したように本発明の幾つかの実施形態による高分子複合体は、未加工の形態の1または複数種の相変化材料を用いて形成することができる。例えば、図1、図2、および図3に関連して上記で考察した製造方法は、未加工の形態の相変化材料をその代わりにまたはそれと共に含む温度調節材料を使用することができる。未加工の形態の相変化材料は、様々な形態の固形物(例えば、バルク形態、粉末、ペレット、グラニュール、フレークなど)として、または様々な形態の液体(例えば、溶融形態、溶媒に溶かしたものなど)として供給することができる(例えば、図1のステップ10で、図2のステップ30で、または図3のステップ40で)。本発明の幾つかの実施形態については未加工の形態の相変化材料を高分子複合体に取り込むことができ、その相変化材料はその高分子複合体の全体にわたって分散している1または複数個の隔離された体積または空間内に含有することができる。さきに考察したように高分子相変化材料を分散用高分子材料として使用し、その高分子相変化材料を未加工の形態で使用することができることもまた考えられる。
【0083】
本発明の幾つかの実施形態によれば未加工の形態の相変化材料を製造工程の間の事実上いつでも導入して高分子複合体を形成することができる(例えば、図1、図2、および図3中で示したステップの事実上いずれにおいても)。例えば相変化材料は、液状注入によって、あるいは固体形態の相変化材料を単独または分散用高分子材料もしくは母材高分子材料と一緒に供給することによって導入することができる。未加工の液体形態の相変化材料は、液状注入に先立って均質性を確実にするために濾過または混合することもできる。未加工の固体形態の相変化材料は、押出機の供給口に供給することもでき、また供給口の詰まりを防ぐために押出機中に側部装入(side stuff)することもできる。本発明の幾つかの実施形態によれば未加工の形態の相変化材料を望ましくは製造工程の間の後期に導入し、それによって相変化材料の十分な分散を確実にし、または相変化材料が高分子複合体の形成に関連する製造条件(例えば高い温度またはせん断力)に曝されるのを低減する。このような相変化材料の後期添加を用いることによって、相変化材料の高温への暴露および続いて起る相変化材料の分解または損失を減らすことができる。
【0084】
様々な他の実施形態が本発明の精神および範囲内にある。例えば、さきに考察したように本発明の幾つかの実施形態による高分子複合体は、温度調節材料と、分散用高分子材料または母材高分子材料のどちらかとを含むことができる。この分散用高分子材料または母材高分子材料のどちらかを温度調節材料に対する親和性(または、わずかなもしくは部分的な親和性)を有するように選択することができる。本発明の実施形態によれば高分子複合体は、温度調節材料と、望ましくは1または複数種の高分子量ポリマーを含む母材高分子材料とを含むことができる。高分子複合体の形成において、温度調節材料と、分散用高分子材料または母材高分子材料のどちらかとを混合してブレンドを形成し、次いでこのブレンドを加工してその高分子複合体を形成することができる。
【0085】
さきに考察したように本発明の幾つかの実施形態による高分子複合体を加工して、高度な可逆の熱的性質を有する様々な品物を形成することができる。例えば本発明の幾つかの実施形態により形成されるペレットを射出成形工程または押出工程に用いて合成繊維を形成することができる。具体的にはペレットを溶融紡糸工程で使用して、例えば温度調節材料を重量で約10パーセントから約30パーセント含む合成繊維を形成することができる。いったん形成されたらこの合成繊維を集めてストランドにするか、または切断して短繊維にすることができる。この合成繊維を用いて織布または不織布を製造することができ、あるいはこの合成繊維を巻き取ってヤーンにした後、製織または編組工程で使用して合成繊維布を形成することもできる。このペレットを1または複数種のポリマー(例えば1または複数種の熱可塑性ポリマー)と混合してブレンドを形成することができ、この1または複数種のポリマーはそのペレットに含まれるポリマーと同一でも異なっていてもよいことが分かるであろう。次いで得られたブレンドを加工して、例えば温度調節材料を重量で約5パーセントから約10パーセント含む合成繊維を形成することができる。さらに1または複数種の熱可塑性ポリマーをこのペレットと共に用いて多成分溶融紡糸繊維(例えば二成分繊維)、多成分押出フィルム、多成分射出成形製品などを形成することができる。
【実施例】
【0086】
下記実施例は、通常の当業技術者に対して例示し説明するために本発明の幾つかの実施形態の特定の側面について述べる。これら実施例は単に本発明の幾つかの実施形態を理解し実施する際に役立つ特定の方法体系を提供するに過ぎないので、これら実施例は本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【0087】
実施例1
低分子量ポリエチレンホモポリマー(Honeywell Specialty Chemicalsにより製造されたAC−16ポリエチレン、滴点102℃)約5.0ポンドをウェットフラッシング装置に加え、次いでそのホモポリマーを約110℃から約130℃でゆっくり融解し混合した。いったんホモポリマーが融解したらウェットケーキ約8.47ポンドをこの溶融ホモポリマーに約30分かけてゆっくり加えて第一ブレンドを形成した。このウェットケーキは、相変化材料を含有する水湿潤マイクロカプセル(MicroTek Laboratories, Inc.により製造されたPCMロット#M 42-31、マイクロカプセルおよび相変化材料59.0重量パーセント)を含む。
【0088】
相変化材料を含有するマイクロカプセルを溶融ホモポリマーに加え分散させる時、水を瞬間蒸発させて除いた。残留する水(Karl-Fisher滴定法を用いて測定した)が約0.15重量パーセント未満になるまで混合を続けた。次いで得られた第一ブレンドを冷却して第一固形物を形成し、この第一固形物を細断して更なる加工のための細断材料を形成した。細断材料は、マイクロカプセルおよび相変化材料を約50重量パーセント含む。
【0089】
次いでこの細断材料約30ポンドを、高分子量の繊維用ポリプロピレン熱可塑性ポリマー(PB Amoco Polymersから入手したポリプロピレンホモポリマー6852)70ポンドと乾式混合することによりドライブレンドを形成した。
【0090】
次いで得られたドライブレンドを、2−1/2インチ単軸押出機を用いて押出し、こうしてペレットを生成した。押出機は、全ゾーンを約230℃に設定し、スクリュー速度約70 rpm、150メッシュスクリーン、および窒素パージを備える。次いでこのペレットを約50℃、約1 mm Hgの真空で夜通しオーブン乾燥した。
【0091】
次いでマイクロカプセルおよび相変化材料を約15重量パーセント含むこのペレットを、約230℃から約265℃の間(例えば235℃から約245℃の間)の温度で押出/溶融紡糸した。
【0092】
合成繊維を毎分約1600メートル(mpm)までの巻取速度で紡糸/巻取を行って繊維1本当り約20から約6デニールを得た。この合成繊維は、実施例2で考察するように相変化材料によってもたらされる高度な可逆の熱的性質を示した。
【0093】
実施例2
上記合成繊維の示差走査熱量計(DSC)による測定をPerkin Elmer Pyris 1計測器を用いて行った。冷却は、FTS Systems Intercoller 1を用いて行った。データ分析は、Perkin Elmer Pyris熱分析システムおよびウィンドウズ(登録商標)用ソフトウェア(バージョン3.72)を用いて行った。
【0094】
試験試料はPerkin Elmer密閉式アルミニウム試料槽中で調製し、試験は試料を連続的にN2流にさらしながら行った。
【0095】
試験条件には、1)試験試料を約−10℃まで冷却し、2)−10℃で約1分間等温下に保持し、3)毎分約5℃の速度で−10℃から約50℃まで加熱し、4)50℃で約1分間等温下に保持し、次いで5)毎分約5℃の速度で50℃から約−10℃まで冷却することが含まれる。
【0096】
上記DSC測定を用いるとこの合成繊維は約17.5から23.2 J/gの間の熱エネルギー貯蔵能力(すなわち潜熱)を示した。
【0097】
実施例3
未加工の形態の相変化材料(Kenwax 19パラフィン、C18からC24パラフィン系炭化水素のブレンド、潜熱150 J/g)約3.1307グラムをガラス瓶に入れ、その相変化材料に対してわずかなまたは部分的な親和性を有する高分子材料(Elvax 450、酢酸ビニル18重量パーセント、DuPont Inc.により供給されたポリエチレン−co−酢酸ビニルポリマー)約3.1255グラムをこのガラス瓶に加えた。この相変化材料と高分子材料を120℃から130℃の間で手で混ぜ合わせ、均質かつ透明な50:50(重量)のブレンドを生成した。冷却すると高分子複合体が形成され、その高分子複合体は濁りを帯びかつゴム状であり、蝋質または脂肪性の感触を伴わなかった。この高分子複合体のDSC測定は73.3 J/gの熱エネルギー貯蔵能力を示し、これは熱調節特性を与えるのに有効なKenwax 19の48.9パーセントに相当する。
【0098】
当業界の普通の従業者は本明細書中で述べた高分子複合体を開発するのにいかなる追加の説明も必要としないが、それにもかかわらず「Stable Phase Change Materials for Use in Temperature Regulating Synthetic Fibers, Fabrics And Textiles」という名称のHartmannの特許(2004年2月10日発行の米国特許第6,689,466号)および「Multi-component Fibers Having Enhanced Reversible Thermal Properties and Methods of Manufacturing Thereof」という名称のMagill他の特許(2005年2月15日発行の米国特許第6,855,422号)を検討することによって幾つかの役に立つ手引きを見出すことができ、これら特許の開示内容はそれらの全体が参照により本明細書中に組み込まれる。
【0099】
本明細書中で述べたまたは参照した各特許出願、特許、刊行物、および他の公開文書は、それぞれ個々の特許出願、特許、刊行物、および他の公開文書が具体的かつ個々に示されて参照により組み込まれる場合と同じ程度に、それらの全体が参照により本明細書中に組み込まれる。
【0100】
本発明をその特定の実施形態に関して述べてきたが、別添の特許請求の範囲によって規定される本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく様々な変更をなすことができ、また等効物を代りに用いることができることは当業者により理解されるはずである。さらに本発明の目的、精神、および範囲に対して特定の状況、材料、組成物、方法、プロセスステップまたはプロセスステップ群を適合させるために多くの改変をなすことができる。このようなすべての改変は、別添の特許請求の範囲の範囲内にあるものである。特に本明細書中で開示した方法は特定の順序で行われる特定のステップに関して述べてきたが、これらのステップを組み合わせ、さらに分け、または整理しなおして本発明の教示から逸脱することなく等効の方法を形成することができることが分かるであろう。したがって本明細書中で別段の指示がない限り、これらステップの順序およびグループ分けは本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の実施形態による高分子複合体を形成するための製造工程を示す図である。
【図2】本発明の別の実施形態による高分子複合体を形成するための製造工程を示す図である。
【図3】本発明のさらに別の実施形態による高分子複合体を形成するための製造工程を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相変化材料を含有する複数個のマイクロカプセルを分散用高分子材料と混合して第一ブレンドを形成するステップであって、前記分散用高分子材料が最低で40 J/gの潜熱と0℃から50℃の範囲の転移温度とを有する、ステップと、
前記第一ブレンドを加工して高分子複合体を形成するステップと
を含む、高分子複合体の製造方法。
【請求項2】
前記相変化材料が最低で40 J/gの潜熱と0℃から50℃の範囲の転移温度とを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記相変化材料が、炭素原子16から22個を有するパラフィン系炭化水素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複数個のマイクロカプセルが水で被覆されてウェットケーキを形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第一ブレンドが水を1重量パーセント未満含むようになるまで前記第一ブレンドを加熱するステップをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記分散用高分子材料の前記潜熱が最低で60 J/gである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記分散用高分子材料の前記転移温度が22℃から40℃の範囲にある、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記分散用高分子材料が、ポリエチレン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレン、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリマロン酸プロピレン、ポリセバシン酸ネオペンチルグリコール、ポリグルタル酸ペンタン、ポリミリスチン酸ビニル、ポリステアリン酸ビニル、ポリラウリン酸ビニル、ポリメタクリル酸ヘキサデシル、ポリメタクリル酸オクタデシル、およびポリエステル類からなる群から選択されるポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記複数個のマイクロカプセルを前記分散用高分子材料と混合する前記ステップが、
前記分散用高分子材料を融解して溶融液を形成すること、および
前記溶融液中に前記複数個のマイクロカプセルを分散して前記第一ブレンドを形成すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記溶融液中での前記複数個のマイクロカプセルの分散を容易にするように前記分散用高分子材料が前記複数個のマイクロカプセルに対して親和性を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第一ブレンドを加工して前記高分子複合体を形成する前記ステップが、
前記第一ブレンドを加工してグラニュールを形成すること、
前記グラニュールを母材高分子材料と混合して第二ブレンドを形成すること、および
前記第二ブレンドを加工して前記高分子複合体を形成すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第一ブレンドを加工して前記グラニュールを形成する前記ステップが、
前記第一ブレンドを冷却して固形物を形成すること、および
前記固形物を粒状化して前記グラニュールを形成すること
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記母材高分子材料が高分子量ポリマーを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記グラニュールを前記母材高分子材料と混合する前記ステップが、
前記母材高分子材料を融解して溶融液を形成すること、および
前記溶融液中に前記グラニュールを分散して前記第二ブレンド形成すること
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記溶融液中での前記グラニュールの分散を容易にするように前記母材高分子材料が前記分散用高分子材料に対して親和性を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記グラニュールを前記母材高分子材料と混合する前記ステップが、
前記グラニュールを前記母材高分子材料と乾式混合してドライブレンドを形成すること、および
前記ドライブレンドを加熱して前記第二ブレンドを形成すること
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記高分子複合体がペレットとして形成され、かつ前記第二ブレンドを加工する前記ステップが、
前記第二ブレンドを冷却して固形物を形成すること、および
前記固形物を粒状化して前記ペレットを形成すること
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
第一温度調節材料を融解して第一溶融液を形成するステップ、
前記第一溶融液中に第二温度調節材料を分散して第一ブレンドを形成するステップ、
前記第一ブレンドを加工してグラニュールを形成するステップ、
母材高分子材料を融解して第二溶融液を形成するステップ、
前記第二溶融液中に前記グラニュールを分散して第二ブレンドを形成するステップ、
および
前記第二ブレンドを加工して高分子複合体を形成するステップ
を含む、高分子複合体の製造方法。
【請求項19】
前記第一温度調節材料が、最低で50 J/gの潜熱と10℃から50℃の範囲の転移温度とを有する高分子相変化材料を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第二温度調節材料が、最低で50 J/gの潜熱と10℃から50℃の範囲の転移温度とを有する相変化材料を含有する複数個のマイクロカプセルを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記第一温度調節材料が、前記複数個のマイクロカプセルに対して親和性を有するポリマーを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第一ブレンドを加工する前記ステップが、
前記第一ブレンドを押出してスレッドにすること、および
前記スレッドを粒状化して前記グラニュールを形成すること
を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記母材高分子材料が、前記第一温度調節材料に対して親和性を有するポリマーを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記母材高分子材料が、ポリアミド類、ポリアミン類、ポリイミド類、ポリアクリル類、ポリカーボナート類、ポリジエン類、ポリエポキシド類、ポリエステル類、ポリエーテル類、ポリフルオロカーボン類、ホルムアルデヒドポリマー、天然のポリマー類、ポリオレフィン類、ポリフェニレン類、ケイ素含有ポリマー、ポリウレタン類、ポリビニル類、ポリアセタール類、ポリアリーラート類、およびこれらの混合物からなる群から選択されるポリマーを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記高分子複合体がペレットとして形成され、かつ前記第二ブレンドを加工する前記ステップが、
前記第二ブレンドを押出してスレッドにすること、および
前記スレッドを粒状化して前記ペレットを形成すること
を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
第一高分子材料を融解して第一溶融液を形成するステップであって、前記第一高分子材料が最低で40 J/gの潜熱と0℃から50℃の範囲の転移温度とを有する、ステップ、
前記第一溶融液中に温度調節材料を分散して第一ブレンドを形成するステップであって、前記温度調節材料が、最低で40 J/gの潜熱と0℃から50℃の範囲の転移温度とを有する相変化材料を含む、ステップ、
前記第一ブレンドを第二高分子材料と混合して第二ブレンドを形成するステップ、および
前記第二ブレンドを加工して高分子複合体を形成するステップ
を含む、高分子複合体の製造方法。
【請求項27】
前記第一高分子材料が分散用高分子材料に相当する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記温度調節材料が、前記相変化材料を含有する封じ込め構造体をさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記第一高分子材料と前記第二高分子材料が異なる、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記第二高分子材料が母剤高分子材料に相当する、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記第一ブレンドを前記第二高分子材料と混合する前記ステップが、
前記第二高分子材料を融解して第二溶融液を形成すること、および
前記第一ブレンドを前記第二溶融液と混合して前記第二ブレンドを形成すること
を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記高分子複合体がペレットとして形成され、かつ前記第二ブレンドを加工する前記ステップが前記第二ブレンドを押出して前記ペレットを形成することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
最低で40 J/gの潜熱と0℃から50℃の範囲の転移温度とを有する高分子材料、および
前記高分子材料中に分散した複数個のマイクロカプセルであって、最低で40 J/gの潜熱と0℃から50℃の範囲の転移温度とを有する相変化材料を含有する、マイクロカプセル
を含む高分子複合体。
【請求項34】
前記高分子材料の前記潜熱が最低で60 J/gである、請求項33に記載の高分子複合体。
【請求項35】
前記高分子材料の前記転移温度が22℃から40℃の範囲にある、請求項33に記載の高分子複合体。
【請求項36】
前記高分子材料が、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリテトラメチレングリコール、およびポリエステル類からなる群から選択されるポリマーを含む、請求項33に記載の高分子複合体。
【請求項37】
前記相変化材料が、炭素原子16から22個を有するパラフィン系炭化水素を含む、請求項33に記載の高分子複合体。
【請求項38】
前記高分子複合体が、前記相変化材料を含有する前記マイクロカプセルを重量で10パーセントから30パーセント含む、請求項33に記載の高分子複合体。
【請求項39】
前記高分子複合体が、前記相変化材料を含有する前記マイクロカプセルを重量で15パーセントから25パーセント含む、請求項33に記載の高分子複合体。
【請求項40】
高分子材料と非カプセル化相変化材料のブレンドであって、前記非カプセル化相変化材料が前記高分子材料中に分散した複数個のドメインを形成するように前記高分子材料が前記非カプセル化相変化材料に対して部分的親和性を有し、前記非カプセル化相変化材料が最低で60 J/gの潜熱と10℃から50℃の範囲の転移温度とを有する、ブレンド
を含む高分子複合体。
【請求項41】
前記高分子材料が、ポリオレフィン類とポリオレフィン類のコポリマーとからなる群から選択されるポリマーを含む、請求項40に記載の高分子複合体。
【請求項42】
前記非カプセル化相変化材料が、炭素原子16から22個を有するパラフィン系炭化水素を含む、請求項40に記載の高分子複合体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2008−533238(P2008−533238A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−500731(P2008−500731)
【出願日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際出願番号】PCT/US2006/006216
【国際公開番号】WO2006/098851
【国際公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(503107196)アウトラスト テクノロジーズ,インコーポレイティド (10)
【Fターム(参考)】