高機能衣類
【課題】高機能衣類において、着心地の低下や生地表への外観的な影響、皮膚障害の発生などを解消除去する。
【解決手段】コース長さを有限としつつウエール方向へ延伸する状態で編成された第1編成部5と、この第1編成部5にコース方向で隣接する状態で編成された第2編成部6とを有し、第1編成部5の編成糸は1コースの端部で1ウエール分進んでコースを相対逆向きに編成されることを繰り返しながら編成されたものであると共に、第2編成部6の編成糸は1コースの端部で1ウエール分進んでコースを相対逆向きに編成されることを繰り返しながら編成されたものであり、且つ第1編成部5と第2編成部6との境界部ではそれぞれのコース端に現出したループ同士が互いに一体編成されている。
【解決手段】コース長さを有限としつつウエール方向へ延伸する状態で編成された第1編成部5と、この第1編成部5にコース方向で隣接する状態で編成された第2編成部6とを有し、第1編成部5の編成糸は1コースの端部で1ウエール分進んでコースを相対逆向きに編成されることを繰り返しながら編成されたものであると共に、第2編成部6の編成糸は1コースの端部で1ウエール分進んでコースを相対逆向きに編成されることを繰り返しながら編成されたものであり、且つ第1編成部5と第2編成部6との境界部ではそれぞれのコース端に現出したループ同士が互いに一体編成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高機能衣類に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばスポーツウエアとして利用されるスパッツなどの衣類のなかには、サポーター機能又は筋力鍛錬機能を持たせるため、緊締力の強いパワー部が部分的に設けられたものがあり、このような衣類は周知である(例えば特許文献1等参照)。また補整下着として利用されるブラジャーやガードルなどの衣類にも、パワー部が部分的に設けられたものがある。これらの種の衣類において、パワー部はカットボスにより編成したりカットソーを行ったりして製作する。
【特許文献1】特開2004−156199号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
パワー部をカットボスにより編成した衣類では、当然のことながら衣類内面に足し糸の始端と終端とが現れる。しかもこれら足し糸の始端及び終端はコースごとに発生し、これがウエール方向に繋がるため、これがパワー部の輪郭に沿ったライン状の膨らみを形成したものとなっている。
またパワー部をカットソーにより設けた衣類では、衣類内面に縫着糸が現れ、これがライン状の膨らみを形成するだけでなく、パワー部を別途形成させていることに伴ってライン状の膨らみにはこの生地端も含まれることになり、膨らみがより際だち且つゴワついた存在となっている。
【0004】
このように衣類内面に生じたライン状の膨らみは、着心地を低下させたり生地表への外観的な影響を及ぼしたりすることがあり、甚だしい場合には皮膚障害の原因となるおそれもあった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、着心地の低下や生地表への外観的な影響、皮膚障害の発生などを解消除去することができる高機能衣類を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本発明は次の手段を講じた。
即ち、本発明に係る高機能衣類は、コース長さを有限としつつウエール方向へ延伸する状態で編成された第1編成部と、この第1編成部にコース方向で隣接する状態で編成された第2編成部とを有したものであって、第1編成部の編成糸は1コースの端部で1ウエール分進んでコースを相対逆向きに編成されることを繰り返しながら編成されたものであると共に、第2編成部の編成糸は1コースの端部で1ウエール分進んでコースを相対逆向きに編成されることを繰り返しながら編成されたものであり、且つ第1編成部と第2編成部との境界部ではそれぞれのコース端に現出したループ同士が互いに一体編成されていることを特徴とする。
【0006】
なお、例えば、第1編成部は地糸と添え糸とでプレーティング編されたものとすることができる。この場合、第1編成部は、添え糸が緊締力の強い弾性糸であるものとして、パワー部を形成させることができる。
また第1編成部は、プレーティング編することが限定されるものではなく、編成糸が緊締力の強い弾性糸であるものとすることでパワー部を形成させることができる。
【0007】
このような構成の本発明に係る高機能衣類において、第1編成部及び第2編成部は、コースごとに糸入れ部(足し糸の始端)や糸抜け部(足し糸の終端)を有したものではないので、衣類内面にライン状に膨らんだ部分は生じない。
しかも第1編成部と第2編成部との境界部ではそれぞれのコース端に現出したループ同士が互いに一体編成されているので、この境界部においても衣類内面でライン状に膨らんだ部分は生じていない。
【0008】
その結果、本発明に係る高機能衣類は、衣類内面に不都合な膨らみはなく、着心地の低
下や生地表への外観的な影響、皮膚障害の発生などを解消除去することができる。
本発明に係る高機能衣類は、衣類形体が、ブラジャー、ショーツ、ブリーフ、ガードル、パンツ、スパッツ、シャツ、筒型サポーターのいずれか一つ(好ましくはボディサイズのもの)として実施することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る高機能衣類では、着心地の低下や生地表への外観的な影響、皮膚障害の発生などを解消除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
[第1実施形態]
図1乃至図4は、本発明に係る高機能衣類1の第1実施形態を示している。図2から明かなように、本第1実施形態の高機能衣類1ではその衣類形体をスポーツ用スパッツとしてあり、左右の膝頭部2を取り囲むようにしてその上部側の大腿部3や下部側の脛部4などに第1編成部5が設けられている。またこれら第1編成部5まわりを補填するような状態で衣類形体を形成するように、第2編成部6が設けられている。
【0011】
第1編成部5を編成する編成糸は緊締力の強い弾性糸とされており、第2編成部6を編成する編成糸は緊締力の弱い糸とされている。従ってこの高機能衣類1を着用することで、第1編成部5により生ずる強い緊締力を利用して、身体の所定部位にサポーター機能又は筋力鍛錬機能を得ることができる。
第1編成部5に使用する編成糸(緊締力の強い弾性糸)としては、例えばポリウレタン繊維等を含む素材(単独又はカバリングなどの複合構造を有したもの)を使用可能である。また第2編成部6に使用する編成糸(緊締力の弱い糸)としては、例えば合成繊維糸(ポリエステルやナイロン等)、半合成繊維糸(レーヨン等)、天然糸(綿、ウール、絹等)、緊締力の比較的弱い弾性糸(ポリウレタン等)、或いはこれらを組み合わせた複合糸などを使用可能である。
【0012】
第1編成部5及び第2編成部6は、いずれも高機能衣類1の丈方向をウエール方向、胴まわり方向をコース方向として編成されているが、第1編成部5は「コース長さが有限とされた領域」を有したものである。即ち、第1編成部5はコース方向がエンドレスとなる部分だけで構成された、所謂、筒状生地のようなものとは異なる。
それ故に、例えば図1から明かなように、第1編成部5における「コース長さが有限とされた領域」にはウエール方向でコース端5a,5bが並んで形成されたものとなっており、このうち一方のコース端5aから他方のコース端5bまでの間を、上記第2編成部6が繋ぐような状態となっている。
【0013】
第1編成部5は上記のように緊締力の強い弾性糸によって編成されているが、好ましくは地糸と添え糸とでプレーティング編した編み構造とすることで、緊締力を一層強くさせるとよい。この場合、地糸又は添え糸のうち一方(例えば添え糸)に緊締力の強い弾性糸を使用し、同他方(例えば地糸)に第2編成部6で使用しているのと同じ、緊締力の弱い糸を使用すればよい。なお、地糸及び添え糸の双方に緊締力の強い弾性糸を使用してもよい。
【0014】
第1編成部5は、その編成糸が1コースの端部で1ウエール分進んでコースを相対逆向きに編成されることを繰り返しながら編成されたものとなっている(なお図3(B)参照)。従ってその編成糸は一編成部内にあってエンドレス(編み始めから編み終わりまでが1本)の状態にある。
これに対し、第2編成部6は緊締力の弱い編成糸によって編成されているため、身体へのフィット性や通気性、動き易さなどに重点をおいた生地特性が得られるものとなっている。
【0015】
この第2編成部6の基本的な編成構造については第1編成部5と略同様であり、当該第2編成部6を形成するための編成糸が1コースの端部で1ウエール分進んでコースを相対逆向きに編成されることを繰り返しながら編成されたものとなっている(なお図3(B)参照)。従ってその編成糸は一編成部内にあってエンドレス(編み始めから編み終わりま
でが1本)の状態にある。
【0016】
ここにおいて第1編成部5は、第2編成部6をベースとしつつカットボスにより編成されたものでもカットソーにより結合(縫着)されたものでもなく、これら第1編成部5と第2編成部6とが互いに一体的に編成され、フラットの編み構造になっているところに特徴がある。
すなわち、図3(A)に示すように、第1編成部5と第2編成部6との境界部ではそれぞれのコース端に現出したループが閉じられており(切れた部分が無く)、またこれらのループが両編成部5,6間で互いに絡められるようにして編成されている。そのため、第1編成部5及び第2編成部6は、コースごとに糸入れ部(足し糸の始端)や糸抜け部(足し糸の終端)を有したものではなく、その結果、衣類内面でライン状に膨らむ部分を生じないものとなっている。
【0017】
このことから、本第1実施形態に係る高機能衣類1は衣類内面に不都合な膨らみがなく、着心地の低下や生地表への外観的な影響、皮膚障害の発生などを解消除去することができる。
このような高機能衣類1は、図4に示すように横編機10を用いて編成することができる。例えばこの横編機10は、複数のヤーンキャリア11〜14に各別に編成糸が給糸されており、キャリッジ15がベッド16に沿って走行する過程で、任意のヤーンキャリア11〜14を選択してキャリッジ15に連結できる構成であるとおく。なお、第2のヤーンキャリア12に弾性糸が給糸されているものとする。
[第一編成例]
いま、図1に示したように左側から右側へ向けて第1の第2編成部6(6A)、第1編成部5、第2の第2編成部6(6B)を編み立てる場合を説明すると、キャリッジ15がベッド16を左部から右方へ向け走行するときに、第1の第2編成部6Aを編成すべき領域の左端位置で第1のヤーンキャリア11を選択した1コース分の編成を開始させ、編成ができた段階で選針機の切り替えにより針を不作用状態にし、第1のヤーンキャリア11を選択した編成を中断させる。
【0018】
キャリッジ15が第1編成部5を編成すべき領域の左端位置に達した時点から第2のヤーンキャリア12を選択して、当該領域中における1コース分の編成を開始させる。第1編成部5をプレーティング編する場合は、このとき同時に第3のヤーンキャリア13をも選択してプレーティング編を行う。編成ができた段階で選針機の切り替えにより針を不作用状態にし、第2のヤーンキャリア12(及び第3のヤーンキャリア13)を選択した編成を中断させる。
【0019】
キャリッジ15が第2の第2編成部6Bを編成すべき領域の左端位置に達した時点から第4のヤーンキャリア14を選択して、当該領域中における1コース分の編成を開始させる。この1コース分の編成が終わった段階でキャリッジ15をコース逆向きに走行させつつ、引き続き第2の第2編成部6Bについて1コース分の編成を開始させる。
このようにして第2の第2編成部6Bを2コース分編成し終えた段階で選針機の切り替えにより針を不作用状態にし、第4のヤーンキャリア14を選択した編成を中断させる。
【0020】
キャリッジ15が第1編成部5を編成すべき領域の右端位置に達した時点から第2のヤーンキャリア12(及び第3のヤーンキャリア13)を選択して、当該領域中における1コース分の編成を開始させる。編成ができた段階で選針機の切り替えにより針を不作用状態にし、第2のヤーンキャリア12(及び第3のヤーンキャリア13)を選択した編成を中断させる。
【0021】
そしてまた、キャリッジ15が第1の第2編成部6Aを編成すべき領域の右端位置に達した時点から第1のヤーンキャリア11を選択して、当該領域中における1コース分の編成を開始させる。この1コース分の編成が終わった段階でキャリッジ15をコース逆向きに走行させる、という具合に、以降、同様に編成動作を繰り返して編み降ろしてゆく。
[第二編成例]
図1に示したように左側から右側へ向けて第1の第2編成部6(6A)、第1編成部5、第2の第2編成部6(6B)を編み立てる場合にあって、キャリッジ15がベッド16
を左部から右方へ向け走行するときに、第1の第2編成部6Aを編成すべき領域の左端位置で第1のヤーンキャリア11を選択した1コース分の編成を開始させ、編成ができた段階で選針機の切り替えにより針を不作用状態にし、第1のヤーンキャリア11を選択した編成を中断させる。
【0022】
キャリッジ15をそのままベッド16の右方へと空走行させ、全編成域のストローク右端で走行向きを反転させる。次にキャリッジ15をベッド16の左方へと空走行させ、第1の第2編成部6Aを編成すべき領域の右端位置へ達した時点で当該領域中における1コース分の編成を再開させる。このようにして第1の第2編成部6Aを2コース分編成し終えた段階で選針機の切り替えにより針を不作用状態にし、第1のヤーンキャリア11を選択した編成を中断させる。
【0023】
全編成域のストローク左端でキャリッジ15の走行向きを反転させてキャリッジ15をベッド16の右方へと空走行させ、第1編成部5を編成すべき領域の左端位置に達した時点から第2のヤーンキャリア12を選択して、当該領域中における1コース分の編成を開始させる。第1編成部5をプレーティング編する場合は、このとき同時に第3のヤーンキャリア13をも選択してプレーティング編を行う。編成ができた段階で選針機の切り替えにより針を不作用状態にし、第2のヤーンキャリア12(及び第3のヤーンキャリア13)を選択した編成を中断させる。
【0024】
キャリッジ15をそのままベッド16の右方へと空走行させ、全編成域のストローク右端で走行向きを反転させる。次にキャリッジ15をベッド16の左方へと空走行させ、第1編成部5を編成すべき領域の右端位置へ達した時点で当該領域中における1コース分の編成を再開させる。このようにして第1編成部5を2コース分編成し終えた段階で選針機の切り替えにより針を不作用状態にし、第2のヤーンキャリア12(及び第3のヤーンキャリア13)を選択した編成を中断させる。
【0025】
全編成域のストローク左端でキャリッジ15の走行向きを反転させてキャリッジ15をベッド16の右方へと空走行させ、第2の第2編成部6Bを編成すべき領域の左端位置に達した時点から第4のヤーンキャリア14を選択して、当該領域中における1コース分の編成を開始させる。編成ができた段階で選針機の切り替えにより針を不作用状態にし、第4のヤーンキャリア14を選択した編成を中断させる。
【0026】
キャリッジ15をそのままベッド16の右方へと空走行させ、全編成域のストローク右端で走行向きを反転させる。次にキャリッジ15をベッド16の左方へと空走行させ、第2の第2編成部6Bを編成すべき領域の右端位置へ達した時点で当該領域中における1コース分の編成を再開させる。このようにして第2の第2編成部6Bを2コース分編成し終えた段階で選針機の切り替えにより針を不作用状態にし、第4のヤーンキャリア14を選択した編成を中断させる。
【0027】
以降、同様に編成動作を繰り返して編み降ろしてゆく。
次に、開示技術(以下「第2実施形態」と言う)について説明する。
[第2実施形態]
図5及び図6は第2実施形態を示している。なお、本第2実施形態の高機能衣類1もその衣類形体を第1実施形態と同様のスポーツ用スパッツとし、また第1編成部5や第2編成部6の配置も第1実施形態と同様とする。
【0028】
第1編成部5及び第2編成部6が、それぞれ高機能衣類1の丈方向をウエール方向、胴まわり方向をコース方向として編成され、また第1編成部5が「コース長さが有限とされた領域」を有したものである点も、第1実施形態と同じとする。
図5から明らかなように、本第2実施形態において、第1編成部5は地糸20と添え糸21とでプレーティング編されたものとなっており、これに対して第2編成部6は地糸20のみによって編成されている。
【0029】
第1編成部5の添え糸21は、1コースの端部で1ウエール分進んでコースを相対逆向きに編成されることを繰り返しながら編成されている。従ってこの添え糸21は第1編成部5内にあってエンドレス(編み始めから編み終わりまでが1本)の状態にある。
第1編成部5の地糸20についても、1コースの端部で1ウエール分進んでコースを相
対逆向きに編成されることを繰り返しながら編成されているが、その1コースの端部は、添え糸21における1コースの端部を超えて編成されている。この超えて編成された地糸20で、当該第1編成部5に対して隣接する第2編成部6の一部又は全部が編成されている。
【0030】
第1編成部5において、添え糸21は緊締力の強い弾性糸とされており、地糸20は緊締力の弱い糸とされている。なお、第1編成部5の地糸20と第2編成部6の地糸20とは、上記した編成法を採り入れることに伴い、素材的に同じものとなっている。
添え糸21としては、例えばポリウレタン繊維等を含む素材(単独又はカバリングなどの複合構造を有したもの)を使用可能である。また地糸20としては、例えば合成繊維糸(ポリエステルやナイロン等)、半合成繊維糸(レーヨン等)、天然糸(綿、ウール、絹等)、緊締力の比較的弱い弾性糸(ポリウレタン等)、或いはこれらを組み合わせた複合糸などを使用可能である。
【0031】
従って、この高機能衣類1を着用することで、第1編成部5により生ずる強い緊締力を利用して、身体の所定部位にサポーター機能又は筋力鍛錬機能を得ることができ、また第2編成部6により生ずる緊締力を利用して、身体へのフィット性や通気性、動き易さなどを得ることができる。
以上説明したところから明かなように、第1編成部5は地糸20と添え糸21とによりプレーティング編されている領域であり、決して、地糸20による編成生地をベースとしつつカットボスにより編成されたものでもカットソーにより結合(縫着)されたものでもない。
【0032】
そのため本第2実施形態に係る高機能衣類1もまた、第1編成部5と第2編成部6との境界部に、コースごとの糸入れ部(足し糸の始端)や糸抜け部(足し糸の終端)は生じておらず、その結果、衣類内面でライン状に膨らむ部分を生じないものとなっている。このように衣類内面に不都合な膨らみがないことから、着心地の低下や生地表への外観的な影響、皮膚障害の発生などを解消除去することができる。
[編成例]
本第2実施形態の高機能衣類1を、回転方向切替機構付きの丸編機を用いて編成する場合を説明する。
【0033】
この丸編機は、シリンダを所定回転角度(例えば90°おきとか180°おきとか)で正転と逆転とに交互に切り替えさせるような運転制御が可能なものとする。また、シリンダに対する周方向の4等配位置に地糸20用の給糸口を設置し、更にこれらのうち交互配置となる周方向2等配位置に添え糸21用の給糸口を設置してあるものとする。
この丸編機を使用すれば、図6に示すように、本第2実施形態の高機能衣類1を編成するうえで、筒形をその周方向で四分割したブロック(1A,1B,1C,1D)とおいて、これら4つのブロック1A,1B,1C,1Dの編成を同時に進めるように編み降ろしてゆくことができる。
【0034】
すなわち、各ブロック1A,1B,1C,1Dの一端a1,b1,c1,d1を1コースの編成開始位置とおくと、それぞれの位置から1/4円周分(90°)離れた他端a2,b2,c2,d2が、各ブロック1A,1B,1C,1Dのコース折り返し位置a2,b2,c2,d2となる。
そこで例えば、シリンダが図6の時計回り方向で90°回転するとき、ブロック1Aでは一端a1から編成が開始され、他端a2へ達したときにシリンダが一旦停止する。そして、シリンダが直ちに反時計回り方向へ向けて逆転を始めるようになり、このときこの他端a2では1ウエール分が進められたうえで、コースを相対逆向きにして再び1コースの編成が開始される、という状況となる。
【0035】
このような編成が各ブロック1A,1B,1C,1Dで一斉に実施され、繰り返されて全体が編み降ろされる、ということになるのである。
そして、このような編成を実施するなかで、地糸20が給糸される給糸口位置では、常に編成針が編成稼働位置に保持される一方、添え糸21が給糸される給糸口位置では、第1編成部5を編成すべきときだけ編成針が編成稼働位置に保持され、第2編成部6に相当
するときには編成針は選針機により不作動位置へ切り替えられるように制御される。
[その他の実施形態]
ところで、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。
【0036】
例えば衣類形体は、図7に示すようなブラジャーとしてもよいし、その他、ショーツ、ブリーフ、ガードル、パンツ、シャツ、筒型サポーターなどとしてもよい。また利用目的も、スポーツ用のサポーター機能や筋力鍛錬機能を得るためのものに限らず、体型の補整機能を得るためとしてもよい。
第1実施形態において、横編機を使用することが限定されるものではなく回転方向切替機構付きの丸編機を使用することもできる。この場合、丸編機はコース長の長い方の編成部(5,6)に合わせてシリンダの回転方向を所定回転角度ごと(コース長分ごと)、逆転させるという動作を繰り返させればよいことになる。
【0037】
また第2実施形態では横編機を使用することも可能である。
いずれの実施形態においても、第1編成部5や第2編成部6の編み目構造については特に限定されるものではなく、天竺やフライス編みなど、適宜採用すればよい。
衣類形体として図8に示すようなパンツにする場合(図8(A)は前面を示し同(B)は後面を示してある)、股下から殿列にわたる領域を第1編成部5とし、そのまわりを第2編成部6として形成することができる。
【0038】
この場合、第1編成部5の編成糸(プレーティング編する場合であれば添え糸とする方)には、吸汗性、速乾性を豊富にする目的で、例えば次のような素材を用いることができる。
・X字断面ポリエステル(例えば東レ社製の商品名:シルスペリオール)
・キュプラとポリエステルとの複合糸(例えば旭化成社製の商品名:アクティコット)
・不定形断面ポリエステル(例えば帝人社製の商品名:カルキュロ)
・吸湿ナイロン(例えば東レ社製の商品名:キュープ)
・綿とポリエステルとの複合糸(例えば東洋紡社製の商品名:フィラシス)
・多孔質ポリエステル(例えば帝人社製の商品名:ウエルキー)
・ポリエステルとエバールとの複合繊維(例えばクラレ社製の商品名:ソフィスタ)
・Y字断面ポリエステル(例えばカネボウ合繊社製の商品名:アクアステルス)
・異形断面アクリル(例えば三菱レイヨン社製の商品名:コラックス)
・吸放湿ナイロン(例えばユニチカ社製の商品名:ハイグラ)
なお、第2編成部6の編成糸には、例えば合成繊維糸(ポリエステルやナイロン等)、半合成繊維糸(レーヨン等)、天然糸(綿、ウール、絹等)、弾性糸(ポリウレタン等)、或いはこれらを組み合わせた複合糸などを使用可能である。
【0039】
第1編成部5の編成糸には、上記の他、冷感性を豊富にする目的で、例えば次の素材を用いることができる。
・ポリエステルとエバールとの複合繊維(例えばクラレ社製の商品名:ソフィスタ)
・デュポン社製の商品名:クールマックス
・東レ社製の商品名:クールイン
衣類形体として図9に示すようなシャツにする場合、脇の下領域を第1編成部5とし、そのまわりを第2編成部6として形成し、このうち第1編成部5に吸汗性、速乾性を豊富にさせたり、或いは冷感性を豊富にさせたりする目的で、第1編成部5の編成糸として上記の各種素材(図8に関して説明した各素材)を用いることも可能である。
【0040】
衣類形体として図10に示すような丈の短いパンツにする場合、股下部分の中央領域を第1編成部5とし、そのまわりを第2編成部6として形成することができる。
この場合、第1編成部5の編成糸(プレーティング編する場合であれば添え糸とする方)には、消臭性を豊富にする目的で、例えば次のような素材を用いることができる。
・光触媒消臭アクリル(例えば東洋紡社製の商品名:セルフクリア)
・アンモニア消臭アクリレート系繊維(例えば東洋紡社製の商品名:ディスメル)
・人工酵素消臭繊維(例えばダイワボウ社製の商品名:デオメタフィ)
・金属イオン錯塩消臭アクリル(例えば三菱レイヨン社製の商品名:シリウスV)
第1編成部5の編成糸には、上記の他、防汚性を豊富にする目的で、例えば次の素材を用いることができる。
・給水防汚加工綿(例えば東洋紡社製の商品名:エターナリー)
衣類形体として図11及び図12に示すような丈の長いパンツ(ハーフパンツ又はロングパンツ)にする場合、大腿まわりを中心とした領域(図11)や臀部から腰部にかけた領域(図12)を第1編成部5とし、その上下部を第2編成部6として形成することができる。
【0041】
この場合、第1編成部5の編成糸(プレーティング編する場合であれば添え糸とする方)には、保温性を豊富にする目的で、例えば次のような素材を用いることができる。
・吸湿発熱アクリレート系繊維(例えば東洋紡社製の商品名:エクス)
・中空繊維ポリエステル(例えば東レ社製の商品名:ファリーロ)
・ウールと綿とを複合させた吸湿発熱繊維(例えば東洋紡社製の商品名:ナチュラルコンディショナー)
・吸湿発熱ポリアクリレート系繊維(例えば東洋紡社製の商品名:モイスケア)
・中空ポリエステル(例えば旭化成社製の商品名:ツインエアー)
・井型断面ポリエステル(例えばユニチカ社製の商品名:マイクロアート)
・蓄熱保温素材(例えばユニチカ社製の商品名:ソーラーα)
・遠赤外線放射セラミックス練り込みポリエステル(例えばクラレ社製の商品名:ロンウエーブ)
・コットン中空糸(例えばクラボウ社製の商品名:スピンエア)
・蓄熱保温アクリル(例えば三菱レイヨン社製の商品名:サーモキャッチ)
衣類形体として図13に示すようなトランクスにする場合は、下腹部領域を第1編成部5とし、そのまわりを第2編成部6として形成し、このうち第1編成部5の保温性を豊富にする目的で、第1編成部5の編成糸として上記の各種素材(図11及び図12に関して説明した各素材)を用いることも可能である。
【0042】
衣類形体として図14に示すようなシャツにする場合、背中の上部領域(僧帽筋を覆う領域)を第1編成部5とし、そのまわりを第2編成部6として形成することができる。
この場合、第1編成部5の編成糸(プレーティング編する場合であれば添え糸とする方)には、延伸性、強度及び平滑性を豊富にする目的(肩こりの予防等)で、例えば次のような素材を用いることができる。
・樹脂バインダー(ポリアミド系など)と磁性粉末とを複合化して製造した磁性繊維(例えば特開2004−91932号公報等参照)
この他、肘のあるシャツや膝のあるパンツなどにおいて、着衣摩擦などに起因したかさつきや皮膚障害などを予防する目的で、該当部位を第1編成部としてスキンケア素材、弱酸性糸、pHコントロール素材などを用いることができる。
【0043】
また、静電気による刺激を防止したり防塵性を豊富にしたり部分保温をしたりする意味において、導電性繊維を使用すると効果が出ることが知られている。導電性繊維は他の作用として、電磁波シールドとしての作用を有していることも知られている。
そこで、このような導電性繊維をそれぞれの使用態様、使用目的において必要とされる領域(静電気防止などでは長袖シャツ袖口まわりとし電磁波シールドでは胸部や腹部周辺とする等)を第1編成部5とし、導電性繊維を用いることもできる。導電性繊維としては、例えば次のような素材を用いることができる。
・炭素練り込みポリエステル(例えばユニチカ社製の商品名:メガーナ)
・導電性ナイロン(例えばカネボウ社製の商品名:ベルトロン)
・金属メッキ繊維(例えば三菱マテリアル社製の商品名:シルファイバー)
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図2のA−A線矢視部について各編成部を模式的に示した側面図である。
【図2】本発明に係る高機能衣類の第1実施形態(スパッツ)を示した正面図である。
【図3】(A)は図1のB部拡大図であり(B)は(A)を分離状態に描くことによって理解し易くした仮想図(各編成部の端部が単独状態である場合を仮定して描いた図)である。
【図4】編成方法の一例を示した説明図である。
【図5】第2実施形態において第1実施形態との違いを判りやすく示した図(第1実施形態の図1に対応させた図)である。
【図6】図5のB−B線矢視図である。
【図7】本発明に係る高機能衣類の別の実施形態(ブラジャー)を示した正面図である。
【図8】衣類形体としてパンツを採用した実施形態であって(A)は前面を示し(B)は後面を示した図である。
【図9】衣類形体としてシャツを採用した実施形態を示した図(前面の図)である。
【図10】衣類形体として丈の短いパンツを採用した実施形態を示した図(後面の図)である。
【図11】衣類形体として丈の長いパンツを採用した実施形態を示した図(前面の図)である。
【図12】衣類形体として丈の長いパンツを採用した実施形態を示した図(後面の図)である。
【図13】衣類形体としてトランクスを採用した実施形態を示した図(前面の図)である。
【図14】衣類形体としてシャツを採用した実施形態を示した図(後面の図)である。
【符号の説明】
【0045】
1 高機能衣類
5 第1編成部
6 第2編成部
20 地糸
21 添え糸
【技術分野】
【0001】
本発明は、高機能衣類に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばスポーツウエアとして利用されるスパッツなどの衣類のなかには、サポーター機能又は筋力鍛錬機能を持たせるため、緊締力の強いパワー部が部分的に設けられたものがあり、このような衣類は周知である(例えば特許文献1等参照)。また補整下着として利用されるブラジャーやガードルなどの衣類にも、パワー部が部分的に設けられたものがある。これらの種の衣類において、パワー部はカットボスにより編成したりカットソーを行ったりして製作する。
【特許文献1】特開2004−156199号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
パワー部をカットボスにより編成した衣類では、当然のことながら衣類内面に足し糸の始端と終端とが現れる。しかもこれら足し糸の始端及び終端はコースごとに発生し、これがウエール方向に繋がるため、これがパワー部の輪郭に沿ったライン状の膨らみを形成したものとなっている。
またパワー部をカットソーにより設けた衣類では、衣類内面に縫着糸が現れ、これがライン状の膨らみを形成するだけでなく、パワー部を別途形成させていることに伴ってライン状の膨らみにはこの生地端も含まれることになり、膨らみがより際だち且つゴワついた存在となっている。
【0004】
このように衣類内面に生じたライン状の膨らみは、着心地を低下させたり生地表への外観的な影響を及ぼしたりすることがあり、甚だしい場合には皮膚障害の原因となるおそれもあった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、着心地の低下や生地表への外観的な影響、皮膚障害の発生などを解消除去することができる高機能衣類を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本発明は次の手段を講じた。
即ち、本発明に係る高機能衣類は、コース長さを有限としつつウエール方向へ延伸する状態で編成された第1編成部と、この第1編成部にコース方向で隣接する状態で編成された第2編成部とを有したものであって、第1編成部の編成糸は1コースの端部で1ウエール分進んでコースを相対逆向きに編成されることを繰り返しながら編成されたものであると共に、第2編成部の編成糸は1コースの端部で1ウエール分進んでコースを相対逆向きに編成されることを繰り返しながら編成されたものであり、且つ第1編成部と第2編成部との境界部ではそれぞれのコース端に現出したループ同士が互いに一体編成されていることを特徴とする。
【0006】
なお、例えば、第1編成部は地糸と添え糸とでプレーティング編されたものとすることができる。この場合、第1編成部は、添え糸が緊締力の強い弾性糸であるものとして、パワー部を形成させることができる。
また第1編成部は、プレーティング編することが限定されるものではなく、編成糸が緊締力の強い弾性糸であるものとすることでパワー部を形成させることができる。
【0007】
このような構成の本発明に係る高機能衣類において、第1編成部及び第2編成部は、コースごとに糸入れ部(足し糸の始端)や糸抜け部(足し糸の終端)を有したものではないので、衣類内面にライン状に膨らんだ部分は生じない。
しかも第1編成部と第2編成部との境界部ではそれぞれのコース端に現出したループ同士が互いに一体編成されているので、この境界部においても衣類内面でライン状に膨らんだ部分は生じていない。
【0008】
その結果、本発明に係る高機能衣類は、衣類内面に不都合な膨らみはなく、着心地の低
下や生地表への外観的な影響、皮膚障害の発生などを解消除去することができる。
本発明に係る高機能衣類は、衣類形体が、ブラジャー、ショーツ、ブリーフ、ガードル、パンツ、スパッツ、シャツ、筒型サポーターのいずれか一つ(好ましくはボディサイズのもの)として実施することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る高機能衣類では、着心地の低下や生地表への外観的な影響、皮膚障害の発生などを解消除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
[第1実施形態]
図1乃至図4は、本発明に係る高機能衣類1の第1実施形態を示している。図2から明かなように、本第1実施形態の高機能衣類1ではその衣類形体をスポーツ用スパッツとしてあり、左右の膝頭部2を取り囲むようにしてその上部側の大腿部3や下部側の脛部4などに第1編成部5が設けられている。またこれら第1編成部5まわりを補填するような状態で衣類形体を形成するように、第2編成部6が設けられている。
【0011】
第1編成部5を編成する編成糸は緊締力の強い弾性糸とされており、第2編成部6を編成する編成糸は緊締力の弱い糸とされている。従ってこの高機能衣類1を着用することで、第1編成部5により生ずる強い緊締力を利用して、身体の所定部位にサポーター機能又は筋力鍛錬機能を得ることができる。
第1編成部5に使用する編成糸(緊締力の強い弾性糸)としては、例えばポリウレタン繊維等を含む素材(単独又はカバリングなどの複合構造を有したもの)を使用可能である。また第2編成部6に使用する編成糸(緊締力の弱い糸)としては、例えば合成繊維糸(ポリエステルやナイロン等)、半合成繊維糸(レーヨン等)、天然糸(綿、ウール、絹等)、緊締力の比較的弱い弾性糸(ポリウレタン等)、或いはこれらを組み合わせた複合糸などを使用可能である。
【0012】
第1編成部5及び第2編成部6は、いずれも高機能衣類1の丈方向をウエール方向、胴まわり方向をコース方向として編成されているが、第1編成部5は「コース長さが有限とされた領域」を有したものである。即ち、第1編成部5はコース方向がエンドレスとなる部分だけで構成された、所謂、筒状生地のようなものとは異なる。
それ故に、例えば図1から明かなように、第1編成部5における「コース長さが有限とされた領域」にはウエール方向でコース端5a,5bが並んで形成されたものとなっており、このうち一方のコース端5aから他方のコース端5bまでの間を、上記第2編成部6が繋ぐような状態となっている。
【0013】
第1編成部5は上記のように緊締力の強い弾性糸によって編成されているが、好ましくは地糸と添え糸とでプレーティング編した編み構造とすることで、緊締力を一層強くさせるとよい。この場合、地糸又は添え糸のうち一方(例えば添え糸)に緊締力の強い弾性糸を使用し、同他方(例えば地糸)に第2編成部6で使用しているのと同じ、緊締力の弱い糸を使用すればよい。なお、地糸及び添え糸の双方に緊締力の強い弾性糸を使用してもよい。
【0014】
第1編成部5は、その編成糸が1コースの端部で1ウエール分進んでコースを相対逆向きに編成されることを繰り返しながら編成されたものとなっている(なお図3(B)参照)。従ってその編成糸は一編成部内にあってエンドレス(編み始めから編み終わりまでが1本)の状態にある。
これに対し、第2編成部6は緊締力の弱い編成糸によって編成されているため、身体へのフィット性や通気性、動き易さなどに重点をおいた生地特性が得られるものとなっている。
【0015】
この第2編成部6の基本的な編成構造については第1編成部5と略同様であり、当該第2編成部6を形成するための編成糸が1コースの端部で1ウエール分進んでコースを相対逆向きに編成されることを繰り返しながら編成されたものとなっている(なお図3(B)参照)。従ってその編成糸は一編成部内にあってエンドレス(編み始めから編み終わりま
でが1本)の状態にある。
【0016】
ここにおいて第1編成部5は、第2編成部6をベースとしつつカットボスにより編成されたものでもカットソーにより結合(縫着)されたものでもなく、これら第1編成部5と第2編成部6とが互いに一体的に編成され、フラットの編み構造になっているところに特徴がある。
すなわち、図3(A)に示すように、第1編成部5と第2編成部6との境界部ではそれぞれのコース端に現出したループが閉じられており(切れた部分が無く)、またこれらのループが両編成部5,6間で互いに絡められるようにして編成されている。そのため、第1編成部5及び第2編成部6は、コースごとに糸入れ部(足し糸の始端)や糸抜け部(足し糸の終端)を有したものではなく、その結果、衣類内面でライン状に膨らむ部分を生じないものとなっている。
【0017】
このことから、本第1実施形態に係る高機能衣類1は衣類内面に不都合な膨らみがなく、着心地の低下や生地表への外観的な影響、皮膚障害の発生などを解消除去することができる。
このような高機能衣類1は、図4に示すように横編機10を用いて編成することができる。例えばこの横編機10は、複数のヤーンキャリア11〜14に各別に編成糸が給糸されており、キャリッジ15がベッド16に沿って走行する過程で、任意のヤーンキャリア11〜14を選択してキャリッジ15に連結できる構成であるとおく。なお、第2のヤーンキャリア12に弾性糸が給糸されているものとする。
[第一編成例]
いま、図1に示したように左側から右側へ向けて第1の第2編成部6(6A)、第1編成部5、第2の第2編成部6(6B)を編み立てる場合を説明すると、キャリッジ15がベッド16を左部から右方へ向け走行するときに、第1の第2編成部6Aを編成すべき領域の左端位置で第1のヤーンキャリア11を選択した1コース分の編成を開始させ、編成ができた段階で選針機の切り替えにより針を不作用状態にし、第1のヤーンキャリア11を選択した編成を中断させる。
【0018】
キャリッジ15が第1編成部5を編成すべき領域の左端位置に達した時点から第2のヤーンキャリア12を選択して、当該領域中における1コース分の編成を開始させる。第1編成部5をプレーティング編する場合は、このとき同時に第3のヤーンキャリア13をも選択してプレーティング編を行う。編成ができた段階で選針機の切り替えにより針を不作用状態にし、第2のヤーンキャリア12(及び第3のヤーンキャリア13)を選択した編成を中断させる。
【0019】
キャリッジ15が第2の第2編成部6Bを編成すべき領域の左端位置に達した時点から第4のヤーンキャリア14を選択して、当該領域中における1コース分の編成を開始させる。この1コース分の編成が終わった段階でキャリッジ15をコース逆向きに走行させつつ、引き続き第2の第2編成部6Bについて1コース分の編成を開始させる。
このようにして第2の第2編成部6Bを2コース分編成し終えた段階で選針機の切り替えにより針を不作用状態にし、第4のヤーンキャリア14を選択した編成を中断させる。
【0020】
キャリッジ15が第1編成部5を編成すべき領域の右端位置に達した時点から第2のヤーンキャリア12(及び第3のヤーンキャリア13)を選択して、当該領域中における1コース分の編成を開始させる。編成ができた段階で選針機の切り替えにより針を不作用状態にし、第2のヤーンキャリア12(及び第3のヤーンキャリア13)を選択した編成を中断させる。
【0021】
そしてまた、キャリッジ15が第1の第2編成部6Aを編成すべき領域の右端位置に達した時点から第1のヤーンキャリア11を選択して、当該領域中における1コース分の編成を開始させる。この1コース分の編成が終わった段階でキャリッジ15をコース逆向きに走行させる、という具合に、以降、同様に編成動作を繰り返して編み降ろしてゆく。
[第二編成例]
図1に示したように左側から右側へ向けて第1の第2編成部6(6A)、第1編成部5、第2の第2編成部6(6B)を編み立てる場合にあって、キャリッジ15がベッド16
を左部から右方へ向け走行するときに、第1の第2編成部6Aを編成すべき領域の左端位置で第1のヤーンキャリア11を選択した1コース分の編成を開始させ、編成ができた段階で選針機の切り替えにより針を不作用状態にし、第1のヤーンキャリア11を選択した編成を中断させる。
【0022】
キャリッジ15をそのままベッド16の右方へと空走行させ、全編成域のストローク右端で走行向きを反転させる。次にキャリッジ15をベッド16の左方へと空走行させ、第1の第2編成部6Aを編成すべき領域の右端位置へ達した時点で当該領域中における1コース分の編成を再開させる。このようにして第1の第2編成部6Aを2コース分編成し終えた段階で選針機の切り替えにより針を不作用状態にし、第1のヤーンキャリア11を選択した編成を中断させる。
【0023】
全編成域のストローク左端でキャリッジ15の走行向きを反転させてキャリッジ15をベッド16の右方へと空走行させ、第1編成部5を編成すべき領域の左端位置に達した時点から第2のヤーンキャリア12を選択して、当該領域中における1コース分の編成を開始させる。第1編成部5をプレーティング編する場合は、このとき同時に第3のヤーンキャリア13をも選択してプレーティング編を行う。編成ができた段階で選針機の切り替えにより針を不作用状態にし、第2のヤーンキャリア12(及び第3のヤーンキャリア13)を選択した編成を中断させる。
【0024】
キャリッジ15をそのままベッド16の右方へと空走行させ、全編成域のストローク右端で走行向きを反転させる。次にキャリッジ15をベッド16の左方へと空走行させ、第1編成部5を編成すべき領域の右端位置へ達した時点で当該領域中における1コース分の編成を再開させる。このようにして第1編成部5を2コース分編成し終えた段階で選針機の切り替えにより針を不作用状態にし、第2のヤーンキャリア12(及び第3のヤーンキャリア13)を選択した編成を中断させる。
【0025】
全編成域のストローク左端でキャリッジ15の走行向きを反転させてキャリッジ15をベッド16の右方へと空走行させ、第2の第2編成部6Bを編成すべき領域の左端位置に達した時点から第4のヤーンキャリア14を選択して、当該領域中における1コース分の編成を開始させる。編成ができた段階で選針機の切り替えにより針を不作用状態にし、第4のヤーンキャリア14を選択した編成を中断させる。
【0026】
キャリッジ15をそのままベッド16の右方へと空走行させ、全編成域のストローク右端で走行向きを反転させる。次にキャリッジ15をベッド16の左方へと空走行させ、第2の第2編成部6Bを編成すべき領域の右端位置へ達した時点で当該領域中における1コース分の編成を再開させる。このようにして第2の第2編成部6Bを2コース分編成し終えた段階で選針機の切り替えにより針を不作用状態にし、第4のヤーンキャリア14を選択した編成を中断させる。
【0027】
以降、同様に編成動作を繰り返して編み降ろしてゆく。
次に、開示技術(以下「第2実施形態」と言う)について説明する。
[第2実施形態]
図5及び図6は第2実施形態を示している。なお、本第2実施形態の高機能衣類1もその衣類形体を第1実施形態と同様のスポーツ用スパッツとし、また第1編成部5や第2編成部6の配置も第1実施形態と同様とする。
【0028】
第1編成部5及び第2編成部6が、それぞれ高機能衣類1の丈方向をウエール方向、胴まわり方向をコース方向として編成され、また第1編成部5が「コース長さが有限とされた領域」を有したものである点も、第1実施形態と同じとする。
図5から明らかなように、本第2実施形態において、第1編成部5は地糸20と添え糸21とでプレーティング編されたものとなっており、これに対して第2編成部6は地糸20のみによって編成されている。
【0029】
第1編成部5の添え糸21は、1コースの端部で1ウエール分進んでコースを相対逆向きに編成されることを繰り返しながら編成されている。従ってこの添え糸21は第1編成部5内にあってエンドレス(編み始めから編み終わりまでが1本)の状態にある。
第1編成部5の地糸20についても、1コースの端部で1ウエール分進んでコースを相
対逆向きに編成されることを繰り返しながら編成されているが、その1コースの端部は、添え糸21における1コースの端部を超えて編成されている。この超えて編成された地糸20で、当該第1編成部5に対して隣接する第2編成部6の一部又は全部が編成されている。
【0030】
第1編成部5において、添え糸21は緊締力の強い弾性糸とされており、地糸20は緊締力の弱い糸とされている。なお、第1編成部5の地糸20と第2編成部6の地糸20とは、上記した編成法を採り入れることに伴い、素材的に同じものとなっている。
添え糸21としては、例えばポリウレタン繊維等を含む素材(単独又はカバリングなどの複合構造を有したもの)を使用可能である。また地糸20としては、例えば合成繊維糸(ポリエステルやナイロン等)、半合成繊維糸(レーヨン等)、天然糸(綿、ウール、絹等)、緊締力の比較的弱い弾性糸(ポリウレタン等)、或いはこれらを組み合わせた複合糸などを使用可能である。
【0031】
従って、この高機能衣類1を着用することで、第1編成部5により生ずる強い緊締力を利用して、身体の所定部位にサポーター機能又は筋力鍛錬機能を得ることができ、また第2編成部6により生ずる緊締力を利用して、身体へのフィット性や通気性、動き易さなどを得ることができる。
以上説明したところから明かなように、第1編成部5は地糸20と添え糸21とによりプレーティング編されている領域であり、決して、地糸20による編成生地をベースとしつつカットボスにより編成されたものでもカットソーにより結合(縫着)されたものでもない。
【0032】
そのため本第2実施形態に係る高機能衣類1もまた、第1編成部5と第2編成部6との境界部に、コースごとの糸入れ部(足し糸の始端)や糸抜け部(足し糸の終端)は生じておらず、その結果、衣類内面でライン状に膨らむ部分を生じないものとなっている。このように衣類内面に不都合な膨らみがないことから、着心地の低下や生地表への外観的な影響、皮膚障害の発生などを解消除去することができる。
[編成例]
本第2実施形態の高機能衣類1を、回転方向切替機構付きの丸編機を用いて編成する場合を説明する。
【0033】
この丸編機は、シリンダを所定回転角度(例えば90°おきとか180°おきとか)で正転と逆転とに交互に切り替えさせるような運転制御が可能なものとする。また、シリンダに対する周方向の4等配位置に地糸20用の給糸口を設置し、更にこれらのうち交互配置となる周方向2等配位置に添え糸21用の給糸口を設置してあるものとする。
この丸編機を使用すれば、図6に示すように、本第2実施形態の高機能衣類1を編成するうえで、筒形をその周方向で四分割したブロック(1A,1B,1C,1D)とおいて、これら4つのブロック1A,1B,1C,1Dの編成を同時に進めるように編み降ろしてゆくことができる。
【0034】
すなわち、各ブロック1A,1B,1C,1Dの一端a1,b1,c1,d1を1コースの編成開始位置とおくと、それぞれの位置から1/4円周分(90°)離れた他端a2,b2,c2,d2が、各ブロック1A,1B,1C,1Dのコース折り返し位置a2,b2,c2,d2となる。
そこで例えば、シリンダが図6の時計回り方向で90°回転するとき、ブロック1Aでは一端a1から編成が開始され、他端a2へ達したときにシリンダが一旦停止する。そして、シリンダが直ちに反時計回り方向へ向けて逆転を始めるようになり、このときこの他端a2では1ウエール分が進められたうえで、コースを相対逆向きにして再び1コースの編成が開始される、という状況となる。
【0035】
このような編成が各ブロック1A,1B,1C,1Dで一斉に実施され、繰り返されて全体が編み降ろされる、ということになるのである。
そして、このような編成を実施するなかで、地糸20が給糸される給糸口位置では、常に編成針が編成稼働位置に保持される一方、添え糸21が給糸される給糸口位置では、第1編成部5を編成すべきときだけ編成針が編成稼働位置に保持され、第2編成部6に相当
するときには編成針は選針機により不作動位置へ切り替えられるように制御される。
[その他の実施形態]
ところで、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。
【0036】
例えば衣類形体は、図7に示すようなブラジャーとしてもよいし、その他、ショーツ、ブリーフ、ガードル、パンツ、シャツ、筒型サポーターなどとしてもよい。また利用目的も、スポーツ用のサポーター機能や筋力鍛錬機能を得るためのものに限らず、体型の補整機能を得るためとしてもよい。
第1実施形態において、横編機を使用することが限定されるものではなく回転方向切替機構付きの丸編機を使用することもできる。この場合、丸編機はコース長の長い方の編成部(5,6)に合わせてシリンダの回転方向を所定回転角度ごと(コース長分ごと)、逆転させるという動作を繰り返させればよいことになる。
【0037】
また第2実施形態では横編機を使用することも可能である。
いずれの実施形態においても、第1編成部5や第2編成部6の編み目構造については特に限定されるものではなく、天竺やフライス編みなど、適宜採用すればよい。
衣類形体として図8に示すようなパンツにする場合(図8(A)は前面を示し同(B)は後面を示してある)、股下から殿列にわたる領域を第1編成部5とし、そのまわりを第2編成部6として形成することができる。
【0038】
この場合、第1編成部5の編成糸(プレーティング編する場合であれば添え糸とする方)には、吸汗性、速乾性を豊富にする目的で、例えば次のような素材を用いることができる。
・X字断面ポリエステル(例えば東レ社製の商品名:シルスペリオール)
・キュプラとポリエステルとの複合糸(例えば旭化成社製の商品名:アクティコット)
・不定形断面ポリエステル(例えば帝人社製の商品名:カルキュロ)
・吸湿ナイロン(例えば東レ社製の商品名:キュープ)
・綿とポリエステルとの複合糸(例えば東洋紡社製の商品名:フィラシス)
・多孔質ポリエステル(例えば帝人社製の商品名:ウエルキー)
・ポリエステルとエバールとの複合繊維(例えばクラレ社製の商品名:ソフィスタ)
・Y字断面ポリエステル(例えばカネボウ合繊社製の商品名:アクアステルス)
・異形断面アクリル(例えば三菱レイヨン社製の商品名:コラックス)
・吸放湿ナイロン(例えばユニチカ社製の商品名:ハイグラ)
なお、第2編成部6の編成糸には、例えば合成繊維糸(ポリエステルやナイロン等)、半合成繊維糸(レーヨン等)、天然糸(綿、ウール、絹等)、弾性糸(ポリウレタン等)、或いはこれらを組み合わせた複合糸などを使用可能である。
【0039】
第1編成部5の編成糸には、上記の他、冷感性を豊富にする目的で、例えば次の素材を用いることができる。
・ポリエステルとエバールとの複合繊維(例えばクラレ社製の商品名:ソフィスタ)
・デュポン社製の商品名:クールマックス
・東レ社製の商品名:クールイン
衣類形体として図9に示すようなシャツにする場合、脇の下領域を第1編成部5とし、そのまわりを第2編成部6として形成し、このうち第1編成部5に吸汗性、速乾性を豊富にさせたり、或いは冷感性を豊富にさせたりする目的で、第1編成部5の編成糸として上記の各種素材(図8に関して説明した各素材)を用いることも可能である。
【0040】
衣類形体として図10に示すような丈の短いパンツにする場合、股下部分の中央領域を第1編成部5とし、そのまわりを第2編成部6として形成することができる。
この場合、第1編成部5の編成糸(プレーティング編する場合であれば添え糸とする方)には、消臭性を豊富にする目的で、例えば次のような素材を用いることができる。
・光触媒消臭アクリル(例えば東洋紡社製の商品名:セルフクリア)
・アンモニア消臭アクリレート系繊維(例えば東洋紡社製の商品名:ディスメル)
・人工酵素消臭繊維(例えばダイワボウ社製の商品名:デオメタフィ)
・金属イオン錯塩消臭アクリル(例えば三菱レイヨン社製の商品名:シリウスV)
第1編成部5の編成糸には、上記の他、防汚性を豊富にする目的で、例えば次の素材を用いることができる。
・給水防汚加工綿(例えば東洋紡社製の商品名:エターナリー)
衣類形体として図11及び図12に示すような丈の長いパンツ(ハーフパンツ又はロングパンツ)にする場合、大腿まわりを中心とした領域(図11)や臀部から腰部にかけた領域(図12)を第1編成部5とし、その上下部を第2編成部6として形成することができる。
【0041】
この場合、第1編成部5の編成糸(プレーティング編する場合であれば添え糸とする方)には、保温性を豊富にする目的で、例えば次のような素材を用いることができる。
・吸湿発熱アクリレート系繊維(例えば東洋紡社製の商品名:エクス)
・中空繊維ポリエステル(例えば東レ社製の商品名:ファリーロ)
・ウールと綿とを複合させた吸湿発熱繊維(例えば東洋紡社製の商品名:ナチュラルコンディショナー)
・吸湿発熱ポリアクリレート系繊維(例えば東洋紡社製の商品名:モイスケア)
・中空ポリエステル(例えば旭化成社製の商品名:ツインエアー)
・井型断面ポリエステル(例えばユニチカ社製の商品名:マイクロアート)
・蓄熱保温素材(例えばユニチカ社製の商品名:ソーラーα)
・遠赤外線放射セラミックス練り込みポリエステル(例えばクラレ社製の商品名:ロンウエーブ)
・コットン中空糸(例えばクラボウ社製の商品名:スピンエア)
・蓄熱保温アクリル(例えば三菱レイヨン社製の商品名:サーモキャッチ)
衣類形体として図13に示すようなトランクスにする場合は、下腹部領域を第1編成部5とし、そのまわりを第2編成部6として形成し、このうち第1編成部5の保温性を豊富にする目的で、第1編成部5の編成糸として上記の各種素材(図11及び図12に関して説明した各素材)を用いることも可能である。
【0042】
衣類形体として図14に示すようなシャツにする場合、背中の上部領域(僧帽筋を覆う領域)を第1編成部5とし、そのまわりを第2編成部6として形成することができる。
この場合、第1編成部5の編成糸(プレーティング編する場合であれば添え糸とする方)には、延伸性、強度及び平滑性を豊富にする目的(肩こりの予防等)で、例えば次のような素材を用いることができる。
・樹脂バインダー(ポリアミド系など)と磁性粉末とを複合化して製造した磁性繊維(例えば特開2004−91932号公報等参照)
この他、肘のあるシャツや膝のあるパンツなどにおいて、着衣摩擦などに起因したかさつきや皮膚障害などを予防する目的で、該当部位を第1編成部としてスキンケア素材、弱酸性糸、pHコントロール素材などを用いることができる。
【0043】
また、静電気による刺激を防止したり防塵性を豊富にしたり部分保温をしたりする意味において、導電性繊維を使用すると効果が出ることが知られている。導電性繊維は他の作用として、電磁波シールドとしての作用を有していることも知られている。
そこで、このような導電性繊維をそれぞれの使用態様、使用目的において必要とされる領域(静電気防止などでは長袖シャツ袖口まわりとし電磁波シールドでは胸部や腹部周辺とする等)を第1編成部5とし、導電性繊維を用いることもできる。導電性繊維としては、例えば次のような素材を用いることができる。
・炭素練り込みポリエステル(例えばユニチカ社製の商品名:メガーナ)
・導電性ナイロン(例えばカネボウ社製の商品名:ベルトロン)
・金属メッキ繊維(例えば三菱マテリアル社製の商品名:シルファイバー)
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図2のA−A線矢視部について各編成部を模式的に示した側面図である。
【図2】本発明に係る高機能衣類の第1実施形態(スパッツ)を示した正面図である。
【図3】(A)は図1のB部拡大図であり(B)は(A)を分離状態に描くことによって理解し易くした仮想図(各編成部の端部が単独状態である場合を仮定して描いた図)である。
【図4】編成方法の一例を示した説明図である。
【図5】第2実施形態において第1実施形態との違いを判りやすく示した図(第1実施形態の図1に対応させた図)である。
【図6】図5のB−B線矢視図である。
【図7】本発明に係る高機能衣類の別の実施形態(ブラジャー)を示した正面図である。
【図8】衣類形体としてパンツを採用した実施形態であって(A)は前面を示し(B)は後面を示した図である。
【図9】衣類形体としてシャツを採用した実施形態を示した図(前面の図)である。
【図10】衣類形体として丈の短いパンツを採用した実施形態を示した図(後面の図)である。
【図11】衣類形体として丈の長いパンツを採用した実施形態を示した図(前面の図)である。
【図12】衣類形体として丈の長いパンツを採用した実施形態を示した図(後面の図)である。
【図13】衣類形体としてトランクスを採用した実施形態を示した図(前面の図)である。
【図14】衣類形体としてシャツを採用した実施形態を示した図(後面の図)である。
【符号の説明】
【0045】
1 高機能衣類
5 第1編成部
6 第2編成部
20 地糸
21 添え糸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コース長さを有限としつつウエール方向へ延伸する状態で編成された第1編成部(5)と、
この第1編成部(5)にコース方向で隣接する状態で編成された第2編成部(6)とを有し、
第1編成部(5)の編成糸は1コースの端部で1ウエール分進んでコースを相対逆向きに編成されることを繰り返しながら編成されたものであると共に、
第2編成部(6)の編成糸は1コースの端部で1ウエール分進んでコースを相対逆向きに編成されることを繰り返しながら編成されたものであり、
且つ第1編成部(5)と第2編成部(6)との境界部ではそれぞれのコース端に現出したループ同士が互いに一体編成されている
ことを特徴とする高機能衣類。
【請求項2】
前記第1編成部(5)は地糸(20)と添え糸(21)とでプレーティング編されていることを特徴とする請求項1記載の高機能衣類。
【請求項3】
前記第1編成部(5)は添え糸(21)が緊締力の強い弾性糸とされることでパワー部を形成していることを特徴とする請求項2記載の高機能衣類。
【請求項4】
前記第1編成部(5)は編成糸が緊締力の強い弾性糸とされることでパワー部を形成していることを特徴とする請求項1記載の高機能衣類。
【請求項5】
衣類形体が、ブラジャー、ショーツ、ブリーフ、ガードル、パンツ、スパッツ、シャツ、筒型サポーターのいずれか一つであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の高機能衣類。
【請求項1】
コース長さを有限としつつウエール方向へ延伸する状態で編成された第1編成部(5)と、
この第1編成部(5)にコース方向で隣接する状態で編成された第2編成部(6)とを有し、
第1編成部(5)の編成糸は1コースの端部で1ウエール分進んでコースを相対逆向きに編成されることを繰り返しながら編成されたものであると共に、
第2編成部(6)の編成糸は1コースの端部で1ウエール分進んでコースを相対逆向きに編成されることを繰り返しながら編成されたものであり、
且つ第1編成部(5)と第2編成部(6)との境界部ではそれぞれのコース端に現出したループ同士が互いに一体編成されている
ことを特徴とする高機能衣類。
【請求項2】
前記第1編成部(5)は地糸(20)と添え糸(21)とでプレーティング編されていることを特徴とする請求項1記載の高機能衣類。
【請求項3】
前記第1編成部(5)は添え糸(21)が緊締力の強い弾性糸とされることでパワー部を形成していることを特徴とする請求項2記載の高機能衣類。
【請求項4】
前記第1編成部(5)は編成糸が緊締力の強い弾性糸とされることでパワー部を形成していることを特徴とする請求項1記載の高機能衣類。
【請求項5】
衣類形体が、ブラジャー、ショーツ、ブリーフ、ガードル、パンツ、スパッツ、シャツ、筒型サポーターのいずれか一つであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の高機能衣類。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−60696(P2013−60696A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−243602(P2012−243602)
【出願日】平成24年11月5日(2012.11.5)
【分割の表示】特願2007−209732(P2007−209732)の分割
【原出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年11月5日(2012.11.5)
【分割の表示】特願2007−209732(P2007−209732)の分割
【原出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【Fターム(参考)】
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