説明

高温摩耗用途向けポリイミド樹脂

芳香族ポリイミド、黒鉛およびセピオライト充填剤、またはセピオライト充填剤とカオリン充填剤との混合物を含有するポリイミド樹脂組成物は、低い摩耗および高い熱酸化安定性を示すことが見出されている。かかる組成物は、航空機エンジン部品などの高温で摩耗条件に暴露される成形品でとりわけ有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、あらゆる目的のために本明細書の一部として全体が本参照により援用される、2008年7月30日出願の米国特許出願第12/182,435号明細書からの優先権およびその利益を主張するものである。
【0002】
本開示は、航空機エンジン部品などの高温摩耗用途向けに有用である充填剤入りポリイミド樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
応力下および高温でのポリイミド組成物の独特の性能は、特に高圧および高速条件で高い耐摩耗性を必要とする用途でそれらを有用なものにしてきた。かかる用途の幾つかの例は、航空機エンジン部品、航空機摩耗パッド、自動車変速機ブッシングおよびシールリング、幅出し機フレームパッドおよびブッシング、材料加工設備部品、ならびにポンプブッシングおよびシールである。
【0004】
典型的には、上記のような用途でのポリイミド構成部品は、犠牲構成部品、または消耗構成部品として機能し、それによって、それが幾つかの他の構成部品とかみ合う場合に、より高価なかみ合いまたは隣接構成部品が受けるであろう摩耗または損傷を防ぐまたは低減することを意図される。しかしながら、ポリイミド構成部品が摩耗するにつれて、生じた増加した隙間は、(空気圧または流体の)増加した漏洩または増加した騒音などの、他の悪影響をもたらし、それによってポリイミド構成部品が含有される全体システムの操作有効性を低下させ得る。システムをその元の操作有効性に回復させることは、損耗したポリイミド構成部品を、新しい未使用のポリイミド構成部品で交換する必要がある。交換は、システムの解体、再組立、試験実施および再較正(「点検」)を必要とし、中断時間および労働の観点からかなりのコストをもたらす可能性がある。従って、より低い摩耗速度を実証するポリイミド構成部品が、交換および点検の頻度を減らし、それによってコストを低減するために望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これまでに利用可能であった、様々なポリイミド組成物、および黒鉛などのそれらの組成物用の添加剤にもかかわらず、ポリイミド材料の他の有利な特質を維持しながら、航空機エンジン部品などの用途向けに必要とされる高温での望ましくも高度の耐摩耗性を成形部品として示すポリイミド組成物がまだ依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態では、本発明は、芳香族ポリイミド、黒鉛およびセピオライト充填剤またはセピオライト充填剤とカオリン充填剤との混合物を含む組成物を提供する。
【0007】
別の実施形態では、本発明は、一緒に組み合わせられた全重量部が合計で100重量部になる;(a)約40重量部以上なおかつ約54重量部以下の芳香族ポリイミド、(b)約46重量部以上なおかつ約60重量部以下の黒鉛、および(c)約0.5重量部以上なおかつ約3.0重量部以下のセピオライト充填剤を含む組成物を提供する。
【0008】
本明細書の発明のさらに別の実施形態は、実質的に図1〜4の任意の1つ以上に示されるまたは表されるような組成物である。
【0009】
上記の組成物から二次加工される物品もまた提供される。
【0010】
本発明の様々な特徴および/または実施形態は、下に表されるような図面に例示される。これらの特徴および/または実施形態は代表的なものであるにすぎず、図面に包含するためのこれらの特徴および/または実施形態の選択は、図面に含まれない主題が本発明を実施するために好適ではないこと、または図面に含まれない主題が添付のクレームおよびそれらの等価物の範囲から排除されることの表れと解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例に使用される実験デザイン空間の略図である。
【図2】実施例で得られた熱酸化安定性モデルの応答表面プロットである。
【図3】実施例で得られた樹脂摩耗モデルについての応答表面プロットである。
【図4】実施例で得られるような樹脂摩耗についてのおよび熱酸化安定性についての応答表面プロットの重ね合わせである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(a)芳香族ポリイミド、(b)黒鉛、および(c)セピオライト充填剤またはセピオライト充填剤とカオリン充填剤との混合物を含有する組成物が本明細書に開示される。
【0013】
その組成物中の成分「(a)」として使用されるようなポリイミドは、繰り返し単位間の連結基の少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約90%、より好ましくは本質的に全て(例えば、少なくとも約98%)がイミド基であるポリマーである。本明細書で使用されるような芳香族ポリイミドには、そのポリマー鎖の繰り返し単位の約60〜約100モル%、好ましくは約70モル%以上、より好ましくは約80モル%以上が次式(I):
【化1】

(式中、下に記載されるように、R1は四価の芳香族ラジカルであり、R2は二価の芳香族ラジカルである)
で表されるような構造を有する有機ポリマーが含まれる。
【0014】
本明細書での使用に好適なポリイミドポリマーは、例えば、モノマーの芳香族ジアミン化合物(その誘導体を含む)をモノマーの芳香族テトラカルボン酸化合物(その誘導体を含む)と反応させることによって合成することができ、テトラカルボン酸化合物は従って、テトラカルボン酸それ自体、相当する二酸無水物、またはジエステル二酸もしくはジエステル二酸塩化物などのテトラカルボン酸の誘導体であることができる。芳香族ジアミン化合物と芳香族テトラカルボン酸化合物との反応は、出発原料の選択に応じて相当するポリアミド酸(「PAA」)、アミドエステル、アミド酸エステル、または他の反応生成物を生成する。芳香族ジアミンは、テトラカルボン酸よりもむしろ二酸無水物と典型的には重合させられ、かかる反応では触媒が溶媒に加えて頻繁に使用される。窒素含有塩基、フェノールまたは両性物質をかかる触媒として使用することができる。
【0015】
ポリイミドの前駆体としてのポリアミド酸は、ピリジン、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドまたはそれらの混合物などの一般に高沸点溶媒である有機極性溶媒中、好ましくは実質的に等モル量で、芳香族ジアミン化合物と芳香族テトラカルボン酸化合物とを重合させることによって得ることができる。溶媒中の全モノマーの量は、モノマーと溶媒との総合重量を基準として、約5〜約40重量%の範囲に、約6〜約35重量%の範囲に、または約8〜約30重量%の範囲にあることができる。反応のための温度は一般に約100℃以下であり、約10℃〜80℃の範囲にあってもよい。重合反応のための時間は一般に約0.2〜60時間の範囲にある。
【0016】
ポリイミドを生成するためのイミド化、すなわち、ポリアミド酸における閉環は次に、熱処理、化学的脱水または両方、引き続く縮合物(典型的には、水またはアルコール)の脱離によって達成することができる。例えば、閉環は、ピリジンおよび無水酢酸、ピコリンおよび無水酢酸、2,6−ルチジンおよび無水酢酸などの環化剤によって達成することができる。
【0017】
こうして得られるポリイミドの様々な実施形態では、そのポリマー鎖の繰り返し単位の、約60〜100モルパーセント、好ましくは約70モルパーセント以上、より好ましくは約80モルパーセント以上は、次式(I):
【化2】

(式中、R1は、テトラカルボン酸化合物に由来する四価の芳香族ラジカルであり;R2は、H2N−R2−NH2と典型的に表されてもよい、ジアミン化合物に由来する二価の芳香族ラジカルである)
で表されるようなポリイミド構造を有する。
【0018】
本明細書の組成物のためのポリイミドを製造するために使用されるようなジアミン化合物は、構造H2N−R2−NH2(式中、R2は、16個以下の炭素原子を含有する、任意選択的に、例えば、−N−、−O−、または−S−から選択される、1つ以上の(しかし典型的には1つのみの)ヘテロ原子を芳香環中に含有する二価の芳香族ラジカルである)で表すことができる芳香族ジアミンの1つ以上であってもよい。R2がビフェニレン基であるR2基もまた本明細書に含まれる。本明細書の組成物のためのポリイミドを製造するための使用に好適な芳香族ジアミンの例には、限定なしに2,6−ジアミノピリジン、3,5−ジアミノピリジン、1,2−ジアミノベンゼン、1,3−ジアミノベンゼン(m−フェニレンジアミンもしくは「MPD」としても知られる)、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミンもしくは「PPD」としても知られる)、2,6−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノトルエン、ならびにベンジジンおよび3,3’−ジメチルベンジジンなどのベンジジン類が挙げられる。芳香族ジアミンは、単独でまたは組み合わせて用いることができる。一実施形態では、芳香族ジアミン化合物は、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミンもしくは「PPD」としても知られる)、1,3−ジアミノベンゼン(m−フェニレンジアミンもしくは「MPD」としても知られる)、またはそれらの混合物である。
【0019】
本明細書の組成物のためのポリイミドを製造するための使用に好適な芳香族テトラカルボン酸化合物には、限定なしに芳香族テトラカルボン酸、それの酸無水物、それの塩およびそれのエステルが含まれてもよい。芳香族テトラカルボン酸化合物は、一般式(II):
【化3】

(式中、R1は四価の芳香族基であり、各R3は独立して、水素または低級アルキル(例えば、ノルマルもしくは分岐のC1〜C10、C1〜C8、C1〜C6もしくはC1〜C4)基である)
で表されるようなものであってもよい。様々な実施形態で、アルキル基はC1〜C3アルキル基である。様々な実施形態で、四価の有機基R1は、次式:
【化4】

の1つで表されるような構造を有してもよい。
【0020】
好適な芳香族テトラカルボン酸の例には、限定なしに3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、ピロメリット酸、および3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸が挙げられる。芳香族テトラカルボン酸は、単独でまたは組み合わせて用いることができる。一実施形態では、芳香族テトラカルボン酸化合物は、芳香族テトラカルボン酸二無水物、特に3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(「BPDA」)、ピロメリット酸二無水物(「PMDA」)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、またはそれらの混合物である。
【0021】
本明細書の組成物の一実施形態では、好適なポリイミドポリマーは、芳香族テトラカルボン酸化合物としての3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(「BPDA」)と、芳香族ジアミン化合物としての60モル%超〜約85モル%のp−フェニレンジアミン(「PPD」)および15〜40モル%未満のm−フェニレンジアミン(「MPD」)とから製造されてもよい。かかるポリイミドは、(あらゆる目的のために本明細書の一部として本参照により援用される)米国特許第5,886,129号明細書に記載されており、かかるポリイミドの繰り返し単位はまた、次式(III):
【化5】

(式中、R2基の60モル%超〜約85モル%はp−フェニレンラジカル:
【化6】

であり、15〜40モル%未満はm−フェニレンラジカル:
【化7】

である)
で一般に示される構造で表されてもよい。
【0022】
代わりの実施形態では、好適なポリイミドポリマーは、テトラカルボン酸化合物の二酸無水物誘導体としての3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(「BPDA」)と、ジアミン化合物としての70モル%のp−フェニレンジアミンおよび30モル%のm−フェニレンジアミンとから製造されてもよい。
【0023】
本明細書で使用されるようなポリイミドは好ましくは剛性ポリマーである。ポリイミドポリマーは、ポリイミド繰り返し単位中に柔軟な結合が全くないか、またはわずかな量(例えば、10モル%未満、5モル%未満、1モル%未満もしくは0.5モル%未満)の柔軟な結合があるときに剛性と考えられる。柔軟な結合は、少ない数の原子から主としてなり、かつ、(分岐もしくは環状よりもむしろ直鎖などの)複雑でない構造を有し、こうしてポリマー鎖が結合の場所で比較的容易に曲がるまたは撚れることを可能にする部分である。柔軟な結合の例には、限定なしに−O−、−N(H)−C(O)−、−S−、−SO2−、−C(O)−、−C(O)−O−、−C(CH32−、−C(CF32−、−(CH2)−、および−NH(CH3)−が挙げられる。不利であるが、これらのまたは他の柔軟な結合は、存在するとき、芳香族ジアミン化合物のR2部分に時々見いだされる。
【0024】
本明細書で使用されるようなポリイミドは好ましくは、それが分解する温度より下で溶融(すなわち、液化または流動)しないポリマーである、不溶融性ポリマーである。典型的には、不溶融性ポリイミドの組成物から製造される部品は、(例えば、あらゆる目的のために本明細書の一部として本参照により援用される、米国特許第4,360,626号明細書に記載されているように)粉末金属が部品へ成形されるのと非常に似て、熱および圧力下に成形される。
【0025】
本明細書で使用されるようなポリイミドは好ましくは、熱酸化に対する高度の安定性を有する。高められた温度で、このポリマーはこうして典型的には、空気などの酸化剤との反応による燃焼を受けないが、代わりに熱分解反応で気化するであろう。
【0026】
黒鉛が、本明細書の組成物の成分「(b)」として使用される。黒鉛は典型的には、摩耗および摩擦特性を向上させるために、および熱膨張係数(CTE)をコントロールするためにポリイミド組成物に加えられる。かかる目的のためにポリイミド組成物に使用される黒鉛の量はこうして時々、かみ合う構成部品のCTEにマッチするように有利には選択される。
【0027】
黒鉛は、微粉として様々な形態で商業的に入手可能であり、広く変わる平均粒度、しかしながら、頻繁に約5〜約75ミクロンの範囲にある平均粒度を有してもよい。一実施形態では、平均粒度は、約5〜約25ミクロンの範囲にある。別の実施形態では、本明細書で使用されるような黒鉛は、硫化第二鉄、硫化バリウム、硫化カルシウム、硫化銅、酸化バリウム、酸化カルシウム、および酸化銅からなる群から選択されるものなどの、約0.15重量%未満の反応性不純物を含有する。
【0028】
本明細書での使用に好適であるような黒鉛は、天然起源の黒鉛または合成黒鉛のどちらかであることができる。天然黒鉛は一般に広範囲の不純物濃度を有するが、低濃度の反応性不純物を有する合成製造黒鉛が商業的に入手可能である。受け入れられないほどに高い濃度の不純物を含有する黒鉛は、例えば、鉱酸での化学処理を含む様々な公知の処理のいずれかによって精製することができる。例えば、高められた温度または還流温度での、硫酸、硝酸または塩酸での不純な黒鉛の処理を、不純物を所望のレベルまで低減するために用いることができる。
【0029】
セピオライト充填剤、またはセピオライト充填剤とカオリン充填剤との混合物が、本明細書の組成物の成分「(c)」として使用される。本明細書での使用に好適なセピオライト充填剤には、その繊維状構造のために高いアスペクト比を示す水和ケイ酸マグネシウムである、セピオライトそれ自体[Mg4Si615(OH)2・6(H2O)]が含まれる。シリケートのうちで独特のセピオライトは、シリカ鎖が繊維の軸に並走する長いラス様の結晶子からなる。この材料は2つの形、αおよびβ形からなることが示された。α形は繊維の長い束であることが知られ、β形は非晶質の凝集体として存在する。
【0030】
本明細書での使用に好適なセピオライト充填剤にはまた、アタパルジャイト(パリゴルスカイトとしても知られる)が含まれ、アタパルジャイトは、それがわずかにより小さい単位格子を有することを除いてセピオライトとほとんど構造的におよび化学的に同一である。
【0031】
本明細書での使用に好適なセピオライト充填剤にはまた、各層がマグネシウムイオンを含有する八面体単位の中心シートに結合した四面体シリカ単位の2つのシートで構成されている層状の繊維状材料である粘土が含まれる[例えば、L.Bokobzaら、Polymer International、53(2004)、1060−1065ページの図1および2を参照されたい]。繊維はくっついて繊維束を形成し、それは順繰りに凝集塊を形成し得る。これらの凝集塊は、微粉化または化学修飾などの工業的プロセスによって分解することができる(例えば、Tolsa S.A.に付与された欧州特許第170,299号明細書を参照されたい)。
【0032】
一実施形態では、本明細書での使用に好適なセピオライト充填剤には、欧州特許出願公開第A−454,222号明細書および/または欧州特許出願公開第A−170,299号明細書に記載されている、そしてTolsa S.A.,(Madrid,Spain)によってPangel(登録商標)商標で市場に出されているものなどの、レオロジーグレードのセピオライト粘土が含まれる。これに関連して用語「レオロジーグレード」は、120m2/g超の平均表面積[Brunauerら、「Adsorption of Gases in Multimolecular Layers(多分子層でのガスの吸着)」、Journal of the American Chemical Society、60(1938)、309−319ページに記載されているようなBrunauer/Emmett/Teller法によってN2中で測定されるような]を典型的には有し、かつ、約200〜2000nm長さ、10〜30nm幅、および5〜10nm厚さの平均繊維寸法を典型的には有するセピオライト粘土を意味する。レオロジーグレードのセピオライトは、セピオライトが水および他の極性液体中に容易に分散するように、そして高度の不規則性の外面と、300m2/g超の高い比表面積と、活性中心と比較的容易に水素橋を形成できると非常に高い保水力をそれに提供する、吸着のための高密度の活性中心とを有するように、セピオライト繊維の破壊を実質的に防ぐ微粉化プロセスによって天然セピオライトから得られる。レオロジーグレードのセピオライト粒子のマイクロファイバー状本質は、セピオライトを高い気孔率および低い見掛け密度の材料にする。
【0033】
さらに、レオロジーグレードのセピオライトは、非常に低いカチオン交換容量(10〜20ミリ当量/100g)を有し、電解質との相互作用は非常に弱く、そのことは次には、それが見いだされる媒体中の塩の存在によってレオロジーグレードのセピオライトが実際に影響を及ぼされないようにし、それ故、それは広いpH範囲で安定のままである。レオロジーグレードのセピオライトの上述の品質はまた、Engelhard Corporation,(United States)によって製造され、市場に出されるATTAGEL(登録商標)粘土(例えば、ATTAGEL 40およびATTAGEL 50)の範囲;ならびにFloridin Companyからの製品のMIN−U−GEL範囲などの、40ミクロンより小さい粒度を典型的に有する、レオロジーグレードのアタパルジャイトにも見いだすことができる。
【0034】
本明細書での使用に好適なカオリン充填剤には、その分子が、シリカ1つおよびアルミナ1つの2つのシートまたはプレートに配置されているシート型シリケートである、カオリナイトそれ自体が含まれる。カオリナイトは、化学組成Al2Si25(OH)4の粘土鉱物である。それは、1つの四面体シートが酸素原子を通してアルミナ八面体の1つの八面体シートに連結した状態の、層状シリケート鉱物である。カオリナイトに富む岩石は、陶土またはカオリンとして知られている。対照的に、モンモリロナイト粘土鉱物などのスメクタイトは、2つのシリカシートおよび1つのアルミナシートに配置されている。スメクタイトの分子は、カオリナイト族のそれらほどしっかりと連結しておらず、こうしてさらに離れている。[例えば、熱重量分析(TGA)によって示されるように]約450℃以下などの、より高い温度でシートシリケートの構造水の熱安定性を維持しながら、シートシリケートの結晶構造の相安定性を維持することが望ましい。ポリイミド組成物の加工中の構造水の損失は、ポリイミド完全性に危害をもたらし得るし、おそらくシートシリケートの結晶構造を変化させ、より硬い、より研磨性の配合物を与える。本明細書に記載される組成物に含められるほど十分に安定ではないシートシリケートの例は、モンモリロナイト、バーミキュライト、およびパイロフィライトである。
【0035】
本明細書での使用に好適なセピオライト充填剤およびカオリン充填剤は、Murray、Applied Clay Science 17(2000)、207−221ページにさらに議論されている。セピオライト充填剤とカオリン充填剤との混合物が本発明の組成物中の成分(c)として使用されるとき、各タイプの充填剤は、混合物中で一緒になって全充填剤の総重量を基準として、約10重量%〜約90重量%の範囲の量で混合物中に存在してもよい。
【0036】
本明細書の組成物および物品に使用されるような、黒鉛、およびセピオライト充填剤(またはセピオライト充填剤とカオリン充填剤との混合物)は、上記のようなPAAポリマー溶液(または他のタイプのモノマーのための他の溶液)の移送前に加熱された溶媒中へ頻繁に組み込まれ、その結果、生じたポリイミドは成分(b)および(c)の存在下に沈澱し、それらの成分はそれによって組成物中へ組み込まれることになる。
【0037】
本発明の組成物で、様々な成分の含有率は、以下の量から形成されてもよい可能な範囲の全てを含む:
成分(a)、芳香族ポリイミドは、約40重量部以上、約42重量部以上、約44重量部以上または約46重量部以上の量で、なおかつ約54重量部以下、約52重量部以下、約50重量部以下または約48重量部以下の量で存在してもよく;
成分(b)、黒鉛は、約46重量部以上、約48重量部以上、約50重量部以上または約52重量部以上の量で、なおかつ約60重量部以下、約58重量部以下、約56重量部以下または約54重量部以下の量で存在してもよく;そして
成分(c)、セピオライト充填剤またはセピオライト充填剤とカオリン充填剤との混合物は、約0.5重量部以上、約0.75重量部以上、約1.0重量部以上、約1.25重量部以上または約1.5重量部以上の量で、なおかつ約3.0重量部以下、約2.75重量部以下、約2.5重量部以下、約2.25重量部以下または約2.0重量部以下の量で存在してもよい。
【0038】
本明細書の組成物で、上述のような範囲から取られる、任意の特定の処方で混ぜ合わせられるような3成分のそれぞれの重量部の量は、合計で100重量部になるであろう。
【0039】
本発明の組成物は、組成内容が、他の2成分のどちらかまたは両方についての最大値および最小値の任意のかかる組み合わせと一緒に、組成物の任意の1成分についての、上述のような、様々な最大値および最小値の任意の組み合わせで表されてもよい調合物の全てを含む。
【0040】
1つ以上の添加剤が、本明細書の組成物の随意の成分「(d)」として使用されてもよい。使用されるとき、添加剤は、3成分[(a)+(b)+(c)]組成物中の3成分一緒の総重量が4成分[(a)+(b)+(c)+(d)]組成物中の全4成分一緒の総重量を基準として約30〜約95重量%の範囲にある状態で、4成分[(a)+(b)+(c)+(d)]組成物中の全4成分一緒の総重量を基準として約5〜約70重量%の範囲の量で使用されてもよい。
【0041】
本明細書の組成物での随意の使用に好適な添加剤には、限定なしに、次のものの1つ以上が含まれてもよい:顔料;酸化防止剤;低下した熱膨張係数を付与する材料、例えば、炭素繊維;高い強度特性を付与する材料、例えば、ガラス繊維、セラミック繊維、ホウ素繊維、ガラスビーズ、ウィスカー、黒鉛ウィスカーまたはダイヤモンド粉末;熱放散または耐熱特性を付与する材料、例えば、アラミド繊維、金属繊維、セラミック繊維、ウィスカー、シリカ、炭化ケイ素、酸化ケイ素、アルミナ、マグネシウム粉末またはチタン粉末;耐コロナ性を付与する材料、例えば、天然雲母、合成雲母またはアルミナ;電気伝導性を付与する材料、例えば、カーボンブラック、銀粉末、銅粉末、アルミニウム粉末またはニッケル粉末;摩耗または摩擦係数を低下させる材料、例えば、窒化ホウ素またはポリ(テトラフルオロエチレン)ホモポリマーおよびコポリマー。充填剤は、部品二次加工前に最終樹脂に乾燥粉末として加えられてもよい。
【0042】
本明細書の組成物での使用にまたはそれを製造するために好適な原材料は、それら自体当該技術分野で公知の方法によって製造されてもよいし、またはAlfa Aesar(Ward Hill,Massachusetts)、City Chemical(West Haven,Connecticut)、Fisher Scientific(Fairlawn,New Jersey)、Sigma−Aldrich(St.Louis,Missouri)またはStanford Materials(Aliso Viejo,California)などの供給業者から商業的に入手可能である。
【0043】
他の不溶融性ポリマー材料から製造される製品と同様に、本明細書の組成物から二次加工される部品は、熱および圧力の適用を含む技法によって製造されてもよい(例えば、米国特許第4,360,626号明細書を参照されたい)。好適な条件には、例えば、周囲温度で約50,000〜100,000psi(345〜690MPa)の範囲の圧力が含まれてもよい。本明細書の組成物から成形される物品の物理的特性は、約300℃〜約450℃の範囲の温度で典型的に行われてよい、焼結によってさらに改善することができる。
【0044】
本明細書の組成物から製造された部品および他の物品は、ブッシング、ベアリング、ワッシャー、シールリング、ガスケット、摩耗パッドおよびスライドブロックなどの航空機エンジン部品として有用である。これらの部品は、往復ピストンエンジンおよび、特に、ジェットエンジンなどの全タイプの航空機エンジンに使用されてもよい。本明細書の組成物から製造された部品および他の物品はまた、次のものでも有用である:自動車および他のタイプの内燃エンジン;排ガスリサイクルシステムおよびクラッチシステムなどの他の車両サブシステム;ポンプ;非航空機ジェットエンジン;ターボチャージャー;逆噴射装置、エンジン室、フラップシステムおよびバルブなどの航空機サブシステム;射出成形機などの材料加工設備;コンベヤ、ベルトプレスおよび幅出し機フレームなどの材料取扱設備;ならびにフィルム、シール、ワッシャー、ベアリング、ブッシング、ガスケット、摩耗パッド、シールリング、スライドブロックおよび押しピンならびに低い摩耗が望ましい他の用途。幾つかの用途では、本明細書の組成物から製造された部品または他の物品は、それが存在する装置が組み立てられ、通常の使用中にある時間の少なくとも一時期に金属と接触する。
【実施例】
【0045】
本明細書の組成物の有利な特質および効果は、下に記載されるように、一連の実施例(実施例1〜14)に見ることができる。実施例がベースとするこれらの組成物の実施形態は代表的なものであるにすぎず、本発明を例示するためのそれらの実施形態の選択は、これらの実施例に記載されていない原材料、成分、反応剤、原料、調合物または仕様が本明細書で本発明を実施するために好適ではないこと、またはこれらの実施例に記載されていない主題が添付のクレームおよびそれの等価物の範囲から排除されることを示さない。実施例の重要性は、それらから得られる結果を、対照実験(対照A〜D)として役立つようにデザインされ、そしてこれらの組成物がその中にいかなるセピオライト(またはセピオライト/カオリン混合物)充填剤も含有しないのでかかる比較の根拠を提供する、ある種の試行から得られる結果と比較することによってより良く理解される。
【0046】
本実施例では、次の省略形が用いられる:「BPDA」は3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸無水物と定義され、「MPD」はm−フェニレンジアミンと定義され、「PPD」はp−フェニレンジアミンと定義され、「COF」は摩擦係数と定義され、「TOS」は熱酸化安定性と定義され、「avg」は平均(average)または平均(mean)と定義され、「h」は時間と定義され、「mL」はミリリットルと定義され、「m」はメートルと定義され、「cm」はセンチメートルと定義され、「mm」はミリメートルと定義され、「in」はインチと定義され、「g」はグラムと定義され、「kg」はキログラムと定義され、「oz」はオンスと定義され、「psia」は1平方インチ当たりのポンド(絶対)と定義され、「rpm」は回転毎分と定義され、そして「wt%」は重量パーセント(百分率)と定義される。
【0047】
原材料
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸無水物は、三菱ガス化学株式会社(日本国、東京)から入手した。m−フェニレンジアミンおよびp−フェニレンジアミンは、DuPont(Wilmington,Delaware,USA)から入手した。使用される黒鉛は、約8ミクロンの中間粒度の合成黒鉛、最大0.05%灰分であった。Pangel(登録商標)S−9セピオライトは、この製造業者Tolsa S.A.(Madrid 28001,Spain)のための販売業者であるEM Sullivan Associates,Inc.(Paoli,Pennsylvania,USA)から購入した。Pangel(登録商標)S−9セピオライトは、その粒子が非変性または非被覆表面を有するレオロジーグレードのセピオライトである。
【0048】
方法
乾燥ポリイミド樹脂を、室温および100,000psi(690MPa)成形圧力でASTM E8(2006)、「Standard Tension Test Specimen for Powdered Metal Products−Flat Unmachined Tensile Test Bar(粉末金属製品についての標準引張試験検体−平らな非機械加工引張試験試験片)」に従って直接成形することによって引張試験片へ二次加工した。引張試験片を窒素パージしながら405℃で3時間焼結させた。
【0049】
引張試験片に関する高温摩耗は、800°F(427℃)で測定した。これらの試験では、スチールボールベアリングを、試験検体の表面に2ポンドの負荷下に3時間擦りつけた。実験の終わりに、スチールボールが経験する摩耗(「ボール摩耗」)、および試験検体とスチールボールとの間の摩擦係数(「COF」)を測定するように、試験検体上の生じた摩耗傷の体積(「樹脂摩耗(Resin Wear)」)を測定した。樹脂摩耗は、摩耗傷の体積を測定できる、光学形状測定によって測定した。樹脂摩耗およびボール摩耗の両方についての結果は、インチ3またはcm3の単位で提示される、減少重量の体積として報告する。COFについて報告される結果は、それが他との関連で各試験片の相対的な摩擦係数であるので単位なしの数である。全ての測定は、コンピューターで摩擦力データを収集して、温度制御オーブンを使用することで修正された、ASTM G 133−05(2005)、「Standard Test Method for Linearly Reciprocating Ball−on−Flat Sliding Wear(直線往復ボール−オン−フラット滑り摩耗についての標準試験方法)」に記載される試験手順を用いて行った。
【0050】
熱酸化安定性(「TOS」)は、先ず引張試験片を秤量し、次にそれぞれの引張試験片の2試験片(「TOS−1」および「TOS−2」)を、空気中88psia(0.61MPa)の圧力で800°F(427℃)の温度に25時間暴露することによって試験した。最終重量測定を次に行い、引張試験片の各試験片のパーセント減量を、次式:
【数1】

に従って計算した。計算され、報告される百分率はパーセント減量であった。TOS−1およびTOS−2についてのパーセント減量を次に平均した。
【0051】
実施例1および2、対照A
50重量%黒鉛および0、5、または10重量%セピオライト充填剤を含有する3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、m−フェニレンジアミン(MPD)およびp−フェニレンジアミン(PPD)をベースとするポリイミド樹脂の粒子を、あらゆる目的のために本明細書の一部として全体を本参照により援用される、米国特許第5,886,129号明細書に記載されている方法に従って調製した。乾燥後に、樹脂を、Wileyミルを使用して20メッシュのスクリーンを通して粉砕した。試験検体引張試験片を次に上記の通り調製し、樹脂摩耗、ボール摩耗およびCOFを、上記の方法に従って測定した。結果を表1に示す。
【0052】
【表1】

【0053】
実施例3〜14、対照B〜D
これらの実験は、熱酸化安定性(「TOS」)および樹脂摩耗を含む、組成物から成形された部品の特性への組成内容(ポリマー、黒鉛およびセピオライト充填剤の相対的な量)の影響を調べるために行った。
【0054】
程度2の最大頂点デザイン(extreme vertices design of
degree two)を、3成分:ポリイミド、黒鉛およびセピオライト充填剤の異なる組成内容を有する12の調合物の含有率および性能関係を表すために使用した。デザイン空間は次の通りまとめられ、図1に例示される:
ポリイミド 0.30〜0.50重量分率
黒鉛 0.50〜0.70重量分率
セピオライト 0.00〜0.10重量分率
対照B〜Dの組成物は、セピオライトがそれらに存在しないので、0.00重量分率セピオライトの状態を表す。
【0055】
各組成物を合成し、試験検体を実施例1〜2について記載されたように調製した。TOSおよび樹脂摩耗を、上記のような方法で測定した。結果を表2にまとめる。
【0056】
【表2】

【0057】
図2で、4〜9の平均TOS値の範囲を表す等高線をデザイン空間の図形上に重ね合わせて成形部品に特定の平均TOSをもたらす近似組成内容を示す表面プロットを作成する。図2から、検討された組成の範囲内で、ポリイミドの含有率が他の成分の含有率より少ない影響を及ぼすと見ることができる。より高いレベルの黒鉛はTOSを幾らか向上させた(減少させた)が、より高いレベルのセピオライト充填剤はTOSを幾らか悪化させた(増加させた)。図2で、最低のTOSは一般に、それぞれ、様々な量のポリイミドおよび黒鉛を有する組成を表す、4のTOSを表す線付近の領域にある。
【0058】
図3で、1750〜6000×10-8インチ3の樹脂摩耗の範囲を表す等高線をデザイン空間の図形上に重ね合わせて成形部品に特定量の樹脂摩耗をもたらす近似組成内容を示す表面プロットを作成する。図3は、検討中のセピオライト充填剤重量分率の中間点近くに樹脂摩耗の最小値があることを示す。樹脂摩耗は、より高い含有率値のポリイミドについて幾らか向上し(減少し)、より高い含有率値の黒鉛について幾らか悪化した(増加した)。図3で、最低の摩耗は一般に、セピオライト充填剤の含有率が0.05重量分率である線を近似的に中心とする領域にある。
【0059】
図4は、図2からのTOSについてのおよび図3からの樹脂摩耗についての応答表面プロットの重ね合わせである。中破線は、3.5以下のTOSを表す等高線のおおよその場所を表し、小破線は2000以下の樹脂摩耗を表す等高線のおおよその場所を表す。斜線エリアは、それら2つの領域の共通部分を表す。
【0060】
ある範囲の数値が本明細書に列挙される場合、この範囲は、それの終点ならびにこの範囲内の個々の整数および分数全てを含み、かつまた、それらの終点と内部整数および分数との様々な可能な組み合わせ全てによって形成されるその中のより狭い範囲のそれぞれを含んで、あたかもそれらのより狭い範囲のそれぞれが明確に列挙されるかのように同じ程度に述べられる範囲内の値のより大きいグループのサブグループを形成する。ある範囲の数値が述べられる値より大きいと本明細書に述べられる場合、この範囲は、それにもかかわらず有限であり、本明細書に記載されるような本発明の脈絡内で使用できる値とその上限で接している。ある範囲の数値が述べられる値未満であると本明細書で述べられる場合、この範囲は、それにもかかわらず非ゼロ値とその下限で接している。
【0061】
本明細書では、そうではないと明確に述べられないかまたは用法の脈絡によってそれとは反対を示されない限り、本明細書の主題の実施形態が、ある種の特徴または要素を含む(comprising)、含む(including)、含有する(containing)、有する(having)、それらからなるまたはそれらでもしくはそれらから構成されると述べられるかまたは記載される場合、明確に述べられるかまたは記載されるものに加えて1つ以上の特徴または要素がこの実施形態中に存在してもよい。しかしながら、本明細書の主題の代わりの実施形態は、ある種の特徴または要素から本質的になると述べられるかまたは記載されてもよく、その実施形態において、実施形態の運用の原則または特徴的な特性を実質的に変更するであろう特徴または要素はその中に存在しない。本明細書の主題のさらなる代わりの実施形態は、ある種の特徴または要素からなると述べられるかまたは記載されてもよく、その実施形態において、またはそれのごくわずかな変形において、具体的に述べられるかまたは記載される特徴または要素だけが存在する。
【0062】
本明細書では、そうではないと明確に述べられないかまたは用法の脈絡によってそれとは反対を示されない限り、
(a)本明細書に列挙される量、サイズ、範囲、調合物、パラメーター、ならびに他の量および特性は、特に用語「約」によって修正されるときに、正確であってもよいが、正確である必要はなく、そしてまたおおよそであってもよくおよび/または、本発明の脈略内で、述べられた値への機能的なおよび/または使用できる等価性を有するその外側のそれらの値の述べられた値内への包含だけでなく、許容範囲、換算係数、丸め、測定誤差などを反映して、述べられるものより大きくてももしくは小さくてもよく;
(b)部、百分率または比の全数量は、重量による部、百分率または比として与えられ;
(c)本発明の要素または特徴の存在の言明または記載に関して不定冠詞「a」または「an」の使用は、要素または特徴の存在を数の上で1つに限定せず;そして
(d)単語「含む(include)」、「含む(includes)」および「含む(including)」は、実際にそれが当てはまらない場合、あたかもそれらの後に語句「限定なしに」が続くかのように読まれ、解釈されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)約40質量部以上なおかつ約54質量部以下の芳香族ポリイミド、(b)約46質量部以上なおかつ約60質量部以下の黒鉛、および(c)約0.5質量部以上なおかつ約3.0質量部以下のセピオライト充填剤を混合剤で含み、ここで一緒に合わせた全質量部が合計で100質量部になる、組成物。
【請求項2】
ポリイミドが芳香族テトラカルボン酸化合物またはその誘導体から製造され、ここで芳香族テトラカルボン酸化合物が式(II):
【化1】

(式中、R1は四価の芳香族基であり、各R3は独立して、水素もしくはC1〜C10アルキル基、またはそれらの混合物である)
で表される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ポリイミドが、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、ピロメリット酸、および3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、もしくはそれらの誘導体、またはそれらの混合物からなる群から選択される芳香族テトラカルボン酸化合物から製造される請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
ポリイミドが、化学構造H2N−R2−NH2(式中、R2は、最大16個までの炭素原子を含有し、任意選択的に−N−、−O−、および−S−からなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子を芳香環中に含有する、二価の芳香族ラジカルである)で表されるジアミン化合物から製造される請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
ポリイミドが、2,6−ジアミノピリジン、3,5−ジアミノピリジン、1,2−ジアミノベンゼン、1,3−ジアミノベンゼン、1,4−ジアミノベンゼン、2,6−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノトルエン、ベンジジンおよび3,3’−ジメチルベンジジンからなる群から選択されるジアミン化合物から製造される請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
ポリイミドが繰り返し単位
【化2】

(式中、R2は、
p−フェニレンラジカル、
【化3】

m−フェニレンラジカル、
【化4】

およびそれらの混合物
よりなる群から選択される)
を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
2基の60モル%より大〜約85モル%がp−フェニレンラジカルで構成され、約15〜40モル%未満がm−フェニレンラジカルで構成される請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
2基の約70モル%がp−フェニレンラジカルで構成され、R2基の約30モル%がm−フェニレンラジカルで構成される請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
(a)約42質量部以上なおかつ約52質量部以下の芳香族ポリイミド、(b)約48質量部以上なおかつ約58質量部以下の黒鉛、および(c)約0.75質量部以上なおかつ約2.75質量部以下のセピオライト充填剤を含み、ここで一緒に合わせた全質量部が合計で100質量部になる、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
成分(c)がセピオライト充填剤およびカオリン充填剤の両方を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
セピオライト充填剤がレオロジーグレードのセピオライト粘土を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
セピオライト充填剤が未改質または未被覆表面を有する粒子を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
成分(d)として1つまたはそれ以上の添加剤を、全(a)+(b)+(c)+(d)組成物の質量に基づいて約5〜約70質量%の範囲の量でさらに含み、これに加え(a)+(b)+(c)成分の一緒に合わせた質量が全組成物の約30〜約95質量%の範囲にある、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
添加剤が、顔料;酸化防止剤;低下した熱膨張係数を付与する材料;高い強度特性を付与する材料;熱放散または耐熱特性を付与する材料;耐コロナ性を付与する材料;電気伝導性を付与する材料;および摩耗または摩擦係数を低下させる材料からなる群の1つまたはそれ以上のメンバーを含む請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
請求項1に記載の組成物から二次加工される物品。
【請求項16】
内燃機関の部材を含む請求項15に記載の物品。
【請求項17】
航空機部材を含む請求項15に記載の物品。
【請求項18】
自動車部材を含む請求項15に記載の物品。
【請求項19】
ブッシング、ベアリング、ワッシャ、シールリング、摩耗パッドまたはスライドブロックを含む請求項15に記載の物品。
【請求項20】
ガスリサイクルシステム;クラッチシステム;ポンプ;ターボチャージャ;逆スラスト装置、エンジン室、フラップシステム;射出成形機;コンベヤ、ベルトプレス;および幅出し機フレーム用の部材を含む請求項15に記載の物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−529981(P2011−529981A)
【公表日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521269(P2011−521269)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【国際出願番号】PCT/US2009/052060
【国際公開番号】WO2010/014677
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】