説明

高度に多型の標的配列の一塩基多型分析

本発明により、2つ以上の多型を有し、その多型の1つが識別され、別の多型がマスキングされる、標的配列を分析するための方法およびプローブが提供される。本発明は、高度に多型の核酸において一塩基多型(SNP)を分析するためのプロセスに関し、具体的には、目的のSNPの近くに1つ以上のさらなる多型を含む標的においてSNPを分析するためのプロセスに関する。本発明は、1つの局面では、少なくとも2つの一塩基多型を有する標的核酸配列のポリヌクレオチド増幅を連続的にモニタリングするための方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国仮出願番号第60/508,792号(2003年10月2日出願)の利益を請求し、この内容は本願明細書中に参考として援用される。
【0002】
(連邦政府によって後援された研究または開発に基づいてなされた本発明に対する権利に関する記載)
適用なし。
【0003】
(コンパクトディスクで提出された「配列リスト」、表またはコンピュータプログラムリスト付録に対する参照)
適用なし。
【0004】
(発明の背景)
本発明は、高度に多型の核酸において一塩基多型(SNP)を分析するためのプロセスに関し、具体的には、目的のSNPの近くに1つ以上のさらなる多型を含む標的においてSNPを分析するためのプロセスに関する。
【0005】
典型的には、一塩基多型の遺伝子型特定は、1個のミスマッチを含むプローブまたはプライマーを用いて行われる。このことは、対立遺伝子の分析を非常に単純化する。しかし、プローブ領域における1個より多い多型の存在は、遺伝子型特定を複雑化し、多くのSNP検出法が不可能である場合には、検出が非常に困難なものとなる。ほとんどのSNP検出法は、プローブ配列が別の多型にもわたる場合、目的の多型の遺伝子型特定において問題点を有する。
【0006】
一塩基多型(SNP)は、ヒトゲノムにおいて最も豊富な変異であり、配列多型の90%を超える割合を占める。SNPは1000ヌクレオチドごとに平均1個生じ、大雑把に言えば、特定の個々において任意の塩基位置の0.1%が異種である可能性が存在する。ヌクレオチド多様性は、ゲノム全体で一定ではなく、特に多様性が低い領域(例えば、X染色体)および特に多様性が高い領域(例えば、ヒト白血球抗原(HLA))遺伝子座において10%までである(非特許文献1)。高度に多型のSNP標的配列もまた、他の種において知られている。例えば、植物(非特許文献2)およびウイルス(非特許文献3)。多くのSNP検出法は、その近位に別の多型が存在しない場合に核酸標的中の一塩基多型を検出するために記載されている(非特許文献1、非特許文献4)。融解曲線分析による遺伝子型特定が開発されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3および米国特許出願番号第10/165,410号を参照(これらそれぞれは、本明細書中に参考として援用される)。
【0007】
他の技術では、第2の多型がプローブ長の中に存在する場合、目的の多型を同定するためにプローブを設計しておらず、普遍的な塩基を使用しておらず、プローブは、第2の多型と対になる位置に普遍的な塩基が組み込まれる。例えば、普遍的な塩基アナログについての刊行物の総説(非特許文献5)は、SNP分析を議論しているが、1個より多い多型がプローブによっておおわれている場合は議論していない。非特許文献6は、1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−3−ニトロピロールの合成を開示する。その位置でA、C、GまたはTのいずれかを含む相補体に対してハイブリダイズした1個の普遍的な塩基を含む15マーオリゴヌクレオチドの融点(T)は3℃未満であった。しかし、そのTは、完全にマッチしたオリゴヌクレオチドよりも顕著に低かった。非特許文献7および特許文献4は、人工的なミスマッチとしてこの塩基を導入することによってミスマッチ識別を増加させるための3−ニトロピロールの使用を開示する。特許文献5は、少なくとも2個の並置された普遍的な塩基を含むプローブおよびプライマーを開示する。非特許文献8は、確立された変異部位の近くの天然塩基のミクロな欠失またはミクロな挿入を含むプローブを用いた複数のSNPの同時検出を開示する。特許文献6は、プライマー伸長反応の間にポリメラーゼによってポリヌクレオチド鎖に組み込むことができる、拡張可能なヌクレオチドと称される普遍的なヌクレオチドを開示する。特許文献7は、限定された数のLNA置換されたホスホラミダイト試薬を開示する。特許文献8は、薬学的適用のための多くの数の普遍的な塩基のトリホスフェート誘導体を開示する。
【0008】
いくつかの刊行物は、SNP分析におけるそれらの適用を議論することなく、普遍的な塩基を開示する。例えば、非特許文献9は、プローブおよびプライマーにおいて使用可能な2個の新規の変性された塩基6H,8H−3,4−ジヒドロピルミド[4,5−c][1,2]オキサジン−7−オン(P)および2−アミド−6−メトキシアミノプリン(K)を開示するが、ミスマッチ識別または遺伝子型特定におけるそれらの使用は開示していない。両塩基PおよびKがそれらのアミノ互変異性体およびイミノ互変異性体に存在する可能性に起因して、これらはAおよびGならびにCおよびTの両方とそれぞれ対になる。非特許文献10および非特許文献11は、イソカルボスチリルコア構造に基づく非天然核酸塩基の合成を開示する。非特許文献12は、4個の非天然塩基の合成を開示し、それぞれの塩基は、全ての4個の天然塩基と比較的同様にハイブリダイズする。非特許文献13は、8−オキソ−7,8−ジヒドロアデノシンの塩基対の性質を開示する。非特許文献14は、6個の新規の非天然塩基を開示するが、SNP分析は観察していなかった。非特許文献15、非特許文献16および特許文献9は、天然アナログA、C、GおよびTと顕著な構造識別を示さなかった3個の普遍的な塩基を開示する。特許文献10は、限定された数のLNA置換されたホスホラミダイト試薬を開示する。特許文献11は、薬学的適用のための多くの数の普遍的な塩基のトリホスフェート誘導体を開示する。
【0009】
増幅された核酸標的に基づく分析は、特許文献12、特許文献13、特許文献14、特許文献15および特許文献16に開示され、これらはそれぞれ本願明細書中に参考として援用される。
【0010】
天然に改変された塩基アナログおよびそれらの性質は、特許文献17、特許文献18、特許文献19;および特許文献20および非特許文献17に開示され、これらはそれぞれ本願明細書中に参考として援用される。
【特許文献1】米国特許第6,569,627号明細書
【特許文献2】米国特許第6,506,568号明細書
【特許文献3】米国特許第6,448,015号明細書
【特許文献4】米国特許第5,780,233号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2003/0165888号明細書
【特許文献6】国際公開第03/040395号パンフレット
【特許文献7】欧州特許第1314734号明細書
【特許文献8】国際公開第02/062816号パンフレット
【特許文献9】国際公開第01/072764号パンフレット
【特許文献10】欧州特許第1314734号明細書
【特許文献11】国際公開第02/062816号パンフレット
【特許文献12】米国特許第4,800,159号明細書
【特許文献13】米国特許第6,197,563号明細書
【特許文献14】米国特許第5,210,015号明細書
【特許文献15】米国特許第5,312,728号明細書
【特許文献16】米国特許第6,221,603号明細書
【特許文献17】国際公開第01/065958号パンフレット
【特許文献18】米国特許第6,127,121号明細書
【特許文献19】米国特許第6,660,845号明細書
【特許文献20】米国再発行特許発明第38,416号明細書
【非特許文献1】TwymanおよびPrimrosePharmacogenomics 4、2002年、p.1−13
【非特許文献2】Ching A,Caldwell KS,Jung M,Dolan M,Smith OS,Tingey S,Morgante M,Rafalski AJ.BMC Genet.3、2002年、p.19
【非特許文献3】Miller V,Larder BA.Antivir Ther.6 Suppl 3、2001年、p.25−44
【非特許文献4】Gerome Breen,Psychiatric Genetics,12、2002年、p.83−88
【非特許文献5】David Loakes,Nucl.Acids Res.,29、2001年、p.2437−2447
【非特許文献6】Bergstrom et al,J.Amer.Chem.Soc.,117、1995年、p.1201−1209
【非特許文献7】Guo et al、Nat.Biotech.,15、1997年、p.331−335
【非特許文献8】Bowden et al、Thromb.Heamost.,80、1998年、p.32−36
【非特許文献9】Lin,PKTおよびBrown,DM,Nucl Acids Res.,20、1992年、p.5149−5152
【非特許文献10】McMinn et al,J.Amer.Chem.Soc.,121、1999年、p.11585−11586
【非特許文献11】Ogawa et al,J.Amer.Chem.Soc,122、2000年、p.3274−3287
【非特許文献12】Matsuda et al,J.Amer.Chem.Soc.,125、2003年、p.6134−6139
【非特許文献13】Kim et al,Biorg.Med.Chem.Let.,12、2002年、p.1977−1980
【非特許文献14】Henry et al,J.Amer.Chem.Soc.,125、2003年、p.9638−9646
【非特許文献15】SeelaおよびDebelak、Nudeosides,Nudeotides & Nucl. Acids,20、2001年、p.577−585
【非特許文献16】SeelaおよびDebelak、Nucl.Acids Res.,28、2000年、p.3224−3232
【非特許文献17】Seela et al,Helv.Chim.,Acta,69、1986年、p.1602−1613
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
それゆえに、第2のSNPのプローブ長の中に配置される目的の第1のSNPを識別可能なプライマー/プローブおよびこのようなプライマー/プローブを設計し用いるための方法が必要とされる。本発明は、この必要性および他の必要性を満たす。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の要旨)
本発明は、1つの局面では、少なくとも2つの一塩基多型を有する標的核酸配列のポリヌクレオチド増幅を連続的にモニタリングするための方法であって、第1の一塩基多型が識別され、第2の一塩基多型が識別されず、前記多型のそれぞれが前記標的核酸のプローブ領域に存在し、当該方法は、
(a)前記標的核酸を含むサンプルと前記標的配列の前記プローブ領域に隣接するかまたはそれと重複する1つ以上のオリゴヌクレオチドプライマー、重合する酵素、ヌクレオチド基質および下式:
【0013】
【化9】

【0014】
(式中、Mはマイナーグルーブバインダーであり;添字tは0または1であり;Qはクエンチャーであり;Wは連結基であり;Kは結合基または連結基であり;Flはフルオロフォアであり;かつ[A−B]はn単位を有する核酸オリゴマーを表し、nは5〜50の整数であり;それぞれのAは独立して、糖リン酸骨格、改変糖リン酸骨格、ロックト核酸骨格、ペプチド骨格または核酸調製において使用されるそれらの改変体からなる群より選択される核酸骨格成分を表し;かつそれぞれのBは独立して、核酸塩基、改変塩基または塩基アナログを表す)
を有するオリゴヌクレオチド結合体を混合して混合物を提供する工程であって、ここで、前記第2の一塩基多型に対して相補的な部位での塩基は普遍的または入り交ざった(無差別な)塩基であり、前記オリゴヌクレオチド部分は増幅される標的配列の一部分に対して配列相補性を有する工程;
(b)前記混合物を重合に有利な条件下でインキュベートする工程;および
(c)前記増幅された標的に対する結合体ハイブリダイゼーションの際に生成される蛍光をモニタリングすることによって前記増幅を連続的にモニタリングする工程と
を含む、方法を提供する。
【0015】
いくつかの実施形態では、上記プローブは下式を有する。
【0016】
【化10】

【0017】
〔式中、M、W、A、B、K、Fl、tおよびnは上に提供される意味を有し、ArおよびArは置換芳香環であり、典型的には置換ベンゼン環であり、置換基は、以下のアリール基について一般的に提供されるものから選択され、さらに、Arは、アリールアゾ基またはスチリル基で置換され、さらに拡張されたビスアゾ色素またはそれらのアナログを提供することができる。〕モノアゾおよびビスアゾ色素について好ましい置換基は以下に提供される。
【0018】
なおさらに好ましい実施形態では、本発明の方法は、下式を有するオリゴヌクレオチドプローブ/結合体を使用する。
【0019】
【化11】

【0020】
〔式中、Ar、Ar、W、K、Fl、A、Bおよび添字nは上に提供される意味を有し、記号R、R、R、R、RおよびRは、H、ハロゲン、(C〜C)アルキル、OR、N(R、N(R、SR、COR、CO、CON(R、(CHSO、(CHCO、(CHOPO−2およびNHC(O)(CHCOおよびそれらのエステルおよびそれらの塩から選択される置換基をあらわし、各Rは独立してHまたは(C〜C)アルキルであり、添字mは0〜6の整数である。記号RはHであるかまたはC、N、O、PおよびSから選択される1〜30個の原子を有し、環状、非環状またはそれらの組み合わせのいずれかであり、利用可能な価数を満たすさらなる水素原子を有する基(典型的には、固相合成で使用される連結基の痕跡部分)を表す〕。
【0021】
なおさらに好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドプローブ/結合体は下式を有する。
【0022】
【化12】

【0023】
〔式中、W、K、Fl、A、B、R〜Rおよび添字nは上に提供される意味を有し、記号R、RおよびRはHであるかまたは好ましくは電子吸引基(電子を吸引するとは、水素原子よりも電気陰性度が高い基を指し、例えば、ニトロ、シアノ、アセチルなどであり、R、RおよびRのうち1つは、拡張されたアリールアゾまたはスチリルアゾ部分をあらわすことができる)であり、記号RおよびRはHをあらわすかまたは好ましくは電子供与基(電子を供与するとは、水素原子よりも電気的に陽性な基を指し、例えば、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノなどである)である。〕ビスアゾ色素または拡張系(例えば、Rが−N=N−Arまたは−CH=CH−Ar)である実施形態について、末端芳香環(Ar)は置換されていないかまたは好ましくは電子吸引置換基で置換されており、ArおよびAr環は置換されていないかまたは好ましくは電子供与置換基で置換されている。特に好ましい実施形態では、Wは−(CHN(−)−(CH−であり;R=NOであり;R=Clであり;R=R=R=Hであり;Kは(C〜C)アルキレンリンカーである。1つの実施形態では、MおよびFlはそれぞれ独立して、プローブの5’末端または3’末端のいずれかに結合することができる。
【0024】
関連する方法は、以下の「詳細な記載」に提供され、オリゴヌクレオチドプローブ/結合体の使用のために、関連するアッセイの間にマスキングされるSNPの部位に入り交ざった塩基を有する。サンプル中で野生型、変異型および異種標的ポリヌクレオチドを識別する方法が記載され、この標的は、識別されるSNPと識別されないSNPとを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(発明の詳細な説明)
(定義および略語)
以下の略語が、明細書中で使用される:M=「マイナーグルーブバインダー」、MGBTMリガンドは、置換ジヒドロシクロピロロインドールトリアミド(DPI)であり;Fl=「蛍光ラベル」または「フルオロフォア」であり;Q=「クエンチャー」であり;CPG=「制御細孔ガラス」(固体支持体の一例として)であり;およびODN=「オリゴヌクレオチド」部分または分子である。
【0026】
特定の式において、基[A−B]は、複数の塩基(B)を有し、かつ複数の糖、改変糖またはアミノ酸(A)の骨格に沿って結合する、オリゴヌクレオチド、改変オリゴヌクレオチドまたはペプチド−核酸中のモノマー単位を指すために使用される。Bは、通常の塩基および改変塩基(適切な場合、普遍的な塩基または入り交ざった塩基を含む)を指す。
【0027】
用語「プローブ」および「結合体」は、相互交換可能に使用され、結合したマイナーグルーブバインダー、フルオロフォアおよびクエンチャーを有するオリゴヌクレオチドを指す。
【0028】
用語「普遍的な塩基(universal base)」は、それらの間がほとんど識別できない天然DNAまたはRNA塩基のそれぞれと「塩基対」を形成する塩基アナログを指す。
【0029】
用語「入り交ざった(無差別な)塩基(promiscuous(indiscriminative)base)」は、完全に相補性のマッチする塩基に加えて、それらの間がほとんど識別できないDNAまたはRNA中の2個以上の天然のミスマッチの塩基と2個の水素結合を形成する天然塩基または天然塩基アナログを指す。
【0030】
用語「蛍光ラベル」または「フルオロフォア」は、約400〜900nmに最大の蛍光発光を有する化合物を指す。これらの化合物としては(括弧中に最大発光(nm)を示す)、Cy2TM(506)、GFP(赤色にシフト)(507)、YO−PROTM−1(509)、YOYOTM−1(509)、Calcein(517)、FITC(518)、FluorXTM(519)、AlexaTM(520)、Rhodamine 110(520)、5−FAM(522)、Oregon GreenTM 500(522)、Oregon GreenTM 488(524)、RiboGreenTM(525)、Rhodamine GreenTM(527)、Rhodamine 123(529)、Magnesium GreenTM(531)、Calcium GreenTM(533)、TO−PROTM−1(533)、TOTO(R)−1(533)、JOE(548)、BODIPY(R)530/550(550)、Dil(565)、BODIPY(R)TMR(568)、BODIPY(R)558/568(568)、BODIPY(R)564/570(570)、Cy3TM(570)、AlexaTM546(570)、TRITC(572)、Magnesium Orange(575)、Phycoerythrin R&B(575)、Rhodamine Phalloidin(575)、Calcium Orange(576)、Pyronin Y(580)、Rhodamine B(580)、TAMRA(582)、Rhodamine RedTM(590)、Cy3.5TM(596)、ROX(608)、Calcium CrimsonTM(615)、AlexaTM594(615)、Texas Red(R)(615)、Nile Red(628)、YO−PROTM−3(631)、YOYOTM−3(631)、R−phycocyanin(642)、C−Phycocyanin(648)、TO−PROTM−3(660)、TOTO(R)−3(660)、DiD DilC(5)(665)、Cy5TM(670)、Thiadicarbocyanine(671)、Cy5.5(694)が挙げられる。
【0031】
用語「リンカー」は、分子の種々の部分を整列させるかまたは固体支持体に分子(またはそれらの部分)を共有結合するために使用される部分を指す。典型的には、リンカーまたは連結基は、本発明において記載され使用されるリガンドまたは結合体の成分中の官能基(例えば、フルオロフォア、オリゴヌクレオチド、マイナーグルーブバインダーまたはクエンチャー)と相互作用し、共有結合を形成するために使用される官能基を有する。連結基上の官能基(他の成分と相互作用する前)の例としては、−NH、−NHNH、−ONH、−NHC=(O)NHNH、−OHまたは−SHが挙げられる。連結基はさらに、結合体に対して他の基(例えば、ホスホラミダイト部分など)に接続する分子の一部分である。さらに、リンカーは、直鎖または非環状部分、環状部分、芳香族環またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0032】
用語「固体支持体」は、オリゴヌクレオチド合成と適合性の任意の支持体を指し、例えば、ガラス、制御細孔ガラス、重合性物質、ポリスチレン、ビーズ、コーティングされたガラスなどが挙げられる。
【0033】
用語「アルキル」は、接頭部に示される数の炭素原子を有する、直鎖、分枝または環状の飽和一価炭化水素基または環状および直鎖または分枝の飽和一価炭化水素基の組み合わせを指す。例えば、(C〜C)アルキルは、メチル、エチル、n−プロピル、2−プロピル、tert−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、シクロプロピルメチルなどを含むことを意味する。本願明細書中の定義のそれぞれ(例えば、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アラルキルオキシ)について、アルキル部分の主鎖の炭素原子の数を示すために接頭部が含まれない場合、基またはそれらの一部分は、8個以下の主鎖炭素原子を有する。「ヘテロアルキル」基(「ヘテロアルケニル」および「ヘテロアルキニル」基を含む)について、この用語は、1個または2個の炭素原子がO、N、NHまたはSによって交換されたアルキル基を含むことを意味し、この理解で、ヘテロ原子がアルキル鎖の内部の位置を占める(すなわち、分子の残りに対する結合点を形成せず、アルキル基の末端ではない)。結果として、ヘテロアルキル基は、少なくとも2個の炭素原子を存在させ、指定された炭素原子の数は炭素原子に対するもののみである。
【0034】
用語「アルキレン」は、接頭部に示される数の炭素原子を有する、直鎖の飽和二価炭化水素基または分枝飽和二価炭化水素基を意味する。例えば、(C〜C)アルキレンは、メチレン、エチレン、プロピレン、2−メチルプロピレン、ペンチレンなどを含むことを意味する。
【0035】
用語「アリール」は、置換されていないかまたは独立して以下に提供される基から選択される1〜4個の置換基、好ましくは1個、2個または3個の置換基で置換された、一価または二価(例えばアリーレン)の単環式または二環式の5〜10個の環原子を有する芳香族炭化水素基を意味する。用語「アリール」はさらに、芳香族性を保持しつつ1個以上のヘテロ原子およびヘテロ原子官能基が環炭素と交換された上述の基(例えば、ピリジル、キノリニル、キナゾリニル、チエニルなど)を含むことを意味する。より特定的には、アリールとの用語は、限定されないが、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、チエニルおよびベンゾチアゾリルおよびそれらの置換形態を含む。
【0036】
アリール基についての置換基はさまざまであり、芳香族環上で0個から空いた価数の全体数まで範囲において、以下から選択される:−ハロゲン、−OR’、−OC(O)R’、−NR’R”、−SR’、−R’、−CN、−NO、−COR’、−CONR’R”、−C(O)R’、−OC(O)NR’R”、−NR”C(O)R’、−NR”C(O)R’、−NR’−C(O)NR”R’”、−NH−C(NH)=NH、−NR’C(NH)=NH、−NH−C(NH)=NR’、−S(O)R’、−S(O)R’、−S(O)NR’R”、−N、−CH(Ph)、ペルフルオロ(C〜C)アルコキシおよびペルフルオロ(C〜C)アルキル;ここで、R’、R”およびR’”は、独立して、水素、(C〜C)アルキルおよびヘテロアルキル、非置換アリールおよびヘテロアリール、(非置換アリール)−(C〜C)アルキルおよび(非置換アリール)オキシ−(C〜C)アルキルから選択される。本発明のいくつかの実施形態では、アリール置換基は、示されるとおり、アリールアゾ基(−N=N−Ar)またはスチリル基(−CH=CH−Ar)である。
【0037】
アリールまたはヘテロアリール環の隣接原子上の置換基のうち2つは、式−T−C(O)−(CH−U−の置換基で場合により交換されてもよく、ここで、TおよびUは独立して−NH−、−O−、−CH−または単結合であり、qは0〜2の整数である。あるいは、アリールまたはヘテロアリール環の隣接原子上の置換基のうち2つは、式−A−(CH−B−の置換基で場合により交換されてもよく、ここで、AおよびBは独立して−CH−、−O−、−NH−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−S(O)NR’−または単結合であり、rは1〜3の整数である。そのようにして形成された新しい環の単結合のうち1つは、二重結合で場合により交換されてもよい。あるいは、アリールまたはヘテロアリール環の隣接原子上の置換基のうち2つは、式−(CH−X−(CHの置換基で場合により交換されてもよく、ここで、sおよびtは独立して0〜3の整数であり、Xは−O−、−NR’−、−S−、−S(O)−、−S(O)−または−S(O)NR’−である。−NR’−および−S(O)NR’−中の置換基R’は、水素または非置換(C〜C)アルキルから選択される。なおさらに、アリール環(以下のArおよびAr)のうち1つは、芳香族系の共鳴能力を拡張するために、直接的にまたは例えば−(CR’=CR’)−および−(C≡C)−(ここでnは0〜5である)のような基を介して間接的に別の置換アリール基でさらに置換されることができ、波長吸収の最大値が増加する。
【0038】
添字「ハロ」および用語「ハロゲン」は、置換基を記載するために使用される場合、−F、―Cl、―Brおよび−Iを指す。
【0039】
本発明の特定の化合物またはオリゴヌクレオチドは、塩形態で存在してもよい。このような塩としては、塩基付加塩、例えば、ナトリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミノまたはマグネシウムの塩または同様の塩が挙げられる。本発明の化合物または改変オリゴヌクレオチドは、比較的塩基性の官能基を含有し、酸付加塩は、ニートまたは適切な不活性溶媒中のいずれかで、このような化合物の中性形態と十分な量の所望の酸とを接触させることによって得ることができる。受容可能な酸付加塩の例としては、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、炭酸一水素塩、リン酸、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、硫酸、硫酸一水素塩、ヨウ化水素酸またはホスホン酸などから誘導される塩および有機酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、イソブチル酸、マレイン酸、マロン酸、乳酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸などから誘導される塩が挙げられる。さらに、アミノ酸の塩(例えばアルギネートなど)および有機酸(例えば、グルクロン酸またはガラクツロン酸など)の塩も挙げられる(例えば、Berge,S.M.,et al,「Pharmaceutical Salts」,Journal of Pharmaceutical Science,1977,66,1−19を参照)。本発明の特定の化合物は、化合物が塩基付加塩または酸付加塩のいずれかに変換され得る塩基性官能基および酸性官能基の両方を含む。
【0040】
上記化合物の中性形態は、上記の塩と塩基または酸とを接触させ、親化合物を従来の様式で単離することによって再生してもよい。上記化合物の親形態は、特定の物理的性質、例えば極性溶媒中の溶解度において種々の塩とは異なるが、それ以外では、上記塩は本発明の目的のための親化合物と等価である。
【0041】
本発明の特定の化合物は、非溶媒化形態および溶媒化形態(水和形態を含む)で存在することができる。概して、溶媒化形態は、非溶媒化形態と等価であり、本発明の範囲内に包含されることが意図される。本発明の特定の化合物は、複数の結晶またはアモルファス形態で存在してもよい。概して、全ての物理的形態は、本発明によって考察される用途のために等価であり、本発明の範囲内であることが意図される。本発明の特定の化合物は、不斉炭素原子(光学中心)または二重結合を保有し;ラセミ体、ジアステレオマー、幾何異性体および個々の異性体はすべて、本発明の範囲内に包含されることが意図される。立体化学の決定および異性体の分離のための方法は、当該技術分野で周知である(“Advanced Organic Chemistry”、4th edition J. March,John Wiley and Sons,New York,1992のChapter 4の議論を参照)。
【0042】
本発明の化合物はさらに、このような化合物を構成する1つ以上の原子に非天然の比率で原子同位体を含有してもよい。例えば、上記化合物は、放射性同位体、例えば、トリチウム(H)、ヨウ素−125(125I)または炭素−14(14C)で放射能標識されてもよい。本発明の化合物のすべての同位体改変体は、放射性であってもそうでなくても(例えば、H)本発明の範囲内に包含されることが意図される。
【0043】
「保護基」または「それらの保護形態」は、分子マスク中で反応性基に結合する場合、その反応性を減らすか妨害する原子のグループを指す。保護基の例は、T.W. Greene and P.O. Futs,Protective Groups in Organic Chemistry,(Wiley,2nd ed.1991)およびHarrison and Harrison et al,Compendium of Synthetic Organic Methods,Vols.1−8(John Wiley and Sons.1971−1996)中に見出すことができる。代表的なアミノ保護基としては、ホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル(CBZ)、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、トリメチルシリル(TMS)、2−トリメチルシリル−エタンスルホニル(SES)、トリチルおよび置換トリチル基、アロイルオキシカルボニル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)、ニトロ−ベラトリルオキシカルボニル(NVOC)などが挙げられる。代表的なヒドロキシ基としては、ヒドロキシ基がアシル化またはアルキル化されたもの、例えば、ベンジルおよびトリチルエーテルおよびアルキルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテル、トリアルキルシリルエーテルおよびアリルエーテルが挙げられる。概して、好ましい保護基は、酸性条件または塩基性条件下で除去可能なものであるかまたは特定の光源を用いることによって除去可能な基(例えば、「光感受性保護基」)である。さらに、適切な保護基の選択は、保護基の組み込みまたは除去は、分子の残りの部分に干渉しないか、さもなければ顕著な影響を与えないように、分子中の他の官能基を考慮してなされる。
【0044】
上述の定義中の「場合により(optional)」または「場合により(optionally)」は、続けて記載される事象または状況が起こることが必須ではなく、その記載がその事象または状況が起こる場合および起こらない場合を含むことを意味する。例えば、「場合によりアルキル基で一置換または二置換されたアリール」は、アルキル基が、必須ではないが、存在してもよいことを意味し、この記載が、アリール基がアルキル基で一置換または二置換される状況およびアリール基がアルキル基で置換されていない状況を含むことを意味する。
【0045】
本発明の実施は、他に言及されない限り、有機化学、生化学、オリゴヌクレオチド合成および改変、生体接合化学、核酸ハイブリダイゼーション、分子生物学、微生物学、遺伝子学、組換えDNAおよび当該技術分野の常識の範囲内の関連分野を使用する。これらの技術は、文献中に完全に説明される。例えば、Sambrook,Fritsch & Maniatis,MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL,Third Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press (2001);Ausubel,et al,CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,John Wiley & Sons(1987,1988,1989,1990,1991,1992,1993,1994,1995,1996);Ausubel,et al,SHORT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,5th Edition,Current Protocols(2002);Gait(ed.),OLIGONUCLEOTIDE SYNTHESIS:A PRACTICAL APPROACH,IRL Press(1984);Eckstein(ed.),OLIGONUCLEOTIDES AND ANALOGUES:A PRACTICAL APPROACH,IRL Press(1991)を参照。
【0046】
用語「EclipseTMプローブ」は、概して、5’−MGB−Q−ODN−Flプローブを指す。対照的に、「TaqMan(R) MGBプローブは、3’−MGB−Q−ODN−Flプローブを指す。EclipseTMおよびMGBTMは、Epoch Biosciences,Inc.,Bothell,WAの商標であり;TaqMan(R)は、Applied Biosystems,Inc.,Foster City,CAの登録商標である。
【0047】
(一般論)
本発明は、多型のある位置で塩基が置換される場合、A、C、GまたはTヌクレオチドと対になるための類似の安定性を有する、プローブまたはプライマー中で普遍的または入り交ざった塩基を同定し、使用する。第2の多型のある位置にあるプローブ中の塩基の普遍的な塩基を用いた置換(例えば、遺伝子型を特定されることが意図されない)は、A、C、GまたはT置換の独立したハイブリダイゼーション特性を与える。プローブ中の普遍的な塩基は、本質的に、第2の多型を「目につかない」状態にし、目的の第1の多型の特定の同定を可能にし、標準的な遺伝子型特定ハイブリダイゼーションに基づく方法の使用を可能にする。
【0048】
本発明はさらに、多型のある位置において塩基で置換される場合、完全にマッチして形成されるものを除く特徴を有し、プローブまたはプライマー中で入り交ざった(無差別な)塩基、天然または天然の塩基アナログを同定し、使用する:
(a)ミスマッチの天然A、C、GまたはTヌクレオチドのいずれかのうち、少なくとも2つ以上と2個の水素結合を形成し、
(b)ミスマッチの天然A、C、GまたはTヌクレオチドのいずれかのうち2つ以上と対になるための類似の熱力学的性質を有し、最近接物の構造に組み込まれる(−B−N−B−;ここで、BおよびBは、独立してG、C、AまたはTである)
(c)第2の多型のある位置でプローブ中に生じる塩基の入り交ざった(無差別な)塩基を用いた置換(例えば、遺伝子型特定されることが意図されない)は、A、C、GまたはT置換の少なくとも2つの独立した塩基対の熱力学的性質を与える。
【0049】
(実施形態の記載)
(プローブおよび結合体)
本発明の方法は、以下の(a)、(b)を含むオリゴヌクレオチドプローブ(またはオリゴヌクレオチド結合体、以下「プローブ/結合体」、「プローブ」または「結合体」と称する)を使用する。
【0050】
(a)プローブ配列長の中で(典型的には野生型、変異型および異種標的ポリヌクレオチド)および少なくとも1つのさらなる一塩基多型を識別するための、目的の第1の一塩基多型を含む標的核酸配列に相補的な核酸配列、
(b)1つ以上のさらなる一塩基多型のそれぞれに対して相補的に対になるために配置される1つ以上の普遍的または入り交ざった(無差別な)塩基、ここで、上記プローブは、第1の一塩基多型を識別するために使用される。
【0051】
広範囲に、本方法は、M−Q−[A−B]−K−Flプローブまたは結合体としてほぼ一般的に記述されるオリゴヌクレオチドプローブ(またはオリゴヌクレオチド結合体、以下「プローブ/結合体」、「プローブ」または「結合体」と称する)を提供する。上に記載されるように、このプローブの線形の記載は、マイナーグルーブバインダーおよびクエンチャーまたは消光剤がオリゴヌクレオチド部分の3’末端または5’末端のいずれかに結合し、フルオロフォアがオリゴヌクレオチド部分の他の末端に結合することを意味する。これらの共有結合した部分のいずれかについて、接続は、直接または連結基を介してのいずれかであることができる。いくつかの実施形態では、連結基(式I中のWおよびK)は、インタラクティブ部分(例えば、フルオロフォアおよびクエンチャー)または反応性部分(例えば、標的配列に対するプローブハイブリダイゼーションによって形成されるマイナーグルーブ中で非共有結合的に結合することを意味するマイナーグルーブバインダー)の間を十分に空けることが好ましい。
【0052】
それゆえに、実施形態の1つのグループでは、プローブまたは結合体は下式を有する:
【0053】
【化13】

【0054】
〔式中、Mはマイナーグルーブバインダーであり、Qは約400〜800nmの吸収スペクトルを有するクエンチャーであり、Wは連結基であり、Kは結合基または連結基であり、Flは約400〜800nmの発光を有するフルオロフォアであり、[A−B]は核酸オリゴマー中のモノマー単位(例えば、DNA、RNA、PNAまたはそれらのいずれかの組み合わせ、改変塩基および糖を有するものを含む)をあらわし、ここで、Aは糖リン酸骨格、改変糖リン酸骨格、ロックト核酸骨格、ペプチド骨格または核酸調製において使用されるそれらの改変体からなる群より選択される核酸骨格成分を表し;Bは以下に詳細に記載されるような核酸塩基、改変塩基または塩基アナログを表す。]少なくとも1つのBは、プローブによってマスクされる(または目につかなくされる)ことが意図される一塩基多型の部位で置換された普遍的または入り交ざった(無差別な)塩基で交換される。さらに特定的には、プローブのオリゴヌクレオチド部分は、目的の標的上の非SNP部位に対して相補的な天然塩基または改変塩基の組み合わせを有するように設計される、複数のSNPを含む標的のSNP部位で少なくとも1つの普遍的または入り交ざった(無差別な)塩基は、遺伝子型特定のために「マスクされない」標的の1つのSNPに残る。添字tは0〜1の整数であり、添字nは5〜50の整数である。
【0055】
さらに特定的には、Kが連結基である場合、一般的にC、O、N、S、PおよびSiから選択される1〜30個の主鎖原子(いずれかのペンダント原子または基を含まないが、全ての環原子を含む、連続した線に結合するオリゴヌクレオチド部分とFl成分との間の原子のみを数える)を有する。連結基Wは、一般的に、C、O、N、S、PおよびSiから選択される、約100個までの主鎖原子を有する三価のリンカーをあらわす。さらに、Wは、分枝の脂肪族鎖、ヘテロアルキル鎖、1つ以上の置換された環構造またはそれらの組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態では、Wは、三価部分、例えば、ペンダントの官能基化連結基を有するかまたは有さないアミノ基をあらわし、Q−Wは、例えば、商業的な供給源(以下のクエンチャーの表3を参照)由来のクエンチャーを表す。それゆえに、Wが連結基として提供される場合、いくつかの実施形態では、これは、Qの一部分とみなされ得るアミノ基である。連結基のそれぞれおよび他の成分は、以下にさらに詳細に議論される。
【0056】
いくつかの実施形態では、本発明において使用されるオリゴヌクレオチドプローブは下式を有する:
【0057】
【化14】

【0058】
〔式中、M、W、A、B、K、Fl、tおよびnは上に提供される意味を有し、ArおよびArは置換された芳香族環、典型的には置換されたベンゼン環である〕概して、Arは、置換されていないかまたは電子供与基である基(例えば、水素と比較して電気的に陽性を有する基、例えば、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノなど)で置換される。同様に、Arは、好ましくは、置換されていないか、1個、2個または3個の電子吸引基(例えば、ニトロ、シアノ、ハロゲン、アシルなど)で置換されている。いくつかの実施形態では、Arは、式−U=U−Arを有する基で置換され、ここで、Arは、アリールまたはヘテロアリール部分であり、好ましくは、0〜3個の電子吸引基を置換基として有するベンゼン環であり、各UはNまたはCHである。後者のグループの実施形態では、Arが電子吸引基で置換されている場合、ArおよびArのそれぞれは、独立して、置換されていないかまたは電子供与基で置換されている。
【0059】
式IIの他の好ましい実施形態では、記号Arは、1個以上の電子供与基(例えば、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノなど)で置換されたアリール基(好ましくはベンゼン環)を表し、Arは、1個以上の電子吸引基、例えば、ニトロ、シアノ、カルボキシ、スルホニル、ハロゲンなどで置換されたアリール基(例えばベンゼン環)を表す。
【0060】
なお他の好ましい実施形態では、Arは、式−U=U−Arを有する基で置換され、ここで、各Uは、独立して、CH、C(R)およびNから選択され、Rは、(C〜C)アルキル基であり、Arは、置換または非置換アリール基である。Ar、ArおよびArのそれぞれについての好ましいアリール基はフェニル基である。この基の好ましい実施形態の中で、ArおよびArは、好ましくは、置換されていないかまたは好ましくは電子供与基(水素原子に対して)で置換されたフェニレンであり、一方、Arは、フェニル、好ましくは、置換されていないかまたは電子吸引基(水素原子に対して)で置換されたフェニルである。
【0061】
なおさらに好ましい実施形態では、本発明の方法は、下式を有するオリゴヌクレオチドプローブ/結合体を使用する:
【0062】
【化15】

【0063】
〔式中、Ar、Ar、W、K、Fl、A、Bおよび添字nは上に提供される意味を有し、ここで、記号R、R、R、R、RおよびRは、H、ハロゲン、(C〜C)アルキル、OR、N(R、N(R、SR、COR、CO、CON(R、(CHSO、(CHCO、(CHOPO−2およびNHC(O)(CHCOおよびそれらのエステルおよび塩から選択される置換基をあらわし、各Rは独立して、Hまたは(C〜C)アルキルであり、添字mは0〜6の整数である。記号Rは、Hまたは環状、非環状またはそれらの組み合わせのいずれかであり、利用可能な価数を満たすようにさらなる水素原子を有する、C、N、O、PおよびSから選択される1〜30個の原子を有する基(典型的には、固相合成において使用される連結基の痕跡部分)を表す]。
【0064】
なおさらに好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドプローブ/結合体は下式を有する:
【0065】
【化16】

【0066】
(式中、W、K、Fl、A、Bおよび添字nは上に提供される意味を有し、記号R、RおよびRはHであるかまたは電子吸引基(電子を吸引するとは、水素原子よりも電気陰性度が高い基を指し、例えば、ニトロ、シアノ、アセチルなどである)であり、記号RおよびRはHを表すかまたは電子供与基(電子を供与するとは、水素原子よりも電気的に陽性な基を指し、例えば、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノなどである)である。)特に好ましい実施形態では、Wは−(CHN(−)−(CH−であり;R=NOであり;R=Clであり;R=R=R=Hであり;およびKは(C〜C)アルキレンリンカーである。1つの実施形態では、MおよびFlはそれぞれ独立して、プローブの5’−末端または3’−末端のいずれかに結合することができる。
【0067】
式I、II、IIIaおよびIIIbおよびIVのそれぞれについての特定の実施形態では、リンカーKは、プローブ/結合体について特定の蛍光向上を提供するために選択され、プローブのオリゴヌクレオチド部分の長さに依存する。従って、18以上のヌクレオチドを有するプローブ(改変ヌクレオチドまたはアナログを含む)について、Kは、結合または約20原子長までの連結基であることができる。さらに特定的には、Kは、ポリアルキレングリコールリンカーまたはリボースまたはデオキシリボースリンカーである(以下にさらに詳細に議論される)。特に好ましい実施形態では、Kは、ポリアルキレングリコールリンカー、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリブチレングリコールリンカーである。最も好ましいのは、商業的な供給源から得ることができるポリエチレングリコールおよび官能化ポリエチレングリコールリンカーである。
【0068】
他の好ましいプローブまたは結合体は、式I、II、IIIaおよびIIIbおよびIVのそれぞれにおけるものであり、ここで、ODN部分は、3つ以上の保存的グアニン塩基を有するように選択され、このグアニン塩基の少なくとも1つが、改変塩基、好ましくはPPGと交換される。他の実施形態では、ODN部分は、RNA、キメラ、PNAまたはロックト核酸である。
【0069】
なお他の好ましいプローブまたは結合体は、式I、II、IIIaおよびIIIbおよびIVのそれぞれにおけるものであり、ここで、ODN部分は、目的の多型および20塩基以内の少なくとも1つのさらなる多型を有する標的配列に対して相補的であるように選択され、ここで、さらなる多型に関与するさらなる塩基は、普遍的または入り交ざった(無差別な)塩基で置換される。なおさらに好ましくは、ODN部分は、RNA、キメラ、PNAまたはロックト核酸である。
【0070】
なお他の好ましいプローブまたは結合体は、式I、II、IIIaおよびIIIbおよびIVのそれぞれにおけるものであり、ここで、ODN部分は、30%以上のAおよびT塩基を有する標的配列に対して相補的であるように選択され、ここで、ODNは、少なくとも約3℃の二本鎖(プローブ/標的ハイブリッド)の安定性を増加させるのに十分な少なくとも1つの改変塩基および目的の多型および20塩基以内の少なくとも1つのさらなる多型を含有し、ここで、さらなる多型に関与するさらなる塩基は、普遍的または入り交ざった(無差別な)塩基で置換される。より好ましくは、ODN部分は、50%以上のAおよびT塩基を有する標的配列に対して相補的であるように選択され、ここで、ODNは、少なくとも約5℃の二本鎖(プローブ/標的ハイブリッド)の安定性を増加させるのに十分な少なくとも1つの改変塩基を含む。なおさらに好ましくは、ODN部分は、RNA、キメラ、PNAまたはロックト核酸である。
【0071】
本発明のプローブおよび結合体は、一般的には、当業者に既知の固相法を用いて調製される。アセンブリは、例えば、ODNモノマー、フルオロフォア、クエンチャーおよびマイナーグルーブバインダーをカップリングするための適切なホスホラミダイト試薬を用いて、5’→3’方向または3’→5’方向のいずれかで行うことができる。アセンブリのための他の方法としては、例えば、エステル結合、アミド結合、ジスルフィド結合、エーテル結合、チオエーテル結合などを調製するための周知の官能基縮合が挙げられる。概して、出発物質は市販であるかまたは例えば、March,et al,ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY−Reactions,Mechanisms and Structures,4th ed.,John Wiley & Sons,New York,NY,(1992)に記載されるような適切な官能基操作を用いて市販の出発物質から直接的な様式で調製することができる。
【0072】
本発明のプローブ/結合体についてのさらなる一般的な条件に戻り、以下の議論は、本発明において使用可能なオリゴヌクレオチド、普遍的な塩基、入り交ざった(無差別な)塩基、改変塩基、消光剤またはクエンチャー、マイナーグルーブバインダー、フルオロフォアおよび連結基の種類を説明する。
【0073】
(オリゴヌクレオチドおよび改変オリゴヌクレオチド)
オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチドおよび核酸との用語は、改変または非天然に生じるヌクレオチドを含むポリマーを含むDNAまたはRNA(またはその両方)の一本鎖または二本鎖ポリマーを指すためにまたは限定されないが、Nielsen et al.Science 254:1497−1500(1991);bicyclo DNA oligomers(Bolli et al.,Nucleic Acids Res. 24:4660−4667(1996))によって開示されるペプチド核酸および関連する構造を含むDNAまたはRNAに対して安定な塩基対を形成可能な任意の他の種類のポリマーを指すために相互変換可能に使用される。本発明の結合体について、場合により、マイナーグルーブバインダー部分および/または消光剤は、オリゴマーの5’または3’末端に結合し、フルオロフォアまたは蛍光ラベルは、このオリゴマーの非置換末端または内部部分に結合する。
【0074】
本発明において好ましいのは、一本鎖であり、5〜50ヌクレオチド、さらに好ましくは30ヌクレオチド以下、最も好ましくは20ヌクレオチド以下(最も低い制限は約5ヌクレオチド)の長さを有するDNAオリゴヌクレオチドである。
【0075】
重要なことに、本発明のオリゴヌクレオチドプローブは、マスクされるかまたは「目につかなく」される普遍的または入り交ざった塩基をSNP部位に含有し、プローブは、プローブによってマスクされない第1の多型の存在を同定することができる。
【0076】
(普遍的塩基および変性塩基)
場合によりマイナーグルーブバインダーを有するフルオロフォア/クエンチャー対を含むオリゴヌクレオチド結合体は、少なくとも1つの普遍的な塩基を含有し、天然に生じる塩基アデニン、シトシン、グアニン、チミンおよびウラシルに加えて、1つ以上の改変塩基を含んでもよい。
【0077】
本発明において使用するための最も好ましい普遍的な塩基としては、ポリマー骨格上の2位に共有結合した非置換および置換ピラゾロピリミジン、より特定的には、グアニンアナログ6−アミノ−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4(5H)−オン(40)、アデニンアナログ4−アミノ−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(38)および2H−イソキノリン−1−オン(25)、6−メチル−2−イソキノリン−1−オン(41)および8−メチル−2−イソキノリン−1−オン(42)が挙げられる。塩基アナログは、オリゴヌクレオチド中に存在する場合、ミスマッチ識別および特定の遺伝子型特定を改良する。天然に存在する塩基、改変塩基および塩基アナログの全ての互変異性体形態は、本発明のオリゴヌクレオチド結合体中に含まれてもよい。本発明において有用な他の普遍的な塩基としては、表1に列挙される化合物が挙げられる。
【0078】
(表1)
【0079】
【表1−1】

【0080】
【表1−2】

【0081】
【表1−3】

【0082】
(入り交ざった(無差別な)塩基)
本発明において使用するための最も好ましい入り交ざった(無差別な)塩基としては、ポリマー骨格上の1位に共有結合した非置換および置換ピラゾロピリミジン、より特定的には、グアニンアナログ6−アミノ−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4(5H)−オン(49)、置換6−アミノ−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4(5H)−オンアナログ、1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6−ジアミン(50)および置換1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6−ジアミンアナログが挙げられる。本発明において有用な他の入り交ざった(無差別な)塩基としては、表2に列挙される化合物が挙げられる。
【0083】
(表2)
【0084】
【表2】

【0085】
別の実施形態では、上記構造に基づく普遍的および入り交ざった(無差別な)塩基が考察される。1つ以上の置換基は、環構造のそれぞれの中に導入されてもよく、置換基としては、(C〜C12)アルキル、(C〜C12)アルケニル、(C〜C12)アルキニル、(C〜C12)ヘテロアルキル、(C〜C12)ヘテロアルケニル、(C〜C12)ヘテロアルキニル、−O−(C〜C12)アルキル、−O−(C〜C12)アルケニル、−O−(C〜C12)アルキニル、−S−(C〜C12)アルキル、−S−(C〜C12)アルケニル、−S−(C〜C12)アルキニル、ヘテロシクリル(C〜C12)アルキル、ヘテロシクリル(C〜C12)アルケニル、ヘテロシクリル(C〜C12)アルキニル、アリール(C〜C12)アルキル、アリール(C〜C12)アルケニル、アリール(C〜C12)アルキニル、アリール、ヘテロシクリル、ハロゲン、−CNおよび−CONHが挙げられ得、さらに、脂肪族部分(例えば、アルキル、アルケニルおよびアルキニル部分)が、1つまたは2つのヒドロキシ、アミノまたはハロゲン原子でさらに置換された置換基が挙げられる。普遍的な塩基は、当該技術分野で既知の方法によって合成することができる(Loakes,Nucl.Acids Res.,29:2437−2447(2001);Wu et al,J.Am.Chem.Soc.,22:7621−7632(2000)およびSeela et al,Nucl.Acids Res.,28:3224−3232(2001)。入り交ざった(無差別な)塩基は、既知の方法によって合成することができる(国際公開番号01/64958;国際公開番号03/022859;および欧州特許第0624161号を参照)。
【0086】
好ましい実施形態の1つのグループでは、ピラゾロピリミジンの入り交ざった(無差別な)塩基は、下式を有する
【0087】
【化17】

【0088】
〔式中、RおよびRはOHおよびNHからなる群より独立して選択され、RおよびRのうち少なくとも1つはNHであり;Rは、H、(C〜C12)アルキル、(C〜C12)アルケニル、(C〜C12)アルキニル、(C〜C12)ヘテロアルキル、(C〜C12)ヘテロアルケニル、(C〜C12)ヘテロアルキニル、−O−(C〜C12)アルキル、−O−(C〜C12)アルケニル、−O−(C〜C12)アルキニル、−S−(C〜C12)アルキル、−S−(C〜C12)アルケニル、−S−(C〜C12)アルキニル、ヘテロシクリル(C〜C12)アルキル、ヘテロシクリル(C〜C12)アルケニル、ヘテロシクリル(C〜C12)アルキニル、アリール(C〜C12)アルキル、アリール(C〜C12)アルケニル、アリール(C〜C12)アルキニル、アリール、ヘテロシクリル、ハロゲン、−CNおよび−CONHからなる群より選択されるメンバーであり、ここで、Rの脂肪族部分が、1つまたは2つのヒドロキシ、アミノまたはハロゲン基でさらに置換され;波線は前記プローブの残りの部分に対する結合点を示す〕
実施形態の別のグループでは、49および50の塩基性環構造の炭素原子の1つ以上がNによって置換されている。これらの化合物の合成は、当該技術分野において開示されている(例えば、Sugiyama et al,Chem.Europ.J.,6:369−378(2000);およびHutzenlaub,et al.,J.Med.Chem.,15:879−883(1972)を参照)。
【0089】
(改変塩基)
改変塩基は、1つ以上の官能基の付加または欠失、へテロ環構造中の違い(すなわち、特に、炭素をヘテロ原子で置換)および/または1つ以上のリンカーアーム構造の塩基への結合によって天然に生じる塩基とは異なるものであると考えられる。好ましい改変ヌクレオチドは、ピリミジン構造またはプリン構造に基づくものであり、後者でさらに好ましいのは、7−デアザプリンおよびそれらの誘導体およびピラゾロピリミジンである(PCT国際公開番号90/14353および米国特許第6,127,121号に記載(これらの両方は、本願明細書中に参考として援用される))。
【0090】
種々の改変塩基は、本発明において正常塩基と交換するために使用することができる。改変塩基の利点は他の部分に記載されている。重要なことに、改変塩基は、SNP部位ではない位置で使用することができる。しかし、改変塩基の完全なリストは、普遍的または入り交ざった塩基としても特徴付けられるいくつかの塩基を含む。従って、本発明は、プローブが普遍的な塩基または入り交ざった塩基をSNP部位に有し、マスクされるか目につかなくされるが、プローブ中の他の部位に改変塩基を任意に有してもよいことを提供する。本発明において使用するための最も好ましい改変塩基としては、グアニンアナログ6−アミノ−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4(5H)−オン(ppGまたはPPG、またSuper G)、アデニンアナログ4−アミノ−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(ppAまたはPPA)および3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ジピリミジン−5,7−ジアミン((NHPPA)が挙げられる。キサンチンアナログ1H−ピラゾロ[5,4−d]ピリミジン−4(5H)−6(7H)−ジオン(ppX)も使用することができる。これらの塩基アナログは、オリゴヌクレオチド中に存在する場合、ハイブリダイゼーションを強め、ミスマッチ識別を向上する。天然に存在する塩基、改変塩基および塩基アナログのすべての互変異性体は、本発明のオリゴヌクレオチド結合体に含まれ得る。本発明において有用な他の改変塩基としては、6−アミノ−3−プロパ−1−イニル−5−ヒドロピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オン、PPPG;6−アミノ−3−(3−ヒドロキシプロパ−1−イニル−5−ヒドロピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オン、HOPPPG;6−アミノ−3−(3−アミノプロパ−1−イニル)−5−ヒドロピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オン、NHPPPG;4−アミノ−3−(プロパ−1−イニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン、PPPA;4−アミノ−3−(3−ヒドロキシプロパ−1−イニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン、HOPPPA;4−アミノ−3−(3−アミノプロパ−1−イニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン、NHPPPA;3−プロパ−1−イニルピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6−ジアミノ、(NHPPPA;2−(4,6−ジアミノピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−3−イル)エチン−1−オール、(NHPPPAOH;3−(2−アミノエチニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6−ジアミン、(NHPPPANH;5−プロパ−1−イニル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン、PU;5−(3−ヒドロキシプロパ−1−イニル)−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン、HOPU;6−アミノ−5−プロパ−1−イニル−3−ジヒドロピリミジン−2−オン、PC;6−アミノ−5−(3−ヒドロキシプロパ−1−イニル)−1,3−ジヒドロピリミジン−2−オン、HOPC;および6−アミノ−5−(3−アミノプロパ−1−イニル)−1,3−ジヒドロピリミジン−2−オン、NHPC;5−[4−アミノ−3−(3−メトキシプロパ−1−イニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジニル]−2−(ヒドロキシメチル)オキソラン−3−オール、CHOPPPA;6−アミノ−1−[4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン−2−イル]−3−(3−メトキシプロパ−1−イニル)−5−ヒドロピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オン、CHOPPPG;4−(4,6−ジアミノ−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−3−イル)−ブタ−3−イル−1−オール、Super A;6−アミノ−3−(4−ヒドロキシ−ブタ−1−イニル)−1,5−ジヒドロ−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オン;5−(4−ヒドロキシ−ブタ−1−イニル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオン、Super T;3−ヨード−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6−ジアミン((NHPPAI);3−ブロモ−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6−ジアミン((NHPPABr);3−クロロ−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6−ジアミン((NHPPACl);3−ヨード−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミン(PPAI);3−ブロモ−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミン(PPABr);および3−クロロ−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミン(PPACl)が挙げられる。
【0091】
上述の改変塩基に加えて、オリゴヌクレオチドは、糖またはグリコシド部分の骨格、好ましくは、2−デオキシリボフラノシドを有することができ、全てのヌクレオチド間結合は天然に生じるホスホジエステル結合である。しかし、代替の実施形態では、2−デオキシ−β−D−リボフラノース基は、他の糖、例えば、β−D−リボフラノースで交換される。それに加えて、β−D−リボフラノースが存在してもよく、ここで、リボース部分の2−OHは、C1〜6アルキル基でアルキル化される(2−(O−C1〜6アルキル)リボース)かまたはC2〜6アルケニル基でアルケニル化される(2−(O−C2〜6アルケニル)リボース)か、フルオロ基によって交換される(2−フルオロリボース)。本発明において有用なオリゴマー形成糖は、「ロックされて」おり、すなわち、C−4’とC−2’の酸素原子との間にメチレン架橋を含む。オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションと適合性の他の糖部分もさらに使用可能であり、当業者に既知であり、限定されないが、α−D−アラビノフラノシド、α−2’−デオキシリボフラノシドまたは2’,3’−ジデオキシ−3’−アミノリボフラノシドが挙げられる。α−D−アラビノフラノシドと含むオリゴヌクレオチドは、米国特許第5,177,196号に記載され、この内容は本願明細書中に参考として援用される。2’,3’−ジデオキシ−3’−アミノリボフラノシドを含むオリゴヌクレオチドは、Chen et al. Nucleic Acids Res.23:2661−2668(1995)に記載される。ロックト核酸のための合成手順(Singh et al, Chem.Comrn.,455−456(1998);Wengel J,Acc.Chem.Res.,32:301−310(1998))および2’−ハロゲン−2’−デオキシリボフラノシドを含むオリゴヌクレオチドのための合成手順(Palissa et al,Z.Chem.27:216(1987))もまた記載されている。本願明細書中に記載される改変オリゴヌクレオチドのホスフェート骨格はさらに、オリゴヌクレオチドがホスホロチオエート結合および/またはメチルホスホネートおよび/またはホスホロアミデートを含むように改変するもできる(Chen et al,Nucl.Acids Res.,23:2662−2668(1995))。オリゴヌクレオチドの組み合わせはさらに、本発明の範囲内である。なお他の骨格改変は、当業者に既知である。
【0092】
実施形態の1つのグループでは、ピラゾロピリミジンは、ポリマー骨格に対して通常3−位の代わりに2−位から置換される(化合物38〜40)。
【0093】
実施形態の別のグループでは、本願明細書中に記載される改変塩基は、Tを調整するためにPNAおよびDNA/PNAに組み込まれ、改良されたミスマッチ識別を有する改変オリゴヌクレオチドを提供する。DNAおよびDNAアナログの種々の改変形態は、プローブおよびプライマーとしてDNA分子の使用の欠点のうちいくつかを克服する企てにおいて使用されている。これらの中で、ペプチド核酸(PNA、ポリアミド核酸としても知られる)がある。Nielsen et al.Science 254:1497−1500(1991)。PNAは、DNAおよびRNAに特徴的な糖−リン酸骨格の変わりにポリアミド骨格によって結合する、DNAおよびRNA中に見出されるようなヘテロ環塩基単位を含む。PNAは、相補的なDNAおよびRNA標的配列に対してハイブリダイゼーション可能であり、実際に、対応する核酸プローブよりも強力にハイブリダイズする。PNAオリゴマーおよびPNAオリゴマーの合成において使用される反応性モノマーの合成は、米国特許第5,539,082号;同第5,714,331号;同第5,773,571号;同第5,736,336号および同第5,766,855号に記載されており、これらそれぞれは、本願明細書中に参考として援用される。PNAおよびDNA/PNAキメラ合成およびPNA合成のためのモノマーに対する代替的なアプローチがまとめられている。Uhlmann et al.Angew.Chem.Int.Ed.37:2796−2823(1998)。従って、DNA、PNAまたはDNA/PNAキメラのTを調整するための、正常な塩基、非置換ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン塩基(例えば、PPGおよびPPA)、3−置換ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン、改変プリン、改変ピリミジン、5−置換ピリミジン、普遍的および入り交ざった(無差別な)塩基、糖改変物、骨格改変物またはマイナーグルーブバインダーのいずれかの組み合わせの使用は、本発明の範囲内である。核酸、PNAおよびPNA/DNAキメラ合成に必要とされる改変塩基モノマー単位を合成するために必要な合成方法は当該技術分野で入手可能であり、本願明細書およびUhlmann et al.Angew.Chem.Int.Ed.37:2796−2823(1998)を参照。
【0094】
本願明細書中に記載される用途についておよび上述のように、オリゴヌクレオチドおよび改変オリゴヌクレオチドは、好ましくは5〜100塩基、より典型的には5〜50塩基または5〜30塩基、通常は5〜20塩基を有する。いくつかの実施形態では、プローブ/結合体のオリゴヌクレオチド部分は、5〜15塩基を有する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチド部分は、1つ以上の普遍的または入り交ざった(無差別な)塩基に加えて、1つ以上の改変塩基を有する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、SNPを「マスクする」ために設計された部位に少なくとも1つの普遍的または入り交ざった(無差別な)塩基を含む、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20塩基または改変塩基を有する。
【0095】
それらの熱力学的性質に基づき、普遍的または入り交ざった(無差別な)塩基、改変塩基、マイナーグルーブバインダー、フルオロフォアおよび/またはクエンチャーの使用または組み込みを直接用い得るアルゴリズムを用いて予測可能な様式でプローブおよびプライマーを設計する能力は、同時継続出願番号第10/032,307号(2001年12月21日出願、本願明細書中に参考として援用される)に記載されている。従って、核酸、PNAまたはDNA/PNAキメラとのハイブリッド産物のT(例えば、約5〜8℃)を調整するための、正常な塩基、非置換ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン塩基(例えば、PPGおよびPPA)、3−置換ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン、改変プリン、改変ピリミジン、5−置換ピリミジン、普遍的および入り交ざった(無差別な)塩基、糖改変物、骨格改変物またはマイナーグルーブバインダーのいずれかの組み合わせの使用は、本発明によって考察される。さらに、入り交ざった塩基または普遍的な塩基のプライマー中での使用は、可変配列(例えば、HIV変異、密接して関連する種、など)を用いた普遍的な増幅のために本願明細書中で記載される方法のそれぞれの適用を容易にする。さらに、核酸標的を検出するための直接的またはリガンド(例えばビオチン)を介して間接的に標識されたプライマーの使用は、当該技術分野で周知である。さらに、Scorpionプライマーは、プローブの非存在下であっても、突然変異を検出するのに有用である(Thelwell,et al.,Nucl Acids.Res.,28:3752−3761(2000)を参照)。
【0096】
(新規な普遍的な塩基)
多くの新規な普遍的な塩基は、当該技術分野で既知の合成方法を用いて、反応スキーム1に概説されるように調製することができる。反応スキーム1において、Tolはp−トリル基であり、DMTはジメトキシトリチル基であり、CEPはシアノエチル−ジイシプロピルホスホラミダイト基であり、Rは−(CHXであり、ここで、Xは、H、NH、OH、CNであり、nは1〜6の整数である。
【0097】
(反応スキーム1)
【0098】
【化18】

【0099】
イソキノリン−1(2H)−オンに基づく普遍的な塩基を合成するためのスキームは、反応スキーム2および3に示される。5’−ホスホラミダイトアナログは、既知の普遍的な塩基2−((2R,4R,5R)−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロフラン−2−イル)−6−メチルイソキノリン−1(2H)−オン(41)から出発して、最初にジメチルテキシルシリルクロリドと反応させ、次いでジメトキシトリチルクロリドと反応させることによって合成され、3’−ジメトキシトリチル誘導体(55)が得られた(Wu et al,J.Am.Chem.Soc.,22:7621−7632(2000))。CHCl中での55と2−シアノエチルテトライソプロピルホスホロジアミダイト(CEIPDA)との反応により、反応スキーム2に示されるように、所望のブロックされた5’−ホスホラミダイト(56)を得た。
【0100】
(反応スキーム2)
【0101】
【化19】

【0102】
新規な普遍的な塩基ホスホラミダイト(65)(48のアナログ)の合成は、反応スキーム3に示される。
【0103】
(反応スキーム3)
【0104】
【化20】

【0105】
2,4−ジメチルベンズアルデヒド(57)を、2,2−ジメトキシエチルアミンと反応させ、イミン(58)を得て、その後、酸処理によって6,8−ジメチルイソキノリン(59)を得た。m−クロロペルオキシ安息香酸を用いた酸化によりN−オキシド(60)を得て、これを次いで無水酢酸およびNaOH水溶液と反応させ、6,8−ジメチルイソキノリン−1(2H)−オン(61)を得た。クロロ−糖(62)を用いた(61)のグリコシル化、次いで脱保護により、ヌクレオシド(63)を得た。次に、3’−ジメトキシトリチル保護されたヌクレオシド(64)を(63)から調製し、標準的な手順によって5’−ホスホラミダイト(65)に変換した。
【0106】
当該技術分野で既知の方法を用いる別の実施形態では、ヌクレオシドアナログ(63)が3’−ホスホラミダイトアナログに変換可能である。
【0107】
(マイナーグルーブバインダー)
マイナーグルーブバインダーオリゴヌクレオチド結合体(または「プローブ」)は、米国特許第6,312,894に記載される(本願明細書中に参考として援用される)。これらの結合体は、相補DNAと超安定化された二本鎖を形成する。特に、短いマイナーグルーブバインダープローブの配列特異性は、高温適用(例えばPCR)に優れている。非常に驚くべきことに、マイナーグルーブに結合するクエンチャー化合物を5’−末端に含有し、フルオロフォアを3’−末端に含むプローブは、蛍光2’−デオキシヌクレオチドを用いるアッセイ法のために特に有用である(米国特許出願番号10/165,410、本願明細書中に参考として援用される)。これらのプローブは、相補的な標的に対してハイブリダイゼーションする際に蛍光を発する。5’−MGB−クエンチャーグループは、同種増幅の間にTaqポリメラーゼによる5’−ヌクレアーゼ消化を妨害することがわかっている。さらに、本願明細書中で記載される5’−MGB−クエンチャー−オリゴヌクレオチド−フルオロフォア(5’−MGB−W−ODN−Fl)プローブは、7桁の等級を有するダイナミックレンジを示し、リアルタイムPCR増幅反応においてサンプルあたり5複製よりも多い最終的な感度を有する。
【0108】
本発明のプローブ/結合体はさらに、任意に、共有結合したマイナーグルーブバインダーを有する。種々の適切なマイナーグルーブバインダーは、文献中に記載されている。例えば、Kutyavin,et al.米国特許第5,801,155号(本願明細書中に参考として援用される);Wemmer,D.E.,andDervan P.B.,Current Opinon in Structural Biology,7:355−361(1997);Walker,W.L.,Kopka,J.L.andGoodsell,D.S.,Biopolymers,44:323−334(1997);Zimmer,C&Wahnert,U.Prog.Biophys.Molec.Bio.47:31−112(1986)およびReddy,B.S.P.,Dondhi,S.M.,andLown,J.W.,Pharmacol.Therap.,84:1−111(1999)を参照。
【0109】
本発明のマイナーグルーブバインダー−クエンチャー−オリゴヌクレオチド−フルオロフォアの結合体は、線状の配置であり得る(式5’−M−Q−ODN−Fl−3’によって示唆されるような)かまたはクエンチャー(Q)およびマイナーグルーブバインダー(M)が連結基に結合してODN、QおよびMが接続する分枝状の配置であり得る。さらに、クエンチャーは、マイナーグルーブバインダーの遠位(ODNに対する結合に対して)末端に結合し得る(例えば、5’−Q−M−ODN−F1)。線状の省略形(M−Q−ODN−F1)が使用される場合、それぞれの配置が含まれる。さらに、MGBおよびQ部分はそれぞれ、結合が結合体の消光機構と干渉しない限り、オリゴヌクレオチドの3’末端または5’末端のいずれかまたはオリゴヌクレオチドの内部位置に結合することができる。一般的に、このことは、適切な連結基の使用を介して達成することができる(米国特許出願番号10/165,410(本願明細書中で参考として援用される))。
【0110】
リンカーを介してオリゴヌクレオチドにマイナーグルーブバインダー(および以下に記載されるようなリポーターグループ、例えばフルオロフォアおよびクエンチャー)を接続するための適切な方法は、例えば、米国特許出願第5,512,677号;同第5,419,966号;同第5,696,251号;同第5,585,481号;同第5,942,610号および同第5,736,626号(これらのそれぞれは、本願明細書中に参考として援用される)に記載される。
【0111】
マイナーグルーブバインダーは、一般的に、適切な連結基を介してオリゴヌクレオチドの3’位または5’位に結合する。5’末端での結合は、ハイブリッド安定性に利点をもたらす(オリゴヌクレオチド二本鎖の融解が末端で開始する)だけではなく、増幅反応中のプローブのヌクレアーゼ消化を減らすおよび/または防ぐ。
【0112】
マイナーグルーブバインダー−オリゴヌクレオチド結合体内のマイナーグルーブバインダーの位置はさらに、このような結合体の識別性能に影響を与え得る。二本鎖の対になっていない領域は、誤って対になっている塩基に隣接した位置でマイナーグルーブの形状を変化させる。完全にマッチしたDNA二本鎖のマイナーグルーブ内でマイナーグルーブバインダーは最適に適合するため、マイナーグルーブにおける変化を生じるミスマッチは、ミスマッチを含む領域に対するマイナーグルーブバインダーの結合強度を減らす。このようにして、マイナーグルーブバインダーがこのようなハイブリッドを安定化する能力が減少し、それにより、マイナーグルーブバインダー−オリゴヌクレオチド結合体が完全にマッチした二本鎖からミスマッチを識別する能力を増大させる。一方、ミスマッチがマイナーグルーブバインダー−オリゴヌクレオチド結合体に対して相補的な領域の外側にある場合、同じ長さの接合していないオリゴヌクレオチドとマイナーグルーブバインダーと接合したオリゴヌクレオチドについての識別能力はほぼ同じであると予想される。オリゴヌクレオチドプローブが一塩基対のミスマッチを識別する能力はその長さに依存するため、より短いオリゴヌクレオチドは、ミスマッチをより効果的に識別する。この内容におけるマイナーグルーブバインダー−オリゴヌクレオチド結合体の使用の主な利点は、マイナーグルーブバインダー接合の安定化効果が増したことにより、従来技術において使用されるものと比較してかなり短いオリゴヌクレオチド(すなわち、20マー以下、より大きな識別力を有する)を使用することができるという事実にある。
【0113】
実施形態の1つのグループでは、マイナーグルーブバインダーは、CC1065アナログ、レキシトロプシン(lexitropsin)、ジスタマイシン、ネトロプシン、ベレニル、デュロカルマイシン、ペンタアミダイン、4,6−ジアミノ−2−フェニルインドールおよびピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピンおよび類似体からなる群より選択される。
【0114】
さらに好ましいマイナーグルーブバインダーは、下式から選択されるものである:
【0115】
【化21】

【0116】
添字mは2〜5の整数であり;添字rは2〜10の整数であり;かつRおよびRはそれぞれ独立して、オリゴヌクレオチドに対する連結基(直接的またはクエンチャーを介して間接的のいずれか)、H、−OR、−NR、−COORまたは−CONRであり、ここで、RおよびRのそれぞれは、H、(C〜C12)ヘテロアルキル、(C〜C12)ヘテロアルケニル、(C〜C12)ヘテロアルキニル、(C〜C12)アルキル、(C〜C12)アルケニル、(C〜C12)アルキニル、アリール(C〜C12)アルキルおよびアリールから選択され、但し、RおよびRのうち1つは、ODNまたはQに対する連結基を表す。さらなる実施形態では、それぞれの構造における環のそれぞれは、H、ハロゲン、(C〜C)アルキル、OR、N(R、N(R、SR、COR、CO、CON(R、(CHSO、(CHCO、(CHOPO−2およびNHC(O)(CHCOおよびそれらの塩それらのエステルから選択される1つ以上のさらなる置換基を含むことができ、ここで、Rはそれぞれ独立してHまたは(C〜C)アルキルであり、添字mは0〜6の整数である。記号RはHであるかまたはC、N、O、PおよびSから選択される1〜30個の原子を有し、環状、非環状またはそれらの組み合わせのいずれかであり、利用可能な価数を満たすさらなる水素原子を有する基(典型的には、固相合成で使用される連結基の痕跡部分)を表す。
【0117】
特に好ましいマイナーグルーブバインダーとしては、3−カルバモイル−1,2−ジヒドロ−(3H)−ピロロ[3,2−e]インドール−7−カルボキシレートのトリマー(CDPI)または置換ジヒドロシクロピロロインドールトリアミド(DPI)、N−メチルピロール−4−カルボキシ−2−アミドのペンタマー(MFC)およびミスマッチ識別を増加させる他のマイナーグルーブバインダーが挙げられる。本発明の実施における用途が見出されるさらなるマイナーグルーブバインダー部分は、共同で所有する米国特許第5,801,155号(本願明細書中に参考として援用される)に開示される。特定の実施形態では、マイナーグルーブバインダーは、結合した高水溶性基(例えば、糖、アミノ酸、カルボン酸またはスルホン酸置換基など)を有することができる。米国特許出願番号第09/693,213号および同第10/302,607号(これら両方は、本願明細書中に参考として援用される)を参照。
【0118】
(クエンチャー)
最近開発された検出方法は、蛍光の直接的な検出よりもプローブハイブリダイゼーションを検出するための蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)のプロセスを使用する。この種のアッセイにおいて、FRETは、クエンチャー分子の吸収スペクトルがドナーフルオロフォアの発光スペクトルとオーバーラップし、2つの分子が近位に密接している場合に、ドナーフルオロフォア(リポーター)とアクセプター分子(クエンチャー)との間で起こる。ドナーフルオロフォアの励起状態のエネルギーは、共鳴双極子−誘発された双極子の相互作用によって近くのアクセプターに移動し、ドナー蛍光の消光が起こる。アクセプター分子がフルオロフォアである場合、その蛍光はしばしば増大することがある。ドナー分子とアクセプター分子との間のエネルギー転移の効率は、分子間距離に非常に依存する。この関係を記載する式が知られている。Forster距離(R)は、エネルギー転移が50%効率であるドナー分子とアクセプター分子との間の距離として記載される。蛍光の消光の他の機構(例えば、衝突および電荷移動による消光)も知られている。クエンチャーとフルオロフォアの対およびオリゴヌクレオチドに対するそれらの結合を選択するために、当該技術分野で広範囲なガイダンスが存在する(Haugland,R.P.,HANDBOOK OF FLUORESCENT PROBES AND RESEARCH CHEMICALS,Ninth Edition,Molecular Probes,Eugene,OR,2002、さらに、Web Edition at www.probes.com/handbook;米国特許出願第3,996,345号および同第4,351,760号(これらのそれぞれは、本願明細書中に参考として援用される)。好ましいクエンチャーは、共同で所有する米国特許出願第09/457,616号(1999年12月8日出願、本願明細書中に参考として援用される)に記載される。さらに特定的には、以下の表3は、既知の引用される化学反応に基づいて、プローブに組み込まれるための適切な官能基を有する構造に容易に改変可能なクエンチャーの構造(例えば、ODNおよびマイナーグルーブバインダー部分のための結合部位を有するQ−W)を含む。(例えば、Thiel,et al,J.far prakt.Chemie,328:497−514(1986);米国特許第4,324,721号および同第4,054,560号;Timm,Melliand Textilberichte,9:1090−1096(1969);Hallas,J.S.D.C.285−294(1979);Beyer,et al,J Prakt.Chem.,24:100−104(1964);Hutchings,et al,Chem.Europ.J.3:1719−1727(1997)およびMorley,et al.,J.Phys.Chem.A.,102:5802−5808(1998);Haak,et al.,J.Chem.Res.Miniprint 10:2701−2735(1998)およびRuggli et al.,Helv.Chim.Acta,26:814−826(1943)を参照。さらに、共同で所有する係属出願US2003/0096254およびUS2002/0155484(これらのそれぞれは、本願明細書中に参考として援用される)も参照。種々の位置に異なる組み合わせの置換基を有するさらなる構造(例えば、モノ染料およびビスアゾ色素)は、色素化学の分野で既知の化合物および方法に基づいて調製することができる(CDD−ROMのColor Index、Issue 3、ページ4009−4324;Society of Dyers and Colourists,Bradford,England;www.sdc.org.ukにまとめられている;さらに、国際公開番号01/86001も参照)。
【0119】
(表3)
【0120】
【表3−1】

【0121】
【表3−2】

【0122】
上述のクエンチャーは、約400〜800nmの範囲をカバーし、多くのものはMGBに対して結合した場合に改良された消光効果を示す。オリゴヌクレオチドに対してクエンチャーをカップリングするのに使用される好ましい連結基として改変された態様が−N(CHCHOH)を示す一方、マイナーグルーブバインダーまたは固体支持体、他の適切なリンカーの例は、当該技術分野で既知であるかまたは本願明細書中に提供される。
【0123】
本願明細書中の本発明の局面のそれぞれについての好ましいクエンチャーは、表3中のものおよびBiosearch Technologies,Inc.からのものを含むビスアゾクエンチャー(Black HoleTM Quenchersとして提供される:BH−1、BH−2およびBH−3)、Dabcyl、TAMRAおよびカルボキシテトラメチルローダミンから選択される。
【0124】
(フルオロフォア)
本発明において有用なフルオロフォアは、一般的に、オリゴヌクレオチドプローブの末端5’炭素に対して、好ましくは連結基を介して結合するために誘導体化された蛍光有機色素である。適切なフルオロフォアが、蛍光性であってもなくてもよい典型的には有機色素でもあるクエンチャーと組み合わせて選択されることを当業者は理解する。
【0125】
特定のプローブのための適切なフルオロフォア−クエンチャー対を選択するために、文献において利用可能な多くの実用的なガイダンスが存在する。例えば、Clegg(上に引用される);Wu et al(上に引用される);Pesce et al.,editors,FLUORESCENCE SPECTROSCOPY(Marcel Dekker,New York,1971);White et al,FLUORESCENCE ANALYSIS:A PRACTICAL APPROACH(Marcel Dekker,New York,1970)などを参照。これらの文献はさらに、蛍光性分子および色素産生性(消光性)分子のリストおよびフルオロフォア−クエンチャー対を選択するためのそれらの関連する光学的性質を与える参考文献を含み、例えば、Berlman,HANDBOOK OF FLUORESCENCE SPECTRA OF AROMATIC MOLECULES, 2ND EDITION(Academic Press,New York,1971);Griffiths,COLOUR AND CONSTITUTION OF ORGANIC MOLECULES(Academic Press,New York,1976);Bishop,editor,INDICATORS(Pergamon Press,Oxford,1972);Haugland,HANDBOOK OF FLUORESCENT PROBES AND RESEARCH CHEMICALS(Ninth Edition,Molecular Probes,Eugene,OR,2002、さらに、www.probes.com/handbookでのWeb Edition);Pringsheim,FLUORESCENCE AND PHOSPHORESCENCE(Interscience Publishers,New York,1949)など。さらに、通常の反応基を解した共有結合のためにフルオロフォアおよびクエンチャーを誘導体化するための方法も周知である。例えば、Haugland(上に引用される);Ullman et al.,米国特許第3,996,345号;Khanna et al.,米国特許第4,351,760号(これらそれぞれは、本願明細書中で参考として援用される)。
【0126】
好ましいフルオロフォアは、キサンタン色素に基づくものであり、これらの種々のものは、リンキング基を介する結合またはオリゴヌクレオチドに対する直接結合のいずれかの結合のために有用な置換基を有して市販されている。蛍光性化合物の他の群は、α−またはβ−位にアミノ基を有するナフチルアミンである。このようなナフチルアミノ化合物に含まれるものは、1−ジメチルアミノナフチル−5−スルホネート、1−アニリノ−8−ナフタレンスルホネートおよび2−p−トルイジニル−6−ナフタレンスルホネートである。他の色素としては、3−フェニル−7−イソシアネートクマリン、アクリジン、例えば、9−イソチオシアネートアクリジンおよびアクリジンオレンジ;N−(p−(2−ベンゾキサゾリル)フェニル)マレイミド;ベンゾキサジアゾール、スチルベン、ピレンなどが挙げられる。なお他の適切なフルオロフォアとしては、レゾルフィン色素、ローダミン色素、シアニン色素およびBODIPY色素が挙げられる。
【0127】
これらの色素およびオリゴヌクレオチドに結合するための適切な結合方法論は多くの参考文献に記載されており、例えば、Khanna et al.(前出);Marshall,Histochemical J.,7:299−303(1975);Menchen et al.,米国特許第5,188,934号;Menchen et al,欧州特許出願第87310256.0号;およびBergot et al.,国際出願PCT/US90/05565。
【0128】
より特定的には、本願明細書中で記載されるフルオロフォアは、例えば、化学的方法または酵素的方法を用いてオリゴヌクレオチド部分に結合することができる。例えば、反応性化学基を特定の部位でオリゴヌクレオチドに組み込むための方法は、当業者に周知である。特定の部位に配置される反応性化学基を含むオリゴヌクレオチドは、相補的な反応基に結合した標識と組み合わせることができ(例えば、求核性反応基を含むオリゴヌクレオチドは、求電子性反応基に結合した標識と反応することができ)、化学技術によってプローブに対する標識とカップリングすることができる。例示的な標識および標識をオリゴヌクレオチドに結合するための方法は、例えば、米国特許第5,824,796号;米国特許第5,210,015号;Kessler(ed.),Nonradioactive Labeling and Detection of Biomolecules,Springer−Verlag,Berlin,1992;Kricka(ed.)Nonisotopic DNA Probe Techniques,Academic Press,San Diego,1992;およびHoward(ed.)Methods in Nonradioactive Detection,Appleton & Lange,Norwalk,1993に記載される。オリゴヌクレオチドの非特定的な化学的標識は、オリゴヌクレオチドと、例えばヌクレオチド塩基の特定の官能基と反応する化学物質とを組み合わせ、同時にまたは続けてオリゴヌクレオチドと標識とを反応させることによって達成することができる。例えば、Draper et al.(1980)Biochemistry 19:1774−1781を参照。標識をオリゴヌクレオチドへ酵素的に組み込むことは、酵素的改変または標識された前駆体を用いてオリゴヌクレオチドの重合を行うかまたは既存のオリゴヌクレオチドに対して標識を酵素的に付加することによって達成することができる。例えば、米国特許第5,449,767号(本願明細書中に参考として援用される)を参照。改変する酵素の例としては、限定されないが、DNAポリメラーゼ、逆転写酵素、RNAポリメラーゼなどが挙げられる。既存のオリゴヌクレオチドに対して標識を付加することができる酵素の例としては、限定されないが、キナーゼ、末端トランスフェラーゼ、リガーゼ、グリコシラーゼなどが挙げられる。
【0129】
本発明の局面のそれぞれについて、好ましいフルオロフォアは、シアニン、キサンテン、BODIPYアナログ、5−FAMTM、6−FAMTM、TETTM、JOETM、HEXTM、VICTM、NEDTM、TAMRATM、ROXTM、Bothell BlueTMおよびYakima YellowTM(YY)から選択される。これらのフルオロフォアは、一般的に、Applied Biosystems Inc.,Foster City,CAおよびEpoch Biosciences,Inc.,Bothell,WAのような商業的な供給源から入手可能である。
【0130】
(連結基)
種々の連結基および方法は、フルオロフォア、クエンチャーおよびマイナーグルーブバインダーをオリゴヌクレオチドの5’末端または3’末端に結合するために当業者に知られている。例えば、Eckstein,editor,OLIGONUCLEOTIDES AND ANALOGUES:A PRACTICAL APPROACH(IRL Press,Oxford,1991);Zuckerman et al,Nucleic Acids Research,15:5305−5321(1987);Sharma et al,Nucleic Acids Research,19:3019(1991);Giusti et al,PCR Methods and Applications,2:223−227(1993)、Fung et al,米国特許第4,757,141号;Stabinsky,米国特許第4,739,044号;Agrawal et al,Tetrahedron Letters,31:1543−1546(1990);Sproat et al,Nucleic Acids Research,15:4837(1987);Nelson et al,Nucleic Acids Research,17:7187−7194(1989)などを参照。なお他の市販の連結基は、合成中にオリゴヌクレオチドに結合することができ、使用することができる(例えば、Clontech Laboratories(Palo Alto,Calif.)から入手可能)。フルオロフォアをオリゴヌクレオチド部分に結合するための他の方法論は、ホスホラミダイト部分で誘導体化された色素を用いることによって固相合成の結果物にホスホラミダイト化学を使用することを含む。例えば、国際公開番号o et al,米国特許第5,231,191号;Hobbs,Jr.,米国特許第4,997,928号;Reed,et al,PCT出願第国際公開番号01/42505号;米国特許出願第09/876,830号;米国特許出願第10/084,818号;および米国特許出願第10/026,374号(これらのそれぞれは、本願明細書中に参考として援用される)を参照。
【0131】
多くの一般的な結合方法が利用可能であるが、他の因子(例えば、オリゴヌクレオチド長、マイナーグルーブバインダー、フルオロフォア−クエンチャー対など)と組み合わせて選択がなされる場合、特定の連結基の選択は、本発明の1つの局面を構築する。例えば、本発明において、マイナーグルーブバインダーの使用は、より少ないヌクレオチド塩基を有するプローブの調製を可能にする。概して、約15塩基よりも少ない塩基を有するプローブは、シグナルが貧弱および/または標的ポリヌクレオチドに対するハイブリダイゼーションが貧弱であるため、不安定であると考えられる。さらに、より小さなプローブ(例えば、15以下の塩基を有するもの)は、クエンチャー/フルオロフォアがしばしば十分に分割できずハイブリダイゼーションの際に適切なシグナルを提供することができないため、ビーコンアッセイでは避けられている。
【0132】
本発明において、結合したマイナーグルーブバインダーを有するさらに短いプローブが有用であることが発見され、フルオロフォアとクエンチャーとの間の十分な距離は、適切な連結基を選択することによって得られることが発見された。従って、本発明は、安価でリアルタイムアッセイにおいて有用な新規プローブ/結合体を提供する。
【0133】
本発明のプローブおよび結合体は、一般的に、1種類または2種類の連結基を有する。式Iに提供されるように、文字Kは二価の連結基をあらわし、一方、文字Wは三価の連結基をあらわす。特定の連結基は、一般的に、それらの合成容易性、固相合成における装置、プローブ構築および使用の際の安定性およびプローブまたは結合体にそれぞれ付与される物理的パラメーター、例えば、フルオロフォアとクエンチャーとの間に十分な距離を提供すること;またはプローブハイブリダイゼーションの際に形成されるマイナーグルーブとの非共有性相互作用をマイナーグルーブバインダー部分が行うことが可能な適切な長さの限界を提供すること、について選択される。
【0134】
より特定的には、Kは、プローブ/結合体のフルオロフォアとオリゴヌクレオチド部分との間の直接結合であるかまたはC、O、N、S、PおよびSiから選択される1〜30個の主鎖原子を有する二価連結基である。適切な連結基の選択は、一般的に、プローブのODN長を考慮してなされる。典型的に、ODNが約15〜18ヌクレオチドよりも長い場合により短い連結基を使用することができ、一方、より短いプローブが望ましいおよび/またはより短いプローブが構築される場合、より長い連結基がより有用である。好ましい実施形態の1つのグループでは、Kは−(O−(CHから選択され、ここで、添字pは2〜14の整数であり、添字qは1〜10の整数であり、但し、Kの全長は約50原子未満である。好ましくは、Kは、−(OCHCH−、−(OCHCH−、−(O(CH12)−および−(O(CH12−から選択される。実施形態の別のグループでは、Kは、好ましくは下式を有する連結基である:
【0135】
【化22】

【0136】
式中、添字rは1〜5の整数、好ましくは1または2、最も好ましくは2である。
【0137】
三価の連結基Wは、ODNとQとMとの適切な結合および可とう性を提供するために、種々の構造を包含することができる。実施形態の1つのグループでは、Wは下式を有する三価の官能基である:
【0138】
【化23】

【0139】
式中、窒素原子は、モノアゾ色素またはビスアゾ色素(クエンチャー、Q)の芳香族環に直接結合し、典型的にはクエンチャーの一部分であるとみなされ、成分AおよびAは独立して、単結合またはC、N、S、P、SiおよびOから選択される1〜約50原子を有するリンキング/スペーサー部分および利用可能な価数を満たすための追加の水素原子から選択される。さらに、AおよびAはそれぞれ、環状成分、非環状(直鎖または分枝)成分またはそれらの組み合わせを有することができる。
【0140】
(使用方法)
本発明のプローブ/結合体は、既存のプローブおよび結合体と比べて、遺伝子型特定を改良する優れたミスマッチ識別を含む、数多くの利点を提供する。本発明のプローブ/結合体は、標的配列に対するハイブリダイゼーションが、増幅プロセス(例えばPCR)とリアルタイムに(または同時に)検出され、特に有用である。さらに、1つの実施形態では、本発明のプローブ/結合体は、5’−ヌクレアーゼ活性によって消化されない。それゆえに、増幅反応を達成することができ、融解曲線分析によって再評価することができる。本発明のプローブ/結合体はさらに、標的を遺伝子特定するために酵素(例えば5’−ヌクレアーゼ)によって消化される場合において有用である。ハイブリダイズするプローブ/結合体からのフルオロフォアまたはクエンチャーの酵素的切断によるミスマッチの検出は、米国特許出願第10/645,353号(本願明細書中で参考として援用される)に記載される。本発明のプローブ/結合体は、他の増幅システムにおいて使用される場合、遺伝子型特定において特に有用である。
【0141】
本発明のプローブ/結合体は、別の核酸に対するオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションが関与する他の技術において有用である。これらとしては、限定されないが、標的核酸に対するオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションが終点である技術;標的核酸に対する1つ以上のオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションが、プライマーとしてオリゴヌクレオチドを使用し、テンプレートとして標的核酸を使用する1つ以上のポリメラーゼによる伸長ステップに先行する技術;標的核酸に対するオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションが別のプライマーの伸長をブロックするために使用される技術;および2つ以上のオリゴヌクレオチドが標的核酸にハイブリダイズされ、複数のオリゴヌクレオチド間の相互作用が測定される技術が挙げられる。オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションのための条件およびハイブリダイゼーションの程度および特異性に影響を与える因子(例えば、温度、イオン強度および溶媒組成)は、当業者に周知である。例えば、Sambrook et al(前出);Ausubel,et al(前出);M.A.Innis et al.(eds.)PCR Protocols,Academic Press,San Diego,1990;B.D.Hames et al.(eds.)Nucleic Acid Hybridisation:A Practical Approach,IRL Press,Oxford,1985;およびvan Ness et al.(1991)Nucleic Acids Res.19:5143−5151を参照。なお他の方法では、複数のプローブは、代替の標的部位領域を検出するため(例えば、困難な配列を同定するためまたは標的の種および亜種を識別するため)に使用することができる。
【0142】
標的配列に対するプローブおよび/または結合体のハイブリダイゼーションは、周知および当該技術分野で認識された塩基対の性質に従って進み、アデニン塩基はチミンまたはウラシルと対になり、グアニン塩基はシトシンと対になる。第2のヌクレオチドとの塩基対を可能にするヌクレオチドの性質は、相補性であると呼ばれる。従って、アデニンはチミンおよびウラシルの両方と相補性であり、逆もそうである;同様に、グアニンはシトシンと相補性であり、逆もそうである。標的配列とその全長にわたって相補性であるオリゴヌクレオチドは、完全に相補性であり、完全にマッチしまたは標的配列に対して完全に相補性であると呼ばれ、逆もそうである。オリゴヌクレオチドおよびその標的配列は、関連する配列を有することができ、2この配列中の塩基の大多数が相補性であるが、1つ以上の塩基が相補性でないかまたはマッチしていない。このような場合では、この配列は、互いに実質的に相補性であると呼ぶことができる。オリゴヌクレオチドの配列および標的配列が、1つを覗く全てのヌクレオチド位置で相補性である場合、このオリゴヌクレオチドおよび標的配列は、お互いに関して一塩基ヌクレオチドミスマッチを有する。
【0143】
プローブ/結合体について決定されるTが、二本鎖の熱力学パラメーター、プローブおよび標的の濃度、最近接物およびプローブ長の関数であることが理解される。この理由のために、報告されたTは、同じ長さのプローブ、既知のプローブおよび標的の濃度および同じ最近接物を用いて決定される。
【0144】
普遍的な塩基を組み込んだプローブ/結合体について、普遍的な塩基が天然DNAまたはRNA塩基のそれぞれと、ほとんどまたは全く識別されずに「塩基対」を形成することが理解される。ほとんどまたは全く識別されないことは、普遍的な塩基を含むプローブが、普遍的な塩基に対して相補的な塩基位置においてA、C、GまたはTのいずれかを含む以外は4つの同一の相補的な標的に対してハイブリダイズする場合に、Tの違いの観点から測定することができると理解される。好ましくは、普遍的な塩基に対して相補的なA、C、GまたはTを含む4つの標的のプローブ/標的二本鎖のTの違いは、約5℃、4℃または3℃である。最も好ましくは、Tの違いは、約2℃または約1℃またはそれよりも小さい。
【0145】
入り交ざった塩基を組み込んだプローブ/結合体の場合において、同様の熱力学的性質を有する天然DNAまたはRNA塩基のそれぞれの2つ以上と2つの水素結合を形成することが理解される。ほとんどまたは全く識別されないことまたは同様の熱力学的性質は、入り交ざった(無差別な)塩基を含むプローブが、普遍的な塩基に対して相補的な塩基位置においてA、C、GまたはTのいずれかを含む以外は2つ以上の同一の相補的な標的とハイブリダイズする場合に、Tの違いの観点から測定することができると理解される。好ましくは、普遍的な塩基に対して相補的なA、C、GまたはTを含む4つの標的のプローブ/標的二本鎖のTの違いは、約5℃、4℃または3℃である。最も好ましくは、Tの違いは、約2℃または約1℃またはそれよりも小さい。
【0146】
改変された塩基を組み込んだプローブ/結合体について、改変された塩基が天然に生じるアナログの塩基対特異性を保持することが理解される。例えば、PPPGアナログは、シトシンと相補性であり、一方、PPPAアナログは、チミンおよびウラシルと相補性である。PPPGおよびPPPAアナログは、グアニンおよびアデニンと比較して、非相補性の塩基といわゆる「ぐらつく(国際公開番号bble)」対を形成する傾向が低いだけでなく、3−置換基は二本鎖における結合アフィニティを増大させる。同様に、改変されたピリミジンは、それらの天然に生じるカウンターパートナーに対して特異的にハイブリダイズする。
【0147】
ハイブリダイゼーションのための条件は当業者に周知であり、比較的広い限界内を変動することができる。ハイブリダイゼーションストリンジェンシーは、ハイブリダイゼーション条件がミスマッチのヌクレオチドを含むハイブリッドの形成を好まず、それゆえに完全にマッチしたハイブリッドまたは数個のミスマッチを含むハイブリッドの形成を促進する程度を指し、より高いストリンジェンシーは、ミスマッチのハイブリッドについてより低い耐性と相関関係にある。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに影響を与える因子としては、限定されないが、温度、pH、イオン強度、有機溶媒(例えば、ホルムアミドおよびジメチルスルホキシドおよびカオトロープ(chaotrope))の濃度が挙げられる。
【0148】
従って、プローブ/結合体とその標的配列との間のハイブリッド(二本鎖)の形成において、プローブ/結合体は、温度、イオン強度、pHなどのハイブリダイゼーションに好ましい条件下(すなわち、ハイブリダイゼーション条件下)で標的配列を含むポリヌクレオチドと共に溶液中でインキュベートされる。ハイブリダイゼーション条件は、いくつかの環境において、ハイブリダイズする配列において1つ以上のミスマッチを有する核酸の対と比較して、完全にマッチした配列を有する2つの核酸間のハイブリダイゼーションを好むように選択される。他の環境において、ハイブリダイゼーション条件は、ミスマッチした配列間のハイブリダイゼーションを可能にし、より少ないミスマッチを有する核酸間のハイブリダイゼーションを好むように選択される。
【0149】
標的配列に対するオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションの程度(ハイブリダイゼーション強度としても知られる)は、当該技術分野で周知の方法によって決定される。好ましい方法は、ハイブリッド二本鎖のTを決定することである。このことは、上述のように、溶液中で二本鎖の温度を徐々に上げ、変性に付随して起こる塩基対のアンスタッキング(unstacking)を増大させる二本鎖の変性をモニタリングする(例えば、紫外線吸収によって)ことによって達成される。Tは、一般的に、ハイブリッド二本鎖の塩基の50%がアンスタッキングする温度として定義される。あるいは、Tが既知である場合、ハイブリダイゼーション温度(イオン強度、pHおよびプローブ/標的濃度は固定)は、所望の二本鎖のTよりも低く、所望でない二本鎖のTより高いように選択することができる。この場合では、ハイブリダイゼーションの程度の決定は、単純に、ハイブリダイズされたプローブの存在について試験することによって達成される。
【0150】
いくつかの実施形態では、プローブ/結合体は、プライマーとして作用することが可能であり、プローブ/結合体のハイブリダイゼーションの程度はさらに、プライマーの伸長産物のレベルを測定することによって決定することができる。この実施形態では、プライマーを標識することができるかまたは重合のための前駆体(通常はヌクレオシドトリホスフェート)の1つ以上を標識することができる。伸長産物は、例えば、サイズ(例えば、ゲル電気泳動)、リアルタイムPCRにおけるようなハイブリダイゼーションプローブとのアフィニティ法または当業者に既知のいずれかの他の技術によって検出することができる。
【0151】
プライマー伸長(「ミニシークエンシング(minisequencing)」、「遺伝子ビット分析(genetic bit analysis)」)アッセイは、通常はSNPタイピングのために使用され、さらに、他の遺伝子型特定および変異スクリーニング適用において使用することができる(Pastinen T.et al,Genome Res.,10:1031−42(2000))。本発明では、マイナーグルーブバインダーおよびいくつかの場合において、改変された塩基の存在は、プライマー伸長アッセイを向上させることができる。例えば、マイナーグルーブバインダーまたは5−置換ピリミジンまたは3−置換ピラゾロ[3,4−d]ピリミジンによって提供される付加された二本鎖の安定性は、加温で行われる伸長を可能にする。標的分子中の問題のある第2の構造は加温状態で排除することができることは利点である。さらに、プライマーに対する標的のハイブリダイゼーションは、さらに高い温度で速い。熱安定性のポリメラーゼ(例えば、TaqポリメラーゼおよびBst DNAポリメラーゼ)はこのような反応で使用することができる。マイナーグルーブバインダーおよび改変された塩基がプローブを提供することができ、プライマーが上述の利点を有するが、改変された塩基の使用は、典型的には、プライマー伸長の阻害を避けるために、3’−末端位置以外の位置である。
【0152】
さらに、マイナーグルーブバインダーおよび改変された塩基は、1つの種類の誤ったポジティブシグナルを排除することによってアッセイの特異性を高める。ヘアピン構造またはホモダイマーを形成するプライマー配列は、テンプレート依存性の伸長(テンプレートとしてプライマー機能の5’末端、その結果誤ったポジティブシグナルを生じる)である傾向がある。「テンプレート」上でのマイナーグルーブバインダーおよび改変された塩基は、DNAポリメラーゼによる伸長を阻害する。従って、5’末端上のマイナーグルーブバインダーまたは3’末端またはプライマーの内部上の改変された塩基は、プライマーヘアピンまたはプライマーダイマーからの伸長(誤ったポジティブ)を防ぐことができる。最後に、PPGは、G豊富なオリゴヌクレオチドによって形成される非標準的な構造を排除するために使用することができ、これによりこのような配列においてプライマー伸長アッセイを可能にする。
【0153】
本改変されたオリゴヌクレオチドが特に有用な他のアッセイは、米国特許第6,312,894号に記載される(本願明細書中に参考として援用される)。
【0154】
本プローブ/結合体が有用であるなお他の増幅アッセイとしては、フラップエンドヌクレアーゼによるオリゴヌクレオチドプローブの侵襲性切断に基づく増幅アッセイ(Lyamichev et al.,Nature Biotechnol.,17:292−296(1999));自己保持配列複製アッセイ(self−sustained sequence replication type assays)(Mueller et al,Histochem.Cell Biol,108:431−437(1997))、5’−ヌクレアーゼアッセイ(Livak,Gen.Analysis:Bioenginering,14:143−149(1999)、分子ビーコンアッセイ(米国特許第6,485,902号)およびRolling Circleアッセイ(米国特許第6,344,329号)が挙げられる(これらそれぞれの教示は本願明細書中に参考として援用される)。本発明の改変されたプローブ/結合体としては、普遍的または入り交ざった(無差別な)塩基および任意に改変された塩基が挙げられる。非天然の骨格はさらに、ペプチド核酸、ロックト核酸などにおいて使用されるモノマーとして含まれる。
【0155】
上の観点において、本発明は、少なくとも2つの一塩基多型を有する標的核酸配列のポリヌクレオチド増幅を連続的にモニタリングするための方法であって、第1の一塩基多型が識別され、第2の一塩基多型が識別されず、前記多型のそれぞれが前記標的核酸のプローブ領域に存在し、当該方法は、
(a)前記標的核酸を含むサンプルと前記標的配列の前記プローブ領域に隣接するかまたはそれと重複する1つ以上のオリゴヌクレオチドプライマー、重合する酵素、ヌクレオチド基質および下式:
【0156】
【化24】

【0157】
(式中、Mはマイナーグルーブバインダーであり;添字tは0または1であり;Qはクエンチャーであり;Wは連結基であり;Kは結合基または連結基であり;Flはフルオロフォアであり;かつ[A−B]はn単位を有する核酸オリゴマーを表し、nは5〜50の整数であり;それぞれのAは独立して、糖リン酸骨格、改変糖リン酸骨格、ロックト核酸骨格、ペプチド骨格または核酸調製において使用されるそれらの改変体からなる群より選択される核酸骨格成分を表し;かつそれぞれのBは独立して、核酸塩基、改変塩基または塩基アナログを表す)
を有するオリゴヌクレオチド結合体を混合して混合物を提供する工程であって、ここで、前記第2の一塩基多型に対して相補的な部位での塩基は普遍的または入り交ざった(無差別な)塩基であり、前記オリゴヌクレオチド部分は増幅される標的配列の一部分に対して配列相補性を有する工程;
(b)前記混合物を重合に好都合な条件下でインキュベートする工程;および
(c)前記増幅された標的に対する結合体ハイブリダイゼーションの際に生成される蛍光をモニタリングすることによって前記増幅を連続的にモニタリングする工程
を含む、方法を提供する。
【0158】
関連する局面では、本発明は、少なくとも2つの一塩基多型を有する標的ポリヌクレオチド配列において野生型、変異型および異種標的ポリヌクレオチドをサンプル中で識別するための方法であって、第1の一塩基多型が識別され、第2の一塩基多型が識別されず、前記第1および第2の多型のそれぞれが前記標的ポリヌクレオチドのプローブ領域に存在し、当該方法は、
(a)前記標的ポリヌクレオチド配列を含む前記サンプルと、目的の第1の多型をそれぞれ識別する第1のプローブおよび第2のプローブとを接触させて混合物を提供し、前記第1のプローブは野生型標的ポリヌクレオチドに対して優先的にハイブリダイズし、第2のプローブは変異型標的ポリヌクレオチドに対して優先的にハイブリダイズし、前記第1および第2のプローブはそれぞれ独立して選択された式:
【0159】
【化25】

【0160】
(式中、Mはマイナーグルーブバインダーであり;添字tは0または1であり;Qはクエンチャーであり;Wは連結基であり;Kは結合基または連結基であり;Flはフルオロフォアであり、各プローブは異なるフルオロフォアを有し;かつ[A−B]はn単位を有する核酸オリゴマーを表し、nは5〜50の整数であり;それぞれのAは独立して、糖リン酸骨格、改変糖リン酸骨格、ロックト核酸骨格、ペプチド骨格または核酸調製において使用されるそれらの改変体からなる群より選択される核酸骨格成分を表し;およびそれぞれのBは独立して、核酸塩基、改変塩基または塩基アナログを表す)
を有する工程であって、ここで、前記第2の一塩基多型に対して相補的な部位での塩基は普遍的または入り交ざった(無差別な)塩基であり、前記オリゴヌクレオチド部分は増幅される標的配列の一部分に対して配列相補性を有する工程;
(b)ハイブリッド形成で生成される蛍光を測定し、ハイブリッド形成が野生型、変異型および異種標的ポリヌクレオチドそれぞれの存在または非存在を示す工程
を含む、方法を提供する。
【0161】
なお別の局面では、本発明は、少なくとも2つの一塩基多型を有する標的ポリヌクレオチド配列において野生型標的ポリヌクレオチド、変異型標的ポリヌクレオチドおよびヘテロ接合体標的ポリヌクレオチドをサンプル中で識別するための方法であって、第1の一塩基多型が識別され、第2の一塩基多型が識別されず、前記第1および第2の多型のそれぞれが前記標的ポリヌクレオチドのプローブ領域に存在し、当該方法は、
(a)前記標的ポリヌクレオチド配列を含む前記サンプルと、目的の第1の多型をそれぞれ識別する第1のプローブおよび第2のプローブとを接触させて混合物を提供し、前記第1のプローブは野生型標的ポリヌクレオチドに対して優先的にハイブリダイズし、第2のプローブは変異型標的ポリヌクレオチドに対して優先的にハイブリダイズし、前記第1および第2のプローブはそれぞれ独立して選択された式:
【0162】
【化26】

【0163】
(式中、Mはマイナーグルーブバインダーであり;添字tは0または1であり;Qはクエンチャーであり;Wは連結基であり;Kは結合基または連結基であり;Flはフルオロフォアであり、各プローブは異なるフルオロフォアを有し;かつ[A−B]はn単位を有する核酸オリゴマーを表し、nは5〜50の整数であり;それぞれのAは独立して、糖リン酸骨格、改変糖リン酸骨格、ロックト核酸骨格、ペプチド骨格または核酸調製において使用されるそれらの改変体からなる群より選択される核酸骨格成分を表し;かつそれぞれのBは独立して、核酸塩基、改変塩基または塩基アナログを表す)
を有する工程であって、ここで、前記第2の一塩基多型に対して相補的な部位での塩基は普遍的または入り交ざった(無差別な)塩基であり、前記オリゴヌクレオチド部分は増幅される標的配列の一部分に対して配列相補性を有する工程;および
(b)ハイブリッド形成の融解曲線分析を用いて蛍光を測定し、野生型、変異型および異種標的ポリヌクレオチドそれぞれの存在または非存在を決定する工程
を含む、方法を提供する。
【0164】
なお別の局面では、本発明は、少なくとも2つの一塩基多型を有する標的ポリヌクレオチド配列において野生型標的ポリヌクレオチド、変異型標的ポリヌクレオチドおよびヘテロ接合体標的ポリヌクレオチドをサンプル中で識別するための方法であって、第1の一塩基多型が識別され、第2の一塩基多型が識別されず、前記第1および第2の多型のそれぞれが前記標的核酸のプローブ領域に存在し、当該方法は、
(a)識別されることが意図されない1つ以上の多型を含む少なくとも1つの標的ポリヌクレオチド配列を含む前記サンプルと、前記野生型標的ポリヌクレオチドおよび変異型標的ポリヌクレオチドの両方にハイブリダイズするプローブとを接触させて混合物を提供し、前記第1のプローブは変異型標的ポリヌクレオチドと比較して野生型標的ポリヌクレオチドに対して優先的にハイブリダイズし、前記プローブは下式:
【0165】
【化27】

【0166】
〔式中、Mはマイナーグルーブバインダーであり;添字tは0または1であり;Qはクエンチャーであり;Wは連結基であり;Kは結合基または連結基であり;Flはフルオロフォアであり;かつ[A−B]はn単位を有する核酸オリゴマーを表し、nは5〜50の整数であり;それぞれのAは独立して、糖リン酸骨格、改変糖リン酸骨格、ロックト核酸骨格、ペプチド骨格または核酸調製において使用されるそれらの改変体からなる群より選択される核酸骨格成分を表し;かつそれぞれのBは独立して、核酸塩基、改変塩基または塩基アナログを表す〕
を有する工程であって、ここで、前記第2の一塩基多型に対して相補的な部位での塩基は普遍的または入り交ざった(無差別な)塩基であり、前記オリゴヌクレオチド部分は増幅される標的配列の一部分に対して配列相補性を有する工程;および
(b)ハイブリッド形成で生成される蛍光を測定し、ハイブリッド形成が野生型標的+ポリヌクレオチド、変異型標的ポリヌクレオチドおよびヘテロ接合体標的ポリヌクレオチドそれぞれの存在または非存在を示す工程
を含む、方法を提供する。
【0167】
上述の方法のそれぞれについて、プローブは、好ましくは、フルオロフォアおよびクエンチャーの位置が逆転した改変とともにおよびマイナーグルーブバインダーおよびクエンチャーが3’−位に結合し、フルオロフォアが5’−位に結合する、式II、IIIa、IIIbおよびIVのものである。なお他の実施形態では、プライマーは、改変された塩基、普遍的な塩基または入り交ざった塩基を含む増幅において使用される。本発明の関連する局面は、式II、IIIa、IIIbおよびIVのプローブが、標的核酸のプローブ領域中の各SNPに対して相補的な部位で普遍的または入り交ざった塩基を有して使用される。
【実施例】
【0168】
(実施例1)
本実施例は、多型が、目的の対立遺伝子の際近接に第2の多型の存在下で、第2の多型に関与するプローブ位置で普遍的な塩基で置換することによって、遺伝子型を特定することができることを示す。一般的に、1個のプローブを有する二塩基の多型の従来の融解曲線分析による遺伝子型特定は、確定的ではない結果を与えた。以下の方法の使用は、以前に達成された遺伝子型特定よりもさらに正確な結果を与える。
【0169】
(材料および方法)
(1.1 テンプレート)
ヒトゲノムDNAを、Coriell InstituteのMedical Research,Camden,NYから購入した。遺伝子型特定を、制限長の多型およびTaqMan法を用いて出願人らの実験室であらかじめ行っておいた。
【0170】
(1.2 オリゴヌクレオチド)
使用したオリゴヌクレオチドの配列を図1に示す。5’→3’方向におけるオリゴヌクレオチドセグメントの合成のために設計された5’−β−シアノエチルホスホロアミダイト(Glen Research,VA)を用いて、MGB−Q−改変されたガラス支持体(MGBTMリガンドはDPI3(Epoch Biosciences,Bothell,WAの商標)である)上で自動化DNA合成機によって、5’−MGB−Q Eclipseプローブを調製した。製造業者によって供給されたプロトコルに従って0.02Mヨウ素溶液を用いてABI 394合成機でオリゴヌクレオチド合成を行った。PPGホスホロアミダイトを文献の方法に基づいて合成したが、Glen Research,Sterling,VAから購入することもできる。6−カルボキシフルオレセイン(FAM)、Yakima YellowTM(YY、Epoch Biosciences,Inc.,Bothell,WAから)および6−カルボキシ−4,7,2’,7’−テトラクロロフルオレセイン(TET)レポーティング色素を、対応するホスホロアミダイト(Glen Research,Sterling,VA)を用いて合成の最終段階で導入した。標準的な5’−DMTホスホロアミダイトをこのときに使用した。全てのオリゴヌクレオチドを逆相HPLCで精製した。
【0171】
(1.3 T予測)
MGB EclipseTM Design Software 3.0(Epoch Biosciences,Bothell,WA)を使用して5’−MGB−Q−ODN−Flプローブを設計した。このソフトウェアの特徴の1つは、G:G自己会合に起因する検出力の乏しいプローブとして知られる3つを超える連続したGsを含有し、PPGを用いたGの適切な置換を示すプローブを設計する能力である。さらに、このソフトウェアは、二重らせん安定性を向上するためにATリッチな配列中にSuper AおよびSuper Tで改変された塩基を組み込んだプローブを設計することができる。このソフトウェアをプローブおよびプライマーを設計するために使用した。単位複製配列、プライマーおよびプローブを図1および表4に示す。
【0172】
(1.4 リアルタイムPCR)
(MGB Eclipseプローブを用いるリアルタイムPCR)
ABI Prism(R)7900(Applied Biosystems,Foster City,CA)またはRotor−Gene 3000(Corbett Research,Sydney,Australia)熱サイクル蛍光測定器(Afonina et al,Ligand Assay,25:268−275(2002))のいずれかを用いてリアルタイムPCRを行った。両方の装置で、3ステップのPCRを50サイクル(95℃で5秒、58℃で20秒および76℃で30秒)、その後50℃で2分および95℃で2分行った。ABI 7900について、Jump Start Taq−Polymerase(Sigma Catalog #90 4184)を最終量0.37U/μl反応液まで追加した2mMの最終Mg++濃度(Sigma #D 74403)を含む市販の2×Jump Start PCR Mastermixを使用してこのPCR反応を設定した。両方のプローブの最終濃度は0.2μMであり;制限プライマーの濃度は0.1μMであり、過剰プライマーは2μMであった。反応の設定の前に、各5μlの反応物に、プレート中でspeed vacを用いて凍結乾燥した10ngのゲノムDNAを含んだ。Rotor−Geneについて、反応物の最終量が10μlである以外は、設定は本質的に同じであり、サンプルDNAを1×TEまたは水に添加し、全量を10ng/反応物にした。
【0173】
(蛍光融解曲線およびMGB Eclipseプローブを用いる遺伝子型特定)
融解曲線アッセイのためのPCRの準備は、リアルタイム実験について記載されるのと同じであったが、PCRは、熱サイクリング蛍光光度計の外側で行うことができる。ABI7900での融解曲線分析の詳細は以下に概説され、ステップ毎の操作は、www.epochbio.comで入手可能なUser Manualに提供される。PCR終了後、プレートをABI7900に移し、フルオレセインおよびテトラクロロフルオレセイン検出を用いる解離曲線分析のためにSDSソフトウェアを設定する。熱プロフィールは、初期変性温度95℃×30秒、アニーリング温度30℃および最終温度80℃に設定される。ランプ速度は10秒毎に約1℃である10%に設定される。最終温度に到達した後、集めたデータを分析のためにセーブする。融解曲線データを、温度に対する融解曲線の一次導関数としてグラフにより視覚化することができる。自動化された遺伝子型特定のために、このデータをMicrosoft Excelに移し、Epoch Biosciences(www.epochbio.com)から入手可能なMGB Eclipse Melt Macroを用いて分析する。このマクロにより、コントロールサンプルまたは各対立遺伝子について陽性のサンプルがプレート上に存在する場合、フルオレセインおよびテトラクロロフルオレセインプローブのTを自動的に決定できる。あるいは、ユーザは、まれな対立遺伝子を有する場合であり得るように、コントロールサンプルが入手できない場合、プローブのTを手動で設定することができる。ユーザの入力は、融解曲線を試験した後にシグナルおよびT閾値を調整するために必要であり得る。この入力とともに、このマクロは自動的に遺伝子型を割り当て、個々のサンプルを呼び出し、遺伝子型特定の結果を表にして出力する。
【0174】
図1に示されるプライマーおよびプローブを使用して、プローブ配列中に2個の多型を含むゲノム標的を遺伝子型特定した。目的の[G/T]対立遺伝子により、図2に示される融解曲線分析によって、第2の対立遺伝子Nの存在下で遺伝子型特定することができた。ヘテロ接合体サンプルは、このマクロにおいて設定されたTウインドウ範囲において両方の蛍光チャネルにおける融解曲線を示したが、正しいTを有する野生型および変異型の対立遺伝子融解曲線は、それぞれの蛍光チャネルにおいてのみ存在した。
【0175】
(実施例2)
本実施例は、モデル系における普遍的な塩基としてニトロインドール(13)およびニトロピロール(9)の評価結果を示す。8個の標的を調製し、プローブ配列領域中の2個のさらなる多型の存在下で目的の多型を有するプローブを評価した。プローブおよび標的配列は表4に示される。
【0176】
(表4)
(ニトロインドール(13)およびニトロピロール(9)の塩基対の性質を評価するためのプローブおよび標的配列)
【0177】
【表4】

【0178】
塩基は目的の多型のG塩基およびA塩基にハイブリダイズする能力を評価する。N塩基は4個の天然塩基にハイブリダイズする能力を評価する。NおよびNは普遍的な塩基9および13のいずれかによって同時に両方置換される。
【0179】
示されるように、9および13の両方が4個全ての塩基とハイブリダイズし、T上昇効果を有していた。
【0180】
(実施例3)
本実施例は、プローブ:標的二本鎖の融解温度の決定を記載する。
【0181】
二本鎖形成の熱力学的パラメーターは、Van’t Hoff分析法によって誘導された。各融解曲線の形状を、非線形最小二乗プログラム(Lokhov,S.G.andPyshnyi,D.V.,FEBS 420,134−138 1997))を用いて線形ベースラインを有する2状態モデルにあわせた(Xia,T.et al.,Biochem.,37,14719−14735(1998))。他に言及されない限り、DNA二本鎖のTを、以前に記載されるように5×10−7Mの濃度で1×PCRバッファー中で測定した(Kutyavin,I.V.et al.,Nucleic Acids Res.,28,655−661(2000))。
【0182】
(実施例4)
本実施例は、入り交ざった(無差別な)塩基PPGの最近接の熱力学パラメーターの決定を示す。使用された理論および方法は、米国特許出願第09/796,988号およびPCT出願WO01/64958(本願明細書中に参考として援用される)に開示される。
【0183】
(表5)
(PPGのΔGおよびTについて最近接物の影響を評価するための標的およびdプローブの配列)
#はプローブおよび標的番号であり;「g」はPPG(Super G)であり、NはA、C、GまたはTである。標的中のN置換は太字で示される。
【0184】
【表5】

【0185】
プローブおよび標的を使用してΔGおよびTを決定し、4個の標的および1個のプローブのセットにおいて数または最近接物について表5に示す。実施例について各セットは4個の標的(例えば、10番〜13番)および1個のプローブ(14)を含み、4個の二本鎖を生じ、3個のミスマッチと1つのマッチ14を有する。それゆえに、図6a)からc)は、ΔGおよびTデータに加えて、4つのグループのTについての棒グラフ、4つのミスマッチと1つのマッチを示す。表5に列挙される標的およびプローブに対応する結果を図6a)に示す。−AgA−配列を、プローブ14および標的10〜13を用いておよび異なる配列環境のプローブ19および標的15〜18を用いて評価した。図6a)に示されるように、異なる配列環境における−AgA−について3個のミスマッチと1個のマッチを有する平均Tの比率は同じであった。このことは、最近接のモチーフの熱力学的構成は、配列の残りと独立しているということを示す。
【0186】
同様に他のプローブおよび標的(配列は示されない)を使用して、さらなる最近接物についてΔGおよびTを決定し、その結果を図6b)および6c)に示す。図6における正常にマッチしたプローブおよび入り交ざった(無差別な)塩基で置換されたプローブの間の二本鎖Tの違いは、普遍的な塩基であるニトロピロールおよびニトロインドールでそれぞれ置換されたプローブ9および13(表4)を用いて観察された結果と同様かそれよりも小さい。
【0187】
(実施例5)
本実施例は、標的の変異に対応する塩基における置換によって多型が「目につかなく」され得ることを示すための、プローブにおいて普遍的な塩基41および42の使用を示す。BARD1−03遺伝子配列において存在するSNPの一部分を以下に示す(http://snp500cancer.nci.nih.gov)。
【0188】
【化28】

【0189】
[G/A]多型は、普遍的な塩基Nを有するプローブ中の対応する位置の置換によって「目に付かなく」される。図7は、Nが普遍的な塩基41または42のいずれかで置換される場合の、プローブの融解曲線分析を示す。各場合において、野生型および変異型標的の両方に対してプローブを分析した。示されるように(図7aおよび7bを参照)、鋭い1本の融解曲線は、2個の改変塩基が野生型および変異型標的の両方に対して同じ熱安定性を有してハイブリダイズすることを示す。
【0190】
(実施例6)
本実施例は、融解曲線分析を用いてBARD1−03遺伝子中に存在する二塩基SNPの遺伝子型特定に対処するための、プローブ中の普遍的な塩基40および入り交ざった(無差別な)塩基V(ここで、R=R=−NH、Rはヒドロキシブチリルであり、骨格成分はデオキシリボースである)の使用および比較を示す。プローブ領域中の二塩基多型(R=G/A)を有するBARD1−03配列の一部分およびプローブ配列を以下に示す:
【0191】
【化29】

【0192】
目的の多型は、下線を引いた太字で示され、[R=G/A]多型は、プローブ中の対応する位置で普遍的または入り交ざった(無差別な)塩基Nによってそれぞれ置換されることによって「目に付かなく」される。図8において、Nが普遍的な塩基40または入り交ざった(無差別な)塩基V(ここで、R=R=−NH、Rはヒドロキシブチリルであり、骨格成分はデオキシリボースである)のいずれかで置換された、BARD1−03多型(上述の下線の太字)の融解曲線分析が示される。示されるように、図8a)およびb)における鋭い1本の融解曲線は、第2の多型が「目に付かなくされて」いることを示す。しかし、普遍的な塩基40の場合には、図8a)において使用されるNAおよびNGプローブの間で約2.8℃のTの差が存在する。図8b)において使用される入り交ざった(無差別な)塩基は、NAとNGプローブとの間のTの差はたった0.8℃であった。
【0193】
(実施例7)
本実施例は、1個のプローブのみを有し、1個のミスマッチを有する2個の標的の検出結果を示す。1個のプローブを、プローブ領域中でたった1個のミスマッチのみが異なるMycobacterium chelonaeおよびM.abscessusを検出するために開発した。標的およびプローブ配列を以下に示す。本実施例では、a)PPG(49)およびb)置換ピラゾロピリミジン誘導体(V、ここで、R=R=−NH、Rはヒドロキシブチリルであり、骨格成分はデオキシリボースである)で置換された2種類の単一プローブを以下に示す。
【0194】
【化30】

【0195】
ここで、Nは、PPG(49)または置換ピラゾロピリミジン(V、ここで、R=R=−NH、Rはヒドロキシブチリルであり、骨格成分はデオキシリボースである)のいずれかである。プローブ49およびVを、両方の標的を効率よく検出する能力について評価した。融解曲線分析の結果を図9に示す。図9a)は49を用いて得られたデータを表し、図9b)は置換ピラゾロピリミジン(V)を用いて得られたデータを表す。
【0196】
(実施例8)
本実施例は、普遍的な塩基5’ホスホラミダイト(56)の合成を示す。
【0197】
【化31】

【0198】
2−((2R,4R,5R)−4−(ビス(4−メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)−テトラヒドロ−5−(ヒドロキシメチル)フラン−2−イル)−6−メチルイソキノリン−1(2H)−オン(55)。125mlの丸底フラスコに、磁気攪拌棒を入れ、無水ピリジン(10ml)中の化合物(41)(1.03g,2.0mmol)およびジメチルテキシルシリルクロリド(0.59ml,0.536g,3.0mmol)を添加した。得られた混合物を室温で1日間磁気攪拌した。ジメトキシトリチルクロリド(0.88g,2.6mmol)を添加し、反応混合物をさらに1日磁気攪拌した。反応混合物を氷水浴で冷却し、あらかじめ調製しておいたHF−Py錯体(約2.0g,約1.4gHF,約70mmol)のピリジン(10ml)溶液を、シリンジを介して10分間で添加した。得られた混合物を室温でさらに2日間磁気攪拌した。反応混合物をEtOAc(200ml)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100ml)に注意深く注いだ。有機層を分離し、食塩水(50ml)で洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残渣をトルエンと共に2回共沸させ、カラムクロマトグラフィーで精製し、所望の生成物(55)(0.78g,1.36mmol,収率=68%)を白色泡状物として得た。
【0199】
【化32】

【0200】
普遍的な塩基5’ホスホラミダイト(56)。50mlの丸底フラスコに、化合物(2)(0.25g,0.43mmol)、ジイソプロピルアンモニウムテトラゾリド(0.081g,0.47mmol)および攪拌棒を入れた。フラスコを吸引し、アルゴンで満たした。次いで、無水CHCl(5ml)を添加し、その後、2−シアノエチルテトライソプロピルホスホラミダイト(0.259g,0.86mmol)を添加した。得られた混合物をアルゴン下室温で2時間攪拌した。反応混合物をCHCl(50ml)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10ml)でクエンチした。有機溶液を分離し、食塩水(2×10ml)で洗浄し、NaSOで乾燥した。溶液をろ過し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(カラムはヘキサン中の5%EtNであらかじめ洗浄し、その後純粋なヘキサン;Hex中の30%EtOAc)で精製し、純粋な所望の生成物(56)(0.28g,0.36mmol,収率=84%)を白色泡状物として得た。31P NMR(CDCl):144.56(s),144.20(s)。
【0201】
(実施例9)
本実施例は、普遍的な塩基5’ホスホラミダイト(65)の合成を示す。
【0202】
【化33】

【0203】
6,8−ジメチルイソキノリン−1(2H)−オン(61):化合物(61)を、市販の3,5−ジメチルベンズアルデヒド(57)〜(60)から出発して、確立された合成経路に従って調製した(Briet et al,Tetrahedron 58:5761−5766(2002)。H NMR(dmso−d):10.91(bc、1H)、7.21(s、1H)、7.10−7.00(m、2H)、6.36(d、J=7.0Hz、1H)、2.76(s、3H)、2.33(s、3H)。
【0204】
2−((2R,4R,5R)−テトラヒドロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)フラン−2−イル)−6,8−ジメチルイソキノリン−1(2H)−オン(63):0.25L丸底フラスコに、攪拌棒を入れ、化合物(61)(1.0g,5.77mmol)、アセトニトリル(10ml)およびDMF(20ml)を入れた。混合物を、氷水浴を用いて+0℃まで冷却し、水素化ナトリウム(0.150g,5.95mmol)を一度に添加した。5分後、反応混合物を室温まで加温し、1.5時間磁気攪拌した。化合物(62)(2.245g,5.77mmol)を一度に添加し、反応混合物を室温で6時間磁気攪拌した。化合物(62)(0.453g,1.17mmol)をさらに一度に添加し、反応混合物を室温でさらに2時間攪拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、水(50ml)を添加し、混合物をCHCl(2×50ml)で抽出した。有機溶液を食塩水(2×20ml)で洗浄し、MgSOで乾燥し、乾燥剤からろ過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカカラム(DCM中の0〜2%EtOAc)で分離し、純粋なトルイル保護された中間体(0.64g,1.22mmol,収率=21%)を白色泡状物として得た。カラムをさらにEtOAcで洗浄し、純粋な出発物質(61)(0.62g,3.58mmol,収率=62%)をオフホワイト色の固体として得た。トルイル保護された中間体(2.7g,5.14mmol)を、あらかじめ磁気攪拌棒を入れておいた0.5L丸底フラスコに入れ、メタノール(40ml)およびTHF(8ml)を入れた。得られた混合物を+0℃まで冷却し、ナトリウム(0.345g,15.0mmol)およびメタノール(20ml)から新しく調製したナトリウムメトキシドを一度に添加した。反応混合物を+0℃で1時間磁気攪拌した。反応混合物を塩化アンモニウム(1.07g,20mmol)でクエンチし、減圧下で濃縮した。残渣をシリカカラム(ヘキサン/EtOAc/MeOH=4:4:1)で分離し、所望の生成物(63)(1.36g,純度約90%,約4.2mmol,収率=82%)をわずかに紫色の固体として得た。生成物はH NMRによれば約10%のトルエンを含有していた。
【0205】
【化34】

【0206】
2−((2R,4R,5R)−4−(ビス(4−メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)−テトラヒドロ−5−ヒドロキシメチル)フラン−2−イル)−6,8−ジメチルイソキノリン−1(2H)−オン(64)。化合物(64)を化合物(55)と同様に調製した。
【0207】
【化35】

【0208】
普遍的な塩基の5’−ホスホラミダイト(65)。化合物(65)を化合物(56)と同様に調製した。31P NMR(CDCl):144.56(s),144.16(s)。
【0209】
本願明細書中に引用された全ての刊行物および特許出願は、それぞれ個々の刊行物または特許出願が特別におよび個々に参考として援用されることが示されるように、本願明細書中に参考として援用される。上述の発明が、理解を明確にする目的のために説明および実施例を用いていくつか詳細に記載されているが、本発明の教示の観点から、特定の変更および改変が、添付の特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱することなくなされることが当業者に容易に明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0210】
【図1】単位複製配列、プライマーおよびプローブの配列。Faはフルオロセインであり、Fbはテトラクロロフルオロセインである。「a」はSuper ATMである。MGBは置換ジヒドロシクロピロロインドールトリアミド(DPI)であり、MGBTMリガンドは、Epoch Biosciences,Bothell,WAの商標であり、プライマーは太字のイタリックであり、プローブは太字の下線部である。Nは第2の天然多型を表す。[G/T]は目的の多型をあらわす。U40は6−アミノ−2−(4−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−テトラヒドロフラン−2−イル)−2,5−ジヒドロ−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オン(40)である。
【図2】プローブ結合領域中に二塩基多型を含有し、フルオレセインおよびテトラクロロフルオレセインで標識されたプローブを有し、それぞれ第1の多型の野生型および変異型標的に対して相補的なサンプル4188DNAの融解曲線分析。第2の多型に対応する塩基は普遍的な塩基40で置換された。
【図3】シチジン、グアニン、チミンおよびアデニン塩基とのグアニン塩基対幾何配置を提供する。
【図4】シチジン、グアニン、チミンおよびアデニン塩基とのPPG(Super G)塩基対幾何配置を提供する。
【図5】シチジン、グアニン、チミンおよびアデニン塩基とのSuper A塩基対幾何配置を提供する。
【図6a】a)−AgN−、b)−TgN−およびc)CgN−の再近接物についての熱力学的性質を示す。
【図6b】a)−AgN−、b)−TgN−およびc)CgN−の再近接物についての熱力学的性質を示す。
【図6c】a)−AgN−、b)−TgN−およびc)CgN−の再近接物についての熱力学的性質を示す。
【図7】プローブ結合領域中に一塩基多型を含有し、フルオレセインで標識されたプローブを有し、それぞれ多型の野生型および変異型標的に対して相補的なサンプルBARD1−03DNAの融解曲線分析。多型に対応する塩基は普遍的な塩基41または42のいずれかで置換された。
【図8】プローブ結合領域中に二塩基多型を含有し、フルオレセインおよびテトラクロロフルオレセインで標識されたプローブを有し、それぞれ第1の多型の野生型および変異型標的に対して相補的なサンプルBARD1−03DNAの融解曲線分析。第2の多型に対応する塩基は普遍的な塩基40または入り交ざった(無差別な)塩基(V、ここで、R=R=−NH、Rはヒドロキシブチリルであり、Rはデオキシリボースである)のいずれかで置換された。
【図9】プローブ領域中の1個のミスマッチによってのみ異なり、1個のプローブを有するMycobacterium chelonaeおよびM.abscessusの両方の検出を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの一塩基多型を有する標的核酸配列のポリヌクレオチド増幅を連続的にモニタリングするための方法であって、ここで、第1の一塩基多型が識別され、かつ第2の一塩基多型が識別されず、該多型のそれぞれが該標的核酸のプローブ領域に存在し、該方法は、以下の工程:
(a)該標的核酸を含むサンプルと、該標的配列の該プローブ領域に隣接するかまたはそれと重複する1つ以上のオリゴヌクレオチドプライマー、重合酵素、ヌクレオチド基質および下式:
【化1】

を有するオリゴヌクレオチド結合体を混合して混合物を提供する工程であって、
ここで、Mはマイナーグルーブバインダーであり;添字tは0または1であり;Qはクエンチャーであり;Wは連結基であり;Kは結合基または連結基であり;Flはフルオロフォアであり;かつ[A−B]は、n単位を有する核酸オリゴマーを表し、nは5〜50の整数であり;それぞれのAは独立して、糖リン酸骨格、改変糖リン酸骨格、ロックト核酸骨格、ペプチド骨格または核酸調製において使用されるそれらの改変体からなる群より選択される核酸骨格成分を表し;そしてそれぞれのBは独立して、核酸塩基、改変塩基または塩基アナログを表し、ここで、該第2の一塩基多型に対して相補的な部位での塩基は普遍的または入り交ざった(無差別な)塩基であり、該オリゴヌクレオチド部分は増幅される標的配列の一部分に対して相補的な配列を有する、工程;
(b)該混合物を重合に有利な条件下でインキュベートする工程;および
(c)該増幅された標的に対する結合体ハイブリダイゼーションの際に生成される蛍光をモニタリングすることによって増幅を連続的にモニタリングする工程
を包含する、方法。
【請求項2】
前記マイナーグルーブバインダー(M)が、CC1065アナログ、レキシトロプシン、ジスタマイシン、ネトロプシン、ベレニル、デュオカルマイシン、ペンタミジン、4,6−ジアミノ−2−フェニルインドールおよびピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピンアナログからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記マイナーグルーブバインダー(M)が、置換ジヒドロシクロピロロインドールトリアミド(DPI)である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記マイナーグルーブバインダー(M)が、前記オリゴヌクレオチド結合体の5’末端に結合する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記マイナーグルーブバインダー(M)が、前記オリゴヌクレオチド結合体の3’末端に結合する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
Qが約400〜800nmの吸収スペクトルを有するクエンチャーであり、Flが約400〜800nmの発光波長を有するフルオロフォアである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記フルオロフォア(Fl)が、クマリン、レゾルフィン、キサンテン、ベンゾキサンテン、シアニンおよびBODIPYアナログからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記クエンチャー(Q)が、モノアゾ色素およびビスアゾ色素からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記糖リン酸骨格(A)が、長さが8〜25のヌクレオチドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記蛍光が、前記プローブと前記標的核酸配列とのハイブリダイゼーションの際に直接生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記蛍光が、標的核酸配列とのハイブリダイゼーションの際に結合体プローブからのクエンチャーまたはフルオロフォアの酵素的切断によって生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記普遍的な塩基が、表1に提供される群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記入り交ざった塩基が、表2に提供される群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記入り交ざった(無差別な)塩基が、下式:
【化2】

を有し、
ここで、RおよびRはOHおよびNHからなる群より独立して選択され、RまたはRのうち少なくとも1つはNHであり;Rは、H、(C〜C12)アルキル、(C〜C12)アルケニル、(C〜C12)アルキニル、(C〜C12)ヘテロアルキル、(C〜C12)ヘテロアルケニル、(C〜C12)ヘテロアルキニル、−O−(C〜C12)アルキル、−O−(C〜C12)アルケニル、−O−(C〜C12)アルキニル、−S−(C〜C12)アルキル、−S−(C〜C12)アルケニル、−S−(C〜C12)アルキニル、ヘテロシクリル(C〜C12)アルキル、ヘテロシクリル(C〜C12)アルケニル、ヘテロシクリル(C〜C12)アルキニル、アリール(C〜C12)アルキル、アリール(C〜C12)アルケニル、アリール(C〜C12)アルキニル、アリール、ヘテロシクリル、ハロゲン、−CNおよび−CONHからなる群より選択されるメンバーであり、ここで、Rの脂肪族部分が、1つまたは2つのヒドロキシ基、アミノ基またはハロゲン基でさらに置換され;波線は前記プローブの残りの部分に対する結合点を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも2つの一塩基多型を有する標的ポリヌクレオチド配列において野生型標的ポリヌクレオチド、変異型標的ポリヌクレオチドおよびヘテロ接合体標的ポリヌクレオチドをサンプル中で識別するための方法であって、第1の多型が識別され、第2の一塩基多型が識別されず、該第1および第2の多型のそれぞれが該標的ポリヌクレオチドのプローブ領域に存在し、該方法は、以下:
(a)該標的ポリヌクレオチド配列を含む該サンプルと、目的の第1の多型をそれぞれ識別する第1のプローブおよび第2のプローブとを接触させて混合物を提供する工程であって、ここで該第1のプローブは、野生型標的ポリヌクレオチドに対して優先的にハイブリダイズし、該第2のプローブは、該変異型標的ポリヌクレオチドに対して優先的にハイブリダイズし、該第1および第2のプローブは、それぞれ独立して選択された式:
【化3】

を有し、
ここで、Mはマイナーグルーブバインダーであり;添字tは0または1であり;Qはクエンチャーであり;Wは連結基であり;Kは結合または連結基であり;Flはフルオロフォアであり、各プローブは異なるフルオロフォアを有し;そして[A−B]はn単位を有する核酸オリゴマーを表し、nは5〜50の整数であり;それぞれのAは独立して、糖リン酸骨格、改変糖リン酸骨格、ロックト核酸骨格、ペプチド骨格または核酸調製において使用されるそれらの改変体からなる群より選択される核酸骨格成分を表し;そして、それぞれのBは独立して、核酸塩基、改変塩基または塩基アナログを表し、ここで、該第2の一塩基多型に対して相補的な部位での塩基は普遍的または入り交ざった(無差別な)塩基であり、該オリゴヌクレオチド部分は増幅される標的配列の一部分に対して相補的な配列を有する、工程;および
(b)ハイブリッド形成で生成される蛍光を測定し、それによって、ハイブリッド形成が野生型標的ポリヌクレオチド、変異型標的ポリヌクレオチドおよびヘテロ接合体標的ポリヌクレオチドそれぞれの存在または非存在を示す工程
を包含する、方法。
【請求項16】
前記マイナーグルーブバインダー(M)が、CC1065アナログ、レキシトロプシン、ジスタマイシン、ネトロプシン、ベレニル、デュオカルマイシン、ペンタミジン、4,6−ジアミノ−2−フェニルインドールおよびピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピンアナログからなる群より選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記マイナーグルーブバインダー(M)が置換ジヒドロシクロピロロインドールトリアミド(DPI)である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記マイナーグルーブバインダー(M)が前記オリゴヌクレオチド結合体の5’末端に結合する、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記マイナーグルーブバインダー(M)が前記オリゴヌクレオチド結合体の3’末端に結合する、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
Qが約400〜800nmの吸収スペクトルを有するクエンチャーであり、Flが約400〜800nmの発光波長を有するフルオロフォアである、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記フルオロフォア(Fl)が、クマリン、レゾルフィン、キサンテン、ベンゾキサンテン、シアニンおよびBODIPYアナログからなる群より選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記クエンチャー(Q)がモノアゾ色素およびビスアゾ色素からなる群より選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記糖リン酸骨格(A)が、長さが8〜25のヌクレオチドを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
前記蛍光が、前記プローブと前記標的核酸配列とのハイブリダイゼーションの際に直接生成される、請求項15に記載の方法。
【請求項25】
前記蛍光が、標的核酸配列とのハイブリダイゼーションの際に結合体プローブからのクエンチャーまたはフルオロフォアの酵素的切断によって生成される、請求項15に記載の方法。
【請求項26】
前記普遍的な塩基が表1に提供される群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項27】
前記入り交ざった塩基が表2に提供される群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項28】
前記入り交ざった(無差別な)塩基が、下式:
【化4】

を有し、
ここで、RおよびRはOHおよびNHからなる群より独立して選択され、RおよびRのうち少なくとも1つはNHであり;Rは、H、(C〜C12)アルキル、(C〜C12)アルケニル、(C〜C12)アルキニル、(C〜C12)ヘテロアルキル、(C〜C12)ヘテロアルケニル、(C〜C12)ヘテロアルキニル、−O−(C〜C12)アルキル、−O−(C〜C12)アルケニル、−O−(C〜C12)アルキニル、−S−(C〜C12)アルキル、−S−(C〜C12)アルケニル、−S−(C〜C12)アルキニル、ヘテロシクリル(C〜C12)アルキル、ヘテロシクリル(C〜C12)アルケニル、ヘテロシクリル(C〜C12)アルキニル、アリール(C〜C12)アルキル、アリール(C〜C12)アルケニル、アリール(C〜C12)アルキニル、アリール、ヘテロシクリル、ハロゲン、−CNおよび−CONHからなる群より選択されるメンバーであり、ここで、Rの脂肪族部分が、1つまたは2つのヒドロキシ基、アミノ基またはハロゲン基でさらに置換され;波線は前記プローブの残りの部分に対する結合点を示す、請求項15に記載の方法。
【請求項29】
少なくとも2つの一塩基多型を有する標的ポリヌクレオチド配列において野生型標的ポリヌクレオチド、変異型標的ポリヌクレオチドおよびヘテロ接合型標的ポリヌクレオチドをサンプル中で識別するための方法であって、第1の多型が識別され、第2の一塩基多型が識別されず、該第1および第2の多型のそれぞれが前記標的ポリヌクレオチドのプローブ領域に存在し、該方法は、以下:
(a)該標的ポリヌクレオチド配列を含む該サンプルと、目的の第1の多型をそれぞれ識別する第1のプローブおよび第2のプローブとを接触させて混合物を提供する工程であって、ここで該第1のプローブは、野生型標的ポリヌクレオチドに優先的にハイブリダイズし、第2のプローブは、変異型標的ポリヌクレオチドに優先的にハイブリダイズし、該第1および第2のプローブはそれぞれ独立して選択された式:
【化5】

を有し、
ここで、Mはマイナーグルーブバインダーであり;添字tは0または1であり;Qはクエンチャーであり;Wは連結基であり;Kは結合または連結基であり;Flはフルオロフォアであり、各プローブは異なるフルオロフォアを有し;そして[A−B]はn単位を有する核酸オリゴマーを表し、nは5〜50の整数であり;それぞれのAは独立して、糖リン酸骨格、改変糖リン酸骨格、ロックト核酸骨格、ペプチド骨格または核酸調製において使用されるそれらの改変体からなる群より選択される核酸骨格成分を表し;そしてそれぞれのBは独立して、核酸塩基、改変塩基または塩基アナログを表し、ここで、該第2の一塩基多型に対して相補的な部位での塩基は普遍的または入り交ざった(無差別な)塩基であり、該オリゴヌクレオチド部分は増幅される標的配列の一部分に対して相補的な配列を有する、工程;および
(b)ハイブリッド形成の融解曲線分析を用いて蛍光を測定して、野生型標的ポリヌクレオチド、変異型標的ポリヌクレオチドおよびヘテロ接合体標的ポリヌクレオチドのそれぞれの存在または非存在を決定する工程
を包含する、方法。
【請求項30】
前記マイナーグルーブバインダー(M)が、CC1065アナログ、レキシトロプシン、ジスタマイシン、ネトロプシン、ベレニル、デュオカルマイシン、ペンタミジン、4,6−ジアミノ−2−フェニルインドールおよびピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピンアナログからなる群より選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記マイナーグルーブバインダー(M)が置換ジヒドロシクロピロロインドールトリアミド(DPI)である、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記マイナーグルーブバインダー(M)が前記オリゴヌクレオチド結合体の5’末端に結合する、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記マイナーグルーブバインダー(M)が前記オリゴヌクレオチド結合体の3’末端に結合する、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
Qが約400〜800nmの吸収スペクトルを有するクエンチャーであり、Flが約400〜800nmの発光波長を有するフルオロフォアである、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記フルオロフォア(Fl)が、クマリン、レゾルフィン、キサンテン、ベンゾキサンテン、シアニンおよびBODIPYアナログからなる群より選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
前記クエンチャー(Q)がモノアゾ色素およびビスアゾ色素からなる群より選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項37】
前記糖リン酸骨格(A)が、長さが8〜25のヌクレオチドを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項38】
前記蛍光が、前記プローブと前記標的核酸配列とのハイブリダイゼーションの際に直接生成される、請求項29に記載の方法。
【請求項39】
前記蛍光が、標的核酸配列とのハイブリダイゼーションの際に結合体プローブからのクエンチャーまたはフルオロフォアの酵素的切断によって生成される、請求項29に記載の方法。
【請求項40】
前記普遍的な塩基が表1に提供される群から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項41】
前記入り交ざった塩基が表2に提供される群から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項42】
前記入り交ざった(無差別な)塩基が、下式:
【化6】

を有し、
ここで、RおよびRはOHおよびNHからなる群より独立して選択され、RおよびRのうち少なくとも1つはNHであり;Rは、H、(C〜C12)アルキル、(C〜C12)アルケニル、(C〜C12)アルキニル、(C〜C12)ヘテロアルキル、(C〜C12)ヘテロアルケニル、(C〜C12)ヘテロアルキニル、−O−(C〜C12)アルキル、−O−(C〜C12)アルケニル、−O−(C〜C12)アルキニル、−S−(C〜C12)アルキル、−S−(C〜C12)アルケニル、−S−(C〜C12)アルキニル、ヘテロシクリル(C〜C12)アルキル、ヘテロシクリル(C〜C12)アルケニル、ヘテロシクリル(C〜C12)アルキニル、アリール(C〜C12)アルキル、アリール(C〜C12)アルケニル、アリール(C〜C12)アルキニル、アリール、ヘテロシクリル、ハロゲン、−CNおよび−CONHからなる群より選択されるメンバーであり、ここで、Rの脂肪族部分が、1つまたは2つのヒドロキシ基、アミノ基またはハロゲン基でさらに置換され;波線は前記プローブの残りの部分に対する結合点を示す、請求項29に記載の方法。
【請求項43】
少なくとも2つの一塩基多型を有する標的ポリヌクレオチド配列において野生型標的ポリヌクレオチド、変異型標的ポリヌクレオチドおよびヘテロ接合体標的ポリヌクレオチドをサンプル中で識別するための方法であって、第1の多型が識別され、第2の一塩基多型が識別されず、該第1および第2の多型のそれぞれが該標的核酸のプローブ領域に存在し、該方法は、
(a)識別されることが意図されない1つ以上の多型を含む、少なくとも1つの標的ポリヌクレオチド配列を含むサンプルと、該野生型標的ポリヌクレオチドおよび変異型標的ポリヌクレオチドの両方にハイブリダイズするプローブとを接触させて混合物を提供する工程であって、ここで該プローブは該変異型標的ポリヌクレオチドと比較して該野生型標的ポリヌクレオチドに優先的にハイブリダイズし、該プローブは下式:
【化7】

を有し、
ここで、Mはマイナーグルーブバインダーであり;添字tは0または1であり;Qはクエンチャーであり;Wは連結基であり;Kは結合または連結基であり;Flはフルオロフォアであり;そして[A−B]はn単位を有する核酸オリゴマーを表し、nは5〜50の整数であり;それぞれのAは独立して、糖リン酸骨格、改変糖リン酸骨格、ロックト核酸骨格、ペプチド骨格または核酸調製において使用されるそれらの改変体からなる群より選択される核酸骨格成分を表し;そしてそれぞれのBは独立して、核酸塩基、改変塩基または塩基アナログを表し、ここで、該第2の一塩基多型に対して相補的な部位での塩基は普遍的または入り交ざった(無差別な)塩基であり、該オリゴヌクレオチド部分は増幅される標的配列の一部分に対して相補的な配列を有する、工程;および
(b)ハイブリッド形成で生成される蛍光を測定し、それによって、ハイブリッド形成が野生型標的ポリヌクレオチド、変異型標的ポリヌクレオチドおよびヘテロ接合体標的ポリヌクレオチドそれぞれの存在または非存在を示す工程
を包含する、方法。
【請求項44】
以下:
【化8】

からなる群より選択される化合物。
【請求項45】
請求項44に記載の化合物を用いて調製されるオリゴヌクレオチドプライマーまたはオリゴヌクレオチドプローブ。
【請求項46】
表2の化合物49、化合物50、化合物51、化合物52、化合物54および化合物55からなる群より選択される1つ以上の入り交ざった塩基を含むオリゴヌクレオチドプライマー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−510401(P2007−510401A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534123(P2006−534123)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【国際出願番号】PCT/US2004/032265
【国際公開番号】WO2005/035545
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(500461572)エポック・バイオサイエンシーズ・インコーポレイテッド (4)
【住所又は居所原語表記】2172023RD DRIVE,S.E.,SUITE 150,BOTHELL,WASHINGTON 98021,UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】